JP2014038425A - 印刷物の検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 検査対象物である印刷物が、製造過程において伸縮した場合においても、濃度不良や印刷不良等の欠陥を精度良く、印刷物の検査を行う。
【解決手段】 本発明に係る印刷物の検査方法は、印刷物を撮像して取得した検査対象画像と、印刷物の良否判定時の基準位置となる基準座標を付与した位置基準画像とをパターンマッチングしてマッチング画像を作成したのち、マッチング画像における基材の濃度を、印刷物の良否判定時の基準となる基準濃度に合わせて補正してレベル補正画像を作成し、印刷物の良否判定時の良品範囲内における少なくとも位置変動の上限又は下限である上限しきい値画像及び下限しきい値画像を作成したのち、レベル補正画像と、上限及び下限しきい値画像をそれぞれ比較し、レベル補正画像の任意の大きさの判定領域内において、上限又は下限しきい値画像のしきい値を超えた異常画素をカウントし、印刷物の良否判定を行う。
【選択図】 図4
【解決手段】 本発明に係る印刷物の検査方法は、印刷物を撮像して取得した検査対象画像と、印刷物の良否判定時の基準位置となる基準座標を付与した位置基準画像とをパターンマッチングしてマッチング画像を作成したのち、マッチング画像における基材の濃度を、印刷物の良否判定時の基準となる基準濃度に合わせて補正してレベル補正画像を作成し、印刷物の良否判定時の良品範囲内における少なくとも位置変動の上限又は下限である上限しきい値画像及び下限しきい値画像を作成したのち、レベル補正画像と、上限及び下限しきい値画像をそれぞれ比較し、レベル補正画像の任意の大きさの判定領域内において、上限又は下限しきい値画像のしきい値を超えた異常画素をカウントし、印刷物の良否判定を行う。
【選択図】 図4
Description
本発明は、雑誌、紙幣、有価証券類等の印刷物の品質不良を検出する検査方法に関するものである。
雑誌、有価証券、半導体ウエハ等の各種印刷物の製造工程において発生する、パターンの印刷不良、異物による汚れ、基材自体の欠陥、傷等の品質不良は、従来、製造中に作業者が目視観察によって行っていた。しかしながら、作業者による目視観察では、作業者の見落としによって、不良製品が市場に流通するという問題が発生していた。そこで、近年、画像処理装置を用いて自動的に検査を行う方法が導入されている。画像処理装置を用いた品質検査方法は、例えば、あらかじめ良品の画像データを基準画像データとして記憶しておき、パターンが形成された基材表面を撮像した後、その撮像画像データと基準画像データを比較することで、良否判定を行う。
画像処理装置を用いた品質検査方法として、例えば、特許文献1において、基材上に形成されたパターンを撮像した後、撮像画像データと、良品の濃淡画像データである基準画像データとを比較することで、良否判定を行う方法が開示されている。良品画像には、良品の上限である上限基準画像と、下限である下限基準画像という二つの画像を用いる。品質検査は、撮像画像データと二つの基準画像データを、それぞれ画素ごとに比較して判定を行う。それによって、微小な印刷不良、傷等に起因する濃淡の変化を、精度良く検出することが可能となる。
一般的に印刷物は、基材となる対象物を用紙とする場合が多い。用紙は製造工程において、刷り伸びや湿度等によって伸縮することで、外形の変化が生じる。そのため、画像処理装置を用いて、基材を用紙とした印刷物の良否判定を行う際には、印刷物の品質が確保された許容範囲内の伸縮であるにも関わらず、印刷不良であると誤判断する問題が発生していた。
そこで、特許文献2において、検査対象である印刷物の製造工程上における用紙の伸縮や変形を考慮して、良否判定を行う方法が開示されている。基材上に形成されたパターンを撮像した後、撮像画像データと、良品の画像データである基準画像データとを比較する際に、印刷物の伸縮が許容範囲内である場合には、撮像画像データ又は基準画像データの大きさを伸縮して、二つの画像データを同じ大きさとした後に、画素ごとに比較して判定を行う。それによって、許容範囲内の製品を誤判断することなく、精度良く検出することが可能となる。
また、特許文献3において、画像処理装置において検出しづらい、面積が大きく濃度の薄い印刷汚れを検出することが可能な、印刷物の検査方法が開示されている。基材上に形成されたパターンを撮像した後、撮像画像データ内における縦3画素×横3画素の検査領域を設定する。次に、検査領域の中心に位置する画素を基準画素とし、基準画素から縦方向又は横方向に連続して画素の濃度が許容範囲外となるときに、印刷汚れとして検出する。それによって、濃度が薄く淡い汚れであっても、画素が連続している、つまり面積が大きいときには、印刷汚れとして検出することが可能となる。
特許文献1における検査方法は、検査対象物を半導体ウエハ、半導体チップ等の半導体としている。半導体は、シリコン基板、ガラス基板等の比較的固い基材上に形成される。このような、硬い検査対象物を製造工程において、複数連続的に検査を行う場合、基材を用紙としたような刷り伸び、湿度等による伸縮は、基本的には生じない。よって、特許文献1に記載されているように、検査対象物と基準画像を、画素ごとに比較判定することで検査を行うことが可能である。
前述のとおり、用紙は製造工程において、刷り伸びや湿度等によって伸縮することで、外形の変化が生じる。よって、基材を用紙とした印刷物を、画素ごとに比較判定して検査した場合、わずかに用紙が伸縮した良品を不良品と判定してしまい、精度良く検査を行うことができない。
また、特許文献2における検査方法は、基材である用紙の伸縮に対応した検査は行えるものの、画像を伸縮して同じ大きさとした後検査を行っている。よって、撮像画像データ内に存在する、印刷不良、異物による汚れ等も画像の大きさに伴い、伸縮する。よって、良品範囲内の印刷不良が拡大された不良品と判断されたり、不良範囲の汚れが縮小されて良品と判定されたりする恐れがあり、精度良く検査を行うことができない。
さらに、特許文献3においては、複数の同一図柄が印刷された印刷物を検査対象とし、当該印刷物の図柄を一つずつ良否判定する検査方法であり、印刷模様等の濃度変化に対応した検査は行えるものの、良品判定の基準となる基準画像には、検査対象の当該図柄と隣り合う図柄を用いている。そのため、印刷開始時やインキ投入時等に、同一図柄が印刷された印刷物全体に濃度不良や印刷不良が連続的に発生した際に、すべて良品と判定される恐れがあり、精度良く検査を行うことができない。
そこで、本発明の目的は、検査対象物である印刷物が、製造過程において伸縮した場合においても、濃度不良や印刷不良等の欠陥を精度良く検査を行うことが可能な、印刷物の検査方法を提供することにある。
前述の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、カメラと、画像処理部と、判定部を少なくとも備えた検査装置を用いて、基材上に印刷模様が付与された印刷物を撮像して画像を取得し、取得した画像とあらかじめ記憶してある正規の画像と比較することによって印刷物の良否判定を行う印刷物の検査方法であって、カメラによって印刷物を撮像して複数の画素から成る検査対象画像を取得した後、検査対象画像を画像処理部に入力する、画像入力工程と、検査対象画像と、あらかじめ画像処理部に記憶した印刷物の良否判定時の基準位置となる基準座標を付与した位置基準画像とをパターンマッチングして位置合わせを行い、検査対象画像に基準座標を付与し、マッチング画像を作成する、パターンマッチング工程と、マッチング画像における基材の濃度を、あらかじめ画像処理部に記憶した印刷物の良否判定時の基準となる基準濃度に合わせて補正し、レベル補正画像を作成する、レベル補正工程と、印刷物の良否判定時の良品範囲内における少なくとも位置変動の上限又は下限である上限しきい値画像及び下限しきい値画像を作成し、レベル補正画像と、上限しきい値画像及び下限しきい値画像とをそれぞれ比較する、上下限しきい値画像比較工程と、レベル補正画像の任意の大きさの判定領域内において、上限しきい値画像又は下限しきい値画像のしきい値を超えた画素を異常画素としてカウントし、判定領域内の異常画素の数と、あらかじめ設定した判定領域内の異常画素の数を比較し、判定領域内の異常画素の数が、あらかじめ設定された異常画素の数を超えたか否かにより、印刷物の良否判定を行う、判定工程とを少なくとも有する印刷物の検査方法である。
また、請求項2の発明は、請求項1記載の印刷物の検査方法において、上下限しきい値画像比較工程において用いる上限しきい値画像及び下限しきい値画像は、カメラによって複数の印刷物を撮像して複数の準備画像を取得し、複数の準備画像を画像処理部に入力する、準備画像入力工程と、複数の準備画像と、位置基準画像とをパターンマッチングして位置合わせを行い、準備画像に基準座標を付与し、複数のマッチング準備画像を作成する、準備画像パターンマッチング工程と、複数のマッチング準備画像から、画素ごとの濃度分布を示す濃度ヒストグラムを作成する、濃度ヒストグラム作成工程と、濃度ヒストグラムに対し、印刷物の良品判定時の良品範囲内における上限の濃度及び下限の濃度を設定し、濃度ヒストグラムから、複数の準備画像に含まれるノイズを除去する、ノイズ除去工程と、
濃度ヒストグラムに対して設定した上限の濃度及び下限の濃度に基づき、印刷物の良品判定時の良品範囲内における上限の濃度から成る上限ノイズ除去画像と、下限の濃度から成る下限ノイズ除去画像を作成する、上下限ノイズ除去画像作成工程と、あらかじめ設定された印刷模様の位置変動の許容量に基づき、上限ノイズ除去画像及び下限ノイズ除去画像のしきい値をそれぞれ調節し、上限しきい値画像及び下限しきい値画像とする、上下限位置変動調節工程によって作成することを特徴とする。
濃度ヒストグラムに対して設定した上限の濃度及び下限の濃度に基づき、印刷物の良品判定時の良品範囲内における上限の濃度から成る上限ノイズ除去画像と、下限の濃度から成る下限ノイズ除去画像を作成する、上下限ノイズ除去画像作成工程と、あらかじめ設定された印刷模様の位置変動の許容量に基づき、上限ノイズ除去画像及び下限ノイズ除去画像のしきい値をそれぞれ調節し、上限しきい値画像及び下限しきい値画像とする、上下限位置変動調節工程によって作成することを特徴とする。
さらに、請求項3の発明は、請求項1又は2記載の印刷物の検査方法において、判定工程は、複数の判定領域から成るレベル補正画像を、複数の判定領域ごとに、複数の判定領域内の上限しきい値画像又は下限しきい値画像のしきい値を超えた画素を異常画素としてカウントし、判定領域ごとの異常画素の数と、あらかじめ設定した判定領域ごとの異常画素の数を比較し、判定領域ごとの異常画素の数が、あらかじめ設定された判定領域ごとの異常画素の数を超えたか否かによって、判定部で判定領域ごとの良否判定を行う、領域判定工程と、領域判定工程における判定領域ごとの良否判定に基づき、判定部によって、レベル補正画像における複数の判定領域のうち、良品判定又は不良品判定となった判定領域の割合が、あらかじめ設定された良品判定となった判定領域又は不良品判定となった判定領域の割合を超えたか否かによって、印刷物の良否判定を行う良否判定工程から成ることを特徴とする。
本発明に係わる印刷物の検査方法は、検査対象の位置変動の許容に有効な画像を基準画像とし、更に、画素ごとに比較判定するのではなく領域ごとに比較判定を行う。それによって、製造工程において印刷物が伸縮した場合や、検査対象である複数の用紙においてばらつきが生じた場合でも、良品範囲内で過検出を防止することで、精度良く検査を行う事が可能となる。
図1は、本発明の被検査対象物である印刷物(S)の一例を示す平面図であり、
用紙である基材(1)上に、複数の同一模様である印刷模様(2)が、二行二列の四面に施されている。印刷模様(2)とは、図1において太線で示す一面に該当する領域(Z)内に、オフセット印刷や凹版印刷等の公知の印刷方法によって形成された模様であり、図1においては、花の模様、券種、会社名等を併せて印刷模様(2)としている。印刷模様(2)に用いるインキや図柄に特に限定はなく、カラー印刷であっても、モノクロ印刷であってもよい。なお、領域(Z)内において、印刷模様(2)以外の領域であり、基材(1)が露出している箇所については、非印刷領域(21)とする。
用紙である基材(1)上に、複数の同一模様である印刷模様(2)が、二行二列の四面に施されている。印刷模様(2)とは、図1において太線で示す一面に該当する領域(Z)内に、オフセット印刷や凹版印刷等の公知の印刷方法によって形成された模様であり、図1においては、花の模様、券種、会社名等を併せて印刷模様(2)としている。印刷模様(2)に用いるインキや図柄に特に限定はなく、カラー印刷であっても、モノクロ印刷であってもよい。なお、領域(Z)内において、印刷模様(2)以外の領域であり、基材(1)が露出している箇所については、非印刷領域(21)とする。
基材(1)上に形成された領域(Z)に沿って断裁することで、四枚の紙葉類となる。なお、印刷物(S)は一例として、商品券としているが、特に限定されず、一般的な印刷方式によって製造された印刷製品とすることが可能である。
図1(a)は、良品の印刷物(S)を示す平面図であり、図1(b)は、印刷物(S)に欠陥部(K)がある不良品を示す平面図である。
本発明における欠陥部(K)とは、良品となる仕様とは異なる状態となった領域のことであり、例えば、印刷模様(2)が、印刷条件や環境の変化によって設計時と異なる形状や色となる印刷不良や、基材(1)の製造工程において、基材(1)へチリや異物等が混入した箇所のことである。
次に、印刷物(S)の良否判定を行う、検査装置(M)について、図2の構成を示す模式図及び図3に示すブロック図を用いて詳細に説明する。
検査装置(M)は、カメラ(3)、照明(4)、搬送部(5)、エンコーダ部(6)、制御部(7)、画像処理部(8)及び判定部(9)を少なくとも備える。
検査装置(M)は、カメラ(3)、照明(4)、搬送部(5)、エンコーダ部(6)、制御部(7)、画像処理部(8)及び判定部(9)を少なくとも備える。
検査装置(M)においては、印刷物(S)を搬送部(5)に載置した後、モータ(図示せず)によって駆動させることで、カメラ(3)の下部へ送り出す。次に、カメラ(3)で印刷物(S)を撮像した後、画像処理部(8)で撮像画像を元に印刷物(S)の検査を実施し、最後に判定部(9)において印刷物(S)の良否判定を行う。
カメラ(3)は、印刷物(S)の良否検査を行う検査対象画像(P1)を撮像する手段であり、図2に示すように、搬送中の印刷物(S)の一方の面へ、印刷物(S)の搬送経路を介して搬送部(5)と対向する位置へ配置される。カメラ(3)で撮像した画像は、良否判定を行う際に用いる画像である、検査対象画像(P1)となる。
照明(4)は、印刷物(S)へ光を照射する手段であり、LED照明、ハロゲン照明等を用いる。照明(4)を搬送部(5)の上方に配置することで、印刷物(S)の表面へ光を照射した後、カメラ(3)で印刷物(S)の反射画像を撮像する。
照明(4)の配置箇所は、カメラ(3)が印刷物(S)を撮像する際に、その撮像を遮らない位置であれば、特に限定されず、適宜選択することが可能である。
なお、図2おいて、照明(4)を二つ配置しているが、照明(4)の数については、特に限定されず、検査対象画像(P1)を撮像する際に必要な光量、印刷物(S)の大きさに応じて、適宜配置することが可能である。
また、照明(4)の発光波長については、特に限定されず、目的や検査対象に応じて適宜選択することが可能である。例えば、印刷物(S)に付与した、紫外発光印刷部の検査を行う場合には、照明(4)にUVランプを用いる。また、所望の検査対象画像(P1)を撮像可能とするために、目的に応じて適宜フィルタを設けても良い。
搬送部(5)は、印刷物(S)を載置及び搬送する手段である。搬送方向(v1)と同一方向に配置された搬送部(5)をモータ(図示せず)によって駆動させることで、印刷物(S)は、平坦性を維持した状態で、検査装置(M)内を一枚ずつ搬送することが可能となる。
搬送部(5)は、撮像条件の安定化を図るために、撓みや歪みが発生しない素材を用いて、印刷物(S)を固定する機構を具備する。また、検査内容に応じて、撮像部(5)の素材を適宜選択することが可能である。例えば、印刷物(S)の透過画像の検査を行う場合には、印刷物(S)の透過画像を撮像する必要がある。その際には、搬送部(5)の素材を光が透過する素材へ変更し、照明(4)を搬送部(5)の下部へ配置することによって印刷物(S)の透過画像を撮像することが可能となる。
印刷物(S)の搬送時においては、ばたつきが発生してカメラ(3)から正確な検査対象画像(P1)を取得できない場合がある。よって、搬送時においては、印刷物(S)を搬送部(5)に固定することが、好ましい。例えば、搬送部(5)に複数の吸引孔を設けて、搬送部(5)に載置した印刷物(S)を吸引しながら印刷物(S)を搬送しても良い。さらには、搬送部(5)上に、印刷物(S)の上面を押さえる器具を取り付けても良い。
なお、図2において搬送部(5)をテーブルとして図示しているが、カメラ(3)によって印刷物(S)を一枚ずつ撮像して検査対象画像(P1)を取得可能な構成であればテーブルに限らず、例えば搬送ベルトやグリッパー等で印刷物(S)を搬送し、検査対象画像(P1)を撮像する方式や、印刷物(S)を固定した状態で、カメラ(3)を移動させる構造としても良い。
エンコーダ(6)は、印刷物(S)を搬送する搬送部(5)の移動量を検知する手段であり、前述した搬送部(5)に連結したモータ(図示せず)に設置する。エンコーダ(6)からのタイミング信号を利用することで、カメラ(3)において搬送部(5)の搬送と同期した検査対象画像(P1)を、安定して撮像することが可能となる。
制御部(図示せず)は、検査装置(M)における各部の制御を行う手段である。
画像処理部(8)は、カメラ(3)によって撮像した検査対象画像(P1)と、あらかじめ記憶した印刷物(S)の良否判定を行う際に基準となるしきい値画像とを比較し、良否判定を行う手段である。
画像処理部(8)は、演算部(8a)と記憶部(8b)から成る。演算部(8a)は、印刷物(S)の検査方法に用いる各画像の入力と、入力した各画像及び/又は記憶部(8b)に記憶した画像及びデータを用いて画像処理を行う。記憶部(8b)は、印刷物(S)の検査方法に用いる各画像、各基準値等検査に必要なデータを記憶する。
判定部(9)は、良否判定を行う際の基準となるしきい値画像と、検査対象画像(P1)とを比較し、検査対象画像(P1)があらかじめ設定したしきい値以内であるか否かの良否判定を行う。良否の判定を行う手段としては、各種フィルタ処理、特徴点抽出、パターンマッチング等の公知の画像処理手段を使用する。
なお、判定部(9)における判定結果を、制御部(7)に転送した後、制御部(7)と接続したモニタ(図示せず)やプリンタ(図示せず)によって出力する。また、排紙部(図示せず)を検査装置(M)に設けて、印刷物(S)の自動選別を行う構成としても良い。
次に、図4に示すフローチャートに準じて、前述した検査装置(M)を用いた印刷物(S)の検査方法について説明する。
まず、ステップ(以下、「S」という。)1では、画像入力工程として、照明(4)を点灯し、カメラ(3)によって印刷物(S)に付与された印刷模様(2)を撮像した後、画像処理部(8)の演算部(8a)に入力し、図5に示す検査対象画像(P1)を取得する。検査対象画像(P1)は、複数の画素から構成される。検査対象画像(P1)には、前述した図1に示す印刷物(S)における印刷模様(2)を撮像した、印刷模様画像(2P)と、非印刷領域(21)を撮像した、非印刷領域画像(21P)とを有している。
次に、S2では、パターンマッチング工程として、画像処理部(8)の演算部(8a)によって検査対象画像(P1)と、あらかじめ画像処置部(8)に記憶した印刷物(S)の良否判定時の基準位置となる座標を付与した位置基準画像(Q)を、パターンマッチングして位置合わせを行う。位置合わせを行うことで、検査対象画像(P1)を構成する複数の画素に対して、一つ一つに固有の座標を付与する。固有の座標を付与することで、構成する画素が、検査対象画像(P1)の何処に位置しているかわかる。検査対象画像(P1)を構成する全ての画素に座標を付与することで、マッチング画像(P2)を作成する。
図6は、パターンマッチングを示す模式図である。
位置基準画像(Q)とは、図6(a)に示すパターンマッチングを行なう場合の検査基準となる画像のことで、印刷物(S)をカメラ(3)で撮像することで得られる撮像画像から、検査対象画像(P1)の特徴点となる箇所を含むように、任意の矩形状に抜粋した領域のことである。なお、特徴点となる箇所とは、検査対象画像(P1)内においてコントラストが高い部分のことを指す。
例えば、印刷物(S)が図1に示すような商品券である場合、印刷模様画像(2P)である花の模様、券種、会社名等である。一方、特徴点が少ない部位とは、検査対象画像(P1)内においてコントラストが低い部分のことであり、検査対象画像(P1)における図示していないが地紋模様や、非印刷領域画像(21P)等である。
位置基準画像(Q)の選定に関しては、あらかじめ良品の印刷物(S)を複数枚用意したのち、検査対象画像(P1)を調査して、最も印刷品質の安定した一面を適宜選定する。次に、選定した一枚をカメラ(3)で撮像し、画像処理部(8)の演算部(8a)に位置基準画像(Q)の元となる画像を取得したのち、その画像内における一面分の印刷模様画像(2P)、又は、その一面内における印刷模様画像(2P)の特徴点を含む箇所を、画像処理部(8)の演算部(8a)によって位置基準画像(Q)として設定する。
また、位置基準画像(Q)においては、画像基準座標(u)をあらかじめ設定しておく。画像基準座標(u)とは、検査対象画像(P1)において、印刷模様画像(2P)がそれぞれ検査対象画像(P1)内の何処に配置しているのかを示す任意の座標であり、図示した重心の他にも、四隅のいずれか等の位置基準画像(Q)上の任意の座標とすることができる。
図6(b)は、S1において取得した検査対象画像(P1)である。検査対象画像(P1)と位置基準画像(Q)をパターンマッチングするため、まず、検査対象画像(P1)に対して探索領域(W)を、印刷模様画像(2P)を有するすべての面に対して設定する。探索領域(W)とは、検査対象画像(P1)における印刷物(S)の一面に該当する領域のことであり、検査対象物に合わせて適宜設定する。
なお、探索領域(W)においては、あらかじめ検査対象画像(P1)内において印刷模様画像(2P)を有している箇所(例えば、四面あるならば四面分)におけるそれぞれの探索領域(W)(L1×L2)を設定する必要がある。
次に、探索領域(W)の中から、位置基準画像(Q)と最も良く一致する箇所を検索する。最も良く一致する箇所の検索方法としては、位置基準画像(Q)が、探索領域(W)内におけるどの部分と最も類似度が高いかをパターンマッチングによって求める。類似度とは、位置基準画像(Q)が、探索領域(W)内における、どの箇所と最も似ているかを、度合いで示したものである。
パターンマッチングによる類似度の算出方法としては、まず、画像処理部(8)の演算部(8a)で、探索領域(W)と位置基準画像(Q)に対して、公知の画像処理であるマッチングを行う。マッチングとは、複数の画素で構成された二つの画像を重ね合わせたのち、重ね合う画素同士でどれくらい濃度差があるかを算出する画像処置である。濃度差が小さい方が二つの画像は似ていることから、類似度が高くなる。反対に濃度差が大きい場合、二つの画像は似ていないことから、類似度は低くなる。
探索領域(W)において、パターンマッチングをしたのち、探索領域(W)内の位置基準画像(Q)と最も一致する箇所である類似度が最も高い箇所に対して、位置基準画像(Q)にあらかじめ設定していた画像基準座標(u)を付与する。検査対象画像(P1)における探索領域(W)に対して、それぞれ位置基準画像(Q)を用いて、パターンマッチングを行うことで、検査対象画像(P1)内の各面に配置された印刷模様画像(2P)は、それぞれが検査対象画像(P1)の任意の一点(D)をゼロ点(0,0)とした座標(X,Y)を有する。
なお、ゼロ点の座標(0,0)となる任意の一点(D)については、検査対象画像(P1)上であれば、どこでも良い。以下、ゼロ点の座標(0,0)となる任意の一点(D)を検査対象画像(P1)及び後述する各画像においては、各画像の左下隅の一点を座標(0,0)として説明する。
図7は、パターンマッチングより作成した、マッチング画像(P2)を示す模式図である。マッチング画像(P2)においては、左下隅の一点を、座標(0,0)としている。
なお、パターンマッチングで算出された、印刷模様画像(2P)の座標(X、Y)は、マッチング画像(P2)内における、各印刷模様画像(2P)の位置を特定することができる座標であれば特に限定されるものではなく、印刷模様画像(2P)上の任意の一点を座標とすることができる。
また、印刷模様画像(2P)が階調模様ではなくドット、画線等の単純な形状である場合には、前述したパターンマッチングに限らず公知の画像処理方法によって印刷模様画像(2P)の座標(X′、Y′)を算出することが可能であることは言うまでもない。
図1において示した、検査対象である印刷物(S)は、基材(1)上に複数の同一模様である印刷模様(2)が、二行二列の四面に形成されたものである。よって、一面ずつを検査するためには、検査対象画像(P1)を一面ずつの画像に分割した後に検査を行っても良い。その際には、S2のあとに、画像処理部(8)の演算部(8a)で検査対象画像(P1)をトリミングしても良い。
トリミングとは、画像の一部を切り取り、所定の大きさの画像とする画像処理のことであり、本発明におけるトリミングとは、複数面で構成された検査対象画像(P1)を一面ずつの画像にすることをいう。複数面の印刷模様(2)が形成された印刷物(S)において、一面ずつ検査を行う場合には、トリミングを行う必要がある。トリミングの方法としては、まず、検査対象画像(P1)において、一面に対応する領域を画像処理部(8)の演算部(8a)によって指定する。
例えば、図6(b)においては、四面の印刷模様(2)が形成された検査対象画像(P1)において、Dで示す座標(0,0)に対して、座標(30,0)、座標(30,50)、座標(60,50)及び座標(60,0)に囲まれた探索領域(W1)が一面分に該当する。なお、一面分を示す座標においては、印刷物(S)及び印刷模様(2)と、検査対象画像(P1)を比較して適宜設定する。
次に、検査対象画像(P1)全体から、指定した探索領域(W1)内の画像のみを抽出することで、一面分の検査対象画像(P1)となる。同様に、全ての面に対して、領域指定及び画像抽出を行うことで、検査対象画像(P1)から一面ずつの画像を作成することが可能となる。一面ずつの画像においては、その画像の左下隅の一点を座標(0,0)と設定し、一面の画像を構成する各画素に対して、座標を付与する。
なお、四面を一度に検査する場合や、図8に示すように、検査対象である印刷物(S)が、多面構成ではない場合においては、トリミングを行う必要はない。また、検査対象部位が印刷物の一部の領域の場合には多面構成であるかないかに関わらず、その領域だけをトリミングして検査を行っても良い。以下、本実施の形態においては、印刷物(S)の検査を一面ごとに行うこととして、説明する。
次に、S3では、レベル補正工程として、画像処理部(8)の演算部(8a)で、マッチング画像(P2)における基材(1)の濃度変動を除去するために、レベル補正を行う。
基材(1)は、製紙工程における、紙料の分散状態や抄紙状態によって、良品の範囲内でも一枚一枚品質に若干のバラつきが生じる。複数の検査対象画像(P1)を撮像した場合、製紙工程のバラつきに起因して、基材(1)の濃淡(地合い)が変化することで、それに伴い印刷模様画像(2P)にも濃度変化が生じる。
よって、印刷模様画像(2P)が良品であっても、基材(1)の濃度変化や表面状態の影響を受けることで、不良品と誤判定する場合があり、正確な判定を行うことができなくなる。そこで、良否判定を正確に行うために、誤判定の原因である基材(1)の濃度変動や表面状態の影響を除去するために、レベル補正を行う。
レベル補正とは、複数のマッチング画像(P2)における非印刷領域画像(21P)である基材(1)の濃度を揃えることである。濃度を揃えることで、複数のマッチング画像(P2)において基材(1)の濃度が一定となる。よって、良品判定時において、基材(1)の影響を軽減することが可能となる。マッチング画像(P2)をレベル補正することで、レベル補正画像(P3)を作成する。
レベル補正方法は、まず、基材(1)の濃度を示す値である基準となる輝度値を、印刷物(S)の製造側の良否判定基準に合わせ、画素ごとに適宜設定する。なお、基材(1)の濃度を示す輝度値が、良否判定時の基準濃度となる。以下、基材(1)の濃度を示す輝度値を基準濃度という。基準濃度においては、設定後、あらかじめ画像処理部(8)の記憶部(8b)に記憶しておく。
次に、画像処理部(8)の演算部(8a)によって、マッチング画像(P2)における非印刷領域画像(21P)を構成する各画素における輝度値を、全てのマッチング画像(P2)においてそれぞれ算出する。次に、算出した輝度値と、基準濃度が同じ値となるように、算出した輝度値をそれぞれ修正し、レベル補正画像(P3)を作成する。
例えば、基準濃度より算出した輝度値が明るい場合は暗くし、反対に暗い場合には明るくする。この、基準濃度に合わせてマッチング画像(P2)の濃度を修正することをレベル補正という。全てのマッチング画像(P2)に対して行うことで、複数のマッチング画像(P2)において基材(1)の濃度の影響が無いレベル補正画像(P3)を作成する。
次に、S4では、上下限しきい値画像比較工程として、処理部(8)の演算部(8a)により、作成したレベル補正画像(P3)と、印刷物(S)の良品判定時の良品範囲内における少なくとも位置変動の上限又は下限である上限しきい値画像及び下限しきい値画像とをそれぞれ比較する。
図9は、しきい値画像を示す図である。本発明においては、しきい値画像として、図9(a)に示す上限しきい値画像(J1)と図9(b)に示す下限しきい値画像(J2)の二つの画像を用いる。
上限しきい値画像(J1)及び下限しきい値画像(J1)は、印刷物(S)の良否判定を行う際の、良品の限界である良品範囲内における上限又は下限となる濃淡画像であり、それぞれが複数の画素から成る。
上限しきい値画像(J1)は、印刷物(S)の良否判定を行う際の、良品範囲内における上限の限界となる最も淡い画像であり、上限しきい値画像(J1)を構成する複数の画素は、一つ一つが良品の最小濃度から構成する。
下限しきい値画像(J2)は、印刷物(S)の良否判定を行う際の、良品範囲内における下限の限界となる最も濃い画像であり、下限しきい値画像(J2)を構成する複数の画素は、一つ一つが良品の最大濃度から構成する。
一般的に、しきい値画像を用いて印刷物(S)の検査を行う際には、しきい値画像の作成時において、複数の良品の画像を基に作成する。しかしながら、基材(1)を用紙とした場合、製造工程中において刷り伸びや湿度等によって基材(1)が大きく変形し、その変形した良品を基に作成したしきい値画像では、基材(1)の変形に起因した過検出が発生する可能性がある。
そこで、本発明の検査方法に用いるしきい値画像においては、しきい値画像を構成する画素の濃度調整を行う。画素の濃度調整を行うことで、しきい値画像は、良否判定を行う際の対象となる画像を構成する画素が、上下左右に移動した場合でも、精度良く良否判定を行うことが可能となる。よって、製造工程に印刷物(S)が、刷り伸びや湿度等によって伸縮した場合においても、過検出を防止して精度良く良否判定を行うことが可能となる。以下、本発明においては、印刷物(S)の伸縮を位置変動と言う。
次に、S4’として、図10に示すフローチャートに準じて、位置変動に対応したしきい値画像である上限しきい値画像(J1)及び下限しきい値画像(J2)の作成方法について、詳細に説明する。
まず、S4’−1では、準備画像入力工程として、検査対象である印刷物(S)を複数準備した後、複数の印刷物(S)をカメラ(3)によって撮像し、複数の準備画像を取得する。複数の準備画像は、全て同じ大きさであり、複数の画素から構成される。
準備画像には、前述した図1に示す印刷物(S)における印刷模様(2)を撮像した、印刷模様画像(2P’)と、非印刷領域(21)を撮像した、非印刷領域画像(21P’)とを有している。取得した複数の準備画像は、画像処理部(8)における記憶部(8b)に記憶する。なお、準備する複数の印刷物(S)は、全てが良品又は可能な限り良品が多い方が好ましいが、一部に不良品が入っていても構わない。しかしながら、全てが不良品の場合には、各しきい値画像(J1、J2)を作成することができず好ましく無い。
次に、S4’−2では、準備画像パターンマッチング工程として、画像処理部(8)に記憶した複数の準備画像と、あらかじめ設定された位置基準画像(Q)を、画像処理部(8)の演算部(8a)でパターンマッチング(相関法)して位置合わせを行う。
位置合わせを行うことで、準備画像を構成する複数の画素に対して、一つ一つの固有の座標を付与する。この、固有の座標のことを基準座標という、なお、位置基準画像(Q)及びパターンマッチングによる位置合わせ方法については、前述したS2と同様であることから、説明を省略する。基準座標が付与された準備画像はマッチング準備画像となる。
図1において示した、検査対象である印刷物(S)は、基材(1)上に複数の同一模様である印刷模様(2)が、二行二列の四面に形成されたものである。よって、一面ずつを検査するためには、しきい値画像も一面分の画像である必要がある。よって、印刷物(S)が多面構成である場合には、S4’−2のあとに、画像処理部(8)の演算部(8a)によってマッチング準備画像をトリミングする必要がある。なお、トリミング方法においては、前述した検査対象画像(P1)のトリミング方法と同様に行うことから、説明を省略する。
トリミングを行うことで作成されたマッチング準備画像は、前述したレベル補正画像(P3)と同様に印刷物(S)をもとに作成したことから、レベル補正画像(P3)と同じ大きさの画像となる。
次に、S4’−3では、濃度ヒストグラム作成工程として、画像処理部(8)の演算部(8a)によって、複数のマッチング準備画像から、画素ごとの濃度分布を示す濃度ヒストグラムを作成する。
図11(a)は、マッチング準備画像を構成する複数の画素のうち、座標(X1,Y100)における画素の濃度ヒストグラムを示す図である。濃度ヒストグラムとは、画像における濃度の特徴を見るために、一般に統計で用いられている度数分布表の横軸の変量を濃度とし、それに対応する度数を高さとして濃度分布の状態を示したものである。図11(a)において、横軸に示す画素の濃度は、0から255までの256階調を示しており、値が小さいほど濃度が高く(濃く)、右側ほど濃度が低く(淡く)なる。
濃度ヒストグラムの作成においては、S4’−1からS4’−3までの処理をマッチング準備画像の枚数分行い、画素ごとに、濃度ヒストグラムへ濃度値を加算する。例えば、S4’−1で準備した複数の印刷物(S)がn枚であり、図11(b)に示す画素位置が座標(X1,Y100)の濃度ヒストグラムを作成する場合には、まず、n枚の印刷物(S)からS4’−2を経てn個のマッチング準備画像を作成する。n個のマッチング準備画像(SJ)においては、図11(b)に示す。
次に、S4’−3において、n個のマッチング準備画像(SJ)のうち、一つのマッチング準備画像(SJ)における座標(0,0)に対する、座標(X1,Y100)に位置する画素の濃度を測定する。なお、図11(b)においては一例として、n個のマッチング画像(SJ)のうち、最も上部に図示している画像を例に説明をする。座標(X1,Y100)の濃度が、100であった場合には、図11(a)における横軸の濃度が100の箇所へ度数を加算する。
この処理をn個のマッチング準備画像においてすべて行う。上記の処理を繰り返すことよってマッチング準備画像における画素位置が座標(X1,Y100)の濃度ヒストグラムを作成する。同様に、マッチング準備画像(SJ)を構成する全ての画素に対して濃度ヒストグラムを作成する。それによって、マッチング準備画像(SJ)を構成する複数の画素は、それぞれが画素ごとの濃度の変動幅に関する統計的な情報である濃度ヒストグラムを作成する。
次に、S4’−4では、ノイズ除去工程として、濃度ヒストグラムから、複数の準備画像に含まれるノイズを除去する。ここでいうノイズとは、不良品となる欠陥ではなく、塵、埃、わずかな印刷汚れ等良品範囲内の微小な混入物のことである。
従来は、しきい値画像作成時において、準備画像内に微小な混入物に該当する、所定の濃度を有する画素が存在しないように、複数準備した印刷物(S)及びカメラ(3)に微小な混入物が存在しないか一枚一枚すべて目視でチェックをした後に、前述したS4’−1に示す手順で準備画像を記憶部(8b)に記憶していた。
しかしながら、空気中に舞っている微小な混入物を完全に除去することは非常に困難である。よって、印刷物(S)の撮像時において、印刷物(S)やカメラ(3)の表面に微小な混入物が付着した場合、検査対象画像(P1)に撮像されてしまい、撮像された混入物においても、検査対象画像(P1)内において所定の濃度を有する画素となることから、検査時において、誤判断される要因となっていた。
そこで、S4’−4においては濃度ヒストグラムから、ノイズである微小な混入物に該当する、所定の濃度を有する画素の濃度分布を除去することで、ノイズの影響のが軽減されたしきい値画像を簡易に作成することが可能となる。よって、従来よりも、検査開始前のしきい値画像の作成工程時間が短縮されるというメリットがある。
例として、図11(a)に示す、マッチング準備画像を構成する複数の画素のうち、座標(X1,Y100)における画素の濃度ヒストグラムから、ノイズを除去する方法について説明する。まず、ノイズを除去するために印刷物(S)の良否判定を行う際の、画像処理部(8)の演算部(8a)で、良品の限界となるしきい値の下限と上限を設定する。しきい値の下限は、良品の限界となる最も濃い画素の値を示す濃度であり、しきい値の上限は、良品の限界となる最も淡い画素の値を示す濃度である。しきい値の上限及び下限は、印刷物(S)の製造側の判定基準に合わせて、適宜設定する。
図11(a)に示す濃度ヒストグラムにおいては、「A」をしきい値の下限とし、「B」をしきい値の上限とする。よって、(Ia)は良品の濃度分布を示す範囲となる。
しきい値の上限「A」と下限「B」は、濃度ヒストグラムにおける最大濃度値及び最小濃度値からの任意の割合(パーセント)に該当する累積度数分の除去した濃度値とする。例えば、濃度分布の最大値が100、濃度値95〜100の度数が全体の5%を占めていた場合に、5%の累積度数を除去することを考えると、しきい値の上限は95となる。
濃度ヒストグラムに対して、しきい値の上限「B」である最大濃度値と、しきい値の下限「A」である最小濃度値を設置することで良品の濃度分布を設定する。つまり、しきい値の上限「B」と下限「A」を設定することで、濃度ヒストグラムから、良品以外の範囲であるノイズを除去する。
従来は、しきい値を決める際に、全ての画素に対して一つ一つ作業者がしきい値を決めるか、モード方によってしきい値を決めていた。
図12はモード法を説明する模式図である。モード法とは、図12(a)に示すように、濃度ヒストグラムを作成したのち、濃度ヒストグラムにおける良品と不良品の境である谷(A)を検出して、その谷となる「A」及び「B」の濃度をしきい値として算出する方法である。なお、図12(a)においては、「A」をしきい値の下限とし、「B」をしきい値の上限とする。よって、(Ia)は良品の濃度分布を示す範囲となる。モード法は、人間の視覚感覚における最も直観的な考えに基づいており、検査対象物の基材(1)と印刷模様(2)が濃度的にはっきり2つに分かれている(例えば、白黒)場合に有効であり、一般によく用いられている。
しかしながら、一つ一つしきい値を決める方法では、作業者のノウハウや主観によってしきい値がバラついてしまうだけではなく、作業時間が非常にかかるという問題があった。また、モード法においても、図12(b)に示すように、谷が複数存在する場合においては、実際には、「A」から「C」の範囲(Ia)が良品の濃度分布を示す範囲であるにも関わらず、「A」から「B」を良品の濃度分布として算出、又は、算出ができないという問題が生じていた。
一方、本発明のように、任意の割合に該当する累積度数分を除去する方法においては、全ての画素に対して自動的に有効なしきい値を設定できることから従来よりも簡易に画素ごとのしきい値を決めることが可能となる。また、図12(b)に示すように、谷が複数存在する場合や、不良品と良品の濃度ヒストグラムの間に明確な谷が確認できず、その境目を設定することが難しい場合においても柔軟に対応できるというメリットがある。なお、より詳細に検査精度を設定する際は、画素ごとにしきい値を算出するための累積度数の割合を任意で設定しても良い。
また、ノイズを除去する別の方法としては、図11(a)に示す濃度ヒストグラムから、良品の濃度分布外の範囲を除去したノイズ除去濃度ヒストグラムを作成することで、ノイズを除去することも可能である。
前述のとおり、「A」をしきい値の下限とし、「B」をしきい値の上限としたことから、図11(a)の濃度ヒストグラムにおいて、(Ib−1)及び(Ib−2)が、不良品の濃度分布を示す範囲である。よって、画像処理部(8)の演算部(8a)によって、図11(a)に示す濃度ヒストグラムから、(Ib−1)及び(Ib−2)の濃度範囲を除外することで、作成されるノイズ除去ヒストグラムを作成することで、ノイズを除去することが可能となる。
図13は、マッチング準備画像における、座標(X1,Y100)に位置する画素のノイズ除去濃度ヒストグラムを示す図である。同様に、マッチング準備画像を構成する全ての画素の濃度ヒストグラムからノイズを除去して、ノイズ除去濃度ヒストグラムを作成する。ノイズ除去濃度ヒストグラムにおいては、「A」をしきい値の下限とし、「B」をしきい値の上限とする。よって、(Ia)は良品の濃度分布を示す範囲となる。なお、ノイズ除去濃度ヒストグラムに対して、設定した下限の濃度「A」及び上限の濃度「B」においても、本実施の形態においては、濃度ヒストグラムにおける下限の濃度「A」及び上限の濃度「B」として説明する。
次に、S4’−4で設定した、濃度ヒストグラムに対する上限の濃度「B」及び下限の濃度「A」から、上限ノイズ除去画像及び下限ノイズ除去画像(J1)を、それぞれ作成する。
まず、S4’−5−1では、上限ノイズ除去画像作成工程として、画像処理部(8)の演算部(8a)により、濃度ヒストグラムに対して、S4−3で設定した上限の濃度「B」から、印刷物(S)の良否判定を行う際の良品の限界となる最も淡い画像である、上限ノイズ除去画像を作成する。
上限ノイズ除去画像は、図11において「A」で図示した、各画素位置における濃度ヒストグラムから算出されたしきい値の上限を基に作成する。マッチング準備画像を構成するすべての画素において、画像処理部(8)の演算部(8a)によって、濃度ヒストグラムからしきい値の上限の値「B」を算出することで、上限ノイズ除去画像を作成する。上限ノイズ除去画像は、座標(0,0)に対する位置を示す固有の座標を有する、複数の画素から構成される。
次に、S4’−6−1では、上限位置変動調節工程として、上限ノイズ除去画像を、図9(a)に示した位置変動に対応した上限しきい値画像(J1)とするために、位置変動の許容量を調節する。位置変動の許容量とは、上限ノイズ除去画像を構成する画素が、上下左右に何画素まで移動しても良品とするかを決めることである。上限ノイズ除去画像の位置変動の許容量を調節することで、良否判定を行う際の対象となる画像を構成する画素が、上下左右に移動した場合でも、許容範囲内であれば良品と判定する。よって、従来よりも過検出を防止して精度良く良否判定を行うことが可能となる。
図14は、位置変動の許容量を示す模式図である。図14(a)は、位置変動の許容量を有さない上限しきい値画像(J1)であり、図14(a1)は図14(a)の一部を拡大した図であり、図14(a2)は、図14(a1)の上限しきい値画像(J1)を構成する画素の一部をさらに拡大した図である。位置変動の許容量の調節は、上限ノイズ除去画像をぼかすことで調節することが可能である。
具体的には、図14(a2)に示す一つの画素(Ja1)に注目し、次に注目した画素(Ja1)が、上下左右に何画素分移動した場合でも良品とするのか、位置変動の許容範囲を良否判定の基準に併せて適宜決める。例えば、許容範囲が上下左右1画素分であるならば、画素(Ja1)の上下左右の1画素分に対してぼかし処理を行う。ぼかし処置後の上限ノイズ除去画像は、上限しきい値画像(J1)となる。上限しきい値画像(J1)は、座標(0,0)に対する位置を示す、固有の座標を有する複数の画素から構成される。
図14(a3)は、上限しきい値画像(J1)の一部を拡大した図であり、図14(a4)は、図14(a3)の上限しきい値画像(J1)を構成する画素の一部をさらに拡大した図である。1画素分の周辺画素をぼかすことで、検査対象の印刷物(S)の位置変動が発生した場合でも、そのぼかした範囲までは画素が移動しても良品と判定する。
例えば、図14(b)に示す検査対象の印刷物(S)が製造工程に置いて位置変動が発生し、図14(c)に示すように、上に1画素分移動(刷り伸び)した場合、実際は1画素分の移動においては良品範囲であるにも関わらず、図14(a2)に示す上限しきい値画像(J1)においては、不良品と判断される。
しかしながら、図14(a4)に示す上限しきい値画像(J1)においては、上下左右1画素分がぼかした範囲であることから、この範囲内においては良品と判断される。よって、従来よりも過検出を防止して精度良く良否判定を行うことが可能となる。なお、位置変動の許容量の調節においては、例えば、画像処理におけるフィルタ処理を、画像処理部(8)の演算部(8a)によって上限ノイズ除去画像へ行うことで、調節可能である。
S4’−5−1において作成した上限しきい値画像(J1)は、画像処理部(8)の記憶部(8b)に記憶する。
次に、S4’−4−2では、下限ノイズ除去画像作成工程として、画像処理部(8)の演算部(8a)によって、濃度ヒストグラムに対して、S4−3で設定した下限の濃度「A」から、印刷物(S)の良否判定を行う際の良品の限界となる最も濃い画像である、下限ノイズ除去画像を作成する。
下限ノイズ除去画像は、図11において「A」で図示した、各画素位置における濃度ヒストグラムから算出されたしきい値の下限を基に作成する。マッチング準備画像を構成するすべての画素において、画像処理部(8)の演算部(8a)によって、濃度ヒストグラムからしきい値の下限の値「A」を算出することで、下限ノイズ除去画像を作成する。下限ノイズ除去画像は、座標(0,0)に対する位置を示す固有の座標を有する、複数の画素から構成される。
なお、下限ノイズ除去画像においてはS4’−4−1において作成した上限ノイズ除去画像と同じノイズ除去濃度ヒストグラムから作成する。よって、下限ノイズ除去画像と、上限ノイズ除去画像は、同じ大きさの画像となる。
次に、S4’−5−2では、下限位置変動調節工程として、下限ノイズ除去画像を、位置変動に対応したしきい値画像とするために、画像処理部(8)の演算部(8a)によって位置変動の許容量を調節する。下限ノイズ除去画像における位置変動の許容量とは、下限ノイズ除去画像を構成する画素が、上下左右に何画素まで移動しても良品とするかを決めることである。
下限ノイズ除去画像の位置変動の許容量を調節することで、前述した上限しきい値画像(J1)と同様に、良否判定を行う際の対象となる画像を構成する画素が、上下左右に移動した場合でも、許容範囲内であれば良品と判定する。よって、従来よりも過検出を防止して精度良く良否判定を行うことが可能となる。
なお、位置変動の許容量の調節方法については、前述した上限しきい値画像(J1)と同様であることから、説明を省略する。ぼかし処置後の下限ノイズ除去画像は、下限しきい値画像(J2)となる。下限しきい値画像(J2)は、座標(0,0)に対する位置を示す、固有の座標を有する複数の画素から構成される。前述のとおり、上限ノイズ除去画像と下限ノイズ除去画像は、同じ大きさであることから、各ノイズ除去画像から作成した上限しきい値画像(J1)及び下限しきい値画像(J2)についても、同じ大きさの画像となる。
S4’−5−2において作成した下限しきい値画像(J2)は、画像処理部(8)の記憶部(8b)に記憶する。
次に、S5では、上下限しきい値画像比較工程として、画像処理部(8)の演算部(8a)によってS4’において作成した上限しきい値画像(J1)及び下限しきい値画像(J2)と、レベル補正画像(P3)とをそれぞれ比較する。なお、前述のとおり、上限しきい値画像(J1)及び下限しきい値画像(J2)を作成する元としたマッチング準備画像と、レベル補正画像(P3)は同じ大きさの画像である。よって、上限しきい値画像(J1)、下限しきい値画像(J2)及びレベル補正画像(P3)においても、同じ大きさの画像である。
まず、S5として、上限しきい値画像(J1)とレベル補正画像(P3)を比較する。図15は、上下限しきい値画像比較工程を示す模式図である。前述のとおり上限しきい値画像(J1)とレベル補正画像(P3)は、同じ大きさの画像であり、互いに左下隅の一点をゼロ点の座標(0,0)としている。また、それぞれの画像(J1、P3)を構成する複数の画素は、固有の座標を有する。
はじめに、レベル補正画像(P3)の画素ごとの濃度値と、上限しきい値画像(J1)の画素ごとの濃度値とを、同じ座標同士で比較し、レベル補正画像(P3)における濃度値のうち、上限しきい値画像(J1)の濃度値よりも高い濃度値を、上限しきい値超過値として、画像処理部(8)の記憶部(8b)に記憶する。
例えば、図15に示すレベル補正画像(P3)における座標(10,10)に位置する画素の濃度値と、上限しきい値画像(J1)における座標(10,10)に位置する画素の濃度値とを比較する。その際、レベル補正画像(P3)における座標(10,10)の画素の濃度値が、上限しきい値画像(J1)における座標(10,10)に位置する画素の濃度値よりも高い場合、各濃度値の差分値を上限しきい値超過値として、画像処理部(8)の記憶部(8b)に記憶する。同様に、レベル補正画像(P3)を構成する全ての画素において、上限しきい値画像(J1)の画素ごとの濃度値と比較することで算出した、上限しきい値超過値を、画像処理部(8)の記憶部(8b)に記憶する。
同様に、下限しきい値画像(J2)とレベル補正画像(P3)を比較する。レベル補正画像(P3)の画素ごとの濃度値と、下限しきい値画像(J2)の画素ごとの濃度値とを比較し、レベル補正画像(P3)における濃度値のうち、下限しきい値画像(J1)の濃度値よりも低い濃度値を、下限しきい値超過値として、画像処理部(8)の記憶部(8b)に記憶する。
次に、上限しきい値超過値と上限の許容値の比較と、下限しきい値超過値と下限の許容値の比較をそれぞれ行う。許容値とは、統計的に算出された上限しきい値画像または下限しきい値画像において経験則に基づく微調整を行うための値であり、各しきい値画像(J1、J2)とレベル補正画像(P3)における画素ごとの濃度値をそれぞれ比較した際に、濃度値差0を良品判定の基準値とし、その基準値からの良品となる濃度値の差を任意の判定基準に併せて設定した値である。
例えば、下限しきい値画像(J2)を構成する一つの画素の濃度が「120」であったとして、濃度値の差が-5の範囲内であれば良品とする場合、当該画素の下限の許容値は115となる。よって、前述した下限しきい値画像(J1)を構成する一つの画素に対応した位置にある、レベル補正画像(P3)を構成する画素の濃度が115未満である場合、その画素は異常画素となる。
上限しきい値超過値と上限の許容値の比較と、下限しきい値超過値と下限の許容値の比較をそれぞれ行うことによって、良品における画素濃度の変動範囲から逸脱した異常画素を発見することが可能である。各画素の、許容値は、印刷物(S)の検査を行う前に良否判定基準に併せて適宜設定をする。なお、予め上限もしくは下限の許容値を、上限しきい値画像または下限しきい値画像を構成する各画素に足しておいてもよい。
次に、S5では、判定工程として、画像処理部(8)の演算部(8a)によって、レベル補正画像(P3)の任意の大きさの判定領域内において、S5において検出した、上限しきい値画像(J1)のしきい値を超えた画素と、下限しきい値画像(J2)のしきい値を超えた画素を、いずれも異常画素としてカウントしたのち、異常画素の数を元に判定部(9)によって検査対象である印刷物(S)の良否判定を行う。
図16は、異常画素のカウント方法を示す模式図である。レベル補正画像(P3)を製造側の判定基準に併せて、任意の大きさの判定領域を設定したのち、判定領域内における異常画素の数をカウントすることで、良否判定を行う。判定領域内における異常画素の数が、あらかじめ設定した異常画素の数又は異常画素率を超えたか否かで、判定部(9)によって検査対象である印刷物(S)の良否判定を行う。
判定領域に対する異常画素の数又は異常画素率によって良否判定をする。判定領域に対する異常画素の数による異常判定とは、カウントした判定領域内の異常画素数が、あらかじめ設定した良品として判定する異常画素数を超過しているか否かによって判定を行う。
また、判定領域に対する異常画素率による異常判定とは、判定領域も対して、あらかじめ設定した良品として判定する異常画素数の割合で良否判定を行う。例えば、判定領域が25画素とし、異常画素数の割合が20%までなら良品とすると設定した場合、判定領域内に、25画素の20%である5画素以上の異常画素があるときに、不良と判定する。
任意に設定する判定領域の大きさは、印刷物(S)の良否判定基準に合わせて適宜設定するが、例えば、印刷物(S)が、基材(1)の刷り伸びの無い安定した印刷物である場合や、良品と不良品との許容範囲が狭い良否判定基準の厳しい印刷物である場合等、高い検査精度によって良否判定を行う場合には、図16(a)に示すように、判定領域を1画素とし、1画素に異常があったら、不良と判定する。
また、印刷物(S)において、基材(1)に良品範囲内のチリが多く含まれる場合や、用紙を基材(1)とした印刷物(S)のように、許容範囲内で変形が生じる検査対象物においては、良品範囲内であれば、過検出を防ぐために小さなノイズを許容して良否判定を行う必要がある。
その場合には、図16(b)に示すように、判定領域を4画素×4画素の16画素とし、異常とするカウント数を全体の50%とした場合、そのうち、半分の8画素以上が異常であったら、不良と判定する。図16(b)に示すように、1画素対1画素に不良判定を行うのではなく、判定領域に対して不良判定を行うことで、良品範囲内のチリや、基材(1)の変形に対して、過検出することなく、検査を行うことが可能となる。
なお、前述した判定工程においては、印刷物(S)に形成した任意の大きさの判定領域内における異常画素の数によって印刷物(S)の良否判定を行っていたが、まず、領域判定工程として、レベル補正画像(P3)を、製造側の判定基準に併せて複数の判定領域に分割したのち、複数分割した判定領域ごとに異常画素の数をカウントすることで、判定領域毎に良否判定を行ったのち、次に良否判定工程として、その領域ごとの良否判定結果に基づき印刷物(S)の良否判定を行っても良い。
図17は、レベル補正画像(P3)を、複数の判定領域に分割した場合を示す模式図である。図17に示すように、レベル補正画像(P3)を画像処理部(8)における演算部(8a)で、複数の判定領域に分割する。判定領域においては、前述のとおり製造側の判定基準に合わせた任意の大きさとすることが可能であることから、複数の判定領域は、互いに大きさが異なっても良い。
まず、領域判定工程においては、複数分割した判定領域ごとに良否判定を行う。判定領域ごとの良否判定は、前述のとおり、判定領域に対する異常画素の数又は異常画素率によって判定を行う。
次に、良否判定工程として、判定領域ごとの良否判定結果に基づき、判定部(9)によってレベル補正画像(P3)の良否判定を行うことで、検査対象である印刷物(S)の良否判定を行う。
良否判定は、領域判定工程において良品と判定された判定領域又は不良品と判定された判定領域の割合が、あらかじめ設定された良品判定又は不良品判定の割合を超過したか否かによって、行う。良品と判定された判定領域又は不良品と判定された判定領域の割合が、あらかじめ設定された任意の良品判定領域数又は不良品判定領域の数を超えた場合、印刷物(S)を不良製品又は良品製品と判定する。
例えば、良否判定基準の厳しい印刷物の検査を行う場合には、あらかじめ不良品と判定する判定領域が1つでも存在した場合、印刷物(S)を不良品と判定するように設定しておく。
印刷物(S)の良否判定の結果は、制御部(7)に転送した後、制御部(7)と接続したモニタ(図示せず)やプリンタ(図示せず)によって出力する。また、排紙部(図示せず)において、印刷物(S)の自動選別を行う機構としても良い。
なお、不良品が発生した場合には、検査装置(M)を停止する構成、排紙部(図示せず)にマーキング装置(図示せず)を設置して排紙前の不良品にマーキングをする構成、良品判定結果をモニタ(図示せず)に表示する構成等としても良い。
なお、このような一連のステップによる印刷物(S)の検査を、同じ仕様の印刷物(S)に対して継続して行う場合は、S5において作成した上限しきい値画像(J1)及び下限しきい値画像(J2)を再度使用し、検査を行うことが可能である。
1 基材
2 印刷模様
2P 印刷模様画像
21 非印刷領域
21P 非印刷領域画像
3 カメラ
4 照明
5 搬送部
6 エンコーダ
7 制御部
8 判定部
9 画像処理部
S 印刷物
M 検査装置
K 欠陥部
P1 検査対象画像
P2 マッチング画像
P3 レベル補正画像
Q 位置基準画像
J1 上限しきい値画像
J2 下限しきい値画像
2 印刷模様
2P 印刷模様画像
21 非印刷領域
21P 非印刷領域画像
3 カメラ
4 照明
5 搬送部
6 エンコーダ
7 制御部
8 判定部
9 画像処理部
S 印刷物
M 検査装置
K 欠陥部
P1 検査対象画像
P2 マッチング画像
P3 レベル補正画像
Q 位置基準画像
J1 上限しきい値画像
J2 下限しきい値画像
Claims (3)
- カメラと、画像処理部と、判定部を少なくとも備えた検査装置を用いて、基材上に印刷模様が付与された印刷物を撮像して画像を取得し、取得した前記画像とあらかじめ記憶してある正規の画像と比較することによって前記印刷物の良否判定を行う印刷物の検査方法であって、
前記カメラによって前記印刷物を撮像して複数の画素から成る検査対象画像を取得した後、前記検査対象画像を前記画像処理部に入力する、画像入力工程と、
前記検査対象画像と、あらかじめ前記画像処理部に記憶した前記印刷物の良否判定時の基準位置となる基準座標を付与した位置基準画像とをパターンマッチングして位置合わせを行い、前記検査対象画像に前記基準座標を付与し、マッチング画像を作成する、パターンマッチング工程と、
前記マッチング画像における前記基材の濃度を、あらかじめ前記画像処理部に記憶した前記印刷物の良否判定時の基準となる基準濃度に合わせて補正し、レベル補正画像を作成する、レベル補正工程と、
前記印刷物の良否判定時の良品範囲内における少なくとも位置変動の上限又は下限である上限しきい値画像及び下限しきい値画像を作成し、前記レベル補正画像と、前記上限しきい値画像及び前記下限しきい値画像とをそれぞれ比較する、上下限しきい値画像比較工程と、
前記レベル補正画像の任意の大きさの判定領域内において、前記上限しきい値画像又は前記下限しきい値画像のしきい値を超えた画素を異常画素としてカウントし、前記判定領域内の前記異常画素の数と、あらかじめ設定した前記判定領域内の前記異常画素の数を比較し、前記判定領域内の前記異常画素の数が、あらかじめ設定された前記異常画素の数を超えたか否かにより、前記印刷物の良否判定を行う、判定工程とを少なくとも有する印刷物の検査方法。 - 前記上下限しきい値画像比較工程において用いる前記上限しきい値画像及び前記下限しきい値画像は、
前記カメラによって複数の前記印刷物を撮像して複数の準備画像を取得し、複数の前記準備画像を前記画像処理部に入力する、準備画像入力工程と、
複数の前記準備画像と、前記位置基準画像とをパターンマッチングして位置合わせを行い、前記準備画像に前記基準座標を付与し、複数のマッチング準備画像を作成する、準備画像パターンマッチング工程と、
複数の前記マッチング準備画像から、画素ごとの濃度分布を示す濃度ヒストグラムを作成する、濃度ヒストグラム作成工程と、
前記濃度ヒストグラムに対し、前記印刷物の良品判定時の良品範囲内における上限の濃度及び下限の濃度を設定し、前記濃度ヒストグラムから、前記複数の準備画像に含まれるノイズを除去する、ノイズ除去工程と、
前記濃度ヒストグラムに対して設定した上限の濃度及び下限の濃度に基づき、前記印刷物の良品判定時の良品範囲内における上限の濃度から成る上限ノイズ除去画像と、下限の濃度から成る下限ノイズ除去画像を作成する、上下限ノイズ除去画像作成工程と、
あらかじめ設定された前記印刷模様の位置変動の許容量に基づき、前記上限ノイズ除去画像及び前記下限ノイズ除去画像のしきい値をそれぞれ調節し、前記上限しきい値画像及び前記下限しきい値画像とする、上下限位置変動調節工程によって作成することを特徴とする請求項1記載の印刷物の検査方法。 - 前記判定工程は、
複数の前記判定領域から成る前記レベル補正画像を、複数の前記判定領域ごとに、複数の前記判定領域内の前記上限しきい値画像又は前記下限しきい値画像のしきい値を超えた画素を異常画素としてカウントし、前記判定領域ごとの前記異常画素の数と、あらかじめ設定した前記判定領域ごとの前記異常画素の数を比較し、前記判定領域ごとの前記異常画素の数が、あらかじめ設定された前記判定領域ごとの前記異常画素の数を超えたか否かによって、前記判定部で前記判定領域ごとの良否判定を行う、領域判定工程と、
前記領域判定工程における前記判定領域ごとの良否判定に基づき、前記判定部によって、前記レベル補正画像における複数の前記判定領域のうち、良品判定又は不良品判定となった前記判定領域の割合が、あらかじめ設定された良品判定となった前記判定領域又は不良品判定となった前記判定領域の割合を超えたか否かによって、前記印刷物の良否判定を行う良否判定工程から成ることを特徴とする請求項1又は2記載の印刷物の検査方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012179721A JP2014038425A (ja) | 2012-08-14 | 2012-08-14 | 印刷物の検査方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2014038425A true JP2014038425A (ja) | 2014-02-27 |
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ID=50286530
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JP2012179721A Pending JP2014038425A (ja) | 2012-08-14 | 2012-08-14 | 印刷物の検査方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2014038425A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN115684206A (zh) * | 2022-09-27 | 2023-02-03 | 江阴旺达商务贴有限公司 | 多方位静电贴纸质量鉴定装置 |
-
2012
- 2012-08-14 JP JP2012179721A patent/JP2014038425A/ja active Pending
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