JP2014043065A - 積層シートおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の異なる樹脂からなる積層シートに比べて、優れた密着保持性を有し、太陽電池用バックシートのような長期間屋外に曝されるような用途で好適に使用することができる積層シートを提供する。
【解決手段】ガラス転移点温度が10℃以上の熱可塑性樹脂が主たる構成成分であるP1層とガラス転移点温度が10℃よりも低い熱可塑性樹脂が主たる構成成分であるP3層を有し、該P1層に平均粒径が2.5μm以上の無機粒子がP1層の総質量に対して3質量%以上40質量%以下の範囲含まれ、且つP1層の厚みの合計をT1、積層シート全体厚みをTaとした場合、T1/Taが25%以上であることを特徴とする積層シート。
【選択図】なし

Description

本発明は優れた層間密着保持性を有する、太陽電池用バックシートのような長期間屋外に曝されるような用途で好適に使用することができる積層シート、および該積層シートの製造方法に関する。
従来、異なる樹脂からなる積層シートは、各々の樹脂特性を両立させたシートを得ることができる点から、一般的に種々の用途に使用されている。例えば二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)にオレフィンシートをドライラミネートにて貼り合わせた積層シートは、優れた耐久性とガスバリア性を有することから、太陽電池バックシート用途に使用されている(特許文献1)。
一方で前記の太陽電池バックシート用途においては、耐久性、生産性を高めるために、PET以外の樹脂材料の適用検討が行われており、耐久性があるポリアミド系樹脂をベースとしたものやポリカーボネート樹脂ベース、ポリブチレンテレフタレート樹脂ベースなど各種樹脂を適用した積層シートが開発されている(特許文献2、3)。
特表2010−528454号公報 特表2010−528454号公報 特表2010−527142号公報
しかしながらこれらの積層シートでは、長期間屋外に曝されたりすると各層の膨張係数の違いなどから、層間で剥離が発生してしまう欠点があることが分かった。そこで本発明では従来の課題を鑑みて、2種の異なる樹脂からなる積層シートでありながら、優れた層間密着保持性を有する積層シートを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は以下の構成をとる。すなわち、ガラス転移点温度Tgが10℃以上の熱可塑性樹脂が主たる構成成分であるP1層と、ガラス転移点温度Tgが10℃よりも低い熱可塑性樹脂が主たる構成成分であるP3層とを有し、該P1層に、平均粒径が2.5μm以上の無機粒子が、P1層の総質量に対して3質量%以上40質量%以下の範囲含まれ、且つ P1層の厚みの合計をT1、積層シート全体厚みをTaとした場合、T1/Taが25%以上であることを特徴とする積層シート。
本発明によれば、異なる樹脂からなる積層シートでありながら、優れた密着保持性を有する積層シートを提供することができる。
本発明では、ガラス転移点温度Tgが10℃以上の熱可塑性樹脂が主たる構成成分であるP1層と、ガラス転移点温度Tgが10℃よりも低い熱可塑性樹脂が主たる構成成分であるP3層とを有する。
P1層の主たる構成成分である、ガラス転移点温度Tgが10℃以上の熱可塑性樹脂(以下、A1)は特に限定されないが、ポリアミド系樹脂が好ましい。P1層の主たる構成成分である熱可塑性樹脂のガラス転移点温度Tgが10℃未満であると、長期間屋外に曝されるような用途で使用した際に積層シートの形態が保持できないことがある。P1層の主たる構成成分である熱可塑性樹脂のガラス転移点温度Tgは、20℃以上であることが好ましく、30℃以上であることがさらに好ましい。また、P1層の主たる構成成分である熱可塑性樹脂のガラス転移点温度Tgの上限は特に限定されるものではないが、200℃以下であることが好ましい。
ここでいうポリアミド系樹脂とは、1)ラクタム骨格を有する化合物を開環重合したもの、2)一分子中にアミノ基とカルボキシル基を有するアミノ酸成分を重縮合したもの、3)ジアミン成分とジカルボン酸成分を重縮合したもの、および1)〜3)を共重合したものおよび/または混合したもの等が挙げられる。
1)に用いられるラクタム骨格を有する化合物の例としては、ε−カプロラクタム(開環重合によりナイロン6が得られる)、ω−ウンデカンラクタム(開環重合によりナイロン11が得られる)、ω−ラウロラクタム(開環重合によりナイロン12が得られる)などのラクタム化合物が挙げられる。
また2)に用いられる一分子中にアミノ基とカルボキシル基を有するアミノ酸成分の例としては、ε−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などのアミノ酸が挙げられる。
また3)に用いられるジアミン成分の例としては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、メタキシレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、1,2,2,4−テトラメチルへキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルへキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス−p−アミノシクロヘキシルメタン、2,2−ビス−p−アミノシクロへキシルプロパン、イソホロンジアミンなどが挙げられ、また、3)に用いられるジカルボン酸成分の例としては、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セパシン酸、ドデカンニ酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ダイマー酸などのジカルボン酸が挙げられる。
これらの構成成分について、1)ラクタム骨格を有する化合物、2)アミノ酸成分、について単独または混合物、あるいは3)ジアミンとジカルボン酸の混合物、等の形で重合に供され、そうして得られるポリアミド系樹脂は、単独の重合体、共重合体いずれも本発明で用いることができる。これらの中でも、P1層の主たる構成成分である、ガラス転移点温度Tgが10℃以上のポリアミド系樹脂としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリへキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリへキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)が好ましい。
ここで、本発明の積層シートにおいて、P1層の主たる構成成分であるポリアミド系樹脂は、結晶性の高さや強度、耐熱性、剛性面で、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11、及びナイロン12からなる群より選ばれる少なくとも1つの樹脂がより好ましい。中でもナイロン6、ナイロン66は、比較的耐熱性に優れる点から、例えば本発明の積層シートを太陽電池バックシートのような耐熱性が要求される用途に用いた際に好適に使用できる。
なおP1層について、ガラス転移点温度Tgが10℃以上の熱可塑性樹脂が主たる構成成分であるとは、該層の全成分100質量%において、ガラス転移点温度Tgが10℃以上の熱可塑性樹脂を50質量%を超えて100質量%以下含有していることを意味する。

一方でP3層の主たる構成成分である、ガラス転移点温度Tgが10℃よりも低い熱可塑性樹脂(以下、A3)は特に限定されないが、ポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。P3層の主たる構成成分である熱可塑性樹脂のガラス転移点温度Tgが10℃以上であると、積層シートの平面性が悪化することがある。P3層の主たる構成成分である熱可塑性樹脂のガラス転移点温度Tgは、0℃以下であることが好ましく、−10℃以下であることがさらに好ましい。また、P3層の主たる構成成分である熱可塑性樹脂のガラス転移点温度Tgの下限は特に限定されるものではないが、−200℃以上であることが好ましい。
ここでいうポリオレフィン系樹脂とは、ポリプロピレン、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−プロピレン−ブテンコポリマー、ポリメチルペンテンなどの脂肪族ポリオレフィンや、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマーなどの環状ポリオレフィン、ポリオレフィン系エラストマーが挙げられ、これらポリオレフィン系樹脂を混合して用いてもよい。
ここで、本発明の積層シートにおいて、P3層の主たる構成成分であるポリオレフィン系樹脂は、加工が容易で比較的安価な点からポリプロピレン、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレンコポリマー、及びエチレン−プロピレン−ブテンコポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1つの樹脂がより好ましい。中でもポリプロピレン、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンは、比較的ガスバリア性に優れる点から、例えば本発明の積層シートを太陽電池バックシートのようなガスバリア性が要求される用途に用いた際に好適に使用できる。
なおP3層について、ガラス転移点温度Tgが10℃よりも低い熱可塑性樹脂が主たる構成成分であるとは、該層の全成分100質量%において、ガラス転移点温度Tgが10℃よりも低い熱可塑性樹脂を50質量%を超えて100質量%以下含有していることを意味する。

更に、本発明の積層シートのP1層には、平均粒径が2.5μm以上の無機粒子(以下、無機粒子F1)が、P1層の総質量に対して3質量%以上40質量%以下の範囲含まれていることが重要である。無機粒子F1は、P1層の総質量に対して4質量%以上30質量%以下であることが好ましく、5質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。ここでいう平均粒径とは、レーザー解析・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径を意味する。なお、無機粒子F1は、好ましくは平均粒径が3μm以上、より好ましくは4μm以上である。
本発明の積層シートのP1層において、無機粒子F1の含有量が、P1層の総質量に対して3質量%よりも小さい場合、本発明の効果である層間密着保持性が不足する。一方で、無機粒子F1の含有量が、P1層の総質量に対して40質量%よりも大きい場合、層間密着性そのものが低下する。
また本発明のP1層に含まれる無機粒子F1の平均粒径が2.5μmより小さい場合においても、本発明の効果が同様に不足する。
尚、無機粒子F1の平均粒径の上限は、シートの機械的強度、平滑性、平面性を維持できる点から30μm以下が好ましい。
更に、ここでいう無機粒子とは一次粒子を意味し、さらに詳細に説明すると、本発明における無機粒子F1としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、レニウム、バナジウム、オスミウム、コバルト、鉄、亜鉛、ルテニウム、プラセオジウム、クロム、ニッケル、アルミニウム、スズ、亜鉛、チタン、タンタル、ジルコニウム、アンチモン、インジウム、イットリウム、ランタニウム等の金属、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セシウム、酸化アンチモン、酸化スズ 、インジウム・スズ酸化物、酸化イットリウム 、酸化ランタニウム 、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等の金属酸化物、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム 、フッ化アルミニウム 、氷晶石等の金属フッ化物、リン酸カルシウム等の金属リン酸塩、炭酸カルシウム等の炭酸塩、硫酸バリウム等の硫酸塩、タルクおよびカオリン、マイカ等の珪酸塩が挙げられ、これらの無機粒子を混合して用いてもよい。
本発明においては、加工性や比較的安価な点から、無機粒子F1としてはタルク、マイカ、炭酸カルシウムがより好ましく、中でも寸法変化抑制効果に優れる点からタルクが最も好ましく用いられる。
本発明の積層シートのP1層において、平均粒径が2.5μm以上の無機粒子F1をP1層の総質量に対して3質量%以上40質量%以下の範囲で含ませることで、長期間屋外に曝されたりした場合でもP1層の寸法変化を抑制し、層間密着性保持性に優れた積層シートとすることができる。

また、屋外で使用されることが多いことを鑑みれば、無機粒子F1以外の無機粒子として、紫外線吸収能を有する酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、などの金属酸化物を、前記の無機粒子F1と併用した場合に、本発明の効果に加えて、耐紫外線性を活かして長期に亘ってシートの劣化による伸度低下や着色を低減するという効果を発揮することができる。この時、無機粒子F1以外の無機粒子は、P1層の総質量に対して1質量%以上30質量%以下の範囲で含有することが好ましく、より好ましくは2質量%以上20質量%以下、さらに好ましくは3質量%以上15質量%以下である。中でも、本発明の積層シートを例えば太陽電池バックシートに用いた場合、高い反射特性を付与できるという点では、無機粒子F1以外の無機粒子として酸化チタンが、更には耐紫外線性がより高いという点でルチル型酸化チタンを無機粒子F1以外の無機粒子として用いて、これを前記の無機粒子F1と併用するのがより好ましい。

また本発明では、P3層においても、無機粒子を1質量%以上30質量%以下の範囲で含有することが好ましい。P3層中の無機粒子の含有量は、より好ましくは2質量%以上20質量%以下、さらに好ましくは3質量%以上10質量%以下である。この無機粒子は、その目的に応じて必要な機能をフィルムに付与するために用いられる。本発明において、例えば紫外線吸収能を有する無機粒子である酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、などの金属酸化物を用いた場合に、粒子による耐紫外線性を活かして、長期に亘ってシートの劣化による伸度劣化や着色を低減するという効果を発揮させることができる。さらには本発明の積層シートを例えば太陽電池バックシートに用いる場合、高い反射特性を付与できるという点から、無機粒子として酸化チタンを用いるのが好ましく、耐紫外線性がより高いという点でルチル型酸化チタンを用いるのがより好ましい。
本発明の積層シートのP1層およびP3層には、本発明の効果が損なわれない範囲内で、有機粒子を、各層の総質量に対して0.1質量%以上20質量%以下の範囲で含まれていてもよい。ここでいう有機粒子とは、シリコーン系化合物、架橋スチレンや架橋アクリル、架橋メラミンなどの架橋粒子の他、カーボン、フラーレン、カーボンファイバー、カーボンナノチューブなどの炭素系化合物等が挙げられ、さらには各層の構成成分である熱可塑性樹脂と非相溶で、かつこれら樹脂中に島状に分散する樹脂も有機粒子とみなすことができる。
例えば、有機粒子として紫外線吸収能を有するカーボン、フラーレン、カーボンファイバー、カーボンナノチューブなどの炭素系材料等を用いた場合、屋外で使用される用途において長期に亘って紫外線による伸度劣化や色調変化を抑制することができると共に、意匠性も兼ね備えたシートとすることができる。
また有機粒子として、各層の構成成分である熱可塑性樹脂と非相溶で、かつこれら樹脂中に島状に分散する樹脂を用いた場合、例えばP1層の主たる構成成分としてポリアミド系樹脂を用いた際は、ポリアミド系樹脂特有の吸湿性を抑えることができる。

本発明では、P1層とP3層の間に接着層(P2層)を設けることが好ましい。P2層としては、P1層とP3層の両層に接着するのが好ましく、後述する製造方法によって適宜選択できる。例えば、本発明の積層シートを共押出法で製造する場合では、変性ポリオレフィン、共重合ポリオレフィンなどの接着性オレフィン系樹脂、ドライラミネート法ではメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるアクリル酸エステル系接着剤、尿素樹脂又はメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤などを、P2層の主たる構成成分として挙げることができるが、これらに限定されるものではない。

本発明の積層シートには、本発明の効果が損なわれない範囲内でその他の添加剤(例えば、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、有機の易滑剤、顔料、染料、充填剤、帯電防止剤、核剤などが挙げられる。但し、本発明にいう無機粒子はここでいう添加剤には含意されない)等が配合されていてもよい。例えば、本発明の積層シートのP1層に、添加剤として耐熱安定剤を含有させた場合、本発明の積層シートの耐熱性をより高めることができる。中でもP1層の主たる構成成分がポリアミド系樹脂の場合、耐熱安定剤としてハロゲン化銅やハロゲン化アルカリ金属、市販の酸化防止剤などがより好ましく用いられる。またP1層やP3層に、添加剤として紫外線吸収剤を含有させた場合には、本発明の積層シートの耐紫外線性をより高めることが可能となる。また帯電防止剤などを添加すると電気絶縁性の向上が期待できる。

本発明の積層シートに、無機粒子や有機粒子、添加剤を添加する方法は、予め各層の原料を、ベント式二軸混練押出機やタンデム型押出機を用いて溶融混練する方法が好ましい。この際、樹脂は熱履歴を受けるため少なからず熱劣化する懸念がある。そのため高濃度マスターペレットを作製しそれを熱可塑性樹脂と混合して希釈しても用いる方法が好ましい。例えば、本発明の積層シートのP1層に無機粒子を添加する際は、P1層の無機粒子含有量に比べて含有量の多い高濃度マスターペレットを作製し、それをP1層の構成成分の熱可塑性樹脂と混合して希釈し、所定の無機粒子含有量とするのが好ましい。

本発明の積層シートは前記のP1層及びP3層からなり、必要に応じてP1層とP3層の間にP2層を設けることができる。また本発明の積層シートは、P1層が積層シートの表層に位置し、P1層と逆表層がP3層となる構成が好ましい。さらには、本発明の積層シートを例えばP1層/P2層/P3層/P2層/P1層/P2層/P3層の7層構成など、P2層を介してP1層とP3層が複数積層される多層積層構成なども好ましい。
本発明の積層シートは、P1層が積層シートの表層に位置するのが好ましく、更にはP1層と逆表層がP3層となる構成とすることがより好ましい。本発明の積層シートをかかる構成とすることで、例えばP1層の主たる構成成分をポリアミド系樹脂、P3層の主たる構成成分をポリオレフィン系樹脂とした積層シートを太陽電池バックシートに用いた場合、本発明の優れた密着保持性効果に加えて、P1層の優れた耐加水分解性や耐紫外線性と、P3層の優れた水蒸気バリア性や封止剤との密着性を両立することができる等、P1層及びP3層の特性を両立した積層シートとすることができる。

本発明において、P1層の厚みの合計をT1、積層シート全体厚みをTaとした場合、シート全体厚みに対するP1層の合計の積層比T1/Taが、25%以上であることが重要であり、好ましくは30%以上、より好ましくは33%以上である。本発明の積層シートにおいて、P1層の積層比T1/Taが25%に満たない場合、積層シートの層間密着保持性が不足することがある。尚、P1層の積層比T1/Taの上限は特に限定されるものではないが75%以下が好ましい。本発明の積層シートにおいてP1層の積層比T1/Taが75%を超えると積層シートの平面性が悪化することがある。本発明において、P1層の積層比T1/Taを25%以上とすることで、層間密着保持性に優れた積層シートを得ることができる。

本発明の積層シートの厚みは、特に限定されず、用途により適当な厚みを選択することができるが、一般的には50μm以上2,000μm以下とすることが好ましい。例えば、本発明の積層シートを太陽電池バックシートに用いた場合、積層シートの厚みは50μm以上500μm以下が好ましく、より好ましくは100μm以上400μm以下である。積層シートの厚みが50μm未満の場合、バックシートの平坦性を確保することが困難となる場合がある。一方、500μmより厚い場合、本発明の積層シートを太陽電池に搭載した太陽電池全体の厚みが大きくなりすぎることがある。また本発明の積層シートをフラットケーブルなどの電気絶縁材料として用いた場合、積層シートの厚みは500μm以上2,000μm以下が好ましく、より好ましくは1000μm以上1500μm以下である。積層シートの厚みが500μm未満の場合、電気絶縁性が不足する場合がある。一方、2,000μmより厚い場合、シートの加工性、巻き取り性などが低下する場合がある。

本発明の積層シートは、耐紫外線性に優れる方が好ましい。具体的には本発明の積層シートに温度60℃、相対湿度60%の雰囲気下、強度100mW/cmのメタルハライドランプ(波長範囲:295〜450nm、ピーク波長:365nm)を96時間照射する紫外線照射試験を行った前後のシートの色調変化(Δb値)が、7未満であることが好ましく、より好ましくは2未満、更に好ましくは1未満である。尚、本発明の積層シートのP1層が表層に位置し、P1層と逆表層がP3層となる構成の場合、紫外線照射試験はP1層が設けられている側の面に行う。
本発明の積層シートにおいて、紫外線照射試験後の色調変化(Δb値)が7以上の場合、例えば本発明の積層シートを太陽電池バックシートのような、屋外に長期間曝されるような用途で使用した際、紫外線劣化によってシートが変色し外観を損ねてしまう場合がある。本発明の積層シートにおいて、紫外線照射試験後の色調変化(Δb値)を7未満とすることで、太陽電池バックシートのような耐紫外線性が要求される用途で好適に使用することができる。
本発明の積層シートは、耐熱性に優れる方が好ましい。具体的には本発明の積層シートに温度120℃で72時間処理する耐熱試験後の破断伸度が10%以上であることが好ましく、より好ましくは25%以上、更に好ましくは50%以上である。本発明の積層シートにおいて、耐熱試験後の破断伸度が10%未満の場合、例えば本発明の積層シートを太陽電池バックシートのような、屋外に長期間曝されるような用途で使用した際、高温環境下でシートにクラックが発生し絶縁不良となる場合がある。本発明の積層シートにおいて、耐熱試験後の破断伸度を10%以上とすることで、太陽電池バックシートのような耐熱性が要求される用途で好適に使用することができる。
本発明の積層シートは、ガスバリア性に優れる方が好ましい。具体的には本発明の積層シートの水蒸気透過率が3g/(m・day)以下であることが好ましく、より好ましくは2g/(m・day)以下、更に好ましくは1.5g/(m・day)以下である。本発明の積層シートにおいて、水蒸気透過率が3g/(m・day)を超えると、例えば本発明の積層シートを太陽電池バックシートのような、屋外に長期間曝されるような用途で使用した際、太陽電池の発電セル端子が水蒸気によって腐食されたりすることがある。本発明の積層シートにおいて、水蒸気透過率が3g/(m・day)以下とすることで、太陽電池バックシートのようなガスバリア性が要求される用途で好適に使用することができる。
本発明の積層シートにおいて、前記の紫外線照射試験後の色調変化(Δb値)を6以下でかつ、耐熱試験後の破断伸度が10%以上でかつ、水蒸気透過率が3g/(m・day)以下とすることがより好ましい。それにより、優れた耐紫外線性、耐熱性、ガスバリア性を両立したシートとすることができ、例えば太陽電池バックシートのような、耐紫外線性、耐熱性、ガスバリア性が要求されるような用途に好適に使用することができる。

次に、本発明の積層シートの製造方法について例を挙げて説明する。
本発明の積層シートにおいてP1層及びP3層を積層する方法としては、例えば、P1層用のガラス転移点温度Tgが10℃以上の熱可塑性樹脂を主たる構成成分とする原料、およびP3層用のガラス転移点温度Tgが10℃よりも低い熱可塑性樹脂を主たる構成成分とする原料、必要に応じてP1層とP3層を接着させるP2層用の原料を、それぞれ別の押出機に供給し、各々溶融後に、P1層、P3層(さらに、必要に応じてP2層)を合流させて積層し、Tダイからシート状に押し出す工程を含む方法(共押出法)、単膜で作製したシートに必要に応じてP2層として接着剤を塗布し、被覆層原料を押出機に投入して溶融押出して口金から押出しながらラミネートする方法(溶融ラミネート法)、あらかじめ各シートをそれぞれ別々に作製し、P2層として溶媒に溶解させた接着剤を塗布・乾燥した後、ロール群などにより圧着し貼り合わせる方法(ドライラミネート法)、加熱したロール等で圧着させる方法(熱圧着法)等を使用することができる。これらのうち製造工程が短く、かつ層間の接着性が良好であるという点で共押出法が好ましい。以下、共押出法での製法を詳述する。
本発明の積層シートを共押出法で製造する場合、つまり、P1層用のガラス転移点温度Tgが10℃以上の熱可塑性樹脂を主たる構成成分とする原料、およびP3層用のガラス転移点温度Tgが10℃よりも低い熱可塑性樹脂を主たる構成成分とする原料を、それぞれ別の押出機に供給し、各々溶融後にP1層、P3層を合流させて積層し、Tダイからシート状に押し出す工程を含む製造方法について記載する。この製造方法では、まず必要に応じて乾燥した各層用の原料を、窒素気流下でそれぞれ別の押出機に供給し溶融する。次いで、マルチマニホールドダイやフィードブロックやスタティックミキサー、ピノール等を用いて溶融した各層用の原料を合流、積層させてTダイからシート状に共押出する。この時、各層の原料間で溶融粘度差が大きい場合は、積層ムラ抑制の観点からマルチマニホールドダイが好ましい。
前記の方法によって共押出した積層シートを、必要に応じて温度調整したロールに押出、冷却固化させることにより本発明の積層シートを得ることができる。この際、二つのロール間でニップしながらシート化を行う方法(ニップ法)、エアを当てながらロールに密着させる方法(エアナイフ法)、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりロールに密着させる方法(ピニング法)、およびこれらを組み合わせた方法等を用いることができる。
前記の方法で得られた本発明の積層シートを、本発明の効果が損なわれない範囲で、必要に応じてエージングなどの熱処理やコロナ処理、プラズマ処理といった表面処理などの加工処理を加えてもよい。本発明の積層シートにおいて、熱処理や表面処理などの加工処理を加えることで、本発明の積層シートの寸法安定性、耐カール性、他のシート材料との密着性などを向上することができる。
本発明の積層シートは前記の製造方法によって製造することができる。得られた積層シートは、従来の2種の異なる樹脂からなる積層シートに比べて、優れた層間密着保持性を有するものである。本発明の積層シートはその特長を生かして長期間屋外に曝されるような太陽電池バックシートや配線ケーブル、粘着テープ、輸送ホースなどの電気絶縁材料、自動車用材料、建築材料用途に好適に使用することができる。
[特性の評価方法]
(1)ガラス転移点温度Tg
JIS K7122(1987)に準じて、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置”ロボットDSC−RDC220”を、データ解析にはディスクセッション”SSC/5200”を用い、樹脂(A1)及び樹脂(A3)のガラス転移点温度Tgを測定した。測定は、樹脂(A1)あるいは樹脂(A3)をサンプルパンに5mg秤量し、20℃/分の昇温速度で樹脂を−150℃から250℃まで加熱(1stRUN)し、その状態で5分間保持し、次いで−150℃以下まで急冷し、再度20℃/分の昇温速度で250℃まで加熱(2ndRUN)を行い、得られた示差走査熱量測定チャートの2ndRunのガラス転移点における変曲点での接線とベースラインの交点の温度をガラス転移点温度Tgとした。

(2)無機粒子の含有率、平均粒径
積層シートからP1層を削る、または剥がして分離し、質量W(g)を測定する。溶媒に溶解させ、遠心分離により、不溶成分のうちから無機粒子を分取した。得られた無機粒子を溶媒で更に洗浄、遠心分離した後、得られた無機粒子の質量Wtを測定する。尚、洗浄作業は遠心分離後の洗浄液にエタノールを添加しても白濁しなくなるまで繰り返した。
(2−1)無機粒子F1の分離
得られた無機粒子をWhatman製の定量濾紙グレード42でろ過後、残渣として残った成分を無機粒子F1とした。
(2−2)無機粒子含有量
得られた無機粒子F1の質量Wf1を求め、下記式(I、II)から無機粒子の含有率を算出した。
無機粒子F1の含有率(質量%)=(Wf1/W)×100・・・(I)
その他の無機粒子の含有率(質量%)=((Wt−Wf1)/W)×100・・・(II)
P3層に含まれる無機粒子の含有量についても同様に分離・洗浄後の質量比から算出を行った。

(3)無機粒子の平均粒径
(2)で分離した無機粒子について、レーザー解析・散乱法によって粒度分布を求め、粒度分布における積算値50%での粒径を平均粒径とした。ここでいう粒度分布とは「レーザー回折・散乱法粒度分布測定装置 LSシリーズ」( ベックマンコールター(株))、 豊田 真弓著「粒度分布を測定する」(ベックマンコールター(株) 粒子物性本部 学術チーム)、に従い求めた。尚、測定溶液は、純水に無機粒子を加えホモジナイザーで1分間分散処理を行い、装置の濃度調整ウインドウの表示が45〜55%になるように調製した。

(4)層厚みT1、T2、T3、Ta、積層比T1/Ta
下記(4−1)〜(4−4)の手順にて求めた。なお、測定は10ヶ所場所を変えて測定し、その平均値をP1層の層厚みT1(μm)、P2層の層厚みT2(μm)、P3層の層厚みT3(μm)、さらにシート全体の厚みTaとして、積層比T1/Taを求めた。
(4−1)ミクロトームを用いて、積層シート断面を厚み方向に潰すことなく、積層シート面方向に対して垂直に切断する。
(4−2)次いで切断した断面を、電子顕微鏡を用いて観察し、500倍に拡大観察した画像を得る。なお、観察場所は無作為に定めるものとするが、画像の上下方向が積層シートの厚み方向と、画像の左右方向が積層シートの面方向とそれぞれ平行になるようにする。なお、厚み方向全体が1枚の画像中に入りきらない場合は、厚み方向に観察位置をずらして観察し、複数の画像をあわせることによって、厚み全体が確認できる画像を準備する。
(4−3)前記(4−2)で得られる画像中におけるP1層の層厚みT1、P2層の層厚みT2、P3層の厚みT3、シート全体の厚みTaを求めた。
(4−4)T1をTaで除し、積層比T1/Taを算出した。

(5)層間密着保持性
(5−1)サンプル作製
層間密着保持性評価用のサンプルは、厚さ3mm、180×180mmサイズの半強化ガラス上に、サンビック(株)製の500μm厚のEVAシート、およびコロナ処理を行った実施例、比較例の積層シートを重ね、市販のガラスラミネーターを用いて真空引き後に、145℃加熱条件下、29.4N/cm荷重で15分プレス処理をして作製した。この時、積層シートの少なくとも片面側にP3層が設けられている場合は、P3層がEVAシート側に位置するように重ねる。
(5−2)層間密着保持性の判定
(5−1)で作製した試験片を10個準備し、85℃85%RHに調整した(株)エスペック製の恒温恒湿槽で1,000hr処理した後、試験槽内で層間剥離が発生していないかを目視で確認を行った。層間密着保持性は、10個の試験片のうち、目視で剥離が発生しているものが何個あるかについて、以下のように判定を行った。
全ての試験片で剥離が発生していない場合:A
剥離が発生した試験片が1個以上4個以下の場合:B
剥離が発生した試験片が5個以上9個以下の場合:C
全ての試験片で剥離が発生した場合:D
層間密着保持性はA〜Cが良好であり、その中で最もAが優れている。

(6)耐紫外線性
(6−1)紫外線照射前の色調
JIS−Z−8722(2000)に基づき、分光式色差計(日本電色工業製SE−2000、光源 ハロゲンランプ 12V4A、0°〜−45°後分光方式)を用いて、反射法により積層シートの色調(b値)をn=3で測定した。
(6−2)紫外線照射後の色調変化(Δb)
実施例、比較例の積層シートを、岩崎電気(株)製アイスーパー紫外線テスターS−W131にて、温度60℃、相対湿度60%、照度100mW/cm(光源:メタルハライドランプ、波長範囲:295〜450nm、ピーク波長:365nm)の条件下で96時間照射した前後の色調(b値)を、前記(5−1)項に従い測定し、次の(III)式より紫外線照射後の色調変化(Δb)を算出した。この時、積層シートの少なくとも片面側にP1層が設けられている場合は、P3層がEVAシート側に位置するように重ねるようにする。
紫外線照射後の色調変化(Δb)=b1−b0 (III)式
b0:紫外線照射前の色調(b値)
b1:紫外線照射後の色調(b値)
(6−3)耐紫外線性(色調変化の抑制性)の判定
得られた紫外線照射後の色調変化(Δb)について、以下のように判定を行った。
紫外線照射後の色調変化(Δb)が1未満の場合:A
紫外線照射後の色調変化(Δb)が1以上2未満の場合:B
紫外線照射後の色調変化(Δb)が2以上7未満の場合:C
紫外線照射後の色調変化(Δb)が7以上の場合:D
耐紫外線性はA〜Cが良好であり、その中で最もAが優れている。

(7)耐熱性
(7−1)シートの破断伸度
ASTM−D882(1999)に基づいて、積層シートを1cm×20cmの大きさに切り出し、チャック間5cm、引っ張り速度300mm/minにて引っ張ったときの破断伸度を測定した。なお、サンプル数はn=5とし、また、フィルムの縦方向、横方向のそれぞれについて測定した後、それらの平均値として求めた。
(7−2)耐熱試験後の破断伸度
実施例、比較例の積層シートをエスペック製ギアオーブンにて温度120℃で72時間処理し、その後前記(7−1)項に従って破断伸度を測定した。なお、測定はn=5とし、フィルムの縦方向、横方向のそれぞれについて測定した後、その平均値を耐熱試験後の破断伸度とした。
得られた耐熱試験後の伸度保持率について、以下のように判定を行った。
耐熱試験後の破断伸度が50%以上の場合:A
耐熱試験後の破断伸度が25%以上50%未満の場合:B
耐熱試験後の破断伸度が10%以上25%未満の場合:C
耐熱試験後の破断伸度が10%未満の場合:D
耐熱性はA〜Cが良好であり、その中で最もAが優れている。

(8)ガスバリア性
実施例、比較例の積層シートをMOCON社製PERMATRAN W−TWINを用いて、1992年8月1日制定の「プラスチックフィルムおよびシートの水蒸気透過度試験方法(機器測定法)JIS−K7129B法(1992年版)」に従い、40℃、90%RH条件下で測定を行った。得られた水蒸気透過率より積層シートのガスバリア性について以下のように判定を行った。
水蒸気透過率が1.5g/(m・day)未満の場合:A
水蒸気透過率が1.5g/(m・day)以上、2(g/m・day)未満の場合:B
水蒸気透過率が2g/(m・day)以上、3g/(m・day)以下の場合:C
水蒸気透過率が3g/(m・day)を超える場合:D
ガスバリア性はA〜Cが良好であり、その中で最もAが優れている。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
・ポリアミド系樹脂
実施例1〜17、24〜26、比較例1〜8におけるP1層、比較例9におけるP3層を構成するポリアミド系樹脂(PA6)として “アミラン”(登録商標)CM1021T(東レ(株)製、Tg50℃)を用いた。
実施例18におけるP1層を構成するポリアミド系樹脂(PA66)として“アミラン”(登録商標)CM3001(東レ(株)製、Tg50℃)を用いた。
実施例19におけるP1層を構成するポリアミド系樹脂(PA610)として“アミラン”(登録商標)CM2001(東レ(株)製、Tg50℃)を用いた。
実施例20におけるP1層を構成するポリアミド系樹脂(PA11)として“リルサンB”(登録商標)BESN TL(アルケマ製、Tg37℃)を用いた。
実施例21におけるP1層を構成するポリアミド系樹脂(PA12)として“リルサンA”(登録商標)AESN TL(アルケマ製、Tg37℃)を用いた。
・ポリカーボネート樹脂
実施例22におけるP1層を構成するポリカーボネート樹脂(PC)として“タフロン”(登録商標)A1700(出光興産(株)製、Tg150℃)を用いた。
・ポリブチレンテレフタレート樹脂
実施例23におけるP1層を構成するポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)として“トレコン”(登録商標)1401X−X06(東レ(株)製、Tg30℃)を用いた。
・ポリオレフィン系樹脂
比較例9におけるP1層、実施例1〜23、比較例1〜8におけるP3層を構成するポリプロピレン樹脂(PP)として“住友ノーブレン”(登録商標)FLX80E4(住友化学(株)製、Tg−10℃)を用いた。
実施例24におけるP3層を構成する直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)として“スミカセン−L”(登録商標)GA401(住友化学(株)製、Tg−120℃)を用いた。
実施例25におけるP3層を構成するエチレン−プロピレンコポリマー(EPC)として“住友ノーブレン”(登録商標)FL6412(住友化学(株)製、Tg−15℃)を用いた。
実施例26におけるP3層を構成するエチレン−プロピレン−ブテンコポリマー(EPBC)として“住友ノーブレン”(登録商標)FL64J3(住友化学(株)製、Tg−15℃)を用いた。
・接着性樹脂
実施例1〜16、18〜26、比較例1〜9におけるP2層を構成する接着性樹脂1として“モディック”(登録商標)F534A(三菱化学(株)製)を用いた。
実施例17におけるP2層を構成する接着性樹脂2としてウレタン系接着剤(“タケラック”(登録商標)A310(三井武田ケミカル(株)製)90質量%、“タケネート”(登録商標)A3(三井武田ケミカル(株)製)10質量%を混合したもの)を用いた。
・無機粒子
実施例及び比較例におけるP1層に含まれるタルクとしては、表に記載の平均粒径を有するタルクを用いた。なお、P1層のタルクは、P1層を構成する樹脂とタルクとが60質量%/40質量%の割合になるように、ベント式二軸混練押出機でマスターペレットを作製し、実施例及び比較例の希望濃度になるように調整して添加した。
実施例1〜14、16〜26、比較例1〜9におけるP1層、実施例1〜15、17〜26、比較例1〜9におけるP3層に含まれる二酸化チタン(TiO)としてFTR−700(堺化学工業(株)製、ルチル型、平均粒径0.2μm)を用いた。またP1層の二酸化チタンはP1層を構成する樹脂と二酸化チタンが60質量%/40質量%の割合になるように、P3層の二酸化チタンはP3層を構成する樹脂と二酸化チタンが40質量%/60質量%の割合になるようにベント式二軸混練押出機でマスターペレットを作製し、実施例及び比較例の希望濃度になるように調整して添加した。
Figure 2014043065
(実施例1〜11)
押出機1、押出機2および押出機3を用い、表1に示す樹脂及び無機粒子を所望の配合比になるように各押出機に供給し、次いで押出機1から溶融押出された層がP1層、押出機2がP2層、押出機3がP3層として、表1に示す積層構成の順に積層されるようマルチマニホールドを用いて各層を合流させ、Tダイからシート状に押出された樹脂をキャストドラム上に冷却固化して積層シートを得た。この際、P1層、P2層、P3層の厚みが表1に示す厚みとなるように各押出機の吐出量を調整した。
得られた積層シートについて表1に示す評価を実施した。その結果、実施例1〜11は密着保持性が良好であり、中でも無機粒子F1の平均粒径及び含有量を調整することで非常に優れた密着保持性を有する積層シートとできることがわかった。
さらに、実施例1〜11については非常に優れた耐紫外線性、耐熱性、ガスバリア性を有する積層シートであることがわかった。
Figure 2014043065
(実施例12、13)
P1層の厚みT1を表2に示す厚みとなるように調整した以外は、実施例1と同様に積層シートを得た。
得られた積層シートについて実施例1と同様に評価を実施した。その結果、P1層の厚み比を大きくすることで非常に優れた密着保持性を有する積層シートとできることがわかった。
さらに、P1層の厚み比を大きくすることで非常に優れた耐熱性を有する積層シートとできることがわかった。
(実施例14)
積層構成を表1に示す順となるようにマルチマニホールド内の合流部分の構造を変更した以外は、実施例1と同様に積層シートを得た。
得られた積層シートについて実施例1と同様に評価を実施した。その結果、優れた密着保持性を有する積層シートであることがわかった。
(実施例15、16)
無機粒子F1以外の無機粒子としてTiOを表2に示す組成となるように添加した以外は、実施例1と同様に積層シートを得た。
得られた積層シートについて実施例1と同様に評価を実施した。その結果、非常に優れた密着保持性を有する積層シートであることがわかった。
(実施例17)
表2に示す組成及び厚みのP1層及び、P3層をあらかじめ製膜しておき、溶剤に溶かした接着性樹脂2を製膜したP1層上に、乾燥後の厚みが表2に示す厚みとなるようにコーティングし、80℃で45秒間乾燥した後、市販のラミネーターを用いてP1層とP3層を張り合わせて積層シートを得た。
得られた積層シートを45℃で48時間エージング処理した後、実施例1と同様に評価を実施した。その結果、優れた密着保持性を有する積層シートであることがわかった。
Figure 2014043065
(実施例18〜26)
P1層の構成成分(A1)及びP3層の構成成分(A3)を表3に示す樹脂を用いた以外は、実施例1と同様に積層シートを得た。
得られた積層シートについて実施例1と同様に評価を実施した。その結果、非常に優れた密着保持性を有する積層シートであることがわかった。
Figure 2014043065
(比較例1〜8)
押出機1を用いて、表4に示す樹脂及び無機粒子を所望の配合比になるように調整した以外は実施例1と同様に積層シートを得た。
得られた積層シートについて実施例1と同様に評価を実施した。その結果、無機粒子F1の平均粒径及び含有量を表4の通り調整した比較例1〜8は密着保持性に劣る積層シートであることがわかった。
(比較例9)
P1層の構成成分(A1)にPP、P3層の構成成分(A3)にPA6を用いた以外は、実施例1と同様に積層シートを得た。
得られた積層シートについて実施例1と同様に評価を実施した。その結果、密着保持性に劣る積層シートであることがわかった。
本発明の積層シートは太陽電池バックシートや配線ケーブル、粘着テープ、輸送ホースなどの電気絶縁材料、自動車用材料、建築材料を初めとした長期間屋外に曝されるような用途に好適に使用することができる。

Claims (5)

  1. ガラス転移点温度Tgが10℃以上の熱可塑性樹脂が主たる構成成分であるP1層と、ガラス転移点温度Tgが10℃よりも低い熱可塑性樹脂が主たる構成成分であるP3層とを有し、
    該P1層に、平均粒径が2.5μm以上の無機粒子が、P1層の総質量に対して3質量%以上40質量%以下の範囲含まれ、
    且つP1層の厚みの合計をT1、積層シート全体厚みをTaとした場合、T1/Taが25%以上であることを特徴とする積層シート。
  2. P1層の主たる構成成分である熱可塑性樹脂が、ポリアミド系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の積層シート。
  3. P3層の主たる構成成分である熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層シート。
  4. P1層が、積層シートの表層に位置し、P1層と逆表層がP3層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層シート。
  5. P1層用のガラス転移点温度Tgが10℃以上の熱可塑性樹脂を主たる構成成分とする原料、およびP3層用のガラス転移点温度Tgが10℃よりも低い熱可塑性樹脂を主たる構成成分とする原料を、それぞれ別の押出機に供給し、各々溶融後にP1層、P3層を合流させて積層し、Tダイからシート状に押し出す工程を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の積層シートの製造方法。
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JP2021011529A (ja) * 2019-07-05 2021-02-04 株式会社アースクリエイト シートおよびシートの製造方法

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