JP2014047673A - 軸受構造およびスクロール圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【課題】大きなコスト増を招くことなく、シェル形ニードルベアリングの耐久性および寿命を向上するとともに、騒音を低減することができる軸受構造およびスクロール圧縮機を提供することを目的とする。
【解決手段】軸受ボス部3C,15Cの穴に、シェル形ニードルベアリング7,12を設置し、該シェル形ニードルベアリング7,12により軸6,6Cを支持する軸受構造およびそれを用いたスクロール圧縮機1において、軸受ボス部3C,15Cの穴と、シェル形ニードルベアリング7,12の外輪との間に、所要の剛性および精度を有する金属製の円筒状スリーブ27,28が設置されている。
【選択図】図1
【解決手段】軸受ボス部3C,15Cの穴に、シェル形ニードルベアリング7,12を設置し、該シェル形ニードルベアリング7,12により軸6,6Cを支持する軸受構造およびそれを用いたスクロール圧縮機1において、軸受ボス部3C,15Cの穴と、シェル形ニードルベアリング7,12の外輪との間に、所要の剛性および精度を有する金属製の円筒状スリーブ27,28が設置されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、シェル形ニードルベアリングを用いた軸受構造およびその軸受構造を適用したスクロール圧縮機に関するものである。
スクロール圧縮機においては、ダウンサイジング化や軽量化、低コスト化のため、クランク軸をハウジングに対して回転自在に支持するための軸受や、クランク軸のクランクピン部と旋回スクロールとを回転自在に結合するための軸受に、剛性や寸法精度が高いボールベアリングに替えて、小型小径化が可能でかつコストダウンが期待できるシェル形ニードルベアリングが用いられるようになっている(例えば、特許文献1−4参照)。
一方、シェル形のニードルベアリングは、薄板材から成形される外輪と、転動体である針状ころと、針状ころを保持する保持器とから構成されるが、ソリッド形のニードルベアリングに比べ、外輪を構成する薄板材の肉厚が、例えば、1mm前後と薄いことから、ベアリング単体での剛性や寸法精度は決して高くなく、外径等の公差が表示されていないのが通常である。このように、シェル形ニードルベアリングは、十分な剛性と寸法精度を有する軸受ボス部側の穴に圧入され、その穴の精度に倣うことで軌道面(針状ころの内接円)の精度を保つことにより本来の性能を発揮する設計とされているものである。
上記のように、スクロール圧縮機のクランク軸の軸受構造には、シェル形ニードルベアリングが用いられているが、車載用のスクロール圧縮機として、益々小型軽量化が求められる中、ハウジングの薄肉化に伴い、軸受支持部(軸受ボス部)の剛性が十分確保できなくなり、略限界となっている。特に、車載用のスクロール圧縮機では、車載の都合上、ハウジングの外形形状を軸対称にし難いことから、軸受ボス部の周方向および軸方向の剛性にアンバランスが生じ易い。
このため、上記の如く剛性が低下した軸受ボス部に、軸受ボス部の穴側の精度に依存する設計とされているシェル形ニードルベアリングを設置した場合、負荷による軸受ボス部の変形に伴ってシェル形ニードルベアリングの軌道面の精度が悪化し、ベアリングが本来の性能を発揮できなくなって、軸受の耐久性や寿命の低下、さらには騒音の増大を招く等の課題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、大きなコスト増を招くことなく、シェル形ニードルベアリングの耐久性および寿命の向上を図るとともに、騒音を低減することができる軸受構造およびそれを適用したスクロール圧縮機を提供することを目的とする。
上記した課題を解決するために、本発明の軸受構造およびスクロール圧縮機は、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる軸受構造は、軸受ボス部の穴に、シェル形ニードルベアリングを設置し、該シェル形ニードルベアリングにより軸を支持する軸受構造において、前記軸受ボス部の穴と、前記シェル形ニードルベアリングの外輪との間に、所要の剛性および精度を有する金属製の円筒状スリーブが設置されていることを特徴とする。
すなわち、本発明にかかる軸受構造は、軸受ボス部の穴に、シェル形ニードルベアリングを設置し、該シェル形ニードルベアリングにより軸を支持する軸受構造において、前記軸受ボス部の穴と、前記シェル形ニードルベアリングの外輪との間に、所要の剛性および精度を有する金属製の円筒状スリーブが設置されていることを特徴とする。
本発明によれば、軸受ボス部の穴と、シェル形ニードルベアリングの外輪との間に、所要の剛性および精度を有する金属製の円筒状スリーブが設置されているため、軸受ボス部の穴側の剛性および精度がハウジング等の小型軽量・薄肉化に伴い、十分確保できない場合であっても、軸受ボス部の穴に所要の剛性および精度を有する金属製の円筒状スリーブを介装することにより、負荷による軸受ボス部の変形に伴うシェル形ニードルベアリングの軌道面(針状ころの内接円)の精度の悪化を抑え、所要の剛性および精度を確保することができる。従って、円筒状のスリーブを追加するだけで、簡易にかつそれ程コスト増招くことなく、シェル形ニードルベアリング本来の性能を発揮させることができ、軸受の耐久性および寿命の向上、騒音の低減等を図ることができる。
さらに、本発明の軸受構造は、上記の軸受構造において、前記円筒状スリーブは、前記軸受ボス部の穴側に予め圧入または鋳包みされていることを特徴とする。
本発明によれば、円筒状スリーブが、軸受ボス部の穴側に予め圧入または鋳包みされているため、シェル形ニードルベアリングとして汎用のシェル形ニードルベアリングを用いてそのまま、軸受ボス部の穴側に予め圧入または鋳包みされている円筒状スリーブに圧入により組み付け構成した軸受構造とすることができる。従って、軸受ボス部の穴側の剛性および精度が十分確保されていなくても、軸受自体の構成や組み立てを変えることなく、円筒状スリーブの追加のみで、簡易にかつそれ程コストを増大せずに、シェル形ニードルベアリングを所期の性能通り正常に機能させることができる。
さらに、本発明にかかるスクロール圧縮機は、ハウジング内にクランク軸が軸受を介して回転自在に支持されているとともに、前記クランク軸の一端に設けられているクランクピンに、旋回スクロールの軸受ボス部が軸受を介して回転自在に結合されているスクロール圧縮機において、前記軸受の一方または双方をシェル形ニードルベアリングとするとともに、前記ハウジングの軸受ボス部と前記クランク軸支持用の前記シェル形ニードルベアリングの外輪との間および/または前記旋回スクロールの軸受ボス部と前記旋回スクロール結合用の前記シェル形ニードルベアリングの外輪との間に、所要の剛性および精度を有する金属製の円筒状スリーブが設置されていることを特徴とする。
本発明によれば、クランク軸をハウジングに対して回転自在に支持する軸受およびそのクランクピンを旋回スクロールの軸受ボス部に回転自在に結合する軸受の一方または双方をシェル形ニードルベアリングとするとともに、ハウジングの軸受ボス部とクランク軸支持用のシェル形ニードルベアリングの外輪との間および/または旋回スクロールの軸受ボス部と旋回スクロール結合用のシェル形ニードルベアリングの外輪との間に、所要の剛性および精度を有する金属製の円筒状スリーブが設置されているため、各軸受ボス部の穴側の剛性および精度がハウジングまたは旋回スクロールの小型軽量・薄肉化に伴い、十分に確保できない場合であっても、軸受ボス部の穴に所要の剛性および精度を有する金属製の円筒状スリーブを介装することにより、負荷による軸受ボス部の変形に伴うシェル形ニードルベアリングの軌道面(針状ころの内接円)の精度の悪化を抑え、所要の剛性および精度を確保することができる。従って、クランク軸の支持部あるいはクランクピンの結合部にシェル形ニードルベアリングを用いたスクロール圧縮機にあっても、円筒状のスリーブを追加するだけで、簡易にかつそれ程コスト増招くことなく、シェル形ニードルベアリング本来の性能を発揮させることができ、軸受の耐久性および寿命の向上、騒音の低減等を図ることができる。
また、本発明のスクロール圧縮機は、上記のスクロール圧縮機において、前記円筒状スリーブは、前記軸受ボス部の穴側に予め圧入または鋳包みされていることを特徴とする。
本発明によれば、円筒状スリーブが、軸受ボス部の穴側に予め圧入または鋳包みされているため、シェル形ニードルベアリングとして汎用のシェル形ニードルベアリングを用いてそのまま、軸受ボス部の穴側に予め圧入または鋳包みされている円筒状スリーブに圧入により組み付け構成することができる。従って、ハウジングや旋回スクロール等の小型軽量・薄肉化に伴って、その軸受ボス部の穴側の剛性および精度が十分に確保されていない場合でも、軸受自体の構成や組み立てを変えることなく、円筒状スリーブの追加のみで、簡易にかつそれ程コストを増大せずに、シェル形ニードルベアリングを所期の性能通り正常に機能させることができる。
さらに、本発明のスクロール圧縮機は、上述のいずれかのスクロール圧縮機において、前記円筒状スリーブは、その真円度が5μm以上、10μm以下とされていることを特徴とする。
本発明によれば、円筒状スリーブの真円度が、5μm以上、10μm以下とされているため、一般に車載用スクロール圧縮機で求められているシェル形ニードルベアリングの軌道面(針状ころの内接円)の精度を十分確保し、その軌道面と軸外径との隙間を所要の軸受寿命を確保できる隙間に維持することができる。従って、軸受寿命を左右する上記の隙間管理を容易化し、軸受寿命、耐久性の最大化および騒音の最小化を図ることができる。
本発明の軸受構造によると、軸受ボス部の穴側の剛性および精度がハウジング等の小型軽量・薄肉化に伴い、十分に確保できない場合であっても、軸受ボス部の穴に所要の剛性および精度を有する金属製の円筒状スリーブを介装することによって、負荷による軸受ボス部の変形に伴うシェル形ニードルベアリングの軌道面(針状ころの内接円)の精度の悪化を抑え、所要の剛性および精度を確保することができるため、円筒状のスリーブを追加するだけで、簡易にかつそれ程コスト増招くことなく、シェル形ニードルベアリング本来の性能を発揮させることができ、軸受の耐久性および寿命の向上、騒音の低減等を図ることができる。
また、本発明のスクロール圧縮機によると、各軸受ボス部の穴側の剛性および精度がハウジングまたは旋回スクロールの小型軽量・薄肉化に伴い、十分に確保できない場合であっても、軸受ボス部の穴に所要の剛性および精度を有する金属製の円筒状スリーブを介装することによって、負荷による軸受ボス部の変形に伴うシェル形ニードルベアリングの軌道面(針状ころの内接円)の精度の悪化を抑え、所要の剛性および精度を確保することができるため、クランク軸の支持部あるいはクランクピンの結合部にシェル形ニードルベアリングを用いたスクロール圧縮機にあっても、円筒状のスリーブを追加するだけで、簡易にかつそれ程コスト増招くことなく、シェル形ニードルベアリング本来の性能を発揮させることができ、軸受の耐久性および寿命の向上、騒音の低減等を図ることができる。
以下に、本発明に一実施形態について、図1および図2を参照して説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る軸受構造を採用したスクロール圧縮機の縦断面図が示され、図2には、その軸受構造に用いるシェル形ニードルベアリングの寿命特性図が示されている。
スクロール圧縮機1は、外殻を構成するハウジング2を有している。ハウジング2は、フロントハウジング3とリアハウジング4とをボルト5で一体的に締め付け固定することにより構成されている。フロントハウジング3およびリアハウジング4には、円周上の複数箇所、例えば4箇所(図2参照)に等間隔で締め付け用のフランジ3A,4Aが一体に形成され、このフランジ3A,4A同士をボルト5で締め付けることによって、フロントハウジング3とリアハウジング4とが一体に結合されている。
図1には、本発明の一実施形態に係る軸受構造を採用したスクロール圧縮機の縦断面図が示され、図2には、その軸受構造に用いるシェル形ニードルベアリングの寿命特性図が示されている。
スクロール圧縮機1は、外殻を構成するハウジング2を有している。ハウジング2は、フロントハウジング3とリアハウジング4とをボルト5で一体的に締め付け固定することにより構成されている。フロントハウジング3およびリアハウジング4には、円周上の複数箇所、例えば4箇所(図2参照)に等間隔で締め付け用のフランジ3A,4Aが一体に形成され、このフランジ3A,4A同士をボルト5で締め付けることによって、フロントハウジング3とリアハウジング4とが一体に結合されている。
フロントハウジング3の内部には、クランク軸(軸)6がメイン軸受7およびサブ軸受8を介してその軸線L回りに回転自在に支持されている。クランク軸6の一端側(図1において左側)は小径軸部6Aとされ、該小径軸部6Aはフロントハウジング3を貫通して図1の左側に突出されている。小径軸部6Aの突出部には、公知の如く動力を受ける図示省略の電磁クラッチ、プーリー等が設けられ、エンジン等の駆動源からベルト等を介して動力が伝達されるようになっている。メイン軸受7とサブ軸受8との間には、メカニカルシール(リップシール)9が設置されており、ハウジング2内と大気間が気密にシールされている。
クランク軸6の他端側(図1において右側)には、大径軸部6Bが設けられ、この大径軸部6Bには、クランク軸6の軸線Lより所定寸法だけ偏心するクランクピン(軸)6Cが一体に設けられている。クランク軸6は、大径軸部6Bおよび小径軸部6Aがメイン軸受7およびサブ軸受8で支持されることにより、フロントハウジング3に回転自在に支持されている。クランクピン6Cには、ドライブブッシュ10、円筒環(フローティングブッシュ)11およびドライブ軸受12を介して後述の旋回スクロール15が連結され、クランク軸6が回転されることによって、旋回スクロール15が旋回駆動される構成とされている。
ドライブブッシュ10には、旋回スクロール15が旋回駆動されることにより発生するアンバランス荷重を除去するためのバランスウェイト10Aが一体に形成され、旋回スクロール15の旋回駆動と共に旋回されるようになっている。また、ドライブブッシュ10には、その中心に対して偏心した位置にクランクピン6Cが嵌合されるクランクピン穴10Bが設けられている。これによって、クランクピン6Cに嵌合されたドライブブッシュ10および旋回スクロール15がガス圧を受けてクランクピン6C周りに回動され、旋回スクロール15の旋回半径を可変とする公知の従動クランク機構が構成されている。
また、ハウジング2内には、一対の固定スクロール14および旋回スクロール15により構成されるスクロール圧縮機構(圧縮機構)13が組み込まれている。固定スクロール14は、端板14Aと該端板14Aから立設されている渦巻き状ラップ14Bとから構成され、旋回スクロール15は、端板15Aと該端板15Aから立設されている渦巻き状ラップ15Bとから構成されている。
本実施形態の固定スクロール14および旋回スクロール15は、それぞれ渦巻き状ラップ14B,15Bの先端面とボトム面の渦巻き方向に沿う所定位置に、それぞれ段部を備えている。この段部を境に、ラップ先端面においては、旋回軸線方向に外周側の先端面が高く、内周側の先端面が低くされている。また、ボトム面においては、旋回軸線方向に外周側のボトム面が低く、内周側のボトム面が高くされている。これによって、渦巻き状ラップ14B,15Bは、その外周側におけるラップ高さが内周側のラップ高さよりも高くされている。
固定スクロール14と旋回スクロール15とは、その中心を旋回半径分だけ離すとともに、渦巻き状ラップ14B,15Bの位相を180度ずらして噛合され、該渦巻き状ラップ14B,15Bの先端面とボトム面との間に常温で僅かなラップ高さ方向のクリアランス(数十〜数百ミクロン)を有するように組み付けられている。これによって、図1に示されるように、両スクロール14,15間には、端板14A,15Aと渦巻き状ラップ14B,15Bとにより限界される一対の圧縮室16がスクロール中心に対して対称に形成されるとともに、旋回スクロール15が固定スクロール14の周りをスムーズに旋回できる構成とされている。
圧縮室16は、旋回軸線方向の高さが渦巻き状ラップ14B,15Bの外周側において内周側の高さよりも高くされることにより、渦巻き状ラップ14B,15Bの周方向およびラップ高さ方向にガスを圧縮できる三次元圧縮が可能なスクロール圧縮機構13を構成している。固定スクロール14および旋回スクロール15の渦巻き状ラップ14B,15Bの先端面には、相手方スクロールのボトム面との間に形成されるチップシール面をシールするためのチップシール17が、それぞれ先端面に設けられた溝に嵌合されて設けられている。
固定スクロール14は、リアハウジング4の内面にボルト18を介して固定設置されている。また、旋回スクロール15は、端板15Aの背面に設けられている軸受ボス部15Cに対して、上述のとおり、クランク軸6の一端側に設けられているクランクピン6Cがドライブブッシュ10、円筒環(フローティングブッシュ)11およびドライブ軸受12を介して結合され、旋回駆動されるように構成されている。
さらに、旋回スクロール15は、フロントハウジング3のスラスト受け面3Bに端板15Aの背面が支持され、該スラスト受け面3Bと端板15Aの背面との間に設けられている自転阻止機構19を介して、自転が阻止されながら固定スクロール14の周りに公転旋回駆動される構成とされている。本実施形態の自転阻止機構19は、旋回スクロール15の端板15Aに設けられているリング穴に組み込まれた自転防止リング19Aの内周面に対して、フロントハウジング3に設けられているピン穴に組み込まれた自転防止ピン19Bが摺動自在に嵌合されているピンリング式の自転阻止機構19とされている。
固定スクロール14には、端板14Aの中央部位に圧縮された冷媒ガスを吐出する吐出ポート14Cが開口されており、吐出ポート14Cには、端板14Aにリテーナ20を介して取り付けられている吐出リード弁21が設置されている。また、端板14Aの背面側には、リアハウジング4の内面と密接されるようにOリング等のシール材22が介装されており、リアハウジング4の内面との間にハウジング2の内部空間から区画された吐出チャンバー23を形成している。これによって、吐出チャンバー23を除くハウジング2の内部空間が、吸入チャンバー24として機能する構成とされている。
吸入チャンバー24には、フロントハウジング3に設けられている吸入口25を介して冷凍サイクルから戻ってくる冷媒ガスが吸入され、この吸入チャンバー24を経て圧縮室16に冷媒ガスが吸い込まれるようになっている。フロントハウジング3とリアハウジング4との間の接合面には、Oリング等のシール材26が介装され、ハウジング2内に形成される吸入チャンバー24を大気に対して気密にシールしている。
上記のスクロール圧縮機1において、外形形状を小型小径化するため、クランク軸6を支持するメイン軸受7およびクランクピン6Cと旋回スクロール15とを結合するドライブ軸受12に、それぞれシェル形ニードルベアリングが用いられている。このクランク軸支持用のシェル形ニードルベアリング7および旋回スクロール結合用のシェル形ニードルベアリング12は、本来、フロントハウジング3側に設けられている軸受ボス部3Cおよび旋回スクロール15側の軸受ボス部15Cの穴に圧入されることにより、その穴側の剛性および精度に倣って軌道面(針状ころの内接円)の精度が確保されるように構成されている。
しかし、ハウジング2や旋回スクロール15は、軽量化によって益々薄肉化される傾向にあり、しかもハウジング2は、外形形状が周方向および軸方向に軸対称になっていないことから、軸受ボス部3C,15Cの周方向および軸方向の剛性にアンバランスが生じ易い構成とされている。このため、負荷による軸受ボス部3C,15C側の変形に倣ってシェル形ニードルベアリング7,12の軌道面(針状ころの内接円)の精度が悪化し、軸受の耐久性や寿命の低下、騒音の増大等の要因になる虞があった。
本実施形態では、かかる問題に対して、ハウジング2や旋回スクロール15の肉厚を厚くすることなく対処するために、軸受ボス部3C,15Cの穴に所要の剛性および精度を有する金属製の円筒状スリーブ27,28を設けた構成としている。この円筒状スリーブ27,28は、例えば炭素鋼(S45C)、ベアリング鋼(SUJ2)、一般構造鋼(SS材)等よって構成することができ、軸受ボス部3C,15Cの穴側に予め圧入しておくことにより、組み立てを行うことができる。また、ハウジング2や旋回スクロール15が鋳造品の場合は、鋳造時に鋳包むことによって予め一体化しておくことができる。
さらに、この円筒状スリーブ27,28は、車両用空調装置の圧縮機に適用されるスクロール圧縮機1のメイン軸受7あるいはドライブ軸受12に適用される外径寸法が35〜45mm程度のシェル形ニードルベアリングの場合、厚さが、概ね2mm前後とされ、その真円度は、5μm以上、10μmとされる。これによって、汎用品のシェル形ニードルベアリング7,12を用いた場合でも、それぞれ本来の性能を発揮させることができ、該軸受の耐久性および寿命の向上、騒音の低減等を図ることができる。
以上に説明の構成により、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
外部駆動源から図示省略のプーリーおよび電磁クラッチを介して、回転駆動力をクランク軸6に伝達し、クランク軸6を回転すると、そのクランクピン6Cにドライブブッシュ10、円筒環(フローティングブッシュ)11およびドライブ軸受(シェル形ニードルベアリング)12を介して旋回半径が可変に連結されている旋回スクロール15が、ピンリング式自転阻止機構19により自転を阻止されながら、固定スクロール14の周りに所定の旋回半径で公転旋回駆動される。
外部駆動源から図示省略のプーリーおよび電磁クラッチを介して、回転駆動力をクランク軸6に伝達し、クランク軸6を回転すると、そのクランクピン6Cにドライブブッシュ10、円筒環(フローティングブッシュ)11およびドライブ軸受(シェル形ニードルベアリング)12を介して旋回半径が可変に連結されている旋回スクロール15が、ピンリング式自転阻止機構19により自転を阻止されながら、固定スクロール14の周りに所定の旋回半径で公転旋回駆動される。
この旋回スクロール15の公転旋回駆動によって、半径方向最外方に形成される圧縮室16内に、吸入チャンバー24内の冷媒ガスが吸い込まれる。圧縮室16は、所定の旋回角位置で吸入締め切りされた後、その容積が周方向およびラップ高さ方向に減少されながら中心側へと移動される。この間に冷媒ガスは圧縮され、当該圧縮室16が吐出ポート14Cに連通する位置に達すると、吐出リード弁21を押し開く。その結果、圧縮された高温高圧のガスは、吐出チャンバー23内に吐き出され、該吐出チャンバー23を経て圧縮機1の外部へと送出される。
圧縮動作の間、クランク軸6は、メイン軸受(シェル形ニードルベアリング)7およびサブ軸受8により回転自在に支持され、旋回スクロール15は、ドライブ軸受(シェル形ニードルベアリング)12を介してクランク軸6のクランクピン6Cに回転自在に結合されることにより旋回駆動されるが、ハウジング2(フロントハウジング3)や旋回スクロール15の肉厚が、軽量化のため限界まで薄くされていることから、負荷(荷重)がかかった場合、シェル形ニードルベアリング7,12を支持している軸受ボス部3C,15Cの穴が口元広がりや周方向に不均一の変形を生じる虞がある。
しかるに、本実施形態では、軸受ボス部3C,15Cの穴に、所要の剛性および精度を有する金属製の円筒状スリーブ27,28を圧入または鋳包み等により設置し、その円筒状スリーブ27,28に対してメイン軸受7およびドライブ軸受12を構成するシェル形ニードルベアリングの外輪を圧入して、シェル形ニードルベアリング7,12を設置するようにしている。このため、円筒状スリーブ27,28を介して軸受ボス部3C,15Cの穴側の剛性および精度を確保し、その精度に倣ってシェル形ニードルベアリング7,12の軌道面(針状ころの内接円)の精度を所定の精度に保つことができる。
通常、シェル形ニードルベアリング7,12の寿命特性は、図2に示されるように、軌道面(針状ころの内接円)の径と、支持する軸の外径との間の隙間に依存しており、寿命が最大となるのは、その隙間が0より僅かに小さいマイナス隙間の場合であることが判っているが、この場合、隙間が僅かにマイナスに触れると、急激に寿命が低下するリスクがあることから、安全を見込んで、隙間をプラス側に設定している。この隙間は、例えば外輪が楕円形状に変形して大きくなると、荷重を受ける針状ころの数が減り傾向となり、耐久性や寿命の低下、騒音の増大等を招くため、0より僅かにプラス側に設定し、軸受ボス部3C,15Cの変形に倣って隙間が大きくならないように管理する必要がある。
本実施形態の軸受構造およびスクロール圧縮機1によれば、円筒状スリーブ27,28を設けることにより、負荷による軸受ボス部3C,15Cの変形に伴うシェル形ニードルベアリング7,12の軌道面(針状ころの内接円)の精度の悪化を抑え、所要の剛性および精度を確保することができる。従って、軸受ボス部3C,15Cの穴側に、円筒状スリーブ27,28を追加するだけで、簡易にかつそれ程コスト増招くことなく、シェル形ニードルベアリング7,12本来の性能を発揮させることができ、メイン軸受7およびドライブ軸受12の耐久性および寿命の向上、並びに騒音の低減を図ることができる。
また、円筒状スリーブ27,28が、軸受ボス部3C,15Cの穴側に予め圧入または鋳包みされているため、シェル形ニードルベアリング7,12として汎用のシェル形ニードルベアリングを用い、それをそのまま軸受ボス部3C,15Cの穴側に予め圧入または鋳包みされている円筒状スリーブ27,28に圧入して組み付け構成することができる。従って、ハウジング2や旋回スクロール15等の小型軽量・薄肉化に伴って、その軸受ボス部3C,15Cの穴側の剛性および精度が十分に確保されていなくても、軸受自体の構成や組み立てを変えることなく、円筒状スリーブ27,28の追加のみで、簡易にかつそれ程コストを増大せずに、シェル形ニードルベアリング7,12を所期の性能通り正常に機能させることができる。
さらに、上記円筒状スリーブ27,28の真円度を、5μm以上、10μm以下に設定している。このため、一般に車載用スクロール圧縮機1で求められているシェル形ニードルベアリング7,12の軌道面(針状ころの内接円)の精度を十分に確保し、その軌道面とクランク軸6およびクランクピン6Cの外径との隙間を所要の軸受寿命を確保できる隙間に維持することができる。従って、軸受寿命を左右する上記の隙間管理を容易化し、軸受寿命、耐久性の最大化および騒音の最小化を図ることができる。
なお、本発明は、上記実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。例えば、上記実施形態では、メイン軸受7およびドライブ軸受12の双方にシェル形ニードルベアリングを用い、各々の軸受ボス部3C,15Cに円筒状スリーブ27,28を設けてシェル形ニードルベアリングを設置した例について説明したが、いずれか一方に円筒状スリーブを介装してシェル形ニードルベアリングを設置した構成としてもよいことはもちろんである。
また、上記実施形態では、円筒状スリーブ27,28を予め軸受ボス部3C,15Cの穴側に圧入または鋳包みした例について説明したが、これに限らず、シェル形ニードルベアリング7,12の外輪に円筒状スリーブ27,28を圧入したものを用いてもよく、かかる形態のものも本発明に包含されることは云うまでもない。
さらに、本発明の軸受構造は、スクロール圧縮機1に限らず、様々な製品の軸受構造に適用できることはもちろんである。
さらに、本発明の軸受構造は、スクロール圧縮機1に限らず、様々な製品の軸受構造に適用できることはもちろんである。
1 スクロール圧縮機
2 ハウジング
3 フロントハウジング
3C 軸受ボス部
6 クランク軸(軸)
6C クランクピン(軸)
7 メイン軸受(シェル形ニードルベアリング)
12 ドライブ軸受(シェル形ニードルベアリング)
15 旋回スクロール
15C 軸受ボス部
27,28 円筒状スリーブ
2 ハウジング
3 フロントハウジング
3C 軸受ボス部
6 クランク軸(軸)
6C クランクピン(軸)
7 メイン軸受(シェル形ニードルベアリング)
12 ドライブ軸受(シェル形ニードルベアリング)
15 旋回スクロール
15C 軸受ボス部
27,28 円筒状スリーブ
Claims (5)
- 軸受ボス部の穴に、シェル形ニードルベアリングを設置し、該シェル形ニードルベアリングにより軸を支持する軸受構造において、
前記軸受ボス部の穴と前記シェル形ニードルベアリングの外輪との間に、所要の剛性および精度を有する金属製の円筒状スリーブが設置されていることを特徴とする軸受構造。 - 前記円筒状スリーブは、前記軸受ボス部の穴側に予め圧入または鋳包みされていることを特徴とする請求項1に記載の軸受構造。
- ハウジング内にクランク軸が軸受を介して回転自在に支持されているとともに、前記クランク軸の一端に設けられているクランクピンに、旋回スクロールの軸受ボス部が軸受を介して回転自在に結合されているスクロール圧縮機において、
前記軸受の一方または双方をシェル形ニードルベアリングとするとともに、
前記ハウジングの軸受ボス部と前記クランク軸支持用の前記シェル形ニードルベアリングの外輪との間および/または前記旋回スクロールの軸受ボス部と前記旋回スクロール結合用の前記シェル形ニードルベアリングの外輪との間に、所要の剛性および精度を有する金属製の円筒状スリーブが設置されていることを特徴とするスクロール圧縮機。 - 前記円筒状スリーブは、前記軸受ボス部の穴側に予め圧入または鋳包みされていることを特徴とする請求項3に記載のスクロール圧縮機。
- 前記円筒状スリーブは、その真円度が5μm以上、10μm以下とされていることを特徴とする請求項3または4に記載のスクロール圧縮機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012190138A JP2014047673A (ja) | 2012-08-30 | 2012-08-30 | 軸受構造およびスクロール圧縮機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012190138A JP2014047673A (ja) | 2012-08-30 | 2012-08-30 | 軸受構造およびスクロール圧縮機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014047673A true JP2014047673A (ja) | 2014-03-17 |
Family
ID=50607616
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012190138A Pending JP2014047673A (ja) | 2012-08-30 | 2012-08-30 | 軸受構造およびスクロール圧縮機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2014047673A (ja) |
-
2012
- 2012-08-30 JP JP2012190138A patent/JP2014047673A/ja active Pending
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