JP2014062209A - 地盤への硫酸イオンの溶出が抑制された地盤注入用固結材及びそれを用いた地盤注入工法 - Google Patents

地盤への硫酸イオンの溶出が抑制された地盤注入用固結材及びそれを用いた地盤注入工法 Download PDF

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Abstract

【課題】珪酸ソーダ及び硫酸を含有する地盤注入用固結材であって、地盤への硫酸イオンの溶出が抑制された地盤注入用固結材、並びにそれを用いた地盤注入工法を提供する。
【解決手段】珪酸ソーダ、硫酸及びアルミニウム成分を含有する地盤注入用固結材であって、前記地盤注入用固結材1L中、前記アルミニウム成分を酸化アルミニウム換算で1.3g以上含有することを特徴とする地盤注入用固結材、並びにそれを用いた地盤注入工法。
【選択図】なし

Description

本発明は、地盤注入用固結材及びそれを用いた地盤注入工法に関し、特に硬化剤である硫酸に起因した地盤への硫酸イオンの溶出が抑制された地盤注入用固結材及びそれを用いた地盤注入工法に関する。
従来、珪酸ソーダを必須成分として含有する地盤注入用固結材は知られている。例えば、特許文献1の請求項1には、「コロイダルシリカと、水ガラス(珪酸ソーダ)とを含み、地盤への注入前にはそれ自体でゲル化しないアルカリ性シリカ溶液からなる地盤注入用固結材。」が記載されている。
上記特許文献1には、コロイダルシリカと水ガラスの混合物(アルカリ性シリカ溶液)に反応剤(硬化剤)として硫酸、リン酸等を添加できることが記載されている。詳細には、特許文献1の[0029]段落には、「例えば、アルカリ性シリカ溶液に酸性反応剤を添加して該溶液を酸性〜中性領域に調整して所定のゲル化時間を有するグラウトとすることができる。」と記載されている。
そして、地盤注入用固結材は地盤やコンクリート構造物の空洞、間隙等を埋める用途、例えば、液状化防止、止水、補強等をはじめとして幅広く用いられている。
従来の地盤注入用固結材は、特に硬化剤として硫酸を用いる場合には、地盤注入後に硫酸イオン(いわゆる硫酸根)が地盤に溶出して地盤を汚染する問題や、溶出した硫酸イオンがコンクリート構造物などを侵食(劣化)する問題が指摘されている。
よって、周囲環境に配慮した地盤注入用固結材の開発が求められており、例えば、珪酸ソーダの代わりに脱アルカリした珪酸ソーダを用いることにより中和に要する硫酸量を減らす手段、硬化剤として硫酸の代わりにリン酸や炭酸ガスを用いることにより硫酸イオンを発生させない手段等が試みられている。また、珪酸ソーダの一部をコロイダルシリカに代えることにより珪酸ソーダの使用量を減らし、それにより中和に要する硫酸量を減らす手段も試みられている。
特開2001−3047号公報
本発明は、珪酸ソーダ及び硫酸を含有する地盤注入用固結材であって、地盤への硫酸イオンの溶出が抑制された地盤注入用固結材、並びにそれを用いた地盤注入工法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の組成の地盤注入用固結材によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の地盤注入用固結材及び地盤注入工法に関する。
1.珪酸ソーダ、硫酸及びアルミニウム成分を含有する地盤注入用固結材であって、
前記地盤注入用固結材1L中、前記アルミニウム成分を酸化アルミニウム換算で1.3g以上含有することを特徴とする地盤注入用固結材。
2.更にコロイダルシリカを含有する、上記項1に記載の地盤注入用固結材。
3.前記珪酸ソーダは、SiO/NaOで表されるモル比が3.1〜5.2であり、且つ、SiO濃度が17〜30質量%である、上記項1又は2に記載の地盤注入用固結材。
4.前記コロイダルシリカは、SiOの平均粒子径が3〜30nmであり、且つ、SiO濃度が20〜50質量%である、上記項2又は3に記載の地盤注入用固結材。
5.前記コロイダルシリカと前記珪酸ソーダの割合は、SiOの質量比に換算して10:90〜60:40である、上記項2〜4のいずれかに記載の地盤注入用固結材。
6.コンクリートによって構築された構造物又はプレストレストコンクリート杭の近傍の地盤に注入する、上記項1〜5のいずれかに記載の地盤注入用固結材。
7.コンクリートによって構築された構造物又はプレストレストコンクリート杭の近傍の地盤に対してセメント成分を注入撹拌した後に、当該セメント成分を注入撹拌した領域に隣接して注入する工法に用いる、上記項1〜5のいずれかに記載の地盤注入用固結材。
8.珪酸ソーダ、硫酸及びアルミニウム成分を含有する地盤注入用固結材を地盤に注入する地盤注入工法であって、
前記地盤注入用固結材1L中、前記アルミニウム成分を酸化アルミニウム換算で1.3g以上含有することにより、地盤への硫酸イオンの溶出が抑制されている地盤注入工法。
9.コンクリートによって構築された構造物又はプレストレストコンクリート杭の近傍の地盤に対してセメント成分を注入撹拌した後に、当該セメント成分を注入撹拌した領域に隣接して地盤注入用固結材を注入する地盤注入工法であって、
前記地盤注入用固結材は、珪酸ソーダ、硫酸及びアルミニウム成分を含有し、
前記地盤注入用固結材1L中、前記アルミニウム成分を酸化アルミニウム換算で1.3g以上含有することにより、地盤への硫酸イオンの溶出が抑制されている地盤注入工法。
10.前記地盤注入用固結材は、更にコロイダルシリカを含有する、上記項8又は9に記載の地盤注入工法。
以下、本発明の地盤注入用固結材及び地盤注入工法について詳細に説明する。
地盤注入用固結材
本発明の地盤注入用固結材は、珪酸ソーダ、硫酸及びアルミニウム成分を含有し、前記地盤注入用固結材1L中、前記アルミニウム成分を酸化アルミニウム換算で1.3g以上含有することを特徴とする。
上記特徴を有する本発明の地盤注入用固結材は、硬化剤として硫酸を用いるものの、地盤注入用固結材1L中、アルミニウム成分を酸化アルミニウム換算で1.3g以上含有することにより、地盤注入後に硫酸イオンの地盤への溶出が抑制されており、周囲環境への影響が抑制されている。特に、硫酸イオンの地盤への溶出が抑制されているため、コンクリート構造物に対する侵食の問題を回避でき、コンクリートによって構築された構造物又はプレストレストコンクリート杭の近傍の地盤に注入する用途にも有効に利用することができる。
上記珪酸ソーダとしては、市販品やそれに水を加えて希釈した希釈溶液を使用できる。
珪酸ソーダのモル比(SiO/NaO)は限定されないが、3.1〜5.2程度が好ましく、汎用の珪酸ソーダが使えるため3.1〜3.8程度がより好ましい。
珪酸ソーダに含まれるSiO濃度としては、17〜30質量%程度が好ましい。
本発明の地盤注入用固結材に含まれる酸(硬化剤)としては硫酸を用いる。硫酸としてはHSO濃度が50〜80質量%の酸原液又はそれを水希釈した水溶液を使用できる。硫酸の量は地盤注入用固結材の所望のゲルタイム(即ちpH)に応じて設定する。なお、本発明では、必要に応じて硫酸に加えてリン酸、塩酸等の無機酸を併用してもよい。
本発明の地盤注入用固結材は、アルミニウム成分を含有し、地盤注入用固結材1L中、アルミニウム成分を酸化アルミニウム換算で1.3g以上含有する。アルミニウム成分としては、上記硫酸を含む酸成分に溶解し、アルミニウムイオン(Al3+)の状態で地盤注入用固結材中に存在できるものであれば特に限定されない。アルミニウム成分(又は原料)としては、例えば、金属アルミニウム(例えば、アルミニウム箔);金属アルミニウムを硫酸等の酸に溶解した溶液;硫酸アルミニウム;アルミン酸ソーダ;アルミニウム修飾したコロイダルシリカ;アルミナゾルが挙げられる。
上記アルミニウム修飾したコロイダルシリカとしては、アルミニウム成分により表面処理(修飾)されたコロイダルシリカが挙げられる。例えば、商品名「スノーテックスAK」、日産化学工業株式会社製、平均粒子径:3〜30nmなどの市販品が使用できる。
地盤注入用固結材中のアルミニウム成分の含有量は、地盤注入用固結材1L中、酸化アルミニウム換算で1.3g以上含有していればよく、その中でも2.6g以上が好ましく、3.9g以上がより好ましい。酸化アルミニウム換算の上限値としては限定的ではないが、6.8g程度である。但し、アルミニウム成分の含有量の上限値は地盤注入用固結材中のSiO濃度に対して変動するため上記の限りではない。例えば、地盤注入用固結材中のSiO濃度が6質量%の場合には、アルミニウム成分の含有量が酸化アルミニウム換算で6.8gを超える場合に部分ゲルが生じるおそれがある。
本発明の地盤注入用固結材は、上記アルミニウム成分を含有することにより、地盤注入用固結材中に含まれる硫酸イオンの地盤への溶出が抑制されている。この理由としては、珪酸ソーダに含まれるシリカ(SiO)と正電荷を有するアルミニウムイオンが反応して表面に正電荷を有するシリカ粒子が形成され、当該シリカ粒子の表面に負電荷を有する硫酸イオンが吸着することで地盤への溶出を抑制しているものと考えられる。これにより、本発明の地盤注入用固結材は、コンクリート構造物などの近傍の地盤に注入する用途にも有効に利用することができる。なお、従来、アルミニウム成分を緩衝剤として地盤注入用固結材中に配合する例があるが、緩衝剤としての目的でアルミニウム成分を酸化アルミニウム換算で1.3g以上含有することは量的に多すぎであり、かかる含有量は緩衝剤としての使用では採用されていない。また、緩衝剤としてアルミニウム成分を配合することによる硫酸イオンの溶出抑制効果についても従来は認識されていない。
本発明の地盤注入用固結材はコロイダルシリカを含有してもよい。コロイダルシリカはコロイド状の性状を示し、それ単独では半永久的にゲル化しない安定な物質である。なお、このコロイダルシリカは、前記アルミニウム修飾したコロイダルシリカとは異なる。コロイダルシリカとしては、市販品やそれに水を加えて希釈した希釈溶液を使用できる。
コロイダルシリカに含まれるシリカ(SiO)の平均粒子径としては、3〜30nm程度が好ましく、4〜15nm程度がより好ましい。なお、本明細書に記載の平均粒子径は窒素吸着によるBET法(但しBET法で測定困難な微粒子については動的光散乱法)により測定した値である。
コロイダルシリカに含まれるSiO濃度としては、20〜50質量%程度が好ましい。
このようなコロイダルシリカは調製することもできる。例えば、珪酸ソーダの水希釈液をイオン交換により脱アルカリ処理し、次いで得られた活性珪酸にアルカリ剤を添加してpHを調整するとともに加熱により造粒することにより調製する。
上記コロイダルシリカと珪酸ソーダの割合(混合割合)は限定されないが、SiOの質量比に換算して10:90〜60:40程度が好ましい。かかる範囲の中でも、地盤注入用固結中のSiO(換算値)において、コロイダルシリカに由来するSiO量が15〜55質量%となるように割合を調整することが好ましい。コロイダルシリカに由来するSiO量が55質量%を超えると固結強度が低下するおそれがある。また、コロイダルシリカに由来するSiO量が15質量%未満となると地盤注入用固結材が固結時に収縮し易くなるおそれがある。
本発明の地盤注入用固結材は上記成分以外に各成分の希釈用の水を含むことができる。そして、本発明の地盤注入用固結材のSiO濃度は4〜10質量%程度が好ましい。
本発明の地盤注入用固結材の製造方法は、上記成分を含有する固結材が調製できる限り特に限定されないが、コロイダルシリカを含有する態様では、硫酸及びアルミニウム成分の混合物に珪酸ソーダを混合した後、コロイダルシリカを混合する順序で地盤注入用固結材を調製する場合には、前記混合物に珪酸ソーダを混合する際の部分ゲルの発生を抑制できるためより好ましい。
地盤注入工法
本発明の地盤注入用固結材は、硫酸イオンの地盤への溶出が抑制されているため、周囲環境への影響が抑制されている。特にコンクリート構造物及びプレストレストコンクリート杭に対する侵食の問題が回避されているため、コンクリートによって構築された構造物又はプレストレストコンクリート杭の近傍の地盤に注入する用途に有効に利用することができる。また、本発明の地盤注入用固結材は、地盤に注入する用途のみならず、コンクリート構造物自体の空洞、間隙等を埋める用途にも用いることができる。
以上を踏まえて、本発明の地盤注入用固結材は、特にコンクリートによって構築された構造物又はプレストレストコンクリート杭の近傍の地盤に対して地盤注入用固結材を注入する地盤注入工法に好適に利用することができる。また、その中でも、コンクリートによって構築された構造物又はプレストレストコンクリート杭の近傍の地盤に対してセメント成分を注入撹拌した後に、当該セメント成分を注入撹拌した領域に隣接して地盤注入用固結材を注入する地盤注入工法にも好適に利用することができる。いずれの地盤注入工法においても、地盤への硫酸イオンの溶出が抑制されているため、構造物やセメント成分に対する侵食を回避して地盤注入を行うことができる点で有用性が高い。
上記において、コンクリートによって構築された構造物の近傍の地盤としては、例えば、コンクリートケーソンにより構築された護岸又は岸壁の近傍の地盤が挙げられる。また、プレストレストコンクリート杭の近傍の地盤としては、矢板式護岸又は岸壁の控え杭近傍の地盤が挙げられる。つまり、本発明の地盤注入用固結材は、既存の岸壁又は護岸の補強;岸壁増深時の岸壁前面の地盤改良;岸壁背面の地盤の土圧低減及び吸出防止;既存の構造物の下部地盤の支持力増加などの用途に優れた効果を発揮する。
コンクリートによって構築された構造物又はプレストレストコンクリート杭の近傍の地盤に対してセメント成分を注入撹拌した後に、当該セメント成分を注入撹拌した領域に隣接して地盤注入用固結材を注入する地盤注入工法としては、例えば、矢板式岸壁の前面又は背面に地盤改良、土圧軽減、吸出防止等を目的としてセメント成分を注入撹拌する場合に、セメント成分を注入撹拌できない一部分の領域にセメント成分に代えて本発明の地盤注入用固結材を注入する態様が挙げられる。具体的には、矢板式岸壁の前面(海側)を地盤改良する際、深層混合処理工によってセメント成分を注入撹拌する場合には撹拌翼が接触するおそれのある矢板式岸壁の極近傍の領域に本発明の地盤注入用固結材を注入する態様が挙げられる。また、矢板式岸壁の背面(陸側)に土圧軽減や吸出防止の対策を行う際、高圧噴射撹拌工によってセメント成分を注入撹拌する場合にいわゆる捨石層(捨石の重量は概ね5〜100kg程度である)にはセメント成分を高圧噴射によって注入撹拌することは困難であるため、捨石層にセメント成分に代えて本発明の地盤注入用固結材を注入する態様が挙げられる。
本発明の地盤注入用固結材は、硬化剤として硫酸を用いるものの、地盤注入用固結材1L中、アルミニウム成分を酸化アルミニウム換算で1.3g以上含有することにより、地盤注入後に硫酸イオンの地盤への溶出が抑制されており、周囲環境への影響が抑制されている。特に、硫酸イオンの地盤への溶出が抑制されているため、コンクリート構造物に対する侵食の問題を回避でき、コンクリートによって構築された構造物又はプレストレストコンクリート杭の近傍の地盤に注入する用途にも有効に利用することができる。
試験例2において、材齢1週間のホモゲル中の固形分量1mgに対する硫酸イオンの吸着等温線(20℃)を示す図である。 試験例2において、材齢2週間のホモゲル中の固形分量1mgに対する硫酸イオンの吸着等温線(20℃)を示す図である。 試験例2において、材齢4週間のホモゲル中の固形分量1mgに対する硫酸イオンの吸着等温線(20℃)を示す図である。 試験例3において、各ホモゲル中の固形分量1mgに対する硫酸イオンの吸着量(20℃)を示す図である。 試験例4において、各ホモゲル中の固形分量1mgに対する硫酸イオンの吸着量(20℃)を示す図である。 試験例5において、各供試体の一軸圧縮強さの強度測定結果を示す図である。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
実施例1〜4及び比較例1〜3
以下の実施例及び比較例では、下記の材料を用いた。
・3号珪酸ソーダ(富士化学株式会社製)…SiO2:28.97質量%、Na2O:9.41質量%
・5号珪酸ソーダ(富士化学株式会社製)…SiO2:25.53質量%、Na2O:7.02質量%
・コロイダルシリカ スノーテックス40(日産化学工業株式会社製)…SiO2:40.00質量%、Na2O:0.50質量%
・硫酸アルミニウム(北陸化成工業所製)…Al(Al2O3換算):13.65質量%
・アルミニウム修飾コロイダルシリカ スノーテックスAK(日産化学工業株式会社製)…SiO2:19.00質量%、Al(Al2O3換算):2.26質量%
・アルミナゾル アルミナゾル100(日産化学工業株式会社製)…Al(Al2O3換算):10.4質量%
・金属アルミニウム(市販アルミニウム箔)
・78質量%硫酸(工業用)
下記表1〜表7の組成となるように各成分を混合して実施例1〜4及び比較例1〜3の地盤注入用固結材のホモゲルを調製した。
各表中の組成は、地盤注入用固結材1L中の組成である。また、地盤注入用固結材のSiO濃度はいずれも6.0質量%となるように調製した。
Figure 2014062209
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試験例1(ホモゲルからの硫酸イオンの溶出量の測定)
比較例1、2及び実施例1で調製したホモゲルからの硫酸イオンの溶出量を測定した。比較例1ではホモゲル1L中に含まれる硫酸イオン濃度が最も多く(0.34mol)、比較例2ではコロイダルシリカを配合することにより硫酸使用量を減らし、ホモゲル1L中の硫酸イオン濃度を0.23molに減らしている。これに対して、実施例1ではホモゲル1L中の硫酸イオン濃度は0.25molである。
ホモゲルを1mm角に破砕し、破砕物を適量採取し、その重量の5倍重量のイオン交換水を加えて1時間静置した。その溶液をろ過した後、ICP-AESにて硫酸イオン濃度を測定することにより溶液1L中の硫酸イオンの溶出量を算出した。その結果を下記表8に示す。
Figure 2014062209
表1の結果から明らかなように、実施例1のホモゲルは地盤注入固結材1L中に30gの硫酸アルミニウムを含有することにより硫酸イオンの溶出が抑制されており、比較例1、2のホモゲルからの溶出量と比較して約70%程度に低減されている。
試験例2(ホモゲルの材齢と硫酸イオン吸着性能との関係)
比較例1〜3及び実施例1のホモゲルを調製し、材齢1週間、材齢2週間及び材齢4週間の各ホモゲルを1mm角に破砕し、洗液の電気伝導度が一定値になるまでイオン交換水で水洗し、硫酸イオンを完全に除去した。このホモゲルを固形分量が0.25gになるように量り取り、ここに各濃度の硫酸溶液を25mL加え20℃において1時間以上平衡待ちを行った。これを遠心分離し、上澄みの電気伝導度を測ることにより硫酸イオン濃度を測定した。この値から硫酸イオン吸着量を求め、吸着等温線(20℃)を作成した。
ホモゲル中の固形分量1mgに対する硫酸イオンの吸着等温線(20℃)を図1(材齢1週間)、図2(材齢2週間)及び図3(材齢4週間)に示す。
図1〜3の結果から明らかなように、比較例1、2ではホモゲルの硫酸イオン吸着性能は確認されなかった。他方、硫酸アルミニウムを7g/L(酸化アルミニウム換算1.0g/L)用いた比較例3及び硫酸アルミニウムを30g/L(酸化アルミニウム換算4.1g/L)用いた実施例1のホモゲルでは硫酸イオンの吸着性能が確認でき、比較例3よりも実施例1の方が吸着性能が大きいことが分かった。なお、ホモゲルの材齢によって吸着性能に差がないことが分かった。
試験例3(硫酸アルミニウム量と硫酸イオン吸着性能との関係)
実施例1のホモゲル(硫酸アルミニウム量は30g/L(酸化アルミニウム換算4.1g/L))において、硫酸アルミニウム量を3g/L、7g/L、10g/L及び20g/Lに振ったものをそれぞれ調製し(酸化アルミニウム換算でそれぞれ0.4g/L、1.0g/L、1.4g/L及び2.7g/L)、各ホモゲル(材齢1週間)を1mm角に破砕し、洗液の電気伝導度が一定値になるまでイオン交換水で水洗し、硫酸イオンを完全に除去した。このホモゲルを固形分量が0.25gになるように量り取り、ここに3000ppmの硫酸溶液を25mL加え20℃において1時間以上平衡待ちを行った。これを遠心分離し、上澄みの電気伝導度を測ることで硫酸イオン濃度を測定した。この値から硫酸イオン吸着量(20℃)を算出した。各ホモゲル中の固形分量1mgに対する硫酸イオンの吸着量(20℃)を図4に示す。
図4の結果から明らかなように、酸化アルミニウム換算0.4g/Lのホモゲルでは硫酸イオン吸着性能は確認されなかった。他方、酸化アルミニウム換算1.4g/L以上のホモゲルでは硫酸イオン吸着性能は確認でき、硫酸アルミニウム量と比例して硫酸イオン吸着性能が確認できた。
試験例4(各実施例及び比較例のホモゲルの硫酸イオン吸着性能)
比較例1〜3及び実施例1〜4の各ホモゲル(材齢1週間)を1mm角に破砕し、洗液の電気伝導度が一定値になるまでイオン交換水で水洗し、硫酸イオンを完全に除去した。このホモゲルを固形分量が0.25gになるように量り取り、ここに3000ppmの硫酸溶液を25mL加え20℃において1時間以上平衡待ちを行った。これを遠心分離し、上澄みの電気伝導度を測ることで硫酸イオン濃度を測定した。この値から硫酸イオン吸着量(20℃)を算出した。各ホモゲル中の固形分量1mgに対する硫酸イオンの吸着量を図5に示す。
図5の結果から明らかなように、硫酸アルミニウム量が0g/L(酸化アルミニウム換算0g/L)である比較例1、2のホモゲルはいずれも硫酸イオン吸着性能が確認されなかった。他方、硫酸アルミニウム量が7g/L(酸化アルミニウム換算1.0g/L)である比較例3のホモゲルは若干の硫酸イオン吸着性能が認められるが、硫酸アルミニウム量が10g/L(酸化アルミニウム換算1.4g/L)以上である実施例1〜4のホモゲルの方がいずれも明らかな硫酸イオン吸着性能が確認できた。図5の結果からは、併せて、アルミニウム成分として金属アルミニウム、アルミニウム修飾コロイダルシリカ及びアルミナゾルを用いたいずれの場合でも硫酸イオン吸着性能が得られることが分かった。
試験例5(サンドゲルの一軸圧縮強さ)
比較例1、2及び実施例1、3、4を用い、豊浦砂で内径5cm×高さ10cm、相対密度50%の供試体を作製した。この供試体の材齢1週間のサンドゲルの一軸圧縮強さを測定した。供試体の作製方法及び測定方法は次の通りとした。
(1)円柱の型(内径5cm、高さ10cm)からその円柱の体積を求める。
(2)豊浦砂を、上記体積に対して相対密度50%になるように計量する。相対密度は砂の種類により異なり、相対密度100%はその砂を限界まで密に詰めた状態、0%はできる限り緩く詰めた状態であり、50%はその中間の状態である。
(3)上記円柱の型に地盤注入用固結材を入れ、そこに計量した豊浦砂が均一になるように流し込む。
(4)地盤注入用固結材がゲル化して材齢1週間となるまで静置して待つ。
(5)ゲル化した後、円柱を高さ10cmになるように整えて供試体とする。
(6)供試体を圧縮強さ測定機で圧縮し、供試体が壊れた時の一軸圧縮強さを測定する。一軸圧縮強さの単位は(圧力/単位面積)である。
強度測定結果を図6に示す。
図6の結果から明らかなように、コロイダルシリカ又はアルミニウム修飾コロイダルシリカを配合した比較例2及び実施例3において若干の強度低下があるものの、他のサンドゲルは比較例1と同等の強度を呈している。実施例の各サンドゲルは強度においていずれも実使用における強度要求を満たしている。

Claims (10)

  1. 珪酸ソーダ、硫酸及びアルミニウム成分を含有する地盤注入用固結材であって、
    前記地盤注入用固結材1L中、前記アルミニウム成分を酸化アルミニウム換算で1.3g以上含有することを特徴とする地盤注入用固結材。
  2. 更にコロイダルシリカを含有する、請求項1に記載の地盤注入用固結材。
  3. 前記珪酸ソーダは、SiO/NaOで表されるモル比が3.1〜5.2であり、且つ、SiO濃度が17〜30質量%である、請求項1又は2に記載の地盤注入用固結材。
  4. 前記コロイダルシリカは、SiOの平均粒子径が3〜30nmであり、且つ、SiO濃度が20〜50質量%である、請求項2又は3に記載の地盤注入用固結材。
  5. 前記コロイダルシリカと前記珪酸ソーダの割合は、SiOの質量比に換算して10:90〜60:40である、請求項2〜4のいずれかに記載の地盤注入用固結材。
  6. コンクリートによって構築された構造物又はプレストレストコンクリート杭の近傍の地盤に注入する、請求項1〜5のいずれかに記載の地盤注入用固結材。
  7. コンクリートによって構築された構造物又はプレストレストコンクリート杭の近傍の地盤に対してセメント成分を注入撹拌した後に、当該セメント成分を注入撹拌した領域に隣接して注入する工法に用いる、請求項1〜5のいずれかに記載の地盤注入用固結材。
  8. 珪酸ソーダ、硫酸及びアルミニウム成分を含有する地盤注入用固結材を地盤に注入する地盤注入工法であって、
    前記地盤注入用固結材1L中、前記アルミニウム成分を酸化アルミニウム換算で1.3g以上含有することにより、地盤への硫酸イオンの溶出が抑制されている地盤注入工法。
  9. コンクリートによって構築された構造物又はプレストレストコンクリート杭の近傍の地盤に対してセメント成分を注入撹拌した後に、当該セメント成分を注入撹拌した領域に隣接して地盤注入用固結材を注入する地盤注入工法であって、
    前記地盤注入用固結材は、珪酸ソーダ、硫酸及びアルミニウム成分を含有し、
    前記地盤注入用固結材1L中、前記アルミニウム成分を酸化アルミニウム換算で1.3g以上含有することにより、地盤への硫酸イオンの溶出が抑制されている地盤注入工法。
  10. 前記地盤注入用固結材は、更にコロイダルシリカを含有する、請求項8又は9に記載の地盤注入工法。
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