JP2014071970A - 磁性材被覆導体及びその製造方法、並びに磁性材被覆電線 - Google Patents

磁性材被覆導体及びその製造方法、並びに磁性材被覆電線 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、近接効果のさらなる抑制を実現可能であり、簡便に磁性層を形成可能な磁性材被覆導体及びその製造方法、並びに磁性材被覆電線を提供することを課題とする。
【解決手段】長尺状の導体14と、中間層15を介して、導体14を覆う磁性層16と、を有する磁性材被覆導体11であって、磁性層16は、樹脂よりなる絶縁体19の中に、一軸磁気異方性を有する複数の磁性体18の磁化容易方向が導体14の周方向Dと略同一となるように、複数の磁性体18を配置する。
【選択図】図1

Description

本発明は、各種電子機器部品のコイル用線材やフラットケーブル等の信号ケーブル用線材として利用可能な磁性材被覆導体及びその製造方法、並びに磁性材被覆電線に関する。
図9は、高周波の交流電流を巻線に流した際に発生する近接効果を説明するための模式的な断面図である。図9では、巻線201の一部を構成する導体202の横断面のみを図示する。
図9に示すように、巻線201に周波数の高い交流電流を流すと、導体202の周囲に配置された導体(図示せず)から発生した磁界Xが導体202内に侵入して渦電流Yが発生する。この現象を近接効果という。
上記近接効果が発生すると、渦電流Yの影響により巻線201の交流抵抗値が上昇してしまう。
図10は、近接効果の発生を抑制可能な従来の磁性導体の断面図である。図10において、図9と同一構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
上記近接効果を抑制可能な磁性導体として、例えば、図10に示す構造とされた磁性導体205が提案されている。磁性導体205は、導体201と、導体201の外周面201aを覆う磁性層204と、を有する。
このような構成とされた磁性導体205を巻回し、巻回した磁性導体205に周波数の高い交流電流を流すと、透磁率の高い磁性層204を通過しようとする磁界X1(X)成分が増え、導体201内に侵入する磁界X2(X)成分は減少する傾向となる。これにより、導体201内に発生する渦電流Yが減少するため、磁性導体205の交流抵抗値を低くすることができる。
特許文献1には、2層構造とされた磁性層を有する平角強磁性体が開示されている。また、特許文献1には、銅線に圧延加工を施して平角銅導体を形成し、次いで、平角銅導体を焼鈍して応力歪を除去し、その後、電解脱脂し、次いで、平角銅導体に鉄の電気めっきを行って鉄電析膜(磁性層)を形成し、その後、ニッケルの電気めっきを行ってニッケル電析膜(磁性層)を形成する技術が開示されている。
しかしながら、特許文献1では、めっき法により磁性層を形成していた。このため、めっき槽に長さの長い導体を配置することが困難であった。また、めっき膜は、膜の成長速度が遅いため、磁性層の生産性が低下してしまう。
また、近接効果を抑制する観点から、磁性層の材料としては、できるだけ透磁率の高い材料を用いることが好ましいが、めっき法を用いて磁性層を形成する場合、磁性層の材料がめっきしやすい材料に限定されてしまうという。
このため、めっき法に適さない軟磁性材料を用いて磁性層を構成することが困難なため、近接効果のさらなる抑制を実現することが困難であった。
特開2004−111072号公報
本発明は、近接効果のさらなる抑制を実現可能であり、簡便に磁性層を形成可能な磁性材被覆導体及びその製造方法、並びに磁性材被覆電線を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明によれば、長尺状の導体と、前記導体を覆う磁性層と、を有する磁性材被覆導体であって、前記磁性層は、樹脂よりなる絶縁体と、該絶縁体の中に配置された一軸磁気異方性を有する複数の磁性体と、を含み、前記複数の磁性体の磁化容易方向が、前記導体の周方向と略同一であることを特徴とする磁性材被覆導体が提供される。
このように、一軸磁気異方性を有する複数の磁性体の磁化容易方向と導体の周方向とを略同一にすることより、磁性材被覆導体を巻線として利用し、かつ該巻線に周波数の高い交流電流を流した際、該導体の周囲に位置する導体から発生する磁界が、導体の外側に配置された磁性層を通過しやすくなる(言い換えれば、導体内を通過しにくくなる)。これにより、近接効果が抑制されるため、磁性材被覆導体の交流抵抗値を小さくすることができる。
また、樹脂よりなる絶縁体と、絶縁体の中に配置された一軸磁気異方性を有する複数の磁性体と、を含む磁性層を用いることで、めっき法を用いることなく、簡便に磁性層を形成することが可能となる。
さらに、磁性層の形成方法としてめっき法を用いないことにより、めっき法に適さない軟磁性材料を複数の磁性体の材料として使用することが可能となる。これにより、磁性層の透磁率を高めることが可能となるので、近接効果のさらなる抑制を実現できる。
また、請求項2に係る発明によれば、前記導体と前記磁性層との間に、中間層を配置したことを特徴とする請求項1記載の磁性材被覆導体が提供される。
このように、導体と磁性層との間に、中間層を配置することにより、導体と磁性層との間の密着性を向上させることができる。
また、請求項3に係る発明によれば、前記複数の磁性体が、前記磁性層の厚さ方向に積層されて成ることを特徴とする請求項1または2記載の磁性材被覆導体が提供される。
このように、磁性層の厚さ方向に複数の磁性体を積層配置させることにより、磁性層における磁性体の充填率が高くなるため、磁性層の透磁率を高めることが可能となる。
これにより、磁性材被覆導体を巻線として利用し、かつ該巻線に周波数の高い交流電流を流した際、導体の周囲に配置された導体から発生する磁界が、導体の外側に配置された磁性層をさらに通過しやすくなるため、近接効果をさらに抑制できる。
また、請求項4に係る発明によれば、前記複数の磁性体が、前記磁性層の厚さ方向において、少なくとも一部が重なるように配置されていることを特徴とする請求項3記載の磁性材被覆導体が提供される。
このように、磁性層の厚さ方向において、少なくとも一部が重なるように複数の磁性体を配置することにより、磁性層における磁性体の充填率をさらに高くすることが可能となる。これにより、磁性層の透磁率をさらに高めることができる。
また、請求項5に係る発明によれば、前記複数の磁性体の形状が、針状であることを特徴とする請求項1ないし4のうち、いずれか1項記載の磁性材被覆導体が提供される。
このように、複数の磁性体の形状を針状とすることにより、磁性層における磁性体の充填率をさらに高めることが可能となるため、磁性層の透磁率をさらに高めることができる。
また、請求項6に係る発明によれば、前記磁性層の比透磁率が10以上であることを特徴とする請求項1ないし5のうち、いずれか1項記載の磁性材被覆導体が提供される。
このように、磁性層の比透磁率を10以上にすることで、磁性層の透磁率をさらに高めることができる。
また、請求項7に係る発明によれば、前記磁性体の材料が、軟磁性材料であることを特徴とする請求項1ないし6のうち、いずれか1項記載の磁性材被覆導体が提供される。
このように、磁性体の材料として、軟磁性材料を用いることで、磁性層の透磁率をさらに高めることができる。
また、請求項8に係る発明によれば、請求項1ないし7のうち、いずれか1項記載の磁性材被覆導体と、前記磁性材被覆導体の外周面を覆う保護層と、を有することを特徴とする磁性材被覆電線が提供される。
このように、請求項1ないし7のうち、いずれか1項記載の磁性材被覆導体を有することにより、簡便に磁性層を形成可能であり、近接効果のさらなる抑制を実現できる。
また、請求項8に係る発明によれば、長尺状の導体の外周面を覆うように、一軸磁気異方性を有する複数の磁性体、及び樹脂よりなる絶縁体を含み、かつ磁性層の母材となる混合物を塗布する工程と、前記混合物を塗布後、前記導体に対して該導体の延在方向に電流を流す工程と、を有することを特徴とする磁性材被覆導体の製造方法が提供される。
このように、長尺状の導体の外周面を覆うように、一軸磁気異方性を有する複数の磁性体、及び樹脂よりなる絶縁体を含み、かつ磁性層の母材となる混合物を塗布することで、磁性体の厚さ方向に複数の磁性体を積層させることが可能となる。
また、混合物を塗布後、導体に対して導体の延在方向に電流を流すことにより、右ねじの法則に基づいた磁界が導体の周囲に発生するため、一軸磁気異方性を有する複数の磁性体の磁化容易方向を導体の周方向と略同一にすることが可能となる。
これにより、磁性材被覆導体を巻線として利用し、かつ該巻線に周波数の高い交流電流を流した際、導体の周囲に配置された導体から発生する磁界が、導体の外側に配置された磁性層を通過しやすくなり(言い換えれば、導体内を通過しにくくなり)、近接効果が抑制されるため、磁性材被覆導体の交流抵抗値を小さくすることができる。
また、めっき法を用いる必要がなくなるため、簡便な方法で容易に磁性層を形成できる。
さらに、めっき法に適さない軟磁性材料を複数の磁性体の材料として使用することが可能となる。これにより、磁性層の透磁率を高めることが可能となるので、近接効果のさらなる抑制を実現できる。
本発明の磁性材被覆導体によれば、簡便に磁性層を形成可能であり、近接効果のさらなる抑制を実現できる。
図1(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る磁性材被覆電線の断面図である。図1(b)は、図1(a)に示す領域Aで囲まれた磁性材被覆電線を拡大した断面図である。図1(c)は、図1(a)に示す磁性材被覆導体の斜視図である。図1(d)は、図1(d)に示す領域Bで囲まれた磁性層の透過図である。 本発明の第1の実施の形態の変形例に係る磁性材被覆電線の断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る磁性材被覆導体の製造工程を示す断面図(その1)である。図3(a)は、本発明の第1の実施の形態の製造途中の磁性材被覆導体の断面図である。図3(b)は、図3(a)に示す領域Aで囲まれた製造途中の磁性材被覆導体を拡大した断面図である。図3(c)は、図3(a)に示す製造途中の磁性材被覆導体の斜視図である。図3(d)は、図3(d)に示す領域Bで囲まれた磁性層の透過図である。 本発明の第1の実施の形態に係る磁性材被覆導体の製造工程を示す断面図(その2)である。 図5(a)は、本発明の第2の実施の形態の磁性材被覆電線の断面図である。図5(b)は、図5(a)に示す領域Gで囲まれた磁性材被覆電線を拡大した断面図である。図5(c)は、図5(a)に示す領域Hで囲まれた磁性材被覆電線を拡大した断面図である。 図6(a)は、図5(a)に示す磁性材被覆導体の斜視図である。図6(b)は、図6(a)に示す領域Jで囲まれた磁性層の透過図である。図6(c)は、図6(a)に示す領域Kで囲まれた磁性層の透過図である。 本発明の第2の実施の形態に係る磁性材被覆導体の製造工程を示す図(その1)である。図7(a)は、導体に中間層及び混合物が形成された構造体の斜視図であり、図7(b)は、図7(a)に示す領域Jで囲まれた混合物の透過図であり、図7(c)は、図7(a)に示す領域Kで囲まれた混合物の透過図である。 本発明の第2の実施の形態に係る磁性材被覆導体の製造工程を示す図(その2)である。図8(a)は、磁性材被覆導体の断面図であり、図8(b)は、図8(a)に示す領域Gで囲まれた磁性材被覆導体を拡大した断面図であり、図8(c)は、図8(a)に示す領域Hで囲まれた磁性材被覆導体を拡大した断面図である。 高周波の交流電流を巻線に流した際に発生する近接効果を説明するための模式的な断面図である。 近接効果の発生を抑制可能な従来の磁性導体の断面図である。
以下、図面を参照して本発明を適用した実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の実施形態の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際の磁性材被覆導体及び磁性材被覆電線の寸法関係とは異なる場合がある。
(第1の実施の形態)
図1(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る磁性材被覆電線の断面図である。図1(b)は、図1(a)に示す領域Aで囲まれた磁性材被覆電線を拡大した断面図である。図1(c)は、図1(a)に示す磁性材被覆導体の斜視図である。図1(d)は、図1(d)に示す領域Bで囲まれた磁性層の透過図である。
なお、図1(c)に示すCは、導体14の延在方向(以下、「C方向」という)を示している。また、図1(b)及び図1(d)に示すDは、導体14の外周面14aの周方向(以下、「周方向D」という)を示している。
図1(a)及び図1(b)を参照するに、第1の実施の形態の磁性材被覆電線10は、磁性材被覆導体11と、保護層12と、を有する。磁性材被覆導体11は、導体14と、中間層15と、磁性層16と、を有する。
図1(c)を参照するに、導体14は、切断面が円形とされた長尺形状とされており、C方向に延在している。導体14としては、例えば、導線を用いることができる。導体14の材料としては、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等を用いることができる。
導体14の直径は、特に限定されないが、例えば、0.05〜10mmの範囲内で適宜設定することができる。
図1(a)及び図1(b)を参照するに、中間層15は、導体14の外周面14aを覆うように配置されている。中間層15は、導体14と磁性層16との間に配置されており、磁性層16と接触している。
中間層15は、絶縁性を有する層であり、導体14及び磁性層16を構成する絶縁体19との密着性が良好であることが好ましい。中間層15としては、例えば、絶縁層等を用いることができる。中間層15となる絶縁層としては、例えば、樹脂層を用いることができる。
例えば、磁性層16を構成する絶縁体19としてエナメル樹脂を用いる場合、中間層15としては、エナメル樹脂層を用いることができる。
中間層15の厚さは、例えば、1〜100μmの範囲内で適宜選択することができる。
このように、導体14と磁性層16との間に、中間層15を設けることにより、導体14と磁性層16とを離間させて配置することが可能になると共に、中間層15が密着層として機能するため、磁性層16を剥がれにくくすることができる。
図1(a)〜図1(b)を参照するに、磁性層16は、中間層15の外周面15aを覆うように配置されている。磁性層16は、樹脂よりなる絶縁体19と、絶縁体19の中に配置された一軸磁気異方性を有する複数の磁性体18と、を含んだ構成とされている。
このように、絶縁体19に一軸磁気異方性を有する複数の磁性体18が含まれた磁性層16を用いることで、めっき法を用いることなく、簡便な方法を用いて磁性層16を形成することが可能となる。
さらに、磁性層16の形成方法としてめっき法を用いないことにより、めっき法に適さない軟磁性材料(例えば、センダストやフェライト等)を複数の磁性体18の材料として使用することが可能となる。これにより、磁性層16の透磁率をさらに高めることができる。
複数の磁性体18の形状は、針状とされており、磁性体18の長手方向が磁化容易方向と一致している。針状とされた磁性体18の大きさは、例えば、直径を10nm、長さを100nm程度とすることができる。
なお、図1(b)及び図1(d)では、針状とされた磁性体18を例に挙げて図示したが、磁性体18は、一軸磁気異方性を有する磁性体であればよく、磁性体18の形状は、針状に限定されない。
複数の磁性体18は、複数の磁性体18の磁化容易方向が導体14の外周面14aの周方向Dと略同一となるように配置されている。
このように、一軸磁気異方性を有する複数の磁性体18の磁化容易方向が導体14の周方向Dと略同一であることにより、磁性材被覆導体11を巻線として利用し、かつ該巻線に周波数の高い交流電流を流した際、導体14の周囲に位置する導体(図示せず)から発生する磁界が、導体14の外側に配置された磁性層16を通過しやすくなる(言い換えれば、導体14内を通過しにくくなる)。これにより、近接効果が抑制されるため、磁性材被覆導体11の交流抵抗値を小さくすることができる。
なお、複数の磁性体18の磁化容易方向と導体14の周方向Dとが完全に同一であることが好ましいが、必ずしも完全に同一である必要はなく、図1(b)及び図1(d)に示すように、複数の磁性体18の磁化容易方向と導体14の周方向Dとが略同一であればよい。言い換えれば、導体14の周方向Dに対して磁性体18の磁化容易方向が上下或いは左右に多少傾斜していてもよい。
また、磁性体18は、導体14の周方向Dに配置された他の磁性体18と接触してもよく、この場合も近接効果を抑制できる。
複数の磁性体18は、磁性層16の厚さ方向に積層配置されている(図1(b)を参照)。このように、磁性層16の厚さ方向に複数の磁性体18を積層配置させることにより、磁性層16における磁性体18の充填率を高くして、磁性層16の透磁率を高めることが可能となる。
これにより、磁性材被覆導体11を巻線として利用し、かつ該巻線に周波数の高い交流電流を流した際、導体14の周囲に配置された導体(図示せず)から発生する磁界が、導体14の外側に配置された磁性層16をさらに通過しやすくなるため、近接効果をさらに抑制できる。
なお、図1(b)では、一例として、複数の磁性体18を6層程度に積層した場合を図示したが、磁性体18の積層数は、これに限定されない。また、図1(b)に示すように、積層配置された磁性体18は、その下層或いは上層に配置された他の磁性体18と接触してもよい。
また、複数の磁性体18は、磁性層16の厚さ方向において、少なくとも一部が重なるように配置させるとよい(図1(d)参照)。
このように、磁性層16の厚さ方向において、少なくとも一部が重なるように複数の磁性体18を配置させることにより、磁性層16における磁性体18の充填率をさらに高くすることが可能となる。これにより、磁性層16の透磁率をさらに高めることができる。
また、磁性体18の材料としては、例えば、軟磁性材料(例えば、センダスト(Fe−Si−Al合金)またはフェライト(酸化鉄を主成分とするセラミック))を用いるとよい。
このように、磁性体18の材料として、軟磁性材料を用いることで、磁性層16の透磁率をさらに高めることができる。
なお、センダスト及びフェライトの替わりに、パーマロイ系合金やアモルファスを用いてもよい。
また、絶縁体19と混合させる磁性体18の割合については、例えば、10〜90wt%の範囲内で適宜選択することができる。
また、磁性層16の比透磁率は、例えば、10以上が好ましい。これにより、磁性層16の透磁率をさらに高めることができる。
また、磁性層16の厚さは、例えば、導体14の半径の10〜40%の範囲内の値にすることができる。
図1(b)及び図1(d)を参照するに、絶縁体19は、硬化した樹脂により構成されている。絶縁体19は、複数の磁性体18の位置(言い換えれば、磁化容易方向の向き)を規制すると共に、中間層15の外周面15aと接触している。絶縁体19としては、例えば、硬化したエナメル樹脂層を用いることができる。
上記構成とされた磁性層16の厚さMは、例えば、10μmとすることができる。
図1(a)を参照するに、保護層12は、磁性層16の外周面16aを覆うように配置されている。保護層12は、例えば、ポリアミドイミド、ポリエステル、ポリエステルイミド、ポリウレタン、ポリビニルホルマール、ポリヒダントイン、ポリエステルアミドイミド、ポリエステルアミド、ポリアミド、ポリビニルブチラール、エポキシ等の絶縁塗料を磁性層16に塗布後、焼付けすることで形成することができる。
なお、図1(a)には図示していないが、保護層12の外周面を覆う潤滑層を設けてもよい。潤滑層(図示せず)は、例えば、エステル変性ポリアミドイミドよりなる塗料を塗布後、焼付けすることで形成する。
第1の実施の形態の磁性材被覆導体によれば、長尺状の導体14と、導体14の外周面14a覆う中間層15と、樹脂よりなる絶縁体19の中に配置された一軸磁気異方性を有する複数の磁性体18を含み、かつ中間層15の外周面15aを覆う磁性層16と、を有し、複数の磁性体18の磁化容易方向が導体14の周方向Dと略同一であり、かつ磁性層16の厚さ方向に複数の磁性体18を積層配置させることにより、磁性材被覆導体11を巻線として利用し、かつ該巻線に周波数の高い交流電流を流した際、導体14の周囲に配置された導体(図示せず)から発生する磁界が、導体14の外側に配置された磁性層16を通過しやすくなる(言い換えれば、導体14内を通過しにくくなる)。
これにより、近接効果が抑制されるため、磁性材被覆導体11の交流抵抗値を小さくすることができる。
また、絶縁体19に一軸磁気異方性を有する複数の磁性体18が配置された磁性層16を用いることで、めっき法を用いることなく、簡便な方法を用いて磁性層16を形成することが可能となる。
なお、第1の実施の形態では、磁性層16の厚さ方向に複数の磁性体18を積層させた場合を例に挙げて説明したが、磁性層16の厚さ方向に1層の磁性体18のみを配置することで、磁性層16を構成してもよい。
この場合、磁性体18の材料として、センダストまたはフェライト等の軟磁性材料を用いることが有効である。
上記構成とされた磁性材被覆導体11及び保護層12を有する第1の実施の形態の磁性材被覆電線10は、磁性材被覆導体11と同様な効果を得ることができる。つまり、簡便に磁性層16を形成可能であり、近接効果のさらなる抑制を実現できる
図2は、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る磁性材被覆電線の断面図である。図2において、図1に示す第1の実施の形態の磁性材被覆電線10と同一構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
図2を参照するに、第1の実施の形態の変形例の磁性材被覆電線25は、図1(a)に示す磁性材被覆導体11の替わりに磁性材被覆導体26を設けたこと以外は、第1の実施の形態の磁性材被覆電線10と同様に構成される。
磁性材被覆導体26は、導体14の外周面14aを覆う中間層15と保護層12との間に、2層の磁性層16を積層配置したこと以外は、1層の磁性層16を有した磁性材被覆導体11と同様に構成される。
このように、磁性層16を積層させることにより、磁性層16の厚さ(この場合、積層された磁性層16の合計の厚さ)を厚くすることが可能となる。
また、上記構成とされた磁性材被覆導体26は、第1の実施の形態の磁性材被覆導体11と同様な効果を得ることができる。
なお、図2では、一例として、磁性層16を2層に積層させた場合を図示したが、必要に応じて磁性層16を3層以上に積層させてもよい。
図3及び図4は、本発明の第1の実施の形態に係る磁性材被覆導体の製造工程を示す断面図である。図3(a)は、本発明の第1の実施の形態の製造途中の磁性材被覆導体の断面図である。図3(b)は、図3(a)に示す領域Aで囲まれた製造途中の磁性材被覆導体を拡大した断面図である。図3(c)は、図3(a)に示す製造途中の磁性材被覆導体の斜視図である。図3(d)は、図3(d)に示す領域Bで囲まれた磁性層の透過図である。
また、図4において、Eは電流の流れる方向(以下、「方向E」という)、Fは該電流が導体14を流れた際に発生する磁界の向きをそれぞれ示している。電流の流れる方向Eは、導体14の延在方向(C方向)と一致している。
図3及び図4において、図1に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
次に、図3及び図4を参照して、第1の実施の形態の磁性材被覆導体11の製造方法について説明する。
始めに、図3(a)〜図3(d)に示す工程では、周知の手法により、導体14の外周面14aを覆う中間層15(例えば、エナメル樹脂層)を形成する。
次いで、攪拌器(図示せず)を用いて、一軸磁気異方性を有した複数の磁性体18(例えば、針状とされた磁性体18を40g)と、硬化していない絶縁体19(例えば、硬化していないエナメル樹脂40g)と、有機溶剤40gと、を十分に混合させることで、一軸磁気異方性を有した複数の磁性体18及び絶縁体19を含み、かつ磁性層16の母材となる混合物28を作成する。この段階において、混合物28は、硬化しておらず、流動性を有する。
このとき、絶縁体19(樹脂)と混合させる磁性体18の割合としては、例えば、10〜90wt%の範囲内で適宜選択することができる。
次いで、周知の手法により、導体14に形成された中間層15の外周面15aを覆うように、混合物28を塗布することで、磁性材被覆導体11(図1参照)の母材となる構造体30を形成する。
この段階では、図3に示すように、複数の磁性体18の磁化容易方向が導体14の周方向Dと略同一になっておらず、該磁化容易方向(針状とされた磁性体18の延在方向)の向きはランダムな方向を向いている。
また、混合物28の厚さ方向には、磁化容易方向の向きがランダムな方向を向く複数の磁性体18が積層配置されている。
この段階において、混合物28は、硬化しておらず、流動性を有する。塗布された混合物28の厚さMは、磁性層16の厚さM(図1(b)参照)と略等しい。
このとき、混合物28は、多層となるように塗布する(言い換えれば、混合物28を複数回塗布する)とよい。これにより、塗布された混合物28に気泡が発生することを防止できる。
次いで、図4に示す工程では、構造体30を構成する導体14に対して導体14の延在方向(C方向)に一定の電流を流す。具体的には、導体14の直径がφ0.3mmの場合、電流の大きさは3A、通電時間は10分とすることができる。
このとき、右ねじの法則に基づき、導体14の中心軸を中心とする同心円状に磁界が発生するため、導体14の外周面14a及び混合物28の厚さ方向に配置された複数の磁性体18の磁化容易方向を導体14の周方向Dと略同一にすることが可能になる。
次いで、周知の手法(例えば、オーブンを用いて200℃の温度で焼成して、有機溶剤を蒸発させる)により、混合物28を構成する絶縁体19を硬化させることで、絶縁体19により磁化容易方向の向きが規制された複数の磁性体18、及び硬化した樹脂よりなる絶縁体19を含む磁性層16が形成される。
これにより、図1に示す第1の実施の形態の磁性材被覆導体11が製造される。
なお、絶縁体19の硬化は、導体14に電流を流しながら行うとよい。これにより、導体14の外周面14a及び混合物28の厚さ方向に配置された複数の磁性体18の磁化容易方向と導体14の周方向Dとを略同一にした状態で、絶縁体19により複数の磁性体18の磁化容易方向の向きを固定することができる。
第1の実施の形態の磁性材被覆導体の製造方法によれば、中間層15を介して、長尺状の導体14の外周面14aを覆うように、一軸磁気異方性を有する複数の磁性体18、及び樹脂よりなる絶縁体19を含み、かつ磁性層16の母材となる混合物28を塗布することで、磁化容易方向の向きがランダムな方向を向く複数の磁性体18を積層配置させ、その後、導体14に対して導体14の延在方向(C方向)に一定の電流を流して、右ねじの法則に基づいた磁界を導体14の周囲に発生させることで、該磁界により一軸磁気異方性を有する複数の磁性体18の磁化容易方向と導体14の周方向Dとを略同一にすることが可能になる。
これにより、磁性材被覆導体11を巻線として利用し、かつ該巻線に周波数の高い交流電流を流した際、導体14の周囲に配置された導体(図示せず)から発生する磁界が、導体14の外側に配置された磁性層16を通過しやすくなり(言い換えれば、導体14内を通過しにくくなり)、近接効果が抑制されるため、磁性材被覆導体11の交流抵抗値を小さくすることができる。
また、上記方法を用いて磁性層16を形成することにより、めっき法を用いることなく、簡便な方法で磁性層16を形成できる。
また、めっき法に適さない軟磁性材料(例えば、センダストやフェライト等)を複数の磁性体18の材料として使用することが可能となる。これにより、磁性層16の透磁率を高めることが可能となるので、近接効果のさらなる抑制を実現できる。
なお、第1の実施の形態の変形例の磁性材被覆導体26を構成する2層の磁性層16は、一軸磁気異方性を有する複数の磁性体18、及び樹脂よりなる絶縁体19を含み、かつ磁性層16の母材となる混合物28を塗布する工程と、導体14に対して導体14の延在方向(C方向)に一定の電流を流す工程と、をこの順で2回繰り返し行い、その後、積層された混合物28を構成する絶縁体19を硬化させることで形成できる。
(第2の実施の形態)
図5(a)は、本発明の第2の実施の形態の磁性材被覆電線の断面図である。図5(b)は、図5(a)に示す領域Gで囲まれた磁性材被覆電線を拡大した断面図である。図5(c)は、図5(a)に示す領域Hで囲まれた磁性材被覆電線を拡大した断面図である。
図5(b)及び図5(c)に示すIは、導体38の外周面38aの周方向(以下、「周方向I」という)を示している。図5において、図1(a)及び図1(b)に示す第1の実施の形態の磁性材被覆電線10と同一構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
図5(a)〜図5(c)を参照するに、第2の実施の形態の磁性材被覆電線35は、第1の実施の形態の磁性材被覆電線10に設けられた磁性材被覆導体11の替わりに、磁性材被覆導体36を設けたこと以外は、磁性材被覆電線10と同様に構成される。
磁性材被覆導体36は、第1の実施の形態で説明した磁性材被覆導体11に設けられた導体14及び磁性層16の替わりに、導体38及び磁性層39を設けたこと以外は、磁性材被覆導体11と同様に構成される。保護層12は、磁性層39の外周面39aを覆うように配置されている。
図6(a)は、図5(a)に示す磁性材被覆導体の斜視図である。図6(b)は、図6(a)に示す領域Jで囲まれた磁性層の透過図である。図6(c)は、図6(a)に示す領域Kで囲まれた磁性層の透過図である。
図6(a)に示すLは、導体38の延在方向(以下、「L方向」という)を示している。また、図6において、図5に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
図6(a)を参照するに、導体38は、長尺形状とされた平角導体であり、L方向(導体38の延在方向)に延在している。
図5(a)を参照するに、導体38の外周面38aは、第1の平坦面38bと、第1の平坦面38bの反対側に配置された第2の平坦面38cと、第1及び第2の平坦面38b,38c間に位置する面38dと、により構成されている
導体38としては、例えば、導線を用いることができる。導体38の材料としては、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等を用いることができる。
このように、磁性材被覆電線35を構成する導体38として平角導体を用いることで、磁性材被覆電線35をモータやトランス等のコイルとして使用した際、該コイルの占有スペースを少なくすることが可能となる。
図5及び図6を参照するに、磁性層39は、中間層15を介して、導体38の外周面38aを覆うように配置されている。磁性層39は、導体38の周方向Iにおいて、略均一の厚さとされている。磁性層39の厚さMは、先に説明した磁性層16の厚さMと同じ厚さにすることができる。
磁性層39は、樹脂よりなる絶縁体19と、絶縁体19の中に配置された一軸磁気異方性を有する複数の磁性体18と、を含んだ構成とされている。
また、磁性層39の比透磁率は、例えば、10以上が好ましい。これにより、磁性層39の透磁率をさらに高めることができる。
磁性層39を構成する複数の磁性体18は、その磁化容易方向が導体38の周方向Iと略同一となるように、絶縁体19中に配置されている。これにより、複数の磁性体18は、導体38の外周面38aに沿って配置されている。
このように、一軸磁気異方性を有する複数の磁性体18の磁化容易方向を平角形状とされた導体38の周方向Iと略同一にすることにより、磁性材被覆導体36を巻線として利用し、かつ該巻線に周波数の高い交流電流を流した際、導体38の周囲に位置する導体(図示せず)から発生する磁界が、第1及び第2の平坦面38b,38cに配置された磁性層39を通過しやすくなる(言い換えれば、導体38内を通過しにくくなる)。
これにより、近接効果が抑制されるため、磁性材被覆導体36の交流抵抗値を小さくすることができる。
なお、複数の磁性体18の磁化容易方向と導体38の周方向Iとが完全に同一であることが好ましいが、複数の磁性体18の磁化容易方向と導体38の周方向Iとが必ずしも完全に同一である必要はなく、図5及び図6に示すように、複数の磁性体18の磁化容易方向が導体38の周方向Iと略同一であればよい。言い換えれば、導体38の周方向Iに対して磁性体18の磁化容易方向が上下或いは左右に多少傾斜していてもよい。
また、磁性体18は、導体38の周方向Iに配置された他の磁性体18と接触してもよく、この場合も近接効果を抑制できる。
また、磁性層39は、磁性層39の厚さ方向に対して複数の磁性体18が積層(図5(b)及び図5(c)の場合、6〜7層程度)された構成とされている。
このように、磁性層39の厚さ方向に複数の磁性体18を積層配置させることにより、磁性層39における磁性体18の充填率を高くして、磁性層39の透磁率を高めることが可能となる。
これにより、磁性材被覆導体36を巻線として利用し、かつ該巻線に周波数の高い交流電流を流した際、導体38の周囲に配置された導体(図示せず)から発生する磁界が、第1及び第2の平坦面38b,38cに配置された磁性層39をさらに通過しやすくなるため、近接効果をさらに抑制できる。
なお、図5(b)及び図5(C)では、一例として、複数の磁性体18を6〜7層程度に積層させた場合を例示したが、磁性体18の積層数は、これに限定されない。
また、積層配置された磁性体18は、その下層或いは上層に配置された他の磁性体18と接触してもよい。
また、複数の磁性体18は、磁性層39の厚さ方向において、少なくとも一部が重なるように配置するとよい(図5(b)参照)。
このように、磁性層39の厚さ方向において、少なくとも一部が重なるように複数の磁性体18を配置することにより、磁性層39における磁性体18の充填率をさらに高くすることが可能となる。これにより、磁性層39の透磁率をさらに高めることができる。
第2の実施の形態の磁性材被覆導体によれば、磁性層39を構成する複数の磁性体18の磁化容易方向が導体38の外周面38aの周方向Iと略同一となるように、導体38の外周面38aに複数の磁性体18を配置すると共に、磁性層39の厚さ方向に複数の磁性体18を積層配置させることにより、磁性材被覆導体36を巻線として利用し、かつ該巻線に周波数の高い交流電流を流した際、導体38の周囲に配置された導体(図示せず)から発生する磁界が、第1及び第2の平坦面38b,38cに配置された磁性層39を通過しやすくなる(言い換えれば、導体38内を通過しにくくなる)。
これにより、近接効果が抑制されるため、磁性材被覆導体36の交流抵抗値を小さくすることができる。
また、絶縁体19に一軸磁気異方性を有する複数の磁性体18が配置された磁性層39を用いることで、磁性層39を形成する際、めっき法を用いる必要がなくなるため、めっき法に適さない軟磁性材料(例えば、センダストまたはフェライト)を複数の磁性体18の材料として使用することが可能となる。
これにより、磁性層39の透磁率をさらに高めることが可能となるため、近接効果をさらに抑制できる。
なお、第2の実施の形態では、磁性層39の厚さ方向に複数の磁性体18を積層させた場合を例に挙げて説明したが、磁性層39の厚さ方向に1層の磁性体18のみを配置することで、磁性層39を構成してもよい。
この場合、磁性体18の材料として、センダストまたはフェライト等の軟磁性材料を用いることが有効である。
上記構成とされた磁性材被覆導体36及び保護層12を有する第2の実施の形態の磁性材被覆電線35は、磁性材被覆導体36と同様な効果を得ることができる。
また、第2の実施の形態では、1層の磁性層39を有した磁性材被覆導体36を例に挙げて説明したが、中間層15と保護層12との間に、2層以上の磁性層39を積層配置してもよい。
図7及び図8は、本発明の第2の実施の形態に係る磁性材被覆導体の製造工程を示す図である。図7(a)は、導体に中間層及び混合物が形成された構造体の斜視図であり、図7(b)は、図7(a)に示す領域Jで囲まれた混合物の透過図であり、図7(c)は、図7(a)に示す領域Kで囲まれた混合物の透過図である。
また、図8(a)は、磁性材被覆導体の断面図であり、図8(b)は、図8(a)に示す領域Gで囲まれた磁性材被覆導体を拡大した断面図であり、図8(c)は、図8(a)に示す領域Hで囲まれた磁性材被覆導体を拡大した断面図である。
図7において、図6に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。また、図8において、図5に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
次に、主に、図7及び図8を参照して、第2の実施の形態の磁性材被覆導体36の製造方法について説明する。
始めに、図7(a)〜図7(c)に示す工程では、周知の手法により、長尺状とされ、かつ平角形状とされた導体38の外周面38aを覆う中間層15(例えば、エナメル樹脂層)を形成する。
次いで、攪拌器(図示せず)を用いて、一軸磁気異方性を有する複数の磁性体18(例えば、針状とされた磁性体18を40g)と、樹脂よりなる絶縁体19(例えば、流動性を有したエナメル樹脂40g)と、有機溶剤40gと、を十分に混合させることで、一軸磁気異方性を有する複数の磁性体18及び絶縁体19を含み、かつ磁性層39の母材となる混合物28を作成する。この段階において、混合物28は、硬化しておらず、流動性を有する。
このとき、絶縁体19(樹脂)と混合させる磁性体18の割合については、例えば、10〜90wt%の範囲内で適宜選択することができる。
次いで、周知の手法により、導体38に形成された中間層15の外周面15aを覆うように、流動性を有する混合物28を塗布することで、導体38、中間層15、及び流動性を有した混合物28よりなる構造体41を形成する。
このとき、塗布された混合物28の厚さが、図5に示す磁性層39の厚さMと略等しくなるようにする。
また、混合物28は、多層となるように塗布する(言い換えれば、混合物28を複数回塗布する)とよい。これにより、塗布された混合物28に気泡が発生することを防止できる。
この段階では、図7(b)及び図7(c)に示すように、針状とされた複数の磁性体18の磁化容易方向は、ほとんど導体38の周方向Iと同一になっていない。また、図7には、図示していないが、混合物28を塗布することで、混合物28の厚さ方向に複数の磁性体18が積層配置される。
次いで、図8(a)〜図8(c)に示す工程では、第1の実施の形態で説明した図4に示す工程と同様な処理を行う。つまり、図7(a)に示す構造体41を構成する導体38に対して導体38の延在方向(L方向)に一定の電流を流す。
具体的には、導体38の厚さが0.2mm、幅が0.5mmの場合、電流の大きさは3A、通電時間は10分とすることができる。
このとき、右ねじの法則に基づき、導体38の周囲に磁界が発生するため、図8(a)及び図8(b)に示すように、導体38の外周面38a及び混合物28の厚さ方向に配置された複数の磁性体18の磁化容易方向を導体38の周方向Iと略同一にすることが可能になる。
次いで、周知の手法(例えば、オーブンを用いて200℃の温度で焼成して、有機溶剤を蒸発させる)により、混合物28を構成する絶縁体19を硬化させることで、硬化した絶縁体19により磁化容易方向の向きが固定された複数の磁性体18、及び硬化した絶縁体19を含む磁性層39が形成される。
これにより、図5に示す第2の実施の形態の磁性体被覆導体36が製造される。
なお、絶縁体19の硬化は、導体38に電流を流しながら行うとよい。これにより、導体38の外周面38a及び混合物28の厚さ方向に配置された複数の磁性体18の磁化容易方向の向きを導体38の周方向Iと略同一にさせた状態で、複数の磁性体18の磁化容易方向の向きを固定できる。
第2の実施の形態の磁性材被覆導体の製造方法によれば、長尺状の導体38の外周面38aを覆うように、一軸磁気異方性を有する複数の磁性体18、及び樹脂よりなる絶縁体19を含み、かつ磁性層39の母材となる混合物28を塗布することで、磁化容易方向の向きがランダムな向きとされた複数の磁性体18を積層配置し、その後、導体38に対して導体38の延在方向(L方向)に一定の電流を流して、右ねじの法則に基づいた磁界を導体38の周囲に発生させることにより、該磁界により複数の磁性体18の磁化容易方向を導体38の周方向Iと略同一にすることが可能になる。
これにより、磁性材被覆導体36を巻線として利用し、かつ該巻線に周波数の高い交流電流を流した際、導体38の周囲に配置された導体(図示せず)から発生する磁界が、導体38の第1及び第2の平坦面38b,38cに配置された磁性層39を通過しやすくなるため(言い換えれば、導体38内を通過しにくくなるため)、磁性材被覆導体36の交流抵抗値を小さくすることができる。
また、上記方法を用いて磁性層39を形成することにより、めっき法を用いることなく、簡便な方法で磁性層39を形成できる。
また、めっき法に適さない軟磁性材料(例えば、センダストやフェライト等)を複数の磁性体18の材料として使用することが可能となる。これにより、磁性層39の透磁率を高めることが可能となるので、近接効果のさらなる抑制を実現できる。
なお、積層された磁性層39を形成する場合には、一軸磁気異方性を有する複数の磁性体18、及び樹脂よりなる絶縁体19を含み、かつ磁性層39の母材となる混合物28を塗布する工程と、混合物28が塗布された導体38に対して導体38の延在方向(方向L)に電流を流す工程と、を順次繰り返し行った後、周知の手法により、積層された混合物28を構成する絶縁体19を硬化させればよい。
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
(実施例1)
図1、図3、及び図4を参照して、実施例1のコイルの作成方法ついて説明する。始めに、導体14として、切断面が円形とされ、純度99%のアルミニウムよりなり、かつφ1.5mmとされた導線本体と、該導線本体の外周面を覆う銅皮膜(純度99.9%の銅、銅の占有率5%)と、該銅皮膜を覆う絶縁層(エナメル樹脂よりなり、厚さ50μmとされた絶縁層)と、を有する銅クラッドアルミニウム線を準備した。
次いで、導体14の外周面14aを覆うように、エナメル樹脂よりなる中間層15(厚さ50μm)を形成した。
次いで、80wt%のエナメル樹脂と、針状とされ、20wt%の一軸磁気異方性を有する複数の磁性体18とを混合して、混合物28を作成した。このとき、磁性体18の材料としては、純度100%のセンダストを用いた。また、磁性体18としては、直径が10nm、長さが100nm程度のものを用いた。
次いで、第1の実施の形態の図3及び図4で説明した方法により、中間層15の外周面15aを覆い、かつ厚さMが100μmとされた磁性層16を形成した。
次いで、磁性層16の外周面16aを覆い、エナメル樹脂よりなる保護層12(厚さ10μm)を形成することで、導体14、中間層15、磁性層16、及び保護層12よりなる磁性材被覆電線10を形成した。
次いで、筒状部材(φ25mm)に磁性材被覆電線10を巻回することで、実施例1のコイル(以下、「コイル1」という)を作成した。このときの巻回数は、10回とした。
次いで、100kHz及び200kHzのときのコイル1の交流抵抗値を測定した。具体的には、インピーダンスアナライザーを用いて、電圧100mVを印加し、そのときの電流を測定することで、コイル1の交流抵抗値を測定した。
上記測定方法により、測定したコイル1の交流抵抗値を表1に示す。表1は、切断面が円形とされた導体を備えた実施例1のコイル及び比較例1のコイルの交流抵抗値を示す表である。
Figure 2014071970
(比較例1)
比較例1のコイルの作成方法ついて説明する。始めに、導体として、実施例1で使用したものと同種の銅クラッドアルミニウム線を準備した。
次いで、筒状部材(φ25mm)に上記銅クラッドアルミニウム線を巻回することで、比較例1のコイル(以下、「コイル2」という)を作成した。このときの巻回数は、実施例1のコイル1と同じ10回とした。
次いで、実施例1と同様な測定方法により、100kHz及び200kHzのときのコイル2の交流抵抗値を測定した。
上記測定方法により、測定したコイル2の交流抵抗値を表1に示す。
(実施例1及び比較例1の交流抵抗値測定結果について)
表1を参照するに、100kHz及び200kHzのどちらの交流抵抗値も実施例1の方が比較例1よりも小さい値となった。
このことから、実施例1の磁性材被覆電線10は、比較例1と比較して、交流抵抗値を小さくする効果があることが確認できた。
(実施例2)
図5、図7、及び図8を参照して、実施例2のコイルの作成方法ついて説明する。
始めに、導体38として、平角形状とされ、純度99%のアルミニウムよりなり、かつφ1.5mmとされた導線本体と、該導線本体の外周面を覆う銅皮膜(純度99.9%の銅、銅の占有率5%)と、該銅皮膜を覆う絶縁層と、を有する銅クラッドアルミニウム線を準備した。このとき導線本体としては、幅が0.5mm、厚さが0.2mmのものを用いた。
次いで、導体38の外周面38aを覆うように、エナメル樹脂よりなる中間層15(厚さ50μm)を形成した。
次いで、80wt%のエナメル樹脂と、20wt%の扁平な磁性体18とを混合して、混合物28を作成した。
このとき、磁性体18の材料としては、実施例1で使用した磁性体18と同じ材料及び同じ形状のものを用いた。
次いで、第2の実施の形態の図7及び図8で説明した方法により、中間層15の外周面15aを覆う磁性層39を形成した。このとき、第1及び第2の平坦面38b,38cには、厚さMが100μmとされた磁性層39を形成した。
次いで、磁性層39の外周面39aを覆い、エナメルよりなる保護層12(厚さ100μm)を形成することで、導体38、中間層15、磁性層39、及び保護層12よりなる磁性材被覆電線35を形成した。
次いで、筒状部材(φ25mm)に磁性材被覆電線35を巻回することで、実施例2のコイル(以下、「コイル3」という)を作成した。このときの巻回数は、10回とした。
次いで、実施例1と同様な測定方法により、100kHz及び200kHzのときのコイル3の交流抵抗値を測定した。
上記測定方法により、測定したコイル3の交流抵抗値を表2に示す。
Figure 2014071970
(比較例2)
比較例2のコイルの作成方法ついて説明する。始めに、導体として、実施例2で使用したものと同種の銅クラッドアルミニウム線を準備した。
次いで、筒状部材(φ25mm)に上記銅クラッドアルミニウム線を巻回することで、比較例2のコイル(以下、「コイル4」という)を作成した。このときの巻回の回数は、実施例1のコイル1と同じ10回とした。
次いで、実施例1と同様な測定方法により、100kHz及び200kHzのときのコイル4の交流抵抗値を測定した。上記測定方法により、測定したコイル4の交流抵抗値を表2に示す。
(実施例2及び比較例2の交流抵抗値測定結果について)
表2を参照するに、100kHz及び200kHzのどちらの交流抵抗値も実施例2の方が比較例2よりも小さい値となった。
このことから、実施例2の磁性材被覆電線35は、比較例2と比較して、交流抵抗値を小さくする効果があることが確認できた。
本発明は、各種電子機器部品のコイル用線材やフラットケーブル等の信号ケーブル用線材として利用可能な磁性材被覆導体及びその製造方法、並びに磁性材被覆電線に適用可能である。
10,25,35…磁性材被覆電線、11,26,36…磁性材被覆導体、12…保護層、14,38…導体、14a,15a,16a,38a,39a…外周面、15…中間層、16,39…磁性層、18…磁性体、19…絶縁体、28…混合物、30,41…構造体、38b…第1の平坦面、38c…第2の平坦面、38d…面、D,I…周方向、M,M,M…厚さ

Claims (9)

  1. 長尺状の導体と、前記導体を覆う磁性層と、を有する磁性材被覆導体であって、
    前記磁性層は、樹脂よりなる絶縁体と、該絶縁体の中に配置された一軸磁気異方性を有する複数の磁性体と、を含み、
    前記複数の磁性体の磁化容易方向が、前記導体の周方向と略同一であることを特徴とする磁性材被覆導体。
  2. 前記導体と前記磁性層との間に、中間層を配置したことを特徴とする請求項1記載の磁性材被覆導体。
  3. 前記複数の磁性体が、前記磁性層の厚さ方向に積層されて成ることを特徴とする請求項1または2記載の磁性材被覆導体。
  4. 前記複数の磁性体が、前記磁性層の厚さ方向において、少なくとも一部が重なるように配置されていることを特徴とする請求項3記載の磁性材被覆導体。
  5. 前記複数の磁性体の形状が、針状であることを特徴とする請求項1ないし4のうち、いずれか1項記載の磁性材被覆導体。
  6. 前記磁性層の比透磁率が10以上であることを特徴とする請求項1ないし5のうち、いずれか1項記載の磁性材被覆導体。
  7. 前記磁性体の材料が、軟磁性材料であることを特徴とする請求項1ないし6のうち、いずれか1項記載の磁性材被覆導体。
  8. 請求項1ないし7のうち、いずれか1項記載の磁性材被覆導体と、
    前記磁性材被覆導体の外周面を覆う保護層と、
    を有することを特徴とする磁性材被覆電線。
  9. 長尺状の導体の外周面を覆うように、一軸磁気異方性を有する複数の磁性体、及び樹脂よりなる絶縁体を含み、かつ磁性層の母材となる混合物を塗布する工程と、
    前記混合物を塗布後、前記導体に対して該導体の延在方向に電流を流す工程と、
    を有することを特徴とする磁性材被覆導体の製造方法。
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