JP2014037498A - 共重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】共役ジエン化合物と非共役オレフィンとを共重合させる共重合体の製造方法であって、脂肪族炭化水素を溶媒として用い、かつ、前記共重合における重合温度を80℃以上とすることを特徴とする、共重合体の製造方法。
【選択図】なし
Description
そして、近年、環境負荷の低減のために重合反応に用いる溶媒を芳香族炭化水素から脂肪族炭化水素(非芳香族炭化水素)に変えることが求められており、この点でさらに改良の余地があった。
共重合における重合温度を80℃以上とすることにより、脂肪族炭化水素を溶媒として用いた場合において、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとの共重合体を合成できる共重合体の製造方法を提供することが可能となる。
本明細書において、共役ジエン化合物とは、分子内に1つの単結合によって隔てられた二重結合を2つ有する化合物をいう。
本明細書において、非共役オレフィンとは、共役ジエン化合物以外の非共役オレフィンであり、スチレンを含まないものを意味する。ここで、オレフィンとは、脂肪族不飽和炭化水素であって、炭素−炭素二重結合を1つ以上有する化合物をいう。
本明細書において、共役ジエン化合物または非共役オレフィンを用いた共重合体を構成するブロック部分の重合を「ブロック部分の重合」という。
また、「配位子」とは、触媒の中心金属に配位結合する基のことであり、例えば、後述する一般式(1)で、A、BまたはCで表される基を意味する。
本明細書において、メタロセン錯体は、1もしくは2以上のシクロペンタジエニル、インデニルもしくはフルオレニルまたはその誘導体が、中心金属に結合した錯体化合物をいう。本明細書において、特に、中心金属に結合したシクロペンタジエニル、インデニルもしくはフルオレニルまたはそれらの誘導体が1つであるメタロセン錯体を、ハーフメタロセン錯体と称することがある。
本明細書において、反応系とは、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとの共重合が行われる場を意味し、具体例としては、反応容器等が挙げられる。
本明細書において、シス−1,4結合量は、共役ジエン化合物由来部分中の量を意味し、共重合体全体に対する割合を意味するものではない。
ヘキサンおよびシクロヘキサンのうち少なくとも一方を用いることにより、共重合体の製造コストを低くできる、製造工程において取り扱いやすい、環境負荷を低減する効果が高い、および目的物の共重合体の回収が容易であるという効果がある。
反応物の投入順序をこのようにすることにより、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとが共重合した共重合体を合成しやすい。
斯かる触媒を用いることにより、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとの共重合体を合成しやすい。また、共役ジエン化合物を高いシス−1,4結合量で共重合させることができる。
非共役オレフィンが、非環状オレフィンであることにより、非共役オレフィンが共役ジエン化合物と共重合しやすく、また、共重合体の分子量を制御しやすいという利点がある。
α−オレフィンはオレフィンのα位に二重結合を有するため、共役ジエンとの共重合を効率よく行うことができる。さらに、非共役オレフィンの炭素数が2〜10であることにより、非共役オレフィンが共役ジエン化合物と共重合しやすく、また、共重合体の分子量を制御しやすいという利点がある。
斯かる非共役オレフィンを用いることにより、共重合体の優れた耐熱性および耐オゾン性を得ることができ、また、エラストマーとしての設計自由度を高めることも可能となる。
共役ジエン化合物は、炭素数が4〜8であることにより、共役ジエン化合物が非共役オレフィンと共重合しやすく、また、共重合体の分子量を制御しやすいという利点がある。
共役ジエン化合物が、1,3−ブタジエンおよびイソプレンのうち少なくとも一方であることにより、共役ジエン化合物が非共役オレフィンと共重合しやすく、また、共重合体の分子量を制御しやすいという利点がある。加えて、1,3−ブタジエンおよびイソプレンは、安価で入手が容易という利点もある。
斯かる圧力であることにより、共重合体に非共役オレフィンを効率的に、かつ、十分に取り込むことができる。
非共役オレフィンの濃度/共役ジエン化合物の濃度≧1.0
の関係を満たすことが好ましい。
斯かる関係を満たすことにより、共重合体中に非共役オレフィンを効率的に導入することができる。
以下、本発明に係る共重合体の製造方法の好適な実施形態の一例を説明する。
本発明に係る共重合体の製造方法は、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとを共重合させる共重合体の製造方法であって、脂肪族炭化水素を溶媒として用い、かつ、前記共重合における重合温度を80℃以上とすることを特徴とする。
共重合における重合温度を80℃以上とすることにより、脂肪族炭化水素を溶媒として用いた場合において、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとの共重合体を合成できる共重合体の製造方法を提供することが可能となる。
本発明に係る共重合体の製造方法では、脂肪族炭化水素を溶媒として用いる。
溶媒としての脂肪族炭化水素は、直鎖状、分岐状および環状の脂肪族炭化水素から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカンまたはイコサン等が挙げられる。
分岐状の脂肪族炭化水素溶媒としては、例えば、2,2,4−トリメチルペンタン(イソオクタン)等が挙げられる。分岐状の脂肪族炭化水素溶媒では、同一炭素原子数の直鎖状の脂肪族炭化水素溶媒よりも沸点が低いという利点がある。
環状の脂肪族炭化水素溶媒としては、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等が挙げられる。環状の脂肪族炭化水素溶媒では、直鎖状の脂肪族炭化水素溶媒よりも、本発明に係る共重合体の製造方法により得られる共重合体の溶解性が高いという利点がある。
脂肪族炭化水素溶媒の沸点は、65℃〜110℃であることが好ましい。当該脂肪族炭化水素溶媒の沸点がこの範囲であることにより、溶媒を留去することが容易であり、目的物の共重合体の回収が容易であるという利点もある。
ヘキサンおよびシクロヘキサンは、安価な溶媒であるため、ヘキサンおよびシクロヘキサンのうち少なくとも一方を用いることにより、共重合体の製造コストを低くすることができる。
また、ヘキサンおよびシクロヘキサンのうち少なくとも一方を溶媒として用いた場合には、芳香族炭化水素であるトルエンを溶媒として用いた場合に比べて溶液粘度が低く、製造工程において取り扱いやすいという利点がある。
さらに、ヘキサンおよびシクロヘキサンは、沸点がトルエンに比べて低いため(ヘキサンの沸点:68.7℃、シクロヘキサンの沸点:81.4℃、トルエンの沸点:110.6℃)、溶媒を留去することが容易であり、環境負荷を低減する効果が高く、加えて、目的物の共重合体の回収も容易であるという利点もある。
本発明に係る共重合体の製造方法では、上述した溶媒を1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
さらに、本発明の好適な実施形態では、共重合に用いる溶媒として、脂肪族炭化水素溶媒のみを用いることも可能である。
本発明に係る共重合体の製造方法では、共重合における重合温度は、80℃以上である。当該重合温度が80℃未満では、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとを十分に共重合させることができない。共重合における重合温度が80℃未満では、当該共重合体を合成できない理由は定かではないが、非共役オレフィンの重合活性末端から共役ジエン化合物の挿入(導入)反応が進行しないという理由が推測される。
共重合における重合温度は、用いる脂肪族炭化水素溶媒の沸点、非共役オレフィンの種類等に応じて80℃以上で調節すればよい。
重合温度は、80℃〜120℃が好ましく、80℃〜100℃がより好ましい。当該重合温度がこの範囲であることにより、重合停止反応などの副反応が少ないという利点がある。
例えば、非共役オレフィンを用いたブロック部分の重合の重合温度は、20℃〜80℃であることが好ましい。これにより、重合末端の失活(重合停止反応)の割合を減らすという利点がある。
例えば、共役ジエン化合物を用いたブロック部分の重合の重合温度は、50℃〜80℃であることが好ましい。これにより、重合速度がある程度速く、重合末端の失活(重合停止反応)などの割合を減らすという利点がある。
単量体として用いる共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン等が挙げられる。
本発明に係る共重合体の製造方法では、前記共役ジエン化合物は、炭素数が4〜8であることが好ましい。共役ジエン化合物は、炭素数が4〜8であることにより、共役ジエン化合物が非共役オレフィンと共重合しやすく、また、共重合体の分子量を制御しやすいという利点がある。
共役ジエン化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
単量体として用いる非共役オレフィンは、共重合体に優れた耐熱性を付与し、共重合体の主鎖中に占める二重結合の割合を減らして結晶性を低下させることによりエラストマーとしての設計自由度を高める働きをする。
非共役オレフィンとしては、環状オレフィンと非環状オレフィンの両方を用いることができる。
本発明に係る共重合体の製造方法では、前記非共役オレフィンが、非環状オレフィンであることが好ましい。非共役オレフィンが、非環状オレフィンであることにより、非共役オレフィンが共役ジエン化合物と共重合しやすく、また、共重合体の分子量を制御しやすいという利点がある。
ここで、α−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等が挙げられる。
斯かる非共役オレフィンを用いることにより、共重合体の優れた耐熱性および耐オゾン性を得ることができる。
また、共重合体の主鎖中に占める二重結合の割合を減らし、結晶性を低下させることにより、エラストマーとしての設計自由度を高めることが可能となる。
非共役オレフィンは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係る共役ジエン化合物と非共役オレフィンとを共重合させる共重合体の製造方法は、脂肪族炭化水素溶媒を用い、かつ、前記共重合における重合温度を80℃以上とすること以外は特に制限されず、従来公知の重合方法を用いることができる。
例えば、重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法、液相塊状重合法、乳化重合法等を用いることができる。
反応物の投入順序をこのようにすることにより、反応系内の単量体の濃度比を制御して共役ジエン化合物の単独重合体の生成を抑制しやすくなり、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとが重合した共重合体を合成しやすい。これは、共役ジエン化合物は重合しやすいが、非共役オレフィンは重合しにくいためと考えられる。
また、前記非共役オレフィンの反応系への投入を、前記共役ジエン化合物の反応系への投入よりも先に行う場合、前記非共役オレフィンの反応系への投入を前記共役ジエン化合物の反応系への投入と同時に行う場合に比べて、共重合体の収率が向上するという利点がある。
前記非共役オレフィンの反応系への投入を、前記非共役オレフィンの反応系への投入を前記共役ジエン化合物の反応系への投入と同時に行う場合、停止反応等の失活が少ないという利点がある。
反応物の投入方法は、特に限定されず、分割または連続投入のいずれでもよい。
したがって、共役ジエン化合物または非共役オレフィンを反応系に投入する前に、触媒を反応系に投入してもよいし、共役ジエン化合物または非共役オレフィンを反応系に投入するのと同時に触媒を反応系に投入してもよい。
斯かる圧力であることにより、共重合体に非共役オレフィンを効率的に、かつ、十分に取り込むことができる。
非共役オレフィンの濃度/共役ジエン化合物の濃度≧1.0
の関係を満たすことが好ましい。
さらに、非共役オレフィンの反応系への投入を、前記共役ジエン化合物の反応系への投入と同時に行う場合は、
非共役オレフィンの濃度/共役ジエン化合物の濃度≧5.0
であることがより好ましい。
共役ジエン化合物は重合しやすく、非共役オレフィンは重合しにくいが、斯かる関係を満たすことにより、共重合体中に非共役オレフィンを効率的に導入することができる。
本発明に係る共重合体の製造方法では、触媒は特に制限されず、例えば、特許文献2〜3に記載されている重合触媒組成物または特許文献4に記載されているメタロセン系複合触媒を用いて、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとを共重合させてもよい。
斯かる触媒を用いることにより、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとの共重合体を合成しやすい。
また、共役ジエン化合物を高いシス−1,4結合量で重合させることができる。本発明に係る共重合体の製造方法により得られる共重合体(以下、単に「共重合体」ともいう。)において、シス−1,4結合量が高いと、当該共重合体をタイヤに用いた場合、タイヤに高い耐摩耗性、耐亀裂成長性および耐ウェットスキッド性等を付与できる。
以下、本発明において好適に用いられる第一ないし第三の重合触媒組成物について説明する。
第一の重合触媒組成物としては、
(A)成分:希土類元素化合物または当該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物であって、希土類元素と炭素との結合を有さない当該希土類元素化合物または反応物と、
(B)成分:非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B−1)、アルミノキサン(B−2)ならびにルイス酸、金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物および活性ハロゲンを含む有機化合物のうち少なくとも一種のハロゲン化合物(B−3)からなる群より選択される少なくとも1種と、
を含む重合触媒組成物が挙げられる。
また、第一の重合触媒組成物が、イオン性化合物(B−1)およびハロゲン化合物(B−3)のうち少なくとも1種を含む場合、当該重合触媒組成物は、さらに、
(C)成分:下記一般式(i)で表される有機金属化合物を含む。
YR1 aR2 bR3 c・・・(i)
(一般式(i)中、Yは、周期律表第1族、第2族、第12族および第13族から選択される金属であり、R1およびR2は、炭素数1〜10の炭化水素基または水素原子であり、R3は炭素数1〜10の炭化水素基である。ただし、上記R1、R2およびR3は、それぞれ、同一でもよく、または異なっていてもよく、また、Yが周期律表第1族から選択される金属である場合には、aは1で、かつ、bおよびcは0であり、Yが周期律表第2族および第12族から選択される金属である場合には、aおよびbは1で、かつ、cは0であり、Yが周期律表第13族から選択される金属である場合には、a、bおよびcは1である。)
(A)成分は、希土類元素化合物または当該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物であり、ここで、希土類元素化合物および当該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物は、希土類元素と炭素との結合を有さない。
当該希土類元素化合物および反応物が希土類元素−炭素結合を有さないことにより、化合物が安定であり、取り扱いやすい。
ランタノイド元素は、上述したものと同様である。
さらに、希土類元素化合物または当該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物は、下記一般式(ii)または(iii)で表される化合物であることが好ましい。
MX2・Lw・・・(ii)
MX3・Lw・・・(iii)
(各一般式(ii)および(iii)中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウムまたはイットリウムを表し、Xは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基、アルデヒド残基、ケトン残基、カルボン酸残基、チオカルボン酸残基またはリン化合物残基を表し、Lは、ルイス塩基を表し、wは0〜3の整数を表す。)
ランタノイド元素は、上述したものと同様である。
ハロゲン原子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、等が挙げられる。これらの中でも、塩素原子、臭素原子が好ましい。
アルコキシド基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の脂肪族アルコキシ基;フェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、2,6−ジネオペンチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−ネオペンチルフェノキシ基、2−イソプロピル−6−ネオペンチルフェノキシ基等のアリールオキシド基;等が挙げられる。これらの中でも、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基が好ましい。
チオラート基としては、例えば、チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオプロポキシ基、チオn−ブトキシ基、チオイソブトキシ基、チオsec−ブトキシ基、チオtert−ブトキシ基等の脂肪族チオラート基;チオフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルチオフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルチオフェノキシ基、2,6−ジネオペンチルチオフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルチオフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−チオネオペンチルフェノキシ基、2−イソプロピル−6−チオネオペンチルフェノキシ基、2,4,6−トリイソプロピルチオフェノキシ基等のアリールチオラート基;等が挙げられる。これらの中でも、2,4,6−トリイソプロピルチオフェノキシ基が好ましい。
アミド基としては、例えば、ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、ジイソプロピルアミド基等の脂肪族アミド基;フェニルアミド基、2,6−ジ−tert−ブチルフェニルアミド基、2,6−ジイソプロピルフェニルアミド基、2,6−ジネオペンチルフェニルアミド基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルフェニルアミド基、2−tert−ブチル−6−ネオペンチルフェニルアミド基、2−イソプロピル−6−ネオペンチルフェニルアミド基、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニルアミド基等のアリールアミド基;ビストリメチルシリルアミド基等のビストリアルキルシリルアミド基、等が挙げられる。これらの中でも、ビストリメチルシリルアミド基が好ましい。
シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基、ビス(トリメチルシリル)メチルシリル基、トリメチルシリル(ジメチル)シリル基、トリイソプロピルシリル(ビストリメチルシリル)シリル基、等が挙げられる。これらの中でも、トリス(トリメチルシリル)シリル基が好ましい。
アルデヒド残基としては、例えば、サリチルアルデヒド、2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、2−ヒドロキシ−3−ナフトアルデヒド、等が挙げられる。
ケトン残基としては、例えば、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、プロピオニルアセトン、イソブチルアセトン、バレリルアセトン、エチルアセチルアセトン、等が挙げられる。
カルボン酸残基としては、例えば、イソ吉草酸、カプリル酸、オクタン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、シクロペンタンカルボン酸、ナフテン酸、エチルヘキサン酸、ビバール酸、バーサチック酸[シェル化学(株)製の商品名、C10モノカルボン酸の異性体の混合物から構成される合成酸]、フェニル酢酸、安息香酸、2−ナフトエ酸、マレイン酸、コハク酸、等が挙げられる。
チオカルボン酸残基としては、例えば、ヘキサンチオ酸、2,2−ジメチルブタンチオ酸、デカンチオ酸、チオ安息香酸、等が挙げられる。
リン化合物残基としては、例えば、リン酸ジブチル、リン酸ジペンチル、リン酸ジヘキシル、リン酸ジヘプチル、リン酸ジオクチル、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)、リン酸ビス(1−メチルヘプチル)、リン酸ジラウリル、リン酸ジオレイル、リン酸ジフェニル、リン酸ビス(p−ノニルフェニル)、リン酸ビス(ポリエチレングリコール−p−ノニルフェニル)、リン酸(ブチル)(2−エチルヘキシル)、リン酸(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)、リン酸(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)等のリン酸エステルの残基;2−エチルヘキシルホスホン酸モノブチル、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、フェニルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−p−ノニルフェニル、ホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、ホスホン酸モノ−1−メチルヘプチル、ホスホン酸モノ−p−ノニルフェニル等のホスホン酸エステルの残基;ジブチルホスフィン酸、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸、ビス(1−メチルヘプチル)ホスフィン酸、ジラウリルホスフィン酸、ジオレイルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(p−ノニルフェニル)ホスフィン酸、ブチル(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸、(2−エチルヘキシル)(1−メチルヘプチル)ホスフィン酸、(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)ホスフィン酸、ブチルホスフィン酸、2−エチルヘキシルホスフィン酸、1−メチルヘプチルホスフィン酸、オレイルホスフィン酸、ラウリルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、p−ノニルフェニルホスフィン酸等のホスフィン酸の残基;等が挙げられる。
ルイス塩基としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルアニリン、トリメチルホスフィン、塩化リチウム、中性のオレフィン類、中性のジオレフィン類、等が挙げられる。
希土類元素化合物が複数のルイス塩基と反応する場合、各ルイス塩基は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
第一の重合触媒組成物に含まれる(A)成分の当該組成物全体に対する濃度は、0.1mol/L〜0.0001mol/Lであることが好ましい。
(B)成分は、イオン性化合物(B−1)、アルミノキサン(B−2)およびハロゲン化合物(B−3)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である。
重合触媒組成物におけるB成分の合計の含有量は、前記(A)成分に対して0.1倍モル〜50倍モルであることが好ましい。
イオン性化合物(B−1)としては、前記(A)成分である希土類元素化合物または当該希土類元素化合物のルイス塩基との反応物と反応して、カチオン性遷移金属化合物を生成できるイオン性化合物等を挙げることができる。
トリ(置換フェニル)カルボニウムカチオンとしては、例えば、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオン、等が挙げられる。
これらのイオン性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
アルミノキサン(B−2)は、有機アルミニウム化合物と縮合剤とを接触させることによって得られる化合物である。例えば、下記一般式で表される繰り返し単位を有する鎖状アルミノキサンまたは環状アルミノキサンを挙げることができる。:
一般式(−Al(R’)O−)
(上記一般式中、R’は、炭素数1〜10の炭化水素基であり、一部の炭化水素基はハロゲン原子および/またはアルコキシ基で置換されてもよく、繰り返し単位の重合度は、5以上が好ましく、10以上がさらに好ましい。)
修飾メチルアルミノキサンとしては、MMAO−3A(東ソーファインケム社製)等が好ましい。
ハロゲン化合物(B−3)は、(i)ルイス酸、(ii)金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物および(iii)活性ハロゲンを含む有機化合物のうち少なくとも1種からなる。
ハロゲン化合物(B−3)は、例えば、前記(A)成分と反応して、ハロゲン化遷移金属化合物、または、遷移金属中心が電荷不足の化合物を生成することができる。
ハロゲン化合物の合計の含有量は、(A)成分に対して1倍モル〜5倍モルであることが好ましい。
ルイス酸として、B(C6F5)3等のホウ素含有ハロゲン化合物、Al(C6F5)3等のアルミニウム含有ハロゲン化合物を使用できる他、周期律表中の第3,4,5,6または8族に属する元素を含有するハロゲン化合物を用いることもできる。
ルイス酸としては、アルミニウムハロゲン化物または有機金属ハロゲン化物が好ましい。また、これらに含まれるハロゲン元素としては、塩素または臭素が好ましい。
アルミニウムハロゲン化物としては、例えば、メチルアルミニウムジブロマイド、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジブロマイド、エチルアルミニウムジクロライド、ブチルアルミニウムジブロマイド、ブチルアルミニウムジクロライド、ジメチルアルミニウムブロマイド、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジブチルアルミニウムブロマイド、ジブチルアルミニウムクロライド、メチルアルミニウムセスキブロマイド、メチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムセスキブロマイド、エチルアルミニウムセスキクロライド、ジブチル錫ジクロライド、アルミニウムトリブロマイド、等が挙げられる。
これらの中でも、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイド、エチルアルミニウムセスキブロマイド、エチルアルミニウムジブロマイド、が好ましい。
有機金属ハロゲン化物としては、例えば、三塩化アンチモン、五塩化アンチモン、三塩化リン、五塩化リン、四塩化錫、四塩化チタン、六塩化タングステン等が挙げられる。
−金属ハロゲン化物−
金属ハロゲン化物としては、例えば、塩化ベリリウム、臭化ベリリウム、ヨウ化ベリリウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化カドミウム、臭化カドミウム、ヨウ化カドミウム、塩化水銀、臭化水銀、ヨウ化水銀、塩化マンガン、臭化マンガン、ヨウ化マンガン、塩化レニウム、臭化レニウム、ヨウ化レニウム、塩化銅、ヨウ化銅、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、塩化金、ヨウ化金、臭化金、等が挙げられる。
これらの中でも、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化銅が好ましく、塩化マグネシウム、塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化銅がより好ましい。
ルイス塩基としては、例えば、リン化合物、カルボニル化合物、窒素化合物、エーテル化合物、アルコール等が挙げられる。
ルイス塩基の具体例としては、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジエチルホスフィノエタン、ジフェニルホスフィノエタン、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、プロピオニトリルアセトン、バレリルアセトン、エチルアセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸フェニル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジフェニル、酢酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、安息香酸、ナフテン酸、バーサチック酸、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、2−エチルヘキシルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、フェノール、ベンジルアルコール、1−デカノール、ラウリルアルコール、等が挙げられる。
これらの中でも、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、アセチルアセトン、2−エチルヘキサン酸、バーサチック酸、2−エチルヘキシルアルコール、1−デカノール、ラウリルアルコールが好ましい。
活性ハロゲンを含む有機化合物としては、例えば、ベンジルクロライド等が挙げられる。
(C)成分は、下記一般式(i)で表される有機金属化合物である:
YR1 aR2 bR3 c・・・(i)
(一般式(i)中、Yは、周期律表第1族、第2族、第12族および第13族から選択される金属であり、R1およびR2は、炭素数1〜10の炭化水素基または水素原子であり、R3は、炭素数1〜10の炭化水素基である。ただし、上記R1、R2およびR3は、それぞれ、同一でもよく、または異なっていてもよく、また、Yが周期律表第1族から選択される金属である場合には、aは1で、かつ、bおよびcは0であり、Yが周期律表第2族および第12族から選択される金属である場合には、aおよびbは1で、かつ、cは0であり、Yが周期律表第13族から選択される金属である場合には、a、bおよびcは1である。)
なお、第一の重合触媒組成物が、アルミノキサン(B−2)を含む場合であっても、第一の重合触媒組成物は、有機金属化合物(C)成分を含むことができる。
AlR11R12R13・・・(X)
(一般式(X)中、R11およびR12は、炭素数1〜10の炭化水素基または水素原子であり、R13は、炭素数1〜10の炭化水素基である。ただし、上記R11、R12およびR13は、それぞれ、同一でもよく、または異なっていてもよい。)
一般式(X)の有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムハイドライド、ジ−n−プロピルアルミニウムハイドライド、ジ−n−ブチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジヘキシルアルミニウムハイドライド、ジイソヘキシルアルミニウムハイドライド、ジオクチルアルミニウムハイドライド、ジイソオクチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド;エチルアルミニウムジハイドライド、n−プロピルアルミニウムジハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライド;ジアルキルアルミニウムクロライド;アルキルアルミニウムジクロライド;等が挙げられる。
これらの有機金属化合物を、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの中でも、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドが好ましい。
有機アルミニウム化合物の含有量は、(A)成分に対して1倍モル〜50倍モルであることが好ましく、10倍モルであることがより好ましい。
第二の重合触媒組成物としては、下記一般式(1)で表される触媒を含む重合触媒組成物が挙げられる:
上記一般式(1)中、A、BおよびCは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基、アルデヒド残基、ケトン残基、カルボン酸残基、チオカルボン酸残基、リン化合物残基、無置換もしくは置換シクロペンタジエニル基、無置換もしくは置換インデニル基、または、無置換もしくは置換フルオレニル基を表し、A、BおよびCの少なくとも1つは、上記無置換もしくは置換のシクロペンタジエニル基、インデニル基またはフルオレニル基である。
ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基、アルデヒド残基、ケトン残基、カルボン酸残基、チオカルボン酸残基およびリン化合物残基は、上記第一の重合触媒組成物で挙げたものと同様である。
無置換または置換シクロペンタジエニル基は、シクロペンタジエニル環を基本骨格とし、式 C5H5−XRXで表される。
式中、Xは、0〜5の整数であり、Rは、それぞれ独立して、脂肪族炭化水素基もしくは芳香族炭化水素基またはメタロイド基である。
脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基は、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜8であることが特に好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等の直鎖状または分枝状の脂肪族炭化水素基が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等;ベンジル基等のアラルキル基等が挙げられる。
メタロイド基は、脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基を有することが好ましく、メタロイド基が有する脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基は、シクロペンタジエニル基の上記脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基と同様である。
メタロイド基としては、例えば、トリメチルシリル基、等が挙げられる。
シクロペンタジエニル環を基本骨格とするものとして、具体的には、以下のものが例示される。
上記一般式(2)で表される置換シクロペンタジエニル基を用いることにより、脂肪族炭化水素を溶媒として用いた場合において、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとの共重合体を合成しやすい。
脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基は、上述したものと同様である。
無置換または置換インデニル基は、インデニル環を基本骨格とし、式 C9H7−XRXまたはC9H11−XRXで表される。
式中、Xは、0〜7または0〜11の整数であり、Rは、上記シクロペンタジエニル基と同様である。
上記一般式(3)で表される置換インデニル基を用いることにより、脂肪族炭化水素を溶媒として用いた場合において、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとの共重合体を合成しやすい。
脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基は、上述したものと同様である。
Xの炭化水素基は、上述した脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基と同様である。この他、Xの炭化水素基は、例えば、トリメチルシリルメチル基、ビストリメチルシリルメチル基等のケイ素原子を含有する炭化水素基等であってもよい。
無置換または置換フルオレニル基は、フルオレニル環を基本骨格とし、式 C13H9−XRXまたはC13H17−XRXで表される。
式中、Xは、0〜9または0〜17の整数であり、Rは、上記シクロペンタジエニル基と同様である。
上記一般式(4)で表される置換フルオレニル基を用いることにより、脂肪族炭化水素を溶媒として用いた場合において、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとの共重合体を合成しやすい。
脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基は、上述したものと同様である。
Xの炭化水素基は、一般式(3)で述べたものと同様である。
この理由は定かではないが、無置換のシクロペンタジエニル基、インデニル基またはフルオレニル基に比べて、置換基を有することにより、立体障害が適度で非共役オレフィン等の反応物が一般式(1)中の中心金属Mに接近しやすくなり、触媒作用が高められること、または、置換基を有することにより触媒と反応物との間の電子授受が起こりやすくなり、触媒作用が高められることが要因として推測される。
この理由は定かではないが、前記一般式(2)におけるR1〜R5のうち、少なくとも2つ、および前記一般式(3)におけるR6〜R8のうち、少なくとも2つが、かさ高い芳香族炭化水素基を有することにより、非共役オレフィン等の反応物が一般式(1)中の中心金属Mに接近しやすくなり、触媒作用が高められること、または、従来使用していた芳香族炭化水素溶媒に近い構造を配位子として有することにより反応場が極性状態を保つことができ、触媒作用が高められることが要因として推測される。
本発明に係る共重合体の製造方法の好適な実施形態では、上記一般式(1)で表される触媒として、下記一般式(I)で表されるメタロセン錯体、下記一般式(II)で表されるメタロセン錯体および下記一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体からなる群より選択される少なくとも1種の錯体を用いてもよい:
無置換インデニル基および置換インデニル基は、それぞれ、上記一般式(1)中の無置換インデニル基、置換インデニル基と同様である。好ましい置換インデニル基も同様である。
Ra〜Rfは、それぞれ独立して、炭素数1〜3のアルキル基または水素原子である。
Ra〜Rfのうち少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。Ra〜Rfのうち少なくとも1つが水素原子であることにより、触媒の合成が容易になり、また、ケイ素まわりのかさ高さが低くなるため、非共役オレフィンが導入され易くなる。
同様の観点から、Ra〜Rcのうち少なくとも1つが水素原子であり、Rd〜Rfのうち少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。さらに、アルキル基としては、メチル基が好ましい。
一般式(I)で表されるメタロセン錯体の具体例としては、ビス(2−フェニルインデニル)ガドリニウムビス(ジメチルシリルアミド)、ビス(1−メチル−2−フェニルインデニル)ガドリニウムビス(ジメチルシリルアミド)、ビス(1−ベンジル−2−フェニルインデニル)ガドリニウムビス(ジメチルシリルアミド)が挙げられ、ビス(1−メチル−2−フェニルインデニル)ガドリニウムビス(ジメチルシリルアミド)、ビス(1−ベンジル−2−フェニルインデニル)ガドリニウムビス(ジメチルシリルアミド)が好ましく、ビス(1−ベンジル−2−フェニルインデニル)ガドリニウムビス(ジメチルシリルアミド)がより好ましい。
X’は、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基または炭素数1〜20の炭化水素基である。
X’としてのハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基およびシリル基は、上記一般式(1)中のA、BおよびCの各官能基と同様である。
X’が表す炭素数1〜20の炭化水素基として、例えば、上記置換シクロペンタジエニル基で挙げたものの他、トリメチルシリルメチル基、ビストリメチルシリルメチル基等のケイ素原子を含有する炭化水素基等が挙げられる。
これらの中でも、メチル基、エチル基、イソブチル基、トリメチルシリルメチル基等が好ましい。
X’としては、ビストリメチルシリルアミド基または炭素数1〜20の炭化水素基が好ましい。
中性ルイス塩基Lは、0〜1個であることが好ましい。
中性ルイス塩基Lとしては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルアニリン、トリメチルホスフィン、塩化リチウム、中性のオレフィン類、中性のジオレフィン類等が挙げられる。
4価のホウ素アニオンとして、例えば、テトラフェニルボレート、テトラキス(モノフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(トリル)ボレート、テトラ(キシリル)ボレート、(トリフェニル、ペンタフルオロフェニル)ボレート、[トリス(ペンタフルオロフェニル)、フェニル]ボレート、トリデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート等が挙げられる。これらの中でも、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが好ましい。
なお、重合反応系において、第二の重合触媒組成物に含まれる錯体の当該組成物全体に対する濃度は0.1mol/L〜0.0001mol/Lの範囲であることが好ましい。
第二の重合触媒組成物に用いることができる助触媒の具体例は、上記第一の重合触媒組成物のイオン性化合物(B−1)、アルミノキサン(B−2)、ハロゲン化合物(B−3)または有機金属化合物(C成分)の具体例と同様である。好ましい助触媒も同様である。
第二の重合触媒組成物に用いられ得る有機アルミニウム化合物の含有量は、メタロセン錯体に対して1倍モル〜500倍モルであることが好ましく、10倍モル〜150倍モルであることがより好ましい。
一般式(I)、(II)で表されるメタロセン錯体および一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体の調製方法は、従来公知の方法を用いることができる。例えば、上記一般式(I)〜(III)で表されるメタロセン錯体は、特許文献2に記載の方法により調製することができる。
上記一般式(I)で表されるメタロセン錯体は、例えば、溶媒中でランタノイドトリスハライド、スカンジウムトリスハライドまたはイットリウムトリスハライドを、インデニルの塩(例えば、カリウム塩やリチウム塩)およびビス(トリアルキルシリル)アミドの塩(例えば、カリウム塩やリチウム塩)と反応させることで得ることができる。
反応温度は、室温程度にすればよいので、温和な条件で製造することができる。
反応時間は、適宜調節すればよく、数時間〜数十時間程度である。
反応溶媒は、特に限定されないが、原料および生成物を溶解する溶媒であることが好ましく、例えば、トルエンを用いればよい。
反応温度は、室温程度にすればよいので、温和な条件で製造することができる。
反応時間は、適宜調節すればよく、数時間〜数十時間程度である。
反応溶媒は、特に限定されないが、原料および生成物を溶解する溶媒であることが好ましく、例えば、トルエンを用いればよい。
一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体を重合反応に用いる場合、一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体をそのまま重合反応系中に提供してもよいし、上記反応に用いる一般式(IV)で表される化合物と一般式[A]+[B]−で表されるイオン性化合物を別個に重合反応系中に提供し、反応系中で一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体を形成させてもよい。
また、一般式(I)または一般式(II)で表されるメタロセン錯体と一般式[A]+[B]−で表されるイオン性化合物とを組み合わせて使用することにより、反応系中で一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体を形成させることもできる。
第三の重合触媒組成物としては、下記式(A)で表されるメタロセン系複合触媒が好適に挙げられる:
R2MX2QY2・・・(A)
(式(A)中、Mは、上記一般式(1)と同様であり、Rは、それぞれ独立して、無置換または置換インデニル基を表し、Rは、Mに配位しており、Xは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Xは、MおよびQにμ配位しており、Qは、周期律表第13族元素を表し、Yは、それぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基または水素原子を表し、Yは、Qに配位している。)
これらのメタロセン系複合触媒、例えば、予めアルミニウム触媒と複合させてなる触媒を用いることで、共重合体合成時に使用され得るアルキルアルミニウムの量を低減したり、無くしたりすることが可能となる。
置換インデニル基としては、上記一般式(1)で挙げたものの他に、例えば、1,2,3−トリメチルインデニル基、ヘプタメチルインデニル基、1,2,4,5,6,7−ヘキサメチルインデニル基、等が挙げられる。
Xの炭素数1〜20の炭化水素基としては、上記一般式(II)のX’の炭素数1〜20の炭化水素基と同様である。
μ配位とは、架橋構造をとる配位様式をいう。
Yの炭素数1〜20の炭化水素基としては、上記一般式(II)中のX’の炭素数1〜20の炭化水素基と同様である。
R21およびR22の炭素数1〜20の炭化水素基としては、上記一般式(II)のX’の炭素数1〜20の炭化水素基と同様である。
R23およびR24の炭素数1〜20の炭化水素基としては、上記一般式(II)のX’の炭素数1〜20の炭化水素基と同様である。
反応温度は、室温程度にすればよいので、温和な条件で製造することができる。
反応時間は、任意であるが、数時間〜数十時間程度である。
反応溶媒は、特に限定されないが、原料および生成物を溶解する溶媒であることが好ましく、例えば、トルエンやヘキサンを用いればよい。
R25およびR26は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の炭化水素基または水素原子であり、R27は、炭素数1〜20の1価の炭化水素基であり、R27は、前記R25またはR26と同一でもよいし、異なっていてもよい。
炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、上記式(A)のXの炭化水素基の具体例と同様である。
有機アルミニウム化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
前記メタロセン系複合触媒の生成に用いる有機アルミニウム化合物の量は、メタロセン錯体に対して2〜50倍モルであることが好ましく、3倍モル〜5倍モルであることがより好ましい。
本発明に係る共重合体の製造方法により得られる共重合体は、共役ジエン化合物の単独重合体に比べて、当該共役ジエン化合物由来の二重結合が少なくなるため、耐候性(耐オゾン性)に優れる。
共重合体における共役ジエン化合物由来部分の含有量を2mol%以上とすることで、加工性を十分に確保できる。
一方、共役ジエン化合物由来部分の含有量を100mol%未満とすることで、非共役オレフィンが一定量含まれるため、耐候性(耐オゾン性)の向上が望める。
共重合体における非共役オレフィン由来部分の含有量を0mol%超とすることで耐候性を向上させることができ、98mol%以下とすることで、加工性を維持し、耐亀裂成長性を向上させることができる。
共役ジエン化合物由来部分のシス−1,4結合量を92%超とすることで、低いガラス転移点(Tg)を保持することができる。これにより、低温特性等の物性が改良される。
当該シス−1,4結合量を95%超とすることにより、耐亀裂成長性、耐候性、耐熱性を向上させることが可能となり、97%以上とすることにより、耐亀裂成長性、耐候性、耐熱性をさらに向上させることが可能となる。
Mwは、本発明に係る共重合体の製造方法により得られる共重合体と、単なる重合体のブレンド物(例えば、ポリエチレンとポリブタジエンのブレンド)との性能差異を発現する領域という観点から、10,000以上が好ましい。
Mwは、良好な成型加工性を得る観点から、10,000,000以下が好ましい。
ここで、平均分子量および分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレンを標準物質として求めることができる。
1,2−付加体部分(3,4−付加体部分を含む)の含量は、共役ジエン化合物由来部分中の量であって、共重合体全体に対する割合ではない。
なお、共役ジエン化合物由来部分における共役ジエン化合物の1,2−付加体部分(3,4−付加体部分を含む)の含量は、共役ジエン化合物がブタジエンの場合、1,2−ビニル結合量と同じ意味である。
共重合体の連鎖構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
共重合体の連鎖構造としては、例えば、ブロック共重合体、ランダム共重合体、テーパー共重合体、交互共重合体等が挙げられる。
ブロック共重合体の構造は、(A)x−(B)x、(A)x−(B)x−(A)x、(B)x−(A)x−(B)x、A−(B−A)xおよびB−(A−B)xのいずれかである(ここで、Aは、非共役オレフィンの単量体単位からなるブロック部分であり、Bは、共役ジエン化合物の単量体単位からなるブロック部分であり、xは1以上の整数である)。
本発明では、(A−B)または(B−A)の構造を複数備えるブロック共重合体をマルチブロック共重合体と称する。
共重合体がブロック共重合体である場合は、非共役オレフィンの単量体からなるブロック部分が静的結晶性を示すため、破断強度等の機械的性質に優れる。
共重合体がランダム共重合体である場合は、非共役オレフィンの単量体単位の配列が不規則であるため、共重合体が相分離を起こすことなく、ブロック部分に由来する結晶化温度が観測されない。すなわち、耐熱性等の性質を有する非共役オレフィンを共重合体の主鎖中に導入することが可能になるため、耐熱性が向上する。
テーパー共重合体とは、ランダム共重合体とブロック共重合体とが混在してなる共重合体であり、共役ジエン化合物の単量体単位からなるブロック部分および非共役オレフィンの単量体単位からなるブロック部分のうち少なくとも一方のブロック部分(ブロック構造ともいう)と、共役ジエン化合物および非共役オレフィンの単量体単位が不規則に配列してなるランダム部分(ランダム構造ともいう)とから構成される共重合体である。
テーパー共重合体の構造は、共役ジエン化合物成分と非共役オレフィン成分との組成が連続的または不連続的に分布があることを示す。
非共役オレフィン成分の連鎖構造としては、長鎖(高分子量)の非共役オレフィンブロック成分を多く含まず、短鎖(低分子量)の非共役オレフィンブロック成分を多く含むことが好ましい。
交互共重合体は、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとが交互に配列する構造(非共役オレフィンをAと、共役ジエン化合物をBとした場合の、−ABABABAB−の分子鎖構造)を有する重合体である。
具体的には、DSCにより共役ジエン化合物の単独重合に由来するガラス転移点や非共役オレフィンの単独重合に由来する結晶化温度が観測できる場合、その共重合体中には、共役ジエン化合物の単量体単位からなるブロック部分や非共役オレフィンの単量体単位からなるブロック部分が形成されていることを示す。
また、DSCにより非共役オレフィンの単独重合に由来する結晶化温度が観測されないか、または非共役オレフィンの単独重合に由来する結晶化温度のピークと比較して幅の広いピークが観測される場合、その共重合体中には、共役ジエン化合物および非共役オレフィンの単量体単位が不規則に配列したランダム部分が形成されていることを示す。
・ヘキサン(関東化学株式会社製の特級グレード)
・シクロヘキサン(関東化学株式会社製の特級グレード)
十分に乾燥した1000mL耐圧ステンレス反応器に、あらかじめ溶媒としてヘキサン200mLを加えた。
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器にビス(2−フェニルインデニル)ガドリニウムビス(ジメチルシリルアミド)[(2−PhC9H6)2GdN(SiHMe2)2]24μmmol、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[Ph3CB(C6F5)4]24μmmolおよびジイソブチルアルミニウムハイドライド1.44mmolを仕込み、ヘキサン20mLを加えて触媒溶液とした。
次いで、そのグローブボックスから触媒溶液を取り出し、超音波装置を用いて触媒溶液を15分間撹拌した。
その触媒溶液を前記耐圧ステンレス反応器に加え、80℃に加温した。
次いで、エチレンを圧力1.2MPaでその耐圧ステンレス反応器に投入し、80℃にて20分間、ポリエチレンブロック部分の重合を行った。
次いで、1,3−ブタジエン40gを含むヘキサン溶液300mLを5分間かけてその耐圧ステンレス反応器に投入し、さらに80℃にて120分間共重合を行った。
次いで、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLをその耐圧ステンレス反応器に加えて反応を停止させた。
次いで、大量のメタノールを用いて共重合体を分離し、50℃で真空乾燥し、共重合体Aを得た。得られた共重合体Aの収量は39gであった。
十分に乾燥した1000mL耐圧ステンレス反応器に、あらかじめ溶媒としてヘキサン200mLを加えた。
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器にビス(2−フェニルインデニル)ガドリニウムビス(ジメチルシリルアミド)[(2−PhC9H6)2GdN(SiHMe2)2]36μmmol、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[Ph3CB(C6F5)4]36μmmolおよびトリイソブチルアルミニウム2.16mmolを仕込み、ヘキサン40mLを加えて触媒溶液とした。
次いで、そのグローブボックスから触媒溶液を取り出し、超音波装置を用いて触媒溶液を15分間撹拌した。
その触媒溶液を前記耐圧ステンレス反応器に加え、90℃に加温した。
次いで、エチレンを圧力1.5MPaでその耐圧ステンレス反応器に投入するのと同時に、1,3−ブタジエン40gを含むヘキサン溶液300mLを150分間(2mL/分)かけて、その耐圧ステンレス反応器に投入し、90℃にて共重合を行った。
次いで、30分間放置した後、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLをその耐圧ステンレス反応器に加えて反応を停止させた。
次いで、大量のメタノールを用いて共重合体を分離し、50℃で真空乾燥し、共重合体Bを得た。得られた共重合体Bの収量は41gであった。
実施例1において、ポリエチレンブロック部分の重合と、エチレンと1,3−ブタジエンとの共重合の重合温度をそれぞれ、90℃と100℃にしたこと以外は、実施例1と同様の方法で重合を行ったところ、共重合体Cを収量40gで得た。
実施例1において、溶媒をヘキサンに代えて、メチルシクロヘキサンとし、ポリエチレンブロック部分の重合と、エチレンと1,3−ブタジエンとの共重合の重合温度をそれぞれ、100℃と110℃にしたこと以外は、実施例1と同様の方法で重合を行ったところ、共重合体Dを収量38gで得た。
実施例1において、溶媒をヘキサンに代えて、ヘキサンとシクロヘキサンとの混合溶媒(20:80質量%比)としたこと以外は、実施例1と同様の方法で重合を行ったところ、共重合体Eを収量39gで得た。
実施例1において、ポリエチレンブロック部分の重合温度を70℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法で重合を行ったところ、共重合体Fを収量40gで得た。
十分に乾燥した1000mL耐圧ステンレス反応器に、あらかじめ溶媒としてヘキサン200mLを加えた。
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器にビス(1−ベンジル−2−フェニルインデニル)ガドリニウムビス(ジメチルシリルアミド)[(1−Bn)(2−Ph)C9H6)2GdN(SiHMe2)2]24μmmol、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[Ph3CB(C6F5)4]24μmmolおよびジイソブチルアルミニウムハイドライド1.44mmolを仕込み、ヘキサン20mLを加えて触媒溶液とした。
次いで、そのグローブボックスから触媒溶液を取り出し、超音波装置を用いて触媒溶液を15分間撹拌した。
その触媒溶液を前記耐圧ステンレス反応器に加え、80℃に加温した。
次いで、エチレンを圧力1.0MPaでその耐圧ステンレス反応器に投入すると同時に1,3−ブタジエン40gを含むヘキサン溶液300mLを150分間(2mL/分)かけてその耐圧ステンレス反応器に投入し、80℃にて共重合を行った。
次いで、10分間放置した後、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLをその耐圧ステンレス反応器に加えて反応を停止させた、
次いで、大量のメタノールを用いて共重合体を分離し、50℃で真空乾燥し、共重合体Gを得た。得られた共重合体Gの収量は150gであった。
十分に乾燥した1000mL耐圧ステンレス反応器に、あらかじめ溶媒としてヘキサン200mLを加えた。
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器にビス(1−メチル−2−フェニルインデニル)ガドリニウムビス(ジメチルシリルアミド)[(1−Me)(2−Ph)C9H6)2GdN(SiHMe2)2]40μmmol、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[Ph3CB(C6F5)4]40μmmolおよびジイソブチルアルミニウムハイドライド1.8mmolを仕込み、ヘキサン20mLを加えて触媒溶液とした。
次いで、そのグローブボックスから触媒溶液を取り出し、超音波装置を用いて触媒溶液を15分間撹拌した。
その触媒溶液を前記耐圧ステンレス反応器に加え、90℃に加温した。
次いで、エチレンを圧力1.5MPaでその耐圧ステンレス反応器に投入すると同時に1,3−ブタジエン40gを含むヘキサン溶液300mLを240分間(1.25mL/分)かけてその耐圧ステンレス反応器に投入し、90℃にて共重合を行った。
次いで、10分間放置した後、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLをその耐圧ステンレス反応器に加えて反応を停止させた、
次いで、大量のメタノールを用いて共重合体を分離し、50℃で真空乾燥し、共重合体Hを得た。得られた共重合体Hの収量は43gであった。
実施例1において、前記ポリエチレンブロック部分の重合温度と共重合温度をそれぞれ、70℃とした以外は、実施例1と同様の方法で重合を行ったところ、ポリブタジエンとポリエチレンの混合物Iを収量35gで得た。
実施例2において、前記共重合温度を75℃とした以外は、実施例2と同様の方法で重合を行ったところ、混合物Jを収量38gで得た。
以下の方法により、実施例で得られた共重合体および比較例で得られた混合物について、各特性を評価した。
共重合体または混合物中のブタジエン部分のミクロ構造を13C−NMRスペクトル(シス−1,4結合とトランス−1,4結合の含有量比)の積分比より求めた。シス−1,4結合量(%)の計算値を表1に示す。なお、混合物の場合は、ブタジエンの単独重合体(ポリブタジエン)を含む混合物全体としての値である。
共重合体または混合物中のエチレン部分の含有率(mol%)を13C−NMRスペクトルの積分比より求めた。計算値を表1に示す。なお、混合物の場合は、エチレンの単独重合体(ポリエチレン)を含む混合物全体としての値である。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC:東ソー製HLC−8121GPC/HT,カラム:東ソー製GMHHR−H(S)HT×2本,検出器:示差屈折率計(RI),GPC測定温度:160℃)により、単分散ポリスチレンを基準として、重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。分析値を表1に示す。また、実施例1の共重合体A、実施例2の共重合体B、比較例1の混合物Iおよび比較例2の混合物Jの溶出曲線を、それぞれ、図1〜4に示す。
混合物IおよびJについて、それぞれ、図3および4に示すように、比較例1および2で得られた重合体のGPC溶出曲線から分子量が異なる2つの成分の混合物である可能性が示唆された。
比較例1および2で得られた重合体100mgをTHF50mLに2日間浸漬し、その後不溶分をろ過、乾燥した。再度、GPC測定を行ったところ高分子量成分が消失し、低分子成分のみの溶出曲線が得られた。
また、不溶分について13C−NMRスペクトルを測定したところ、その成分はポリエチレンであることが確認された。
以上の結果から。比較例1および2で得られた重合体はポリブタジエンとポリエチレンの混合物であることがわかった。
JIS K 6259に準拠して、実施例で得られた共重合体および比較例で得られた混合物の耐オゾン性を測定した。
短冊状試験片に30%動的伸張を与えながら、40℃,オゾン濃度50ppm条件で暴露し、12時間後の試験片の状況(亀裂の有無)を目視で判断した。
しかし、エチレンと1,3−ブタジエンとの共重合の温度が80℃未満の比較例1と2では、ポリブタジエンとポリエチレンの混合物しか得られず、共重合体を合成することができなかった。
Claims (11)
- 共役ジエン化合物と非共役オレフィンとを共重合させる共重合体の製造方法であって、
脂肪族炭化水素を溶媒として用い、かつ、
前記共重合における重合温度を80℃以上とすることを特徴とする、共重合体の製造方法。 - 前記脂肪族炭化水素が、ヘキサンおよびシクロヘキサンのうち少なくとも一方であることを特徴とする、請求項1に記載の共重合体の製造方法。
- 前記非共役オレフィンの反応系への投入を、前記共役ジエン化合物の反応系への投入と同時、または前記共役ジエン化合物の反応系への投入よりも先に行うことを特徴とする、請求項1に記載の共重合体の製造方法。
- 前記共重合を、ランタノイド元素、スカンジウムおよびイットリウムからなる群より選択される少なくとも1種を有する化合物を含む触媒の存在下で行うことを特徴とする、請求項1に記載の共重合体の製造方法。
- 前記非共役オレフィンが、非環状オレフィンであることを特徴とする、請求項1に記載の共重合体の製造方法。
- 前記非共役オレフィンが、炭素数が2〜10のα−オレフィンであることを特徴とする、請求項1に記載の共重合体の製造方法。
- 前記非共役オレフィンが、エチレンおよびプロピレンのうち少なくとも一方であることを特徴とする、請求項1に記載の共重合体の製造方法。
- 前記共役ジエン化合物は、炭素数が4〜8であることを特徴とする、請求項1に記載の共重合体の製造方法。
- 前記共役ジエン化合物が、1,3−ブタジエンおよびイソプレンのうち少なくとも一方であることを特徴とする、請求項8に記載の共重合体の製造方法。
- 前記非共役オレフィンの反応系への投入時の圧力が、0.1MPa〜10MPaであることを特徴とする、請求項1に記載の共重合体の製造方法。
- 前記共重合の開始時において、前記共役ジエン化合物の濃度(mol/L)と前記非共役オレフィンの濃度(mol/L)とが、下記式:
非共役オレフィンの濃度/共役ジエン化合物の濃度≧1.0
の関係を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の共重合体の製造方法。
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