JP2014073474A - 金属イオン含有水の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】有害あるいは有用な金属イオン含有水から、効率良く金属イオンを分離する方法を提供する。
【解決手段】槽内に磁性吸着剤を蓄えた反応槽に金属イオン含有水を投入して磁性吸着剤と接触させ、槽内の金属イオン含有水量が一定量を超えた後に、反応槽に投入した金属イオン含有水とほぼ同量を反応槽内から排出させると共に、排出水に含まれる磁性吸着剤を分離して反応槽へ戻すことを特徴とする、金属イオン含有水の処理方法。反応槽への金属イオン含有水の投入が連続的であると、好ましい。反応槽の底部から金属イオン含有水を投入すると、好ましい。金属イオンが放射性セシウムイオンであると、好ましい。
【選択図】図1
【解決手段】槽内に磁性吸着剤を蓄えた反応槽に金属イオン含有水を投入して磁性吸着剤と接触させ、槽内の金属イオン含有水量が一定量を超えた後に、反応槽に投入した金属イオン含有水とほぼ同量を反応槽内から排出させると共に、排出水に含まれる磁性吸着剤を分離して反応槽へ戻すことを特徴とする、金属イオン含有水の処理方法。反応槽への金属イオン含有水の投入が連続的であると、好ましい。反応槽の底部から金属イオン含有水を投入すると、好ましい。金属イオンが放射性セシウムイオンであると、好ましい。
【選択図】図1
Description
本発明は、金属イオン含有水から、効率良く金属イオンを分離する方法に関するものである。
重金属は、カドミウム、鉛、六価クロム、砒素、水銀等であり、土壌に吸着しやすく、分離しにくいといった特徴を有している。この重金属による土壌汚染は、人為的なものに限らず、自然由来の有害物質を原因とするものもある。このような汚染土壌を含む領域において、土木工事を行う場合、切削に用いた水(泥水)も重金属が溶出して汚染が拡大する恐れがあるため、適切に無害化する必要がある。また、2011年に起きた福島第一原子力発電所の事故においては、放射性セシウムが広範囲に飛散し、さまざまな物質に付着した放射性セシウムを分離する技術が必要となってきた。
一方で、希少金属(レアメタル)や希少希土類(レアアース)は、一般家電製品からコンピュータ周辺機器、電子機器、自動車、医療機器など幅広く使用されている。特に、Nd(ネオジム)やDy(ジスプロシウム)などの希土類は、発電機などのモーター、ハードディスク用のアクチュエーター、洗濯機のモーター・ローターなどに使われている。これら希少物質を利用するためには、希少物質を安定的に確保することが重要であり、資源の偏在性による社会的制約や需要増加による価格高騰などが要因となって、リサイクルに対する要求が高まっている。
重金属や放射性セシウム等の有害成分を含有する溶液からこれらを分離する、あるいは、レアメタルやレアアースといった希少有用成分を含有する溶液からこれらを分離するため、さまざまな手法が検討されてきた。最も簡便には、活性炭やイオン交換樹脂等の吸着剤を利用する方法が広く用いられている。これらの吸着剤を溶液に添加して使用する場合、吸着剤を処理済みの溶液から分離する必要があり、この作業には大きな困難を伴っていた。近年、超伝導磁石や高勾配磁気分離技術が進歩してきたため、磁性を利用して溶液中の有害成分を分離する技術の実用性が高まり、注目を集めるようになってきた。
具体的な手法としては、有害成分自体あるいは希少有用成分自体に磁性を持たせる方法、有害成分あるいは希少有用成分と磁性体粒子を混合しておいて凝集剤を加え、磁性のあるフロックを形成する方法、活性炭やゼオライトのような吸着剤に磁性を持たせる方法がある。
このうち、有害成分自体あるいは希少有用成分自体に磁性を持たせる方法は汎用性に欠ける。また磁性のあるフロックを形成する方法は、大量の磁性体粒子と凝集剤を必要とすることが多く、むしろ処理が煩雑になるという問題がある。一方、吸着剤に磁性を持たせる方法は、有害成分あるいは希少有用成分を効果的に吸着できるというメリットが期待できるものの、吸着剤本来の吸着能力を落とすことなく高い磁性を持たせ、安価に製造する実用的な方法がまだない。
例えば、磁性体の核とこの核を覆いかつ金属イオンを吸着する外皮とを有する磁性吸着剤が提案されている(特許文献1参照)。この吸着剤は、直径1〜10mmの球状磁性体に対して、金属イオン吸着基を持つ高分子化合物を吹き付け、乾燥させて合成されており、吹きつけにおける材料ロスが大きいため高価であり、実用性がない。別のタイプとして、直径1〜10mmの球状磁性体に対して、アルミノ珪酸塩の結晶としてゼオライトを生成させた吸着剤も示されているが、比表面積が極めて小さいため、吸着容量が低いという問題点がある。また、多孔質ガラスビーズ、シリカゲル、アルミナ、ゼオライト等の無機系多孔質物質に磁性金属と有機物質を担持させ、有機物を熱分解して吸着性能を発現させるタイプの磁性吸着剤が提案されている(特許文献2参照)。この吸着剤においては、担磁のために無機系多孔質物質を鉄系化合物の溶液に含浸させ、さらに熱処理を施している。操作が煩雑なため製造コストが高くつき、実用性がない。また鉄系化合物の吸着量には限界があるため、高い磁性を持たせることができない。さらに、シリカゲル、ゼオライト、活性炭等の多孔質吸着剤に酸化鉄を化合させる方法が提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、この方法の場合には磁性吸着剤の担持量が低く、磁気による分離を効率良く行うためには多量の酸化鉄を化合させる必要があるため、結果として吸着容量が著しく低下し、製造コストも高くなるという問題がある。ゼオライトと磁性体粒子を接着剤(セメント)で結合させた磁性吸着剤も提案されている(特許文献4、5参照)。接着剤にセメントを用いているため、強度を確保するために極めて長期にわたる蒸気乾燥が必要となり、製造上の問題が大きい。
このような問題を解決し、セシウム吸着量を上げ、磁気による分離効率を改善した方法として、磁性体粒子とセシウム吸着性化合物がバインダーを用いて結着されている磁性吸着剤を提唱した。
重金属を含有する汚染水を浄化する方法として、汚染水に鉄含有粒子を混合する工程、鉄含有粒子を汚染水から磁気により分離・回収する工程、分離された鉄含有粒子を再度汚染水に返送する工程、を含む処理方法が開示されている(特許文献6、7参照)。この方法によれば、反応槽中の汚染水に鉄含有粒子を混入し、攪拌機、水中ミキサーで混合して、重金属を鉄含有粒子に付着させている。その後、必要に応じて汚染水を凝集沈殿槽にて凝集沈殿処理し、さらに磁気分離装置に送り鉄含有粒子を分離する。この方法でも、重金属の分離を問題なく行うことができるが、汚染水と鉄含有粒子の混合工程がバッチ処理であり、作業効率が劣る問題があった。
本発明では、磁性吸着剤を用いて、有害あるいは有用な金属イオン含有水から効率良く金属イオンを分離する方法を提供する。
上記課題を鋭意研究し、槽内に磁性吸着剤を蓄えた反応槽に金属イオン含有水を投入して磁性吸着剤と接触させ、槽内の金属イオン含有水量が一定量を超えた後に、反応槽に投入した金属イオン含有水とほぼ同量を反応槽内から排出させると共に、排出水に含まれる磁性吸着剤を分離して反応槽へ戻すことにより、金属イオン含有水から金属イオンを効率良く分離できることを見いだして、本発明に到達した。
反応槽への金属イオン含有水の投入が連続的であると、好ましい。
反応槽の底部から金属イオン含有水を投入し、反応槽から排出した水に含まれる磁性吸着剤を分離して反応槽に戻すと、好ましい。
金属イオンが放射性セシウムイオンであると、好ましい。
本発明においては、槽内に磁性吸着剤を蓄えた反応槽に金属イオン含有水を投入して磁性吸着剤と接触させ、槽内の金属イオン含有水量が一定量を超えた後に、反応槽に投入した金属イオン含有水とほぼ同量を反応槽内から排出させると共に、排出水に含まれる磁性吸着剤を分離して反応槽へ戻すことにより、金属イオン含有水から金属イオンを効率良く分離することが可能となる。
以下に、本発明の金属イオン含有水の処理方法を詳細に説明する。
本発明の金属イオン含有水の処理方法は、槽内に磁性吸着剤を蓄えた反応槽に金属イオン含有水を投入して磁性吸着剤と接触させ、槽内の金属イオン含有水量が一定量を超えた後に、反応槽に投入した金属イオン含有水とほぼ同量を反応槽内から排出させると共に、排出水に含まれる磁性吸着剤を分離して反応槽へ戻すことを特徴とする。従来、金属イオン含有水と磁性吸着剤の混合工程がバッチ処理であり、金属イオン含有水の処理効率が劣る問題があった。具体的には、バッチ処理の場合、槽内に金属イオン含有水を貯めておき、そこへ磁性吸着剤を投入・撹拌する。一定時間撹拌後、磁気分離装置で磁性吸着剤を分離する。こうしたバッチ処理では、1回の処理に数時間かかり、各バッチ処理毎に、磁性吸着剤の投入・撹拌、磁気分離装置の稼働等の作業を行う必要があり、作業が繁雑となっていた。また、1日に処理できる金属イオン含有水の量も少なく、処理効率が悪いという問題があった。本発明の金属イオン含有水の処理方法は、磁性吸着剤を蓄えた反応槽に金属イオン含有水を投入しつつ、ほぼ同量を排出する連続処理であり、バッチ処理で生じていた煩雑な作業がなく、1日に処理できる金属イオン含有水の量も多く、処理効率が大幅に改善する。また、槽からの排出水に含まれる磁性吸着剤を分離して槽に戻すことで、磁性吸着剤を繰り返し再使用することができるので、1回の使用で磁性吸着剤を廃棄してしまう場合に比べ、処理費用の低減を図ることが可能となる。磁性吸着剤は、金属イオン吸着能が飽和に達するまで、繰り返し使用することができる。基本的には、磁性吸着剤の吸着能が飽和に達するまで、金属イオン含有水を連続処理することが可能である。
本発明の金属イオン含有水の処理方法は、槽内に磁性吸着剤を蓄えた反応槽に金属イオン含有水を投入して磁性吸着剤と接触させ、槽内の金属イオン含有水量が一定量を超えた後に、反応槽に投入した金属イオン含有水とほぼ同量を反応槽内から排出させると共に、排出水に含まれる磁性吸着剤を分離して反応槽へ戻すことを特徴とする。従来、金属イオン含有水と磁性吸着剤の混合工程がバッチ処理であり、金属イオン含有水の処理効率が劣る問題があった。具体的には、バッチ処理の場合、槽内に金属イオン含有水を貯めておき、そこへ磁性吸着剤を投入・撹拌する。一定時間撹拌後、磁気分離装置で磁性吸着剤を分離する。こうしたバッチ処理では、1回の処理に数時間かかり、各バッチ処理毎に、磁性吸着剤の投入・撹拌、磁気分離装置の稼働等の作業を行う必要があり、作業が繁雑となっていた。また、1日に処理できる金属イオン含有水の量も少なく、処理効率が悪いという問題があった。本発明の金属イオン含有水の処理方法は、磁性吸着剤を蓄えた反応槽に金属イオン含有水を投入しつつ、ほぼ同量を排出する連続処理であり、バッチ処理で生じていた煩雑な作業がなく、1日に処理できる金属イオン含有水の量も多く、処理効率が大幅に改善する。また、槽からの排出水に含まれる磁性吸着剤を分離して槽に戻すことで、磁性吸着剤を繰り返し再使用することができるので、1回の使用で磁性吸着剤を廃棄してしまう場合に比べ、処理費用の低減を図ることが可能となる。磁性吸着剤は、金属イオン吸着能が飽和に達するまで、繰り返し使用することができる。基本的には、磁性吸着剤の吸着能が飽和に達するまで、金属イオン含有水を連続処理することが可能である。
本発明において、反応槽への金属イオン含有水の投入は、連続的であっても間欠的であってもよいが、連続的であると、煩雑な作業がなく、金属イオン含有水の処理効率も良化するため、好ましい。
本発明においては、まず、磁性吸着剤を蓄えた反応槽に金属イオン含有水を投入し、一定量の金属イオン含有水を反応槽に貯蔵する。この方法としては特に限定されず、反応槽に一定量の金属イオン含有水を貯蔵した後、撹拌しながら磁性吸着剤を投入する方法、反応槽に磁性吸着剤を投入後、一定量の金属イオン含有水を投入中あるいは投入後に撹拌する方法等を採用することができる。磁性吸着剤の破損が少なく、長時間使用できる点で、前者の方法が好ましい。
本発明において、反応槽に金属イオン含有水を投入する位置、方法、および反応槽から処理水を排出させる位置、方法は特に限定されず、任意の位置、方法を採ることができる。反応槽中の撹拌機の羽根や水中ミキサー等の撹拌手段は、撹拌効率を考慮して槽内の下〜中部に設置されることが多い。金属イオン含有水を投入する位置が反応槽の底部である場合、金属イオン含有水は下〜中部から上部に向けた水流を受けやすく、金属イオン含有水が反応槽内に滞留する時間が長くなり、磁性吸着剤との接触機会が増えて、磁性吸着剤への金属イオンの吸着を効率的に行うことができ、好ましい。この場合、処理水の排出を槽の上部から行うと、反応槽内の金属イオン含有水の滞留時間をいっそう長くすることができるため、特に好ましい。反応槽に金属イオン含有水を投入する方法、反応槽から処理水を排出させる方法としては、例えば、ポンプを使用する方法、位置エネルギーの差を利用して自然落下させる方法等が挙げられる。
図1は本発明の一実施形態に係わる金属イオン含有水の処理システムの概要を示す図である。図1は、反応槽2、磁気分離装置3、気液分離器4、処理水槽5とを備えている。
反応槽2において、金属イオン含有水と磁性吸着剤を混合し、磁性吸着剤に金属イオンを吸着させる。反応槽2は、磁性吸着剤投入器10、攪拌機11、水中ミキサー12、汲み上げポンプ13とを備えている。反応槽2には、図示しない原水タンクに接続された搬送ラインL1が延設されており、その原水タンクから金属イオン含有水が搬送される。反応槽2に貯められた金属イオン含有水は、搬送ラインL2を介してオーバーフローさせ、磁気分離装置3に送られる。
金属イオンの由来が汚泥、土壌、焼却灰等の固形物の場合、まず、水中にこれら固形物を投入・攪拌し、水中に金属イオンを溶出させ、金属イオン含有水を作製する。本発明においては、この懸濁状態の金属イオン含有水を、槽に蓄えられた磁性吸着剤に連続的に投入し、槽からオーバーフローした水に含まれる磁性吸着剤を分離して槽へ戻すことにより、金属イオン含有水から金属イオンを効率良く分離できる。懸濁状態の金属イオン含有水に含まれる固形物を固液分離装置にて予め除いておくことは、金属イオンの分離効率が上げられるため好ましい。固液分離装置としては、例えば、凝集剤の添加により固形物を凝集沈殿させる凝集沈殿槽、スクリュープレス、フィルタープレス、ローラープレス、真空脱水機、遠心濃縮脱水機、ベルトプレス、ベルトスクリーン、振動ふるい、多重板波動フィルター、多重円板脱水機等の脱水装置等が挙げられる。
磁性吸着剤投入器10は、処理開始時に反応槽2に磁性吸着剤を投入するものである。磁性吸着剤投入器10からは、未使用の磁性吸着剤が投入される。反応槽2内への磁性吸着剤の添加量に制限はなく、金属イオンが目的とするレベルまで分離される添加量を、金属イオンの濃度に応じて実験的に定めればよい。具体的には、吸着剤の金属イオン総吸着容量が、金属イオン含有水内に存在する金属イオン量の2〜100倍となるように加えることが好ましい。
本発明において、図1に示すように、磁性吸着剤を蓄えた反応槽2の底部から搬送ラインL1を介して金属イオン含有水を投入し、金属イオン含有水をオーバーフローさせると、金属イオン含有水が反応槽内に滞留する時間が長くなり、磁性吸着剤との接触機会が増えて、磁性吸着剤への金属イオンの吸着を効率的に行うことができ、好ましい。金属イオン含有水を反応槽2からオーバーフローさせる場合、反応槽2内に金属イオン含有水を投入する速度は特に制限されないが、金属イオン含有水が反応槽2内に10分〜2時間滞留するように設定するのが好ましい。反応槽内の滞留時間が10分より短いと、磁性吸着剤と金属イオン含有水の接触機会が減るため、金属イオンの吸着が不十分となることがある。2時間より長く接触させても、金属イオンの吸着がすでに平衡に達しており、作業効率が低下しやすい。
反応槽2は、攪拌機11、水中ミキサー12を備えている。攪拌機11は、モーターに回転軸が連結されており、回転軸の先端には回転羽が設けられている。水中ミキサー12は、反応槽2の底部に設けられており、吸入した金属イオン含有水を噴射して水圧により金属イオン含有水反応槽2内の金属イオン含有水を流動させるためのものである。反応槽2内の金属イオン含有水の水位が一定以上となったところで、攪拌機11、水中ミキサー12等で、金属イオン含有水と磁性吸着剤を攪拌することが、磁性吸着剤への金属イオンの吸着を効率的に行える点で好ましい。
汲み上げポンプ13は、反応槽2中の金属イオン含有水を汲み上げるポンプである。金属イオン含有水を投入する作業を停止する際に反応槽2中に残った金属イオン含有水は、汲み上げポンプ13により、搬送ラインL3を介して、磁気分離装置3へ送られる。
搬送ラインL2、L3を介して磁気分離装置3に搬送された磁性吸着剤を含む金属イオン含有水は、磁気分離装置3によって磁性吸着剤と処理水とに分けられる。金属イオンを吸着した磁性吸着剤は、永久磁石、電磁石、超電導磁石によって短時間に集磁・分離される。磁気分離装置としては、例えば特開2010−36113号公報に開示される装置が挙げられるが、これに限定されず、特に制限はない。
気液分離器4は、磁気分離装置3によって分離された磁性吸着剤と共に吸引される空気を分離し、磁性吸着剤を分離する装置である。気液分離器には、図示しないブロアが接続されており、搬送ラインL5を介して磁性吸着剤が搬送される。気液分離器4によって分離された磁性吸着剤は、再度反応槽2に返送され、金属イオンの吸着に再利用される。
処理水槽5は、磁気分離装置3によって磁性吸着剤が分離された後の処理水を貯留する槽である。処理水は搬送ラインL4を介して、処理水槽5に搬送される。処理水は、金属イオンが所定濃度以下であることを確認した後、凝集沈殿処理、砂ろ過、膜ろ過等の処理が実施された後、下水や公共水域に放流される。
本発明の金属イオン含有水の処理方法は、金属イオンが放射性セシウムイオンである場合にも好適に使用することができる。
本発明に係わる磁性吸着剤は、少なくとも磁性体粒子を含有する。磁性体粒子としては特に制限はなく、磁性を示すあらゆる材料を用いることができる。例えば鉄、ニッケル、コバルト等の金属またはこれらを主成分とする磁性合金の粉末、四三酸化鉄、三二酸化鉄、コバルト添加酸化鉄、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等の金属酸化物系磁性体の粉末が挙げられる。磁性体粒子の粒径は0.1〜100μmが好ましい。0.1μm未満では、取り扱いに困難が生じることがあり、100μmを超えると、金属イオンの吸着性が低下しやすい。
本発明に係る磁性吸着剤は、捕捉する金属イオンの種類に合わせて、各種金属イオン吸着性化合物を磁性体粒子にバインダーによって結着させたものを使用することもできる。例えば金属イオンがカドミウム、鉛、六価クロム、砒素、水銀等の場合は、吸着性化合物として酸化ジルコニウム、酸化セリウム、活性炭等を挙げることができる。また金属イオンが希少金属(レアメタル)や希少希土類(レアアース)の場合には、吸着性化合物としてイミノジ酢酸、ジグリコールアミド、ピリジンアミド等の誘導体をシリカゲルや樹脂球に固定化したものを挙げることができる。さらに、金属イオンがセシウムである場合、吸着性化合物としては、ゼオライト、結晶質四チタン酸、スメクタイト、水不溶性フェロシアン化物、リンモリブデン酸アンモニウム、リンタングステン酸アンモニウム、シリコチタネート等を挙げることができる。これらの中で、セシウムの吸着性の点で、ゼオライト、水不溶性フェロシアン化物が好ましく使用される。金属イオン吸着性化合物を粉体として入手し、磁性体粒子およびバインダーと結着させて磁性吸着剤を得る場合、金属イオン吸着性化合物の粒径は0.1〜100μmが好ましい。0.1μm未満では、取り扱いに困難が生じることがあり、100μmを超えると、磁性体粒子との混合がスムースに進まない場合がある。
磁性吸着剤が、磁性吸着剤と金属イオン吸着性化合物をバインダーによって結着させたものである場合、磁性吸着剤におけるこれら磁性体粒子の含有率は10〜70質量%が好ましく、特に20〜60質量%が好ましい。磁性体粒子の含有率が10質量%を下回ると、磁気分離の効率が低下しやすく、70質量%を上回ると、金属イオン吸着性化合物の含有率が低くなり、金属イオンの吸着性が低下しやすい。また、磁性吸着剤における金属イオン吸着性化合物の含有率は10〜70質量%が好ましく、特に20〜60質量%が好ましい。金属イオン吸着性化合物の含有率が10質量%を下回ると金属イオンの吸着効率が低下しやすく、70質量%を上回ると、磁性体粒子の含有率が低くなり磁気分離の効率が低下しやすい。
本発明に係る磁性吸着剤において、磁性体粒子と金属イオン吸着性化合物とを結着させるバインダーの種類に特に制限はなく、造粒、成形分野において従来公知のバインダーを用いることができる。具体的には、例えばセメント、石膏、水ガラス、アルミナ、シリカ、合成または天然粘土等の無機系バインダーや、デンプン類、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース系樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ラテックス類等の有機系バインダーを挙げることができる。これらバインダーの中で、磁性体粒子と金属イオン吸着性化合物の双方に親和性を持ち、安定な磁性吸着剤を形成できる点から、有機系バインダーである水溶性樹脂または水性樹脂エマルジョンが好ましい。
水溶性樹脂の例としてはデンプン類(デンプン、カチオン性デンプン、両性デンプン、酸化デンプン、リン酸エステル化デンプン等のエステル化デンプン、エーテル化デンプン等)、ゼラチン、キトサン類、ポリビニルアルコール系樹脂(ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール等)、セルロース系樹脂(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)、ポリアクリル酸系樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等が挙げられる。また、水性樹脂エマルジョンの例としては、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ラテックス類(ポリ(スチレン/ブタジエン)樹脂、ポリ(アクリロニトリル/ブタジエン)樹脂)、ポリ(エチレン/酢酸ビニル)樹脂等の非水溶性樹脂を水中に分散させたものが挙げられる。
本発明に係る磁性吸着剤におけるバインダーの含有率は5〜50質量%が好ましく、特に10〜30質量%となるようにするのが好ましい。磁性吸着剤中のバインダーの含有率が5質量%を下回ると磁性吸着剤の物理的強度が低下して、磁性吸着剤が分解しやすくなる。また、バインダーの含有率が50質量%を上回ると、金属イオンの吸着効率が低下しやすくなる。水溶性樹脂には耐水化処理を施すことが好ましい。耐水化処理法としては特に制限はなく、各種アルデヒド化合物、メチロール化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物による架橋反応等を利用することができる。
本発明に係る磁性吸着剤の製造方法としては、磁性体粒子と金属イオン吸着性化合物とをバインダーと共に混合、乾燥、粉砕する方法がある。別の方法として磁性体粒子とセシウム吸着性化合物とをモノマーとともに塊状重合させ、乾燥、粉砕する方法もあるが、製造工程の制御のしやすさやコストの点から、前者の方法が有利である。各工程において用いられる装置について、特に制限はない。乾燥後の磁性吸着剤は、機械的に粉砕する等により適宜粒子径を調整される。磁性吸着剤の粒子径は20mm以下が、セシウム溶出液への投入、攪拌、分離等の作業性の点で、好ましい。より好ましくは0.5〜10mm、特に好ましくは1〜7mmである。
金属イオンがセシウムイオンである場合、磁性吸着剤としては、磁性吸着剤の安定性、セシウム吸着性の点で、磁性体粒子とゼオライトを水性樹脂エマルジョンまたは耐水化された水溶性樹脂を用いて結着したもの、磁性体粒子と水不溶性フェロシアン化物を水性樹脂エマルジョンまたは耐水化された水溶性樹脂を用いて結着したものが好ましい。
セシウム吸着性化合物として水不溶性フェロシアン化物を用いる場合には、上述したように予め合成しておいた水不溶性フェロシアン化物を、磁性体粒子およびバインダーとともに混合、乾燥、粉砕することにより磁性吸着剤を得ることもできるが、水不溶性フェロシアン化物をバインダーの存在下に合成し、次いで磁性体粒子と混合、乾燥、粉砕する方法を取ることもできる。後者の方法は、水不溶性フェロシアン化物が微粒子の状態で安定に存在し、その比表面積が大きくなることから高いセシウム吸着能が発現するので有利である。水溶性樹脂の存在下に水不溶性フェロシアン化物を合成するには、水溶性樹脂の溶液に可溶性フェロシアン化物を溶かしておき、攪拌しつつここへ遷移金属イオン溶液を添加するか、あるいは逆に、水溶性樹脂の溶液に遷移金属イオンを溶かしておき、攪拌しつつここへ可溶性フェロシアン化物溶液を添加すればよい。水溶性樹脂の溶液に遷移金属イオンを溶かすと、ゲル状物が分離することがあるので、前者の合成法が好ましい。
1:金属イオン含有水の処理システム
2:反応槽(混合装置)
3:磁気分離装置
4:気液分離器
5:処理水槽
10:磁性吸着剤投入器
11:攪拌機
12:水中ミキサー
13、14:汲み上げポンプ
2:反応槽(混合装置)
3:磁気分離装置
4:気液分離器
5:処理水槽
10:磁性吸着剤投入器
11:攪拌機
12:水中ミキサー
13、14:汲み上げポンプ
本発明によれば、反応槽に蓄えられた磁性吸着剤に金属イオン含有水を連続的に投入し、反応槽からオーバーフローした水に含まれる磁性吸着剤を分離して反応槽へ戻すことにより、金属イオン含有水から、効率良く金属イオンを分離することができる。本発明は、有害な金属イオン、有用な金属イオンの分離、回収に利用でき、特に放射性セシウムで汚染された水、さらには汚泥、土壌、焼却灰の除染に有効であると考えられる。
Claims (4)
- 槽内に磁性吸着剤を蓄えた反応槽に金属イオン含有水を投入して磁性吸着剤と接触させ、槽内の金属イオン含有水量が一定量を超えた後に、反応槽に投入した金属イオン含有水とほぼ同量を反応槽内から排出させると共に、排出水に含まれる磁性吸着剤を分離して反応槽へ戻すことを特徴とする、金属イオン含有水の処理方法。
- 反応槽への金属イオン含有水の投入が連続的である、請求項1記載の金属イオン含有水の処理方法。
- 反応槽の底部から金属イオン含有水を投入し、反応槽から排出した水に含まれる磁性吸着剤を分離して反応槽に戻す、請求項1または2記載の金属イオン含有水の処理方法。
- 金属イオンが放射性セシウムイオンである、請求項1〜3のいずれか記載の金属イオン含有水の処理方法。
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