JP2014055273A - シュウ酸カルシウムを含む氷核活性剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】シュウ酸カルシウムを有効成分として含む氷核活性剤及びその利用方法を提供する。
【解決手段】シュウ酸カルシウムを有効成分として含む、氷核活性剤。前記シュウ酸カルシウムがシュウ酸カルシウム水和物である。前記シュウ酸カルシウムがレンギョウ属植物またはウチワノキ属植物からの抽出物の形態で配合されたものである。前記シュウ酸カルシウムがレンギョウ属植物またはウチワノキ属植物の成熟した枝髄の形態で配合される。
【選択図】なし

Description

本発明は、シュウ酸カルシウムを有効成分として含む氷核活性剤、及びその利用方法に関する。
水は0℃以下で凍結すると信じられているが、実はそうではなく、純水や雲粒のような微水滴は−30℃〜−40℃まで凍らずに、過冷却することが多い。これは水の凍結現象が、微小氷結晶の形成(1段階目)とその微小結晶の生長(2段階目)の2段階の反応よりなっており、前者の最適温度が−40〜−70℃にあり、後者が0〜−20℃付近にあるため、1段階目の反応が律速となっているためである。この1段階目の微小氷結晶形成を触媒する物質を氷核活性物質(氷晶核形成物質)と呼び、その作用を氷核活性(氷晶核形成能)と呼ぶ。純水や雲の微水滴は、この氷核活性物質が少なく、1段階目の反応が起りにくいため、低温度まで過冷却しやすくなる。野外の池の水が0℃付近で凍結するのは、その水容積の中の何らかの物質が有効な氷晶核として働いたと考えてよい。水分子そのもののクラスター(集合体)自体が、核形成として働くのは−40℃付近以下であり、異物(何らかの氷核活性物質)がない状態で核形成が起こるもので、均質氷晶核生成(homogeneous ice nucleation)とよばれる。一方、異物(何らかの氷核活性物質)による氷晶核形成をheterogeneous ice nucleationとよび、氷晶核形成が異物により触媒され、均質氷晶核形成より高いマイナスの温度で水が凍結する。凍結温度が高いほど、物質の氷核活性(氷晶核形成能)が高い。
これまでの研究から、氷核活性の最も高い物質(氷核活性:−2〜−4℃)として、ヨウ化銀(非特許文献1)、フェナジン(非特許文献2)、メタアルデヒド(非特許文献3)などが知られている。 有機物質の氷核活性についても調べられ、一部のアミノ酸(ロイシン)やステロイド(コレステロール)や芳香族化合物などにも比較的高い氷核活性があることが判っている(非特許文献4〜8)。一方、無機物質や鉱物についても氷核活性の調査が行われ(非特許文献9〜11)、CuS(-5℃)、NiO(-7℃)、Vaterite(-7℃)、β-Tridymite(-7℃)、Magnetite(-8℃)、CdCl2(-9℃)、Kaolinite(約−9〜-15℃)などが比較的高い氷核活性を持つことが知られる。氷核活性の測定法も多種あり、測定法により活性がここに示された値よりかなり低いものも多いが、最初にあげた3つの物質は最も氷核活性が高い代表物質としてよく知られている(氷核活性物質に関する本参照:非特許文献12)。
生物由来の高い氷核活性を持つものとしては(氷核活性:−2〜−4℃)、植物の葉表面に存在する着生微生物である氷核活性細菌が有名で、Pseudomonas syringaeやErwinia herbicola等が知られている。これらについては、雲物理学者や病理学者による1970年代からの膨大な研究があり(非特許文献13〜15)、氷核活性物質の本体(蛋白質)の遺伝子も、Mutantの解析から単離された(非特許文献16)。氷核活性細菌の氷核活性物質は、分子量が1万弱のタンパク質から構成されるが、可溶化すると活性がなくなるため、本当の構造の解明には10年以上要した(非特許文献15)。実際に高い活性を有するのは、細菌の細胞表層にある分子量が2000万以上になる巨大な構造物であると考えられている。この氷核活性の特徴として、熱に弱いことがあげられ、30℃でも容易に失活することが知られている(非特許文献15)。
バクテリアの氷核活性は、菌体そのものを使って、様々な産業への応用が可能であるとされ、多数の特許が取得されているが(特許文献1〜11)、欠点がいくつかある。そのひとつは30℃程度の温度でも活性が低下し不安定であることと、菌体そのものが元来、植物の病原菌である点などである。ガンマ線滅菌した氷核活性細菌は、降雪剤(Snomax)として国外のスキー場で利用されている場合もある(保存は冷凍)が、日本では使用されていない。その後、熱安定性を改良した氷核活性細菌株や氷核タンパク質も報告されたが、所詮本体がタンパク質であるため、熱安定性や耐久性は著しくは高くない。
カビや地衣類の一部に氷核活性の存在が知られるが(非特許文献17、18)、70〜80℃で氷核活性は完全に失活し、熱に強いわけではない。また、氷核活性の原因物質は単離されていない。植物にも内生氷核活性がある可能性を示唆した報告はあるが(非特許文献19〜21)、いずれもどのような性質があるかを記載した初歩的な特徴づけに止まっており、その本体の物質を同定するには、程遠かった。植物の氷核活性の可溶化や単離が困難なため、現在でも植物の凍結に関わる氷核活性は、微生物由来であると信じている当業者が多いのが実情である。
特許公開2001−252700 特許公開2000−106868 特許公開平08−327202 特許公開2002−286387 特許公開平06−113825 特許公表平11−514889 特許公開平05−153953 特許公表2009−515200 特許公開平06−113712 特許公開平05−115223 特許公開平05−091850
Vonnegut B., J. Appl. Phys. (1947) 18: 593-595 Head RB., Nature (1962) 196: 736-738 Fukuta N., Nature (1963) 199: 475-476 Braham RR Jr., J Atmos Sci (1963) 20: 563-568 Head RB., Nature (1961) 191: 1058-1059 Power BA. and Power RF., Nature (1962) 194: 1170 Komabayashi M. and Ikebe Y., J Met Soc Japan (1961) 39: 82-94 Fukuta N., J. Atmos. Sci. (1966) 23:191-196 Sano I., Fujitani Y. and Maena Y., J. Met. Soc. Japan (1956) 34: 54-60 Isono K. and Ikebe Y., J. Meteor. Soc. Japan (1960) 38:213-230 Mason BJ. and Maybank J., Q. J. Roy. Met Soc. (1958) 84: 235-241 Pruppacher HR. and Klett JD., Kluwer Academic Publishers (1997) 954pp. Maki LR. et al., Appl Microbiol (1974) 28: 456-459 Schnell RC. and Vali G., Nature (1972) 236: 163-165 Lee RE. et al., Biological Ice Nucleation and its Applications. APS Press, St. Paul, Minnesota (1995) Corotto LV. et al., EMBO J. (1986) 5, 231-236 Pouleur S. et al., Appl Environ Microbiol (1992) 58: 2960-2964 Kieft TL. and Ruscetti T., J. Bact. (1990) 172, 3519-3523 Gross DC. et al., Plant Physiol (1988) 88: 915-922 Brush RA. et al., Plant Physiol (1994) 104: 725-735 Ishikawa M. et al., Swed Univ of Agricult Sci, Dept of Ecol & Environ Res Rep (1992) 53: 27
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、シュウ酸カルシウムを有効成分として含む氷核活性剤、及びその利用方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討し、植物には、少なくとも3種類の内生の氷核活性があり、そのうちの一つがシュウ酸カルシウム一水和物であることを明らかにした。
シュウ酸カルシウムは植物体の中に、結晶体として普遍的にある物質であるが(Franceschi VR. and Nakata PA., Annu. Rev. Plant Biol. (2005) 56: 41-71)、実際の機能は明らかとされていないのが実情であった。
本発明者らは、まずシナレンギョウの各組織の氷核活性を測定し、シナレンギョウの枝髄が高い氷核活性を保持することを明らかにした。また、シナレンギョウの枝髄の氷核活性はオートクレーブ処理などの熱処理に耐性で、70℃での乾燥処理や各種有機溶媒に対しても耐性であることが明らかとなった。
さらに、氷核活性の原因物質を特定するために、シナレンギョウの枝髄の部位のX線回折(XRD)や走査型電子顕微鏡(SEM)による形態観察ならびに枝髄より抽出した白色粉末の熱分析(TG/DTA)を行った。その結果、氷核活性の原因物質は、シュウ酸カルシウム一水和物の六角柱状の結晶であることが明らかとなった。
比較対象としてシュウ酸カルシウム(一水和物、二水和物、および三水和物)を合成し、その氷核活性やXRD測定、形態観察を行ったところ、シュウ酸カルシウム一水和物が高い氷核活性を保持し(同二水和物、三水和物の氷核活性は低い)、既知の氷核活性物質、例えばヨウ化銀、フェナジン等に匹敵する高活性を低濃度でも示すことが明らかとなった。
さらに、シュウ酸カルシウム一水和物の合成法を工夫して(pHと温度を変えた)、結晶面の発達度合いの異なる結晶を作成したところ、シュウ酸カルシウム一水和物の中でもBasal結晶面((-101)面または(-202)面)の(020)面に対する発達度が高い結晶が氷核活性に相関することが明らかとなった。
即ち、本発明者らは、シュウ酸カルシウム水和物が氷核活性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
より具体的には、下記〔1〕〜〔12〕の発明を提供するものである。
〔1〕シュウ酸カルシウムを有効成分として含む、氷核活性剤。
〔2〕前記シュウ酸カルシウムがシュウ酸カルシウム水和物である、〔1〕に記載の氷核活性剤。
〔3〕前記シュウ酸カルシウム水和物がシュウ酸カルシウム・1水和物である、〔2〕に記載の氷核活性剤。
〔4〕前記シュウ酸カルシウム・1水和物が、Basal結晶面が(020)面に対して発達した構造を有する結晶である、〔3〕に記載の氷核活性剤。
〔5〕前記シュウ酸カルシウムがレンギョウ属植物またはウチワノキ属植物からの抽出物の形態で配合されたものである、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の氷核活性剤。
〔6〕前記シュウ酸カルシウムがレンギョウ属植物またはウチワノキ属植物の成熟した枝髄の形態で配合されたものである、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の氷核活性剤。
〔7〕前記レンギョウ属植物またはウチワノキ属植物が、レンギョウ(Forsythia suspensa)、チョウセンレンギョウ(Forsythia koreana)、シナレンギョウ(Forsythia viridissima)、ヤマトレンギョウ(Forsythia japonica)、またはウチワノキ(Abeliophyllum distichum)のいずれかである、〔5〕又は〔6〕に記載の氷核活性剤。
〔8〕レンギョウ属植物またはウチワノキ属植物からシュウ酸カルシウム・1水和物を抽出する工程を含む、氷核活性剤の製造方法。
〔9〕以下の工程(a)〜(c)を含む、氷核活性剤の製造方法。
(a)レンギョウ属植物またはウチワノキ属植物から、成熟した枝髄薄片を採取し熱処理を行う工程、
(b)該枝髄薄片を含む水溶液に細胞壁分解酵素を添加し、酵素処理を行う工程、並びに
(c)酵素処理後の懸濁液を濾過、遠心分離し、及び遠心ペレット(沈殿物)を風乾し、Basal結晶面が(020)面に対して発達したシュウ酸カルシウム・1水和物の結晶を抽出する工程
〔10〕レンギョウ属植物またはウチワノキ属植物が、レンギョウ(Forsythia suspensa)、チョウセンレンギョウ(Forsythia koreana)、シナレンギョウ(Forsythia viridissima)、ヤマトレンギョウ(Forsythia japonica)、またはウチワノキ(Abeliophyllum distichum)である、〔8〕又は〔9〕に記載の氷核活性剤の製造方法。
〔11〕以下の工程(a)〜(c)を含む、氷核活性剤の製造方法。
(a)pHが4.0以上11.0以下である緩衝液とシュウ酸水溶液を混合し、85〜100℃に加熱する工程、
(b)該加熱された混合液と塩化カルシウム水溶液を混合する工程、並びに
(c)生成した沈殿物からBasal結晶面が(020)面に対して発達したシュウ酸カルシウム・1水和物の結晶を抽出する工程
〔12〕〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の氷核活性剤を水溶液に添加する工程を含む、水溶液の凍結方法。
本発明の氷核活性剤を対象物質又は対象系に混入することにより、或いは物体表面に付着固定させた氷核活性剤を対象物質又は対象系に挿入することにより、対象物質又は対象系における過冷却を解消することが可能である。そのため、本発明の氷核活性剤は、以下の用途等に利用することができる。
1.省エネ冷凍装置、蓄冷装置、保冷装置
2.人工降雪、人工降雨
3.生物資源の冷凍保存、凍結保存
4.様々な液体類、食品飲料の凍結濃縮
5.寒締め野菜
6.食品等の高い温度での冷凍
7.氷スラリーの製造
8.凍結を利用した特定物質の水溶液からの分離
9.廃棄物の処理装置
10.凍結インジケータ、凍結警報装置
11.凍結防止装置
既存の氷核活性細菌類の氷核活性は、熱に弱いなどの問題があった。一方本願の氷核活性剤は熱処理や乾燥、各種有機溶媒に対しても効果を維持することができ、利便性が高い。
シナレンギョウ当年枝(冬季)の外観(A)と枝内部の組織(B)とシナレンギョウ枝の各季節及び各組織の無処理及びオートクレーブ後の氷核活性(C)を示す写真及び図である。A,B:Stem枝、Flower bud花芽、Bark皮層部、Xylem木部、Pith髄。Barは5mmを表示。髄は白い薄片となって中心部の中空スペースに細かい間隔で梯子状に並んでいる(枯死した組織)。枝の先端にいくほど、薄片の間隔は狭くなり、先端では、密に白い組織が詰まっている。夏季の生育中もほぼ枝先端部以外は同様の様相である(先端部は成長、分化中で髄の部分もまだ生きている)。C:氷核活性は試験管法で測定し、50%凍結温度で表記した。 シナレンギョウ枝髄およびシュウ酸カルシウム一水和物の氷核活性に対する薬品処理の影響、ならびにシュウ酸カルシウム一水和物の水及び各水溶液への溶解度を示す図である。シナレンギョウ枝髄の薄片(10枚)、合成CaOX(3.8mg)を1mLの各処理液にOvernightで浸漬後、薄片或いは沈殿物(残渣)を5回洗浄後、水1mLに懸濁し、氷核活性を測定した。水、HC水溶液、酒石酸水溶液、リンゴ酸水溶液、酢酸水溶液、及びグリシン水溶液については、カルシウム滴定法によりシュウ酸カルシウム一水和物の溶解度測定を行った。 塩酸処理後のシナレンギョウ枝髄薄片の電顕写真である。a:水(control)、b:HCl(1M)一晩処理の結果を示す。 シナレンギョウ枝髄ならびにシュウ酸カルシウムのX線回折ダイアグラム(相対強度)を示す図である。それぞれ、(a) シナレンギョウ枝髄、(b) シナレンギョウ枝髄より酵素を用いて抽出した白色粉末、(c) 合成シュウ酸カルシウム一水和物、(d) シュウ酸カルシウム一水和物(ICDDカード20-0231:既知物質として登録されたデータ)、(e) 合成シュウ酸カルシウム二水和物、(f) シュウ酸カルシウム二水和物(ICDDカード17-0541:既知物質として登録されたデータ)、(g) 合成シュウ酸カルシウム三水和物、(h) シュウ酸カルシウム三水和物(ICDDカード20-0232:既知物質として登録されたデータ)を示す。 シナレンギョウ枝髄薄片から得られた白色粉末の電子顕微鏡写真である。 シュウ酸カルシウムの電子顕微鏡写真(SEM)である。それぞれ、(a)一水和物, (b)二水和物, (c)三水和物を示す。 様々な物質の氷核活性(1mL系の試験管氷核活性測定法での実測値)を示す図である。それぞれ、(a)ヨウ化銀、(b)フェナジン、(c)メタアルデヒド、(d)合成シュウ酸カルシウム一水和物、(e)シナレンギョウ枝髄より抽出したシュウ酸カルシウム一水和物を示す。 調製温度を違えて調製したシュウ酸カルシウム一水和物の氷核活性(濃度3.8mg/mLで試験管法により測定し、50%凍結温度で表す )を示す図である。 調製温度を違えて調製したシュウ酸カルシウム結晶のXRDパターンを示す図である。それぞれ、(a)25℃、(b)40℃、(c)55℃、(d)70℃、(e)85℃、(f)100℃を示す。 各調製温度における各ピーク間の強度比を示す図である。(a) (-101)面と(020)面における強度比、(b)(-202)面と(020)面における強度比を示す。 pHを違えて合成したシュウ酸カルシウム一水和物の氷核活性(濃度3.8mg/mLで試験管法により測定し、50%凍結温度で表す )を示す図である。 調製時のpHを違えて調製したシュウ酸カルシウム一水和物結晶のXRDパターンを示す図である。それぞれ、(a)pH 3、(b)pH 4、(c)pH 5、(d)pH 6、(e)pH 7を示す。 各調製pHにおける各ピーク間の強度比を示す図である。
本発明は、シュウ酸カルシウムを有効成分として含む、氷核活性剤に関する。
本発明において、「氷核活性」とは水が凍結する際に過冷却になるのを抑制する活性のことをいう。「氷核活性」は、水の凍結のきっかけとなるものであり、水の過冷却状態を氷点下のより高い温度で終了させる。
本発明に係る氷核活性剤は、該氷核活性剤を水又は水溶液に懸濁することによって使用できる。また、ガラス、金属等の材料の表面に前記氷核活性剤を固着し、該材料を水又は水溶液に投入して前記氷核活性剤を水又は水溶液と接触させることによって使用できる。この場合、前記氷核活性剤が固着した材料は反復して使用できる。
本発明において、「氷核活性」は例えば以下の方法により測定することができる。まず、被検物質を含む所定量のサンプルを滅菌MilliQ水に分散させ、数十本のチューブに適量を分注したものを、冷凍恒温槽に浸して段階的に温度を下げ、各チューブが何℃で凍るかを記録する。そして、50%が凍結する温度(中央値:Median of Freezing Temperature, MFT.)を求め、氷核活性の指標として決定する。本明細書において、この温度を「50%凍結温度」という。上記方法により測定した、滅菌MilliQ水のみの場合の氷核活性の指標となる凍結温度(MFT)をコントロールとして、各サンプルの凍結温度と比較することにより、各サンプルの氷核活性を測定することが出来る。本明細書において、この方法を「試験管法」という。
本発明においては、被検物質を含むサンプルのMFTがコントロールのそれと比較してわずかでも増加した場合、被検物質は氷核活性を有する物質と判断される。本発明においては、コントロールとサンプルのMFTの温度差が0.1℃以上(例えば1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0℃以上)、好ましくは8.0℃以上(例えば9.0、10.0℃以上)、特に好ましくは11.0℃以上(例えば12.0、13.0℃以上)、さらに好ましくは14.0℃以上の場合、被検物質が氷核活性を有すると判断される。
本発明においてシュウ酸カルシウムは、水分子を含むシュウ酸カルシウム水和物であってもよい。シュウ酸カルシウム水和物において水和水の数は特に限定されるものではなく、好ましくは、シュウ酸カルシウム・1水和物、シュウ酸カルシウム・2水和物、又は、シュウ酸カルシウム・3水和物などを例示することができるがこれらに限定されない。シュウ酸カルシウム水和物として、より好ましくは、シュウ酸カルシウム・1水和物を挙げることができる。
これらのシュウ酸カルシウム水和物は、当業者に公知の方法により製造することができる。例えば、実施例に記載した通り、石井の方法(石井裕子、植物細胞中の3種類のシュウ酸カルシウム水和物の動態 日本化学会誌1991(1), 63-70)を少し改変した方法により製造することが出来る。
より具体的には、以下の工程(a)〜(c)を含む、氷核活性剤(又はシュウ酸カルシウム・1水和物)の製造方法を例示することができる。
(a)pHが4.0以上11.0以下である緩衝液とシュウ酸水溶液を混合し85〜100℃に加熱する工程、
(b)該加熱された混合液と塩化カルシウム水溶液を混合する工程、並びに
(c)生成した沈殿物からBasal結晶面が(020)面に対して発達したシュウ酸カルシウム・1水和物を抽出する工程
前記工程(a)において使用される緩衝液は特に限定されるものではないが、好ましい例として酢酸ナトリウム緩衝液などを挙げることができるがこれらに限定されない。
緩衝液のpHは例えば3〜14、好ましくは4〜13、特に好ましくは4〜11、さらに好ましくは7とすることができるがこれらに限定されない。
また、前記工程(b)において、pH調整剤を適宜添加してもよい。pH調整剤としては、クエン酸ナトリウムなどを例示することができるがこれらに限定されない。前記工程(b)において、塩化カルシウム水溶液を添加する速度は特に限定されないが、好ましい例として、外径3mm程度のシリコンチューブを用いて約1滴/秒の速度で添加する方法を挙げることができる。
前記工程における合成温度の条件は特に限定されるものではないが、好ましくは、25〜100℃、より好ましくは、85〜100℃の条件を挙げることができるがこれらに限定されない。
シュウ酸カルシウムの結晶は沈殿として容易に回収することができる。
本発明において、シュウ酸カルシウム・1水和物の結晶構造は特に限定されるものではないが、好ましくは六角板状構造又は八面体構造を挙げることができ、より好ましくはBasal結晶面が(020)面に対して発達した構造を挙げることができる。ここで、「Basal結晶面が(020)面に対して発達した」とは、実施例2で述べた粉末X線回折分析において、(-101)面に対応する回折ピークと(020)面に対応する回折ピークの強度比([(-101)面の強度]/[(020)面の強度])が1〜2.5にあることをいう。(-101)面に対応する回折ピークと(020)面に対応する回折ピークの強度比([(-101)面の強度]/[(020)面の強度])が1〜2.5であるシュウ酸カルシウム・1水和物を有効成分として含む、氷核活性剤も本発明に含まれる。
このような工程を経て得られるシュウ酸カルシウム・1水和物は、氷核活性剤として使用することができる。本発明の氷核活性剤は、シュウ酸カルシウム・1水和物そのものを単独で有効成分として使用することができる。あるいは本発明の氷核活性剤は、シュウ酸カルシウム・1水和物を公知の成分と混合して製剤化したものを使用することもできる。すなわち本発明の氷核活性剤の製造方法は、工程(c)で得られるシュウ酸カルシウム・1水和物を単独であるいは他の成分と混合し製剤化する工程をさらに含むことができる。
本発明においては、氷核活性剤の剤形は問わない。例えば粉末や懸濁液として使用することができるがこれらに限定されない。シュウ酸カルシウムは、例えばオートクレーブ処理などにより、良く洗浄してから使用することが好ましい。シュウ酸カルシウムが氷核活性の阻害物質を含む場合は、オートクレーブ処理により当該阻害物質を取り除くことができる。本発明においては、上述の粉末や懸濁液の他に、シュウ酸カルシウムの局部的な濃度を上げるため、良く洗浄した枝髄片や単離抽出結晶などを何らかの基板材の上に固定して使用することも可能である。このような基板を数多く準備し、水に入れて保管すると、必要な時に取り出すことや、取り替えることが可能である。
本発明の氷核活性剤に含まれるシュウ酸カルシウム・1水和物の濃度は、好ましくは0.001mg/mL以上、特に好ましくは0.01mg/mL以上、さらに好ましくは0.1mg/mL以上の濃度を例示することができるがこれらに限定されない。例えば、レンギョウ枝髄由来のシュウ酸カルシウムを含む抽出物の場合は0.01mg/mLから1mg/mL、合成シュウ酸カルシウム一水和物の場合は1mg/mLから10mg/mLの濃度を例示することができるがこれらに限定されない。
本発明者らは、レンギョウ属植物またはウチワノキ属植物からの抽出物が氷核形成活性を有することを見出した。従って本発明は、レンギョウ属植物またはウチワノキ属植物からの抽出物を有効成分として含む、氷核活性剤に関する。また本発明は、シュウ酸カルシウムがレンギョウ属植物またはウチワノキ属植物からの抽出物の形態で配合された氷核活性剤に関する。さらに本発明は、シュウ酸カルシウムがレンギョウ属植物またはウチワノキ属植物の成熟した枝髄の形態で配合された氷核活性剤に関する。あるいは本発明は、レンギョウ属植物またはウチワノキ属植物の成熟した枝髄を有効成分として含む氷核活性剤に関する。
本発明において、抽出物を抽出する部位については特に限定されるものではないが、レンギョウ属植物またはウチワノキ属植物の成熟した枝髄を好ましい例として挙げることができる。またレンギョウ属植物またはウチワノキ属植物の成熟した枝髄そのものを氷核活性剤として使用する場合、例えば2-3 mm程度の髄片であれば少なくとも10程度、5mm程度の髄片であれば3-4程度使用することができるが、枝髄片の大きさや使用する数はこれらに限定されない。
前記抽出物は、120℃までのオートクレーブ処理や70℃での風乾処理を行っても、氷核活性が維持される特徴を有していてもよい。また、熱処理以外の様々な処理(アルカリ、試薬、有機溶媒)を行っても、氷核活性が維持される特徴を有していてもよい。
本発明において、レンギョウ属植物またはウチワノキ属植物の種類は特に限定されるものではないが、好ましい例として、以下の植物を例示することができる(以下、学名、命名者、分布域の順に示す。一部、命名者及び分布域を省略した)。
Forsythia europaea(セイヨウレンギョウ)、Degen & Bald、Balkans in Albania and Serbia
Forsythia giraldiana(ギラルディアナ)、 Lingelsh、Northwest China
Forsythia togashii(ショウドシマレンギョウ)、H.Hara、Japan (Shodoshima)
Forsythia ovata(ヒロハレンギョウ)、Nakai、Korea
Forsythia likiangensis、Ching & Feng ex P.Y.Bai、Southwest China
Forsythia mandschurica、Uyeki、Northeast China
Forsythia mira、M.C.Chang、North central China
Forsythia nakaii (Uyeki)、T.B.Lee、Korea
Forsythia saxatilis
Forsythia 'Northern Gold'、Canada
Forsythia × intermedia (F. suspensa × F. viridissima) (レンギョウとシナレンギョウの交配品種)
Forsythia × variabilis (F. ovata × F. suspensa)(レンギョウとヒロハレンギョウの交配品種)
Forsythia suspensa (Thunb.)(レンギョウ)、Vahl、Eastern and central China
Forsythia viridissima(シナレンギョウ)、Lindley、Eastern China
Forsythia koreana(Rehder)(チョウセンレンギョウ)、Nakai、Korea
Forsythia japonica(ヤマトレンギョウ)、Makino、Japan
Abeliophyllum distichum(ウチワノキ)、Nakai、Korea
本発明において、レンギョウ属植物またはウチワノキ属植物としては、より好ましくはレンギョウ(Forsythia suspensa)、チョウセンレンギョウ(Forsythia koreana)、シナレンギョウ(Forsythia viridissima)、ヤマトレンギョウ(Forsythia japonica)、またはウチワノキ(Abeliophyllum distichum)を例示することが出来る。
本発明は、レンギョウ属植物またはウチワノキ属植物からシュウ酸カルシウム・1水和物を抽出することを特徴とする、氷核活性剤(又はシュウ酸カルシウム・1水和物)の製造方法に関する。
当該製造方法の工程は特に限定されるものではないが、好ましくは、以下の工程(a)〜(c)を含む。
(a)レンギョウ属植物またはウチワノキ属植物から、成熟した枝髄薄片を採取し熱処理を行う工程、
(b)該枝髄薄片を含む水溶液に細胞壁分解酵素を添加し、酵素処理を行う工程、並びに
(c)酵素処理後の懸濁液を濾過、遠心分離し、及び遠心ペレット(沈殿物)を風乾し、Basal結晶面が(020)面に対して発達したシュウ酸カルシウム・1水和物を抽出する工程
前記工程(a)において用いるレンギョウ属植物またはウチワノキ属植物の成熟度は特に限定されるものではないが、好ましくは1年生枝(当年枝)を材料として用いることができる。前記工程(a)における、熱処理の工程は特に限定されるものではないが、例えば100〜140℃、好ましくは110〜130℃、特に好ましくは115〜125℃(例えば121℃)で、例えば5〜30分、好ましくは10〜25分、特に好ましくは15〜20分(例えば15分)の組み合わせから選択される温度および時間の条件で、例えばオートクレーブにより熱処理を行うことができる。熱処理の工程は、植物に含まれる氷核活性の阻害物質を洗い出し、取り除くため、レンギョウ属植物またはウチワノキ属植物を大量の水に懸濁して行うことが好ましい。
前記工程(b)において用いる細胞壁分解酵素は特に限定されるものではないが、好ましい例として、セルラーゼ、ペクトリアーゼ、ぺクチナーゼ、ドリセラーゼ等を例示することができる。酵素処理の期間は特に制限されるものではないが、好ましくは1〜3日間、より好ましくは2日間の期間を例示することができる。
工程(b)で得られる酵素処理後の懸濁液の濾過、遠心分離、遠心ペレット(沈殿物)の風乾は、例えば実施例に記載の方法など、当業者に周知の方法で行うことができる。
シュウ酸カルシウムは溶解度が低いため、沈殿として回収される。シュウ酸カルシウムの沈殿は、例えば遠心により得られるものを放置して得ることができる。遠心は1000回転5−10分ほどの緩やか条件で行えば十分である。風乾は例えば70℃で一晩の条件を挙げることができるが、室温にて乾燥させることも可能である。温度をあまり高くすると、結晶形が変わる可能性がある。従って高温での乾燥は好ましくない。濾過は、ろ紙上に沈殿を回収し、良く洗浄するための手段である。上澄みに阻害物質が含まれる場合があるため、良く洗うことが重要である。
本発明は、工程(c)によって得られるシュウ酸カルシウム・1水和物を単独であるいは他の成分と混合し製剤化する工程をさらに含むことができる。
また、前記工程(a)及び(b)を行う代わりに、細胞破砕機により、レンギョウ属植物またはウチワノキ属植物の枝髄薄片を破砕し、その後、懸濁液を濾過、洗浄後、遠心分離し、及び遠心ペレット(沈殿物)を風乾し、シュウ酸カルシウム・1水和物を抽出してもよい。
また本発明は、シュウ酸カルシウムを対象に接触させる工程を含む、対象物質の凍結を促進させる方法に関する。具体的には本発明は以下の〔1〕〜〔7〕に関する。
〔1〕シュウ酸カルシウムと対象物質を接触させる工程を含む、対象物質の凍結を促進させる方法。
〔2〕前記シュウ酸カルシウムがシュウ酸カルシウム水和物である、〔1〕に記載の方法。
〔3〕前記シュウ酸カルシウム水和物がシュウ酸カルシウム・1水和物である、〔2〕に記載の方法。
〔4〕前記シュウ酸カルシウム・1水和物が、Basal結晶面が(020)面に対して発達した構造を有する結晶であることを特徴とする、〔3〕に記載の方法。
〔5〕前記シュウ酸カルシウムがレンギョウ属植物またはウチワノキ属植物からの抽出物の形態で配合されたものである、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の方法。
〔6〕前記シュウ酸カルシウムがレンギョウ属植物またはウチワノキ属植物の成熟した枝髄の形態で配合されたものである、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の方法。
〔7〕前記レンギョウ属植物またはウチワノキ属植物が、レンギョウ(Forsythia suspensa)、チョウセンレンギョウ(Forsythia koreana)、シナレンギョウ(Forsythia viridissima)、またはヤマトレンギョウ(Forsythia japonica)、またはウチワノキ(Abeliophyllum distichum)のいずれかである、〔5〕又は〔6〕に記載の方法。
対象物質としては、水や水溶液を含む各種の溶液、空気等の気体、ヒト、動物、植物、昆虫、微生物等の細胞や組織、培養物等の生物資源、醤油等の揮発性の香味成分が重要な液体やアルコール飲料、圃場に生育する冬野菜(特に、野沢菜、ほうれん草、小松菜等)、冷凍食品、氷スラリー、汚泥等の廃棄物などが挙げられるがこれらに限定されない。これらの対象物質は、例えば、あらかじめ氷核活性剤が固定されたガラスや金属、プラスチックなどの基盤の上で凍結させることもできる。あるいは、ガラスや金属、プラスチックなどの基盤の上の対象物質に本発明の氷核活性剤を接触させてもよい。また、あらかじめ氷核活性剤が固定されたガラスや金属、プラスチック、紙製の容器の中で対象物質を凍結させることもできる。あるいは、ガラスや金属、プラスチック、紙製の容器の中の対象物質に本発明の氷核活性剤を接触させ、対象物質を凍結させることもできる。本発明においては、シュウ酸カルシウムを対象に接触させた後、当該対象を冷却する工程を含むことができる。
本発明は、前記氷核活性剤を水溶液に添加する工程を含む、水溶液の凍結方法に関する。また本発明は、前記氷核活性剤を水溶液に添加する工程を含む、凍結した水溶液の製造方法に関する。本方法により、前記氷核活性剤を添加しない場合と比較して、より高い温度において、水溶液を凍結させることが可能となる。
これらの手法を応用することにより、対象物質又は対象系における過冷却を解消することが可能である。例えば、本発明の氷核活性剤は、以下の用途等に利用することができる。
1.省エネ冷凍装置、蓄冷装置、保冷装置
大規模な熱供給プラント等では、電力消費を抑えるためカプセル型氷蓄熱システムが実用化されている(電力の安い時間帯に蓄冷剤を凍結させ、電力の高い時間にこの蓄冷剤を融解させて、冷却に用いる)。このようなシステムでは、多数の水を封入したカプセルを凍結させ、蓄冷装置として使っている。この装置では、カプセル内の水の過冷却を如何に少なくするかが問題となっている。氷核活性剤或いはこれを付着固定した物質片を用いることにより、高い温度でカプセル内の水を凍結させ、省エネ型の蓄冷装置を作ることが可能である。同様のシステムを自動販売機のような小型のものにも応用し、蓄冷装置(保冷装置)として利用可能で、省エネ型の自動販売機を作ることができる。
2.人工降雪、人工降雨
雨や雪を降らせることが可能な過冷却水滴よりなる雲に、航空機或いはロケット弾のようなもので、氷核活性剤(なるべく細かく、均一な結晶で散布しやすくしたもの)を散布し、降雪或いは降雨量を増加させる。或いは、このような行為により、台風や発達した低気圧、積乱雲等の勢力を衰えさせ、災害を減らす。
雪不足のスキー場で、人工的に降雪させるため、氷核活性剤(微細な結晶)を含む水を高圧ノズルから散布することにより、あるいは、氷核活性剤を付着させたリング状等物体を通過させて散布することにより、高い温度で、氷晶を生成させ、雪を降らせる。
3.生物資源の冷凍保存、凍結保存
ヒト、動物、植物、昆虫、微生物等の細胞や組織、培養物等の生物資源を冷凍保存、凍結保存(超低温保存)する方法の一つとして、緩速予備凍結法がある(試料を含む凍結保存液を−30℃〜−80℃程度まで比較的緩慢な速度で冷却した後に、液体窒素に浸漬する方法)。この方法の最初の段階で、試料の入った凍結防御剤(凍結保存液)を含む容器(cryotube等)を0〜−10℃で植氷して凍結を誘導することが必須である。通常、液体窒素温度に冷やした金属等を0〜−10℃に冷却したcryotube等に接触させることにより植氷操作を行う。この操作は煩雑で、熟練を要する。氷核活性剤(オートクレーブ処理等により無菌にしたもの、或いはこれらを小片物体に付着固定させたもの)をあらかじめ試料の入った凍結防御剤に混入することにより、植氷操作を必要としないで無菌的に、0〜−10℃領域で、凍結保存液の凍結を誘導することが可能になる。
4.様々な液体類、食品飲料の凍結濃縮
醤油等の揮発性の香味成分が重要な液体やアルコール飲料等(ワイン、清酒など)を風味を損なうことなく濃縮する方法や、凍結酒(アイスワインなど)等を製造する方法を、氷核活性物質の利用により提供する。過冷却状態にあるアルコール飲料や醤油等に氷核活性剤を付着固定した物体小片を添加し、氷結晶を析出させ、析出した氷結晶を除去することにより濃縮する。氷結晶には溶質が取り込まれないことを利用した濃縮技術である。温度を上げないため、揮発性の香味成分等が重要な液体やアルコール飲料等の濃縮に向く。必要に応じて、半透膜に封じ込めた氷核活性剤を凍結処理することによっても濃縮可能である。
5.寒締め野菜
圃場に生育する冬野菜(特に、野沢菜、ほうれん草、小松菜等)の表面に氷核活性剤を付着させ、通常冬野菜類が凍結しない高い温度領域にて、これらの葉等を凍結させ、食味を改善する。このような手法で凍結した冬野菜は、糖度が向上し、組織が柔軟化し、細胞液の粘性が生じて、食味が良くなる(寒締め野菜)。本処理により、暖冬でも安定的に寒締め野菜を生産する。
6.食品等の高い温度での冷凍
氷核活性剤あるいはこれを小片物質に付着固定させたものを、冷凍する食品或いは食材等に混入或いは付着させて高い温度で冷凍する。これにより、冷凍状態で、流通貯蔵される食品や食材等の冷凍温度を高く設定し、冷凍、流通、貯蔵中に要するエネルギーコストを削減する。必要に応じて氷核活性剤を付着固定した小片を取り除く。
7.氷スラリーの製造
氷スラリーはシャーベット状の氷のことである。0℃〜−2℃の氷スラリーで保存した魚介類等は長期間高い鮮度を保持することがわかっており、氷スラリーは0℃より少し低い温度(いわゆる氷温)での流通に重要な役割を果たす。氷スラリーを安定、連続的に且つ省エネ的に製造する方法として、氷核活性剤の利用がある。氷点下数度に冷却した水を連続的に氷核活性物質を固定した物体に接触させ、高い温度で凍結を誘導するとともに、できた氷を効率よく回収して製造する。
8.凍結を利用した特定物質の水溶液からの分離
基本的には、4と同じ原理により、溶液中に含まれる特定物質(タンパク質等)を濃縮する方法である。
9.廃棄物の処理装置
氷核活性剤を汚泥等の廃棄物に混入し、これらの凍結を効率よく高い温度で引起こし、凍結に要するエネルギーを削減する一方、氷をうまく分離させることにより、汚泥等の脱水を効率よく引起こして、その後の処理を容易にすることができる。
10.凍結インジケータ、凍結警報装置
氷核活性剤を含む水や色水等をいれた容器を作成し、凍結温度をセンシングしたい場所に設置する。本容器は氷核活性剤の効果により、−2〜−3℃程度で凍結し、外気温、温度等が−2〜−3℃程度に下がったことが表示される装置である。これにより、温度や気温が零下に下がったことの警報となる。
11.凍結防止装置
保温対象物の温度が0℃以下に低下するのを防止できる保温方法を提供する。氷核活性剤の利用により、−5℃以上で凍結するように調整された水を充填した水槽を保温対象物の周囲に配置することを特徴とする温度低下防止法が提供される。
なお本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明の技術的範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕シナレンギョウ枝及び各組織の氷核活性測定
野外に植栽されたシナレンギョウの主に1年生枝(当年枝)の氷核活性を以下の試験管法を用いて調べた(Tubeの数40本)。
氷核活性測定(試験管法)は以下の工程により行った。
所定量のシナレンギョウの枝髄またはシュウ酸カルシウムなどのサンプルを滅菌MilliQ水に分散せしめ、TPX製チューブ10〜40本に1mLずつ分注したものを、冷凍恒温槽に浸して1℃刻みに段階的に温度を下げ(各温度に20分放置後、凍結Tubeの数を数えた。次の1℃の冷却に約5-10分、系全体としての冷却速度:1℃/30分)、各チューブが何℃で凍るかを記録した。この結果を横軸に温度、縦軸に凍結したTubeの積算数をプロットし、50%が凍結する温度(中央値:Median of Freezing Temperature, MFT.)をグラフ上あるいは計算によって求め、氷核活性の指標とした。この方法で、滅菌MilliQ水の氷核活性は50%凍結温度で約−20℃であった。
各季節の1年生枝(当年枝)(春から秋のものは葉を取り除いた後、冬の落葉期間の枝は、そのまま)の節間を5−7mmに裁断し、枝を各チューブ(滅菌MilliQ水1mL)に1個ずつ入れて測定した。必要に応じて、枝を皮層部、木部、木部+髄、髄のみに解剖し(図1)、試験管にいれて、各部位の氷核活性を測定した。また、氷核活性の熱耐性を調べるため、一度氷核活性の測定に用いた試料をそのまま120℃15分オートクレーブをかけた後、漏出液を除き、新しい滅菌MilliQ水に無菌条件下で取替え、もう一度試験管法による氷核活性測定に用いた。
シナレンギョウ枝(図1A)を5−7mmに裁断し、その氷核活性を試験管法で調べたところ、1年生枝(当年枝)の先端から下部までのいずれもの部位の枝にも高い氷核活性があった(−3〜−4℃:図省略)が、葉(6月)の氷核活性は低かった(-9℃)(図1C)。枝の氷核活性は、採取する季節によらず殆ど変わらなかった(図1C)。また、枝の氷核活性は、オートクレーブ処理(120℃15分)でもほぼ同じか、低下しても1℃以内であった(図1C)。シナレンギョウ枝をカッターナイフで解剖して(図1B)、皮層部、木部+髄、木部のみ、髄のみ(ピンセット等で分別できる)の各部位にわけ、その氷核活性を調べたところ、皮層部と木部のみでは、氷核活性が低かったが、木部+髄、髄のみでは、高い氷核活性がみられた(図1C)。これらの結果から、シナレンギョウ枝は季節を問わず高い氷核活性を示し、その活性は枝の髄に存在すると考えられ、オートクレーブ処理にも耐性であった。なお、2年生枝にも1年生枝(当年枝)と同様に高い氷核活性があった(図省略)。
同様の氷核活性がシナレンギョウ以外のレンギョウ属植物などの枝にあるか調べるため、レンギョウ属のシナレンギョウ、レンギョウ、チョウセンレンギョウ、ヤマトレンギョウ及びウチワノキ属のウチワノキの1年生枝の氷核活性を調べた(表1(レンギョウ属植物、ウチワノキの1年生枝(7.5mm)の氷核活性(筑波実験植物園に植栽)))。その結果、いずれの種の枝にも、比較的高い氷核活性が見られた。チョウセンレンギョウ、ヤマトレンギョウ、ウチワノキはいずれも、シナレンギョウと同様に薄片がはしご状に並んだ髄をもっているが、レンギョウは、薄片が少なく、中空の髄をもっている(中空の外側に髄の組織がある)。これらの種の枝の氷核活性も部位に分けて活性を測定すると、いずれも髄の部分に高い氷核活性が見られた(図省略)。髄が中空或いは、薄片がはしご状に並ぶという特徴は、レンギョウ属及びウチワノキ属の特徴で、これらに属する他の種(例えば本明細書に記載の種)もすべて髄に同様の氷核活性を持つと推察される。
〔実施例2〕シナレンギョウの枝髄ならびに枝髄抽出物の調製
シナレンギョウの1年生枝(当年枝)から髄薄片のみを取りだし、これを120℃, 15分のオートクレーブにかけたものを出発材料とした。さらに活性の本体と思われるものを二つの方法によって枝髄より抽出した。
1)酵素を用いる方法:湿潤体積約10mLのシナレンギョウの枝髄薄片に
・4mM酢酸ナトリウム緩衝液 pH5.6 2mL
・1%セルラーゼ0.5mL
・0.1%ペクトリアーゼ0.5mL
を加え、二日間室温で放置した。これをVortexして懸濁した液を20μmのナイロンメッシュで濾過した。濾液を"遠心後上清除去して水添加してさらに遠心"を繰り返すことにより、酵素など水に溶解するものをできるだけ除去した。
2)細胞破砕機を用いる方法:湿潤体積約10mLのシナレンギョウの枝髄薄片にミリQ水約50mLを加えたものを細胞破砕機により十分に破砕した。懸濁液を20μmのナイロンメッシュで濾過した濾液をしばらく静置し、液中に舞っている細胞壁由来と思われる繊維状物質を除去した。
以上の方法で得られたシナレンギョウ抽出物懸濁液を0.22μmPVDF膜(Millipore製)で濾取し、風乾した。
シナレンギョウ枝の髄は、成長中の枝の先端部の髄(生きていて分化中)を除き(生きている髄も氷核活性は高い)、死んだ組織で白い薄片状である。この薄片を走査電子顕微鏡観察(SEM)にて観察すると、細胞壁と思われる薄膜とその前後に長六角形の結晶物が多数観察される(図3a)。
走査電子顕微鏡観察(SEM)は、試料を金蒸着後、JSM-5800LV(日本電子、日本)にて、2次電子像を観察した。エネルギー分散型X線分析(EDS)は、試料を日本電子製走査電子顕微鏡JSM-5410にて観察し、付属するEDS装置JED-2110を用いて行った。
その結晶の元素組成をSEMに付属のEDS装置によって解析すると、主にCa、C、Oによって構成されることがわかった(Hのような軽い元素は、原理上検出が難しい:図省略)。大量に採取した髄の薄片をMilliQ水に懸濁して(枝髄薄片10枚/mL)、氷核活性を測定すると、約-3℃の活性を示し、Autoclave処理によっても活性は殆ど変化しなかった(図2)。しかし、髄薄片を1MのHClにより処理すると氷核活性は著しく消失した(図2)(薬品処理による氷核活性の変化の詳細については、後述)。HCl処理後の試料をSEM観察すると、結晶物は、全く見当たらなかった(図3b)。このことは、シナレンギョウ枝髄の氷核活性がこの結晶物に由来することを示唆する。
シナレンギョウ枝髄の薄片を大量に採取し、酵素処理により細胞壁を溶かすとこの結晶と思われる白い沈殿物を得ることができる。この沈殿物をSEMで観察すると、長さ約10μm程度、幅、高さともに約5μm程度の六角柱状結晶が多数みられた(図5)。これらは、後述する合成シュウ酸カルシウム一水和物と非常に似たものであった(図6a)。酵素処理または細胞破砕機で得られた白色沈殿を約6μg/mLの濃度で懸濁させ氷核活性を測定したところ、双方約-2.4℃と非常に高い活性がみられ、シナレンギョウ枝の氷核活性がこの単離結晶物に由来することが強く示唆された。
この結晶物を同定するため、シナレンギョウの枝髄ならびに枝髄を酵素処理して得られた白色粉末をX線回折によって解析した。
X線回折(XRD)は、粉末X線回折分析装置Rad-X(線源Cu-Kα1, 40kV, 25mA、(株)リガク社製、日本)を用いて測定した。枝髄の場合は、水でぬれた枝髄をガラス板にdepositして風乾することで貼り付け、一方枝髄抽出物または合成シュウ酸カルシウムなどの粉末の場合は、両面テープによりガラス板に薄く貼り付け、装置にロードした。
その結果をそれぞれ図4a, bに示す。両者は、いずれも合成シュウ酸カルシウム一水和物および既知の登録されているシュウ酸カルシウム一水和物(Whewellite, 図4c、d)と完全に一致した回折ピークを示した。この結晶物のX線回折の結果(図4)は、上記のSEM観察結果(図5,6a)とあわせて、シナレンギョウ枝髄に含まれる結晶物がシュウ酸カルシウム一水和物である直接的証拠となる。
さらにシナレンギョウ枝髄薄片から細胞破砕機によって得られた白色沈殿の熱重量分析(TG/DTA)を測ったところ、表2のような結果が得られた。
熱重量分析(TG/DTA)は、試料約1mg〜10mgを、セイコーインスツルメンツ社製示差熱熱重量同時測定装置EXSTAR6000を用いて昇温速度10℃/min、空気中で室温から1000℃まで測定することにより行った。
100〜200℃に見られる脱水による減少率は、12.6%で、シュウ酸カルシウム一水和物の理論値や合成一水和物の実測値に近い値を示し、単離物がシュウ酸カルシウムの一水和物であることを示唆した。
なお、シュウ酸カルシウム水和物は熱処理することによって次のような脱水を起こすことが知られている。
一水和物:Ca(C2O4)・H2O → Ca(C2O4) + H2O (50℃〜250℃の段階)
二水和物:Ca(C2O4)・2H2O → Ca(C2O4) + 2H2O (50℃〜250℃の段階)
三水和物:Ca(C2O4)・3H2O → Ca(C2O4)・H2O + 2H2O (50℃〜135℃の段階)
Ca(C2O4)・H2O → Ca(C2O4) + H2O (135℃〜250℃の段階)
シュウ酸カルシウム無水物Ca(C2O4)をさらに熱すると次のような変化をする。
Ca(C2O4) → CaCO3 + CO (250℃〜550℃の段階)
CaCO3 → CaO + CO2 (550℃〜1000℃の段階)
出発物質の重量を100%としたとき、それぞれの変化に伴う重量減少は表2(加熱処理に伴うシュウ酸カルシウム水和物の重量変化)の通りである。
〔実施例3〕シュウ酸カルシウムの合成
石井の方法(石井裕子、植物細胞中の3種類のシュウ酸カルシウム水和物の動態 日本化学会誌1991(1), 63-70)を少し改変した方法により、シュウ酸カルシウム一水和物、二水和物および三水和物を調製した。すなわち水80mLに660mM pH7酢酸ナトリウム緩衝液40mL、50mMシュウ酸水溶液40mLを加えて混合し、さらにクエン酸ナトリウム0〜3gを加え、所定の温度で激しく攪拌しながら50mM塩化カルシウム水溶液40mLを滴下混合し、沈殿を生成せしめた。一水和物、二水和物および三水和物の生成条件は表3(シュウ酸カルシウム水和物の生成条件)の通りである。
沈殿は30分〜2時間程度静置後定性濾紙で濾取し、十分量の水で水洗した。その後濾取した沈殿を一晩室温で風乾し、各測定に供した。
合成では以下の事項に留意した。
入れる順番:バッファーおよびシュウ酸溶液にCaCl2溶液を添加する方がバッファーおよびCaCl2溶液にシュウ酸溶液を添加するより活性が高かった(データ省略)。
添加速度:外径3mm程度のシリコンチューブをペリスタポンプにセットして添加し、約1滴/秒で添加した。
合成温度:酢酸ナトリウム緩衝液のpHを7、クエン酸ナトリウム添加0gに固定し、調製温度を25℃から100℃まで15℃ごとに違えたシュウ酸カルシウム一水和物を合成した。
合成pH:調製温度を85℃、クエン酸ナトリウム添加0gに固定し、酢酸ナトリウム緩衝液のpHのみをpH 3からpH 7まで変化させてシュウ酸カルシウム一水和物を合成した。
〔実施例4〕合成シュウ酸カルシウム一水和物、二水和物および三水和物の氷核活性
石井の方法(1991、上述)で合成したシュウ酸カルシウムがそれぞれの水和物であることをSEMによる形態観察、XRDおよびTG/DTAを用いて確認し、各水和物の氷核活性を測定した。
図6に合成シュウ酸カルシウムの各水和物の結晶形態をSEMで観察した像を示す。一水和物(図6a)および二水和物(図6b)には、それぞれの水和物に特徴的な形である六角板状粒子および八面体粒子が確認できた。しかし三水和物(図6c)には特徴的な形を見出せなかった。図4c,e,gに示したXRDの結果より、それぞれのサンプルに一水和物、二水和物および三水和物に特徴的なX線回折ピークのみが見られた(各標品のICDDカードと一致)ので、混合物でなく単一の結晶であることが確認できた。
表2にTG/DTAの結果(二水和物については未測定)を示す。100℃〜200℃のあたりに見られる脱水による重量減少が一水和物、三水和物でそれぞれ11.9%、27.9%(=18.4+9.5%)であり、表2の理論値12.3%、29.7%に近い値を示した。この結果も合成されたシュウ酸カルシウムはそれぞれの水和物であることを支持している。
得られたシュウ酸カルシウム各水和物を約3.8mg/mLの濃度で懸濁させ、氷核活性を測定した。その結果、シュウ酸カルシウム一水和物のみが高い活性を示すことが判った(表4(合成シュウ酸カルシウムの各水和物の氷核活性))。
〔実施例5〕シナレンギョウ枝髄薄片及び合成シュウ酸カルシウム一水和物の各種薬剤、熱処理
シナレンギョウ枝髄の処理は、鱗片100枚に対し、10mLの薬剤溶液(濃度1M)を入れ、合成シュウ酸カルシウム一水和物の場合は、42mgの結晶に対し11mLの薬剤溶液を入れて、(濃度的にはシュウ酸カルシウム3.8mg/mL薬剤溶液)、それぞれ1分ほどVoltexで撹拌した後、一晩静置した。上澄みをすて、ミリQ水で5回ほど洗った。沈降が遅い場合は、弱く遠心をかけて試料を沈ませた。最終的にミリQ水を、鱗片100枚の場合には全体の容量が10mLになるように、また合成シュウ酸カルシウムの場合、処理前の出発物質が42mgに対し、全体の容量が11mLになるように加え、試料とした(合成シュウ酸カルシウム結晶の塩酸処理の場合は、試料が全部溶解するので、結晶はない)。これらを撹拌懸濁した状態で1mLずつ分画し、氷核活性測定の試料とした。
上記合成シュウ酸カルシウム一水和物を一晩薬剤処理した際にできた上澄みを回収し(水、塩酸、リンゴ酸、酢酸、酒石酸、グリシンのみ)、その一部を以下に示すNN試薬によるキレート滴定法によりCa濃度を推定し、水に対する溶解度を1として、相対値として表示した(K.Ueno, T. Imamura and K. L. Cheng, "Handbook of Organic Analitical Reagents 2nd Edition"(1992 by CRC Press)., J. Patton and W. Reeder, "New Indicator for Titration of Calcium with (Ethylenedinitrilo) Tetraacetate", Anal. Chem., 1956, 28, 1026., A. Itoh and K. Ueno, "Evaluation of 2-Hydroxy-1-(2-Hydroxy-4-Sulpho-1-Naphthylazo)-3-Naphthoic Acid and Hydroxynaphthol Blue as Metallochromic Indicators in the EDTA Titration of Calcium", Analyst, 1970, 95, 583.)。
<試薬>
・0.01M EDTA標準液
・NN指示薬希釈粉末
・約8N KOH溶液
<Ca滴定操作>
中性の試料溶液50mlの緩衝剤として8N KOH 4mlをかき混ぜながらゆっくり加え(pH約13となる)、ときどきかき混ぜ3〜5分間放置した(Mgは水酸化物となって沈殿した)。
次に、妨害重金属のマスク剤として20%トリエタノールアミン溶液および10%チオグリコール酸溶液数滴とNN指示薬希釈粉末約0.1gを添加し、EDTA標準液で滴定した。
終点の変色は 赤から青である。
0.01M EDTA 1ml = 0.4008mg Ca
オートクレーブ処理は、試料を上記割合(髄薄片10枚/mL、合成シュウ酸カルシウム一水和物3.8mg/mL)でミリQ水に懸濁し、121℃15分処理後で行い、氷核活性測定に供した。また、試料を70℃のOvenにて一晩乾燥後、上記割合にてミリQ水に懸濁し、氷核活性測定に供した。
また有機溶媒に対する耐性を調べるため、枝髄薄片100枚を0.5mLのメタノール、エタノール、アセトン、キシレン、ベンゼン、ジエチルエーテル、ピリジンに2日間浸漬後した。各溶媒を70℃でDryupし、ミリQ水に再懸濁して(髄薄片10枚/mL)、氷核活性測定に供した。
〔実施例6〕シナレンギョウの枝髄と合成シュウ酸カルシウム一水和物の氷核活性の熱・薬品処理の影響
シナレンギョウの枝髄薄片および合成シュウ酸カルシウム一水和物のより詳細な性質を知るために、様々な処理(熱、酸、アルカリ、試薬、有機溶媒)を施したときの氷核活性の変化について調べた。枝髄薄片及び合成シュウ酸カルシウム一水和物は、いずれもミリQ水中でのオートクレーブ処理(121℃15分)及び70℃ overnight処理によるDry upに耐性で、氷核活性は殆ど変化しなかった(図2)。また、シナレンギョウ枝髄薄片をメタノール、エタノール、アセトン、キシレン、ベンゼン、ジエチルエーテル、ピリジン等の有機溶媒処理(2日間浸漬)した後、各溶媒を70℃で乾燥除去したのち、ミリQ水に再懸濁して(髄薄片10枚/mL)、氷核活性を測定すると、その氷核活性に全く変化がなく(50%凍結温度:-2.0〜-2.3℃、controlは-2.6℃)(図表省略)、これらの有機溶媒に耐性であることが判った。
シナレンギョウの枝髄、合成シュウ酸カルシウム一水和物の氷核活性は、ともに塩酸(1M HCl)によってその活性が著しく低下することが分かった(図2)。この時、塩酸処理によって枝髄薄片に見られた六角柱状結晶(図3)、XRDの回折ピーク(図省略)はほとんど消失してしまった。合成シュウ酸カルシウムの場合も、塩酸処理により本実験系で完全に溶解し、処理液中の白い結晶物は一切残らなかった。これは、塩酸に対するシュウ酸カルシウム一水和物の溶解度(Ca濃度でみたもの)が非常に高いこととよく一致した(図2)。有機酸のような弱酸処理を行った場合、枝髄薄片のように、シュウ酸カルシウム一水和物が少量しか含まれていない場合は、酒石酸やリンゴ酸処理などにより、多少、氷核活性が低下し、その程度はシュウ酸カルシウム一水和物の各酸への溶解度が高いほど、氷核活性の低下量が大きかった(図2)。これに呼応して、溶解度が高い有機酸で処理した枝髄薄片ほど、含まれている六角柱状結晶の数が少なくなっていた(図省略)。一方、合成シュウ酸カルシウム一水和物を用いた本薬剤処理実験系のように、処理液中の物質濃度が高い場合(3.8mg/mL)は、有機酸処理により氷核活性はあまり影響を受けず(図2)、処理液中にも白い結晶が多く残っていた。これらのことから、弱酸処理の場合、薬剤処理後に残存するシュウ酸カルシウム一水和物結晶量(薬剤への溶解度と薬剤と試料の量比により影響される)により、氷核活性への影響度が決まると考えられた(結晶が溶解してなくなるほど氷核活性は低下)。このことは、弱酸だけでなく、他の各種薬剤への耐性をみる場合も同様と考えられた。
EDTAのように、ゆっくりシュウ酸カルシウムを溶解させる試薬によっても、枝髄薄片の氷核活性は若干低下した(図2)。一方、アルカリ(1M KOH)処理のシナレンギョウ枝髄、合成シュウ酸カルシウム一水和物の氷核活性への影響は少なかった(図2)。以上、強酸、弱酸、EDTAなどに対する挙動は、これまで知られている植物組織中のシュウ酸カルシウム結晶物の挙動とよく一致する(Franceschi VR. and Horner HT Jr., Bot Rev. (1980) 46: 361-427)。これらの結果は、「シナレンギョウの枝髄の氷核活性の本体は、六角柱状結晶のシュウ酸カルシウム一水和物である」という推測を支持する。
〔実施例7〕他の氷核活性物質との比較
シナレンギョウから得られたシュウ酸カルシウム、合成シュウ酸カルシウム、既知の氷核活性物質であるヨウ化銀、フェナジン、メタアルデヒドとの比較を行った(図7)。シナレンギョウより抽出したシュウ酸カルシウム一水和物は非常に希薄な濃度でもヨウ化銀、フェナジンより高い活性を示した。また、合成シュウ酸カルシウム一水和物は薄い濃度(< 0.1mg/mL)では活性は低いが、高濃度(> 1mg/mL)では既知の氷核活性物質に匹敵するほど活性が高いことが分かった。
〔実施例8〕シュウ酸カルシウムの結晶面と氷核活性との相関
1)合成温度
シュウ酸カルシウム一水和物のどの結晶面が氷核活性と相関があるかを調べるために、水80mLに660mM pH7酢酸ナトリウム緩衝液40mL、50mMシュウ酸水溶液40mLを加えて混合し、所定の温度で激しく攪拌しながら50mM塩化カルシウム水溶液40mLを滴下混合してシュウ酸カルシウム一水和物を調製し、そのXRDと氷核活性について調べた。図8に様々な温度で調製したシュウ酸カルシウム一水和物の氷核活性を示す。調製温度が高くなるにつれて、ほぼ単調増加で氷核活性も上がっていくことが分かった。次に図9にXRDの結果を示す。これより、調製温度が高くなるにつれて(-101)面または(-202)面すなわちシュウ酸カルシウム一水和物結晶のBasal面由来のピーク強度が大きくなっていることが分かる。つまりBasal面が発達してきている。一方、(020)面由来のピークの強度はほとんど変化していないことから、調製温度によって(020)面の発達の程度はほとんど変化しないと思われる。このことは、(-101)面(または(-202)面)由来のピーク強度の(020)面由来のそれに対する比が、調製温度によってどのように変化するか、について示した図10によってより明確に分かる。図10の軌跡が、ほぼ図8の軌跡と同じ傾向を示すことから、シュウ酸カルシウム一水和物の氷核活性は、そのBasal面((-101)面)の発達と相関があることを示している。
2)合成pH
以上は調製温度を変化させた場合であるが、調製温度を85℃に固定し緩衝液のpHのみをpH 3からpH 7まで変化させて合成したシュウ酸カルシウム一水和物についても同様の推論が導かれた。図11に緩衝液のpHを変化させた合成したシュウ酸カルシウム一水和物の氷核活性を、図12にそれら結晶のXRDパターンを、そして図13に(-101)面(または(-202)面)由来のピーク強度の(020)面由来のそれに対する比のpH依存性の図を示す。この場合、pHがあがるにつれて氷核活性が単調に上昇する(図11)。それに伴って(020)面のXRDのピーク強度に比べて相対的に(-101)面(または(-202)面)のピークが大きくなることが分かった(図12、13)。この結果は調製温度を変化させた実験とほとんどパラレルな結果であり、氷核活性とシュウ酸カルシウム一水和物結晶のBasal面である(-101)面(または(-202)面)がなんらかの相関があることを支持するものである。なお、pH11において合成したシュウ酸カルシウム一水和物もpH7で合成したものと同程度の氷核活性を示した(図省略)。この結果は調製温度を変化させた実験とほとんどパラレルな結果であり、氷核活性とシュウ酸カルシウム一水和物結晶のBasal面である(-101)面(または(-202)面)の発達との間に相関があることを示している。なお、pH11において合成したシュウ酸カルシウム一水和物もpH7で合成したものと同程度の氷核活性を示した(図省略)。
〔実施例9〕シナレンギョウの枝随をガラスキャピラリーに固着させた場合の氷核活性
ガラスパスツールピペット(Fischer社製、ディスポーザブルパスツールピペット(足長))の先端部約5cmを切り取ってガラスキャピラリーとしたものに、シナレンギョウからカッターナイフとピンセットで切り取った約10片の枝髄を接着剤(ボンドウルトラ多用途、強力・耐水性:コニシ品番#04592:耐水性の接着剤)で固定し、2mLの滅菌MilliQ水に一本いれて、試験管法で氷核活性を測定したところ、その50%凍結温度は-2.5℃だった。同量の枝髄片をキャピラリに固着せずに同量の滅菌MilliQ水に入れて測定した場合の50%凍結温度は-2.5℃であり、氷核活性に違いは見られなかった。氷核活性剤を固着する材料は、金属等でもかまわないことが確認された。また、このように固定すると、容易に要時に取り出すことが可能になる。
本発明により、シュウ酸カルシウムを有効成分として含む氷核活性剤及びその利用方法が提供された。本願の氷核活性剤は、以下に例示する様々な用途に応用することができる。
1.省エネ冷凍装置、蓄冷装置、保冷装置
2.人工降雪、人工降雨
3.生物資源の冷凍保存、凍結保存
4.様々な液体類、食品飲料の凍結濃縮
5.寒締め野菜
6.食品等の高い温度での冷凍
7.氷スラリーの製造
8.凍結を利用した特定物質の水溶液からの分離
9.廃棄物の処理装置
10.凍結インジケータ、凍結警報装置
11.凍結防止装置

Claims (12)

  1. シュウ酸カルシウムを有効成分として含む、氷核活性剤。
  2. 前記シュウ酸カルシウムがシュウ酸カルシウム水和物である、請求項1に記載の氷核活性剤。
  3. 前記シュウ酸カルシウム水和物がシュウ酸カルシウム・1水和物である、請求項2に記載の氷核活性剤。
  4. 前記シュウ酸カルシウム・1水和物が、Basal結晶面が(020)面に対して発達した構造を有する結晶である、請求項3に記載の氷核活性剤。
  5. 前記シュウ酸カルシウムがレンギョウ属植物またはウチワノキ属植物からの抽出物の形態で配合されたものである、請求項1〜4のいずれかに記載の氷核活性剤。
  6. 前記シュウ酸カルシウムがレンギョウ属植物またはウチワノキ属植物の成熟した枝髄の形態で配合されたものである、請求項1〜4のいずれかに記載の氷核活性剤。
  7. 前記レンギョウ属植物またはウチワノキ属植物が、レンギョウ(Forsythia suspensa)、チョウセンレンギョウ(Forsythia koreana)、シナレンギョウ(Forsythia viridissima)、ヤマトレンギョウ(Forsythia japonica)、またはウチワノキ(Abeliophyllum distichum)のいずれかである、請求項5又は6に記載の氷核活性剤。
  8. レンギョウ属植物またはウチワノキ属植物からシュウ酸カルシウム・1水和物を抽出する工程を含む、氷核活性剤の製造方法。
  9. 以下の工程(a)〜(c)を含む、氷核活性剤の製造方法。
    (a)レンギョウ属植物またはウチワノキ属植物から、成熟した枝髄薄片を採取し熱処理を行う工程、
    (b)該枝髄薄片を含む水溶液に細胞壁分解酵素を添加し、酵素処理を行う工程、並びに
    (c)酵素処理後の懸濁液を濾過、遠心分離し、及び遠心ペレット(沈殿物)を風乾し、Basal結晶面が(020)面に対して発達したシュウ酸カルシウム・1水和物の結晶を抽出する工程
  10. レンギョウ属植物またはウチワノキ属植物が、レンギョウ(Forsythia suspensa)、チョウセンレンギョウ(Forsythia koreana)、シナレンギョウ(Forsythia viridissima)、ヤマトレンギョウ(Forsythia japonica)、またはウチワノキ(Abeliophyllum distichum)である、請求項8又は9に記載の氷核活性剤の製造方法。
  11. 以下の工程(a)〜(c)を含む、氷核活性剤の製造方法。
    (a)pHが4.0以上11.0以下である緩衝液とシュウ酸水溶液を混合し、85〜100℃に加熱する工程、
    (b)該加熱された混合液と塩化カルシウム水溶液を混合する工程、並びに
    (c)生成した沈殿物からBasal結晶面が(020)面に対して発達したシュウ酸カルシウム・1水和物の結晶を抽出する工程
  12. 請求項1〜7のいずれかに記載の氷核活性剤を水溶液に添加する工程を含む、水溶液の凍結方法。
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