JP2014066229A - 車両用内燃機関 - Google Patents
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Abstract
【課題】クランクケース背面に溜まった雨水等を、容易に排水することができる車両用内燃機関を提供すること。
【解決手段】クランクケース10に、クランク軸11が回転自在に支承され、変速機4のメイン軸41がクランク軸と平行に配置され、クランク軸からの駆動力をメイン軸に断接可能に接続するクラッチ5が、メイン軸の一端側に設けられ、クラッチ作動部収容部60が、メイン軸の他端側においてクランクケースに形成された車両用内燃機関1において、クランクケースに形成されたクランクケースカバー当接部30a,31が、クラッチ作動部収容部と側面視で重なり、クラッチ作動部収容部の下方に、クランクケースカバー当接部の内燃機関中心向き側面30b側のクランクケースの背面10bからクランクケースの外側面に通じる排水通孔10e,7が形成されたことを特徴とする車両用内燃機関。
【選択図】図5
【解決手段】クランクケース10に、クランク軸11が回転自在に支承され、変速機4のメイン軸41がクランク軸と平行に配置され、クランク軸からの駆動力をメイン軸に断接可能に接続するクラッチ5が、メイン軸の一端側に設けられ、クラッチ作動部収容部60が、メイン軸の他端側においてクランクケースに形成された車両用内燃機関1において、クランクケースに形成されたクランクケースカバー当接部30a,31が、クラッチ作動部収容部と側面視で重なり、クラッチ作動部収容部の下方に、クランクケースカバー当接部の内燃機関中心向き側面30b側のクランクケースの背面10bからクランクケースの外側面に通じる排水通孔10e,7が形成されたことを特徴とする車両用内燃機関。
【選択図】図5
Description
本発明は、クランクケースの背面に溜まった雨水等を効率よく排水できる車両用内燃機関に関する。
車両に搭載される内燃機関において、シリンダブロックの背面に溜まった雨水等を排水するための構造が、例えば下記特許文献1に示されている。
ところが、下記特許文献1に示されるものは、鋳造によって製造されたシリンダブロックに排水孔を穿孔形成する加工工程を必要とするため、生産コストが高くなる要因となっていた。
ところが、下記特許文献1に示されるものは、鋳造によって製造されたシリンダブロックに排水孔を穿孔形成する加工工程を必要とするため、生産コストが高くなる要因となっていた。
また、自動二輪車に搭載する内燃機関では、内燃機関の前後方向長さをコンパクトにするために、クランク軸と、メイン軸と、カウンタ軸とを三角配置したものが、例えば下記特許文献2に示されている。そのような内燃機関の場合では、内燃機関の背面が谷状に形成されるため、雨水が溜まってしまう場合があった。特に、雨水に晒される機会が多い自動二輪車用内燃機関では、背面に溜まった雨水を効率よく排水できる構造が求められていた。
そのような場合においてさらに、例えば下記特許文献3に示されるように、クランク軸からの駆動力をメイン軸に断接可能に接続するクラッチがメイン軸の右端側に設けられ、クラッチレリーズレバー等のクラッチ作動部の収容部が、メイン軸の左端側においてクランクケースに形成された場合は、内燃機関の背面の右側はクラッチ収容部とクラッチカバーで遮られ、左側はクラッチ作動部の収容部のほか、他の搭載機構、例えば特許文献2の場合はスタータ機構等、の収容のためクランケースが上方へ膨出して形成されるクランクケースカバー当接部によって遮られて、雨水の排出が困難になる場合があった。
そのような場合においてさらに、例えば下記特許文献3に示されるように、クランク軸からの駆動力をメイン軸に断接可能に接続するクラッチがメイン軸の右端側に設けられ、クラッチレリーズレバー等のクラッチ作動部の収容部が、メイン軸の左端側においてクランクケースに形成された場合は、内燃機関の背面の右側はクラッチ収容部とクラッチカバーで遮られ、左側はクラッチ作動部の収容部のほか、他の搭載機構、例えば特許文献2の場合はスタータ機構等、の収容のためクランケースが上方へ膨出して形成されるクランクケースカバー当接部によって遮られて、雨水の排出が困難になる場合があった。
本発明は、上記従来技術に鑑み、クラッチがメイン軸の一端側に設けられ、メイン軸のクラッチ他端側においてクランクケースに、クランクケースカバー当接部とクラッチ作動部収容部が側面視で重なるように設けられていても、クランクケース背面に溜まった雨水等を、容易に排水することができる車両用内燃機関を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、クランクケースに、クランク軸が回転自在に支承され、変速機のメイン軸が前記クランク軸と平行に配置され、前記クランク軸からの駆動力を前記メイン軸に断接可能に接続するクラッチが、前記メイン軸の一端側に設けられ、クラッチ作動部収容部が、前記メイン軸の他端側において前記クランクケースに形成された車両用内燃機関において、前記クランクケースに形成されたクランクケースカバー当接部が、前記クラッチ作動部収容部と側面視で重なり、前記クラッチ作動部収容部の下方に、前記クランクケースカバー当接部の内燃機関中心向き側面側のクランクケースの背面からクランクケースの外側面に通じる排水通孔が形成されたことを特徴とする車両用内燃機関である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用内燃機関において、前記排水通孔は、前記クラッチ作動部収容部の下部とクランクケースの側面とが連なった部分と、クランクケースの背面とで囲まれて形成されたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の車両用内燃機関において、前記変速機のカウンタ軸は、前記メイン軸と平行に配置され、前記メイン軸は、前記クランク軸の後方かつ前記カウンタ軸の前方に配置され、前記カウンタ軸における前記メイン軸の他端側と同じ側の端部に、同カウンタ軸の動力を車輪に伝達する出力スプロケットが設けられ、スプロケットカバーが前記出力スプロケットの前方に設けられたことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の車両用内燃機関において、前記スプロケットカバーは、前記カウンタ軸を中心軸とした円弧状に形成されていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の車両用内燃機関において、前記クランクケースは、クランクケース分割面で分割される上側クランクケースと下側クランクケースを備え、前記メイン軸は前記上側クランクケースに配置され、前記クランク軸と前記カウンタ軸は前記クランクケース分割面に配置され、前記排水通孔は、側面視で、前記メイン軸とクランク軸とカウンタ軸を頂点とした三角形の範囲内に配置されたことを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の車両用内燃機関において、前記クランクケースには、シリンダブロックが一体形成され、シリンダブロックのシリンダ軸線が前方に傾斜していることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の車両用内燃機関において、前記排水通孔は、前記クランクケースの鋳造時の鋳抜き孔によって形成されたことを特徴とする。
請求項1の発明の車両用内燃機関によれば、クラッチがメイン軸の一端側に設けられ、メイン軸のクラッチ他端側において、クランクケースにクランクケースカバー当接部とクラッチ作動部収容部が側面視で重なるように設けられていても、別途ガイド部材を設けることなく、クランクケースの背面に溜まった雨水等を、排水通孔を通じて、クランクケースの側方に向けて排水することができる。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、別途ガイド部材を設けることなく、排水通孔を形成することができる。
請求項3の発明によれば、請求項1または請求項2の発明の効果に加え、カウンタ軸の前方にある排水通孔からの排水が、スプロケットカバーに沿って流れ、出力スプロケットに掛からない。
請求項4の発明によれば、請求項3の発明の効果に加え、スプロケットカバーは、排水を出力スプロケットから離間する方向に促すので、排水が出力スプロケットに掛かることを、より確実に防ぐことができる。
請求項5の発明によれば、請求項1ないし請求項4のいずれか一項の発明の効果に加え、メイン軸を上方に、クランク軸とカウンタ軸の間を底辺とした三角配置であるので、内燃機関の前後長が短くなるとともに、排水通孔が同三角配置範囲内に置かれたことで、内燃機関の背面の傾斜を利用して排水を促すことができる。
請求項6の発明によれば、請求項1ないし請求項5のいずれか一項の発明の効果に加え、シリンダ軸線が前方に傾斜しているので、シリンダブロックの背面の雨水をクランクケース背面に落とすのが促されるとともに、一体形成によりシリンダブロックとクランクケースの背面が滑らかに連なることで排水が促される。
請求項7の発明によれば、請求項1ないし請求項6のいずれか一項の発明の効果に加え、クランクケースの鋳造時に排水通孔が形成されるので、排水通孔を形成するための穴あけ加工を必要とせず、生産コストを抑えることができる。
図1から図6に基づき、本発明の一実施形態に係る車両用内燃機関につき説明する。
本実施形態の内燃機関は、車両、特に自動二輪車等の小型車両に搭載される内燃機関である。
なお、本明細書の説明および特許請求の範囲における前後左右上下等の向きは、本実施形態に係る内燃機関を自動二輪車等の小型車両に搭載した状態での車両の向きに従うものとする。
図中矢印FRは車両前方を、LHは車両左方を、RHは車両右方を、UPは車両上方を、それぞれ示す。
また、図中、黒小矢印は、内燃機関の背面上の雨水等の排水方向を模式的に示す。
本実施形態の内燃機関は、車両、特に自動二輪車等の小型車両に搭載される内燃機関である。
なお、本明細書の説明および特許請求の範囲における前後左右上下等の向きは、本実施形態に係る内燃機関を自動二輪車等の小型車両に搭載した状態での車両の向きに従うものとする。
図中矢印FRは車両前方を、LHは車両左方を、RHは車両右方を、UPは車両上方を、それぞれ示す。
また、図中、黒小矢印は、内燃機関の背面上の雨水等の排水方向を模式的に示す。
図1に、本実施形態の車両用内燃機関(以下、単に「内燃機関」という)1を、図示しない車両に搭載された状態の姿勢で示す。
本実施形態に係る内燃機関1は、そのクランクケース10内の後部に変速機4を一体に備えて、いわゆる「パワーユニット」を構成しており、そのクランク軸11を、搭載される車両である図示しない自動二輪車の車幅方向、すなわち左右方向に配向させて自動二輪車に搭載された、水冷直列2気筒の4ストロークサイクル内燃機関である。
本実施形態に係る内燃機関1は、そのクランクケース10内の後部に変速機4を一体に備えて、いわゆる「パワーユニット」を構成しており、そのクランク軸11を、搭載される車両である図示しない自動二輪車の車幅方向、すなわち左右方向に配向させて自動二輪車に搭載された、水冷直列2気筒の4ストロークサイクル内燃機関である。
図1に示されるように、クランク軸11を車幅方向に配置して回転自在に支持するクランクケース10は、クランク軸11を中心にクランクケース分割面(以下単に「分割面」という)10aで上下に分割される上下割りに構成され、上側クランクケース10Aと下側クランクケース10Bは、互いの分割面10aを合せてボルトにより一体に締結される。
上側クランクケース10Aの上部には2つのシリンダボアを直列に配列して一体に成形されたシリンダブロック12と、シリンダブロック12に締結されるシリンダヘッド13が順に重ねられてシリンダ軸Xを幾らか前方に傾けて立設され、シリンダヘッド13の上にはシリンダヘッドカバー14が被せられ、締結されている。
一方、下側クランクケース10Bの下にはオイルパン15が取り付けられる。
一方、下側クランクケース10Bの下にはオイルパン15が取り付けられる。
内燃機関1のシリンダヘッド13から後方には、その吸気ポート16に接続して図示しない吸気管が延出し、図示しないスロットルボディ、エアクリーナ等の吸気系に至っている。
シリンダヘッド13から前方には、その排気ポート17に接続して図示しない排気管が延出し、図示しないマフラ等の排気系に至っている。
シリンダヘッド13から前方には、その排気ポート17に接続して図示しない排気管が延出し、図示しないマフラ等の排気系に至っている。
クランクケース10には、上側クランクケース10Aと下側クランクケース10Bの分割面10aに挟まれて、クランク軸11が回転自在に支承され、クランク軸11より後方のクランクケース10内には、変速機4が配設されている。
変速機4は、常時噛合い式のギヤ変速機であり、クランク軸11の後方で斜め上方位置にクランク軸11と平行な変速機4のメイン軸41が、上側クランクケース11Aにおいて、回転自在に支持される。
また、クランク軸11およびメイン軸41の後方で、上側クランクケース10Aと下側クランクケース10Bの分割面10aに挟まれて、クランク軸11と平行なカウンタ軸42が回転自在に支持される。
変速機4は、常時噛合い式のギヤ変速機であり、クランク軸11の後方で斜め上方位置にクランク軸11と平行な変速機4のメイン軸41が、上側クランクケース11Aにおいて、回転自在に支持される。
また、クランク軸11およびメイン軸41の後方で、上側クランクケース10Aと下側クランクケース10Bの分割面10aに挟まれて、クランク軸11と平行なカウンタ軸42が回転自在に支持される。
図2に示されるように、メイン軸41とカウンタ軸42にそれぞれ装着される変速ギヤ群が、互いに対となるギヤ同士を噛合しており、変速機4の図示しない変速操作機構によってギヤ切換えがなされて、変速が行われる。
メイン軸41の右端部には公知の多板式の摩擦クラッチ(本発明の「クラッチ」)5が設けられ、クランク軸11の回転が摩擦クラッチ5を介してメイン軸41に伝達される。
クランク軸11の回転動力は、クランク軸11側と摩擦クラッチ5側の図示しないギヤを介して摩擦クラッチ5に伝達されるが、摩擦クラッチ5は、変速機4のギヤ切換え中にはクランク軸11の回転動力を変速機4に伝達せずにニュートラル状態とし、変速機4のギヤ切換えが終了するとともにクランク軸11の回転動力を変速機4に伝達するように構成されている。
クランク軸11の回転動力は、クランク軸11側と摩擦クラッチ5側の図示しないギヤを介して摩擦クラッチ5に伝達されるが、摩擦クラッチ5は、変速機4のギヤ切換え中にはクランク軸11の回転動力を変速機4に伝達せずにニュートラル状態とし、変速機4のギヤ切換えが終了するとともにクランク軸11の回転動力を変速機4に伝達するように構成されている。
カウンタ軸42は、内燃機関1の出力軸でもあり、クランクケース10を左方に貫通して外部に突出させた左端部に出力スプロケット45が嵌着され、図示しない後輪の被動スプロケットとの間に伝動チェーン46が掛け渡され(図1参照)、動力が後輪に伝達される。
他方、図1に示されるように、クランクケース10の左壁部10Lから左方へ突出したクランク軸2の左端部には、交流発電機47が設けられる。
また、クランク軸11の後方の斜め上方位置で、且つメイン軸41より前方でやや上方には、クランク軸11と平行なバランサ20のバランサ軸20aが、上側クランクケース11Aにおいて、回転自在に支持される。
また、クランク軸11の後方の斜め上方位置で、且つメイン軸41より前方でやや上方には、クランク軸11と平行なバランサ20のバランサ軸20aが、上側クランクケース11Aにおいて、回転自在に支持される。
クランクケース10の左壁部10Lには、上側クランクケース11Aと下側クランクケース11Bを連続して、交流発電機47やバランサ20等の範囲をカバーする左拡大壁部30が形成され、その周縁に左方へ突出する環状のクランクケースカバー取付け周壁31が一体に設けられている。
クランクケースカバー取付け周壁31の左端面には、左クランクケースカバー32が取付けられ、交流発電機47やバランサ20等がクランクケースカバー取付け周壁31の内側において左クランクケースカバー32に覆われる。
クランクケースカバー取付け周壁31の左端面には、左クランクケースカバー32が取付けられ、交流発電機47やバランサ20等がクランクケースカバー取付け周壁31の内側において左クランクケースカバー32に覆われる。
本実施形態においては、摩擦クラッチ5の図示しないクラッチアウタとクラッチインナと係合状態を解除して摩擦クラッチ5を「断」状態にし、あるいは係合状態に戻して摩擦クラッチ5を「続」状態に戻すクラッチレリーズ機構6のクラッチレリーズレバー(クラッチ作動部)62を収容するクラッチレリーズレバーボス(本発明の「クラッチ作動部収容部」)60が、上側クランクケース10Aの左壁部10Lに、一部がクランクケースカバー取付け周壁31に繋がって形成されている(図1、図5参照)。
図2に模式的に示されるように、摩擦クラッチ5を断続させるクラッチレリーズ機構6は、メイン軸41の中空孔41aの内部にメイン軸41と同心に設けられるプッシュロッド61と、プッシュロッド61を作動させるクラッチレリーズレバー62とを備えている。
プッシュロッド61は、メイン軸41の中空孔41a内で軸方向に移動自在な軸である。プッシュロッド61の右端は、クランクケース10の右側の摩擦クラッチ5内に延在し、右方向に押し出されるとクラッチアウタとクラッチインナとの係合状態を解除して摩擦クラッチ5を「断」状態にし、左方向に戻るとクラッチアウタとクラッチインナとを係合状態に戻して摩擦クラッチ5を「続」状態にするように構成されているが、そのための摩擦クラッチ5内の構造は広く公知であるので説明を省略する。
プッシュロッド61の左端61aは、上側クランクケース10Aの左壁部10Lまで延び、上側クランクケース10Aにおいてプッシュロッド61の左端61aの近傍には、プッシュロッド61の軸方向とは略垂直に車両上方向に設けられたクラッチレリーズレバーボス60が設けられている。
一方、クラッチレリーズレバー62は、車両上下方向に延在するレバー軸部62aと、その上端に略水平方向に延びる板状のアーム部62bを備えており、レバー軸部62aの下部には、プッシュロッド61の左端61aの先端面と当接するカム部62cが形成されている。カム部62cは、レバー軸部62aの下端部が、その円形の断面を1/4切り欠かれて形成される。
クラッチレリーズレバーボス60には、上側クランクケース10Aの上方に開口してレバー軸部62aを収容する穴60aが形成されており、この孔は、プッシュロッド61が通る部分に連通する。クラッチレリーズレバーボス60の外側は上側クランクケース10Aの左壁部10Lにおいて、外側に膨出した略上下方向の半円筒状の膨出部60bを形成し、膨出部60bの側面は曲面となっており、下部60cは半球状に滑らかに形成されている。
そして、クラッチレリーズレバーボス60の穴60aには、レバー軸部62aが挿入されてクラッチレリーズレバー62が回動自在に取り付けられている。また、レバー軸部62aの軸心Yは、プッシュロッド61の軸心Zよりも僅かにずれて位置し(図4参照)、レバー軸部62aのカム部62cがプッシュロッド61の左端61aの先端面に当接している。
アーム部62bには、図示しないクラッチ操作ケーブルの一端が繋がっており、クラッチ操作ケーブルの他端は図示しない操向ハンドルのクラッチ操作レバーに繋がっている。
クラッチ操作レバーが操作されると、クラッチ操作ケーブルを介してアーム部62bが回動し、レバー軸部62aが回動すると、カム部62cがプッシュロッド61を右方に押し出し、摩擦クラッチ5を「断」状態にする。
一方、クラッチレリーズレバー62には、レリーズ軸部62aを逆の回動方向に付勢する図示しないリターンスプリングが取り付けられており、クラッチ操作レバーの操作が解除されると、レリーズ軸部62aが逆方向に回動され、摩擦クラッチ5が「接」状態となる。
クラッチ操作レバーが操作されると、クラッチ操作ケーブルを介してアーム部62bが回動し、レバー軸部62aが回動すると、カム部62cがプッシュロッド61を右方に押し出し、摩擦クラッチ5を「断」状態にする。
一方、クラッチレリーズレバー62には、レリーズ軸部62aを逆の回動方向に付勢する図示しないリターンスプリングが取り付けられており、クラッチ操作レバーの操作が解除されると、レリーズ軸部62aが逆方向に回動され、摩擦クラッチ5が「接」状態となる。
なお、従来、クラッチレリーズレバーボス60を、クランクケース10の右壁部10Rに摩擦クラッチ5を覆うように取付けられるクラッチカバー37の外面に設ける場合があるが、本実施形態においては、クラッチレリーズレバーボス60をクランクケース10の左壁部10Lに設けたことによって、内燃機関1を車幅方向でコンパクトにしている。
一方、本実施形態のように、クランク軸11の後方で上方にメイン軸41が支持され、メイン軸41の後方で下方にカウンタ軸42が配置され、上側クランクケース10Aの上部に一体に成形されたシリンダブロック12と、シリンダヘッド13が順に重ねられて、シリンダ軸線Xを幾らか前方に傾けて立設された内燃機関1においては、クランクケース10の背面(上面)10bが谷状に形成されている。(図1、図4参照)
また、図3に示されるように、クランクケース10の右壁部10Rには、上側クランクケース10Aと下側クランクケース10Bを連続して摩擦クラッチ5等の範囲をカバーする右拡大壁部35が上方に延在して(図4〜6参照)形成され、その周縁に右方へ突出する環状のクラッチカバー取付け周壁36が一体に設けられている。
クラッチカバー取付け周壁36の右端面には、クラッチカバー37が取付けられ、摩擦クラッチ5等がクラッチカバー取付け周壁36の内側において、クラッチカバー37に覆われている。
クラッチカバー取付け周壁36の右端面には、クラッチカバー37が取付けられ、摩擦クラッチ5等がクラッチカバー取付け周壁36の内側において、クラッチカバー37に覆われている。
また、図1に示されるように、クランクケース10の左壁部10Lには、上述のように左拡大壁部30とその周縁のクランクケースカバー取付け周壁31が形成されているが、本実施形態においてはさらに、バランサ20をカバーするため左拡大壁部30が上方に拡大し、上方壁部30aをなし、その周縁のクランクケースカバー取付け周壁31に、クラッチレリーズレバーボス60の一部が、繋がって形成され(図4参照)、また、側面視で重なっている。
(左拡大壁部30の上方壁部30aとその周縁のクランクケースカバー取付け周壁31が、本発明の「クランクケースカバー当接部」をなす。)
(左拡大壁部30の上方壁部30aとその周縁のクランクケースカバー取付け周壁31が、本発明の「クランクケースカバー当接部」をなす。)
したがって、内燃機関1のクランクケース10の背面10bが谷状に形成されるうえ、背面10bの右側は上方に延在して形成された右拡大壁部35とクラッチカバー取付け周壁36に遮られ、背面10bの左側は上方に延在して形成された左拡大壁部30の上方壁部30aとクランクケースカバー取付け周壁31に遮られ、さらに上側クランクケース10Aの左壁部10Lに形成されたクラッチレリーズレバーボス60によって遮られるので、背面10b上に溜まる雨水等の水分の排出が困難になるおそれがあるが、本実施形態においては、以下述べる構成によって、そのようなおそれを無くしている。
すなわち、図3、図5に示されるように、クランクケース10の背面10bは、メイン軸41の上方が前方に傾斜するとともに、シリンダ軸線Xが前方に傾斜しているシリンダブロック12の背面12bが後方に傾斜して、谷部10cが形成され、付着した雨水等は谷部10cに流れ込むが、バランサ20をカバーする左拡大壁部30の上方壁部30aおよびクランクケースカバー取付け周壁31の内燃機関1中心向きとなる右外側面(本発明の「内燃機関中心向き側面」)30b側には、谷部10cに続いて後方に下降する左背面10dが形成され(図6参照)、クランクケース10の左壁部10Lに連なるクラッチレリーズレバーボス60の半球状の下部60cの下方において、クランクケースカバー取付け周壁31の外側に至っている(図1参照)。
したがって、図4に示されるように、左背面10dはクラッチレリーズレバーボス60の下端部60bとの間に間隙部10eを有しており、間隙部10eは、図5に示されるように、クラッチカバー取付け周壁31の外側において、クランクケース10の左外側に開放されている。
そのため、上方壁部30aおよびクランクケースカバー取付け周壁31の内燃機関中心向きの右外側面30b側には、クランクケースの背面10bの谷部10cから左背面10d経由間隙部10eに至る排水経路が形成され、間隙部10eは、クランクケース10の背面10bからクランクケース10の外側面に通じてクランクケース10の背面10bに溜まる雨水等を排水する排水通孔7を形成する。
なお、図6に示されるように、左背面10d上には、右からメイン軸41の左軸受ボス41b、左からバランサ軸受ボス20bが突出するが、左背面10dは連続して形成されるように配置される。
そのため、上方壁部30aおよびクランクケースカバー取付け周壁31の内燃機関中心向きの右外側面30b側には、クランクケースの背面10bの谷部10cから左背面10d経由間隙部10eに至る排水経路が形成され、間隙部10eは、クランクケース10の背面10bからクランクケース10の外側面に通じてクランクケース10の背面10bに溜まる雨水等を排水する排水通孔7を形成する。
なお、図6に示されるように、左背面10d上には、右からメイン軸41の左軸受ボス41b、左からバランサ軸受ボス20bが突出するが、左背面10dは連続して形成されるように配置される。
したがって、メイン軸41の摩擦クラッチ5と反対側の左端側において、クランクケース10に、左拡大壁部30の上方壁部30aおよびその周縁のクランクケースカバー取付け周壁31とクラッチレリーズレバーボス60が、図1に示されるように側面視で重なるように設けられていても、別途ガイド部材を設けることなく、クランクケース10の背面10bに溜まった雨水等を、排水通孔7(間隙部10e)を通じて、クランクケース10の側方に向けて排水することができる。
排水通孔7は、クラッチレリーズレバーボス60の下部60cとクランクケース10の左壁部10L(本発明の「クランクケースの側面」)とが連なった部分と、クランクケース10の背面10bとで囲まれて形成されているので、別途ガイド部材を設けることなく、排水通孔7が形成されている。
また、図1に示されるように、変速機4のカウンタ軸42は、メイン軸41と平行に配置され、メイン軸41は、クランク軸11の後方かつカウンタ軸42の前方に配置されており、カウンタ軸42の左端側にカウンタ軸42の動力を図示しない後輪に伝達する出力スプロケット45が設けられ、スプロケットカバー33がクランクケース10の左壁部10Lにおいて、出力スプロケット45の前方に設けられている。
そのため、カウンタ軸42の左端側の前方にある排水通孔7からの排水は、スプロケットカバー33に沿って流れ、出力スプロケット45に掛からないようになっている(図4、図5参照)。
そのため、カウンタ軸42の左端側の前方にある排水通孔7からの排水は、スプロケットカバー33に沿って流れ、出力スプロケット45に掛からないようになっている(図4、図5参照)。
そして、スプロケットカバー33は、カウンタ軸42を中心軸とした円弧状に形成されており、排水を出力スプロケット45から離間する方向に促すので、排水が出力スプロケット45に掛かることを、より確実に防ぐことができる。
また、図1に示されるように、メイン軸41は上側クランクケース10Aに配置され、クランク軸11とカウンタ軸42はクランクケース分割面10aに配置され、排水通孔7は、側面視で、メイン軸41とクランク軸11とカウンタ軸42を頂点とした三角形の範囲内に配置されており、メイン軸41を上方に、クランク軸11とカウンタ軸42の間を底辺とした三角配置であるので、内燃機関1の前後長が短くなるとともに、排水通孔7がその三角配置範囲内に置かれたため、内燃機関1のクランクケース10の背面10bの傾斜を利用して排水を促すことができるものとなっている。
また、上述のように、クランクケース10の上側クランクケース10Aには、シリンダブロック12が一体形成され、シリンダブロック12のシリンダ軸線Xが前方に傾斜しているので、シリンダブロック12の背面12bの雨水をクランクケース10の背面10bに落とすのが促されるとともに、一体形成によりシリンダブロック12と上側クランクケース10Aの背面12b、10bが滑らかに連なることで排水が促される。
そして、排水通孔7は、上側クランクケース10Aの鋳造時の鋳抜き孔によって形成することができ、排水通孔7を形成するための穴あけ加工を必要とせず、生産コストを抑えることができるものとなっている。
以上、本発明の一実施形態につき説明したが、本発明の態様が上記実施形態に限定され
ず、本発明の要旨の範囲で、多様な態様で実施されるものを含むことは勿論である。
例えば、本発明の車両用内燃機関は、各請求項の要件を備える車両用内燃機関であれば、実施形態のものに限定されず気筒数を問わず、車両も自動二輪車に限らず、内燃機関のクランクケースの背面に溜まった雨水等の排水を必要とするような小型車両であれば、広く有効に適用できる。
なお、車両用内燃機関の左右の配置が、上記実施形態に示すものと左右逆となる内燃機関においても、本発明は同様に実施可能である。
ず、本発明の要旨の範囲で、多様な態様で実施されるものを含むことは勿論である。
例えば、本発明の車両用内燃機関は、各請求項の要件を備える車両用内燃機関であれば、実施形態のものに限定されず気筒数を問わず、車両も自動二輪車に限らず、内燃機関のクランクケースの背面に溜まった雨水等の排水を必要とするような小型車両であれば、広く有効に適用できる。
なお、車両用内燃機関の左右の配置が、上記実施形態に示すものと左右逆となる内燃機関においても、本発明は同様に実施可能である。
1…内燃機関(本発明の「車両用内燃機関」)、4…変速機、5…摩擦クラッチ(本発明の「クラッチ」)、6…クラッチレリーズ機構、7…排水通孔、10…クランクケース、10a…分割面(本発明の「クランクケース分割面」)、10b…背面、10c…谷部、10d…左背面、10e…間隙部(本発明の「排水通孔7」をなす)、10A…上側クランクケース
、10B…下側クランクケース、10L…左壁部(本発明の「クランクケースの側面」)、11…クランク軸、12…シリンダブロック、12b…背面、20…バランサ、20a…バランサ軸、30…左拡大壁部、30a…上方壁部(本発明の「クランクケースカバー当接部」をなす)、30b…右外側面(本発明の「内燃機関中心向き側面」)、31…クランクケースカバー取付け周壁(本発明の「クランクケースカバー当接部」をなす)、32…左クランクケースカバー、33…スプロケットカバー、41…メイン軸、41a…中空孔、42…カウンタ軸(出力軸)、45…出力スプロケット、60…クラッチレリーズレバーボス(本発明の「クラッチ作動部収容部」)、60c…下部、61…プッシュロッド、62…クラッチレリーズレバー、62a…レバー軸部、62b…アーム部、62c…カム部、X…シリンダ軸心、Y…レバー軸部62aの軸心、Z…プッシュロッド61の軸心
、10B…下側クランクケース、10L…左壁部(本発明の「クランクケースの側面」)、11…クランク軸、12…シリンダブロック、12b…背面、20…バランサ、20a…バランサ軸、30…左拡大壁部、30a…上方壁部(本発明の「クランクケースカバー当接部」をなす)、30b…右外側面(本発明の「内燃機関中心向き側面」)、31…クランクケースカバー取付け周壁(本発明の「クランクケースカバー当接部」をなす)、32…左クランクケースカバー、33…スプロケットカバー、41…メイン軸、41a…中空孔、42…カウンタ軸(出力軸)、45…出力スプロケット、60…クラッチレリーズレバーボス(本発明の「クラッチ作動部収容部」)、60c…下部、61…プッシュロッド、62…クラッチレリーズレバー、62a…レバー軸部、62b…アーム部、62c…カム部、X…シリンダ軸心、Y…レバー軸部62aの軸心、Z…プッシュロッド61の軸心
Claims (7)
- クランクケース(10)に、クランク軸(11)が回転自在に支承され、変速機(4)のメイン軸(41)が前記クランク軸(11)と平行に配置され、
前記クランク軸(11)からの駆動力を前記メイン軸(41)に断接可能に接続するクラッチ(5)が、前記メイン軸(41)の一端側に設けられ、
クラッチ作動部収容部(60)が、前記メイン軸(41)の他端側において前記クランクケース(10)に形成された車両用内燃機関(1)において、
前記クランクケース(10)に形成されたクランクケースカバー当接部(30a,31)が、前記クラッチ作動部収容部(60)と側面視で重なり、
前記クラッチ作動部収容部(60)の下方に、前記クランクケースカバー当接部(30a,31)の内燃機関中心向き側面(30b)側のクランクケース(10)の背面(10b)からクランクケース(10)の外側面に通じる排水通孔(10e,7)が形成されたことを特徴とする車両用内燃機関。 - 前記排水通孔(10e,7)は、前記クラッチ作動部収容部(60)の下部(60c)とクランクケース(10)の側面(10L)とが連なった部分と、クランクケース(10)の背面(10b)とで囲まれて形成されたことを特徴とする請求項1に記載の車両用内燃機関。
- 前記変速機(4)のカウンタ軸(42)は、前記メイン軸(41)と平行に配置され、前記メイン軸(41)は、前記クランク軸(11)の後方かつ前記カウンタ軸(42)の前方に配置され、
前記カウンタ軸(42)における前記メイン軸(41)の他端側と同じ側の端部に、同カウンタ軸(42)の動力を車輪に伝達する出力スプロケット(45)が設けられ、スプロケットカバー(33)が前記出力スプロケット(45)の前方に設けられたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用内燃機関。 - 前記スプロケットカバー(33)は、前記カウンタ軸(42)を中心軸とした円弧状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の車両用内燃機関。
- 前記クランクケース(10)は、クランクケース分割面(10a)で分割される上側クランクケース(10A)と下側クランクケース(10B)を備え、前記メイン軸(41)は前記上側クランクケース(10A)に配置され、前記クランク軸(11)と前記カウンタ軸(42)は前記クランクケース分割面(10a)に配置され、前記排水通孔(10e,7)は、側面視で、前記メイン軸(41)とクランク軸(11)とカウンタ軸(42)を頂点とした三角形の範囲内に配置されたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の車両用内燃機関。
- 前記クランクケース(10)には、シリンダブロック(12)が一体形成され、同シリンダブロック(12)のシリンダ軸線(X)が前方に傾斜していることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の車両用内燃機関。
- 前記排水通孔(10e,7)は、前記クランクケース(10)の鋳造時の鋳抜き孔によって形成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の車両用内燃機関。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012213894A JP2014066229A (ja) | 2012-09-27 | 2012-09-27 | 車両用内燃機関 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2012213894A JP2014066229A (ja) | 2012-09-27 | 2012-09-27 | 車両用内燃機関 |
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JP2014066229A true JP2014066229A (ja) | 2014-04-17 |
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Family Applications (1)
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JP2012213894A Pending JP2014066229A (ja) | 2012-09-27 | 2012-09-27 | 車両用内燃機関 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2014066229A (ja) |
-
2012
- 2012-09-27 JP JP2012213894A patent/JP2014066229A/ja active Pending
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