JP2014068924A - 移植用靱帯の固定具および固定補助具 - Google Patents

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Abstract

【課題】移植用靱帯を骨貫通孔内に安定に固定できる固定具を提供する。
【解決手段】骨貫通孔内に固定される移植用靱帯を、前記骨貫通孔の開口部で固定するための固定具10であって、一端から他端に向かうにしたがって径が小さくなる楔形貫通孔11を、一対以上有し、一つの楔形貫通孔11における小径側11bの頂点または側辺が、対となる他の楔形貫通孔11における小径側11bの頂点または側辺と、固定具中心部を挟んで互いに対向していることを特徴とする固定具10。
【選択図】図1

Description

本発明は、移植用靱帯の固定具および固定補助具に関する。
靱帯は、複数の骨を互いに結合して関節を形作る組織である。靱帯が事故等により断裂した場合、靱帯の種類によっては自然治癒することもあるが、膝の前十字靱帯等では、自然治癒することはほとんどない。このような場合、断裂した靱帯に代わる新たな靱帯を、断裂した靱帯がもとあった場所またはその付近に移植する手術(靱帯再建術)を行う必要がある(特許文献1〜2等)。
移植用靱帯の関節(骨組織)への固定は、例えば、前記移植用靱帯に緊張をかけた状態で、前記移植用靱帯を、糸の縫合、ワイヤーの締結等により前記骨組織に固定することで行うことができる。しかし、関節の手術においてこれらの操作を行うことは、視野が狭いために、非常に困難である。そこで、前記移植用靱帯を関節(骨組織)に固定するための固定具が用いられる。
図15および16に、移植用靱帯(再建靱帯)を関節(骨組織)に固定するための固定具を用いた、膝の前十字靱帯の再建術の一例を、模式的に示す。図15は、前記固定具の構造を模式的に示す図である。図示のとおり、この固定具150は、貫通孔151を複数有する。図16は、固定具150により、移植用靱帯を膝関節に移植して固定した状態を表す正面図である。また、移植用靱帯は、図示のとおり、移植腱111と、その両端に接続された人工靱帯112とからなる。人工靱帯112は、例えば、縫合糸等により形成することができる。移植腱111は、例えば、患者自身から採取した腱を束ねて太くしたものを用いる。さらに、この膝関節には、図示のとおり、大腿骨121および脛骨122には、それぞれ、貫通孔が穿たれている。この2つの貫通孔は、それらの間に関節内部(大腿骨121と脛骨122との間隙)を介して同心に配置されている。大腿骨121の貫通孔は、人工靱帯112を収容する人工靱帯収容部124と、移植腱111を収容する移植腱収容部125とを有する。人工靱帯収容部124と移植腱収容部125とは、同心に配置されて連結され、大腿骨121の貫通孔を形成する。また、脛骨122の貫通孔は、人工靱帯112を収容する人工靱帯収容部123と、移植腱111を収容する移植腱収容部126とを有する。人工靱帯収容部123と移植腱収容部126とは、同心に配置されて連結され、脛骨122の貫通孔を形成する。移植腱111は、その一端が、大腿骨121の移植腱収容部125に挿入(収容)され、他端が脛骨112の移植腱収容部126に挿入(収容)されて、大腿骨121と脛骨122とを連結している。大腿骨121側の人工靱帯112の端は、それに接続された固定具150によって、人工靱帯収容部124の大腿骨外側開口部に固定されている。同様に、脛骨122側の人工靱帯112の端は、それに接続された固定具150によって、人工靱帯収容部123の脛骨外側開口部に固定されている。なお、図16においては、図示の簡略化のために、皮膚、筋肉、軟骨等は図示を省略している。また、移植腱111および人工靱帯112(移植用靱帯)は、実際は、大腿骨121および脛骨122に隠れているため見えないが、図示の明確化のために実線で示している。
特開2006−271429 特開2002−272756
しかし、従来の固定具は、その貫通孔の構造から、糸の縫合、ワイヤーの締結等により前記骨組織に固定する(例えば、糸を結ぶ)際に、糸のすべりまたは弛み等が生じる恐れがある。このため、従来の固定具では、前記移植用靱帯に適正な緊張を掛けることがきわめて困難であり、移植用靱帯を安定して固定することができない恐れがある。以下に、具体的に説明する。
図17(a)〜(c)に、従来の固定具を用いた移植用靱帯固定方法の一例を示す。なお、図17において、図16と同一の構成要素は、同一の符号で示している。すなわち、まず、移植腱111の両端に接続された人工靱帯112にそれぞれ固定具150が接続された移植用靱帯を準備する。つぎに、図17(a)に示すように、この移植用靱帯の一端を、膝関節内部から、大腿骨の孔125および124内部に通す。さらに、図17(b)に示すように、前記移植用靱帯の他端を、脛骨の孔126および123内部に通し、両端の固定具150を、それぞれ、大腿骨121および脛骨122の孔から外に引っ張り出す。そして、図17(c)に示すように、固定具150を、大腿骨121および脛骨122の孔の開口部にひっかけて固定する。この方法では、図17(b)で固定具150を引っ張り出す分、人工靱帯112の長さが余りやすい。このため、図17(c)の固定状態で、人工靱帯112が緩んでしまい、移植用靱帯を骨貫通孔に安定に固定できない恐れがある。具体的には、例えば、図17(c)に示すように、人工靱帯112の緩みにより、移植腱111が下方にずり落ちて移植腱収容部125の上端に隙間ができる場合がある。この状態では、膝関節を動かした場合等に、移植腱111が、移植腱収容部125および126の内部で上下にずれる。これにより、移植腱111と骨貫通孔内面との密接度が低くなり、移植腱111の骨組織に対する癒合に必要な時間が長くなる恐れがある。この人工靱帯112の緩みを防ぐためには、例えば、脛骨122の孔の開口部に固定具150を引っかけたまま、大腿骨121側から他端の人工靱帯112を引っ張って、人工靱帯112を緊張させる必要がある。しかし、その方法では、移植腱111の位置が所定の位置からずれやすくなる。このため、移植腱111と骨貫通孔内との密接度が低くなり、移植腱111骨組織に対する癒合に必要な時間が長くなるという前述の問題を解決できない恐れがある。
そこで、本発明は、移植用靱帯を骨貫通孔内に安定に固定できる固定具および固定補助具を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の固定具は、骨貫通孔内に固定される移植用靱帯を、前記骨貫通孔の開口部で固定するための固定具であって、一端から他端に向かうにしたがって径が小さくなる楔形貫通孔を、一対以上有し、一つの楔形貫通孔における小径側の頂点または側辺が、対となる他の楔形貫通孔における小径側の頂点または側辺と、前記固定具中心部を挟んで互いに対向していることを特徴とする。
また、本発明の固定補助具は、前記本発明の固定具と前記骨との間に挿入して前記移植用靱帯の固定を補助する固定補助具である。
本発明の固定具および固定補助具によれば、移植用靱帯を骨貫通孔内に安定に固定できる。
本発明の固定具の一例を示す斜視図である。 本発明の固定具の別の一例を示す斜視図である。 本発明の固定具のさらに別の一例を示す斜視図である。 本発明の固定具のさらに別の一例を示す斜視図である。 本発明の固定具のさらに別の一例を示す平面図、断面図および斜視図である。 本発明の固定具のさらに別の一例を示す斜視図である。 本発明の固定具のさらに別の一例を示す斜視図である。 本発明の固定具のさらに別の一例を示す斜視図である。 本発明の固定具のさらに別の一例を示す斜視図である。 本発明の固定具のさらに別の一例を示す斜視図である。 移植用靱帯の構造の一例を示す模式図である。 本発明の固定具の使用方法の一例を模式的に示す工程図である。 図12Aに続く工程の一例を模式的に示す工程図である。 本発明の固定補助具の例を示す斜視図である。 本発明の固定補助具の使用方法の一例を示す模式図である。 従来の固定具の一例を示す模式図である。 図15の固定具の使用方法を例示する模式図である。 図15の固定具の使用方法を模式的に例示する工程図である。
以下、本発明について例を挙げて説明する。ただし、本発明は、以下の説明により限定されない。
図1に、本発明の固定具の一例を示す。図1(a)は、正面に対しやや斜め方向から見た斜視図である。図1(b)は、別の角度から見た斜視図である。図示のとおり、この固定具10は、円盤状の形状である。また、固定具10は、その中心部を挟んで互いに対向する楔形貫通孔11を、二対(すなわち4つ)有する。各楔形貫通項11は、大径側11aと小径側11bとから形成され、大径側11a側の端から小径側11b側の端に向かうにしたがって径が小さくなる。なお、大径側11aは、図示のとおり、人工靱帯(例えば糸または針金)を通しやすいように円形形状である。一つの楔形貫通孔11における小径側11bの頂点は、対となる他の楔形貫通孔11における小径側11bの頂点と、固定具10中心部を挟んで互いに対向している。すなわち、各楔形貫通孔11は、固定具10の中心方向に向かうにしたがって径が小さくなる。また、各楔形貫通孔11は、固定具10中心部の周囲に、隣り合う楔形貫通孔11どうしのなす角が、いずれもほぼ等しく(約90度に)なるように、放射状に配置されている。
つぎに、本発明の固定具の形状は、図1の形状には限定されず、種々のバリエーションが可能である。以下に、それらの例を示す。
図2に、本発明の固定具の、図1以外の一例を示す。図2(a)は、正面に対しやや斜め方向から見た斜視図である。図2(b)は、別の角度から見た斜視図である。図示のとおり、この固定具20は、その中心部を挟んで互いに対向する楔形貫通孔21を、一対(すなわち2つ)有する。楔形貫通孔21の形状は、図1の楔形貫通孔11と同様であるが、配置が異なる。すなわち、まず、各楔形貫通項21は、大径側21aと小径側21bとから形成され、大径側21a側の端から小径側21b側の端に向かうにしたがって径が小さくなる形状をしている。また、大径側21aは、図1の楔形貫通孔の大径側11aと同様、人工靱帯(例えば糸または針金)を通しやすいように円形形状である。つぎに、各楔形貫通孔21の配置については、図示のとおり、一つの楔形貫通孔21における小径側21bの側辺と、他の一つの楔形貫通孔21における小径側21bの側辺とが、固定具20中心部を挟んで互いに対向している。2つの楔形貫通孔21は、固定具20中心部を挟んで、ほぼ平行に配置されている。また、同図では、一つの楔形貫通孔21における小径側21bの頂点と、対となる他の楔形貫通孔21における小径側21bの頂点とは、逆方向を向いている。
図3に、本発明の固定具の、さらに別の一例を示す。図3(a)は、正面に対しやや斜め方向から見た斜視図である。図3(b)は、別の角度から見た斜視図である。図示のとおり、この固定具30は、大径側31aと小径側31bとから形成された楔形貫通孔31を、一対(すなわち2つ)有する。図2の楔形貫通孔21の形状は、直状(真っ直ぐ)であるのに対し、図3の楔形貫通孔は、小径側31bが、固定具30周縁部に向かって凸状に湾曲している点で異なる。それ以外の点では、図3の楔形貫通孔31の形状および配置は、図2の楔形貫通孔21と同様であり、固定具全体の形状および構造も図2と同様である。
なお、本発明の固定具において、前記楔形貫通孔の数は、特に限定されない。例えば、前記楔形貫通孔は、図1のように二対でも良いが、図2または3のように一対でも良いし、三対以上でも良い。前記楔形貫通孔が一対の場合、例えば図2または3のように、互いに対となる楔形貫通孔の小径側の側辺どうしが対向していても良い。また、例えば、図1のように、互いに対となる楔形貫通孔の小径側の頂点どうしが対向する配置で、前記楔形貫通孔の数のみを一対に減らした配置でも良い。図2または3のように、互いに対となる楔形貫通孔の小径側の側辺どうしが対向する配置の場合、一つの楔形貫通孔の小径側の頂点と、対となる他の楔形貫通孔の小径側の頂点との向きは、特に限定されない。すなわち、前記二つの頂点は、図示のように逆方向を向いていても良いが、これに限定されず、例えば、同じ方向を向いていても良い。
図1のように、前記楔形貫通孔が二対以上であれば、移植用靱帯をより安定に固定可能であり好ましい。前記楔形貫通孔が複数の対からなる場合は、例えば図1のように、固定具中心部の周囲に放射状に配置されていることが好ましい。また、本発明の固定具において、前記楔形貫通孔の大径側の形状は、特に限定されないが、人工靱帯(例えば縫合糸)を通すことを考慮し、例えば図1〜3のように円形にしても良い。
図4(a)および(b)の斜視図に、本発明の固定具のさらに別の例を示す。図示のとおり、この固定具40は、弾性増強用貫通孔42をさらに有すること以外は、図1の固定具10と同様である。楔形貫通孔41およびその大径側41a、小径側41bは、図示のとおり、図1における楔形貫通孔11およびその大径側11a、小径側11bと同様である。また、弾性増強用貫通孔42は、互いに隣接する楔形貫通孔41の間であって、かつ、小径側41bの側辺の外側に配置されている。弾性増強用貫通孔42は、図示のとおり、円形である。
本発明の固定具は、例えば図1〜3のように、前記楔形貫通孔以外の孔を有していなくても良いが、前記楔形貫通孔以外の孔を有していても良い。例えば、図4のように、前記楔形貫通孔における小径側の側辺の外側に、弾性増強用貫通孔を設けても良い。後述するように、本発明の固定具が前記弾性増強用貫通孔を有していると、前記楔形貫通孔小径側の周囲の弾性が増強されるため、移植用靱帯をさらに固定しやすく好ましい。前記楔形貫通孔が、複数の対からなり、かつ、固定具中心部の周囲に放射状に配置されている場合は、前記弾性増強用貫通孔が、互いに隣接する前記楔形貫通孔の間に配置されていても良い。
図5に、本発明の固定具のさらに別の一例を示す。図5(a)は、平面図である。図5(a1)は、図5(a)中の、円で囲った部分(符号Aで表す)の拡大図である。図5(b)は、図5(a1)のB−B方向に見た断面図であり、図5(c)は、図5(a1)のC−C方向に見た断面図であり、図5(d)は、図5(a1)のD−D方向に見た断面図である。図5(e)および(f)は、斜視図である。図示のとおり、この固定具50は、円盤状の形状であり、その中心部を挟んで互いに対向する楔形貫通孔51を、二対(すなわち4つ)有する。各楔形貫通孔51は、大径側(固定具外周側)51aと小径側(固定具中心側)51bとから形成される。図示のとおり、この固定具50は、楔形貫通孔51の小径側51bの内周が、波形の凹凸51cを有する。固定具50の厚みは、図1の固定具10よりも若干小さい。また、楔型貫通孔51における大径側51aおよび小径側51bの径は、それぞれ、図1の楔形貫通孔11における大径側11aおよび小径側11bの径よりも、若干小さい。これら以外は、図5の固定具50は、図1の固定具10と同様である。
本発明の固定具において、前記楔形貫通孔の小径側の内周は、波形の凹凸を有していなくても良いが、例えば図5のように、波形の凹凸を有することが好ましい。後述するように、この波形の凹凸により、移植用靱帯をさらに安定に固定することができる。また、前記波形の凹凸の形状は、特に限定されないが、例えば、図5(b)〜(d)に示すように、前記楔形貫通孔の径の小さい端に向かうにしたがって、凹凸の周期(互いに隣接する凹部どうしまたは凸部どうしの間隔)が短く、かつ、凹凸の起伏(凹部の深さと凸部の高さとの合計値)が大きくなることが、より好ましい。このようにすることで、移植用靱帯を、いっそう安定に固定することができる。前記波形の凹凸の周期は、特に限定されず、適宜設定可能である。
図6(a)および(b)の斜視図に、本発明の固定具のさらに別の例を示す。図示のとおり、この固定具60は、弾性増強用貫通孔62をさらに有すること以外は、図5の固定具50と同様である。楔形貫通孔61およびその大径側61a、小径側61bは、図示のとおり、図5における楔形貫通孔51およびその大径側51a、小径側51bと同様である。小径側61bは、図5の固定具と同様、波形凹凸61cを有する。また、弾性増強用貫通孔62は、互いに隣接する楔形貫通孔61の間であって、かつ、小径側61bの外側に配置されている。弾性増強用貫通孔62は、図示のとおり、円形である。
図7(a)および(b)の斜視図に、本発明の固定具のさらに別の例を示す。図示のとおり、この固定具70は、図5に示す円盤形状(円形)の固定具50を、二対の楔形貫通孔のうち一対の方向に沿って引き延ばした楕円形である。二対の楔形貫通孔71は、図5の固定具50における楔形貫通孔51と同様、大径側71aおよび小径側71bから形成される。小径側71bのうち、固定具70の長径方向に沿った一対の長さは、楕円の長径の長さに応じて長くなっている。これら以外は、図7の固定具70は、図5の固定具50と同様である。楔形貫通孔71の小径側71bは、図5の固定具と同様、波形凹凸71cを有する。図7のような楕円形の固定具は、例えば、長径方向に沿って形成された楔形貫通孔に、長い人工靱帯(縫合糸)を通して固定し、かつ、短径方向に沿って形成された楔形貫通孔に、短い人工靱帯(縫合糸)を通して固定しても良い。
図8(a)および(b)の斜視図に、本発明の固定具のさらに別の例を示す。図示のとおり、この固定具80は、弾性増強用貫通孔82をさらに有すること以外は、図7の固定具70と同様である。楔形貫通孔81およびその大径側81a、小径側81bは、図示のとおり、図7における楔形貫通孔71およびその大径側71a、小径側71bと同様である。小径側81bは、図7の固定具と同様、波形凹凸81cを有する。また、弾性増強用貫通孔82は、互いに隣接する楔形貫通孔81の間であって、かつ、小径側81bの外側に配置されている。弾性増強用貫通孔82は、図示のとおり、円形である。
図9(a)および(b)の斜視図に、本発明の固定具のさらに別の例を示す。図示のとおり、この固定具90は、図1に示す円盤形状(円形)の固定具10を、二対の楔形貫通孔のうち一対の方向に沿って引き延ばした楕円形である。二対の楔形貫通孔91は、図1の固定具10における楔形貫通孔11と同様、大径側91aおよび小径側91bから形成される。小径側91bのうち、固定具90の長径方向に沿った一対の長さは、楕円の長径の長さに応じて長くなっている。これら以外は、図9の固定具90は、図1の固定具10と同様である。
図10(a)および(b)の斜視図に、本発明の固定具のさらに別の例を示す。図示のとおり、この固定具100は、弾性増強用貫通孔102および103をさらに有すること以外は、図9の固定具90と同様である。楔形貫通孔101およびその大径側101a、小径側101bは、図示のとおり、図9における楔形貫通孔91およびその大径側91a、小径側91bと同様である。また、弾性増強用貫通孔102および103は、互いに隣接する楔形貫通孔101の間であって、かつ、小径側101bの外側に配置されている。より具体的には、弾性増強用貫通孔102および103は、それぞれ、固定具100の長径方向に沿った一対の楔形貫通孔101の左右に配置され、固定具100の外側から内側に向かって、102、103の順に配置されている。また、弾性増強用貫通孔102および103は、円形であり、102の方が103よりも径が大きい。
本発明の固定具の形状は、図1〜10では、円形または楕円形であるが、これに限定されず、例えば、方形、矩形等、どのような形状でも良い。前記固定具の形状は、生体への損傷を極力小さくするために、円形または楕円形が好ましい。本発明の固定具の長径は、特に限定されないが、例えば、骨貫通孔開口部(具体的には、例えば、前記人工靱帯収容部123または124開口部)の孔寸法(直径)に対応させて、例えば3.0〜12.0mm、好ましくは3.0〜6.0mm、より好ましくは3.0〜5.0mmである。本発明の固定具の短径は、特に限定されないが、例えば1.5〜12.0mm、好ましくは2.0〜5.5mm、より好ましくは2.0〜4.0mmである。本発明の固定具の厚みも特に限定されないが、例えば0.5〜2.0mm、好ましくは0.5〜1.5mm、より好ましくは0.5〜1.0mmである。
前記楔形貫通孔の最大径(図1〜10においては、固定具外周側の円形部分の径)は、特に限定されないが、例えば、骨貫通孔開口部(具体的には、例えば、前記人工靱帯収容部123または124開口部)の孔寸法(直径)に対応させて、例えば3.0〜12.0mm、好ましくは3.0〜6.0mm、より好ましくは3.0〜5.0mmである。前記楔形貫通孔の長さも、特に限定されないが、前記楔形貫通孔の長さ方向の前記固定具半径等に応じて、適宜設定可能である。
前記弾性増強用貫通孔は、図1〜10では円形であるが、これに限定されず、例えば、楕円形、方形、矩形等、どのような形状でも良い。前記楔形貫通孔における小径側周囲の弾性増強および強度保持の観点から、前記弾性増強用貫通孔の形状は、円形または楕円形が好ましい。前記弾性増強用貫通孔の径は、特に限定されない。例えば、前記楔形貫通孔の小径側の側辺と、前記弾性増強用貫通孔との最短距離が、0.1〜1.0mmの範囲になるように前記弾性増強用貫通孔の径を設定しても良い。前記楔形貫通孔の小径側の側辺と、前記弾性増強用貫通孔との最短距離が、0.1〜1.0mmの範囲であれば、前記楔形貫通孔の小径側の側辺周囲に対し、その強度を低下させ過ぎずに弾性を増強しやすいためである。また、例えば、本発明の固定具が前記弾性増強用貫通孔を有する場合は、前記弾性増強用貫通孔を有しない場合よりも、前記楔形貫通孔の小径側の幅を、若干小さく(細く)しても良い。前記弾性増強用貫通孔がある場合は、弾性増強により、前記楔形貫通孔の小径側の幅が広がりやすいためである。
また、本発明の固定具の材質も、特に限定されないが、例えば、生体材料として用いられる金属、合成樹脂等が挙げられる。前記金属としては、例えば、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、チタンおよびチタン合金、セラミックス等が挙げられる。前記合成樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、高分子ポリエチレン等が挙げられる。本発明の固定具の機械的強度、弾性、人体に対する安全性等の観点から、前記材質は、チタン合金等が好ましい。
つぎに、本発明の固定具の使用方法の例について、図11、図12Aおよび図12Bを用いて説明する。なお、以下において、図12Aおよび図12Bを、まとめて「図12」という。
図11は、本発明の固定具により骨貫通孔内に固定される移植用靱帯の構造を模式的に表す平面図である。図示のとおり、この移植用靱帯110は、移植腱111と、その両端に接続された人工靱帯112とから形成されている。図示のとおり、前記両人工靱帯112は、それぞれ、符号112aおよび112bで表す二本の縫合糸から形成される。移植腱111は、例えば、患者自身から採取した腱を束ねて太くしたものを用いる。なお、本発明の固定具により骨貫通孔内に固定される移植用靱帯の構造は、これに限定されず、例えば、一般的に移植用靱帯として用いられる任意の構造であっても良い。例えば、人工靱帯112において、縫合糸の数は、図11のように二本には限定されず、その他の任意の本数(例えば四本等)でも良い。また、人工靱帯112は、縫合糸以外の材質により形成されていても良く、または、それらの末端に、さらに縫合糸等が接続されて形成されていても良い。
図12に、本発明の固定具を用いた移植用靱帯の固定方法について模式的に例示する。なお、図12中において、図11、16および17と同様の構成要素は、同一の符号で表している。
まず、図12(a)左側の図に示すとおり、移植腱111と、その両端に接続された人工靱帯112とからなる移植用靱帯(図11の移植用靱帯110と同一)を、骨貫通孔内に通す。その状態で、移植腱111を、移植腱収容部125および126内の適正な位置に配置する。図12(a)は、膝関節内に移植用靱帯を通した状態を表しており、人工靱帯112の末端に固定具150が接続されていないこと以外は、図17(b)と同様である。なお、移植用靱帯を骨貫通孔内に通す方法は限定されず、例えば、図17(a)〜(b)と同様でも良いし、その他の一般的な靱帯再建術に準じても良い。より具体的には、例えば、固定具150を用いない以外は図17(a)〜(b)と同様であっても良い。また、例えば、図17(a)〜(b)と全く同じ方法で骨貫通孔内に人工靱帯を通し、図17(b)の状態とした後に、両端の固定具150を取り外しても良い。
一方、図12(a)右側の図に示すように、本発明の固定具を準備する。図示の固定具40は、図4に示した固定具40と同一である。
つぎに、図12(b)〜(d)に示すように、固定具40を人工靱帯112に連結して前記骨貫通孔の開口部に固定する。すなわち、まず、図12(b)に示すように、人工靱帯112を形成する二本の縫合糸112aおよび112bのうち、112aを、一つの楔形貫通孔41の、大径側(固定具外周側)41aに通す。一方、もう一本の縫合糸112bを、対となる(固定具中心部を挟んで互いに対向する)もう一つの楔形貫通孔41の、大径側(固定具外周側)41aに通す。その状態で、固定具40を、大腿骨121の孔の開口部(大腿骨121の外表面)まで移動させる。つぎに、縫合糸112aおよび112bを、楔形貫通孔41内に通したまま、前記楔形貫通孔41の大径側(固定具外周側)41aから、小径側(固定具中心側)41bに移動させる。これにより、縫合糸112aおよび112bが、楔形貫通孔41の小径側(固定具中心側)41bにより挟みこまれ、強固に固定される。さらに、図12(c)に示すとおり、縫合糸112aおよび112bを固定具40中心部の上で交差させ、その状態で、縫合糸112aおよび112bのそれぞれを、固定具40の中心側に向かって引く。このようにすることで、楔形貫通孔41の楔の効果により縫合糸112aおよび112bが閉まり(適正な緊張を保った状態で固定され)、かつ、人工靱帯112の張力設定のばらつきが押さえられる。さらに、図12(d)に示すように、縫合糸112aおよび112bを、もう一度、またはさらに複数回、固定具40中心部の上で交差させ、それぞれ固定具40の中心側に向かって引く。これにより、縫合糸112aおよび112bを結んで完全に固定する。以上のようにすることで、人工靱帯112が、固定具40の小径側41bに挟まれ、大腿骨121の孔の開口部で安定に固定される。
なお、図12(d1)に示すように、人工靱帯112が複数対(すなわち四本以上)の縫合糸から形成され、それぞれを、固定具40における複数対の楔形貫通孔41のそれぞれに通しても良い。同図では、より具体的には、人工靱帯112は、112a、112b、112cおよび112dの四本の縫合糸から形成されている。縫合糸112aおよび112bは、図12(d)と同様の方法で、固定具40中心部を挟んで互いに対向する一対の楔形貫通孔41に通され、結ばれて固定されている。さらに、縫合糸112cおよび112dは、縫合糸112aおよび112bと同様の方法で、もう一対の楔形貫通孔41に通され、結ばれて固定されている。図12(d1)のようにすれば、人工靱帯112および固定具40を、図12(d)よりもさらに強固に固定することも可能である。
図12(b)〜(d)は、大腿骨121側の固定具40について示したが、脛骨122側の固定具40も、同様にして脛骨の孔の開口部に固定することができる。脛骨122側の固定具40および大腿骨121側の固定具40は、どちらを先に固定しても良い。一方の固定具40を固定した後、他方の固定具40を固定する際には、図12(b)の状態で縫合糸112aおよび112bを引っ張って適正な緊張を掛けることが好ましい。このとき、先に固定した固定具40が、骨貫通孔開口部に引っかかってその位置で止まるため、移植腱111を適正な位置に保ったまま、移植用靱帯(移植腱111および人工靱帯112)に適正な緊張を掛けることができる。縫合糸112aおよび112bを引っ張るときの引っ張り力は、特に限定されないが、例えば、4kg重前後であっても良いし、適宜、それよりも弱い力または強い力でも良い。
以上のようにして、大腿骨121側および脛骨122側の両方の骨貫通孔開口部(大腿骨121および脛骨122の外表面)に、それぞれ固定具40を固定できる。すなわち、図12(e)に示すとおり、移植腱111と、その両端に接続された人工靱帯112とからなる移植用靱帯を、骨貫通孔の開口部で固定具40により固定することができる。これにより、前記移植用靱帯を、前記骨貫通孔内に、安定に固定できる。
図15〜17に示したように従来の固定具150を用いた場合、本発明の固定具のように人工靱帯112を固定具の貫通孔で挟みこんで固定することができない。このため、移植腱111を適切な位置に配置し、かつ、人工靱帯112に適正な緊張を掛けるためには、例えば、固定具150を押さえる術者と、人工靱帯112を結んで固定する術者との複数の術者の手が必要となる。術者一人では、固定具150を押さえることと、人工靱帯112を結んで固定することを同時に行うことが困難である。このため、図17(b)〜(c)で説明したように、人工靱帯112の長さが余り、緩んでしまう恐れがある。しかし、本発明の固定具によれば、図12で説明したように、人工靱帯112に適正な緊張を掛けた状態で、人工靱帯112を楔形貫通孔の小径側に挟みこんで固定することができる。このため、術者一人の手でも、移植腱111を適切な位置に配置し、かつ、人工靱帯112に適正な緊張を掛けた状態で移植用靱帯を固定することが容易である。
なお、前述のとおり、本発明の固定具は、弾性増強用貫通孔を有していなくても良い。しかし、図12に示すように、固定具40が弾性増強用貫通孔42を有していると、楔形貫通孔41における小径側41b周囲の弾性が増強される。この弾性増強によれば、人工靱帯112を小径側41bにさらに移動させやすく、かつ、さらに固定しやすいため好ましい。また、本発明の固定具は、図12の固定具40のように、小径側41bの内周が波形の凹凸を有していなくても良い。しかし、前述のとおり、前記楔形貫通孔の小径側の内周が波形の凹凸を有していると、前記波形の凹凸で移植用靱帯をさらに安定に固定することができるため好ましい。
本発明の固定具を用いれば、例えば、図12に示したように、従来の固定具を用いた場合(例えば図17)と比較して、人工靱帯112の長さが余りにくいため、人工靱帯112が緩みにくい。これにより、移植腱111を、所定の位置に、骨貫通孔との密接度が高い状態で安定に固定できる。したがって、移植腱111の骨組織に対する癒合も早く進みやすい。
また、図12では、大腿骨側および脛骨側の両側に本発明の固定具を用いる場合について説明した。しかし、本発明は、これに限定されない。例えば、大腿骨側および脛骨側のいずれか片方(例えば大腿骨側)にのみ本発明の固定具を用い、他方には、本発明の固定具以外の他の固定具(例えば、図15〜17に示した従来の固定具等)を用いても良い。この場合、前記他の固定具は、例えば、あらかじめ、一方の人工靱帯の端に(例えば図17に示すように)固定しておくことが好ましい。その状態で、前記他の固定具を骨貫通孔の開口部(例えば脛骨側開口部)に引っ掛け、他方の人工靱帯を引っ張って適正な緊張を掛けることができる。そのようにして移植用靱帯(人工靱帯)に適正な緊張を掛けた状態で、図12(b)〜(c)で説明したように、本発明の固定具を、骨貫通孔開口部(骨の外表面)まで移動させる。このようにすることで、図17(b)〜(c)に示したように人工靱帯の長さが余って緩むことを防止できるので、移植用靱帯を骨貫通孔内に安定に固定するという本発明の効果を奏することができる。本発明の固定具を、骨貫通孔開口部(骨の外表面)まで移動させた後は、図12(c)〜(d)で説明したようにして、人工靱帯(縫合糸)を本発明の固定具の楔形貫通孔により挟みこみ、強固に固定する。
また、移植用靱帯において、前記楔形貫通孔に通す部分(図12では、縫合糸112a、112b、112cおよび112d)の直径は、特に限定されず、例えば、一般的に用いられる縫合糸等と同様でも良い。図15〜17に示した従来の固定具では、貫通孔151に通す部分(図16〜17では、人工靱帯112)の太さが異なると、それに合わせて貫通孔151の径の大きさも変える必要があった。例えば、人工靱帯112の太さに対し、貫通孔151の径が大きすぎると、貫通孔151内における人工靱帯112の位置がずれやすく、人工靱帯112の緩みの原因となる恐れがある。逆に、人工靱帯112の太さに対し、貫通孔151の径が小さすぎると、人工靱帯112を貫通孔151に通すことができない。これに対し、本発明の固定具は、一端から他端に向かうにしたがって径が小さくなる楔形貫通孔を有する。これにより、前記楔形貫通孔に通す人工靱帯または縫合糸等の太さが異なっても、前記人工靱帯または縫合糸等を、前記楔形貫通孔の小径側における適正な位置で挟みこんで固定することができる。すなわち、本発明の固定具によれば、人工靱帯または縫合糸等の太さに応じて固定具を変えずに、単一の固定具で様々な太さの人工靱帯または縫合糸等に対応することも可能である。
さらに、本発明の固定具を用いた靱帯移植(靱帯再建術)において、骨貫通孔の構造等は、特に限定されない。例えば、人工靱帯収容部の太さは、移植腱収容部と同じ太さでも良いが、図12に示すように、人工靱帯収容部123および124の方が移植腱収容部125および126よりも細く形成されていることが好ましい。このようにすれば、より、骨の損傷が少ない状態(低侵襲)で靱帯移植を行うことができるため、移植用靱帯をさらに安定に固定可能であり、治癒もさらに早くすることができる。人工靱帯収容部123および124の太さは、移植腱111の太さよりも小さいと、移植腱111が人工靱帯収容部123および124内部にずれ込みにくいため、より好ましい。また、図12では、靱帯移植用の孔123、124、125および126をそれぞれ1本のみ穿ったが、同様の孔をもう1本穿ち、それぞれの孔に1本ずつ(すなわち、合計2本)の移植用靱帯を移植しても良い。大腿骨および脛骨に穿つ孔の位置は、例えば、一般的な靱帯再建術と同様にして適宜決定することができる。前十字靱帯の再建術の場合、移植用靱帯が1本よりも2本の方が、術後の膝関節の安定性(例えば、回旋安定性)等の観点から、より好ましい。
孔123、124、125および126の直径および長さ(深さ)は、特に限定されないが、例えば、以下のとおりである。すなわち、前十字靱帯再建術において、移植用靱帯が1本(すなわち、穿つ孔が1つ)の場合、脛骨外側の孔(人工靱帯収容部)123の直径は、例えば2.0〜7.0mm、好ましくは2.2〜5.0mm、より好ましくは2.4〜4.5mmであり、具体的には、例えば、2.4mm、3mm、4.5mm等である。大腿骨外側の孔(人工靱帯収容部)124の直径は、例えば2.0〜7.0mm、好ましくは2.2〜5.0mm、より好ましくは2.4〜4.5mmであり、具体的には、例えば、2.4mm、3mm、4.5mm等である。大腿骨内側の孔(移植腱収容部)125の直径は、例えば4.0〜12.0mm、好ましくは5.0〜10.0mm、より好ましくは6.0〜10.0mmであり、具体的には、例えば、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm等である。脛骨内側の孔(移植腱収容部)126の直径は、例えば4.0〜12.0mm、好ましくは5.0〜10.0mm、より好ましくは6.0〜10.0mmであり、具体的には、例えば、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm等である。大腿骨内側の孔(移植腱収容部)125の長さ(深さ)は、例えば10〜40mm、好ましくは15〜30mm、より好ましくは20〜25mmであり、具体的には、例えば、20mm、25mm等である。また、大腿骨に穿った孔の全長(すなわち、孔124および125の長さの合計)は、例えば25〜80mm、好ましくは30〜60mm、より好ましくは30〜50mmであり、具体的には、例えば、30mm、40mm等である。脛骨内側の孔126の長さ(深さ)は、例えば10〜40mm、好ましくは15〜30mm、より好ましくは20〜25mmであり、具体的には、例えば、20mm、25mm等である。また、脛骨に穿った孔の全長(すなわち、孔123および126の長さの合計)は、例えば25〜80mm、好ましくは30〜60mm、より好ましくは30〜50mmであり、具体的には、例えば、30mm、40mm等である。
また、前十字靱帯再建術において、移植用靱帯が2本(すなわち、穿つ孔が2つ)の場合、脛骨外側の孔123の直径は、例えば2.0〜6.0mm、好ましくは2.4〜5.0mm、より好ましくは2.4〜4.5mmであり、具体的には、例えば、2.4mm、3mm、4.5mm等である。大腿骨外側の孔124の直径は、例えば2.0〜6.0mm、好ましくは2.4〜5.0mm、より好ましくは2.4〜4.5mmであり、具体的には、例えば、2.4mm、3mm、4.5mm等である。大腿骨内側の孔125の直径は、例えば3〜8mm、好ましくは4〜7mm、より好ましくは5〜6mmであり、具体的には、例えば、5mm、6mm、7mm、8mm等である。脛骨内側の孔126の直径は、例えば3〜8mm、好ましくは4〜7mm、より好ましくは5〜6mmであり、具体的には、例えば、5mm、6mm、7mm、8mm等である。大腿骨内側の孔125の長さ(深さ)は、例えば10〜40mm、好ましくは15〜30mm、より好ましくは20〜25mmであり、具体的には、例えば、20mm、25mm等である。また、大腿骨に穿った孔の全長(すなわち、孔124および125の長さの合計)は、例えば25〜80mm、好ましくは30〜60mm、より好ましくは30〜50mmであり、具体的には、例えば、30mm、40mm等である。脛骨内側の孔126の長さ(深さ)は、例えば10〜40mm、好ましくは15〜30mm、より好ましくは20〜25mmであり、具体的には、例えば、20mm、25mm等である。また、脛骨に穿った孔の全長(すなわち、孔123および126の長さの合計)は、例えば25〜80mm、好ましくは30〜60mm、より好ましくは30〜50mmであり、具体的には、例えば、30mm、40mm等である。移植用靱帯が2本の場合、移植用靱帯が1本の場合と比較して移植腱が若干細くても良いため、それに対応して、孔125および126の直径が若干小さくても良い。
つぎに、本発明の固定補助具について説明する。
本発明の固定補助具は、前述のとおり、前記本発明の固定具と前記骨との間に挿入して前記移植用靱帯の固定を補助する固定補助具である。これにより、移植用靱帯の緩みをさらに減少させ、前記移植用靱帯に適正な緊張をかけて、さらに安定に骨貫通孔内に固定させることができる。
図13(a)の斜視図に、本発明の固定補助具の一例130を、本発明の固定具10とともに示す。固定具10は、図1に示した固定具10と同一である。図示のとおり、この固定補助具130は、リングの一部が欠けた形状であるとともに、上部131および下部132からなる。固定補助具130の上部131における、前記リングの欠けた部分は、本発明の固定具を挿入するための開口部として機能する。上部131は、溝を有し、前記開口部から前記溝に固定具10を挿入して保持可能である。また、下部132は、厚みを有しており、固定具10と骨との間に挿入して移植用靱帯との固定を補助することができる。上部131は、固定具保持用の保持爪133を有する。保持爪133は、前記開口部の左右に一つずつあり、前記開口部を挟むように配置されている。二つの保持爪133は、前記リング内周の形状に沿って前記リングと一体に形成され、若干内側に突出している。これにより、二つの保持爪133が本発明の固定具を保持可能である。また、上部131は、前記開口部の反対側の内側が、一部切欠かれており、弾性増強用切欠き部134を形成している。
図13(b)に、固定補助具130の上部131に固定具10を挿入した状態を示す。前述のとおり、二つの保持爪133が、固定補助具130のリング内周の形状に沿って、若干内側に突出しており、これにより、固定具10を保持している。また、固定補助具130は、弾性増強用切欠き部134により、固定補助具130の弾性が増強するため、前記開口部が弾性変形により左右に伸縮しやすく、本発明の固定具を挿入および保持しやすい。図13(c)に、その機構を模式的に示す。同図は、固定補助具130を上方から見た図(平面図)である。ただし、同図は、概略図であるため、厳密な構造を示すものではない。同図に示す固定具130の構造において、実線は、固定補助具130に力を加えていない場合の構造を表す。点線は、固定補助具130に力を加えて前記開口部を若干左右に開かせた場合の構造を示す。本発明の固定具を挿入するときには、例えば、前記固定具を挿入する行為により、固定補助具130に力が加わり、点線の状態となる。これにより、前記開口部の幅が、若干(左右に、それぞれ図中のdで示す幅だけ)広がり、本発明の固定具を挿入しやすくなる。また、本発明の固定具を挿入した後は、固定補助具130に加わっていた力がなくなって、固定補助具130が実線の構造に戻る。これにより、前記開口部の幅が再び狭まり、本発明の固定具が保持されたまま脱落しなくなる。
なお、本発明の固定補助具は、図13の構造には限定されず、例えば、単に、本発明の固定具と骨との間に挿入する構造でも良い。しかしながら、例えば図13(a)および(b)のように、前記固定補助具上部に前記固定具を挿入して保持し、前記保定補助具下部を前記固定具と前記骨との間に挿入して前記移植用靱帯の固定を補助することが好ましい。このような構造であれば、本発明の固定具と本発明の固定補助具との位置関係がずれないように前記固定補助具を固定しやすいため、移植用靱帯を、さらに安定に固定することができる。また、例えば図13のように、前記固定補助具上部が、前記固定具を挿入するための開口部を有することが好ましい。さらに、前述のとおり、前記固定補助具上部が、前記固定具保持用の保持爪を有していると、前記固定補助具をさらに安定に固定できるため好ましい。図13では、前述のとおり、保持爪133は、前記開口部の左右に一つずつあり、前記開口部を挟むように配置されている。しかし、本発明の固定補助具において、前記保持爪は、これに限定されない。例えば、前記保持爪が複数であり、かつ、前記複数の保持爪が前記開口部を挟むように配置されていれば良い。前記保持爪の構造は、例えば図13のように、固定補助具の前記リング内周の形状に沿って前記リングと一体に形成され、若干内側に突出していれば良いが、特にこれに限定されない。このため、前記保持爪の寸法も、特に限定されるものではない。また、本発明の固定補助具は、前記弾性増強用切欠き部を有していなくても良いが、例えば図13に示したように、前記固定補助具上部が、さらに、前記弾性増強用切欠き部を有することが好ましい。前記弾性増強用切欠き部は、前記固定補助具下部にも形成されていても良い。しかしながら、前記固定補助具の弾性増強と強度保持とのバランスの観点から、前記弾性増強用切欠き部が、前記固定補助具上部にのみ形成されていることが、より好ましい。前記弾性増強用切欠き部の位置は、特に限定されないが、例えば図13(c)で示したような前記開口部の伸縮の観点から、前記開口部の反対側に前記弾性増強用切欠き部が位置することが好ましい。前記弾性増強用切欠き部の幅(図13においては、固定補助具130の円周方向の寸法)および奥行き(図13においては、固定補助具130の直径方向の寸法)は、特に限定されず、適宜設定可能である。
本発明の固定補助具において、固定具と骨との間に挿入する部分(図13では、下部132)の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.5mm〜5mmの範囲であっても良い。また、図13(d)に、固定補助具130の下部の厚みが、図13(a)および(b)の例よりも小さい例を示す。図13(d)の固定具は、下部132cの厚みが、図13(a)における下部132の厚みよりも小さいこと以外は、図13(a)の固定具と同じである。このように、固定具と骨との間に挿入する部分の厚みが異なる複数の固定補助具を準備し、移植用靱帯の緊張度が適切になるように使い分けても良い。具体的には、例えば、前記固定具と骨との間に挿入する部分の厚みが、0.5〜5mmの範囲で0.5mmずつ段階に異なる10種類の固定補助具を準備して使い分けても良い。各固定補助具間における前記厚みの差は、これに限定されず任意であり、0.5mmより大きくても小さくても良い。また、前記厚みが異なる固定補助具の数も任意であり、10種類より多くても少なくても良い。
また、本発明の固定補助具の材質も、特に限定されないが、例えば、生体材料として用いられる金属、合成樹脂等が挙げられる。前記金属としては、例えば、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、チタンおよびチタン合金、セラミックス等が挙げられる。前記合成樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、高分子ポリエチレン等が挙げられる。本発明の固定補助具の機械的強度、弾性、人体に対する安全性等の観点から、前記材質は、チタン合金等が好ましい。
本発明の固定補助具は、前述のとおり、本発明の固定具と骨との間に挿入して用いる。例えば、図13の補助具130の場合は、図14に示すように、人工靱帯112に接続した固定具10を保持した状態で、固定補助具130の下部を、固定具10と骨との間に挿入して用いることができる。
なお、本発明の固定具のみで骨貫通孔内に移植用靱帯を固定し、本発明の固定補助具を用いなくても良い。しかしながら、必要に応じ、本発明の固定補助具を用いると、前述のとおり、前記移植用靱帯を、さらに安定に骨貫通孔内に固定できるため好ましい。
本発明の固定具は、その構造により、手技による人工靱帯の固定がきわめて容易である。本発明によれば、例えば図12のように、移植用靱帯の両端を、大腿骨および脛骨の骨貫通孔開口部に、本発明の固定具で固定することにより、骨孔の直径を小さくし、骨孔閉塞の可能性を向上させることもできる。また、関節鏡視下手術等の視野が狭い条件下でも、移植用靱帯を、人工靱帯(縫合糸等)の緩みがない状態で固定することができる。すなわち、本発明の固定具によれば、例えば、整形外科領域の間接鏡視下手術において、前十字靱帯再建術での移植用靭帯を骨貫通孔内に強固に固定することができ、骨組織の侵襲も少なくすることができる。ただし、これらの説明は例示であり、本発明は、これらに限定されない。例えば、本発明の固定具は、前十字靱帯再建術に限定されず、任意の関節において、移植用靱帯の固定に用いることができる。
以上、説明したとおり、本発明によれば、移植用靱帯を骨貫通孔内に安定に固定できる固定具および固定補助具を提供することができる。本発明は、膝の前十字靱帯再建術に代表されるあらゆる靱帯移植術に利用することができ、医療分野での利用可能性は多大である。
10、20、30、40、50、60、70、80、90、100 固定具
11、21、31、41、51、61、71、81、91、101 楔形貫通孔
11a、21a、31a、41a、51a、61a、71a、81a、91a、101a 楔形貫通孔の大径側
11b、21b、31b、41b、51b、61b、71b、81b、91b、101b 楔形貫通孔の小径側
51c、61c、71c、81c 波形の凹凸
42、62、82、102、103 弾性増強用貫通孔
110 移植用靱帯
111 移植腱
112 人工靱帯
112a、112b、112c、112d 縫合糸
121 大腿骨
122 脛骨
123 脛骨の孔(人工靱帯収容部)
124 大腿骨の孔(人工靱帯収容部)
125 大腿骨の孔(移植腱収容部)
126 脛骨の孔(移植腱収容部)
130 固定補助具
131 固定補助具上部
132、132c 固定補助具下部
133 保持爪
134 切欠き部
150 固定具
151 固定具の孔

Claims (15)

  1. 骨貫通孔内に固定される移植用靱帯を、前記骨貫通孔の開口部で固定するための固定具であって、
    一端から他端に向かうにしたがって径が小さくなる楔形貫通孔を、一対以上有し、
    一つの楔形貫通孔における小径側の頂点または側辺が、対となる他の楔形貫通孔における小径側の頂点または側辺と、前記固定具中心部を挟んで互いに対向していることを特徴とする固定具。
  2. 前記楔形貫通孔の小径側の内周が、波形の凹凸を有する請求項1記載の固定具。
  3. 前記波形の凹凸は、前記楔形貫通孔の径の小さい端に向かうにしたがって、凹凸の周期が短く、かつ、凹凸の起伏が大きくなる、請求項2記載の固定具。
  4. 前記楔形貫通孔における小径側の側辺の外側に、弾性増強用貫通孔を設けた請求項1から3のいずれか一項に記載の固定具。
  5. 前記楔形貫通孔が、複数の対からなり、かつ、固定具中心部の周囲に放射状に配置されている請求項1から4のいずれか一項に記載の固定具。
  6. 前記楔形貫通孔が、複数の対からなり、かつ、固定具中心部の周囲に放射状に配置されており、
    前記弾性増強用貫通孔が、互いに隣接する前記楔形貫通孔の間に配置されている請求項4記載の固定具。
  7. 一つの楔形貫通孔における小径側の頂点が、対となる他の楔形貫通孔における小径側の頂点と、前記固定具中心部を挟んで互いに対向している請求項1から6のいずれか一項に記載の固定具。
  8. 一つの前記楔形貫通孔における小径側の側辺と、他の一つの前記楔形貫通孔における小径側の側辺とが、固定具中心部を挟んで互いに対向している請求項1から6のいずれか一項に記載の固定具。
  9. 固定具中心部を挟んで互いに対向している前記楔形貫通孔の形状が、直状である請求項8記載の固定具。
  10. 固定具中心部を挟んで互いに対向している前記楔形貫通孔の形状が、固定具周縁部に向かって凸状に湾曲している請求項8記載の固定具。
  11. 請求項1から10のいずれか一項に記載の固定具と前記骨との間に挿入して前記移植用靱帯の固定を補助する固定補助具。
  12. 前記固定補助具上部に前記固定具を挿入して保持し、前記保定補助具下部を前記固定具と前記骨との間に挿入して前記移植用靱帯の固定を補助する請求項11記載の固定補助具。
  13. 前記固定補助具上部が、前記固定具を挿入するための開口部を有する請求項12記載の固定補助具。
  14. 前記固定補助具上部が、前記固定具保持用の保持爪を有し、
    前記保持爪は、複数であり、かつ、前記複数の保持爪が前記開口部を挟むように配置されている請求項13記載の固定補助具。
  15. 前記固定補助具上部が、さらに、弾性増強用切欠き部を有する請求項13または14記載の固定補助具。
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