JP2014055239A - 繊維強化プラスチック成形用基材 - Google Patents
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Abstract
【課題】取扱い性が良好であり、変形性に優れ、立体形状への賦型が容易であり、機械的特性に優れた繊維強化プラスチックが得られる繊維強化プラスチック成形用基材を提供する。
【解決手段】強化繊維と熱可塑性繊維とからなり、強化繊維:熱可塑性繊維が重量比で5:95〜70:30であり、強化繊維単糸(a)とこれと交差する強化繊維単糸(b)とで成形される二次元配向角の平均値が10〜80°であることを特徴とする繊維強化プラスチック成形用基材とする。
【選択図】なし
【解決手段】強化繊維と熱可塑性繊維とからなり、強化繊維:熱可塑性繊維が重量比で5:95〜70:30であり、強化繊維単糸(a)とこれと交差する強化繊維単糸(b)とで成形される二次元配向角の平均値が10〜80°であることを特徴とする繊維強化プラスチック成形用基材とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、軽量な繊維強化プラスチックを製造するための、取り扱い性が良好で、かつ、立体形状への賦型が容易である繊維強化プラスチック成形用基材に関するものである。
炭素繊維を強化材として使用した複合材料は、引張強度・引張弾性率が高く、線膨張係数が小さいので寸法安定性に優れることおよび、耐熱性、耐薬品性、耐疲労特性、耐摩耗性、電磁波シールド性、X線透過性にも優れることから、炭素繊維を強化材として使用した繊維強化プラスチックは、自動車、スポーツ・レジャー、航空・宇宙、一般産業用途に幅広く適用されている。
炭素繊維強化プラスチックを製造する方法としては、フィラメントワインディング法、プレス成型法、オートクレーブ法、射出成型法など、種々の手段が知られているが、3次元形状等の複雑な形状に適した成形方法として、SMC(シートモールディングコンパウンド)等の不連続な強化繊維からなる基材が挙げられる。SMCとは、熱硬化性樹脂を含浸した25mm程度の長さを持つチョップドストランドという繊維構造体を成形型内にシート状に配置した後、加熱、加圧することによりプラスチックを成形するものであり、比較的流動性が高いため、複雑な立体構造を形成することが可能であるが、一方、シート化工程において、チョップドストランドの分布ムラ、配向ムラが必然的に生じているため、機械的特性に均一なプラスチックを成形することは難しかった。
一方、リサイクル性を向上させるために熱可塑性樹脂を強化繊維にプルトリュージョン法、樹脂含浸法、フィルム積層法などを用いて賦与する方法も試みられているが、生産性、均一性、プレス時の樹脂の濡れ性などの観点から、機械特性とコストを満足するものは得られていない。
本発明の目的は、変形性に優れ、取扱い性が良好であり、立体形状への賦型が容易であり、機械的特性に優れた繊維強化プラスチックが得られる繊維強化プラスチック成形用基材を提供することにある。
本発明者が、検討した結果、強化繊維および熱可塑性繊維を一定の条件で混合した基材とすることにより、機械的特性に優れたプラスチック成形物を得るための、取り扱い性、立体成形性に優れたプラスチック成形用基材を提供できることを見出した。
かくして本発明によれば、強化繊維と熱可塑性繊維とからなり、強化繊維:熱可塑性繊維が重量比で5:95〜70:30であり、強化繊維単糸(a)とこれと交差する強化繊維単糸(b)とで成形される二次元配向角の平均値が10〜80°であることを特徴とする繊維強化プラスチック成形用基材が提供される。また、上記の繊維強化プラスチック成形用基材を熱可塑性繊維の融点または軟化点以上の温度で加熱処理または加熱加圧処理してなる繊維強化プラスチックが提供される。
本発明の繊維強化プラスチック成形用基材は、高い機械的物性を示すことはもちろん、マトリックスである熱可塑繊維と強化繊維とが、交絡した不織布構造を有することにより、均一で取り扱い性に優れ、かつ非連続繊維を用いることによる流動性により、立体成形性に優れている。
したがって、上記基材は、プルトリュージョン法などにより製造されたチョップドストランドを金型内にセットする方法や、強化繊維に樹脂を含浸する方法に比べて極めて取り扱いやすく、均一性に優れる。また、強化繊維基材にフィルムを積層しプレスする方法などに比べて、格段に柔軟性に富んだ基材を提供することができる。
また、本発明の基材では、射出成形のように炭素繊維が切断されて短くなるといったことがなく、繊維間の交絡を成形できるため、成形体として十分な強度や弾性率を発揮することができる。また、熱可塑性樹脂が繊維の形状で他の繊維間に存在し、かつ交絡しているため、従来のプルトリュージョン法、樹脂含浸法、フィルム積層法に比べて、シート状物の取り扱い性(持ち運び性など)に優れ、熱プレス等の工程において、これら熱可塑繊維が溶融して十分に強化繊維の隙間に浸透し、かつ流動性に優れることから、複雑な形状を賦形する立体成形性を有し、強度、弾性率、特に耐衝撃性を優れた繊維強化プラスチックを容易に得ることができる。
本発明の繊維強化プラスチック成形用基材(以下、単に基材と称することがある)は、これを加熱処理、または加熱加圧処理することによって、熱可塑性繊維を溶融し、繊維強化プラスチックを成形することができる基材である。
本発明の基材は強化繊維と熱可塑性繊維とからなり、強化繊維:熱可塑性繊維が重量比で5:95〜70:30であり、好ましくは20:80〜60:40である。強化繊維の重量比が5重量%未満では、十分な力学的特性を得ることができず、一方、熱可塑性樹脂の重量比が30重量%未満では、熱可塑性繊維を溶融し十分に繊維間に含浸させて繊維強化プラスチックを成形するのが難しくなる。
本発明に用いる強化繊維は、炭素繊維、および/または、融点、軟化点、または熱分解開始温度が250℃以上の耐熱性有機繊維であることが好ましい。特に、炭素繊維のみを用いるか、耐衝撃性を高めるため、炭素繊維と耐熱性有機繊維とを併用することが望ましい。この際、炭素繊維:耐熱性有機繊維は重量比で、好ましくは100:0〜40:60、より好ましくは90:10〜40:60、さらに好ましくは70:30〜40:60である。炭素繊維の割合が少ないと曲げ強度や曲げ弾性率といった優れた機械的特性が得られ難くなる傾向にある。一方で、耐熱性有機繊維を上記割合で含有させることにより耐衝撃性を向上させる上で有利である。
本発明で用いる炭素繊維としては、引張強度3000MPa以上、弾性率200GPa以上の炭素繊維が好ましい。前記炭素繊維の原料としては特に限定するものではないが、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維等が例示できる。これらの炭素繊維のうち、取扱性能、製造工程通過性能に適したPAN系炭素繊維が特に好ましい。
本発明における炭素繊維の形態は、加工性の観点から、カットファイバー(短繊維)であることが好ましく、なかでも高い剛性を保持するために、繊維長は好ましくは10〜150mm、より好ましくは20〜100mmであり、さらに好ましくは20〜80mm、さらにより好ましくは20〜60mmである。また、同様の観点から、繊維径は好ましくは5〜100μm、より好ましくは5〜80μm、さらに好ましくは5〜60μmである。
本発明で耐熱有機繊維とは、特に限定されるものではなく、例えば、芳香族ポリアミド(アラミド)、芳香族ポリエーテルアミド、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミドなどが好ましく使用できる。なかでも耐衝撃性、生産性、価格などからアラミド繊維が好ましく使用できる。また、炭素繊維と同時に加工する際の加工性の観点から、カットファイバー(短繊維)であることが好ましく、なかでも高い耐衝撃性を保持するために、繊維長は好ましくは20〜150mm、より好ましくは20〜120mm、さらに好ましくは35〜80mm、よりさらに好ましくは35〜60mmである。
本発明におけるアラミド繊維とは、芳香族ジカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分、もしくは芳香族アミノカルボン酸成分から構成される芳香族ポリアミド、又はこれらの芳香族共重合ポリアミドからなるポリマーであり、例えばポリパラフェニレンテレフタルアミド、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニレンイソフタルアミドなどが例示できる。特にコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミドが、耐衝撃性の点から好ましい。
本発明に用いる熱可塑性繊維は、熱可塑性樹脂を原料とし、一般的な溶融紡糸法により紡糸される繊維状物であって、原料となる熱可塑性樹脂としては、ポリプロプピレン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂が好ましく使用される。
上記の熱可塑性樹脂は、ISO 1133に準拠して300℃、荷重1.2kgにて測定した、メルトボリュームフローレイトが、好ましくは12〜60cm3/10分、より好ましくは16〜40cm3/10分、さらに好ましくは16〜30cm3/10分であることが好ましい。上記の溶融特性を有することにより、熱可塑繊維を溶融した際、強化繊維の繊維間に該樹脂が十分に含浸し、さらに得られる繊維強化プラスチックの剛性、耐衝撃性が容易となる。特に、熱可塑性樹脂としてポリカーボネート樹脂を用いる場合、上記メルトボリュームフローレイトを有する樹脂を用いることで、より顕著な効果得られることがわかった。
本発明における熱可塑性繊維の形態は、また、炭素繊維や耐熱有機繊維と同時に加工する際の加工性の観点から、カットファイバー(短繊維)であることが好ましく、繊維長は好ましくは20〜150mm、より好ましくは30〜100mm、さらに好ましくは35〜80mm、よりさらに好ましくは35〜65mmである。また、同様の観点から、繊維径は、好ましくは5〜150μm、より好ましくは5〜100μm、さらに好ましくは5〜60μmである。
本発明は、繊維強化プラスチック成形用の基材として用いることのできる強化繊維と熱可塑性繊維を混合したものである。強化繊維を予めマトリックス樹脂となる熱可塑性繊維と混合することにより、均一な基材を作成可能であり、例えばポリカーボネート樹脂のように溶融時の粘度が高い樹脂であっても、強化繊維近傍にマトリックス樹脂を存在させることが可能となるため、強化繊維とマトリックス樹脂を容易に密着させることができる。
本発明で用いるシート状の基布としては、不織布の形態であることが好ましく、乾式不織布、湿式不織布のいずれもが使用可能であるが、剛性、耐衝撃性を特に要求される製品においては、繊維長の長いことが有益であるため、乾式不織布法にて作成することがより好ましい。また、繊維は開繊機、カードなどの工程により繊維を開繊、混合することができるが、この際、一方向に引き揃えられることが剛性、耐衝撃性をより向上させる。
一方、湿式不織布法においては、完成した繊維強化プラスチックの剛性面では劣るものの、黒鉛、セラミックなどに代表されるフィーラーを同時に添加することにより、耐熱性、導電性、蓄熱性、伝熱性、電磁波遮蔽性などの新たな機能を追加した繊維強化プラスチックの作成が可能であり、非常に有用である。
本発明において、強化繊維と熱可塑性繊維とが、後述する単糸の角度を満足すれば、一部で交絡していてもよい。この交絡は、ニードルパンチ不織布の場合は針の打ち込み密度により、ウォーターニードルの場合は水柱の密度により、湿式不織布の場合は繊維の水中への分散、撹拌の条件の調整により上記範囲とすることができる。
また、本発明においては、後述する単糸間の角度を満足すれば、強化繊維同士、強化繊維が炭素繊維と耐熱有機繊維からなる場合、それらが少なくとも一部で交絡していることが好ましい。これによって、熱可塑性樹脂中に強化繊維が交絡せずに含有される繊維強化プラスチックと対比し、高い剛性や耐衝撃性を発揮することができる。かかる観点から、上記交絡の状態としては、強化繊維と熱可塑性繊維、または、強化繊維同士が不織布形状として互いの繊維が交絡していることが好ましい。
また、本発明においては、強化繊維同士、強化繊維が炭素繊維と耐熱有機繊維からなる場合、それらが少なくとも一部で交絡していることが好ましい。これによって、熱可塑性樹脂中に強化繊維が交絡せずに含有される繊維強化プラスチックと対比し、高い剛性や耐衝撃性を発揮することができる。かかる観点から、上記交絡の状態としては、強化繊維と熱可塑性繊維、または、強化繊維同士が不織布形状として互いの繊維が交絡していることが好ましい。
本発明においては、強化繊維単糸(a)とこれと交差する強化繊維単糸(b)とで成形される二次元配向角の平均値が10〜80°であることが肝要である。
本発明における強化繊維の配向としては、二次元配向角で表されるものである。一般的に強化繊維基材は強化繊維が束状になって構成されているケースが多く、このため基材として等方性を確保するのが難しく、成形品の強度低下の原因となる場合がある。強化繊維束が単糸に分散したとしても、強化繊維の単糸同士が平行して接触してしまうと同様の結果となる。さらには、厚み方向への繊維配向は、基材またはそれを積層して得られるプリフォームの厚み膨張の原因となり、取扱い性や成形性を著しく損なう場合がある。
本発明における強化繊維の配向としては、二次元配向角で表されるものである。一般的に強化繊維基材は強化繊維が束状になって構成されているケースが多く、このため基材として等方性を確保するのが難しく、成形品の強度低下の原因となる場合がある。強化繊維束が単糸に分散したとしても、強化繊維の単糸同士が平行して接触してしまうと同様の結果となる。さらには、厚み方向への繊維配向は、基材またはそれを積層して得られるプリフォームの厚み膨張の原因となり、取扱い性や成形性を著しく損なう場合がある。
ここで、二次元配向角としては、本発明における、強化繊維単糸(a)とこれと交差する強化繊維単糸(b)とで形成される二次元配向角について図面を用いて説明する。図1は本発明の基材の一例の強化繊維のみを面方向から観察した場合の、強化繊維の分散状態を表した模式図である。強化繊維単糸1に着目すると、強化繊維単糸1は強化繊維単糸2〜7と交差している。ここで交差とは、観察した二次元平面において着目した強化繊維単糸(a)が他の強化繊維単糸(b)と交わって観察される状態のことを意味する。ここで実際の基材において、強化繊維1と強化繊維2〜7が必ずしも接触している必要はない。二次元配向角は交差する2つの強化繊維単糸が形成する2つの角度のうち、0°以上90°以下の角度8と定義する。
具体的に基材から二次元配向角の平均値を測定する方法は、例えば、基材の表面から強化繊維の配向を観察する方法が例示できる。この場合、基材をカレンダー等により加熱加圧処理し熱可塑性繊維を溶融し、得られた基材を研磨して強化繊維を露出させ、その二次元配向角を測定する方法、また、基材に透過光を利用して強化繊維の二次元配向角を測定する方法が例示できる。この場合、加熱加圧処理した基材を薄くスライスすることで、より強化繊維を観察しやすくなるため好ましい。
本発明の二次元配向角の平均値とは、以下の手順(1)(2)で測定する。
1)無作為に選択した強化繊維単糸(a)(図1における強化繊維単糸1)に対して交差している全ての強化繊維単糸(b)(図1における強化繊維単糸2〜7)との二次元配向角の平均値を測定する。配向角は交差する2つの強化繊維単糸とのなす2つの角度のうち、0°以上90°以下の角度(鋭角側)を採用する。強化繊維単糸(a)に交差する強化繊維単糸(b)が多数の場合には、交差する強化繊維単糸(b)を無作為に20本選び測定した平均値を代用してもよい。
2)上記1)の測定を別の強化繊維単糸に着目して合計5回繰り返し、その平均値を二次元配向角の平均値として算出する。
1)無作為に選択した強化繊維単糸(a)(図1における強化繊維単糸1)に対して交差している全ての強化繊維単糸(b)(図1における強化繊維単糸2〜7)との二次元配向角の平均値を測定する。配向角は交差する2つの強化繊維単糸とのなす2つの角度のうち、0°以上90°以下の角度(鋭角側)を採用する。強化繊維単糸(a)に交差する強化繊維単糸(b)が多数の場合には、交差する強化繊維単糸(b)を無作為に20本選び測定した平均値を代用してもよい。
2)上記1)の測定を別の強化繊維単糸に着目して合計5回繰り返し、その平均値を二次元配向角の平均値として算出する。
本発明での強化繊維の二次元配向角の平均値は10°〜80°であり、好ましくは20°〜70°であり、より好ましくは30°〜60°度であり、理想的な角度である45度に近づくほど好ましい。二次元配向角の平均値が10°未満または80°より大きいと、強化繊維が束状のまま多く存在していることを意味しており、力学特性が低下するだけでなく、二次元の等方性が損なう場合や、厚み方向の強化繊維が無視できず積層工程での経済的負担が大きくなる場合がある。
また、本発明においては、基材の嵩密度は0.01〜0.7g/cm3であることが好ましく、0.1〜0.5g/cm3であることがより好ましい。嵩密度が0.01以下である場合には基材としての強度が十分に得られない可能性があり、0.7g/cm3を超える場合には十分な軽量性を確保できない可能性があるため好ましくない。また、嵩密度が0.7g/cm3を超える場合にはドレープ性(基材のしなやかさ)が乏しくなる可能性があり、積層または成形する際の作業性が著しく低下すると共に、立体成型をする際に型の曲面形状に正確に沿わず、しわ状になったり、強化繊維が折れ、成形品に欠陥が生じてしまう不具合が起こりやすい。
上記の二次元配向角を有する基材は、前記の強化繊維と熱可塑性繊維を混綿し、カード機を用いて一方向に引き揃えたウェブを、クロスレイヤー法を用いて、強化繊維の配向角の平均値が10°〜80°となるよう、該ウェブを積層することにより成形できる。
また、基材には上記の繊維配向が崩れない程度にニードルパンチをかけた不織布とすることもできる。この場合は、針の打ち込み密度を、好ましくは200〜800本/cm2、好ましくは300〜600本/cm2とすることが望ましい。打ち込み密度が200本/cm2未満では、十分に繊維同士を交絡させることができず、基材の形態維持性が低下し、繊維強化プラスチックに立体成型する際に目付が変動し易くなる。一方、打ち込み密度が700本/cm2を超えると、基材の伸度が低下し易くなり好ましくない。
上記基材とするためには、ニードルパンチ不織布を成形する際、例えば、ランダムウェーバー機を用いるか、針の打ち込み数が不織布の長さ方向と幅方向が同程度となるよう配列したカード機を用いることで、E1/E2を上記範囲とすることができる。
また、基材の1枚の目付は、好ましくは50〜500g/cm2、より好ましくは70〜400g/cm2、さらに好ましくは70〜300g/cm2である。目付が50g/cm2未満では取扱い性が悪くなる傾向があり、一方、目付が500g/cm2を超えると基材が硬くなり立体成形性が低下する傾向にある。
本発明の基材を用いて繊維強化プラスチックを成形する際は、基材を1枚または複数積層して用いることができる。本発明においては、1枚の基布の目付を上記範囲とすることにより、積層数を増やしても、基材が複雑な金型にも柔軟に適応して、立体成形を容易に行うことができる。
繊維強化プラスチックの成型方法としては、プレス成型、スタンパブル成型などが好適例として示されるが、一般的な熱圧成型法は全て適用可能である。この際、熱可塑性繊維の融点または軟化点以上の温度で加熱または加熱加圧を行うことで、好ましくは熱可塑性繊維の繊維形状がなくなり樹脂状となるまで溶融し、繊維強化プラスチックを成形することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
(1)繊維長、繊度
JIS L 1015に準拠して測定した。
(2)繊径
キーエンス社製光学顕微鏡DEGITAL MICROSCOPE VHX−1000を用い1000倍で繊維断面の直径を10本測定し、その平均値とした。
(3)繊維の引張強度、伸度、弾性率
ASTM D885に準拠して測定した。
(4)ポリカーボネート樹脂のメルトボリュームフローレイト
ISO 1133に準拠して300℃、荷重1.2kgにて測定した。
(5)各繊維の融点、軟化点、熱分解開始温度
株式会社リガク社製示差熱分析装置TAS200にて窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分にて測定し算出した。
(6)二次元配向角
熱可塑性繊維にポリカーボネート繊維を用いた基材は成型圧力5MPa、成型温度が300℃にて、ポリプロピレン繊維を用いた基材は成型圧力5MPa、成型温度が220℃にてプレス加工して、得られた基材をスライスし透過光を利用して光学顕微鏡にて測定した。この際、無作為に強化繊維単糸(a)を1本選定し、該強化繊維単糸に交差する別の強化繊維との二次元配向角を顕微鏡観察にて測定した。配向角は0°以上90°以下の角度(鋭角側)を採用し、1本あたりの配向角の測定数はn=20とした。
(7)基材の嵩密度
目付、および厚みから計算した。
(8)基材の引張強度
JIS L 1906に準じて測定した。任意の方向を0°とした場合に方向と90°方向および+45°方向、−45°方向についてそれぞれ測定した。
(9)基材の等方性評価
引張強度の面内ばらつきをもとに以下の基準で判定した。
○:最大値が最小値の1.0倍以上1.3倍以下
△:最大値が最小値の1.3倍以上2.0倍以下
×:最大値が最小値の2倍以上
(1)繊維長、繊度
JIS L 1015に準拠して測定した。
(2)繊径
キーエンス社製光学顕微鏡DEGITAL MICROSCOPE VHX−1000を用い1000倍で繊維断面の直径を10本測定し、その平均値とした。
(3)繊維の引張強度、伸度、弾性率
ASTM D885に準拠して測定した。
(4)ポリカーボネート樹脂のメルトボリュームフローレイト
ISO 1133に準拠して300℃、荷重1.2kgにて測定した。
(5)各繊維の融点、軟化点、熱分解開始温度
株式会社リガク社製示差熱分析装置TAS200にて窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分にて測定し算出した。
(6)二次元配向角
熱可塑性繊維にポリカーボネート繊維を用いた基材は成型圧力5MPa、成型温度が300℃にて、ポリプロピレン繊維を用いた基材は成型圧力5MPa、成型温度が220℃にてプレス加工して、得られた基材をスライスし透過光を利用して光学顕微鏡にて測定した。この際、無作為に強化繊維単糸(a)を1本選定し、該強化繊維単糸に交差する別の強化繊維との二次元配向角を顕微鏡観察にて測定した。配向角は0°以上90°以下の角度(鋭角側)を採用し、1本あたりの配向角の測定数はn=20とした。
(7)基材の嵩密度
目付、および厚みから計算した。
(8)基材の引張強度
JIS L 1906に準じて測定した。任意の方向を0°とした場合に方向と90°方向および+45°方向、−45°方向についてそれぞれ測定した。
(9)基材の等方性評価
引張強度の面内ばらつきをもとに以下の基準で判定した。
○:最大値が最小値の1.0倍以上1.3倍以下
△:最大値が最小値の1.3倍以上2.0倍以下
×:最大値が最小値の2倍以上
[実施例1]
繊維径7μmの炭素繊維(東邦テナックス製、引張強度4200MPa)を35mmにカットした繊維20重量%、アラミド繊維(コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維)(帝人テクノプロダクツ製 テクノーラ(商標)、引張強度3400MPa)を51mmにカットした繊維20重量%、ポリカーボネート樹脂(帝人化成製 パンライトL−1225L メルトボリュームフローレイト 18cm3/10分間)を290℃にて溶融押し出しし、直径30μm、伸度65%のフィラメントとし、これを51mmにカットした繊維60重量%を開繊機にて混合し、カード工程を通過させることにより、一方向に繊維が引き揃えられた繊維ウェブを作成した。これをクロスレイヤー法により交差角が45°となるように積層し、プラスチック成形用基材を得た。得られた基材の強化繊維の二次元配向角は40°、嵩密度は0.1g/cm2、引張強度(最大値)は112.0N/5cm、等方性は○であった。また、得られた基材は形態保持性が十分であり、成形材料として問題なく取り扱えるレベルであった。
繊維径7μmの炭素繊維(東邦テナックス製、引張強度4200MPa)を35mmにカットした繊維20重量%、アラミド繊維(コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維)(帝人テクノプロダクツ製 テクノーラ(商標)、引張強度3400MPa)を51mmにカットした繊維20重量%、ポリカーボネート樹脂(帝人化成製 パンライトL−1225L メルトボリュームフローレイト 18cm3/10分間)を290℃にて溶融押し出しし、直径30μm、伸度65%のフィラメントとし、これを51mmにカットした繊維60重量%を開繊機にて混合し、カード工程を通過させることにより、一方向に繊維が引き揃えられた繊維ウェブを作成した。これをクロスレイヤー法により交差角が45°となるように積層し、プラスチック成形用基材を得た。得られた基材の強化繊維の二次元配向角は40°、嵩密度は0.1g/cm2、引張強度(最大値)は112.0N/5cm、等方性は○であった。また、得られた基材は形態保持性が十分であり、成形材料として問題なく取り扱えるレベルであった。
[実施例2]
熱可塑性繊維を直径18μm、伸度56%のポリプロピレン繊維に変更した以外は実施例1と同様にして、繊維強化プラスチック成形用基材を作成した。得られた基材の強化繊維の二次元配向角は42°、嵩密度は0.1g/cm2、引張強度(最大値)は56.9N/5cm、等方性は○であった。また、得られた基材は形態保持性が十分であり、成形材料として問題なく取り扱えるレベルであった。
熱可塑性繊維を直径18μm、伸度56%のポリプロピレン繊維に変更した以外は実施例1と同様にして、繊維強化プラスチック成形用基材を作成した。得られた基材の強化繊維の二次元配向角は42°、嵩密度は0.1g/cm2、引張強度(最大値)は56.9N/5cm、等方性は○であった。また、得られた基材は形態保持性が十分であり、成形材料として問題なく取り扱えるレベルであった。
[実施例3]
嵩密度を0.7g/cm2に変更した以外は実施例1と同様にして、繊維強化プラスチック成形用基材を作成した。得られた基材の強化繊維の二次元配向角は40°、引張強度(最大値)は559.9N/5cm、等方性は○であった。また、得られた基材は形態保持性が十分であり、成形材料として問題なく取り扱えるレベルであった。
嵩密度を0.7g/cm2に変更した以外は実施例1と同様にして、繊維強化プラスチック成形用基材を作成した。得られた基材の強化繊維の二次元配向角は40°、引張強度(最大値)は559.9N/5cm、等方性は○であった。また、得られた基材は形態保持性が十分であり、成形材料として問題なく取り扱えるレベルであった。
[実施例4]
嵩密度を0.01g/cm2に変更した以外は実施例1と同様にして、繊維強化プラスチック成形用基材を作成した。得られた基材の強化繊維の二次元配向角は39°、引張強度(最大値)は38.5N/5cm、等方性は○であった。また、得られた基材は形態保持性が十分であり、成形材料として問題なく取り扱えるレベルであった。
嵩密度を0.01g/cm2に変更した以外は実施例1と同様にして、繊維強化プラスチック成形用基材を作成した。得られた基材の強化繊維の二次元配向角は39°、引張強度(最大値)は38.5N/5cm、等方性は○であった。また、得られた基材は形態保持性が十分であり、成形材料として問題なく取り扱えるレベルであった。
[比較例1]
クロスレイヤーを行わなかった以外は実施例1と同様にして、繊維強化プラスチック成形用基材を作成した。得られた基材の強化繊維の二次元配向角は9°、嵩密度は0.1g/cm2、引張強度(最大値)は369.6N/5cm、等方性は×であった。
クロスレイヤーを行わなかった以外は実施例1と同様にして、繊維強化プラスチック成形用基材を作成した。得られた基材の強化繊維の二次元配向角は9°、嵩密度は0.1g/cm2、引張強度(最大値)は369.6N/5cm、等方性は×であった。
本発明の繊維強化プラスチック成形用基材は、立体成形性に優れ、該基材からは機械的特性、耐衝撃性に優れた繊維強化プラスチックを製造することができる。また、本発明の基材から得られた繊維強化プラスチックは、補強用、摩擦・摺動用、自動車、船舶などの産業用部品、電気・電子機器、AV機器、OA機器、建築用の部品・部材、建材、建具、パッキン類又はシール類などに好適に用いることができる。
1〜7:強化繊維単糸
8:二次元配向角
8:二次元配向角
Claims (11)
- 強化繊維と熱可塑性繊維とからなり、強化繊維:熱可塑性繊維が重量比で5:95〜70:30であり、強化繊維単糸(a)とこれと交差する強化繊維単糸(b)とで成形される二次元配向角の平均値が10〜80°であることを特徴とする繊維強化プラスチック成形用基材。
- 基材の嵩密度が0.01〜0.7g/cm3である請求項1の繊維強化プラスチック成形用基材。
- 基材の強化繊維と熱可塑性繊維が一部で交絡している請求項1または2に記載の繊維強化プラスチック成形用基材。
- 強化繊維が、炭素繊維、および/または、融点、軟化点又は熱分解開始温度が250℃以上の耐熱有機繊維である請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形用基材。
- 耐熱有機繊維がアラミド繊維、ポリオキシベンザゾール繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維から選ばれる少なくとも一種である請求項4に記載の繊維強化プラスチック成形用基材。
- 熱可塑性繊維が、ポリプロプピレン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂から選ばれる少なくとも一種からなる請求項1〜5のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形用基材。
- 強化繊維の繊維直径が5〜100μmである請求項1〜6のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形用基材。
- 強化繊維の繊維長が20〜150mmである請求項1〜7のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形用基材。
- 熱可塑性繊維を構成する熱可塑性樹脂のメルトボリュームフローレイトが16〜60cm3/10分である請求項1〜8のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形用基材。
- 炭素繊維と耐熱性有機繊維との両方を含み、該炭素繊維と該耐熱性有機繊維が少なくとも一部で交絡している請求項1〜9のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形用基材。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形用基材を熱可塑性繊維の融点または軟化点以上の温度で加熱処理または加熱加圧処理してなる繊維強化プラスチック。
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JP2012200976A JP2014055239A (ja) | 2012-09-12 | 2012-09-12 | 繊維強化プラスチック成形用基材 |
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JP (1) | JP2014055239A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN114761213A (zh) * | 2019-11-29 | 2022-07-15 | 东丽株式会社 | 纤维增强复合材料及夹层结构体 |
-
2012
- 2012-09-12 JP JP2012200976A patent/JP2014055239A/ja active Pending
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