JP2014064739A - ドラム式洗濯機 - Google Patents

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Naoto Yoshida
直人 吉田
Hisashi Hagiwara
久 萩原
Tomotaka Yagi
知隆 八木
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Abstract

【課題】ドラム内の布量を精度良く検知できるドラム式洗濯機を提供する。
【解決手段】モータ7に所定の加速トルクを発生し、ドラム3の回転を加速して、所定の回転数N1からN2まで回転数が上昇する間の加速時角加速度α1を計測する第1の検知工程と、第1の検知工程の後に、モータ7に所定の減速トルクを発生し、ドラム3の回転を減速して、所定の回転数N3からN4まで回転数が低下する間の減速時角加速度α2を計測する第2の検知工程を有し、加速時角加速度α1と減速時角加速度α2に基づき布量を検知するとともに、温度検出部36で検知した温度と、記憶部37に記憶された洗い、すすぎ、脱水等の工程が運転された回数とに基づいて検知した布量を補正するようにしたことにより、運転回数に伴うベルト張力の変化や、周囲温度による影響を受けにくく、精度良く布量検知を行うことができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、ドラム式洗濯機の布量検知に関するものである。
従来、この種のドラム式洗濯機では、洗濯物が投入されたドラムを一定の回転数で回転させた後、モータの通電を停止した時の、ドラムの惰性回転時間を検知して布量を検知する構成が提案されてきた(例えば、特許文献1参照)。
図7は、特許文献1に記載されたドラム式洗濯機の縦断面図、図8は、同ドラム式洗濯機の布量検知の動作を示す図である。
図7、図8において、洗濯機本体51内には、防振構造を有するサスペンション構造(図示せず)によって水槽52が宙吊り状態に支持されている。水槽52内には、有底円筒形に形成されたドラム53が、その軸心方向を正面側から背面側に向けて下向きに傾斜させて回転自在に支持されている。
水槽52の正面側にはドラム53の開口端に通じる衣類出入口54が形成され、洗濯機本体51の正面側の上向き傾斜面に設けられた開口部を開閉可能に閉じる扉55を開閉することにより、衣類出入口54を介してドラム53内に対して洗濯物を出し入れすることができる。
ドラム53には、その周面に水槽52内に通じる多数の透孔56が形成され、内周面の複数位置に衣類攪拌用の攪拌突起(図示せず)が設けられている。このドラム53は、水槽52の背面側に取り付けられたモータ57によって正転及び逆転方向に回転駆動される。
また、水槽52には、注水管路58及び排水管路59が配管接続され、図示しない注水弁及び排水弁の制御によって水槽52内への注水及び排水がなされる。
扉55を開き、ドラム53内に洗濯物及び洗剤を投入して、洗濯機本体51の例えば前面上部に設けられた操作パネル60の入力設定部65での操作により運転を開始させると、水槽52内には注水管路58から所定量の注水がなされ、モータ57によりドラム53が回転駆動されて洗い工程が開始される。
ドラム53の回転により、ドラム53内に収容された洗濯物はドラム53の内周壁に設けられた攪拌突起によって回転方向に持ち上げられ、持ち上げられた適当な高さ位置から落下する攪拌動作が繰り返されるので、洗濯物には叩き洗いの作用が及んで洗いがなされる。
所要の洗濯時間の後、汚れた洗濯液は排水管路59から排出され、ドラム53を高速回転させる脱水動作により洗濯物に含まれた洗濯液を脱水し、その後、水槽52内に注水管路58から注水して、すすぎ工程が実施される。
このすすぎ工程においてもドラム53内に収容された洗濯物はドラム53の回転により攪拌突起により持ち上げられて落下する攪拌動作が繰り返されてすすぎ洗いが実施される。
また、モータ57の背面には、その回転状態を検知するための回転検知部64が設けられており、モータ57の回転数検知を行なうことにより、布量検知制御やドラム53の回転数制御を行なっている。また、洗濯機本体51の前部内面には、ドラム式洗濯機の動作を制御する制御部(図示せず)を有する制御装置67が設けられている。
以上のような構成にて、洗い工程前には、布量検知工程にてドラム53に投入された衣類等洗濯物の布量を検知し、布量に応じて洗濯時間等を自動的に決定する。布量の検知は、ドラム53を回転駆動するためのモータ57を制御する機能を有する制御部により行われる。
洗い工程を開始すると、まず、制御部は、モータ57を始動し、回転検知部64からは検知出力が入力される。回転検知部64の検出周波数は、モータ57の回転により比例して直線的に変化する。即ち、制御部は、回転検知部64からの入力周波数が小さいときは、位相制御の手段によりモータ57の電源電圧の平均電圧を大きくし、また、周波数が大きくなると平均電圧を小さくする。
布量検知工程では、回転制御を行ないながら、制御部にて徐々にモータ57に印加する平均電圧を上昇させて高速回転に移行し、衣類がドラム53の内壁に遠心力により均一に貼り付くようにする。
その状態で、所定時間回転を持続した後、モータ57の通電を停止する。それにより、ドラム53の惰性回転が、逆にモータ57を回転させる状態になる。このとき回転検知部64は、図8に示すように、ドラム53の惰性回転力が摩擦トルクによりしだいに低下して停止する様子を分回転数に変換して出力する。
図8における横軸は時間、縦軸はモータ57の分回転数を示すもので、通電停止時点からドラム53の停止までの時間は、布量が多いときは長く、布量が少ないときは短い。この停止に要する時間の違いが布量に比例することを利用して布量を検知するものである。
特開2010−227312号公報
しかしながら、前記従来の構成では、洗濯機は洗濯機周辺の周囲温度により種々の特性が変化することがあり、ドラムの回転速度もその1つであり、周囲温度の変化によって、回転軸周りのオイルシールなどのゴム類の硬度や軸受内のグリス類の粘性抵抗などが変化することにより、ドラム回転時の角加速度が変化して、布量検知の精度がばらつくという課題があった。
また、モータとドラムの回転伝達にベルトを使用すると、洗濯機の運転回数の増加によりベルト張力が低下して、布量検知の精度がばらつくという課題があった。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、周囲温度の影響を受けにくく、また、ベルト張力が運転回数により変化しても、精度良く布量を検知することができるドラム式洗濯機を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明のドラム式洗濯機は、ドラムと、前記ドラム
を回転自在に内包する水槽と、前記ドラムをベルトを介して回転駆動するモータと、前記モータの回転数を検知する回転速度検知部と、前記ドラム周辺の温度を検知する温度検出部と、前記モータを制御して、洗い、すすぎ、脱水等の各工程を制御する制御部と、前記工程が運転された回数を記憶する記憶部とを備え、前記制御部は、前記モータに所定の加速トルクを発生し、前記ドラムの回転を加速して、所定の回転数N1からN2まで回転数が上昇する間の加速時角加速度α1を計測する第1の検知工程と、前記第1の検知工程の後に、前記モータに所定の減速トルクを発生し、前記ドラムの回転を減速して、所定の回転数N3からN4まで回転数が低下する間の減速時角加速度α2を計測する第2の検知工程を有し、前記加速時角加速度α1と前記減速時角加速度α2に基づき布量を検知するとともに、前記温度検出部で検知した温度と、前記記憶部に記憶された前記工程が運転された回数とに基づいて前記検知した布量を補正するようにしたものである。
これによって、周囲温度の影響を受けにくく、また、ベルト張力が運転回数により変化しても、精度良く布量を検知することができるようになる。
本発明の洗濯機は、運転回数に伴うベルト張力の変化や、周囲温度による影響を受けにくく、精度良く布量検知を行うことができる。
本発明の実施の形態におけるドラム式洗濯機の縦断面図 同ドラム式洗濯機のブロック回路図 同ドラム式洗濯機の布量検知工程のフローチャート 同ドラム式洗濯機の布量検知工程の動作を示す図 同ドラム式洗濯機の布量検知の温度に対する布量と加速度差の関係を示す図 同ドラム式洗濯機のベルトの張力と運転回数の関係を示す図 従来例のドラム式洗濯機の縦断面図 同ドラム式洗濯機の布量検知方法を示す図
第1の発明は、ドラムと、前記ドラムを回転自在に内包する水槽と、前記ドラムをベルトを介して回転駆動するモータと、前記モータの回転数を検知する回転速度検知部と、前記ドラム周辺の温度を検知する温度検出部と、前記モータを制御して、洗い、すすぎ、脱水等の各工程を制御する制御部と、前記工程が運転された回数を記憶する記憶部とを備え、前記制御部は、前記モータに所定の加速トルクを発生し、前記ドラムの回転を加速して、所定の回転数N1からN2まで回転数が上昇する間の加速時角加速度α1を計測する第1の検知工程と、前記第1の検知工程の後に、前記モータに所定の減速トルクを発生し、前記ドラムの回転を減速して、所定の回転数N3からN4まで回転数が低下する間の減速時角加速度α2を計測する第2の検知工程を有し、前記加速時角加速度α1と前記減速時角加速度α2に基づき布量を検知するとともに、前記温度検出部で検知した温度と、前記記憶部に記憶された前記工程が運転された回数とに基づいて前記検知した布量を補正するようにしたことにより、運転回数に伴うベルト張力の変化や、周囲温度による影響を受けにくく、精度良く布量検知を行うことができる。
第2の発明は、特に、第1の発明の制御部は、前記第1の検知工程において、所定時間経過後に前記ドラムの回転数が所定値以下の場合には、収容された洗濯物に偏りがあると判定し、前記ドラムの回転駆動を停止するようにしたことにより、水槽が大きく振動し洗濯機本体に衝突するような事態を回避し、あらかじめ決められた布量と判定して次工程へ進むことが可能となる。
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の第1の検知工程および第2の検知工程において、前記ドラムの回転は、共振周波数以下の回転数で実施するようにしたことにより、水槽の振動が大きくなることを避けることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態におけるドラム式洗濯機の縦断面図、図2は、同ドラム式洗濯機のブロック回路図を示すものである。
図1において、洗濯機本体1内には、ばね44および防振ダンパー45のサスペンション構造によって水槽2が宙吊り状態に支持されている。水槽2内には、有底円筒形に形成されたドラム3が、その軸心方向を正面側から背面側に向けて下向きに傾斜させた回転軸43にて支持されている。
水槽2の正面側にはドラム3の開口端に通じる衣類出入口4が形成され、洗濯機本体1の正面側の上向き傾斜面に設けられた開口部を開閉可能に閉じる扉5を開くことにより、衣類出入口4を通じてドラム3内に対して洗濯物を出し入れすることができる。
ドラム3には、その周面に水槽2内に通じる多数の透孔6が形成され、内周面の複数位置に攪拌突起(図示せず)が設けられている。このドラム3は、水槽2の背面側に取り付けられたモータ7によって、正転及び逆転方向に回転駆動される。
また、ドラム3の周囲には、温度検出部36(図示せず、図2参照)が配設され、周囲温度を検知している。
また、水槽2には、注水管路(図示せず)及び排水管路9が配管接続され、注水弁(図示せず)及び排水弁(図示せず)の制御によって水槽2内への注水及び排水がなされる。
モータ7の回転は、ベルト15を介してドラム3の回転軸43に固定されたプーリ16に伝達され、ドラム3を回転駆動する。
また、モータ7には、回転を検知するためのモータ回転数検出手段30が設けられており、モータ7の回転数検知を行なうことにより、布量検知制御やドラム3の回転数制御を行なっている。
洗濯機本体1の前面下部内面には、ドラム式洗濯機の動作、工程を制御する制御部31(図2参照)を有する制御装置42が設けられている。
運転コース等のモードや各種機能の選択は、洗濯機本体1の前面上部に設けられた操作パネル10から使用者が入力設定部25へ入力して行い、制御装置42が、その入力情報を基に操作パネル10上の表示部41に表示して使用者に知らせる。
図2において、制御装置42は、商用電源20の交流電力を整流器21より整流し、チョークコイル22及び平滑コンデンサ23からなる平滑回路により平滑化された直流電力を駆動電力として、インバータ回路24によりモータ7を回転駆動する。
また、入力設定部25から入力される運転指示、及び各検知手段(図示せず)により検知される運転状態の監視情報に基づいてモータ7の回転を制御し、負荷駆動部26により
給水弁27、排水弁28、送風ファン12、ヒータ29の動作を制御する。
モータ7は、3相巻線7a、7b、7cを有するステータと、2極の永久磁石を有するロータとを備え、モータ回転数検出手段30を設けた3相誘導モータとして構成され、スイッチング素子24a〜24fにより構成されたPWM制御のインバータ回路24により回転制御される。
モータ回転数検出手段30が検出する速度信号は、マイコンにより構成された制御部31に入力される。この速度信号に基づいて、駆動回路32によりスイッチング素子24a〜24fのオン/オフ状態をPWM制御することにより、ステータの3相巻線7a、7b、7cに対する通電を制御してロータを所要回転数で回転させる。また、モータの外郭部に取り付けてあるサーミスタ35が検出した温度はマイコンにより構成された制御部31に入力される。
また、制御部31は、モータ回転数検出手段30の検出出力が入力される回転速度検知部33と温度検出部36と記憶部37なども構成されており、回転速度検知部33は、モータ回転数検出手段30から出力される速度信号と、モータ7の軸とプーリ16の半径の比に基づき、ドラム3の回転数を算出する。
回転速度検知部33の検知出力は布量検知部34に供給され、検出された回転数に基づき、後述するようにドラム内に投入された布量が検知される。また、温度検出部36は、前述のように、ドラム3の周囲に配設され、周囲温度を検知するものであり、記憶部37では運転回数などの諸データを記憶しておく。
なお、布量検知後に温度検出部36と記憶部37から温度と運転回数に関する情報が布量検知部34に供給されて、それに基づく補正を行い、最終の布量判定を行う。
以上のように構成されたドラム式洗濯機について、以下、その動作、作用を説明する。
図3は、本発明の実施の形態におけるドラム式洗濯機の布量検知工程のフローチャートを示し、図4は、同ドラム式洗濯機の布量検知工程の動作を示す図で、横軸は布量検知開始からの経過時間、縦軸はドラム3の回転数である。また、図5は、同ドラム式洗濯機の布量検知の温度に対する布量と加速度差の関係を示す図、図6は、同ドラム式洗濯機のベルトの張力と運転回数の関係を示す図である。
図3、図4において、洗い工程開始前に布量検知工程がスタートすると(ステップS1)、制御部31は、モータ7を駆動して、所定の回転数N1から、所定の電圧と所定の指令回転数を与えることにより、加速トルクT1にてドラム3の回転数を上昇させて、回転数がΔN1だけ上昇した所定の回転数N2に到達させるように制御する(ステップS2)。
ここで、ドラムの回転数nを検出し(ステップS3)、この検出した回転数nが前回検出したドラムの回転数n−1と比較して上昇しているかどうかを判定する(ステップS4)。上昇している場合は、ドラム3が回転数N2に到達した時点で(ステップS5のYES)、回転数がΔN1上昇するのに要した所要時間t1を算出する(ステップS6)。
一方、検出した回転数nが前回検出したドラムの回転数n−1と比較して減少している場合は、続けてステップS2と同様に、回転数がΔN1だけ上昇した所定の回転数N2に到達させるように制御する(ステップS18)。
次に、ドラムの回転数n+1を検出して(ステップS19)、回転数nと比較して上昇しているかどうかを判定する(ステップS20)。上昇している場合(ステップS20のYES)は、ステップS5に進み、ドラム3が回転数N2に到達しているかを判定する。以下、上記の判定を繰り返す。
また、ステップS20にてドラムの回転数n+1が回転数nと比較して、減少している場合(ステップS20のNO)は、ドラムの回転数n+1とnの差である回転数Δnだけ減少するのに要した所要時間t3を算出し(ステップS21)、ドラムの回転数減少の加速度であるα3を算出し(ステップS22)、α3が所定値以上であるかどうかを判定する(ステップS23)。
α3が所定値以上であると判定すると(ステップS23のYES)、収容された洗濯物に偏りがあると判断し、ドラムの回転駆動を停止する(ステップS24)。布量検知途中でドラム回転駆動が停止した場合は、布量検知としては所定の布量値と判定とする(ステップS25)。
これにより、偏心荷重に起因する大きな振動および騒音の発生が最も起こりやすい洗濯物の布量、例えば、定格容量の半量とすることで、洗濯物に偏りが生じ、布量検知中に回転駆動が停止した場合でも、布量を設定し、次工程に進むことが可能となる。また、ステップS23でα3が所定値より小さいと判定された場合は、ステップS18に戻り、上記の判定を繰り返す。
次に、モータ7の回転数の降下を開始させる(ステップS7)。減速トルクT2を与え、回転数を減少させ(ステップS8)、ドラム3が所定の回転数N3からΔN2だけ回転数が減少した所定の回転数N4に到達した時点で(ステップS9のYES)、回転数がΔN2だけ降下するのに要した所要時間t2を算出する(ステップS10)。
次にΔN1、t1、ΔN2、t2から、後述する計算式の式(5)および式(7)に基づいて第1の検知工程の角加速度α1、及び、第2の検知工程の角加速度α2を算出し、両角加速度の差α1−α2を求め(ステップS11)、予め測定しておいた判定値と布量の関係から、式(9)に基づいて布量を求める(ステップS12)。
ここで、第1の検知工程の動作状態について数式面から説明する。
ここで布の重量をm、ドラム3の内周に分布する布の平均半径をr、ドラム3やモータ7の慣性モーメントをJdとすると、布を含めた回転系の慣性モーメントJは式(1)で求められる。
J=Jd+mr (1)
また、モータ7の発生トルクをT、ドラムや回転軸などが有する摩擦トルクをTb、ドラム3の角加速度をαとおくと、これらの関係は式(2)で表される。
T=Jα+Tb (2)
角加速度αは角速度ωと時間tの関数として式(3)で表されるから、式(4)のように、布の平均半径rが一定であれば、布の重量mに応じて、回転数すなわち角速度ωが変化する。
α=dω/dt (3)
dω/dt=(T−Tb)/(Jd+mr2) (4)
上式(4)から、dω/dt、つまり回転数の変化は、布量即ち布の重量mに反比例す
ることがわかる。
つまり、モータ7の通電を停止ししてドラム3を惰性回転させ、ドラム3が停止するまでのある時間区間における回転数の変化を測定することによって、布量を知ることができる。
式(3)から、第1の検知工程における角加速度α1は式(5)で表される。
α1=ΔN1/t1 (5)
また、式(1)および(2)より、式(6)が成立する。
T1=α1(Jd+mr)+Tb (6)
同様に、第2の検知工程について説明すると、第2の検知工程における角加速度をα2と置いた場合に、式(7)、式(8)となる。
α2=ΔN2/t2 (7)
T2=α2(Jd+mr)+Tb (8)
式(6)および式(8)から、摩擦トルクTbの成分を消去すると、式(9)となる。
α1−α2=(T1―T2)/(Jd+mr) (9)
式(9)は、布のドラム内周における平均半径r、加速トルクT1、減速トルクT2がある一定の値である場合に、後述する図5に示すように、布の重量mに応じて(α1−α2)が変化することを示している。
ここで、α1とα2は式(5)および式(7)に示すとおり、ドラム3の回転数と時間の関係を測定することによって容易に得ることが可能である。したがって、理論的には布の重量mと角加速度の変化(α1−α2)の関係のみ把握し、図2の制御部の布量検知部34に演算用テーブルとして保存しておけば、摩擦トルクTbの変化に関係無く、布量を検知できる。
その検知した布量判定値に対して、温度とベルトの張力の影響を考慮して補正をかけて最終的な布量を検出する。
次に、ステップS12で布量を検知した後、ステップS13にて、温度検出部36により周囲温度の検知を行なう。
ここで、図5において、温度に対する加速度差(α1−α2)、つまり布量判定値は、図に示すように大きく変化する。
常温時に、布量がm1と判定される場合でも、低温時には、m2と布量が多く判定されることがある。これは、周囲温度の低下によって、回転軸43周りのオイルシール(図示せず)などのゴム類の硬度硬化や、回転軸43を支える軸受(図示せず)内のグリス類の粘性抵抗の増加などにより、ドラム回転時の角加速度が変化するためであり、高温時には、この逆に常温時に判定されたm3が高温時にはm4と布量が少なく判定されることがある。
この温度に対する加速度差(α1−α2)と布量の関係を事前に把握しておき、そのデータを元に補正値を決め、布量検知部34に演算用テーブルとして保存しておくことにより、ステップS12で検知した布量を、ステップS13にて検知した温度をもとに、ステップS14にて補正する。
次に、ステップS15にて、記憶部37に記憶されたデータから、ドラム式洗濯機の運転回数検知を行なう。
ここで、図6において、洗い、すすぎ、脱水等の各工程の運転回数が増えていくに従い、ベルト15の張力は小さくなっていく。運転回数が少ない時に、例えばK1回の時にL1だった張力は、K2回になるとL2まで小さくなる。
これは、ゴムをベースにした材料で作られたベルト15が、時間経過と共に伸びていくためであり、ベルト15の張力が低下すると、モータ7からのパワーが伝わりにくくなるので、より大きなトルクが必要となる。そのことによって加速時間が運転初期に比べて長くなり、布量は実際よりも多いと判定されることになる。
ベルト15の張力と布量の関係とともに、運転回数とベルト15の張力の関係を事前に把握しておき、そのデータを元に補正値を決め、布量検知部34に演算用テーブルとして保存しておくことにより、ステップS14で温度補正した布量を、ステップS15にて検知した運転回数をもとに、ステップS16にて補正して、布量を最終判定する(ステップS17)。
布量が判定されると、操作パネル10の表示部41に表示し(ステップS26)、使用者はその表示をもとに洗剤等を所定の場所へ入れて、洗い行程が始まることになる。
また、洗濯槽の振動は、洗濯槽を含む振動系が固有に持つ共振周波数において最も大きくなる。洗濯物のバランスが悪い事に起因する振動も、この共振周波数において最も大きくなるため、設計時にこの共振周波数を把握しておき、第1の検知工程及び第2の検知工程を共振周波数以下で実施することにより、振動が大きくなることを避けることができる。
また、布量検知中のドラムの回転数上昇時のドラムの回転数の減少を検知することにより、洗濯物のバランスが悪いことに起因して、水槽が大きく振動し洗濯機本体に衝突するような事態を回避し、あらかじめ決められた布量と判定して次工程へ進むことが可能となる。
以上のように、本実施の形態においては、モータ7に所定の加速トルクを発生し、ドラム3の回転を加速して、所定の回転数N1からN2まで回転数が上昇する間の加速時角加速度α1を計測する第1の検知工程と、第1の検知工程の後に、モータ7に所定の減速トルクを発生し、ドラム3の回転を減速して、所定の回転数N3からN4まで回転数が低下する間の減速時角加速度α2を計測する第2の検知工程を有し、加速時角加速度α1と減速時角加速度α2に基づき布量を検知するとともに、温度検出部36で検知した温度と、記憶部37に記憶された洗い、すすぎ、脱水等の工程が運転された回数とに基づいて検知した布量を補正するようにしたことにより、運転回数に伴うベルト張力の変化や、周囲温度による影響を受けにくく、精度良く布量検知を行うことができる。
以上のように、本発明にかかるドラム式洗濯機は、ドラムに投入された布量を精度良く検知することができるので、布量検知機能を有する他の機器の用途にも適用できる。
2 水槽
3 ドラム
7 モータ
15 ベルト
31 制御部
33 回転速度検知部
36 温度検出部
37 記憶部

Claims (3)

  1. ドラムと、前記ドラムを回転自在に内包する水槽と、前記ドラムをベルトを介して回転駆動するモータと、前記モータの回転数を検知する回転速度検知部と、前記ドラム周辺の温度を検知する温度検出部と、前記モータを制御して、洗い、すすぎ、脱水等の各工程を制御する制御部と、前記工程が運転された回数を記憶する記憶部とを備え、前記制御部は、前記モータに所定の加速トルクを発生し、前記ドラムの回転を加速して、所定の回転数N1からN2まで回転数が上昇する間の加速時角加速度α1を計測する第1の検知工程と、前記第1の検知工程の後に、前記モータに所定の減速トルクを発生し、前記ドラムの回転を減速して、所定の回転数N3からN4まで回転数が低下する間の減速時角加速度α2を計測する第2の検知工程を有し、前記加速時角加速度α1と前記減速時角加速度α2に基づき布量を検知するとともに、前記温度検出部で検知した温度と、前記記憶部に記憶された前記工程が運転された回数とに基づいて前記検知した布量を補正するようにしたドラム式洗濯機。
  2. 前記制御部は、前記第1の検知工程において、所定時間経過後に前記ドラムの回転数が所定値以下の場合には、収容された洗濯物に偏りがあると判定し、前記ドラムの回転駆動を停止するようにした請求項1に記載のドラム式洗濯機。
  3. 前記第1の検知工程および前記第2の検知工程において、前記ドラムの回転は、共振周波数以下の回転数で実施するようにした請求項1または2に記載のドラム式洗濯機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106978700A (zh) * 2016-01-16 2017-07-25 青岛海尔滚筒洗衣机有限公司 洗衣机节能提示方法、洗衣机及洗衣系统

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