JP2014041075A - 海震検知システムおよび空気式防舷材 - Google Patents
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Abstract
【課題】海震の発生を検知することにより津波の襲来を予知して警告できる海震検知システムおよび空気式防舷材を提供する。
【解決手段】空気式防舷材1に設けられた加速度センサ2が検知した加速度データAを無線送信機4により送信し、受信機5を通じて演算装置6に入力し、入力した加速度データAと、予め入力されている基準データCとの比較により演算装置6によって海震の発生の有無を判断し、海震が発生したと判断した時に警告装置7により警告を発する。
【選択図】図1
【解決手段】空気式防舷材1に設けられた加速度センサ2が検知した加速度データAを無線送信機4により送信し、受信機5を通じて演算装置6に入力し、入力した加速度データAと、予め入力されている基準データCとの比較により演算装置6によって海震の発生の有無を判断し、海震が発生したと判断した時に警告装置7により警告を発する。
【選択図】図1
Description
本発明は、海震検知システムおよび空気式防舷材に関し、さらに詳しくは、海震の発生を検知することにより津波の襲来を予知して警告できる海震検知システムおよび空気式防舷材に関するものである。
東日本大震災の地震発生直後の津波の襲来の前には、係留船舶で大きな突き上げが観測されたことが報告されている。この大きな突き上げは海震であると考えられている。海震の地震波のうち、P波が海中を音速(約340m/s)で伝わって衝撃波として係留船舶に大きな突き上げとして作用したと考えられる。
一方、津波は震源地の海底が隆起、沈降した後、上方の水塊が上下動して津波の初期波形を形成し、この初期波形が長波として沿岸へ伝播して港内や陸岸に遡上する。この時の波速はv=(g・h)1/2(ここでg=9.8m/s2、h=水深)で算出される。水深hが4000m〜200mとすると、波速vは198m/s〜44m/s程度となる。それ故、海震の発生を検知できれば、津波が陸岸に到達する前にその襲来を予知して警告できることになる。
ところで、港湾の岸壁等には空気式防舷材が設置されている。空気式防舷材は、内部に空気を密封して衝撃緩和等の所定性能を得るようにしている(例えば、特許文献1参照)。海面に浮かんで設置されている空気式防舷材には、海震が発生した際に、係留船舶と同様に大きな突き上げを受けると考えられる。したがって、空気式防舷材を利用することによって海震を検知でき、これにより津波の襲来を予知することが可能である。
本発明の目的は、海震の発生を検知することにより津波の襲来を予知して警告できる海震検知システムおよび空気式防舷材を提供することにある。
上記目的を達成するため本発明の海震検知システムは、加速度センサおよび無線送信機が設けられた空気式防舷材と、演算装置と、警告装置とを備えた海震検知システムであって、前記加速度センサが検知した加速度データを前記無線送信機により前記演算装置に送信し、送信した加速度データと、予め入力されている基準データとの比較により前記演算装置によって海震の発生の有無を判断し、海震が発生したと判断した時に前記警告装置により警告を発することを特徴とする。
本発明の空気式防舷材は、加速度センサおよびこの加速度センサが検知した加速度データを送信する無線送信機が設けられた空気式防舷材であって、前記無線送信機が送信する加速度データが、この加速度データに基づいて海震の発生の有無を判断する演算装置に送信されることを特徴とする。
本発明によれば、空気式防舷材に設けられた加速度センサが検知した加速度データを無線送信機により演算装置に送信し、送信した加速度データと、予め入力されている基準データとの比較により演算装置によって海震の発生の有無を判断することができる。海震が発生した場合は津波が来襲すると考えられるので、海震が発生したと判断し、その時に警告装置により警告を発することで、津波の襲来を予知して警告することになる。
前記空気式防舷材の内圧を検知する空気圧センサを設け、この空気圧センサが検知した圧力データを前記無線送信機により前記演算装置に送信し、送信した圧力データも海震の発生の有無の判断に用いることもできる。空気式防舷材に船舶が接触した時には、空気式防舷材が変動して加速度センサが過大な加速度を検知することも考えられる。その際の加速度データを海震の発生の有無の判断に用いると誤判断につながる可能性がある。そこで、圧力データに基づいて、検知した加速度データが、空気式防舷材に船舶が接触したことに起因するデータか否かを判断することにより、海震の発生の有無の判断の誤判断を防止することが可能になる。
前記空気式防舷材を複数の異なる領域に配置し、それぞれの空気式防舷材に設けられた加速度センサが検知した加速度データを比較した結果も海震の発生の有無の判断に用いることもできる。この場合、より確実に海震の発生の有無を判断することが可能になる。
以下、本発明の海震検知システムおよび空気式防舷材を図に示した実施形態に基づいて説明する。
図1に例示するように本発明の海震検知システムは、本発明の空気式防舷材1(以下、防舷材1という)と、演算装置6と、警告装置7とを備えている。防舷材1は、加速度センサ2および無線送信機4を備えている。防舷材1は、ゴムを主材料として、円筒部の両端にボウル状の鏡部を有し、少なくとも一方の鏡部に口金部1aが設けられている。
加速度センサ2および無線送信機4は防舷材1の内部、例えば口金部1aの内部や口金部1aの近傍に取り付けられる。演算装置6および警告装置7は、例えば陸上の管理センタに設置される。演算装置6としては例えば、パーソナルコンピュータが用いられる。警告装置7としては、警報機、警告灯、警告無線放送等やこれらを組み合わせたものが使用される。
この実施形態では、さらに、防舷材1の内圧を検知する空気圧センサ3が設けられている。また、演算装置6に接続されるモニタ8が設けられている。モニタ8は演算装置6と同様に陸上の管理センタに設置される。空気圧センサ3およびモニタ8は任意に設けることができる。
加速度センサ2は、逐次、防舷材1に生じる加速度を検知する。加速度センサ2が検知した加速度データは、逐次、無線送信機4により無線送信される。送信された加速度データは、陸上に設置された受信機5を通じて演算装置6に入力される。
空気圧センサ3は、逐次、防舷材1の内圧を検知する。空気圧センサ3が検知した圧力データは、逐次、無線送信機4により無線送信される。送信された圧力データは受信機5を通じて演算装置6に入力される。
演算装置6には海震の発生の有無を判断するための基準データCが予め入力されている。そして、演算装置6は、入力された加速度データと基準データCとを比較して逐次、海震の発生の有無を判断する。この判断を行なう手順は、図2に例示するとおりである。
具体的には、演算装置6に入力された加速度データは、例えば、FFT分析されて図3に例示するような加速度データAとなる。この加速度データAには、通常の波動等により生じる加速度の成分Eも含まれている。即ち、年間を通じて一般的に発生する加速度成分Eも含まれている。そのため、年間を通じて一般的に発生する加速度成分Eが予め取得されて、演算装置6に入力されている。
そして、演算装置6では、まず、入力された加速度データAから一般的に発生する加速度成分Eを除去する処理を行なう。この除去処理によって図4に例示する加速度データA1が得られる。
次いで、除去処理後の加速度データA1と基準データCとを比較する。例えば、基準データCとして、加速度の所定の値が閾値として設定される。そして、この加速度データA1が基準データCとして設定された加速度の値を超えた場合に、海震が発生したと判断する。
或いは、海震によって生じる加速度の上昇は、長く続くことはなく、短時間で終息する。そこで、所定の大きさ以上の加速度が短時間だけ発生する加速度データを基準データCとして設定する。そして、この基準データCが、検知した加速度データAに現れた場合に、海震が発生したと判断する。このようにして、海震が発生したと判断した時には即時、警告装置7により警告を発する。
海震が発生した場合は津波が来襲すると考えられるので、海震が発生したと判断して、その時に警告装置7により警告を発することで、津波の襲来を予知して警告することになる。これにより、例えば、津波の襲来の数分〜30分前に警告が発せられるので、警告が発せられてから津波が来るまでの間に、可能な非難、処置を行なうことにより、津波による被害を抑えることができる。
この実施形態では、演算装置6に送信された圧力データPも海震の発生の有無の判断に用いるように構成されている。防舷材1に船舶が接触した時には、防舷材1が上下左右に変動して加速度センサ2が過大な加速度を検知する可能性がある。そのため、海震の発生の有無を判断する際には、このような過大な加速度を考慮しないことが好ましい。
そこで、空気圧センサ3が検知した圧力データに基づいて、その圧力データを検知の時に検知した加速度データが、防舷材1に船舶が接触したことに起因するデータか否かを演算装置6により判断する。具体的には、加速度センサ2が過大な加速度を検知した時、圧力データが急激に上昇していた場合は、防舷材1に船舶が接触したことに起因する加速度データとして判断する。そして、船舶が接触したことに起因して過大になっていると判断された加速度データは、海震の発生の有無を判断する際に考慮しない。これにより、海震の発生の有無の判断の誤判断を防止することが可能になる。
モニタ8には、例えば、演算装置6に入力された加速度データAから一般的に発生する加速度成分Eを除去した加速度データA1および基準データCを逐次表示するとよい。これにより、モニタ8の表示を見れば、即座に海震の発生の有無を把握できる。
図5に例示するように、防舷材1a、1b、1cをある程度の範囲内(例えば、半径10km〜50kmの範囲内、或いは、同じ湾内)の複数の異なる領域に配置し、それぞれの防舷材1a、1b、1cに設けられた加速度センサ2が検知した加速度データAを比較した結果も海震の発生の有無の判断に用いることもできる。例えば、一部の領域に配置された防舷材1aで検知された加速度データA(加速度の値)だけが極端に上昇した場合は、その領域に海震ではなく別の何らかの事情が生じていると判断して、その加速度データAは、海震の発生の有無を判断する際に考慮しない。或いは、それぞれの領域に配置された防舷材1a、1b、1cで検知された加速度データAに基づいて判断した結果が、すべて、海震が発生したとの判断であった場合には、確実に海震が発生したと判断できる。
即ち、この実施形態の場合、それぞれの防舷材1a、1b、1cが配置された領域の特有の事情や、それぞれの防舷材1a、1b、1cの不具合等の影響が排除できるので、より確実に海震の発生の有無を判断することが可能になる。
1、1a、1b、1c 空気式防舷材
1a 口金部
2 加速度センサ
3 空気圧センサ
4 無線送信機
5 受信機
6 演算装置
7 警告装置
8 モニタ
1a 口金部
2 加速度センサ
3 空気圧センサ
4 無線送信機
5 受信機
6 演算装置
7 警告装置
8 モニタ
Claims (5)
- 加速度センサおよび無線送信機が設けられた空気式防舷材と、演算装置と、警告装置とを備えた海震検知システムであって、前記加速度センサが検知した加速度データを前記無線送信機により前記演算装置に送信し、送信した加速度データと、予め入力されている基準データとの比較により前記演算装置によって海震の発生の有無を判断し、海震が発生したと判断した時に前記警告装置により警告を発することを特徴とする海震検知システム。
- 前記空気式防舷材の内圧を検知する空気圧センサを設け、この空気圧センサが検知した圧力データを前記無線送信機により前記演算装置に送信し、送信した圧力データも海震の発生の有無の判断に用いる請求項1に記載の海震検知システム。
- 前記空気式防舷材を複数の異なる領域に配置し、それぞれの空気式防舷材に備えた加速度センサが検知した加速度データを比較した結果も海震の発生の有無の判断に用いる請求項1または2に記載の海震検知システム。
- 加速度センサおよびこの加速度センサが検知した加速度データを送信する無線送信機が設けられた空気式防舷材であって、前記無線送信機が送信する加速度データが、この加速度データに基づいて海震の発生の有無を判断する演算装置に送信されることを特徴とする空気式防舷材。
- 内部に空気圧センサが設けられ、この空気圧センサが検知した圧力データが、前記無線送信機により、この圧力データに基づいて海震の発生の有無を判断する演算装置に送信される請求項4に記載の空気式防舷材。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012183871A JP2014041075A (ja) | 2012-08-23 | 2012-08-23 | 海震検知システムおよび空気式防舷材 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017038544A1 (ja) * | 2015-09-02 | 2017-03-09 | 横浜ゴム株式会社 | 空気式防舷材およびその折り畳み方法 |
-
2012
- 2012-08-23 JP JP2012183871A patent/JP2014041075A/ja active Pending
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