JP2014048409A - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】層形成用組成物の粘度上昇がなく塗工性が良好で、機能層のヘイズの上昇を抑制し、硬度が高く、生産性に優れると共に、塗布装置の腐食の恐れがない光学フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】光透過性基材の少なくとも一面側に、金属アルコキシド及びその加水分解物よりなる群から選択される1種以上を少なくとも含有する層形成用組成物の硬化物からなる層を備えた光学フィルムの製造方法であって、光透過性基材と、金属アルコキシド及びその加水分解物よりなる群から選択される1種以上を含有する層形成用組成物の予備調製物と、有機金属化合物触媒とを準備する工程(I)と、塗布する直前又は塗布と同時に、前記予備調製物と前記有機金属化合物触媒とを混合して混合物とし、前記光透過性基材の少なくとも一面側に、前記混合物を塗布して塗膜を形成する工程(II)と、前記塗膜を硬化して、前記層形成用組成物の硬化物からなる層を形成する工程(III)とを有することを特徴とする、光学フィルムの製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】光透過性基材の少なくとも一面側に、金属アルコキシド及びその加水分解物よりなる群から選択される1種以上を少なくとも含有する層形成用組成物の硬化物からなる層を備えた光学フィルムの製造方法であって、光透過性基材と、金属アルコキシド及びその加水分解物よりなる群から選択される1種以上を含有する層形成用組成物の予備調製物と、有機金属化合物触媒とを準備する工程(I)と、塗布する直前又は塗布と同時に、前記予備調製物と前記有機金属化合物触媒とを混合して混合物とし、前記光透過性基材の少なくとも一面側に、前記混合物を塗布して塗膜を形成する工程(II)と、前記塗膜を硬化して、前記層形成用組成物の硬化物からなる層を形成する工程(III)とを有することを特徴とする、光学フィルムの製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、光学フィルムの製造方法に関するものである。
液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の表示装置は、タブレット端末等の普及により、屋内、野外を問わず、様々な状況下で用いられている。このような表示装置は、光学特性を向上したり、耐擦傷性や密着性などの機械特性、防汚性を向上するために様々な機能層を有する光学フィルムが用いられている。
光学フィルムの機能層を形成する手段としては、従来、反応速度の速さに起因する生産性の高さ等から光硬化性材料が広く用いられてきた。しかしながら、耐擦傷性等の物理的強度や異なる製膜法との密着性、防汚性等の更なる改善が求められていた。
特許文献1には、物理的強度と防汚性に優れ、且つ生産性に優れた反射防止積層体を得る手法として、特定の加水分解性シランを含有するコーティング組成物の硬化物からなる低屈折率層が開示されている。
アルコキシシラン等の金属アルコキシドを縮合させて硬化させる手法として、酸触媒、アルカリ触媒、有機金属化合物触媒等の各種触媒を用いることが知られている。
アルカリ触媒や有機金属化合物触媒は、酸触媒と比較して、金属アルコキシドの縮合反応が進行しやすく、反応時間を短縮することができ、硬度を向上したり、生産性に優れていると考えられた。しかしながら、アルカリ触媒や有機金属化合物触媒の存在下では、常温であっても金属アルコキシドの縮合反応が進行するため、保存性が悪いという問題があった。塗膜の形成前に金属アルコキシドの縮合反応が進行した場合、層形成用組成物の粘度が上昇し、塗工性が悪化したり、固化してしまい塗工できない問題があった。また、塗膜形成前の金属アルコキシドの縮合反応の進行は、塗膜の白濁の原因となることがあり、このような金属アルコキシドを用いて光学フィルムの各種機能層を形成した場合には、ヘイズが高くなるという問題があった。このため、従来、光学フィルム用途においては、実用上、アルカリ触媒や有機金属化合物触媒を用いることはできず、通常、酸触媒が用いられてきた。
アルカリ触媒や有機金属化合物触媒は、酸触媒と比較して、金属アルコキシドの縮合反応が進行しやすく、反応時間を短縮することができ、硬度を向上したり、生産性に優れていると考えられた。しかしながら、アルカリ触媒や有機金属化合物触媒の存在下では、常温であっても金属アルコキシドの縮合反応が進行するため、保存性が悪いという問題があった。塗膜の形成前に金属アルコキシドの縮合反応が進行した場合、層形成用組成物の粘度が上昇し、塗工性が悪化したり、固化してしまい塗工できない問題があった。また、塗膜形成前の金属アルコキシドの縮合反応の進行は、塗膜の白濁の原因となることがあり、このような金属アルコキシドを用いて光学フィルムの各種機能層を形成した場合には、ヘイズが高くなるという問題があった。このため、従来、光学フィルム用途においては、実用上、アルカリ触媒や有機金属化合物触媒を用いることはできず、通常、酸触媒が用いられてきた。
一方、酸触媒を単独で用いる場合には、金属アルコキシドの縮合反応を促進するため、酸を高濃度で用いることが一般的であり、塗布装置の腐食等が懸念された。
塗布装置の腐食の問題は、アルカリ触媒を用いた場合にも懸念される問題であった。
塗布装置の腐食の問題は、アルカリ触媒を用いた場合にも懸念される問題であった。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、層形成用組成物の粘度上昇がなく塗工性が良好で、機能層のヘイズの上昇を抑制し、硬度が高く、生産性に優れると共に、塗布装置の腐食の恐れがない光学フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る光学フィルムの製造方法は、光透過性基材の少なくとも一面側に、金属アルコキシド及びその加水分解物よりなる群から選択される1種以上を少なくとも含有する層形成用組成物の硬化物からなる層を備えた光学フィルムの製造方法であって、
光透過性基材と、金属アルコキシド及びその加水分解物よりなる群から選択される1種以上を含有する層形成用組成物の予備調製物と、有機金属化合物触媒とを準備する工程(I)と、
塗布する直前又は塗布と同時に、前記予備調製物と前記有機金属化合物触媒とを混合して混合物とし、前記光透過性基材の少なくとも一面側に、前記混合物を塗布して塗膜を形成する工程(II)と、
前記塗膜を硬化して、前記層形成用組成物の硬化物からなる層を形成する工程(III)とを有することを特徴とする。
光透過性基材と、金属アルコキシド及びその加水分解物よりなる群から選択される1種以上を含有する層形成用組成物の予備調製物と、有機金属化合物触媒とを準備する工程(I)と、
塗布する直前又は塗布と同時に、前記予備調製物と前記有機金属化合物触媒とを混合して混合物とし、前記光透過性基材の少なくとも一面側に、前記混合物を塗布して塗膜を形成する工程(II)と、
前記塗膜を硬化して、前記層形成用組成物の硬化物からなる層を形成する工程(III)とを有することを特徴とする。
本発明の製造方法においては、前記層形成用組成物の予備調製物の酸濃度が、1×10−7〜1×10−4規定であることが、生産性に優れ、塗布装置の腐食の恐れが生じない点から好ましい。
本発明によれば、層形成用組成物の粘度上昇がなく塗工性が良好で、機能層のヘイズの上昇を抑制し、硬度が高く、生産性に優れると共に、塗布装置の腐食の恐れがない光学フィルムの製造方法を提供することができる。
以下、本発明に係る光学フィルムの製造方法について説明する。
なお、本発明において、硬化性とは、化学反応を経て硬くなる性質をいう。
また、本発明において酸濃度は、酸濃度(規定(N))=酸のモル濃度(mol/L)×酸の価数で表される。
なお、本発明において、硬化性とは、化学反応を経て硬くなる性質をいう。
また、本発明において酸濃度は、酸濃度(規定(N))=酸のモル濃度(mol/L)×酸の価数で表される。
本発明に係る光学フィルムの製造方法は、光透過性基材の少なくとも一面側に、金属アルコキシド及びその加水分解物よりなる群から選択される1種以上を少なくとも含有する層形成用組成物の硬化物からなる層を備えた光学フィルムの製造方法であって、
光透過性基材と、金属アルコキシド及びその加水分解物よりなる群から選択される1種以上を含有する層形成用組成物の予備調製物と、有機金属化合物触媒とを準備する工程(I)と、
塗布する直前又は塗布と同時に、前記予備調製物と前記有機金属化合物触媒とを混合して混合物とし、前記光透過性基材の少なくとも一面側に、前記混合物を塗布して塗膜を形成する工程(II)と、
前記塗膜を硬化して、前記層形成用組成物の硬化物からなる層を形成する工程(III)とを有することを特徴とする。
光透過性基材と、金属アルコキシド及びその加水分解物よりなる群から選択される1種以上を含有する層形成用組成物の予備調製物と、有機金属化合物触媒とを準備する工程(I)と、
塗布する直前又は塗布と同時に、前記予備調製物と前記有機金属化合物触媒とを混合して混合物とし、前記光透過性基材の少なくとも一面側に、前記混合物を塗布して塗膜を形成する工程(II)と、
前記塗膜を硬化して、前記層形成用組成物の硬化物からなる層を形成する工程(III)とを有することを特徴とする。
本発明の製造方法は、塗膜を形成する直前まで、金属アルコキシドを含有する組成物(層形成用組成物の予備調製物)が有機金属化合物触媒を含有しない。そのため、金属アルコキシドは、加水分解反応は進行するが、当該加水分解物の縮合反応は進行しにくいものと推定される。このような条件下においては、前記予備調製物は保存安定性に優れている。一方、塗布する直前又は塗布と同時に、前記予備調製物と有機金属化合物触媒とを混合することにより、層形成用組成物においては有機金属化合物触媒によって、金属アルコキシドの縮合反応が促進され、塗布後層形成時に高い生産性で、高硬度の層が得られる。
また本発明の製造方法は、アルカリ触媒や、高濃度の酸触媒を用いることなく、金属アルコキシドを硬化することができるため、塗工装置等における腐食の問題が生じない。
本発明の製造方法は、塗布前の金属アルコキシドを含有する組成物中に有機金属化合物触媒が存在する時間をできる限り短くすることにより、塗布前の金属アルコキシドの縮合反応の進行を抑制するとともに、塗布後には金属アルコキシドの縮合反応の進行が早く、生産性を向上しながらヘイズの上昇を抑え、硬度の高い層を得ることができる。
また、上記本発明の製造方法により得られた光学フィルムは、金属アルコキシド等を硬化させて得られた層を有するため、耐擦傷性、鉛筆硬度等の物理的強度や、防汚性に優れている。
また本発明の製造方法は、アルカリ触媒や、高濃度の酸触媒を用いることなく、金属アルコキシドを硬化することができるため、塗工装置等における腐食の問題が生じない。
本発明の製造方法は、塗布前の金属アルコキシドを含有する組成物中に有機金属化合物触媒が存在する時間をできる限り短くすることにより、塗布前の金属アルコキシドの縮合反応の進行を抑制するとともに、塗布後には金属アルコキシドの縮合反応の進行が早く、生産性を向上しながらヘイズの上昇を抑え、硬度の高い層を得ることができる。
また、上記本発明の製造方法により得られた光学フィルムは、金属アルコキシド等を硬化させて得られた層を有するため、耐擦傷性、鉛筆硬度等の物理的強度や、防汚性に優れている。
本発明の製造方法は、少なくとも、準備する工程(I)と、塗膜を形成する工程(II)と、層を形成する工程(III)を有するものであり、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて、更に、他の工程を有していてもよいものである。
以下、このような光学フィルムの製造方法の各工程について、順に説明する。
以下、このような光学フィルムの製造方法の各工程について、順に説明する。
[準備する工程(I)]
本工程は、少なくとも、光透過性基材と、層形成用組成物の予備調製物と、有機金属化合物触媒とを準備する工程である。
本工程は、少なくとも、光透過性基材と、層形成用組成物の予備調製物と、有機金属化合物触媒とを準備する工程である。
<光透過性基材>
本発明に用いられる光透過性基材は、光透過性の高い基材であり、従来公知の光学フィルムに用いられている樹脂基材やガラス基材等の光透過性基材を適宜選択して用いることができる。樹脂基材としては、例えば、トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホンやポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等の樹脂を主体とするもの等が挙げられる。中でも、光透過性に優れる観点から、トリアセチルセルロース(TAC)又はポリエチレンテレフタレート(PET)を用いることが好ましく、耐熱性や機械的強度に優れることから、ポリエチレンテレフタレート(PET)を用いることがより好ましい。なお、「主体とする」とは、基材構成成分の中で最も含有割合が高い成分を示すものであり、本発明の効果が損なわれない限り、添加物等が含まれていてもよいという意味であり、主体とする成分の含有割合が90質量%以上であることを目安とする。
本発明に用いられる光透過性基材は、光透過性の高い基材であり、従来公知の光学フィルムに用いられている樹脂基材やガラス基材等の光透過性基材を適宜選択して用いることができる。樹脂基材としては、例えば、トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホンやポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等の樹脂を主体とするもの等が挙げられる。中でも、光透過性に優れる観点から、トリアセチルセルロース(TAC)又はポリエチレンテレフタレート(PET)を用いることが好ましく、耐熱性や機械的強度に優れることから、ポリエチレンテレフタレート(PET)を用いることがより好ましい。なお、「主体とする」とは、基材構成成分の中で最も含有割合が高い成分を示すものであり、本発明の効果が損なわれない限り、添加物等が含まれていてもよいという意味であり、主体とする成分の含有割合が90質量%以上であることを目安とする。
光透過性基材の平均光透過率は70%以上、さらには85%以上であることが好ましい。ここで、光透過性基材の透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
本発明においては、光透過性基材の厚さは適宜選択して用いることができる。通常、光透過性基材の厚さは、10〜300μmであるが、光学フィルムの表面を割れにくく、かつ、硬度を付与する点から、40〜200μmとすることが好ましい。
本発明においては、光透過性基材に表面処理(例えば、ケン化処理、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)を施してもよく、プライマー層(接着剤層)を形成してもよい。本発明における光透過性基材は、これらの表面処理及びプライマー層も含めたものをいう。
<層形成用組成物の予備調製物>
層形成用組成物の予備調製物は、金属アルコキシド及びその加水分解物よりなる群から選択される1種以上を含有するものであり、後述する有機金属化合物触媒と混合することにより層形成用組成物となるものである。
層形成用組成物の予備調製物は、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて他の成分を含有していてもよく、酸濃度の調整には酸触媒が用いられる。
層形成用組成物の予備調製物は、金属アルコキシド及びその加水分解物よりなる群から選択される1種以上を含有するものであり、後述する有機金属化合物触媒と混合することにより層形成用組成物となるものである。
層形成用組成物の予備調製物は、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて他の成分を含有していてもよく、酸濃度の調整には酸触媒が用いられる。
(金属アルコキシド等)
本発明において用いられる層形成用組成物の予備調製物は、金属アルコキシド及びその加水分解物よりなる群から選択される1種以上が用いられる。当該金属アルコキシドは、加水分解性を有するものの中から適宜選択して用いることができる。
金属アルコキシドとしては、例えば、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、インジウム(In)、亜鉛(Zn)等のアルコキシドが挙げられる。具体的には、例えば、下記一般式(1)で表されるもの等が挙げられる。
一般式(1): (R1)nM(OR2)(m−n)
(一般式(1)中、MはSi、Ti、Ta、Zr、In,Znから選ばれる金属元素、R1は炭化水素基を表し、R2はアルキル基を表し、mは金属の酸化数、nは0<n<mの整数である。R1、R2が複数ある場合、複数あるR1、R2は、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
本発明において用いられる層形成用組成物の予備調製物は、金属アルコキシド及びその加水分解物よりなる群から選択される1種以上が用いられる。当該金属アルコキシドは、加水分解性を有するものの中から適宜選択して用いることができる。
金属アルコキシドとしては、例えば、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、インジウム(In)、亜鉛(Zn)等のアルコキシドが挙げられる。具体的には、例えば、下記一般式(1)で表されるもの等が挙げられる。
一般式(1): (R1)nM(OR2)(m−n)
(一般式(1)中、MはSi、Ti、Ta、Zr、In,Znから選ばれる金属元素、R1は炭化水素基を表し、R2はアルキル基を表し、mは金属の酸化数、nは0<n<mの整数である。R1、R2が複数ある場合、複数あるR1、R2は、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
R1における炭化水素基としては、中でも、アルキル基又はフェニル基であることが好ましく、当該アルキル基及びフェニル基は、更に置換基を有していてもよい。当該置換基としては、例えば、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子や、アミノ基等が挙げられる。また、上記アルキル基は二重結合を有していてもよい。
R2は、アルキル基を表し、当該アルキル基中の水素原子が、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子に置換されていてもよい。
一般式(1)において、m−nは2以上であることが好ましい。
R2は、アルキル基を表し、当該アルキル基中の水素原子が、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子に置換されていてもよい。
一般式(1)において、m−nは2以上であることが好ましい。
低屈折率層を形成する場合には、前記一般式(1)で表されるアルコキシシランを用いることが好ましい。中でも、下記一般式(2)で表されるものであることが、得られる層を高硬度とする点から好ましい。
一般式(2): Si(OR2)4
(一般式(2)におけるR2は前記一般式(1)におけるR2と同じである。)
一般式(2): Si(OR2)4
(一般式(2)におけるR2は前記一般式(1)におけるR2と同じである。)
アルコキシシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
得られる層の屈折率を低下する場合には、上記アルキル基中の水素原子がフッ素原子に置換されていることが好ましい。一方、得られる層の強度を向上する点からは、上記アルキル基中の水素原子はハロゲン原子に置換されていないことが好ましい。
また、得られる層の強度を向上する点から、R2は炭素数1〜8であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。
また、得られる層の強度を向上する点から、R2は炭素数1〜8であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。
一方、高屈折率層を形成する場合には、前記一般式(1)において、MがTi又はZrであることが好ましい。このような金属アルコキシドの具体例としては、例えば、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等のアルコキシチタン;テトラプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム等のアルコキシジルコニウムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記金属アルコキシドは1種単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができ、例えば、異種の金属原子を有する金属アルコキシドを組み合わせて用いてもよい。
(酸触媒)
層形成用組成物の予備調製物は、酸触媒を含有してもよい。酸触媒を用いた場合、金属アルコキシドの加水分解反応を促進することができる。これにより、後述する有機金属化合物触媒と混合させた後、金属アルコキシド等の縮合反応が効率よく進み、硬化が促進される。
層形成用組成物の予備調製物は、酸触媒を含有してもよい。酸触媒を用いた場合、金属アルコキシドの加水分解反応を促進することができる。これにより、後述する有機金属化合物触媒と混合させた後、金属アルコキシド等の縮合反応が効率よく進み、硬化が促進される。
前記酸触媒は、金属アルコキシドの加水分解反応を促進するものの中から適宜選択して用いることができる。
酸触媒の具体例としては、例えば、塩酸、ホウ酸、硫酸、フッ酸、リン酸等の無機酸;酢酸、フタル酸、マレイン酸、フマル酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸等が挙げられる。中でも酸解離定数の大きさから、塩酸が好ましい。酸触媒は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸触媒の具体例としては、例えば、塩酸、ホウ酸、硫酸、フッ酸、リン酸等の無機酸;酢酸、フタル酸、マレイン酸、フマル酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸等が挙げられる。中でも酸解離定数の大きさから、塩酸が好ましい。酸触媒は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(溶剤)
層形成用組成物の予備調製物は、塗工性を向上するために、通常、溶剤が用いられる。前記予備調製物に用いられる溶剤は、前記予備調製物中の各成分と反応せず、当該各成分を均一に溶解乃至分散できるものの中から、適宜選択して用いればよい。このような溶剤としては、例えば、水のほか、エタノール、イソプロパノール等の各種アルコール系溶剤が挙げられる。溶剤は、1種単独で用いても、混合溶剤としてもよい。
層形成用組成物の予備調製物は、塗工性を向上するために、通常、溶剤が用いられる。前記予備調製物に用いられる溶剤は、前記予備調製物中の各成分と反応せず、当該各成分を均一に溶解乃至分散できるものの中から、適宜選択して用いればよい。このような溶剤としては、例えば、水のほか、エタノール、イソプロパノール等の各種アルコール系溶剤が挙げられる。溶剤は、1種単独で用いても、混合溶剤としてもよい。
(その他の成分)
層形成用組成物の予備調製物には、上記成分のほかに、得られる層に各種機能を付与するための微粒子や、帯電防止剤、防眩剤、増感剤、防汚剤、着色剤(顔料、染料)、難燃剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤などを添加することができる。これら各成分を用いることにより、得られる層に、ハードコート性、低屈折率性、高屈折率性、防眩性、反射防止性、帯電防止性、防汚性等の機能を持たせることが可能である。
更に、凝集防止効果及び沈降防止効果、その他、レベリング性などの特性の向上のため、各種界面活性剤を用いることができる。界面活性剤としては、シリコーンオイル、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
層形成用組成物の予備調製物には、上記成分のほかに、得られる層に各種機能を付与するための微粒子や、帯電防止剤、防眩剤、増感剤、防汚剤、着色剤(顔料、染料)、難燃剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤などを添加することができる。これら各成分を用いることにより、得られる層に、ハードコート性、低屈折率性、高屈折率性、防眩性、反射防止性、帯電防止性、防汚性等の機能を持たせることが可能である。
更に、凝集防止効果及び沈降防止効果、その他、レベリング性などの特性の向上のため、各種界面活性剤を用いることができる。界面活性剤としては、シリコーンオイル、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
(層形成用組成物の予備調製物における各成分の配合割合)
酸触媒を用いる場合、酸触媒の含有量は、予備調製物中の濃度として、1×102規定以下であることが好ましく、1×10−7〜1×10−4規定であることがより好ましく、1×10−5〜1×10−4規定であることが更により好ましい。
また、溶剤を用いる場合、溶剤の含有量は、前記予備調製物の全量に対して、40〜98質量%であることが好ましく、60〜97質量%であることがより好ましい。
前記予備調製物に、前記その他の成分を含有させる場合、当該他の成分の含有量は、成分の種類、及び得られる層に求める機能等に応じて適宜調整すればよく、一概には言えないが、前記金属アルコキシド等の合計の含有量に対して10〜300質量%とすることが好ましく、50〜200質量%であることがより好ましい。
また、溶剤として水を含む溶剤を用いる場合には、当該層形成用組成物の予備調製物のpHは、2〜7であることが好ましく、塗布装置の腐食しない点からは予備調製物のpHが、4〜7であることが好ましい。また、金属アルコキシドの加水分解を促進する点からは、予備調製物のpHは、2〜6.9とすることが好ましく、3〜6.5とすることがより好ましい。
なお、酸濃度やpHは、塩基性物質を用いて酸触媒の一部を中和することにより調製してもよい。
酸触媒を用いる場合、酸触媒の含有量は、予備調製物中の濃度として、1×102規定以下であることが好ましく、1×10−7〜1×10−4規定であることがより好ましく、1×10−5〜1×10−4規定であることが更により好ましい。
また、溶剤を用いる場合、溶剤の含有量は、前記予備調製物の全量に対して、40〜98質量%であることが好ましく、60〜97質量%であることがより好ましい。
前記予備調製物に、前記その他の成分を含有させる場合、当該他の成分の含有量は、成分の種類、及び得られる層に求める機能等に応じて適宜調整すればよく、一概には言えないが、前記金属アルコキシド等の合計の含有量に対して10〜300質量%とすることが好ましく、50〜200質量%であることがより好ましい。
また、溶剤として水を含む溶剤を用いる場合には、当該層形成用組成物の予備調製物のpHは、2〜7であることが好ましく、塗布装置の腐食しない点からは予備調製物のpHが、4〜7であることが好ましい。また、金属アルコキシドの加水分解を促進する点からは、予備調製物のpHは、2〜6.9とすることが好ましく、3〜6.5とすることがより好ましい。
なお、酸濃度やpHは、塩基性物質を用いて酸触媒の一部を中和することにより調製してもよい。
<有機金属化合物触媒>
本発明において、有機金属化合物触媒とは、前記予備調製物と混合することにより、金属アルコキシドの縮合反応を促進する作用を有する有機金属化合物をいう。
本発明において、有機金属化合物触媒とは、前記予備調製物と混合することにより、金属アルコキシドの縮合反応を促進する作用を有する有機金属化合物をいう。
前記有機金属化合物触媒としては、金属アルコキシドの縮合反応を促進する物の中から、適宜選択して用いることができる。有機金属化合物触媒に含まれる金属原子としては、例えば、チタン、スズ、アルミニウム、ジルコニウム等が挙げられ、中でも、
金属アルコキシドの縮合反応を促進する点からスズ、又はジルコニウムが好ましい。
金属アルコキシドの縮合反応を促進する点からスズ、又はジルコニウムが好ましい。
本発明において有機金属化合物触媒は、下記一般式(3)及び下記一般式(4)よりなる群から選択される構造を1個以上有する。
一般式(3): R5C(=O)−CH2−C(=O)−R6
(一般式(3)及中、R5は、炭素数1〜8のアルキル基を表し、R6は炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。)
一般式(4): −OC(=O)R7
(一般式(4)中、R7は、炭素数1〜12のアルキル基を表す。)
一般式(3): R5C(=O)−CH2−C(=O)−R6
(一般式(3)及中、R5は、炭素数1〜8のアルキル基を表し、R6は炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。)
一般式(4): −OC(=O)R7
(一般式(4)中、R7は、炭素数1〜12のアルキル基を表す。)
一般式(3)で表される配位子は、2個あるC(=O)結合のうち少なくとも1個の酸素原子が、上記金属原子に配位している。
また、一般式(4)で表される基は、炭素原子と単結合している酸素原子が、金属原子と結合している。
また、一般式(4)で表される基は、炭素原子と単結合している酸素原子が、金属原子と結合している。
一般式(3)で表される配位子の具体例としては、例えば、アセチルアセトン、エチルアセトアセテート等が挙げられる。
また、一般式(4)で表される基としては、脂肪族のアシルオキシ基が挙げられ、具体例としては、例えば、アセトキシ基、ラウロキシ基等が挙げられる。
また、一般式(4)で表される基としては、脂肪族のアシルオキシ基が挙げられ、具体例としては、例えば、アセトキシ基、ラウロキシ基等が挙げられる。
有機金属化合物触媒の具体例としては、例えば、テトラキス(アセチルアセトナート)チタン、テトラキス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)チタン、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)チタン;テトラキス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム;トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム;ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ビス(アセトキシジブチル錫)オキサイド、ビス(ラウロキシジブチル錫)オキサイド;などが挙げられる。
有機金属化合物触媒は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
有機金属化合物触媒は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
有機金属化合物触媒は、前記予備調製物と、短時間で均一に混合させるため、通常、溶液として準備する。有機金属化合物触媒に用いられる溶剤としては、当該有機金属化合物触媒と反応せず、当該有機金属化合物触媒を均一に溶解乃至分散できるものの中から、適宜選択して用いればよい。このような溶剤としては、例えば、水のほか、エタノール、イソプロパノール等の各種アルコール系溶剤が挙げられる。これらの溶剤は、1種単独で用いても、混合溶剤としてもよい。
また、前記予備調製物と短時間で均一に混合しやすい点から、前記予備調製物に用いられる溶剤と混和しやすい溶剤を用いることが好ましい。例えば、前記予備調製物の溶剤が、水及び/又は水溶性の溶剤である場合には、有機金属化合物触媒の溶剤も、水及び/又は水溶性の溶剤とすることが好ましい。
また、前記予備調製物と短時間で均一に混合しやすい点から、前記予備調製物に用いられる溶剤と混和しやすい溶剤を用いることが好ましい。例えば、前記予備調製物の溶剤が、水及び/又は水溶性の溶剤である場合には、有機金属化合物触媒の溶剤も、水及び/又は水溶性の溶剤とすることが好ましい。
溶剤を用いる場合、有機金属化合物触媒の濃度は、前記予備調製物と混合した際に、層形成用組成物として、適切な濃度になればよいものであり、予備調製物との混合比率に応じて適宜設定すればよいものである。具体的には、前記予備調製物と有機金属化合物との混合物において、金属アルコキシド等100質量部に対して、有機金属化合物触媒が0.1〜30質量部となるように濃度を調整することが好ましく、1〜10質量部となるように濃度を調整することがより好ましい。
[塗膜を形成する工程(II)]
本工程は、塗布する直前又は塗布と同時に、前記予備調製物と前記有機金属化合物触媒とを混合して混合物とし、前記光透過性基材の少なくとも一面側に、前記混合物を塗布して塗膜を形成する工程である。
本工程は、塗布する直前又は塗布と同時に、前記予備調製物と前記有機金属化合物触媒とを混合して混合物とし、前記光透過性基材の少なくとも一面側に、前記混合物を塗布して塗膜を形成する工程である。
上記工程により、金属アルコキシド及びその加水分解物よりなる群から選択される1種以上と、有機金属化合物触媒とを有する塗膜を形成することができる。このため有機金属化合物触媒の作用により塗膜において金属アルコキシド等の縮合反応が促進され、後述する硬化反応の反応時間を短縮することができ、生産性が向上する。
塗布する直前とは、前記予備調製物と前記有機金属化合物触媒とを混合後、できる限り速やかに前記光透過性基材の一面側に当該混合物を塗布するという意味であり、具体的には、塗布する前10分以内のことをいい、塗布する前5分以内であることが好ましく、塗布する前3分以内であることがより好ましい。前記予備調製物と前記有機金属化合物触媒とを混合後、速やかに次の塗布工程に進むことにより、塗布前の縮合反応の進行が抑制され、層形成用組成物の粘度上昇がなく塗工性が良好で、得られる層のヘイズを抑えることができる。
また、塗布と同時にとは、前記予備調製物と、前記有機金属化合物触媒を、後述する塗布装置の吐出口で混合する場合の他、前記予備調製物と、前記有機金属化合物触媒を、それぞれ別々の塗布装置を用いて、同時に透明樹脂基材の一面側に塗布する方法が含まれる。
工程(II)の具体的な方法としては、例えば、少なくともタンクと、吐出口と、前記タンクから前記吐出口への供給路とを備えた塗布装置を用いて、前記タンクに前記予備調製物を貯留し、前記供給路及び前記吐出口の少なくとも一方で前記予備調製物と前記有機金属化合物触媒とを混合して混合物とし、前記光透過性基材の少なくとも一面側に、前記混合物を塗布して塗膜を形成する方法が挙げられる。
上記塗布装置において、前記タンク、吐出口、及び供給路は、従来公知のものを適宜選択して用いることができる。
また、供給路内で混合する方法は、公知の方法を適宜選択して用いることができ、例えば、2液混合ディスペンサー、静止型混合機(スタティックミキサー)、マイクロリアクター等が挙げられる。
また、吐出口で混合する方法としては、例えば、特開2008−250267号公報に記載の同時重層塗布用の吐出口、エクストルージョン型ダイ、スライドダイ、カーテンダイ等を用いることができる。
また、供給路内で混合する方法は、公知の方法を適宜選択して用いることができ、例えば、2液混合ディスペンサー、静止型混合機(スタティックミキサー)、マイクロリアクター等が挙げられる。
また、吐出口で混合する方法としては、例えば、特開2008−250267号公報に記載の同時重層塗布用の吐出口、エクストルージョン型ダイ、スライドダイ、カーテンダイ等を用いることができる。
塗布方法は、所望の厚さの層を形成可能な方法であればよく、従来公知の方法の中から適宜選択して用いればよい。例えば、グラビアコート法、リバースコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテンコート法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法、エクストルージョンコート法、E型塗布方法などが挙げられる。
[層を形成する工程(III)]
本工程は、前記工程(II)で得られた塗膜を硬化して、前記層形成用組成物の硬化物からなる層を形成する工程である。
本工程は、前記工程(II)で得られた塗膜を硬化して、前記層形成用組成物の硬化物からなる層を形成する工程である。
塗膜を硬化する方法は、特に限定されない。本発明においては、塗膜は有機金属化合物触媒を有するため、従来よりも短時間、或いは穏やかな条件で、硬化させることができる。
具体的には、反応温度を40℃〜200℃とすることができ、60℃〜200℃とすることが好ましい。100℃以上であれば、硬化反応が充分に進行し、得られる層の硬度が向上する。また、反応時間は、膜厚に応じて適宜設定すればよい。例えば、膜厚が1μmの場合、1〜10分間加熱すればよく、生産性の点から1〜5分とすることが好ましい。
具体的には、反応温度を40℃〜200℃とすることができ、60℃〜200℃とすることが好ましい。100℃以上であれば、硬化反応が充分に進行し、得られる層の硬度が向上する。また、反応時間は、膜厚に応じて適宜設定すればよい。例えば、膜厚が1μmの場合、1〜10分間加熱すればよく、生産性の点から1〜5分とすることが好ましい。
このようにして得られた層は、物理的強度と防汚性に優れ、またヘイズの上昇が抑制されているため、光学フィルムの各種機能層として用いることができる。上記手法により得られる層としては、例えば、低屈折率層、高屈折率層、導電層、ハードコート層(HC層)、防眩層(AG層)、ガスバリア層、抗菌処理層、ガラス基材・スパッタ処理基材上のオーバーコート層、スパッタ処理のためのアンカー層、防汚層、紫外光カット層、赤外光カット層等が挙げられる。
例えば、前記層形成用組成物の予備調製物に、低屈折率微粒子を更に含有させることにより、低屈折率層を得ることができる。
本発明において、低屈折率層とは、少なくとも隣接する層よりも低い屈折率を有する層をいう。具体的には、屈折率が1.49以下であることが好ましく、1.47以下であることがより好ましく、1.42以下であることが更により好ましい。
低屈折率微粒子は、従来公知のものの中から適宜選択して用いればよい。低屈折率微粒子としては、中でも、空隙を有する微粒子(中空粒子)を用いることが好ましい。空隙を有する微粒子の材料としては、層の屈折率をより低減するために、シリカ又はフッ素樹脂を用いることが好ましい。空隙を有する微粒子の平均粒径は、5〜300nmであることが好ましく、10〜80nmであることが特に好ましい。
低屈折率微粒子の含有量は、適宜調節して用いればよく、前記層形成用組成物の予備調製物の全固形分に対して10〜95質量%が好ましく、20〜90質量%であることがより好ましい。
低屈折率層とする場合、当該低屈折率層の膜厚は、適宜設定すれば良く、例えば、10〜300nmであることが好ましい。
本発明において、低屈折率層とは、少なくとも隣接する層よりも低い屈折率を有する層をいう。具体的には、屈折率が1.49以下であることが好ましく、1.47以下であることがより好ましく、1.42以下であることが更により好ましい。
低屈折率微粒子は、従来公知のものの中から適宜選択して用いればよい。低屈折率微粒子としては、中でも、空隙を有する微粒子(中空粒子)を用いることが好ましい。空隙を有する微粒子の材料としては、層の屈折率をより低減するために、シリカ又はフッ素樹脂を用いることが好ましい。空隙を有する微粒子の平均粒径は、5〜300nmであることが好ましく、10〜80nmであることが特に好ましい。
低屈折率微粒子の含有量は、適宜調節して用いればよく、前記層形成用組成物の予備調製物の全固形分に対して10〜95質量%が好ましく、20〜90質量%であることがより好ましい。
低屈折率層とする場合、当該低屈折率層の膜厚は、適宜設定すれば良く、例えば、10〜300nmであることが好ましい。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
(製造例1:層形成用組成物の予備調製物1の調製)
以下の各成分を混合して室温下撹拌した後、水酸化ナトリウム水溶液を用いて酸濃度が1×10−5規定となるように調製して、層形成用組成物の予備調製物1を得た。
<層形成用組成物の予備調製物1の組成>
・テトラエトキシシラン(エチルシリケート28、コルコート社製):52質量部
・イソプロピルアルコール(IPA):12質量部
・イオン交換水:35.5質量部
・2N規定塩酸:0.5質量部
以下の各成分を混合して室温下撹拌した後、水酸化ナトリウム水溶液を用いて酸濃度が1×10−5規定となるように調製して、層形成用組成物の予備調製物1を得た。
<層形成用組成物の予備調製物1の組成>
・テトラエトキシシラン(エチルシリケート28、コルコート社製):52質量部
・イソプロピルアルコール(IPA):12質量部
・イオン交換水:35.5質量部
・2N規定塩酸:0.5質量部
(製造例2:層形成用組成物の予備調製物2の調製)
以下の各成分を混合して室温下撹拌した後、水酸化ナトリウム水溶液を用いて酸濃度が1×10−5規定となるように調製して、層形成用組成物の予備調製物2を調製した。
<層形成用組成物の予備調製物2の組成>
・テトライソプロポキシドチタン:45質量部
・テトラエトキシシラン:7質量部
・イソプロピルアルコール(IPA):12質量部
・イオン交換水:35.5質量部
・2N規定塩酸:0.5質量部
以下の各成分を混合して室温下撹拌した後、水酸化ナトリウム水溶液を用いて酸濃度が1×10−5規定となるように調製して、層形成用組成物の予備調製物2を調製した。
<層形成用組成物の予備調製物2の組成>
・テトライソプロポキシドチタン:45質量部
・テトラエトキシシラン:7質量部
・イソプロピルアルコール(IPA):12質量部
・イオン交換水:35.5質量部
・2N規定塩酸:0.5質量部
(製造例3:有機金属触媒液の調製)
以下の各成分を混合し、有機金属触媒液を調製した。
<有機金属触媒液の組成>
・ビス(アセトキシジブチル錫)オキサイド): 1質量部
・イソプロピルアルコール(IPA): 99質量部
以下の各成分を混合し、有機金属触媒液を調製した。
<有機金属触媒液の組成>
・ビス(アセトキシジブチル錫)オキサイド): 1質量部
・イソプロピルアルコール(IPA): 99質量部
(製造例4:ハードコート層用硬化性樹脂組成物の調製)
以下の各成分を混合し、ハードコート層用硬化性樹脂組成物を調製した。
<ハードコート層用硬化性樹脂組成物の組成>
・バインダー成分:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(日本化薬(株)製、商品名:KAYARAD−PET−30、分子量298及び352、光硬化性基数3及び4):40質量部
・メチルイソブチルケトン:60質量部
・光重合開始剤(チバスペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュアー184):2質量部
以下の各成分を混合し、ハードコート層用硬化性樹脂組成物を調製した。
<ハードコート層用硬化性樹脂組成物の組成>
・バインダー成分:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(日本化薬(株)製、商品名:KAYARAD−PET−30、分子量298及び352、光硬化性基数3及び4):40質量部
・メチルイソブチルケトン:60質量部
・光重合開始剤(チバスペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュアー184):2質量部
(実施例1:光学フィルムの製造)
ポリエチレンテレフタレート(PET)基材(東レ株式会社製、商品名:U34)上にスライドダイコーターを用いて、製造例1で得られた層形成用組成物の予備調製物1と製造例3で得られた有機金属触媒液とを等量で混合しながら塗布速度10m/minにて塗布し、塗膜を形成した。その塗膜を120℃で2分加熱後、硬化後膜厚1μmの層を形成し、実施例1の光学フィルムを得た。
ポリエチレンテレフタレート(PET)基材(東レ株式会社製、商品名:U34)上にスライドダイコーターを用いて、製造例1で得られた層形成用組成物の予備調製物1と製造例3で得られた有機金属触媒液とを等量で混合しながら塗布速度10m/minにて塗布し、塗膜を形成した。その塗膜を120℃で2分加熱後、硬化後膜厚1μmの層を形成し、実施例1の光学フィルムを得た。
(実施例2:光学フィルムの製造)
実施例1において、層形成用組成物の予備調製物1の代わりに、製造例2で得られた層形成用組成物の予備調製物2を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の光学フィルムを得た。
実施例1において、層形成用組成物の予備調製物1の代わりに、製造例2で得られた層形成用組成物の予備調製物2を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の光学フィルムを得た。
(実施例3:反射防止フィルムの製造)
トリアセチルセルロース(TAC)基材(富士フィルム(株)製、商品名:TD80UL、厚さ80μm)上にスロットダイコーターを用いて、製造例4で得られたハードコート層用硬化性樹脂組成物を、塗布速度20m/minにて塗布し、塗膜を形成した。その塗膜を80℃で30秒間乾燥し、溶剤を除去した。次いで、その塗膜に紫外線照射装置を用いて、照射量80mj/cm2で紫外線照射を行ない、塗膜を硬化させて乾燥膜厚5μmのハードコート(HC)層を有するハードコートフィルムを得た。基材にこのハードコートフィルムを使用し、実施例1において、層形成用組成物の予備調製物1の代わりに、製造例3で得られた低屈折率層形成用組成物の予備調製物を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の光学フィルムを得た。
トリアセチルセルロース(TAC)基材(富士フィルム(株)製、商品名:TD80UL、厚さ80μm)上にスロットダイコーターを用いて、製造例4で得られたハードコート層用硬化性樹脂組成物を、塗布速度20m/minにて塗布し、塗膜を形成した。その塗膜を80℃で30秒間乾燥し、溶剤を除去した。次いで、その塗膜に紫外線照射装置を用いて、照射量80mj/cm2で紫外線照射を行ない、塗膜を硬化させて乾燥膜厚5μmのハードコート(HC)層を有するハードコートフィルムを得た。基材にこのハードコートフィルムを使用し、実施例1において、層形成用組成物の予備調製物1の代わりに、製造例3で得られた低屈折率層形成用組成物の予備調製物を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の光学フィルムを得た。
(比較例1:光学フィルムの製造)
製造例1で得られた層形成用組成物の予備調製物1と製造例3で得られた有機金属触媒液とを等量で混合した後10分静置した塗液を、ポリエチレンテレフタレート(PET)基材(東レ株式会社製、商品名:U34)上にスライドダイコーターを用いて、塗布速度10m/minにて塗布し、塗膜を形成した。その塗膜を120℃で2分加熱後、硬化後膜厚1μmの層を形成し、比較例1の光学フィルムを得た。
製造例1で得られた層形成用組成物の予備調製物1と製造例3で得られた有機金属触媒液とを等量で混合した後10分静置した塗液を、ポリエチレンテレフタレート(PET)基材(東レ株式会社製、商品名:U34)上にスライドダイコーターを用いて、塗布速度10m/minにて塗布し、塗膜を形成した。その塗膜を120℃で2分加熱後、硬化後膜厚1μmの層を形成し、比較例1の光学フィルムを得た。
(比較例2:光学フィルムの製造)
製造例1で得られた層形成用組成物の予備調製物1と製造例3で得られた有機金属触媒液とを等量で混合した後4時間静置したところ、当該混合液の粘度が上昇し塗工が行なえなかった。
製造例1で得られた層形成用組成物の予備調製物1と製造例3で得られた有機金属触媒液とを等量で混合した後4時間静置したところ、当該混合液の粘度が上昇し塗工が行なえなかった。
(比較例3:光学フィルムの製造)
PET基材上にスライドダイコーターを用いて、製造例1で得られた層形成用組成物の予備調製物1と、有機金属触媒を有しないイソプロピルアルコールとを等量で混合しながら塗布速度10m/minにて塗布し、塗膜を形成した。その塗膜を120℃で2分間加熱したところ、当該塗膜は充分に硬化していなかった。
PET基材上にスライドダイコーターを用いて、製造例1で得られた層形成用組成物の予備調製物1と、有機金属触媒を有しないイソプロピルアルコールとを等量で混合しながら塗布速度10m/minにて塗布し、塗膜を形成した。その塗膜を120℃で2分間加熱したところ、当該塗膜は充分に硬化していなかった。
[評価]
<光学フィルムの全光線透過率とヘイズ評価>
上記実施例1〜3及び上記比較例1により得られた光学フィルムの全光線透過率とヘイズをヘイズメーター(株式会社村上色彩技術研究所製、HM−150)を用いて測定した。測定の際には、塗工面の裏面の易接着層に由来するヘイズを減じるため、裏面にヘイズ値の上昇のない粘着フィルムを貼り合わせて測定を行なった。結果を表1に示す。
<光学フィルムの全光線透過率とヘイズ評価>
上記実施例1〜3及び上記比較例1により得られた光学フィルムの全光線透過率とヘイズをヘイズメーター(株式会社村上色彩技術研究所製、HM−150)を用いて測定した。測定の際には、塗工面の裏面の易接着層に由来するヘイズを減じるため、裏面にヘイズ値の上昇のない粘着フィルムを貼り合わせて測定を行なった。結果を表1に示す。
表1の結果から、実施例1〜3の製造方法によれば、金属アルコキシドと有機金属化合物触媒とを組み合わせて用いても、粘度が上昇せず、塗工性に優れており、また、得られた層は、ヘイズが上昇せず、優れた透過率を有することが明らかとなった。また、本発明の製造方法によれば、有機金属化合物触媒を用いることにより、金属アルコキシドを短時間で硬化することが可能となり、生産性に優れていることが明らかとなった。
Claims (2)
- 光透過性基材の少なくとも一面側に、金属アルコキシド及びその加水分解物よりなる群から選択される1種以上を少なくとも含有する層形成用組成物の硬化物からなる層を備えた光学フィルムの製造方法であって、
光透過性基材と、金属アルコキシド及びその加水分解物よりなる群から選択される1種以上を含有する層形成用組成物の予備調製物と、有機金属化合物触媒とを準備する工程(I)と、
塗布する直前又は塗布と同時に、前記予備調製物と前記有機金属化合物触媒とを混合して混合物とし、前記光透過性基材の少なくとも一面側に、前記混合物を塗布して塗膜を形成する工程(II)と、
前記塗膜を硬化して、前記層形成用組成物の硬化物からなる層を形成する工程(III)とを有することを特徴とする、光学フィルムの製造方法。 - 前記層形成用組成物の予備調製物の酸濃度が、1×10−7〜1×10−4規定である、請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
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