本発明は、衣類等の洗濯と乾燥が行える洗濯乾燥機に関するものである。
従来、この種の洗濯乾燥機は、洗い終わった洗濯物を同一槽内で続けて乾燥させることができる。衣類の乾燥にはヒートポンプ装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
図12は、特許文献1に記載された従来の洗濯乾燥機のシステム系統図である。図12に示すように、圧縮機51、放熱器52、絞り手段53および吸熱器54を冷媒が循環するように管路55で連結し、ヒートポンプ装置56を構成している。乾燥用空気が流れる風路57は、乾燥用空気を加熱する放熱器52と、乾燥させる衣類イ等の乾燥対象を入れるドラム58と、乾燥用空気を冷却し除湿する吸熱器54を乾燥用空気が循環するように設けられ、送風機59によって風路57に乾燥用空気を送風する。矢印Aは風路57を流れる乾燥用空気の流れ方向を示し、矢印Bは管路55を流れる冷媒の流れ方向を示している。
乾燥用空気は、放熱器52で加熱され、温風となってドラム58内に導入される。ドラム58内で衣類イと接触した乾燥用空気は、衣類イから水分を奪って衣類を乾燥させる。乾燥用空気は、蒸発のための熱量として顕熱が与えられるため温度が低下するが、衣類イから放出されたほぼ同等の潜熱を有する水蒸気を含んで高湿となる。衣類イと接触する前後の乾燥用空気のエンタルピはほぼ一定である。高湿となった乾燥用空気は、吸熱器54で冷却され、潜熱を奪われ結露して除湿される。除湿されて絶対温度が低下した乾燥用空気は、再び放熱器52で加熱される。
一方、ヒートポンプサイクルは、圧縮機51で圧縮されて気化した高温高圧のガス冷媒が、放熱器52で乾燥用空気に熱を奪われて凝縮し液化する。放熱器52を出た高圧の液冷媒は、絞り手段53で減圧され、低温低圧の液冷媒となって吸熱器54に入り、乾燥用空気から熱を奪って気化し、ガス冷媒となって圧縮機51に戻る。
ヒートポンプ装置56は、停止時に冷媒が圧縮機51内部の潤滑油に溶け込む「寝込み現象」により、乾燥運転開始時の乾燥性能が低下することが知られている。そこで、乾燥運転を開始する前に圧縮機を加熱し、圧縮機内部の潤滑油の温度を上昇させて、潤滑油に溶け込んだ冷媒を潤滑油から出すようにすることが考えられている(例えば、特許文献2参照)。
特開2005―52533号公報
特開2007―61264号公報
しかしながら、前記従来の構成では、圧縮機吐出部の冷媒温度が常温より高ければ、圧縮機が加熱されず、ヒートポンプサイクル内の冷媒量が不足し、乾燥運転開始時の乾燥性能が低下することから、迅速に立ち上げるべく圧縮機の圧縮能力を高める高速回転動作によって、消費電力量が増加するという課題があった。
また、洗濯時の洗浄効果を高めるために、洗濯水を加熱し温水で洗濯することが知られている。洗濯時に温水洗浄が設定された場合、所定の温度(例えば、40〜50℃)に加熱された洗濯水でドラムおよび水槽内の温度が上昇する。洗濯乾燥機では、乾燥運転前に加熱された温水による洗い工程に続いて、洗い工程で使用した洗濯水の排水後に、衣類等の洗濯物に含まれる汚れや洗剤等を絞り出すための中間脱水工程が実行され、ドラムを高速(例えば、900rpm)で回転させる。
ドラムが高速で回転すると、水槽内で風が発生する。乾燥運転時に乾燥用空気を水槽内へ送風する風路が水槽と連通するように接続されており、この風路に加熱された風が流れて、風路に配設されている吸熱器や放熱器が加熱される。
洗濯運転時は、ヒートポンプ装置が停止しており、圧縮機の外部で管路内に滞留するヒートポンプサイクル内の冷媒は、吸熱器や放熱器で加熱されて圧力が上昇し、常温の圧縮機に流入する。
したがって、圧縮機の停止時に、圧縮機内の冷媒が潤滑油に溶け込むのに加えて、温水洗浄を行うことによって乾燥運転前の停止中の圧縮機に冷媒が流入し、乾燥運転の開始時にヒートポンプサイクル内の冷媒量が不足して、乾燥運転の開始時に良好な乾燥性能が得られないという課題があった。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、洗濯時に温水洗浄を行った際の、乾燥運転開始時の乾燥性能を向上させた洗濯乾燥機を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の洗濯乾燥機は、圧縮機と放熱器と絞り手段と吸熱器とを冷媒が循環するように管路で連結したヒートポンプ装置と、ドラムに乾燥用空気を導入する風路と、前記風路に送風する送風機と、前記圧縮機を加熱する加熱手段と、加熱された温水による洗濯を設定する温水洗浄設定手段と、洗濯運転および乾燥運転を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記温水洗浄設定手段により温水洗浄が設定されると、乾燥運転の開始前に前記加熱手段に通電し前記圧縮機を加熱するようにしたものである。
これによって、洗濯時に温水で洗浄を行った場合でも、ヒートポンプサイクル内の冷媒を保持することができ、ヒートポンプサイクルを迅速に最適な状態に立ち上げて、乾燥運転開始時の乾燥性能を向上させることができる。
本発明の洗濯乾燥機は、洗濯時に温水洗浄を行った際の、乾燥運転開始時の乾燥性能を向上させることができる。
本発明の実施の形態1における洗濯乾燥機の一部切欠構成図
同洗濯乾燥機のシステム系統図
同洗濯乾燥機のヒートポンプ装置の構成図
同洗濯乾燥機のヒートポンプ装置の圧縮機の要部断面図
同洗濯乾燥機のブロック構成図
同洗濯乾燥機の動作を示すタイムチャート
本発明の実施の形態2における洗濯乾燥機の動作を示すタイムチャート
本発明の実施の形態3における洗濯乾燥機の動作を示すタイムチャート
本発明の実施の形態4における洗濯乾燥機の一部切欠要部構成図
本発明の実施の形態5における洗濯乾燥機の動作を示すタイムチャート
本発明の実施の形態6における洗濯乾燥機の一部切欠要部構成図
従来の洗濯乾燥機のシステム系統図
本発明の洗濯乾燥機は、筐体内に弾性支持した水槽と、前記水槽内に回転可能に設けたドラムと、圧縮機と放熱器と絞り手段と吸熱器とを冷媒が循環するように管路で連結したヒートポンプ装置と、前記ドラムに乾燥用空気を導入する風路と、前記風路に送風する送風機と、前記圧縮機を加熱する加熱手段と、加熱された温水による洗濯を設定する温水洗浄設定手段と、洗濯運転および乾燥運転を制御する制御手段とを備える。前記制御手段は、前記温水洗浄設定手段により温水洗浄が設定されると、乾燥運転の開始前に前記加熱手段に通電し前記圧縮機を加熱するようにしたものである。
これにより、洗濯時に温水で洗浄を行った場合でも、冷媒をヒートポンプサイクル内に適正に保持することができ、ヒートポンプサイクルを迅速に最適な状態に立ち上げて、乾燥運転開始時の乾燥性能を向上させることができる。
すなわち、加熱された洗濯水による洗い工程で水槽内の温度が上昇し、洗い工程に続いて実行される中間脱水工程でのドラムの高速回転により、水槽内の加熱された空気が風路を流れ、風路に配設されている吸熱器および放熱器が加熱され、冷媒の圧力が上昇する。しかしながら、乾燥運転前に圧縮機が加熱されているため、中間脱水工程で冷媒が圧縮機に流入した場合でも、乾燥運転が開始されるまでにヒートポンプサイクル内に戻すことができ、乾燥運転の開始時に、ヒートポンプサイクル内の冷媒を保持し、乾燥運転開始時の乾燥性能を向上させることができる。
また、本発明の制御手段は、洗濯運転において、洗い、すすぎ、脱水の各工程を逐次制御し、前記洗い工程の中間脱水工程以前に圧縮機を加熱するようにしてもよい。
これにより、洗濯時に温水で洗浄を行った場合でも、中間脱水工程以前に圧縮機が加熱されているため、ヒートポンプサイクル内の冷媒が圧縮機に流入するのを防止することができ、乾燥運転の開始時に、ヒートポンプサイクル内の冷媒を保持し、乾燥運転開始時の乾燥性能を向上させることができる。
また、本発明の制御手段は、洗濯運転において、洗い、すすぎ、脱水の各工程を逐次制御し、前記すすぎ工程に続いて実行する脱水工程以前に圧縮機を加熱するようにしてもよい。
これにより、洗濯時に温水で洗浄を行った場合でも、脱水工程以前に圧縮機が加熱されているため、中間脱水工程で圧縮機に流入した冷媒を乾燥運転が開始されるまでにヒートポンプサイクル内に戻すことができるとともに、脱水工程で冷媒が圧縮機に流入するのを防止することができ、乾燥運転の開始時に、ヒートポンプサイクル内の冷媒を保持し、乾燥運転開始時の乾燥性能を向上させることができる。
また、本発明の制御手段は、洗い工程又はすすぎ工程又はその両方の工程で温水洗浄の設定を可能にしてもよい。
これにより、温水による洗いで、洗浄効果が高められるのに加えて、温水によるすすぎで、水槽およびドラム等を加熱した状態で乾燥工程へ移行することができ、ヒートポンプ装置による乾燥運転開始時のエネルギロスが少なく、ヒートポンプサイクルを迅速に最適
な状態に立ち上げて、乾燥運転開始時の乾燥性能を向上させることができる。
また、本発明の洗濯乾燥機は、洗濯水を加熱する加熱手段を設け、制御手段は、温水洗浄が設定されると、前記加熱手段に通電し水槽内の洗濯水を所定の温度に加熱するようにしたことにより、給水された所定量の洗濯水を水槽内で効率よく、かつ、効果的に加熱することができる。
また、本発明の洗濯乾燥機は、加熱された水を給水する給湯手段を接続可能に設け、制御手段は、温水洗浄が設定されると、前記給湯手段により所定の温度に加熱された洗濯水を水槽に給水するようにしてもよい。
これにより、所定量の洗濯水の給水が完了すると洗濯を開始することができ、給湯機等で効率よく加熱された温水で迅速に洗濯することができる。
また、本発明の洗濯乾燥機は、風呂水を給水する給水手段を設け、制御手段は、温水洗浄が設定されると、前記給水手段を駆動し風呂水を水槽に給水するようにしてもよい。
これにより、風呂の残り水を有効に利用することができるとともに、余熱を有した風呂水を少ないエネルギで所定の温度に加熱することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における洗濯乾燥機の一部切欠構成図、図2は、同システム系統図、図3は、同ヒートポンプ装置の構成図、図4は、同ヒートポンプ装置の圧縮機の要部断面図、図5は、ブロック構成図、図6は、同洗濯乾燥機の動作を示すタイムチャートである。
図1〜図6において、水槽1は、筐体2内に複数のサスペンション機構3により弾性的に支持されている。ドラム4は、正面側に衣類イ等の洗濯物を出し入れする投入口(図示せず)を有し、有底筒状に構成して水槽1内に配設されている。ドラム4は、回転軸4aを中心として回転可能に設けられ、衣類イ等の洗濯物を収容する。
ドラム4の周側壁には、全周に亘って多数の孔5を設け、ドラム4の周側壁の内方の複数個所に、洗濯物をドラム4の回転方向へ持ち上げるためのバッフル6を備えている。水槽1とドラム4と回転軸4aは、水平に対して角度θ(例えば、10〜20°)で前上がりに傾けて設けられている。
水槽1の後面側の外部には、ドラム4を回転駆動するモータ7が設けてあり、ドラム4を正逆回転させるようになっている。モータ7は、ブラシレス直流モータ等で構成され、インバータ制御によって回転速度が自在に変化できるようにしている。
筐体2の前面には、投入口を開閉する扉8が設けられている。ドラム4の投入口と対向する水槽1の前面開口部(図示せず)は、伸縮自在な可撓性のパッキン9によって筐体2とシール結合されている。扉8は、外からドラム4の内部が見えるように透明の窓が設けられている。
扉8を閉じると、水槽1の前面開口部に設けられたパッキン9が扉8の内面と接触し、水槽1内は水密、気密空間となり、洗濯、すすぎ、脱水、乾燥の各工程を実行する際に、
水や空気が外部に漏れないようにしている。
筐体2内には、水槽1内への水道水の給水を制御する給水弁10が設けられている。給水弁10には、洗剤ケース(図示せず)を介して水槽1に連通する給水経路11が接続されている。給水経路11は水道管に接続してあり、給水弁10を開閉することにより、水槽1内への水道水の給水と停止を行うことができる。
また、水槽1の後部下方には、水槽1内の洗濯水を排水する排水弁12が設けられている。排水弁12を開閉することにより、排水経路13を通して水槽1内の洗濯水の排水と停止を行うことができる。
水槽1内の底部の後方に、洗濯水を加熱する洗濯水加熱ヒータ(加熱手段)14を設けている。洗濯水加熱ヒータ14は、シーズヒータを略U字状に折り曲げて形成され、回転軸4aが延びている方向へ水槽1の底面に沿うように取り付けられている。
洗濯水加熱ヒータ14と水槽1の底面との間に空間が設けてあり、水槽1内に洗濯水が溜められると、その水面下に位置し、洗濯水に浸かって洗濯水を加熱する。洗濯水加熱ヒータ14で加熱される洗濯水の温度は、水槽1内の底部に取り付けたサーミスタ等で構成している水温検知手段15で検知する。
水槽1内に溜められる洗濯水の水量は、水位検知手段16で検知する。水位検知手段16は、内部にダイアフラムを有し、圧力が加わることで変形するダイアフラムの変形量から圧力を検知する圧力センサ等で構成し、水槽1に給水された洗濯水の水位を検知する。
水槽1の上方前部の周側壁に排気口17を設け、水槽1の背面部に送風口18を設けている。排気口17と送風口18は、水槽1の外部上方の前面側から後面側に向かって延びている風路19で連通接続している。
風路19には、乾燥用空気とともに風路19を通過するリントを捕捉するフィルタ20と、乾燥用空気を水槽1を介してドラム4内に送風する送風機21と、風路19を流れる乾燥用空気を冷却除湿する吸熱器22と、吸熱器22で除湿した乾燥用空気を加熱する放熱器23を設けている。
吸熱器22および放熱器23は、冷媒が流れる管路24により圧縮機25と連結されている。ヒートポンプ装置50は、冷媒(例えば、R134a)を圧縮する圧縮機25と、圧縮された高温高圧の冷媒の熱を放熱する放熱器23と、高圧の冷媒の圧力を減圧するためのキャピラリーチューブまたは膨張弁等からなる絞り手段49と、減圧されて低圧となった冷媒が周囲から熱を奪う吸熱器22を冷媒が循環するように管路24で連結している。
吸熱器22および放熱器23は、フィンチューブ熱交換器で構成されている。吸熱器22と放熱器23は、各々の端部をエンドプレート23aで連結してあり、吸熱器22と放熱器23の間に空間23bを設けている。
冷媒が流れる管路24は、例えば銅管で形成され、乾燥風の流路を形成するために所定間隔で平行に並べられた複数のフィンに管路24を貫通させて構成している。フィンは、例えば打ち抜き加工された厚み0.08〜0.2mmのアルミニウム製の平板で形成され、フィンピッチは、例えば約1.2mmとなるように構成している。
圧縮機25は、縦型円筒状のケーシング26内に、冷媒を圧縮する圧縮機構27と、圧
縮機構27を駆動する圧縮機モータ28を内蔵している。圧縮機モータ28は、直流モータで構成し、回転速度を自在に変化させることができるようにしてあり、ケーシング26の内面に固定したステータ28aと、ステータ28aの内側に回転自在に設けたロータ28bを有し、ロータ28bの回転中心に上下方向に延びるクランク軸28cが取り付けられている。
圧縮機構27は、ロータリ型であり、圧縮機モータ28の下方に設けられ、クランク軸28cを介して圧縮機モータ28と連結している。クランク軸28cに偏心固定したピストン27aがシリンダ27b内で偏心回転し、管路24の吸入口24aから吸入する冷媒を圧縮する。
圧縮機25は、圧縮機モータ28により駆動され、冷媒は、圧縮機構27で加圧されて高温高圧のガス冷媒となり、管路24の吐出口24bから吐出して放熱器23へと送られる。
放熱器23では、送風機21によって風路19に送風される乾燥用空気により冷却されて凝縮し、低温高圧の液冷媒になる。この液冷媒は絞り手段49で減圧され、吸熱器22へ送られる。吸熱器22では、ドラム4内で衣類イ等の洗濯物と接触し、湿った高温の空気により加熱されて蒸発し、低温低圧のガス冷媒となって再び圧縮機25に吸入されて加圧される。
ケーシング26の底部に潤滑油29が溜められている。圧縮機25の下部には、圧縮機25を加熱するクランクケースヒータ(加熱手段)30が設けられている。クランクケースヒータ30は、圧縮機25のケーシング26を取り巻くように取り付けている。なお、クランクケースヒータ30は、圧縮機25の温度を迅速に上昇させるために、圧縮機25の上部から下部にかけて加熱するように取り付けてもよい。
矢印Aは、風路19を流れる乾燥用空気の流れ方向を示し、矢印Bは、管路24を流れる冷媒の流れ方向を示している。
圧縮機25のケーシング26の外周部に圧縮機温度検知手段31を設けている。圧縮機温度検知手段31は、サーミスタ等で構成し、圧縮機25の温度を検知する。圧縮機25と放熱器23の間の管路24に、冷媒温度検知手段32を設けている。冷媒温度検知手段32は、サーミスタ等で構成し、圧縮機25から吐出した冷媒の温度を検知する。
風路19を流れる乾燥用空気の温度を検知する第1温度検知手段33および第2温度検知手段34を設けている。第1温度検知手段33は、サーミスタ等で構成し、送風口18からドラム4内へ流入する乾燥風の温度を検知する。第2温度検知手段34は、サーミスタ等で構成し、排気口17からドラム4外へ流出する乾燥風の温度を検知する。第1温度検知手段33および第2温度検知手段34の出力から、ドラム4内の衣類イ等の洗濯物の乾燥状態を検知する。
洗濯運転および乾燥運転を制御する制御手段35は、筐体2内の前面上部に設けられており、操作表示部36が筐体2の前面に取り付けられている。操作表示部36には、運転の手動操作を行う操作部36aと、設定内容および運転状況等を表示する表示部36bが設けられている。
操作部36aには、電源スイッチ36cのほか、加熱された洗濯水で洗う温水洗浄ボタン(温水洗浄設定手段)36dと、その他の各種設定用ボタン(図示せず)等が設けられている。この操作部36aにより、洗濯、乾燥等の運転コースを任意に選択し、運転内容
を設定することができる。
以上のように構成された洗濯乾燥機について、以下その動作、作用を説明する。洗濯運転は、洗い工程、中間脱水工程、すすぎ工程、脱水工程の順に実行され、脱水工程に続いて乾燥運転を実行することができる。
洗濯を行うときは、扉8を開いてドラム4内に衣類イ等の洗濯物を投入し、筐体2の前面上部に設けられた操作表示部36の電源スイッチ36cを入れ、各種設定用ボタンにより運転コースの選択や、必要に応じて各工程の時間等を入力し、運転を開始することにより、設定内容に基づいて、制御手段35により洗濯から乾燥までを一連の動作として実行することができる。
まず、洗い工程は、ドラム4内に投入された衣類イ等の洗濯物の量を布量検知手段37で検知する。布量検知手段37は、ドラム4を回転させたときのモータ7の電流値等から検知することができる。布量検知手段37で検知した洗濯物の量に応じて予め設定された量の水が給水される。水槽1内の水量を水位検知手段16で検知し、設定量の水が給水されると給水弁10を閉じる。
給水経路11を通して水槽1内に水および洗剤が供給されると、モータ7によりドラム4を回転駆動し、撹拌動作による洗濯を開始する。ドラム4を所定の速度(例えば、50rpm)で回転させると、衣類イ等の洗濯物は、ドラム4の内周面に設けられたバッフル6によってドラム4の回転方向へ持ち上げられ、ドラム4内の上方から落下させることにより、叩き洗いによる洗濯を所定時間行う。
撹拌工程の後、排水弁12を開いて水槽1内の洗濯水を排水し、ドラム4を高速(例えば、900rpm)で回転させて、衣類イ等の洗濯物に含まれる汚れや洗剤などを、水とともに脱水する中間脱水工程を行う。次に、給水弁10を開いて水槽1内に設定量の新たな水を給水し、ドラム4を所定の速度(例えば、50rpm)で回転させて、すすぎ工程を所定時間行う。
すすぎ工程を所定回数行った後、水槽1内の洗濯水を排水し、ドラム4を高速回転(例えば、1500rpm)させて、洗濯物に含まれる水分や、残留する洗剤分を脱水する脱水工程を最後に行い、洗濯を終了する。
洗濯運転に続けて乾燥運転を行うときは、脱水工程の終了後に乾燥工程に移行する。乾燥工程は、ドラム4を所定の速度(例えば、50rpm)で回転させ、洗濯物をドラム4内で撹拌するとともに、送風機21およびヒートポンプ装置50を作動させ、ドラム4内への乾燥用空気の送風循環と、圧縮機25による冷媒の圧縮が開始される。
ヒートポンプ装置50は、圧縮機25の圧縮機モータ28が駆動し、圧縮機構27により冷媒が圧縮され、この圧力により冷媒は圧縮機25から吐出する。圧縮機25から吐出した冷媒は、管路24を流れて放熱器23、絞り手段49、吸熱器22、圧縮機25を循環する。圧縮された冷媒の熱は放熱器23に流入することにより、放熱器23内に配設された管路24に設けられたフィンに接する空気に放熱されるので、風路19を流れる乾燥用空気が加熱される。
加熱された乾燥用空気は、送風口18からドラム4内へ供給され、洗濯物から水分を奪って湿った空気となり、排気口17から風路19へ排出される。洗濯物の乾燥の進行にともなって、洗濯物から糸屑などのリントが発生する。排気口17から排出された乾燥用空気はフィルタ20を通過し、空気中に含まれているリントが捕捉される。
フィルタ20でリントが除去された乾燥用空気は、絞り手段49により減圧されて低圧となった冷媒が流れる吸熱器22を通過する際に、顕熱と潜熱が奪われて除湿される。除湿されることにより生じた結露水は貯水部(図示せず)に滴下し、除湿されて乾いた乾燥用空気は、放熱器23を通過して加熱される。除湿された結露水は、排水弁12を通って機外へ排水される。
乾燥工程では、第1温度検知手段33と第2温度検知手段34とで、風路19を流れる乾燥用空気の温度を検知する。ドラム4に流入する乾燥風の温度を第1温度検知手段33で検知し、ドラム4から流出した乾燥風の温度を第2温度検知手段34で検知する。これらの出力から、ドラム4内の洗濯物の乾燥度を検知し、所定の乾燥度を検知すると乾燥工程を終了する。
一方、ヒートポンプ装置50は、圧縮機25で圧縮されて気化した高温高圧のガス冷媒の熱が、放熱器23を通過する乾燥用空気に奪われて凝縮し、絞り手段49で減圧されて低温低圧の液冷媒となり、吸熱器22で乾燥用空気から熱を奪って気化し、低温低圧のガス冷媒となって再び圧縮機25に戻る。
圧縮機25から吐出される冷媒の温度は、冷媒温度検知手段32で検知され、冷媒の温度が所定の温度範囲(例えば、90〜85℃)内に維持されるように、圧縮機モータ28の駆動を制御し、圧縮機25の動作を安定させるとともに、安全で安定したヒートポンプサイクルを実現する。
次に、洗濯を温水で行い、続けて乾燥を行う場合について説明する。洗濯の開始時に、操作表示部36の操作部36aで「洗濯乾燥コース」を選択し、操作部36aの温水洗浄ボタン36dにより「温水洗浄」を選択し、洗濯水の温度(例えば、40℃)を設定する。温水による洗濯は、汚れが落ちやすく洗浄力を高めることができ、水温が低いときの洗濯に有利である。
ドラム4に投入された洗濯物の量を布量検知手段37で検知し、洗濯物の量に応じて設定された量の洗濯水が水槽1内に給水されると、水温検知手段15で水槽1内に溜められた洗濯水の温度を検知する。制御手段35は、設定された洗濯水の温度と、水温検知手段15で検知した温度を比較して洗濯水加熱ヒータ14の通電を制御し、洗濯水を設定温度に加熱する。
図6に示すように、洗濯水を加熱する洗濯水加熱ヒータ14は、洗い工程において、水槽1内に洗濯水が給水され、洗濯水加熱ヒータ14が洗濯水に水没すると通電を開始し、設定された温度に洗濯水を加熱する。一方、圧縮機25の温度を圧縮機温度検知手段31で検知し、圧縮機25が洗濯水の設定温度になるようクランクケースヒータ30の通電を制御し、圧縮機25を加熱する。
加熱された洗濯水による洗い工程で水槽1内の温度が上昇した状態で、中間脱水工程が実行されると、ドラム4の高速回転で水槽1内の加熱された空気が風路19を流れ、風路19に配設されている吸熱器22および放熱器23が加熱される。ヒートポンプサイクル内の吸熱器22および放熱器23が加熱されると、冷媒の圧力が上昇し、冷媒が圧縮機25に流入する。
クランクケースヒータ30は、乾燥運転の開始前、すなわち、乾燥工程で圧縮機25を駆動する前の、すすぎ工程の排水工程から脱水工程で通電し、圧縮機25の温度を圧縮機温度検知手段31により検知して、圧縮機25を洗濯水の設定温度まで加熱する。
これにより、加熱された洗濯水の熱で風路19内の温度が上昇し、中間脱水工程で吸熱器22および放熱器23が加熱されて、ヒートポンプサイクル内の冷媒が圧縮機25に流入した場合でも、圧縮機25が乾燥運転の開始前に加熱されているため、圧縮機25内に滞留した冷媒をヒートポンプサイクル内に戻すことができ、ヒートポンプサイクル内に冷媒を保持して、乾燥運転開始時の乾燥性能を向上させることができる。
以上のように、本実施の形態においては、筐体2内に弾性支持した水槽1と、水槽1内に回転可能に設けたドラム4と、圧縮機25と放熱器23と絞り手段49と吸熱器22とを冷媒が循環するように管路24で連結したヒートポンプ装置50と、ドラム4に乾燥用空気を導入する風路19と、風路19に送風する送風機21と、圧縮機25を加熱する加熱手段30と、加熱された温水による洗濯を設定する温水洗浄設定手段としての温水洗浄ボタン36dと、洗濯運転および乾燥運転を制御する制御手段35とを備える。制御手段35は、温水洗浄設定手段36dにより温水洗浄が設定されると、乾燥運転の開始前に加熱手段30に通電し圧縮機25を加熱するようにしたものであり、温水で洗濯を行った場合でも、乾燥運転の開始時にヒートポンプサイクル内の冷媒を保持することができ、ヒートポンプサイクルを迅速に最適な状態に立ち上げて、乾燥運転開始時の乾燥性能を向上させることができる。
なお、温水洗浄時の洗濯水の温度は、洗濯物の種類や性質、および目的に応じて、最適な温度に設定することができる。
また、圧縮機25を加熱する温度は、温水洗浄時の洗濯水の設定温度と必ずしも同じにする必要はなく、ヒートポンプサイクル内の冷媒の圧力がバランスし、保持されるように加熱されればよい。
(実施の形態2)
図7は、本発明の第2の実施の形態における洗濯乾燥機の動作を示すタイムチャートである。本実施の形態の特徴は、洗い工程後に実行する中間脱水工程以前に圧縮機25を加熱するようにしたものである。他の構成は実施の形態1と同じであり、同一の構成に同一の符号を付して、詳細な説明は実施の形態1のものを援用する。
洗濯の開始時に、操作表示部36の操作部36aで「洗濯乾燥コース」を選択し、操作部36aの温水洗浄ボタン36dにより「温水洗浄」を選択し、洗濯水の温度(例えば、40℃)を設定する。
図7に示すように、洗濯水を加熱する洗濯水加熱ヒータ14は、洗い工程において、水槽1内に洗濯水が給水され、洗濯水加熱ヒータ14が洗濯水に水没すると通電を開始し、設定された温度に洗濯水を加熱する。クランクケースヒータ30は、中間脱水工程以前、すなわち、洗い工程の撹拌工程から排水工程の間で通電し、圧縮機25を洗濯水の設定温度まで加熱する。
中間脱水工程は、ドラム4を回転させて脱水を行うため、ドラム4の回転に伴い、乾燥用空気を導入する風路19に気流が生じる。温水洗浄で加熱された気流が風路19を流れて吸熱器22や放熱器23を加熱した場合でも、中間脱水工程以前に圧縮機25が加熱されているため、ヒートポンプサイクル内、特に、吸熱器22や放熱器23内の冷媒が圧縮機25内に流入することがなく、ヒートポンプサイクル内の冷媒を保持し、乾燥運転開始時の乾燥性能を向上させることができる。
圧縮機25は、ケーシング26内に圧縮機構27と圧縮機モータ28を内蔵した密閉容
器であり、冷めにくく、加熱された圧縮機25は、乾燥運転の開始時まで所定の温度に維持することができる。
以上のように、中間脱水工程前に圧縮機25を加熱し、ヒートポンプサイクル内の冷媒が圧縮機25に流入するのを防止することができるため、冷媒を再加熱する必要がなく、クランクケースヒータ30への入力は圧縮機25を加熱する分だけでよく、消費電力量を低減することができる。
(実施の形態3)
図8は、本発明の第3の実施の形態における洗濯乾燥機の動作を示すタイムチャートである。本実施の形態の特徴は、すすぎ工程に続いて実行する脱水工程以前に圧縮機25を加熱するようにしたものである。他の構成は実施の形態1と同じであり、同一の構成に同一の符号を付して、詳細な説明は実施の形態1のものを援用する。
洗濯の開始時に、操作表示部36の操作部36aで「洗濯乾燥コース」を選択し、操作部36aの温水洗浄ボタン36dにより「温水洗浄」を選択し、洗濯水の温度(例えば、40℃)を設定する。
図8に示すように、洗濯水を加熱する洗濯水加熱ヒータ14は、洗い工程において、水槽1内に洗濯水が給水され、洗濯水加熱ヒータ14が洗濯水に水没すると通電を開始し、設定された温度に洗濯水を加熱する。クランクケースヒータ30は、すすぎ工程に続いて実行する脱水工程以前、すなわち、すすぎ工程の撹拌工程から排水工程の間に通電し、圧縮機25を洗濯水の設定温度まで加熱する。
したがって、中間脱水工程で、温水洗浄で加熱された気流が風路19を流れて吸熱器22や放熱器23を加熱した場合でも、すすぎ工程に続いて実行する脱水工程以前に圧縮機25が加熱されているため、中間脱水工程で圧縮機25に流入した冷媒を、乾燥運転の開始前にヒートポンプサイクル内に戻すことができる。
また、圧縮機25が乾燥運転の開始前に加熱されているため、すすぎ工程に続いて実行する脱水工程で、ヒートポンプサイクル内の冷媒が圧縮機25に流入することがなく、ヒートポンプサイクル内の冷媒を保持し、乾燥運転開始時の乾燥性能を向上させることができる。
(実施の形態4)
図9は、本発明の第4の実施の形態における洗濯乾燥機の一部切欠要部構成図である。本実施の形態の特徴は、加熱された水を給水する給湯機39を接続可能に設けたものである。他の構成は実施の形態1と同じであり、同一の構成に同一の符号を付して、詳細な説明は実施の形態1のものを援用する。
洗濯の開始時に、操作表示部36の操作部36aで「洗濯乾燥コース」を選択し、操作部36aの温水洗浄ボタン36dにより「温水洗浄」を選択し、給湯ボタン(図示せず)により「給湯」を選択し、洗濯水の温度(例えば、40℃)を設定する。
図9に示すように、水道と接続されている給水経路11に給湯機接続部38を設け、給湯機(給湯手段)39を接続可能に構成するとともに、給湯機39からの給湯と停止を行う給湯弁40を設けている。制御手段35は、「温水洗浄」および「給湯」が設定されると、給湯機39から所定の温度に加熱された洗濯水を水槽1に給水するようにしている。
洗い工程において、給水弁10を開いて水道水を給水するとともに、給湯弁40を開い
て給湯機39から給湯し、水道水と混合して水槽1に給水される。給水経路11を流れる混合水ロの温度は給水温度検知手段41で検知する。給水温度検知手段41は、サーミスタ等で構成し、給水経路11に設けて水槽1に流入する混合水ロの温度を検知する。
制御手段35は、給水温度検知手段41の出力から、混合水ロの温度が設定された温度の洗濯水となるように、給水弁10と給湯弁40を制御する。また、水槽1内に溜まった洗濯水の温度を水温検知手段15で検知し、給水温度検知手段41の出力に優先して、水槽1内の洗濯水の温度が設定温度となるように給水弁10と給湯弁40を制御する。
水槽1内に溜められる洗濯水の温度は、上記以外に、給湯機39により設定温度に加熱して給湯するようにしてもよく、設定温度が高い場合は、洗濯水加熱ヒータ14を併用してもよい。また、すすぎ工程でも給湯機39から給湯し、温水ですすぎを行うようにしてもよい。
クランクケースヒータ30は、乾燥運転の開始前、すなわち、乾燥工程で圧縮機25を駆動する前の脱水工程、または、中間脱水工程前の洗い工程、または、脱水工程前のすすぎ工程で通電し、圧縮機25を洗濯水の設定温度まで加熱する。
これにより、所定量の洗濯水の給水が完了すると洗濯を開始することができ、給湯機等で効率よく加熱された温水で迅速に洗濯することができる。また、中間脱水工程でドラム4の高速回転によって生じる気流が、温水により加熱されて風路19を流れ、吸熱器22や放熱器23を加熱した場合でも、乾燥工程以前に圧縮機25が加熱されているため、ヒートポンプサイクル内、特に、吸熱器22や放熱器23内の冷媒が圧縮機25内に流入することはなく、ヒートポンプサイクル内の冷媒を保持し、乾燥運転開始時の乾燥性能を向上させることができる。
なお、給湯機39を利用した温水洗浄は、洗濯のみを行う場合でも可能である。
(実施の形態5)
図10は、本発明の第5の実施の形態における洗濯乾燥機の動作を示すタイムチャートである。本実施の形態の特徴は、洗い工程とすすぎ工程で、温水による洗浄とすすぎを行うとともに、すすぎ工程に続いて実行する脱水工程以前に圧縮機25を加熱するようにしたものである。他の構成は実施の形態1、4と同じであり、同一の構成に同一の符号を付して、詳細な説明は実施の形態1、4のものを援用する。
洗濯の開始時に、操作表示部36の操作部36aで「洗濯乾燥コース」を選択し、操作部36aの温水洗浄ボタン36dにより「温水洗浄」と「温水すすぎ」を選択し、給湯ボタン(図示せず)により「給湯」を選択し、洗濯水の温度(例えば、40℃)を設定する。
図10に示すように、洗い工程とすすぎ工程の給水工程において、給湯機39から所定の温度に加熱された洗濯水を水槽1に給水し、洗いとすすぎを行う。
クランクケースヒータ30は、乾燥運転の開始前、すなわち、乾燥工程で圧縮機25を駆動する前の、すすぎ工程の排水工程から脱水工程にかけて通電し、圧縮機25の温度を圧縮機温度検知手段31により検知して、圧縮機25を洗濯水の設定温度まで加熱する。
これにより、中間脱水工程において、ドラム4の高速回転にともない、乾燥用空気を導入する風路19に気流が生じる。温水洗浄で加熱された気流が風路19を流れて吸熱器22や放熱器23を加熱し、冷媒の圧力が上昇して圧縮機25に流入しても、圧縮機25が
乾燥運転前の脱水工程で加熱されているため、圧縮機25内の冷媒をヒートポンプサイクル内に戻すことができ、ヒートポンプサイクル内に冷媒を保持して、乾燥運転開始時の乾燥性能を向上させることができる。
また、すすぎ工程に続いて実行する脱水工程において、ドラム4の高速回転にともない、すすぎ工程で給湯した温水により加熱された気流が風路19を流れて吸熱器22や放熱器23を加熱し、冷媒の圧力が上昇しても、圧縮機25が脱水工程で加熱されている。このため、ヒートポンプサイクル内の冷媒が圧縮機25に流入するのを防止することができ、ヒートポンプサイクル内の冷媒を保持して、乾燥運転開始時の乾燥性能を向上させることができる。
したがって、温水で洗いとすすぎを行った場合でも、ヒートポンプサイクル内の冷媒を保持することができ、温水による洗いで、洗浄効果が高められるのに加えて、温水によるすすぎで、水槽1およびドラム4等を加熱した状態で乾燥工程へ移行することができ、ヒートポンプ装置50による乾燥運転開始時のエネルギロスが少なく、ヒートポンプサイクルを迅速に最適な状態に立ち上げて、乾燥運転開始時の乾燥性能を向上させることができる。
(実施の形態6)
図11は、本発明の第6の実施の形態における洗濯乾燥機の一部切欠要部構成図である。本実施の形態の特徴は、浴槽の風呂水を水槽1に給水するようにしたものである。他の構成は実施の形態1と同じであり、同一の構成に同一の符号を付して、詳細な説明は実施の形態1のものを援用する。
洗濯の開始時に、操作表示部36の操作部36aで「洗濯乾燥コース」を選択し、操作部36aの温水洗浄ボタン36dにより「温水洗浄」を選択し、風呂水ボタン(図示せず)により「風呂水」を選択し、洗濯水の温度(例えば、40℃)を設定する。
図11に示すように、水道管と接続されている給水経路11にホース接続部42を設け、このホース接続部42に接続したホース43の他方を浴槽44内に投入する。ホース43を介して浴槽44内の風呂水を給水ポンプ(給水手段)45により汲み上げる。給水ポンプ45は、ホース接続部42と連通する給水経路11に設けている。
制御手段35は、「温水洗浄」および「風呂水」が設定されると給水ポンプ45を駆動し、浴槽44内の風呂水をホース43および給水経路11を介して水槽1に給水するようにしている。
洗い工程において、給水ポンプ45を駆動して浴槽44内の風呂水を汲み上げ、水槽1に給水される。給水経路11を流れる風呂水の温度は、給水温度検知手段41により検知する。制御手段35は、給水温度検知手段41で検知した風呂水の温度が設定温度より低いときは、給水弁10を閉じた状態とし、風呂水のみで水槽1内に所定量の洗濯水を溜めて、水槽1内の洗濯水加熱ヒータ14に通電する。水槽1に溜められた洗濯水の温度を水温検知手段15で検知し、設定温度に加熱する。
また、制御手段35は、給水温度検知手段41で検知した風呂水の温度が設定温度より高いときは、給水弁10を開いて水道水を給水し、風呂水と水道水との混合水ハの温度が設定された温度の洗濯水となるように、給水弁10を制御する。水槽1内に溜まった洗濯水の温度を水温検知手段15で検知し、給水温度検知手段41の出力に優先して、水槽1内の洗濯水の温度が設定温度となるように給水弁10を制御する。
クランクケースヒータ30は、乾燥運転の開始前、すなわち、乾燥工程で圧縮機25を駆動する前の脱水工程、または、中間脱水工程前の洗い工程、または、脱水工程前のすすぎ工程で通電し、圧縮機25を洗濯水の設定温度まで加熱する。
これにより、風呂の残り水を有効に利用することができるとともに、余熱を有した風呂水を少ないエネルギで所定の温度に加熱することができる。また、中間脱水工程でドラム4の高速回転によって生じる気流が、温水洗浄により加熱されて風路19を流れ、吸熱器22や放熱器23を加熱した場合でも、乾燥工程以前に圧縮機25が加熱されているため、乾燥運転の開始時に、ヒートポンプサイクル内の冷媒を保持し、乾燥運転開始時の乾燥性能を向上させることができる。
なお、風呂水を利用した温水洗浄は、洗濯のみを行う場合でも可能である。
以上のように、本発明にかかる洗濯乾燥機は、洗濯時に温水洗浄を行った際の、乾燥運転開始時の乾燥性能を向上させることができるので、洗濯乾燥機として有用である。
1 水槽
2 筐体
4 ドラム
14 洗濯水加熱ヒータ(加熱手段)
19 風路
21 送風機
22 吸熱器
23 放熱器
24 管路
25 圧縮機
26 ケーシング
30 クランクケースヒータ(加熱手段)
35 制御手段
36d 温水洗浄ボタン(温水洗浄設定手段)
49 絞り手段
50 ヒートポンプ装置
本発明は、衣類等の洗濯と乾燥が行える洗濯乾燥機に関するものである。
従来、この種の洗濯乾燥機は、洗い終わった洗濯物を同一槽内で続けて乾燥させることができる。衣類の乾燥にはヒートポンプ装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
図12は、特許文献1に記載された従来の洗濯乾燥機のシステム系統図である。図12に示すように、圧縮機51、放熱器52、絞り手段53および吸熱器54を冷媒が循環するように管路55で連結し、ヒートポンプ装置56を構成している。乾燥用空気が流れる風路57は、乾燥用空気を加熱する放熱器52と、乾燥させる衣類イ等の乾燥対象を入れるドラム58と、乾燥用空気を冷却し除湿する吸熱器54を乾燥用空気が循環するように設けられ、送風機59によって風路57に乾燥用空気を送風する。矢印Aは風路57を流れる乾燥用空気の流れ方向を示し、矢印Bは管路55を流れる冷媒の流れ方向を示している。
乾燥用空気は、放熱器52で加熱され、温風となってドラム58内に導入される。ドラム58内で衣類イと接触した乾燥用空気は、衣類イから水分を奪って衣類を乾燥させる。乾燥用空気は、蒸発のための熱量として顕熱が与えられるため温度が低下するが、衣類イから放出されたほぼ同等の潜熱を有する水蒸気を含んで高湿となる。衣類イと接触する前後の乾燥用空気のエンタルピはほぼ一定である。高湿となった乾燥用空気は、吸熱器54で冷却され、潜熱を奪われ結露して除湿される。除湿されて絶対温度が低下した乾燥用空気は、再び放熱器52で加熱される。
一方、ヒートポンプサイクルは、圧縮機51で圧縮されて気化した高温高圧のガス冷媒が、放熱器52で乾燥用空気に熱を奪われて凝縮し液化する。放熱器52を出た高圧の液冷媒は、絞り手段53で減圧され、低温低圧の液冷媒となって吸熱器54に入り、乾燥用空気から熱を奪って気化し、ガス冷媒となって圧縮機51に戻る。
また、洗濯時の洗浄効果を高めるために、洗濯水を加熱し温水で洗濯することが知られている。洗濯時に温水洗浄が設定された場合、所定の温度(例えば、40〜50℃)に加熱された洗濯水でドラムおよび水槽内の温度が上昇する。洗濯乾燥機では、乾燥運転前に加熱された温水による洗い工程に続いて、洗い工程で使用した洗濯水の排水後に、衣類等の洗濯物に含まれる汚れや洗剤等を絞り出すための中間脱水工程が実行され、ドラムを高速(例えば、900rpm)で回転させる。
ドラムが高速で回転すると、水槽内で風が発生する。乾燥運転時に乾燥用空気を水槽内へ送風する風路が水槽と連通するように接続されており、この風路に加熱された風が流れて、風路に配設されている吸熱器や放熱器が加熱される。
洗濯運転時は、ヒートポンプ装置が停止しており、圧縮機の外部で管路内に滞留するヒートポンプサイクル内の冷媒は、吸熱器や放熱器で加熱されて圧力が上昇し、常温の圧縮機に流入する。
したがって、圧縮機の停止時に、圧縮機内の冷媒が潤滑油に溶け込むのに加えて、温水洗浄を行うことによって乾燥運転前の停止中の圧縮機に冷媒が流入し、乾燥運転の開始時にヒートポンプサイクル内の冷媒量が不足して、乾燥運転の開始時に良好な乾燥性能が得られないという課題があった。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、洗濯時に温水洗浄を行った際の、乾燥運転開始時の乾燥性能を向上させた洗濯乾燥機を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の洗濯乾燥機は、圧縮機と放熱器と絞り手段と吸熱器とを冷媒が循環するように管路で連結したヒートポンプ装置と、ドラムに乾燥用空気を導入する風路と、前記風路に送風する送風機と、前記圧縮機を加熱する加熱手段と、加熱された温水による洗濯を設定する温水洗浄設定手段と、洗濯運転および乾燥運転を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記温水洗浄設定手段により温水洗浄が設定されると、乾燥運転の開始前に前記加熱手段に通電し前記圧縮機を加熱するようにしたものである。
これによって、洗濯時に温水で洗浄を行った場合でも、ヒートポンプサイクル内の冷媒を保持することができ、ヒートポンプサイクルを迅速に最適な状態に立ち上げて、乾燥運転開始時の乾燥性能を向上させることができる。
本発明の洗濯乾燥機は、洗濯時に温水洗浄を行った際の、乾燥運転開始時の乾燥性能を向上させることができる。
本発明の実施の形態1における洗濯乾燥機の一部切欠構成図
同洗濯乾燥機のシステム系統図
同洗濯乾燥機のヒートポンプ装置の構成図
同洗濯乾燥機のヒートポンプ装置の圧縮機の要部断面図
同洗濯乾燥機のブロック構成図
同洗濯乾燥機の動作を示すタイムチャート
本発明の実施の形態2における洗濯乾燥機の動作を示すタイムチャート
本発明の実施の形態3における洗濯乾燥機の動作を示すタイムチャート
本発明の実施の形態4における洗濯乾燥機の一部切欠要部構成図
本発明の実施の形態5における洗濯乾燥機の動作を示すタイムチャート
本発明の実施の形態6における洗濯乾燥機の一部切欠要部構成図
従来の洗濯乾燥機のシステム系統図
本発明の洗濯乾燥機は、筐体内に弾性支持した水槽と、前記水槽内に回転可能に設けたドラムと、圧縮機と放熱器と絞り手段と吸熱器とを冷媒が循環するように管路で連結したヒートポンプ装置と、前記ドラムに乾燥用空気を導入する風路と、前記風路に送風する送風機と、前記圧縮機を加熱する加熱手段と、加熱された温水による洗濯を設定する温水洗浄設定手段と、洗濯運転および乾燥運転を制御する制御手段とを備える。前記制御手段は、前記温水洗浄設定手段により温水洗浄が設定されると、乾燥運転の開始前に前記加熱手段に通電し前記圧縮機を加熱するようにしたものである。
これにより、洗濯時に温水で洗浄を行った場合でも、冷媒をヒートポンプサイクル内に適正に保持することができ、ヒートポンプサイクルを迅速に最適な状態に立ち上げて、乾燥運転開始時の乾燥性能を向上させることができる。
すなわち、加熱された洗濯水による洗い工程で水槽内の温度が上昇し、洗い工程に続いて実行される中間脱水工程でのドラムの高速回転により、水槽内の加熱された空気が風路を流れ、風路に配設されている吸熱器および放熱器が加熱され、冷媒の圧力が上昇する。しかしながら、乾燥運転前に圧縮機が加熱されているため、中間脱水工程で冷媒が圧縮機に流入した場合でも、乾燥運転が開始されるまでにヒートポンプサイクル内に戻すことができ、乾燥運転の開始時に、ヒートポンプサイクル内の冷媒を保持し、乾燥運転開始時の乾燥性能を向上させることができる。
また、本発明の制御手段は、洗濯運転において、洗い、すすぎ、脱水の各工程を逐次制御し、前記洗い工程の中間脱水工程以前に圧縮機を加熱するようにしてもよい。
これにより、洗濯時に温水で洗浄を行った場合でも、中間脱水工程以前に圧縮機が加熱されているため、ヒートポンプサイクル内の冷媒が圧縮機に流入するのを防止することができ、乾燥運転の開始時に、ヒートポンプサイクル内の冷媒を保持し、乾燥運転開始時の乾燥性能を向上させることができる。
また、本発明の制御手段は、洗濯運転において、洗い、すすぎ、脱水の各工程を逐次制御し、前記すすぎ工程に続いて実行する脱水工程以前に圧縮機を加熱するようにしてもよい。
これにより、洗濯時に温水で洗浄を行った場合でも、脱水工程以前に圧縮機が加熱されているため、中間脱水工程で圧縮機に流入した冷媒を乾燥運転が開始されるまでにヒートポンプサイクル内に戻すことができるとともに、脱水工程で冷媒が圧縮機に流入するのを防止することができ、乾燥運転の開始時に、ヒートポンプサイクル内の冷媒を保持し、乾燥運転開始時の乾燥性能を向上させることができる。
また、本発明の制御手段は、洗い工程又はすすぎ工程又はその両方の工程で温水洗浄の設定を可能にしてもよい。
これにより、温水による洗いで、洗浄効果が高められるのに加えて、温水によるすすぎで、水槽およびドラム等を加熱した状態で乾燥工程へ移行することができ、ヒートポンプ装置による乾燥運転開始時のエネルギロスが少なく、ヒートポンプサイクルを迅速に最適な状態に立ち上げて、乾燥運転開始時の乾燥性能を向上させることができる。
また、本発明の洗濯乾燥機は、洗濯水を加熱する加熱手段を設け、制御手段は、温水洗浄が設定されると、前記加熱手段に通電し水槽内の洗濯水を所定の温度に加熱するようにしたことにより、給水された所定量の洗濯水を水槽内で効率よく、かつ、効果的に加熱することができる。
また、本発明の洗濯乾燥機は、加熱された水を給水する給湯手段を接続可能に設け、制御手段は、温水洗浄が設定されると、前記給湯手段により所定の温度に加熱された洗濯水を水槽に給水するようにしてもよい。
これにより、所定量の洗濯水の給水が完了すると洗濯を開始することができ、給湯機等で効率よく加熱された温水で迅速に洗濯することができる。
また、本発明の洗濯乾燥機は、風呂水を給水する給水手段を設け、制御手段は、温水洗浄が設定されると、前記給水手段を駆動し風呂水を水槽に給水するようにしてもよい。
これにより、風呂の残り水を有効に利用することができるとともに、余熱を有した風呂水を少ないエネルギで所定の温度に加熱することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における洗濯乾燥機の一部切欠構成図、図2は、同システム系統図、図3は、同ヒートポンプ装置の構成図、図4は、同ヒートポンプ装置の圧縮機の要部断面図、図5は、ブロック構成図、図6は、同洗濯乾燥機の動作を示すタイムチャートである。
図1〜図6において、水槽1は、筐体2内に複数のサスペンション機構3により弾性的に支持されている。ドラム4は、正面側に衣類イ等の洗濯物を出し入れする投入口(図示せず)を有し、有底筒状に構成して水槽1内に配設されている。ドラム4は、回転軸4aを中心として回転可能に設けられ、衣類イ等の洗濯物を収容する。
ドラム4の周側壁には、全周に亘って多数の孔5を設け、ドラム4の周側壁の内方の複数個所に、洗濯物をドラム4の回転方向へ持ち上げるためのバッフル6を備えている。水槽1とドラム4と回転軸4aは、水平に対して角度θ(例えば、10〜20°)で前上がりに傾けて設けられている。
水槽1の後面側の外部には、ドラム4を回転駆動するモータ7が設けてあり、ドラム4を正逆回転させるようになっている。モータ7は、ブラシレス直流モータ等で構成され、インバータ制御によって回転速度が自在に変化できるようにしている。
筐体2の前面には、投入口を開閉する扉8が設けられている。ドラム4の投入口と対向
する水槽1の前面開口部(図示せず)は、伸縮自在な可撓性のパッキン9によって筐体2とシール結合されている。扉8は、外からドラム4の内部が見えるように透明の窓が設けられている。
扉8を閉じると、水槽1の前面開口部に設けられたパッキン9が扉8の内面と接触し、水槽1内は水密、気密空間となり、洗濯、すすぎ、脱水、乾燥の各工程を実行する際に、水や空気が外部に漏れないようにしている。
筐体2内には、水槽1内への水道水の給水を制御する給水弁10が設けられている。給水弁10には、洗剤ケース(図示せず)を介して水槽1に連通する給水経路11が接続されている。給水経路11は水道管に接続してあり、給水弁10を開閉することにより、水槽1内への水道水の給水と停止を行うことができる。
また、水槽1の後部下方には、水槽1内の洗濯水を排水する排水弁12が設けられている。排水弁12を開閉することにより、排水経路13を通して水槽1内の洗濯水の排水と停止を行うことができる。
水槽1内の底部の後方に、洗濯水を加熱する洗濯水加熱ヒータ(加熱手段)14を設けている。洗濯水加熱ヒータ14は、シーズヒータを略U字状に折り曲げて形成され、回転軸4aが延びている方向へ水槽1の底面に沿うように取り付けられている。
洗濯水加熱ヒータ14と水槽1の底面との間に空間が設けてあり、水槽1内に洗濯水が溜められると、その水面下に位置し、洗濯水に浸かって洗濯水を加熱する。洗濯水加熱ヒータ14で加熱される洗濯水の温度は、水槽1内の底部に取り付けたサーミスタ等で構成している水温検知手段15で検知する。
水槽1内に溜められる洗濯水の水量は、水位検知手段16で検知する。水位検知手段16は、内部にダイアフラムを有し、圧力が加わることで変形するダイアフラムの変形量から圧力を検知する圧力センサ等で構成し、水槽1に給水された洗濯水の水位を検知する。
水槽1の上方前部の周側壁に排気口17を設け、水槽1の背面部に送風口18を設けている。排気口17と送風口18は、水槽1の外部上方の前面側から後面側に向かって延びている風路19で連通接続している。
風路19には、乾燥用空気とともに風路19を通過するリントを捕捉するフィルタ20と、乾燥用空気を水槽1を介してドラム4内に送風する送風機21と、風路19を流れる乾燥用空気を冷却除湿する吸熱器22と、吸熱器22で除湿した乾燥用空気を加熱する放熱器23を設けている。
吸熱器22および放熱器23は、冷媒が流れる管路24により圧縮機25と連結されている。ヒートポンプ装置50は、冷媒(例えば、R134a)を圧縮する圧縮機25と、圧縮された高温高圧の冷媒の熱を放熱する放熱器23と、高圧の冷媒の圧力を減圧するためのキャピラリーチューブまたは膨張弁等からなる絞り手段49と、減圧されて低圧となった冷媒が周囲から熱を奪う吸熱器22を冷媒が循環するように管路24で連結している。
吸熱器22および放熱器23は、フィンチューブ熱交換器で構成されている。吸熱器22と放熱器23は、各々の端部をエンドプレート23aで連結してあり、吸熱器22と放熱器23の間に空間23bを設けている。
冷媒が流れる管路24は、例えば銅管で形成され、乾燥風の流路を形成するために所定間隔で平行に並べられた複数のフィンに管路24を貫通させて構成している。フィンは、例えば打ち抜き加工された厚み0.08〜0.2mmのアルミニウム製の平板で形成され、フィンピッチは、例えば約1.2mmとなるように構成している。
圧縮機25は、縦型円筒状のケーシング26内に、冷媒を圧縮する圧縮機構27と、圧縮機構27を駆動する圧縮機モータ28を内蔵している。圧縮機モータ28は、直流モータで構成し、回転速度を自在に変化させることができるようにしてあり、ケーシング26の内面に固定したステータ28aと、ステータ28aの内側に回転自在に設けたロータ28bを有し、ロータ28bの回転中心に上下方向に延びるクランク軸28cが取り付けられている。
圧縮機構27は、ロータリ型であり、圧縮機モータ28の下方に設けられ、クランク軸28cを介して圧縮機モータ28と連結している。クランク軸28cに偏心固定したピストン27aがシリンダ27b内で偏心回転し、管路24の吸入口24aから吸入する冷媒を圧縮する。
圧縮機25は、圧縮機モータ28により駆動され、冷媒は、圧縮機構27で加圧されて高温高圧のガス冷媒となり、管路24の吐出口24bから吐出して放熱器23へと送られる。
放熱器23では、送風機21によって風路19に送風される乾燥用空気により冷却されて凝縮し、低温高圧の液冷媒になる。この液冷媒は絞り手段49で減圧され、吸熱器22へ送られる。吸熱器22では、ドラム4内で衣類イ等の洗濯物と接触し、湿った高温の空気により加熱されて蒸発し、低温低圧のガス冷媒となって再び圧縮機25に吸入されて加圧される。
ケーシング26の底部に潤滑油29が溜められている。圧縮機25の下部には、圧縮機25を加熱するクランクケースヒータ(加熱手段)30が設けられている。クランクケースヒータ30は、圧縮機25のケーシング26を取り巻くように取り付けている。なお、クランクケースヒータ30は、圧縮機25の温度を迅速に上昇させるために、圧縮機25の上部から下部にかけて加熱するように取り付けてもよい。
矢印Aは、風路19を流れる乾燥用空気の流れ方向を示し、矢印Bは、管路24を流れる冷媒の流れ方向を示している。
圧縮機25のケーシング26の外周部に圧縮機温度検知手段31を設けている。圧縮機温度検知手段31は、サーミスタ等で構成し、圧縮機25の温度を検知する。圧縮機25と放熱器23の間の管路24に、冷媒温度検知手段32を設けている。冷媒温度検知手段32は、サーミスタ等で構成し、圧縮機25から吐出した冷媒の温度を検知する。
風路19を流れる乾燥用空気の温度を検知する第1温度検知手段33および第2温度検知手段34を設けている。第1温度検知手段33は、サーミスタ等で構成し、送風口18からドラム4内へ流入する乾燥風の温度を検知する。第2温度検知手段34は、サーミスタ等で構成し、排気口17からドラム4外へ流出する乾燥風の温度を検知する。第1温度検知手段33および第2温度検知手段34の出力から、ドラム4内の衣類イ等の洗濯物の乾燥状態を検知する。
洗濯運転および乾燥運転を制御する制御手段35は、筐体2内の前面上部に設けられており、操作表示部36が筐体2の前面に取り付けられている。操作表示部36には、運転
の手動操作を行う操作部36aと、設定内容および運転状況等を表示する表示部36bが設けられている。
操作部36aには、電源スイッチ36cのほか、加熱された洗濯水で洗う温水洗浄ボタン(温水洗浄設定手段)36dと、その他の各種設定用ボタン(図示せず)等が設けられている。この操作部36aにより、洗濯、乾燥等の運転コースを任意に選択し、運転内容を設定することができる。
以上のように構成された洗濯乾燥機について、以下その動作、作用を説明する。洗濯運転は、洗い工程、中間脱水工程、すすぎ工程、脱水工程の順に実行され、脱水工程に続いて乾燥運転を実行することができる。
洗濯を行うときは、扉8を開いてドラム4内に衣類イ等の洗濯物を投入し、筐体2の前面上部に設けられた操作表示部36の電源スイッチ36cを入れ、各種設定用ボタンにより運転コースの選択や、必要に応じて各工程の時間等を入力し、運転を開始することにより、設定内容に基づいて、制御手段35により洗濯から乾燥までを一連の動作として実行することができる。
まず、洗い工程は、ドラム4内に投入された衣類イ等の洗濯物の量を布量検知手段37で検知する。布量検知手段37は、ドラム4を回転させたときのモータ7の電流値等から検知することができる。布量検知手段37で検知した洗濯物の量に応じて予め設定された量の水が給水される。水槽1内の水量を水位検知手段16で検知し、設定量の水が給水されると給水弁10を閉じる。
給水経路11を通して水槽1内に水および洗剤が供給されると、モータ7によりドラム4を回転駆動し、撹拌動作による洗濯を開始する。ドラム4を所定の速度(例えば、50rpm)で回転させると、衣類イ等の洗濯物は、ドラム4の内周面に設けられたバッフル6によってドラム4の回転方向へ持ち上げられ、ドラム4内の上方から落下させることにより、叩き洗いによる洗濯を所定時間行う。
撹拌工程の後、排水弁12を開いて水槽1内の洗濯水を排水し、ドラム4を高速(例えば、900rpm)で回転させて、衣類イ等の洗濯物に含まれる汚れや洗剤などを、水とともに脱水する中間脱水工程を行う。次に、給水弁10を開いて水槽1内に設定量の新たな水を給水し、ドラム4を所定の速度(例えば、50rpm)で回転させて、すすぎ工程を所定時間行う。
すすぎ工程を所定回数行った後、水槽1内の洗濯水を排水し、ドラム4を高速回転(例えば、1500rpm)させて、洗濯物に含まれる水分や、残留する洗剤分を脱水する脱水工程を最後に行い、洗濯を終了する。
洗濯運転に続けて乾燥運転を行うときは、脱水工程の終了後に乾燥工程に移行する。乾燥工程は、ドラム4を所定の速度(例えば、50rpm)で回転させ、洗濯物をドラム4内で撹拌するとともに、送風機21およびヒートポンプ装置50を作動させ、ドラム4内への乾燥用空気の送風循環と、圧縮機25による冷媒の圧縮が開始される。
ヒートポンプ装置50は、圧縮機25の圧縮機モータ28が駆動し、圧縮機構27により冷媒が圧縮され、この圧力により冷媒は圧縮機25から吐出する。圧縮機25から吐出した冷媒は、管路24を流れて放熱器23、絞り手段49、吸熱器22、圧縮機25を循環する。圧縮された冷媒の熱は放熱器23に流入することにより、放熱器23内に配設された管路24に設けられたフィンに接する空気に放熱されるので、風路19を流れる乾燥
用空気が加熱される。
加熱された乾燥用空気は、送風口18からドラム4内へ供給され、洗濯物から水分を奪って湿った空気となり、排気口17から風路19へ排出される。洗濯物の乾燥の進行にともなって、洗濯物から糸屑などのリントが発生する。排気口17から排出された乾燥用空気はフィルタ20を通過し、空気中に含まれているリントが捕捉される。
フィルタ20でリントが除去された乾燥用空気は、絞り手段49により減圧されて低圧となった冷媒が流れる吸熱器22を通過する際に、顕熱と潜熱が奪われて除湿される。除湿されることにより生じた結露水は貯水部(図示せず)に滴下し、除湿されて乾いた乾燥用空気は、放熱器23を通過して加熱される。除湿された結露水は、排水弁12を通って機外へ排水される。
乾燥工程では、第1温度検知手段33と第2温度検知手段34とで、風路19を流れる乾燥用空気の温度を検知する。ドラム4に流入する乾燥風の温度を第1温度検知手段33で検知し、ドラム4から流出した乾燥風の温度を第2温度検知手段34で検知する。これらの出力から、ドラム4内の洗濯物の乾燥度を検知し、所定の乾燥度を検知すると乾燥工程を終了する。
一方、ヒートポンプ装置50は、圧縮機25で圧縮されて気化した高温高圧のガス冷媒の熱が、放熱器23を通過する乾燥用空気に奪われて凝縮し、絞り手段49で減圧されて低温低圧の液冷媒となり、吸熱器22で乾燥用空気から熱を奪って気化し、低温低圧のガス冷媒となって再び圧縮機25に戻る。
圧縮機25から吐出される冷媒の温度は、冷媒温度検知手段32で検知され、冷媒の温度が所定の温度範囲(例えば、90〜85℃)内に維持されるように、圧縮機モータ28の駆動を制御し、圧縮機25の動作を安定させるとともに、安全で安定したヒートポンプサイクルを実現する。
次に、洗濯を温水で行い、続けて乾燥を行う場合について説明する。洗濯の開始時に、操作表示部36の操作部36aで「洗濯乾燥コース」を選択し、操作部36aの温水洗浄ボタン36dにより「温水洗浄」を選択し、洗濯水の温度(例えば、40℃)を設定する。温水による洗濯は、汚れが落ちやすく洗浄力を高めることができ、水温が低いときの洗濯に有利である。
ドラム4に投入された洗濯物の量を布量検知手段37で検知し、洗濯物の量に応じて設定された量の洗濯水が水槽1内に給水されると、水温検知手段15で水槽1内に溜められた洗濯水の温度を検知する。制御手段35は、設定された洗濯水の温度と、水温検知手段15で検知した温度を比較して洗濯水加熱ヒータ14の通電を制御し、洗濯水を設定温度に加熱する。
図6に示すように、洗濯水を加熱する洗濯水加熱ヒータ14は、洗い工程において、水槽1内に洗濯水が給水され、洗濯水加熱ヒータ14が洗濯水に水没すると通電を開始し、設定された温度に洗濯水を加熱する。一方、圧縮機25の温度を圧縮機温度検知手段31で検知し、圧縮機25が洗濯水の設定温度になるようクランクケースヒータ30の通電を制御し、圧縮機25を加熱する。
加熱された洗濯水による洗い工程で水槽1内の温度が上昇した状態で、中間脱水工程が実行されると、ドラム4の高速回転で水槽1内の加熱された空気が風路19を流れ、風路19に配設されている吸熱器22および放熱器23が加熱される。ヒートポンプサイクル
内の吸熱器22および放熱器23が加熱されると、冷媒の圧力が上昇し、冷媒が圧縮機25に流入する。
クランクケースヒータ30は、乾燥運転の開始前、すなわち、乾燥工程で圧縮機25を駆動する前の、すすぎ工程の排水工程から脱水工程で通電し、圧縮機25の温度を圧縮機温度検知手段31により検知して、圧縮機25を洗濯水の設定温度まで加熱する。
これにより、加熱された洗濯水の熱で風路19内の温度が上昇し、中間脱水工程で吸熱器22および放熱器23が加熱されて、ヒートポンプサイクル内の冷媒が圧縮機25に流入した場合でも、圧縮機25が乾燥運転の開始前に加熱されているため、圧縮機25内に滞留した冷媒をヒートポンプサイクル内に戻すことができ、ヒートポンプサイクル内に冷媒を保持して、乾燥運転開始時の乾燥性能を向上させることができる。
以上のように、本実施の形態においては、筐体2内に弾性支持した水槽1と、水槽1内に回転可能に設けたドラム4と、圧縮機25と放熱器23と絞り手段49と吸熱器22とを冷媒が循環するように管路24で連結したヒートポンプ装置50と、ドラム4に乾燥用空気を導入する風路19と、風路19に送風する送風機21と、圧縮機25を加熱する加熱手段30と、加熱された温水による洗濯を設定する温水洗浄設定手段としての温水洗浄ボタン36dと、洗濯運転および乾燥運転を制御する制御手段35とを備える。制御手段35は、温水洗浄設定手段36dにより温水洗浄が設定されると、乾燥運転の開始前に加熱手段30に通電し圧縮機25を加熱するようにしたものであり、温水で洗濯を行った場合でも、乾燥運転の開始時にヒートポンプサイクル内の冷媒を保持することができ、ヒートポンプサイクルを迅速に最適な状態に立ち上げて、乾燥運転開始時の乾燥性能を向上させることができる。
なお、温水洗浄時の洗濯水の温度は、洗濯物の種類や性質、および目的に応じて、最適な温度に設定することができる。
また、圧縮機25を加熱する温度は、温水洗浄時の洗濯水の設定温度と必ずしも同じにする必要はなく、ヒートポンプサイクル内の冷媒の圧力がバランスし、保持されるように加熱されればよい。
(実施の形態2)
図7は、本発明の第2の実施の形態における洗濯乾燥機の動作を示すタイムチャートである。本実施の形態の特徴は、洗い工程後に実行する中間脱水工程以前に圧縮機25を加熱するようにしたものである。他の構成は実施の形態1と同じであり、同一の構成に同一の符号を付して、詳細な説明は実施の形態1のものを援用する。
洗濯の開始時に、操作表示部36の操作部36aで「洗濯乾燥コース」を選択し、操作部36aの温水洗浄ボタン36dにより「温水洗浄」を選択し、洗濯水の温度(例えば、40℃)を設定する。
図7に示すように、洗濯水を加熱する洗濯水加熱ヒータ14は、洗い工程において、水槽1内に洗濯水が給水され、洗濯水加熱ヒータ14が洗濯水に水没すると通電を開始し、設定された温度に洗濯水を加熱する。クランクケースヒータ30は、中間脱水工程以前、すなわち、洗い工程の撹拌工程から排水工程の間で通電し、圧縮機25を洗濯水の設定温度まで加熱する。
中間脱水工程は、ドラム4を回転させて脱水を行うため、ドラム4の回転に伴い、乾燥用空気を導入する風路19に気流が生じる。温水洗浄で加熱された気流が風路19を流れ
て吸熱器22や放熱器23を加熱した場合でも、中間脱水工程以前に圧縮機25が加熱されているため、ヒートポンプサイクル内、特に、吸熱器22や放熱器23内の冷媒が圧縮機25内に流入することがなく、ヒートポンプサイクル内の冷媒を保持し、乾燥運転開始時の乾燥性能を向上させることができる。
圧縮機25は、ケーシング26内に圧縮機構27と圧縮機モータ28を内蔵した密閉容器であり、冷めにくく、加熱された圧縮機25は、乾燥運転の開始時まで所定の温度に維持することができる。
以上のように、中間脱水工程前に圧縮機25を加熱し、ヒートポンプサイクル内の冷媒が圧縮機25に流入するのを防止することができるため、冷媒を再加熱する必要がなく、クランクケースヒータ30への入力は圧縮機25を加熱する分だけでよく、消費電力量を低減することができる。
(実施の形態3)
図8は、本発明の第3の実施の形態における洗濯乾燥機の動作を示すタイムチャートである。本実施の形態の特徴は、すすぎ工程に続いて実行する脱水工程以前に圧縮機25を加熱するようにしたものである。他の構成は実施の形態1と同じであり、同一の構成に同一の符号を付して、詳細な説明は実施の形態1のものを援用する。
洗濯の開始時に、操作表示部36の操作部36aで「洗濯乾燥コース」を選択し、操作部36aの温水洗浄ボタン36dにより「温水洗浄」を選択し、洗濯水の温度(例えば、40℃)を設定する。
図8に示すように、洗濯水を加熱する洗濯水加熱ヒータ14は、洗い工程において、水槽1内に洗濯水が給水され、洗濯水加熱ヒータ14が洗濯水に水没すると通電を開始し、設定された温度に洗濯水を加熱する。クランクケースヒータ30は、すすぎ工程に続いて実行する脱水工程以前、すなわち、すすぎ工程の撹拌工程から排水工程の間に通電し、圧縮機25を洗濯水の設定温度まで加熱する。
したがって、中間脱水工程で、温水洗浄で加熱された気流が風路19を流れて吸熱器22や放熱器23を加熱した場合でも、すすぎ工程に続いて実行する脱水工程以前に圧縮機25が加熱されているため、中間脱水工程で圧縮機25に流入した冷媒を、乾燥運転の開始前にヒートポンプサイクル内に戻すことができる。
また、圧縮機25が乾燥運転の開始前に加熱されているため、すすぎ工程に続いて実行する脱水工程で、ヒートポンプサイクル内の冷媒が圧縮機25に流入することがなく、ヒートポンプサイクル内の冷媒を保持し、乾燥運転開始時の乾燥性能を向上させることができる。
(実施の形態4)
図9は、本発明の第4の実施の形態における洗濯乾燥機の一部切欠要部構成図である。本実施の形態の特徴は、加熱された水を給水する給湯機39を接続可能に設けたものである。他の構成は実施の形態1と同じであり、同一の構成に同一の符号を付して、詳細な説明は実施の形態1のものを援用する。
洗濯の開始時に、操作表示部36の操作部36aで「洗濯乾燥コース」を選択し、操作部36aの温水洗浄ボタン36dにより「温水洗浄」を選択し、給湯ボタン(図示せず)により「給湯」を選択し、洗濯水の温度(例えば、40℃)を設定する。
図9に示すように、水道と接続されている給水経路11に給湯機接続部38を設け、給湯機(給湯手段)39を接続可能に構成するとともに、給湯機39からの給湯と停止を行う給湯弁40を設けている。制御手段35は、「温水洗浄」および「給湯」が設定されると、給湯機39から所定の温度に加熱された洗濯水を水槽1に給水するようにしている。
洗い工程において、給水弁10を開いて水道水を給水するとともに、給湯弁40を開いて給湯機39から給湯し、水道水と混合して水槽1に給水される。給水経路11を流れる混合水ロの温度は給水温度検知手段41で検知する。給水温度検知手段41は、サーミスタ等で構成し、給水経路11に設けて水槽1に流入する混合水ロの温度を検知する。
制御手段35は、給水温度検知手段41の出力から、混合水ロの温度が設定された温度の洗濯水となるように、給水弁10と給湯弁40を制御する。また、水槽1内に溜まった洗濯水の温度を水温検知手段15で検知し、給水温度検知手段41の出力に優先して、水槽1内の洗濯水の温度が設定温度となるように給水弁10と給湯弁40を制御する。
水槽1内に溜められる洗濯水の温度は、上記以外に、給湯機39により設定温度に加熱して給湯するようにしてもよく、設定温度が高い場合は、洗濯水加熱ヒータ14を併用してもよい。また、すすぎ工程でも給湯機39から給湯し、温水ですすぎを行うようにしてもよい。
クランクケースヒータ30は、乾燥運転の開始前、すなわち、乾燥工程で圧縮機25を駆動する前の脱水工程、または、中間脱水工程前の洗い工程、または、脱水工程前のすすぎ工程で通電し、圧縮機25を洗濯水の設定温度まで加熱する。
これにより、所定量の洗濯水の給水が完了すると洗濯を開始することができ、給湯機等で効率よく加熱された温水で迅速に洗濯することができる。また、中間脱水工程でドラム4の高速回転によって生じる気流が、温水により加熱されて風路19を流れ、吸熱器22や放熱器23を加熱した場合でも、乾燥工程以前に圧縮機25が加熱されているため、ヒートポンプサイクル内、特に、吸熱器22や放熱器23内の冷媒が圧縮機25内に流入することはなく、ヒートポンプサイクル内の冷媒を保持し、乾燥運転開始時の乾燥性能を向上させることができる。
なお、給湯機39を利用した温水洗浄は、洗濯のみを行う場合でも可能である。
(実施の形態5)
図10は、本発明の第5の実施の形態における洗濯乾燥機の動作を示すタイムチャートである。本実施の形態の特徴は、洗い工程とすすぎ工程で、温水による洗浄とすすぎを行うとともに、すすぎ工程に続いて実行する脱水工程以前に圧縮機25を加熱するようにしたものである。他の構成は実施の形態1、4と同じであり、同一の構成に同一の符号を付して、詳細な説明は実施の形態1、4のものを援用する。
洗濯の開始時に、操作表示部36の操作部36aで「洗濯乾燥コース」を選択し、操作部36aの温水洗浄ボタン36dにより「温水洗浄」と「温水すすぎ」を選択し、給湯ボタン(図示せず)により「給湯」を選択し、洗濯水の温度(例えば、40℃)を設定する。
図10に示すように、洗い工程とすすぎ工程の給水工程において、給湯機39から所定の温度に加熱された洗濯水を水槽1に給水し、洗いとすすぎを行う。
クランクケースヒータ30は、乾燥運転の開始前、すなわち、乾燥工程で圧縮機25を
駆動する前の、すすぎ工程の排水工程から脱水工程にかけて通電し、圧縮機25の温度を圧縮機温度検知手段31により検知して、圧縮機25を洗濯水の設定温度まで加熱する。
これにより、中間脱水工程において、ドラム4の高速回転にともない、乾燥用空気を導入する風路19に気流が生じる。温水洗浄で加熱された気流が風路19を流れて吸熱器22や放熱器23を加熱し、冷媒の圧力が上昇して圧縮機25に流入しても、圧縮機25が乾燥運転前の脱水工程で加熱されているため、圧縮機25内の冷媒をヒートポンプサイクル内に戻すことができ、ヒートポンプサイクル内に冷媒を保持して、乾燥運転開始時の乾燥性能を向上させることができる。
また、すすぎ工程に続いて実行する脱水工程において、ドラム4の高速回転にともない、すすぎ工程で給湯した温水により加熱された気流が風路19を流れて吸熱器22や放熱器23を加熱し、冷媒の圧力が上昇しても、圧縮機25が脱水工程で加熱されている。このため、ヒートポンプサイクル内の冷媒が圧縮機25に流入するのを防止することができ、ヒートポンプサイクル内の冷媒を保持して、乾燥運転開始時の乾燥性能を向上させることができる。
したがって、温水で洗いとすすぎを行った場合でも、ヒートポンプサイクル内の冷媒を保持することができ、温水による洗いで、洗浄効果が高められるのに加えて、温水によるすすぎで、水槽1およびドラム4等を加熱した状態で乾燥工程へ移行することができ、ヒートポンプ装置50による乾燥運転開始時のエネルギロスが少なく、ヒートポンプサイクルを迅速に最適な状態に立ち上げて、乾燥運転開始時の乾燥性能を向上させることができる。
(実施の形態6)
図11は、本発明の第6の実施の形態における洗濯乾燥機の一部切欠要部構成図である。本実施の形態の特徴は、浴槽の風呂水を水槽1に給水するようにしたものである。他の構成は実施の形態1と同じであり、同一の構成に同一の符号を付して、詳細な説明は実施の形態1のものを援用する。
洗濯の開始時に、操作表示部36の操作部36aで「洗濯乾燥コース」を選択し、操作部36aの温水洗浄ボタン36dにより「温水洗浄」を選択し、風呂水ボタン(図示せず)により「風呂水」を選択し、洗濯水の温度(例えば、40℃)を設定する。
図11に示すように、水道管と接続されている給水経路11にホース接続部42を設け、このホース接続部42に接続したホース43の他方を浴槽44内に投入する。ホース43を介して浴槽44内の風呂水を給水ポンプ(給水手段)45により汲み上げる。給水ポンプ45は、ホース接続部42と連通する給水経路11に設けている。
制御手段35は、「温水洗浄」および「風呂水」が設定されると給水ポンプ45を駆動し、浴槽44内の風呂水をホース43および給水経路11を介して水槽1に給水するようにしている。
洗い工程において、給水ポンプ45を駆動して浴槽44内の風呂水を汲み上げ、水槽1に給水される。給水経路11を流れる風呂水の温度は、給水温度検知手段41により検知する。制御手段35は、給水温度検知手段41で検知した風呂水の温度が設定温度より低いときは、給水弁10を閉じた状態とし、風呂水のみで水槽1内に所定量の洗濯水を溜めて、水槽1内の洗濯水加熱ヒータ14に通電する。水槽1に溜められた洗濯水の温度を水温検知手段15で検知し、設定温度に加熱する。
また、制御手段35は、給水温度検知手段41で検知した風呂水の温度が設定温度より高いときは、給水弁10を開いて水道水を給水し、風呂水と水道水との混合水ハの温度が設定された温度の洗濯水となるように、給水弁10を制御する。水槽1内に溜まった洗濯水の温度を水温検知手段15で検知し、給水温度検知手段41の出力に優先して、水槽1内の洗濯水の温度が設定温度となるように給水弁10を制御する。
クランクケースヒータ30は、乾燥運転の開始前、すなわち、乾燥工程で圧縮機25を駆動する前の脱水工程、または、中間脱水工程前の洗い工程、または、脱水工程前のすすぎ工程で通電し、圧縮機25を洗濯水の設定温度まで加熱する。
これにより、風呂の残り水を有効に利用することができるとともに、余熱を有した風呂水を少ないエネルギで所定の温度に加熱することができる。また、中間脱水工程でドラム4の高速回転によって生じる気流が、温水洗浄により加熱されて風路19を流れ、吸熱器22や放熱器23を加熱した場合でも、乾燥工程以前に圧縮機25が加熱されているため、乾燥運転の開始時に、ヒートポンプサイクル内の冷媒を保持し、乾燥運転開始時の乾燥性能を向上させることができる。
なお、風呂水を利用した温水洗浄は、洗濯のみを行う場合でも可能である。
以上のように、本発明にかかる洗濯乾燥機は、洗濯時に温水洗浄を行った際の、乾燥運転開始時の乾燥性能を向上させることができるので、洗濯乾燥機として有用である。
1 水槽
2 筐体
4 ドラム
14 洗濯水加熱ヒータ(加熱手段)
19 風路
21 送風機
22 吸熱器
23 放熱器
24 管路
25 圧縮機
26 ケーシング
30 クランクケースヒータ(加熱手段)
35 制御手段
36d 温水洗浄ボタン(温水洗浄設定手段)
49 絞り手段
50 ヒートポンプ装置