JP2014051705A - 金属ナノ複合粒子と当該粒子の集合体 - Google Patents

金属ナノ複合粒子と当該粒子の集合体 Download PDF

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Abstract

【課題】高い分散安定性を有し凝集し難い金属ナノ複合粒子とその製造方法、金属ナノ粒子の特性を維持しつつ高密度に集合させた金属ナノ複合粒子の集合体を提供する。
【解決手段】金属ナノ複合粒子は、周期律表第2族から15族の中より選ばれる少なくとも一種の金属またはその合金、金属間化合物からなる金属ナノ粒子と有機化合物(A)を含み;金属ナノ粒子が有機化合物(A)に修飾されており;且つ、有機化合物が、その片末端に2−イミダゾリジノン含有基を有し、他末端にイオウ含有基を有するものである。
【選択図】図2

Description

本発明は、金属ナノ粒子と有機物との複合粒子とその製造方法、および、当該粒子の集合体に関する技術である。詳しくは、本発明粒子は金属ナノ粒子を有機物で修飾して得られる複合粒子であり、さらに当該粒子を処理することで得られる粒子集合体に関するものである。
ナノレベルの金属微粒子を高分散することができれば、配線、色素、センサーなどの優れた材料とすることができる。
よって、従来から、高い分散安定性を有するナノレベルの金属微粒子の提供が望まれている。
例えば、金属ナノ粒子とヘムタンパク質二量体由来のアポタンパク質との複合体による金属ナノ粒子が提案されている(特許文献1と非特許文献1)。
国際公開第2011/111253号パンフレット
第24回生体機能関連シンポジウム・第12回バイオテクノロジー部会シンポジウム 講演要旨集,2009年,P202
上述したように、高い分散安定性を有するナノレベルの金属微粒子や、その高密度分散液は非常に有用であり、その開発が望まれている。
ところが、金属をナノレベルの粒子とすると金属粒子の接触面積や表面エネルギーが増大するため、少しの外部からの力により凝集し巨大粒子に成長し易くなることから、数多くのナノレベルの金属粒子を限られた空間に安定して存在させることは非常に困難である。また、ナノレベルの金属粒子の特性を維持しつつ凝集を防止するために、金属ナノ粒子をポリエチレングリコールなどの高分子で修飾する技術が開発されているが、高分子同士の反発などにより粒子間の距離が大きくならざるを得ず、その分散液中の密度が低くなってしまう。
そこで本発明は、高い分散安定性を有し凝集し難い金属ナノ複合粒子とその製造方法、金属ナノ粒子の特性を維持しつつ高密度に集合させた金属ナノ複合粒子の集合体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、2−イミダゾリジノンを含む化合物で金属ナノ粒子を修飾することにより粒子の分散安定性を改善できることができ、且つ、かかる金属ナノ複合粒子はストレプトアビジンなどにより適度な間隔をもって集合させることができることを見出して、本発明を完成した。
本発明に係る金属ナノ複合粒子は、金属ナノ粒子と有機化合物(A)を含み;金属ナノ粒子が有機化合物(A)に修飾されており;且つ、有機化合物が、その片末端に2−イミダゾリジノン含有基を有し、他末端にイオウ含有基を有するものであることを特徴とする。
上記有機化合物(A)としては、下記一般式1で表されるものを例示することができる。
[式中、Xは2−イミダゾリジノン含有基を示し;Zはイオウ含有基を示し;R1、R2、R3およびR4は、独立して、水素原子、C1-20アルキル基、C6-12アリール基、C7-13アラルキル基、C1-20アルコキシ基、C6-12アリールオキシ基、C7-13アラルキルオキシ基、C1-20アルキルチオ基、C6-12アリールチオ基またはC7-13アラルキルチオ基を示し;Yは、式−P−Q−R−で表される2価の基(−P−と−R−は独立して−O−、−S−または−NH−を示し;−Q−は、C1-20アルキレン基、ポリエチレングリコール基、ポリプロピレングリコール基、ポリエチレンチオグリコール基、ポリプロピレンチオグリコール基またはC6-12アリーレン基を示す)を示し;aは、0以上、10以下の整数を示し;bは、0または1を示し;cは、0または1を示し;dは、0以上、10以下の整数を示す。]
また、上記有機化合物(A)としては、下記一般式2で表されるものを例示することができる。
[式中、Yは上記と同義を示す。]
上記金属ナノ粒子としては、周期表第2族から第15族の中から選ばれる少なくとも一種の金属元素の金属またはその合金またはその金属間化合物からなるもの、より具体的には、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Se、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、La、Ce、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、PbおよびBiからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属元素の金属または合金または金属間化合物からなるものが好ましい。
本発明に係る金属ナノ複合粒子を製造するための方法は、イオウ含有基とカルボキシ基を有する有機化合物(化合物A1)で金属ナノ粒子を処理することにより、化合物A1中のイオウ原子と金属ナノ粒子とを相互作用させる工程;および、溶媒中、脱水縮合剤の存在下、2−イミダゾリジノン含有基とアミノ基を有する有機化合物(化合物A2)で処理することにより、化合物A1のカルボキシ基と化合物A2のアミノ基を反応させてアミド結合させる工程を含むことを特徴とする。
上記製造方法においては、化合物A1として、α−リポ酸、チオグリコール酸、6−メルカプトヘキサン酸、16−メルカプトヘキサデカン酸およびチオプロニンからなる群から選ばれる少なくとも一種を用い;化合物A2として、(+)−ビオチニル−3,6−ジオキサオクタンジアミン、(+)−ビオチニル−3,6,9−トリオキサウンデカンジアミン、(+)−ビオチニルオクタンジアミンおよび(+)−ビオチニルウンデカンジアミンからなる群から選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましい。
本発明に係る金属ナノ複合粒子の集合体は、上記金属ナノ複合粒子の集合体であることを特徴とする。
本発明に係る金属ナノ複合粒子の集合体としては、複数の金属ナノ複合粒子が、ビオチン結合タンパク質により結合されているものを挙げることができる。
本発明に係る金属ナノ複合粒子は、優れた分散安定性を有し凝集し難い一方で、その表面に結合した化合物同士を容易に結合させることができるため、複数の金属ナノ粒子を、適度な間隔を保ちつつも高密度で集合させることができる。よって、本発明に係る金属ナノ複合粒子とその集合体は、金属ナノ粒子の特性をそのまま有する材料などとして非常に有用である。
図1は、本発明にかかる第一発明である金属ナノ複合粒子を示したイメージ図である。 図2は、本発明にかかる第二発明である金属ナノ複合粒子の集合体を示したイメージ図である。 図3は、実施例1で得られたα−リポ酸保護金ナノ粒子を、透過型電子顕微鏡により撮影した拡大写真である。 図4は、実施例1で得られたビオチン化金ナノ複合粒子を、透過型電子顕微鏡により撮影した拡大写真である。 図5は、実施例1で得られた金ナノ複合粒子の吸収スペクトルの結果である。実線はクエン酸保護金ナノ粒子の吸収スペクトルを示し、破線はα−リポ酸保護金ナノ粒子(AuNP)の吸収スペクトルを示し、点線はビオチン化金ナノ粒子(Biot−AuNP)の吸収スペクトルを示す。 図6は、実施例1で得られた金ナノ複合粒子の集合体を、透過型電子顕微鏡により撮影した拡大写真である。 図7は、実施例1で得られた金ナノ複合粒子の集合体の吸収スペクトルの結果である。実線はα−リポ酸保護金ナノ粒子AuNPの吸収スペクトルを示し、破線はビオチン化金ナノ粒子(Biot−AuNP)の吸収スペクトルを示し、点線は金ナノ複合粒子の集合体(Biot−AuNP/Sav)の吸収スペクトルを示す。 図8は、実施例1で得られた金ナノ複合粒子の集合体をアガロース電気泳動した結果の写真である。レーン1〜4とレーン5〜8は、それぞれα−リポ酸保護金ナノ粒子(AuNP)またはビオチン化金ナノ粒子(Biot−AuNP)に対してストレプトアビジン(Sav)を添加した例の結果である。Savの使用量は、それぞれ粒子に対して、レーン1で0等量、レーン2で0.25等量、レーン3で0.5等量、レーン4で1等量、レーン5で0等量、レーン6で0.25等量、レーン7で0.5等量、レーン8で1等量である。 図9は、実施例2で得られたα−リポ酸保護銀ナノ粒子を、透過型電子顕微鏡により撮影した拡大写真である。 図10は、実施例2で得られた銀ナノ複合粒子の吸収スペクトルの結果である。点線はα−リポ酸保護銀ナノ粒子の吸収スペクトルを示し、実線はビオチン化銀ナノ粒子の吸収スペクトルを示す。
第一の本発明は、金属ナノ粒子と有機化合物(A)を含み;金属ナノ粒子が有機化合物(A)に修飾されており;且つ、有機化合物が、その片末端に2−イミダゾリジノン含有基を有し、他末端にイオウ含有基を有するものであることを特徴とする金属ナノ複合粒子に関するものである。以下、先ず、第一発明について説明する。
本発明に係る金属ナノ複合粒子を構成する金属ナノ粒子は、周期表第2族から第15族の中から選ばれる少なくとも一種の金属元素の金属またはその合金またはその金属間化合物からなるものが好ましい。
好ましい金属元素は、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Se、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、La、Ce、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、PbおよびBiからなる群から選ばれる少なくとも一種であり、さらに好ましくは、Ti、V、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Sb、Ce、Ta、W、Re、Pt、Au、PbおよびBiからなる群から選ばれる少なくとも一種であり、最も好ましくはAgまたはAuである。
本発明に係る金属ナノ粒子が金属からなる場合、不可避的に他の成分を含むものであってもよい。具体的には、例えばICP発光分析法や原子吸光法による分析で、95質量%以上が所定の金属であるものであればよい。当該割合としては96質量%以上がより好ましく、98質量%以上がより好ましく、99質量%以上がさらに好ましく、99.9質量%以上が特に好ましい。また、当該割合の上限は特に制限されないが、他の成分が検出限界以下、即ち、分析により100質量%が所定の金属であるものが好ましい。
本発明に係る金属ナノ粒子が合金からなる場合、合金とは、2以上の金属の混合物をいう。本発明で用い得る合金としては、例えば、Fe−Ni合金、Fe−Co合金、Fe−Si合金、Fe−Mn合金、Cu−Zn合金、Cu−Sn合金、Cu−Ni合金、Cu−Au合金、Cu−Ag合金、Al−Cu合金、Al−Si合金、Al−Mg合金、Ni−Cr合金、Pb−Sn合金、Pb−Sb合金、Sn−Sb合金、Ce−La合金、Fe−Cr−Mo合金、Fe−Mn−Mo合金、Fe−Ni−Cr合金、Fe−Ni−Co合金、Fe−Si−Al合金、Cu−Zn−Ni合金、Cu−Ni−Fe合金、Ni−Cr−Ag合金、Co−Cr−W合金などを挙げることができる。
本発明に係る金属ナノ粒子が金属間化合物からなる場合、金属間化合物とは、2以上の金属からなる均一な化合物をいう。本発明で用い得る金属間化合物としては、例えば、TiAl、Ti3Al、NiAl、Ni3Al、FeAl,Fe2Al,Al3Ti、MoSi2、Nb3Sn、V2Ga、Ni3Mn、Fe3(AlSi)、MnAl、PtCo、PtFe、Pd3Pb、TiNi、CuAlNi、CuZnSi、CuZnSn、CuZnAl、CuAuZn、Mg2Ni、FeTi、LaNi6などを挙げることができる。
本発明に係る金属ナノ粒子は、厳密に金属のみ、合金のみまたは金属間化合物のみからなるものに限定されず、金属、合金および金属間化合物から選択される2種以上の混合物からなるものであってもよいものとする。
本発明に係る金属ナノ粒子は、当業者公知の方法により製造することができる。例えば、プラズマ法、気相法、液相法、固相法などを用いればよい。例えばこれら方法の中から、金属ナノ粒子の種類や粒径に応じて最適な方法を選択できる。通常は、液相中で金属塩化合物を還元剤により処理する湿式還元法が簡便に用いられる。
当該製法の一例として金の場合は、市販の金化合物溶液を加熱還流して金ナノ粒子を得ることができるが、場合によって還流時あるいは常温での撹拌時に還元剤や保護剤として働く添加剤を加えることにより、より安定な金のナノ粒子を得ることができる。他の金属、複数の金属からなる金属ナノ粒子も、同様な手法で容易に得ることができる。還元剤としてはヒドロホウ酸ナトリウム、ジボラン、クエン酸を用いることができる。また、保護剤としては、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の高分子保護剤;テトラオクチルアンモニウムブロミド;クエン酸を用いることができ、好ましくはヒドロホウ酸ナトリウムやクエン酸であり、さらに好ましくはクエン酸である。
本発明に係る金属ナノ粒子の粒径としては、0.1nm以上、100nm以下が好ましく、1.0nm以上、20nm以下がより好ましい。なお、金属ナノ粒子の粒径は、その製造条件により、例えば保護剤の種類や使用量により調整することができる。また、金属ナノ粒子の粒径は、粒子の分散液の顕微鏡写真を画像解析ソフトで解析することにより測定することができる。
本発明に係る金属ナノ複合粒子を構成する有機化合物(A)は、その片末端に2−イミダゾリジノン含有基を有し、他末端にイオウ含有基を有する化合物である。
2−イミダゾリジノン含有基は、2−イミダゾリジノン基またはその構造内に2−イミダゾリジノン構造を有する一価の基をいう。例えば、2−イミダゾリジノン基の他、D−[(+)−cis−ヘキサヒドロ−2−オキソ−1H−チエノ−(3,4)−イミダゾール]基または5−メチル−2−オキソ−4−イミダゾリン基を挙げることができる。
イオウ含有基は、その構造中に、チオール基(−SH)、スルフィド基(−S−)およびジスルフィド基(−S−S−)から選択される1または2以上を有する基をいう。例えば、−SH基、−SSH基、C1-20アルキルチオ基、テトラヒドロチオフェニル基、テトラヒドロチオピラニル基、ジチオラン基を挙げることができる。
有機化合物(A)において、2−イミダゾリジノン含有基とイオウ含有基は直結されていてもよい。しかし、本発明に係る金属ナノ複合粒子の合成のし易さなどを考慮して、これら基はリンカー基を介して互いに結合していることが好ましい。かかるリンカー基としては、例えば、C1-6アルキレン基、アミノ基(−NH−)、エーテル基(−O−)、スルフィド基(−S−)、カルボニル基(>C=O)、チオニル基(>C=S)、エステル基(−C(=O)O−または−OC(=O)−)、アミド基(−NHC(=O)−または−C(=O)NH−);および、C1-6アルキレン基、アミノ基、エーテル基、スルフィド基、カルボニル基、チオニル基、エステル基およびアミド基からなる群より選択される2以上の基の組合せからなる基を挙げることができる。
有機化合物(A)としては、下記一般式1で表されるものを挙げることができる。
[式中、
Xは2−イミダゾリジノン含有基を示し、
Zはイオウ含有基を示し、
1、R2、R3およびR4は、独立して、水素原子、C1-20アルキル基、C6-12アリール基、C7-13アラルキル基、C1-20アルコキシ基、C6-12アリールオキシ基、C7-13アラルキルオキシ基、C1-20アルキルチオ基、C6-12アリールチオ基またはC7-13アラルキルチオ基を示し、
Yは、式−P−Q−R−で表される2価の基(−P−と−R−は独立して−O−、−S−または−NH−を示し;−Q−は、C1-20アルキレン基、ポリエチレングリコール基、ポリプロピレングリコール基、ポリエチレンチオグリコール基、ポリプロピレンチオグリコール基またはC6-12アリーレン基を示す)を示し、
aは、0以上、10以下の整数を示し、
bは、0または1を示し、
cは、0または1を示し、
dは、0以上、10以下の整数を示す。]
本発明において「C1-20アルキル基」は、炭素数1〜20の直鎖状または分枝鎖状の一価飽和炭化水素基をいう。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−テトラデシル基、n−オクタデシル基、n−イコシル基を挙げることができる。当該基としては、C1-10アルキル基が好ましく、C1-6アルキル基がより好ましく、C1-4アルキル基がさらに好ましく、C1-2アルキル基が特に好ましい。
「C6-12アリール基」は、炭素数6〜12の一価芳香族炭化水素基をいう。例えば、フェニル基、インデニル基、ナフチル基、ビフェニル基を挙げることができる。当該基としてはフェニル基が好ましい。
「C7-13アラルキル基」は、上記アリール基に置換された上記アルキル基であって、炭素数が7〜13のものをいう。例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ビフェニルメチル基を挙げることができる。当該基としてはベンジル基が好ましい。
「C1-20アルコキシ基」は、炭素数1〜20の直鎖状または分枝鎖状の一価飽和炭化水素オキシ基をいう。例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペントキシ基、n−ヘキシルオキシ基を挙げることができる。当該基としては、C1-10アルコキシ基が好ましく、C1-6アルコキシ基がより好ましく、C1-4アルコキシ基がさらに好ましく、C1-2アルコキシ基が特に好ましい。
「C6-12アリールオキシ基」は、炭素数6〜12の一価芳香族炭化水素オキシ基をいう。例えば、フェノキシ基、インデニルオキシ基、ナフチルオキシ基、ビフェニルオキシ基を挙げることができる。当該基としてはフェノキシ基が好ましい。
「C7-13アラルキルオキシ基」は、上記アリール基に置換された上記アルコキシ基であって、炭素数が7〜13のものをいう。例えば、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、ナフチルメトキシ基、ナフチルエトキシ基、ビフェニルメトキシ基を挙げることができる。当該基としてはベンジルオキシ基が好ましい。
「C1-20アルキルチオ基」は、炭素数1〜20の直鎖状または分枝鎖状の一価飽和炭化水素チオ基をいう。例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、s−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、n−ヘキシルチオ基を挙げることができる。当該基としては、C1-10アルキルチオ基が好ましく、C1-6アルキルチオ基がより好ましく、C1-4アルキルチオ基がさらに好ましく、C1-2アルキルチオ基が特に好ましい。
「C6-12アリールチオ基」は、炭素数6〜12の一価芳香族炭化水素チオ基をいう。例えば、フェニルチオ基、インデニルチオ基、ナフチルチオ基、ビフェニルチオ基を挙げることができる。当該基としてはフェニルチオ基が好ましい。
「C7-13アラルキルチオ基」は、上記アリール基に置換された上記アルキルチオ基であって、炭素数が7〜13のものをいう。例えば、ベンジルチオ基、フェネチルチオ基、ナフチルメチルチオ基、ナフチルエチルチオ基、ビフェニルメチルチオ基を挙げることができる。当該基としてはベンジルチオ基が好ましい。
「C1-20アルキレン基」は、炭素数1〜20の直鎖状または分枝鎖状の二価飽和炭化水素基をいう。例えば、メチレン基、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、1,2−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基を挙げることができる。当該基としては、C1-10アルキレン基が好ましく、C1-6アルキレン基がより好ましい。
「ポリエチレングリコール基」は、−CH2CH2O−または−OCH2CH2−を基本単位の重合体からなる二価の基をいう。なお、当該基の末端−O−基は、P基またはR基で置換されるものとする。
「ポリプロピレングリコール基」は、−CH2CH(CH3)O−または−OCH(CH3)CH2−を基本単位の重合体からなる二価の基をいう。重合度は特に制限されないが、なお、当該基の末端−O−基は、P基またはR基で置換されるものとする。
「ポリエチレンチオグリコール基」は、−CH2CH2S−または−SCH2CH2−を基本単位の重合体からなる二価の基をいう。なお、当該基の末端−S−基は、P基またはR基で置換されるものとする。
「ポリプロピレングリコール基」は、−CH2CH(CH3)S−または−SCH(CH3)CH2−を基本単位の重合体からなる二価の基をいう。なお、当該基の末端−S−基は、P基またはR基で置換されるものとする。
ポリエチレングリコール基、ポリプロピレングリコール基、ポリエチレンチオグリコール基およびポリプロピレングリコール基において、基本単位の重合度は特に制限されないが、例えば2以上、200以下とすることができる。当該重合度としては、100以下が好ましく、50以下がより好ましく、20以下がさらに好ましく、10以下がさらに好ましく、5以下がさらに好ましい。当該重合度としては、3または4が特に好ましい。
「C6-12アリーレン基」は、炭素数6〜12の二価芳香族炭化水素基をいう。例えば、フェニレン基、インデニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基を挙げることができる。当該基としてはフェニレン基または4,4’−ビフェニレン基が好ましい。
有機化合物(A)としては、下記一般式2で表されるものがより好ましい。
[式中、Yは上記と同義を示す。]
本発明に係る金属ナノ複合粒子では、金属ナノ粒子が有機化合物(A)に修飾されている。即ち、有機化合物(A)中のイオウ原子(−S−)は金属粒子の表面と容易に配位結合するので、有機化合物(A)はイオウ原子を介して金属ナノ粒子に結合することができる。この結合は比較的強いことが知られている。
有機化合物(A)は、試薬として市販されているものであれば購入し、また合成する場合であれば、(1)2−イミダゾリジノン含有基を有する化合物と、イオウ含有基を有する化合物とを縮合する方法により得られる。また、有機化合物(A)は金属ナノ粒子上で合成することもできる。例えば、(2)イオウ含有基を有する化合物により金属ナノ粒子を修飾した後、2−イミダゾリジノン含有基を有する化合物と当該イオウ含有基を有する化合物とを反応させる方法、(3)イオウ含有基を有する化合物と、金属ナノ粒子と、2−イミダゾリジノン含有基を有する化合物とを同時に反応させる方法を挙げることができる。(2)および(3)の方法においては、2−イミダゾリジノン含有基とイオウ含有基を結合するリンカー基に当たる部分は、2−イミダゾリジノン含有基またはイオウ含有基を有する化合物の何れに含まれていてもよいものとする。好ましくは(1)および(2)の方法である。
さらに詳しくは、当該有機化合物(A)を金属ナノ粒子上で得る方法としては、イオウ含有基とカルボキシ基を有する有機化合物(化合物A1)で金属ナノ粒子を処理することにより、化合物A1中のイオウ原子と金属ナノ粒子とを相互作用させる工程と、溶媒中、脱水縮合剤の存在下、2−イミダゾリジノン含有基とアミノ基を有する有機化合物(化合物A2)で処理することにより、化合物A1のカルボキシ基と化合物A2のアミノ基を反応させてアミド結合させる工程を含むものを挙げることができる。
この場合、化合物A1としては、α−リポ酸、チオグリコール酸、6−メルカプトヘキサン酸、16−メルカプトヘキサデカン酸およびチオプロニンからなる群から選ばれる少なくとも一種が好ましく、化合物A2としては、(+)−ビオチニル−3,6−ジオキサオクタンジアミン、(+)−ビオチニル−3,6,9−トリオキサウンデカンジアミン、(+)−ビオチニルオクタンジアミンおよび(+)−ビオチニルウンデカンジアミンからなる群から選ばれる少なくとも一種が好ましい。
溶媒としては、リン酸緩衝液、トリスヒドロキシメチルアミノメタン塩酸塩緩衝液、MES(2−(N−モルフォリノ)エタンスルホン酸)緩衝液、水、DMF、ピリジン等が好ましい。
脱水縮合剤としては、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、を単一あるいは複数組み合わせて使うことが好ましい。
本発明に係る金属ナノ複合粒子は、金属ナノ粒子を有機化合物(A)で修飾することで合成することができる。修飾できれば何れの方法であってもよいが、好ましい修飾方法としては、金属ナノ粒子を有機化合物(A)で直接修飾する方法であり、修飾に際して、(4)金属ナノ粒子を表面処理する方法、または、(5)有機化合物(A)を処理し金属ナノ粒子を修飾しやすくすることで修飾する方法をとることができる。
他の方法としては、上述したように金属ナノ粒子上で有機化合物(A)を合成することで修飾する方法であり、有機化合物(A)を各部分毎に形成することができる。
例えば、有機化合物(A)を合成するときに用いる化合物A1と化合物A2を用いて示す。最初に、金属ナノ粒子の分散液に化合物A1を加え、場合によってはアルカリ性物質を加えアルカリ性の状態で熟成させ、金属ナノ粒子を化合物A1で修飾する。熟成は、数時間から一晩撹拌することにより行えばよい。修飾時には緩衝剤を添加し緩やかな条件で修飾することもできる。
次いで、得られた粒子と液を分離し、粒子を洗浄した後、当該粒子を溶媒に入れた後、化合物A2を加えて粒子に結合した化合物A1と反応させ、粒子と液を分離し、粒子を洗浄する。
当該分離は遠心分離機を用いることができる。当該洗浄は純水、アルカリ性液で洗浄することができる。洗浄回数は数回することができる。
金属ナノ粒子を有機化合物(A)で直接修飾するには、通常、室温、例えば10℃〜40℃で修飾させることができる。これらの処理は通常、常圧である。
さらに詳しい製造条件は、以下のとおりである。
金属ナノ粒子と化合物A1とを処理する工程(金属ナノ粒子表面保護工程)
クエン酸等で保護された金属ナノ粒子の分散液(1mM,100mL)を常圧室温で激しく撹拌しながら、チオール化合物を含む溶液(3.36mM,3mL)をゆっくりと滴下する。その後、反応溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液を加えて金属ナノ粒子が分解しない程度のアルカリ性溶液に調整し、さらに室温で12時間撹拌する。この溶液を遠心分離(15000rpm,20分間)により金属ナノ粒子を分離後、金属ナノ粒子が分解しない程度のアルカリ性溶液に置換する。化合物A1で保護された金属ナノ粒子を、遠心分離(15000rpm,30分間)による分離後、金属ナノ粒子が分解しない程度のアルカリ性溶液で洗浄操作を3回繰り返し、有機溶媒や未反応のチオール化合物を除去し、化合物A1で保護された金属ナノ粒子を得る。
金属ナノ粒子表面保護工程に次いで、溶媒中、化合物A2で処理する工程(金属ナノ粒子表面修飾工程)
化合物A1で表面保護された金属ナノ粒子を水溶液に分散し、80nMの分散液を調製する。この金属ナノ粒子分散液(250μL)と化合物A2の水溶液を常圧下、室温で混合し、5分撹拌した後、脱水縮合剤の緩衝液(0.13mM,150μL)加え、常圧下、室温で一晩撹拌した。この溶液中の金属ナノ粒子を遠心分離(7000rpm,10分間)した後に、水酸化ナトリウム水溶液(pH10.2)に分散する。得られた化合物A2で表面保護された金属ナノ粒子を、遠心分離(15000rpm,30分間)した後、金属ナノ粒子が分解しない程度のアルカリ性溶液で洗浄する操作を2回繰り返し、化合物A2で修飾された金属ナノ粒子を得る。
本発明に係る金属ナノ複合粒子が合成されているか否かは、以下の方法により確認することができる。まず、透過型電子顕微鏡観察によれば、化合物(A)により修飾された本発明に係る金属ナノ複合粒子と、その原料化合物である金属ナノ粒子とでは、径において変化は認められない。しかし、本発明に係る金属ナノ複合粒子は、金属ナノ粒子に比べ、長波長側の光吸収スペクトルが強く、また、アガロース電気泳動において移動度が小さいという特徴がある。
本発明に係る第二の発明は、第一発明に係る金属ナノ複合粒子の集合体に関するものである。当該集合体は、金属ナノ複合粒子が立体的に集合しているものである。
金属ナノ複合粒子の集合体は、金属ナノ複合粒子を入れた溶媒に、2−イミダゾリジノン構造と親和性のある有機化合物Bを加えることで得ることができる。化合物Bとしては、ストレプトアビジン、アビジン、ニュートラビジン、カプタビジン等のビオチン結合タンパク質を挙げることができ、好ましくはストレプトアビジンである。金属ナノ複合粒子と化合物Bを反応させる条件としては、例えば、常温常圧下、10℃〜40℃程度とすることができる。より詳しくは、化合物Aで修飾された金属ナノ粒子の分散液(例えば、50nM,200μL)に化合物Bの水溶液(例えば、10μM,10μL)を常圧下、室温で混合し、終夜静置により当該集合体を合成することができる。
本発明に係る金属ナノ複合粒子集合体が合成されているか否かは、電子顕微鏡により直接観察することができる。また、吸収スペクトル測定において、金属ナノ粒子の集合化に由来する表面プラズモン共鳴の長波長シフトが観測される。
本発明に係る金属ナノ複合粒子集合体においては、複数の金属ナノ複合粒子がその表面に結合している有機化合物(A)を介して強固に結合されている。従って、粒子の凝集による不利益を蒙ることなく、金属ナノ複合粒子を高密度に含んでいるので、金属ナノ粒子の特性をそのまま有する材料として非常に有用である。
以下に、金ナノ複合粒子と銀ナノ複合粒子を用いた実施例を代表的に示し本発明を詳細に説明するが、一般的な金属ナノ粒子、特に上記で列挙した金属ナノ粒子であれば同様に金属ナノ複合粒子およびその集合体を得ることができるので、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1: 金ナノ複合粒子とその集合体の製造
(1)クエン酸保護金ナノ粒子の合成
既報(G.Frens;Nature(London),Phys.Sci.1973,241,20)に従い、クエン酸で保護された金ナノ粒子を調製した。すべてのガラス器具およびマグネティックスターラーは王水で洗浄後に、大量の超純水で洗浄して使用した。具体的には、300mL二口フラスコに1mM塩化金酸水溶液(100mL)を加え、110〜120℃で30分間加熱還流した。この反応溶液に38.8mMクエン酸三ナトリウム水溶液(10mL)を素早く添加した。添加後、約1分で溶液の色が黄色、濃褐色、赤色の順に変化した。さらに20分間加熱還流後、室温まで放置し、クエン酸イオンによって表面保護された安定な金ナノ粒子を得た。
既報(Xiong Liu,,Col.and Surf.B:Biointerfaces 2007,58,3)の吸光係数ε(523nm)=2.47×108-1cm-1より、得られたクエン酸保護金ナノ粒子分散液の濃度は約1.4×10-8Mと算出された(図5の実線)。
(2)α−リポ酸保護金ナノ粒子の調製
上記(1)で得られたクエン酸保護金ナノ粒子分散液を希釈して得られた1mM分散液(100mL)を室温で激しく撹拌しながら、α−リポ酸の3.36mMメタノール溶液(3mL)をゆっくりと滴下した。滴下後、反応溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10.2に調整し、さらに室温で12時間撹拌した。この反応液中の金ナノ粒子を遠心分離(15000rpm,20分間)して回収した後に、水酸化ナトリウム水溶液(pH10.2)に再分散した。得られたα−リポ酸保護金ナノ粒子を、遠心分離(15000rpm,30分間)した後、水酸化ナトリウム水溶液(pH10.2)で洗浄する操作を3回繰り返し、α−リポ酸保護金ナノ粒子を精製した。精製物は、吸収表面プラズモン共鳴(SPR)に由来する吸収極大が523nmであり、金ナノ粒子が凝集しておらず、比較的安定に分散していることを確認した(図3)。
(3)金属ナノ複合粒子(ビオチン化金ナノ粒子)の調製
上記(2)で得られたα−リポ酸保護金ナノ粒子をMES(2−(N−モルフォリノ)エタンスルホン酸)緩衝液(50mM,pH5.5)に分散し、80nMの分散液を調製した。当該分散液(250μL)とビオチン化試薬(Biotin−PEO3−Amine;Thermo Scientific社製)のMES緩衝液(20μM,100μL)を室温で混合し、5分間撹拌した後、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)のMES緩衝液溶液(0.13mM,150μL)を加え、室温で一晩撹拌した。当該反応液中の金ナノ複合粒子を遠心分離(7000rpm,10分間)した後に、水酸化ナトリウム水溶液(pH10.2)に分散した。得られた金属ナノ複合粒子(ビオチン化金ナノ粒子)を、遠心分離(15000rpm,30分間)による分離後、水酸化ナトリウム水溶液(pH10.2)による洗浄操作を2回繰り返した。吸収スペクトルにより金属ナノ複合粒子(ビオチン化金ナノ粒子)の生成を確認した(図5の破線)。また、アガロース電気泳動のバンドの泳動度の変化から、金属ナノ複合粒子の精製を確認した(図8)。
(4)金属ナノ複合粒子(ビオチン化金ナノ粒子)のストレプトアビジンによる集合化
上記(3)で得られたビオチン化金ナノ粒子の50nM分散液(200μL)に10μMストレプトアビジン溶液(10μL)を室温で加え、終夜静置により金ナノ粒子集合体を調製した(図6)。生成物の吸収スペクトルを測定したところ、ビオチン化金ナノ粒子で観察された520nm付近の吸収が減少し、610nm付近の吸収が増大しており(図7の点線)、金属ナノ複合粒子の集合体(ビオチン化金ナノ粒子の集合体)が生成したことを確認することができた。また、アガロース電気泳動により、バンドがシフトしなくなったことからも、集合体形成が明らかとなった。
実施例2: 銀ナノ複合粒子とその集合体の製造
(1)クエン酸保護銀ナノ粒子の合成
既報(G.Frens;Nature(London),Phys.Sci.1973,241,20)に従い、クエン酸で保護された銀ナノ粒子を調製した。すべてのガラス器具およびマグネティックスターラーは王水で洗浄後に、大量の超純水で洗浄して使用した。具体的には、300mL二口フラスコに入れた200mM硝酸銀水溶液(250μL)を加熱し、95℃に達した時点で、1質量%クエン酸三ナトリウム水溶液(3mL)と0.1Mヒドロホウ酸ナトリウム水溶液(2mL)を素早く添加した。添加後、さらに5分間加熱還流後、室温まで放置し、クエン酸イオンによって表面保護された銀ナノ粒子を得た。既報(Juan Yguerbide,Anal.Biochem 1998,262,137)の吸光係数ε(400nm)=2.87×1010-1cm-1より、得られたクエン酸保護銀ナノ粒子分散液の濃度は約4.2×10-9Mと算出された。
(2)α−リポ酸保護銀ナノ粒子の調製
上記(1)で得られたクエン酸保護銀ナノ粒子の分散液(4.2×10-9M,100mL)を室温で激しく撹拌しながら、α−リポ酸の1mMメタノール溶液(1mL)をゆっくりと滴下した。滴下後、反応溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを8.5に調整し、さらに室温で12時間撹拌した。この溶液中α−リポ酸保護銀ナノ粒子を遠心分離(12000rpm,10分間)した後に、水酸化ナトリウム水溶液(pH10.2)に再分散した。得られたα−リポ酸保護銀ナノ粒子を、遠心分離(5000rpm,10分間)した後に、水酸化ナトリウム水溶液(pH10.2)で洗浄し遠心分離する操作を3回繰り返し、精製した。精製物は、α−リポ酸保護銀ナノ粒子が凝集しておらず、比較的安定に分散していることを電子顕微鏡観察により確認した(図9)。また、吸収表面プラズモン共鳴(SPR)に由来する吸収極大が398nmであり、銀ナノ粒子が精製されていることが確認された(図10の点線)。
(3)銀ナノ複合粒子(ビオチン化銀ナノ粒子)の調製
上記(2)で得られたα−リポ酸保護銀ナノ粒子をMES(2−(N−モルフォリノ)エタンスルホン酸)緩衝液(100mM,pH5.5)に分散し、77.6nMの分散液を調製した。当該分散液(50μL)とビオチン化試薬(Biotin−PEO3−Amine;Thermo Scientific社製)のMES緩衝液溶液(1mM,3.9μL)を室温で混合し、5分撹拌した後、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)のMES緩衝液溶液(1mM,3.9μL)を加え、室温で一晩撹拌した。当該反応液中の銀ナノ複合粒子(ビオチン化銀ナノ粒子)を遠心分離(5000rpm,10分間)した。水酸化ナトリウム水溶液(pH10.2)を加えて洗浄した後に、遠心分離(5000rpm,30分間)する操作を2回繰り返した。吸収スペクトルにより銀ナノ複合粒子(ビオチン化銀ナノ粒子)の生成を確認した(図10の実線)。アガロース電気泳動のバンドの泳動度の変化から、金属ナノ複合粒子が精製されていることを確認した。
(4)銀ナノ複合粒子(ビオチン化銀ナノ粒子)のストレプトアビジンによる集合化
上記(3)で得られたビオチン化銀ナノ粒子の30nM分散液(100μL)にストレプトアビジン溶液(10μM,5μL)を室温で加え、終夜静置により銀ナノ粒子集合体を調製した。
本発明は金属ナノ粒子を高密度で長時間安定的に維持できる技術であり、配線基板、塗料、色素、センサーなどに用いることができるものである。

Claims (9)

  1. 金属ナノ粒子と有機化合物(A)を含み;
    金属ナノ粒子が有機化合物(A)に修飾されており;且つ
    有機化合物が、その片末端に2−イミダゾリジノン含有基を有し、他末端にイオウ含有基を有するものであることを特徴とする金属ナノ複合粒子。
  2. 有機化合物(A)が下記一般式1で表されるものである請求項1に記載の金属ナノ複合粒子。
    [式中、
    Xは2−イミダゾリジノン含有基を示し、
    Zはイオウ含有基を示し、
    1、R2、R3およびR4は、独立して、水素原子、C1-20アルキル基、C6-12アリール基、C7-13アラルキル基、C1-20アルコキシ基、C6-12アリールオキシ基、C7-13アラルキルオキシ基、C1-20アルキルチオ基、C6-12アリールチオ基またはC7-13アラルキルチオ基を示し、
    Yは、式−P−Q−R−で表される2価の基(−P−と−R−は独立して−O−、−S−または−NH−を示し;−Q−は、C1-20アルキレン基、ポリエチレングリコール基、ポリプロピレングリコール基、ポリエチレンチオグリコール基、ポリプロピレンチオグリコール基またはC6-12アリーレン基を示す)を示し、
    aは、0以上、10以下の整数を示し、
    bは、0または1を示し、
    cは、0または1を示し、
    dは、0以上、10以下の整数を示す。]
  3. 有機化合物(A)が下記一般式2で表されるものである請求項1または2に記載の金属ナノ複合粒子。
    [式中、Yは上記と同義を示す。]
  4. 金属ナノ粒子が、周期表第2族から第15族の中から選ばれる少なくとも一種の金属元素の金属またはその合金またはその金属間化合物からなるものである請求項1〜3の何れかに記載の金属ナノ複合粒子。
  5. 金属ナノ粒子が、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Se、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、La、Ce、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、PbおよびBiからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属元素の金属または合金または金属間化合物からなるものである請求項1〜3の何れかに記載の金属ナノ複合粒子。
  6. 請求項1〜5の何れかに記載の金属ナノ複合粒子を製造するための方法であって、
    イオウ含有基とカルボキシ基を有する有機化合物(化合物A1)で金属ナノ粒子を処理することにより、化合物A1中のイオウ原子と金属ナノ粒子とを相互作用させる工程;および、
    溶媒中、脱水縮合剤の存在下、2−イミダゾリジノン含有基とアミノ基を有する有機化合物(化合物A2)で処理することにより、化合物A1のカルボキシ基と化合物A2のアミノ基を反応させてアミド結合させる工程を含むことを特徴とする方法。
  7. 化合物A1として、α−リポ酸、チオグリコール酸、6−メルカプトヘキサン酸、16−メルカプトヘキサデカン酸およびチオプロニンからなる群から選ばれる少なくとも一種を用い;化合物A2として、(+)−ビオチニル−3,6−ジオキサオクタンジアミン、(+)−ビオチニル−3,6,9−トリオキサウンデカンジアミン、(+)−ビオチニルオクタンジアミンおよび(+)−ビオチニルウンデカンジアミンからなる群から選ばれる少なくとも一種を用いる請求項6に記載の金属ナノ複合粒子の製造方法。
  8. 請求項1〜5の何れかに記載の金属ナノ複合粒子の集合体。
  9. 複数の金属ナノ複合粒子が、ビオチン結合タンパク質により結合されている請求項8に記載の金属ナノ複合粒子の集合体。
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JP2019085407A (ja) * 2017-11-06 2019-06-06 ▲呉▼ 治▲増▼Chih−Tseng Wu ナノ複合材料及びその応用

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