JP2014047282A - 筆記具用水性インキ組成物及びそれを内蔵した筆記具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】着色剤と、水と、1,4−ビス(3,3′−(1−デシルピリジニウム)メチルオキシ)ブタンジブロマイドを含んでなる筆記具用水性インキ組成物。前記筆記具用水性インキ組成物を内蔵してなる筆記具。
【選択図】なし
Description
本発明は、安全性が高く、長期経時後も十分な効果を発現することができる防腐剤を用いることで、長期間安定した筆跡形成が可能な、より実用性の高い筆記具用水性インキ組成物とそれを内蔵した筆記具を提供するものである。
更に、前記着色剤が平均粒子径0.1〜5μmの範囲にある顔料を含んでなることを要件とする。
更には、前記筆記具用水性インキ組成物を内蔵してなる筆記具を要件とし、前記筆記具がマーキングペン形態であることを要件とする。
また、顔料成分等、比較的大きな着色剤を用いた場合には、分散状態で保持する能力を発現するため、振動や長期経時による顔料凝集を抑制できるものである。
0.05重量%未満では防腐剤としての効果を得ることは困難であり、また、5重量%を越えて配合しても更なる効果は得られないので、これ以上の添加を要しない。
前記染料としては、酸性染料、塩基性染料、直接染料等を使用することができる。
酸性染料としては、ニューコクシン(C.I.16255)、タートラジン(C.I.19140)、アシッドブルーブラック10B(C.I.20470)、ギニアグリーン(C.I.42085)、ブリリアントブルーFCF(C.I.42090)、アシッドバイオレット6B(C.I.42640)、ソルブルブルー(C.I.42755)、ナフタレングリーン(C.I.44025)、エオシン(C.I.45380)、フロキシン(C.I.45410)、エリスロシン(C.I.45430)、ニグロシン(C.I.50420)、アシッドフラビン(C.I.56205)等が用いられる。
塩基性染料としては、クリソイジン(C.I.11270)、メチルバイオレットFN(C.I.42535)、クリスタルバイオレット(C.I.42555)、マラカイトグリーン(C.I.42000)、ビクトリアブルーFB(C.I.44045)、ローダミンB(C.I.45170)、アクリジンオレンジNS(C.I.46005)、メチレンブルーB(C.I.52015)等が用いられる。
直接染料としては、コンゴーレッド(C.I.22120)、ダイレクトスカイブルー5B(C.I.24400)、バイオレットBB(C.I.27905)、ダイレクトディープブラックEX(C.I.30235)、カヤラスブラックGコンク(C.I.35225)、ダイレクトファストブラックG(C.I.35255)、フタロシアニンブルー(C.I.74180)等が用いられる。
尚、前記顔料を分散する樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、アクリル酸樹脂、マレイン酸樹脂、アラビアゴム、セルロース、デキストラン、カゼイン等、およびそれらの誘導体、前記した樹脂の共重合体等が挙げられる。
蛍光顔料としては、各種蛍光性染料を樹脂マトリックス中に固溶体化した合成樹脂微細粒子状の蛍光顔料が使用できる。
また、酸化チタン等の白色顔料、アルミニウム等の金属粉、天然雲母、合成雲母、アルミナ、ガラス片から選ばれる芯物質の表面を二酸化チタン等の金属酸化物で被覆したパール顔料、コレステリック液晶型光輝性顔料等を使用することもできる。
更に、熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(加熱消色型顔料)や、熱変色性組成物と共に、染料や顔料を内包したマイクロカプセル顔料等の熱変色性顔料を使用することもできる。
前記可逆熱変色性組成物としては、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル中に内包させた加熱消色型のマイクロカプセル顔料が適用できる。
尚、前記色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物として具体的には、完全発色温度を冷凍室、寒冷地等でしか得られない温度、即ち−50〜0℃、好ましくは−40〜−5℃、より好ましくは−30〜−10℃、且つ、完全消色温度を摩擦体による摩擦熱、ヘアドライヤー等身近な加熱体から得られる温度、即ち50〜95℃、好ましくは50〜90℃、より好ましくは60〜80℃の範囲に特定し、ΔH値を40〜100℃に特定することにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持に有効に機能させることができる。
尚、前記顔料の平均粒子径の上限としては、5μm以下、好ましくは4μm以下とすることが筆記具形態でのインキ吐出性の面から有効である。
前記高分子凝集剤は、顔料粒子間のゆるい橋かけ作用を生じさせ、ゆるい凝集状態となる。このようなゆるい凝集状態となることで、インキ中における顔料の分離を効果的に抑制できる。特に、本発明で用いられる1,4−ビス(3,3′−(1−デシルピリジニウム)メチルオキシ)ブタンジブロマイドと併用することで、前記凝集状態を長期に亘って効果的に発現することができる。
前記高分子凝集剤としては水溶性高分子が用いられ、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、水溶性多糖類等が挙げられる。
前記水溶性多糖類としてはトラガントガム、グアーガム、プルラン、サイクロデキストリン、水溶性セルロース誘導体等が挙げられ、水溶性セルロース誘導体の具体例としてはメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。
尚、前記高分子凝集剤は二種以上を併用することもできる。
前記水溶性樹脂は、紙面への固着性や粘性を付与するために添加するものであるが、前述の櫛型高分子分散剤や有機窒素硫黄化合物のインキ中での安定性を高める機能も有している。
前記水溶性樹脂としては、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、スチレンマレイン酸共重合物、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン等が挙げられ、好ましくはポリビニルアルコールが用いられる。
更に、前記ポリビニルアルコールは、けん化度が70〜89モル%の部分けん化度型ポリビニルアルコールがインキが酸性域でも可溶性に富むため、より好適に用いられる。
前記水溶性樹脂の添加量としては、インキ中に0.3〜3.0質量%、好ましくは0.5〜1.5質量%の範囲で添加される。
尚、前記水溶性有機溶剤は一種又は二種以上を併用して用いることができ、2〜60重量%、好ましくは5〜35重量%の範囲で用いられる。
更に、潤滑剤を添加することができ、金属石鹸、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイド付加型カチオン活性剤、リン酸エステル系活性剤、N−アシルアミノ酸系界面活性剤、ジカルボン酸型界面活性剤、β−アラニン型界面活性剤、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールやその塩やオリゴマー、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、チオカルバミン酸塩、ジメチルジチオカルバミン酸塩、α−リポ酸、N−アシル−L−グルタミン酸とL−リジンとの縮合物やその塩等が用いられる。
また、N−ビニル−2−ピロリドンのオリゴマー、N−ビニル−2−ピペリドンのオリゴマー、N−ビニル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム、N−ビニル−ε−カプロラクタムのオリゴマー等の増粘抑制剤を添加することで、出没式形態での機能を高めることもできる。
前記剪断減粘性付与剤としては、水に可溶乃至分散性の物質が効果的であり、キサンタンガム、ウェランガム、ゼータシーガム、ダイユータンガム、マクロホモプシスガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100乃至800万)、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万〜15万の重合体、グルコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する炭水化物、ポリN−ビニル−カルボン酸アミド架橋物、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、架橋性アクリル酸重合体、無機質微粒子、HLB値が8〜12のノニオン系界面活性剤、ジアルキルスルホコハク酸の金属塩やアミン塩等を例示できる。更には、インキ組成物中にN−アルキル−2−ピロリドンとアニオン系界面活性剤を併用して添加してもよい。
前記剪断減粘性付与剤は、インキ組成物中0.1〜20重量%の範囲で用いることができる。
また、ペン先を1本備えるものの他、太さや形状の異なるペン先を軸筒の両端に備えた両頭式形態であってもよい。尚、前記両頭式形態においては、一端をボールペンとしたものであってもよい。
(1)シンロイヒ(株)製、商品名:SW−17ピンク(有効成分42%、平均粒子径0.5μm)
(2)(イ)成分として4−[2,6−ビス(2−エトキシフェニル)−4−ピリジニル]−N,N−ジメチルベンゼンアミン、(ロ)成分として、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチルからなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(予め−20℃以下に冷却してマイクロカプセル顔料を黄色に発色させたもの)。平均粒子径:2.5μm、完全消色温度:61℃、完全発色温度:−20℃、温度変化により黄色から無色に変色する。
(3)(イ)成分として1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、(ロ)成分として4,4′−(2−エチルヘキサン−1、1−ジイル)ジフェノール、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチルからなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(予め−20℃以下に冷却してマイクロカプセル顔料を黄色に発色させたもの)。平均粒子径:2.3μm、完全消色温度:60℃、完全発色温度:−20℃、温度変化により橙色から無色に変色する。
(4)冨士色素(株)製、商品名:フジSPブルー6455(固形分:27.5%、平均粒子径0.5μm)
(5)オリエント化学工業(株)製、商品名:ウォーターブラック100L(20%水溶液)
(6)日本ルーブリゾール(株)製、商品名:ソルスパース43000
(7)2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの混合物、北興化学工業(株)製、商品名:ホクサイドR−150
(8)東レダウコーニング(株)製、商品名:FSアンチフォーム013A
(9)リン酸エステル系界面活性剤、第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフAL
(10)三晶(株)製、商品名:レオザン
前記実施例1乃至5及び比較例1乃至5の配合量で各原料を混合し、20℃で3時間撹拌溶解した後、濾過することによりマーキングペンインキ組成物を得た。
ポリエステルスライバーを合成樹脂フィルムで被覆したインキ吸蔵体内に前記マーキングペンインキ組成物を含浸させ、ポリプロピレン樹脂からなる軸筒内に収容し、ホルダーを介して軸筒先端部にポリエステル繊維の樹脂加工チップ(砲弾型)を接続状態に組み立て、キャップを装着することでマーキングペンを得た。
前記実施例6乃至8及び比較例6乃至8の配合量で増粘剤を除く各原料を混合し、20℃でディスパーにて400rpm、1時間攪拌した後、増粘剤を加えて更に1時間攪拌することでボールペンインキ組成物を得た。
腐食試験
調製した各インキ5gをサンプル瓶に移し取り蓋をした後、50℃,湿度60%の環境下に60日間放置した。その後、インキの状態(カビ発生の有無)を目視により確認した。
筆記試験
前記マーキングペンをキャップ上向きで50℃,湿度60%の環境下に60日間放置した後、旧JIS P3201筆記用紙Aに手書きで螺旋状の丸を連続筆記した際の筆跡の状態を目視により確認した。
インキ安定性試験
実施例1乃至4及び比較例1乃至4のインキ組成物を収容したマーキングペンをチップ下向き状態で静置し、50℃,湿度60%の環境下に60日間放置した。その後、室温にて内部のインキの状態を目視により確認した。
各試験の結果を以下に示す。
腐食試験
○:変化なし。
×:カビの発生が見られる。
筆記試験
○:良好な筆跡が得られる。
×:筆跡にカスレが見られる、または筆記不能であった。
インキ安定性試験
○:異常なし。
×:顔料の凝集や沈降が見られる。
Claims (4)
- 着色剤と、水と、1,4−ビス(3,3′−(1−デシルピリジニウム)メチルオキシ)ブタンジブロマイドを含んでなる筆記具用水性インキ組成物。
- 前記着色剤が平均粒子径0.1〜5μmの範囲にある顔料を含んでなる請求項1記載の筆記具用水性インキ組成物。
- 前記請求項1又は2に記載の筆記具用水性インキ組成物を内蔵してなる筆記具。
- マーキングペン形態である請求項3記載の筆記具。
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