JP2014162080A - 積層シートおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の異なる樹脂からなる積層シートに比べて、優れた耐熱性を有し、太陽電池用バックシートのような長期間屋外に曝されるような用途で好適に使用することができる積層シートを提供する。
【解決手段】ポリアミド系樹脂を主たる成分とする層(P1層)と、融点が130℃以上の熱可塑性樹脂を主たる成分とする層(P2層)を有し、P1層とP2層とが接しており、P1層が、無機ハロゲン化物を含有することを特徴とする積層シート。
【選択図】図1

Description

本発明は優れた耐熱性を有する、太陽電池用バックシートのような長期間屋外に曝されるような用途で好適に使用することができる積層シート、及び該積層シートの製造方法、該積層シートを有する太陽電池に関する。
従来、異なる樹脂からなる積層シートは、各々の樹脂特性を両立させたシートを得ることができる点から、一般的に種々の用途に使用されている。例えば二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)にポリオレフィン系樹脂シートをドライラミネートにて貼り合わせた積層シートは、優れた耐久性と水蒸気バリア性を有することから、太陽電池バックシート用途に使用されている。
一方、ポリアミド系樹脂からなるシートは剛性、耐衝撃性、耐摩耗性などの機械的性質がすぐれ、耐湿熱性、成形加工性、耐薬品性も良好なために、自動車部品、電気部品、一般機械部品など幅広い用途に使用されており、前記の太陽電池バックシート用途においては、耐久性、生産性を高めるために、PET以外の樹脂材料としてポリアミド系樹脂をベースとした積層シートが開発されている(特許文献1、2)。
特表2010−528454号公報 特表2010−527142号公報
しかしながら特許文献1や2に記載の積層シートは、長期間屋外に曝されたりすると熱による樹脂の劣化が進行し、機械的強度の低下や外観不良が発生してしまう欠点があることが分かった。そこで本発明では、従来の課題を鑑みて、ポリアミド系樹脂を主たる成分とする層を有しながら、優れた耐熱性を有する積層シートを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は以下の構成をとる。すなわち、本発明は以下である。
ポリアミド系樹脂を主たる成分とする層(P1層)と、融点が130℃以上の熱可塑性樹脂を主たる成分とする層(P2層)を有し、P1層とP2層とが接しており、P1層が、無機ハロゲン化物を含有することを特徴とする積層シート。
本発明によれば、異なる樹脂を主たる成分とする層の積層シートでありながら、優れた耐熱性を有する積層シートを提供することができる。
本発明の積層シートを用いた太陽電池の構成の一例を模式的に示す断面図である。
本発明の積層シートは、ポリアミド系樹脂を主たる成分とする層(P1層)と、融点が130℃以上の熱可塑性樹脂を主たる成分とする層(P2層)を有する。
ここでP1層の主たる成分である、ポリアミド系樹脂とは、1)ラクタム骨格を有する化合物を開環重合したもの、2)一分子中にアミノ基とカルボキシル基を有するアミノ酸成分を重縮合したもの、3)ジアミン成分とジカルボン酸成分を重縮合したもの、1)〜3)を共重合したもの、およびこれらを混合したものからなる群より選ばれる少なくとも1つの樹脂等が挙げられる。
1)に用いられるラクタム骨格を有する化合物の例としては、ε−カプロラクタム(開環重合によりナイロン6が得られる)、ω−ウンデカンラクタム(開環重合によりナイロン11が得られる)、ω−ラウロラクタム(開環重合によりナイロン12が得られる)などのラクタム骨格を有する化合物が挙げられる。
また、2)に用いられる一分子中にアミノ基とカルボキシル基を有するアミノ酸成分の例としては、ε−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などのアミノ酸が挙げられる。
また、3)に用いられるジアミン成分の例としては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、メタキシレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、1,2,2,4−テトラメチルへキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルへキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス−p−アミノシクロヘキシルメタン、2,2−ビス−p−アミノシクロへキシルプロパン、イソホロンジアミンなどが挙げられる。
また、3)に用いられるジカルボン酸成分の例としては、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セパシン酸、ドデカンニ酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ダイマー酸などのジカルボン酸が挙げられる。
これらの成分について、1)ラクタム骨格を有する化合物及び2)アミノ酸成分について単独または混合物、あるいは3)ジアミンとジカルボン酸の混合物、等の形で重合に供され、そうして得られるポリアミド系樹脂は、単独の重合体、共重合体いずれも本発明で用いることができる。これらの中でも、P1層の主たる成分であるポリアミド系樹脂としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリへキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリへキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)が好ましい。
本発明の積層シートにおいて、P1層の主たる成分であるポリアミド系樹脂は、結晶性の高さや強度、加工性、剛性面で、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11、及びナイロン12からなる群より選ばれる少なくとも1つの樹脂がより好ましい。中でもナイロン6、ナイロン610、ナイロン66は、比較的安価で、耐久性にも優れる点から、例えば太陽電池バックシートのような長期間屋外に曝されることから耐久性が要求される用途に本発明の積層シートを好適に使用することができる。
なおP1層について、ポリアミド系樹脂を主たる成分とするとは、該層の全成分100質量%において、ポリアミド系樹脂が50質量%を超えて100質量%以下含有していることを意味する。

本発明の積層シートにおいて、P2層は融点(以下、融点Tm2)が130℃以上の熱可塑性樹脂が主たる成分である。P2層の主たる成分の熱可塑性樹脂は、好ましくは融点Tm2が140℃以上、より好ましくは160℃以上である。本発明の積層シートにおいて、P2層の主たる成分である熱可塑性樹脂の融点Tm2が130℃未満の場合、積層シート中のP1層が後述する無機ハロゲン化物を含有することによって優れた耐熱性を有していたとしても、P2層の影響によりシート全体の耐熱性が低下する。本発明において、P2層の主たる成分を融点Tm2が130℃以上の熱可塑性樹脂とすることで、積層シートにおけるP1層の優れた耐熱性を維持することが可能となり、結果的に積層シート全体が優れた耐熱性を有することができる。

またP2層の主たる成分である融点Tm2が130℃以上の熱可塑性樹脂としては、融点Tm2が130℃以上でありさえすれば特に限定されないが、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。ここでいうポリオレフィン系樹脂とは、ポリプロピレン、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−プロピレン−ブテンコポリマー、ポリメチルペンテンなどの脂肪族ポリオレフィンや、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマーなどの環状ポリオレフィン、ポリオレフィン系エラストマーなどが挙げられ、これらポリオレフィン系樹脂を混合して用いてもよい。中でも融点Tm2が130℃以上である点から、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−プロピレン−ブテンコポリマーなどが、P2層の主たる成分である融点Tm2が130℃以上の熱可塑性樹脂としてより好ましく用いられる。
尚、P2層について、融点Tm2が130℃以上の熱可塑性樹脂を主たる成分とするとは、該層の全成分100質量%において、融点Tm2が130℃以上の熱可塑性樹脂が50質量%を超えて100質量%以下含有していることを意味する。またP2層は、融点が130℃以上の異なる熱可塑性樹脂を併用することができ、この場合、融点が130℃以上の異なる熱可塑性樹脂の合計量が、該層の全成分100質量%において50質量%を超えて100質量%以下であることが重要である。
またP2層は、融点Tm2が130℃以上の熱可塑性樹脂を主たる成分としさえすれば、他に融点が130℃未満の熱可塑性樹脂を併用することも可能であり、この場合、融点Tm2が130℃以上の熱可塑性樹脂が層中で連続構造をとるような形態が好ましい。
P2層の主たる成分である熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂が好ましいと述べた通り、本発明の積層シートにおいて、P2層の主たる成分である熱可塑性樹脂を、融点Tm2が130℃以上のポリオレフィン系樹脂とすることで、異なる樹脂を主たる成分とする層からなる積層シートでありながら、より優れた耐熱性を有する積層シートとすることができる。
尚、P2層の主たる成分である熱可塑性樹脂の融点Tm2の上限については特に限定されるものではないが、主たる成分としてポリオレフィン系樹脂が好ましい点から、P2層の主たる成分である熱可塑性樹脂の融点Tm2は200℃以下であることが好ましい。

更にP2層の主たる成分である融点が130℃以上の熱可塑性樹脂は、P1層との接着性の観点から、酸変性されたポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。ここでいう酸変性されたポリオレフィン系樹脂とは、カルボン酸エステル基、無水マレイン酸基、エポキシ基等の酸性置換基を有するポリオレフィン系樹脂を意味する。そして酸変性されたポリオレフィン系樹脂は、JIS−K0070−1992にて規定される酸価が、0.1KOHmg/g以上であることが好ましい。本発明の積層シートにおいて、P2層の主たる成分である融点が130℃以上の熱可塑性樹脂を、酸変性されたポリオレフィン系樹脂とすることで、層間の接着性に優れた積層シートとすることができる。

本発明の積層シートは、P1層及びP2層を有し、P1層とP2層とが接していることが重要である。本発明の積層シートにおいて、P1層とP2層とが接していない場合、本発明の効果が損なわれる。本発明の積層シートにおいて、P1層とP2層とが接した構成とすることで、優れた耐熱性を有する積層シートとすることができる。
また必要に応じて、P1層にP2層を介してP3層を設けることが好ましい。つまり本発明の積層シートは、熱可塑性樹脂を主たる成分とする層(P3層)を有し、P2層が、P1層と接している面とは異なる面において、P3層と接していることが好ましい。さらには、P1層が積層シートの表層に位置し、P1層と逆表層がP3層となる構成がより好ましい。具体的には、P1層/P2層/P3層/P2層/P1層/P2層/P3層の7層構成など、P2層を介してP1層とP3層が複数積層される多層積層構成なども好ましく選択できる。なお、本発明において、特に好ましい構成は、P2層が、P1層と接している面とは異なる面において、P3層と接し、全ての層が1層のみである構成、つまり、P1層/P2層/P3層の積層構成である。
本発明の積層シートにおいて、P2層が、P1層と接している面とは異なる面において、P3層と接している(P1層にP2層を介してP3層を設ける)ことで、P1層とP2層のみからなる本発明の積層シートの有する効果に加えて、P3層の特性を積層シートに付与することができる。例えば、本発明の積層シートのP1層に、P2層を介して、ポリオレフィン系樹脂を主たる成分とするP3層を設けることで、P1層及びP2層による効果に加えて、水蒸気バリア性や電気絶縁性を付与することができ、例えば本発明の積層シートを太陽電池バックシートのような長期間屋外に曝され、尚且つ、電気絶縁性が要求される用途に好適に使用できる。
尚、P3層について、熱可塑性樹脂を主たる成分とするとは、該層の全成分100質量%において、熱可塑性樹脂が50質量%を超えて100質量%以下含有していることを意味する。
P3層の主たる成分である熱可塑性樹脂は特に限定されないが、P3層の主たる成分としては、P2層の主たる成分とは異なるポリオレフィン系樹脂であることがより好ましく、ポリオレフィン系樹脂の融点に関わらず用途に応じて選定することができる。例えば積層シートにヒートシール性を付与したい場合、P3層の主たる成分は130℃未満のポリオレフィン系樹脂が好ましい。また、ホットメルト接着剤などとの接着性など易接着性を付与したい場合、適した表面エネルギーや、接着剤との相溶性に優れるような分子骨格を有するポリオレフィン系樹脂が好ましい。つまり本発明の積層シートにおいて、P3層の主たる成分は、その用途に応じて、P2層の主たる成分とは異なるポリオレフィン系樹脂を選定することで、例えば本発明の積層シートを太陽電池バックシートなどの易接着性が要求される用途により好適に使用することができる。

更に本発明の積層シートは、P1層が無機ハロゲン化物が含有することが重要である。ここでいう無機ハロゲン化物とは、具体的には塩化銅、酢酸銅、硫酸銅、ヨウ化銅、臭化銅などの銅塩、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、臭化ナトリウムなどのアルカリ金属塩、臭化アンモニウム、塩化アンモニウムなどのアンモニウム塩などが好適に挙げられる。中でも優れた耐熱性を付与できる点から、P1層が含有する無機ハロゲン化物としては、ヨウ化銅(I)が好ましく用いられる。
またP1層は、2種類の無機ハロゲン化物を含有することが好ましい。そして、P1層が2種類の異なる無機ハロゲン化物を含有する場合には、より優れた耐熱性を付与できる点とポリアミド系樹脂中の無機ハロゲン化物の安定性に優れる点から、P1層が含有する無機ハロゲン化物としては、ヨウ化銅(I)とヨウ化カリウムを併用することがより好ましい。
P1層が無機ハロゲン化物を含有しない場合、積層シートの耐熱性が不足する問題がある。
P1層に含まれる無機ハロゲン化物の含有量(P1層が2種類以上の異なる無機ハロゲン化物を含有する場合には、P1層中の全ての無機ハロゲン化物の合計量)としては、特に限定されないが、P1層中に300ppm(質量基準)以上が好ましく、より好ましくは1,000ppm(質量基準)以上、更に好ましくは5,000ppm(質量基準)以上である。本発明の積層シートにおいて、P1層に含まれる無機ハロゲン化物の含有量が300ppm(質量基準)未満の場合、積層シートの耐熱性が不足する場合がある。
尚、P1層に含まれる無機ハロゲン化物の含有量については特に限定されるものではないが、多量に含有させ過ぎた場合、溶出の懸念があることから、P1層に含まれる無機ハロゲン化物の含有量は30,000ppm(質量基準)以下であることが好ましい。
本発明の積層シートにおいて、P1層に無機ハロゲン化物を300ppm以上含有させることで、特に耐熱性に優れた積層シートすることができ、例えば本発明の積層シートを太陽電池バックシートのような太陽電池用バックシートのような長期間屋外に曝されるような用途に好適に使用することができる。

また本発明の積層シートのP1層は、本発明の効果が損なわれない範囲内で、無機ハロゲン化物以外の無機粒子をP1層の全成分100質量%に対して0.1質量%以上20質量%以下の範囲で含有してもよい。ここでいう無機ハロゲン化物以外の無機粒子とは、紫外線吸収能を有する酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムなどの金属酸化物や補強効果を有するタルク、カオリン、マイカ、ワラステナイト、クレイ、ベントナイトなどの珪酸塩、ガラスファイバーなどの繊維状粒子などが挙げられ、これらの無機粒子を併用することで長期に亘ってシートの紫外線による劣化や寸法変化を低減することができ、例えば本発明の積層シートを太陽電池バックシートのような長期間屋外に曝されるような用途に好適に使用することができる。

更にP1層は、本発明の効果が損なわれない範囲内で、有機粒子をP1層の全成分100質量%に対して0.1質量%以上20質量%以下の範囲で含有してもよい。ここでいう有機粒子とは、シリコーン系化合物、架橋スチレンや架橋アクリル、架橋メラミンなどの架橋粒子の他、カーボン、フラーレン、カーボンファイバー、カーボンナノチューブなどの炭素系化合物等が挙げられ、さらにはP1層の主たる構成成分であるポリアミド系樹脂と非相溶で、かつこれら樹脂中に島状に分散する樹脂も有機粒子とみなすことができる。
例えば、有機粒子として紫外線吸収能を有するカーボン、フラーレン、カーボンファイバー、カーボンナノチューブなどの炭素系材料等を用いた場合、屋外で使用される用途において長期に亘って紫外線による劣化を抑制することができると共に、意匠性も兼ね備えたシートとすることができる。また有機粒子としてP1層の主たる構成成分であるポリアミド系樹脂と非相溶で、かつこれら樹脂中に島状に分散する樹脂を用いた場合、ポリアミド系樹脂特有の吸湿性を抑えることができる。

また本発明の積層シートがP3層を有する場合、P3層においても前記の無機粒子や有機粒子をP3層の全成分100質量%に対して0.1質量%以上20質量%以下の範囲で含有させることが好ましく、その目的に応じて必要な機能をフィルムに付与するために用いられる。例えば本発明において、紫外線吸収能を有する酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムなどの金属酸化物やカーボン、フラーレン、カーボンファイバー、カーボンナノチューブなどの炭素系材料等を用いた場合、粒子による耐紫外線性を活かして、長期に亘ってシートの劣化による伸度劣化や着色を低減するという効果を発揮させることができる。さらには本発明の積層シートを例えば太陽電池バックシートに用いる場合、高い反射特性を付与できるという点から、無機粒子として酸化チタンを用いるのが好ましく、耐紫外線性がより高いという点でルチル型酸化チタンを用いるのがより好ましい。

また本発明の積層シートには、本発明の効果が損なわれない範囲内で、その他の添加剤として例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、有機の易滑剤、顔料、染料、充填剤、帯電防止剤、核剤等が含有されていてもよい。例えば、P1層やP3層に、添加剤として紫外線吸収剤を含有させた場合には、本発明の積層シートの耐紫外線性をより高めることが可能となる。また帯電防止剤などを添加すると電気絶縁性の向上が期待できる。但し、上述の無機ハロゲン化物はここでいう添加剤には含意されない。

本発明の積層シートに、無機ハロゲン化物やその他の無機粒子、有機粒子、添加剤を添加する方法は、予め各層の原料を、ベント式二軸混練押出機やタンデム型押出機を用いて溶融混練する方法が好ましい。この際、樹脂は熱履歴を受けるため少なからず熱劣化する懸念がある。そのため高濃度マスターペレットを作製し、それを熱可塑性樹脂と混合して希釈して用いる方法が好ましい。例えば、本発明の積層シートのP1層に無機ハロゲン化物を添加する際は、P1層の無機ハロゲン化物含有量に比べて含有量の多い高濃度マスターペレットを作製し、それをP1層の主たる構成成分であるポリアミド系樹脂と混合して希釈し、所定の含有量に調整するのが好ましい。

本発明において、P1層の厚みの合計(P1層の厚みの合計とは、P1層が複数存在する場合には、その厚みの合計値を意味し、P1層が1層のみの場合には、その1層の厚みを意味する。)をT1、積層シート全体の厚みをTaとした場合、シート全体に対するP1層の合計の積層比T1/Taが、25%以上であることが好ましく、より好ましくは30%以上、更に好ましくは33%以上である。本発明の積層シートにおいて、P1層の合計の積層比T1/Taが25%に満たない場合、積層シートの耐熱性が低下することがある。また、シート全体に対するP1層の合計の積層比T1/Taの上限は特に限定されるものではないが、90%以下が好ましい。本発明の積層シートにおいて、P1層の合計の積層比T1/Taが90%を超えると、積層シートの平面性が悪化することがある。本発明において、P1層の合計の積層比T1/Taを25%以上とすることで、耐熱性に優れた積層シートを得ることができる。

本発明の積層シートの厚みは、特に限定されず、用途により適当な厚みを選択することができるが、一般的には50μm以上2,000μm以下とすることが好ましい。例えば、本発明の積層シートを太陽電池バックシートに用いた場合、積層シートの厚みは50μm以上500μm以下が好ましく、より好ましくは100μm以上400μm以下である。積層シートの厚みが50μm未満の場合、バックシートの平坦性を確保することが困難となる場合がある。一方、500μmより厚い場合、本発明の積層シートを有する太陽電池を製造した場合に、太陽電池全体の厚みが大きくなることがある。また本発明の積層シートをフラットケーブルなどの電気絶縁材料として用いた場合、積層シートの厚みは500μm以上2,000μm以下が好ましく、より好ましくは1,000μm以上1,500μm以下である。積層シートの厚みが500μm未満の場合、電気絶縁性が不足することがある。一方、2,000μmより厚い場合、シートの加工性、巻き取り性などが低下することがある。

次に、本発明の積層シートの製造方法について例を挙げて説明する。
本発明の積層シートにおいてP1層及びP2層を積層する方法としては、例えば、ポリアミド系樹脂を主たる成分とするP1層用の原料、および融点が130℃以上の熱可塑性樹脂を主たる成分とするP2層用の原料を、それぞれ別の押出機に供給し、各々溶融後にP1層、P2層を合流させて積層し、Tダイからシート状に押し出す工程を含む方法(共押出法)、P1層を単膜で作製したシートに必要に応じて接着剤を塗布し、P2層用原料を押出機に投入して溶融押出して口金から押出しながらラミネートする方法(溶融ラミネート法)等を使用することができる。これらのうち製造工程を簡略化できるという点で共押出法が好ましい。なお、共押出法により、P2層が、P1層と接している面とは異なる面において、P3層と接している態様の積層シートを製造する場合には、ポリアミド系樹脂を主たる成分とするP1層用の原料、融点Tm2が130℃以上の熱可塑性樹脂を主たる成分とするP2層用の原料、及び熱可塑性樹脂を主たる成分とするP3層用の原料を、それぞれ別の押出機に供給し、各々溶融後に合流させて積層し、Tダイからシート状に押し出す工程を含む方法とすることで可能である。以下、共押出法での製法を詳述する。
本発明の積層シートを共押出法で製造する場合、まず必要に応じて乾燥した各層用の原料を、窒素気流下でそれぞれ別の押出機に供給し、各層の主たる構成成分の融点+10℃以上の温度で溶融させ、次いで、マルチマニホールドダイやスタッグプレートダイ、フィードブロック、スタティックミキサー、ピノール等を用いて溶融した各層の原料を合流、積層させてTダイからシート状に共押出する。この時、各層の原料間で溶融粘度差が大きい場合は、積層ムラ抑制の観点からマルチマニホールドダイやスタッグプレートダイが好ましい。
前記の方法によって共押出した積層シートを、必要に応じて温度調整したロールに押出、冷却固化させることにより本発明の積層シートを得ることができる。この際、二つのロール間でニップしながらシート化を行う方法(ニップ法)、エアを当てながらロールに密着させる方法(エアナイフ法)、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりロールに密着させる方法(ピニング法)、およびこれらを組み合わせた方法等を用いることができる。
前記の方法で得られた本発明の積層シートを、必要に応じて本発明の効果が損なわれない範囲で、エージングなどの熱処理やコロナ処理、プラズマ処理といった表面処理などの加工処理を加えてもよい。本発明の積層シートにおいて、熱処理や表面処理などの加工処理を加えることで、本発明の積層シートの寸法安定性、耐カール性、他のシート材料との接着性などを向上させることができる場合がある。
本発明の積層シートは前記の製造方法によって製造することができる。得られた積層シートは、従来の2種の異なる樹脂を主たる成分とする層を有する積層シートに比べて、優れた耐熱性を有するものである。本発明の積層シートはその特長を生かして長期間屋外に曝されるような太陽電池バックシートや配線ケーブル、粘着テープ、輸送ホースなどの電気絶縁材料、自動車用材料、建築材料用途に好適に使用することができる。

本発明の太陽電池は、前述の本発明の積層シートを有するものである。本発明の太陽電池は、本発明の積層シートを有しさえすれば特に限定されるものではないが、以下に本発明の太陽電池の構成を例示する。本発明の太陽電池において、上述の積層シートは太陽電池バックシート1として発電素子3を封止した封止材2の背面に設置される。ここで、本発明の積層シートのP2層またはP3層が、封止材2側に位置するように配置した太陽電池とすることが、封止材との密着性をより高くすることができるという点で好ましい。このような構成とすることによって、本発明の積層シートの優れた耐熱性を生かして、長期間屋外に曝されても外観不良や漏電等が起こりにくい高耐久の太陽電池とすることができる。
発電素子3は、太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換するものであり、結晶シリコン系、多結晶シリコン系、微結晶シリコン系、アモルファスシリコン系、銅インジウムセレナイド系、化合物半導体系、色素増感系など、目的に応じて任意の素子を、所望する電圧あるいは電流に応じて複数個を直列または並列に接続して使用することができる。透光性を有する透明基板4は太陽電池の最表層に位置するため、高透過率のほかに、高耐候性、高耐汚染性、高機械強度特性を有する透明材料が使用される。本発明の太陽電池において、透光性を有する透明基板4は上記特性と満たせばいずれの材質を用いることができ、その例としてはガラス、四フッ化エチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニル樹脂(PVF)、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、ポリ四フッ化エチレン樹脂(TFE)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、ポリ三フッ化塩化エチレン樹脂(CTFE)、ポリフッ化ビニリデン樹脂などのフッ素系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、およびこれらの混合物などが好ましく挙げられる。ガラスの場合、強化されているものを用いるのがより好ましい。また樹脂製の透明基板を用いる場合は、機械的強度の観点から、上記樹脂を一軸または二軸に延伸したものも好ましく用いられる。
また、これら基板には発電素子の封止材との接着性を付与するために、表面に、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、易接着処理を施すことも好ましく行われる。
発電素子を封止するための封止材2は、発電素子の表面の凹凸を樹脂で被覆し固定し、外部環境から発電素子保護し、電気絶縁の目的の他、透光性を有する基板やバックシートと発電素子に接着するため、高透明性、高耐候性、高接着性、高耐熱性を有する材料が使用される。その例としては、エチレン−ビニルアセテート共重合体(EVA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、アイオノマー樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、およびこれらの混合物などが好ましく用いられる。
以上のように、本発明の積層シートを太陽電池バックシートとして太陽電池に搭載することにより、従来の太陽電池と比べて、高耐久の太陽電池とすることが可能となる。本発明の太陽電池は、太陽光発電システム、小型電子部品の電源など、屋外用途、屋内用途に限定されず各種用途に好適に用いることができる。

[特性の評価方法]
(1)P2層中の熱可塑性樹脂の融点Tm2
JIS K7122(1987)に準じて、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置”ロボットDSC−RDC220”を、データ解析にはディスクセッション”SSC/5200”を用い、P2層の融点Tm2を測定した。測定は積層シートからP2層を切削するなどして分離した後、該P2層をサンプルパンに5mg秤量し、20℃/分の昇温速度で樹脂を25℃から300℃まで加熱(1stRUN)し、その状態で5分間保持し、次いで25℃以下まで急冷し、再度20℃/分の昇温速度で300℃まで加熱(2ndRUN)を行い、得られた示差走査熱量測定チャートの2ndRunの結晶融解ピークにおけるピークトップ温度をP2層の融点Tm2とした。
なお、熱可塑性樹脂の融点は、P2層になった状態とP2層になる前の原料とで差が生じないので、P2層の原料が分かっている場合には、その原料を用いて、熱可塑性樹脂の融点Tm2を求めた。
(2)P1層中の無機ハロゲン化物の含有量
P1層中の無機ハロゲン化物の含有量の定量は、ICP−MS(誘導結合プラズマ−質量分析)、ICP−AES(誘導結合プラズマ−発光分光分析)、原子吸光分析、燃焼イオンクロマトグラフの4種類の元素分析手法から行うことができる。但し、各分析手法で得られる元素が異なる場合は、一度、全ての分析手法を実施し、無機ハロゲン化物の含有量が最も大きい値を示す分析手段の値を採用する。
ここで、ICP−MS(誘導結合プラズマ−質量分析)を用いた分析手法について具体的に記す。例えば(株)島津製作所製ICP−MS(誘導結合プラズマ−質量分析)装置“ICPM−8500”を用いて測定を行う場合、積層シートからP1層を切削するなどして分離した後、フッ化水素酸、硝酸、過塩素酸などの酸を加えて加熱する湿式分解法によってP1層を溶解させ、試料溶液を得る。この際、ヨウ素や臭素などは酸性環境化で揮発が起こるため、その性質を利用して五酸価バナジウムの溶融剤を混ぜた後、過熱し発生したガスをトラップに捕集する加熱分離法を用いることができる。またヨウ素については、化学形態をヨウ化物イオン(I)に揃えておくために、事前に還元剤として亜硫酸ナトリウム溶液を添加しておくとよい。
(3)各層厚みT1、T2、T3、全体厚みTa
下記(3−1)〜(3−3)の手順にて求めた。なお、測定は10ヶ所場所を変えて測定し、その平均値をP1層の合計の層厚みT1(P1層の合計の層厚みとは、P1層が複数存在する場合には、その厚みの合計値を意味し、P1層が1層のみの場合には、その1層の厚みを意味する。)(μm)、P2層の合計の層厚みT2(P2層の合計の層厚みとは、P2層が複数存在する場合には、その厚みの合計値を意味し、P2層が1層のみの場合には、その1層の厚みを意味する。)(μm)、P3層の合計の層厚みT3(P3層の合計の層厚みとは、P3層が複数存在する場合には、その厚みの合計値を意味し、P3層が1層のみの場合には、その1層の厚みを意味する。)(μm)、さらにシート全体の厚みTaとして、積層比T1/Taを求めた。
(3−1)ミクロトームを用いて、積層シート断面を厚み方向に潰すことなく、積層シート面方向に対して垂直に切断する。
(3−2)次いで切断した断面を、電子顕微鏡を用いて観察し、500倍に拡大観察した画像を得る。なお、観察場所は無作為に定めるものとするが、画像の上下方向が積層シートの厚み方向と、画像の左右方向が積層シートの面方向とそれぞれ平行になるようにする。なお、厚み方向全体が1枚の画像中に入りきらない場合は、厚み方向に観察位置をずらして観察し、複数の画像をあわせることによって、厚み全体が確認できる画像を準備する。
(3−3)前記(3−2)で得られる画像中におけるT1、T2、T3、Taを求めた。

(4)耐熱性
(4−1)シートの引張強度
ASTM−D882(1999)に基づいて、実施例、比較例の積層シートを1cm×20cmの大きさに切り出し、チャック間5cm、引っ張り速度300mm/minにて引っ張ったときの引張強度を測定した。なお、サンプル数はn=5とし、また、フィルムの縦方向、横方向のそれぞれについて測定し、その平均値を初期引張強度I0とした。
(4−2)耐熱試験後の引張強度
実施例、比較例の積層シートを前記(4−1)項に従って所定の大きさに切り出した後、エスペック製ギアオーブンにて温度140℃で1400時間処理し、その後(4−1)項に従って引張強度を測定した。尚、引張強度算出に用いるシート厚みは、耐熱試験前の厚みを事前に測定しておき、測定方向はフィルムの縦方向、横方向のそれぞれについてn=5で測定を行い、その平均値を耐熱試験後の引張強度I1とした。
得られた引張強度について、次の式(α)により強度保持率Imを算出した。
強度保持率(%)Im=I1/I0×100 (α)式
得られた強度保持率Imについて以下のように判定を行った。
強度保持率Imが40%以上の場合:A
強度保持率Imが30%以上40%未満の場合:B
強度保持率Imが20%以上30%未満の場合:C
強度保持率Imが10%以上20%未満の場合:D
強度保持率Imが10%未満の場合:E
耐熱性はA〜Dが良好であり、その中で最もAが優れている。

(5)水蒸気バリア性
実施例、比較例の積層シートをMOCON社製PERMATRAN W−TWINを用いて、1992年8月1日制定の「プラスチックフィルムおよびシートの水蒸気透過度試験方法(機器測定法)JIS−K7129B法(1992年版)」に従い、40℃、90%RH条件下で測定を行った。得られた水蒸気透過率より積層シートの水蒸気バリア性について以下のように判定を行った。
水蒸気透過率が2g/(m・day)未満の場合:A
水蒸気透過率が2g/(m・day)以上、5(g/m・day)未満の場合:B
水蒸気透過率が5g/(m・day)以上、10g/(m・day)以下の場合:C
水蒸気透過率が10g/(m・day)を超える場合:E
水蒸気バリア性はA〜Cが良好であり、その中で最もAが優れている。

(6)易接着性
JIS K 6854(1994年版)に基づいて、ホットメルト接着剤であるEVAシートと実施例、比較例の積層シートにおけるP1層側と反対面側との剥離強度から接着剤との易密着性を評価した。測定試験片は、厚さ3mmの半強化ガラス上に、500μm厚のEVAシート(VA率:28mol%)、および実施例、比較例の積層シートをP1層側と反対面がEVAシート側になるように重ね、市販の真空ラミネーターを用いて熱盤温度145℃、真空引き4分、プレス1分、保持時間10分の条件でプレス処理をしたものを用いた。剥離強度試験の試験片の幅は10mmとし、2つの試験片を準備し、それぞれの試験片について場所を変えて3カ所測定し、得られた測定値の平均値を剥離強度の値とした。得られた剥離強度から易接着性を以下のように判定した。
剥離強度が20N/10mm以上の場合:A
剥離強度が10N/10mm以上20N/10mm未満の場合:B
剥離強度が5N/10mm以上10N/10mm未満の場合:C
剥離強度が5N/10mm未満の場合:E
易接着性はA〜Cが良好であり、その中で最もAが優れている。

(7)太陽電池の耐熱性
(7−1)太陽電池の作製
Qcells社製の太陽電池セルQ6LPT−G2の表面、裏面の銀電極部分にHOZAN社製フラックスH722をディスペンサーで塗布し、表面、裏面の銀電極の上に155mmの長さに切断した配線材として日立電線社製銅箔SSA―SPS0.2×1.5(20)を表面側のセルの片端から10mm離れたところが配線材の端に、裏面側は表面側と対称になるように乗せ、半田ごてを用いてセル裏面側から半田ごてを接触させて表面、裏面を同時に半田溶着し1セルストリングスを作製した。
作製した1セルストリングスのセルから飛び出している該配線材の長手方向と180mmに切断した取り出し電極として日立電線社製銅箔A―SPS0.23×6.0の長手方向が垂直になるよう置き、該配線材と取り出し電極が重なる部分に該フラックスを塗布して半田溶着を行い、取り出し電極付きストリングスを作製した。
次に、190mm×190mmの旭硝子社製太陽電池用3.2mm厚白板熱処理ガラス、190mm×190mmの500μm厚のEVAシート(VA率:28mol%)、作製した取り出し電極付きストリングス、190mm×190mmの500μm厚のEVAシート、190mm×190mmに切り出した実施例及び比較例の各積層シートを順に重ねて、該ガラスを真空ラミネータの熱盤と接触するようにセットし、熱盤温度145℃、真空引き4分、プレス1分、保持時間10分の条件で真空ラミネートを行った。このとき、取り出し電極付きストリングスはガラス面がセル表面側になるようにセットした。
(7−2)太陽電池の耐熱性評価
(7−1)で作製した太陽電池を10個準備し、85℃85%RHに調整した(株)エスペック製の恒温恒湿槽で1000hr処理した後、太陽電池の背面側に当たる積層シートのP1層側面の色調(b値)を分光式色差計(日本電色工業製SE−2000、光源 ハロゲンランプ 12V4A、0°〜−45°後分光方式)を用いて反射法により測定し10回の平均値を耐熱試験後の色調b1とした。
得られた耐熱試験後の色調b1と処理前に同様に測定した初期色調b0から、次の(β)式より耐熱試験後の色調変化(Δb)を算出し、以下のように判定を行った。
耐熱試験後の色調変化(Δb)=b1−b0 (β)式
色調変化(Δb)が2未満の場合:A
色調変化(Δb)が2以上4未満の場合:B
色調変化(Δb)が4以上の場合:D
太陽電池の耐熱性はA、Bが良好であり、その中で最もAが優れている。

(実施例)
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
・ポリアミド系樹脂
ポリアミド系樹脂(ナイロン6)として “アミラン”(登録商標)CM1021T(東レ(株)製、Tm225℃)を用いた。
ポリアミド系樹脂(ナイロン610)として“アミラン”(登録商標)CM2001(東レ(株)製)を用いた。
ポリアミド系樹脂(ナイロン66)として“アミラン”(登録商標)CM3001(東レ(株)製)を用いた。
ポリアミド系樹脂(ナイロン11)として“リルサンB”(登録商標)BESN TL(アルケマ製)を用いた。
ポリアミド系樹脂(ナイロン12)として“リルサンA”(登録商標)AESN TL(アルケマ製)を用いた。
・その他熱可塑性樹脂
酸変性されたポリオレフィン系樹脂(酸変性オレフィン1)として “モディック”(登録商標)P555(三菱化学(株)製、Tm168℃)を用いた。
酸変性されたポリオレフィン系樹脂(酸変性オレフィン2)として “アドマー”(登録商標)QB550(三井化学(株)製、Tm140℃)を用いた。
酸変性されたポリオレフィン系樹脂(酸変性オレフィン3)として “アドマー”(登録商標)QF551(三井化学(株)製、Tm135℃)を用いた。
酸変性されたポリオレフィン系樹脂(酸変性オレフィン4)として “モディック”(登録商標)F535(三菱化学(株)製、Tm122℃)を用いた。
ドライラミネート用接着剤(接着樹脂1)として ウレタン系接着剤(“タケラック”(登録商標)A310(三井武田ケミカル(株)製)90質量%、“タケネート”(登録商標)A3(三井武田ケミカル(株)製)10質量%を混合したもの)を用いた。
ポリプロピレン(PP)として “ノーブレン”(登録商標)FLX80E4(住友化学(株)製、Tm165℃)を用いた。
エチレン−プロピレンコポリマー(EPC)として“住友ノーブレン”(登録商標)FL6412(住友化学(株)製)を用いた。
・無機ハロゲン化物
実施例、比較例におけるP1層に含まれる無機ハロゲン化物としては、表に記載のヨウ化銅(I)(CuI)、ヨウ化カリウム(KI)、臭化銅(I)(CuBr)、ヨウ化ナトリウム(NaI)の粉末を用いた。尚、P1層の無機ハロゲン化物は、P1層の主たる成分と無機ハロゲン化物とが90質量%/10質量%の割合になるように、ベント式二軸混練押出機でマスターペレットを作製し、実施例及び比較例の希望濃度になるように調整して添加した。
・無機粒子
実施例、比較例におけるP1層、P3層に含まれる無機粒子として、二酸化チタン(TiO)(ルチル型、平均粒径0.2μm)を用いた。尚、P1層の二酸化チタンは、P1層を構成する樹脂と二酸化チタンが60質量%/40質量%の割合になるように、P3層の二酸化チタンは、P3層を構成する樹脂と二酸化チタンが40質量%/60質量%の割合になるようにベント式二軸混練押出機でマスターペレットを作製し、実施例及び比較例の希望濃度になるように調整して添加した。
Figure 2014162080
(実施例1〜7)
押出機1、押出機2および押出機3を用い、表1に示す各層の主たる成分の樹脂及び無機ハロゲン化物、無機粒子を所望の配合比になるように各押出機に供給し、次いで押出機1から溶融押出された層がP1層、押出機2がP2層、押出機3がP3層として、表1に示す積層構成の順に積層されるようマルチマニホールドを用いて各層を合流させ、Tダイからシート状に押出された樹脂を回転するドラム上に冷却固化させて積層シートを得た。この際、P1層、P2層、P3層の厚みが表1に示す厚みとなるように各押出機の吐出量を調整した。
得られた積層シートについて耐熱性の評価を実施した。その結果、実施例1、2の積層シートは非常に優れた耐熱性を有すること、実施例3、5は優れた耐熱性を有すること、実施例4、7は良好な耐熱性を有すること、実施例6は実施例1〜5、7に比べて耐熱性が少し劣るが問題ない範囲であることがわかった。
また、同様に得られた積層シートについて、水蒸気バリア性及び易接着性の評価を実施した。その結果、実施例1〜7の積層シートは非常に優れた水蒸気バリア性、易接着性を有することがわかった。
更に、得られた積層シートを搭載した太陽電池を作製し、太陽電池の耐熱性の評価を実施した。その結果、実施例1〜3、5の積層シートを搭載した太陽電池は非常に優れた耐熱性を有することがわかった。
Figure 2014162080
(実施例8〜12)
表2に示す通り、P1層の主たる成分であるポリアミド系樹脂をナイロン610、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12に変更し、無機ハロゲン化物を所望の配合比になるよう押出機1に供給した以外は実施例1と同様に積層シートを得た。
得られた積層シートについて、実施例1と同様の評価を実施した。その結果、実施例9、10の積層シートは非常に優れた耐熱性を有すること、実施例8は優れた耐熱性を有すること、実施例11、12は良好な耐熱性を有することがわかった。
また、実施例8〜12の積層シートは非常に優れた水蒸気バリア性、易接着性を有することがわかった。
更に、実施例8〜10の積層シートを搭載した太陽電池は非常に優れた耐熱性を有することがわかった。
(実施例13、14)
表2に示す通り、P1層に含まれる無機ハロゲン化物の種類を変更した以外は実施例1と同様に積層シートを得た。
得られた積層シートについて、実施例1と同様の評価を実施した。その結果、実施例13、14の積層シートは良好な耐熱性を有することがわかった。
また、実施例13、14の積層シートは非常に優れた水蒸気バリア性、易接着性を有することがわかった。
更に、実施例13、14の積層シートを搭載した太陽電池は耐熱性が良好であることがわかった。
Figure 2014162080
(実施例15〜19)
表3に示す通り、P2層及びP3層の主たる成分と積層構成を変更した以外は実施例1と同様に積層シートを得た。
得られた積層シートについて、実施例1と同様の評価を実施した。その結果、実施例15〜18の積層シートは非常に優れた耐熱性を有すること、P2層の主たる成分をナイロン610とした実施例19は良好な耐熱性を有することがわかった。但し、実施例18については積層シートの層間で剥離が見られることがわかった。
また、実施例15、16、18は非常に優れた水蒸気バリア性を有する一方で易接着性が良好であること、実施例17、19は優れた易接着性を有する一方で水蒸気バリア性が良好であることがわかった。
更に、実施例15〜18の積層シートを搭載した太陽電池は非常に優れた耐熱性を有することがわかった。
Figure 2014162080
(比較例1)
P2層の主たる成分を酸変性オレフィン4に変更した以外は、実施例2と同様に積層シートを得た。
(比較例2)
P1層に無機ハロゲン化物が含まれないこと以外は、実施例1と同様に積層シートを得た。
(比較例3)
P1層に無機ハロゲン化物ではなくヒンダートフェノール系酸化防止剤“IRGNOX”(登録商標)1010(BASFジャパン(株)製)を3000ppm添加した以外は、実施例1と同様に積層シートを得た。
(比較例4)
表4に示す組成及び厚みのP1層及び、P3層をあらかじめ個別に製膜しておき、溶剤に溶かした接着性樹脂1を製膜したP1層上に、乾燥後の厚みが表4に示す厚みとなるようにコーティングし、80℃で45秒間乾燥した後、市販のフィルムラミネーターを用いてP1層とP3層を張り合わせ、更に45℃で48時間エージング処理して積層シートを得た。また、この時P2層の融点Tm2は60℃であった。
(比較例5)
P1層の主たる成分をEPC、P3層の主たる成分をナイロン6とした以外は、実施例1と同様に積層シートを得た。
上記によって得られた比較例1〜5の積層シートについて、実施例1と同様に耐熱性の評価を実施した。その結果、比較例1〜5は耐熱性に劣ることがわかった。
また、比較例1〜5の積層シートを搭載した太陽電池においても耐熱性が劣ることがわかった。
本発明の積層シートは太陽電池バックシートや配線ケーブル、粘着テープ、輸送ホースなどの電気絶縁材料、自動車用材料、建築材料を初めとした長期間屋外に曝されるような用途に好適に使用することができる。また、かかる積層シートを太陽電池バックシートとして太陽電池に搭載することで、耐熱性に優れた太陽電池を提供することができる。
1:太陽電池バックシート
2:封止材
3:発電素子
4:透明基板

Claims (7)

  1. ポリアミド系樹脂を主たる成分とする層(P1層)と、融点が130℃以上の熱可塑性樹脂を主たる成分とする層(P2層)を有し、P1層とP2層とが接しており、P1層が、無機ハロゲン化物を含有することを特徴とする積層シート。
  2. P1層は、2種類の無機ハロゲン化物を含有することを特徴とする請求項1に記載の積層シート。
  3. P2層の主たる成分が、融点が130℃以上のポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層シート。
  4. 熱可塑性樹脂を主たる成分とする層(P3層)を有し、
    P2層は、P1層と接している面とは異なる面において、P3層と接していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層シート。
  5. P3層の主たる成分が、P2層の主たる成分とは異なるポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の積層シート。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の積層シートを有する太陽電池。
  7. ポリアミド系樹脂を主たる成分とするP1層用の原料、および融点が130℃以上の熱可塑性樹脂を主たる成分とするP2層用の原料を、それぞれ別の押出機に供給し、各々溶融後にP1層、P2層を合流させて積層し、Tダイからシート状に押し出す工程を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の積層シートの製造方法。
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