JP2014051610A - ジエン系共重合体、ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

ジエン系共重合体、ゴム組成物及び空気入りタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性がバランス良く改善されたゴム組成物及び空気入りタイヤを供することができるジエン系共重合体を提供する。
【解決手段】共役ジエン化合物、特定の化合物、及び特定の珪素化合物を含む単量体を共重合して得られる重量平均分子量Mwが1.0×10〜2.5×10であるジエン系共重合体に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ジエン系共重合体、ゴム組成物及び空気入りタイヤに関する。
近年、省資源、環境保護の立場から、タイヤの転がり抵抗改善による燃費性能の向上が必要とされており、また、走行時の安全性向上のため、ウェットグリップ性能の改善も要求されている。
低燃費性向上にはヒステリシスロスが小さいこと、ウェットグリップ性能向上にはウェットスキッド抵抗性が高いことが要求される。しかしながら、低ヒステリシスロスと高いウェットスキッド抵抗性とは相反するものであり、低燃費性及びウェットグリップ性能をバランス良く改善することは困難である。
低燃費性及びウェットグリップ性能をバランス良く改善する方法として、充填剤としてシリカを用いる方法があげられるが、シリカは自己凝集性が強く、分散が困難であるという点で改善の余地がある。また、特許文献1では、窒素原子及びケイ素原子を含む特定の化合物で末端変性されたスチレンブタジエンゴムと脂肪族カルボン酸亜鉛塩などとを配合し、低燃費性及びウェットグリップ性能に優れたゴム組成物を得る方法が記載されているが、他の方法の提供も求められている。
特開2010−111754号公報
本発明は、前記課題を解決し、低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性がバランス良く改善されたゴム組成物及び空気入りタイヤを供することができるジエン系共重合体を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究検討した結果、共役ジエン化合物、特定の芳香族化合物、及び特定の珪素化合物(珪素含有ビニル化合物)を共重合して得られる重量平均分子量Mwが特定の範囲内であるジエン系共重合体を含むゴム組成物を用いて空気入りタイヤを作製することで、低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性がバランス良く改善される事を見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、共役ジエン化合物、下記一般式(I)で表される化合物、及び下記一般式(III)で表される珪素化合物を含む単量体を共重合して得られる重量平均分子量Mwが1.0×10〜2.5×10であるジエン系共重合体に関する。
Figure 2014051610
(式中、rは1〜20の整数を表し、R及びRはそれぞれ独立に、炭素原子数1〜10のヒドロカルビル基を表し、Rは炭素原子数1〜10のヒドロカルビレン基を表し、R、R及びRの少なくとも1つが下記一般式(II)で表される基を有する。RとRは互いに結合していてもよい。)
Figure 2014051610
Figure 2014051610
(式中、kは0又は1であり、R11はヒドロカルビレン基を表し、R12、R13及びR14はそれぞれ独立に、置換アミノ基、ヒドロカルビルオキシ基、又は置換基を有していてもよいヒドロカルビル基を表す。)
前記ジエン系共重合体は、前記単量体を共重合して得られるジエン系共重合体の活性末端に下記一般式(IV)で表される化合物を反応させることにより得られることが好ましい。
Figure 2014051610
(式中、mは1〜10の整数を表し、R21、R22及びR23はそれぞれ独立に、炭素原子数が1〜4のヒドロカルビル基又は炭素原子数が1〜4のヒドロカルビルオキシ基を表し、R21、R22及びR23の少なくとも1つがヒドロカルビルオキシ基であり、Aは窒素原子又は酸素原子を有する官能基を表す。)
前記単量体がスチレンを含むことが好ましい。
前記一般式(IV)で表される末端変性剤が、下記一般式(V)で表される基を有する化合物であることが好ましい。
Figure 2014051610
(式中、nは1〜10の整数を表し、R24、R25及びR26はそれぞれ独立に、炭素原子数が1〜4のヒドロカルビル基又は炭素原子数が1〜4のヒドロカルビルオキシ基を表し、R24、R25及びR26の少なくとも1つがヒドロカルビルオキシ基である。)
前記ジエン系共重合体中の前記一般式(I)で表される化合物の含有量が0.05〜10質量%であることが好ましい。前記ジエン系共重合体中の前記一般式(III)で表される珪素化合物の含有量が0.05〜20質量%であることが好ましい。
本発明はまた、ゴム成分100質量%中、前記ジエン系共重合体を5質量%以上含むゴム組成物に関する。前記ゴム組成物は、前記ゴム成分100質量部に対して、シリカを5〜150質量部含むことが好ましい。前記ゴム組成物は、タイヤ用ゴム組成物として用いられることが好ましい。本発明はまた、前記ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、共役ジエン化合物、特定の芳香族化合物、及び特定の珪素化合物を共重合して得られる重量平均分子量Mwが特定の範囲内であるジエン系共重合体であるため、該ジエン系共重合体を用いたゴム組成物、空気入りタイヤにおいて、低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性をバランス良く改善できる。
本発明のジエン系共重合体は、共役ジエン化合物、下記一般式(I)で表される化合物、及び下記一般式(III)で表される珪素化合物を含む単量体を共重合して得られる。
Figure 2014051610
(式中、rは1〜20の整数を表し、R及びRはそれぞれ独立に、炭素原子数1〜10のヒドロカルビル基を表し、Rはヒドロカルビレン基を表し、R、R及びRの少なくとも1つが下記一般式(II)で表される基を有する。RとRは互いに結合していてもよい。)
Figure 2014051610
Figure 2014051610
(式中、kは0又は1であり、R11はヒドロカルビレン基を表し、R12、R13及びR14はそれぞれ独立に、置換アミノ基、ヒドロカルビルオキシ基、又は置換基を有していてもよいヒドロカルビル基を表す。)
上記ジエン系共重合体をシリカとともに使用することで、上記ジエン系共重合体に含まれる上記一般式(I)で表される化合物とシリカとの相互作用、及び、上記一般式(III)で表される珪素化合物とシリカとの相互作用により、シリカの分散性が向上するとともに、該ジエン系共重合体の動きが拘束される。その結果、ヒステリシスロスが低減して低燃費性が改善され、かつ、ウェットグリップ性能、耐摩耗性も改善された空気入りタイヤを得ることができる。
また、上記ジエン系共重合体は、特定の化合物の組合せで変性しているため、改善効果が相乗的に向上し、低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性を大きく改善できる。
なお、本明細書では、ヒドロカルビル基は炭化水素から1個の水素原子を除いた1価の基を表す。ヒドロカルビレン基は、炭化水素から2個の水素原子を除いた2価の基を表す。ヒドロカルビルオキシ基は、ヒドロキシ基の水素原子がヒドロカルビル基で置き換えられた構造を有する1価の基を表す。置換アミノ基は、アミノ基の少なくとも1個の水素原子が、水素原子以外の1価の原子又は1価基に置き換えられた構造を有する基、又はアミノ基の2個の水素原子が2価基で置き換えられた構造を有する基を表す。置換基を有するヒドロカルビル基(以下、置換ヒドロカルビル基と記すこともある。)は、ヒドロカルビル基の少なくとも1個の水素原子が置換基で置き換えられた構造を有する1価の基を表す。ヘテロ原子を有するヒドロカルビレン基(以下、ヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基と記すこともある。)とは、ヒドロカルビレン基の水素原子が除かれている炭素原子以外の炭素原子及び/又は水素原子が、ヘテロ原子(炭素原子、水素原子以外の原子)を有する基で置き換えられた構造を有する2価の基を表す。
(単量体)
本発明では、単量体として、共役ジエン化合物と、上記一般式(I)で表される化合物と、上記一般式(III)で表される珪素化合物とを使用する。
共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられ、これらは1種でもよく、2種以上でもよい。入手容易性の観点から、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。
上記一般式(I)において、R及びRで表されるヒドロカルビル基は、炭素原子数が1〜10である。炭素原子数が10を超えると、高コストになる傾向がある。得られるジエン系共重合体による低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性の改善効果が高いという点から、炭素原子数は、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜6である。
及びRで表されるヒドロカルビル基としては、例えば、アルキル基などの1価の脂肪族炭化水素基、アリール基などの1価の芳香族炭化水素基などがあげられる。得られるジエン系共重合体による低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性の改善効果が高いという点から、R及びRは、アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基がより好ましい。
及びRが結合した基としては、後述のRで表されるヒドロカルビレン基と同様の基があげられる。R及びRが結合した基としては、アルキレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
で表されるヒドロカルビレン基は、炭素原子数が1〜10である。炭素原子数が10を超えると、高コストになる傾向がある。得られるジエン系共重合体による低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性の改善効果が高いという点から、炭素原子数は、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜6である。
なお、R、R及びRの炭素原子数は、上記一般式(II)で表される基の炭素原子数8を含むものである。
で表されるヒドロカルビレン基としては、例えば、アルキレン基などの2価の脂肪族炭化水素基、アリーレン基などの2価の芳香族炭化水素基などがあげられる。得られるジエン系共重合体による低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性の改善効果が高いという点から、Rは、アルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基がより好ましい。なお、rが2以上の場合、それぞれのRは、同一であっても異なってもよい。
rは1〜20の整数を表す。rが20を超えると、コストが増大する。rは、好ましくは15以下、より好ましくは12以下、更に好ましくは8以下であり、また、好ましくは5以上である。
、R及びRの少なくとも1つが上記一般式(II)で表される基を有する。得られるジエン系共重合体による低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性の改善効果が高いという点から、R、R及びRの1つが上記一般式(II)で表される基を有することが好ましい。
上記一般式(I)で表される化合物は、公知の方法で合成できる。例えば、強塩基の存在下、ハロゲン化アルキルスチレンとポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとを反応させることにより得られる。具体的には、溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミドを使用して、水素化ナトリウムの存在下、ハロゲン化アルキルスチレン(例えば、4−クロロメチルスチレン)とポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル(トリエチレングリコールモノブチルエーテルなど)とを反応させることにより得られる。
また、ビニルベンズアルデヒド(例えば、4−ビニルベンズアルデヒド)を公知の方法でアセタール化することによっても得られる。
上記一般式(I)で表される化合物としては、例えば、4−ビニルベンズアルデヒドジメチルアセタール、4−ビニルベンズアルデヒドジエチルアセタール、4−ビニルベンズアルデヒドジ−n−プロピルアセタール、4−ビニルベンズアルデヒドジイソプロピルアセタール、下記式(1)〜(4)で表される化合物などがあげられる。なかでも、低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性の改善効果が高いという点から、下記式(1)〜(4)で表される化合物が好ましく、下記式(1)で表される化合物がより好ましい。なお、上記一般式(I)で表される化合物は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
Figure 2014051610
Figure 2014051610
Figure 2014051610
Figure 2014051610
上記ジエン系共重合体における上記一般式(I)で表される化合物の含有量は、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である。0.05質量%未満では低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性の改善効果が得られにくく、一方、10質量%を超えると高コストになる傾向がある。
なお、上記ジエン系共重合体における上記一般式(I)で表される化合物の含有量は、後述する実施例の方法で測定できる。
本発明では、単量体として、下記一般式(III)で表される珪素化合物が使用される。
Figure 2014051610
(式中、kは0又は1であり、R11はヒドロカルビレン基を表し、R12、R13及びR14はそれぞれ独立に、置換アミノ基、ヒドロカルビルオキシ基、又は置換基を有していてもよいヒドロカルビル基を表す。)
一般式(III)のkは0又は1であり、低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性の改善効果が高いという点から、好ましくは0である。
11のヒドロカルビレン基としては、アルキレン基、アルケンジイル基、アリーレン基、アリーレン基とアルキレン基とが結合した基をあげることができる。アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基をあげることができる。アルケンジイル基としてはビニレン基、エチレン−1,1−ジイル基をあげることができる。アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基をあげることができる。アリーレン基とアルキレン基とが結合した基としては、フェニレン基とメチレン基とが結合した基、フェニレン基とエチレン基とが結合した基をあげることができる。
11は好ましくはアリーレン基であり、より好ましくはフェニレン基である。
12、R13及びR14はそれぞれ独立に、置換アミノ基、ヒドロカルビルオキシ基、又は置換基を有していてもよいヒドロカルビル基を表す。低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性の改善効果が高いという点から、好ましくは、R12、R13及びR14の少なくとも1つが置換アミノ基であり、より好ましくは、R12、R13及びR14の2つが置換アミノ基である。
一般式(III)における置換アミノ基は、好ましくは下記一般式(IIIa)で表される基である。
Figure 2014051610
(式中、R15及びR16は、置換基を有してもよいヒドロカルビル基、又は、トリヒドロカルビルシリル基を表すか、あるいは、R15とR16とが結合して、窒素原子及び/又は酸素原子をヘテロ原子として有していてもよいヒドロカルビレン基を表す。)
一般式(IIIa)における置換基を有してもよいヒドロカルビル基は、ヒドロカルビル基又は置換ヒドロカルビル基である。置換ヒドロカルビル基としては、置換基がヒドロカルビルオキシ基である置換ヒドロカルビル基をあげることができる。ヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基などの鎖状アルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの環状アルキル基;フェニル基、ベンジル基、ナフチル基などのアリール基をあげることができ、鎖状アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。置換基がヒドロカルビルオキシ基である置換ヒドロカルビル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基などのアルコキシアルキル基;フェノキシメチル基などのアリールオキシアルキル基をあげることができる。
一般式(IIIa)におけるトリヒドロカルビルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基などのトリアルキルシリル基をあげることができる。
一般式(IIIa)における窒素原子及び/又は酸素原子をヘテロ原子として有していてもよいヒドロカルビレン基は、ヒドロカルビレン基又はヘテロ原子が窒素原子及び/又は酸素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基である。ヘテロ原子が窒素原子及び/又は酸素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基としては、ヘテロ原子が窒素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基、ヘテロ原子が酸素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基をあげることができる。ヒドロカルビレン基としては、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、ドデカメチレン基、2,2,4−トリメチルへキサン−1,6−ジイル基などのアルキレン基;ペンタン−2−エン−1,5−ジイル基などのアルケンジイル基をあげることができる。ヘテロ原子が窒素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基としては、−CH=N−CH=CH−で表される基、−CH=N−CH−CH−で表される基をあげることができる。ヘテロ原子が酸素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基としては、−CH−CH−O−CH−CH−で表される基をあげることができる。
15及びR16はアルキル基であるか、あるいはR15とR16とが結合してアルキレン基となっていることが好ましく、アルキル基であることがより好ましく、メチル基又はエチル基であることがさらに好ましい。
一般式(IIIa)で表される置換アミノ基のうち、R15及びR16がヒドロカルビル基であるものとして、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ−tert−ブチルアミノ基などのジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基などのジアリールアミノ基をあげることができ、ジアルキルアミノ基が好ましく、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基がより好ましい。R15及びR16が置換基としてヒドロカルビルオキシ基を有する置換ヒドロカルビル基であるものとしては、ジ(メトキシメチル)アミノ基、ジ(エトキシメチル)アミノ基などのジ(アルコキシアルキル)アミノ基をあげることができる。R15及びR16がトリヒドロカルビルシリル基であるものとしては、ビス(トリメチルシリル)アミノ基、ビス(tert−ブチルジメチルシリル)アミノ基、N−トリメチルシリル−N−メチルアミノ基などのトリアルキルシリル基含有アミノ基をあげることができる。
一般式(IIIa)で表される置換アミノ基のうち、R15とR16とが結合してヒドロカルビレン基となっているものとしては、1−トリメチレンイミノ基、1−ピロリジノ基、1−ピペリジノ基、1−ヘキサメチレンイミノ基、1−ヘプタメチレンイミノ基、1−オクタメチレンイミノ基、1−デカメチレンイミノ基、1−ドデカメチレンイミノ基などの1−アルキレンイミノ基をあげることができる。ヘテロ原子が窒素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基となっているものとしては、1−イミダゾリル基、4,5−ジヒドロ−1−イミダゾリル基をあげることができる。ヘテロ原子が酸素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基となっているものとしては、モルホリノ基をあげることができる。
一般式(IIIa)で表される置換アミノ基としては、ジアルキルアミノ基又は1−アルキレンイミノ基が好ましく、ジアルキルアミノ基がより好ましく、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基がさらに好ましい。
一般式(III)におけるヒドロカルビルオキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基などのアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基をあげることができる。
一般式(III)における置換基を有していてもよいヒドロカルビル基は、ヒドロカルビル基又は置換ヒドロカルビル基である。置換ヒドロカルビル基としては、置換基がヒドロカルビルオキシ基である置換ヒドロカルビル基をあげることができる。ヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基;フェニル基、4−メチル−1−フェニル基、ベンジル基などのアリール基をあげることができる。置換基がヒドロカルビルオキシ基である置換ヒドロカルビル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基をあげることができる。
一般式(III)で表される珪素化合物のうち、R12、R13及びR14のうちの1つが置換アミノ基であり、kが0である化合物としては、
(ジメチルアミノ)ジメチルビニルシラン、(エチルメチルアミノ)ジメチルビニルシラン、(ジ−n−プロピルアミノ)ジメチルビニルシラン、(ジイソプロピルアミノ)ジメチルビニルシラン、(ジメチルアミノ)ジエチルビニルシラン、(エチルメチルアミノ)ジエチルビニルシラン、(ジ−n−プロピルアミノ)ジエチルビニルシラン、(ジイソプロピルアミノ)ジエチルビニルシランなどの(ジアルキルアミノ)ジアルキルビニルシラン;[ビス(トリメチルシリル)アミノ]ジメチルビニルシラン、[ビス(t−ブチルジメチルシリル)アミノ]ジメチルビニルシラン、[ビス(トリメチルシリル)アミノ]ジエチルビニルシラン、[ビス(t−ブチルジメチルシリル)アミノ]ジエチルビニルシランなどの[ビス(トリアルキルシリル)アミノ]ジアルキルビニルシラン;(ジメチルアミノ)ジ(メトキシメチル)ビニルシラン、(ジメチルアミノ)ジ(メトキシエチル)ビニルシラン、(ジメチルアミノ)ジ(エトキシメチル)ビニルシラン、(ジメチルアミノ)ジ(エトキシエチル)ビニルシラン、(ジエチルアミノ)ジ(メトキシメチル)ビニルシラン、(ジエチルアミノ)ジ(メトキシエチル)ビニルシラン、(ジエチルアミノ)ジ(エトキシメチル)ビニルシラン、(ジエチルアミノ)ジ(エトキシエチル)ビニルシランなどの(ジアルキルアミノ)ジ(アルコキシアルキル)ビニルシラン;ピロリジノジメチルビニルシラン、ピペリジノジメチルビニルシラン、ヘキサメチレンイミノジメチルビニルシラン、4,5−ジヒドロイミダゾリルジメチルビニルシラン、モルホリノジメチルビニルシランなどの環状アミノジアルキルビニルシラン化合物をあげることができる。
一般式(III)で表される珪素化合物のうち、R12、R13及びR14のうちの1つが置換アミノ基であり、kが1である化合物としては、
(ジメチルアミノ)ジメチル−4−ビニルフェニルシラン、(ジメチルアミノ)ジメチル−3−ビニルフェニルシラン、(ジエチルアミノ)ジメチル−4−ビニルフェニルシラン、(ジエチルアミノ)ジメチル−3−ビニルフェニルシラン、(ジ−n−プロピルアミノ)ジメチル−4−ビニルフェニルシラン、(ジ−n−プロピルアミノ)ジメチル−3−ビニルフェニルシラン、(ジ−n−ブチルアミノ)ジメチル−4−ビニルフェニルシラン、(ジ−n−ブチルアミノ)ジメチル−3−ビニルフェニルシラン、(ジメチルアミノ)ジエチル−4−ビニルフェニルシラン、(ジメチルアミノ)ジエチル−3−ビニルフェニルシラン、(ジエチルアミノ)ジエチル−4−ビニルフェニルシラン、(ジエチルアミノ)ジエチル−3−ビニルフェニルシラン、(ジ−n−プロピルアミノ)ジエチル−4−ビニルフェニルシラン、(ジ−n−プロピルアミノ)ジエチル−3−ビニルフェニルシラン、(ジ−n−ブチルアミノ)ジエチル−4−ビニルフェニルシラン、(ジ−n−ブチルアミノ)ジエチル−3−ビニルフェニルシランなどの(ジアルキルアミノ)ジアルキルビニルフェニルシランをあげることができる。
一般式(III)で表される珪素化合物のうち、R12、R13及びR14のうちの2つが置換アミノ基であり、kが0である化合物としては、
ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジ−n−プロピルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジ−n−ブチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)エチルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)エチルビニルシラン、ビス(ジ−n−プロピルアミノ)エチルビニルシラン、ビス(ジ−n−ブチルアミノ)エチルビニルシランなどのビス(ジアルキルアミノ)アルキルビニルシラン;ビス[ビス(トリメチルシリル)アミノ]メチルビニルシラン、ビス[ビス(tert−ブチルジメチルシリル)アミノ]メチルビニルシラン、ビス[ビス(トリメチルシリル)アミノ]エチルビニルシラン、ビス[ビス(tert−ブチルジメチルシリル)アミノ]エチルビニルシランなどのビス[ビス(トリアルキルシリル)アミノ]アルキルビニルシラン;ビス(ジメチルアミノ)メトキシメチルビニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メトキシエチルビニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)エトキシメチルビニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)エトキシエチルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)メトキシメチルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)メトキシエチルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)エトキシメチルビニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)エトキシエチルビニルシランなどのビス(ジアルキルアミノ)アルコキシアルキルシラン;ビス(ピロリジノ)メチルビニルシラン、ビス(ピペリジノ)メチルビニルシラン、ビス(ヘキサメチレンイミノ)メチルビニルシラン、ビス(4,5−ジヒドロイミダゾリル)メチルビニルシラン、ビス(モルホリノ)メチルビニルシランなどのビス(環状アミノ)アルキルビニルシラン化合物をあげることができる。
一般式(III)で表される珪素化合物のうち、R12、R13及びR14のうちの2つが置換アミノ基であり、kが1である化合物としては、
ビス(ジメチルアミノ)メチル−4−ビニルフェニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチル−3−ビニルフェニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)メチル−4−ビニルフェニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)メチル−3−ビニルフェニルシラン、ビス(ジ−n−プロピルアミノ)メチル−4−ビニルフェニルシラン、ビス(ジ−n−プロピルアミノ)メチル−3−ビニルフェニルシラン、ビス(ジ−n−ブチルアミノ)メチル−4−ビニルフェニルシラン、ビス(ジ−n−ブチルアミノ)メチル−3−ビニルフェニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)エチル−4−ビニルフェニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)エチル−3−ビニルフェニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)エチル−4−ビニルフェニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)エチル−3−ビニルフェニルシラン、ビス(ジ−n−プロピルアミノ)エチル−4−ビニルフェニルシラン、ビス(ジ−n−プロピルアミノ)エチル−3−ビニルフェニルシラン、ビス(ジ−n−ブチルアミノ)エチル−4−ビニルフェニルシラン、ビス(ジ−n−ブチルアミノ)エチル−3−ビニルフェニルシランなどのビス(ジアルキルアミノ)アルキルビニルフェニルシランをあげることができる。
一般式(III)で表される珪素化合物のうち、R12、R13及びR14のうちの3つが置換アミノ基であり、kが0である化合物としては、
トリス(ジメチルアミノ)ビニルシラン、トリス(ジエチルアミノ)ビニルシラン、トリス(ジ−n−プロピルアミノ)ビニルシラン、トリス(ジ−n−ブチルアミノ)ビニルシランなどのトリス(ジアルキルアミノ)ビニルシランをあげることができる。
一般式(III)で表される珪素化合物のうち、R12、R13及びR14のうちの3つが置換アミノ基であり、kが1である化合物としては、
トリス(ジメチルアミノ)−4−ビニルフェニルシラン、トリス(ジメチルアミノ)−3−ビニルフェニルシラン、トリス(ジエチルアミノ)−4−ビニルフェニルシラン、トリス(ジエチルアミノ)−3−ビニルフェニルシラン、トリス(ジ−n−プロピルアミノ)−4−ビニルフェニルシラン、トリス(ジ−n−プロピルアミノ)−3−ビニルフェニルシラン、トリス(ジ−n−ブチルアミノ)−4−ビニルフェニルシラン、トリス(ジ−n−ブチルアミノ)−3−ビニルフェニルシランなどのトリス(ジアルキルアミノ)ビニルフェニルシランをあげることができる。
一般式(III)で表される珪素化合物のうち、R12、R13及びR14が置換アミノ基ではなく、kが0である化合物としては、
トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、トリプロポキシビニルシランなどのトリアルコキシビニルシラン;メチルジメトキシビニルシラン、メチルジエトキシビニルシランなどのジアルコキシアルキルビニルシラン;ジ(tert−ペントキシ)フェニルビニルシラン、ジ(tert−ブトキシ)フェニルビニルシランなどのジアルコキシアリールビニルシラン;ジメチルメトキシビニルシランなどのモノアルコキシジアルキルビニルシラン;tert−ブトキシジフェニルビニルシラン、tert−ペントキシジフェニルビニルシランなどのモノアルコキシジアリールビニルシラン;tert−ブトキシメチルフェニルビニルシラン、tert−ブトキシエチルフェニルビニルシランなどのモノアルコキシアルキルアリールビニルシラン;トリス(β−メトキシエトキシ)ビニルシランなどの置換アルコキシビニルシラン化合物をあげることができる。
一般式(III)で表される珪素化合物は、一般式(III)中のkが0である化合物がより好ましく、一般式(III)中のR12、R13及びR14のうち2つがジアルキルアミノ基である化合物がさらに好ましい。
一般式(III)で表される珪素化合物として特に好ましい化合物は、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジ−n−ブチルアミノ)メチルビニルシランである。
上記ジエン系共重合体における上記一般式(III)で表される珪素化合物の含有量は、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上である。また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。0.05質量%未満では低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性の改善効果が得られにくく、一方、10質量%を超えると高コストになる傾向がある。
なお、上記ジエン系共重合体における上記一般式(III)で表される珪素化合物の含有量は、後述する実施例の方法で測定できる。
上記ジエン系共重合体の製造においては、単量体として、共役ジエン化合物、一般式(I)で表される化合物、及び一般式(III)で表される珪素化合物に加え、さらに、重合可能な単量体を用いてもよい。該単量体としては、芳香族ビニル化合物、ビニルニトリル、不飽和カルボン酸エステルなどがあげられる。芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレンを例示することができる。また、ビニルニトリルとしては、アクリロニトリルなどを、不飽和カルボン酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチルなどを例示することができる。これらの中では、芳香族ビニル化合物が好ましく、スチレンがより好ましい。
ジエン系共重合体が芳香族ビニル化合物を含有する場合、ジエン系共重合体中の芳香族ビニル化合物の含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは15質量%以上である。また、好ましくは55質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。5質量%未満ではウェットグリップ性能が悪化する傾向があり、一方、55質量%を超えると低燃費性が悪化する傾向がある。
なお、上記ジエン系共重合体における芳香族ビニル化合物の含有量は、後述する実施例の方法で測定できる。
(末端変性剤)
本発明のジエン系共重合体は、下記一般式(IV)で表される化合物(末端変性剤(末端を変性する変性剤))により末端が変性されていることが好ましい。これにより、低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性を大きく改善できる。
Figure 2014051610
(式中、mは1〜10の整数を表し、R21、R22及びR23はそれぞれ独立に、炭素原子数が1〜4のヒドロカルビル基又は炭素原子数が1〜4のヒドロカルビルオキシ基を表し、R21、R22及びR23の少なくとも1つがヒドロカルビルオキシ基であり、Aは窒素原子又は酸素原子を有する官能基を表す。)
21、R22及びR23のヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基などをあげることができる。また、R21、R22及びR23のヒドロカルビルオキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基などのアルコキシ基をあげることができる。
21、R22及びR23のヒドロカルビル基としては、好ましくは、アルキル基であり、より好ましくは、炭素原子数が1〜3のアルキル基であり、更に好ましくは、メチル基、エチル基である。R21、R22及びR23のヒドロカルビルオキシ基としては、好ましくは、アルコキシ基であり、より好ましくは、炭素原子数が1〜3のアルコキシ基であり、更に好ましくは、メトキシ基、エトキシ基である。
21、R22及びR23としては、低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性をバランス良く高める観点から、好ましくは、R21、R22及びR23の少なくとも2つがヒドロカルビルオキシ基であり、より好ましくは、R21、R22及びR23の3つがヒドロカルビルオキシ基である。
mは1〜10の整数を表す。低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性を高める観点から、好ましくは2以上であり、製造時の経済性を高める観点から、好ましくは4以下である。特に好ましくは3である。
Aは窒素原子又は酸素原子を有する官能基であり、窒素原子又は酸素原子を有する官能基として、アミノ基、イソシアノ基、シアノ基、ピリジル基、ピペリジル基、ピラジニル基、モルホリノ基、アミド基、カルボン酸エステル基、メタクリロイル基、アクリロイル基などがあげられる。また、オキシジメチレン基、オキシジエチレン基などのオキシジアルキレン基;エポキシ基、テトラヒドロフラニル基などのアルキレンオキシド基などがあげられる。
上記一般式(IV)で表される化合物としては、下記一般式(V)で表される基を有する化合物が好ましい。
Figure 2014051610
(式中、nは1〜10の整数を表し、R24、R25及びR26はそれぞれ独立に、炭素原子数が1〜4のヒドロカルビル基又は炭素原子数が1〜4のヒドロカルビルオキシ基を表し、R24、R25及びR26の少なくとも1つがヒドロカルビルオキシ基である。)
24、R25及びR26について、例示される基及び好ましい基は、一般式(IV)のR21、R22及びR23について例示される基及び好ましい基と同じである。nの好ましい範囲は、一般式(IV)のmの好ましい範囲と同じである。
上記一般式(V)で表される基を有する化合物としては、下記一般式(V−1)又は下記一般式(V−2)で表わされる化合物をあげることができる。
Figure 2014051610
[式中、iは1〜10の整数を表し、R27、R28及びR29は、それぞれ独立に、炭素原子数が1〜4のヒドロカルビル基又は炭素原子数が1〜4のヒドロカルビルオキシ基を表し、R27、R28及びR29の少なくとも1つがヒドロカルビルオキシ基であり、R30及びR31は、それぞれ独立に、炭素原子数が1〜10のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜10の置換ヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜10のヒドロカルビルオキシ基又は炭素原子数が1〜10の置換ヒドロカルビルオキシ基を表し、R30及びR31は結合していてもよい。]
Figure 2014051610
[式中、j、q及びlは、それぞれ独立に、1〜10の整数を表し、R32〜R40は、それぞれ独立に、炭素原子数が1〜4のヒドロカルビル基又は炭素原子数が1〜4のヒドロカルビルオキシ基を表し、R32、R33及びR34の少なくとも1つがヒドロカルビルオキシ基であり、R35、R36及びR37の少なくとも1つがヒドロカルビルオキシ基であり、R38、R39及びR40の少なくとも1つがヒドロカルビルオキシ基である。]
一般式(V−1)のR27、R28及びR29について、例示される基及び好ましい基は、一般式(IV)のR21、R22及びR23について例示される基及び好ましい基と同じである。iの好ましい範囲は、一般式(IV)のmの好ましい範囲と同じである。
30及びR31のヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基をあげることができる。
30及びR31の置換ヒドロカルビル基としては、窒素原子を有する基、酸素原子を有する基及びケイ素原子を有する基からなる基群から選ばれる少なくとも1種の基を置換基として有する置換ヒドロカルビル基をあげることができる。窒素原子を有する基を置換基として有する基としては、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基などのジアルキルアミノアルキル基をあげることができ、酸素原子を有する基を置換基として有する基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基をあげることができ、ケイ素原子を有する基を置換基として有する基としては、トリメチルシリルメチル基、トリエチルシリルメチル基などのトリアルキルシリルアルキル基などをあげることができる。
30及びR31のヒドロカルビルオキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基などのアルコキシ基をあげることができる。また、R30及びR31の置換ヒドロカルビルオキシ基としては、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシメトキシ基、エトキシエトキシ基などのアルコキシアルコキシ基をあげることができる。
30及びR31が結合した基としては、窒素原子、酸素原子及びケイ素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子を有していてもよい炭素原子数が2〜12の2価の基があげられる。例えば、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などのアルキレン基;オキシジエチレン基、オキシジプロピレン基などのオキシジアルキレン基;−CHCH−NH−CH−で表される基、−CHCH−N=CH−で表される基などの含窒素基などをあげることができる。
30としては、好ましくは、アルキル基であり、より好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、更に好ましくは、メチル基及びエチル基である。
31としては、好ましくは、アルキル基であり、より好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、更に好ましくは、メチル基及びエチル基である。
一般式(V−2)のR32〜R40について、例示される基及び好ましい基は、一般式(IV)のR21、R22及びR23について例示される基及び好ましい基と同じである。j、q及びlの好ましい範囲は、一般式(IV)のmの好ましい範囲と同じである。
32、R33及びR34としては、低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性をバランス良く高める観点から、好ましくは、R32、R33及びR34の少なくとも2つがヒドロカルビルオキシ基であり、より好ましくは、R32、R33及びR34の3つがヒドロカルビルオキシ基である。R35、R36及びR37としては、低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性をバランス良く高める観点から、好ましくは、R35、R36及びR37の少なくとも2つがヒドロカルビルオキシ基であり、より好ましくは、R35、R36及びR37の3つがヒドロカルビルオキシ基である。また、R38、R39及びR40としては、低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性をバランス良く高める観点から、好ましくは、R38、R39及びR40の少なくとも2つがヒドロカルビルオキシ基であり、より好ましくは、R38、R39及びR40の3つがヒドロカルビルオキシ基である。
一般式(V−1)で表わされる化合物としては、
N−メチル−N−(トリメトキシシリルメチル)−アセトアミド、
N−メチル−N−(トリエトキシシリルメチル)−アセトアミド、
N−メチル−N−(2−トリメトキシシリルエチル)−アセトアミド、
N−メチル−N−(2−トリエトキシシリルエチル)−アセトアミド、
N−メチル−N−(3−トリメトキシシリルプロピル)−アセトアミド、
N−メチル−N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−アセトアミド
などのN−アルキル−N−トリアルコキシシリルアルキル−アセトアミド;
N−メチル−N−(トリメトキシシリルメチル)−プロピオンアミド、
N−メチル−N−(トリエトキシシリルメチル)−プロピオンアミド、
N−メチル−N−(2−トリメトキシシリルエチル)−プロピオンアミド、
N−メチル−N−(2−トリエトキシシリルエチル)−プロピオンアミド、
N−メチル−N−(3−トリメトキシシリルプロピル)−プロピオンアミド、
N−メチル−N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−プロピオンアミド
などのN−アルキル−N−トリアルコキシシリルアルキル−プロピオンアミドなど、
N−アルキル−N−トリアルコキシシリルアルキル置換カルボン酸アミドをあげることができる。
一般式(V−1)で表わされる化合物として、好ましくは、N−アルキル−N−トリアルコキシシリルアルキル置換カルボン酸アミドであり、より好ましくは、N−アルキル−N−トリアルコキシシリルアルキル−プロピオンアミドであり、更に好ましくは、N−メチル−N−(3−トリメトキシシリルプロピル)−プロピオンアミド、N−メチル−N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−プロピオンアミドである。
一般式(V−2)で表わされる化合物としては、
1,3,5−トリス(トリメトキシシリルメチル)イソシアヌレート、
1,3,5−トリス(トリエトキシシリルメチル)イソシアヌレート、
1,3,5−トリス(2−トリメトキシシリルエチル)イソシアヌレート、
1,3,5−トリス(2−トリエトキシシリルエチル)イソシアヌレート、
1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、
1,3,5−トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート
などの1,3,5−トリス(トリアルコキシアルキル)イソシアヌレートをあげることができる。
一般式(V−2)で表わされる化合物として、好ましくは、
1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、
1,3,5−トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレートである。
また、上記一般式(IV)で表される化合物としては、下記一般式(VI)で表わされる化合物もあげることができる。
Figure 2014051610

[式中、vは1〜10の整数を表し、R41、R42及びR43は、それぞれ独立に、炭素原子数が1〜4のヒドロカルビル基又は炭素原子数が1〜4のヒドロカルビルオキシ基を表し、R41、R42及びR43の少なくとも1つがヒドロカルビルオキシ基であり、R44は、炭素原子数が1〜10のヒドロカルビル基又は炭素原子数が1〜10の置換ヒドロカルビル基を表す。]
一般式(VI)のR41、R42及びR43について、例示される基及び好ましい基は、一般式(IV)のR21、R22及びR23について例示される基及び好ましい基と同じである。vの好ましい範囲は、一般式(IV)のmの好ましい範囲と同じである。
44のヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基などをあげることができる。
44の置換ヒドロカルビル基としては、窒素原子を有する基、酸素原子を有する基及びケイ素原子を有する基からなる基群から選ばれる少なくとも1種の基を置換基として有する置換ヒドロカルビル基をあげることができる。窒素原子を有する基を置換基として有する基としては、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基などのジアルキルアミノアルキル基をあげることができ、酸素原子を有する基を置換基として有する基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基;グリシジル基、テトラヒドロフルフリル基などのアルキレンオキシドアルキル基をあげることができ、ケイ素原子を有する基を置換基として有する基としては、トリメチルシリルメチル基などのトリアルキルシリルアルキル基などをあげることができる。
なお、本明細書において、アルキレンオキシドアルキル基は、アルキル基の1つ以上の水素原子がアルキレンオキシド基で置換されている基を表す。
44としては、好ましくは、アルキレンオキシドアルキル基であり、より好ましくは、グリシジル基、テトラヒドロフルフリル基である。
一般式(VI)で表わされる化合物としては、
44がアルキル基である化合物として、
3−(メトキシ)プロピルトリメトキシシラン、
3−(エトキシ)プロピルトリメトキシシラン、
3−(n−プロポキシ)プロピルトリメトキシシラン、
3−(イソプロポキシ)プロピルトリメトキシシラン、
3−(n−ブトキシ)プロピルトリメトキシシラン、
3−(sec−ブトキシ)プロピルトリメトキシシラン、
3−(t−ブトキシ)プロピルトリメトキシシラン
などの3−(アルコキシ)プロピルトリアルコキシシランをあげることができる。
44がアルキレンオキシドアルキル基である化合物として、
2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
2−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、
3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
などのグリシドキシアルキルトリアルコキシシラン;
2−テトラヒドロフルフリロキシエチルトリメトキシシラン、
3−テトラヒドロフルフリロキシプロピルトリメトキシシラン、
2−テトラヒドロフルフリロキシエチルトリエトキシシラン、
3−テトラヒドロフルフリロキシプロピルトリエトキシシラン
などのテトラヒドロフルフリロキシアルキルトリアルコキシシランをあげることができる。
44がアルコキシアルキル基である化合物として、
3−(メトキシメトキシ)プロピルトリメトキシシラン、
3−(メトキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、
3−(エトキシメトキシ)プロピルトリメトキシシラン、
3−(エトキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、
3−(メトキシメトキシ)プロピルトリエトキシシラン、
3−(メトキシエトキシ)プロピルトリエトキシシラン、
3−(エトキシメトキシ)プロピルトリエトキシシラン、
3−(エトキシエトキシ)プロピルトリエトキシシラン
などの3−(アルコキシアルコキシ)プロピルトリアルコキシシランをあげることができる。
また、一般式(VI)で表わされる化合物として、3−アクリロキシアルキルトリアルコキシシラン、3−メタクリロキシアルキルトリアルコキシシランなどもあげられる。
3−アクリロキシアルキルトリアルコキシシランとしては、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシランなどの3−アクリロキシプロピルトリアルコキシシランをあげることができる。
3−メタクリロキシアルキルトリアルコキシシランとしては、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどの3−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシランをあげることができる。
一般式(VI)で表わされる化合物として、好ましくは、R44がアルキレンオキシドアルキル基である化合物であり、より好ましくは、
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、
3−テトラヒドロフルフリロキシプロピルトリメトキシシラン、
3−テトラヒドロフルフリロキシプロピルトリエトキシシランである。
一般式(IV)で表される化合物としては、一般式(V)で表される基を有する化合物や一般式(VI)で表わされる化合物の他に、トリアルコキシシリルアルキル無水コハク酸、トリアルコキシシリルアルキル無水マレイン酸などもあげることができる。
トリアルコキシシリルアルキル無水コハク酸としては、3−トリメトキシシリルプロピル無水コハク酸、3−トリエトキシシリルプロピル無水コハク酸などの3−トリアルコキシシリルプロピル無水コハク酸をあげることができる。
トリアルコキシシリルアルキル無水マレイン酸としては、3−トリメトキシシリルプロピル無水マレイン酸、3−トリエトキシシリルプロピル無水マレイン酸などの3−トリアルコキシシリルプロピル無水マレイン酸をあげることができる。
(重量平均分子量Mw)
上記ジエン系共重合体の重量平均分子量Mwは、1.0×10〜2.5×10である。Mwが1.0×10未満の場合は低燃費性が悪くなる傾向があり、一方、Mwが2.5×10を超えると加工性が悪くなる傾向がある。Mwの下限は、好ましくは2.0×10以上、より好ましくは3.0×10以上であり、上限は、好ましくは1.5×10以下、より好ましくは1.0×10以下である。
なお、Mwは、重合時に使用する重合開始剤の量を変更するなどの方法により適宜調節することができ、後述の実施例の方法で測定できる。
上記ジエン系共重合体の分子量分布は、低燃費性の観点から、好ましくは1〜5であり、より好ましくは1〜2である。分子量分布は、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法により、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を測定し、MwをMnで除すことにより求められる。
上記ジエン系共重合体のビニル結合量は、共役ジエン単位の含有量を100モル%として、低燃費性の観点から、好ましくは80モル%以下であり、より好ましくは70モル%以下である。また、ウェットグリップ性能の観点から、好ましくは10モル%以上であり、より好ましくは15モル%以上であり、更に好ましくは20モル%以上であり、特に好ましくは40モル%以上である。該ビニル結合量は、赤外分光分析法により、ビニル基の吸収ピークである910cm−1付近の吸収強度より求められる。
<ジエン系共重合体の製造方法>
本発明のジエン系共重合体は、共役ジエン化合物と、一般式(I)で表される化合物と、一般式(III)で表される珪素化合物と、必要に応じて重合可能な他の単量体とを共重合させて製造でき、更に必要に応じて、得られたジエン系共重合体の活性末端に、一般式(IV)で表される化合物(末端変性剤)を反応させてもよい。具体的には、以下の製造方法で製造できる。
(重合方法)
上記ジエン系共重合体の重合方法については特に制限はなく、溶液重合法、気相重合法、バルク重合法のいずれも用いることができ、ハンドリングの容易性の観点から、溶液重合法が好ましい。また、重合形式は、回分式及び連続式のいずれであってもよい。
溶液重合法を用いた場合には、溶液中の単量体濃度(共役ジエン化合物、一般式(I)で表される化合物、及び一般式(III)で表される珪素化合物などの合計)は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。溶液中の単量体濃度が5質量%未満では、得られるジエン系共重合体の量が少なく、高コストになる傾向がある。また、溶液中の単量体濃度は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。溶液中の単量体濃度が50質量%を超えると、溶液粘度が高くなりすぎて撹拌が困難となり、重合しにくくなる傾向がある。
(アニオン重合における重合開始剤)
アニオン重合を行う場合、重合開始剤としては特に制限はないが、有機リチウム化合物が好ましく用いられる。上記有機リチウム化合物としては、炭素原子数2〜20のアルキル基を有するものが好ましく、例えばエチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、tert−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチル−フェニルリチウム、4−フェニル−ブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、シクロペンチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応生成物などがあげられるが、これらの中で、入手容易性、安全性などの観点からn−ブチルリチウム又はsec−ブチルリチウムが好ましい。
(アニオン重合の方法)
上記有機リチウム化合物を重合開始剤として用い、アニオン重合によってジエン系共重合体を製造する方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。具体的には、反応に不活性な有機溶剤、例えば脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素化合物などの炭化水素系溶剤中において、ブチルリチウムなどを重合開始剤とし、必要に応じてランダマイザーの存在下で、共役ジエン化合物と、一般式(I)で表される化合物と、一般式(III)で表される珪素化合物と、必要に応じて重合可能な他の単量体とをアニオン重合させればよい。なお、アニオン重合後に、必要に応じて、公知の老化防止剤や、重合反応を停止する目的でアルコールなどを加えてもよい。
(アニオン重合における炭化水素系溶剤)
上記炭化水素系溶剤としては、炭素原子数3〜8のものが好ましく、例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1−ブテン、イソブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどをあげることができる。
(アニオン重合におけるランダマイザー)
また、上記ランダマイザーとは、ジエン系共重合体中の共役ジエン部分のミクロ構造制御(例えば、ブタジエンにおける1,2−結合の増加など)や、ジエン系共重合体におけるモノマー単位の組成分布の制御(例えば、ブタジエン−スチレン共重合体におけるブタジエン単位、スチレン単位のランダム化など)などの作用を有する化合物のことである。このランダマイザーとしては、特に制限はなく、従来ランダマイザーとして一般に使用されている公知の化合物の中から任意のものを用いることができる。例えば、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ビステトラヒドロフリルプロパン、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジピペリジノエタンなどのエーテル類及び第三級アミン類などをあげることができる。また、カリウム−t−アミレート、カリウム−t−ブトキシドなどのカリウム塩類、ナトリウム−t−アミレートなどのナトリウム塩類も用いることができる。
ランダマイザーの使用量は使用するランダマイザーの種類により異なるが、重合開始剤1モル当たり、0.01モル当量以上が好ましく、0.05モル当量以上がより好ましい。ランダマイザーの使用量が0.01モル当量未満では、添加効果が小さく、ランダム化しにくい傾向がある。また、ランダマイザーの使用量は、重合開始剤1モル当たり1000モル当量以下が好ましく、500モル当量以下がより好ましい。ランダマイザーの使用量が1000モル当量を超えると、モノマーの反応速度が大きく変化してしまい、逆にランダム化しにくくなる傾向がある。
共役ジエン化合物、一般式(I)で表される化合物、及び一般式(III)で表される珪素化合物などの単量体の使用量は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。
なお、上記ジエン系共重合体の製造においては、重合反応器に単量体を供給する前に重合開始剤を重合反応器に供給してもよく、重合に使用する単量体全量を重合反応器に供給した後に重合開始剤を重合反応器に供給してもよく、重合に使用する単量体の一部を重合反応器に供給した後に重合開始剤を重合反応器に供給してもよい。また、重合開始剤を、重合反応器に一時に供給してもよく、連続的に供給してもよい。
単量体の供給については、単量体を、重合反応器に一時に供給してもよく、連続的に供給してもよく、間欠的に供給してもよい。また、各単量体を、重合反応器に別々に供給してもよく、同時に供給してもよい。
上記ジエン系共重合体の製造における重合温度は、通常25〜100℃であり、好ましくは35〜90℃である。より好ましくは50〜80℃である。重合時間は、通常10分〜5時間である。
末端変性剤による変性方法は、アニオン重合で主鎖が変性されたジエン系共重合体を合成した後、該ジエン系共重合体と末端変性剤とを接触させる方法が挙げられ、これらによりジエン系共重合体末端部のアニオンと末端変性剤の官能基とが反応する。その結果、主鎖及び末端が変性されたジエン系共重合体が得られる。末端変性剤を反応させる量は、通常、ジエン系共重合体100質量部に対して0.01〜10質量部とすればよい。本発明のジエン系共重合体は、少なくとも一方の末端が変性されていることが好ましく、両末端が変性されていることがより好ましい。
本発明においては、上記末端変性剤による変性反応を行った後に、必要に応じて、公知の老化防止剤や、重合反応を停止する目的でアルコールなどを加えてもよい。
なお、必要に応じて加水分解処理を行ってもよく、これにより、一般式(III)で表される珪素化合物に由来する単位において、R12、R13及びR14の少なくとも1つを水酸基とすることができる。
<ゴム組成物>
(ゴム成分)
上記ジエン系共重合体はゴム組成物のゴム成分として使用できる。ゴム成分100質量%中のジエン系共重合体の含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは50質量%以上である。5質量%未満であると、低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性の改善効果が得られにくい傾向がある。また、ジエン系共重合体の含有量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。90質量%を超えると、高コストになる傾向がある。
上記ジエン系共重合体は、他のゴム成分と併用してもよい。他のゴム成分としては、ジエン系ゴムを用いることが好ましい。ジエン系ゴムは、天然ゴム(NR)、ジエン系合成ゴムを使用でき、ジエン系合成ゴムとしては、例えば、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)などがあげられる。なかでも、低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性をバランス良く示すことから、NR、BR、SBRが好ましく、BRがより好ましい。これらのゴム成分は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
本発明のゴム組成物がBRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、特に好ましくは20質量%以上であり、また、好ましくは95量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。上記範囲内であれば、低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性がバランス良く得られる。
本発明のゴム組成物がNRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のNRの含有量は、好ましくは5〜25質量%である。また、本発明のゴム組成物がSBRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは35〜85質量%である。上記範囲内であれば、低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性がバランス良く得られる。
(シリカ)
本発明のゴム組成物は、補強剤としてシリカを配合することが好ましい。上記ジエン系共重合体によってシリカの分散が促進され、低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性の向上効果を高めることができる。使用できるシリカとしては特に限定されず、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。また、シリカは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは80m/g以上、更に好ましくは150m/g以上であり、また、好ましくは300m/g以下、より好ましくは250m/g以下である。窒素吸着比表面積が50m/g未満のシリカでは補強効果が小さく耐摩耗性が低下する傾向があり、300m/gを超えるシリカでは分散性が悪く、ヒステリシスロスが増大し、低燃費性が低下する傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037−93に準じてBET法で測定される値である。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは50質量部以上であり、また、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下である。シリカの含有量が5質量部未満であると耐摩耗性が充分でない傾向があり、一方、シリカの含有量が150質量部を超えると、シリカが分散しにくくなり、加工性、低燃費性が悪化する傾向がある。
(シランカップリング剤)
本発明では、シリカとともに、シランカップリング剤を使用することが好ましい。シランカップリング剤としては特に限定されず、従来からタイヤ分野において汎用されているものを使用でき、例えば、スルフィド系、メルカプト系、ビニル系、アミノ系、グリシドキシ系、ニトロ系、クロロ系シランカップリング剤などがあげられる。なかでも、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィドなどのスルフィド系を好適に使用できる。
補強性改善効果などの点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド及び3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィドが特に好ましい。これらのシランカップリング剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは4質量部以上である。シランカップリング剤の含有量が1質量部未満では、未加硫ゴム組成物の粘度が高く、加工性が悪くなる傾向がある。また、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対し、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。シランカップリング剤の含有量が20質量部を超えると、その含有量ほどのシランカップリング剤の配合効果が得られず、高コストになる傾向がある。
(カーボンブラック)
本発明のゴム組成物は、カーボンブラックを含有することが好ましい。使用できるカーボンブラックとしては特に限定されず、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。また、カーボンブラックは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは30m/g以上、より好ましくは70m/g以上であり、好ましくは250m/g以下、より好ましくは120m/g以下である。また、カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸収量は、好ましくは5ml/100g以上、より好ましくは80ml/100g以上であり、好ましくは300ml/100g以下、より好ましくは180ml/100g以下である。カーボンブラックのNSAやDBP吸収量が上記範囲の下限未満では、補強効果が小さく耐摩耗性が低下する傾向があり、上記範囲の上限を超えると、分散性が悪く、ヒステリシスロスが増大し低燃費性が低下する傾向がある。該窒素吸着比表面積は、ASTM D4820−93に従って測定され、該DBP吸収量は、ASTM D2414−93に従って測定される。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。1質量部未満では、充分な補強性が得られないおそれがある。カーボンブラックの含有量は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。50質量部を超えると、低燃費性が悪化する傾向がある。
(老化防止剤)
本発明のゴム組成物は、老化防止剤を含むことができる。老化防止剤としては、アミン系、フェノール系、イミダゾール系の各化合物や、カルバミン酸金属塩、ワックスなどを適宜選択して使用することが可能である。
(軟化剤)
本発明のゴム組成物は、軟化剤を含むことができる。軟化剤としては、石油系軟化剤、脂肪油系軟化剤、脂肪酸などがあげられる。軟化剤の含有量は、ウェットグリップ性能を低下させる危険性が少ないという理由から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは100質量部以下である。
(加硫剤)
本発明のゴム組成物は、加硫剤を含むことができる。加硫剤としては、有機過酸化物、硫黄系加硫剤などを使用できる。なかでも、本発明の効果が良好に得られるという点から、硫黄系加硫剤が好ましく、硫黄がより好ましい。
(加硫促進剤)
本発明のゴム組成物は、加硫促進剤を含むことができる。加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、キサンテート系加硫促進剤などがあげられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(加硫助剤)
本発明のゴム組成物は、加硫助剤を含むことができる。加硫助剤としては、ステアリン酸、酸化亜鉛(亜鉛華)などを使用することができる。
(その他の成分)
本発明のゴム組成物には、その他の補強剤、各種オイル、可塑剤、カップリング剤などのタイヤ用又は一般のゴム組成物用に配合される各種配合剤及び添加剤を配合することができる。また、これらの配合剤、添加剤の含有量も一般的な量とすることができる。
<ゴム組成物の製造方法>
本発明のゴム組成物は、従来公知の製造方法により製造することができ、その製造方法が限定されるものではない。例えば、上記各成分をバンバリーミキサーや混練ロールなどの混練機を用いて、通常の方法及び条件で混練することによって製造することができる。
このようにして得られた本発明のゴム組成物を用いることで、低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性がバランス良く改善された空気入りタイヤが得られる。上記ゴム組成物は、タイヤの各部材に使用でき、なかでも、トレッド、サイドウォールなどに好適に使用できる。
<空気入りタイヤ>
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。すなわち、上記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッドなどの形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより空気入りタイヤを得る。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、合成、重合時に用いた各種薬品について、まとめて説明する。なお、薬品は必要に応じて定法に従い精製を行った。
DMF:関東化学(株)製 N,N−ジメチルホルムアミド
水素化ナトリウム:関東化学(株)製
ジエチレングリコールモノブチルエーテル:東京化成工業(株)製
4−クロロメチルスチレン:和光純薬工業(株)製
塩化アンモニウム:関東化学(株)製
トリプロピレングリコールモノメチルエーテル:東京化成工業(株)製
トルエン:関東化学(株)製
4−ビニルベンズアルデヒド:シグマアルドリッチ社製
1−ブタノール:関東化学(株)製
p−トルエンスルホン酸:関東化学(株)製
t−ブチルカテコール:関東化学(株)製
炭酸水素ナトリウム:関東化学(株)製
硫酸マグネシウム:関東化学(株)製
プロピレングリコール:関東化学(株)製
n−ヘキサン:関東化学(株)製
スチレン:関東化学(株)製
1,3−ブタジエン:高千穂商事(株)製
テトラメチルエチレンジアミン:関東化学(株)製
n−ブチルリチウム:関東化学(株)製の1.6M n−ブチルリチウムヘキサン溶液
2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール溶液:大内新興化学工業(株)製の「ノクラック200」1gをメタノール100mlに溶解させて調製した。
メタノール:関東化学(株)製
末端変性剤1:信越化学工業(株)製の1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート
末端変性剤2:信越化学工業(株)製のN−(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)スクシンイミド
末端変性剤3:アヅマックス(株)製の3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン
<一般式(I)で表される化合物の合成>
化合物1[4−(2,5,8−トリオキサドデシル)スチレン](下記式)の合成
充分に窒素置換した三つ口フラスコにDMF100mL、水素化ナトリウム1.8gを加え、0℃でジエチレングリコールモノブチルエーテル12gを撹拌しながら30分かけて滴下した。室温で1時間撹拌後、再び0℃に冷却し、4−クロロメチルスチレン7.5gを滴下し、そのまま1時間撹拌した。得られた溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、有機層を抽出後、エバポレーターで濃縮して4−(2,5,8−トリオキサドデシル)スチレンを作成し、シリカゲルカラムで定法により精製した。
Figure 2014051610
化合物2[4−(2,6,10,14−テトラオキサペンタデシル)スチレン](下記式)の合成
充分に窒素置換した三つ口フラスコにDMF100mL、水素化ナトリウム1.8gを加え、0℃でトリプロピレングリコールモノメチルエーテル15gを撹拌しながら30分かけて滴下した。室温で1時間撹拌後、再び0℃に冷却し、4−クロロメチルスチレン7.5gを滴下し、そのまま1時間撹拌した。得られた溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、有機層を抽出後、エバポレーターで濃縮して4−(2,6,10,14−テトラオキサペンタデシル)スチレンを作成し、シリカゲルカラムで定法により精製した。
Figure 2014051610
化合物3[4−(1,1−ビス−n−ブトキシメチル)スチレン](下記式)の合成
充分に窒素置換した三つ口フラスコにトルエン100mL、4−ビニルベンズアルデヒド5.3g、1−ブタノール8.9g、p−トルエンスルホン酸5mg、t−ブチルカテコール1mgを添加し、110℃で2時間還流させた。その後、得られた溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過と濃縮を行い4−(1,1−ビス−n−ブトキシメチル)スチレンを作成し、減圧蒸留により精製した。
Figure 2014051610
化合物4[4−(2−1,3−ジオキサニル)スチレン](下記式)の合成
充分に窒素置換した三つ口フラスコにトルエン100mL、4−ビニルベンズアルデヒド5.3g、プロピレングリコール4.2g、p−トルエンスルホン酸5mg、t−ブチルカテコール1mgを添加し、110℃で2時間還流させた。その後、得られた溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過と濃縮を行い4−(2−1,3−ジオキサニル)スチレンを作成し、減圧蒸留により精製した。
Figure 2014051610
<一般式(III)で表される珪素化合物の合成>
化合物5[ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン]の合成
充分に窒素置換した2L三つ口フラスコにTHF1000mL、水素化ナトリウム13gを加え、氷水バス上で撹拌しながらジエチルアミン36.5gをゆっくり滴下した。30分撹拌後、メチルビニルジクロロシラン36gを30分かけて滴下し、2時間撹拌させた。得られた溶液を濃縮し、ろ過後、減圧蒸留精製を行い、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシランを合成した。
得られたビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン21.4gを窒素雰囲気下で100mlメスフラスコに入れ、さらに無水ヘキサンを加え全量を100mlにした。
化合物6[ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン]
信越化学社製のビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン15.8gを窒素雰囲気下で100mlメスフラスコに入れ、さらに無水ヘキサンを加え全量を100mlにした。
<共重合体の分析>
下記により得られた共重合体の分析は以下の方法で行った。
(重量平均分子量Mwの測定)
共重合体の重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めた。
(共重合体の構造同定)
共重合体の構造同定は、日本電子(株)製JNM−ECAシリーズの装置を用いて行った。測定結果から、スチレン含有量、ビニル含有量、化合物1〜4の含有量、化合物1〜4の結合数及び化合物5〜6の含有量を算出した。
<共重合体の合成>
(共重合体(1))
表1のレシピに従い、充分に窒素置換した3L耐圧容器にn−ヘキサン1800mL、スチレン41.7g、1,3−ブタジエン146.0g、化合物1 3mmol、化合物5 3mmol、テトラメチルエチレンジアミン0.9mmol、n−ブチルリチウム1.2mmolを加えて、50℃で4時間撹拌した。その後、末端変性剤1を0.3mmol追加し、2時間撹拌を行った。さらに2,6−tert−ブチル−p−クレゾール溶液1mlを添加し、反応溶液をメタノール3Lが入った10Lステンレス製円筒容器に取り出した。得られた凝集体を24時間減圧乾燥し、共重合体(1)を得た。分析の結果、Mwは346000、スチレン含有量は22.2質量%、ブタジエン由来のユニット中のビニル含量は60モル%であった。
(共重合体(2)〜(16))
表1のレシピにて共重合体(1)と同様の方法で合成した。得られた共重合体の収量、及び特性を表1に示す。
Figure 2014051610
<実施例及び比較例>
以下に、実施例及び比較例で用いた各種薬品について説明する。
共重合体(1)〜(16):上記方法で合成
ブタジエンゴム:宇部興産(株)製のウベポールBR150B
シリカ:デグッサ社製のウルトラシルVN3(NSA:175m/g)
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイアブラックN339(NSA:96m/g、DBP吸収量:124ml/100g)
オイル:(株)ジャパンエナジー製のX−140
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン3C
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤(1):大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ
加硫促進剤(2):大内新興化学工業(株)製のノクセラーD
表2に示す配合内容に従い、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃で20分間、0.5mm厚の金型でプレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。また、得られた未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、170℃で12分間加硫し、試験用タイヤ(サイズ:195/65R15)を製造した。
<評価項目及び試験方法>
<tanδ>
(株)上島製作所製スペクトロメーターを用いて、動的歪振幅1%、周波数10Hz、温度50℃で加硫ゴム組成物のtanδを測定し、比較例1を100とした時の指数で表示した。低燃費指数が大きいほど転がり抵抗が小さく、低燃費性に優れることを示している。
<転がり抵抗>
転がり抵抗試験機を用い、試験用タイヤを、リム(15×6JJ)、内圧(230kPa)、荷重(3.43kN)、速度(80km/h)で走行させたときの転がり抵抗を測定し、比較例1を100とした時の指数で表示した。転がり指数が大きいほど転がり抵抗が小さく、低燃費性に優れることを示している。
<ウェットグリップ性能>
各試験用タイヤを車両(国産FF2000cc)の全輪に装着して、湿潤アスファルト路面にて初速度100km/hからの制動距離を求めた。結果は指数で表し、数値が大きいほどウェットスキッド性能(ウェットグリップ性能)が良好である。指数は次の式で求めた。
(ウェットグリップ性能指数)=(比較例1の制動距離)/(各配合の制動距離)×100
<LAT摩耗試験>
LAT試験機(Laboratory Abrasion and Skid Tester)を用い、荷重50N、速度20km/h、スリップアングル5°の条件にて、各加硫ゴム組成物の容積損失量を測定した。表2の数値(耐摩耗性指数)は、比較例1の容積損失量を100としたときの相対値である。当該数値が大きいほど耐摩耗性に優れている。
Figure 2014051610
共役ジエン化合物、特定の芳香族化合物、及び特定の珪素化合物(珪素含有ビニル化合物)を共重合して得られる重量平均分子量Mwが特定の範囲内であるジエン系共重合体を用いた実施例では、低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性がバランス良く改善された。また、末端変性剤により更に変性されたジエン系共重合体を用いることで、より優れた改善効果が得られた(実施例7、8の比較)。なお、比較例6は、粘度が低すぎたため、混練ができなかった。
比較例1〜5、実施例2の比較により、上記ジエン系共重合体は、特定の化合物の組合せで変性しているため、低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性を相乗的に改善できることが分かった。

Claims (10)

  1. 共役ジエン化合物、下記一般式(I)で表される化合物、及び下記一般式(III)で表される珪素化合物を含む単量体を共重合して得られる重量平均分子量Mwが1.0×10〜2.5×10であるジエン系共重合体。
    Figure 2014051610
    (式中、rは1〜20の整数を表し、R及びRはそれぞれ独立に、炭素原子数1〜10のヒドロカルビル基を表し、Rは炭素原子数1〜10のヒドロカルビレン基を表し、R、R及びRの少なくとも1つが下記一般式(II)で表される基を有する。RとRは互いに結合していてもよい。)
    Figure 2014051610
    Figure 2014051610
    (式中、kは0又は1であり、R11はヒドロカルビレン基を表し、R12、R13及びR14はそれぞれ独立に、置換アミノ基、ヒドロカルビルオキシ基、又は置換基を有していてもよいヒドロカルビル基を表す。)
  2. 前記ジエン系共重合体は、前記単量体を共重合して得られるジエン系共重合体の活性末端に下記一般式(IV)で表される化合物を反応させることにより得られる請求項1記載のジエン系共重合体。
    Figure 2014051610
    (式中、mは1〜10の整数を表し、R21、R22及びR23はそれぞれ独立に、炭素原子数が1〜4のヒドロカルビル基又は炭素原子数が1〜4のヒドロカルビルオキシ基を表し、R21、R22及びR23の少なくとも1つがヒドロカルビルオキシ基であり、Aは窒素原子又は酸素原子を有する官能基を表す。)
  3. 前記単量体がスチレンを含む請求項1又は2記載のジエン系共重合体。
  4. 前記一般式(IV)で表される末端変性剤が、下記一般式(V)で表される基を有する化合物である請求項1〜3のいずれかに記載のジエン系共重合体。
    Figure 2014051610
    (式中、nは1〜10の整数を表し、R24、R25及びR26はそれぞれ独立に、炭素原子数が1〜4のヒドロカルビル基又は炭素原子数が1〜4のヒドロカルビルオキシ基を表し、R24、R25及びR26の少なくとも1つがヒドロカルビルオキシ基である。)
  5. 前記ジエン系共重合体中の前記一般式(I)で表される化合物の含有量が0.05〜10質量%である請求項1〜4のいずれかに記載のジエン系共重合体。
  6. 前記ジエン系共重合体中の前記一般式(III)で表される珪素化合物の含有量が0.05〜20質量%である請求項1〜5のいずれかに記載のジエン系共重合体。
  7. ゴム成分100質量%中、請求項1〜6のいずれかに記載のジエン系共重合体を5質量%以上含むゴム組成物。
  8. 前記ゴム成分100質量部に対して、シリカを5〜150質量部含む請求項7記載のゴム組成物。
  9. タイヤ用ゴム組成物として用いられる請求項7又は8記載のゴム組成物。
  10. 請求項7〜9のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。

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