JP2014059220A - 導電性材料の充填装置及び充填方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高スループットで適正量の導電性材料を充填することが可能な充填装置及び充填方法を提供する。
【解決手段】X線検査機能を備えた充填装置100は、基板Sに形成された開口部202aに向けて導電性材料Pを吐出することにより開口部202a内に導電性材料Pを充填する吐出部10と、被吐出位置の開口部202aに向けてX線を照射するX線照射部20と、X線照射部20との間に開口部202aが介在するように設けられたX線検出部30と、X線検出部30で検出された透過X線に基づき、開口部202a内の白黒諧調化された2次元の透過X線像を形成する画像処理部40と、透過X線像を構成する各ピクセルの輝度から合計輝度を求め、該合計輝度に基づき開口部202a内における導電性材料Pの充填状態を判定する制御部50と、を備えている。
【選択図】図1
【解決手段】X線検査機能を備えた充填装置100は、基板Sに形成された開口部202aに向けて導電性材料Pを吐出することにより開口部202a内に導電性材料Pを充填する吐出部10と、被吐出位置の開口部202aに向けてX線を照射するX線照射部20と、X線照射部20との間に開口部202aが介在するように設けられたX線検出部30と、X線検出部30で検出された透過X線に基づき、開口部202a内の白黒諧調化された2次元の透過X線像を形成する画像処理部40と、透過X線像を構成する各ピクセルの輝度から合計輝度を求め、該合計輝度に基づき開口部202a内における導電性材料Pの充填状態を判定する制御部50と、を備えている。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば半導体装置やプリント基板などの製造工程で配線を形成するための導電性材料の充填装置及び充填方法に関する。
半導体装置やプリント基板などの作製において、ビアホールなどの開口部内に規定量の導電性材料を充填し、配線を形成する工程では、充填機の吐出量を予め設定しておき、該設定された吐出量で充填が行われていた。導電性材料の充填量が適正であるか否かの判定は、その後に検査工程を設け、X線検査や導通性の検査、抵抗値の検査などの方法によって事後的に確認が行われていた。例えば、特許文献1では、基板にX線を照射し、透過したX線量を測定することによって、ビアホール内に充填された導電性ペーストの充填量を検査する手法が提案されている。
また、瓶入り製品や缶入り製品に関するものであるが、特許文献2では、製造ラインを移動する被検体にX線を照射し、透過X線を画像処理して得られる2次元のデジタル画像データに基づいて充填量を算出する方法が提案されている。
従来の手法では、充填工程と切り離した検査工程において、導電性材料の充填量が適正か否かを判定するため、検査工程で充填量の過不足が判明した場合、その後で修復工程が必要になり、スループットが低下したり、製造コストが上昇したりするなどの問題があった。また、充填工程とは別に検査工程を設けることで、検査設備やその設置スペースが必要となるだけでなく、製造期間の長期化や製造コストの上昇を招く一因となっていた。
また、充填工程でリアルタイムに充填状態を把握する手法として、例えば液面センサを用いる方法も知られている。しかし、導電性材料として、例えば溶媒中に金属微粒子を分散させたスラリーを開口部内に充填する場合は、その液量と、最終的に配線となる金属微粒子の量とが一義的に対応しないため、充填量を正確に把握することが困難である、という課題もあった。
本発明の目的は、高スループットで適正量の導電性材料を充填することが可能な導電性材料の充填装置及び充填方法を提供することである。
本発明の導電性材料の充填装置は、被処理体に形成された開口部に対向して配置され、該開口部に向けて導電性材料を吐出することにより該導電性材料を充填する吐出部と、前記開口部が前記吐出部と対向している被吐出位置において、前記開口部に向けてX線を照射するX線照射部と、前記X線照射部との間に前記開口部が介在するように設けられたX線検出部と、前記X線検出部で検出された透過X線に基づき、前記開口部内の白黒諧調化された2次元の透過X線像を形成する画像処理部と、前記透過X線像を構成する各ピクセルの輝度から合計輝度を求め、該合計輝度に基づき、前記開口部内における前記導電性材料の充填状態を判定する判定手段として機能する制御部と、を備えている。
本発明の導電性材料の充填装置において、前記吐出部は、前記導電性材料を連続的に吐出するものであってもよく、前記X線照射部は、前記吐出部による吐出が行われている間に、連続的もしくは非連続的にX線照射を行うものであってもよい。
本発明の導電性材料の充填装置において、前記吐出部は、前記導電性材料を非連続的に複数回に分けて吐出するものであってもよく、前記X線照射部は、前記導電性材料の充填終了までの間に、連続的もしくは非連続的にX線照射を行うものであってもよい。
本発明の導電性材料の充填装置において、前記制御部は、前記合計輝度の数値を所定の基準範囲と比較することによって前記導電性材料の充填状態の判定を行うものであってもよい。
本発明の導電性材料の充填装置において、前記制御部は、前記充填状態の判定結果に基づき、前記吐出部による吐出条件を変更するように制御するものであってもよい。
本発明の導電性材料の充填装置において、前記吐出部は、X線透過性の材料により形成された吐出ノズルを有していてもよい。
本発明の導電性材料の充填装置において、前記吐出部は、複数の吐出ノズルから複数の開口部へそれぞれ導電性材料を吐出するものであってもよく、前記制御部は、複数の開口部毎に充填状態を判定するものであってもよい。
本発明の導電性材料の充填方法は、被処理体に形成された開口部に対向して配置された吐出部より、前記開口部に向けて導電性材料を吐出する充填工程と、前記開口部が前記吐出部と対向している被吐出位置において、前記開口部に向けてX線を照射するX線照射工程と、被処理体を透過した透過X線を検出する透過X線検出工程と、前記検出された透過X線に基づき、前記開口部内の白黒諧調化された2次元の透過X線像を形成する画像処理工程と、前記透過X線像を構成する各ピクセルの輝度から合計輝度を求め、該合計輝度に基づき、前記開口部内における前記導電性材料の充填状態を判定する判定工程と、を備えている。
本発明の導電性材料の充填方法において、前記吐出部は、前記導電性材料を連続的に吐出するものであってもよく、前記吐出部による吐出が行われている間に、連続的もしくは非連続的にX線照射を行ってもよい。
本発明の導電性材料の充填方法において、前記吐出部は、前記導電性材料を非連続的に複数回に分けて吐出するものであってもよく、前記導電性材料の充填終了までの間に、連続的もしくは非連続的にX線照射を行ってもよい。
本発明の導電性材料の充填方法において、前記判定工程は、前記合計輝度の数値を所定の基準範囲と比較することによって前記導電性材料の充填状態の判定を行ってもよい。
本発明の導電性材料の充填方法は、前記充填状態の判定結果に基づき、前記吐出部による吐出条件を変更するように制御する工程をさらに含んでいてもよい。
本発明の導電性材料の充填装置及び充填方法によれば、X線を利用して導電性材料の充填状態をリアルタイムで把握できるため、高スループットで適正量の導電性材料を充填することが可能になる。また、導電性材料がスラリー状であっても、液量ではなく、金属成分の量を正確にモニタリングできる。従って、本発明の充填装置及び充填方法を利用することによって、例えば半導体装置やプリント基板などの作製において、開口部内へ導電性材料を高い精度で充填することが可能になり、製品欠陥や導通不良の発生を抑制できるとともに、製品の信頼性を高めることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
[充填装置の構成例]
図1は、X線検査機能を備えた充填装置100の一例を示す構成図である。充填装置100は、被処理体としての基板Sに形成された開口部202aに向けて導電性材料Pを吐出することにより開口部202a内に導電性材料Pを充填する吐出部10と、開口部202aが吐出部10と対向している被吐出位置において、開口部202aに向けてX線を照射するX線照射部20と、X線照射部20との間に開口部202aが介在するように設けられたX線検出部30と、X線検出部30で検出された透過X線に基づき、開口部202a内の白黒諧調化された2次元の透過X線像を形成する画像処理部40と、画像処理部で形成された透過X線像を構成する各ピクセルの輝度から合計輝度を求め、該合計輝度に基づき開口部202a内における導電性材料Pの充填状態を判定する制御部50と、を備えている。
[充填装置の構成例]
図1は、X線検査機能を備えた充填装置100の一例を示す構成図である。充填装置100は、被処理体としての基板Sに形成された開口部202aに向けて導電性材料Pを吐出することにより開口部202a内に導電性材料Pを充填する吐出部10と、開口部202aが吐出部10と対向している被吐出位置において、開口部202aに向けてX線を照射するX線照射部20と、X線照射部20との間に開口部202aが介在するように設けられたX線検出部30と、X線検出部30で検出された透過X線に基づき、開口部202a内の白黒諧調化された2次元の透過X線像を形成する画像処理部40と、画像処理部で形成された透過X線像を構成する各ピクセルの輝度から合計輝度を求め、該合計輝度に基づき開口部202a内における導電性材料Pの充填状態を判定する制御部50と、を備えている。
(基板)
基板Sは、例えば、支持体201と、支持体201上に設けられた絶縁層202と、絶縁層202に設けられた開口部202aを有している。なお、基板Sの構成は図示のものに限定されず、例えば複数の絶縁層や金属層が積層された構造であってもよい。基板Sとしては、半導体装置の製造に用いる半導体ウエハや、プリント基板の製造に用いる樹脂基板、液晶表示装置の製造に用いるガラス基板などの基板が例示される。基板Sの絶縁層202には、1つないし複数の開口部202aが形成されている。開口部202aは、例えば多層配線構造において、下層の配線と上層の配線を電気的につなぐビア配線領域として設けられている。充填装置100は、ビア配線を形成するために、開口部202aへ導電性材料Pを充填する目的で使用される。
基板Sは、例えば、支持体201と、支持体201上に設けられた絶縁層202と、絶縁層202に設けられた開口部202aを有している。なお、基板Sの構成は図示のものに限定されず、例えば複数の絶縁層や金属層が積層された構造であってもよい。基板Sとしては、半導体装置の製造に用いる半導体ウエハや、プリント基板の製造に用いる樹脂基板、液晶表示装置の製造に用いるガラス基板などの基板が例示される。基板Sの絶縁層202には、1つないし複数の開口部202aが形成されている。開口部202aは、例えば多層配線構造において、下層の配線と上層の配線を電気的につなぐビア配線領域として設けられている。充填装置100は、ビア配線を形成するために、開口部202aへ導電性材料Pを充填する目的で使用される。
(吐出部)
吐出部10は、複数のノズル11と、これらのノズル11を装着した供給アーム部材12と、供給アーム部材12に接続された導電性材料供給部13とを備えている。各ノズル11には、吐出と吐出停止とを切り替えるバルブ(図示省略)が設けられている。供給アーム部材12は、導電性材料供給部13から供給される導電性材料Pをノズル11に送る内部配管(図示せず)を有している。ノズル11は、X線吸収係数が低い透過性の材料として、例えばポリプロピレン、ポリフルオロエチレンなどの合成樹脂、ガラス、石英などのセラミックスにより形成されている。
吐出部10は、複数のノズル11と、これらのノズル11を装着した供給アーム部材12と、供給アーム部材12に接続された導電性材料供給部13とを備えている。各ノズル11には、吐出と吐出停止とを切り替えるバルブ(図示省略)が設けられている。供給アーム部材12は、導電性材料供給部13から供給される導電性材料Pをノズル11に送る内部配管(図示せず)を有している。ノズル11は、X線吸収係数が低い透過性の材料として、例えばポリプロピレン、ポリフルオロエチレンなどの合成樹脂、ガラス、石英などのセラミックスにより形成されている。
導電性材料供給部13は、導電性材料タンク13aと、この導電性材料タンク13aと供給アーム部材12とを接続する配管13bと、配管13bに設けられた開閉バルブ13cとを備えている。なお、導電性材料供給部13は、流動性の導電性材料Pを複数のノズル11へ向けて効率的に移送するための加圧ポンプなどの圧送手段や供給量調節手段などを備えていてもよい。
導電性材料Pとしては、例えば、金、銀、ニッケルなどの金属微粒子を含有する導電性ペーストや、金属微粒子を溶媒中に分散させた導電性スラリーなどを挙げることができる。
(X線照射部)
X線照射部20は、導電性材料Pの充填の途中で、開口部202aに向けてX線を照射する。X線は連続的に照射してもよいし、例えばパルス状など非連続的に照射してもよい。
X線照射部20は、導電性材料Pの充填の途中で、開口部202aに向けてX線を照射する。X線は連続的に照射してもよいし、例えばパルス状など非連続的に照射してもよい。
(X線検出部)
X線検出部30は、図示しないX線検出器及び撮像デバイスを備えている。X線検出器には、例えば、X線センサやX線イメージインテンシファイア等を用いることができる。撮像デバイスとしては、例えばCCDイメージセンサなどを用いることができる。X線検出部30は、X線照射部20との間に開口部202aが介在するように対向して配置されており、X線照射部20により照射されたX線は、開口部202aを通過し、X線検出部30によって検出される。X線検出部30では、開口部202aを透過したX線が可視光線に変換され、撮像デバイスで撮像されて画像信号を生成する。なお、X線検出部30の構成は、前記画像信号を形成できればよく、上記構成に限るものではない。
X線検出部30は、図示しないX線検出器及び撮像デバイスを備えている。X線検出器には、例えば、X線センサやX線イメージインテンシファイア等を用いることができる。撮像デバイスとしては、例えばCCDイメージセンサなどを用いることができる。X線検出部30は、X線照射部20との間に開口部202aが介在するように対向して配置されており、X線照射部20により照射されたX線は、開口部202aを通過し、X線検出部30によって検出される。X線検出部30では、開口部202aを透過したX線が可視光線に変換され、撮像デバイスで撮像されて画像信号を生成する。なお、X線検出部30の構成は、前記画像信号を形成できればよく、上記構成に限るものではない。
(画像処理部)
画像処理部40は、X線検出部30で検出された画像信号に基づき、開口部202a内の2次元の透過X線像を形成する。画像処理部40は、例えばA/D変換器41、補正演算部42、画像メモリ43、D/A変換器44及びバッファメモリ45を備えている。画像処理部40では、X線検出部30から出力された画像信号(アナログ値)をA/D変換器41でデジタル値に変換し、これを補正演算部42で各種の補正演算処理を行って透過X線像の画像データを生成する。この画像データは、例えばX×Y画素の白黒諧調化されたデータであり、画像メモリ43に記憶される。なお、画像メモリ43に記憶された画像データは、D/A変換器44でアナログ値に変換し、バッファメモリ45を介して透過X線像として制御部50に送信し、ユーザーインターフェース52のディスプレイ(図示せず)に表示することもできる。なお、画像処理部40は、透過X線像の画像データを生成することができればよく、図1に例示する構成に限るものではない。
画像処理部40は、X線検出部30で検出された画像信号に基づき、開口部202a内の2次元の透過X線像を形成する。画像処理部40は、例えばA/D変換器41、補正演算部42、画像メモリ43、D/A変換器44及びバッファメモリ45を備えている。画像処理部40では、X線検出部30から出力された画像信号(アナログ値)をA/D変換器41でデジタル値に変換し、これを補正演算部42で各種の補正演算処理を行って透過X線像の画像データを生成する。この画像データは、例えばX×Y画素の白黒諧調化されたデータであり、画像メモリ43に記憶される。なお、画像メモリ43に記憶された画像データは、D/A変換器44でアナログ値に変換し、バッファメモリ45を介して透過X線像として制御部50に送信し、ユーザーインターフェース52のディスプレイ(図示せず)に表示することもできる。なお、画像処理部40は、透過X線像の画像データを生成することができればよく、図1に例示する構成に限るものではない。
(制御部)
充填装置100を構成する各構成部は、制御部50に接続されて制御される構成となっている。コンピュータ機能を有する制御部50は、図1に例示したように、CPUを備えたコントローラ51と、このコントローラ51に接続されたユーザーインターフェース52と、記憶部53を備えている。ユーザーインターフェース52は、図示は省略するが、例えばキーボード等の入力手段や、ディスプレイなどの表示手段を有している。記憶部53には、充填装置100で実行される各種処理をコントローラ51の制御にて実現するための制御プログラム(ソフトウェア)や処理条件データ等が記録されたレシピが保存されている。そして、必要に応じて、ユーザーインターフェース52からの指示等にて任意の制御プログラムやレシピを記憶部53から呼び出してコントローラ51に実行させることで、制御部50の制御下で、充填装置100において所望の処理が行われる。
充填装置100を構成する各構成部は、制御部50に接続されて制御される構成となっている。コンピュータ機能を有する制御部50は、図1に例示したように、CPUを備えたコントローラ51と、このコントローラ51に接続されたユーザーインターフェース52と、記憶部53を備えている。ユーザーインターフェース52は、図示は省略するが、例えばキーボード等の入力手段や、ディスプレイなどの表示手段を有している。記憶部53には、充填装置100で実行される各種処理をコントローラ51の制御にて実現するための制御プログラム(ソフトウェア)や処理条件データ等が記録されたレシピが保存されている。そして、必要に応じて、ユーザーインターフェース52からの指示等にて任意の制御プログラムやレシピを記憶部53から呼び出してコントローラ51に実行させることで、制御部50の制御下で、充填装置100において所望の処理が行われる。
例えば、制御部50は、画像処理部40で形成された透過X線像の画像データをもとに演算処理を行い、導電性材料Pの充填量を数値化する。この演算処理は、コントローラ51が画像メモリ43に記憶された透過X線像の画像データから、検出対象範囲内のピクセルの輝度を合計して数値化する方法により行われる。さらに、制御部50は、上記演算結果の数値に基づき、開口部202a内における導電性材料Pの充填状態を判定する。判定手段としてのコントローラ51は、例えば作業者がユーザーインターフェース52から入力した充填量の基準範囲と演算結果の数値とを比較し、開口部202a内の充填状態について合格、不合格の判定を行う。
なお、前記制御プログラムや処理条件データ等のレシピは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体54に格納された状態のものを記憶部53にインストールすることによっても利用できる。コンピュータ読み取り可能な記録媒体54としては、特に制限はないが、例えばCD−ROM、ハードディスク、フレキシブルディスク、フラッシュメモリ、DVDなどを使用できる。また、前記レシピは、他の装置から、例えば専用回線を介して随時伝送させてオンラインで利用したりすることも可能である。
[導電性材料の充填方法]
次に、図2〜図5を参照しながら、充填装置100において行われる導電性材料Pの充填方法について説明する。図2〜図5は、充填装置100における吐出部10、X線照射部20及びX線検出部30を示す要部拡大図である。図2〜図5において、(a)は基板Sの断面図、(b)は基板Sの上面図である。図2〜図5では、2つの開口部202aと2つのノズル11を描いているが、開口部202a及びノズル11の数は任意である。
次に、図2〜図5を参照しながら、充填装置100において行われる導電性材料Pの充填方法について説明する。図2〜図5は、充填装置100における吐出部10、X線照射部20及びX線検出部30を示す要部拡大図である。図2〜図5において、(a)は基板Sの断面図、(b)は基板Sの上面図である。図2〜図5では、2つの開口部202aと2つのノズル11を描いているが、開口部202a及びノズル11の数は任意である。
本実施の形態の導電性材料の充填方法は、基板Sに形成された開口部202aに対向して配置された吐出部10より、開口部202aに向けて導電性材料Pを吐出する充填工程と、開口部202aが吐出部10と対向している被吐出位置において、開口部202aに向けてX線を照射するX線照射工程と、基板Sを透過した透過X線を検出する透過X線検出工程と、検出された透過X線に基づき、開口部202a内の白黒諧調化された2次元の透過X線像を形成する画像処理工程と、透過X線像を構成する各ピクセルの輝度から合計輝度を求め、該合計輝度に基づき、開口部202a内における導電性材料の充填状態を判定する判定工程と、を含むことができる。
図2は、導電性材料Pの吐出開始前の状態を示している。複数のノズル11は、絶縁層202に形成された複数の開口部202aに位置合わせされている。基板Sは、各開口部202aが吐出部10の各ノズル11と対向している被吐出位置に配置されている。また、X線照射部20とX線検出部30は、基板Sを間に介在させた状態で対向して配置されている。つまり、X線照射部20から、被吐出位置の基板Sに向けてX線を照射した場合に、基板Sを透過したX線をX線検出部30で検出できるように位置合わせされている。図3は、導電性材料Pの吐出を開始した直後の状態を模式的に示している。複数のノズル11からは、導電性材料Pの吐出が開始されているが、開口部202a内には導電性材料Pは未だ充填されていない。図4は、図3の状態から吐出を継続し、開口部202aの高さの1/2程度まで導電性材料Pが充填された充填途中の状態を示している。図5は、導電性材料Pの充填が完了し、開口部202aが導電性材料Pで満たされた状態を示している。なお、ノズル11からの導電性材料Pの吐出は、連続的であってもよいし、非連続的であってもよい。
充填装置100では、図3の状態から図5の状態に至るまでの間に、被吐出位置に配置された基板Sに対し、連続的又は非連続的にX線照射部20からX線300を照射し、X線検出部30で検出を行うことによって、開口部202a内における導電性材料Pの充填状態を把握することができる。その原理について、図6を参照して説明する。図6の上段は開口部202aの断面図、中段は開口部202aの透過X線像、下段は透過X線像を元に演算処理して得られた輝度(I)のヒストグラムを示している。図6中の(A)は充填前の状態(図2と同様の状態)、同(B)は開口部202aの高さの1/2程度まで導電性材料Pが充填された状態(図4と同様の状態)、同(C)は導電性材料Pの充填が完了し、開口部202aが導電性材料Pで満たされた状態(図5と同様の状態)、同(D)は開口部202aの容積を超えて導電性材料Pの充填が行われた過充填の状態を示している。
画像処理部40で形成された開口部202aを含む領域のX線透過像は、図6の中段に示したように、例えばX軸(X0〜X9)、Y軸(Y0〜Y9)の100ピクセルに区分けして白黒諧調化された画像データとして画像メモリ43に記憶されている。この画像データを基に、制御部50のコントローラ51は、各ピクセルの輝度(I)から、数値化された合計輝度(It)を求める。例えば、図6の(A)の導電性材料Pの充填前の状態では、X線透過像の輝度(I)が下段のヒストグラムに示されるように分布している。そして、X線透過像の合計輝度(It)は、例えば下式のように計算される。
It=200×50ピクセル+210×25ピクセル+220×25ピクセル=20750
同様にして、図6(B)の導電性材料Pが充填途中の状態では、X線透過像の合計輝度(It)は、例えば下式のように計算される。
It=110×25ピクセル+120×50ピクセル+220×25ピクセル=14250
また、図6(C)の導電性材料Pの充填完了状態では、X線透過像の合計輝度(It)は、例えば下式のように計算される。
It=30×25ピクセル+40×50ピクセル+220×25ピクセル=8250
また、図6(D)の導電性材料Pが過充填の状態では、X線透過像の合計輝度(It)は、例えば下式のように計算される。
It=10×50ピクセル+20×25ピクセル+50×25ピクセル=2250
It=200×50ピクセル+210×25ピクセル+220×25ピクセル=20750
同様にして、図6(B)の導電性材料Pが充填途中の状態では、X線透過像の合計輝度(It)は、例えば下式のように計算される。
It=110×25ピクセル+120×50ピクセル+220×25ピクセル=14250
また、図6(C)の導電性材料Pの充填完了状態では、X線透過像の合計輝度(It)は、例えば下式のように計算される。
It=30×25ピクセル+40×50ピクセル+220×25ピクセル=8250
また、図6(D)の導電性材料Pが過充填の状態では、X線透過像の合計輝度(It)は、例えば下式のように計算される。
It=10×50ピクセル+20×25ピクセル+50×25ピクセル=2250
このように、透過X線像を白黒諧調化し、対象範囲内のピクセルの合計輝度(It)を求める方法を採用することによって、比較的簡単な演算処理で開口部202aでの導電性材料Pの充填状態を瞬時に数値化して把握することができる。また、導電性材料Pがスラリー状であっても、液量ではなく、金属成分の充填量を正確に把握できる。そして、本実施の形態では、得られたX線透過像の合計輝度(It)を予め設定されている基準範囲と比較することによって、導電性材料Pの充填状態の判定を行うことができる。ここで、基準範囲は、例えば図6(C)に示した導電性材料Pの充填完了状態の合計輝度(It)を基準に、一定の幅をもって設定することができる。より具体的には、実験的に確認された正常な充填完了状態の合計輝度(It)が例えば8250であるとすると、例えば8000±500の範囲内を基準範囲として設定し、この範囲内であれば「正常な充填状態」と判定することができる。この場合、算出された合計輝度(It)が8500を超える値のときは、開口部202a内の導電性材料Pが充填不足の可能性があり、7500未満の値のときは、導電性材料Pが過充填の可能性がある。このように、本実施の形態では、数値化された合計輝度(It)を利用することによって、極めて迅速な判定が可能であり、ノズル11から導電性材料Pを吐出している間に、ほぼ同時に充填状態の判定を行うことができる。また、X線検出部30で複数の開口部202a毎に画像信号を生成し、それらを画像処理部40で個別に処理することによって、コントローラ51は、複数の開口部202a毎に充填状態を判定することができる。
上記のとおり、ノズル11からの導電性材料Pの吐出は、連続的でも非連続的でもよく、充填装置100におけるX線照射部20からのX線300の照射も連続的又は非連続的に行うことができる。図7A〜7Cは、充填装置100において行われる導電性材料の吐出方法を例示している。図7Aは、ノズル11から、導電性材料Pを連続して吐出することにより、原則として1回の吐出動作で開口部202a内に導電性材料Pの充填を行う連続充填方式を示している。図7Bは、ノズル11から、複数回にわたり非連続的に一定量の導電性材料Pを吐出することにより、開口部202a内に導電性材料Pの充填を行う非連続充填方式を示している。図7Cは、1回の吐出における吐出時間及び吐出量を変化させて複数回吐出することにより、開口部202a内に導電性材料Pの充填を行うランダム充填方式を示している。図7A〜7Cにおいて、吐出状態を示す矩形の山の高さは、導電性材料Pの吐出量の大きさを示しており、矩形の山の中に記載された数字は、吐出回数を示している。
(連続充填方式)
図7Aに示した連続充填方式では、予め記憶部53に保存されたレシピに従って、第1回目の吐出時間及び吐出量が設定されている。図7Aでは、ノズル11から導電性材料Pを連続的に吐出している間、連続的にX線照射を行い、上記のような判定結果を得ることができる。すなわち、本実施の形態では、透過X線像を輝度(I)によって数値化しているため、演算処理が簡易で負荷が少なく、基準範囲との比較も容易であるため、導電性材料Pの充填途中でも吐出動作にほぼ同期させて判定結果を入手できるため、リアルタイムで導電性材料Pの充填状態のモニタリングが可能になる。
図7Aに示した連続充填方式では、予め記憶部53に保存されたレシピに従って、第1回目の吐出時間及び吐出量が設定されている。図7Aでは、ノズル11から導電性材料Pを連続的に吐出している間、連続的にX線照射を行い、上記のような判定結果を得ることができる。すなわち、本実施の形態では、透過X線像を輝度(I)によって数値化しているため、演算処理が簡易で負荷が少なく、基準範囲との比較も容易であるため、導電性材料Pの充填途中でも吐出動作にほぼ同期させて判定結果を入手できるため、リアルタイムで導電性材料Pの充填状態のモニタリングが可能になる。
図8は、図7Aに示した充填方法において、コントローラ51において行われる導電性材料Pの充填状態の判定方法の手順の一例を示すフローチャートである。まず、ステップS1で、充填状態判定手段として機能するコントローラ51は、画像メモリ43からX線照射によって得られた透過X線像の画像データを取得する。次に、ステップS2でコントローラ51は、画像データに含まれる各ピクセルの輝度(I)から、合計輝度(It)を求める。次に、ステップS3では、ステップS2で得られた合計輝度(It)を基準範囲と比較する。ステップS3で、合計輝度(It)が基準範囲内である(Yes)ときは、ステップS4において正常に導電性材料Pの充填が完了した、と判定される。この場合、図示は省略するが、コントローラ51は、吐出部10へ制御信号を送出し、導電性材料Pの吐出動作を終了するように指示する。具体的には、例えば各ノズル11に設けられたバルブ(図示省略)を閉じるように制御する。また、コントローラ51は、X線照射部20に対し、X線照射を停止するように制御信号を送出する。
一方、ステップS3で、合計輝度(It)が基準範囲内でない(No)ときは、ステップS5で導電性材料Pが充填不足である、と判定される。この場合、図8に例示する判定方法では、過充填の可能性は考慮しなくてもよいため、ステップS1に戻り、再度、ステップS1〜ステップS3までの手順を実行する。このステップS1〜ステップS3までの手順は、ノズル11からの吐出が継続している間、ステップS3で合計輝度(It)が基準範囲内である(Yes)と判定されるまで繰り返される。以上の充填状態の判定は、開口部202a毎に行うことができる。なお、ステップS3では、基準範囲として、所定のしきい値を用い、合計輝度(It)がしきい値以下である場合に充填完了と判定してもよい。
また、図7Aに示す例において非連続的にX線照射を行う場合、導電性材料Pの吐出が終了した例えば時間ta2のタイミングでX線照射を行い、最終的な充填状態の判定を行うことができる。この場合、算出された合計輝度(It)が基準範囲内である場合は、正常に導電性材料Pの充填が完了したと判定できる。また、合計輝度(It)が基準範囲を上回る値のときは、開口部202a内の導電性材料Pが充填不足と判定し、基準範囲を下回る値のときは、導電性材料Pが過充填されたと判定することができる。判定結果が充填不足となった場合、例えばコントローラ51は、導電性材料Pの充填量を適正範囲に引き上げるために、吐出部10へ指令信号を送出し、図7Aにおいて破線で示すように、追加して第2回目の吐出を行うように制御することができる。また、判定結果が過充填となった場合、例えばコントローラ51は、当該開口部202aが導電性材料Pの過充填であることをユーザーインターフェース52のディスプレイに表示したり、充填工程における管理情報として、記憶部53に保存しておくことができる。
また、図7Aに示す例において非連続的にX線照射を行う場合、時間ta2のタイミングに加え、それより前の時間ta1のタイミング(複数でもよい)でもX線照射を行うことによって、導電性材料Pの充填途中での充填状態をモニターすることができる。この場合は、正常な吐出動作における時間ta1での導電性材料Pの充填量の実験値を基に基準範囲を設定しておき(時間ta1における基準範囲)、該基準範囲を参照することによって予備的な判定を行うことができる。この予備的な判定は、基準範囲として、時間ta1における基準範囲を用い、ステップS4を「時間ta1における適正量を充填完了」と読み替える以外は、図8と同様の手順で導電性材料Pの充填状態の判定を行うことができる。このように、充填途中での予備的な判定を実施することによって、吐出部10における吐出異常などを早期に検出することができる。
(非連続充填方式)
図7Bに示した一定量の吐出を複数回間欠的に繰り返す非連続充填方式では、予め記憶部53に保存されたレシピに従って、第1〜第6回目までの吐出時間及び吐出量が均等になるように設定されている。この場合も、所定回数の吐出を繰り返している間、連続的にX線照射を行い、図8と同様の手順で導電性材料Pの充填状態の判定を行うことができる。
図7Bに示した一定量の吐出を複数回間欠的に繰り返す非連続充填方式では、予め記憶部53に保存されたレシピに従って、第1〜第6回目までの吐出時間及び吐出量が均等になるように設定されている。この場合も、所定回数の吐出を繰り返している間、連続的にX線照射を行い、図8と同様の手順で導電性材料Pの充填状態の判定を行うことができる。
また、図7Bに示す例において非連続的にX線照射を行う場合、所定回数(図7Bの例では第6回目)の吐出が終了した例えば時間tb2のタイミングでX線照射を行い、最終的に導電性材料Pの充填状態の判定を行うこともできる。この判定は、図7Aの場合と同様に、合計輝度(It)が基準範囲内である場合は正常に導電性材料Pの充填が完了したと判定し、基準範囲を上回る値のときは充填不足と判定し、基準範囲を下回る値のときは過充填と判定することができる。判定結果が充填不足となった場合、例えばコントローラ51は、導電性材料Pの充填量を適正範囲に引き上げるために吐出部10へ指令信号を送出し、図7Bに破線で示すように、追加して第7回目以降の吐出を行うように制御することができる。判定結果が過充填となった場合、例えばコントローラ51は、当該開口部202aで導電性材料Pが過充填であることをユーザーインターフェース52のディスプレイに表示したり、充填工程における管理情報として、記憶部53に保存しておくことができる。
さらに、図7Bに示す例において非連続的にX線照射を行う場合、時間tb2のタイミングに加え、それより前の時間tb1のタイミング(複数でもよい)でもX線照射を行うことによって、導電性材料Pの充填途中で、充填状態をモニターすることができる。この場合は、正常な吐出動作における時間tb1での導電性材料Pの充填量(第3回目の吐出動作終了時点の導電性材料Pの充填量)の実験値を基に、判定に用いる基準範囲として、時間tb1における基準範囲を用いることができる。このように、充填途中での予備的な判定を実施することによって、吐出部10における吐出異常などを早期に検出することができる。
(ランダム充填方式)
図7Cは、1回の吐出における吐出時間及び吐出量を変化させて複数回にわたり導電性材料Pを吐出することにより、開口部202a内に導電性材料Pの充填を行う方法を示している。図7Cに示した例では、第1回目の吐出時間及び吐出量と、第2回目及び第3回目の吐出時間と、第4回目及び第5回目の吐出量を、予め記憶部53に保存されたレシピに従って変化させている。この場合も、所定回数の吐出を繰り返している間、連続的にX線照射を行い、図8と同様の手順で導電性材料Pの充填状態の判定を行うことができる。
図7Cは、1回の吐出における吐出時間及び吐出量を変化させて複数回にわたり導電性材料Pを吐出することにより、開口部202a内に導電性材料Pの充填を行う方法を示している。図7Cに示した例では、第1回目の吐出時間及び吐出量と、第2回目及び第3回目の吐出時間と、第4回目及び第5回目の吐出量を、予め記憶部53に保存されたレシピに従って変化させている。この場合も、所定回数の吐出を繰り返している間、連続的にX線照射を行い、図8と同様の手順で導電性材料Pの充填状態の判定を行うことができる。
また、図7Cに示す例において非連続的にX線照射を行う場合、所定回数の吐出が終了した例えば時間tc3のタイミングでX線照射を行い、導電性材料Pの充填状態の最終的な判定を行うことができる。この判定は、図7Aの場合と同様に、合計輝度(It)が基準範囲内である場合は正常に導電性材料Pの充填が完了したと判定し、基準範囲を上回る値のときは充填不足と判定し、基準範囲を下回る値のときは過充填と判定することができる。判定結果が充填不足となった場合、例えばコントローラ51は、導電性材料Pの充填量を適正範囲に引き上げるために、吐出部10へ指令信号を送出し、図7Cに破線で示すように、追加して第6回目以降の吐出を行うように制御することができる。判定結果が過充填となった場合、例えばコントローラ51は、当該開口部202aで導電性材料Pが過充填であることをユーザーインターフェース52のディスプレイに表示したり、充填工程における管理情報として、記憶部53に保存しておくことができる。
さらに、図7Cに示す例において非連続的にX線照射を行う場合、時間tc3のタイミングに加え、それより前の時間tc1及び時間tc2のタイミング(3回以上でもよい)でもX線照射を行うことによって、導電性材料Pの充填途中での充填状態をモニターすることができる。この場合は、正常な吐出動作における時間tc1及び時間tc2における導電性材料Pの充填量(第1回目及び第3回目の吐出動作終了時点の導電性材料Pの充填量)の実験値を基に、判定に用いる時間tc1における基準範囲及び時間tc2における基準範囲を設定しておくことができる。このように、充填途中で予備的な判定を実施することによって、吐出部10における吐出異常などを早期に検出することができる。
また、充填装置100では、記憶部53に保存されたレシピに従って行われる固定的な吐出動作の代わりに、X線照射による判定結果に応じて、吐出動作を制御することも可能である。例えば図7A及び図7Bを参照して説明すると、充填途中の時間ta1又は時間tb1のタイミングでX線照射を行い、その時点の導電性材料Pの充填量を上記と同様の手順で把握する。次に、コントローラ51は、時間ta1又は時間tb1から、設定された基準範囲に達するまでの残りの吐出時間や吐出回数を推算する。この推算結果を元に、コントローラ51は、予め設定された吐出の終点(全吐出時間又は全吐出回数)を補正する。例えば、図7Aの場合は、コントローラ51が第1回目の吐出の時間を延長又は短縮するように吐出部10へ制御信号を送出することができる。また、図7Bの場合は、コントローラ51が吐出回数を増加又は減少するように吐出部10へ制御信号を送出することができる。このような制御は、例えば環境温度、環境湿度の変化や、ノズル11を含む充填装置100の不具合などによって、1回の吐出における吐出量に変動が生じた場合に、その変動による導電性材料Pの充填量の誤差を充填途中で修正して最終的に適正量を充填できるので、精密な充填を行う上で有利である。なお、このような制御は、X線照射を連続的に行い、任意のタイミングでの判定結果に基づいて実施することも可能である。
また、充填装置100では、記憶部53に保存されたレシピに従って行われる固定的な吐出動作の代わりに、X線照射による判定結果に応じて、その後の吐出時間、吐出量及び吐出回数を変化させるように制御を行うこともできる。図7Cを用いて説明すると、例えば、時間tc1におけるX線照射での導電性材料Pの充填量の判定結果に基づき、第2回目以降の吐出量及び吐出時間を決定することができる。また、時間tc2における判定結果に基づき、さらに第4回目以降の吐出量及び吐出時間を決定することができる。図7Cに例示する吐出パターンに沿って具体的に説明すると、第1回目の吐出で吐出量及び吐出時間を多めに設定しておき、時間tc1における判定結果に応じて、第2回目及び第3回目の吐出は、第1回目の吐出に比べ吐出時間のみが短くなるように変化させて吐出動作を行い、さらに、時間tc2における判定結果に基づき、第4回目及び第5回目の吐出では、1回あたりの吐出量が第2回目及び第3回目の吐出に比べ少なくなるように変化させて吐出動作を行うことができる。このようにすれば、例えば、第1回目の吐出動作で設定充填量の60%を目安に導電性材料Pの充填を行い、第2回目、第3回目の吐出動作で設定充填量の90%までの充填を行い、第4回目以降の吐出動作で設定充填量に達するまで少量の吐出を繰り返す、というような充填方法が可能である。つまり、導電性材料Pの充填初期は連続充填モードで高速充填を行い、X線照射によるリアルタイムのモニタリング結果に応じて、充填中期は非連続充填モード、充填後期は微調整充填モードに変化させて充填を行うことができるため、スループットを高めながら、設定充填量に近い精密充填を行うことができる。また、X線照射によるリアルタイムのモニタリング結果に応じて吐出動作を変化させていくことによって、例えば環境温度、環境湿度の変化や、ノズル11を含む充填装置100の不具合などが発生している場合でも、適正量の導電性材料Pを充填することができる。なお、このような制御は、X線照射を連続的に行い、任意のタイミングでの判定結果に基づいて実施することも可能である。
以上のように、X線照射によるリアルタイムのモニタリングにより、ノズル11からの吐出動作自体を最適化するフィードバック制御が可能になり、より迅速かつ精密な導電性材料Pの充填が可能になる。
本実施の形態の充填装置100では、X線300を利用して開口部202aへの導電性材料Pの充填状態をリアルタイムで把握できるため、高スループットで適正量の導電性材料Pを充填することが可能になる。また、導電性材料Pがスラリー状であっても、液量ではなく、金属成分の量を正確にモニタリングできる。従って、本実施の形態の充填装置100及びそれを用いた充填方法によって、例えば半導体装置やプリント基板などの作製において、開口部202a内へ導電性材料Pを高い精度で充填することが可能になり、欠陥や不良の発生を抑制できるとともに、製品の信頼性を高めることができる。
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはなく、種々の変形が可能である。例えば、導電性材料Pを微細なドットとして吐出するインクジェット方式の充填方法にも適用できる。
10…吐出部、11…ノズル、12…供給アーム部材、13…導電性材料供給部、13a…導電性材料タンク、13b…配管、13c…開閉バルブ、20…X線照射部、30…X線検出部、40…画像処理部、41…A/D変換器、42…補正演算部、43…画像メモリ、44…D/A変換器、45…バッファメモリ、50…制御部、51…コントローラ、52…ユーザーインターフェース、53…記憶部、54…記録媒体、100…充填装置、201…支持体、202…絶縁層、202a…開口部、P…導電性材料、S…基板
Claims (12)
- 被処理体に形成された開口部に対向して配置され、該開口部に向けて導電性材料を吐出することにより該導電性材料を充填する吐出部と、
前記開口部が前記吐出部と対向している被吐出位置において、前記開口部に向けてX線を照射するX線照射部と、
前記X線照射部との間に前記開口部が介在するように設けられたX線検出部と、
前記X線検出部で検出された透過X線に基づき、前記開口部内の白黒諧調化された2次元の透過X線像を形成する画像処理部と、
前記透過X線像を構成する各ピクセルの輝度から合計輝度を求め、該合計輝度に基づき、前記開口部内における前記導電性材料の充填状態を判定する判定手段として機能する制御部と、
を備えた導電性材料の充填装置。 - 前記吐出部は、前記導電性材料を連続的に吐出するとともに、前記X線照射部は、前記吐出部による吐出が行われている間に、連続的もしくは非連続的にX線照射を行う請求項1に記載の充填装置。
- 前記吐出部は、前記導電性材料を非連続的に複数回に分けて吐出するとともに、前記X線照射部は、前記導電性材料の充填終了までの間に、連続的もしくは非連続的にX線照射を行う請求項1に記載の充填装置。
- 前記制御部は、前記合計輝度の数値を所定の基準範囲と比較することによって前記導電性材料の充填状態の判定を行う請求項1から3のいずれか1項に記載の充填装置。
- 前記制御部は、前記充填状態の判定結果に基づき、前記吐出部による吐出条件を変更するように制御する請求項1から4のいずれか1項に記載の充填装置。
- 前記吐出部は、X線透過性の材料により形成された吐出ノズルを有している請求項1から5のいずれか1項に記載の充填装置。
- 前記吐出部は、複数の吐出ノズルから複数の開口部へそれぞれ導電性材料を吐出するとともに、前記制御部は、複数の開口部毎に充填状態を判定する請求項1から6のいずれか1項に記載の充填装置。
- 被処理体に形成された開口部に対向して配置された吐出部より、前記開口部に向けて導電性材料を吐出する充填工程と、
前記開口部が前記吐出部と対向している被吐出位置において、前記開口部に向けてX線を照射するX線照射工程と、
被処理体を透過した透過X線を検出する透過X線検出工程と、
前記検出された透過X線に基づき、前記開口部内の白黒諧調化された2次元の透過X線像を形成する画像処理工程と、
前記透過X線像を構成する各ピクセルの輝度から合計輝度を求め、該合計輝度に基づき、前記開口部内における前記導電性材料の充填状態を判定する判定工程と、
を備えた導電性材料の充填方法。 - 前記吐出部は、前記導電性材料を連続的に吐出するとともに、前記吐出部による吐出が行われている間に、連続的もしくは非連続的にX線照射を行う請求項8に記載の充填方法。
- 前記吐出部は、前記導電性材料を非連続的に複数回に分けて吐出するとともに、前記導電性材料の充填終了までの間に、連続的もしくは非連続的にX線照射を行う請求項8に記載の充填方法。
- 前記判定工程は、前記合計輝度の数値を所定の基準範囲と比較することによって前記導電性材料の充填状態の判定を行う請求項8から10のいずれか1項に記載の充填方法。
- 前記充填状態の判定結果に基づき、前記吐出部による吐出条件を変更するように制御する工程をさらに含む請求項8から11のいずれか1項に記載の充填方法。
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