JP2014066587A - 水分測定装置及び水分測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】中性子検出装置のコリメータ開口部の中性子源装置に対する相対的な向き等の調整をせずに、保温領域内の水分の定量や水分があるか否かの判定が簡易的にできる水分測定装置及び水分測定方法を提供すること。
【解決手段】配管30が保温材31及び保温材カバー32で被覆された検査対象物に、中性子源装置から中性子を放射して検査対象物からの熱中性子を含む外部からの全熱中性子が中性子検出器で計数時に、全計測結果に含む保温材31中の水分量を算出するデータ処理装置20を備える。データ処理装置20は、少なくとも配管サイズ、保温材厚さ及び配管30の内容物成分がパラメータで記憶される記憶部と、開口部が開状態の場合、中性子検出器の全計測結果から、記憶パラメータを基に保温材31が無水分状態を模擬した際の熱中性子の模擬計測値を減算して、保温材31の実際の含水率を求めるCPUとを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、水分測定装置等に関する。
化学プラント、原子力プラント、火力プラント等の各種プラント設備は、配管及び容器を有している。これらの配管及び容器は、保温、保冷、結露防止等を目的として表面が保温材で覆われている。保温材は、さらに、金属製の保温カバーで覆われている。保温カバーの経年劣化等に起因して、保温カバーの隙間から雨水等の水分が保温カバー内に浸入する。この水分が例えば炭素鋼製の配管の表面を腐食させる要因になっている。
配管及び容器の点検は、仮設足場を配管及び容器の周囲に設置し、作業員が保温カバー及び保温材を外して目視により配管及び容器の表面での腐食発生状況を確認することによって行われる。作業員による点検は、配管等の表面から保温カバー及び保温材を取り外す必要があり、多大な時間を必要とする。
このような問題を解消するために、保温カバー及び保温材を取り外さないで配管等の腐食を点検する非破壊検査技術が開発されている。この非破壊検査技術の一例が特許文献1に記載されている。この技術は、水分測定装置は測定装置本体部を有し、測定装置本体部のケーシング内に、中性子源装置及び中性子検出装置が設けられる。中性子源装置は高速中性子を放出する中性子源、例えば、カリホルニウム252(252Cf)と中性子源を囲む減速材を有し、中性子源から放出された高速中性子は、減速材で減速された後、保温領域内に存在する水分でさらに減速されて熱中性子になる。
中性子検出装置は中性子検出器と、中性子検出器を囲むコリメータと、コリメータの開口部(コリメータ開口部)を開閉する遮蔽蓋を含んで構成されている。コリメータ開口部には、複数の仕切り部材が配置され、これらの仕切り部材によって複数のスリットが形成されている。保温領域内に存在する水分で減速されて熱中性子になった中性子は、スリットを通って中性子検出器で検出される。
つまり、熱中性子が中性子検出器で検出された場合には、保温領域内に水分が存在しており、配管等の表面が腐食される環境にあると判断される。
特開2011−27559号公報(図3参照)
しかしながら、特許文献1に記載された従来技術では、中性子源装置から保温領域に向けて放射された減速中性子が、保温領域で散乱されて中性子検出装置の中性子検出器に効率よく検出されるようにするためには、配管及び容器(タンク、塔、槽等)の径、保温領域の厚さに応じて、中性子検出装置のコリメータ開口部の中性子源装置に対する相対的な向きやコリメータの開口寸法を調整する必要がある。もし、配管及び容器(タンク、塔及び槽等)の径、保温領域の厚さに応じて、中性子検出装置のコリメータ開口部の中性子源装置に対する相対的な向きやコリメータの開口寸法を調整しないと、コリメータ開口部のスリットにおいて保温領域で散乱した熱中性子が遮蔽されたり、保温領域外で散乱した熱中性子が通過してしまい保温領域内の水分の定量や水分があるか否かの判定ができなくなる。
また、中性子検出装置のコリメータ開口部の中性子源装置に対する相対的な向きやコリメータの開口寸法を調整可能とするには、測定装置本体部がケーシングで覆われていることから測定装置本体内に調整用の可動機構、可動機構をケーシング外部から精確に駆動させるための駆動機構が必要となる。これらのケーシング内部機構を付加させると、測定装置本体は重くなるほか、付加する機構の設置スペースを確保するために大きさが大きくなるとともに、中性子検出装置の位置を検出効率が低下する中性子源装置から離す方向にセットする必要が生じる。
水分測定装置の主な利用形態は、作業者一人が携行し、測定装置本体を本体支持棒で介して作業者から差し伸ばした状態での測定である。このため、測定装置本体は小型、軽量でかつ操作の簡易性が求められる。
以上の状況より、調整可能とした場合、測定装置本体の重量増加、大きさの増加、調整操作の追加により作業性は測定に支障をきたすほどに悪化する。また、検出効率の低下にともなって測定効率や測定精度に悪影響を与える。
本発明は、前記した従来の課題を解決するものであり、中性子検出装置のコリメータ開口部の中性子源装置に対する相対的な向きやコリメータの開口寸法の調整をせずに、保温領域内の水分の定量や水分があるか否かの判定が簡易的にできる水分測定装置及び水分測定方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の水分測定装置は、高速中性子を放出する中性子源を減速材で被覆して当該高速中性子を減速して外部へ放射する中性子源装置と、放射線遮蔽材で形成され、中性子入射用の開口部を有するコリメータと、当該コリメータ内に配置され、当該コリメータの外部から入射される熱中性子を計測する中性子検出器と、前記開口部を開又は閉状態とする遮蔽蓋とを有する中性子検出装置と、内部空間を有し、当該空間に液体及び気体を含む物を流動及び停滞状態に収容する収容体が保温材で被覆され、当該保温材が更に保温カバーで被覆された検査対象物に、前記中性子源装置から中性子を放射して当該検査対象物から得られる熱中性子を含む外部からの全熱中性子が前記中性子検出器で計数された際に、この全計測結果に含まれる前記保温材中の水分量を算出するデータ処理装置とを備える。前記データ処理装置は、少なくとも前記収容体のサイズ、前記保温材の厚さ及び前記収容体の内容物成分のデータがパラメータとして記憶される記憶手段と、前記遮蔽蓋により前記開口部が開状態の場合に、前記中性子検出器の全計測結果から、前記記憶されたパラメータを基に前記保温材が無水分状態を模擬した際の熱中性子の模擬計測値を減算して、当該保温材の実際の含水率を求める処理手段とを有することを特徴とする。
本発明によれば、中性子検出装置のコリメータ開口部の中性子源装置に対する相対的な向きやコリメータの開口寸法の調整をせずに、保温領域内の水分の定量や水分があるか否かの判定が簡易的にできる水分測定装置及び水分測定方法を提供することができる。
本発明の実施例形態に係る水分測定装置の全体構成図である。 図1の測定装置本体部の内部構成を示す斜視図である。 (a)は、測定装置本体部とデータ処理装置の機能ブロック構成図、(b)は配管を被覆する保温材内の水分の測定様態を示す図である。 水分測定装置で、中性子検出装置のコリメータ開口部を開いて配管の保温材を含む周囲物に存在する水分の測定状態を示す図である。 水分測定装置で、中性子検出装置のコリメータ開口部を閉じて保温材を含む周囲物に存在する水分の測定状態を示す図である。 横軸を配管サイズ、縦軸を開又は閉状態のノイズ計数率成分の差とした際の、配管サイズ及び保温材厚さと、ノイズ計数率成分の差との関係を表す図である。 横軸を配管サイズ、縦軸を保温材中水分無し状態での測定系統固有のノイズ計数率成分とした際の、配管サイズ及び保温材厚さと、ノイズ計数率成分との関係を表す図である。 横軸を配管サイズ、縦軸を保温材中水分有り状態での測定系統固有の保温材中水分に対するノイズ計数率係数とした際の、配管サイズ及び保温材厚さと、ノイズ計数率係数との関係を表す図である。 横軸を配管サイズ、縦軸を水分評価計数率から含水率に換算する換算係数とした際の、配管サイズ及び保温材厚さと、換算係数との関係を表す図である。 横軸の測定時刻に対する縦軸の含水率の関係を表す図である。 横軸の測定時刻に対する縦軸の含水率の関係において、警報レベル及び有意含水レベルを設定した状態を表す図である。 本実施形態の水分測定装置による水分の純粋なシグナル抽出と、測定対象の水分の含水率及び含水率誤差の評価処理の動作を説明するためのフローチャートである。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
<実施形態の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る水分測定装置1の構成図である。
水分測定装置1は、プラント等に配備された配管30を被覆する保温材(保温領域)31に含有される水分を、更に保温材31を被覆する保温材カバー32の外部から検出するものである。なお、配管30内には、プラントが例えば石油化学コンビナートであれば、石油等の配管内容物33が通過している。また、本実施形態では、水分の検査対象物が配管30の保温材31としたが、同様な保温機構の容器であってもよい。また、水分測定装置1は、操作ロッド部26に測定装置本体部5及び表示器27が固定され、更にデータ処理装置20をセットで備えて構成されている。
操作ロッド部26は筒型の棒状を成し、この筒内に本体支持棒26aが伸縮自在に挿入され、例えば1m〜数m等の所望長さに長さを調整したところで回転式固定部26bを回転させて締め付け固定する構成となっている。本体支持棒26aは、測定装置本体部5の上面中央部に所定角度範囲で2自由度以上の回転機構で回動自在に取り付けられている。
図2は測定装置本体部5の内部構成を示す斜視図、図3(a)は測定装置本体部5とデータ処理装置20の機能ブロック構成図、(b)は配管30を被覆する保温材31内の水分34の測定様態を示す図である。
図2に示すように、測定装置本体部5は、中性子源装置3、ケーシング25、中性子検出装置6、遮蔽蓋12、遮蔽蓋移動装置13を有する。
中性子源装置3は、中性子源格納容器3cを有し、中性子源格納容器3c内に中性子源(例えばカリホルニウム252)3aを減速材3bで取り囲んで配置している。中性子源格納容器3cは放射線遮蔽材にて構成され、中性子源格納容器3cには中性子放出口(図示せず)が形成されている。減速材3bは、中性子源3aと中性子源格納容器3cの間、特に中性子放出口と中性子源3aとの間に配置される。
図2に示すように、中性子検出装置6は、細長い中性子検出器6aを放射線遮蔽材で形成されたコリメータ6bで取り囲んで構成され、測定装置本体部5のケーシング25内の両側に計2つ配備されている。なお、中性子検出器6aは、例えばヘリウムの安定同位体であるヘリウム3を検出するヘリウム3検出器である。
コリメータ6bは、図3(a)に示すように、中性子検出器6aの軸方向(図3(a)の紙面を貫く方向)に伸びる、中性子入射開口部としてのコリメータ開口部(単に、開口部ともいう)6cを有する。コリメータ開口部6cには、図示せぬ板状の放射線遮蔽材による複数枚の仕切り部材で区切られた複数のスリットが形成されており、熱中性子の入射方向を規制している。中性子源装置3は、2つの中性子検出装置6の間に配置される。
図3(a)に示す各中性子検出装置6の各々の開口部6cは、図2に示すように、対向状態に、ケーシング25の底面に対して同じ角度で傾斜している。図3(a)では一方の中性子検出装置6の記載を省略しているが、各開口部6cは、中性子の入射可能な領域を配管30の外面と保温カバー32の内面との間の領域になるように、傾斜角とコリメータ開口寸法を設定している。この傾斜角とコリメータ開口寸法は固定であり容易に変えることができない。
ケーシング25内には、各中性子検出装置6の間に電源・電子回路ユニット4が設けられ、図3では記載を省略しているが、ケーシング25の外部の4隅には4個の車輪21が取り付けられている。電源・電子回路ユニット4は、図3(a)に示すように、中性子検出器6a及び遮蔽蓋移動装置13に電気的に接続され、中性子検出及び遮蔽蓋12の開閉動作等を行う際の電源となっている。
図1に示すように、表示器27は、測定者が所望の操作を行う操作ボタン27aと、データ処理装置20との無線通信により得られた測定結果等の各種データを表示する表示部27bとを備えて構成されている。また、表示器27は、測定者が操作ロッド部26を把持した際に測定者が見やすい操作ロッド部26の位置に取り付けられている。
データ処理装置20は、図1に示すようにデータ処理装置本体部23に表示部21及び入力部22を備えている。更に、図3(a)に示すように、内部に、CPU(Central Processing Unit)23aにバス23bで接続された記憶部(記憶手段)23c、入力インタフェース23d、出力インタフェース23e、通信部23fを備えて構成されている。データ処理装置20は後述する各種処理及び制御を行う。但し、記憶部23cは、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びHDD(Hard Disk Drive)等から構成される。
ここで、上記構成の水分測定装置1で水分測定を行う際の参照となる基本原理について述べる。
中性子源3a及び中性子検出器6aを含む測定装置本体部5を、配管30の保温材カバー32の表面に当てる。例えば図3(b)に中性子源3aから四方八方に伸びる矢印で示すように、中性子源3aから等方向に放出された高速中性子は、保温材31に含まれた水分34を構成する水素原子と弾性衝突を繰り返すことでエネルギーが低下し熱中性子となる。この熱中性子のうち、図3(b)に破線矢印Soで示す後方散乱するものを中性子検出器6aで検出することにより、水分34を検出する。
しかし、コンビナート等の使用環境で検出される信号には、図3(b)に矢印N1o,N2o,N5等で示すように、中性子源3aから放出された高速中性子が保温材31中の水分34にて熱中性子化された信号(純粋な水分の検出シグナル)の他、配管30の内容物33にて熱中性子化された信号や中性子源3aから直達する中性子等の信号(ノイズ)が多く存在し、検出したいシグナルが識別できない状況が生じてしまう。
そこで、水分測定装置1では、ノイズを低減するために中性子検出器6aを含む中性子検出装置6の周りを図示せぬ中性子遮蔽材で覆い、保温材カバー32側に位置する一方向に開口部(コリメータ開口部)6cを設け、保温材カバー32側から入射してくる熱中性子のみを検出するコリメータ6bの構造(コリメータ構造)としてある。
図3に示す開口部6cの突出長さは、配管30等の外装板金(保温材カバー32)との位置関係やシグナル増加の観点から短くする必要がある。しかし、短くしすぎるとノイズを制限するために開口幅が狭くなりシグナルが減少してしまう。そこで、開口部6cの突出長さが短く大きな開口部内をいくつもの狭い開口で構成されるように仕切るように図示せぬ複数のスリットを並べる構造(マルチスリット構造)とする。このスリット構造により、シグナルの減少が抑制され、効率のよい熱中性子信号の空間識別が可能となっている。
また、中性子源3aとして用いる放射性同位元素には、扱い易さから自発核分裂核種であるCf−252(カリホルニウム252)を適用する。しかし、Cf−252から放出される高速中性子はエネルギーが高いため、保温材31中の水分34で効率よく熱中性子化しない。このため、シグナルを増加させることを目的として、図3(a)に示すように中性子源3aを中性子の減速材3bで取り囲んである。減速材3bは、中性子源3aから放出する高速中性子のエネルギーを低下させることで、保温材31中の水分34で効率よく熱中性子化させる働きがある。
従って、図3(b)に中性子源3aから8方方向に伸びる矢印は、本実施形態においては、減速中性子35を示している。
中性子検出器6aに入射する熱中性子は、マルチスリット型のコリメータ6によりノイズ成分の多くを排除するが、つまり、熱中性子の入射方向が規制されるが、中性子遮蔽構造に完全な遮蔽能力を持たせることは現実的には不可能である。このため、マルチスリット型のコリメータ6で排除しきれないノイズをキャンセルし、シグナルの抽出効率を高めるため、差分計測法を採用した。この差分計測法によりノイズをキャンセルする方法として、図3に示すように開口部6cの前面に熱中性子を遮蔽する開閉式の遮蔽蓋12を設けた。遮蔽蓋12の開閉による中性子検出器6aでの計測値の差分を求めることで、ノイズをキャンセルするようになっている。
このノイズのキャンセル方法について説明する。但し、計測値をM、シグナルをS、ノイズをnとする。遮蔽蓋12の開状態での計測値をMAとすると、この計測値MAは、SAとnAの和で表すことができる。即ち、MA=SA+nAである。
遮蔽蓋12の閉状態での計測値をMBとすると、この計測値MBは、SBとnBの和で表すことができる。即ち、MB=SB+nBである。
この2つの計測値MAとMBとの差分をとると、次式(1)で表される。
MA−MB=(SA+nA)−(SB+nB)
=SA−SB+nA−nB …(1)
ここで、SA≫SB、nA≒nBなので、上式(1)は近似的に次式(2)と置き換えることができる。
MA−MB=SA …(2)
この式(2)の通り、純粋な水分のシグナルSAが残る。
但し、本実施形態のコリメータ開口部6cにおいては、上述したマルチスリット構造となっていなくてもよい。
このような原理を参照して、本実施形態の水分測定装置1においては、図4に示すように、保温材31の中の水分34から反射される中性子成分の内、遮蔽蓋12を開放した開口部6cから入射されて中性子検出器6aで検出される成分を、他のノイズ成分と弁別し、純粋なシグナル成分Soを抽出する。即ち、開放状態で検出される成分には、矢印Soで示す純粋な水分34のシグナルの他に、矢印N1o,N2o,N3o,N4,N5,N6,N7で示すノイズ成分が含まれる。このため、ノイズと弁別してシグナルSoのみを抽出する必要がある。
但し、矢印N1oは中性子源3aからのノイズ、N2oは乾燥した保温材31からのノイズ、N3o及びN4は配管内容物33からのノイズ、N5は乾燥した保温材31からのノイズ、N6は保温材31に含まれる開口部6cの視野範囲外の水分からのシグナル、N7は隣接配管、水溜り、コンクリート、地面や人体等の周囲物体36からのノイズである。
また、純粋なシグナルSoは、中性子検出器6aにおいて計数率(単位:cps)にて計測されるが、その計数率は中性子源3aの減衰と共に減衰することを考慮し、計数率と検量線は減衰条件を同一に設定する必要がある。検量線にて求める定量値は、一義的に取り扱える含水率(vol%)が好ましい。この理由は、水分質量等は空間的な情報と共に扱う必要が有り、分かり難いためである。但し、遮蔽蓋12を閉状態(開口部6cを閉じた状態)とした際の水分測定の様子を図5に示す。図5においては、図4の符号So,N1o,N2o,N3oに対して、符号Sc,N1c,N2c,N3cとしてある。符号S,N1,N2,N3に添付される添字の「o」は遮蔽蓋12の開状態(開口部6cを開けた状態)、「c」は遮蔽蓋12の閉状態(開口部6cを閉めた状態)を示す。これは、他の符号への添字o,cも同様である。
水分測定装置1による水分測定は、遮蔽蓋12の開閉だけで済むようにしてある。更に、水分測定値からシグナルSoを抽出して含水率を求め、誤差評価するまでの一連の評価は、データ処理装置20にて測定者がリアルタイムでできるようになっている。
このように遮蔽蓋12の開閉状態のみで、保温材31の含水率を適正に求めてリアルタイムで表示する方法を説明する。最初に、シグナルSoの抽出方法について説明する。
中性子検出器6aにて計測される全ての計数率成分Dは、次式(3)のようになる。但し、式(3)では、遮蔽蓋12を開状態「o」とした場合のみが示してあるが、閉状態「c」の場合も添字oがcとなるだけで同様の式で表される。
Do=So+N1o+N2o+N3o+N4+N5+N6+N7 …(3)
但し、Doは開口部6cが開状態の場合に、Dcは閉状態の場合に入射され、中性子検出器6aにより計測される計数率成分(cps)である。
Soは、遮蔽蓋12が開状態の場合、Scは閉状態の場合に、保温材31中の水分34にて反射した中性子成分が開口部6cより入射して、中性子検出器6aで計測される際の計数率成分(cps)である。
N1oは、遮蔽蓋12が開状態の場合、N1cは閉状態の場合に、中性子源3aよりコリメータ6bを透過して入射した中性子成分が計測される計数率成分(cps)である。
N2oは、遮蔽蓋12が開状態の場合、N2cは閉状態の場合に、乾燥した保温材31にて反射して開口部6cより入射した中性子成分が計測される計数率成分(cps)である。
N3oは、遮蔽蓋12が開状態の場合、N3cは閉状態の場合に、配管内容物33で反射し、開口部6cより入射した中性子成分が計測される計数率成分(cps)である。
N4は、配管内容物33で反射し、コリメータ6bを透過して入射した中性子成分が計測される計数率成分(cps)である。
N5は、乾燥した保温材31で反射し、コリメータ6bを透過して入射した中性子成分が計測される計数率成分(cps)である。
N6は、保温材31の中の水分34で反射し検出器遮蔽を透過して入射した中性子成分が計測される計数率成分(cps)である。
N7は、周囲物体36で反射し、コリメータ6bを透過して入射した中性子成分が計測される計数率成分(cps)である。
シグナルSoは、次式(4)で求められる。
So=Do−(N1o+N2o+N3o+N4+N5+N6+N7) …(4)
ここで、N1oは、測定装置本体部5のID(Identiflication) eと、測定年月日tとに依存するノイズ成分値であり、次式(5)で表されるとする。
N1o=C1o(e,t) …(5)
N2o、N3o、N4、N5は、配管サイズ(配管30の口径サイズ)ps、保温材厚さ(保温材31の厚さ)ht、配管内容物(配管内容物33)pc、測定装置本体部ID e、測定年月日tに依存するノイズ成分であり、次式(6)及び(7)の関係で表されるとする。
N2o+N3o=C2o(ps,ht,pc,e,t) …(6)
N4+N5=C3(ps,ht,pc,e,t) …(7)
なお、配管30の直径サイズを大きく採ることにより、タンクや角型槽等の平面部分にも適用できる。
N6は、保温材31の水分成分So(e,t)に依存し、次式(8)で表される。
N6=β(ps,ht,e)So(e,t) …(8)
但し、β(ps,ht,e)は、配管サイズps、保温材厚さht、配管内容物pc、測定装置本体部ID:eに依存する係数であるとする。
N7は、極めて小さいことが分かっており、次式(9)で表される。
N7≒0 …(9)
この式(9)のように、N7≒0とすると、上式(4)は、次式(10)となり、これがシグナルSo抽出の基本式となる。
So(e,t)=Do(e,t)−C1o(e,t)
−C2o(ps,ht,pc,e,t)
−C3(ps,ht,pc,e,t)
−β(ps,ht,e)So(e,t) …(10)
この基本式(10)を基にして保温材31の水分成分So(e,t)を求める方法としては、次に説明する第1及び第2のシグナル抽出方法がある。
第1の抽出方法は、図1に示すように、保温材カバー32に測定装置本体部5を当接した同一地点で、遮蔽蓋12の開閉動作を行い、Do(e,t)とDc(e,t)とを測定して水分成分So(e,t)を求めるものである。
第1の抽出方法において、N4,N5,N6,N7(つまり開口部6c以外から入射されるもの)は遮蔽蓋12の開閉によらず各定点で一定である。従って、上式(10)のC3(ps,ht,pc,e,t)+β(ps,ht,e)So(e,t)も一定となり、So(e,t)−Sc(e,t)を求めるとキャンセルされ、次式(11)のようになる。
So(e,t)−Sc(e,t)={Do(e,t)−Dc(e,t)}
−{C1o(e,t)−C1c(e,t)}
−{C2o(ps,ht,pc,e,t)
−C2c(ps,ht,pc,e,t)}
…(11)
ここで、コリメータ開口部6cを通過する成分である遮蔽蓋12が開時の成分と、閉時の成分との関係(差分)は、測定装置本体部ID:eで決まる遮蔽率α(e)で次式(12)のように関係付けられる。但し、遮蔽率α(e)は、予め測定により求めることができる。
Sc(e,t)=So(e,t){1−α(e)} …(12)
また、C1o(e,t),C1c(e,t)ともに測定装置本体部ID:eで決まるため、So(e,t)は次式(13)のようになる。
So(e,t)=[{(Do(e,t)−Dc(e,t))
−{C1o(e,t)−C1c(e,t)}
−{C2o(ps,ht,pc,e,t)
−C2c(ps,ht,pc,e,t)}]/α(e) …(13)
本式(13)が、第1の抽出方法の実用式となる。
ここで、式(13)中のC1o(e,t)、C1c(e,t)は測定装置本体部IDで決まる値であり、測定装置本体部5単独でDo(e,t),Dc(e,t)を測定することで求められる。
また、C2o(ps,ht,pc,e,t)−C2c(ps,ht,pc,e,t)は、保温材31の中に水分がない状態So(e,t)=0で、開又は閉状態における開口部6cから入射するノイズ計数率成分(cps)の差である。従って、配管サイズ、保温材厚さ、配管内容物の成分を模擬し、Do(e,t),Dc(e,t)を測定することで、図6のように求められる。
即ち、図6は横軸を配管サイズps、縦軸を開又は閉状態のノイズ計数率成分(cps)の差であるC2o(ps,ht,pc,e,ts)−C2c(ps,ht,pc,e,ts)とした際の、配管サイズps及び保温材厚さht(mm)と、ノイズ計数率成分(cps)の差との関係を表す図である。但し、tsは後述する基準年月日である。
この図6に表されるように、配管サイズpsが小さく、且つ保温材厚さhtが厚くなる程に、ノイズ計数率成分(cps)の差が小さくなっている。
第2の抽出方法は、遮蔽蓋12を開状態としたままで測定を行うものである。従って、第1の抽出方法よりも効率的な測定を行うことができる。
開放したままでは、上式(10)が、次式(14)となり、この式(14)が第2の抽出方法の実用式となる。
So(e,t)=[Do(e,t)−C1o(e,t)
−{C2o(ps,ht,pc,e,t)
+C3(ps,ht,pc,e,t)}]
/{1+β(ps,ht,e)} …(14)
ここで、C1o(e,t)は、測定装置本体部5が単独で遮蔽蓋12を開けた状態での計数率(cps)成分であるから、測定装置本体部5が単独{So(e,t)=0、C2o(ps,ht,pc,e,t)=C3(ps,ht,pc,e,t)=0}で、Do(e,t)を測定することで求められる。
C2o(ps,ht,pc,e,t)+C3(ps,ht,pc,e,t)は、保温材31中に水分がない状態{So(e,t)=0}での測定系統固有のノイズ計数率成分(cps)である。これは、配管30の口径、保温材(乾燥)31の厚さ、配管内容物33を模擬し、Do(e,t)を測定することで、図7のように求められる。
ここで、図7のノイズ計数率成分(cps)を求める場合に使用する配管内容物33の模擬物は、実際に測定する配管30の内容物と同じ性状のものが好ましい。しかし、これを実施する際に様々な試験ケースを準備することは多くのリソースを必要とし困難なことが多い。そこで、例えば配管内容物33の疑似物を水として、C2o(ps,ht,water,e,t)+C3(ps,ht,water,e,t)を求め、これに内容物の違いによる補正を加えて使用する。
中性子源3aから出た中性子が反射(水分34以外で反射)して中性子検出器6aに入る中性子の確率は、内容物33のH(水素)数密度にほぼ比例することから、補正係数Cw(pc)を予め試験的に求めるか、化学式、密度より計算で求めて与えることができる。
また、β(ps,ht,e)は、保温材31の中に水分34がある場合の測定系統固有の保温材中水分に対するノイズ計数率(cps)係数であるから、配管30の口径、保温材31の厚さを模擬し、So(e,t)は、任意にてDo(e,t)を測定することで、図8のように求められる。但し、So(e,t)は、上式(13)にて求められる。
図8に表されるように、配管サイズpsが大きく、且つ保温材厚さhtが厚くなる程に、β(ps,ht,e)、即ち、保温材31の中に水分34がある場合の測定系統固有の保温材中水分に対するノイズ計数率係数が大きくなっている。
但し、第1の抽出方法の式(13)及び、第2の抽出方法の式(14)において、計数率成分Do(e,t),Dc(e,t)は、中性子源3aの放射能減衰と共に時間変化し減衰するため、シグナルSo(e,t)を求める際には、Do(e,t),Dc(e,t)の時間tに対し基準年月日を規定し時間軸を統一条件とするように減衰補正を行う必要がある。
また、上記のC1o(e,t),C1c(e,t),C2o(ps,ht,pc,e,t),C2c(ps,ht,pc,e,t),C3(ps,ht,pc,e,t)ともに、時間軸を同一にするように減衰補正を行う必要がある。そのために同一とする基準年月日を規定して、次式(15)のように求める必要がある。
Figure 2014066587

ここで、tsは基準年月日、tは実際に測定を行った年月日、Tは中性子源3aの半減期である。本式(15)はDoによるものであるが、Dc,C1o(e,t),C1c(e,t),C2o(ps,ht,pc,e,t),C2c(ps,ht,pc,e,t),C3(ps,ht,pc,e,t)も同様である。
従って、上式(13)及び(14)は次式(16)及び(17)となる。
So(e,ts)=[{(Do(e,ts)−Dc(e,ts))
−{C1o(e,ts)−C1c(e,ts)}
−{C2o(ps,ht,pc,e,ts)
−C2c(ps,ht,pc,e,ts)}]/α(e)…(16)
So(e,ts)={Do(e,ts)−C1o(e,ts)
−(C2o(ps,ht,pc,e,ts)
+C3(ps,ht,pc,e,ts)}
/{1+β(ps,ht,e)} …(17)
次に、含水率HR(vol%)の定量化方法について説明する。
含水率HRは、次式(18)で表される。
HR=So(e,t)×CVhr(ps,ht,e,t) …(18)
式(18)のCVhr(ps,ht,e,t)は、含水率に対応する水分評価計数率So(e,t)から含水率HRに換算するための係数である。この換算係数CVhr(ps,ht,e,t)を図9の縦軸に示す。図9に示すように、その換算係数CVhr(ps,ht,e,t)は、配管サイズpsと保温材厚さht毎に予め検量データを採取して求める。
なお、水分評価計数率So(e,t)は、基準年月日tsで補正されていることから、換算係数CVhr(ps,ht,e,t)も基準年月日tsで補正することにより上式(18)は、次式(19)のようになる。
HR=So(e,ts)×CVhr(ps,ht,e,ts) …(19)
以上の処理により、含水率HR(vol%)の計算方法が確立する。従って、含水率HR、並びに含水率HRに含まれる各誤差成分が定まる。各誤差ともに計数による統計誤差を与えることができ、トータルの含水率誤差eHRも自動算出が可能となる。
この自動計算はデータ処理装置20で行われるが、自動計算によって求められる含水率HR及び含水率誤差eHRは、例えばグラフで表すと図10のようになる。このグラフは表示器27に表示することもできる。図10は横軸の測定時刻(s:秒)に対する縦軸の含水率HR(vol%)の関係を表す図である。図10において、含水率HRは太線で示すように、測定時刻の経過に伴って約60s〜120sの間に山形に高くなっている。また、その含水率HRに付随して、含水率誤差eHRが破線で示すように、プラス側の含水率誤差eHRと、マイナス側の含水率誤差eHRとして表される。
更に、図10に表される含水率HRに対して、図11に示すように、判定閾値としての警報レベルL1と、有意含水レベルL2とを設定する。有意含水レベルL2は、計測された保温材31の含水率HRが有意な(誤差範囲を超えている)ものであるか否かを判定するレベルである。有意含水レベルL2を超えた場合に、該当の含水率HRは有意と判定される。
警報レベルL1は、ユーザが任意に設定可能なレベルである。例えば、配管の腐食を合理的に管理するために設備保全管理者が設定する含水率(腐食環境)レベル等があげられる。但し、図10及び図11のグラフは、第1の方法においても同様である。
<実施形態の動作>
このような水分測定装置1による検査対象物である配管30の保温材31の水分含有の有無及び水分定量する動作を、図12に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、ステップS1において、図3に示すデータ処理装置20の記憶部23cの図示せぬデータベースに各種データを事前設定する。即ち、ステップS1aにおいて、測定装置本体部IDの値であるC1c(e,t)と、遮蔽蓋12の開又は閉状態での開口部6cから入射するノイズ計数率成分(cps)の差であるC2o(ps,ht,pc,e,t)−C2c(ps,ht,pc,e,t)と、遮蔽蓋12による開口部6cの遮蔽率α(e)とを設定する。
また、ステップS1bにおいて、測定装置本体部IDの値C1o(e,t)と、水分評価計数率So(e,t)から含水率HRに換算するための係数であるCVhr(ps,ht)とを設定する。
更に、ステップS1cにおいて、C1c(e,t)と、保温材31中水分がない状態{So(e,t)=0}での測定系統固有のノイズ計数率成分(cps)であるC2o(ps,ht,pc,e,t)+C3(ps,ht,pc,e,t)と、配管サイズps、保温材厚さht、配管内容物pc、測定装置本体部ID:eに依存する係数であるβ(ps,ht,e)とを設定する。
次に、ステップS2において、測定者が水分の測定を行う際に、測定時選択操作を行う。これは、ステップS2aにおいて、測定者が表示器27の操作ボタン27aで必要なパラメータを指定入力する。即ち、測定装置本体部ID:e、測定年月日t及び基準年月日ts(図12にはtsのみ表記)、配管サイズps、保温材厚さht、配管内容物pcを指定入力する。この入力パラメータは、データ処理装置20へ無線送信され、記憶部23cに記憶される。この際に、処理手段としてのCPU23aが、入力パラメータを受け、データベースの格納データに応じて、警報レベルL1を設定する。即ち、警報レベルL1は、測定者がパラメータを指定入力することにより設定できるレベルである。
その後、ステップS2bにおいて、測定者が水分の純粋なシグナル抽出方法を、第1の抽出方法(第1の方法)にするか、第2の抽出方法(第2の方法)にするかを選択する。この選択した方法で、ステップS3においてシグナル抽出処理が行われる。
第1の方法が選択された場合、測定者が図1に示す所望の測定対象の配管30の保温材カバー32に、測定装置本体部5を当接させ、遮蔽蓋12を開閉動作させながら水分の測定を行う。この場合、ステップS3aにおいて、開動作時に中性子検出器6aによりノイズを含む中性子成分の計数率成分(cps)であるDo(e,t)が測定される。この後に、ステップS3bにおいて、閉動作時のDc(e,t)が計測される。これら計測結果は、データ処理装置20へ無線送信される。
この後、ステップS3cにおいて、データ処理装置20のCPU23aが、上記ステップS1a及びS1bで事前設定された各種データに応じて、上記計測結果から純粋な水分のシグナルSo(e,ts)を抽出すると共に、含水率HR及び含水率誤差eHRを評価する処理を前述の通り行う。この処理結果は、表示器27へ無線送信されて表示される。
一方、第2の方法が選択された場合、測定者は遮蔽蓋12を開状態として水分の測定を行う。この場合、ステップS3dにおいて、中性子検出器6aによりノイズを含む中性子成分の計数率成分(cps)であるDo(e,t)が測定される。この後、ステップS3eにおいて、CPU23aが、上記ステップS1b及びS1cで事前設定された各種データに応じて、上記計測結果から純粋な水分のシグナルSo(e,ts)を抽出すると共に、含水率HR及び含水率誤差eHRを評価する処理を前述の通り行う。この処理結果は、表示器27へ無線送信されて表示される。
<実施形態の効果>
このように本実施形態の水分測定装置1は、高速中性子を放出する中性子源3aを減速材3bで被覆して高速中性子を減速して外部へ放射する中性子源装置3と、放射線遮蔽材で形成され、中性子入射用の開口部6cを有するコリメータ6bと、コリメータ6b内に配置され、コリメータ6bの外部から入射される熱中性子を計測する中性子検出器6aと、コリメータ開口部6cを開又は閉状態とする遮蔽蓋12とを有する中性子検出装置6とを備える。また、内部空間を有し、空間に液体を含む物を流動及び停滞状態に収容する収容体としての配管30が保温材31で被覆され、保温材31が更に保温材カバー32で被覆された検査対象物に、中性子源装置3から中性子を放射して検査対象物から得られる熱中性子を含む外部からの全熱中性子が中性子検出器6aで計数された際に、この全計測結果に含まれる保温材31中の水分量を算出するデータ処理装置20とを備える。
更に、データ処理装置20を、少なくとも配管サイズps、保温材厚さht及び配管30の内容物成分のデータがパラメータとして記憶される記憶部23cと、遮蔽蓋12により開口部6cが開状態の場合に、中性子検出器6aの全計測結果から、記憶されたパラメータを基に保温材31が無水分状態を模擬した際の熱中性子の模擬計測値を減算して、保温材31の実際の含水率を求めるCPU23aとを有する構成とした。
また、CPU23aは、遮蔽蓋12により開口部6cが開又は閉状態の場合に、開状態の場合と閉状態の場合との全計測結果の差分から、開状態の場合と閉状態の場合との模擬計測値の差分を減算して、保温材31の実際の含水率を求める。
また、測定者が任意のデータを入力する入力部としての操作ボタン27aと、入力されたデータ及びデータ処理装置20での処理データを表示する表示部27bとを有する入力表示手段としての表示器27を更に備える。CPU23aは、操作ボタン27aにおいて測定者が該当検査対象物の少なくとも配管サイズps、保温材厚さht及び内容物成分のデータを入力した際に、これら入力データと、記憶されたパラメータとに応じて、求められる含水率の水分が収容体を腐食させる可能性があることを判定する判定閾値としての警報レベルL1を設定し、表示部27bは、含水率に警報レベルL1を対応付けて表示するようにした。
更に、CPU23aは、全計測結果に、保温材31が有水分状態の際に中性子検出器6aが計数する熱中性子の計数率の統計誤差データとしての含水率誤差eHRも含み、表示器27は、含水率に判定閾値を対応付けて表示する際に、含水率誤差eHRも表示するようにした。
このような構成の水分測定装置1において、上述した第1又は第2の方法を用いると、検査対象物の含水率HRとその誤差eHRが測定装置本体部5での測定後、直ちにデータ処理装置20で自動計算されて、表示器27へ出力して表示することができる。従って、測定者がその場で水分測定の評価結果を確認することができるので、効率的な運用が可能となる。
また、中性子源装置3と中性子検出装置6のコリメータ開口部6cとの相対関係が固定されていても、データ処理装置20により適切に保温材31の含水率HRを測定することができ、中性子検出器6aによる測定結果に対し、保温材31に水分が存在するかを容易に判定することができる。
また、第2の方法によれば、遮蔽蓋12の開閉動作を必要としないので、計測ヘッド(測定装置本体部5)を長時間同じ姿勢で保持する必要がなくなる。従って、測定者の負担が軽減され、安全性が向上する。
更に、開閉動作が不要なので、連続的な測定も可能となり、測定者の測定効率をより向上させることができ、ロボット等への搭載も容易となる。
更には、第2の方法によれば、開閉動作が不要なので、遮蔽蓋12の無い中性子検出装置6とすることができる。この場合、水分測定装置の製造コスト低減及び軽量化の効果がある。但し、遮蔽蓋12が無くコリメータ開口部6cが開のままの場合、事前設定としてβ(ps,ht,e)を与える必要がある。これを事前に求める際に上式(13)を用いた遮蔽蓋12の開閉動作が必要となる。従って、β(ps,ht,e)を工場出荷前に計測することで遮蔽蓋12が無い中性子検出装置を搭載した水分測定装置の実現が可能となる。
なお、第1の方法では、ノイズ成分N7をキャンセルするため、N7成分が大きいときに適している。但し、N7成分が有意な値となるケースは数cm程度の至近距離に多量の水等の水素を多く含むものが存在する場合であり、稀な状況である。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上記の各構成、機能、処理部(制御部)、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウエアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、IC(Integrated Circuit)カード、SD(Secure Digital memory)カード、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に置くことができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
1 水分測定装置
3 中性子源装置
3a 中性子源
3b 減速材
3c 中性子源格納容器
4 電源・電子回路ユニット
5 測定装置本体部
6 中性子検出装置
6a 中性子検出器
6b コリメータ
6c コリメータ開口部
12 遮蔽蓋
13 遮蔽蓋移動装置
20 データ処理装置
21 表示部
22 入力部
23 データ処理装置本体部
23a CPU
23b バス
23c 記憶部
23d 入力インタフェース
23e 出力インタフェース
23f 通信部
25 ケーシング
26 操作ロッド部
26a 本体支持棒
26b 回転式固定部
27 表示器
27a 操作ボタン
27b 表示部
30 配管
31 保温材
32 保温材カバー
33 配管内容物
34 水分
35 減速中性子
36 周囲物体

Claims (7)

  1. 高速中性子を放出する中性子源を減速材で被覆して当該高速中性子を減速して外部へ放射する中性子源装置と、
    放射線遮蔽材で形成され、中性子入射用の開口部を有するコリメータと、当該コリメータ内に配置され、当該コリメータの外部から入射される熱中性子を計測する中性子検出器と、前記開口部を開又は閉状態とする遮蔽蓋とを有する中性子検出装置と、
    内部空間を有し、当該空間に液体及び気体を含む物を流動及び停滞状態に収容する収容体が保温材で被覆され、当該保温材が更に保温カバーで被覆された検査対象物に、前記中性子源装置から中性子を放射して当該検査対象物から得られる熱中性子を含む外部からの全熱中性子が前記中性子検出器で計数された際に、この全計測結果に含まれる前記保温材中の水分量を算出するデータ処理装置と
    を備え、
    前記データ処理装置は、
    少なくとも前記収容体のサイズ、前記保温材の厚さ及び前記収容体の内容物成分のデータがパラメータとして記憶される記憶手段と、
    前記遮蔽蓋により前記開口部が開状態の場合に、前記中性子検出器の全計測結果から、前記記憶されたパラメータを基に前記保温材が無水分状態を模擬した際の熱中性子の模擬計測値を減算して、当該保温材の実際の含水率を求める処理手段と
    を有することを特徴とする水分測定装置。
  2. 高速中性子を放出する中性子源を減速材で被覆して当該高速中性子を減速して外部へ放射する中性子源装置と、
    放射線遮蔽材で形成され、中性子入射用の開口部を有するコリメータと、当該コリメータ内に配置され、当該コリメータの外部から入射される熱中性子を計測する中性子検出器とを有する中性子検出装置と、
    内部空間を有し、当該空間に液体を含む物を流動及び停滞状態に収容する収容体が保温材で被覆され、当該保温材が更に保温カバーで被覆された検査対象物に、前記中性子源装置から中性子を放射して当該検査対象物から得られる熱中性子を含む外部からの全熱中性子が前記中性子検出器で計数された際に、この全計測結果に含まれる前記保温材中の水分量を算出するデータ処理装置と
    を備え、
    前記データ処理装置は、
    少なくとも前記収容体のサイズ、前記保温材の厚さ及び前記収容体の内容物成分のデータがパラメータとして記憶される記憶手段と、
    前記中性子検出器の全計測結果から、前記記憶されたパラメータを基に前記保温材が無水分状態を模擬した際の熱中性子の模擬計測値を減算して、当該保温材の実際の含水率を求める処理手段と
    を有することを特徴とする水分測定装置。
  3. 請求項1に記載の水分測定装置であって、
    前記処理手段は、前記遮蔽蓋により前記開口部が開又は閉状態の場合に、当該開状態の場合と当該閉状態の場合との前記全計測結果の差分から、当該開状態の場合と当該閉状態の場合との前記模擬計測値の差分を減算して、当該保温材の実際の含水率を求める
    ことを特徴とする水分測定装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の水分測定装置であって、
    前記収容体は、配管又は容器であり、当該収容体が配管の場合は前記サイズが配管の径であることを特徴とする水分測定装置。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の水分測定装置であって、
    測定者が任意のデータを入力する入力部と、前記入力されたデータ及び前記データ処理装置での処理データを表示する表示部とを有する入力表示手段を更に備え、
    前記処理手段は、前記入力表示手段において測定者が該当検査対象物の少なくとも前記収容体のサイズ、前記保温材の厚さ及び前記内容物成分のデータを入力した際に、これら入力データと、前記記憶されたパラメータとに応じて、前記求められる含水率の水分が前記収容体を腐食させる可能性があることを判定する判定閾値を設定し、
    前記入力表示手段は、前記含水率に前記判定閾値を対応付けて表示する
    ことを特徴とする水分測定装置。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の水分測定装置であって、
    前記処理手段は、前記全計測結果に、前記保温材が有水分状態の際に前記中性子検出器が計数する熱中性子の計数率の統計誤差データも含み、
    前記入力表示手段は、前記含水率に前記判定閾値を対応付けて表示する際に、前記統計誤差データも表示する
    ことを特徴とする水分測定装置。
  7. 高速中性子を放出する中性子源を減速材で被覆して当該高速中性子を減速して外部へ放射する中性子源装置と、
    放射線遮蔽材で形成され、中性子入射用の開口部を有するコリメータと、当該コリメータ内に配置され、当該コリメータの外部から入射される熱中性子を計測する中性子検出器と、前記開口部を開又は閉状態とする遮蔽蓋とを有する中性子検出装置と、
    内部空間を有し、当該空間に液体及び気体を含む物を流動及び停滞状態に収容する収容体が保温材で被覆され、当該保温材が更に保温カバーで被覆された検査対象物に、前記中性子源装置から中性子を放射して当該検査対象物から得られる熱中性子を含む外部からの全熱中性子が前記中性子検出器で計数された際に、この全計測結果に含まれる前記保温材中の水分量を算出するデータ処理装置と
    を備え、
    前記データ処理装置は、
    少なくとも前記収容体のサイズ、前記保温材の厚さ及び前記収容体の内容物成分のデータをパラメータとして記憶手段に記憶するステップと、
    測定者が、前記中性子源装置を搭載した中性子検出装置を前記検査対象物に当接して水分の測定を行う際に、前記中性子源装置から中性子を放射して当該検査対象物から得られる熱中性子を含む外部からの全熱中性子を前記中性子検出器で計数するステップと、
    前記中性子検出器の全計測結果から、前記記憶されたパラメータを基に前記保温材が無水分状態を模擬した際の熱中性子の模擬計測値を減算して、当該保温材の実際の含水率を求めるステップと
    を行う処理を含むことを特徴とする水分測定方法。
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