JP2014070162A - インク組成物、画像形成方法及び印画物 - Google Patents

インク組成物、画像形成方法及び印画物 Download PDF

Info

Publication number
JP2014070162A
JP2014070162A JP2012217829A JP2012217829A JP2014070162A JP 2014070162 A JP2014070162 A JP 2014070162A JP 2012217829 A JP2012217829 A JP 2012217829A JP 2012217829 A JP2012217829 A JP 2012217829A JP 2014070162 A JP2014070162 A JP 2014070162A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
ink composition
general formula
pigment
repeating unit
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012217829A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5844238B2 (ja
Inventor
Norihide Shimohara
憲英 下原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2012217829A priority Critical patent/JP5844238B2/ja
Publication of JP2014070162A publication Critical patent/JP2014070162A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5844238B2 publication Critical patent/JP5844238B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Abstract

【課題】にじみの発生が抑制され、低エネルギー付与条件下であっても耐溶剤性に優れた画像が形成でき、インクジェット法に好適に使用されるインク組成物の提供。
【解決手段】式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位を含む高分子化合物、式(2)で表される化合物、及び有機溶剤を含有するインク組成物である。式(1)中、R及びRは各々水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R及びRの少なくとも一方は炭素数1〜4のアルキル基を表す。*は高分子化合物における主鎖又は側鎖との結合部位を示す。式(2)中、R、Rは、アルキル基等を表すか、互いに結合して環を形成する連結基を表す。R〜Rは、水素原子、アルキル基等を表し、互いに結合して環を形成することはない。R及びRのいずれか一方で他の部分構造と結合する。

【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用に適用しうるインク組成物、該インク組成物を用いた画像形成及びインク組成物により形成された印画物に関する。
画像データ信号に基づき、紙などの記録媒体に画像を形成する画像記録方法として、電子写真方式、昇華型及び溶融型熱転写方式、インクジェット方式などがある。
電子写真方式は、感光体ドラム上に帯電及び露光により静電潜像を形成するプロセスを必要とし、システムが複雑となり、結果的に製造コストが高価になるなどの問題がある。また熱転写方式は、装置は安価であるが、インクリボンを用いるため、ランニングコストが高く、かつ廃材が出るなどの問題がある。
一方、インクジェット方式は、安価な装置で、且つ必要とされる画像部のみにインクを吐出し記録媒体上に直接画像形成を行うため、インクを効率良く使用でき、ランニングコストが安いという利点を有し、さらに、騒音が少なく、画像記録方式として優れている。
インクジェット方式による画像の記録に用いられるインク組成物のなかでも、活性エネルギー線硬化型水性インク組成物は、画像の印刷、記録媒体に印刷適性を付与するための前処理、印刷された画像の保護・装飾の後処理などに好適に使用でき、また、水を主成分とすることから安全性に優れ、低粘度化によって高密度インクジェット記録への適用が可能になるなど、多くの優れた特徴、可能性を有する技術である。
近年、インク組成物により樹脂製の記録媒体上に形成されたインク画像が、大面積の広告や屋外広告などの用途に供されることが多くなってきた。特に屋外広告の場合には、高い耐水性を要求される。また、大面積の印画物や多数枚の印画物を連続して形成する場合、印刷装置の汚れを有機溶剤で除去する工程が必要となるが、清掃に使用する有機溶剤が飛散して形成されたインク画像に付着した場合、耐溶剤性が低い画像であると、溶剤が付着したところが溶解除去され、白ヌケなどの画像故障ができるため、耐水性、耐溶剤性を高いレベルで両立する画像を形成しうるインク組成物が求められている。
活性エネルギー線硬化型水性インク組成物の基本構成材料の一例として、水、重合性物質、活性エネルギー線によってラジカルなどを発生して重合を開始させる重合開始剤及び色材(顔料あるいは染料)を挙げることができる。このうち重合性物質や重合開始剤は、エマルジョン状態にして調製される場合と、適当な置換基により水溶性を付与されて溶液状態として存在する場合がある。
このような重合開始剤は、UV硬化型のインク組成物には必須ではあるが、低分子量成分であるためエネルギー付与時に臭気を発生するこのものがあったり、感度と安定性の双方を満足することが困難であったり、といった問題を有しており、重合開始剤を含有しない系においても優れた硬化性を発現するインク組成物が望まれていた。
重合性物質を含む活性エネルギー線硬化型インク組成物の例としては、例えば、特定のマレイミド構造を有する活性エネルギー線重合性物質を含むインク組成物が記載されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。マレイミド構造を有する化合物を含むインク組成物は、画像形成時にマレイミド構造に起因して架橋構造が形成されるため、安定で、硬化性に優れているとされる。
特開2007−119449号公報 特開2000−335085号公報 特開2012−51992号公報
しかしながら、重合開始剤を必須成分として含有させなくても、より少ない量の活性エネルギーで、高感度で硬化し、にじみが抑制された耐溶剤性に優れた画像を形成するという観点からは、なお改良の余地がある。
本発明は、上記の事情に照らしなされたものであり、低エネルギー付与条件においても高感度で優れた硬化性が発現され、画像を形成する際のにじみの発生が抑制され、耐溶剤性に優れた画像が形成される、インクジェット記録法に適したインク組成物を提供することを課題とする。
また、本発明は、低エネルギー付与の条件下でも、画像を形成する際のにじみの発生が抑制され、耐溶剤性に優れた画像が形成される画像形成方法、及び、にじみが低減され、耐溶剤性に優れた画像を有する印画物を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> (a)下記一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位(を含む高分子化合物、(b)下記一般式(2)で表される部分構造を分子内に2つ以上有する化合物、及び(c)有機溶剤、を含有するインク組成物。
一般式(1)中、R及びRは、それぞれ、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R及びRの少なくとも一方は炭素数1〜4のアルキル基を表す。R及びRは互いに結合して4〜6員の脂環構造を形成してもよい。*は、高分子化合物における主鎖又は側鎖との結合部位を示す。
(一般式(2)中、R及びRは、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、又はアシルオキシ基を表すか、或いは、RとRが互いに結合して環を形成する単結合、アルキレン基、及び−O−から選ばれる2価の連結基を表し、R及びRの双方が単結合であることはない。R、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアシルオキシ基を表し、R及びRのいずれか一方は、(b)一般式(2)で表される部分構造を分子内に2つ以上有する化合物における他の部分構造と結合する単結合又は2価の連結基を表す。なお、R、R、R及びRのうち2以上が互いに結合して環を形成することはない。)
<2> 前記(b)一般式(2)で表される部分構造を分子内に2つ以上有する化合物が、共役ジエン構造を有する繰り返し単位を含む高分子化合物である<1>に記載のインク組成物。
<3> 一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位が、下記一般式(3)で表される繰り返し単位である<1>又は<2>に記載のインク組成物。
一般式(3)中、R及びRは、前記一般式(1)におけるR及びRとそれぞれ同義である。Rは、水素原子又はメチル基を表す。Zは、単結合、−COO−**又は−CONR−**を表し、Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、**はXとの結合位置を表す。Xは2価の有機基を表す。
<4> さらに、(d)水を含有する<1>〜<3>のいずれか1項に記載のインク組成物。
<5> (a)高分子化合物が含む親水性基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物が、アルコール性水酸基、アルキル置換カルバモイル基、カルボキシル基、スルホ基、及びこれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の親水性基を有する繰り返し単位をさらに含む高分子化合物である<1>〜<4>のいずれか1項に記載のインク組成物。
<6> 前記(b)一般式(2)で表される部分構造を分子内に2つ以上有する化合物が、下記一般式(2−1)で表される部分構造を有する繰り返し単位を含む高分子化合物である<1>〜<5>のいずれか1項に記載のインク組成物。下記一般式(2−1)中、*は、繰り返し単位との結合部位を表す。
<7> 更に、(e)着色剤を含有する<1>〜<6>のいずれか1項に記載のインク組成物。
物。
<8> インクジェット記録用である<1>〜<7>のいずれか1項に記載のインク組成物。
<9> 非浸透性の記録媒体への印刷用である<1>〜<8>のいずれか1項に記載のインク組成物。
<11> <1>〜<9>のいずれか1項に記載のインク組成物を記録媒体上に付与するインク付与工程と、記録媒体上に付与されたインク組成物を、60℃以上の熱源を用いて乾燥させ、インク組成物に含まれる液状成分の少なくとも一部を除去する乾燥工程と、記録媒体上に付与され、乾燥されたインク組成物に活性エネルギー線を照射する照射工程と、を含む画像形成方法。
<12> 記録媒体上に、<1>〜<9>のいずれか1項に記載のインク組成物により形成された画像、或いは、<11>に記載の画像形成方法によって形成された画像を有する印画物。
本発明によれば、低エネルギー付与条件においても高感度で優れた硬化性が発現され、画像を形成する際のにじみの発生が抑制され、耐溶剤性に優れた画像が形成される、インクジェット記録法に適したインク組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、低エネルギー付与の条件下でも、画像を形成する際のにじみの発生が抑制され、耐溶剤性に優れた画像が形成される画像形成方法、及び、にじみが低減され、耐溶剤性に優れた画像を有する印画物を提供することができる。
以下、本発明のインク組成物(以下、単に「インク組成物」ともいう。)、画像形成方法、及び印画物について説明する。
なお、本明細書において、組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
また、本発明のインク組成物において固形分量とは、25℃においてインク組成物中に含まれる成分のうち、溶剤を除く全ての成分の総質量に意味する。本明細書における固形分は、溶剤以外の低分子量成分などの液状の成分も含まれる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書中において、「置換基」を記載する場合、特に断らない限りにおいて、無置換のもの、置換基を更に有するものを包含する意味で用いられる。例えば、「アルキル基」は、無置換のアルキル基、及び置換アルキル基の双方を包含する意味で用いられ、他の置換基も同様である。
また、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルのいずれか又は両方を意味するものである。
[インク組成物]
本発明のインク組成物は、(a)下記一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位を含む高分子化合物、(b)下記一般式(2)で表される部分構造を分子内に2つ以上有する化合物、及び(c)有機溶剤を含有するインク組成物である。
一般式(1)中、R及びRは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R及びRの少なくとも一方は炭素数1〜4のアルキル基を表す。R及びRは互いに結合して4〜6員の脂環構造を形成してもよい。*は、高分子化合物における主鎖又は側鎖との結合部位を示す。
(一般式(2)中、R及びRは、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、又はアシルオキシ基を表すか、或いは、RとRが互いに結合して環を形成する単結合、アルキレン基、及び−O−から選ばれる2価の連結基を表し、R及びRの双方が単結合であることはない。R、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアシルオキシ基を表し、R、R、R及びRのうち2以上が互いに結合して環を形成することはない。R及びRのいずれか一方は、(b)化合物における他の部分構造と結合する単結合又は2価の連結基を表す。)
なお、本明細書においては、一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位を含む高分子化合物を、「特定共重合体」と称することがある。また、一般式(2)で表される部分構造を分子内に2つ以上有する化合物を、「特定ジエン化合物」と称することがある。
後述するように、(a)特定共重合体は、一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位(以下、繰り返し単位(a−1)と称することがある)に加え、目的に応じて、親水性基を有する繰り返し単位(a−2)及び疎水性基を有する繰り返し単位(a−3)から選ばれる1種以上を更に有していてもよい。
(a)特定共重合体は、前記一般式(2)で表される部分構造を同一分子内に有することはない。これは、一般式(1)で表される部分構造と、一般式(2)で表される構造とを同一分子に有する高分子化合物の製造時に、一般式(1)で表される構造と、一般式(2)で表される部分構造とが反応し、意図しない高分子化や架橋が起きるため、安定な製造が困難であり、高分子化合物の保存安定性や、当該高分子化合物を用いたインク組成物のインクジェット吐出性を損なうという問題があり、好ましくないためである。
本発明のインク組成物は、上記の各成分を含有することにより、画像を形成する際のにじみの発生が抑制され、耐溶剤性に優れた画像が形成でき、且つ、インクジェット記録法に好適に使用される。
ここで、本発明において、画像の耐溶剤性とは、形成された画像の有機溶剤に対する耐久性を意味する。
本発明の作用機構は明確ではないが、本発明者らは、以下の如く推測している。
本発明における特定共重合体は、紫外線等の活性エネルギー線の照射によって重合しうる構造である一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位(a−1)を含むことを特徴とする。この部分構造同士はエネルギー付与により互いに二量化反応して硬化する。さらに、本発明においては、熱によりDiels−Alder反応を生起しうる部分構造を分子内に2つ以上有する特定ジエン化合物を共存させることで、上記二量化反応に加え、(a)特定共重合体と(b)特定ジエン化合物とが60℃以上の熱源により乾燥される際に、Diels−Alder反応を生起し両者も互いに反応して架橋構造が形成される結果、高密度の架橋構造が効率よく形成され、低エネルギー付与条件下においても架橋構造の形成が効率よく行われ、架橋密度の向上による画像の不溶化(耐溶剤性)がより一層向上したものと推測される。
また、本発明のインク組成物における架橋構造の形成による硬化反応は、重合開始剤を必須成分として含有しなくても、熱架橋と光架橋の双方が進行して画像形成がなされるために、にじみの発生抑制にも優れたものとなると考えられる。さらに、(a)特定共重合体や(b)特定ジエン化合物を溶解しうる(c)有機溶剤を含む限りにおいて、水系インク組成物にも、非水系インク組成物にも適用可能である。また、例えば、重合開始剤を含まない系であっても既述の如く、反応が進行することから、低分子量成分であって反応性の重合開始剤を含まない系とすることも可能であり、そのような場合には、重合開始剤や低分子量の重合性化合物に起因する臭気発生の懸念がないという利点をも有するものである。
本発明のインク組成物は、(a)特定共重合体、(b)特定ジエン化合物、及び(c)有機溶剤を含有し、さらに、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、液体又は固体の種々の化合物を添加剤として含んでもよい。添加剤としては、例えば、(d)水、(e)着色剤が挙げられ、(e)着色剤を含むことで、本発明のインク組成物により、着色画像を得ることができる。また後述するように、各種の目的で、他の成分を含んでもよい。
以下、本発明のインク組成物について詳細に説明する。
〔(a)一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位を含む高分子化合物(特定共重合体)〕
本発明のインク組成物に含まれる特定共重合体について詳細に説明する。
特定共重合体としては、ビニル系ポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、又はポリアミドであることが好ましく、ビニル系ポリマー、又はポリウレタンであることがより好ましい。
(一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位(a−1))
(a)特定共重合体は、下記一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位(a−1)を含む。
一般式(1)中、R及びRは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R及びRの少なくとも一方は炭素数1〜4のアルキル基を表す。R及びRは互いに結合して4〜6員の脂環構造を形成してもよい。*は、高分子化合物における主鎖又は側鎖との結合部位を示す。
一般式(1)中、R又はRで表される炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖構造であっても、分岐構造であってもよい。該アルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基が挙げられる。これらのアルキル基の中でも、炭素数1〜2のアルキル基(メチル基及びエチル基)であることが好ましく、炭素数1のアルキル基(メチル基)であることが特に好ましい。
一般式(1)において、R又はRで表されるアルキル基は、置換基を有していても、有していなくてもよいが、置換基を有していないことが好ましい。
及びRは互いに結合して4〜6員の脂環構造を形成していてもよい。
及びRとしては、その双方が炭素数1〜4のアルキル基である態様、又は、R及びRが互いに結合して4〜6員の脂環構造を形成していることが好ましく、R及びRの双方が炭素数1〜2のアルキル基であることがより好ましく、R及びRの双方が炭素数1のアルキル基であることが更に好ましい。
以下に、一般式(1)で表される部分構造の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
特定共重合体は、一般式(1)で表される部分構造を、側鎖に複数有する態様であってもよい。
一般式(1)で示される部分構造を有する繰り返し単位(a−1)としては、下記一般式(3)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
一般式(3)中、R及びRは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R及びRの少なくとも一方は炭素数1〜4のアルキル基を表す。R及びRは互いに結合して4〜6員の脂環構造を形成してもよい。Rは水素原子又はメチル基を表す。Zは、単結合、−COO−**、又は−CONR−**を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、**はXとの結合位置を表す。Xは2価の有機基を表す。
一般式(3)において、R及びRは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R及びRの少なくとも一方は炭素数1〜4のアルキル基を表す。R及びRは互いに結合して4〜6員の環構造を形成してもよい。
一般式(3)におけるR及びRは、前記一般式(1)におけるR及びRとそれぞれ同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(3)において、Rは水素原子又はメチル基を表す。Rはメチル基であることが好ましい。
一般式(3)において、Zは、単結合、−COO−**、又は−CONR−**を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、**はXとの結合位置を表す。Zは−COO−**であることが好ましい。
また、前記−CONR−**におけるRは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。Rで表される炭素数1〜4のアルキル基としては、直鎖構造であっても分岐構造であってもよい。該アルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基が挙げられる。Rは水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基、即ち、メチル基又はエチル基であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。Rがアルキル基を表す場合、該アルキル基は置換基を有していても、置換基を有していなくてもよいが、置換基を有していないことが好ましい。
一般式(3)において、Xは2価の有機基を表す。2価の有機基としては、アルキレン基又はアラルキレン基が挙げられ、炭素数は2〜20のアルキレン基又は炭素数7〜12のアラルキレン基であることが好ましい。Xとしてはアルキレン基であることがより好ましい。
Xがアルキレン基を表す場合、該アルキレン基は、炭素数2〜20であることが好ましく、炭素数2〜12であることがより好ましく、炭素数2〜8であることがさらに好ましい。Xで表されるアルキレン基の炭素数が、この範囲であることで、特定共重合体における側鎖末端に存在する一般式(1)で示される部分構造の運動性が向上し、本発明の効果がより向上する。
Xで表されるアルキレン基は、直鎖構造であっても、アルキレン鎖中に分岐を有するものであっても、環状構造を有するものであってもよい。また、該アルキレン基は、−O−、−COO−、−OC(=O)−、及び−CONH−から選択される結合をアルキレン鎖中に含んでいてもよい。また、該アルキレン基は、炭素数4以下のアルキル基、水酸基、又は塩素原子で置換されていてもよい。
一般式(3)で表される繰り返し単位としては、R及びRが各々独立に炭素数1〜2のアルキル基であり、Rがメチル基であり、Zが−COO−**であり、Xが炭素数2〜12のアルキレン基であることが好ましい。
特定共重合体に含まれる一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位(a−1)(好ましくは一般式(3)で表される繰り返し単位)の含有量は、インク組成物により形成される硬化膜(画像)が目的とする性質に応じて適宜選択される。即ち、一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位(a−1)の含有量は、形成された画像の強度と、柔軟性の観点から、特定共重合体の全質量に対し、20質量%〜85質量%であることが好ましく、30質量%〜80質量%であることがより好ましく、40質量%〜70質量%であることがさらに好ましい。
一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位の含有量は、例えば上記含有量の範囲において、より強固な画像を得る場合であれば、より多くするとよく、より柔軟な画像を得る場合であれば、より少なくするとよい傾向にある。
特定共重合体は、一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位(a−1)を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位(a−1)は、一般式(1)で表される部分構造を有する単量体を共重合成分の一つとして用いて共重合することにより、特定共重合体に導入することができる。一般式(1)で表される繰り返し単位(a−1)が、一般式(3)で表される繰り返し単位である場合、特定共重合体の合成には、下記一般式(3’)で表される単量体を用いることができる。
また、一般式(1)で表される部分構造は、高分子反応を用いた方法により、共重合体に導入することもできる。そのような方法としては、例えば、1級アミノ基を有するプレポリマーに、対応する無水物を反応して得る方法や、プレポリマー中の官能基と反応し結合を形成する官能基と一般式(1)で表される部分構造とを有する化合物を、プレポリマーと反応させる方法などが挙げられる。
一般式(3’)中、R、R、R、Z及びXは、前記一般式(3)におけるR、R、R、Z及びXとそれぞれ同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(3’)で表される単量体の好ましい例としては、以下に示す単量体(3’−1)〜(3’−11)を挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
単量体(3’−1)〜(3’−11)に代表される、一般式(1)で表される部分構造を含む単量体は、例えば、特開昭52−988号公報、特開平4−251258号公報等に記載の方法を参考に製造することができる。
本発明に係る(a)特定共重合体は、上記繰り返し単位(a−1)に加え、本発明の効果を損なわない限りにおいて他の繰り返し単位を含んでいてもよい。本発明のインク組成物を水系とする場合、或いは、親水性の有機溶媒を使用する場合には、親水性基を有する繰り返し単位(a−2)を含んでもよい。
(親水性基を有する繰り返し単位(a−2))
本発明における親水性基を有する繰り返し単位(a−2)に含まれる親水性基としては、特定共重合体の親水性を高める機能を有する基であれば特に限定されず、ノニオン性親水性基であってもよいし、イオン性親水性基(例えば、アニオン性親水性基又はカチオン性親水性基)であってもよい。なかでも、アルコール性水酸基、アルキル置換カルバモイル基、カルボキシル基、スルホ基、及びこれらの塩から選ばれる少なくとも一種の親水性基を有することが好ましい。
以下、繰り返し単位(a−2)が含みうる親水性基について説明する。
ノニオン性親水性基には、例えば、特に限定されないが、例えば、窒素原子又は酸素原子を含む複素環構造から水素原子を1個除いた残基、アミド基、カルバモイル基、アルキル置換カルバモイル基、アルコール性水酸基、又はポリアルキレンオキシ構造を有する基等のノニオン性親水性基が挙げられる。
窒素原子又は酸素原子を含む複素環構造から水素原子を1個除いた残基における該複素環構造としては、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;2−ピロリドン、エチレンウレア等の環状ウレア類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等の環状エーテル類;等が挙げられる。
アミド基としては、炭素数2〜10のアミド基が好ましく、アミド基における窒素原子には水素原子が結合していることが好ましい。
アルキル置換カルバモイル基としては、カルバモイル基が有する窒素原子に結合する水素原子がアルキル基で置換されたモノアルキルカルバモイル基、又は、カルバモイル基が有する窒素原子に結合する2つの水素原子がアルキル基で置換されたジアルキルカルバモイル基が挙げられる。該アルキル基は、更に水酸基等の置換基を有していてもよい。これらのアルキル置換カルバモイル基中でも、炭素数1〜8のアルキル基又は水酸基で置換された炭素数1〜4のアルキル基で置換されたモノアルキルカルバモイル基が好ましい。
ポリアルキレンオキシ構造を有する基としては、特に限定されないが、炭素数1から4のアルキレンオキシ基を繰り返し単位に有するポリアルキレンオキシ構造が好ましい。ポリアルキレンオキシ構造中のアルキレンオキシ基は1種であってもよいし、複数種のアルキレンオキシ基が組み合わされていてもよい。ポリアルキレンオキシ構造の末端基としては、水酸基又はアルコキシ基が好ましく、水酸基又はメトキシ基がより好ましい。
イオン性親水性基としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、ホスホン酸基、フェノール性水酸基、又は4級アンモニウム基等のイオン性親水性基が挙げられる。該イオン性親水性基は塩を形成していてもよい。
イオン性親水性基が塩を形成している場合、対塩としては、アルカリ金属塩(Li、Na、K等)、アンモニウム塩、ピリジニウム塩、ホスホニウム塩等のオニウム塩が挙げられる。この中でもアルカリ金属塩(Li、Na、K等)又はアンモニウム塩が好ましい。
これらの親水性基の中でも、アミド基、カルバモイル基、アルキル置換カルバモイル基、アルコール性水酸基、ポリアルキレンオキシ構造を有する基、カルボキシル基、スルホ基、及びこれらの塩が好ましく、アルコール性水酸基、アルキル置換カルバモイル基、カルボキシル基、スルホ基、及びこれらの塩であることが更に好ましい。また、特に好ましくは、カルボキシル基及びその塩である。
親水性基を有する繰り返し単位(a−2)としては、下記一般式(4)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
一般式(4)中、Rcyは水素原子又はメチル基を表す。Zは−COO−***、−CONRdy−***、又は、単結合を表し、Rdyは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。Rは、単結合、アルキレン基、アリーレン基及びアラルキレン基からなる群から選ばれる基を表す。Aは親水性基を表す。なお、***は、ZがRに結合する位置を表す。
一般式(4)について詳細に説明する。
一般式(4)中、Rcyは、水素原子又はメチル基を表す。
一般式(4)中、Zは、−COO−***、−CONRdy−***、又は単結合を表し、−COO−***であることが好ましい。なお、***は、ZがRに結合する位置である。
dyは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖構造であっても分岐構造であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基を表す。Rdyは、水素原子、又は炭素数1〜2のアルキル基(即ち、メチル基又はエチル基)であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
dyは、置換基を有していても、置換基を有していなくてもよいが、置換基を有していないことが好ましい。Rdyが有していてもよい置換基としては、炭素数6〜8のアリール基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子(F,Cl,Br,I等)等が挙げられる。
一般式(4)において、Rは、単結合、又は、アルキレン基、アリーレン基及びアラルキレン基からなる群から選ばれる基を表し、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基又は炭素数7〜20のアラルキレン基であることが好ましい。
が、アルキレン基、アリーレン基、及びアラルキレン基からなる群から選ばれる基である場合、これらの基は、置換基を有していても、置換基を有していなくてもよい。また、Rで表されるアルキレン基、アリーレン基、及びアラルキレン基は、その構造中に、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、又はウレタン結合が存在していてもよい。
一般式(4)において、Rは単結合であることが好ましい。
が、アルキレン基、アリーレン基、及びアラルキレン基からなる群から選ばれる基である場合、これらの基は、更に置換基を有していてもよい。該置換基としては、炭素数6〜8のアリール基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子(F,Cl,Br,I等)等が挙げられる。
が炭素数1〜20のアルキレン基である場合、該アルキレン基は直鎖構造であっても分岐構造であっても環状構造であってもよい。Rがアルキレン基である場合の炭素数は2〜12であることがより好ましく、炭素数2〜8であることがさらに好ましい。Rのアルキレン基の具体例としては、−CH−、−C−、−C(CH−CH−、−CHC(CHCH−、−C12−、−C(C)C−、C1836−、1,4−trans−シクロヘキシレン基、−C−OCO−C−、−C−OCO−、−C−O−C10−、−CH−O−C(C11)−、−C−CONH−C−、−C−OCONH−C12−、−CH−OCONHC1020−、−CHCH(OH)CH−、等が挙げられる。
が炭素数6〜20のアリーレン基である場合、該アリーレン基の炭素数は6〜18であることが好ましく、6〜14であることがさらに好ましく、6〜10であることが特に好ましい。Rで表されるアリーレン基の具体例としては、フェニレン基、ビフェニレン基、−C−CO−C−、ナフチレン基等が挙げられる。
が炭素数7〜20のアラルキレン基である場合、該アラルキレン基の炭素数は7〜18であることが好ましく、7〜14であることがさらに好ましく、7〜10であることが特に好ましい。Rで表されるアラルキレン基の具体例としては、−C−C−、−C−C−C−、−CH−C−C−C−、−C−OCO−C−等が挙げられる。
一般式(4)中のAで表される親水性基としては、既述の親水性基が挙げられ、好ましい範囲も同様である。
特定共重合体が、一般式(4)で表される繰り返し単位を有する場合、特定共重合体における一般式(4)で表される繰り返し単位の含有量は以下の通りである。
一般式(4)における親水性基Aがイオン性親水性基である場合、一般式(4)で表される繰り返し単位の含有量は、特定共重合体中、5質量%〜50質量%であることが好ましく、5質量%〜40質量%が更に好ましく、1質量%〜20質量%が特に好ましい。
一般式(4)における親水性基Aがノニオン性親水性基である場合、特定共重合体中、20質量%〜95質量%であることが好ましく、30質量%〜80質量%が更に好ましく、30質量%〜70質量%が特に好ましい。
一般式(4)で表される繰り返し単位は、下記一般式(4’)で表される単量体に由来するものであり、これら単量体を共重合成分として含むことで特定共重合体中に繰り返し単位(a−2)が導入される。
一般式(4’)における、Rcy、Z、R、及びAは、前記一般式(4)におけるRcy、Z、R、及びAとそれぞれ同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(4’)で表される単量体の好ましい例としては以下に示す単量体化合物を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されない。
メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−co−プロピレングリコール)(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート(メタ)アクリロイロキシエチルエチエンウレア、ビニルピロリドン、3−(メタ)アクリロイロキシ−γ―ブチロラクトン、アクリルアミド、tert−ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸テトラブチルアンモニウム、モノ(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、モノ(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸ナトリウム、モノ(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸ナトリウム、(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、ビニル安息香酸等が挙げられる。
一般式(4’)で表される単量体としては、市販の化合物を用いることができる他、一般的に知られている公知慣用の方法により製造することができる。
また、本発明においては、一般式(4’)で表される単量体の他に、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸及びその無水物、さらにこれらより誘導されるジカルボン酸塩も好ましく使用することができる。
特定共重合体における親水性基を有する繰り返し単位(a−2)の含有量は、親水性基の種類により好ましい含有量が異なるが、特定共重合体が水溶性を示す含有量とすることが好ましい。
ここで、特定共重合体が水溶性を示すとは、特定共重合体が、25℃の水に対して3質量%以上溶解できることを意味する。
特定共重合体が親水性基を有する繰り返し単位(a−2)を含む場合の該繰り返し単位(a−2)の含有量は、8質量%〜25質量%であることが好ましく、10質量%〜23質量%であることがより好ましく、10質量%〜20質量%であることがさらに好ましい。なお、本発明のインク組成物を非水系インク組成物とする場合には、(a)特定共重合体は必ずしも繰り返し単位(a−2)を含まなくてもよい。
親水性基を有する繰り返し単位(a−2)の含有量が上記範囲であることで、特定共重合体の極性がより適切に維持され、水系インク組成物において、形成された画像がより好適な耐水性を発現する。
特定共重合体には、親水性基を有する繰り返し単位(a−2)を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
(疎水性基を有する繰り返し単位(a−3))
特定共重合体は、疎水性基を有する繰り返し単位(a−3)を含んでいてもよい。本発明のインク組成物を非水系インク組成物とする場合には、繰り返し単位(a−3)を含むことが好ましい。また、水系のインク組成物とする場合においても、繰り返し単位(a−3)は形成された画像の耐水性向上に有用である。
疎水性の官能基を有する繰り返し単位を含むことで、特定共重合体の極性がより適切に維持され、インク組成物により形成されたインク画像は、さらに耐水性に優れるとともに、非吸収性の記録媒体への密着性にも優れるものとなる。
疎水性基を有する繰り返し単位(a−3)としては、繰り返し単位(a−3)のみで構成される重量平均分子量が10,000以上のホモポリマーの水への溶解度(25℃)が、1.0質量%未満であるビニルモノマー由来の繰り返し単位であることが好ましい。該ビニルモノマー由来の繰り返し単位であれば制限無く使用でき、なかでも(メタ)アクリル酸のアルキルエステル及び、アラルキルエステルから選ばれるモノマー由来の繰り返し単位が好適である。
なかでも、特定共重合体の極性を適切な範囲に調整するという観点から、疎水性基としては、アルキル基を有する総炭素数が5〜22のモノマーが好ましく、アルキル基を有する総炭素数8〜22のモノマーがより好ましく、アルキル基を有する総炭素数8〜14のモノマーがさらに好ましい。即ち、アルキルアクリレートの場合には、炭素数4〜19のアルキル基を有するエステルであり、炭素数4〜13のアルキル基を有するエステルが好ましい。アルキルメタクリレートの場合には、炭素数4〜18のアルキル基を有するエステルであり、炭素数4〜10のアルキル基を有するエステルが好ましい。
アルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖を有するものであって、環状であってもよい。また、ベンジル基などのアラルキルエステルやフェノキシエチル基であってもよい。
特定共重合体が含みうる疎水性基を有する繰り返し単位(a−3)を以下に例示するが、本発明における疎水性基を有する繰り返し単位(a−3)はこれらに限定されない。 疎水性基を有する繰り返し単位(a−3)の具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニルメタクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、スチレンやα−メチルスチレン、4−メチルスチレン等のスチレン類、クロロエチルビニルエーテル等のビニルエーテル類などが挙げられ、なかでも、総炭素数が5〜22の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類である、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが好ましく、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどがより好ましい。また、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
特定共重合体は、疎水性基を有する繰り返し単位(a−3)を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
疎水性基を有する繰り返し単位(a−3)は、共重合体の極性を低下させる観点から、特定共重合体中、5質量%〜72質量%の範囲が好ましく、20質量%〜65質量%がより好ましく、25質量%〜60質量%が最も好ましい。
本発明のインク組成物に含まれる特定共重合体の重量平均分子量は5,000〜150,000の範囲であることが、耐水性の観点から好ましく、インクジェット法に適用した際における吐出安定性を高める観点から、5,000〜100,000の範囲であることがより好ましい。
なお、特定共重合体の重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)で測定される。GPCは、HLC−8020GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用い、カラムオーブンの設定温度を40℃として測定する。分子量の算出には標準ポリスチレンを用いた。
以下に、特定共重合体の具体例〔例示化合物A−1〜A−6〕を、重量平均分子量及びSP値を併記して示すが、本発明における特定共重合体はこれらに限定されるものではない。なお、下記例示化合物において、a、b、c、d及びeを用いて示される共重合比は質量基準である。
特定共重合体は、例えば、一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位(a−1)を形成するための単量体と、任意に用いられる親水性基を有する繰り返し単位(a−2)を形成するための単量体と、任意に用いられる疎水性基を有する繰り返し単位(a−3)を形成するための単量体とを、公知の重合方法により重合し、必要に応じて酸性基をアルカリ金属の水酸化物等により中和することにより得ることができる。具体的には、例えば、特開昭52−988号公報、特開昭55−154970号公報、Langmuir 18巻14号5414〜5421頁(2002年)等に記載の重合方法に準じた方法で、特定共重合体を製造することができる。
本発明のインク組成物は、特定共重合体を1種のみ含有してもよいし、2種以上組み合わせて含有してもよい。
本発明のインク組成物における特定共重合体の含有量としては、インク組成物の全質量に対して、2質量%〜20質量%であることが好ましく、にじみ抑制と硬化性を高める観点からは、5質量%〜20質量%がより好ましく、5質量%〜15質量%が更に好ましい。
〔(b)下記一般式(2)で表される部分構造を分子内に2つ以上有する化合物(特定ジエン化合物)〕
本発明のインク組成物に含まれる特定ジエン化合物について詳細に説明する。
一般式(2)中、R及びRは、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、又はアシルオキシ基を表すか、或いは、RとRが互いに結合して環を形成する単結合、アルキレン基、及び−O−から選ばれる2価の連結基を表し、R及びRの双方が単結合であることはない。R、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアシルオキシ基を表し、R及びRのいずれか一方は、(b)一般式(2)で表される部分構造を分子内に2つ以上有する化合物における他の部分構造と結合する単結合又は2価の連結基を表す。なお、R、R、R及びRのうち2以上が互いに結合して環を形成することはない。これらの2以上が結合して環構造を形成すると硬化反応の反応性が低下し、本発明の優れた効果が得難い。
本発明において(a)特定共重合体が有する一般式(1)で表される部分構造は、Diels−Alder反応における求ジエン体であり、(b)特定ジエン化合物が有する前記一般式(2)で表される部分構造は共役ジエンである。前記一般式(2)で表される部分構造としては、一般式(1)で表される部分構造に含まれるマレイミド構造と、Diels−Alder反応する公知の構造であれば特に制限はなく、任意の構造が用いられる。
本発明に用いられる前記一般式(2)で表される共役ジエンとしては、一般的にDiels−Alder反応に用いられる公知の共役ジエンであれば任意に用いることができる。
前記一般式(2)においてR及びRで表される置換基としては、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアシルオキシ基であるか、或いは、RとRは互いに結合して環を形成する単結合又は2価の連結基であり、少なくともいずれかはアルキレン基又は、−O−である。
これらのなかでも、R及びRとしては、それぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、水素原子、炭素数1〜2のアルキル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基が好ましい。
また、R及びRが環を形成する2価の連結基である場合には、それぞれ独立に単結合、アルキレン基又は、−O−を表す。これらの中で、Rが炭素数1〜2のアルキレン基、又は、−O−であり、Rは単結合である態様、即ち、RとRとが互いに結合して、シクロペンタジエン環、シクロヘキサジエン環又はフラン環を形成する態様が好ましく、Rが−O−であり、且つ、Rは単結合である態様、即ち、RとRとが互いに結合してフラン環を形成する態様がより好ましい。
〜Rはアルキル基、アルコキシ基、又はアシルオキシ基であり、なかでも、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、又は炭素数1〜4のアシルオキシ基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基がより好ましい。また、R〜Rは環を互いに結合して環を形成しない。なお、R〜Rがそれぞれアルキル基、アルコキシ基、又はアシルオキシ基を表す場合、これらはさらに置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、水酸基、ハロゲン原子などが挙げられる。
ここで、R及びRのうちいずれか一方は、(b)特定ジエン化合物における他の部分構造と結合する2価の連結基又は単結合を表す。
本発明において、(b)特定ジエン化合物が低分子化合物である場合、(b)特定ジエン化合物は、下記一般式(2−2)又は一般式(2−3)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(2−2)中、Qはp価の連結基を表し、pは2以上の整数を表す。pは2〜6であることが好ましく、2〜4であることがより好ましく、2又は3であることがさらに好ましい。
一般式(2−3)中、Qはp価の連結基を表し、pは2以上の整数を表す。pは、2〜6であることが好ましく、2〜4であることがより好ましく、2又は3であることがさらに好ましい。
ここで、一般式(2−2)又は一般式(2−3)で表される化合物は、一般式(2)で表される共役ジエン構造が、連結基Q又はQに結合してなる、分子内に複数のジエン構造を有する化合物である。
連結基Q及びQはそれぞれ独立に、既述の一般式(2)で表される構造と連結可能な基であれば特に制限はない。Q及びQとしては、それぞれ、例えば、炭素数1から12の分岐又は直鎖のアルキル基からp個又はp個の水素を除した構造が挙げられ、Q及びQを形成するアルキル基は、その構造内にエーテル基、エステル基、アミノ基、アミド結合、シリルエーテル基、チオール基などを含むものであってもよい。
前記一般式(2−2)で表される化合物、及び一般式(2−3)で表される構造としては、例えば下記構造の化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明のインク組成物に用いられる(b)特定ジエン化合物は、高分子化合物である態様も好ましい。(b)特定ジエン化合物が高分子化合物であることで、一般式(2)で表されるジエン構造を化合物中に多数に導入することができるため、より硬化性が向上する。
一般式(2)で表される部分構造を高分子化合物が有する場合、その導入箇所は任意であり、主鎖の構成要素として含んでいてもよく、高分子の側鎖に含む所謂ペンダント構造で含んでいてもよく、高分子化合物の末端に含んでいてもよいが、当該部分構造の運動性がより良好となること、導入個数を制限し易いこと、一分子中に含まれる構造の数を増加しやすいこと、などの観点から、高分子化合物に、繰り返し単位として導入することが好ましい。
一般式(2)で表される構造を高分子化合物の繰り返し単位として含有させる場合には、一般式(2)で表される構造を有するモノマーを単独重合、又は共重合させて高分子化合物を得る方法や、高分子化合物の繰り返し単位に特定の官能基を有するものを用い、該官能基と共有結合を形成しうる部分構造と、一般式(2)で表される構造とを有する化合物を用いて、両者を反応させ、高分子化合物に一般式(2)で表される構造を導入する方法などが挙げられる。
本発明で(b)特定ジエン化合物として高分子化合物を用いる場合、合成中の安定性の観点から、一般式(2)で表される構造が、前記一般式(2−1)で表される構造であることが好ましい。一般式(2−1)で示す構造であれば、例えば、ビニルポリマーやポリウレタン、ポリエステル、ポリアミドを合成する際に、一般式(2−1)で表される構造を導入したモノマーを重合させた場合でも、副反応を起こすことがなく、容易に当該部分構造を高分子化合物中に導入可能である。なお、前記一般式(2−1)中、*は、繰り返し単位との結合部位を表す。前記一般式(2−1)で表される構造は、繰り返し単位の主鎖に、*で示す位置で直接結合していてもよく、主鎖に適切な連結基を介して結合していてもよく、側鎖に*で示す位置で結合していてもよい。一般式(2−1)で表される構造の運動性が良好であるという観点からは、当該構造は主鎖から原子数で2〜8程度離れた位置で連結していることが好ましく、即ち、主鎖に適切な連結基を介して結合していること、側鎖に結合していることが好ましい。
本発明で用いられる一般式(2−1)で表される部分構造を含む高分子化合物としては、例えば、下記化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明のインク組成物は、(b)特定ジエン化合物を1種のみ含有してもよいし、2種以上組み合わせて含有してもよい。
本発明のインク組成物における(b)特定ジエン化合物の含有量としては、(a)特定共重合体が有する一般式(1)で表される部分構造と、(b)特定ジエン化合物が有する一般式(2)で表される部分構造が、モル比で、9:1から2:1の範囲となる量であることが好ましく、8:1から3:1の範囲となる量であることがより好ましく、8:1から4:1の範囲となる量であることが好ましい。(b)ジエン化合物の含有量が上記範囲であることで、インク組成物における熱硬化と光硬化のバランスがより良好となり、硬化性、画像の滲み抑制が卯より改善される。
このように、(a)特定共重合体と(b)特定ジエン化合物とは別異の化合物としてインク組成物中に共存することが反応性の観点から重要であり、たとえば、一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位と一般式(2)で表される部分構造を有する繰り返し単位とを含む共重合体では、反応部位が固定されるために本発明の優れた効果は得難い。
(b)特定ジエン化合物は、たとえばフルフリルメタクリレートのような、(2−1)等の特定ジエン構造を有するビニルモノマーをラジカル重合やイオン重合等の公知の方法で重合する方法、特定ジエン構造を有するジオールやジアミンと、ジイソシアネートやジカルボン酸と重合し、特定ジエン構造を有するポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリアミドを合成する方法、官能基を有する高分子化合物に後反応により特定ジエン構造を導入する方法など、公知の方法を組み合わせて得ることができるほか、市販品としても入手可能であり、例えば、低分子化合物としては、東京化成工業社製の2,2−ジ(2−フリル)プロパン、東京化成工業社製のジフルフリルジスルフィド、東京化成工業社製のなどが挙げられる。
インク組成物中の(b)特定ジエン化合物の存在は、例えば、NMR等の解析手段により確認することができる。
〔(c)有機溶剤〕
本発明のインク組成物は有機溶剤を含有する。
<水溶性有機溶剤>
本発明のインク組成物を水系インク組成物とする場合には、有機溶剤として、水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。水系インク組成物は、(c)有機溶剤に加え、主たる溶剤して後述する(d)水をさらに含有することが好ましい。
ここで水溶性有機溶剤とは、25℃の水に対する溶解度が10質量%以上である有機溶剤をいう。
本発明で用いることのできる水溶性有機溶剤としては、例えば、下記のものが挙げられる。
・アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、
・多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール、2−メチルプロパンジオール等)、
・多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、
・アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、
・アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、メトキシプロピオンアミド、N−メチルメトキシプロピオンアミド、N,N−ジメチルメトキシプロピオンアミド、n−ブトキシプロピオンアミド、N−メチルn−ブトキシプロピオンアミド、N,N−ジメチルn−ブトキシプロピオンアミド等)、・複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、エチレンウレア等)、
・スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、
・スルホン類(例えば、スルホラン等)、
・その他(尿素、アセトニトリル、アセトン等)
好ましい水溶性有機溶剤としては、多価アルコールエーテル類、複素環類が挙げられ、これらを併用してもよい。
多価アルコールエーテル類では、いわゆるグリコールエーテル類が好ましく、具体的には、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルが好ましく、2−ジプロピレングリコールモノメチルエーテルが更に好ましい。
複素環類としては、2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、エチレンウレア等が好ましく、2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンが特に好ましい。
特に沸点の高い溶剤は好ましく用いることができ、常圧での沸点が120℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがさらに好ましい。
水溶性有機溶剤は、単独もしくは複数を併用してもよい。水溶性有機溶剤が添加される場合におけるインク組成物中の添加量としては、総量で1質量%〜60質量%が好ましく、より好ましくは2質量%〜35質量%である。
〔その他の成分〕
本発明のインク組成物には、必須成分である(a)特定共重合体、及び(b)特定ジエン化合物、(c)有機溶剤に加えて、本発明の効果を損なわない限りにおいて、水、着色剤、及び公知の添加剤を併用することができる。以下、本発明のインク組成物に使用しうるその他の成分について説明する。
〔(d)水〕
本発明のインク組成物は水を含有してもよい。本発明のインク組成物を水系インク組成物とする場合、水は主たる溶媒として含まれる。
(d)水としては、不純物を含まないイオン交換水、蒸留水などを用いることが好ましい。
本発明のインク組成物が水を含有する場合、水系インク組成物の主たる溶媒として含まれることから、その含有量は、10質量%〜97質量%であることが好ましく、30質量%〜95質量%であることがより好ましく、50質量%〜85質量%であることが最もより好ましい。
また、非水系インク組成物においても、併用成分の可溶性を向上させるなどの目的で、水を含んでもよく、その場合の好ましい含有量は、併用成分により適宜選択されるが、一般的には、5質量%以下であり、即ち、0質量%〜5質量%の範囲である。
〔(e)着色剤〕
本発明のインク組成物は、(e)着色剤を1種又は2種以上含有してもよく、着色剤を含有することにより着色インク組成物となる。
着色剤としては、染料及び顔料が挙げられ、耐熱性、耐光性、耐水性等の耐久性の観点からは、顔料であることが好ましい。
着色剤として顔料を用いる場合、該顔料は顔料分散物としてインク組成物に含有させることができる。着色剤として顔料分散物を用いることは、耐溶剤性向上の観点から好ましい。顔料分散物としては、顔料を顔料分散剤で分散したものの他、自己分散顔料も用いることができる。
(顔料)
着色剤として用いられる顔料としては、一般に用いられる有機顔料、無機顔料、さらには、樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いることができる。通常、市販されている顔料はいずれも使用でき、さらに、市販の顔料分散体や表面処理剤などで予め処理された顔料、例えば、顔料を分散媒としての不溶性の樹脂等に分散させたもの、あるいは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等も、本発明の効果を損なわない限りにおいて用いることができる。
これらの顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年刊)、W.Herbst,K.Hunger「Industrial Organic Pigments」、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報に記載の顔料が挙げられる。
本発明に用いうる有機顔料及び無機顔料としては、例えば、イエロー色を呈するものとして、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG等)、C.I.ピグメントイエロー74の如きモノアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー12(ジスアジイエロー等)、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー219の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー100(タートラジンイエローレーキ等)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー95(縮合アゾイエロー等)、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー166の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー115(キノリンイエローレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー18(チオフラビンレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー24(フラバントロンイエロー)の如きアントラキノン系顔料、イソインドリノンイエロー3RLT(Y−110)の如きイソインドリノン顔料、C.I.ピグメントイエロー138(キノフタロンイエロー)の如きキノフタロン顔料、C.I.ピグメントイエロー139(イソインドリンイエロー)の如きイソインドリン顔料、C.I.ピグメントイエロー153(ニッケルニトロソイエロー等)の如きニトロソ顔料、C.I.ピグメントイエロー117(銅アゾメチンイエロー等)の如き金属錯塩アゾメチン顔料、C.I.ピグメントイエロー120(ベンズイミダゾロンイエロー)C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー175、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー181、C.I.ピグメントイエロー194等の如きアセトロン顔料、C.I.ピグメントイエロー150の如きニッケルアゾ顔料等が挙げられる。これらのなかでも、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180などが好ましく用いられる。
赤あるいはマゼンタ色を呈するものとしては、例えば、C.I.ピグメントレッド3(トルイジンレッド等)の如きモノアゾ系顔料、C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド4、C.I.ピグメントレッド6等の如きB−ナフトール顔料、C.I.ピグメントレッド38(ピラゾロンレッドB等)の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントレッド53:1(レーキレッドC等)やC.I.ピグメントレッド57:1(ブリリアントカーミン6B等)、C.I.ピグメントレッド52:1、C.I.ピグメントレッド48(B−オキシナフト酸レーキ等)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントレッド144(縮合アゾレッド等)、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド214、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド242の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド174(フロキシンBレーキ等)、C.I.ピグメントレッド172(エリスロシンレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド81(ローダミン6G’レーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド177(ジアントラキノニルレッド等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド88(チオインジゴボルドー等)の如きチオインジゴ顔料、C.I.ピグメントレッド194(ペリノンレッド等)の如きペリノン顔料、
C.I.ピグメントレッド149(ペリレンスカーレット等)、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド190、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド224の如きペリレン顔料、C.I.ピグメントバイオレット19(無置換キナクリドン)、C.I.ピグメントレッド122(キナクリドンマゼンタ等)、C.I.ピグメントレッド262、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド209の如きキナクリドン顔料及び、前記複数のキナクリドン顔料の固溶体であるキナクリドン顔料、C.I.ピグメントレッド180(イソインドリノンレッド2BLT等)の如きイソインドリノン顔料、C.I.ピグメントレッド83(マダーレーキ等)の如きアリザリンレーキ顔料、C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド208の如きナフトロン顔料、C.I.ピグメントレッド247の如きナフトールAS系レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド21、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド256、C.I.ピグメントレッド268、C.I.ピグメントレッド269の如きナフトールAS顔料、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド27の如きジケトピロロピロール顔料等が挙げられる。これらのなかでも、C.I.ピグメントバイオレット19(無置換キナクリドン)、C.I.ピグメントレッド122(キナクリドンマゼンタ等)、C.I.ピグメントレッド262、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド209の如きキナクリドン顔料及び、これらのキナクリドン顔料を複数含む固溶体であるキナクリドン顔料等が好ましい。
青あるいはシアン色を呈する顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー25(ジアニシジンブルー等)の如きジスアゾ系顔料、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー16(フタロシアニンブルー等)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントブルー24(ピーコックブルーレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー1(ビクロチアピュアブルーBOレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー60(インダントロンブルー等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントブルー18(アルカリブルーV−5:1)の如きアルカリブルー顔料等が挙げられる。これらのなかでも、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6などの銅フタロシアニン顔料等が好ましい。
緑色を呈する顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン)、C.I.ピグメントグリーン36(フタロシアニングリーン)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントグリーン8(ニトロソグリーン)、C.I.ピグメントグリーン10等の如きアゾ金属錯体顔料等が挙げられる。
オレンジ色を呈する顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ66(イソインドリンオレンジ)の如きイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ51(ジクロロピラントロンオレンジ)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ2、C.I.ピグメントオレンジ3、C.I.ピグメントオレンジ5の如きΒ−ナフトール顔料、C.I.ピグメントオレンジ4、C.I.ピグメントオレンジ22、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ74等の如きナフトールAS顔料、C.I.ピグメントオレンジ61等の如きイソインドリノン顔料、C.I.ピグメントオレンジ43等の如きペリノン顔料、C.I.ピグメントオレンジ15、C.I.ピグメントオレンジ16等の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントオレンジ48、C.I.ピグメントオレンジ49等の如きキナクリドン顔料、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ62、C.I.ピグメントオレンジ60、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ72等の如きアセトロン顔料、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ34等の如きピラゾロン顔料、が挙げられる。
茶色を呈する顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラウン32等のナフトロン顔料などが挙げられる。
黒色を呈する顔料としては、例えば、カーボンブラック、チタンブラック、C.I.ピグメントブラック1(アニリンブラック)等の如きインダジン顔料、C.I.ピグメントブラック31、C.I.ピグメントブラック32の如きペリレン顔料等が挙げられる。これらのなかでも、カーボンブラックが好ましい。
白色顔料としては、例えば、塩基性炭酸鉛(2PbCOPb(OH)、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)などが利用可能であり、これらのなかでも、酸化チタンが好ましい。白色顔料に使用される無機粒子は単体でもよいし、例えば、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン等の酸化物や有機金属化合物、有機化合物との複合粒子であってもよい。
ここで、酸化チタンは他の白色顔料と比べて比重が小さく、屈折率が大きく化学的、物理的にも安定であるため、顔料としての隠蔽力や着色力が大きく、さらに、酸やアルカリ、その他の環境に対する耐久性にも優れている。したがって、白色顔料としては酸化チタンを利用することが好ましい。もちろん、必要に応じて他の白色顔料(列挙した白色顔料以外であってもよい。)を使用してもよい。
白色以外の顔料は、平均粒径が小さいほど発色性に優れるため、顔料分散物を白色以外の顔料分散物に適用する場合であれば、顔料分散物に含有される顔料の平均粒径は、0.01μm〜0.4μm程度であることが好ましく、さらに好ましくは0.02μm〜0.3μmの範囲である。
また、顔料の最大粒径は、3μm以下、好ましくは1μm以下がより好ましい。顔料の粒径は、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件の設定などにより調整することができる。また、本発明のインク組成物を、白色のインク組成物として調製する場合であれば、顔料分散物に含有される顔料の平均粒径は、充分な隠蔽性を与える観点から、0.05μm〜1.0μm程度であることが好ましく、さらに好ましくは0.1μm〜0.4μm程度である。白色の顔料分散物とする場合についても、顔料の最大粒径は、3μm以下、好ましくは1μm以下であることが好ましい。
(分散剤)
着色剤として顔料を用いる場合には、顔料粒子の分散物を調製する際に、必要に応じて顔料分散剤を用いてもよく、用いることのできる顔料分散剤としては、例えば、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の活性剤、あるいはスチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導体から選ばれた2種以上の単量体からなるブロック共重合体、ランダム共重合体及びこれらの塩を挙げることができる。
また、本発明のインク組成物には、自己分散顔料を用いることもできる。本発明でいう自己分散顔料とは、分散剤なしで分散が可能な顔料を指し、特に好ましくは、表面に極性基を有している顔料粒子である。
本発明でいう表面に極性基を有する顔料粒子とは、顔料粒子表面に直接極性基で修飾させた顔料、あるいは有機顔料母核を有する有機物で直接に又はジョイントを介して極性基が結合しているもの(以下、顔料誘導体という)をいう。
極性基としては、例えば、スルホン酸基、カルボン酸基、燐酸基、硼酸基、水酸基が挙げられるが、好ましくはスルホン酸基、カルボン酸基であり、更に好ましくは、スルホン酸基である。
このような表面に極性基を有する顔料粒子を得る方法としては、例えば、WO97/48769号公報、特開平10−110129号公報、特開平11−246807号公報、特開平11−57458号公報、同11−189739号公報、特開平11−323232号公報、特開2000−265094公報等に記載の顔料粒子表面を適当な酸化剤で酸化させることにより、顔料表面の少なくとも一部に、スルホン酸基もしくはその塩といった極性基を導入する方法が挙げられる。具体的には、カーボンブラックを濃硝酸で酸化したり、カラー顔料の場合は、スルフォランやN−メチル−2−ピロリドン中で、スルファミン酸、スルホン化ピリジン塩、アミド硫酸などで酸化したり、することにより調製することができる。これらの反応で、酸化が進みすぎ、水溶性となってしまった物は除去、精製することにより、顔料分散体を得ることができる。また、酸化によりスルホン酸基を表面に導入した場合は、酸性基を必要に応じて、塩基性化合物を用いて中和してもよい。
そのほかの表面に極性基を有する顔料粒子を得る方法としては、特開平11−49974号公報、特開2000−273383公報、同2000−303014公報等に記載の顔料誘導体をミリングなどの処理で顔料粒子表面に吸着させる方法や、顔料を顔料誘導体と共に溶剤で溶解した後、貧溶剤中で晶析させる方法等を挙げることができ、いずれの方法でも容易に、表面に極性基を有する顔料粒子を得ることができる。
顔料表面における極性基は、フリーでも塩の状態でもよいし、あるいはカウンター塩を有していてもよい。カウンター塩としては、例えば、無機塩(リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ニッケル、アンモニウム)、有機塩(トリエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、ピリジニウム、トリエタノールアンモニウム等)が挙げられ、好ましくは1価の価数を有するカウンター塩である。
本発明のインク組成物全量に対する着色剤の含有量は、0.5質量%〜10質量%が好ましく、0.5質量%〜5質量%が更に好ましい。
本発明のインク組成物は、既述のように、重合開始剤を含まない系においても良好な性能を発現しうるが、重合開始剤や後述する他の重合性化合物を含有する系に適用してもよい。
〔重合開始剤〕
本発明のインク組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、重合開始剤を1種又は2種以上含有してもよい。重合開始剤は水溶性であることが好ましく、水溶性の程度としては、25℃において蒸留水に0.5質量%以上溶解することが好ましく、1質量%以上溶解することが好ましく、3質量%以上溶解することが特に好ましい。本発明における重合開始剤は、熱重合開始剤であっても、光重合開始剤であってもよいが、光重合開始剤であることが好ましい。また、非水性の重合開始剤を分散した状態でも用いることができる。
本発明における光重合開始剤としては、α−ヒドロキシケトン類、α−アミノケトン類及びアシルフォスフィンオキシド類からなる群より選択される重合開始剤を用いることが好ましい。具体的には、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル]−1−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等の水溶性の重合開始剤や、[ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシド]の非水性の重合開始剤も用いることができる。
また、光重合開始剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、Irgacure 29595(商品名)(1−[4−(2−ヒドロキシエチル)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル]−1−プロパン−1−オン、BASF社製)、Darocure1173(商品名)(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、BASF社製)、Irgacure 817DW(商品名)([ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシド]の水分散物、BASF社製)などが挙げられる。
本発明のインク組成物における重合開始剤の含有量は、インク組成物の全量に対して、0質量%〜10質量%が好ましく、0.1質量%〜6質量%がより好ましく、0.5質量%〜4質量%が好ましい。
〔ラジカル重合性化合物〕
本発明のインク組成物には(a)特定共重合体、(b)特定ジエン化合物に加え、本発明の効果を損ねない範囲で、さらに、ラジカル重合性化合物を含有してもよい。
本発明のインク組成物に用いられるラジカル重合性化合物は、ラジカルによって重合反応が進行する化合物であれば何ら限定されない。
ラジカル重合性化合物は、1種又は複数を混合して用いることができる。また、ラジカル重合性化合物は、単官能化合物であっても、多官能化合物であってもよい。単官能化合物の割合が大きいと硬化物は柔軟になりやすく、多官能化合物の割合が大きいと硬化性に優れる傾向がある。従って、単官能化合物と多官能化合物の割合は用途に応じて任意に決定されるものである。
本発明に用いうる任意成分としてのラジカル重合性化合物としては、例えば、一般式(1)で表される部分構造や重合開始剤から発生する開始種により重合反応を生じる各種公知のラジカル重合性化合物を使用することができる。
ラジカル重合性化合物としては、ラジカル重合性モノマーだけでなく、ラジカル重合性オリゴマーを添加することもできる。ラジカル重合性オリゴマーとは、オリゴマーの末端に少なくとも1つのラジカル重合性基を有する化合物であり、重量平均分子量が400〜10,000の範囲の化合物をいう。
ラジカル重合性化合物としては、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物が好適に挙げられる。より具体的には、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物である。
ラジカル重合性化合物の一例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステル及びこれらの塩;エチレン性不飽和基を有する無水物;(メタ)アクリルアミド;スチレン誘導体;ビニルエーテル類、N−ビニル等が挙げられる。
ラジカル重合性化合物は、特に、ラジカル重合性単官能モノマーとラジカル重合性多官能モノマーとが挙げられる。
ラジカル重合性単官能モノマーとしては、下記(2−1−1)〜(2−1−27)に記載の重合性化合物の他、アクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、2−ヒドロキシメチルアクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、3−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、メトキシオリゴエチレンングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレンングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどを使用することができる。
ラジカル重合性多官能モノマーとしては、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス[2−(メタクリロイロキシ)エチル]ホスフェート等の(メタ)アクリレート類や、メチレンビスアクリレート、4,7,10−トリオキサ−1,13−トリデカンビスアクリルアミドなどのアクリルアミド類、トリエチレングリコールジビニルエーテルなどのビニルエーテル類等の公知の化合物を使用することができる。
また、上記以外のラジカル重合性多官能モノマーとして、以下の化合物も挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
ラジカル重合性オリゴマーとしては、ポリエステルオリゴマー、ウレタンオリゴマー、変性ポリエーテルオリゴマー、アクリルオリゴマー、エポキシオリゴマーから選ばれる少なくとも1つ以上を使用することが好ましい。
ラジカル重合性化合物は、(メタ)アクリロイルオキシ基又は(メタ)アクリルアミド基を有することが好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基又は(メタ)アクリルアミド基を複数有することがさらに好ましい。
ここで、(メタ)アクリロイルオキシ基とは、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基の少なくとも1つを表し、(メタ)アクリルアミド基とは、アクリルアミド基及びメタクリルアミド基の少なくとも1つを表す。
本発明で好ましく用いられる(メタ)アクリロイルオキシ基を有するラジカル重合性化合物は、下記一般式(M−1)で表される化合物であることがさらに好ましい。
一般式(M−1)中、Qはn価の連結基を表し、R1mは水素原子又はメチル基を表す。また、nは1以上の整数を表す。
一般式(M−1)で表される化合物は、不飽和単量体が、エステル結合により連結基Qに結合したものである。R1mは、水素原子、又はメチル基をあらわし、好ましくは水素原子である。連結基Qの価数nとしては、n=2以上が好ましく、n=2以上6以下がより好ましく、n=2以上4以下がさらに好ましい。
また、連結基Qは(メタ)アクリロイルオキシ構造と連結可能な基であれば特に制限はない。具体的には、下記の化合物群Xからn個の水素原子又はヒドロキシル基が除去された残基を挙げることができる。
−化合物群X−
エチレングリコール、エジレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、3−メチル、1,5−ペンタンジオール、2−メチル,2,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,4−ブタンジオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジトリメチロールプロパン、ジトリメチロールエタン、チオジグリコール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、及びこれらの縮合体、糖類などのポリオール類、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンジアミンなどのポリアミン類。
さらに、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン基等の炭素数4以下の置換又は無置換のアルキレン鎖、更にはピリジン環、イミダゾール環、ピラジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環などの飽和もしくは不飽和のヘテロ環を有する官能基などを例示することができる。
連結基Qとしては、これらの中でも、オキシアルキレン基(好ましくは、オキシエチレン基)を含むポリオール類の残基であることが好ましく、オキシアルキレン基(好ましくは、オキシエチレン基)を3以上含むポリオール類の残基であることが特に好ましい。
本発明で好ましく用いられる(メタ)アクリルアミド基を有するラジカル重合性化合物は、下記一般式(M−2)で表される化合物であることがさらに好ましい。
一般式(M−2)中、Qはn価の連結基を表し、R2mは水素原子又はメチル基を表す。また、nは1以上の整数を表す。
一般式(M−2)で表される化合物は、不飽和単量体が、アミド結合により連結基Qに結合したものである。R2mは、水素原子、又はメチル基をあらわし、好ましくは水素原子である。連結基Qの価数nとしては、n=2以上が好ましく、n=2以上6以下がより好ましく、n=2以上4以下がさらに好ましい。
また、連結基Qは(メタ)アクリルアミド構造と連結可能な基であれば特に制限はない。具体的には上述の化合物群Xからn個の水素原子又はヒドロキシル基が除去された残基をあげることができる。
連結基Qとしては、これらの中でも、オキシアルキレン基(好ましくは、オキシエチレン基)を含むポリオール類の残基であることが好ましく、オキシアルキレン基(好ましくは、オキシエチレン基)を3以上含むポリオール類の残基であることが特に好ましい。
本発明のインク組成物が、さらに、ラジカル重合性化合物を含有する場合、その含有割合は、硬化性の観点から、インク組成物の全質量に対し、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がより好ましい。
〔界面活性剤〕
本発明のインク組成物は、界面活性剤を含有することができる。
好ましく使用される界面活性剤としては、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。特にアニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤を好ましく用いることができる。
また、本発明においては、高分子界面活性剤も用いることができ、以下の水溶性樹脂が、好ましい高分子界面活性剤として挙げられる。水溶性樹脂として好ましく用いられるのは、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等を挙げることができる。
また、本発明にはポリアルキルシロキサンを有するシリコーン系界面活性剤や、フッ化アルキル基を有するフッ素系界面活性剤などを好ましく用いることができる。フッ素系界面活性剤は、市販品としても入手可能であり、例えば、ZONYL FSN(商品名:Aldrich社)などが挙げられる。
本発明のインク組成物において、界面活性剤を用いる場合、その含有量は、インク組成物の固形分に対して0.1質量%以上5質量%以下であることが好ましい。
〔増感色素〕
本発明においては、公知の増感色素を併用することができ、増感色素を併用することが好ましい。増感色素の溶解性としては、蒸留水に対して室温において、0.5質量%以上溶解するものが好ましく、1質量%以上溶解するものがより好ましく。3質量%以上溶解するものが特に好ましい。また、増感色素としては、非水溶性の増感色素を分散して用いることもできる。
併用しうる公知の増感色素の例としては、N−[2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアルミウムクロリド、ベンゾフェノン、チオキサントン、アントラキノン誘導体及び3−アシルクマリン誘導体、ターフェニル、スチリルケトン及び3−(アロイルメチレン)チアゾリン、ショウノウキノン、エオシン、ローダミン及びエリスロシンや、これらを水溶化した変性体やこれらの分散体などが挙げられる。また、特開2010−24276号広報に記載の一般式(i)で表される化合物や、特開平6−107718号広報に記載の一般式(I)で表される化合物も、好適に使用できる。
本発明のインク組成物には、上述した各構成要素に加えて、必要に応じて、吐出安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、公知の各種添加剤、例えば、粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、防腐剤、分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤、固体湿潤剤、シリカ微粒子等を適宜選択して用いることができ、例えば、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等の油滴微粒子、特開昭57−74193号公報、特開昭57−87988号公報及び特開昭62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号公報、特開昭57−87989号公報、特開昭60−72785号公報、特開昭61−146591号公報、特開平1−95091号公報及び同3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号公報、特開昭59−52689号公報、特開昭62−280069号公報、特開昭61−242871号公報及び特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤等を挙げることができる。
<インク組成物の調製方法>
本発明のインク組成物の調製方法としては、特に制限はなく、各成分を、ボールミル、遠心ミル、遊星ボールミルなどの容器駆動媒体ミル、サンドミルなどの高速回転ミル、撹拌槽型ミルなどの媒体撹拌ミル、ディスパーなどの簡単な分散機により撹拌、混合し、分散させることにより調製することができる。各成分の添加順序については任意である。好ましくは、顔料、高分子分散剤及び有機溶剤をプレミックスした後に分散処理し、得られた分散物を、特定共重合体を含む樹脂、水、及び有機溶剤とともに混合する。この場合、添加時や添加後、スリーワンモーター、マグネチックスターラー、ディスパー、ホモジナイザーなどの簡単な撹拌機にて均一に混合する。ラインミキサーなどの混合機を用いて混合してもよい。また、分散粒子をより微細化するために、ビーズミルや高圧噴射ミルなどの分散機を用いて混合してもよい。また、顔料や高分子分散剤の種類によっては、顔料分散前のプレミックス時に樹脂を添加するようにしてもよい。
本発明のインク組成物は、25℃における表面張力が20mN/m〜40mN/mであることが好ましい。表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学(株)製)を用い、25℃の条件下で測定されるものである。また、粘度は、1mPa・s〜40mPa・sが好ましく、3mPa・s〜30mPa・sがより好ましい。インク組成物の粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYOCO.LTD製)を用い、25℃の条件下で測定されるものである。
<画像形成方法>
本発明の画像形成方法は、本発明のインク組成物を記録媒体上に付与するインク付与工程と、記録媒体上に付与されたインク組成物を、60℃以上の熱源を用いて乾燥させ、インク組成物に含まれる液状成分の少なくとも一部を除去する乾燥工程と、前記付与し、乾燥されたインク組成物に活性エネルギー線を照射する照射工程とを含む。これらの工程を行うことで、記録媒体上に定着したインク組成物による画像が形成される。
(インク付与工程)
以下、本発明の画像形成方法における、インク付与工程について説明する。
本発明におけるインク付与工程は、本発明のインク組成物を記録媒体上に付与する工程であれば限定されない。
記録媒体上に本発明のインク組成物を付与する態様としては、インクジェット法によるインク組成物を記録媒体上に付与する態様が特に好ましい。
本発明の画像形成方法において、インク付与工程においてインクジェット法が適用される場合に用いられるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、目的とする解像度を達成し得る公知のインクジェット記録装置を任意に選択して使用することができる。すなわち、市販品を含む公知のインクジェット記録装置であれば、いずれも、本発明の画像形成方法における記録媒体へのインク組成物の吐出を実施することができる。
本発明で用いることのできるインクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、加熱手段を含む装置が挙げられる。
インク供給系としては、例えば、本発明のインク組成物を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルタ、ピエゾ型のインクジェットヘッド等が挙げられる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、好ましくは1〜100pl、より好ましくは8〜30plのマルチサイズドットを、好ましくは320×320〜4,000×4,000dpi(dot per inch)、より好ましくは400×400〜1,600×1,600dpi、さらに好ましくは720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm(1inch)当たりのドット数を表す。
インク付与工程において、吐出されるインク組成物は、一定温度にすることが望ましいことから、インクジェット記録装置には、インク組成物温度の安定化手段を備えることが好ましい。一定温度にする部位はインクタンク(中間タンクがある場合は中間タンク)からノズル射出面までの配管系、部材の全てが対象となる。すなわち、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までは、断熱及び加温を行うことができる。
温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク組成物の流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近に設けることができる。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断若しくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンタ立上げ時間を短縮するため、あるいは熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
上記のインクジェット記録装置を用いたインク組成物の吐出、インク組成物を好ましくは25〜80℃、より好ましくは25〜50℃に加熱して、インク組成物の粘度を、好ましくは3mPa・s〜15mPa・s、より好ましくは3mPa・s〜13mPa・sに下げた後に行うことが好ましい。特に、本発明のインク組成物として、25℃におけるインク組成物の粘度が50mPa・s以下であるものを用いると、良好に吐出が行えるので好ましい。この方法を用いることにより、高い吐出安定性を実現することができる。
吐出時のインク組成物の温度は一定であることが好ましく、インク組成物の温度の制御幅は、より好ましくは設定温度の±5℃、更に好ましくは設定温度の±2℃、最も好ましくは設定温度±1℃とすることが適当である。
本発明において、記録媒体としては、特に限定されず、支持体や記録材料として公知の記録媒体を使用することができる。記録媒体としては、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上述した金属がラミネートされ又は蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。
本発明のインク組成物は、(a)特定共重合体を含有し、にじみを抑制できることから、非浸透性の記録媒体に対しても好適に使用することができる。ここで、非浸透性の記録媒体とは、表面にインク組成物を付与した場合において、内部にインク組成物が浸透しない性質を有する記録媒体を意味する。
非浸透性の記録媒体としては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン等のプラスチック基材が好ましく、ポリ塩化ビニル樹脂基材がより好ましく、ポリ塩化ビニル樹脂シート又はフィルムがさらに好ましい。
(乾燥工程)
本発明の画像形成方法は、インク付与工程後であって照射工程前に、更にインク乾燥工程(「加熱乾燥工程」とも称する。)を有する。乾燥工程は、記録媒体上に付与されたインク組成物を、60℃以上の熱源を用いて乾燥させ、インク組成物に含まれる液状成分の少なくとも一部を除去する工程であり、本工程における乾燥とは、必ずしも溶媒などの液状成分が完全に除去されることを意味する物ではない。なお、熱源の温度の上限は特に限定されないが、非吸収性の記録媒体として樹脂シートなどを用いる場合には、記録媒体の変形抑制などの観点から、120℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがさらに好ましい。
加熱乾燥工程において、記録媒体上に吐出されたインク組成物は、加熱手段により、(c)有機溶剤及び必要に応じて併用される水が蒸発され、インク組成物に含まれる液体の量が減少される。
吐出された本発明のインク組成物に熱を加えて乾燥させる工程(加熱乾燥工程)について説明する。
加熱手段としては、(c)有機溶剤及び必要に応じて併用される水を乾燥させることができればよく、特に限定されないが、ヒートドラムやヒート板などにより、支持体裏面から接触加熱する方法、温風、赤外線ランプ、熱オーブンなどによる非接触加熱などを使用することができる。非接触加熱の場合、通常は、インク画像形成面側から加熱されるが、さらに、インク画像の非形成面からも加熱してもよく、加熱ゾーン内を搬送することで加熱してもよい。
加熱温度は、60℃以上であり、60℃〜100℃程度がより好ましく、60℃〜80℃程度が更に好ましい。加熱乾燥工程により、インク画像の温度が上昇し、(a)特定共重合体における一般式(1)で表される部分構造と(b)特定ジエン化合物が有する一般式(2)で表される共役ジエン構造との間において、Diels−Alder反応が生起し、架橋構造が形成される。この反応は発熱反応であるために、Diels−Alder反応自体が順次促進されて連鎖的に反応が進行すると共に、インク画像の温度が上昇するため、引き続き行われる露光による硬化反応が効率よく進行される。このため、低エネルギー露光によっても高感度で硬化反応が進行することになる。
本明細書において乾燥工程における加熱温度とは、支持体表面の温度を測定して得た値である。支持体表面の温度の測定は、接触式熱電対温度計、非接触式温度計などにより常法により測定される。
乾燥/加熱時間は、用いるインク組成物の組成・印刷速度を加味して適宜設定することができる。
乾燥工程により有機溶媒などが減少したインク組成物は、照射工程において活性エネルギー線を照射して、さらに光定着される。
(照射工程)
以下、本発明の画像形成方法における、照射工程について説明する。
本発明における照射工程は、前記記録媒体上に付与されたインク組成物に活性エネルギー線を照射する工程であれば限定されない。
照射工程で用いることができる活性エネルギー線としては、紫外線(以下、UV光とも称する)、可視光腺、電子線等をあげることができ、UV光を使用することが好ましい。
UV光のピーク波長は、必要に応じて用いられる増感色素の吸収特性にもよるが、例えば、200nm〜405nmであることが好ましく、220nm〜390nmであることがより好ましく、220nm〜350nmであることが更に好ましい。本発明では増感色素や光重合開始剤を併用しない場合は200nm〜310nmであることが好ましく200nm〜280nmがより好ましい。
UV光は、露光面照度が、例えば、10mW/cm〜2,000mW/cm、好ましくは、20mW/cm〜1,000mW/cmで照射されることが適当である。なお、既述のように、乾燥工程により架橋反応が促進されるために、例えば、20mW/cm〜400mW/cm程度の低エネルギー付与によっても効率的に硬化反応が進行することが本発明の特徴の一つであるといえる。
UV光源としては、水銀ランプやガス・固体レーザー等が主に利用されており、水銀ランプ、メタルハライドランプやUV蛍光灯が広く知られている。また、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用であり、LED(UV−LED)、LD(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、UV光源として期待されている。本発明では増感色素や光重合開始剤を併用する場合は、メタルハライドランプや、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、UV−LEDが好ましく、増感色素や光重合開始剤を併用しない場合は、中圧水銀ランプや低圧水銀ランプが好ましく、特に低圧水銀ランプが好ましい。
照射工程においては、記録媒体上に付与された本発明のインク組成物が、このようなUV光に、例えば、0.01秒間〜120秒間、好ましくは、0.1秒間〜90秒間照射されることが適当である。
照射条件並びに基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されているに開示されている照射条件及び照射方法を本発明においても同様に適用することができる。具体的には、インクの吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニットと光源を走査する方式や、駆動を伴わない別光源によって行われる方式が好ましい。活性エネルギー線の照射は、インク着弾、加熱乾燥後、一定時間(例えば、0.01秒間〜120秒間、好ましくは、0.01秒間〜60秒間)をおいて行われることになる。
[印画物]
本発明の印画物は、本発明のインク組成物により形成された画像、或いは、本発明の画像形成方法によって形成された画像を有することを特徴とする。本発明の印画物は、にじみが低減され、耐溶剤性に優れた画像を有する。
このため、本発明のインク組成物、或いは、本発明の印画物は、一般的な用途に加え、加熱成形を行う成形品の形成用途にも好適に使用しうる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
実施例に用いる特定共重合体A−1〜A−5、比較用ポリマーC−1、特定ジエン化合物B−1及びB−2を、以下の通り合成した。
なお、特定共重合体A−1〜A−6は、特定共重合体の例示化合物A−1〜A−6として前掲した化合物である。特定ジエン系化合物B−1〜B−3の構造は以下に示す。
[合成例1:特定共重合体A−1〜A−5の合成]
<モノマー1及び2の合成>
トルエン75g、ジメチルマレイン酸無水物42.0g(シグマアルドリッチジャパン社製)をDean−Stark蒸留管を具備した500mlの三口フラスコに導入し、攪拌機(新東科学(株):スリーワンモータ)にて攪拌しながら加熱して50℃まで昇温した。3−アミノ−1−プロパノール 25.0gを30分かけて滴下後、4時間撹拌した。60℃まで降温後、p−メトキシフェノール0.042g(和光純薬製)と硫酸6.2g(和光純薬製)を添加し、さらにメタクリル酸(和光純薬製)43.0gを30分で滴下した。滴下終了後、溶媒が還流するまで昇温し、3時間反応した。反応溶液に50w/v%水酸化ナトリウム水溶液(和光純薬製)29gで中和後、トルエン200mlと水100mlを加え分液した。有機層を飽和食塩水で2度洗浄後、有機層にp−メトキシフェノール30mgを加え真空減圧により溶媒留去し、前記モノマー1を64.5g得た。
前記のモノマー3はモノマー1の合成に用いた3−アミノ−1−プロパノールの代わりに、6−アミノプロパノールを用い、同様の操作で合成した。各目的物の生成はH NMRにて確認した。
<特定共重合体A−1の合成>
2−ピロリドン(和光純薬製) 20gを窒素置換した200mLの前記撹拌機を具備した三口フラスコに添加した。窒素気流下で80℃に昇温後、2−ピロリドン 20g、前記モノマー1 10.0g、メタクリル酸n−ブチル 6.8g(和光純薬製)、メタクリル酸 3.2g、3−メルカプトプロピオン酸 0.030g(東京化成工業製)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル(和光純薬製)0.079gの混合液を3時間かけて滴下した。滴下後、2時間後、4時間後にそれぞれ0.050gの、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチルを加え、さらに2時間反応を行った。次いで、200mlのナス型フラスコに得られた溶液30g、0.70gの炭酸水素ナトリウム(和光純薬製)及び水20gを加え60℃で撹拌した。ポリマーの溶解後、加水により固形分20%に調整し、特定共重合体A−1の水性溶液を得た。また、重合後の溶液をGPC測定し、重量平均分子量が72,300であることを確認した。
<特定共重合体A−2〜A−6の合成>
特定共重合体A−2〜A−6については、各共重合体の構造式として記載した構造になるように、原料モノマー、メルカプトプロピオン酸の量を適宜調整して重合し、所定の中和度になるように炭酸水素ナトリウムの量を調整して、それぞれ20%の水性溶液として得た。
[合成例2:比較用ポリマーC−1の合成]
2−ピロリドン7.00gを窒素置換した500mLの前記撹拌機を具備した三口フラスコに添加した。窒素気流下で80℃に昇温後、2−ピロリドン7.0g、メタクリル酸10.0g 3−メルカプトプロピオン酸0.022g、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル0.02gの混合液を2時間かけて滴下した。滴下後、2時間後、4時間後にそれぞれ0.013gの、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチルを加え、さらに90℃で2時間反応を行った。次いで、グリシジルメタクリレートを8.75g、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.05g、p−メトキシフェノール0.05g、2−ピロリドン15.0g加えと60℃で2時間反応した。さらに、炭酸水素ナトリウム4.59g、水40.1g、2−ピロリドン11.1gを加え、50℃で2時間加熱し、20%の比較用ポリマーC−1(構造は後記する。)の水性溶液を得た。
[合成例3:特定ジエン化合物B−1、B−2の合成、特定ジエン化合物B−3の入手]
フラン基を有するモノマーとして、フルフリルメタクリレート(和光純薬工業社製)を用いた以外は、合成例1に示されるポリマーA−1を合成したのと同様の方法で、下記構造のポリマーB−1及びポリマーB−2を合成した。得られた特定ジエン化合物B−1及びB−2はH−NMRとGPCの測定を行い、目的の構造のポリマーの生成と、重量平均分子量がB−1が21,000であり、B−2が35,000であることを確認した。
特定ジエン化合物B−3は、2,2−ジ(2−フリル)プロパン(東京化成工業社製)を用いた。
[マゼンタ顔料分散剤の調製]
マゼンタ顔料CINQUASIA MAGENTA RT355(キナクリドンの混晶、BASF社製)40質量部、ジエチレングリコールジエチルエーテル(和光純薬工業社製)49質量部、SOLSPERSE 32000(商品名:ポリエステル系高分子分散剤、日本ルーブリゾール(株)製) 11質量部を、撹拌機で均一になるまで撹拌し、顔料の予備分散液を調製した。得られた予備分散液を、さらに縦型ビーズミル(アイメックス(株)製、レディーミル)で0.1mmジルコニアビーズを用いて3〜6時間分散し、マゼンタ顔料分散物を作製した。得られた顔料分散物における顔料粒子の体積平均粒子径を、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用いて、動的光散乱法により体積平均粒径を測定すると、180nmであった。この顔料分散物を用いる場合、下記表1〜表2には、「M分散物」と記載する。
その他の着色剤は以下に示す市販品を用いた。
・固形分濃度14%のマゼンタ色の顔料分散物(商品名:Projet Magenta APD 1000、富士フイルムイメージングカラーラント株式会社製)
・固形分濃度14%のシアン色の顔料分散物(商品名:Projet Cyan APD 1000(富士フイルムイメージングカラーラント株式会社製)
・ブラック色の顔料分散物(商品名:Projet Black APD 1000、富士フイルムイメージングカラーラント株式会社製)
・固形分濃度14%のイエロー色の顔料分散物(商品名:Projet Yellow APD 1000、富士フイルムイメージングカラーラント株式会社製)
[実施例1〜13、比較例1〜5]
1.インク組成物の調製
(a)特定共重合体又は比較高分子化合物、(b)特定ジエン化合物、(c)有機溶剤、(d)水、(e)着色剤、界面活性剤を、下記表1〜表2に示す組成になるように、ミキサー(シルバーソン社製L4R)を用いて、250回転/分にて混合撹拌し、粗インク組成物をそれぞれ調製した。
得られた各粗インク組成物を、プラスチック製のディスポーザブルシリンジに詰め、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)製の孔径5μmフィルタ(ミリポア社製のMillex−SV、直径25mm)にて濾過して完成品である実施例1〜13、比較例1〜8のインク組成物を得た。
[実施例14〜15、比較例6〜7]
1.インク組成物の調製
(a)特定共重合体又は比較高分子化合物、(b)特定ジエン化合物、(c)有機溶剤、(e)着色剤を、下記表2に示す組成になるように、ミキサー(シルバーソン社製L4R)を用いて、250回転/分にて混合撹拌し、粗インク組成物をそれぞれ調製した。
得られた各粗インク組成物を、プラスチック製のディスポーザブルシリンジに詰め、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)製の孔径5μmフィルタ(ミリポア社製のMillex−SV、直径25mm)にて濾過して完成品である実施例14〜15、比較例6〜7のインク組成物を得た。
なお、表1〜表2中の「−」は、該当欄に示される成分がインク組成物中に含有されていないことを表す。
実施例1〜15、比較例1〜7に用いた各化合物の詳細を以下に示す。
なお、以下に示される(a)特定共重合体及び比較用ポリマーに併記した各構造単位の組成比は質量基準である。
<(a)特定共重合体>
合成例1にて得られた特定特定共重合体A−1〜A−6を用いた。

<比較用ポリマー>
合成例2にて得られた比較用ポリマーC−1(下記構造)を用いた。
<(b)特定ジエン化合物>
合成例2にて得られた高分子化合物である特定ジエン化合物B−1及びB−2と、低分子化合物である特定ジエン化合物B−3の構造を以下に示す。
(c)有機溶剤
・2−ピロリドン(和光純薬工業株式会社製)
・γ−ブチロラクトン(BASFジャパン(株)製)
・2−メチル−1,3−プロパンジオール(東京化成工業(株)製)
・ジエチレングリコールジエチルエーテル(東京化成工業(株)製)
<(d)水>
(d)水としては、イオン交換水を用いた。
<界面活性剤>
・ZONYL FSN(商品名:フッ素系界面活性剤、Aldrich社)
得られた各実施例のインク組成物の粘度を、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYOCO.LTD製)を用いて測定したところ、いずれも室温(25℃)で4mPa・s〜10mPa・sの範囲であった。
また、得られた各実施例のインク組成物の表面張力を、Automatic Surface Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学(株)製)を用いて測定したところ、いずれも室温(25℃)で20mN/m〜40mN/mの範囲であった。
2.評価
得られた実施例及び比較例の各インク組成物を用いて、以下に示す評価を行なった。評価結果を表1〜表2に示す。
<にじみ抑制評価>
インクジェット記録装置として、市販のインクジェットプリンタ(富士フイルムダイマティックス社製、製品名:DMP−2831)を用意した。
得られた各インク組成物を上記インクジェットプリンタに装填し、35℃で加熱したポリ塩化ビニル製基材(エイブリィ・デニソン社製、AVERY 400 GLOSS WHITE PERMANENT)上のヘッド走査方向と垂直方向に、幅100μm、長さ1cmの直線を、間隔100μmで、20本印画した。得られた直線の形状を目視で観察し、下記基準で評価した。なお、A及びBのレベルが、実用上問題の無いレベルである。
−評価基準−
A:直線性が高く、エッジにほとんど乱れが無いもの。
B:直線のエッジ部はわずかに乱れがあるが、隣の直線と混合していないもの。
C:にじみが大きく、隣の直線と混合している箇所があるもの。
<耐溶剤性評価>
得られた各インク組成物を、RK PRINT COAT INSTRUMENTS社製 KハンドコーターのNo.2バーを用いて、8cm四方の塩化ビニルシート(エイブリィ・デニソン社製、AVERY 400 GLOSS WHITE PERMANENT)に12μmの厚みで塗布した。さらに、60℃で3分間水分を乾燥した後、低圧水銀灯で1000mJ/cmのエネルギーとなる条件で露光し、塩化ビニルシート上に硬化膜(ベタ画像)を有する印画物を得た。
得られた印画物における硬化膜(画像)を有する側の表面を、イソプロピルアルコールを含浸した綿棒にてこすり、以下の評価基準で評価した。なお、A及びBが実用上問題の無いレベルである。
−評価基準−
A:50回以上こすっても、画像に変化が認められなかった。
B:20〜49回のこすりで、画像の濃度が低下した。
C:10〜19回のこすりで、画像の濃度が低下した。
D:0〜9回のこすりで、画像の濃度が著しく低下した。
<低照度耐溶剤性評価>
得られた実施例及び比較例の各インク組成物を、RK PRINT COAT INSTRUMENTS社製 KハンドコーターのNo.2バーを用いて、8cm四方の塩化ビニルシート(エイブリィ・デニソン社製、AVERY 400 GLOSS WHITE PERMANENT)に12μmの厚みで塗布した。さらに、70℃で3分間水分を乾燥した後、低圧水銀灯で400mJ/cmのエネルギーとなる条件で露光し、塩化ビニルシート上に硬化膜(ベタ画像)を有する印画物を得た。
得られた印画物における硬化膜を有する側の表面を、イソプロピルアルコールを含浸した綿棒にてこすり、以下の評価基準で評価した。評価結果は表に示す。なお、A及びBが実用上問題の無いレベルである。
A:50回以上こすっても、画像に変化が認められなかった。
B:20〜49回のこすりで、画像の濃度が低下した。
C:10〜19回のこすりで、画像の濃度が低下した。
D:0〜9回のこすりで、画像の濃度が著しく低下した。
<吐出性>
インクジェット記録装置として、市販のインクジェットプリンタ(富士フイルムダイマティックス社製、製品名:DMP−2831)を用い、ポリ塩化ビニル製基材(エイブリィ・デニソン社製、AVERY 400 GLOSS WHITE PERMANENT)上に、20cm×20cmのベタ画像を印画した。形成した画像を下記の評価基準に従って目視により評価した。
−評価基準−
A:吐出不良によるドット欠けの発生が認められず、良好な画像が得られた。
B:吐出不良によるドット欠けの発生がわずかに認められたが、実用上支障をきたさない程度であった。
C:吐出不良によるドット欠けの発生があり、実用に耐えない画像であった。
表1〜表2に示すように、(a)特定共重合体及び(b)特定ジエン化合物を含有する実施例のインク組成物は、比較例のインク組成物との対比において、いずれも、にじみ抑制、耐溶剤性に優れ、さらに、低照度露光によっても形成された画像は優れた耐溶剤性を示すことが分かる。

Claims (11)

  1. (a)下記一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位を含む高分子化合物、(b)下記一般式(2)で表される部分構造を分子内に2つ以上有する化合物、及び(c)有機溶剤、を含有するインク組成物。

    (一般式(1)中、R及びRは、それぞれ、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R及びRの少なくとも一方は炭素数1〜4のアルキル基を表す。R及びRは互いに結合して4〜6員の脂環構造を形成してもよい。*は、高分子化合物における主鎖又は側鎖との結合部位を示す。)

    (一般式(2)中、R及びRは、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、又はアシルオキシ基を表すか、或いは、RとRが互いに結合して環を形成する単結合、アルキレン基、及び−O−から選ばれる2価の連結基を表し、R及びRの双方が単結合であることはない。R、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアシルオキシ基を表し、R及びRのいずれか一方は、(b)一般式(2)で表される部分構造を分子内に2つ以上有する化合物における他の部分構造と結合する単結合又は2価の連結基を表す。なお、R、R、R及びRのうち2以上が互いに結合して環を形成することはない。)
  2. 前記(b)一般式(2)で表される部分構造を分子内に2つ以上有する化合物が、共役ジエン構造を有する繰り返し単位を含む高分子化合物である請求項1に記載のインク組成物。
  3. 前記(a)一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位を含む高分子化合物が、下記一般式(3)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物である請求項1又は請求項2に記載のインク組成物。

    (一般式(3)中、R及びRは、前記一般式(1)におけるR及びRと同義である。Rは、水素原子又はメチル基を表す。Zは、単結合、−COO−**又は−CONR−**を表し、Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、**はXとの結合位置を表す。Xは2価の有機基を表す。)
  4. さらに、(d)水を含有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のインク組成物。
  5. 前記(a)一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位を含む高分子化合物が、アルコール性水酸基、アルキル置換カルバモイル基、カルボキシル基、スルホ基、及びこれらの塩から選ばれる少なくとも一種の親水性基を有する繰り返し単位をさらに含む請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のインク組成物。
  6. 前記(b)一般式(2)で表される部分構造を分子内に2つ以上有する化合物が、下記一般式(2−1)で表される部分構造を有する繰り返し単位を含む高分子化合物である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のインク組成物。下記一般式(2−1)中、*は、繰り返し単位との結合部位を表す。
  7. さらに、(e)着色剤を含有する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のインク組成物。
  8. インクジェット記録用である請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のインク組成物。
  9. 非浸透性の記録媒体への印刷用である請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のインク組成物。
  10. 請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のインク組成物を記録媒体上に付与するインク付与工程と、
    記録媒体上に付与されたインク組成物を、60℃以上の熱源を用いて乾燥させ、インク組成物に含まれる液状成分の少なくとも一部を除去する乾燥工程と、
    記録媒体上に付与され、乾燥されたインク組成物に活性エネルギー線を照射する照射工程と、を含む画像形成方法。
  11. 記録媒体上に、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のインク組成物により形成された画像、或いは、請求項10に記載の画像形成方法によって形成された画像を有する印画物。
JP2012217829A 2012-09-28 2012-09-28 インク組成物、画像形成方法及び印画物 Expired - Fee Related JP5844238B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012217829A JP5844238B2 (ja) 2012-09-28 2012-09-28 インク組成物、画像形成方法及び印画物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012217829A JP5844238B2 (ja) 2012-09-28 2012-09-28 インク組成物、画像形成方法及び印画物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014070162A true JP2014070162A (ja) 2014-04-21
JP5844238B2 JP5844238B2 (ja) 2016-01-13

Family

ID=50745672

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012217829A Expired - Fee Related JP5844238B2 (ja) 2012-09-28 2012-09-28 インク組成物、画像形成方法及び印画物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5844238B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016069580A (ja) * 2014-09-30 2016-05-09 コニカミノルタ株式会社 活性光線硬化型インクジェットインクおよび画像形成方法
WO2020137459A1 (ja) * 2018-12-26 2020-07-02 花王株式会社 インクジェット印刷用水系インク

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11349877A (ja) * 1998-04-23 1999-12-21 Tektronix Inc 相変化インク・キャリア組成物
JP2004224835A (ja) * 2003-01-20 2004-08-12 Toppan Forms Co Ltd 導電性高分子マイクロカプセルインクおよびそれを用いたシート
JP2007217471A (ja) * 2006-02-14 2007-08-30 Fujifilm Corp カチオン重合性組成物、並びにこれを用いた画像形成方法および記録物
EP2423278A1 (en) * 2010-08-31 2012-02-29 Fujifilm Corporation Ink composition, image forming method and printed matter
JP2012172107A (ja) * 2011-02-23 2012-09-10 Fujifilm Corp インク組成物、画像形成方法及び印画物

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11349877A (ja) * 1998-04-23 1999-12-21 Tektronix Inc 相変化インク・キャリア組成物
JP2004224835A (ja) * 2003-01-20 2004-08-12 Toppan Forms Co Ltd 導電性高分子マイクロカプセルインクおよびそれを用いたシート
JP2007217471A (ja) * 2006-02-14 2007-08-30 Fujifilm Corp カチオン重合性組成物、並びにこれを用いた画像形成方法および記録物
EP2423278A1 (en) * 2010-08-31 2012-02-29 Fujifilm Corporation Ink composition, image forming method and printed matter
JP2012172107A (ja) * 2011-02-23 2012-09-10 Fujifilm Corp インク組成物、画像形成方法及び印画物

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016069580A (ja) * 2014-09-30 2016-05-09 コニカミノルタ株式会社 活性光線硬化型インクジェットインクおよび画像形成方法
WO2020137459A1 (ja) * 2018-12-26 2020-07-02 花王株式会社 インクジェット印刷用水系インク
JP2020105298A (ja) * 2018-12-26 2020-07-09 花王株式会社 インクジェット印刷用水系インク
CN113260685A (zh) * 2018-12-26 2021-08-13 花王株式会社 喷墨印刷用水性油墨
CN113260685B (zh) * 2018-12-26 2022-12-09 花王株式会社 喷墨印刷用水性油墨

Also Published As

Publication number Publication date
JP5844238B2 (ja) 2016-01-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2423276B1 (en) Aqueous ink composition, inkjet recording method, and inkjet printed article
EP2484730B1 (en) Ink composition and image forming method
JP2014185235A (ja) 白色インク組成物、複層形成用インクセット、画像形成方法及び印画物
JP6567161B2 (ja) 水性硬化性組成物、及び、水溶性光重合開始剤
JP5808684B2 (ja) 水性インク組成物及び画像形成方法
JP5762172B2 (ja) インク組成物、画像形成方法及び印画物
JP5883144B2 (ja) インク組成物、画像形成方法、印画物、およびグラフト共重合体
JP5579887B2 (ja) インク組成物、画像形成方法及び印画物
JP5844238B2 (ja) インク組成物、画像形成方法及び印画物
JP6021707B2 (ja) インクジェット記録方法及び印刷物
JP5908820B2 (ja) インク組成物、画像形成方法及び印画物
JP2014198747A (ja) インク組成物、画像記録方法及び印画物
JP2014058608A (ja) インク組成物、画像形成方法及び印画物
JP5714473B2 (ja) インク組成物、画像形成方法及び印画物
JP5579768B2 (ja) インク組成物、画像形成方法及び印画物
JP2013023588A (ja) インク組成物、画像形成方法、及び印画物
JP5579769B2 (ja) インク組成物、画像形成方法及び印画物
JP5587231B2 (ja) インク組成物及び画像形成方法。
JP2012144644A (ja) インク組成物及び画像形成方法
JP5749119B2 (ja) インク組成物、画像形成方法、及び印画物
JP5591770B2 (ja) インク組成物、画像形成方法、及び印画物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141008

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150608

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150721

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150911

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20151020

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20151118

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5844238

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees