JP2014051697A - カップ式めっき装置及びこれを用いるめっき方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ウエハ上に不均質なめっき皮膜を形成させている従来のカップ式めっき装置を改良して、ウエハ上に均質なめっき皮膜を形成することのできるカップ式めっき装置を提供する。
【解決手段】ノズル部材12又はめっきカップ11の内壁に嵌合し、かつ前記ノズル部材又は前記めっきカップの内壁の任意の位置に固定する手段を有してなるアノードマスクリング21を有するカップ式めっき装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、カップ式めっき装置及びこれを用いてウエハ上にめっき皮膜を形成させるめっき方法に関する。
円盤状のウエハにめっき皮膜を形成させるめっき装置としては、カップ型のめっき槽内にめっき液を連続的に供給して、めっき液とウエハとを接触させるカップ式めっき装置が知られている(例えば、特許文献1)。
このカップ式めっき装置は、以下のような構造を有している。図8は、従来のカップ式めっき装置の一構成例を示す断面図である。900はカップ式めっき装置であり、めっき液貯留槽931内にはめっきカップ槽911が配設されている。めっきカップ槽911の底壁に設けられた噴流スリーブ913は、不図示の送液ポンプを介してめっき液貯留槽931からめっきカップ槽911内にめっき液を供給する。915はメッシュ状のアノード電極であり、めっきカップ槽911内に配設されている。917はウエハ搭載リングであり、めっきカップ槽911の上方に、めっきカップ槽911の上端部と所定間隔で離間して配設されている。この離間部はめっき液流出口925を形成している。ウエハ搭載リング917は、中央部が開口したリング形状であり、該リング部分には、ウエハ載置溝が形成されており、該ウエハ載置溝にはカソード電極919が配設されている。927はウエハ押さえであり、駆動部935によってウエハ面と垂直方向に移動することにより、ウエハ搭載リング917にウエハ923を押止して固定する。
この従来のめっき装置は以下のように用いられる。先ず、ウエハ搭載リング917のウエハ載置溝に、めっき対象物であるウエハ923がめっき処理面を下に向けて載置され、ウエハ押さえ927によって押止される。めっき液貯留槽931内に貯留されためっき液は、不図示の送液ポンプにより噴流スリーブ913からめっきカップ槽911内に連続的に供給されてウエハ923と接触する。めっきカップ911の内容積を超える量のめっき液は、排出口925から溢流し、めっき液貯留槽931内に回収される。カソード電極919とアノード電極915との間に電圧が印加されると、めっきカップ槽911内のめっき液を介して電流が流れ、ウエハ923にはめっき皮膜が形成される。
このようにめっき皮膜を形成させる場合、ウエハの外縁部周辺に形成されるめっき皮膜は、ウエハの中央部に形成されるめっき皮膜と比較して厚くなる傾向がある。そのため、多数の素子が形成されているウエハから切り離して得られる各素子は、その品質が均一になり難いという問題を有している。
特許文献2には、めっきカップ槽内にその側壁の一部を貫通して水平方向に移動可能な制御板を設けたカップ式めっき装置が開示されている。このめっき装置は、めっきカップ槽の一部の口径を自在に変化させる制御板を用いることによって、めっきカップ槽内のめっき液の流動状態を変化させ、均質なめっき皮膜を形成させようとするものである。しかし、めっきカップ槽の貫通孔に移動可能な制御板を設けて、かつ該貫通孔を確実に封止するためには機構が複雑となる。
特開2007−332435号公報 特開平08−158094号公報
本発明が解決しようとする課題は、ウエハ上に不均質なめっき皮膜を形成させている従来のカップ式めっき装置を改良して、ウエハ上に均質なめっき皮膜を形成することのできるカップ式めっき装置を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するため、カップ式めっき装置について検討を行った結果、アノード電極からカソード電極に向って流れる電流の強さはめっきカップ槽内において均一ではなく、アノード電極の形状やウエハの大きさ、めっき液の流動状態によって相違し、これらの相違はめっき皮膜の形成速度に影響を与えることを見出した。そして、めっきカップ槽の所定の位置にめっきカップ槽内の電界を遮蔽するアノードマスクリングを設け、このアノードマスクリングが固定される位置を自在に変化させることができるめっき装置を用いることにより、あらゆる条件で均質なめっき皮膜を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決する本発明は、以下に記載するものである。
〔1〕(1)有底円筒状のめっきカップと、
(2)前記めっきカップの底壁を貫通して該底壁に液密に取り付けた噴流スリーブと、
(3)前記めっきカップ内に前記めっきカップと軸心を一致させて固定される円盤状の金属メッシュ板からなるアノード電極と、
(4)前記めっきカップの上部開口端に、前記めっきカップと軸心を一致させて固定される円筒状のノズル部材と、
(5)ウエハ載置溝を有し、前記めっきカップと軸心を一致させて前記ノズル部材の上方に所定間隔離れて配設される短軸円筒状のウエハ搭載リングと、
(6)前記ウエハ載置溝に沿って、前記ウエハ搭載リング内方に突設されたカソード電極と、
(7)前記ウエハ搭載リングの上方に配設され、前記ウエハ搭載リングに搭載されるウエハを押止するウエハ押さえと、
(8)中央部に円形の開口を有する円盤状のアノードマスクリングであって、前記ノズル部材又は前記めっきカップの内壁に嵌合し、かつ前記ノズル部材又は前記めっきカップの内壁の任意の位置に固定する手段を有してなるアノードマスクリング
を有するカップ式めっき装置。
〔2〕 〔1〕に記載のカップ式めっき装置を用いてウエハにめっきを行う方法であって、前記アノードマスクリングと、ウエハとの距離を調節してめっきすることにより、ウエハ表面にめっき皮膜を形成するめっき方法。
本発明のカップ式めっき装置は、アノードマスクリングとウエハとの距離を調節することにより、めっきカップ槽内の電界を制御できる。その結果、ウエハ上に形成されるめっき皮膜の膜厚の均一性を向上させることができる。また、本発明のカップ式めっき装置は、機構が簡易であるため、従来のカップ式めっき装置を低コストで改造して、本発明のカップ式めっき装置とすることができる。
図1は、本発明のカップ式めっき装置の一構成例を示す断面図である。 図2は、本発明のカップ式めっき装置の他の構成例を示す断面図である。 図3は、本発明のカップ式めっき装置のさらに他の構成例を示す断面図である。 図4(a)は、アノードマスクリングの形状の一例を示す平面図であり、図4(b)は、図4(a)のA1−A2線に沿う断面図である。 図5(a)〜(c)は、アノードマスクリングの固定手段を示す説明図である。 図6(a)〜(e)は、ノズル部材の形状の一例を示す断面図である。 図7は、ウエハにおけるめっき皮膜の膜厚測定箇所を示す説明図である。 図8は、従来のカップ式めっき装置の一構成例を示す断面図である。
〔カップ式めっき装置の構成〕
本発明のカップ式めっき装置は(以下、「本めっき装置」ともいう)は、めっきカップとノズル部材とから構成されるめっきカップ槽と、噴流スリーブと、アノード電極と、ノズル部材と、ウエハ搭載リングと、カソード電極と、ウエハ押さえと、アノードマスクリングと、を含んで構成される。
図1は、本発明のカップ式めっき装置の一構成例を示す断面図である。100は本発明のカップ式めっき装置であり、箱形のめっき液貯留槽31内にはめっきカップ11が配設されている。有底円筒状のめっきカップ11の底壁には、噴流スリーブ13が設けられている。円筒形状を有する噴流スリーブの一端は、めっきカップ11内と通じており、他端は不図示の送液ポンプを介してめっき液貯留槽31内に接続されている。15はメッシュ状のアノード電極であり、ネジ29によりめっきカップ11の側壁11aと垂直に配設されている。アノード電極15は、ネジ29を通じて不図示の電源に接続されている。
12はノズル部材であり、めっきカップ11と同一の軸心でめっきカップ11の上端部11bと液密に接合されている。17はウエハ搭載リングであり、ノズル部材12の上方に配設されている。ノズル部材12の上端部とウエハ搭載リング17とは所定間隔で離間しており、この離間部はめっき液流出口25を形成している。ウエハ搭載リング17は、中央部が開口したリング形状であり、該リング部分には、ウエハ載置溝が形成されており、該ウエハ載置溝には、カソード電極19が配設されている。さらにウエハ載置溝には、シール部材18がカソード電極19の内側に形成されている。
21はアノードマスクリングであり、めっきカップ11の側壁11a及び/又はノズル部材12の側壁12aに嵌合している。アノードマスクリング21は、めっきカップ11の側壁11a及び/又はノズル部材12の側壁12aに沿って移動可能に形成されている。アノードマスクリング21には、Oリング22が嵌合されている。これによりアノードマスクリング21は、側壁11a及び/又はノズル部材12の側壁12aの任意の位置に固定することができる。
27はウエハ押さえであり、ウエハ押さえ27は駆動部35によって、ウエハ面と垂直方向に移動可能となっている。ウエハ押さえ27は、ウエハ搭載リング17のウエハ載置溝に載置されたウエハを押止して固定する役割を有する。
〔めっきカップ〕
本発明において、めっきカップは、下端が閉塞して上端が開放された有底円筒状の形状を有する。めっきカップの円筒部分の内容積は、例えば一般的な8インチウェハを用いる場合においては、通常300〜1000mL程度である。めっきカップの円筒の直径と高さとの比は、通常1:0.5〜2である。
めっきカップは樹脂材料で形成されている。樹脂材料としては、ポリプロピレン(PP)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)が例示される。
〔噴流スリーブ〕
噴流スリーブは、めっきカップの底壁に、該底壁を貫通して該底壁と液密に取り付けられている。噴流スリーブは、めっきカップの下端側からめっきカップ内にめっき液を供給する役割を有する。めっき液は、送液ポンプを用いてめっき液貯留槽からめっきカップ内に供給される。めっき液の供給量は送液ポンプの流量によって制御される。めっきカップ内のめっき液は、めっきカップの上端部から溢流され、めっき液貯留槽に回収される。
噴流スリーブは樹脂材料で形成されている。樹脂材料としては、ポリプロピレン(PP)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)が例示される。
〔アノード電極〕
アノード電極は、めっきカップ内にめっきカップと軸心を一致させて固定される円盤状の金属メッシュ板である。アノード電極は、カソード電極(後述)との間に電圧を印加してめっきカップ内のめっき液に電界を形成する役割を有する。アノード電極は、めっきカップの底壁と略平行に設けられている。アノード電極の大きさは、めっきカップの円筒部分の断面積と略同一である。具体的には、アノード電極の円盤の直径は、めっきカップの円筒部分の直径の85〜100%であることが好ましい。金属メッシュの線径及び目開きは特に制限されないが、一般的に線径1〜1.5mm、目開き3〜7mmであれば、めっきカップ内におけるめっき液の流れを大きく妨げることはない。
アノード電極は、チタンから成る金属メッシュ板に、白金(Pt)めっきを施したり、酸化イリジウム(IrO)のコーティングを施したりして形成される。
〔ノズル部材〕
ノズル部材は、めっきカップの上部開口端に、めっきカップと軸心を一致させて固定される円筒状の部材である。ノズル部材は、めっき液の排出口の一部を形成する。即ち、噴流スリーブからめっきカップ内に供給されためっき液は、このノズル部材の上端とウエハ搭載リング(後述)の下端との間隙を通ってめっきカップ外に排出される。なお、めっきカップとノズル部材との接合面は液密に接合されている。
ノズル部材はめっきカップと脱着自在に形成されていることが好ましい。ノズル部材の形状を変更することにより、前記間隙の形状や大きさを変更することができる。これにより、めっきカップ槽内、特にウエハ近傍を流れるめっき液の流速を制御することができる。
図6(a)〜(e)は、ノズル部材の形状の一例を示す断面図である。ノズル部材の形状としては、めっきカップの円筒部と同一の内径を有するノズル部材(図6(a))の他、ノズル部材の下端から上端までの長さを変えた形状(図6(b)、図6(c))や、ノズル部材の下端から上端に向ってその円筒部分の内径が漸増(図6(d))又は漸減(図6(e))する形状が例示される。
ノズル部材は樹脂材料で形成されている。樹脂材料としては、ポリプロピレン(PP)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)が例示される。
〔ウエハ搭載リング〕
ウエハ搭載リングは、ウエハ載置溝が形成されており、めっきカップと軸心を一致させてノズル部材の上方に所定間隔離れて配設される短軸円筒状の部材である。ウエハ搭載リングは、中央部に円形の開口が形成されたリング形状を有する。中央部の開口は、載置されるウエハよりも僅かに小さい。
ウエハは、めっき処理面を下側に向けて、ウエハ搭載リングに形成されたウエハ載置溝に載置される。ウエハ載置溝には、ウエハと同心円状に形成されたシール部材を有する。ウエハ載置溝にウエハが載置され、さらにウエハ押さえ(後述)によってウエハがウエハ搭載リングに押止されると、ウエハの外周部はゴム等のシール部材によって液密にシールされる。これにより、めっき液がウエハのめっき処理面の裏側に回り込むことを防止する。
ウエハ搭載リングは樹脂材料で形成されている。樹脂材料としては、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)が例示される。
〔カソード電極〕
カソード電極は、ウエハ搭載リングのウエハ載置溝に沿って、ウエハ搭載リングの内方に突設して配設される。カソード電極は、前記シール部材の外側に配設されている。ウエハ載置溝にウエハが載置されると、カソード電極はウエハ外周部に形成された導電部位と接触する。したがって、アノード電極とカソード電極との間に電圧が印加されると、前記アノード電極と、カソード電極に導通されているウエハとの間に電界が形成される。
カソード電極は、チタンから成る基材に、白金(Pt)めっきを施したり、酸化イリジウム(IrO)のコーティングを施したりして形成される。カソード電極の形状は、特に制限されないが、一般的には突起状や帯状である。カソード電極の数は、特に限定されないが、一般的には3〜30個である。
〔ウエハ押さえ〕
ウエハ押さえは、ウエハ搭載リングの上方に配設され、めっきカップの軸心方向に可動のシリンダー機構を備え、ウエハ搭載リングのウエハ載置溝に載置されたウエハを押止して固定する役割を有する。
ウエハ押さえは樹脂材料で形成されている。樹脂材料としては、ポリ塩化ビニル(PVC)が例示される。
〔アノードマスクリング〕
アノードマスクリングは、円盤の中央部に円形の開口を有するリングである。このアノードマスクリングは、ノズル部材又はめっきカップの内壁に嵌合し、かつ前記ノズル部材又は前記めっきカップの内壁の任意の位置に固定することができる。このアノードマスクリングは、アノード電極とウエハ(カソード)との間に形成される電界を制御する役割を有する。アノードマスクリングは、両極間に形成される電界を部分的に遮蔽する役割を有する。即ち、アノードマスクリングは、ウエハの外縁部近傍における電流密度を低下させる。これにより、ウエハの外縁部周辺に厚いめっき皮膜が形成されることが抑制される。
アノードマスクリングの円形の開口径は、アノードマスクリングの外径の70〜98%であることが好ましく、80〜95%であることが特に好ましい。なお、本発明において円形とは、楕円形や略円形を含む。略円形とは、16角形以上の多角形や該多角形の一部又は全部の角を丸めた形状をいう。最も好ましいのは真円である。
アノードマスクリングの材質は、絶縁材料であればどのような材料で形成されていても良い。具体的には、ポリ塩化ビニル(PVC)や耐熱製ポリ塩化ビニル(HTPVC)が例示される。
アノードマスクリングをノズル部材又はめっきカップの内壁の任意の位置に固定する手段は、特に限定されないが、Oリングを用いて固定する方法や、ノズル部材又はめっきカップの内壁に形成した突起や螺旋状の溝と、アノードマスクリングの外周部とを嵌合させる方法が例示される。
図4(a)は、アノードマスクリング21の平面図であり、図4(b)は、図4(a)のA1−A2線に沿う断面図である。アノードマスクリング21は、円盤の中央部に円形の開口を有するリングであり、このアノードマスクリングの外周部には、ノズル部材又はめっきカップの内壁に嵌合し、かつ前記ノズル部材又は前記めっきカップの内壁の任意の位置に固定することができる構成を備えている。
図5(a)〜(c)は、アノードマスクリングをノズル部材又はめっきカップの内壁の任意の位置に固定する構成を例示する説明図である。
図5(a)は、アノードマスクリング121とノズル部材又はめっきカップの側壁111との嵌合の態様を示す端面図である。アノードマスクリング121の外周には、Oリング嵌合溝が形成されており、ここにOリング122が嵌合されている。このOリング122の弾性により、アノードマスクリング121は側壁111に沿って摺動自在で、かつ側壁111の任意の位置に固定可能となっている。
図5(b)は、アノードマスクリング221とノズル部材又はめっきカップの側壁211との嵌合の態様を示す端面図である。ノズル部材又はめっきカップの側壁211には微細な間隔で複数の溝が形成されており、アノードマスクリング221の外周には該溝に嵌合する突起が形成されている。この溝と突起により、アノードマスクリング221は側壁211に沿って移動可能で、かつ側壁211の任意の位置に固定可能となっている。
図5(c)は、アノードマスクリング321とノズル部材又はめっきカップの側壁311との嵌合の態様を示す端面図である。ノズル部材又はめっきカップの側壁311には微細な螺旋状の溝(ネジ山)が形成されており、アノードマスクリング321の外周には該溝に嵌合する螺旋状の溝(ネジ山)が形成されている。アノードマスクリング321を軸に沿って回転させることにより、アノードマスクリング321は側壁311に沿って移動可能で、かつ側壁311の任意の位置に固定可能となっている。
〔カップ式めっき装置の動作〕
次に、図1を参照して本めっき装置の動作について説明する。
先ず、ウエハ搭載リング17のウエハ載置溝に、めっき対象物であるウエハ23がめっき処理面を下に向けて載置され、駆動部35によって移動されたウエハ押さえ27によってウエハ搭載リング17に固定(押止)される。これにより、ウエハ23のめっき処理面とシール部材18とが密着し、ウエハ23とウエハ搭載リング17とが液密にシールされる。また、ウエハ23のめっき処理面に予め形成された導体パターン部とカソード電極19とが電気的に接続される。なお、ウエハ23のめっき処理面のめっき不要箇所は、予めレジスト等で覆われている。
めっき液貯留槽31内に貯留されるめっき液は、不図示の送液ポンプを介して噴流スリーブ13からめっきカップ11内に連続的に供給される。カソード電極19とアノード電極15との間には電圧が印加されている。めっきカップ11内に供給されためっき液は、ウエハ23と接触してウエハ23の露出した通電部分にめっき皮膜を形成させる。めっきカップ11とノズル部材17とで形成されるめっきカップ槽の内容積を超える量のめっき液は、排出口25から溢流してめっき液貯留槽31に回収される。
なお、アノードマスクリング21は、Oリング22によって、めっきカップ11内の所定の位置に固定されている。アノードマスクリング21を固定する位置は、ウエハの大きさやめっきカップの大きさ、めっき液の流速、電圧等によって異なる。一例として、めっきカップ11及びノズル部材17の合計の深さが6.5〜8.5cmで、円筒の直径が11.5〜14.5cmである場合、アノードマスクリング21はその上端部が、ウエハ23の下端から0.5〜2.5cm程度の位置になるように固定するのが好ましく、0.8〜1.3cm程度の位置になるように固定するのが特に好ましい。
図2は、図1のカップ式めっき装置において、アノードマスクリング21を側壁11a及び12aに沿って移動させた場合を例示する説明図である。このようにアノードマスクリング21を移動させることにより、遮蔽する電界を制御できる。
アノードマスクリングの外径は、ノズル部材及び/又はめっきカップの円筒部分の内径と略同一である。また、アノードマスクリングに形成される円形の開口径は、ノズル部材及び/又はめっきカップの円筒部分の直径の70〜95%であることが好ましく、80〜90%であることがより好ましい。
めっき皮膜が所期の厚さになったら、ウエハ押さえ27によるウエハ23の押止が解除され、ウエハ23がウエハ搭載リング17から取り外される。その後、ウエハ23は、必要に応じて洗浄及び乾燥される。
図1において、めっきカップはめっき液貯留槽内に配設されているが、めっきカップ貯留槽外であってもよい。また、駆動部35は、スプリングによる付勢によってウエハ押さえ27を移動させているが、これに限らず、空気圧や油圧等によって移動させても良い。噴流スリーブ13は、めっきカップ11の底壁の中心部に1箇所配設されているが、これに限らず、等間隔に離間して複数配設されていても良い。アノードマスクリング21はOリング22によってノズル部材又はめっきカップの側壁に固定されているが、これに限らず、前述のような他の手段で固定されていても良い。
ノズル部材12は脱着可能であり、ノズル部材12を取り外して他の形状のノズル部材を装着しても良い。これにより、めっきカップ11内のめっき液、特にウエハ23近傍のめっき液の流動状態を変化させることができる。図3は、図2のカップ式めっき装置において、ノズル部材12を取り外して、他の形状のノズル部材112を装着した例を示す説明図である。ノズル部材112を装着することにより、めっき液の流出口25がノズル部材12を使用する場合と比較して広く形成される。これにより、ウエハ近傍のめっき液の流動状態を変化させることができる。即ち、ノズル部材を異なる形状のものに交換することにより、ウエハ近傍を流れるめっき液の流速を制御できる。その結果、ウエハ上に形成されるめっき皮膜の膜厚の均一性を向上させることができる。
〔本装置の用途〕
本発明のカップ式めっき装置は、膜厚の厚いめっき皮膜を均一な厚さで形成することができるため、バンプ電極の形成に好適に用いられる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔めっき皮膜の膜厚の測定方法〕
蛍光X線膜厚計(SII製 SFT3200)を用いてウエハに形成されためっき皮膜の膜厚を測定した。めっき皮膜の膜厚は以下の5箇所、
・ウエハの中心部を1箇所(図7において符号Cで表される)
・ウエハよりも直径が2cm小さいウエハとの同心円と、該同心円の中心で直交する2本の直線と、の交点である4箇所(図7において符号T、R、B、Lで表される)
で測定した。
(実施例1)
図1に記載の構造を有するカップ式めっき装置のめっきカップ(直径20cm、高さ10cm)内に、アノードマスクリング(開口径16cm、厚さ1cm)を、ウエハ(直径200mm、厚さ625μm)の下端から10mmの位置に固定し、金めっき液(金濃度:15g/L)を循環させてウエハ上に金皮膜を形成した。めっき時間は30分、めっき液の流量は20L/分、めっき液の温度は60℃、電流密度は0.2A/dmとした。
(実施例2−3)
実施例1とはそれぞれ異なる配線パターンを有するウエハに、実施例1と同様の条件でそれぞれめっき処理を行った。形成されためっき皮膜の膜厚は表1に記載した。
(比較例1−3)
比較例1−3は、アノードマスクリングを用いない他は、それぞれ実施例1−3と同様にめっき処理を行った。形成されためっき皮膜の膜厚は表1に記載した。
Figure 2014051697
実施例1−3はいずれも、ウエハ中心部とウエハ周縁部とにおいて、形成されるめっき皮膜の膜厚に有意な差が見られなかった。一方、比較例1−3はいずれも、ウエハ中心部とウエハ周縁部とにおいて、形成されるめっき皮膜の膜厚に有意な差が見られた。
100・・・本発明のカップ式めっき装置
11・・・めっきカップ
11a・・・めっきカップの側壁
11b・・・めっきカップ上端部
12・・・ノズル部材
12a・・・ノズル部材の側壁
13・・・噴流スリーブ
15・・・アノード電極
17・・・ウエハ搭載リング
18・・・シール部材
19・・・カソード電極
21、121、221、321・・・アノードマスクリング
22、122・・・Oリング
23、70・・・ウエハ
25・・・めっき液流出口
27・・・ウエハ押さえ
29・・・ネジ
31・・・めっき液貯留槽
33・・・めっきカップカバー
35・・・駆動部
111、211、311・・・ノズル部材又はめっきカップの側壁
900・・・従来のカップ式めっき装置
911・・・めっきカップ槽
913・・・噴流スリーブ
915・・・アノード電極
917・・・ウエハ搭載リング
919・・・カソード電極
923・・・ウエハ
925・・・めっき液流出口
927・・・ウエハ押さえ
929・・・ネジ
931・・・めっき液貯留槽
933・・・めっきカップカバー
935・・・駆動部

Claims (2)

  1. (1)有底円筒状のめっきカップと、
    (2)前記めっきカップの底壁を貫通して該底壁に液密に取り付けた噴流スリーブと、
    (3)前記めっきカップ内に前記めっきカップと軸心を一致させて固定される円盤状の金属メッシュ板からなるアノード電極と、
    (4)前記めっきカップの上部開口端に、前記めっきカップと軸心を一致させて固定される円筒状のノズル部材と、
    (5)ウエハ載置溝を有し、前記めっきカップと軸心を一致させて前記ノズル部材の上方に所定間隔離れて配設される短軸円筒状のウエハ搭載リングと、
    (6)前記ウエハ載置溝に沿って、前記ウエハ搭載リング内方に突設されたカソード電極と、
    (7)前記ウエハ搭載リングの上方に配設され、前記ウエハ搭載リングに搭載されるウエハを押止するウエハ押さえと、
    (8)中央部に円形の開口を有する円盤状のアノードマスクリングであって、前記ノズル部材又は前記めっきカップの内壁に嵌合し、かつ前記ノズル部材又は前記めっきカップの内壁の任意の位置に固定する手段を有してなるアノードマスクリング
    を有するカップ式めっき装置。
  2. 請求項1に記載のカップ式めっき装置を用いてウエハにめっきを行う方法であって、前記アノードマスクリングと、ウエハとの距離を調節してめっきすることにより、ウエハ表面にめっき皮膜を形成するめっき方法。
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