JP2014037795A - 鳥類衝突数評価装置、方法及びプログラム - Google Patents

鳥類衝突数評価装置、方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】
風車に衝突する羽数を定量的に評価する。
【解決手段】
風力発電設備の設置域で、風車回転高度幅の容積を算出する(S2)。風車のブレード回転面を中心とする球体を風車接触可能域と想定し、全風車の接触可能域の容積を算出する(S3)。後者の容積を前者の容積で除算することで、鳥類に依存しない空間占有率を算出する(S4)。個々の鳥類について(S5)、風車接触可能域を通過する通過頻度を算出し(S6)、その内でブレード回転面を通過する回数を算出し(S7)、回避率及び接触率を加味して、衝突羽数を算出する(S8)。
【選択図】 図2

Description

本発明は、風力発電の風車への鳥類衝突数を定量評価する鳥類衝突数評価方法、システム及びプログラムに関する。
風力発電では、しばしば周囲を飛翔する鳥類が風車に衝突する、いわゆるバードストライクを引き起こす。これは、風車を傷めて稼働率を低下させるばかりでなく、希少鳥類が周囲に生息する場合に、その生存を脅かすことになる。
そこで、風力発電事業のアセスメントとして、風車に衝突する鳥類衝突数を定量評価することが求められる。環境省は、ホームページ上に、平成23年1月7日付けで「鳥類等に関する風力発電施設立地適正化のための手引き」を公開している(非特許文献1)。
同手引きには、鳥類衝突数定量評価モデルとして、鳥類の飛翔高度と風車のブレードの回転域の高さとの関係から衝突数を定量評価する手法が記載されている。
http://www.env.go.jp/press.php?serial=13331
従来の鳥類衝突数定量評価モデルでは、風車ブレードの回転面の高度を飛翔し、回転面に進入する鳥類数を計数している。
しかし、実際には、回転面に対して斜めに進入する鳥類もあり、これらは無視できない。
本発明は、このような斜め進入も考慮して鳥類衝突数を定量評価する鳥類衝突数評価装置、方法及びプログラムを提示することを目的とする。
本発明に係る鳥類衝突数評価装置は、風力発電設備の風車への鳥類衝突数を定量評価する鳥類衝突数評価装置であって、当該風力発電設備の設置域における当該風車の風車接触可能域の空間占有率を算出する空間占有率算出手段と、注目する鳥類について、当該風車接触可能域に進入して当該風車のブレード回転面でブレードに接触する接触数を算出し、当該接触数に当該空間占有率及び当該風車の稼働率を乗算して衝突羽数を算出する衝突羽数算出手段とを具備し、当該風車接触可能域が当該風車のブレード回転面を中心とする球体で規定されることを特徴とする。
本発明に係る鳥類衝突数評価装置は、下記式に従い、風力発電設備の風車に衝突する鳥類の羽数を定量評価する鳥類衝突数評価装置であって、
衝突羽数=Cn×(接触率)×(稼働率)×(1−回避率)
である。ただし、
Cn=(Vs/Va)×Md/(davg×2)
Va=Sa×Hc
Vs=M×(4π/3)Ra
Sa:風力発電設備の設置域の面積
Hc:風車回転高度幅
M:風車台数
Ra:風車のブレード半径又は風車軸からブレード端までの距離
Md:注目する鳥類について風車回転高度幅での所定期間の全飛翔距離
avg:風車接触可能域を通過する平均距離
接触率:ブレード回転面に進入した個体がブレードに接触する確率
回避率:風車設置域、風車接触可能域及びブレード回転面への進入を回避する合計の割合。
本発明に係る鳥類衝突数評価方法は、風力発電設備の風車への鳥類衝突数を定量評価する鳥類衝突数評価方法であって、当該風力発電設備の設置域における当該風車の風車接触可能域の空間占有率を算出する空間占有率算出ステップと、注目する鳥類について、当該風車接触可能域に進入して当該風車のブレード回転面でブレードに接触する接触数を算出し、当該接触数に当該空間占有率及び当該風車の稼働率を乗算して衝突羽数を算出する衝突羽数算出ステップとを具備し、当該風車接触可能域が当該風車のブレード回転面を中心とする球体で規定されることを特徴とする。
本発明に係る鳥類衝突数評価プログラムは、風力発電設備の風車への鳥類衝突数を定量評価するコンピュータプログラムであって、コンピュータに、当該風力発電設備の設置域における当該風車の風車接触可能域の空間占有率を算出させる空間占有率算出機能と、注目する鳥類について、当該風車接触可能域に進入して当該風車のブレード回転面でブレードに接触する接触数を算出させ、当該接触数に当該空間占有率及び当該風車の稼働率を乗算して衝突羽数を算出させる衝突羽数算出機能とを実現させ、当該風車接触可能域が当該風車のブレード回転面を中心とする球体で規定されることを特徴とする。
本発明によれば、個々の風車に対して球体モデルによる風車接触可能域を設定したことで、全球方向から風車に向かう個体の衝突確率を適切に定量評価することが可能になる。これにより、衝突羽数をより精確に見込むことが可能になる。
本発明の一実施例の概略構成ブロック図である。 本実施例の動作フローチャートである。 風力発電設備情報テーブルの構成例である。 鳥類情報テーブルの構成例である。 風車のパラメータを示す正面図である。 風車接触可能域への進入確率を説明する、風車を上方向から見た平面図である。 接触確率を説明する模式図である。 進入角度対接触確率のグラフ例である。
以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例の概略構成ブロック図を示し、図2は、本実施例による鳥類衝突数評価の動作フローチャートを示す。本実施例では、コンピュータ上のソフトウエアにより実現されうるが、もちろん、そのようなソフトウエアで実現される機能を組み込んだ専用装置によっても実現可能である。
本実施例では、風力発電設備の風車に対して全球方向から鳥類が進入する可能性が一般的に存在することを考慮し、個々の風車に対して衝突可能性のある鳥類の進入エリアとして風車ブレードの回転に外接する球体を風車接触可能域として想定する。
コンピュータ10は、CPU12、主記憶としてのメモリ14、補助記憶としてのHDD16、表示装置18、キーボード20及び、ポインティングデバイスとしてのマウス22を具備し、鳥類衝突数評価装置の一実施例として機能する。図2に示すフローチャートに相当する鳥類衝突数評価のコンピュータプログラムがHDD16に格納されており、CPU12は、その鳥類衝突数評価プログラムをHDD16からメモリ14に読み出し、実行する。これにより、CPU12は、図2に示すフローチャートで説明される各機能を実現する。
コンピュータ10には、予め、設置しようとする風力発電設備情報と、風力発電設備を設置しようとする地域に生息し、衝突可能性のある鳥類の情報が格納される。HDD16の風力発電設備情報テーブル16aには風力発電設備情報が格納され、鳥類情報テーブル16bには鳥類情報が格納される。
図3は、風力発電設備情報テーブル16aの構造例を示す。設置面積(Sa)は、風力発電設備情報を設置しようとする地域の面積であって、例えば、設置する風車に衝突する可能性のある鳥類の生息域をカバーする範囲で設定される。明確さの点で、設置面積(Sa)を、設置する複数の風力発電設備を外接する多角形その他の線図で定義しても良い。稼働率は1年で風車が回転する時間の割合を示す。風車軸高度(Haxis)は、風車の回転軸の、地上からの高度を示す。ブレード半径(Ra)は、風車を構成する羽(ブレード)の半径、即ち、風車軸からブレードの端までの距離を示す。平均回転速度は、想定される風速に対する平均的な回転速度を示す。平均回転速度は、風車を通過する鳥類がブレードに接触する接触確率を計算するのに使用される。図5は、風車を正面から見た状態の模式図であって、風車軸高度(Haxis)、ブレード半径(Ra)及び風車回転高度幅(2Ra)の関係を示す。
図4は、鳥類情報テーブル16bのデータ構造例を示す。鳥類情報テーブル16bは、衝突可能性のある鳥類毎に、サイズ(体長I,翼開長W)、飛翔高度範囲(Ha〜Hb)、飛翔速度(v)、飛翔距離(Md)及び回避率(P)の各データからなり、専ら実測により決定される。サイズは、羽を拡げた飛翔時の飛翔方向の大きさ(体長:I)と羽方向の大きさ(翼開長W)を示す。飛翔高度範囲(Ha〜Hb)は、通常、飛翔する高度の範囲を示す。飛翔速度(v)は、風車のブレードが回転する範囲の高度での飛翔速度を示す。飛翔距離(Md)は、単位期間(例えば、1年)内に風車回転高度範囲(Ha〜Hb)を飛翔する場合の設置地域内での全飛翔個体の合計距離を示す。回避率(P)は、回転する風車に向かって飛びつつも風車を回避する確率を示し、より具体的には、風車設置域、風車接触可能域及びブレード回転面への進入を回避する合計の割合である。例えば、オジロワシの場合、回避率は95%程度と言われている。
図2を参照して、本実施例による鳥類衝突数の定量評価動作を説明する。先ず、オペレータは、キーボード20及びマウス22を使い、設置しようとする風力発電設備情報とその地域の鳥類情報をHDD16に格納する(S1)。これにより、HDD16に風力発電設備情報テーブル16aと鳥類情報テーブル16bが格納され、準備される。勿論、遠隔地のサーバにある同様のテーブルを参照してもよいが、ここでは理解を容易にするために、ローカルにこれらテーブル16a,16bが存在するものとしている。
CPU12は、風力発電設備情報テーブル16aを参照し、風車回転高度容積(Va)を算出する(S2)。風車回転高度容積(Va)は、テーブル16aの設置面積(Sa)に風車回転高度幅(Hc)を乗算して得られる。すなわち、
Va=Sa×Hc
とする。風車回転高度幅(Hc)は、図5に示すように、回転する風車の上端から下端までの距離であり、一般的には、ブレード半径(Ra)の2倍に相当する。風車回転高度容積(Va)は、高度で見た空間的な存在可能性を示す指数となる。
風車回転高度幅の範囲に鳥類が飛翔していたとしても、ある程度に風車に接近しない限り、風車に衝突することはあり得ない。また、鳥類が風車に衝突するのは、鳥類が風車の正面から風車に向かって進入する場合に限らず、斜めに進入する場合もありうる。却って、風車回転面に直角に進入する場合に比べ、斜めに入射する方が、風車のブレードに接触する時間的空間的確率が高いので、風車に衝突する確率が高くなる。そこで、本実施例では、個々の風車に対して、風車のブレード回転面を中心とする球体を風車接触可能域として想定する球体モデルを採用する。
CPU12は、風車接触可能域として想定される全球体の容積を風車接触可能容積(Vs)として、
Vs=M×(4π/3)Ra
を計算する(S3)。但し、Mは風車台数を示し、Raは、風車のブレード半径(又は風車軸からブレード端までの距離)を示す。
風車回転高度容積(Va)に対する風車接触可能容積(Vs)の比は、空間的な広さだけから見た場合に風車に衝突する可能性のある風車接触可能域に鳥類が存在する確率を示す。この確率を空間占有率と定義し、CPU12は、下記式に従い、設置地域における空間的な空間占有率(Pv)を算出する(S4)。すなわち、
Pv=Vs/Va
とする。
空間占有率(Pv)は、鳥類の種別に依存しない指数であり、本実施例は、この空間占有率(Pv)に鳥類毎の事情を加味して、個々の鳥類の衝突羽数を推計する。
先ず、CPU12は、鳥類情報テーブル16bを参照し、鳥類情報テーブル16bから評価対象の鳥類を選択し、選択した鳥類の緒データ(サイズ(I,W)、飛翔高度範囲(Ha〜Hb)、飛翔速度(v)、飛翔距離(Md)及び回避率(P))を読み込む(S5)。
CPU12は、選択された鳥類が風車接触可能域を通過する通過頻度(Fq)を算出する(S6)。この通過頻度(Fq)は、選択された鳥類が所定の期間内に風車接触可能域(風車接触可能容積(Vs))を通過する回数であり、選択された鳥類について、風車回転高度幅Ha〜Hbでの全飛翔距離(Md)を、1台の風車の風車接触可能域を通過する平均距離(davg)で除算することで得られる。すなわち、CPU12は、
Fq=Pv×Md/davg
で頻度(Fq)を算出する。頻度(Fq)の単位は、鳥類種類別の所定期間内の回数となる。
球体をランダムに通過するとした場合の平均距離(davg)は、球体にランダムに1本の線を通過させたときの、始点(入口)から終点(出口)までの距離の平均であり、通過軌跡の総和を軌跡数で除算することで得られる。従って、平均距離(davg)は、球の体積、すなわち、風車接触可能域を構成する球体の体積を、その中心を通る円の面積で除算した値となる。
次に、CPU12は、何れかの風車の風車接触可能域に進入した鳥類が更に、そのブレード回転面を通過する回数(Cn)を算出する(S7)。ステップS6で計算した通過頻度(Fq)は、風車のブレード回転面を中心とする球体に進入する頻度を示すが、球体に進入した鳥がそのまま直進したとしても、全てがブレード回転面に進入するわけではなく、以下に説明するように、ブレード回転面に進入する確率は1/2となる。従って、ブレード回転面通過回数(Cn)は、
Cn=Fq/2=Pv×Md/(davg×2)
となる。
図6を参照して、ブレード回転面に進入する確率が1/2であることを説明する。図6は、風車をその上空から見た平面図を示す。本実施例の球体モデルでは、ブレード回転面50に対して、外接する球体52を想定する。この球体52の内部が風車接触可能域に対応する。この球体52に外部から任意の角度で鳥が線54で示すように進入するとする。入射点とブレード回転面の両端を結ぶ線のなす角は周知の通り90度となり、球体52の球面への進入点での接線で見ると、余角、すなわちブレード面方向に進まない角度も90度である。これは、進入する個体がブレード面を見込む立体角と、ブレード面以外を見込む立体角の比で見ても、同様である。従って、先に説明したように、風車接触可能域を構成する球体52に進入した鳥類がブレード面に突入する確率は常に1/2となる。
ここまでは、鳥類が直進することを前提としてきた。しかし、実際には、ブレード回転面に向かって飛翔する鳥類が全てブレード回転面に進入するとは限らない。回避行動があり、回避しない個体も、ブレード回転面を無事に通過できる場合がある。回避できず、ブレード回転面を無事に通過できなかった個体が、ブレードに衝突することになる。
ブレード回転面に接近した鳥類も、その飛翔能力によりブレード回転面への進入を回避できる。このような回避率は、経験的又は実測により定量評価可能であり、本実施例でも、既存の方法で計測又は決定された知られた数値を採用する。例えば、オジロワシの場合で、風車設置域、風車接触可能域及びブレード回転面への進入を回避する合計の割合である回避率は、95%程度と言われている。
回避せずにブレード回転面に進入しても、一部は、ブレード回転面を無事に通過できる。無事に通過できるかどうかは、鳥類のサイズ(I,W)と、飛翔速度(v)、ブレード面への入射角度(θ)、風車の回転速度及びブレード数に依存する。図7は、ブレード回転面を上方から見た場合の2種類の進入角度例であって、図7(a)はブレード回転面への進入角度が浅い(θが小さい)場合を示し、同(b)は進入角度が大きい(θが大きい)場合を示す。
鳥類の頭がブレード回転面に入ってから尾が抜けるまでの間にブレードが鳥類に接触する場合に、鳥類がブレードに衝突したことになる。進入角度θが小さいほどブレード回転面に位置する時間が長くなるので、接触確率が増大する。進入角度θが大きくなると、短時間でブレード回転面を通過することが可能になり、接触確率が低下する。進入角度θを0度から90度の範囲で接触確率を算定すると、平均接触率Tを算定できる。すなわち、進入角度θの接触確率は、{(ブレード回転面通過距離)/(飛翔速度v)}×{(ブレード羽数)/(1回転の時間)}で計算できる。平均衝突率Tは、各進入角度の衝突確率を進入角度で積分して平均化することで得られる。平均の代わりに、代表的な進入角度における接触確率を代表値として採用しても良い。
ブレード回転面通過距離は、以下のように算出できる。進入角度θで野鳥がブレード面に進入する場合で、体長Iの1/2の箇所で翼開長Wを十字クロスさせると、
通過距離=W/tanθ
となる。但し、オジロワシ、オオワシ、イヌワシ及びチュウヒの4種で推定した通過距離は、進入角度θが約68度以上で各種類の体長(I)と同じ値になる。ブレード厚みbを考慮する場合、
通過距離=W/tanθ+b/sinθ
となる。
オジロワシを例に説明する。オジロワシのオスメス平均の体長及び翼開長から求めたブレード面を通過するのに要する距離、すなわちブレード面通過距離は、平均で2.3m程であり、飛翔速度は10.6m/sである。このとき、ブレード回転面を垂直に通過する時間tは、
t=(ブレード面通過距離)/飛翔速度
であるから、0.217秒(=2.3/10.6)となる。
風車のブレードが2.5秒に1回転すると仮定すると、ブレード1枚がt秒間に移動する間にブレード回転面を掃引する面積率は0.217/2.5となる。風車のブレードが3枚である場合、合計の掃引面積率は、
3×0.217/2.5=0.26
となる。つまり、合計の掃引面積率は、
t×(ブレード数)/(1回転の秒数)
で得られる。この合計掃引面積率が90度進入の場合の接触確率となる。進入角度θを変更して同様の計算を行い、0〜90度の角度別の接触確率を平均化することで、平均接触率が得られる。図8は、進入角度対接触確率の一例を示す。
以上を踏まえて、CPU12は、所定期間内に風車に衝突する羽数、すなわち期間内衝突羽数を、下記式に従って算定する(S8)。すなわち、
期間内衝突羽数=Cn×(接触率)×(稼働率)×(回転面進入率)
ただし、
回転面進入率=1−回避率
である。
別種の野鳥についても衝突羽数を算定すべき場合(S9)、CPU12は、別の鳥類を選択して、緒データを鳥類情報テーブル16bから読み込み(S10)、当該鳥類について、ステップS6〜S8を実行する。
全ての野鳥について衝突羽数を算出したら(S9)、CPU12は、所定書式のレポートを生成し、HDD16に保存して(S11)、終了する。
オペレータは、算出結果に疑問がある場合には、テーブル16a,16bのデータを修正して図2に示すフローを再実行すればよい。
上記実施例では、ステップS6で通過頻度の計算にS4で得られた空間占有率を乗算しているが、ステップS6、S7では割合のみを計算し、最終的にステップS8において空間占有率を乗算するようにしてもよいことは、明らかである。
このように、本実施例によれば、個々の風車に対して球体モデルによる風車接触可能域を設定したことで、全球方向から風車に向かう個体の衝突確率を適切に定量評価することが可能になり、従って、衝突羽数をより精確に見込むことが可能になる。
特定の説明用の実施例を参照して本発明を説明したが、特許請求の範囲に規定される本発明の技術的範囲を逸脱しないで、上述の実施例に種々の変更・修整を施しうることは、本発明の属する分野の技術者にとって自明であり、このような変更・修整も本発明の技術的範囲に含まれる。
10:コンピュータ
12:CPU
14:メモリ
16:HDD1
16a:風力発電設備情報テーブル
16b:鳥類情報テーブル
18:表示装置
20:キーボード
22:マウス
50:ブレード回転面
52:風車接触可能域(球体)
54:進入方向

Claims (21)

  1. 風力発電設備の風車への鳥類衝突数を定量評価する鳥類衝突数評価装置であって、
    当該風力発電設備の設置域における当該風車の風車接触可能域の空間占有率を算出する空間占有率算出手段と、
    注目する鳥類について、当該風車接触可能域に進入して当該風車のブレード回転面でブレードに接触する接触数を算出し、当該接触数に当該空間占有率及び当該風車の稼働率を乗算して衝突羽数を算出する衝突羽数算出手段
    とを具備し、
    当該風車接触可能域が当該風車のブレード回転面を中心とする球体で規定される
    ことを特徴とする鳥類衝突数評価装置。
  2. 当該空間占有率が、当該風車接触可能域の総容積を、当該設置域の当該風車の風車回転高度容積で除算した結果であることを特徴とする請求項1に記載の鳥類衝突数評価装置。
  3. 当該衝突羽数算出手段は、
    当該注目する鳥類が当該風車接触可能域を通過する頻度を算出する手段と、
    当該頻度と、当該ブレード回転面への進入を回避する回避率とから当該ブレード回転面を通過する回数に相当する値を算出する手段と、
    当該ブレード回転面で当該ブレードに接触する接触率を算出する手段
    とを具備することを特徴とする請求項1又は2に記載の鳥類衝突数評価装置。
  4. 当該接触率が、当該ブレード回転面に所定の進入角度範囲で計算される各進入角度の接触確率の平均値であることを特徴とする請求項3に記載の鳥類衝突数評価装置。
  5. 当該接触率が、当該ブレード回転面の代表的な進入角度で計算される接触確率であることを特徴とする請求項3に記載の鳥類衝突数評価装置。
  6. 更に、当該鳥類とは別の鳥類について、当該衝突羽数算出手段に当該衝突羽数を算出させる制御手段を具備することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の鳥類衝突数評価装置。
  7. 下記式に従い、風力発電設備の風車に衝突する鳥類の羽数を定量評価する鳥類衝突数評価装置。
    衝突羽数=Cn×(接触率)×(稼働率)×(1−回避率)
    ただし、
    Cn=(Vs/Va)×Md/(davg×2)
    Va=Sa×Hc
    Vs=M×(4π/3)Ra
    Sa:風力発電設備の設置域の面積
    Hc:風車回転高度幅
    M:風車台数
    Ra:風車のブレード半径又は風車軸からブレード端までの距離
    Md:注目する鳥類について風車回転高度幅での所定期間の全飛翔距離
    avg:風車接触可能域を通過する平均距離
    接触率:ブレード回転面に進入した個体がブレードに接触する確率
    回避率:風車設置域、風車接触可能域及びブレード回転面への進入を回避する合計の割合
  8. 当該接触率が、当該ブレード回転面に所定の進入角度範囲で計算される各進入角度の接触確率の平均値であることを特徴とする請求項7に記載の鳥類衝突数評価装置。
  9. 当該接触率が、当該ブレード回転面の代表的な進入角度で計算される接触確率であることを特徴とする請求項7に記載の鳥類衝突数評価装置。
  10. 風力発電設備の風車への鳥類衝突数を定量評価する鳥類衝突数評価方法であって、
    当該風力発電設備の設置域における当該風車の風車接触可能域の空間占有率を算出する空間占有率算出ステップと、
    注目する鳥類について、当該風車接触可能域に進入して当該風車のブレード回転面でブレードに接触する接触数を算出し、当該接触数に当該空間占有率及び当該風車の稼働率を乗算して衝突羽数を算出する衝突羽数算出ステップ
    とを具備し、
    当該風車接触可能域が当該風車のブレード回転面を中心とする球体で規定される
    ことを特徴とする鳥類衝突数評価方法。
  11. 当該空間占有率が、当該風車接触可能域の総容積を、当該設置域の当該風車の風車回転高度容積で除算した結果であることを特徴とする請求項10に記載の鳥類衝突数評価方法。
  12. 当該衝突羽数算出ステップは、
    当該注目する鳥類が当該風車接触可能域を通過する頻度を算出するステップと、
    当該頻度と、当該ブレード回転面への進入を回避する回避率とから当該ブレード回転面を通過する回数に相当する値を算出するステップと、
    当該ブレード回転面で当該ブレードに接触する接触率を算出するステップ
    とを具備することを特徴とする請求項10又は11に記載の鳥類衝突数評価方法。
  13. 当該接触率が、当該ブレード回転面に所定の進入角度範囲で計算される各進入角度の接触確率の平均値であることを特徴とする請求項12に記載の鳥類衝突数評価方法。
  14. 当該接触率が、当該ブレード回転面の代表的な進入角度で計算される接触確率であることを特徴とする請求項12に記載の鳥類衝突数評価方法。
  15. 更に、当該鳥類とは別の鳥類について、当該衝突羽数算出手段に当該衝突羽数を算出させる制御ステップを具備することを特徴とする請求項10乃至14の何れか1項に記載の鳥類衝突数評価方法。
  16. 風力発電設備の風車への鳥類衝突数を定量評価するコンピュータプログラムであって、コンピュータに、
    当該風力発電設備の設置域における当該風車の風車接触可能域の空間占有率を算出させる空間占有率算出機能と、
    注目する鳥類について、当該風車接触可能域に進入して当該風車のブレード回転面でブレードに接触する接触数を算出させ、当該接触数に当該空間占有率及び当該風車の稼働率を乗算して衝突羽数を算出させる衝突羽数算出機能
    とを実現させ、
    当該風車接触可能域が当該風車のブレード回転面を中心とする球体で規定される
    ことを特徴とする鳥類衝突数評価プログラム。
  17. 当該空間占有率が、当該風車接触可能域の総容積を、当該設置域の当該風車の風車回転高度容積で除算した結果であることを特徴とする請求項16に記載の鳥類衝突数評価プログラム。
  18. 当該衝突羽数算出機能は、
    当該コンピュータに当該注目する鳥類が当該風車接触可能域を通過する頻度を算出させる機能と、
    当該コンピュータに、当該頻度と、当該ブレード回転面への進入を回避する回避率とから当該ブレード回転面を通過する回数に相当する値を算出させる機能と、
    当該コンピュータに、当該ブレード回転面で当該ブレードに接触する接触率を算出させる機能
    とを具備することを特徴とする請求項16又は17に記載の鳥類衝突数評価プログラム。
  19. 当該接触率が、当該ブレード回転面に所定の進入角度範囲で計算される各進入角度の接触確率の平均値であることを特徴とする請求項18に記載の鳥類衝突数評価プログラム。
  20. 当該接触率が、当該ブレード回転面の代表的な進入角度で計算される接触確率であることを特徴とする請求項18に記載の鳥類衝突数評価プログラム。
  21. 当該鳥類とは別の鳥類について、当該衝突羽数算出機能に当該衝突羽数を算出させる制御機能を当該コンピュータに実現させることを特徴とする請求項16乃至20の何れか1項に記載の鳥類衝突数評価プログラム。
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