JP2014040097A - 離型ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】基材への密着性が高く、高い離型性能を有し、外観が良好な離型フィルムを提供する。
【解決手段】ポリエステルフィルムの少なくとも片面に離型層を有する離型フィルムであって、前記離型層が、主鎖としてアクリル系重合体、側鎖としてシリコーン系重合体を有し、カルボキシル基と水酸基とを有するシリコーングラフト共重合体を主成分とし、剥離力が0.01〜0.10N/cmであることを特徴とする離型ポリエステルフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、離型ポリエステルフィルムに関する。
離型フィルムは、ゴムやプラスチックのシート形成時の工程紙や、接着剤や粘着剤の塗工面の保護フィルムとして広く使われている。離型フィルムは、被着体や保護材に対して適度な密着性と剥離性を兼備することが必要である。離型フィルムとしては、ポリエステル等のプラスチックフィルム単体だけでなく、ラミネートやコーティングによる積層体、さらにエンボス加工やサンドマット等、表面やフィルム全体に凹凸や意匠性を付与したタイプも使用されている。中でも離型剤により表面処理されたフィルムが多く使われている。
フィルムの基材としては、寸法精度に優れる二軸延伸フィルムが広く使われている。特に機械的性質、耐熱性の点で二軸延伸ポリエステルフィルムが使用されている。
離型剤としては、従来、シリコーンオイル、シリコーングリース、シリコーンオリゴマー等のシリコーン化合物、テトラフルオロエチレンのオリゴマーやヘキサフルオロプロピレンオキシドのオリゴマー等のフッ素化合物、パラフィンワックス、n−ドデカン等のパラフィン系炭化水素、トリ(2−エチルヘキシル)リン酸エステル等のリン酸エステル類、鉱物油、脂肪酸誘導体、グリコール、タルク、マイカ等が使用されている。
中でも、シリコーン系の離型剤を用いる場合、塗膜の凝集性を向上させるために、白金触媒や過酸化物等の触媒や架橋剤を添加することがおこなわれている。しかしながら、塗膜の凝集性は向上するものの、未反応オリゴマーが塗膜中に存在するため移行が起こりやすく、基材との密着性に問題があった。
また、従来の離型剤に加えて、メラミン系樹脂、イソシアネート系樹脂、オキサゾリン系樹脂等の硬化剤を添加することにより離型層を硬化させて、基材への密着性や離型層の強度を向上させることがおこなわれる(例えば、特許文献1)。しかしながら、離型層の強度は向上するが、剥離力が高くなりすぎ、シートの剥離の作業性悪化やシート切断による歩留まりの低下等の問題が起こることがあった。また、硬化剤を添加することにより、塗工液が経時で増粘したり、ゲル化物が発生したりするため、それを用いた場合、フィルムにスジや塗工ムラが発生し、外観が不良になるという問題があった。
特開昭63−227670号公報
本発明は、かかる従来技術を鑑み、基材への密着性が高く、高い離型性能を有し、外観が良好な離型フィルムを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記離型層に、特定のシリコーングラフト共重合体を主成分とする離型剤として使用することにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)ポリエステルフィルムの少なくとも片面に離型層を有する離型フィルムであって、前記離型層が、主鎖としてアクリル系重合体、側鎖としてシリコーン系重合体を有し、カルボキシル基と水酸基とを有するシリコーングラフト共重合体を主成分とし、剥離力が0.01〜0.10N/cmであることを特徴とする離型ポリエステルフィルム。
(2)離型層に硬化剤を含まない(1)記載の離型ポリエステルフィルム。
本発明によれば、基材への密着性が高く、高い離型性能を有し、外観が良好な離型フィルムを提供することができる。また、本発明の製造方法によれば、ポリエステルフィルムに塗工液を塗布後、一定の温度以上で加熱するという簡易な方法により本発明の離型フィルムを得ることができる。
本発明の離型フィルムは、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に離型層を有するものである。
ポリエステルフィルムに使用するポリエステル樹脂としては、エステル結合を有するものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートが挙げられ、中でも、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。これらのポリエステル樹脂には、本発明の特性を損なわない限り、他の成分を共重合されていてもよい。
他の成分としては、カルボン酸成分、アルコール成分、ヒドロキシカルボン酸成分が挙げられる。カルボン酸成分としては、例えば、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸等のジカルボン酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の三官能以上のカルボン酸、安息香酸等のモノカルボン酸が挙げられる。アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAやビスフェノールSのエチレンオキシド付加体等のグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の三官能以上のアルコール、ステアリルアルコール等のモノアルコールが挙げられる。ヒドロキシカルボン酸成分としては、例えば、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトン、乳酸が挙げられる。
ポリエステルフィルムに使用するポリエステル樹脂の融点は、230℃以上であることが好ましい。融点を230℃以上とすることにより、ポリエステルフィルムに優れた耐熱性や結晶性を付与することができる。
ポリエステルフィルムに使用するポリエステル樹脂の重合方法としては、例えば、直接エステル化法、エステル交換法等の公知の製造方法が挙げられる。直接エステル化法としては、例えば、必要なモノマー原料を反応缶内に注入し、エステル化反応をおこなった後、重縮合反応をおこなう方法が挙げられる。エステル化反応では、窒素雰囲気下、160℃以上の温度で4時間以上、加熱溶融して反応させる。その際、触媒として、マグネシウム、マンガン、亜鉛、カルシウム、リチウム、チタン等の酸化物、酢酸塩を使用してもよい。重縮合反応では、130Pa以下の減圧下で、220〜280℃の温度で所望の分子量に達するまで重縮合反応を進める。その際、触媒として、アンチモン、チタン、ゲルマニウム等の酸化物、酢酸塩を使用してもよい。重合後のポリエステル樹脂には、モノマーやオリゴマー、アセトアルデヒドやテトラヒドロフラン等の副生成物を含んでいるため、減圧または不活性ガス流通下、200℃以上の温度で固相重合することが好ましい。
ポリエステル樹脂を重合する際、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等を添加してもよい。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物が挙げられる。熱安定剤としては、例えば、リン系化合物が挙げられ、紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系の化合物を挙げることができる。
ポリエステルフィルムには、必要に応じて、コロナ放電処理やアンカーコート処理をおこなってもよい。
本発明の離型フィルムの離型層は、主鎖としてアクリル系重合体、側鎖としてシリコーン系重合体を有し、カルボキシル基と水酸基とを有するシリコーングラフト共重合体を主成分とするものである。
本発明に使用するシリコーン系グラフト共重合体には、一般式(I)で示される(メタ)アクリル酸エステル(I)に由来する構造単位(以下、「構造単位(I)」ということがある。)、エチレン性不飽和カルボン酸(II)および/またはその塩に由来する構造単位(以下、「構造単位(II)」ということがある。)およびシリコーン系マクロモノマー(III)に由来する構造単位(以下、「構造単位(III)」ということがある。)を有する必要があり、さらに水酸基を有する不飽和モノマー(以下、「構造単位(IV)」ということがある。)、他の重合性単量体(V)に由来する構造単位(以下、「構造単位(V)」ということがある。)を有していてもよい。
CH=C(R)−COO−(R−O)−R (I)
(式中、Rは水素原子またはメチル基、Rはエチレン基またはプロピレン基、Rは水素原子または炭素数1〜6の1価の炭化水素基を示し、nは1〜25の数である。ただし、nが1の場合、Rは1〜6の1価の炭化水素基である。)
シリコーン系グラフト共重合体は、構造単位(I)、構造単位(II)および/または構造単位(IV)からなる幹部およびシリコーン系マクロモノマー(III)が片末端に有する重合性不飽和基に由来する単位を有し、必要に応じて、さらに他の重合性単量体に由来する構造単位を有しており、当該幹部に対して、シリコーン系マクロモノマー(III)の本体をなすシリコーン系重合体が枝部として結合している。枝部をなすシリコーン系重合体は、シリコーン系マクロモノマーの共重合部位(すなわちシリコーン系マクロモノマー(III)が片末端に有する重合性不飽和基によって共重合した部分)により、幹部に枝状に結合している。
シリコーン系グラフト共重合体において、構造単位(I)は幹部を形成する。一般式(I)で示される(メタ)アクリル酸エステル(I)において、Rは、水素原子またはメチル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
がメチル基である場合、Rは、エチレン基またはプロピレン基であることが好ましく、エチレン基であることがより好ましい。Rは、水素原子または炭素数1〜6の1価の炭化水素基であることが好ましく、炭素数1〜6のアルキル基であることがより好ましく、メチル基またはエチル基であることが、水溶液の粘度が低くなる点から、さらに好ましい。nは、1〜25の数であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、1〜10であることがさらに好ましく、2〜5であることが特に好ましい。nを1〜25の範囲とすることにより、共重合体を水に溶解させやすくすることができる。
がメチル基である(メタ)アクリル酸エステル(I)としては、例えば、一般式(I)においてnが1〜10である、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ペントキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヘキソキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ペントキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ヘキソキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。中でも、一般式(I)においてnが2〜5である、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートが、入手容易性の点から好ましく、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートがより好ましい。これらは単独で用いてもよいし、併用してもよい。
がメチル基である(メタ)アクリル酸エステル(I)の市販品としては、例えば、新中村化学社製「NKエステル Mシリーズ」、「NKエステル AMシリーズ」(商品名)、日本油脂社製「ブレンマー PMEシリーズ」、「ブレンマー AMEシリーズ」(商品名)、共栄社化学社製「ライトエステルMC」、「ライトエステル130MA」が挙げられる。
構造単位(II)としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル(I)およびシリコーン系マクロモノマー(III)と共重合可能で、かつ、カルボキシル基を1個または2個以上有するエチレン性不飽和カルボン酸を使用することができる。エチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、ω−カルボキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ω−ヒドロキシモノ(メタ)アクリレートの各種酸無水物付加物が挙げられ、中でも、入手容易性、シリコーン系マクロモノマー(III)との共重合性の点から、アクリル酸、メタクリル酸がより好ましく、メタクリル酸がさらに好ましい。これらは単独で用いてもよいし、併用してもよい。
シリコーン系グラフト共重合体の枝部分を導入するシリコーン系マクロモノマー(III)は、片末端に重合性不飽和基を有するシリコーン系重合体である。
シリコーン系マクロモノマー(III)は、離型性を有する鎖状のシリコーン系重合体であって、その片末端に重合性不飽和基(特に、重合性二重結合)を有するシリコーン系マクロモノマーであれば特に限定されないが、下記の一般式(IIIa)で示されるシリコーン系マクロモノマーが、離型性の点から、より好ましい。
D−O−[Si(R)(R)−O]−X (IIIa)
(式中、Dは末端に重合性不飽和結合を有する基(重合性不飽和基)、RおよびRはそれぞれ独立して1価の脂肪族炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基または1価のハロゲン化炭化水素基、Xはラジカル重合性を有さない置換基、pは重合度を示す。)
上記の一般式(IIIa)において、RおよびRは、炭素数1〜3のアルキル基、フェニル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
シリコーン系マクロモノマー(III)は、上記の一般式(IIIa)において、RおよびRの両方がメチル基であって片末端に重合性不飽和基が結合したジメチルポリシロキサン系マクロモノマー、当該ジメチルポリシロキサン系マクロモノマーにおけるRおよび/またはRの一部がエチル基やその他のアルキル基および/またはフェニル基で置換されたジオルガノポリシロキサン系マクロモノマーが好ましく、RおよびRの全てがメチル基であるジメチルポリシロキン系マクロモノマーがより好ましい。
シリコーン系マクロモノマー(III)の片末端における重合性不飽和基[例えば、上記の一般式(IIIa)におけるD]は、(メタ)アクリル酸エステル(I)、エチレン性不飽和カルボン酸(II)と共重合可能な重合性不飽和基であれば特に限定されないが、(メタ)アクリル酸エステル(I)、エチレン性不飽和カルボン酸(II)との共重合性の点から、(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。シリコーン系マクロモノマーの片末端における重合性不飽和基Dとしては、例えば、下記の一般式(IIId)で示される基が挙げられる。
CH=C(R)−COO−(CH−(O)−(CH−Si(R) (R)− (IIId)
(式中、Rは水素原子またはメチル基、RおよびRは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはアセトキシ基、qはrが0のときに0〜2、rが1のときに2であり、rは0または1である。)
一般式(IIIa)におけるXは、シリコーン系マクロモノマー、グラフト共重合体の化学的安定性等の点から、トリアルキルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基、ジメチルエチルシリル基、ジメチルブチルシリル基がより好ましい。
シリコーン系マクロモノマー(III)の重量平均分子量は、5000〜35000であることが好ましく、8000〜30000であることがより好ましく、10000〜20000であることがさらに好ましい。シリコーン系マクロモノマー(III)の重量平均分子量を、5000〜35000の範囲とすることにより、当該シリコーン系マクロモノマーの離型性をより一層向上させることができる。なお、本発明において、重量平均分子量(シリコーン系マクロモノマー、シリコーン系グラフト共重合体の重量平均分子量)は、ポリスチレンを基準物質とするゲル浸透クロマトグラフによる重量平均分子量をいう。
シリコーン系マクロモノマー(III)は、1種類のシリコーン系マクロモノマーを使用してもよいし、2種以上のシリコーン系マクロモノマーを使用してもよい。シリコーン系マクロモノマーの具体例としては、例えば、東亞合成社製「AK−5」、「AK−30」、「AK−32」(商品名)、信越化学工業社製「X−22−174DK」、「X−24−8201」、「X−22−2426」(商品名)が挙げられる。
シリコーン系グラフト共重合体においてを有する場合、構造単位(IV)は幹部を形成する。
構造単位(IV)としては、特に限定されないが、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ヒドロキシメチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、4−ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル、3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオール、グリセロールα−モノアリルエーテルを挙げることができる。これらは、単独で用いてもよいし、併用してもよい。
構造単位(V)としては、例えば、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、(メタ)アクリル酸の脂環式炭化水素エステル、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリルアミドビニル、(メタ)アクリロニトリル、芳香族ビニル化合物、スルホン酸基含有単量体、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドンが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、併用してもよい。(メタ)アクリル酸のアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリルが挙げられる。
本発明に使用するシリコーン系グラフト共重合体は、上記した(メタ)アクリル酸エステル(I)、エチレン性不飽和カルボン酸(塩)(II)およびシリコーン系マクロモノマー(III)の3成分からなる共重合体、(メタ)アクリル酸エステル(I)、水酸基を有する不飽和モノマー(IV)およびシリコーン系マクロモノマー(III)の3成分からなる共重合体、(メタ)アクリル酸エステル(I)、エチレン性不飽和カルボン酸(塩)(II)シリコーン系マクロモノマー(III)および水酸基を有する不飽和モノマー(IV)の4成分からなる共重合体であってもよく、さらに他の重合性単量体(V)を構成に含んでいてもよい。
本発明の離型フィルムの離型層には、シリコーン系重合体を有し、カルボキシル基と水酸基とを有するシリコーングラフト共重合体を用いることが必要である。シリコーングラフト共重合体は、カルボキシル基と水酸基を両方有するシリコーングラフト共重合体を用いてもよいし、カルボキシル基を有するシリコーングラフト共重合体と水酸基を有するシリコーングラフト共重合体を混合して用いてもよい。
本発明に使用するシリコーン系グラフト共重合体には、構造単位(II)に起因したカルボキシル基が含まれる。そのため、カルボキシル基の一部を塩基により中和させることにより、水への溶解性を向上させることができる。シリコーン系グラフト共重合体において、全カルボキシル基の50モル%以上が中和されていることが好ましく、75モル%以上が中和されていることがより好ましい。中和に使用する塩基としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物等の無機アルカリ剤、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン類が挙げられる。中でも、アルカリ金属水酸化物が好ましい。
シリコーン系グラフト共重合体のガラス転移温度は、20〜100℃であることが好ましく、60〜80℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が20℃以下の場合には、共重合体が熱により架橋しても離型層が軟化しやすく離型性が低下する場合がある。また、100℃を超える場合には離型層の造膜性が悪く欠陥が生時やすくなり離型性が低下する場合がある。
シリコーン系グラフト共重合体中に含まれる未反応シリコーン成分は、3質量%未満であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。未反応シリコーン成分が3質量%以上の場合には、フィルムにコートする際に、はじきが発生したり、背面への移行や被着体への汚染が起こる場合があるので好ましくない。
シリコーン系グラフト共重合体の製造方法としては、例えば、マクロモノマー法、イオン重合法、高分子反応による側鎖の導入による方法等が知られている。中でも、幹部および枝部の重合度の調整が容易で、しかも幹部に枝部を容易に連結(結合)させることができる点から、マクロモノマー法が好ましい。マクロモノマー法としては、(メタ)アクリル酸エステル(I)、エチレン性不飽和カルボン酸(II)、シリコーン系マクロモノマー(III)および必要に応じて他の重合性単量体(IV)を、有機溶媒中で共重合する方法が挙げられる。共重合する場合、重合の均一性の点から、エチレン性不飽和カルボン酸(II)のカルボキシル基が中和されていない状態でおこなうことが好ましい。
本発明におけるシリコーン系グラフト共重合体は、通常水や有機溶剤で溶解した溶液状態や乳化重合や分散化等で得られたエマルジョンの状態で使用される。フィルムに塗工・乾燥することにより溶媒をとばすことで本発明の離型フィルムを得ることができる。溶媒としては特に限定されないが、臭気が少なく環境への影響が少ないという点で水が好ましい。
また、本発明に用いるシリコーン系グラフト共重合体は、加熱しなければ硬化反応は進行しない。そのため、常温で長期間保存することが可能である。
水酸基を有するシリコーン系グラフト共重合体としては、東亞合成社製サイマックUS−270が挙げられる。カルボキシル基を有するシリコーン系グラフト共重合体としては、東亞合成社製サイマックUS−350、US−352、US−380が挙げられる。水酸基とカルボキシル基の両方を有するシリコーン系グラフト共重合体としては、サイマックUS−450、US−480が挙げられる。
本発明の離型ポリエステルフィルムは、上記シリコーン系グラフト共重合体を含む塗工液をポリエステルフィルムに塗布し、加熱することにより得ることができる。
塗工液の塗布方法としては、特に限定されないが、例えば、グラビアロール法、リバースロール法、エアーナイフ法、リバースグラビア法、マイヤーバー法、インバースロール法、またはこれらの組み合わせによる各種コート方式が挙げられる。また、各種噴霧方式も採用することができる。
塗工液は、延伸したフィルム上に塗布してもよいし(ポストコート法)、未延伸フィルム上に塗布して後延伸してもよいが(プリコート法)、生産性と経済性の点から、プリコート法がより好ましい。プリコート法としては、未延伸シートに塗工後縦横同時に延伸する同時二軸延伸法、縦延伸されたフィルムに塗工後横延伸する逐次二軸延伸法を用いてもよい。
加熱温度は、180〜240℃とすることが好ましく、200〜230℃とすることがより好ましく、加熱時間は、5〜60秒とすることが好ましく、20〜60秒とすることがより好ましい。なお、加熱温度が180℃未満の場合、硬化反応が十分に進行しない場合があり、基材との密着性が不十分となる場合がある。一方、加熱温度が 240℃より高いとポリエステルフィルムの強度や伸度が低下する場合がある。
本発明の離型ポリエステルフィルムの離型層の厚みは、乾燥後で0.01〜2μmとすることが好ましく、0.03〜1μmとすることがより好ましく、0.04〜0.5μmとすることがさらに好ましい。
離型フィルムの離型性の指標となる剥離力は、0.01〜0.10N/cmとすることが必要であり、0.01〜0.05N/cmとすることが好ましい。剥離力が0.01N/cm未満の場合、フィルムが滑って巻き取ることができないので好ましくない。一方、剥離力が0.10N/cmを超える場合、離型性が不十分であり、離型フィルムとして使用することができないので好ましくない。
本発明に使用するシリコーングラフト共重合体は、基材に塗布後、加熱することにより、自己架橋して、優れた機械強度を示す離型層を形成することができる。そのため、硬化剤を使用した場合に見られるような離型性の低下は見られず、シリコーングラフトポリマーそのものの離型性を発現することができる。
また、本発明に使用するシリコーングラフト共重合体は、加熱しなければ自己架橋しない。そのため、加熱しなければ、硬化剤を使用して塗工液を作製した場合に見られるような塗工液の増粘やゲル化は生じず、作液後数日経過した塗工液を用いても、外観の良好なフィルムを作製することができる。
本発明の離型フィルムの離型層は、表面にはシリコーン成分が多く、基材との界面にはシリコーン成分が少ないという不均一な相分離構造を有する。このため、ポリエステルフィルムの基材には高い密着力を有しながらも、シリコーンに起因した優れた離型性を示すことができる。
本発明の離型フィルムの離型層には、硬化剤を含まないことが好ましい。硬化剤を含まないことにより、離型性の低下を抑制することができる。
本発明の離型フィルムは、基材フィルムへの密着性が高く、高い離型性能を有しているため、粘着テープやラベルの剥離紙、タッチパネルの保護フィルム等に好適に使用することができる。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。フィルムの物性測定は、以下の方法により測定した。
(1)剥離強力
フィルムの塗布面に、日東電工社製粘着テープ31B(テープ幅50mm)を貼り、20g/cmの荷重をかけて70℃で20時間放置した。23℃、50%RHの雰囲気で調湿後、オートグラフを使用し、クロスヘッド速度300mm/分で、180度剥離強力を測定した。
実施例1
東亞合成社製サイマックUS−450(水酸基およびカルボキシル基を有するシリコーン系グラフト共重合体、固形分濃度30質量%)を、純水で希釈して、固形分濃度を5.8質量%に調整した後、室温で攪拌し、均一な塗工液を作製した。
平均粒径0.6μmの無定形シリカ粒子を0.3質量%含むポリエチレンテレフタレートを280℃で溶融押出しをおこない、Tダイ法−静電ピニング方式でキャスティングドラムに密着急冷し、厚さ300μmの未延伸フィルムを作製した。続いてこの未延伸フィルムを90℃に加熱した縦延伸ロールで3.5倍に延伸した。延伸したフィルムの片面に、リバースクラビアコーターを使用して、上記塗工液を3g/mの塗布量になるように塗工し、横延伸テンターにて120℃で3.5倍延伸後、230℃で5秒間熱処理した。続いて、フィルムを冷却し、巻き取り、離型ポリエステルフィルムを得た。
実施例2
東亞合成社製サイマックUS−450を、純水で希釈して、固形分濃度を6.7質量%に調整した後、室温で攪拌し、均一な塗工液を作製した。
得られた塗工液を、ユニチカ社製ポリエステルフィルム エンブレット(二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み50μm)上に、マイヤーバー法により3g/mの塗布量になるように塗布した後、180℃で、20秒間熱処理した。続いて、フィルムを冷却し、巻き取り、離型ポリエステルフィルムを得た。
実施例3
固形分濃度が13.4質量%の塗工液を使用した以外は、実施例2と同様の操作をおこなって、離型ポリエステルフィルムを得た。
実施例4
乾燥温度を200℃にした以外は実施例2と同様にして離型ポリエステルフィルムを得た。
実施例5
東亞合成社製サイマックUS−270(水酸基を有するシリコーン系グラフト共重合体、固形分濃度 29質量%)3質量部と、東亞合成社製サイマックUS−350(カルボキシル基を有するシリコーン系グラフト共重合体、固形分濃度29質量%)1質量部を混合後、トルエン/2−ブタノン=1:1(質量比)の混合溶液で希釈し、固形分濃度2質量%の塗工液を作製した。
得られた塗工液を用いて、実施例2と同様に、塗布、熱処理、冷却、巻き取りをおこない、離型ポリエステルフィルムを得た。
実施例6
東亞合成社製サイマックUS−270 3質量部と、東亞合成社製サイマックUS−352(カルボキシル基を有するシリコーン系グラフト共重合体、固形分濃度29質量%)1質量部を混合後、トルエン/2−ブタノン=1:1(質量比)の混合溶液で希釈し固形分濃度2質量%の塗工液を作製した。
得られた塗工液を用いて、実施例2と同様に、塗布、熱処理、冷却、巻き取りをおこない、離型ポリエステルフィルムを得た。
比較例1
日信化学工業社製シャリーヌNS651(アクリル酸系重合体、水酸基は有するがカルボキシル基は有さないもの、固形分濃度40質量%)を使用した以外は、実施例2と同様の操作をおこなってポリエステルフィルムを得た。
比較例2
竹本油脂社製パイオニンXC−109(エポキシ基を有するシリコーン系化合物と水酸基を有するアクリル水分散体の混合物、固形分濃度20質量%)を使用した以外は、実施例2と同様の操作をおこなってポリエステルフィルムを得た。
比較例3
シリコーン系グラフト共重合体東亞合成社製サイマックGS−101(水酸基とカルボキシル基をいずれも含まないもの、固形分濃度37.5質量%)をトルエン/2−ブタノン=1:1(質量比)の混合溶液で希釈し、固形分濃度2質量%の塗工液を作製した。
得られた塗工液を用いて、実施例2と同様に、塗布、熱処理、冷却、巻き取りをおこない、離型ポリエステルフィルムを得た。
比較例4、5
シリコーン系グラフト共重合体を、それぞれ東亞合成社製サイマックUS―270、US−350に変更した以外は比較例3と同様の操作をおこなって離型フィルムを得た。
比較例6
シリコーン系グラフト共重合体を東亞合成社製サイマックUS―270 10質量%に対し、住化バイエルウレタン社製デスモジュールL−75 6質量部を混合した後、酢酸ブチルで希釈し固形分濃度2質量%の塗工液を作製した。
得られた塗工液を用いて、実施例2と同様に、塗布、熱処理、冷却、巻き取りをおこない、離型ポリエステルフィルムを得た。
比較例7
サイマックUS−450およびパイオニンXC−101Kをそれぞれ純水で希釈して、いずれも固形分濃度を3.4質量%に調整した。その後、サイマックUS−450/パイオニンXC−101K=100/5(質量比)で混合した液を室温で十分に攪拌し、均一な塗工液を作製した。
得られた塗工液を用いて、実施例2と同様に、塗布、熱処理、冷却、巻き取りをおこない、離型ポリエステルフィルムを得た。
実施例1〜6、比較例1〜7のポリエステルフィルムの層構成、製造条件、特性値を表1に示す。
実施例1〜6の離型ポリエステルフィルムは、基材への密着性が高く、優れた離型性を示していた。
また、塗工液は3日室温で放置しても、増粘、ゲル化しておらず、それを用いて作製したフィルムも、外観が良好であった。
比較例1、2のポリエステルフィルムは、カルボキシル基を有していないアクリル酸系重合体を離型剤として使用したため、剥離強力が大きく、離型性が低かった。
比較例3のポリエステルフィルムは、乾燥温度が低かったため、離型剤の硬化が十分ではなく、剥離強力が大きく、離型性が低かった。
比較例4、5のポリエステルフィルムは剥離強力が高く、離型性が低かった。
比較例6のポリエステルフィルムは、硬化剤を使用したため、離型性が不十分であった。
また、塗工液は作液後1日放置すると固化しており、塗工することができなかった。
比較例7のポリエステルフィルムは、硬化剤を使用したため、離型性が不十分であった。
また、塗工液は作液後1日放置すると表面にゲル状物が浮いていた。そのため、それを用いて作製したフィルムは、塗工斑が発生し、外観が不良であった。

Claims (2)

  1. ポリエステルフィルムの少なくとも片面に離型層を有する離型フィルムであって、前記離型層が、主鎖としてアクリル系重合体、側鎖としてシリコーン系重合体を有し、カルボキシル基と水酸基とを有するシリコーングラフト共重合体を主成分とし、剥離力が0.01〜0.10N/cmであることを特徴とする離型ポリエステルフィルム。
  2. 離型層に硬化剤を含まない請求項1記載の離型ポリエステルフィルム。
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