JP2014067591A - 電池パック - Google Patents

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Abstract

【課題】薄型軽量化を適切に図れるとともに、ケース部材同士を良好な溶着強度で溶着して高い安全性を発揮することが可能な電池パックを提供する。
【解決手段】
外装ケース2を、一対の第1ケース部材2A、第2ケース部材2Bで構成する。第1ケース部材2Aを第2ケース部材2Bの部材よりも難燃性の高い部材で構成する。第1ケース部材2Aの開口22Aの周縁に溶着溝部23A、第2ケース部材2Bの開口22Bの周縁に溶着溝部23Aに挿入可能な溶着リブ23Bを形成する。溶着リブ23Bを溶着溝部23Aに挿入した状態で、超音波溶着により溶着溝部23Aに溶着する。
【選択図】図3

Description

本発明は電池パックに関し、特に複数のケース部材を溶着してなる外装ケースを備える電池パックに関する。
近年、リチウムイオン電池等の二次電池を用いた電池パックが各種携帯型電子機器や電動工具、電動アシスト自転車等の電源として用いられている(特許文献1を参照)。
代表的な電池パックは、複数のケース部材からなる外装ケースに素電池を含むコアパック(発電要素)を収納し、ケース部材同士を互いに超音波溶着法等で溶着して内部封止されてなる。
近年では電池パックの薄型軽量化が望まれている。一方、電池パックには高温時において、安全性や高い強度を有することが要求されている。
そこで、外装ケースの材料として難燃性材料を用いることが提案されている。この構成によれば、一般的な樹脂材料を用いた場合に比べてケース部材の厚みを薄くしても、ある程度の耐燃性を確保できる。従って、難燃性材料で外装ケースを構成し、ケース部材の厚みを薄くすることで、高温時における安全性の確保と薄型軽量化に貢献することができる。
特開2002−042748号公報 特開2007−130880号公報
しかしながら、外装ケースを単に難燃性材料で構成すると、たとえばケース部材同士を超音波溶着する際に溶着強度を十分に確保することが難しく、溶着強度(接合強度)が低い場合がある。このため使用時において、電池パックに落下などの衝撃が加わった場合、ケース部材同士の溶着部分が開き割れを生じうる。これにより外装ケース内からコアパックが外に露出したり、外装ケースの内部に異物が混入して短絡等の問題を生じ、安全性が低下するおそれがある。このような問題は、ケース部材の溶着方法が超音波溶着法以外である場合にも同様に生じうる。
本発明は以上の課題に鑑みてなされたものであり、薄型軽量化を適切に図れるとともに、ケース部材同士を良好な溶着強度で溶着して高い安全性を発揮することが可能な電池パックを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の電池パックは、素電池と、前記素電池を収納する樹脂製の外装ケースとを有する電池パックであって、前記外装ケースは、中空状の第1ケース部材と、前記第1ケース部材の開口を封口する第2ケース部材とを備え、前記第1ケース部材は前記開口の周縁に溝部を有し且つ前記第2ケース部材の材料よりも難燃性の高い材料からなり、前記第2ケース部材は前記溝部に挿入可能なリブを有し、前記リブが前記溝部に挿入された状態で前記溝部の内表面に対して溶着されている構成とする。
ここで、前記第1ケース部材の平均厚みが前記第2ケース部材の平均厚みよりも薄い構成とすることもできる。
また、前記素電池は角型電池であり、複数の前記素電池が積層された状態で前記外装ケースに収納されている構成とすることもできる。
また、前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材は、互いに異なる種類の樹脂材料で構成することもできる。
この場合、具体的には、前記第2ケース部材はポリカーボネート樹脂で構成され、前記第1ケース部材はポリカーボネート樹脂及びアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂の混合樹脂で構成することができる。
或いは、前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材は、互いに同一種類で且つ添加剤、架橋構造、分子量、材料密度の少なくともいずれかが異なる樹脂材料で構成することができる。
この場合、具体的には、前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材はポリカーボネート樹脂で構成することができる。
また、前記溶着は超音波溶着とすることができる。
また、前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材の各々は、底面部と、前記底面部を囲繞する側部を有し、前記溝部は前記第1ケース部材の前記側部、前記リブは前記第2ケース部材の前記側部にそれぞれ存在する構成とすることができる。
また、前記リブは、前記開口の周縁に沿って断続的に設けることができる。
本発明に係る電池パックでは、樹脂製の外装ケースにおいて、第2ケース部材よりも高い難燃性を有するように第1ケース部材を構成する。これにより第1ケース部材の厚みを薄くしてもある程度の耐燃性を維持できるので、第1ケース部材の厚みを薄くすることで、電池パックの薄型軽量化を適切に図ることができる。
一方、第2ケース部材は第1ケース部材よりも低い難燃性を有するように構成する。このため第2ケース部材は、第1ケース部材よりも溶融し易い性質を呈する。従って、リブを溝部の内表面に対して溶着させる際に、リブが溝部の内部で良好に溶融するため、リブを溝部の内表面に高度に密着できる。これにより第1ケース部材と第2ケース部材とを良好な溶着強度で溶着し、高い安全性を発揮することができる。
電池パック1を上面側から見た外観図である。 電池パック1を下面側から見た外観図である。 電池パック1の内部構成を示す展開図(組図)である。 コアパック4の構成を示す展開図である。 コアパック4の構成を示す展開図である。 第1ケース部材2A及び第2ケース部材2Bの構成を示す部分拡大図である。 第1ケース部材2A及び第2ケース部材2Bの構成を示す部分断面図である。 溶着後の第1ケース部材2A及び第2ケース部材2Bの部分断面図である。 変形例に係る、第1ケース部材及び第2ケース部材の構造を示す部分断面図である。 落下試験における電池パックの落下方向を説明するための図である。
以下に、本発明の実施の形態を説明する。尚、当然ながら本発明は以下に示す各実施の形態に限定されず、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。
<実施の形態>
(電池パック1の外観構成)
本発明の実施の形態に係る電池パック1の外観構成について、図1及び図2を用いて説明する。図1及び図2は、同順に電池パック1を上面側及び下面側からそれぞれ見た外観図である。
電池パック1は、一対のケース部材(第1ケース部材2A及び第2ケース部材2B)が溶着により接合されてなる外装ケース2を有し、Z方向を厚み方向、X方向を幅方向、Y方向を長手方向とする。第1ケース部材2A及び第2ケース部材2Bは、一例として、超音波溶着法により接合されている。第1ケース部材2A及び第2ケース部材2Bの外観形状は、電池パック1の給電対象機器側の形状に合わせている。第1ケース部材2A及び第2ケース部材2Bの外表面にはそれぞれシート部3A、3Bが貼着される。第1ケース部材2Aの一側面(図2、3の各紙面手前側の面)には複数の端子窓20Aが設けられ、それぞれより外部端子91が露出している。
電池パック1のサイズは、一例として幅48mm×長手方向長さ56mm×厚み18mmであるが、当然ながらこれに限定されない。
(電池パック1の内部構成)
電池パック1の全体的な内部構成を図3に基づいて説明する。図3は電池パック1の内部構成を示す展開図(組図)である。
図3に示すように、電池パック1は、外装ケース2(第1ケース部材2A及び第2ケース部材2B)と、シート部3A、3Bと、コアパック4とを有してなる。
コアパック4は、素電池5(5A、5B)と、スペーサ6と、絶縁部材7と、リード部材8と、保護回路基板9と、固定用テープ10A、10Bとを有してなる。
図3に示すように、電池パック1の全体的な内部構成としては、第1ケース部材2A及び第2ケース部材2Bの各収納空間21A、21Bにコアパック4を収納して構成される。Z方向に沿ったコアパック4の下方及び上方が同順に第1ケース部材2A及び第2ケース部材2Bの各収納空間21A、21Bにそれぞれ収納される。
以下、各図を用いて電池パック1の各構成要素を順に説明する。
[素電池5A、5B]
素電池5A、5Bは扁平角型電池のリチウムイオン(Li−ion)電池である。ここで図4は、固定用テープ10Bと保護回路基板9、絶縁部材7を素電池5A、5B側より離間した、コアパック4の展開図である。また図5は、リード板8Cを素電池5A、5B及び保護回路基板9側より離間した、コアパック4の構成を示す展開図である。
図4、図5に示すように、素電池5A(5B)はAlまたはAl合金からなる有底角筒状の外装缶50A(50B)の内部に、正負両極板をセパレータを介して巻回し、これを側面より押し潰してなる電極体(不図示)と、電解液が収納され、封口板51A(51B)で内部封止されて構成される。封口板51A(51B)には負極端子52A(52B)が配設される。外装缶50A(50B)の底面には正極端子53A(53B)が配設される。正極端子53A(53B)は、Al−Niクラッド材で構成される。コアパック4では図4、図5に示すように、素電池5A、5BがY方向を長手方向として互いに逆向きに配列され、スペーサ6を挟んでZ方向に積層される。
電池パック1では素電池5A、5Bとして充電容量に優れるリチウムイオン電池を利用する。しかしながら素電池5A、5Bの種類はこれに限定されず、ニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池等、その他の二次電池を使用できる。また素電池5A、5Bは扁平角型電池に限定されず、例えば厚みのある角型電池や円筒型電池であってもよい。
[スペーサ6]
スペーサ6は絶縁材料(一例として樹脂材料)からなる板状体であり、素電池5A、5Bの間に一定の間隙を確保し、素電池5A、5B同士の不要な接触を防止する目的で配される(図4、図5)。
[絶縁部材7]
絶縁部材7は板状の絶縁材料で構成され、保護回路基板9とリード部材8間の不要な短絡を防止するために用いられる。絶縁部材7は例えば樹脂材料で構成される。
[リード部材8]
リード部材8は、複数のリード板8A、8B、8Cで構成され、素電池5A、5Bを所定の接続配列(ここでは直列)で電気接続するとともに、保護回路基板9と素電池5A、5Bとを電気接続するために用いられる(図4、図5)。
リード板8A、8B、8Cは、一例として通電性及び溶接特性に優れる板状の金属材料(NiPまたはNi−Fe−Niクラッド材)を用いて構成される。具体的にリード板8A(8B)は、端子接続部80(82)と、基板接続部81(83)と、異常電流が流れた際に通電を遮断するPTC素子84A(84B)とを有してなる。PTC素子84A(84B)は端子接続部80(82)と基板接続部81(83)の間に電気接続されている(図4)。リード板8Cは、2つの端子接続部86、87と、基板接続部85とを有してなる(図5)。
リード板8A、8B、8Cの具体的な電気接続例を図4、図5に基づいて説明する。
負極端子52Aには、リード板8Aの端子接続部80が電気接続される。正極端子53Aには、リード板8Cの端子接続部87が電気接続される。負極端子52Bには端子接続部86が電気接続される。正極端子53Bには、リード板8Bの端子接続部82が電気接続される。このような各リード板8A〜8Cと各素電池5A、5Bとの電気接続は、例えばスポット溶接により実施される。
リード板8A、8B、8Cの基板接続部81、83、85は、保護回路基板9に電気接続される。リード板8A、8B、8Cと保護回路基板9との電気接続は、例えばリフローはんだ法により実施される。
[保護回路基板9]
保護回路基板9は、ガラスエポキシ樹脂等のコンポジット材料からなる基板本体90の表面に、複数の電気素子(セラミックコンデンサやICチップ)が実装されてなる(図4)。さらに基板本体90の表面には、素電池5A、5Bを充放電するための充放電端子を含む複数の外部端子91と、テストポイント端子92とが設けられる。
[固定用テープ10A、10B]
固定用テープ10A、10Bは片面に粘着層を有する粘着テープである。固定用テープ10Aは素電池5A、5Bを、スペーサ6を介して積層した状態で維持するために、素電池5A、5Bの外周に亘って配設される(図3)。
固定用テープ10Bは、素電池5A、5Bの所定の位置でリード板8A、8Bを保持するために、素電池5A、5Bに亘って配設される(図3)。
[シート部3A、3B]
シート部3A、3Bはポリカーボネート(PC)フィルムで構成され、電池パック1の定格や使用上の注意事項等を表示する。シート部3A、3Bは第1ケース部材2A及び第2ケース部材2Bの表面にそれぞれ貼着される(図1、図2)。
[外装ケース2]
外装ケース2は、樹脂製の第1ケース部材2Aと第2ケース部材2Bとを有してなる(図3)。第1ケース部材2Aと第2ケース部材2Bは、互いにグレードが異なるポリカーボネート(PC)材料等の樹脂材料を用いた射出成形品で構成される。ここで言う「グレード」の違いとは、樹脂材料に含まれる添加剤、架橋構造、分子量、材料密度の少なくともいずれかが異なることを指す。
図3に示すように、第1ケース部材2Aは有底中空体(一例として皿状体)であり、素電池5A、5Bのサイズに合わせた矩形状の底面部25Aが側部26Aで囲繞されてなる。側部26AのZ方向頂部に沿って開口22Aの周縁が存在する。側部26Aの内方にはコアパック4の下方側を収納するための収納空間21Aが存在する。ここで図6は第1ケース部材2Aと第2ケース部材2Bの部分拡大図(コアパック4は省略している)である。図6に示すように、第1ケース部材2Aの開口22Aの周縁に沿って、第2ケース部材2Bの各溶着リブ23Bを挿入可能な複数の溶着溝部23Aと、複数の段差部24Aとが、それぞれ交互に断続的に配設されている。
第2ケース部材2Bは第1ケース部材2Aと同様に有底中空体(一例として皿状体)であって、図3、図6に示すように、矩形状の底面部25Bの周囲が側部26Bで囲繞されてなる。側部26Bの頂部に沿って開口22Bの周縁が存在する。側部26Bの高さは側部26Aよりも高く設定され、側部26Bの内方にコアパック4の上方を収納するための収納空間21Bが存在する(図6)。当図に示すように、開口22Bの周縁に沿って、複数の溶着リブ23Bと複数の縁端部24Bとがそれぞれ交互に断続的に配設される。溶着リブ23Bは、溶着溝部23Aの内部に挿入された状態で、超音波溶着により溶着溝部23Aの内表面に対して高い密着性で溶着されている(図8参照)。これにより第2ケース部材2Bは第1ケース部材2Aの開口22Aを封口するように配される。
尚、溶着溝部23Aと溶着リブ23Bとは断続的に複数設ける例に限定されず、それぞれ連続して設けてもよい。また、第1ケース部材2A及び第2ケース部材2Bのいずれか一方の側壁を省略し、溶着溝部23Aまたは溶着リブ23Bを有する蓋体として構成するか、側壁26Aまたは側壁26Bの高さを調節して電池パック1のZ方向厚みを調節することもできる。
ここで第1ケース部材2Aを第2ケース部材2Bよりも難燃性の高い材料で構成することで、第1ケース部材2Aの厚みD(図8参照)を薄くしてもある程度の耐燃性を確保できる。すなわち第1ケース部材2Aの側部25Aと底面部26Aの平均厚みをD1、第2ケース部材2Bの側部25Bと底面部26Bの平均厚みをD2とする場合、D1≦D2を満たすように厚み設計を実施することができる。尚、ここで言う「難燃性」とは相対的な意味を指し、絶対的な難燃性を有する場合に限定されない。
具体例として、米国燃焼性UL(Underwriters Laboratories Inc.)94規格に準拠した厚み設計を例示する。電池パックの外装ケースとしては、UL94−V1規格に準拠した厚み設計が要求される。そこで第1ケース部材2Aの材料として厚み0.75mmでUL94V−1に準拠する燃焼性を有する材料を用いる。また、第2ケース部材2Bの材料に厚み0.75mmでUL94V−0に準拠する燃焼性を有し、且つ、UL94V−1に準拠する燃焼性までは有さない材料を用いる。このような第1ケース部材2Aと第2ケース部材2Bの各材料としては、グレードの異なるPC材料が好適である。これによりD1を約0.4mm以上の厚み、D2を約0.8mm以上の厚みでそれぞれ設定できる。一例として、第2ケース部材2Bの側部26Bの厚みを0.77mm、第1ケース部材2Aの底面部25Aの厚みを0.55mm、底面部25A近傍の側部26Aの厚みを0.59mm、溝部23A近傍の側部26Aの厚みを0.8mmに設定することができる。
ここで、D2を従来の第2ケース部材2Bの平均厚みと同等とし、D1をD2に比べて薄く設定することで、特に外装ケース2の全体(Z)厚みを従来よりも薄くできる。従って、電池パック1の薄型軽量化に貢献することができる。
また、第2ケース部材2Bを第1ケース部材2Aよりも低い難燃性を有するように構成することで、溶着時に溶着リブ23Bが良好に溶融し、溶着溝部23Aの内表面に対して溶着する。これにより第1ケース部材2Aと第2ケース部材2Bが高い溶着強度(接合強度)で接合されるので、電池パック1のように複数の素電池5A、5Bを備え、比較的質量が大きいコアパック4を収納する場合でも、落下等の衝撃によりケース部材2A、2B同士が開き割れを生じるのを防止でき、高い安全性を発揮できる。
(電池パック1の製造工程)
以下、電池パック1の製造工程を例示する。
[コアパック4の組立]
素電池5A、5Bを各長手方向が逆向きになるように揃え、スペーサ6を介して積層する。素電池5A、5Bの外周に固定用テープ10Aを貼着し、素電池5A、5B、スペーサ6を積層した状態で固定する(図4参照)。
リード板8A、8Bを用意する。素電池5Aの負極端子52A、素電池5Bの正極端子53Bにリード板8A、8Bの端子接続部80、82を同順に電気接続する。リード板8A、8Bの上から素電池5A、5Bに亘って固定用テープ10Bを貼着し、リード板8A、8Bを素電池5A、5B側に固定する。
リード板8Cを用意する。素電池5Aの正極端子53A、素電池5Bの負極端子52Bに端子素接続部87、86を同順に電気接続する(図5参照)。
さらに基板接続部81、83、85を保護回路基板9に電気接続する。
以上によりコアパック4が完成する(図3)。
[コアパック4の収納]
コアパック4の下方を第1ケース部材2Aの収納空間21Aに収納する。このとき、保護回路基板9の外部端子91を端子窓20Aから露出させる(図3)。
コアパック4の上方を第2ケース部材2Bの収納空間21Bに収納する(図3)。ここで図7(a)及び図7(b)は第1ケース部材2Aと第2ケース部材2Bの部分断面図である。溶着リブ23Bを溶着溝部23Aの真上に位置合わせし、溶着リブ23Bのリブ先端230Bを溶着溝部23Aの内部に挿入する(図7(a))。また、縁端部24Bの先端を段差部24Aに当接させる(図7(b))。
この状態で第1ケース部材2A及び第2ケース部材2Bに対し、公知の超音波溶着装置のホーンを押し当て、超音波振動により溶着リブ23Bを溶着溝部23Aの内表面に対して溶着する。この際の具体的な超音波溶着の設定例としては、溶着エネルギー15(J)、溶着時間(0.5sec)に設定することができる。
ホーンから伝わる超音波振動及び加圧力によって、溶着リブ23Bのリブ先端230Bと溶着溝部23Aの界面では数秒以内の極短時間で摩擦熱が発生し、第1ケース部材2Aと第2ケース部材2Bの各樹脂が溶融する。ここで第2ケース部材2Bは第1ケース部材2Aよりも低い難燃性の材料で構成されているため、超音波振動によって特に溶融しやすい。図8は溶着後の第1ケース部材2Aと第2ケース部材2Bの部分断面図である。当図に示すように、溶着リブ23Bは溶着溝部23Aの内部で比較的容易に溶融する。超音波振動を停止させると、第1ケース部材2A及び第2ケース部材2Bの溶融樹脂が再凝固する。これによって溶着リブ23Bが溶着溝部23Aの内表面に対して適切に溶着され、第1ケース部材2Aと第2ケース部材2Bとを互いに高い溶着強度(接合強度)で溶着することができる。
第1ケース部材2A、第2ケース部材2Bの各外表面に、シート部3A、3Bを貼着する(図1、2)。
以上で電池パック1が完成する。
<変形例>
次に、本発明の変形例について、実施の形態1との差異を中心に説明する。
図9(a)は変形例1に係る第1ケース部材2C及び第2ケース部材2Dの部分断面図である。当図に示す構成では、第2ケース部材2Dの開口22Dの周縁に二重に溶着リブ23Dを設け、第1ケース部材2Cの開口22Cの周縁には各溶着リブ23Dを個別に挿入可能な溶着溝部23Cを二重に設けている。
このような構成を有する変形例1においても、実施の形態1と同様の効果を奏する。また、溶着リブ23Dを二重に設けているため、第1ケース部材2Cと第2ケース部材2Dとの溶着部分を増加できるので、一層の溶着強度の向上を期待することができる。
図9(b)は変形例2に係る第1ケース部材2E及び第2ケース部材2Fの部分断面図である。当図に示す構成では、第1ケース部材2Eに溶着リブ27Eと、第2ケース部材2Fの溶着リブ23Fを挿入可能な溶着溝部23Eを設ける。さらに第2ケース部材2Fに溶着リブ23Fと、第1ケース部材2Eの溶着リブ27Eを挿入可能な溶着溝部27Fを設ける。
このような構成によっても、実施の形態1と同様の効果を奏する。さらに超音波溶着の際、溝部27Fが溶融して溶着リブ27Eの表面に一定の強度で溶着するため、総じて高い溶着強度を確保することができる。
<性能確認試験>
本発明の奏する効果を確認するため、以下の手順で性能確認試験を行った。
[落下試験]
外装ケースの材料が異なる点以外は共通の構成を有する電池パック(比較例1〜3、実施例)をそれぞれ5個ずつ作製した。実施例は実施の形態1の電池パック1とした。
各電池パックの外装ケースの材料にはPCを用い、第1ケース部材及び第2ケース部材同士で材料のグレードが同一または異なる組み合わせとした(表1参照)。ここでは市販品のPC材料として、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製の「FPR3500」または「FPR4540」を用いた。
尚、「FPR3500」は厚み0.75mmでUL94V−0に準拠する燃焼性を有し、UL94V−1に準拠する燃焼性までは有さない。「FPR4540」は厚み0.4mmでUL94V−1に準拠する燃焼性を有する。このように「FPR4540」は「FPR3500」と比較して難燃性が高い(すなわち、溶融しにくい)材料である。尚、以下では便宜上、「FPR3500」の燃焼性を「通常燃焼性」と称する。
比較例1では第1ケース部材及び第2ケース部材をともに難燃性の材料で構成した。比較例2では第2ケース部材を難燃性の材料、第1ケース部材を通常燃焼性の材料で構成した。比較例3では第1ケース部材及び第2ケース部材をともに通常燃焼性の材料で構成した。実施例では第2ケース部材を通常燃焼性の材料、第1ケース部材を難燃性の材料で構成した。
作製した各電池パックを1.0mの高さから堅木製の床に落下させた。落下に際しては、図10に示すように、各電池パックの6面(a〜f)及びZ方向に平行な角(4稜、g〜j)が順に各矢印方向に沿って床に当たるように計10回落下させ、これを1サイクルとし、最大5サイクルまで落下させた。1サイクル中の落下方向の順は、図10に示すa〜jの順とした。1度落下させる毎に、各電池パックの第1ケース部材と第2ケース部材の間の溶着部における開き割れの発生の有無を目視にて確認した。
各比較例及び実施例につき、1サイクルの落下試験中に開き割れが生じなかった場合に次のサイクルの落下試験を続行した。溶着部の開き割れの発生を確認した時点で評価終了とした。
[試験結果]
上記試験結果を表1〜4に示す。表2〜4中の丸は良評価を示す。
Figure 2014067591
Figure 2014067591
Figure 2014067591
Figure 2014067591
[厚み限界評価]
比較例1〜3及び実施例の外装ケースに用いた部材の材料について、米国燃焼性規格UL94に準拠する最小の限界厚みを算出した。その結果を表5に示す。表5中の「合計限界厚」は第1ケース部材と第2ケース部材の最小の合計限界厚みを示している。表5中の丸は良評価、二重丸は優評価をそれぞれ示す。
Figure 2014067591
[考察]
表1に示すように、外装ケースを難燃性の材料のみで構成した比較例1では、落下試験において外装ケースの開き割れが全て1サイクル目で発生した(No.1−1〜1−5)。この結果より、ともに難燃性の材料からなる第1ケース部材及び第2ケース部材を超音波溶着した場合、溶着強度は比較的低いと考えられる。この結果の理由としては、材料が高温下で比較的安定であり、摩擦熱によって溶融しにくいことが一因であると推測される。比較例1は表5に示されるように、部材の限界厚みを最も薄い0.8mmまで抑えることができるが、溶着強度が優れないため、溶着強度と部材厚みとのバランス評価は低い結果となった。
表2に示すように、外装ケースのうち第1ケース部材を通常燃焼性の材料、第2ケース部材を難燃性の材料で構成した比較例2では、2サイクル目までに全て開き割れが発生した(No.2−1〜2−5)。比較例2は比較例1よりは溶着強度が高いが、電池パックの通常使用に耐えうる溶着強度としては不足していると言える。この結果の理由として、比較例2では超音波溶着時に第2ケース部材の溶着リブが溶着溝部の内部で適切に溶融しなかったため、溶着強度が不足したものと考えられる。比較例2は表5に示されるように、部材の限界厚みを比較的薄い1.0mmまで抑えることができ、その分電池パックの厚みも薄くできるが、溶着強度の不足により、溶着強度と部材厚みのバランス評価はやや低い結果となった。
表3に示すように、外装ケースを通常燃焼性の材料のみで構成した比較例3は、5サイクル全ての落下試験をクリアできる溶着強度を有していることが確認された(No.3−1〜3−5)。これは溶着リブが溶着溝部の内部で良好に溶融し、高い溶着強度で溶着しているためであると考えられる。しかしながら表5に示されるように、比較例3は部材の限界厚みが1.6mmであり、電池パックの薄型化を図ることは困難である。このような理由によって、比較例3の溶着強度と部材厚みのバランス評価は低い結果となった。
一方、外装ケースのうち、第1ケース部材を難燃性の材料、第2ケース部材を通常燃焼性の材料で構成した実施例は、表4に示すように、ほぼ5サイクルに至る落下試験に耐えられる溶着強度を有していることが確認された(No.4−1〜4−5)。一方、表5に示されるように、実施例は第1ケース部材の厚みを0.4mmにすることで合計限界厚を比較的薄い1.0mmまで抑え、電池パックの厚みを薄くできる。よって実施例の溶着強度と部材厚みのバランス評価は高い結果となった。
尚、溶着溝部が溶着リブよりも溶融し易い構成(比較例2)に比べて溶着リブが溶着溝部よりも溶融し易い構成(実施例)が高い溶着強度を有する理由は定かではないが、たとえば以下のように推測される。
一般に超音波溶着法では、溶融し易い部材であるほど超音波振動が伝わり易い。従って比較例2では、溶融し易い第1ケース部材側から溶融しにくい第2ケース部材側に超音波振動が伝わり、超音波振動が溶着溝部側から溶着リブに集中し易い。この場合、溶着リブ付近で音波干渉が生じ、その結果、溶着強度が低下し易い。
一方、実施例では、溶融し易い第2ケース部材側から溶融しにくい第1ケース部材側に超音波振動が伝わり、超音波振動が溶着リブから溶着溝部に及び易い。この場合、溶着リブからの超音波振動が溶着溝部内に拡散するため、これに伴って溶着が効率的に進行する。その結果、良好な溶着強度が得られる。
このように実施例では、第1ケース部材及び第2ケース部材に難燃性の材料を用いた場合(比較例1)に比べて遜色のない程度に外装ケースの薄型軽量化を図れるとともに、第1ケース部材及び第2ケース部材の溶着強度(接合強度)を良好に確保でき、高い安全性を有していることが分かった。
以上の結果より、従来技術に対する本発明の優位性を確認することができた。
<その他の事項>
本発明において、外装ケースに収納する素電池の数は当然ながら2個に限定されず、これ以外の数であってもよい。また外装ケース内において、2個以上積層した素電池をX方向またはY方向に並設することもできる。
実施の形態1では回路基板として保護回路基板9を示したが、当然ながら保護回路基板9以外の回路基板を用いても良い。
第1ケース部材と第2ケース部材は、同じ樹脂種類でグレードが異なる材料で構成する場合に限定されず、互いに樹脂種類が異なる材料で構成することもできる。例えば第1ケース部材をPC(ポリカーボネート)樹脂とABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)樹脂の混合材料で構成し、第1ケース部材を第2ケース部材(例えばPCで構成する)よりも難燃性とすることができる。このような第1ケース部材の樹脂材料の市販品としては、例えばSABICイノベーティブプラスチックスジャパン合同会社製「CX7240」を挙げることができる。「CX7240」は「FPR3500」よりは難燃性が高く(溶融しにくく)、「FPR4540」よりは難燃性が低い(溶融し易い)特性を有する材料である。
第1ケース部材及び第2ケース部材の各材料としては、溶着時に部材が溶融するように、熱可塑性の材料を用いる必要がある。
第1ケース部材及び第2ケース部材の溶着方法としては、超音波溶着法に限定されず、振動溶着法、高周波溶着法を採用しても良い。
第2ケース部材に設ける溶着リブは、部分的に高さ(Z方向長さ)を変化させることもできる。
尚、第1ケース部材及び第2ケース部材は、それぞれ側壁の4面のみからなる所定の樹脂部材を用い、各樹脂部材の天面又は底面を窓部とし、窓部にUL規格を満足する難燃性のシートを貼着した構成としてもよい。
本発明に係る電池パックは、例えばノート型コンピュータ、携帯電話、PDA、タブレット、ポータブルDVDプレーヤ、携帯型GPS、トランシーバ等の携帯型電子機器、或いは電動工具、ハンディ型掃除機等の主電源またはバックアップ用電源として幅広く利用できる。或いはパワーアシスト自転車の主電源としても利用できる。
1 電池パック
2 外装ケース
2A、2C、2E 第1ケース部材
2B、2D、2F 第2ケース部材
3A、3B シート部
4 コアパック
5、5A、5B 素電池
6 スペーサ
7 絶縁部材
8 リード部材
8A、8B、8C リード板
9 保護回路基板
10A、10B 固定用テープ
20A 端子窓
21A、21B 収納空間
22A、22B 開口
23B、23D、23F、27E 溶着リブ
23A、23C、23E、27F 溶着溝部
24B 縁端部
24A 段差部
25A、25B 底面部
26A、26B 側部
230B、230D リブ先端

Claims (10)

  1. 素電池と、前記素電池を収納する樹脂製の外装ケースとを有する電池パックであって、
    前記外装ケースは、中空状の第1ケース部材と、前記第1ケース部材の開口を封口する第2ケース部材とを備え、
    前記第1ケース部材は前記開口の周縁に溝部を有し且つ前記第2ケース部材の材料よりも難燃性の高い材料からなり、
    前記第2ケース部材は前記溝部に挿入可能なリブを有し、前記リブが前記溝部に挿入された状態で前記溝部の内表面に対して溶着されている
    ことを特徴とする、パック電池。
  2. 前記第1ケース部材の平均厚みが前記第2ケース部材の平均厚みよりも薄い
    ことを特徴とする、請求項1に記載の電池パック。
  3. 前記素電池は角型電池であり、
    複数の前記素電池が積層された状態で前記外装ケースに収納されている
    ことを特徴とする、請求項1または2に記載の電池パック。
  4. 前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材は、互いに異なる種類の樹脂材料で構成されている
    ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の電池パック。
  5. 前記第2ケース部材はポリカーボネート樹脂で構成され、前記第1ケース部材はポリカーボネート樹脂及びアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂の混合樹脂で構成されている
    ことを特徴とする、請求項4に記載の電池パック。
  6. 前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材は、互いに同一種類で且つ添加剤、架橋構造、分子量、材料密度の少なくともいずれかが異なる樹脂材料で構成されている
    ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の電池パック。
  7. 前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材はポリカーボネート樹脂で構成されている
    ことを特徴とする、請求項6に記載の電池パック。
  8. 前記溶着は超音波溶着である
    ことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の電池パック。
  9. 前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材の各々は、底面部と、前記底面部を囲繞する側部を有し、前記溝部は前記第1ケース部材の前記側部、前記リブは前記第2ケース部材の前記側部にそれぞれ存在する
    ことを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の電池パック。
  10. 前記リブは、前記開口の周縁に沿って断続的に設けられている
    ことを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の電池パック。
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