JP2014074094A - 難燃性熱可塑性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

難燃性熱可塑性樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】リン系難燃剤を含有し、均質で安定した難燃性を示す難燃性熱可塑性樹脂組成物を、簡単に生産性良く製造する方法を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂と融点が40〜200℃のリン系難燃剤とからなる熱可塑性樹脂組成物を押出機で溶融混練して製造する方法であって、前記リン系難燃剤を押出機内に供給する供給口またはその近傍にガスを間欠的に吹き付けることを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、難燃性熱可塑性樹脂組成物の製造方法に関する。さらに詳しくは、リン系難燃剤を含有し、均質で安定した難燃性を示す難燃性熱可塑性樹脂組成物を、簡単に生産性良く製造する方法に関する。
従来、熱可塑性樹脂に難燃性を付与するために塩素原子や臭素原子を含有するハロゲン系の難燃剤が広く用いられてきた。しかしながら、近年、焼却廃棄時の環境への影響や、火災時の人体への影響が懸念され、ハロゲン系難燃剤の使用が規制されるようになってきている。
一方、ハロゲン系難燃剤に代わる難燃剤として、リン系の難燃剤である有機リン酸エステル化合物やホスファゼン化合物等が注目されており、熱可塑性樹脂の難燃性を効果的に高めることが可能である。
周知のように、このような難燃性熱可塑性樹脂組成物は、通常、押出機により製造される。原料ホッパー、スクリューを有する加熱混練部、及び最下流の押出ダイとから構成される押出機を用いて、粉状またはペレット状の熱可塑性樹脂原料と難燃剤原料はフィーダーに投入され、次いで原料ホッパーから押出機上部に設けられた供給口より押出機内に供給される。供給された混合原料は、押出機の外周部に配設されたバンドヒーターにより加熱されると共に、スクリューの回転により搬送されつつ混練される過程で溶融して液状となり、そして、押出ダイにて押出され、冷却され、カッティングマシーンより裁断されて、ペレットとして製造される。
しかしながら、リン系難燃剤、例えば、ホスファゼン化合物は、通常粉体であるが極めて固着しやすく、工業レベルで取り扱うことが著しく困難であるという欠点を有している。そのため、原料ホッパーから供給口より押出機内に供給する際、供給口の内側に付着しやすく、固着し、さらに成長して塊化する。そして、時間が経つと、時には大きな塊となって脱落し、そのまま熱可塑性樹脂中に混入してしまい、分散がなされないまま取り込まれ、その結果、難燃効果も安定せず、ペレットの品質を低下させてしまう。
このような取扱いの困難性を解消すべく、ホスファゼン化合物を、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂及びポリエステルエラストマーと配合した難燃剤マスターバッチ(特許文献1参照)や、ホスファゼン化合物とフェノール系樹脂とからなる難燃剤マスターバッチ(特許文献2参照)も提案されているが、難燃剤マスターバッチ中に含まれるポリエチレンテレフタレート樹脂などのポリエステル樹脂やポリエステルエラストマー、あるいは、フェノール系樹脂成分が難燃性を低下させてしまうために、熱可塑性樹脂組成物の難燃性を効果的に発現させることが難しい。
上記のリン系難燃剤の固着を完全に防止することは困難であり、なるべく簡単な方法で、かつ、優れた生産性で安定的に製造する方法が望まれている。
特開2006−307178号公報 特開2008−101035号公報
本発明は、上記の課題に鑑み、リン系難燃剤を含有し、均質で安定した難燃性を示す難燃性熱可塑性樹脂組成物を、簡単に生産性良く製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、リン系難燃剤を押出機内に供給する供給口にガスを間欠的に吹き付けることにより、供給口に付着する付着物が成長することなく、固形物としてペレットの品質低下を引き起こさず、難燃性熱可塑性樹脂組成物を優れた生産性で安定的に製造でき、得られた樹脂組成物は安定した均質な難燃性を発揮できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、以下の難燃性熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供する。
[1]熱可塑性樹脂と融点が40〜200℃のリン系難燃剤とからなる熱可塑性樹脂組成物を押出機で溶融混練して製造する方法であって、前記リン系難燃剤を押出機内に供給する供給口またはその近傍にガスを間欠的に吹き付けることを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
[2]ガスの吹き付けを、供給口に対して設けた2つ以上のガス噴射口から行うことを特徴とする上記[1]に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
[3]ガスが、空気、窒素ガス、二酸化炭素ガス及び水蒸気から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記[1]または[2]に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
[4]リン系難燃剤が、リン酸エステル化合物またはホスファゼン化合物であることを特徴とする上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
[5]ホスファゼン化合物が、フェノキシホスファゼン化合物であることを特徴とする上記[4]に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
[6]熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート樹脂であることを特徴とする上記[1]乃至[5]のいずれかに記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
本発明の製造方法によれば、リン系難燃剤を含有し、均質で安定した難燃性を示す難燃性熱可塑性樹脂組成物を、簡単に生産性良く製造でき、得られた樹脂組成物は安定した均質な難燃性を発揮することができる。
図1は、本発明で使用する押出機と供給口の一実施態様を示す概略断面図である。 図2は、本発明に適用可能な供給口へのガス噴射口の一例を示す概略断面図である。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、熱可塑性樹脂と融点が40〜200℃のリン系難燃剤とからなる熱可塑性樹脂組成物を押出機で溶融混練して製造する方法であって、リン系難燃剤を押出機内に供給する供給口またはその近傍にガスを間欠的に吹き付けることを特徴とする。
以下、図面を用いて具体的な例につき説明する。
図1は、本発明に適用可能な供給機−ホッパー−押出機の構成例を示す概略断面図である。
原料の熱可塑性樹脂は、原料供給機1に貯蔵され、そこからフィーダー2(定量供給機または定容供給機)によって、内部にスクリュー3を有する押出機5上に設置されたホッパーのホッパーシュート4に供給される。
ホッパーシュート4の底部は押出機5の上流側に設けられた供給口6に接続されており、原料の熱可塑性樹脂とリン系難燃剤はホッパーシュート4から供給口6を通じて押出機5内に順次供給され、押出機5の外周部に配設されたバンドヒーター(図示しない)により加熱されると共に、スクリュー3の回転により搬送されつつ混練され、押出ダイにて押出され、冷却され、カッティングマシーン(図示しない)より裁断されてペレットとされる。
熱可塑性樹脂とリン系難燃剤の混合は押出機に投入される前の任意の段階で配合することができる。例えば、タンブラー、ヘンシェルミキサー、ブレンダーによって全成分を配合したのち、必要に応じてフィーダー2を介してホッパーシュート4に投入し、押出機5に供給してもよい。押出機には一軸押出機、二軸押出機などが使用出来る。また、リン系難燃剤は熱可塑性樹脂とは別経路でホッパーシュート4に供給してもよい。このときリン系難燃剤は、単独で供給してもよく、他の添加剤と混合して状態で供給してもよい。
本発明においては、リン系難燃剤を押出機内に供給する供給口6またはその近傍にガスを間欠的に吹き付ける。
図2は、本発明に適用可能な供給口へのガス吹付けの構成例を示す概略断面図である。
ホッパーシュート4下に位置する供給口6には、リン系難燃剤の付着物7が形成されやすく、このため、供給口6またはその近傍に、ガスを、リン系難燃剤の付着物7に対して設けられたガス噴射口8から間欠的に吹き付ける。吹付ける方向は、供給口6に斜め上方から行うことが好ましい。
吹付けるためのガスとしては、空気、窒素ガス、二酸化炭素ガス、水蒸気等が好ましく、空気、窒素ガスがより好ましく、空気が特に好ましく用いられる。ガスはガス供給源9から配管10により供給され、配管の途中には電磁弁(図示しない)が介装され、間隔と吹付け時間を制御装置(図示しない)によって制御されることが好ましい。
ガスを間欠的に吹付ける際の間隔としては、特に制限するものではないが、30秒〜15分間程度の間隔を設けることが好ましい。あまりに間隔を空けると供給口に付着したリン系難燃剤が固まってしまうので、固化するまでの時間内のサイクルとするのが好ましい。また、間欠的ではなく連続的に吹き付けると、ホッパーよりスクリューに供給された熱可塑性樹脂や難燃剤の、スクリューによる押出機下流へ供給性が低下する傾向にある為、好ましくない。
図2においては、簡略化して、ガス噴射口8は1つしか図示していないが、2つまたはそれ以上のガス噴射口からガスの吹き付けを行うことが好ましい。噴射口の先端は、リン系難燃剤が付着しやすい箇所に向けて適宜曲げられていてもよい。
ガス噴射口8は、図2においてはホッパーシュート4側に設けているが、押出機本体側から取り付けられていてもよい。
本発明で用いる押出機としては、一軸押出機でも二軸押出機でよいが、二軸押出機が好ましい。また、ベント式であってもよく、ベントの数は1箇所でも2箇所以上であってもよい。
押出機のスクリューのL/Dとしては、10〜80が好ましく、より好ましくは15〜70、さらに好ましくは20〜60である。
[熱可塑性樹脂]
本発明で用いる熱可塑性樹脂は、特に限定されず、例えば、ポリカーボネート樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂等のポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリ乳酸(PLA)樹脂等のポリエステル系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミドMXD等のポリアミド系樹脂;ポリオキシメチレン(ポリアセタール)樹脂;ポリスチレン樹脂、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ABS樹脂、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート(ASA)樹脂等のスチレン系樹脂;PMMA樹脂等のメタクリル系樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂、又は2種類以上のこれらの熱可塑性樹脂からなるポリマーアロイを挙げることができる。
なかでも、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びポリカーボネート樹脂/ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂/スチレン系樹脂のポリマーアロイ樹脂組成物から構成された群から選択された熱可塑性樹脂を使用することが好ましく、ポリカーボネート樹脂が特に好ましい。
[ポリカーボネート樹脂]
熱可塑性樹脂として好ましく使用されるポリカーボネート樹脂の種類に制限は無く、また、1種のみを用いてもよく、2種以上を、任意の組み合わせ及び任意の比率で、併用してもよい。
ポリカーボネート樹脂は、[−O−X−O(=CO)−]で表される炭酸結合を有する基本構造の重合体であり、Xは一般には炭化水素であるが、種々の特性付与のためヘテロ原子、ヘテロ結合の導入されたXを用いてもよい。
また、ポリカーボネート樹脂は、炭酸結合に直接結合する炭素がそれぞれ芳香族炭素である芳香族ポリカーボネート樹脂、及び脂肪族炭素である脂肪族ポリカーボネート樹脂に分類できるが、いずれを用いることもできる。なかでも、耐熱性、機械的物性、電気的特性等の観点から、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
芳香族ポリカーボネート樹脂の具体的な種類に制限は無いが、例えば、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを反応させてなる芳香族ポリカーボネート重合体が挙げられる。この際、ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体に加えて、ポリヒドロキシ化合物等を反応させるようにしてもよい。また、二酸化炭素をカーボネート前駆体として、環状エーテルと反応させる方法も用いてもよい。また芳香族ポリカーボネート重合体は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。さらに、芳香族ポリカーボネート重合体は1種の繰り返し単位からなる単重合体であってもよく、2種以上の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。このとき共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体等、種々の共重合形態を選択することができる。なお、通常、このような芳香族ポリカーボネート重合体は、熱可塑性の樹脂となる。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、芳香族ジヒドロキシ化合物の例を挙げると、
1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン(即ち、レゾルシノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン等のジヒドロキシベンゼン類;
2,5−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類;
2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類;
2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル、1,4−ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン等のジヒドロキシジアリールエーテル類;
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、
1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)(4−プロペニルフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、
等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,4−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−プロピル−5−メチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−tert−ブチル−シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、
等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;等が挙げられる。
これらの中でもビス(ヒドロキシアリール)アルカン類が好ましく、中でもビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、特に耐衝撃性、耐熱性の点から2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)が好ましい。
なお、芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、カーボネート前駆体の例を挙げると、カルボニルハライド、カーボネートエステル等が使用される。なお、カーボネート前駆体は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
カルボニルハライドとしては、具体的には例えば、ホスゲン;ジヒドロキシ化合物のビスクロロホルメート体、ジヒドロキシ化合物のモノクロロホルメート体等のハロホルメート等が挙げられる。
カーボネートエステルとしては、具体的には例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;ジヒドロキシ化合物のビスカーボネート体、ジヒドロキシ化合物のモノカーボネート体、環状カーボネート等のジヒドロキシ化合物のカーボネート体等が挙げられる。
・芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法
芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。
ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネート樹脂単独(ポリカーボネート樹脂単独とは、ポリカーボネート樹脂の1種のみを含む態様に限定されず、例えば、モノマー組成や分子量が互いに異なる複数種のポリカーボネート樹脂を含む態様を含む意味で用いる。)で用いてもよい。例えば、難燃性や耐衝撃性をさらに高める目的で、ポリカーボネート樹脂を、シロキサン構造を有するオリゴマーまたはポリマーとの共重合体;熱酸化安定性や難燃性をさらに向上させる目的でリン原子を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;熱酸化安定性を向上させる目的で、ジヒドロキシアントラキノン構造を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;等の、ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体として構成してもよい。
さらにポリカーボネート樹脂は、バージン原料だけでなく、使用済みの製品から再生されたポリカーボネート樹脂(いわゆるマテリアルリサイクルされたポリカーボネート樹脂)であってもよい。前記の使用済みの製品としては、例えば、光学ディスク等の光記録媒体;導光板;自動車窓ガラス、自動車ヘッドランプレンズ、風防等の車両透明部材;水ボトル等の容器;メガネレンズ;防音壁、ガラス窓、波板等の建築部材などが挙げられる。また、製品の不適合品、スプルー、ランナー等から得られた粉砕品またはそれらを溶融して得たペレット等も使用可能である。
ただし、再生されたポリカーボネート樹脂は、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物に含まれるポリカーボネート樹脂のうち、80質量%以下であることが好ましく、中でも50質量%以下であることがより好ましい。
[リン系難燃剤]
本発明において、リン系難燃剤は、その融点が40〜200℃の範囲にあるリン系難燃剤を使用する。リン系難燃剤は、分子中にリンを含む化合物であり、低分子であっても、オリゴマーであっても、ポリマーであってもよいが、本発明においては、融点が40〜200℃の範囲のものを用いる。融点が40℃未満のものは、紛体としての供給が難しく、また熱可塑性樹脂組成物の製造時、成形加工時にガスが発生するために好ましくない。また融点が200℃を超えるものは、熱可塑性樹脂組成物製造時に分散性に劣る為、安定した難燃性が得られにくいためやはり好ましくない。
このようなリン系難燃剤としては、熱安定性の面から、例えば下記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物や、後記する一般式(2)および(3)で表されるホスファゼン化合物が特に好ましい。
Figure 2014074094
[リン酸エステル化合物]
上記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物は、kが異なる数を有する化合物の混合物であってもよく、かかるkが異なる縮合リン酸エステルの混合物の場合は、kはそれらの混合物の平均値となる。kは、通常0〜5の整数であり、異なるk数を有する化合物の混合物の場合は、平均のk数は好ましくは0.5〜2、より好ましくは0.6〜1.5、さらに好ましくは0.8〜1.2、特に好ましくは0.95〜1.15の範囲である。
また、一般式(1)におけるXは、二価のアリーレン基を示し、例えばレゾルシノール、ハイドロキノン、ビスフェノールA、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、2,3’−ジヒドロキシビフェニル、2,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジヒドロキシビフェニル、3,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシ化合物から誘導される二価の基である。これらのうち、特に、レゾルシノール、ビスフェノールA、3,3’−ジヒドロキシビフェニルから誘導される二価の基が好ましい。
また、一般式(1)におけるp、q、rおよびsは、それぞれ0または1を表し、なかでも1であることが好ましい。
また、R、R、RおよびRは、それぞれ、炭素数1〜6のアルキル基またはアルキル基で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基を示す。このようなアリール基としては、フェニル基、クレジル基、キシリル基、イソプロピルフェニル基、ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、ジ−tert−ブチルフェニル基、p−クミルフェニル基等が挙げられるが、フェニル基、クレジル基、キシリル基がより好ましい。
一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物の具体例としては、
トリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリキシレニルホスフェート(TXP)、クレジルジフェニルホスフェート(CDP)、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート(EHDP)、tert−ブチルフェニルジフェニルホスフェート、ビス−(tert−ブチルフェニル)フェニルホスフェート、トリス−(tert−ブチルフェニル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、ビス−(イソプロピルフェニル)ジフェニルホスフェート、トリス−(イソプロピルフェニル)ホスフェート等の芳香族リン酸エステル類;
レゾルシノールビス−ジフェニルホスフェート(RDP)、レゾルシノールビス−ジキシレニルホスフェート(RDX)、ビスフェノールAビス−ジフェニルホスフェート(BDP)、ビフェニルビス−ジフェニルホスフェート等の縮合リン酸エステル類;
等が挙げられる。
一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物の酸価は、0.2mgKOH/gが好ましく、より好ましくは0.15mgKOH/g以下であり、さらに好ましくは0.1mgKOH以下であり、特に好ましくは0.05mgKOH/g以下である。かかる酸価の下限は実質的に0とすることも可能である。一方、ハーフエステルの含有量は1.1質量部以下がより好ましく、0.9質量部以下がさらに好ましい。酸価が0.2mgKOH/gを超える場合やハーフエステル含有量が1.5mgを超える場合は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の熱安定性や耐加水分解性の低下を招く。
本発明に用いるリン酸エステル化合物としては、上述のものの他に、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(2,3−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、リン酸エステル部位を含有するポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂またはエポキシ樹脂も当然含まれる。
[ホスファゼン化合物]
ホスファゼン化合物は、分子中に−P=N−結合を有する有機化合物であり、好ましくは、下記一般式(2)で表される環状ホスファゼン化合物、下記一般式(3)で表される鎖状ホスファゼン化合物、ならびに、下記一般式(2)及び下記一般式(3)からなる群より選択される少なくとも一種のホスファゼン化合物が架橋基によって架橋されてなる架橋ホスファゼン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である。
Figure 2014074094
式(2)中、aは3〜25の整数であり、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリロキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、アリール基又はアルキルアリール基を示す。
Figure 2014074094
式(3)中、bは3〜10000の整数であり、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリロキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、アリール基又はアルキルアリール基を示す。
は、−N=P(OR基、−N=P(OR基、−N=P(O)OR基、−N=P(O)OR基から選ばれる少なくとも1種を示し、R10は、−P(OR基、−P(OR基、−P(O)(OR基、−P(O)(OR基から選ばれる少なくとも1種を示す。
上記式(2)及び式(3)中、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等が挙げられるが、通常メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜4のアルキル基が特に好ましい。
シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数5〜14のシクロアルキル基が挙げられるが、中でも炭素数5〜8のシクロアルキル基が好ましい。
アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基等の炭素数2〜8のアルケニル基が挙げられ、シクロアルケニル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数5〜12のシクロアルケニル基が挙げられる。
アルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基等の炭素数2〜8のアルキニル基やエチニルベンゼン基等のアリール等も挙げられる。
上記アリール基としては、例えば、フェニル基、メチルフェニル(即ち、トリル)基、ジメチルフェニル(即ち、キシリル)基、トリメチルフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20のアリール基が挙げられるが、なかでも炭素数6〜10のアリール基が好ましく、フェニル基が特に好ましい。
アルキルアリール基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等の炭素数6〜20のアラルキル基が挙げられるが、なかでも炭素数7〜10のアラルキル基が好ましく、ベンジル基が特に好ましい。
なかでも、上記一般式(2)におけるR及びR、上記一般式(3)におけるR及びRが、アリール基、アリールアルキル基であるものが好ましい。このような芳香族ホスファゼンを用いることで、熱可塑性樹脂組成物の熱安定性を効果的に高めることができる。このような観点より、上記R、R、R及びRは、アリール基であることがより好ましく、フェニル基であることが特に好ましい。
一般式(2)及び(3)で表される環状及び/又は鎖状ホスファゼン化合物としては、例えば、フェノキシホスファゼン、o−トリルオキシホスファゼン、m−トリルオキシホスファゼン、p−トリルオキシホスファゼン等の(ポリ)トリルオキシホスファゼン、o,m−キシリルオキシホスファゼン、o,p−キシリルオキシホスファゼン、m,p−キシリルオキシホスファゼン等の(ポリ)キシリルオキシホスファゼン、o,m,p−トリメチルフェニルオキシホスファゼン、フェノキシo−トリルオキシホスファゼン、フェノキシm−トリルオキシホスファゼン、フェノキシp−トリルオキシホスファゼン等の(ポリ)フェノキシトリルオキシホスファゼン、フェノキシo,m−キシリルオキシホスファゼン、フェノキシo,p−キシリルオキシホスファゼン、フェノキシm,p−キシリルオキシホスファゼン等(ポリ)フェノキシトリルオキシキシリルオキシホスファゼン、フェノキシo,m,p−トリメチルフェニルオキシホスファゼン等が例示でき、好ましくは環状及び/又は鎖状フェノキシホスファゼン等である。
一般式(2)で表される環状ホスファゼン化合物としては、R及びRがフェニル基である環状フェノキシホスファゼンが特に好ましい。このような環状フェノキシホスファゼン化合物としては、例えば、塩化アンモニウムと五塩化リンとを120〜130℃の温度で反応させて得られる環状及び直鎖状のクロロホスファゼン混合物から、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン、オクタクロロシクロテトラホスファゼン、デカクロロシクロペンタホスファゼン等の環状のクロルホスファゼンを取り出した後にフェノキシ基で置換して得られる、フェノキシシクロトリホスファゼン、オクタフェノキシシクロテトラホスファゼン、デカフェノキシシクロペンタホスファゼン等の化合物が挙げられる。また、該環状フェノキシホスファゼン化合物は、一般式(2)中のaが3〜8の整数である化合物が好ましく、aの異なる化合物の混合物であってもよい。
上記aの平均は、3〜5であることが好ましく、3〜4であることがより好ましい。
また、なかでも、a=3のものが50質量%以上、a=4のものが10〜40質量%、a=5以上のものが合わせて30質量%以下である化合物の混合物が好ましい。
一般式(3)で表される鎖状ホスファゼン化合物としては、R及びRがフェニル基である鎖状フェノキシホスファゼンが特に好ましい。このような鎖状フェノキシホスファゼン化合物は、例えば、上記の方法で得られるヘキサクロロシクロトリホスファゼンを220〜250℃の温度で開還重合し、得られた重合度3〜10000の直鎖状ジクロロホスファゼンをフェノキシ基で置換することにより得られる化合物が挙げられる。該直鎖状フェノキシホスファゼン化合物の、一般式(3)中のbは、好ましくは3〜1000、より好ましくは3〜100、さらに好ましくは3〜25である。
架橋ホスファゼン化合物としては、例えば、4,4’−スルホニルジフェニレン(すなわち、ビスフェノールS残基)の架橋構造を有する化合物、2,2−(4,4’−ジフェニレン)イソプロピリデン基の架橋構造を有する化合物、4,4’−オキシジフェニレン基の架橋構造を有する化合物、4,4’−チオジフェニレン基の架橋構造を有する化合物等の、4,4’−ジフェニレン基の架橋構造を有する化合物等が挙げられる。
また、架橋ホスファゼン化合物としては、一般式(2)においてR、Rがフェニル基である環状フェノキシホスファゼン化合物が上記架橋基によって架橋されてなる架橋フェノキシホスファゼン化合物、又は、上記一般式(3)においてR、Rがフェニル基である鎖状フェノキシホスファゼン化合物が上記架橋基によって架橋されてなる架橋フェノキシホスファゼン化合物が難燃性の点から好ましく、環状フェノキシホスファゼン化合物が上記架橋基によって架橋されてなる架橋フェノキシホスファゼン化合物がより好ましい。
また、架橋フェノキシホスファゼン化合物中のフェニレン基の含有量は、一般式(2)で表される環状ホスファゼン化合物及び/又は一般式(3)で表される鎖状フェノキシホスファゼン化合物中の全フェニル基及びフェニレン基数を基準として、通常50〜99.9%、好ましくは70〜90%である。また、該架橋フェノキシホスファゼン化合物は、その分子内にフリーの水酸基を有しない化合物であることが特に好ましい。
本発明においては、ホスファゼン化合物は、上記一般式(2)で表される環状フェノキシホスファゼン化合物、及び、上記一般式(2)で表される環状フェノキシホスファゼン化合物が架橋基によって架橋されてなる架橋フェノキシホスファゼン化合物よる成る群から選択される少なくとも1種であることが、熱可塑性樹脂用の難燃剤として、またこれを配合した熱可塑性樹脂組成物の難燃性及び機械的特性の点から好ましい。
[リン系難燃剤の配合量]
本発明の製造方法において、リン系難燃剤の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは8質量部以上であり、好ましくは100質量部以下、より好ましくは25量部以下、さらに好ましくは20質量部以下である。リン系難燃剤の配合量が3質量部を下回る場合は、難燃性が不十分となり易く、30質量部を超えると著しい耐熱性の低下や、機械物性の低下を引き起こしやすい。
また、マスターバッチとして使用するための難燃剤マスターバッチを製造する場合の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、リン系難燃剤は好ましくは20質量部以上、より好ましくは30質量部以上であり、150質量部以下が好ましく、より好ましくは120質量部以下である。
[その他添加剤]
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物を製造する際には、さらにフルオロポリマーを配合することも好ましい。
フルオロポリマーを配合させることで、難燃性熱可塑性樹脂組成物を製造する際に、ストランド切れを起こすことなく、生産量を上げられ、飛躍的に生産性を向上させることができる。また、熱可塑性樹脂組成物の燃焼時のドリップ防止性能を向上させ、難燃性を向上させる効果もある。
フルオロポリマーとしては、例えば、フルオロオレフィン樹脂が挙げられる。フルオロオレフィン樹脂は、通常フルオロエチレン構造を含む重合体あるいは共重合体である。具体例としてはジフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合樹脂、テトラフルオロエチレン/パーフルアルキルビニルエーテル共重合樹脂等が挙げられる。なかでも好ましくはテトラフルオロエチレン樹脂等が挙げられる。このフルオロエチレン樹脂としては、フィブリル形成能を有するフルオロエチレン樹脂が挙げられる。
フルオロポリマーは、1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び任意の比率で併用してもよい。
フィブリル形成能を有するフルオロエチレン樹脂としては、例えば、三井・デュポンフロロケミカル社製「テフロン(登録商標)6J」、「テフロン(登録商標)640J」、ダイキン化学工業社製「ポリフロンF201L」、「ポリフロンF103」、「ポリフロンFA500B」、「ポリフロンFA500H」などが挙げられる。さらに、フルオロエチレン樹脂の水性分散液の市販品として、例えば、三井デュポンフロロケミカル社製「テフロン(登録商標)31−JR」、ダイキン化学工業社製「フルオンD−1」等が挙げられる。さらに、ビニル系単量体を重合してなる多層構造を有するフルオロエチレン重合体も使用することができ、このようなフルオロエチレン重合体としては、ポリスチレン−フルオロエチレン複合体、ポリスチレン−アクリロニトリル−フルオロエチレン複合体、ポリメタクリル酸メチル−フルオロエチレン複合体、ポリメタクリル酸ブチル−フルオロエチレン複合体等が挙げられ、具体例としては三菱レイヨン社製「メタブレンA−3800」、GEスペシャリティケミカル社製「ブレンデックス449」等が挙げられる。
フルオロポリマーの好ましい含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、0.005質量部以上であり、より好ましくは0.0075質量部以上、さらに好ましくは0.01質量部以上、特に好ましくは0.03質量部以上であり、また2質量部以下、より好ましくは1質量部以下、さらに好ましくは0.75質量部以下、特に好ましくは0.5質量部以下である。
また、その他の樹脂添加剤も配合することができ、このような樹脂添加剤としては、安定剤、酸化防止剤、離形剤、紫外線吸収剤、光安定剤、耐衝撃性改良剤、染顔料、帯電防止剤、防曇剤、滑剤・アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、防菌剤、蛍光増白剤が挙げられ、無機系樹脂添加剤としては、ガラス繊維、ガラスミルドファイバー、ガラスフレーク、ガラスビーズ、炭素繊維、シリカ、アルミナ、硫酸カルシウム粉体、石膏、石膏ウィスカー、硫酸バリウム、タルク、マイカ、珪酸カルシウム、カーボンブラック、グラファイト等の無機フィラーが挙げられる。これらは、一種または任意の割合で二種以上を併用してもよい。
本発明の製造方法によって得られた難燃性熱可塑性樹脂組成物は、任意の形状に成形して成形体として用いられる。あるいは、このものを難燃剤マスターバッチとして使用し、このマスターバッチを、他の、或いは残余の成分と混合し、溶融混練することによって得られた樹脂組成物を用いて成形体を製造することもできる。
成形体の形状、模様、色彩、寸法などに制限はなく、その成形体の用途に応じて任意に設定すればよい。
成形体の製造方法は、特に限定されず、熱可塑性樹脂一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法などが挙げられる。また、ホットランナー方式を使用した成形法を用いることも出来る。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
以下の実施例および比較例において、熱可塑性樹脂原料およびリン系難燃剤としては、以下のものを使用した。
・ポリカーボネート樹脂:
三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名「ユーピロンS3000F」
ビスフェノールAを出発原料とする芳香族ポリカーボネート樹脂
粘度平均分子量21000
・ホスファゼン系難燃剤:
伏見製薬社製、商品名「ラビトルFP−110」
フェノキシホスファゼン化合物
・フルオロポリマー:
ダイキン工業社製、商品名「FA500H」
ポリテトラフルオロエチレン
(実施例1)
上記ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、上記ホスファゼン系難燃剤を15質量部、フルオロポリマーを0.3質量部の比率で秤量した原料を、図1に示すような構成からなるスクリューベント式押出機の原料供給機1に入れ、定量フィーダー2にてホッパーのホッパーシュート4に供給した。
ホッパーシュート4の底部の供給口6には、ガス噴射口8が設けてあり、エアーを斜め上方から、2分間隔で5秒間、間欠的に吹き付けた。供給口6にはホスファゼン系難燃剤が付着しても固化することなく、ポリカーボネート樹脂とホスファゼン系難燃剤は、供給口6から順調に押出機5内に順次供給された。押出機のバレル設定温度270℃、スクリュー吐出量500kg/h、回転数400rpmで溶融混練し、押出ダイから押出し、冷却し裁断してポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
2時間供給し続けたが、押出機ホッパーシュート4下に位置する供給口6への付着物7は特に認められず、難燃性ポリカーボネート樹脂組成物の安定生産が可能であった。
得られたペレットを成形した成形品の難燃性(UL94V)を評価したところ、成形品の燃焼時間にはばらつきは見られず、均質で安定した難燃性を示した。
(比較例1)
ガス噴射口8からの吹付けを行わなかった他は、実施例1と同様の条件で製造を試みたが、押出機ホッパーシュート4下に位置する供給口6への付着物7が発生し、徐々に大きくなり、供給口6を閉塞する不具合や、ある程度大きくなった付着物7が一度にスクリューに落下し、スクリューへの供給量が安定せずストランドが脈動し、断線が発生する傾向であった。
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物の製造方法によれば、リン系難燃剤を含有し、均質で安定した難燃性を示す難燃性熱可塑性樹脂組成物を、簡単に生産性良く製造するので、産業上の利用性は非常に高い。
1:原料供給機
2:フィーダー
4:ホッパーシュート
5:押出機
6:供給口
8:ガス噴射口

Claims (6)

  1. 熱可塑性樹脂と融点が40〜200℃のリン系難燃剤とからなる熱可塑性樹脂組成物を押出機で溶融混練して製造する方法であって、前記リン系難燃剤を押出機内に供給する供給口またはその近傍にガスを間欠的に吹き付けることを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  2. ガスの吹き付けを、供給口に対して設けた2つ以上のガス噴射口から行うことを特徴とする請求項1に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  3. ガスが、空気、窒素ガス、二酸化炭素ガス及び水蒸気から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  4. リン系難燃剤が、リン酸エステル化合物またはホスファゼン化合物であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  5. ホスファゼン化合物が、フェノキシホスファゼン化合物であることを特徴とする請求項4に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  6. 熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート樹脂であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
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