JP2014061881A - ハイブリッド車両の駆動制御装置及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】バッテリを効率よく充放電して燃料消費を抑制する。
【解決手段】ハイブリッド車両の駆動制御装置は、走行経路履歴情報を記憶する情報記憶部14と、走行経路履歴情報に基づいて、現在位置から各目的地までに存在する各分岐点において選択される走行経路の選択確率を算出する選択確率算出部22と、走行経路履歴情報に基づいて複数の走行経路を予測し、各分岐点での選択確率を用いて、現在位置から各目的地に到達する目的地到達確率をそれぞれ演算し、予測された各々の走行経路を走行した場合、各目的地への到達時点の前記バッテリの充電量が所定の最適値になるように設定して、現在位置から最初の分岐点に到達した時点でのバッテリのそれぞれの充電量を予測し、予測した各々の充電量に、対応する走行経路の目的地到達確率に応じた重み付けを行って、前記最初の分岐点のバッテリの充電量を設定する最適充放電制御決定部23と、を備えている。
【選択図】図1
【解決手段】ハイブリッド車両の駆動制御装置は、走行経路履歴情報を記憶する情報記憶部14と、走行経路履歴情報に基づいて、現在位置から各目的地までに存在する各分岐点において選択される走行経路の選択確率を算出する選択確率算出部22と、走行経路履歴情報に基づいて複数の走行経路を予測し、各分岐点での選択確率を用いて、現在位置から各目的地に到達する目的地到達確率をそれぞれ演算し、予測された各々の走行経路を走行した場合、各目的地への到達時点の前記バッテリの充電量が所定の最適値になるように設定して、現在位置から最初の分岐点に到達した時点でのバッテリのそれぞれの充電量を予測し、予測した各々の充電量に、対応する走行経路の目的地到達確率に応じた重み付けを行って、前記最初の分岐点のバッテリの充電量を設定する最適充放電制御決定部23と、を備えている。
【選択図】図1
Description
本発明は、ハイブリッド車両の駆動制御装置及びプログラムに関する。
従来、燃費率の悪化を抑制できる内燃機関の補機駆動制御装置が開示されている(特許文献1を参照)。特許文献1の技術は、カーナビゲーション装置等から提供される走行環境情報又は自車情報に基づいて、将来の内燃機関の最大出力や走行負荷を予測し、最大出力と走行負荷を比較し、内燃機関と蓄積エネルギーの最適な制御スケジュールを作成する。
また、目的地までの経路の道路状況に応じて燃料消費量が最小となるエンジンとモータの運転スケジュールを設定するハイブリッド車両の駆動制御装置が開示されている(特許文献2参照)。特許文献2の技術は、目的地までの経路の道路状況と運転者の運転履歴とに基づいて各区間で車速パターンを推定し、車速パターンとエンジンの燃料消費特性とに基づいて目的地までの燃料消費量が最小となるように各区間のエンジンとモータの寸点スケジュールを設定する。
また、車両に搭載された蓄電池の放電計画や充電計画を立てる際に役立つ制御情報を出力する制御情報出力装置が開示されている(特許文献3参照)。特許文献3の技術は、蓄積された走行経路情報に基づいて目的地及び走行経路を推定し、車両の走行開始後、推定した走行経路が誤りである場合に、再度、目的地及び走行経路を推定する。これにより、推定精度の高い情報を駆動力制御装部へ出力する。
特許文献1及び2に記載された技術は、特定の目的地を予測し、この目的地に対して経路や将来の交通状況を予測してバッテリの充放電を制御する。このため、予測した経路及び将来の交通状況の信頼性が高い場合は問題がない。しかし、それらの信頼性が低く、それらの予測が頻繁に外れる場合、バッテリの充電量(SOC:State Of Charge)を上限値及び下限値の間の中心値から最適な範囲内に制御しようとすると、充放電の機会を逃してしまうという問題がある。また、充電状態を最大値や最小値に必要以上に設定すると、バッテリの充放電寿命の低下につながってしまう。
また、特許文献3は、予測した目的地までの経路を予測し、実際の走行経路が予測した経路から離脱した場合に、目的地及び経路を再度予測するが、離脱後の交通状態が当初の予測と大きく異なる場合に、充放電の最適値からのずれが大きくなってしまう問題がある。
本発明は、上述した課題を解決するために提案されたものであり、バッテリを効率よく充放電して燃料消費を抑制することができるハイブリッド車両の駆動制御装置及びプログラムを提供することを目的とする。
請求項1の発明であるハイブリッド車両の駆動制御装置は、エンジンの駆動力及びバッテリからの電力に基づくモータの駆動力の少なくとも1つに基づいて駆動されるハイブリッド車両についての走行経路履歴情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された走行経路履歴情報に基づいて、前記ハイブリッド車両の過去の折り返し地点、前記ハイブリッド車両が過去に所定時間以上滞在した地点を目的地として抽出し、現在位置から抽出した各目的地までの複数の走行経路を予測する走行経路予測手段と、前記記憶手段に記憶された走行経路履歴情報に基づいて、現在位置から各目的地までに存在する各分岐点において選択される走行経路の選択確率を演算する選択確率演算手段と、前記選択確率演算手段により演算された各分岐点での選択確率を用いて、現在位置から各目的地に到達する目的地到達確率をそれぞれ演算する目的地到達確率演算手段と、前記走行経路予測手段により予測された各々の走行経路を走行した場合、各目的地への到達時点の前記バッテリの充電量が所定の最適値になるように設定して、現在位置から最初の分岐点に到達した時点でのバッテリのそれぞれの充電量を予測し、予測した各々の充電量に対して、対応する走行経路の目的地到達確率に応じた重み付け平均を計算して、前記最初の分岐点のバッテリの充電量を設定する充電量設定手段と、を備えている。
請求項2の発明は、請求項1に記載のハイブリッド車両の駆動制御装置であって、現在位置から最初の分岐点まで前記ハイブリッド車両を走行させると共に、前記ハイブリッド車両が前記最初の分岐点に到達した時点で、前記バッテリの充電量が、前記充電量設定手段により設定された最初の分岐点の充電量になるように、前記エンジン及び前記モータの少なくとも1つを駆動させる制御を行う駆動制御手段を更に備えている。
請求項1に係る発明は、目的地が分からない場合又は目的地が予測と異なる場合であっても、ハイブリッド車両のバッテリの充放電を効率よく行うようなバッテリの充放電を計画することができる。
請求項2に係る発明は、目的地が分からない場合又は目的地が予測と異なる場合であっても、ハイブリッド車両のバッテリの充放電を効率よく行って、燃料の消費を抑制することができる。
請求項3に係る発明は、ハイブリッド車両のバッテリの充放電を効率よく行って、燃料の消費を抑制するように、コンピュータを制御することができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るハイブリッド車両の駆動制御装置の構成を示す図である。ハイブリッド車両の駆動制御装置は、エンジン32及びモータ34の少なくとも1つの駆動力に基づいて駆動されるハイブリッド車両(以下「自車」という。)に搭載されている。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るハイブリッド車両の駆動制御装置の構成を示す図である。ハイブリッド車両の駆動制御装置は、エンジン32及びモータ34の少なくとも1つの駆動力に基づいて駆動されるハイブリッド車両(以下「自車」という。)に搭載されている。
ハイブリッド車両の駆動制御装置は、自車の現在位置(緯度及び経度)を計測するために衛星からのGPS信号を受信するGPS受信機11と、現在位置から目的地までの経路を探索するナビゲーション装置12と、交通状況情報(例えばVICS(登録商標))を受信する受信部13と、自車の過去の走行経路の履歴情報を記憶する情報記憶部14と、バッテリ40の現在の充電量(SOC:State Of Charge)を検出する現在充電量検出部15と、を備えている。
ナビゲーション装置12は、地図データが記録された記録媒体、演算回路、表示部を有している。演算回路は、記録媒体の地図データを用いて、GPS受信機11で受信されたGPS信号に基づく現在位置から目的地までの経路を演算し、その経路と共に自車の現在位置を表示部に表示する。
受信部13は、渋滞情報、所定区間の所要時間、事故・工事情報、速度規制情報、車線規制情報などの交通状況情報を受信し、この交通状況情報を情報記憶部14へ供給する。
情報記憶部14には、ナビゲーション装置12で表示された自車の走行経路、受信部13で受信された交通状況情報、現在充電量検出部15で検出された充電量などが逐次記憶される。この結果、情報記憶部14には、自車の走行経路履歴情報、交通状況履歴情報、将来交通状況情報、バッテリ40の充電量の変化が記憶される。
また、ハイブリッド車両の駆動制御装置は、複数の目的地を推定する目的地推定部21と、現在位置から最終目的地までの各分岐点における経路の選択確率を算出する選択確率算出部22と、バッテリ40の最適な充放電制御計画を決定する最適充放電制御決定部23と、充放電制御計画に基づいてバッテリ40の充放電を制御する充放電制御部24と、を備えている。最適充放電制御決定部23は、バッテリ40の充電量が管理幅(最大SOCと最小SOCの範囲)の中心値又は中心値付近になるように充放電制御計画を決定する。
さらに、ハイブリッド車両の駆動制御装置は、エンジン制御部31と、エンジン制御部31の制御に従って駆動されるエンジン32と、インバータ33と、モータ34と、バッテリ40と、を備えている。なお、インバータ33は、バッテリ40の直流電力を交流電力に変換してモータ34へ供給し、又は、モータ34で生成された回生電力を直流に変換してバッテリ40を充電する。
以上のように構成されたハイブリッド車両の駆動制御装置は、次の充放電制御計画決定ルーチンを実行する。
図2は、充放電制御計画決定ルーチンを示すフローチャートである。
ステップS1では、最適充放電制御決定部23は、GPS受信機11で受信されたGPS信号に基づいて、自車の現在位置を検出する。さらに、最適充放電制御決定部23は、現在充電量検出部15で検出された信号に基づいてバッテリ40の現在の充電量を検出する。そして、ステップS2へ進む。
ステップS2では、目的地推定部21は、情報記憶部14に記憶されている走行経路履歴情報に基づいて、複数の最終目的地を推定する。例えば、目的地推定部21は、情報記憶部14に記憶されている走行経路履歴情報の中から、走行経路の折り返し地点、自車が所定時間(道路上で単に停車した時間を除く。例えば30分)以上滞在した地点、などを抽出して、これらの地点を最終目的地と推定する。さらに、目的地推定部21は、現在位置から最終目的地までの間にあって通過確率の変化する地点については目的地(分岐点)として推定する。
図3は、走行経路履歴情報から抽出された複数の目的地の一例を示す図である。ここでは、現在の自車は、地点Aへ向かっている。目的地推定部21は、現在位置からA地点を経由したケースの走行経路履歴情報を情報記憶部14から読み出し、その走行経路履歴情報の中から、折り返し地点であるB,D,E,Gをそれぞれ最終目的地として抽出し、E,Fを目的地(分岐点)として抽出する。
また、目的地推定部21は、ドライバにより目的地又は経路が設定された場合、その情報に従って目的地を推定すると共に、ドライバの設定した目的地以降の経路についても上記と同様にして推定する。この結果、例えば、現在位置から目的地B,D,Eまでのツリー状に広がる予測経路が作成される。
図4は、ツリー状に作成された予測経路を示す図である。同図に示すように、自車が、現在位置から目的地(分岐点)Aに到達すると、確率P1で目的地Bへ進み、確率P2で目的地(分岐点)Cへ進む。さらに、自車が、目的地(分岐点)Cに到達すると、確率P3で目的地Dへ進み、確率P4で目的地(分岐点)Eへ進む。なお、これらの確率P1〜P4は選択確率であり、後述のステップで決定される。
さらに、最適充放電制御決定部23は、各々の最終目的地B,D,EでのSOCを算出する。ここでは、最適充放電制御決定部23は、バッテリ40の最大SOCと最小SOCの中間値を最終目的地でのSOCとして算出する。そして、ステップS3に進む。
ステップS3では、最適充放電制御決定部23は、現在位置から各最終目的地までのそれぞれの走行経路を予測する。なお、最適充放電制御決定部23は、この予測計算をナビゲーション装置12に実行させてもよい。そして、選択確率算出部22は、情報記憶部14に記憶されている走行経路履歴情報に基づいて、予測された各走行経路の各々の分岐点での選択確率を算出する。
図5は、走行経路履歴情報として、2月の7:00−7:30の時間帯におけるA地点での経路の選択方向を示す図である。図6は、2月の7:00−7:30の時間帯におけるA地点からB地点、A地点からC地点へのそれぞれの経路の選択確率を示す図である。
図5によると、A→Bの走行経路は、14回/18回中であるので、図6に示すように選択確率は78(=(14/18)×100)%である。また、A→Cの走行経路は、4回/18回中であり、選択確率は22(=(4/18)×100)%である。
なお、図5及び図6では、2月の7:00−7:30の時間帯の一例を示したが、使用データの期間、時間帯は特に限定されるものではない。すなわち、目的地推定部21は、同一の分岐点であっても、日付、時刻だけでなく、更に前方の渋滞の有無などの走行状態、も考慮して、分岐点から各目的地への選択確率を算出できる。
図7は、渋滞がない場合の経路選択確率を示す図である。図8は、A地点からB地点の間に渋滞がある場合の経路選択確率を示す図である。渋滞がない場合、A→Bが通常の選択経路であるので、A→Bの選択確率が90%、A→Cの選択確率が10%と算出される。しかし、AB間で渋滞がある場合、A→Cが迂回経路となるので、A→Bの選択確率が10%、A→Cの選択確率が90%と算出される。このようにして、分岐点での選択確率が算出されると、ステップS4へ進む。
ステップS4では、最適充放電制御決定部23は、現在位置から直近の分岐点までの充放電制御計画を決定する。最初に、最適充放電制御決定部23は、各分岐点での選択確率を用いて、現在位置から各最終目的地に到達する確率である最終目的地到達確率を算出する。
例えば、図3及び図4の場合、走行経路1〜3の最終目的地到達確率は次のようになる。
走行経路1(現在位置→A→B) :最終目的地到達確率=P1
走行経路2(現在位置→A→C→D):最終目的地到達確率=P2×P3
走行経路3(現在位置→A→C→E):最終目的地到達確率=P2×P4
走行経路1(現在位置→A→B) :最終目的地到達確率=P1
走行経路2(現在位置→A→C→D):最終目的地到達確率=P2×P3
走行経路3(現在位置→A→C→E):最終目的地到達確率=P2×P4
次に、最適充放電制御決定部23は、ステップS2で算出された各最終目的地のSOCに基づいて各走行経路のSOCを逆算して、現在位置から直近の分岐点における走行経路1〜3のそれぞれのSOCを予測する。例えば、図3及び図4の場合、走行経路1〜3のSOCを逆算すると、分岐点AのSOCは次のようになる。
図9は、走行経路1〜3をそれぞれ走行すると想定した場合のA地点到達時のSOCを示す図である。同図に示すように、走行経路1〜3のそれぞれの場合のA地点到達時のSOCは、SOC_A1、SOC_A2、SOC_A3となる。ここで、想定した走行経路に基づいて、最初の分岐点(A地点)のSOCを設定したとしても、想定と異なる走行経路を自車が走行した場合、SOCの過不足が問題になる。
例えば、自車が走行経路3を走行すると想定してA地点到達時のSOCがSOC_A3に設定された場合、自車が走行経路3を走行しても何ら問題は生じない。しかし、自車が走行経路1を走行した場合、SOCが大きく不足してしまう。この場合、モータ走行(EV走行)、モータとエンジンを併用するハイブリッド走行(HV走行)ができなくなり、エンジン走行のみが可能になるので、燃料消費が大きくなってしまう。
そこで、最適充放電制御決定部23は、それぞれの走行経路の最初の分岐点の各々のSOCに対して、各走行経路の確率に基づいて重み付け平均を計算することで、最初の分岐点の最適なSOCを算出する。
図10は、A地点到達時の最適なSOC_A_OPTを示す図である。ここでは、SOC_A_OPTは次の式により求められる。
SOC_A_OPT=SOC_A1×(P1)+SOC_A2×(P2×P3)
+SOC_A3×(P2×P4)
+SOC_A3×(P2×P4)
このSOC_A_OPTであれば、自車が走行経路1〜3のいずれを通過する場合であっても、SOCが大きく過剰になり又は不足することがなく、SOCを最適な状態にすることができる。そして、ステップS5に進む。
ステップS5では、充放電制御部24は、最適充放電制御決定部23で決定された分岐点のSOCを最適化して、現在位置から直近の分岐点まで走行するようにエンジン32及びモータ34をそれぞれ制御する。
ここでは、最適充放電制御決定部23は、受信部13で受信されて情報記憶部14に記憶された交通状況情報(例えば、道路の勾配、形状、渋滞情報)に基づいて、直近の分岐点のSOCを最適化する。特に渋滞情報は日時によって変化するので、交通状況情報から渋滞情報が得られる場合、情報記憶部14は、渋滞の長さとその渋滞を走行した場合のSOCの減少分を対応させた渋滞長−SOC減少分情報を記憶する。そして、最適充放電制御決定部23は、情報記憶部14に記憶された渋滞長−SOC減少分情報を用いてSOCを最適化すればよい。
図11は、現在位置からA地点までに渋滞が発生している状態を示す図である。図12は、過去の渋滞情報(渋滞の長さ)に対する過去のSOCの変化量を示す図である。
最適充放電制御決定部23は、ステップS4で算出したA地点でのSOC値を基準にして、図12のように集計した渋滞の長さに対応したSOC変化量を用いて、A地点におけるSOCを最適化する。
図13は、渋滞の長さが10kmの場合のSOCを示す図である。図14は、渋滞の長さが5kmの場合のSOCを示す図である。図12に示すように、渋滞の長さが10kmの場合、A地点におけるSOCは、渋滞開始時に比べて15%減少する。そこで、最適充放電制御決定部23は、図13に示すように、渋滞開始時のSOCから15%低下したSOCがステップS4で求めたA地点における最適SOCになるように、現在位置のSOCを求める。
また、図12に示すように、渋滞の長さが5kmである場合、A地点におけるSOCは、渋滞開始時に比べて10%減少する。そこで、最適充放電制御決定部23は、図14に示すように、渋滞開始時のSOCから10%低下したSOCがステップS4で求めたA地点における最適SOCになるように、現在位置のSOCを求める。このようにして、最終的な充放電制御計画が作成される。
そして、充放電制御部24は、現在位置から直近の分岐点Aまでについて、現在充電量検出部15で検出される充電量が最終的な充放電制御計画に従うように、エンジン制御部31、コンバータ33を介して、エンジン32、モータ34をそれぞれ制御する。
なお、自車が分岐点Aを通過した後は、再びステップS1に戻り、現在位置から次の分岐点までの新たな充放電制御計画が作成され、新たな充放電制御計画に基づいてエンジンやモータが制御される。また、走行経路が上述した図2及び図3の場合に限らず、例えば次のような場合にも適用される。
図15は、祝日にA地点へ戻る場合について走行経路履歴情報から抽出された複数の目的地の一例を示す図である。この場合、最終目的地はAだけであるが、走行経路は2つ(現在位置→J→F→C→B→A、現在位置→J→G→H→A)存在する。
図16は、各走行経路の確率が考慮された位置J到達時の最適なSOCを示す図である。同図に示すように、自車が走行経路1を走行した場合、SOCはほぼ最大SOCに近い値となる一方、自車が走行経路2を走行した場合、SOCはほぼ最小SOCに近い値となる。この場合、図2に示した充放電制御計画決定ルーチンが開始されステップS4が実行されると、位置J到達時のSOCは図16の実線に示すようになる。このようにすることで、HV走行区間が減少する確率を最小限に抑制することが可能となる。
以上のように、本発明の第1の実施形態に係るハイブリッド車両の駆動制御装置は、分岐点からの各予測走行経路の選択確率を算出し、これらの選択確率を用いて各最終目的地に到達する最終目的地到達確率を算出する。そして、上記駆動制御装置は、各最終目的地のSOCを所定の最適な値に設定した場合に、走行経路毎に最初の分岐点のSOCを予測し、予測した各SOCに、対応する走行経路の最終目的地到達確率に応じた重み付けを行って、最初の分岐点の最適なSOCを設定する。
これにより、ハイブリッド車両の駆動制御装置は、予め目的地の定められた走行経路の情報がない場合又は目的地の予測が外れた場合でも、走行経路履歴情報に基づいて推定された複数の走行経路の各々のSOCを考慮して自車の直近の分岐点のSOCを設定するので、常にバッテリの充放電を効率よく行うことができ、その結果、燃料消費を最小限に抑えることができる。
[参考例]
つぎに、参考例に係るハイブリッド車両の駆動制御装置について説明する。なお、第1の実施形態と同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は書略する。
つぎに、参考例に係るハイブリッド車両の駆動制御装置について説明する。なお、第1の実施形態と同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は書略する。
参考例では、走行経路が閉ループになる場合について説明する。自車が習慣的に閉ループを走行する場合、図2に示す充放電制御計画ルーチンが開始されると、最終目的地が抽出されず、最終目的地の最適なSOCの設定もできないため、ステップS2が実行されない。このような場合、次のようにして、閉ループの範囲内でSOCの変化が最適化される。
図17は、閉ループが形成された走行経路を示す図である。同図のように地点A〜Dが閉ループを構成し、自車がA地点から閉ループへ入る場合を想定する。図18は、閉ループの走行経路におけるSOCの変化を示す図である。
最適充放電制御決定部23は、走行経路履歴情報に基づいて、閉ループの終点が走行経路の終点になるような走行経路(現在位置→A1→B→C→D→A2)を推定する。なお、A1とA2は共に同一のA地点を示している。次に、最適充放電制御決定部23は、最初の分岐点であるA1地点のSOCをSOC_A1に設定し、その後、閉ループを1周したA2地点のSOCであるSOC_A2を算出する。
そして、最適充放電制御決定部23は、SOCの変化が連続になるようにSOC_A1=SOC_A2とし、かつその閉ループ内でSOC変化の平均値がSOCの管理幅の中心値又は中心値付近になるようにして、閉ループ内での最適なSOCの計画を作成する。
例えば、最適充放電制御決定部23は、SOC_A1>SOC_A2である場合は、走行経路の中にバッテリ充電区間を増やし、SOC_A1<SOC_A2である場合は、バッテリ放電区間を増やせばよい。また、最適充放電制御決定部23は、閉ループのSOC変化の平均値を上げる場合には、現在位置から最初の分岐点に到達するまでにバッテリ充電区間を増やし、その平均値を下げる場合には、現在位置から最初の分岐点に到達するまでにバッテリ放電区間を増やせばよい。
図19は、走行経路が2つの閉ループに分岐する場合を示す図である。図20は閉ループ1、図21は閉ループ2のそれぞれの走行経路におけるSOCの変化を示す図である。
このように、閉ループが2つに分岐する場合、それぞれの閉ループへ入る確率P1,P2をそれぞれ考慮し、最適充放電制御決定部23は、図20及び図21に示すように、各閉ループにおける最適なSOC値を求める。この結果、A地点での最適なSOC値は閉ループ1の場合(SOC_A1)と閉ループ2の場合(SOC_A2)で異なるが、このような場合は、最適充放電制御決定部23は、次式のように、確率を考慮して位置AでのSOC値SOC_A_OPTを1つに決定する。
SOC_A_OPT=SOC_A1×P1+SOC_A2×P2
なお、P1は閉ループ1へ分岐する確率であり、P2は閉ループ2へ分岐する確率である。また、走行経路が上述した図17又は図18の場合に限らず、例えば次のような場合にも適用される。
図22は、平日に習慣的に使用する経路の一例を示す図である。ここでは、走行経路履歴情報に基づき、平日の走行経路は、A地点からE地点への閉ループ走行と推定されている。渋滞情報を入手できない場合、目的地推定部21は、分岐する可能性のあるA〜Hのそれぞれの地点を選択する。一方、最適充放電制御決定部23は、情報記憶部14に記憶されている情報に基づいて、各地点間の走行時間帯及びSOC変化量を集計する。
図23は、SOC変化の集計例を示す図である。図23では、7:00〜7:30の時間帯では、AB、BC、CD、DEの各地点間のSOCの変化量が集計されている。また、18:00〜18:30の時間帯では、EF、FG、GH、HAの各地点間のSOCの変化量が集計されている。
そして、最適充放電制御決定部23は、各地点間の走行時のSOCの変化の平均値がSOCの管理幅の中心値又は中心値付近になるように、各地点での最適なSOCを決定すればよい。なお、SOC変化の平均値がSOCの管理幅の中心値又は中心値付近に設定されない場合は次のようになる。
図24は、SOC変化の平均値がSOCの管理幅の中心値又は中心値付近に設定されない場合のSOCの変化を示す図である。図24によると、A地点を出発してSOCが最小SOCに達するまではHV走行区間となるが、SOCが最小SOCに達した後はE地点に到達するまではエンジン走行区間となる。また、E地点からSOCが最大SOCに達するまではHV走行区間となるが、SOCが最大SOCに達した後はA地点に戻るまでは充電不能区間となる。このように、エンジン走行区間、充電不能区間があると、燃料消費が大きくなってしまう。
図25は、SOC変化の平均値がSOCの管理幅の中心値又は中心値付近に設定された場合のSOCの変化を示す図である。この場合、A地点からE地点へ行き再びA地点へ戻っても、SOCは最大SOC、最小SOCのいずれにも達しないので、全区間でHV走行が可能となる。これにより、燃料消費が大幅に抑制される。
以上のように、参考例に係るハイブリッド車両の駆動制御装置は、予測される走行経路が閉ループを形成する場合、閉ループの始点と終点のSOCが同一になるように設定し、かつ、閉ループ内のSOCの平均値がSOC管理幅の中心値又は中心値付近になるように設定し、それを基準に各地点のSOCを設定する。これにより、HV走行区間を長くして、燃料消費を大幅に抑制することができる。
また、ハイブリッド車両の駆動制御装置は、ある分岐点から複数の閉ループに分岐する場合は、各閉ループの分岐点のSOCに、各閉ループを選択する選択確率に応じた重み付けを行うことにより、その分岐点のSOCを最適な値に設定して、バッテリの充放電を効率的に行うことができる。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内で設計上の変更をされたものにも適用可能であるのは勿論である。また、コンピュータに、ハイブリッド車両の駆動制御プログラムをインストールすることで、例えば、情報記憶部14、目的地推定部21、選択確率算出部22、最適充放電制御決定部23、充放電制御部24をそれぞれ実現してもよい。
14 情報記憶部
21 目的地推定部
22 選択確率算出部
23 最適充放電制御決定部
24 充放電制御部
32 エンジン
34 モータ
40 バッテリ
21 目的地推定部
22 選択確率算出部
23 最適充放電制御決定部
24 充放電制御部
32 エンジン
34 モータ
40 バッテリ
Claims (3)
- エンジンの駆動力及びバッテリからの電力に基づくモータの駆動力の少なくとも1つに基づいて駆動されるハイブリッド車両についての走行経路履歴情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された走行経路履歴情報に基づいて、前記ハイブリッド車両の過去の折り返し地点、前記ハイブリッド車両が過去に所定時間以上滞在した地点を目的地として抽出し、現在位置から抽出した各目的地までの複数の走行経路を予測する走行経路予測手段と、
前記記憶手段に記憶された走行経路履歴情報に基づいて、現在位置から各目的地までに存在する各分岐点において選択される走行経路の選択確率を演算する選択確率演算手段と、
前記選択確率演算手段により演算された各分岐点での選択確率を用いて、現在位置から各目的地に到達する目的地到達確率をそれぞれ演算する目的地到達確率演算手段と、
前記走行経路予測手段により予測された各々の走行経路を走行した場合、各目的地への到達時点の前記バッテリの充電量が所定の最適値になるように設定して、現在位置から最初の分岐点に到達した時点でのバッテリのそれぞれの充電量を予測し、予測した各々の充電量に対して、対応する走行経路の目的地到達確率に応じた重み付け平均を計算して、前記最初の分岐点のバッテリの充電量を設定する充電量設定手段と、
を備えたハイブリッド車両の駆動制御装置。 - 現在位置から最初の分岐点まで前記ハイブリッド車両を走行させると共に、前記ハイブリッド車両が前記最初の分岐点に到達した時点で、前記バッテリの充電量が、前記充電量設定手段により設定された最初の分岐点の充電量になるように、前記エンジン及び前記モータの少なくとも1つを駆動させる制御を行う駆動制御手段を更に備えた
請求項1に記載のハイブリッド車両の駆動制御装置。 - コンピュータを、請求項1又は2に記載のハイブリッド車両の駆動制御装置の各手段として機能させるためのハイブリッド車両の駆動制御プログラム。
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