JP2014049668A - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Abstract

【課題】発光効率に優れると共に簡易な構造で複数色を発光する有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)を提供する。
【解決手段】半導体微粒子から構成される多孔質な半導体部の孔に発光物質が含有された発光層を複数備え、複数の発光層を構成する多孔質な半導体部4a、4bは夫々下記(1)で求められる個数平均1次粒径が100nm以下の半導体微粒子を含有し、且つ夫々の半導体部に含まれる1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量が発光層ごとに異なるように制御して複数色を発光する有機EL素子とする。(1)の測定法:SEM観察で得られた半導体部の画像から各半導体微粒子の投影面積と同等の円相当径を測定してその分布を個数基準で算出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子に関するものであり、詳しくは多孔質な半導体部の孔に発光物質が含有された発光部を複数備えた多色発光する有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
一般に、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と称することがある)は、透明基板上に陽極電極を成膜し、その表面に発光部を成膜し、さらにその表面に陰極電極を成膜して構成されている。そして、電極の片方を透明もしくは半透明とすることにより、発光された光を取り出して各種ディスプレイに応用される。
このような有機EL素子を用いたカラーディスプレイは、最近、成長著しいフラットパネルディスプレイの1つであり、液晶と異なり、自発光のデバイスで、視野角が広いこと、コントラストが高いこと、応答速度が速いこと等の特長を有する。つまり、液晶で指摘されている欠点を解消できる特性を備えている。
有機EL素子を用いてフルカラーディスプレイを実現する方法としては、例えば、白色で発光させ、カラーフィルターでRGBの発光を得るカラーフィルター方式が挙げられる。
しかしながら、上記方式では、カラーフィルターを設ける必要があることなど構造が複雑となり、コストが高くなるという難点がある。
上記問題を解決するために、透明電極間に発光部の発光色が異なる有機エレクトロルミネッセンス素子を積層構成して多色発光ディスプレイとする方法が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、上記方法では、発光色が異なる発光部間の電子/正孔輸送能力が同等であるために、発光効率が低いという問題があった。
そこで、発光色が異なる発光部間の電子/正孔輸送能力を異ならせ、発光効率を高めるために、発光部に電子輸送性および正孔輸送性の金属酸化物ナノ粒子を含有させ、その比率を異ならせる方法が提案されている(特許文献2参照)。
しかし、上記方法では電子輸送性及び正孔輸送性の材料選択に制約があり、材料コストが高くなってしまうという問題があった。
尚、テレビジョン、パソコン、携帯端末等のディスプレイに用いられる表示装置に関して、スイッチング素子と画素領域を備え、マトリクス状に設けられた走査線及び信号線により駆動する方法が提案されている(特許文献3参照)。
上記従来技術では、簡易な構造や低廉で入手が容易な発光物質(有機EL化合物)を用いて、効率良く発光させることのできる有機エレクトロルミネッセンス素子を作製することは難しく、このような要望に対応できる技術開発が期待されている。
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、発光効率に優れると共に、簡易な構造で、比較的低廉な材料を用いて構成した複数色を発光する有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、半導体微粒子から構成される多孔質な半導体部の孔に発光物質を含有させて複数の発光層を形成した場合に、特定の粒径(1次粒子径)を有する半導体微粒子の含有量を複数の発光層ごとに異なるように制御することで、上記課題が解決されることを見出し本発明に至った。
すなわち、上記課題は、半導体微粒子から構成される多孔質な半導体部の孔に発光物質が含有された発光層を複数備え複数の色を発光する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記多孔質な半導体部はそれぞれ下記測定法(1)により求められる個数平均1次粒径が100nm以下である半導体微粒子を含有し、且つそれぞれの半導体部において含まれる1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の下記測定法(2)により求められる含有量が発光層ごとに異なることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子により解決される。
(1)[個数平均1次粒子径の測定法]:
SEM観察で得られた半導体部の画像から各半導体微粒子の投影面積と同等の円相当径(1次粒子径)を測定してその分布を個数基準で算出し個数平均1次粒径を求める。
(2)[1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量の測定法]:
SEM観察で得られた半導体部の画像から各半導体微粒子の投影面積と同等の円相当径(1次粒子径)を測定してその分布を個数基準で求め、1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の積算値を得、全粒径の半導体微粒子総計に対する前記積算値の割合(%)を算出して含有量を求める。
本発明は、半導体微粒子から構成される多孔質な半導体部の孔に発光物質が含有された発光層を複数備え複数の色を発光する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記複数の発光層を構成する多孔質な半導体部はそれぞれ前記測定法(1)により求められる個数平均1次粒径が100nm以下である半導体微粒子を含有し、且つそれぞれの半導体部において含まれる1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の前記測定法(2)により求められる含有量が発光層ごとに異なるように制御されているので、粒子同士の焼結形態が各半導体部の電子輸送能力や正孔輸送能力を異ならせて輸送を好適とするように作用し、発光効率が向上する。つまり、簡易な構造でありながら、比較的低廉な材料(低コストな材料)を用いて構成しても発光効率に優れ、複数色を発光可能とする有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)を提供することができる。
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の構成例を示した概略図である。
前述のように本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子は、半導体微粒子から構成される多孔質な半導体部の孔に発光物質が含有された発光層を複数備え複数の色を発光する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記多孔質な半導体部はそれぞれ下記測定法(1)により求められる個数平均1次粒径が100nm以下である半導体微粒子を含有し、且つそれぞれの半導体部において含まれる1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の下記測定法(2)により求められる含有量が発光層ごとに異なることを特徴とするものである。
(1)[個数平均1次粒子径の測定法]:
SEM観察で得られた半導体部の画像から各半導体微粒子の投影面積と同等の円相当径(1次粒子径)を測定してその分布を個数基準で算出し個数平均1次粒径を求める。
(2)[1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量の測定法]:
SEM観察で得られた半導体部の画像から各半導体微粒子の投影面積と同等の円相当径(1次粒子径)を測定してその分布を個数基準で求め、1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の積算値を得、全粒径の半導体微粒子総計に対する前記積算値の割合(%)を算出して含有量を求める。
前記多孔質な半導体部は、半導体性の微粒子(「半導体微粒子」と呼称する)を薄層状に成形し、焼結処理(加熱処理や加圧処理)を施して形成される。尚、半導体部は、半導体微粒子と共に結着樹脂や界面活性剤等を含んでいてもよい。
焼結処理により成形される半導体部の焼結状態あるいは形態は、半導体性微粒子の粒子の大きさや分布によって変動するが、特に、0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量が発光層ごとに異なることで、各多孔質な半導体部の電子輸送能力および正孔輸送能力を異ならせ、該多孔質な半導体部に発光物質(有機EL化合物)を含有させて発光層とした場合に発光効率を向上することができる。
1次粒径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量が発光層ごとに異なることで電子輸送能力および/あるいは正孔輸送能力が好適に変動する理由の詳細は明確ではないが、0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子は比表面積が非常に大きく、その含有量に応じて電荷(電子や正孔)の注入能力に大きく影響を及ぼして半導体部ごとに差異を生じ、これによって電荷の注入を好適とするように作用し、発光効率を向上させるのではないかと推定される。
つまり、半導体微粒子から構成される多孔質な半導体部の孔に発光物質(有機EL化合物)を含有させた発光層を複数備える簡易な構造で、しかも比較的低廉な材料(低コストな材料)を用いて構成しても発光効率の優れた複数色を発光する有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の提供が可能となる。比較的低廉な材料は入手が容易であることも利点である。
ここで、発光層ごとに異なる1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量の各層ごとの差が1%以上30%以下であることが好ましい。各層ごとの差が1%以上30%以下であれば、電荷(電子や正孔)の輸送特性に差を持たせることがきて電界方向による発光中心の違いをよりはっきりさせることができ、複数の発光層における多孔質な半導体部の孔に含有された発光物質のそれぞれを確実に発光することができる。
また、それぞれの半導体部において含まれる1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の下記測定法により求められる含有量が50%以下であることが好ましい。
1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量は異なっていればよく、順序はいずれでも(陰極側が多くても、陽極側が多くてもよい。
1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量の差が30%よりも多いと多孔質な空洞部が少なくなり発光物質(有機EL化合物)の含有量が減って発光不足になる傾向がある。
一方、1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量が50%より多いと、多孔質な半導体部の形成が難しくなり、また、高い印加電圧が必要になる傾向があり、デバイス作製時に好ましくない。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は例であり、下記実施形態には限られない。
前述のように、本発明の有機EL素子は、少なくとも多孔質な半導体部の孔に発光物質(有機EL材料)が含有された発光層を複数有しており、各半導体部は異なる色を発光する有機EL材料を含有しており、多孔質な半導体部はそれぞれ前記測定法により求められる個数平均1次粒径が100nm以下である半導体微粒子を含有し、且つそれぞれの半導体部において含まれる1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量が発光層ごとに異なるが、有機EL材料が含有される半導体部は、電子輸送性の半導体部のみであってもよく、正孔輸送性の半導体部のみであってもよく、また電子輸送性と正孔輸送性の両方を兼ね備えた半導体部(電子・正孔輸送性半導体部)であってもよい。
電子輸送性の半導体部を形成する半導体微粒子としては、例えば、後述のような酸化物半導体(金属酸化物半導体:酸化チタン、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ガリウムなど)が好ましく、一種単独または複数混合して用いられる。
正孔輸送性の半導体部を形成する半導体微粒子としては、例えば、後述のような酸化物半導体(金属酸化物半導体:ITO、酸化銅、酸化モリブデン、酸化亜鉛など)が好ましく、一種単独または複数混合して用いられる。
電子・正孔輸送性の半導体部を形成する半導体微粒子としては、電子輸送性の半導体材料と正孔輸送性の半導体材料を適宜組み合わせて用いることができる。
図1の概略図(A)、(B)に、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の構成例を示す。
図1に示すように、本発明の有機EL素子7は、基板1、電極(陽極)2(例えば、透明導電膜からなる)、正孔輸送性の半導体部3、電子輸送性の第1の半導体部4a、電子輸送性の第2の半導体部4b、および第1の半導体部4aと第2の半導体部4bそれぞれの多孔質な孔に発光物質を含有してなる発光層6a、発光層6b、と電極(陰極)5から構成される。但し、図1の構成は一例であって、この構成に限定されるものではない。
ここで、電子輸送性の第2の半導体部4bは、図1のように電子輸送性の第1の半導体部の上に積層形成された構成でもよいし、第1の半導体部と同一面内に並列して形成された構成でもよい。
尚、図1(A)の各半導体部3、半導体部4a、半導体部4bはいずれも多孔質な半導体部であり、それらの孔に発光物質が含有されれば、それぞれ発光層として機能することができる。
但し、すべての半導体部に発光物質が含有される必要はなく、少なくとも二つの半導体部に別色の発光物質を含有させた構成でよい。例えば、半導体部4aと半導体部4bに別色の発光物質を含有させ、半導体部3には発光物質を含有させない構成でもよい。
即ち、半導体部3、半導体部4a、半導体部4bは、発光物質が含有されればいずれも発光層となりうることを示しており、複数色を発光するために、いずれの半導体部を発光層とするかは任意の選択性があるが、図1(B)では、一例として、半導体部4aと半導体部4bに発光物質(有機EL化合物)を含有させた構成としている。当然、半導体部3に発光物質(有機EL化合物)を含有させてもよい。この場合、電子輸送性の半導体部には電子輸送性の有機EL化合物を含有させ、正孔輸送性の半導体部には正孔輸送性の有機EL化合物を含有させることが好ましい。
図1に示す構成の有機EL素子は以下のような手順で作製される。
まず、複数の発光層を構成する多孔質な半導体部を形成するための分散液を調製する。調整された分散液を用いて半導体部を薄層状に成形し、焼結処理(加熱処理や加圧処理)を施して多孔質な半導体部を得る。
本発明の半導体部は、1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子を含むものであることから、半導体部を形成するために使用する半導体微粒子の1次粒径は0.1nm以上100nm以下が好ましく、0.1nm以上50nm以下がより好ましい。このため、個数平均1次粒径が100nm以下である半導体微粒子が用いられることが好適である。
即ち、多孔質な半導体部から有機EL材料に電荷(電子や正孔)が注入されるので半導体微粒子の比表面積は大きい方が好ましい。このことから、個数平均1次粒径が100nm以下である半導体微粒子、特には、1次粒径が0.1nm以上100nm以下である半導体微粒子を用いることにより、半導体部は非常に大きな比表面積を持つことができ、多孔質な半導体部の孔に含有される発光物質に効率良く電子や正孔が注入される。さらに透明な膜を形成することができるため表示素子として大きな利点がある。
尚、1次粒子径とは、電子顕微鏡での撮像画像(SEM観察)から得られた個々の半導体微粒子の投影面積に等しい(同等の)円の直径(円相当径)を指す。
一方、個数平均1次粒径とは、電子顕微鏡(SEM観察)から得られた半導体部の撮像画像か各半導体微粒子の投影面積と同等の円相当径(1次粒子径)を測定してその分布を個数基準で算出した値である。
半導体部に含まれる1次粒子径が0.1nm以上7nm以下の半導体微粒子の含有量は、前記分散液中に含有させる1次粒子径が0.1nm以上7nm以下の半導体微粒子の量の調整によって制御する(変化させる)ことができる。ここで、0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量が発光層ごとの半導体部においてに異なることが必要である。
1次粒子径が0.1nm以上7nm以下の半導体微粒子の量の調整は、例えば、個数平均1次粒径が異なる複数(例えば、二種類)の半導体微粒子を混合して用いて行うこともできるし、適合する分布を有する半導体微粒子を選択して用いることによっても行うことができる。
半導体部が2層以上の複数である場合(例えば、3層)は、1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子が存在しない半導体部があってもよい。但し、少なくとも2層は1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子が存在する必要がある。
前述のように、発光層ごとに異なる1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量は、50%以下の範囲で変化させることが好ましく、5%以上30%以下の範囲で変化させることがさらに好ましい。
多孔質な半導体部を構成する半導体微粒子の材質は特に限定されるものではなく、電荷輸送性材料(電子輸送性材料、正孔輸送性材料)として公知のものを使用することができる。具体的には、シリコン、ゲルマニウムのような単体半導体、あるいは金属のカルコゲニドに代表される化合物半導体、またはペロブスカイト構造を有する化合物等を挙げることができる。
主に電子輸送性材料として用いることのできる金属のカルコゲニドとしては、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、あるいはタンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマスの硫化物、カドミウム、鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。
化合物半導体としては、亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物、ガリウム砒素、銅−インジウム−セレン化物、銅−インジウム−硫化物等が好ましい。
また、ペロブスカイト構造を有する化合物としては、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等が好ましい。
これらの中でも酸化物半導体(金属酸化物半導体)が好ましく、特に電子輸送性のものとして、酸化チタン、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ガリウムなどが挙げられる。
尚、同じ酸化物であっても製造方法や材料の状態によって電荷の輸送性が変化する(電子輸送性を有する場合や、正孔輸送性を有する場合がある)ため、適宜選択して使用することが必要である。
主に正孔輸送性材料として用いることのできるものとして、ITO、酸化銅、酸化モリブデン、酸化亜鉛などが挙げられる。これらの半導体微粒子は単独、あるいは2種以上の混合で使用しても構わない。これらの半導体の結晶型は特に限定されるものではなく、単結晶でも多結晶でも、あるいは非晶質でも構わない。
前記分散液を調製する際に用いられる半導体微粒子を分散する溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、α−テルピネオール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、あるいはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ギ酸エチル、酢酸エチル、あるいは酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、あるいはジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、あるいはN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、あるいは1−クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、あるいはクメン等の炭化水素系溶媒等を挙げることができる。これらは単独、あるいは2種以上の混合溶媒として用いることができる。
分散液には、分散体(半導体微粒子)の再凝集を防ぐため、塩酸、硝酸、酢酸等の酸、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル等の界面活性剤、アセチルアセトン、2−アミノエタノール、エチレンジアミン等のキレート化剤等を添加することができる。
分散液には、さらに樹脂を添加してもよい。この時に使用される樹脂としては、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等によるビニル化合物の重合体や共重合体、シリコン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリエステル樹脂、セルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、添加される樹脂が電荷輸送性(電子輸送性または正孔輸送性)を有するものであってもよい。この場合、分散液中の分散体(半導体微粒子)と同じ電荷輸送性を有するものが好ましい。
樹脂の添加量は、添加される樹脂の性質や特性によって異なるので一義的に決められないが、多孔質な半導体部としての電荷輸送機能が損なわれない範囲、例えば、50wt%以下とするのが好ましい。50wt%を超えると、半導体微粒子間の距離が長くなり電子輸送性または正孔輸送性が低下する傾向が大きくなるので好ましくない。
分散液を用いて半導体部を薄層状に成膜し、焼結処理(加熱処理や加圧処理)を施して多孔質な半導体部を得るが、成膜性を向上させる目的で分散液にさらに増粘剤を添加することも有効な手段である。増粘剤を添加することにより、分散液の流動性を成膜手法に適したものとすることができる。
この時加える増粘剤としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等の高分子、エチルセルロース等の増粘剤等が挙げられる。
分散液を調製する際、半導体微粒子の分散には、一般的に知られている手法を用いることができ、例えば、ビーズミル、ペイントシェーカー等のメディア分散、超音波やローターによるせん断などを利用したホモジナイザー、ジェットミルなどで分散することができる。
前記添加材(キレート化剤、樹脂、増粘剤等)を添加する場合には、これら組成分を適宜添加して上記手法により分散調製される。
図1に示す有機EL素子の場合、正孔輸送性の半導体部3、電子輸送性の第1の半導体部4a、電子輸送性の第2の半導体部4bを有するので、3種類の分散液を調製する必要がある。即ち、「半導体部3用分散液」(正孔輸送性を有する)、「第1の半導体部4a用分散液」(電子輸送性を有する)、「第2の半導体部4b用分散液」(電子輸送性を有する)の調製を要する。
ここで、図1(B)のように正孔輸送性の半導体部3には発光物質を含有させず(発光層としない)、第1の半導体部4aと電子輸送性の第2の半導体部4bにはそれぞれ異なる発光物質を含有させて発光層とするものとして、以下説明する。
前記第1の半導体部4aおよび第2の半導体部4bそれぞれの半導体部においては、少なくとも一方の半導体部には、1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子が含有される。
即ち、当然第1の半導体部4aおよび第2の半導体部4bの両方に1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子が含有されてもよいし、一方の半導体部には当該半導体微粒子が含有され、他方には当該半導体微粒子が含有されなくてもよい。
いずれにしても、1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量が発光層ごとに異なる必要があるので、「第1の半導体部4a用分散液」および「第2の半導体部4b用分散液」の少なくとも一方には、1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子が含有される。第1の半導体部4aと第2の半導体部4bにおける1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量を異なるようにするには、「第1の半導体部4a用分散液」および「第2の半導体部4b用分散液」に含有される1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量を変化させることによって変えてもよいし、後述の加熱処理や加圧処理条件を変化させることによって変えてもよい。
加熱処理や加圧処理の条件を変化させることによって、近接する半導体微粒子同士が焼結して1次粒子径が変化するため、これを利用して各半導体部における1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量を異なるようにすることができる。
下記においては、「第1の半導体部4a用分散液」および「第2の半導体部4b用分散液」のいずれにも、1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子を含有し、その含有量が異なるものを用いることを前提(例)として説明する。
半導体部3には発光物質を含有しないので1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量については制約されず、含有しなくても構わない。
調製した微粒子分散溶液(半導体部3用分散液)を、図1に示す基板1上に設けられた電極(陽極)2上に塗布した後、乾燥して正孔輸送性の半導体部3を形成する。
本発明の有機EL素子に用いる基板1(透明基板)としては、ガラス、あるいはプラスチックフィルムなどを用いることができる。
基板上の電極(陽極)2の材料としては、ITOの他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)等の仕事関数が高い金属や、IDIXO(酸化インジウム−インジウム亜鉛酸化物;In(ZnO)n、SnO等の透明導電材料等が挙げられる。
次に、第1の半導体部4a用分散液を正孔輸送性の半導体部3の上に塗布し成膜した後、乾燥して電子輸送性の第1の半導体部4aを形成する。
半導体部4a用分散液を半導体部3の上に塗布する方法としては、スクリーン印刷法、スピンコート法、スキージ法、ドクターブレード法、スプレー法、インクジェット法などがあり、いずれの方法を用いても構わない。
ここで、異なる色を発色させる多孔質な半導体部を同一面上に並列させて形成する場合(例えば、半導体部4bを半導体部4aと同一面上に並列させて形成)にはインクジェット法を用いて各半導体部を形成するのが好ましく、一方、各半導体部を積層させて形成する場合にはスプレー法、スクリーン印刷法を適用するのが好ましい。
塗布後、塗膜を加熱処理(「焼結処理)と称することがある)を行なっても構わない。塗膜の加熱処理温度は、透明電極付き基板に影響がない程度の温度範囲であるならば特に制約はなく何℃でも構わない。例えば、基板の材質がガラスであるならば600℃程度までなら構わないが、基材がプラスチック製である場合には、プラスチック材料の耐熱温度範囲に制約される。
加熱処理の手段として、マイクロ波を用いてもよい。マイクロ波は数百メガヘルツより大きな周波数を持つ電磁波であり、特に2.45ギガヘルツの周波数のものは電子レンジなどに用いられ、水などを瞬時に加熱することができる。そこで、本発明の半導体部を形成するために半導体部用分散液にて塗布成膜された塗膜に2.45ギガヘルツのマイクロ波を照射すると半導体部が急速に加熱されることが分かった。
さらに、このマイクロ波照射では半導体部の微粒子および水が選択的に加熱され、有機EL化合物には影響が少ないことが分かった。また、照射強度と照射時間を制御することで半導体部を様々な温度に調節できることも分かった。
従って、マイクロ波を用いて前記塗膜加熱処理すれば、通常の加熱処理と比較して、有機EL化合物にダメージを与えずに高温処理できると共に、低温でも水を除去することができるといった利点がある。
また、前記加熱処理に代えて、あるいは加熱処理と併せて、加圧処理を施して半導体部を形成してもよい。加圧処理を行うにはプレス装置を用いることが最も簡便かつ容易である。半導体部を形成する塗膜に加える圧力値は10Kgf/cm程度までが好ましい。10Kgf/cmより大きいと加圧プレス処理により半導体部を破損してしまう恐れがある。
次に、発光物質(有機EL化合物)を電子輸送性の第1の半導体部4aの孔に含有させる。有機EL化合物としては、電子輸送性であるものから選択され、例えば、ペリレン、ビススチリルベンゼン誘導体、アルミニウム錯体、などが例示される。
半導体部4aの孔に有機EL化合物を含有させる方法としては、特にどのような方法を用いても構わないが、簡便な方法としては、有機EL化合物を水やアルコールなどの溶媒に溶解させ、この溶液に半導体部を浸漬することが挙げられる。また、スプレーコートやスピンコートなども使用することができる。
これにより、電子輸送性の第1の半導体部4aの孔に電子輸送性である有機EL化合物が含有された第1の発光層6aが形成される。
次に、異なる色を発色させる第2の発光層6bを形成する。すなわち、電子輸送性の第2の半導体部4b用分散液を第1の発光層6a上に塗布して成膜した後、乾燥して電子輸送性の第2の半導体部4bを形成する。
塗布方法としては、上記第1の半導体部4aの場合と同様の方法が適用できる。ここで、異なる色を発色させる多孔質な半導体部(第2の半導体部4b)を、第1の半導体部4aと同一面上に並列させる場合はインクジェット法が好ましく、積層させる場合はスプレー法、スクリーン印刷法が好ましい。
「第2の半導体部4b用分散液」には、1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子が含有され、その含有量は「第1の半導体部4a用分散液」と異なる。
第1の半導体部4aと第2の半導体部4bにおける、1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量の差は1%以上30%以下が好ましく、さらに好ましくは5%以上30%以下であり、さらに好ましくは10%以上30%以下である。
この範囲であれば印加する電圧を変えるだけで、発色する半導体部分の選択が可能となる。
第1の半導体部4aと第2の半導体部4bにおける、1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量の差が1%未満では、第1の半導体部4aと第2の半導体部4bにおける、電子輸送性の差が小さくなり、電圧を変えるだけでは発色する半導体部分の選択ができなくなり、30%を超えると電子輸送性の差が大きくなりすぎて、操作するために高電圧が必要となってしまう。
尚、図1の場合には有機EL化合物が含有される半導体部は2層(第1の半導体部4a、第2の半導体部4b)であるが、有機EL化合物が含有される半導体部が3層以上ある場合は、隣り合う各半導体部における1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量の差はそれぞれ1%以上30%以下が好ましく、さらに好ましくは5%以上30%以下であり、さらに好ましくは10%以上30%以下である。隣り合う各半導体部間における1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量の差の値は同じでもよいし、異なっていてもよい。
塗布後、成膜された薄膜を乾燥して電子輸送性の第2の半導体部4bが形成されるが、加熱処理(「焼結処理)と称することがある)を行なっても構わない。加熱処理する場合には、第1の半導体部4aに含有させた有機EL化合物の発光色機能が失われる温度以下で加熱する必要がある。
ここで、有機EL化合物の発光色機能が失われる温度とは、加熱によるエネルギーによって分子内の化学結合が切れたり、酸素などの他の原子が付加したり、化合物同士が二量化や重合反応を起こしたりすることで分子の構造が変わり、その結果、電荷の授受による発光が起こらなくなってしまう温度と定義する。この温度は、有機EL化合物の種類によって異なることから一義的に決められないが、一般的な有機EL化合物では150℃程度である。
次に、第1の半導体部4aで用いた化合物とは異なる色を発光する発光物質(有機EL化合物)を電子輸送性の第2の半導体部4bの孔に含有させる。有機EL化合物としては、電子輸送性であるものから選択され、例えば、オキサジアゾール、クマリンなどが例示される。
半導体部4bの孔に有機EL化合物を含有させる方法としては、前記第1の半導体部4aの場合と同様の方法が適用できる。これにより、電子輸送性の第2の半導体部4bの孔に第1の半導体部4aで用いた化合物とは異なる色を発光する発光物質(有機EL化合物)が含有された第2の発光層6bが形成される。
さらに、第3の半導体部を形成する場合には、上記第2の発光層6bの形成において説明した手順と同様に工程を繰り返し行えばよい。
複数の発光層を構成する多孔質な半導体部の厚さは、0.1nm〜500nmが望ましく、0.1〜300nmがさらに望ましい。半導体部の厚さが0.1nm未満であると、含有される有機EL材料が少なくなり、発光量が不足し、半導体部の厚さが500nmを超えると、光の透過が悪くなり、発光した光が遮られてしまい、素子として発光量が不足する。
前述のように、半導体部に含有させる際に用いる有機EL化合物としては、半導体部が電子輸送性である場合には、電子輸送性の化合物を使用する。また、半導体部が正孔輸送性である場合には、正孔輸送性の化合物を使用する。
このような構成により、電荷の注入が効果的に行われ、発光層における発光物質(有機EL化合物)の発光効率が高くなる。
そして第三の発光層を設ける場合には、半導体部に含有させる有機EL化合物として、電子輸送性の化合物と正孔輸送性の化合物を組み合わせて使用する。
このように電子輸送性の化合物と正孔輸送性の化合物を組み合わせることにより、発光効率を向上することができる。
発光物質(有機EL化合物)として用いられる電子輸送性の化合物および正孔輸送性の化合物を下記に例示する。
電子輸送性の化合物としては、有機EL素子用の従来公知の材料が使用でき、例えば、ペリレン、ナフタレン、クマリン、ピラジン、オキサジアゾール、4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)−ビフェニル(DPVBi)等の芳香族ジメチリデェン化合物、5−メチル−2−[2−[4−(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ビニル]ベンゾオキサゾール等のオキサジアゾール化合物、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5−t−ブチルフェニル−1,2,4−トリアゾール(TAZ)等のトリアゾ−ル誘導体、1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン等のスチリルベンゼン化合物、チオピラジンジオキシド誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、フルオレノン誘導体等の蛍光性有機材料、アゾメチン亜鉛錯体、(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム錯体(Alq3)等の蛍光性有機金属化合物等が挙げられる。
また、ポリ(2−デシルオキシ−1,4−フェニレン)(DO−PPP)、ポリ[2,5−ビス−[2−(N,N,N−トリエチルアンモニウム)エトキシ]−1,4−フェニル−アルト−1,4−フェニルレン]ジブロマイド(PPPNEt3+)、ポリ[2−(2’−エチルヘキシルオキシ)−5−メトキシ−1,4−フェニレンビニレン](MEH−PPV)、ポリ[5−メトキシ−(2−プロパノキシサルフォニド)−1,4−フェニレンビニレン](MPS−PPV)、ポリ[2,5−ビス−(ヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン−(1−シアノビニレン)](CN−PPV)、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)(PDAF)等の蛍光性有機金属化合物が挙げられる。
正孔輸送性の化合物としては、例えば、PEDOT−PSSP(EDOT/PSS{Poly(ethylene−dioxythiophene)/Poly(styrenesulfonate)};ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸)や、無機p型半導体材料、ポルフィリン化合物、N,N’−ビス−(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス−(フェニル)−ベンジジン(TPD)、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPD)等の芳香族第三級アミン化合物、ヒドラゾン化合物、キナクリドン化合物、スチリルアミン化合物等の低分子材料、ポリアニリン(PANI)、3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンサルフォネイト(PEDOT/PSS)、ポリ[トリフェニルアミン誘導体](Poly−TPD)、ポリビニルカルバゾール(PVCz)等の高分子材料、ポリ(p−フェニレンビニレン)前駆体(Pre−PPV)、ポリ(p−ナフタレンビニレン)前駆体(Pre−PNV)等の高分子材料前駆体等が挙げられる。
図1に示す電極(陰極)5の材料としては、Al、Ca/Al、Ce/Al、Cs/Al、Ca/Al等の仕事関数の低い金属と安定な金属とを積層した金属電極、Ca:Al合金、Mg:Ag合金、Li:Al合金等の仕事関数の低い金属を含有する金属電極、LiF/Al、LiF/Ca/Al、BaF2/Ba/Al等の絶縁層(薄膜)および金属電極を組み合わせた電極等が挙げられる。
電極(陰極)5は第2の発光層(4b)上に設けられるが、陰極5を形成する方法としては、蒸着法や塗布法等が適用できる。
図1を例として本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)について説明したが、図1の構成はあくまでも一例であって、本発明はこれに限定されるものではない。
図1では、半導体部4aおよび4b(いずれも電子輸送性を有する)にそれぞれ発光物質(有機EL化合物:いずれも電子輸送性)が含有された発光層を備えた構成を例としているが、当然半導体部3(正孔輸送性を有する)に正孔輸送性の発光物質(有機EL化合物)が含有され発光層を備えた構成であってもよい。
図1の有機EL素子構成の場合には、直流電圧印加により効率良く複数色を発光することができる。
一方、前記各半導体部のそれぞれを、電子輸送性を有する微粒子と正孔輸送性を有する微粒子を混ぜて形成することができる。このように複合形成した半導体部には、電子輸送性を有する有機EL化合物および正孔輸送性を有する有機EL化合物を含有させて発光層とするのが好ましい。このような有機EL素子構成の場合には、交流電圧印加により複数色を発光することができる。
以下、本発明の実施例および比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
下記により、図1に示す構成の有機EL素子を作製し、評価した。
[有機EL素子の作製]
〔正孔輸送性半導体部3用分散液の調製〕
個数平均一次粒径10nmの酸化バナジウム微粒子をエタノール中に20wt%入れ、分散させて正孔輸送性半導体部3用分散液(略称「半導体部3用分散液」)を調製した。
但し、上記酸化バナジウム微粒子には1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子は含まない。
〔正孔輸送性半導体部3の形成〕
全面にITO電極が設けられたガラス基板の一部(面積1cm)に、半導体部3用分散液をスピンコート法で塗布し、塗膜を形成した。その後、塗膜を130℃で10分加熱処理を行い、厚さ約80nmの多孔質な正孔輸送性半導体部3を形成した。
〔電子輸送性の第1の半導体部4a用分散液の調製〕
個数平均一次粒径10nmの酸化チタン微粒子をエタノール中に20wt%入れ、分散させて電子輸送性の第1の半導体部4a用分散液(略称「半導体部4a用分散液」」)を調製した。
但し、上記酸化チタン微粒子には1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子は含まない。
〔電子輸送性の第1の半導体部4aの作製〕
上記形成した正孔輸送性の半導体部3上に、半導体部4a用分散液をスピンコート法で塗布し、塗膜を形成した。その後、塗膜を130℃で10分加熱処理を行い、厚さ約80nmの多孔質な電子輸送性の第1の半導体部4a(略称「半導体部4a」)を形成した。
形成された半導体部4aを電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子は含まれず、含有量は0%であった。
尚、半導体部4aにおける1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量は、有機EL素子の断面試料を作製してSEMにて観察し、その撮像画像から300個程度の各半導体微粒子の円相当径を測定し、その分布を個数基準で算出して求めたものである。
以下の半導体部におけるいずれの含有量も同様の手法で算出したものである。
〔発光層6aの形成〕
上記半導体部4aの孔に、電子輸送性のペリレン-3をジクロロメタンに溶解した溶液をスピンコート法で塗布し、常温で5分乾燥させて発光層6aを形成した。
〔電子輸送性の第2の半導体部4b用分散液の調製〕
個数平均一次粒径10nm(90wt%)と、個数平均一次粒径6nm(10%)とを混合した酸化チタン微粒子をエタノール中に20wt%入れ、分散させて電子輸送性の第2の半導体部4b用分散液(略称「半導体部4b用分散液」)を調製した。
但し、上記個数平均一次粒径10nmの酸化チタン微粒子には1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子は含まない。一方、個数平均一次粒径6nmの酸化チタン微粒子には一次粒径が10nmの分布の半導体微粒子は含まない。
〔電子輸送性の第2の半導体部4bの作製〕
上記形成した電子輸送性の半導体部3a上に半導体部4b用分散液をスピンコート法で塗布し、塗膜を形成した。その後、塗膜を130℃で10分加熱処理を行い、厚さ約80nmの多孔質な電子輸送性の第2の半導体部4b(略称「半導体部4b」)を形成した。
形成された半導体部4aを電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、1次粒子が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量は10%であった。
したがって、半導体部4bにおける1次粒子が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量(10%)は、半導体部4aにおける当該半導体微粒子の含有量(0%)と異なる。
〔発光層6bの形成〕
上記半導体部4bの孔に、電子輸送性の、オキサジアゾールをエタノールに溶解した溶液をスピンコート法で塗布し、70℃で5分加熱処理を行い含有させて発光層6bを形成した。
[電極(陰極)5の作製]
上記形成した発光層6b上に物理蒸着法によりAlを蒸着させ、厚さ50nmの電極(陰極)5を形成し、図1に示す構成の有機EL素子を作製した。
[有機EL素子の評価]
作製した実施例1の有機EL素子に直流電圧を印加し、発光状態を観察した結果、下記のようであった。
・素子に電圧3Vを印加したところ、赤紫色に発光した(発光層6aにおける発光)。
・素子に電圧4Vを印加したところ、濃紫色に発光した(発光層6aと6bにおける発光)。
すなわち、本発明の構成とされた有機EL素子は、発光層6aと発光層6bにおいて発光(複数色を発光)することが確認された。
下記表1に、有機EL素子の評価結果と、前記半導体部4a用分散液、半導体部4b用分散液、並びに発光層6aおよび発光層6bの半導体部における、1次粒子が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量と併せて示す。
[実施例2]
実施例1において調製した、電子輸送性の第1の半導体部4a用分散液、および電子輸送性の第2の半導体部4b用分散液を下記のように変更し、これを用いて半導体部4aおよび半導体部4bを形成した以外は、実施例1とまったく同様にして有機EL素子を作製した。
〔電子輸送性の第1の半導体部4a用分散液の調製〕
個数平均一次粒径20nm(90wt%)と、個数平均一次粒径6nm(10%)とを混合した酸化チタン微粒子をエタノール中に20wt%入れ、分散させて電子輸送性の第1の半導体部4a用分散液の調製(略称「半導体部4a用分散液」)を調製した。
但し、上記個数平均一次粒径20nmの酸化チタン微粒子には1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子は含まない。一方、個数平均一次粒径6nmの酸化チタン微粒子には一次粒径が20nmの分布の半導体微粒子は含まない。
〔電子輸送性の第1の半導体部4aの作製〕
前記正孔輸送性の半導体部3上に、半導体部4a用分散液をスピンコート法で塗布し、塗膜を形成した。その後、塗膜を130℃で10分加熱処理を行い、厚さ約80nmの多孔質な電子輸送性の第1の半導体部4a(略称「半導体部4a」)を形成した。
形成された半導体部4aを電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量は10%であった。
〔電子輸送性の第2の半導体部4b用分散液の調製〕
個数平均一次粒径20nm(70wt%)と、個数平均一次粒径6nm(30%)とを混合した酸化チタン微粒子をエタノール中に20wt%入れ、分散させて電子輸送性の第2の半導体部4b用分散液(略称「半導体部4b用分散液」)を調製した。
但し、上記個数平均一次粒径20nmの酸化チタン微粒子には1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子は含まない。一方、個数平均一次粒径6nmの酸化チタン微粒子には一次粒径が20nmの分布の半導体微粒子は含まない。
〔電子輸送性の第2の半導体部4bの作製〕
前記電子輸送性の半導体部3a上に半導体部4b用分散液をスピンコート法で塗布し、塗膜を形成した。その後、塗膜を130℃で10分加熱処理を行い、厚さ約80nmの多孔質な電子輸送性の第2の半導体部4b(略称「半導体部4b」)を形成した。
形成された半導体部4aを電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、1次粒子が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量は30%であった。
したがって、半導体部4bにおける1次粒子が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量(30%)は、半導体部4aにおける当該半導体微粒子の含有量(10%)と異なる。
[有機EL素子の評価]
作製した実施例2の有機EL素子に直流電圧を印加し、発光状態を観察した結果、下記のようであった。
・素子に電圧4Vを印加したところ、赤紫色に発光した(発光層6aにおける発光)。
・素子に電圧6Vを印加したところ、濃紫色に発光した(発光層6aと6bにおける発光)。
すなわち、本発明の構成とされた有機EL素子は、発光層6aと発光層6bにおいて発光(複数色を発光)することが確認された。
下記表1に、有機EL素子の評価結果と、前記半導体部4a用分散液、半導体部4b用分散液、並びに発光層6aおよび発光層6bの半導体部における、1次粒子が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量と併せて示す。
[実施例3]
実施例1において調製した、電子輸送性の第1の半導体部4a用分散液、および電子輸送性の第2の半導体部4b用分散液を下記のように変更し、これを用いて半導体部4aおよび半導体部4bを形成した以外は、実施例1とまったく同様にして有機EL素子を作製した。
〔電子輸送性の第1の半導体部4a用分散液の調製〕
個数平均一次粒径10nm(80%)と、個数平均一次粒径6nm(20%)とを混合した酸化チタン微粒子をエタノール中に20wt%入れ、分散させて電子輸送性の第1の半導体部4a用分散液の調製(略称「半導体部4a用分散液」)を調製した。
但し、上記個数平均一次粒径10nmの酸化チタン微粒子には1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子は含まない。一方、個数平均一次粒径6nmの酸化チタン微粒子には一次粒径が10nmの分布の半導体微粒子は含まない。
〔電子輸送性の第1の半導体部4aの作製〕
前記正孔輸送性の半導体部3上に、半導体部4a用分散液をスピンコート法で塗布し、塗膜を形成した。その後、塗膜を130℃で10分加熱処理を行い、厚さ約80nmの多孔質な電子輸送性の第1の半導体部4a(略称「半導体部4a」)を形成した。
形成された半導体部4aを電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量は20%であった。
〔電子輸送性の第2の半導体部4b用分散液の調製〕
個数平均一次粒径10nm(50%)と、個数平均一次粒径6nm(50%)とを混合した酸化チタン微粒子をエタノール中に20wt%入れ、分散させて電子輸送性の第2の半導体部4b用分散液(略称「半導体部4b用分散液」)を調製した。
但し、上記個数平均一次粒径10nmの酸化チタン微粒子には1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子は含まない。一方、個数平均一次粒径6nmの酸化チタン微粒子には一次粒径が10nmの分布の半導体微粒子は含まない。
〔電子輸送性の第2の半導体部4bの作製〕
前記電子輸送性の半導体部3a上に半導体部4b用分散液をスピンコート法で塗布し、塗膜を形成した。その後、塗膜を130℃で10分加熱処理を行い、厚さ約80nmの多孔質な電子輸送性の第2の半導体部4b(略称「半導体部4b」)を形成した。
形成された半導体部4aを電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、1次粒子が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量は50%であった。
したがって、半導体部4bにおける1次粒子が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量(50%)は、半導体部4aにおける当該半導体微粒子の含有量(20%)と異なる。
[有機EL素子の評価]
作製した実施例3の有機EL素子に直流電圧を印加し、発光状態を観察した結果、下記のようであった。
・素子に電圧5Vを印加したところ、赤紫色に発光した(発光層6aにおける発光)。
・素子に電圧8Vを印加したところ、濃紫色に発光した(発光層6aと6bにおける発光)。
すなわち、本発明の構成とされた有機EL素子は、発光層6aと発光層6bにおいて発光(複数色を発光)することが確認された。
下記表1に、有機EL素子の評価結果と、前記半導体部4a用分散液、半導体部4b用分散液、並びに発光層6aおよび発光層6bの半導体部における、1次粒子が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量と併せて示す。
[実施例4]
実施例1において調製した、電子輸送性の第1の半導体部4a用分散液、および電子輸送性の第2の半導体部4b用分散液を下記のように変更し、これを用いて半導体部4aおよび半導体部4bを形成した以外は、実施例1とまったく同様にして有機EL素子を作製した。
〔電子輸送性の第1の半導体部4a用分散液の調製〕
個数平均一次粒径20nm(80%)と、個数平均一次粒径6nm(20%)とを混合した酸化チタン微粒子をエタノール中に20wt%入れ、分散させて電子輸送性の第1の半導体部4a用分散液の調製(略称「半導体部4a用分散液」)を調製した。
但し、上記個数平均一次粒径20nmの酸化チタン微粒子には1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子は含まない。一方、個数平均一次粒径6nmの酸化チタン微粒子には一次粒径が20nmの分布の半導体微粒子は含まない。
〔電子輸送性の第1の半導体部4aの作製〕
前記正孔輸送性の半導体部3上に、半導体部4a用分散液をスピンコート法で塗布して塗膜を形成した後、塗膜を500℃で1時間加熱処理を行い、厚さ約80nmの多孔質な電子輸送性の第1の半導体部4a(略称「半導体部4a」)を形成した。
形成された半導体部4aを電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量は10%であった。
〔電子輸送性の第2の半導体部4b用分散液の調製〕
個数平均一次粒径20nm(80%)と、個数平均一次粒径6nm(20%)とを混合した酸化チタン微粒子をエタノール中に20%入れ、分散させて電子輸送性の第1の半導体部4a用分散液の調製(略称「半導体部4a用分散液」)を調製した。
但し、上記個数平均一次粒径20nmの酸化チタン微粒子には1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子は含まない。一方、個数平均一次粒径6nmの酸化チタン微粒子には一次粒径が20nmの分布の半導体微粒子は含まない。
〔電子輸送性の第2の半導体部4bの作製〕
前記電子輸送性の半導体部3a上に半導体部4b用分散液をスピンコート法で塗布し、塗膜を形成した。その後、130℃で10分加熱処理を行い、厚さ約80nmの多孔質な電子輸送性の第2の半導体部4b(略称「半導体部4b」)を形成した。
形成された半導体部4bを電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、1次粒子が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量は20%であった。
すなわち、半導体部4a用分散液中の1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量は20%であり、半導体部4b用分散液中の当該半導体微粒子の含有量は20%である。一方、電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量は半導体部4aで10%であり、半導体部4bで20%であった。
したがって、半導体部4bにおける1次粒子が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量は、半導体部4aにおける当該半導体微粒子の含有量と異なる。
[有機EL素子の評価]
作製した実施例4の有機EL素子に直流電圧を印加し、発光状態を観察した結果、下記のようであった。
・素子に電圧4Vを印加したところ、赤紫色に発光した(発光層6aにおける発光)。
・素子に電圧5Vを印加したところ、濃紫色に発光した(発光層6aと6bにおける発光)。
すなわち、本発明の構成とされた有機EL素子は、発光層6aと発光層6bにおいて発光(複数色を発光)することが確認された。
下記表1に、有機EL素子の評価結果と、前記半導体部4a用分散液、半導体部4b用分散液、並びに発光層6aおよび発光層6bの半導体部における、1次粒子が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量と併せて示す。
[実施例5]
実施例1において調製した、電子輸送性の第1の半導体部4a用分散液、および電子輸送性の第2の半導体部4b用分散液を下記のように変更し、これを用いて半導体部4aおよび半導体部4bを形成した以外は、実施例1とまったく同様にして有機EL素子を作製した。
〔電子輸送性の第1の半導体部4a用分散液の調製〕
個数平均一次粒径20nm(80%)と、個数平均一次粒径6nm(20%)とを混合した酸化チタン微粒子をエタノール中に20wt%入れ、分散させて電子輸送性の第1の半導体部4a用分散液の調製(略称「半導体部4a用分散液」)を調製した。
但し、上記個数平均一次粒径20nmの酸化チタン微粒子には1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子は含まない。一方、個数平均一次粒径6nmの酸化チタン微粒子には一次粒径が20nmの分布の半導体微粒子は含まない。
〔電子輸送性の第1の半導体部4aの作製〕
前記正孔輸送性の半導体部3上に、半導体部4a用分散液をスピンコート法で塗布して塗膜を形成した後、塗膜を10Kgf/cmで加圧処理を行い、厚さ約80nmの多孔質な電子輸送性の第1の半導体部4a(略称「半導体部4a」)を形成した。
形成された半導体部4aを電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量は10%であった。
〔電子輸送性の第2の半導体部4b用分散液の調製〕
個数平均一次粒径20nm(80%)と、個数平均一次粒径6nm(20%)とを混合した酸化チタン微粒子をエタノール中に20%入れ、分散させて電子輸送性の第1の半導体部4a用分散液の調製(略称「半導体部4a用分散液」)を調製した。
但し、上記個数平均一次粒径20nmの酸化チタン微粒子には1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子は含まない。一方、個数平均一次粒径6nmの酸化チタン微粒子には一次粒径が20nmの分布の半導体微粒子は含まない。
〔電子輸送性の第2の半導体部4bの作製〕
前記電子輸送性の半導体部3a上に半導体部4b用分散液をスピンコート法で塗布し、塗膜を形成した。その後、130℃で10分加熱処理を行い、厚さ約80nmの多孔質な電子輸送性の第2の半導体部4b(略称「半導体部4b」)を形成した。
形成された半導体部4bを電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、1次粒子が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量は20%であった。
即ち、半導体部4a用分散液中の1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量は20%であり、半導体部4b用分散液中の当該半導体微粒子の含有量は20%である。一方、電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量は半導体部4aで10%であり、半導体部4bで20%であった。
したがって、半導体部4bにおける1次粒子が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量は、半導体部4aにおける当該半導体微粒子の含有量と異なる。
[有機EL素子の評価]
作製した実施例5の有機EL素子に直流電圧を印加し、発光状態を観察した結果、下記のようであった。
・素子に電圧4Vを印加したところ、赤紫色に発光した(発光層6aにおける発光)。
・素子に電圧5Vを印加したところ、濃紫色に発光した(発光層6aと6bにおける発光)。
すなわち、本発明の構成とされた有機EL素子は、発光層6aと発光層6bにおいて発光(複数色を発光)することが確認された。
下記表1に、有機EL素子の評価結果と、前記半導体部4a用分散液、半導体部4b用分散液、並びに発光層6aおよび発光層6bの半導体部における、1次粒子が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量と併せて示す。
[比較例1]
実施例1において、半導体部4a用分散液は同じ組成(個数平均一次粒径10nmの酸化チタン微粒子をエタノール中に20wt%入れて分散液を調製)とし、電子輸送性の第1の半導体部4b用分散液(略称「半導体部4a用分散液」」)は、個数平均一次粒径10nmの酸化チタン微粒子のみをエタノール中に20wt%入れて調製した以外は実施例1と全く同様にして有機EL素子を作製した。
但し、上記酸化チタン微粒子には1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子は含まない。
すなわち、半導体部4a用分散液中の1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量は0%であり、半導体部4b用分散液中の当該半導体微粒子の含有量も0%であった。一方、形成された半導体部を電子顕微鏡(SEM)で観察した結果も同様に、半導体部4aおよび半導体部4bで1次粒子が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量はいずれも0%であった。
したがって、半導体部4aおよび半導体部4bにおける1次粒子が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量は同じで差がない。
[有機EL素子の評価]
作製した比較例1の有機EL素子に直流電圧を印加し、発光状態を観察した結果、下記のようであった。
・素子に電圧3Vを印加したところ、発光しなかった(発光層6aと6bにおける発光両方なし)。
・素子に電圧4Vを印加したところ、濃紫色に発光した(発光層6aと6bにおける発光)。
すなわち、比較例1の有機EL素子は、発光層 において発光せず、複数色を発光することができなかった。
下記表1に、有機EL素子の評価結果と、前記半導体部4a用分散液、半導体部4b用分散液、並びに発光層6aおよび発光層6bの半導体部における、1次粒子が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量と併せて示す。
[比較例2]
実施例1の半導体部4a用分散液、4b用分散液の調製において、個数平均一次粒径10nm(70%)と、個数平均一次粒径6nm(30%)とを混合した酸化チタン微粒子をエタノール中に20wt%入れ、分散させてそれぞれの分散液とした以外は実施例1と全く同様にして有機EL素子を作製した。
但し、上記個数平均一次粒径10nmの酸化チタン微粒子には1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子は含まない。一方、個数平均一次粒径6nmの酸化チタン微粒子には一次粒径が10nmの分布の半導体微粒子は含まない。
即ち、半導体部4a用分散液中の1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量は30%であり、半導体部4b用分散液中の当該半導体微粒子の含有量も30%であった。一方、形成された半導体部を電子顕微鏡(SEM)で観察した結果も同様に、半導体部4aおよび半導体部4bで1次粒子が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量はいずれも30%であった。
したがって、半導体部4aおよび半導体部4bにおける1次粒子が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量は同じで差がない。
[有機EL素子の評価]
作製した比較例2の有機EL素子に直流電圧を印加し、発光状態を観察した結果、下記のようであった。
・素子に電圧5Vを印加したところ、発光しなかった(発光層6aと6bにおける発光両方なし)。
・素子に電圧6V印加したところ、濃紫色に発光した(発光層6aと6bにおける発光)。
すなわち、比較例2の有機EL素子は、発光層 において発光せず、複数色を発光することができなかった。
下記表1に、有機EL素子の評価結果と、前記半導体部4a用分散液、半導体部4b用分散液、並びに発光層6aおよび発光層6bの半導体部における、1次粒子が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量と併せて示す。
表1に示すように実施例および比較例の結果から、半導体微粒子から構成される多孔質な半導体部の孔に発光物質を含有させて複数の発光層を形成した場合に、1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量を発光層ごとに異なるように制御することで、発光効率に優れると共に複数色を発光することが可能な有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)を提供することができることが分かる。本発明の有機EL素子は、簡易な構造で、しかも入手が容易で比較的低廉な材料を用いて構成することが可能である。
すなわち、本発明の有機EL素子は、自発光型、全固体型で視認性が高く、低コスト、高効率であり、また、簡易なプロセスで製造できて大面積化が可能であることから、デジタルサイネージ、タブレット端末、テレビ等、各種ディスプレイ装置や照明用として有用であり、各種分野で広く応用することができる。
1 基板
2 電極(陽極)
3 正孔輸送性の半導体部
4a 電子輸送性の第1の半導体部
4b 電子輸送性の第2の半導体部
5 電極(陰極)
6a 発光層
6b 発光層
7 有機EL素子
特開2002−313571号公報 特開2010−55899号公報 特開2010−271519号公報

Claims (5)

  1. 半導体微粒子から構成される多孔質な半導体部の孔に発光物質が含有された発光層を複数備え複数の色を発光する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
    前記多孔質な半導体部はそれぞれ下記測定法(1)により求められる個数平均1次粒径が100nm以下である半導体微粒子を含有し、且つそれぞれの半導体部において含まれる1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の下記測定法(2)により求められる含有量が発光層ごとに異なることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    (1)[個数平均1次粒子径の測定法]:
    SEM観察で得られた半導体部の画像から各半導体微粒子の投影面積と同等の円相当径(1次粒子径)を測定してその分布を個数基準で算出し個数平均1次粒径を求める。
    (2)[1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量の測定法]:
    SEM観察で得られた半導体部の画像から各半導体微粒子の投影面積と同等の円相当径(1次粒子径)を測定してその分布を個数基準で求め、1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の積算値を得、全粒径の半導体微粒子総計に対する前記積算値の割合(%)を算出して含有量を求める。
  2. 前記発光層ごとに異なる1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量の各層ごとの差が1%以上30%以下であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記発光層ごとに異なる1次粒子径が0.1nm以上7nm以下である半導体微粒子の含有量が50%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記半導体微粒子が電子輸送性を有する材料または正孔輸送性を有する材料から選択されたものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記発光物質が電子輸送性を有する化合物または正孔輸送性を有する化合物から選択されたものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
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