本発明のジエン系共重合体は、共役ジエン化合物、下記一般式(I)で表される化合物、及び下記一般式(III)で表される珪素化合物を含む単量体を共重合して得られるジエン系共重合体の活性末端に、下記一般式(IV)で表される化合物、下記一般式(V)で表される基を有する化合物及び下記一般式(VI)で表される基を有する化合物からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を反応させて得られ、重量平均分子量Mwが1.0×10
5〜2.5×10
6である。
(式中、rは1〜20の整数を表し、R
1及びR
3はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜10のヒドロカルビル基を表し、R
2は炭素原子数1〜10のヒドロカルビレン基を表し、R
1、R
2及びR
3の少なくとも1つが下記一般式(II)で表される基を有する。R
1とR
3は互いに結合していてもよい。)
(式中、kは0又は1であり、R
11はヒドロカルビレン基を表し、R
12、R
13及びR
14はそれぞれ独立に、置換アミノ基、ヒドロカルビルオキシ基、又は置換基を有していてもよいヒドロカルビル基を表す。)
(式中、R
21は、水素原子、炭素原子数が1〜10のヒドロカルビル基又は炭素原子数が1〜6の置換ヒドロカルビル基を表す。nは、1〜10の整数を表し、A
1は、酸素原子又は−NR
22−基(R
22は、水素原子又は炭素原子数が1〜10のヒドロカルビル基を表す。)を表し、A
2は、窒素原子及び/又は酸素原子を有する官能基を表す。)
(式中、pは0又は1の整数を表し、Tは、炭素原子数が1〜20のヒドロカルビレン基又は炭素原子数が1〜20の置換ヒドロカルビレン基を表し、A
3は窒素原子を有する官能基を表す。)
(式中、mは1〜11の整数を表し、A
4は窒素原子を有する官能基を表す。)
上記ジエン系共重合体をシリカとともに使用することで、上記ジエン系共重合体に含まれる上記一般式(I)で表される化合物とシリカとの相互作用、上記一般式(III)で表される珪素化合物とシリカとの相互作用、及び、末端変性剤とシリカとの相互作用により、シリカの分散性が向上するとともに、該ジエン系共重合体の動きが拘束される。その結果、ヒステリシスロスが低減して低燃費性が改善され、かつ、ウェットグリップ性能、耐摩耗性も改善された空気入りタイヤを得ることができる。
また、上記ジエン系共重合体は、特定の化合物の組合せで変性しているため、改善効果が相乗的に向上し、低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性を大きく改善できる。
なお、本明細書では、ヒドロカルビル基は炭化水素から1個の水素原子を除いた1価の基を表す。ヒドロカルビレン基は、炭化水素から2個の水素原子を除いた2価の基を表す。ヒドロカルビルオキシ基は、ヒドロキシ基の水素原子がヒドロカルビル基で置き換えられた構造を有する1価の基を表す。置換アミノ基は、アミノ基の少なくとも1個の水素原子が、水素原子以外の1価の原子又は1価基に置き換えられた構造を有する基、又はアミノ基の2個の水素原子が2価基で置き換えられた構造を有する基を表す。置換基を有するヒドロカルビル基(以下、置換ヒドロカルビル基と記すこともある。)は、ヒドロカルビル基の少なくとも1個の水素原子が置換基で置き換えられた構造を有する1価の基を表す。ヘテロ原子を有するヒドロカルビレン基(以下、ヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基と記すこともある。)とは、ヒドロカルビレン基の水素原子が除かれている炭素原子以外の炭素原子及び/又は水素原子が、ヘテロ原子(炭素原子、水素原子以外の原子)を有する基で置き換えられた構造を有する2価の基を表す。
(単量体)
本発明では、単量体として、共役ジエン化合物と、上記一般式(I)で表される化合物と、上記一般式(III)で表される珪素化合物とを使用する。
共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられ、これらは1種でもよく、2種以上でもよい。入手容易性の観点から、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。
上記一般式(I)において、R1及びR3で表されるヒドロカルビル基は、炭素原子数が1〜10である。炭素原子数が10を超えると、高コストになる傾向がある。得られるジエン系共重合体による低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性の改善効果が高いという点から、炭素原子数は、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜6である。
R1及びR3で表されるヒドロカルビル基としては、例えば、アルキル基などの1価の脂肪族炭化水素基、アリール基などの1価の芳香族炭化水素基などがあげられる。得られるジエン系共重合体による低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性の改善効果が高いという点から、R1及びR3は、アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基がより好ましい。
R1及びR3が結合した基としては、後述のR2で表されるヒドロカルビレン基と同様の基があげられる。R1及びR3が結合した基としては、アルキレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
R2で表されるヒドロカルビレン基は、炭素原子数が1〜10である。炭素原子数が10を超えると、高コストになる傾向がある。得られるジエン系共重合体による低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性の改善効果が高いという点から、炭素原子数は、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜6である。
なお、R1、R2及びR3の炭素原子数は、上記一般式(II)で表される基の炭素原子数8を含むものである。
R2で表されるヒドロカルビレン基としては、例えば、アルキレン基などの2価の脂肪族炭化水素基、アリーレン基などの2価の芳香族炭化水素基などがあげられる。得られるジエン系共重合体による低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性の改善効果が高いという点から、R2は、アルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基がより好ましい。なお、rが2以上の場合、それぞれのR2は、同一であっても異なってもよい。
rは1〜20の整数を表す。rが20を超えると、コストが増大する。rは、好ましくは10以下、より好ましくは5以下である。
R1、R2及びR3の少なくとも1つが上記一般式(II)で表される基を有する。得られるジエン系共重合体による低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性の改善効果が高いという点から、R1、R2及びR3の1つが上記一般式(II)で表される基を有することが好ましい。
上記一般式(I)で表される化合物は、公知の方法で合成できる。例えば、強塩基の存在下、ハロゲン化アルキルスチレンとポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとを反応させることにより得られる。具体的には、溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミドを使用して、水素化ナトリウムの存在下、ハロゲン化アルキルスチレン(例えば、4−クロロメチルスチレン)とポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル(トリエチレングリコールモノブチルエーテルなど)とを反応させることにより得られる。
また、ビニルベンズアルデヒド(例えば、4−ビニルベンズアルデヒド)を公知の方法でアセタール化することによっても得られる。
上記一般式(I)で表される化合物としては、例えば、4−ビニルベンズアルデヒドジメチルアセタール、4−ビニルベンズアルデヒドジエチルアセタール、4−ビニルベンズアルデヒドジ−n−プロピルアセタール、4−ビニルベンズアルデヒドジイソプロピルアセタール、下記式(1)〜(4)で表される化合物などがあげられる。なかでも、低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性の改善効果が高いという点から、下記式(1)〜(4)で表される化合物が好ましく、下記式(1)、(4)で表される化合物がより好ましく、下記式(1)で表される化合物が更に好ましい。なお、上記一般式(I)で表される化合物は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
上記ジエン系共重合体における上記一般式(I)で表される化合物の含有量は、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である。0.05質量%未満では低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性の改善効果が得られにくく、一方、10質量%を超えると高コストになる傾向がある。
なお、上記ジエン系共重合体における上記一般式(I)で表される化合物の含有量は、後述する実施例の方法で測定できる。
本発明では、単量体として、下記一般式(III)で表される珪素化合物が使用される。
(式中、kは0又は1であり、R
11はヒドロカルビレン基を表し、R
12、R
13及びR
14はそれぞれ独立に、置換アミノ基、ヒドロカルビルオキシ基、又は置換基を有していてもよいヒドロカルビル基を表す。)
一般式(III)のkは0又は1であり、低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性の改善効果が高いという点から、好ましくは0である。
R11のヒドロカルビレン基としては、アルキレン基、アルケンジイル基、アリーレン基、アリーレン基とアルキレン基とが結合した基をあげることができる。アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基をあげることができる。アルケンジイル基としてはビニレン基、エチレン−1,1−ジイル基をあげることができる。アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基をあげることができる。アリーレン基とアルキレン基とが結合した基としては、フェニレン基とメチレン基とが結合した基、フェニレン基とエチレン基とが結合した基をあげることができる。
R11は好ましくはアリーレン基であり、より好ましくはフェニレン基である。
R12、R13及びR14はそれぞれ独立に、置換アミノ基、ヒドロカルビルオキシ基、又は置換基を有していてもよいヒドロカルビル基を表す。低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性の改善効果が高いという点から、好ましくは、R12、R13及びR14の少なくとも1つが置換アミノ基であり、より好ましくは、R12、R13及びR14の2つが置換アミノ基である。
一般式(III)における置換アミノ基は、好ましくは下記一般式(IIIa)で表される基である。
(式中、R
15及びR
16は、置換基を有してもよいヒドロカルビル基、又は、トリヒドロカルビルシリル基を表すか、あるいは、R
15とR
16とが結合して、窒素原子及び/又は酸素原子をヘテロ原子として有していてもよいヒドロカルビレン基を表す。)
一般式(IIIa)における置換基を有してもよいヒドロカルビル基は、ヒドロカルビル基又は置換ヒドロカルビル基である。置換ヒドロカルビル基としては、置換基がヒドロカルビルオキシ基である置換ヒドロカルビル基をあげることができる。ヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基などの鎖状アルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの環状アルキル基;フェニル基、ベンジル基、ナフチル基などのアリール基をあげることができ、鎖状アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。置換基がヒドロカルビルオキシ基である置換ヒドロカルビル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基などのアルコキシアルキル基;フェノキシメチル基などのアリールオキシアルキル基をあげることができる。
一般式(IIIa)におけるトリヒドロカルビルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基などのトリアルキルシリル基をあげることができる。
一般式(IIIa)における窒素原子及び/又は酸素原子をヘテロ原子として有していてもよいヒドロカルビレン基は、ヒドロカルビレン基又はヘテロ原子が窒素原子及び/又は酸素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基である。ヘテロ原子が窒素原子及び/又は酸素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基としては、ヘテロ原子が窒素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基、ヘテロ原子が酸素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基をあげることができる。ヒドロカルビレン基としては、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、ドデカメチレン基、2,2,4−トリメチルへキサン−1,6−ジイル基などのアルキレン基;ペンタン−2−エン−1,5−ジイル基などのアルケンジイル基をあげることができる。ヘテロ原子が窒素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基としては、−CH=N−CH=CH−で表される基、−CH=N−CH2−CH2−で表される基をあげることができる。ヘテロ原子が酸素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基としては、−CH2−CH2−O−CH2−CH2−で表される基をあげることができる。
R15及びR16はアルキル基であるか、あるいはR15とR16とが結合してアルキレン基となっていることが好ましく、アルキル基であることがより好ましく、メチル基又はエチル基であることがさらに好ましい。
一般式(IIIa)で表される置換アミノ基のうち、R15及びR16がヒドロカルビル基であるものとして、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ−tert−ブチルアミノ基などのジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基などのジアリールアミノ基をあげることができ、ジアルキルアミノ基が好ましく、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基がより好ましい。R15及びR16が置換基としてヒドロカルビルオキシ基を有する置換ヒドロカルビル基であるものとしては、ジ(メトキシメチル)アミノ基、ジ(エトキシメチル)アミノ基などのジ(アルコキシアルキル)アミノ基をあげることができる。R15及びR16がトリヒドロカルビルシリル基であるものとしては、ビス(トリメチルシリル)アミノ基、ビス(tert−ブチルジメチルシリル)アミノ基、N−トリメチルシリル−N−メチルアミノ基などのトリアルキルシリル基含有アミノ基をあげることができる。
一般式(IIIa)で表される置換アミノ基のうち、R15とR16とが結合してヒドロカルビレン基となっているものとしては、1−トリメチレンイミノ基、1−ピロリジノ基、1−ピペリジノ基、1−ヘキサメチレンイミノ基、1−ヘプタメチレンイミノ基、1−オクタメチレンイミノ基、1−デカメチレンイミノ基、1−ドデカメチレンイミノ基などの1−アルキレンイミノ基をあげることができる。ヘテロ原子が窒素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基となっているものとしては、1−イミダゾリル基、4,5−ジヒドロ−1−イミダゾリル基をあげることができる。ヘテロ原子が酸素原子であるヘテロ原子含有ヒドロカルビレン基となっているものとしては、モルホリノ基をあげることができる。
一般式(IIIa)で表される置換アミノ基としては、ジアルキルアミノ基又は1−アルキレンイミノ基が好ましく、ジアルキルアミノ基がより好ましく、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基がさらに好ましい。
一般式(III)におけるヒドロカルビルオキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基などのアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基をあげることができる。
一般式(III)における置換基を有していてもよいヒドロカルビル基は、ヒドロカルビル基又は置換ヒドロカルビル基である。置換ヒドロカルビル基としては、置換基がヒドロカルビルオキシ基である置換ヒドロカルビル基をあげることができる。ヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基;フェニル基、4−メチル−1−フェニル基、ベンジル基などのアリール基をあげることができる。置換基がヒドロカルビルオキシ基である置換ヒドロカルビル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基をあげることができる。
一般式(III)で表される珪素化合物のうち、R12、R13及びR14のうちの1つが置換アミノ基であり、kが0である化合物としては、
(ジメチルアミノ)ジメチルビニルシラン、(エチルメチルアミノ)ジメチルビニルシラン、(ジ−n−プロピルアミノ)ジメチルビニルシラン、(ジイソプロピルアミノ)ジメチルビニルシラン、(ジメチルアミノ)ジエチルビニルシラン、(エチルメチルアミノ)ジエチルビニルシラン、(ジ−n−プロピルアミノ)ジエチルビニルシラン、(ジイソプロピルアミノ)ジエチルビニルシランなどの(ジアルキルアミノ)ジアルキルビニルシラン;[ビス(トリメチルシリル)アミノ]ジメチルビニルシラン、[ビス(t−ブチルジメチルシリル)アミノ]ジメチルビニルシラン、[ビス(トリメチルシリル)アミノ]ジエチルビニルシラン、[ビス(t−ブチルジメチルシリル)アミノ]ジエチルビニルシランなどの[ビス(トリアルキルシリル)アミノ]ジアルキルビニルシラン;(ジメチルアミノ)ジ(メトキシメチル)ビニルシラン、(ジメチルアミノ)ジ(メトキシエチル)ビニルシラン、(ジメチルアミノ)ジ(エトキシメチル)ビニルシラン、(ジメチルアミノ)ジ(エトキシエチル)ビニルシラン、(ジエチルアミノ)ジ(メトキシメチル)ビニルシラン、(ジエチルアミノ)ジ(メトキシエチル)ビニルシラン、(ジエチルアミノ)ジ(エトキシメチル)ビニルシラン、(ジエチルアミノ)ジ(エトキシエチル)ビニルシランなどの(ジアルキルアミノ)ジ(アルコキシアルキル)ビニルシラン;ピロリジノジメチルビニルシラン、ピペリジノジメチルビニルシラン、ヘキサメチレンイミノジメチルビニルシラン、4,5−ジヒドロイミダゾリルジメチルビニルシラン、モルホリノジメチルビニルシランなどの環状アミノジアルキルビニルシラン化合物をあげることができる。
一般式(III)で表される珪素化合物のうち、R12、R13及びR14のうちの1つが置換アミノ基であり、kが1である化合物としては、
(ジメチルアミノ)ジメチル−4−ビニルフェニルシラン、(ジメチルアミノ)ジメチル−3−ビニルフェニルシラン、(ジエチルアミノ)ジメチル−4−ビニルフェニルシラン、(ジエチルアミノ)ジメチル−3−ビニルフェニルシラン、(ジ−n−プロピルアミノ)ジメチル−4−ビニルフェニルシラン、(ジ−n−プロピルアミノ)ジメチル−3−ビニルフェニルシラン、(ジ−n−ブチルアミノ)ジメチル−4−ビニルフェニルシラン、(ジ−n−ブチルアミノ)ジメチル−3−ビニルフェニルシラン、(ジメチルアミノ)ジエチル−4−ビニルフェニルシラン、(ジメチルアミノ)ジエチル−3−ビニルフェニルシラン、(ジエチルアミノ)ジエチル−4−ビニルフェニルシラン、(ジエチルアミノ)ジエチル−3−ビニルフェニルシラン、(ジ−n−プロピルアミノ)ジエチル−4−ビニルフェニルシラン、(ジ−n−プロピルアミノ)ジエチル−3−ビニルフェニルシラン、(ジ−n−ブチルアミノ)ジエチル−4−ビニルフェニルシラン、(ジ−n−ブチルアミノ)ジエチル−3−ビニルフェニルシランなどの(ジアルキルアミノ)ジアルキルビニルフェニルシランをあげることができる。
一般式(III)で表される珪素化合物のうち、R12、R13及びR14のうちの2つが置換アミノ基であり、kが0である化合物としては、
ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジ−n−プロピルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジ−n−ブチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)エチルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)エチルビニルシラン、ビス(ジ−n−プロピルアミノ)エチルビニルシラン、ビス(ジ−n−ブチルアミノ)エチルビニルシランなどのビス(ジアルキルアミノ)アルキルビニルシラン;ビス[ビス(トリメチルシリル)アミノ]メチルビニルシラン、ビス[ビス(tert−ブチルジメチルシリル)アミノ]メチルビニルシラン、ビス[ビス(トリメチルシリル)アミノ]エチルビニルシラン、ビス[ビス(tert−ブチルジメチルシリル)アミノ]エチルビニルシランなどのビス[ビス(トリアルキルシリル)アミノ]アルキルビニルシラン;ビス(ジメチルアミノ)メトキシメチルビニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メトキシエチルビニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)エトキシメチルビニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)エトキシエチルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)メトキシメチルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)メトキシエチルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)エトキシメチルビニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)エトキシエチルビニルシランなどのビス(ジアルキルアミノ)アルコキシアルキルシラン;ビス(ピロリジノ)メチルビニルシラン、ビス(ピペリジノ)メチルビニルシラン、ビス(ヘキサメチレンイミノ)メチルビニルシラン、ビス(4,5−ジヒドロイミダゾリル)メチルビニルシラン、ビス(モルホリノ)メチルビニルシランなどのビス(環状アミノ)アルキルビニルシラン化合物をあげることができる。
一般式(III)で表される珪素化合物のうち、R12、R13及びR14のうちの2つが置換アミノ基であり、kが1である化合物としては、
ビス(ジメチルアミノ)メチル−4−ビニルフェニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチル−3−ビニルフェニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)メチル−4−ビニルフェニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)メチル−3−ビニルフェニルシラン、ビス(ジ−n−プロピルアミノ)メチル−4−ビニルフェニルシラン、ビス(ジ−n−プロピルアミノ)メチル−3−ビニルフェニルシラン、ビス(ジ−n−ブチルアミノ)メチル−4−ビニルフェニルシラン、ビス(ジ−n−ブチルアミノ)メチル−3−ビニルフェニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)エチル−4−ビニルフェニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)エチル−3−ビニルフェニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)エチル−4−ビニルフェニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)エチル−3−ビニルフェニルシラン、ビス(ジ−n−プロピルアミノ)エチル−4−ビニルフェニルシラン、ビス(ジ−n−プロピルアミノ)エチル−3−ビニルフェニルシラン、ビス(ジ−n−ブチルアミノ)エチル−4−ビニルフェニルシラン、ビス(ジ−n−ブチルアミノ)エチル−3−ビニルフェニルシランなどのビス(ジアルキルアミノ)アルキルビニルフェニルシランをあげることができる。
一般式(III)で表される珪素化合物のうち、R12、R13及びR14のうちの3つが置換アミノ基であり、kが0である化合物としては、
トリス(ジメチルアミノ)ビニルシラン、トリス(ジエチルアミノ)ビニルシラン、トリス(ジ−n−プロピルアミノ)ビニルシラン、トリス(ジ−n−ブチルアミノ)ビニルシランなどのトリス(ジアルキルアミノ)ビニルシランをあげることができる。
一般式(III)で表される珪素化合物のうち、R12、R13及びR14のうちの3つが置換アミノ基であり、kが1である化合物としては、
トリス(ジメチルアミノ)−4−ビニルフェニルシラン、トリス(ジメチルアミノ)−3−ビニルフェニルシラン、トリス(ジエチルアミノ)−4−ビニルフェニルシラン、トリス(ジエチルアミノ)−3−ビニルフェニルシラン、トリス(ジ−n−プロピルアミノ)−4−ビニルフェニルシラン、トリス(ジ−n−プロピルアミノ)−3−ビニルフェニルシラン、トリス(ジ−n−ブチルアミノ)−4−ビニルフェニルシラン、トリス(ジ−n−ブチルアミノ)−3−ビニルフェニルシランなどのトリス(ジアルキルアミノ)ビニルフェニルシランをあげることができる。
一般式(III)で表される珪素化合物のうち、R12、R13及びR14が置換アミノ基ではなく、kが0である化合物としては、
トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、トリプロポキシビニルシランなどのトリアルコキシビニルシラン;メチルジメトキシビニルシラン、メチルジエトキシビニルシランなどのジアルコキシアルキルビニルシラン;ジ(tert−ペントキシ)フェニルビニルシラン、ジ(tert−ブトキシ)フェニルビニルシランなどのジアルコキシアリールビニルシラン;ジメチルメトキシビニルシランなどのモノアルコキシジアルキルビニルシラン;tert−ブトキシジフェニルビニルシラン、tert−ペントキシジフェニルビニルシランなどのモノアルコキシジアリールビニルシラン;tert−ブトキシメチルフェニルビニルシラン、tert−ブトキシエチルフェニルビニルシランなどのモノアルコキシアルキルアリールビニルシラン;トリス(β−メトキシエトキシ)ビニルシランなどの置換アルコキシビニルシラン化合物をあげることができる。
一般式(III)で表される珪素化合物は、一般式(III)中のkが0である化合物がより好ましく、一般式(III)中のR12、R13及びR14のうち2つがジアルキルアミノ基である化合物がさらに好ましい。
一般式(III)で表される珪素化合物として特に好ましい化合物は、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジ−n−ブチルアミノ)メチルビニルシランである。
上記ジエン系共重合体における上記一般式(III)で表される珪素化合物の含有量は、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上である。また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0.5質量%以下である。0.05質量%未満では低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性の改善効果が得られにくく、一方、10質量%を超えると高コストになる傾向がある。
なお、上記ジエン系共重合体における上記一般式(III)で表される珪素化合物の含有量は、後述する実施例の方法で測定できる。
上記ジエン系共重合体の製造においては、単量体として、共役ジエン化合物、一般式(I)で表される化合物、及び一般式(III)で表される珪素化合物に加え、さらに、重合可能な単量体を用いてもよい。該単量体としては、芳香族ビニル化合物、ビニルニトリル、不飽和カルボン酸エステルなどがあげられる。芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレンを例示することができる。また、ビニルニトリルとしては、アクリロニトリルなどを、不飽和カルボン酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチルなどを例示することができる。これらの中では、芳香族ビニル化合物が好ましく、スチレンがより好ましい。
ジエン系共重合体が芳香族ビニル化合物を含有する場合、ジエン系共重合体中の芳香族ビニル化合物の含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは15質量%以上である。また、好ましくは55質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。5質量%未満ではウェットグリップ性能が悪化する傾向があり、一方、55質量%を超えると低燃費性が悪化する傾向がある。
なお、上記ジエン系共重合体における芳香族ビニル化合物の含有量は、後述する実施例の方法で測定できる。
(末端変性剤)
本発明のジエン系共重合体は、一般式(IV)で表される化合物、一般式(V)で表される基を有する化合物及び一般式(VI)で表される基を有する化合物からなる群より選択される少なくとも一種の化合物(末端変性剤(末端を変性する変性剤))により末端が変性されている。
以下、下記一般式(IV)で表される化合物について説明する。
(式中、R
21は、水素原子、炭素原子数が1〜10のヒドロカルビル基又は炭素原子数が1〜6の置換ヒドロカルビル基を表す。nは、1〜10の整数を表し、A
1は、酸素原子又は−NR
22−基(R
22は、水素原子又は炭素原子数が1〜10のヒドロカルビル基を表す。)を表し、A
2は、窒素原子及び/又は酸素原子を有する官能基を表す。)
一般式(IV)のnは、1〜10の整数を表す。低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性をバランス良く高める観点から、好ましくは2以上であり、製造時の経済性を高める観点から、より好ましくは4以下である。更に好ましくは3である。
一般式(IV)のR21は、水素原子、炭素原子数が1〜10のヒドロカルビル基又は炭素原子数が1〜6の置換ヒドロカルビル基を表す。
R21のヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などのアルキル基をあげることができる。
R21の置換ヒドロカルビル基としては、窒素原子を有する基、酸素原子を有する基及びケイ素原子を有する基からなる基群から選ばれる少なくとも1種の基を置換基として有する置換ヒドロカルビル基をあげることができる。窒素原子を有する基を置換基として有する基としては、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基などのジアルキルアミノアルキル基をあげることができ、酸素原子を有する基を置換基として有する基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基をあげることができ、ケイ素原子を有する基を置換基として有する基としては、トリメチルシリルメチル基などのトリアルキルシリルアルキル基;t−ブチルジメチルシリロキシメチル基などのトリアルキルシリロキシアルキル基;トリメトキシシリルプロピル基などのトリアルコキシシリルアルキル基などをあげることができる。
R21のヒドロカルビル基としては、好ましくは、アルキル基であり、より好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、更に好ましくは、メチル基、エチル基であり、より更に好ましくは、メチル基である。また、R21の置換ヒドロカルビル基としては、好ましくは、アルコキシアルキル基であり、より好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルコキシアルキル基であり、更に好ましくは、メトキシメチル基、エトキシエチル基であり、より更に好ましくは、メトキシメチル基である。
R21としては、低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性をバランス良く高める観点及び経済性から、好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシアルキル基であり、より好ましくは、水素原子、炭素原子数が1〜4のアルキル基、炭素原子数が1〜4のアルコキシアルキル基であり、更に好ましくは、水素原子、メチル基、メトキシメチル基であり、より更に好ましくは水素原子、メチル基である。
一般式(IV)のA1は、酸素原子又は−NR22−基を表し、R22は、水素原子又は炭素原子数が1〜10のヒドロカルビル基を表す。
R22のヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などのアルキル基;フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基をあげることができる。
R22のヒドロカルビル基としては、好ましくは、アルキル基であり、より好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、更に好ましくは、メチル基、エチル基である。
R22としては、好ましくは、水素原子、アルキル基であり、より好ましくは、水素原子、炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、更に好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基であり、より更に好ましくは、水素原子、メチル基である。
一般式(IV)のA2は、窒素原子及び/又は酸素原子を有する官能基を表す。窒素原子を有する官能基としては、アミノ基、イソシアノ基、シアノ基、ピリジル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、モルホリノ基などをあげることができる。
酸素原子を有する官能基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブドキシ基、t−ブトキシ基などのアルコキシ基;メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基;メトキシフェニル基、エトキシフェニル基などのアルコキシアリール基;エポキシ基、テトラヒドロフラニル基などのアルキレンオキシド基をあげることができる。また、トリメチルシリロキシ基、トリエチルシリロキシ基、t−ブチルジメチルシリロキシ基などのトリアルキルシリロキシ基をあげることができる。また、水酸基をあげることができる。
A2としては、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性、化合物の長期安定性及び入手容易性から、一般式(III)で表される珪素化合物で説明した一般式(IIIa)で表される基又は水酸基が好ましく、一般式(IIIa)で表される基がより好ましい。更に好ましくは、非環状のもの(非環状アミノ基)であり、特に好ましくは、ジアルキルアミノ基、ジ(アルキレンオキシド)アミノ基、ジ(アルキレンオキシドアルキル)アミノ基、ジ(トリアルキルシリル)アミノ基である。
一般式(IV)で表される化合物としては、A1が二級アミノ基である化合物として、アクリルアミド化合物、メタクリルアミド化合物などをあげることができる。
A2が窒素原子含有の基であるアクリルアミド化合物としては、
N−(2−ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、
N−(2−ジエチルアミノエチル)アクリルアミド、
N−(3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド、
N−(3−ジエチルアミノプロピル)アクリルアミド、
N−(4−ジメチルアミノブチル)アクリルアミド、
N−(4−ジエチルアミノブチル)アクリルアミド、
N−(3−モルホリノプロピル)アクリルアミド、
N−(3−シアノプロピル)アクリルアミドなどがあげられる。
A2が窒素原子含有の基であるメタクリルアミド化合物としては、
N−(2−ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド、
N−(2−ジエチルアミノエチル)メタクリルアミド、
N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、
N−(3−ジエチルアミノプロピル)メタクリルアミド、
N−(4−ジメチルアミノブチル)メタクリルアミド、
N−(4−ジエチルアミノブチル)メタクリルアミド、
N−(3−モルホリノプロピル)メタクリルアミド、
N−(3−シアノプロピル)メタクリルアミドなどがあげられる。
A2が酸素原子含有の基であるアクリルアミド化合物としては、
N−(3−メトキシプロピル)アクリルアミド、
N−(3−エトキシプロピル)アクリルアミド、
N−(プロポキシメチル)アクリルアミド、
N−(ブトキシメチル)アクリルアミド、
N−グリシジルアクリルアミド、
N−テトラヒドロフルフリルアクリルアミドなどがあげられる。
A2が酸素原子含有の基であるメタクリルアミド化合物としては、
N−(3−メトキシプロピル)メタクリルアミド、
N−(3−エトキシプロピル)メタクリルアミド、
N−(プロポキシメチル)メタクリルアミド、
N−(ブトキシメチル)メタクリルアミド、
N−グリシジルメタクリルアミド、
N−テトラヒドロフルフリルメタクリルアミドなどがあげられる。
A2が窒素原子及び酸素原子含有の基であるアクリルアミド化合物としては、
N−(3−ジ(グリシジル)アミノプロピル)アクリルアミド、
N−(3−ジ(テトラヒヒドロフルフリル)アミノプロピル)アクリルアミドなどがあげられる。
A2が窒素原子及び酸素原子含有の基であるメタクリルアミド化合物としては、
N−(3−ジ(グリシジル)アミノプロピル)メタクリルアミド、
N−(3−ジ(テトラヒヒドロフルフリル)アミノプロピル)メタクリルアミドなどがあげられる。
また、一般式(IV)で表される化合物としては、A1が酸素原子である化合物として、アクリレート化合物、メタクリレート化合物などをあげることができる。
A2が窒素原子含有の基であるアクリレート化合物としては、
2−ジメチルアミノエチルアクリレート、
2−ジエチルアミノエチルアクリレート、
3−ジメチルアミノプロピルアクリレート、
3−ジエチルアミノプロピルアクリレート、
4−ジメチルアミノブチルアクリレート、
4−ジエチルアミノブチルアクリレートなどがあげられる。
A2が窒素原子含有の基であるメタクリレート化合物としては、
2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、
2−ジエチルアミノエチルメタクリレート、
3−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、
3−ジエチルアミノプロピルメタクリレート、
4−ジメチルアミノブチルメタクリレート、
4−ジエチルアミノブチルメタクリレートなどがあげられる。
A2が酸素原子含有の基であるアクリレート化合物としては、
2−エトキシエチルアクリレート、
2−プロポキシエチルアクリレート、
2−ブトキシエチルアクリレート、
3−メトキシプロピルアクリレート、
3−エトキシプロピルアクリレート、
グリシジルアクリレート、
テトラヒドロフルフリルアクリレートなどがあげられる。
A2が酸素原子含有の基であるメタクリレート化合物としては、
2−エトキシエチルメタクリレート、
2−プロポキシエチルメタクリレート、
2−ブトキシエチルメタクリレート、
3−メトキシプロピルメタクリレート、
3−エトキシプロピルメタクリレート、
グリシジルメタクリレート、
テトラヒドロフルフリルメタクリレートなどがあげられる。
A2が窒素原子及び酸素原子含有の基であるアクリレート化合物としては、
3−ジ(グリシジル)アミノプロピルアクリレート、
3−ジ(テトラヒドロフルフリル)アミノプロピルアクリレートなどがあげられる。
A2が窒素原子及び酸素原子含有の基であるメタクリレート化合物としては、
3−ジ(グリシジル)アミノプロピルメタクリレート、
3−ジ(テトラヒドロフルフリル)アミノプロピルメタクリレートなどがあげられる。
一般式(IV)で表される化合物としては、低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性をバランス良く高める観点から、好ましくは、A2が一般式(IIIa)で表される基である化合物であり、より好ましくは、A1がアミノ基であり、A2が一般式(IIIa)で表される基である化合物であり、更に好ましくは、A1が二級アミノ基(−NH−)であり、A2が一般式(IIIa)で表される基である化合物である。
A1が二級アミノ基であり、A2が一般式(IIIa)で表される基である化合物としては、好ましくは、N−(3−ジアルキルアミノプロピル)アクリルアミド、N−(3−ジアルキルアミノプロピル)メタクリルアミドであり、より好ましくは、N−(3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド、N−(3−ジエチルアミノプロピル)アクリルアミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、N−(3−ジエチルアミノプロピル)メタクリルアミドである。
以下、下記一般式(V)で表される基を有する化合物について説明する。
(式中、pは0又は1の整数を表し、Tは、炭素原子数が1〜20のヒドロカルビレン基又は炭素原子数が1〜20の置換ヒドロカルビレン基を表し、A
3は窒素原子を有する官能基を表す。)
一般式(V)中、pは0又は1の整数を表す。Tは、炭素原子数が1〜20のヒドロカルビレン基又は炭素原子数が1〜20の置換ヒドロカルビレン基を表す。A3は窒素原子を有する官能基を表し、アミノ基、イソシアノ基、シアノ基、ピリジル基、ピペリジル基、ピラジニル基、モルホリノ基などをあげることができる。
一般式(V)で表される基を有する化合物としては、一般式(V)のpが0であり、A
3がアミノ基である下記一般式(Va)で表される基を有する化合物をあげることができる。
一般式(Va)で表される基を有する化合物としては、ホルムアミド、アセトアミド、プロピオンアミドなどのカルボン酸アミド化合物をあげることができる。また、イミダゾリジノン及びその誘導体、ラクタム類などの環状化合物をあげることができる。
一般式(Va)で表される基を有する化合物としては、下記一般式(Va−1)で表されるカルボン酸アミド化合物をあげることができる。
(式中、R
31は、水素原子、炭素原子数が1〜10のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜10の置換ヒドロカルビル基、又は、窒素原子及び/若しくは酸素原子をヘテロ原子として有するヘテロ環基を表し、R
32及びR
33は、それぞれ独立に、窒素原子、酸素原子及びケイ素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子を有していてもよい炭素原子数が1〜10の基を表し、R
32及びR
33は結合して窒素原子と共に環構造を形成していてもよく、R
32及びR
33は窒素に二重結合で結合する同一の基であってもよい。)
R31のヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などのアルキル基;フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基をあげることができる。
R31の置換ヒドロカルビル基としては、窒素原子を有する基及び酸素原子を有する基からなる基群から選ばれる少なくとも1種の基を置換基として有する置換ヒドロカルビル基をあげることができる。窒素原子を有する基を置換基として有する基としては、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基などのジアルキルアミノアルキル基をあげることができ、酸素原子を有する基を置換基として有する基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基をあげることができる。
R31の窒素原子及び/又は酸素原子をヘテロ原子として有するヘテロ環基とは、窒素原子及び/又は酸素原子を環内に含む複素環式化合物残基を表し、該基としては、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−フリル基などをあげることができる。
R31としては、好ましくは、炭素原子数が1〜10のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜10の置換ヒドロカルビル基であり、より好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、特に好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基である。
一般式(Va−1)のR32及びR33としては、炭素原子数が1〜10のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜10の置換ヒドロカルビル基などをあげることができる。R32及びR33のヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などのアルキル基;フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基をあげることができる。
R32及びR33の置換ヒドロカルビル基としては、窒素原子を有する基及び酸素原子を有する基からなる基群から選ばれる少なくとも1種の基を置換基として有する置換ヒドロカルビル基をあげることができる。窒素原子を有する基を置換基として有する基としては、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基などのジアルキルアミノアルキル基をあげることができ、酸素原子を有する基を置換基として有する基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基をあげることができる。
R32及びR33が結合した基としては、窒素原子、酸素原子及びケイ素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子を有していてもよい炭素原子数が2〜20の2価の基があげられる。例えば、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などのアルキレン基;オキシジエチレン基、オキシジプロピレン基などのオキシジアルキレン基;−CH2CH2−NH−CH2−で表される基、−CH2CH2−N=CH−で表される基などの含窒素基などをあげることができる。
R32及びR33の窒素に二重結合で結合する同一の基としては、窒素原子及び酸素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子を有していてもよい炭素原子数が2〜12の2価の基があげられる。例えば、エチリデン基、1−メチルプロピリデン基、1,3−ジメチルブチリデン基、1−メチルエチリデン基、4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン基などをあげることができる。
R32及びR33としては、好ましくは、ヒドロカルビル基であり、より好ましくは、アルキル基であり、更に好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、特に好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基である。
一般式(V)で表されるカルボン酸アミド化合物としては、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド等のホルムアミド化合物;アセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、アミノアセトアミド、N,N−ジメチル−N’,N’−ジメチルアミノアセトアミド、N,N−ジメチルアミノアセトアミド、N−エチルアミノアセトアミド、N,N−ジメチル−N’−エチルアミノアセトアミド、N,N−ジメチルアミノアセトアミド、N−フェニルジアセトアミド等のアセトアミド化合物;
プロピオンアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド等のプロピオンアミド化合物;4−ピリジルアミド、N,N−ジメチル−4−ピリジルアミド等のピリジルアミド化合物;
ベンズアミド、N,N−ジメチルベンズアミド、N’,N’−(p−ジメチルアミノ)ベンズアミド、N’,N’−(p−ジエチルアミノ)ベンズアミド、N,N−ジメチル−N’,N’−(p−ジメチルアミノ)ベンズアミド、N,N−ジメチル−N’,N’−(p−ジエチルアミノ)ベンズアミドなどのベンズアミド化合物;
N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミドなどのアクリルアミド化合物;
N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミドなどのメタクリルアミド化合物;
N,N−ジメチルニコチンアミド、N,N−ジエチルニコチンアミド、N,N−ジエチルイソニコチンアミドなどのニコチンアミド化合物;
N,N,N’,N’−テトラメチルフタルアミド、N,N,N’,N’−テトラエチルフタルアミドなどのフタルアミド化合物;
N−メチルフタルイミド、N−エチルフタルイミドなどのフタルイミド化合物などをあげることができる。
また、一般式(Va)で表される基を有する環状化合物としては、下記一般式(Va−2)又は下記一般式(Va−3)で表される化合物をあげることができる。
(式中、hは0〜10の整数を表し、R
34及びR
35は、それぞれ独立に、炭素原子数が1〜20のヒドロカルビル基又は炭素原子数が1〜20の置換ヒドロカルビル基を表す。)
(式中、iは0〜10の整数を表し、R
36は、炭素原子数が1〜20のヒドロカルビル基又は炭素原子数が1〜20の置換ヒドロカルビル基を表す。)
一般式(Va−2)又は一般式(Va−3)のR34、R35及びR36は、それぞれ独立に、炭素原子数が1〜20のヒドロカルビル基又は炭素原子数が1〜20の置換ヒドロカルビル基を表す。R34、R35及びR36のヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などのアルキル基;フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基をあげることができる。
R34、R35及びR36の置換ヒドロカルビル基としては、窒素原子を有する基、酸素原子を有する基及びケイ素原子を有する基からなる基群から選ばれる少なくとも1種の基を置換基として有する置換ヒドロカルビル基をあげることができる。窒素原子を有する基を置換基として有する基としては、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基などのジアルキルアミノアルキル基をあげることができ、酸素原子を有する基を置換基として有する基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基;メトキシフェニル基、エトキシフェニル基などのアルコキシアリール基をあげることができ、ケイ素原子を有する基を置換基として有する基としては、トリメチルシリルメチル基、t−ブチルジメチルシリロキシメチル基、トリメトキシシリルプロピル基などをあげることができる。
一般式(Va−2)のR34及びR35としては、好ましくはヒドロカルビル基であり、より好ましくはアルキル基であり、更に好ましくはメチル基である。
一般式(Va−3)のR36としては、好ましくはヒドロカルビル基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基であり、更に好ましくはメチル基、フェニル基である。
一般式(Va−2)又は一般式(Va−3)のh及びiは、それぞれ0〜10の整数を表す。低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性をバランス良く高める観点から、好ましくは2以上であり、製造時の経済性を高める観点から、好ましくは7以下である。
一般式(Va−2)で表される化合物としては、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジ(n−プロピル)−2−イミダゾリジノン、1,3−ジ(t−ブチル)−2−イミダゾリジノン、1,3−ジフェニル−2−イミダゾリジノンなどの1,3−ヒドロカルビル置換−2−イミダゾリジノンをあげることができる。好ましくは、1,3−置換−2−イミダゾリジノンであり、より好ましくは、1,3−ヒドロカルビル置換−2−イミダゾリジノンであり、更に好ましくは、1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノンである。1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノンとしては、好ましくは、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジ(n−プロピル)−2−イミダゾリジノンであり、より好ましくは、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンである。
一般式(Va−3)で表される化合物としては、N−メチル−β−プロピオラクタム、N−(t−ブチル)−β−プロピオラクタム、N−フェニル−β−プロピオラクタム等のβ−プロピオラクタム化合物;
1−メチル−2−ピロリドン、1−(t−ブチル)−2−ピロリドン、1−フェニル−2−ピロリドン、1−(p−メチルフェニル)−2−ピロリドン、1−(p−メトキシフェニル)−2−ピロリドン、1−ベンジル−2−ピロリドン、1−ナフチル−2−ピロリドン、1−フェニル−5−メチル−2−ピロリドン、1−(t−ブチル)−5−メチル−2−ピロリドン、1−(t−ブチル)−1,3−ジメチル−2−ピロリドン等の2−ピロリドン化合物;
1−(t−ブチル)−2−ピペリドン、1−フェニル−2−ピペリドン、1−(p−メチルフェニル)−2−ピペリドン、1−(p−メトキシフェニル)−2−ピペリドン、1−ナフチル−2−ピペリドン等の2−ピペリドン化合物;
N−メチル−ε−カプロラクタム、N−エチル−ε−カプロラクタム、N−(n−プロピル)−ε−カプロラクタム、N−フェニル−ε−カプロラクタム、N−(p−メトキシフェニル)−ε−カプロラクタム、N−ベンジル−ε−カプロラクタム等のε−カプロラクタム化合物;
N−フェニル−ω−ラウリロラクタム等のω−ラウリロラクタム化合物をあげることができる。
一般式(Va−3)で表される化合物としては、好ましくは、2−ピロリドン化合物、ε−カプロラクタム化合物であり、より好ましくは、1−ヒドロカルビル置換−2−ピロリドン、N−ヒドロカルビル置換−ε−カプロラクタムであり、更に好ましくは、1−アルキル置換−2−ピロリドン、1−アリール置換−2−ピロリドン、N−アルキル置換−ε−カプロラクタム、N−アリール置換−ε−カプロラクタムであり、特に好ましくは1−フェニル−2−ピロリドン、N−メチル−ε−カプロラクタムである。
一般式(V)で表される基を有する化合物としては、一般式(V)のpが1であり、A
3がアミノ基である下記一般式(Vb)で表される基を有する化合物をあげることができる。
(式中、Tは、炭素原子数が1〜20のヒドロカルビレン基又は炭素原子数が1〜20の置換ヒドロカルビレン基を表す。)
一般式(Vb)で表される基を有する化合物としては、ベンズアルデヒド化合物、アセトフェノン化合物、ベンゾフェノン化合物をあげることができる。
一般式(Vb)で表される基を有する化合物としては、下記一般式(Vb−1)で表される化合物をあげることができる。
(式中、R
37は、水素原子、炭素原子数が1〜10のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜10の置換ヒドロカルビル基、又は、窒素原子及び/若しくは酸素原子をヘテロ原子として有するヘテロ環基を表し、R
38及びR
39は、それぞれ独立に、窒素原子、酸素原子及びケイ素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子を有していてもよい炭素原子数が1〜10の基を表し、R
38及びR
39は結合して窒素原子と共に環構造を形成していてもよく、R
38及びR
39は窒素に二重結合で結合する同一の基であってもよく、Tは、炭素原子数が1〜20のヒドロカルビレン基又は炭素原子数が1〜20の置換ヒドロカルビレン基を表す。)
R37のヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などのアルキル基;フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基をあげることができる。
R37の置換ヒドロカルビル基としては、窒素原子を有する基及び酸素原子を有する基からなる基群から選ばれる少なくとも1種の基を置換基として有する置換ヒドロカルビル基をあげることができる。窒素原子を有する基を置換基として有する基としては、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基などのジアルキルアミノアルキル基をあげることができ、酸素原子を有する基を置換基として有する基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基をあげることができる。
R37の窒素原子及び/又は酸素原子をヘテロ原子として有するヘテロ環基とは、窒素原子及び/又は酸素原子を環内に含む複素環式化合物残基を表し、該基としては、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−フリル基などをあげることができる。
R37としては、好ましくは、水素原子、炭素原子数が1〜10のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜10の置換ヒドロカルビル基である。炭素原子数が1〜10のヒドロカルビル基としては、好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基及びフェニル基であり、特に好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、フェニル基である。また、炭素原子数が1〜10の置換ヒドロカルビル基としては、好ましくは、窒素原子を有する基を置換基として有するアリール基であり、より好ましくは、ジアルキルアミノフェニル基、4−モルホリノフェニル基である。
一般式(Vb−1)のR38及びR39としては、炭素原子数が1〜10のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜10の置換ヒドロカルビル基などをあげることができる。
R38及びR39のヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などのアルキル基;フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基をあげることができる。
R38及びR39の置換ヒドロカルビル基としては、窒素原子を有する基及び酸素原子を有する基からなる基群から選ばれる少なくとも1種の基を置換基として有する置換ヒドロカルビル基をあげることができる。窒素原子を有する基を置換基として有する基としては、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基などのジアルキルアミノアルキル基をあげることができ、酸素原子を有する基を置換基として有する基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基をあげることができる。
R38及びR39が結合した基としては、窒素原子、酸素原子及びケイ素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子を有していてもよい炭素原子数が2〜20の2価の基があげられる。例えば、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などのアルキレン基;オキシジエチレン基、オキシジプロピレン基などのオキシジアルキレン基;−CH2CH2−NH−CH2−で表される基、−CH2CH2−N=CH−で表される基などの含窒素基などをあげることができる。
R38及びR39の窒素に二重結合で結合する同一の基としては、窒素原子及び酸素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子を有していてもよい炭素原子数が2〜12の2価の基があげられる。例えば、エチリデン基、1−メチルプロピリデン基、1,3−ジメチルブチリデン基、1−メチルエチリデン基、4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン基などをあげることができる。
R38及びR39としては、好ましくは、ヒドロカルビル基であり、より好ましくは、アルキル基であり、更に好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、特に好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基である。
Tのヒドロカルビレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などのアルキレン基;フェニレン基、メチルフェニレン基、エチルフェニルレン基、ナフチレン基等のアリーレン基をあげることができる。
Tの置換ヒドロカルビレン基としては、窒素原子を有する基及び酸素原子を有する基からなる基群から選ばれる少なくとも1種の基を置換基として有する置換ヒドロカルビレン基をあげることができる。窒素原子を有する基を置換基として有する基としては、ジメチルアミノエチレン基、ジエチルアミノエチレン基などのジアルキルアミノアルキレン基;ジメチルアミノフェニレン基、ジエチルアミノフェニレン基などのジアルキルアミノアリーレン基をあげることができ、酸素原子を有する基を置換基として有する基としては、メトキシメチレン基、メトキシエチレン基、エトキシメチレン基、エトキシエチレン基などのアルコキシアルキレン基をあげることができる。
Tとしては、好ましくは、ヒドロカルビレン基であり、より好ましくは、アリーレン基であり、更に好ましくは、フェニレン基である。
一般式(Vb−1)で表される化合物としては、4−ジメチルアミノベンズアルデヒド、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド、3,5−ビス(ジヘキシルアミノ)−ベンズアルデヒド等のジアルキルアミノ置換ベンズアルデヒド化合物;4’−アミノアセトフェノン等のアミノ置換アセトフェノン化合物;4’−ジメチルアミノアセトフェノン、4’−ジエチルアミノアセトフェノン等のジアルキルアミノ置換アセトフェノン化合物;4−モルホリノアセトフェノン、4’−イミダゾール−1−イル−アセトフェノン、4−ピラゾリルアセトフェノン等のヘテロ環基置換アセトフェノン化合物;4,4’−ビス(ジメチルアミノ)−ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジエチルアミノベンゾフェノン、3−ジメチルアミノベンゾフェノン、3−ジエチルアミノベンゾフェノン等のジアルキルアミノ置換ベンゾフェノン化合物;4−モルホリノベンゾフェノン、4’−(イミダゾール−1−イル)−ベンゾフェノン、4−ピラゾリルベンゾフェノン等のヘテロ環基置換ベンゾフェノン化合物をあげることができる。
一般式(Vb−1)で表される化合物としては、好ましくは、置換アセトフェノン化合物、置換ベンゾフェノン化合物であり、下記一般式(Vb−1−1)又は下記一般式(Vb−1−2)で表される化合物をあげることができる。
(式中、jは1又は2の整数を表し、Y
1はベンゼン環上の置換基であって、窒素原子を有する官能基を表し、Y
1が複数ある場合、複数あるY
1は、同一でも異なっていてもよい。)
(式中、sは1又は2の整数を表し、tは0〜2の整数を表し、Y
2及びY
3は、ベンゼン環上の置換基であって、窒素原子を有する官能基を表し、Y
2が複数ある場合、複数あるY
2は、同一でも異なっていてもよく、Y
3が複数ある場合、複数あるY
3は、同一でも異なっていてもよい。)
一般式(Vb−1−1)又は一般式(Vb−1−2)のY1、Y2及びY3は、窒素原子を有する官能基を表し、アミノ基、イソシアノ基、シアノ基、ピリジル基、ピペリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、モルホリノ基などをあげることができる。好ましくは、ジアルキルアミノ基、イミダゾリル基、モルホリノ基である。また、ジアルキルアミノ基のアルキル基としては、炭素原子数1〜10のアルキル基が好ましい。
一般式(Vb−1)で表される化合物としては、より好ましくは、ヘテロ環基置換アセトフェノン化合物、ジアルキルアミノ置換ベンゾフェノン化合物、ヘテロ環基置換ベンゾフェノン化合物であり、特に好ましくは、4’−イミダゾール−1−イル−アセトフェノン、4−モルホリノアセトフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)−ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、4−モルホリノベンゾフェノンである。
以下、下記一般式(VI)で表される基を有する化合物について説明する。
(式中、mは1〜11の整数を表し、A
4は窒素原子を有する官能基を表す。)
mは、1〜11の整数を表す。低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性をバランス良く高める観点から、好ましくは1以上であり、製造時の経済性を高める観点から、好ましくは4以下である。A4は窒素原子を有する官能基であり、アミノ基、イソシアノ基、シアノ基、ピリジル基、ピペリジル基、ピラジニル基、モルホリノ基などをあげることができる。
一般式(VI)で表される基を有する化合物としては、下記一般式(VI−1)で表される化合物をあげることができる。
(式中、wは0〜10の整数を表し、R
41は炭素原子数が1〜5のヒドロカルビル基を表し、R
42、R
43、R
44及びR
45は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数が1〜5のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜5の置換ヒドロカルビル基又は炭素原子数が1〜5のヒドロカルビルオキシ基を表し、R
42及びR
43が複数ある場合は、複数あるR
42及び複数あるR
43はそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、R
46及びR
47は、それぞれ独立に、窒素原子、酸素原子及びケイ素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子を有していてもよい炭素原子数が1〜6の基を表し、R
46及びR
47は結合して窒素原子と共に環構造を形成していてもよく、R
46及びR
47は窒素に二重結合で結合する同一の基であってもよい。)
一般式(VI−1)のwは、0〜10の整数を表す。経済性を高める観点から、好ましくは3以下であり、より好ましくは0である。
一般式(VI−1)のR41は炭素原子数が1〜5のヒドロカルビル基を表す。R41のヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などのアルキル基をあげることができる。
R41のヒドロカルビル基としては、好ましくはアルキル基であり、より好ましくは炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、更に好ましくは、メチル基、エチル基である。
一般式(VI−1)のR42〜R45は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数が1〜5のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜5の置換ヒドロカルビル基又は炭素原子数が1〜5のヒドロカルビルオキシ基を表し、R42及びR43が複数ある場合は、複数あるR42及び複数あるR43はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
R42〜R45のヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などのアルキル基をあげることができる。
R42〜R45の置換ヒドロカルビル基としては、窒素原子を有する基及び酸素原子を有する基からなる基群から選ばれる少なくとも1種の基を置換基として有する置換ヒドロカルビル基をあげることができる。窒素原子を有する基を置換基として有する基としては、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基などのジアルキルアミノアルキル基をあげることができ、酸素原子を有する基を置換基として有する基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基などをあげることができる。
R42〜R45のヒドロカルビルオキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基などのアルコキシ基をあげることができる。
R42〜R45のヒドロカルビル基としては、好ましくはアルキル基であり、より好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、更に好ましくは、メチル基、エチル基である。
R42〜R45の置換ヒドロカルビル基としては、好ましくはアルコキシアルキル基であり、より好ましくは炭素原子数が1〜4のアルコキシアルキル基であり、更に好ましくは、メトキシメチル基、エトキシエチル基である。
R42〜R45のヒドロカルビルオキシ基としては、好ましくはアルコキシ基であり、より好ましくは炭素原子数が1〜3のアルコキシ基であり、更に好ましくは、メトキシ基、エトキシ基である。
低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性をバランス良く高める観点及び経済性から、R44及びR45の一方が水素原子であることが好ましい。より好ましくは、R44及びR45の一方が水素原子であり、もう一方がアルキル基またはアルコキシ基である。更に好ましくは、R44及びR45の一方が水素原子であり、もう一方がアルコキシ基である。特に好ましくは、メトキシ基、エトキシ基である。
一般式(VI−1)のR46及びR47は、それぞれ独立に、窒素原子、酸素原子及びケイ素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子を有していてもよい炭素原子数が1〜6の基を表し、R46及びR47は結合して窒素原子と共に環構造を形成していてもよく、R46及びR47は窒素に二重結合で結合する同一の基であってもよい。
一般式(VI−1)のR46及びR47としては、炭素原子数が1〜6のヒドロカルビル基、炭素原子数が1〜6の置換ヒドロカルビル基、置換シリル基などをあげることができる。
R46及びR47のヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基などのアルキル基;シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基などをあげることができる。
R46及びR47の置換ヒドロカルビル基としては、窒素原子を有する基、酸素原子を有する基及びケイ素原子を有する基からなる基群から選ばれる少なくとも1種の基を置換基として有する置換ヒドロカルビル基をあげることができる。窒素原子を有する基を置換基として有する基としては、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基などのジアルキルアミノアルキル基をあげることができ、酸素原子を有する基を置換基として有する基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基;エポキシ基、テトラヒドロフラニル基などのアルキレンオキシド基;グリシジル基、テトラヒドロフルフリル基などのアルキレンオキシドアルキル基をあげることができ、ケイ素原子を有する基を置換基として有する基としては、トリメチルシリルメチル基などのトリアルキルシリルアルキル基などをあげることができる。なお、本明細書において、アルキレンオキシド基は、環状エーテル化合物の環から水素原子を除いた1価の基を表す。また、アルキレンオキシドアルキル基は、アルキル基の1つ以上の水素原子がアルキレンオキシド基で置換されている基を表す。
R46及びR47の置換シリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基などのトリアルキルシリル基;トリメトキシシリル基などのトリアルコキシシリル基などをあげることができる。
R46及びR47が結合した基としては、窒素原子、酸素原子及びケイ素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子を有していてもよい炭素原子数が2〜12の2価の基があげられる。例えば、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などのアルキレン基;オキシジエチレン基、オキシジプロピレン基などのオキシジアルキレン基;−CH2CH2−NH−CH2−で表される基、−CH2CH2−N=CH−で表される基などの含窒素基などをあげることができる。
R46及びR47が結合した基としては、含窒素基が好ましく、−CH2CH2−NH−CH2−で表される基、−CH2CH2−N=CH−で表される基がより好ましい。
R46及びR47の窒素に二重結合で結合する同一の基としては、窒素原子、酸素原子及びケイ素原子からなる原子群から選ばれる少なくとも1種の原子を有していてもよい炭素原子数が2〜12の2価の基があげられる。例えば、エチリデン基、1−メチルプロピリデン基、1,3−ジメチルブチリデン基、1−メチルエチリデン基、4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン基などをあげることができる。
R46及びR47のヒドロカルビル基としては、好ましくは、アルキル基であり、より好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、更に好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基であり、より更に好ましくは、メチル基、エチル基である。R46及びR47の置換ヒドロカルビル基としては、好ましくは、アルコキシアルキル基、アルキレンオキシド基、アルキレンオキシドアルキル基である。R46及びR47の置換シリル基としては、好ましくは、トリアルキルシリル基、トリアルコキシシリル基であり、より好ましくは、トリアルキルシリル基であり、更に好ましくは、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基である。
R46及びR47としては、好ましくは、アルキル基、アルコキシアルキル基、置換シリル基又はR46及びR47が結合した含窒素基であり、より好ましくは、炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、更に好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基であり、より更に好ましくは、メチル基、エチル基である。
R46及びR47が窒素原子に結合したアミノ基としては、非環状アミノ基、環状アミノ基をあげることができる。
該非環状アミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ(n−プロピル)アミノ基、ジ(イソプロピル)アミノ基、ジ(n−ブチル)アミノ基、ジ(sec−ブチル)アミノ基、ジ(tert−ブチル)アミノ基、ジ(ネオペンチル)アミノ基、エチルメチルアミノ基などのジアルキルアミノ基;ジ(メトキシメチル)アミノ基、ジ(メトキシエチル)アミノ基、ジ(エトキシメチル)アミノ基、ジ(エトキシエチル)アミノ基などのジ(アルコキシアルキル)アミノ基;ジ(トリメチルシリル)アミノ基、ジ(t−ブチルジメチルシリル)アミノ基などのジ(トリアルキルシリル)アミノ基などをあげることができる。また、ジ(エポキシ)アミノ基、ジ(テトラヒドロフラニル)アミノ基などのジ(アルキレンオキシド)アミノ基;ジ(グリシジル)アミノ基、ジ(テトラヒドロフルフリル)アミノ基などのジ(アルキレンオキシドアルキル)アミノ基をあげることができる。更には、エチリデンアミノ基、1−メチルプロピリデンアミノ基、1,3−ジメチルブチリデンアミノ基、1−メチルエチリデンアミノ基、4−N,N−ジメチルアミノベンジリデンアミノ基などもあげることができる。
該環状アミノ基としては、1−ピロリジニル基、1−ピペリジノ基、1−ヘキサメチレンイミノ基、1−ヘプタメチレンイミノ基、1−オクタメチレンイミノ基、1−デカメチレンイミノ基、1−ドデカメチレンイミノ基などの1−ポリメチレンイミノ基をあげることができる。また、環状アミノ基としては、1−イミダゾリル基、4,5−ジヒドロ−1−イミダゾリル基、1−イミダゾリジニル基、1−ピペラジニル基、モルホリノ基などもあげることができる。
R46及びR47が窒素原子に結合したアミノ基としては、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性、化合物の長期安定性及び入手容易性から、好ましくは、非環状アミノ基であり、より好ましくは、ジアルキルアミノ基であり、更に好ましくは、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基である。
一般式(VI−1)で表される化合物としては、N,N−ジアルキル置換カルボン酸アミドジアルキルアセタール化合物をあげることができる。
N,N−ジアルキル置換カルボン酸アミドジアルキルアセタール化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール、N,N−ジエチルホルムアミドジメチルアセタール、N,N−ジ(n−プロピル)ホルムアミドジメチルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール、N,N−ジエチルホルムアミドジエチルアセタール、N,N−ジ(n−プロピル)ホルムアミドジエチルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドエチルメチルアセタール、N,N−ジエチルホルムアミドエチルメチルアセタール、N,N−ジ(n−プロピル)ホルムアミドエチルメチルアセタールなどのN,N−ジアルキルホルムアミドジアルキルアセタール;
N,N−ジメチルアセトアミドジメチルアセタール、N,N−ジエチルアセトアミドジメチルアセタール、N,N−ジ(n−プロピル)アセトアミドジメチルアセタール、N,N−ジメチルアセトアミドジエチルアセタール、N,N−ジエチルアセトアミドジエチルアセタール、N,N−ジ(n−プロピル)アセトアミドジエチルアセタール、N,N−ジメチルアセトアミドエチルメチルアセタール、N,N−ジエチルアセトアミドエチルメチルアセタール、N,N−ジ(n−プロピル)アセトアミドエチルメチルアセタールなどのN,N−ジアルキルアセトアミドジアルキルアセタール;
N,N−ジメチルプロピオンアミドジメチルアセタール、N,N−ジエチルプロピオンアミドジメチルアセタール、N,N−ジ(n−プロピル)プロピオンアミドジメチルアセタール、N,N−ジメチルプロピオンアミドジエチルアセタール、N,N−ジエチルプロピオンアミドジエチルアセタール、N,N−ジ(n−プロピル)プロピオンアミドジエチルアセタール、N,N−ジメチルプロピオンアミドエチルメチルアセタール、N,N−ジエチルプロピオンアミドエチルメチルアセタール、N,N−ジ(n−プロピル)プロピオンアミドエチルメチルアセタールなどのN,N−ジアルキルプロピオンアミドジアルキルアセタールなどがあげられる。
これらの中では、低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性をバランス良く高める観点から、好ましくは、
N,N−ジアルキルホルムアミドジアルキルアセタールであり、
より好ましくは、
N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール、
N,N−ジエチルホルムアミドジメチルアセタール、
N,N−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール、
N,N−ジエチルホルムアミドジエチルアセタールである。
(重量平均分子量Mw)
上記ジエン系共重合体の重量平均分子量Mwは、1.0×105〜2.5×106である。Mwが1.0×105未満の場合は低燃費性が悪くなる傾向があり、一方、Mwが2.5×106を超えると加工性が悪くなる傾向がある。Mwの下限は、好ましくは2.0×105以上、より好ましくは3.0×105以上であり、上限は、好ましくは1.5×106以下、より好ましくは1.0×106以下である。
なお、Mwは、重合時に使用する重合開始剤の量を変更するなどの方法により適宜調節することができ、後述の実施例の方法で測定できる。
上記ジエン系共重合体の分子量分布は、低燃費性の観点から、好ましくは1〜5であり、より好ましくは1〜2である。分子量分布は、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法により、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を測定し、MwをMnで除すことにより求められる。
上記ジエン系共重合体のビニル結合量は、上記ジエン系共重合体が芳香族ビニル化合物を含有する場合、共役ジエン単位の含有量を100モル%として、低燃費性の観点から、好ましくは80モル%以下であり、より好ましくは70モル%以下である。また、ウェットグリップ性能の観点から、好ましくは10モル%以上であり、より好ましくは15モル%以上であり、更に好ましくは20モル%以上であり、特に好ましくは40モル%以上である。
上記ジエン系共重合体が芳香族ビニル化合物を含有しない場合、上記ジエン系共重合体のビニル結合量は、共役ジエン単位の含有量を100モル%として、低燃費性の観点から、好ましくは50モル%以下、より好ましくは40モル%以下、更に好ましくは20モル%以下である。
該ビニル結合量は、赤外分光分析法により、ビニル基の吸収ピークである910cm−1付近の吸収強度より求められる。
<ジエン系共重合体の製造方法>
本発明のジエン系共重合体は、共役ジエン化合物と、一般式(I)で表される化合物と、一般式(III)で表される珪素化合物と、必要に応じて重合可能な他の単量体とを共重合して得られるジエン系共重合体の活性末端に、末端変性剤(一般式(IV)で表される化合物、一般式(V)で表される基を有する化合物及び一般式(VI)で表される基を有する化合物からなる群より選択される少なくとも一種の化合物)を反応させて製造でき、具体的には、以下の製造方法で製造できる。
(重合方法)
上記ジエン系共重合体の重合方法については特に制限はなく、溶液重合法、気相重合法、バルク重合法のいずれも用いることができ、ハンドリングの容易性の観点から、溶液重合法が好ましい。また、重合形式は、回分式及び連続式のいずれであってもよい。
溶液重合法を用いた場合には、溶液中の単量体濃度(共役ジエン化合物、一般式(I)で表される化合物、及び一般式(III)で表される珪素化合物などの合計)は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。溶液中の単量体濃度が5質量%未満では、得られるジエン系共重合体の量が少なく、高コストになる傾向がある。また、溶液中の単量体濃度は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。溶液中の単量体濃度が50質量%を超えると、溶液粘度が高くなりすぎて撹拌が困難となり、重合しにくくなる傾向がある。
(アニオン重合における重合開始剤)
アニオン重合を行う場合、重合開始剤としては特に制限はないが、有機リチウム化合物が好ましく用いられる。上記有機リチウム化合物としては、炭素原子数2〜20のアルキル基を有するものが好ましく、例えばエチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、tert−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチル−フェニルリチウム、4−フェニル−ブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、シクロペンチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応生成物などがあげられるが、これらの中で、入手容易性、安全性などの観点からn−ブチルリチウム又はsec−ブチルリチウムが好ましい。
(アニオン重合の方法)
上記有機リチウム化合物を重合開始剤として用い、アニオン重合によってジエン系共重合体を製造する方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。具体的には、反応に不活性な有機溶剤、例えば脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素化合物などの炭化水素系溶剤中において、ブチルリチウムなどを重合開始剤とし、必要に応じてランダマイザーの存在下で、共役ジエン化合物と、一般式(I)で表される化合物と、一般式(III)で表される珪素化合物と、必要に応じて重合可能な他の単量体とをアニオン重合させればよい。
(アニオン重合における炭化水素系溶剤)
上記炭化水素系溶剤としては、炭素原子数3〜8のものが好ましく、例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1−ブテン、イソブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどをあげることができる。
(アニオン重合におけるランダマイザー)
また、上記ランダマイザーとは、ジエン系共重合体中の共役ジエン部分のミクロ構造制御(例えば、ブタジエンにおける1,2−結合の増加など)や、ジエン系共重合体におけるモノマー単位の組成分布の制御(例えば、ブタジエン−スチレン共重合体におけるブタジエン単位、スチレン単位のランダム化など)などの作用を有する化合物のことである。このランダマイザーとしては、特に制限はなく、従来ランダマイザーとして一般に使用されている公知の化合物の中から任意のものを用いることができる。例えば、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ビステトラヒドロフリルプロパン、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジピペリジノエタンなどのエーテル類及び第三級アミン類などをあげることができる。また、カリウム−t−アミレート、カリウム−t−ブトキシドなどのカリウム塩類、ナトリウム−t−アミレートなどのナトリウム塩類も用いることができる。
ランダマイザーの使用量は使用するランダマイザーの種類により異なるが、重合開始剤1モル当たり、0.01モル当量以上が好ましく、0.05モル当量以上がより好ましい。ランダマイザーの使用量が0.01モル当量未満では、添加効果が小さく、ランダム化しにくい傾向がある。また、ランダマイザーの使用量は、重合開始剤1モル当たり1000モル当量以下が好ましく、500モル当量以下がより好ましい。ランダマイザーの使用量が1000モル当量を超えると、モノマーの反応速度が大きく変化してしまい、逆にランダム化しにくくなる傾向がある。
共役ジエン化合物、一般式(I)で表される化合物、及び一般式(III)で表される珪素化合物などの単量体の使用量は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。
なお、上記ジエン系共重合体の製造においては、重合反応器に単量体を供給する前に重合開始剤を重合反応器に供給してもよく、重合に使用する単量体全量を重合反応器に供給した後に重合開始剤を重合反応器に供給してもよく、重合に使用する単量体の一部を重合反応器に供給した後に重合開始剤を重合反応器に供給してもよい。また、重合開始剤を、重合反応器に一時に供給してもよく、連続的に供給してもよい。
単量体の供給については、単量体を、重合反応器に一時に供給してもよく、連続的に供給してもよく、間欠的に供給してもよい。また、各単量体を、重合反応器に別々に供給してもよく、同時に供給してもよい。
上記ジエン系共重合体の製造における重合温度は、通常25〜100℃であり、好ましくは35〜90℃である。さらに好ましくは50〜80℃である。重合時間は、通常10分〜5時間である。
末端変性剤による変性方法は、アニオン重合で主鎖が変性されたジエン系共重合体を合成した後、該ジエン系共重合体と末端変性剤とを接触させる方法が挙げられ、これらによりジエン系共重合体末端部のアニオンと末端変性剤の官能基とが反応する。その結果、主鎖及び末端が変性されたジエン系共重合体が得られる。
末端変性剤による変性反応の反応温度は、通常、25〜100℃であり、好ましくは35〜90℃であり、より好ましくは50〜80℃である。また、末端反応の反応時間は、通常、60秒〜5時間であり、好ましくは5分〜1時間、より好ましくは15分〜1時間である。末端変性剤を反応させる量は、通常、ジエン系共重合体100質量部に対して0.01〜10質量部とすればよい。本発明のジエン系共重合体は、少なくとも一方の末端が変性されていることが好ましく、両末端が変性されていることがより好ましい。
本発明においては、末端変性剤による変性反応を行った後に、必要に応じて、公知の老化防止剤や、重合反応を停止する目的でアルコールなどを加えてもよい。
なお、必要に応じて加水分解処理を行ってもよく、これにより、一般式(III)で表される珪素化合物に由来する単位において、R12、R13及びR14の少なくとも1つを水酸基とすることができる。
<ゴム組成物>
(ゴム成分)
上記ジエン系共重合体はゴム組成物のゴム成分として使用できる。ゴム成分100質量%中のジエン系共重合体の含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは50質量%以上である。5質量%未満であると、低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性の改善効果が得られにくい傾向がある。また、ジエン系共重合体の含有量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。90質量%を超えると、高コストになる傾向がある。
上記ジエン系共重合体は、他のゴム成分と併用してもよい。他のゴム成分としては、ジエン系ゴムを用いることが好ましい。ジエン系ゴムは、天然ゴム(NR)、ジエン系合成ゴムを使用でき、ジエン系合成ゴムとしては、例えば、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)などがあげられる。なかでも、低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性をバランス良く示すことから、NR、BR、SBRが好ましく、BR、SBRがより好ましい。これらのゴム成分は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
BRとしては特に限定されず、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。また、一般式(I)で表される化合物及び/又は一般式(III)で表される珪素化合物と、1,3−ブタジエンとを含む単量体を共重合して得られる末端非変性のBRなども使用できる。
SBRとしては特に限定されず、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。また、前述の一般式(I)で表される化合物及び/又は一般式(III)で表される珪素化合物と、1,3−ブタジエンと、スチレンとを含む単量体を共重合して得られる末端非変性のSBRなども使用できる。
本発明のゴム組成物がBRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上であり、また、好ましくは95量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。上記範囲内であれば、低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性がバランス良く得られる。
また、本発明のゴム組成物がSBRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは50質量%以上であり、また、好ましくは95量%以下、より好ましくは90質量%以下である。上記範囲内であれば、低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性がバランス良く得られる。
(シリカ)
本発明のゴム組成物は、補強剤としてシリカを配合することが好ましい。上記ジエン系共重合体によってシリカの分散が促進され、低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性の向上効果を高めることができる。使用できるシリカとしては特に限定されず、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。また、シリカは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリカのチッ素吸着比表面積(N2SA)は、好ましくは50m2/g以上、より好ましくは80m2/g以上、更に好ましくは150m2/g以上であり、また、好ましくは300m2/g以下、より好ましくは250m2/g以下、更に好ましくは200m2/g以下である。チッ素吸着比表面積が50m2/g未満のシリカでは補強効果が小さく耐摩耗性が低下する傾向があり、300m2/gを超えるシリカでは分散性が悪く、ヒステリシスロスが増大し、低燃費性が低下する傾向がある。
なお、シリカのN2SAは、ASTM D3037−93に準じてBET法で測定される値である。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは50質量部以上であり、また、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下である。シリカの含有量が5質量部未満であると耐摩耗性が充分でない傾向があり、一方、シリカの含有量が150質量部を超えると、シリカが分散しにくくなり、加工性、低燃費性が悪化する傾向がある。
(シランカップリング剤)
本発明では、シリカとともに、シランカップリング剤を使用することが好ましい。シランカップリング剤としては特に限定されず、従来からタイヤ分野において汎用されているものを使用でき、例えば、スルフィド系、メルカプト系、ビニル系、アミノ系、グリシドキシ系、ニトロ系、クロロ系シランカップリング剤などがあげられる。なかでも、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィドなどのスルフィド系を好適に使用できる。
補強性改善効果などの点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド及び3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィドが特に好ましい。これらのシランカップリング剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは4質量部以上である。シランカップリング剤の含有量が1質量部未満では、未加硫ゴム組成物の粘度が高く、加工性が悪くなる傾向がある。また、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対し、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。シランカップリング剤の含有量が20質量部を超えると、その含有量ほどのシランカップリング剤の配合効果が得られず、高コストになる傾向がある。
(カーボンブラック)
本発明のゴム組成物は、カーボンブラックを含有することが好ましい。使用できるカーボンブラックとしては特に限定されず、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。また、カーボンブラックは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(N2SA)は、好ましくは30m2/g以上、より好ましくは70m2/g以上であり、好ましくは250m2/g以下、より好ましくは120m2/g以下である。また、カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸収量は、好ましくは5ml/100g以上、より好ましくは80ml/100g以上であり、好ましくは300ml/100g以下、より好ましくは180ml/100g以下である。カーボンブラックのN2SAやDBP吸収量が上記範囲の下限未満では、補強効果が小さく耐摩耗性が低下する傾向があり、上記範囲の上限を超えると、分散性が悪く、ヒステリシスロスが増大し低燃費性が低下する傾向がある。該チッ素吸着比表面積は、ASTM D4820−93に従って測定され、該DBP吸収量は、ASTM D2414−93に従って測定される。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。1質量部未満では、充分な補強性が得られないおそれがある。カーボンブラックの含有量は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。50質量部を超えると、低燃費性が悪化する傾向がある。
(老化防止剤)
本発明のゴム組成物は、老化防止剤を含むことができる。老化防止剤としては、アミン系、フェノール系、イミダゾール系の各化合物や、カルバミン酸金属塩、ワックスなどを適宜選択して使用することが可能である。
(軟化剤)
本発明のゴム組成物は、軟化剤を含むことができる。軟化剤としては、石油系軟化剤、脂肪油系軟化剤、脂肪酸などがあげられる。軟化剤の含有量は、ウェットグリップ性能を低下させる危険性が少ないという理由から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは100質量部以下である。
(加硫剤)
本発明のゴム組成物は、加硫剤を含むことができる。加硫剤としては、有機過酸化物、硫黄系加硫剤などを使用できる。なかでも、本発明の効果が良好に得られるという点から、硫黄系加硫剤が好ましく、硫黄がより好ましい。
(加硫促進剤)
本発明のゴム組成物は、加硫促進剤を含むことができる。加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、キサンテート系加硫促進剤などがあげられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(加硫助剤)
本発明のゴム組成物は、加硫助剤を含むことができる。加硫助剤としては、ステアリン酸、酸化亜鉛(亜鉛華)などを使用することができる。
(その他の成分)
本発明のゴム組成物には、その他の補強剤、各種オイル、可塑剤、カップリング剤などのタイヤ用又は一般のゴム組成物用に配合される各種配合剤及び添加剤を配合することができる。また、これらの配合剤、添加剤の含有量も一般的な量とすることができる。
<ゴム組成物の製造方法>
本発明のゴム組成物は、従来公知の製造方法により製造することができ、その製造方法が限定されるものではない。例えば、上記各成分をバンバリーミキサーや混練ロールなどの混練機を用いて、通常の方法及び条件で混練することによって製造することができる。
このようにして得られた本発明のゴム組成物を用いることで、低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性がバランス良く改善された空気入りタイヤが得られる。上記ゴム組成物は、タイヤの各部材に使用でき、なかでも、トレッド、サイドウォールなどに好適に使用できる。
<空気入りタイヤ>
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。すなわち、上記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッドなどの形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより空気入りタイヤを得る。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、合成、重合時に用いた各種薬品について、まとめて説明する。なお、薬品は必要に応じて定法に従い精製を行った。
DMF:関東化学(株)製 N,N−ジメチルホルムアミド
水素化ナトリウム:関東化学(株)製
ジエチレングリコールモノブチルエーテル:東京化成工業(株)製
4−クロロメチルスチレン:和光純薬工業(株)製
4−ビニルベンズアルデヒド:シグマアルドリッチ社製
p−トルエンスルホン酸:関東化学(株)製
t−ブチルカテコール:関東化学(株)製
炭酸水素ナトリウム:関東化学(株)製
硫酸マグネシウム:関東化学(株)製
プロピレングリコール:関東化学(株)製
THF:関東化学(株)製テトラヒドロフラン
ジエチルアミン:シグマ・アルドリッチ社製
メチルビニルジクロロシラン:信越化学工業(株)製LS−190
末端変性剤1:東京化成工業(株)製 N−(3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド1.6gを10mlメスフラスコに入れ、さらにn−ヘキサンを加えて10mlにした。
n−ヘキサン:関東化学(株)製の無水ヘキサン
末端変性剤2:東京化成工業(株)製 1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン1.1gを10mlメスフラスコに入れ、さらにn−ヘキサンを加えて10mlにした。
末端変性剤3:東京化成工業(株)製 N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール1.2gを10mlメスフラスコに入れ、さらにn−ヘキサンを加えて10mlにした。
スチレン:関東化学(株)製
1,3−ブタジエン:高千穂商事(株)製
テトラメチルエチレンジアミン:関東化学(株)製
n−ブチルリチウム:関東化学(株)製の1.6M n−ブチルリチウムヘキサン溶液
2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール溶液:大内新興化学工業(株)製の「ノクラック200」1gをメタノール100mlに溶解させて調製した。
メタノール:関東化学(株)製
<一般式(I)で表される化合物の合成>
化合物1[4−(2,5,8−トリオキサドデシル)スチレン](下記式)の合成
充分に窒素置換した三つ口フラスコにDMF100mL、水素化ナトリウム1.8gを加え、0℃でジエチレングリコールモノブチルエーテル12gを撹拌しながら30分かけて滴下した。室温で1時間撹拌後、再び0℃に冷却し、4−クロロメチルスチレン7.5gを滴下し、そのまま1時間撹拌した。得られた溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、有機層を抽出後、エバポレーターで濃縮して4−(2,5,8−トリオキサドデシル)スチレンを作成し、シリカゲルカラムで定法により精製した。
化合物2[4−(2−1,3−ジオキサニル)スチレン](下記式)の合成
充分に窒素置換した三つ口フラスコにトルエン100mL、4−ビニルベンズアルデヒド5.3g、プロピレングリコール4.2g、p−トルエンスルホン酸5mg、t−ブチルカテコール1mgを添加し、110℃で2時間還流させた。その後、得られた溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過と濃縮を行い4−(2−1,3−ジオキサニル)スチレンを作成し、減圧蒸留により精製した。
<一般式(III)で表される珪素化合物の合成>
化合物3[ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン]の合成
充分に窒素置換した2L三つ口フラスコにTHF1000mL、水素化ナトリウム13gを加え、氷水バス上で撹拌しながらジエチルアミン36.5gをゆっくり滴下した。30分撹拌後、メチルビニルジクロロシラン36gを30分かけて滴下し、2時間撹拌させた。得られた溶液を濃縮し、ろ過後、減圧蒸留精製を行い、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシランを合成した。
得られたビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン21.4gを窒素雰囲気下で100mlメスフラスコに入れ、さらに無水ヘキサンを加え全量を100mlにした。
化合物4[ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン]
信越化学工業社製のビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン15.8gを窒素雰囲気下で100mlメスフラスコに入れ、さらに無水ヘキサンを加え全量を100mlにした。
<共重合体の分析>
下記により得られた共重合体の分析は以下の方法で行った。
(重量平均分子量Mwの測定)
共重合体の重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めた。
(共重合体の構造同定)
共重合体の構造同定は、日本電子(株)製JNM−ECAシリーズの装置を用いて行った。測定結果から、スチレン含有量、化合物1〜2の含有量、及び化合物3〜4の含有量を算出した。
<共重合体の合成>
(共重合体(1))
表1のレシピに従い、充分に窒素置換した3L耐圧容器にn−ヘキサン1800mL、スチレン40g、1,3−ブタジエン130g(2403.4mmol)、化合物1 1.0g(3.1mmol)、化合物3 0.75g(4mmol)、テトラメチルエチレンジアミン0.9mmol、n−ブチルリチウム1.2mmolを加えて、50℃で4時間撹拌した。その後、末端変性剤1を1.0ml(1mmol)添加し、1時間撹拌を行った。さらに2,6−tert−ブチル−p−クレゾール溶液1mlを添加し、反応溶液をメタノール3Lが入った10Lステンレス製円筒容器に取り出した。得られた凝集体を24時間減圧乾燥し、共重合体(1)を約166g得た。分析の結果、Mwは323000、スチレン含有量は23.3質量%であった。
(共重合体(2)〜(17))
表1のレシピにて共重合体(1)と同様の方法で合成した。なお、共重合体(7)は、1,3−ブタジエンなどを加えた後、50℃で5時間撹拌した。
得られた共重合体の収量、及び特性を表1に示す。
<実施例及び比較例>
以下に、実施例及び比較例で用いた各種薬品について説明する。
共重合体(1)〜(17):上記方法で合成
BR:宇部興産(株)製のウベポールBR150B
シリカ:デグッサ社製のウルトラシルVN3(N2SA:175m2/g)
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイアブラックN339(N2SA:96m2/g、DBP吸収量:124ml/100g)
オイル:(株)ジャパンエナジー製のX−140
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン3C
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤(1):住友化学(株)製のソクシノールCZ
加硫促進剤(2):住友化学(株)製のソクシノールD
表2に示す配合内容に従い、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃で20分間、0.5mm厚の金型でプレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。また、得られた未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、170℃で12分間加硫し、試験用タイヤ(サイズ:195/65R15)を製造した。
<評価項目及び試験方法>
<低燃費指数>
(株)上島製作所製スペクトロメーターを用いて、動的歪振幅1%、周波数10Hz、温度50℃で加硫ゴム組成物のtanδを測定し、比較例1を100とした時の指数で表示した。低燃費指数が大きいほど転がり抵抗が小さく、低燃費性に優れることを示している。
<転がり指数>
転がり抵抗試験機を用い、試験用タイヤを、リム(15×6JJ)、内圧(230kPa)、荷重(3.43kN)、速度(80km/h)で走行させたときの転がり抵抗を測定し、比較例1を100とした時の指数で表示した。転がり指数が大きいほど転がり抵抗が小さく、低燃費性に優れることを示している。
<ウェットグリップ指数>
各試験用タイヤを車両(国産FF2000cc)の全輪に装着して、湿潤アスファルト路面にて初速度100km/hからの制動距離を求めた。結果は指数で表し、数値が大きいほどウェットスキッド性能(ウェットグリップ性能)が良好である。指数は次の式で求めた。
(ウェットグリップ指数)=(比較例1の制動距離)/(各配合の制動距離)×100
<耐摩耗指数>
LAT試験機(Laboratory Abration and Skid Tester)を用い、荷重50N、速度20km/h、スリップアングル5°の条件にて、各加硫ゴム組成物の容積損失量を測定した。表2の数値(耐摩耗指数)は、比較例1の容積損失量を100としたときの相対値である。当該数値が大きいほど耐摩耗性に優れている。
共役ジエン化合物、特定の芳香族化合物、及び特定の珪素化合物(珪素含有ビニル化合物)を共重合して得られるジエン系共重合体の活性末端に、特定の化合物を反応させて得られ、重量平均分子量Mwが特定の範囲内であるジエン系共重合体を用いた実施例では、低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性がバランス良く改善された。なお、比較例7は、粘度が低すぎたため、混練ができなかった。