JP2014038081A - 分光計測方法、分光計測器、および変換行列の生成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】計測スペクトルに変換行列を作用させてスペクトルに変換する。変換行列は次のように決定する。既知光についての計測スペクトル(既知光計測スペクトル)を、基準の計測器による計測スペクトルの主成分ベクトルが構成する線形空間に線形射影して基準既知光計測スペクトルに変換する。この基準既知光計測スペクトルに変換行列を作用させて得られる推定スペクトルと既知光のスペクトル(既知光スペクトル)との偏差と、変換行列の各成分の分散との線形結合によって定義される評価関数が極値となるように決定する。こうすれば、分光計測器の分光特性や感度特性などの計測が不要となるので誤差の混入が抑制され、計測スペクトルからスペクトルを精度良く推定することが可能となる。
【選択図】図12
Description
光を受光して、第1個数の所定の波長での光強度を表すスペクトルを計測する分光計測方法であって、
受光した光を第2個数の所定の波長である計測波長の光に分光する分光工程と、
前記第2個数の前記計測波長での光強度を検出することによって、前記第2個数の光強度を有する計測スペクトルを生成する計測スペクトル生成工程と、
前記計測スペクトルを前記スペクトルに変換するための変換行列を決定する変換行列決定工程と、
前記計測スペクトルに前記変換行列を作用させることによって、前記計測スペクトルを前記スペクトルに変換する計測スペクトル変換工程と、
を備え、
前記変換行列決定工程は、
予め定められた基準の計測器から得られた前記計測スペクトルを主成分分析して、前記第2個数よりも少ない第3個数の主成分ベクトルを予め選択しておく工程と、
前記スペクトルが既知の光である既知光についての前記計測スペクトルである既知光計測スペクトルを取得する工程と、
前記既知光計測スペクトルを、前記第3個数の主成分ベクトルによって構成される線形空間に線形射影することによって、前記既知光計測スペクトルを基準既知光計測スペクトルに変換する工程と、
前記基準既知光計測スペクトルに前記変換行列を作用させて得られた前記スペクトルである推定スペクトルと前記既知光スペクトルとの偏差と、前記変換行列を構成する各成分の分散との線形結合によって定義される評価関数が極値となる条件に基づいて前記変換行列を決定する工程と、
を備えることを要旨とする。
光を受光すると、第1個数の所定の波長での光強度を表すスペクトルを出力する分光計測器であって、
受光した光を第2個数の所定の波長である計測波長の光に分光する分光手段と、
前記第2個数の前記計測波長での光強度を検出することによって、前記第2個数の光強度を有する計測スペクトルを生成する計測スペクトル生成手段と、
前記計測スペクトルに所定の変換行列を作用させることによって、前記計測スペクトルを前記スペクトルに変換する計測スペクトル変換手段と、
を備え、
前記変換行列は、
前記スペクトルが既知の光である既知光についての前記スペクトルである既知光スペクトルと、前記既知光についての前記計測スペクトルである既知光計測スペクトルとを取得して、
予め定められた基準の計測器から得られた前記計測スペクトルの前記第2個数よりも少ない第3個数の主成分ベクトルが構成する線形空間に前記既知光計測スペクトルを線形射影することによって、該既知光計測スペクトルを基準既知光計測スペクトルに変換し、
前記基準既知光計測スペクトルに前記変換行列を作用させて得られた前記スペクトルである推定スペクトルと前記既知光スペクトルとの偏差と、前記変換行列を構成する各成分の分散との線形結合によって定義される評価関数が極値となる条件に基づいて決定された行列である
ことを要旨とする。
第2個数の所定の波長で計測された光強度を表す計測スペクトルを、第1個数の所定の波長での光強度を表すスペクトルに変換する変換行列の生成方法であって、
予め定められた基準の計測器から得られた前記計測スペクトルを主成分分析して、前記第2個数よりも少ない第3個数の主成分ベクトルを予め選択しておく工程と、
前記スペクトルが既知の光である既知光についての前記計測スペクトルである既知光計測スペクトルを取得する工程と、
前記既知光計測スペクトルを、前記第3個数の主成分ベクトルによって構成される線形空間に線形射影することによって、前記既知光計測スペクトルを基準既知光計測スペクトルに変換する工程と、
前記既知光についての前記スペクトルである既知光スペクトルを取得する工程と、
前記基準既知光計測スペクトルに前記変換行列を作用させて得られた前記スペクトルである推定スペクトルと前記既知光スペクトルとの偏差と、前記変換行列を構成する各成分の分散との線形結合によって定義される評価関数が極値となる条件に基づいて前記変換行列を決定する工程と、
を備えることを要旨とする。
A.装置構成:
A−1.分光計測器の構成:
A−2.波長可変型光学フィルター:
B.推定行列:
C.前提技術による推定行列の決定方法:
D.本実施例による推定行列の決定方法:
A−1.分光計測器の構成 :
図1は、本実施例の分光計測器10の大まかな構成を示した説明図である。本実施例の分光計測器10は、大まかには光学系50と、検出部60と、制御部70などがケース80内に収容されて構成されている。光学系50は、透過する光の波長を変更可能な(波長可変型の)光学フィルター100と、光学フィルター100に光を入射させるための入射側レンズ系52と、光学フィルター100を透過した光を検出部60に導くための出射側レンズ系54などから構成されている。光学フィルター100が透過させる光の波長は、制御部70によって制御されている。また、検出部60は、受光した光の光強度に対応する電圧を制御部70に出力する。そして、制御部70は、検出部60から受け取った光強度に関するデータに基づいてスペクトルを出力する。尚、本実施例の光学フィルター100および光学フィルター100の動作を制御する制御部70は、本発明の「分光手段」に対応する。また、本実施例の検出部60および検出部60から光強度を受け取る制御部70は、本発明の「計測スペクトル生成手段」に対応する。更に、本実施例の制御部70は、本発明の「計測スペクトル変換手段」に対応する。
図2は、本実施例の分光計測器10に搭載されている波長可変型の光学フィルター100の外観形状を示した斜視図である。図2(a)には、光が入射する側から見た光学フィルター100が示されており、図2(b)には、光が出射する側から見た光学フィルター100が示されている。尚、図中に一点鎖線で示した矢印は、光学フィルター100に入射する光の向き、および光学フィルター100から出射する光の向きを表している。
図6は、推定行列Msを用いて計測スペクトルDからスペクトルSを推定する方法を示した説明図である。また、参考として、図6(b)には、推定行列Msを用いない従来の推定方法が示されている。説明の都合上、図6(b)に示した従来の推定方法の概略について、始めに説明する。
図8は、推定行列Msを決定する前提技術の方法を示した説明図である。図8(a)には、推定行列Msを決定するために用いられる色数分のスペクトルSが、行列の形式で表示されている。すなわち、ここでは1つのスペクトルSが81個(=スペクトル点数k)の要素を有するとしており、色数分のスペクトルSを計測するから、スペクトル点数k個の要素が、色数n個だけ並んだ行列Snk(以下では、行列Sと略記する)を考えることができる。尚、この色数分のスペクトルSは本発明の「既知光スペクトル」に対応する。
推定行列Msの詳細な決定方法を説明する前に、分光計測器10の固体による影響を抑制可能とする基本的な着想について説明しておく。先ず、分光計測器10によって得られた計測スペクトルDは、計測した光のスペクトルSに関する情報と、分光計測器10の分光感度特性Gに関する情報とを含んでいる。同じ光を計測したのであればスペクトルSは同じであり、また、分光計測器10に個体差があるとはいえ分光感度特性Gがそれほど大きく異なるわけではない。従って、異なる固体で得られたものであっても、計測スペクトルD同士はかなり似通っているものと予想される。
なく、推定行列Msを構成する各成分の分散も含めた新たな評価関数を考えて、その新たな評価関数が最小となるようにした方がよいと考えられる。
誤差率=100×(推定行列Msによる推定値とマルチ分光測色計による測色値との偏差)/スペクトルのレンジ幅
54…出射側レンズ系、 60…検出部、 70…制御部、
80…ケース、 100…光学フィルター、 110…第1基板、
110AR…反射防止膜、 110HR…第1反射膜、 112…第1凹部、
114…第2凹部、 118…第1電極、 118a…駆動電極部、
118b…引出電極部、 120…第2基板、 120a…引出孔、
120b…引出孔、 120s…スリット、 120AR…反射防止膜、 120HR…第2反射膜、 122…可動部、 124…連結部、
126…周辺部、 128…第2電極、 128a…駆動電極部、
128b…引出電極部、 200…光源、 g1…ギャップ、
g2…ギャップ
Claims (3)
- 光を受光して、第1個数の所定の波長での光強度を表すスペクトルを計測する分光計測方法であって、
受光した光を第2個数の所定の波長である計測波長の光に分光する分光工程と、
前記第2個数の前記計測波長での光強度を検出することによって、前記第2個数の光強度を有する計測スペクトルを生成する計測スペクトル生成工程と、
前記計測スペクトルを前記スペクトルに変換するための変換行列を決定する変換行列決定工程と、
前記計測スペクトルに前記変換行列を作用させることによって、前記計測スペクトルを前記スペクトルに変換する計測スペクトル変換工程と、
を備え、
前記変換行列決定工程は、
予め定められた基準の計測器から得られた前記計測スペクトルを主成分分析して、前記第2個数よりも少ない第3個数の主成分ベクトルを予め選択しておく工程と、
前記スペクトルが既知の光である既知光についての前記計測スペクトルである既知光計測スペクトルを取得する工程と、
前記既知光計測スペクトルを、前記第3個数の主成分ベクトルによって構成される線形空間に線形射影することによって、前記既知光計測スペクトルを基準既知光計測スペクトルに変換する工程と、
前記基準既知光計測スペクトルに前記変換行列を作用させて得られた前記スペクトルである推定スペクトルと前記既知光スペクトルとの偏差と、前記変換行列を構成する各成分の分散との線形結合によって定義される評価関数が極値となる条件に基づいて前記変換行列を決定する工程と、
を備えることを特徴とする分光計測方法。 - 第2個数の所定の波長で計測された光強度を表す計測スペクトルを、第1個数の所定の波長での光強度を表すスペクトルに変換する変換行列の生成方法であって、
予め定められた基準の計測器から得られた前記計測スペクトルを主成分分析して、前記第2個数よりも少ない第3個数の主成分ベクトルを予め選択しておく工程と、
前記スペクトルが既知の光である既知光についての前記計測スペクトルである既知光計測スペクトルを取得する工程と、
前記既知光計測スペクトルを、前記第3個数の主成分ベクトルによって構成される線形空間に線形射影することによって、前記既知光計測スペクトルを基準既知光計測スペクトルに変換する工程と、
前記既知光についての前記スペクトルである既知光スペクトルを取得する工程と、
前記基準既知光計測スペクトルに前記変換行列を作用させて得られた前記スペクトルである推定スペクトルと前記既知光スペクトルとの偏差と、前記変換行列を構成する各成分の分散との線形結合によって定義される評価関数が極値となる条件に基づいて前記変換行列を決定する工程と、
を備えることを特徴とする変換行列の生成方法。 - 光を受光すると、第1個数の所定の波長での光強度を表すスペクトルを出力する分光計測器であって、
受光した光を第2個数の所定の波長である計測波長の光に分光する分光手段と、
前記第2個数の前記計測波長での光強度を検出することによって、前記第2個数の光強度を有する計測スペクトルを生成する計測スペクトル生成手段と、
前記計測スペクトルに所定の変換行列を作用させることによって、前記計測スペクトルを前記スペクトルに変換する計測スペクトル変換手段と、
を備え、
前記変換行列は、
前記スペクトルが既知の光である既知光についての前記スペクトルである既知光スペクトルと、前記既知光についての前記計測スペクトルである既知光計測スペクトルとを取得して、
予め定められた基準の計測器から得られた前記計測スペクトルの前記第2個数よりも少ない第3個数の主成分ベクトルが構成する線形空間に前記既知光計測スペクトルを線形射影することによって、該既知光計測スペクトルを基準既知光計測スペクトルに変換し、
前記基準既知光計測スペクトルに前記変換行列を作用させて得られた前記スペクトルである推定スペクトルと前記既知光スペクトルとの偏差と、前記変換行列を構成する各成分の分散との線形結合によって定義される評価関数が極値となる条件に基づいて決定された行列である
ことを特徴とする分光計測器。
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