JP2014034656A - ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体、それを含む樹脂組成物、及び成形体 - Google Patents

ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体、それを含む樹脂組成物、及び成形体 Download PDF

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新治 松岡
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Abstract

【課題】耐熱老化性、耐衝撃性等に優れた各種成形体(特に自動車部品、各種電気機器筐体、建築部材等)、その原料となるポリオルガノシロキサン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体を提供する
【解決手段】質量平均粒子径(Dw)が100〜200nm及び質量平均粒子径(Dw)と数平均粒子径(Dn)の比(Dw/Dn)が1.0〜1.7であるポリオルガノシロキサンラテックスの存在下に、1種以上のビニル系単量体を重合し、さらに1種以上の(メタ)アクリル酸エステル系単量体をグラフト重合して得られるグラフト共重合体(G)。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体、それを含む樹脂組成物、及び成形体に関する。
熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂からなる成形体は、自動車や家電部材などに広く用いられている。
近年、自動車用部材や家電部材では、低温から高温と広い温度範囲において高い耐衝撃性が求められるようになってきた。耐衝撃性を改良するためにはゴムを配合することが広く用いられている。ゴムとしては、エラストマー系やグラフトゴム系が広く用いられている。一般的にグラフトゴムの方が弾性率を低下させず耐衝撃性を改善するといわれている。
グラフトゴムとして、アクリル系ゴム、ブタジエン系ゴム、ポリシロキサン系ゴムが挙げられる。その中でもアクリル系ゴム粒子にポリシロキサン樹脂を複合したゴムは、アクリル系ゴム単独より耐衝撃性が高く、また、ブタジエン系ゴムに比べ高い耐熱老化性を有する。そのため使用温度幅が広い部材には好適に用いられる。
芳香族ポリカーボネート系樹脂は、耐熱性、耐衝撃性等に優れることから種々の用途に用いられている。その耐熱性を活かし使用温度の高い自動車や家電部材に好適に用いられる。
しかしながら、その耐衝撃性も、長期間の高熱での暴露、並びに低温での強度等の欠点を有しており、アクリル系ゴムとポリオルガノシロキサンゴムとを複合したゴムからなるグラフトゴムを配合することで改善することができる。
アクリル系ゴムとポリオルガノシロキサンゴムとを併用した複合ゴム系グラフト共重合体を用いた成形品の衝撃性の性能を高める為に種々の努力が重ねられてきた。
例えば、特許文献1においては、平均粒子径が5〜80nmで、100nmより大きい粒子が全粒子体積の10%以下であるポリオルガノシロキサン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体を用いた熱可塑性樹脂組成物が開示されているが、このような樹脂組成物では特に低温衝撃の要求を充分満足出来る性能を得ることはできなかった。
例えば、特許文献2においては、平均粒子径が300〜2000nmで、250nmより小さい粒子が全粒子体積の15%以下であるポリオルガノシロキサン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体を用いた熱可塑性樹脂組成物が開示されている。粒子径を大きくすることで、低温衝撃を改善することができる。しかしながら、得られた成形品を高熱に暴露した場合、室温での耐衝撃性が低くなる場合があった。
特開平06−116471号公報 特開2004−331726号公報
本発明は、耐熱老化性、耐衝撃性等に優れた各種成形体(特に自動車部品、各種電気機器筐体、建築部材等)、その原料となるポリオルガノシロキサン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体を提供することを目的とする。
本発明は、質量平均粒子径(Dw)が100〜200nm及び質量平均粒子径(Dw)と数平均粒子径(Dn)の比(Dw/Dn)が1.0〜1.7であるポリオルガノシロキサンラテックスの存在下に、1種以上のビニル系単量体を重合し、さらに1種以上の(メタ)アクリル酸エステル系単量体をグラフト重合して得られるグラフト共重合体(G)並びにそれを含む樹脂組成物ならびにそれを成形して得られる成形体に関する。
本発明のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(G)とその他の樹脂(H)からなる樹脂組成物(I)は、耐熱老化性、低温での耐衝撃性等に優れた各種成形体が得られ、特に自動車部品、各種電気機器筐体、建築部材等に有用である。
[ポリオルガノシロキサンラテックス]
本発明の耐衝撃改質剤を製造するためのポリオルガノシロキサンラテックスは、ポリオルガノシロキサン粒子の質量平均粒子径(Dw)が100〜200nm、質量平均粒子径(Dw)と数平均粒子径(Dn)の比(Dw/Dn)が1.0〜1.7である。
ポリオルガノシロキサン粒子の質量平均粒子径が100nm以上であれば低温衝撃性が優れ、また200nm以下であればさらに耐熱老化性が優れる。質量平均粒子径として150nm以下が好ましく、110〜150nmであることが更に好ましい。
また、ポリオルガノシロキサン粒子の質量平気粒子径(Dw)と数平均粒子径(Dn)の比(Dw/Dn)は1.0〜1.7の範囲であることが必要である。Dw/Dnが1.7以下であると発色性など顔料着色性に優れる。好ましい範囲として1.0〜1.5である。
このポリオルガノシロキサンラテックスは、ポリオルガノシロキサン粒子の質量平均粒子径(Dw)における標準偏差が0〜80であることが好ましい。
このポリオルガノシロキサンラテックス中のポリオルガノシロキサン粒子は、粒子径50nm未満の粒子の割合が全粒子の5質量%以下であり、粒子径300nm以上の粒子の割合が全粒子の20質量%以下であることが発色性など顔料着色性において好ましい。 本発明のポリオルガノシロキサンラテックスは、例えば、水、有機酸触媒、及び無機酸触媒を含む水性媒体(A)に、オルガノシロキサン、乳化剤及び水を含むエマルション(B)を滴下させて重合することによって製造される。具体的な製造条件は、例えば、有機酸触媒と乳化剤の総量が、オルガノシロキサン100質量部に対し0.5〜6質量部であり、且つ、25℃で測定した水性媒体(A)のpHが0〜1.2の範囲内であり、エマルション(B)の滴下速度が、オルガノシロキサンの供給量がオルガノシロキサン100質量部に対して0.5[質量部/分]以下となる速度である。
有機酸触媒と乳化剤の総量は、オルガノシロキサン100質量部に対し0.8〜6質量部であることが好ましい。また、25℃で測定した前記水性媒体(A)のpHは、0.1〜1.2の範囲内であることが好ましく、0.5〜1.2の範囲内であることが好ましい。
上記ポリオルガノシロキサンラテックスの製造方法に用いる水性媒体(A)は、水、有機酸触媒及び無機酸触媒を含む。かかる水としては、脱イオン水を用いることができる。水性媒体(A)に含まれる水の量は、後述するエマルション(B)に含まれるオルガノシロキサン100質量部に対し60〜300質量部であることが好ましく、より好ましくは60〜100質量部である。水性媒体(A)に含まれる水の量が60質量部以上であれば、得られるラテックスが高粘度になるのを抑制することができ、取り扱いが容易である。また水性媒体(A)に含まれる水の量が300質量部以下であれば、生産性のよい製造が可能であり、得られるラテックス中の固形分濃度の低下を抑制することができる。
有機酸触媒としては、脂肪族スルホン酸、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸、脂肪族置換ナフタレンスルホン酸等のスルホン酸類が好ましく、オルガノシロキサンラテックスの安定化作用にも優れている点で、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸がより好ましい。脂肪族置換ベンゼンスルホン酸における脂肪族置換基としては、炭素数9〜20のアルキル基が好ましく、炭素数12のn−ドデシル基がより好ましい。
無機酸触媒としては、硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸類を挙げることができる。これらの中では硫酸が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
これらの触媒は、水性媒体(A)のpHが、得られるポリオルガノシロキサンの粒子径を決定する重要な因子となることから、水性媒体(A)の25℃におけるpHが0〜1.2の範囲になるように、その使用量が調整される。水性媒体(A)のpHを上記範囲に調整することにより、粒子径分布の狭いポリオルガノシロキサンを得ることができる。水性媒体(A)の25℃におけるpHは、pHの調整が容易であることから、0.5〜1.2の範囲であることが好ましい。
水性媒体(A)のpHがポリオルガノシロキサンの粒子径を決定する重要な因子となるのは、以下の理由からである。エマルション(B)の油滴中に存在するオルガノシロキサンが酸触媒と接触してシラノールを形成して水相中に溶解し、このシラノールが、有機酸触媒と乳化剤のミセルに到達して縮合する反応と、油滴中での縮合反応とが同時に進行する。水性媒体(A)のpHが充分低い場合、シラノールの生成速度が速くなり、シラノールによる縮合反応が促進され、油滴中での縮合反応速度が相対的に遅くなるため、狭い粒子径分布を有するポリオルガノシロキサンが形成される。一方、水性媒体(A)のpHが1.2を超えると、シラノールの生成速度が遅くなり、油滴中での縮合反応の進行が無視できなくなるため、得られるポリオルガノシロキサンの粒子径が大きくなり、粒子径分布も広くなる。水性媒体(A)のpHを上記範囲とすることにより、粒子径分布の狭いポリオルガノシロキサンを得ることができる。
このような水性媒体(A)のpHは、有機酸触媒と無機酸触媒の含有率を調整することにより、調整することができる。ここで、pHの値は、25℃でpHメーター(モデルPH82:横河電機(株)製)により測定し、pH4.01と6.86の2点で修正した値を採用することができる。
水性媒体(A)中の有機酸触媒の含有率は0.1〜5.5質量%が好ましく、0.1〜2.5質量%がより好ましい。水性媒体(A)中の無機酸触媒の含有率は、得られるラテックスを原料として樹脂用の添加剤等を合成する場合に、ラテックス中に残存する無機酸触媒が樹脂の分解や着色等を生じさせないという観点から、0.5〜2.0質量%が好ましく、1.3〜2.0質量%がより好ましい。但し、これらの値は、水性媒体(A)100質量%を基準とする。水性媒体(A)は、これらの成分を適宜、混合攪拌して得ることができる。
上記エマルション(B)はオルガノシロキサン、乳化剤及び水を含む。オルガノシロキサンとしては、鎖状オルガノシロキサン、環状オルガノシロキサンのいずれも用いることができるが、環状オルガノシロキサンは、重合安定性が高く、重合速度が大きいので好ましい。環状オルガノシロキサンとしては、3〜7員環のものが好ましく、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサンを挙げることができる。これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
上記オルガノシロキサンとして、例えば、信越化学工業(株)製DMC等の市販品を使用することができる。
上記エマルション(B)に用いる乳化剤としては、アニオン系乳化剤、ノニオンアニオン系乳化剤またはノニオン系乳化剤が好ましい。
アニオン系乳化剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等を挙げることができる。
ノニオンアニオン系乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル燐酸塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンアルキルエーテルスルホン酸塩等を挙げることができる。
ノニオン系乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等を挙げることができる。これらの乳化剤は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
エマルション(B)中における乳化剤の含有量は、オルガノシロキサンを微小な油滴状に分散させ、この油滴と水性媒体(A)に含まれる有機酸触媒とを適切に接触させシラノールの生成を促進させることが可能な量とすることが必要である。乳化剤の含有量は、水性媒体(A)に含まれる有機酸触媒との総量がオルガノシロキサン100質量部に対して0.5〜6質量部の範囲である。有機酸触媒の含有量を少なくする場合は、乳化剤の含有量を拮抗させて増加させ、これらの総量が0.5〜6質量部の範囲内になるよう調整される。これらの総量が、オルガノシロキサン100質量部に対して、0.5質量部以上であれば、得られるポリオルガノシロキサンの質量平均粒子径を200nm以下にすることができ、粒子径分布を狭くすることができる。また、これらの総量が、オルガノシロキサン100質量部に対して、6質量部以下であれば、得られるポリオルガノシロキサンの質量平均粒子径が100nm以上となり、粒子径分布が狭くなる。これらの総量は、オルガノシロキサン100質量部に対し、て0.8〜6質量部であることが好ましく、0.8〜3質量部であることがより好ましい。
更に、オルガノシロキサン100質量部に対して、有機酸触媒を0.3〜5.5質量部とし、かつ、乳化剤を0.5〜5.7質量部とすることが好ましい。
上記エマルション(B)に用いる水としては、脱イオン水を用いることができる。エマルション(B)中における水の含有量は、オルガノシロキサンの質量に対し10倍以下であることが好ましい。水の含有量がオルガノシロキサンの質量の10倍以下であれば、得られるラテックス中におけるポリオルガノシロキサンの濃度が低下するのを抑制することができる。ポリオルガノシロキサンの濃度が適度な値のポリオルガノシロキサンのラテックスにビニル単量体を添加してグラフト重合した場合、一回の重合によって効率よくグラフト共重合体を合成することができる。
上記エマルション(B)中には、シロキサン系架橋剤及び/又はシロキサン系グラフト交叉剤を含有させることができる。これらの架橋剤及グラフト交叉剤としては、シロキシ基を有するものが好ましい。シロキサン系架橋剤を用いることによって、架橋構造を有するポリオルガノシロキサンを得ることができる。シロキサン系架橋剤としては、例えば、トリメトキシメチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラブトキシシラン等の3官能性又は4官能性のシラン系架橋剤を挙げることができる。中でも、4官能性の架橋剤が好ましく、テトラエトキシシランがより好ましい。架橋剤の含有率は、オルガノシロキサン100質量%中、0.1〜30質量%であることが好ましい。
シロキサン系グラフト交叉剤は、シロキシ基を有すると共にビニル単量体と重合可能な官能基を有するものである。シロキサン系グラフト交叉剤を用いることによって、ビニル単量体と重合可能な官能基を有するポリオルガノシロキサンを得ることができる。従って、このようにして得られたポリオルガノシロキサンには、ビニル単量体をラジカル重合によってグラフトさせることができる。シロキサン系グラフト交叉剤としては、式(1)で表されるシロキサンを挙げることができる。
(化1)
RSiRn(OR(3−n) (I)
式(I)中、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、又はフェニル基を示す。Rは、アルコキシ基における有機基を示し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、又はフェニル基を挙げることができる。nは、0、1又は2を示す。Rは、式(I−1)〜(I−4)で表されるいずれかの基を示す。
(化2)
CH=C(R)−COO−(CH− (I−1)
CH=C(R)−C− (I−2)
CH=CH− (I−3)
HS−(CH− (I−4)
これらの式中、R及びRは、それぞれ、水素又はメチル基を示し、pは1〜6の整数を示す。
式(I−1)で表される官能基としては、メタクリロイルオキシアルキル基を挙げることができる。この基を有するシロキサンとしては、例えば、β−メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、δ−メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシランを挙げることができる。
式(I−2)で表される官能基としては、ビニルフェニル基等を挙げることができる。この基を有するシロキサンとしては、例えば、ビニルフェニルエチルジメトキシシランを挙げることができる。
式(I−3)で表される官能基を有するシロキサンとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランを挙げることができる。
式(I−4)で表される官能基としては、メルカプトアルキル基を挙げることができる。この基を有するシロキサンとして、γ−メルカプトプロピルジメトキメチルシラン、γ−メルカプトプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メルカプトプロピルジエトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルエトキシジメチルシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。これらシロキサン系グラフト交叉剤は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
シロキサン系グラフト交叉剤の含有率は、オルガノシロキサン100質量%に対して、0.05〜20質量%であることが好ましい。シロキサン系架橋剤とシロキサン系グラフト交叉剤は、併用することが好ましく、オルガノシロキサン100質量部に対して、シロキサン系架橋剤0.5〜 5質量部及びシロキサン系グラフト交叉剤0.05〜 5質量部を併用することが好ましい。
更に、エマルション(B)は、必要に応じて末端封鎖基を有するシロキサンオリゴマーを含有していてもよい。末端封鎖基を有するシロキサンオリゴマーとは、オルガノシロキサンオリゴマーの末端にアルキル基等を有し、ポリオルガノシロキサンの重合を停止させるシロキサンオリゴマーをいう。
末端封鎖基を有するシロキサンオリゴマーとしては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−グリシドキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、メトキシトリメチルシランを挙げることができる。
エマルション(B)の調製は、上記オルガノシロキサン、乳化剤及び水を混合して、その混合物を、剪断力を与えるように攪拌して、乳化させる方法によって行うことができる。攪拌装置としては、撹拌翼と槽を有する一般的な撹拌装置を使用できるが、高圧乳化装置を使用することが好ましい。高圧乳化装置は、原料混合物を高圧状態で撹拌し、剪断力を与えて乳化する装置であり、例えば、ホモジナイザーを挙げることができる。このような高圧乳化装置を使用すると、安定なエマルションを効率的に生成できる。
このようにして得られたエマルション(B)を水性媒体(A)中に滴下してポリオルガノシロキサンラテックスを得ることができる。水性媒体(A)の温度は、60〜100℃であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましい。水性媒体(A)の温度が60℃以上であれば、酸触媒が充分に解離して、オルガノシロキサンと接触して有効にシラノールを生成することができる。100℃以下であれば、高圧重合設備を要しない。
エマルション(B)の滴下速度は、オルガノシロキサンの供給量がオルガノシロキサン100質量部に対して0.5[質量部/分]以下となる速度で滴下することが好ましく、より好ましくは0.3[質量部/分]以下である。オルガノシロキサンの供給量が0.5[質量部/分]以下であれば、シラノールの生成を促進させ、酸触媒を含まないミセル中でのオルガノシロキサンの縮合反応の進行を抑制することができ、粒子径分布の狭いポリオルガノシロキサンが得られる。
また、エマルション(B)の滴下速度は、オルガノシロキサンの供給量が0.05[質量部/分]以上となる速度で滴下することが好ましく、より好ましくは0.08[質量部/分]以上である。オルガノシロキサンの供給量が0.05[質量部/分]以上であれば、生産性の低下を抑制することができる。
エマルション(B)の滴下は、上記のように、60〜100℃の温度で、3〜34時間で行なうことが、反応を効率よく進行させることができ、好ましい。
エマルション(B)の滴下終了後、更に加熱することが好ましく、例えば、2〜50時間行なうことができる。滴下後の加熱により、オルガノシロキサンから発生したシラノ−ルをほぼ完全に反応させることができる。
更に、30℃以下の温度においては、シラノール間の架橋反応が進行することから、ポリオルガノシロキサンの架橋密度を上げるために、30℃以下の温度で5時間から100時間程度保持することもできる。
ポリオルガノシロキサンの縮合反応は、ラテックスを水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水溶液等のアルカリ性物質でpH6〜8に中和して、終了させることができる。
このようにして得られるポリオルガノシロキサンは、質量平均粒子径(Dw)100〜200nmの範囲で、Dw/Dnが1.7以下の粒子径分布の狭いものである。また、有機酸触媒と乳化剤の総量をオルガノシロキサン100質量部に対し0.8〜6質量部の範囲で調整することにより、ポリオルガノシロキサンの質量平均粒子径を100〜200nmの範囲で所望のものに調整することができる。
ポリオルガノシロキサンの粒子径は、以下の方法で測定した値を採用することができる。ポリオルガノシロキサンのラテックスを脱イオン水で濃度約3%に希釈したものを試料として、米国MATEC社製CHDF2000型粒度分布計を用いて粒子径を測定する。
測定はMATEC社が推奨する下記の標準条件で行なうことができる。
カートリッジ:専用の粒子分離用キャピラリー式カートリッジ(商品名;C−202)、
キャリア液:専用キャリア液(商品名;2XGR500)、
キャリア液の液性:ほぼ中性、
キャリア液の流速:1.4ml/分、
キャリア液の圧力:約4,000psi(2,600kPa)、
測定温度:35℃、
試料使用量:0.1ml。
また、標準粒子径物質としては、米国DUKE社製の粒子径既知の単分散ポリスチレンで、40〜800nmの粒子径の範囲で合計12点の粒子径のものを用いる。
上記方法により得られるポリオルガノシロキサンのラテックスには、機械的安定性を向上させる目的で、必要に応じて、乳化剤を添加してもよい。乳化剤としては、上記例示したものと同様のアニオン系乳化剤、ノニオンアニオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤が好ましい。
乳化剤の添加量は、オルガノシロキサン100質量部に対して0.05〜10質量部が好ましい。0.05質量部以上であれば、ラテックスの機械的安定性が向上する。また、10質量部以下であれば、ポリオルガノシロキサンラテックスから得られたグラフト重合体において、着色の発生を抑制することができる。
本発明のポリオルガノシロキサンラテックスを用いたグラフト共重合体は、粒子径分布が狭く、耐熱老化性、低温での耐衝撃性に優れた材料を提供することが可能となるため、特に有用である。
ポリオルガノシロキサン粒子の質量平均粒子径(Dw)が100〜200nmであるポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体を樹脂に配合した場合、低温での耐衝撃性に優れる。粒子径が100nmより小さいと低温での衝撃強度が十分でない。粒子径が200nmより大きいと耐熱老化性が十分でない。
[複合ゴム(g)]
本発明の耐衝撃性改質剤は、上記ポリオルガノシロキサン含有ラテックスに1種以上のビニル系単量体を重合することでアクリル/シリコーン複合粒子含有ラテックスを得た後、さらに1種以上のアルキル(メタ)アクリレート系単量体をグラフト重合することで得られるグラフト共重合体である。
本発明のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(G)は、質量平均粒子径(Dw)が100〜200nm、質量平均粒子径(Dw)と数平均粒子径(Dn)の比(Dw/Dn)が1.0〜1.7であることを特徴とするポリオルガノシロキサンラテックスの存在下に、1種以上の(メタ)アクリル酸エステル系単量体を重合することで複合ゴム(g)を得、さらに1種以上のビニル系単量体をグラフト重合して得られる。
複合ゴム(g)を得るために用いることのできる(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、特に制限はないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸系単量体は、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。これらの中では、アクリル酸エステル系単量体を用いることが好ましい。
また、重合性成分としては、必要に応じて、グラフト交叉剤、架橋剤を用いることも可能である。グラフト交叉剤または架橋剤としては、例えば、メタクリル酸アリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、ジビニルベンゼン、ジメタクリル酸エチレングリコールジエステル、ジメタクリル酸プロピレングリコールジエステル、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコールジエステル、ジメタクリル酸1,4−ブチレングリコールジエステル、1,6−ヘキサンジオールジアクリル酸エステル、トリメリト酸トリアリル等の多官能性単量体が挙げられる。これらは単独で又は二種以上を併用することができる。
複合ゴム(g)の製造方法としては、特に制限はなく、例えば、乳化重合法、懸濁重合法、微細懸濁重合法により製造することができるが、乳化重合法を用いることが好ましい。中でも、ポリオルガノシロキサンラテックスの存在下に、1種以上の(メタ)アクリル酸系単量体を乳化重合して、複合ゴム(g)のラテックスを得る方法が特に好ましい。
ポリオルガノシロキサンラテックスに(メタ)アクリル酸系単量体を添加する方法としては、例えば、ポリオルガノシロキサンラテックス中に(メタ)アクリル酸系単量体を一括で添加する方法、ポリオルガノシロキサンラテックス中に(メタ)アクリル酸系単量体を一定速度で滴下する方法が挙げられる。
複合ゴム(g)のラテックスを製造する際には、ラテックスを安定化させ、複合ゴムの平均粒子径を制御するために、乳化剤を添加することができる。乳化剤は、特に制限されず、アニオン系乳化剤、ノニオンアニオン系乳化剤及びノニオン系乳化剤が好ましい。
アニオン系乳化剤としては、例えば、サルコシン酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、脂肪酸ナトリウム、アルケニルコハク酸ジカリウム、ロジン酸石鹸等の各種カルボン酸塩;アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸塩;アルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等の硫酸塩;ポリオキシエチレンアルキル燐酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル燐酸カルシウム等の燐酸塩等が挙げられる。
ノニオンアニオン系乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル燐酸塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンアルキルエーテルスルホン酸塩等を挙げることができる。
ノニオン系乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテルが挙げられる。これらの乳化剤は1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
乳化剤の量を調整することによって、質量平均粒子径(Dw)が110〜800nm、Dw/Dnが1.0〜2.0の複合ゴム(g)を製造することができる。乳化剤の量は、ポリオルガノシロキサンラテックス100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましい。
複合ゴム(g)の質量平均粒子径(Dw)は、低温での耐衝撃性に優れる点で110〜300nmであることが好ましい。質量平均粒子径(Dw)が110nmより小さいと低温での耐衝撃性が十分でなく、質量平均粒子径(Dw)が300nmより大きいと耐熱老化性が十分でない。
複合ゴム(g)の質量平均粒子径(Dw)が110〜300nmであると樹脂に配合した場合、低温での耐衝撃性に優れ、かつ耐熱老化性が優れる。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体の重合に用いる重合開始剤としては、例えば、過酸化物、アゾ系開始剤、又は酸化剤と還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤が挙げられる。これらの中では、レドックス系開始剤、特に硫酸第一鉄、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩、還元剤、及び過酸化物を組み合わせた系を用いることが好ましい。
過酸化物としては、例えば、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。還元剤としては、例えば、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、L−アスコルビン酸、フルクトース、デキストロース、ソルボース、イノシトールが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
複合ゴム(g)(100質量%)中における、ポリオルガノシロキサン及び(メタ)アクリル酸エステル系重合体の質量比率は、ポリオルガノシロキサン1.0〜99.0質量%及び(メタ)アクリル酸エステル系重合体1.0〜99.0質量%が好ましい。質量比率は、複合ゴム(g)の製造に用いるポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステル系単量体及びグラフト交叉剤、架橋剤との質量比率から算出することができる。
[グラフト共重合体(G)]
本発明のグラフト共重合体(G)は、前述の複合ゴム(g)の存在下に、1種以上の(メタ)アクリル酸エステル系単量体をグラフト重合して得られるグラフト共重合体である。グラフト重合の方法としては、複合ゴム(g)のラテックスの存在下に、(メタ)アクリル酸エステル系単量体(以下、「グラフト用単量体」という場合がある。)を重合する方法が挙げられる。前述の複合ゴム(g)のラテックスを製造する際と同様の方法を用いて重合することによって、グラフト共重合体(G)のラテックスを得ることができる。
グラフト重合の方法としては、例えば、複合ゴム(g)のラテックス中にグラフト用単量体を添加し、1段又は多段で重合する方法が挙げられる。多段で重合する場合は、複合ゴム(g)のラテックスの存在下で、グラフト用単量体を分割・逐次添加し又は連続添加して重合することが好ましい。このような重合方法は重合安定性が良好であり、且つ所望の粒子径及び粒子径分布を有するラテックスを安定に得ることができる。
グラフト重合に用いられる乳化剤は、複合ゴム(g)を製造する際に用いた前述の乳化剤と同様のものが挙げられ、アニオン系乳化剤、ノニオンアニオン系乳化剤及びノニオン系乳化剤が好ましい。
グラフト重合に用いられるグラフト重合に用いられる重合開始剤としては、複合ゴム(g)を製造する際に用いた前述の重合開始剤と同様のものが挙げられ、特に硫酸第一鉄、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩、還元剤、及び過酸化物を組み合わせた系を用いることが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、フェニルメタクリレート、ナフチルメタクリレート等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステル系単量体は単独で用いることもでき、2種以上を併用することもできる。
原料としての複合ゴム(g)とグラフト用単量体混合物の質量比は特に限定されないが、成形体の耐衝撃性、流動性、分散性、外観等を優れたものとする観点から、複合ゴム(g)5〜90質量%、グラフト用単量体95〜10質量%とすることが好ましく、複合ゴム(g)70〜90質量%、グラフト用単量体30〜10質量%とすることが特に好ましい。複合ゴム(g)の含有量が減少すると耐衝撃性が低下する傾向であり、含有量が増加すると分散性が低下する傾向である。
グラフト重合の方法としては、前述の複合ゴム(g)を製造する際と同様の方法が挙げられ、中でも乳化重合が好適である。乳化剤としても、前述の複合ゴム(g)を製造する際と同様のものが挙げられる。乳化重合時のラテックス安定性に優れ、重合率を高める観点から以下のものが好ましい。サルコシン酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、脂肪酸ナトリウム、アルケニルコハク酸ジカリウム、ロジン酸石鹸等の各種カルボン酸塩、アルキル硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等のアニオン系乳化剤。ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩等のノニオンアニオン系乳化剤等これらは目的に応じて使い分けられる。なお、グラフト重合時には乳化剤を使用せず、ポリオルガノシロキサンや複合ゴム(g)の製造に用いた乳化剤をそのまま利用することも可能である。
なお、ここで挙げた乳化剤は、前述の複合ゴム(g)を構成するアクリル酸エステル系重合体の重合においても好適なものである。
また、グラフト率やグラフト成分の分子量を制御するために、例えばメルカプタン系化合物、テルペン系化合物、α−メチルスチレン二量体等の各種連鎖移動剤を使用することもできる。重合条件は特に限定されず、必要に応じて適宜設定することができる。
グラフト共重合体(G)のラテックスからグラフト共重合体(G)の粉体を回収する場合には、噴霧乾燥法、凝固法のいずれかの方法を用いることができ、凝固法を用いることが好ましい。
噴霧乾燥法は、グラフト共重合体(G)のラテックスを乾燥機中に微小液滴状に噴霧し、これに乾燥用の加熱ガスを当てて乾燥する方法である。微小液滴を発生する方法としては、例えば、回転円盤型式、圧力ノズル式、二流体ノズル式、加圧二流体ノズル式が挙げられる。乾燥機の容量は、実験室で使用するような小規模な容量から、工業的に使用するような大規模な容量のいずれであってもよい。乾燥用の加熱ガスの温度は200℃以下が好ましく、120〜180℃がより好ましい。別々に製造された2種以上のグラフト共重合体(G)のラテックスを、一緒に噴霧乾燥することもできる。更には、噴霧乾燥時のブロッキング、嵩比重等の粉末特性を向上させるために、重合体のラテックスに、シリカ等の任意成分を添加して噴霧乾燥することもできる。
凝固法は、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硫酸アルミニウム等を溶解した熱水中にグラフト共重合体(G)のラテックスを投入し、塩析し、凝固することによりグラフト共重合体(G)を分離し、次いで、分離した湿潤状のグラフト共重合体(G)を脱水等によって水分量が低下したグラフト共重合体(G)を回収し、さらに、これを圧搾脱水機や熱風乾燥機を用いて乾燥させる方法である。
ラテックスからグラフト共重合体(G)を凝析する際に用いる凝固剤としては、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、酢酸カルシウムなどの無機塩や、硫酸等の酸などが挙げられる。これらの凝固剤は1種を単独で又は2種以上を併用してもよいが、併用する場合は水に不溶性の塩を形成しない組み合わせを選択することが必要である。例えば、酢酸カルシウムと、硫酸、その塩(ナトリウム塩等)、もしくは炭酸塩(ナトリウム塩)とを併用すると、水に不溶性のカルシウム塩を形成するので好ましくない。
上記の凝固剤は、通常、水溶液として用いられる。凝固剤水溶液の濃度は、グラフト共重合体(G)を安定的に凝固し、回収する観点から、0.1質量%以上、特に1質量%以上であることが好ましい。また、回収されたグラフト共重合体(G)中に残存する凝固剤の量を少なくして成形品の着色を抑制する観点から、凝固剤水溶液の濃度は、20質量%以下、特に15質量%以下であることが好ましい。凝固剤水溶液の量は特に限定されないが、ラテックス100質量部に対して10質量部以上、500質量部以下であることが好ましい。
ラテックスを凝固剤水溶液に接触させる方法は特に限定されないが、通常、凝固剤水溶液を攪拌しながら、そこにラテックスを連続的に添加して一定時間保持する方法や、凝固剤水溶液とラテックスとを、一定の比率で攪拌機付きの容器中に連続的に注入しながら接触させ、凝析された重合体と水とを含む混合物を容器から連続的に抜き出す方法等が挙げられる。ラテックスを凝固剤水溶液に接触させるときの温度は特に限定されないが、30℃以上、100℃以下であることが好ましい。接触時間は特に限定されない。
凝析したグラフト共重合体(G)は、1〜100質量倍程度の水で洗浄され、ろ別した湿潤状のグラフト共重合体(G)は流動乾燥機や圧搾脱水機等を用いて乾燥される。乾燥温度、乾燥時間は得られるグラフト共重合体(G)によって適宜決めればよい。なお、圧搾脱水機や押出機から排出されたグラフト共重合体(G)を回収せず、直接、樹脂組成物を製造する押出機や成形機に送り、その他の樹脂と混合して成形体を得ることも可能である。
本発明のグラフト共重合体(G)は、その他の樹脂組成物(H)と混合して樹脂組成物の耐衝撃性改質剤として用いる。
その他の樹脂組成物(H)としては特に限定されないが、硬化性樹脂、及び熱可塑性樹脂から選ばれる1種以上である。
硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂が挙げられる。これらの中では、電気的特性に優れ、半導体封止に適していることから、エポキシ樹脂が好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂と光硬化性樹脂とに分類できるが、そのいずれであってもよい。
エポキシ樹脂としては、例えば、ジシクロペンタジエン型、クレゾールノボラック型、フェノールノボラック型、ビスフェノール型、ビフェニル型が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
エポキシ樹脂としては、本粉体の分散性が良好となることから、固形状のものが好ましい。
エポキシ樹脂の硬化剤としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のフェノール系硬化剤;アミン系硬化剤;酸無水物系硬化剤が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用することができる。硬化剤使用量は、エポキシ基の化学量論量であることが好ましい。
フェノール樹脂としては、例えば、レゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂が挙げられる。フェノール樹脂は、乾性油、キシレン樹脂、メラミン樹脂等で変性されたものであってもよい。
フェノール樹脂としては、本粉体の分散性が良好となることから、固形状のものが好ましい。
フェノール樹脂が、ノボラック型フェノール樹脂である場合には、硬化剤として、ヘキサミン等のポリアミン、エポキシ樹脂、イソシアネート化合物、ポリホルムアルデヒド化合物、レゾール型フェノール樹脂等が併用される。
不飽和ポリエステル樹脂としては、例えば、イソフタル酸、オルソフタル酸、無水フタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等の飽和二塩基酸と、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、水素化ビスフェノールA等の多価アルコールと、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸等の不飽和二塩基酸とを180〜250℃で反応させて得られるものが挙げられる。
不飽和ポリエステル樹脂は、上記不飽和二塩基酸と共重合可能な単量体を共重合させてもよい。不飽和二塩基酸と共重合可能な単量体としては、例えば、スチレン、t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ビニルトルエン、(メタ)アクリレート類が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、以下のものが挙げられる。PMMA樹脂等のアクリル(Ac)系樹脂;ポリスチレン(PSt)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル・αメチルスチレン共重合体(αSAN樹脂)、スチレン・無水マレイン酸共重合体、アクリロニトリル・スチレン・N−置換マレイミド三元共重合体、アクリロニトリル・スチレン・αメチルスチレン・N−置換マレイミド四元共重合体、スチレン・無水マレイン酸・N−置換マレイミド三元共重合体、メタクリル酸メチル・スチレン共重合体(MS樹脂)、アクリロニトリル・スチレン・メタクリル酸メチル共重合体等のスチレン系樹脂;PC樹脂;ポリブチレンテレフタレート(PBT樹脂)、ポリエチレンテレフタレート(PET樹脂)、ポリエチレンナフタレート(PEN樹脂)等のポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニル;変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE樹脂);ポリアミド等が挙げられる。
また以下のものも使用可能である。ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;スチレン・ブタジエン・スチレン(SBS)、スチレン・ブタジエン(SBR)、水素添加SBS、スチレン・イソプレン・スチレン(SIS)等のスチレン系エラストマー;各種オレフィン系エラストマー;各種ポリエステル系エラストマー;ポリアセタール樹脂;エチレン・酢酸ビニル共重合体;PPS樹脂;PES樹脂;PEEK樹脂;ポリアリレート;液晶ポリエステル樹脂等が挙げられる。
これらのその他の樹脂組成物(H)は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
その他の樹脂組成物(H)の中でも、芳香族ポリカーボネート系樹脂(PC)を用いることが好ましく、本発明のグラフト共重合体(G)は芳香族ポリカーボネート系樹脂(PC)の耐衝撃改質剤として用いることが好ましい。
[芳香族ポリカーボネート系樹脂(PC)]
本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物に用いる芳香族ポリカーボネート系樹脂とは、芳香族ヒドロキシ化合物と、ジフェニルカーボネート等の炭酸ジエステル又はホスゲンとを反応させることによって得られる芳香族ポリカーボネート重合体又は共重合体を主成分とする樹脂であれば特に制限はない。本発明に用いられる芳香族ポリカーボネート系樹脂は、分岐していてもよく、その場合は、芳香族ジヒドロキシ化合物と芳香族ポリヒドロキシ化合物等が併用される。
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」という。)、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(以下、「ビスフェノールTMC」という。)、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−チオジフェノール及び4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテルが挙げられ、好ましくはビスフェノールAが挙げられる。さらに、難燃性を高める目的で上記の芳香族ジヒドロキシ化合物は、スルホン酸テトラアルキルホスホニウムや、臭素原子、シロキサン構造を有する基で置換された構造を有していてもよい。
分岐した芳香族ポリカーボネート系樹脂を得るには、例えば、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニルヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のポリヒドロキシ化合物を、前記芳香族ジヒドロキシ化合物の一部として用いればよく、使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、好ましくは0.01〜10モル%であり、更に好ましくは0.1〜2モル%である。
また、分子量や末端基の調節等の目的で、一価芳香族ヒドロキシ化合物やそのクロロホルメート体等の一価芳香族ヒドロキシ化合物誘導体を用いることもでき、具体例としては、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、p−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール及びp−長鎖アルキル置換フェノール等のアルキルフェノール、これらの誘導体等が挙げられる。これら、一価芳香族ヒドロキシ化合物及び/又はその誘導体の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、通常0.1〜10モル%であり、好ましくは1〜8モル%である。
本発明に用いられる芳香族ポリカーボネート系樹脂には、難燃性を高める目的でシロキサン構造を有するポリマー又はオリゴマーを共重合したり、成形時の流動性を改良する目的で、ジカルボン酸又はジカルボン酸クロライド等の誘導体を共重合することができる。
本発明に用いられる芳香族ポリカーボネート系樹脂の分子量は特に制限はないが、好ましくは、溶媒として塩化メチレンを用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量で14,000〜40,000、さらに好ましくは16,000〜30,000、特に好ましくは18,000〜26,000である。また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、2種以上の芳香族ポリカーボネート系樹脂を混合して用いてもよい。
また、本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂(PC)には、芳香族ポリカーボネート系樹脂が本来有する優れた透明性、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性、自己消火性(難燃性)等を損なわない範囲、具体的には芳香族ポリカーボネート系樹脂100質量部に対して50質量部以下の範囲で、他の樹脂やエラストマーを少割合使用することもできる。
かかる他の樹脂としてはAS樹脂、PSt樹脂等の各種スチレン系ランダム共重合体、スチレンと無水マレイン酸との交互共重合体、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂、HIPS樹脂等のグラフト共重合体等のスチレン系樹脂、PET樹脂、PBT樹脂、及びこれらの共重合体等のポリエステル系樹脂、PMMA樹脂及びこれらの共重合体等のアクリル系樹脂、PP樹脂、PE樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、シンジオタクチックPS樹脂、6−ナイロン、6,6−ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンポリアミドイミド、ポリアセタール等の各種汎用樹脂およびエンジニアリングプラスチック樹脂が挙げられる。
また、エラストマーとしては、イソブチレン/イソプレンゴム、ポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系、スチレン/ブタジエンゴム、SBS、SEBS、SIS、SEPS等のスチレン系エラストマー、エチレン/プロピレンゴム等のポリオレフィン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、アクリル系エラストマー、ジエン系ゴム、アクリル系ゴム、シリコーン系ゴムを含有する等のMBS樹脂、MAS樹脂に代表されるコアシェル型の耐衝撃性改良剤等が挙げられる。
芳香族ポリカーボネート系樹脂には、芳香族ポリカーボネート樹脂以外に、芳香族ポリカーボネート樹脂と上述の他の熱可塑性樹脂やエラストマーを配合した芳香族ポリカーボネート系ポリマーアロイを使用することも可能である。
[樹脂組成物(I)]
本発明の樹脂組成物(I)は、グラフト共重合体(G)とその他の樹脂組成物(H)とを配合した組成物である。その中でも、グラフト共重合体(G)および芳香族ポリカーボネート系樹脂(PC)を配合した組成物が好ましい。樹脂組成物(I)中における含有量は、グラフト共重合体(G)1〜50質量%とその他の樹脂組成物(H)99〜50質量%であることが好ましい。また、グラフト共重合体(G)1〜15質量%とその他の樹脂組成物(H)99〜85質量%であることがより好ましい。かかる質量比で配合することによって、成形体の幅広い温度範囲で耐衝撃性、外観が優れたものとなる。グラフト共重合体(G)の含有量が減少すると耐衝撃性が低下する傾向であり、含有量が増加すると外観が低下する傾向である。
樹脂組成物(I)中には、グラフト共重合体(G)とその他の樹脂組成物(H)の他に、必要に応じて、染料、顔料、安定剤、補強剤、充填材、難燃剤、発泡剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、耐候剤、UV吸収剤等の添加剤を配合することができる。
樹脂組成物(I)の調製方法は特に限定されないが、グラフト共重合体(G)と、その他の樹脂組成物(H)と、必要に応じて使用される各種添加剤とを、V型ブレンダーやヘンシェルミキサー等により混合分散させ、この混合物を押出機またはバンバリーミキサー、加圧ニーダー、ロール等の混練機等を用いて溶融混練することにより調製できる。
[成形体]
上記の樹脂組成物(I)を成形することによって、種々の成形体が得られる。成形体としては以下のものが挙げられる。車輌部品、特に無塗装で使用されるフロントグリルをはじめとする各種外装部品及び内装部品;壁材、窓枠等の建材部品;食器;玩具;掃除機ハウジング、テレビジョンハウジング、エアコンハウジング等の家電部品;インテリア部材、船舶部材および通信機器ハウジング、ノートパソコンハウジング、携帯端末ハウジング、液晶プロジェクターハウジング等の電機機器ハウジングなど。
成形方法としては特に限定されず、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、圧縮成形法、カレンダー成形法、インフレーション成形法等の公知の各種成形方法を採用することができる。
本発明の樹脂組成物によれば、上記構成を採用することにより、耐衝撃性等の機械的強度と共に、耐熱老化性に優れ、さらには美麗な外観を呈する成形体が得られる。
以下に、本発明を具体的に説明する。以下、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を示す。実施例に示した各種物性の評価は、以下に示す方法により実施した。
[1.固形分]
ポリオルガノシロキサンのラテックスを180℃の熱風乾燥機で30分間乾燥し、下記式により固形分を算出した。
固形分[%]=(180℃で30分間乾燥した後の残渣の質量)/(乾燥前のラテックスの質量)×100
[2.粒子径]
以下の方法で測定した値を採用することができる。ポリオルガノシロキサンのラテックスを脱イオン水で濃度約3%に希釈したものを試料として、米国MATEC社製CHDF2000型粒度分布計を用いて粒子径を測定する。
測定はMATEC社が推奨する下記の標準条件で行なうことができる。
カートリッジ:専用の粒子分離用キャピラリー式カートリッジ(商品名;C−202)、
キャリア液:専用キャリア液(商品名;2XGR500)、
キャリア液の液性:ほぼ中性、
キャリア液の流速:1.4ml/分、
キャリア液の圧力:約4,000psi(2,600kPa)、
測定温度:35℃、
試料使用量:0.1ml。
また、標準粒子径物質としては、米国DUKE社製の粒子径既知の単分散ポリスチレンで、40〜800nmの粒子径の範囲で合計12点の粒子径のものを用いる。
[3.低温での耐衝撃性]
低温での耐衝撃性は、−30℃におけるシャルピー衝撃強度の値を採用することができる。得られた成形体(長さ80mm×幅10mm×厚さ4mm、ノッチ付)のシャルピー衝撃強度を、シャルピー衝撃試験機(機種名「デジタル衝撃試験機」、(株)東洋精機製作所製)を用いて、ISO 179に準拠する方法により、−30℃の雰囲気下で12時間以上放置した試験片について測定する。
[4.耐熱老化性]
耐熱老化性は、高温条件下で保管後の常温シャルピー衝撃強度の値を採用することができる。Vノッチあり試験片を120℃、24hで保管し、その後、23℃、湿度50%条件化で一日保管し、その後、ISO 179に準拠する方法により、室温でVノッチあり試験片について測定する。
[製造例1]ポリオルガノシロキサンラテックス(L−1)の製造
環状オルガノシロキサン混合物(信越化学工業(株)製、製品名:DMC)96部、テトラエトキシシラン(TEOS)2部及びγ−メタクリロイロキシプロピルジメトキシメチルシラン(DSMA)2部を混合してオルガノシロキサン混合物100部を得た。これにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DBSNa)0.68部を脱イオン水300部で溶解した溶液を添加し、ホモミキサ−にて10,000rpmで2分間攪拌した後、ホモジナイザーに20MPaの圧力で2回通し、安定な予備混合エマルション(B−1)を得た。
一方、冷却コンデンサーを備えたセパラブルフラスコにドデシルベンゼンスルホン酸(DBSH)2部、硫酸1.38部と脱イオン水90部とを注入し、25℃でpH0.81の水性媒体(A−1)を調製した。
この水性媒体(A−1)を90℃に加熱した状態で、エマルション(B−1)をオルガノシロキサンの供給量が0.21部/分となる速度(実質8時間)で滴下し、滴下終了後2時間その温度を維持し、冷却した。次いでこの反応物を室温で12時間保持した後、10%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH7.0に中和して、ポリオルガノシロキサンのラテックス(L−1)を得た。
得られたポリオルガノシロキサンのラテックス(L−1)の固形分、粒子径を上記の方法により測定した。質量平均粒子径(Dw)132nm、個数平均粒子径(Dn)118nm、Dw/Dn=1.12、粒子径50nm未満の粒子の割合が全粒子の5質量%以下(0質量%)、粒子径300nm以上の粒子の割合が全粒子の20質量%以下(0質量%)であることを確認した。
[製造例2]ポリオルガノシロキサンラテックス(L−2)の製造
オクタメチルシクロテトラシロキサン96部、TEOS2部、DSMA2部を混合して、シロキサン混合物100部を得た。
得られたシロキサン混合物に、DBSNa1部を溶解した脱イオン水150部を添加し、ホモミキサーにて10,000rpmで5分間攪拌した後、ホモジナイザーに20MPaの圧力で2回通し、安定な予備混合エマルション(B−2)を得た。
次いで、冷却管、温度計及び攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、得られたエマルション(B−2)を投入し、硫酸0.2部と脱イオン水49.8部との混合物を3分間かけて滴下した。その後、80℃に加熱し7時間保持して重合を進行させた後、25℃に冷却し6時間保持し、10%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0に中和して、ポリオルガノシロキサンラテックス(L−2)を得た。得られたポリオルガノシロキサンラテックスの固形分は29.8%、得られたポリオルガノシロキサンの質量平均粒子径は406nm、数平均粒子径は392nm、Dw/Dnは1.03であった。粒子径50nm未満の粒子の割合が全粒子の5質量%以下、粒子径300nm以上の粒子の割合が全粒子の98質量%以上であることを確認した。
[製造例3]ポリオルガノシロキサンラテックス(L−3)の製造
環状オルガノシロキサン混合物96部、TEOS2部、DSMA2部を混合して、シロキサン混合物100部を得た。
得られたシロキサン混合物に、DBSNa0.68部を溶解した脱イオン水312部を添加し、ホモミキサーにて10,000rpmで5分間攪拌した後、ホモジナイザーに20MPaの圧力で2回通し、安定な予備混合エマルション(B−3)を得た。
一方、冷却コンデンサーを備えたセパラブルフラスコにDBSH10部と脱イオン水90部とを注入し、25℃でpH0.86の水性媒体(A−3)を調製した。
この水性媒体(A−3)を90℃に加熱した状態で、エマルション(B−3)をオルガノシロキサンの供給量が0.42部/分となる速度(実質4時間)で滴下し、滴下終了後2時間その温度を維持し、冷却した。次いでこの反応物を室温で12時間保持した後、10%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH7.0に中和して、ポリオルガノシロキサンラテックス(L−3)を得た。得られたポリオルガノシロキサン系ゴムラテックスの固形分は19.4%、得られたポリオルガノシロキサン系ゴムのDwは61nm、Dnは58nm、Dw/Dnは1.07であった。粒子径50nm未満の粒子の割合が全粒子の50質量%以上、粒子径300nm以上の粒子の割合が全粒子の5質量%以上であることを確認した。
[実施例1]グラフト共重合体(G−1)の製造
冷却管、窒素導入管、温度計及び攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、
ポリオルガノシロキサンラテックス(L−1) 10部(固形分換算)
脱イオン水 110.4部
を投入し、続いて下記単量体混合物を投入した。
単量体混合物:
n−ブチルアクリレート(nBA) 20.0部
アリルメタクリレート(AMA) 0.6部
クメンハイドロパーオキサイド(CHP) 0.06部
フラスコ内に窒素気流を通じて窒素置換を行い、攪拌しながら昇温させ、液温が60℃に達した時点で、下記還元剤水溶液を添加して1段目の重合を開始し、液温を70℃にし1時間保持した。
還元剤水溶液:
硫酸第一鉄(Fe) 0.001部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩(EDTA) 0.003部
ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(SFS) 0.3部
脱イオン水 5部
続いて下記単量体混合物をウルトラタラックスT25デジタル(IKA社製)を用いて13,000rpmで30秒攪拌した後、70℃にて60分間かけて滴下し、60分保持した。
単量体混合物:
nBA 60.0部
AMA 1.8部
CHP 0.19部
DBSNa 0.20部
脱イオン水 31.0部
次いで、下記単量体混合物を、70℃にて60分間かけて滴下した。
単量体混合物:
メチルメタクリレート(MMA) 9.5部
メチルアクリレート(MA) 0.5部
t−ブチルハイドロパーオキサイド(tBH) 0.02部
滴下終了後、液温を70℃で1時間保持して、グラフト共重合体(G−1)ラテックスを得た。
酢酸カルシウムを6部溶解した水溶液500部を攪拌しながら30℃に加熱し、水溶液中にグラフト重合体(G−1)ラテックス237部を徐々に滴下し凝析させた。その後80℃に加熱し、固化させた。その後分離、水洗した後、乾燥してグラフト重合体(G−1)の粉体を得た。
[比較例1〜2]グラフト共重合体(G−2〜G−3)の製造
用いたポリオルガノシロキサンラテックスの種類をそれぞれL−2、L−3に変更したこと以外は実施例1と同様にしてグラフト共重合体(G−2〜G−3)を得た。
[実施例2、比較例3〜5]樹脂組成物(I−1〜I−4)の製造
上記のグラフト共重合体(G−1〜G−3)及び芳香族ポリカーボネート(ユーピロンS2000F(商品名、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製))、カーボンブラック(三菱カーボンブラック#960(商品名、三菱化学(株)製))を表2に示す組成で配合し、該混合物をバレル温度270℃に加熱した脱揮式二軸押出機(池貝鉄工社製、PCM−30)に供給して混練し、樹脂組成物(I−1〜I−4)のペレットを作製した。
このペレットを住友射出成形機SE100DU(住友重機械工業(株)製)にてシリンダー温度280℃、金型温度80℃にて評価用のテストピースを作成した。シャルピー衝撃強度、耐熱老化性の測定結果をまとめて表1に示す。
Figure 2014034656
実施例2の樹脂組成物(I−1)は、実施例1のグラフト共重合体(G−1)を用いている。グラフト重合体(G−1)の原料であるポリオルガノシロキサン粒子の粒子径が100〜200nmの範囲であるために、低温でのシャルピー衝撃強度が高く、良好な耐衝撃性を示した。さらに、高温下で保管後のシャルピー衝撃強度も高い値を維持しており、高い耐熱老化性を示した。
一方、比較例2の樹脂組成物(I−3)は、グラフト共重合体(G−2)の粒子径が小さいために、低温でのシャルピー衝撃強度、並びに耐熱老化性も低かった。また、比較例3の樹脂組成物(I−4)は、グラフト共重合体(G−3)の粒子径が大きいために、耐熱老化性が低かった。
本発明のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体は、粒子分布が狭く、目的の用途の性能に最適な特性を有する樹脂組成物を製造することができる点で、樹脂添加剤の原料として特に有用である。

Claims (4)

  1. 質量平均粒子径(Dw)が100〜200nm及び質量平均粒子径(Dw)と数平均粒子径(Dn)の比(Dw/Dn)が1.0〜1.7であるポリオルガノシロキサンラテックスの存在下に、1種以上のビニル系単量体を重合し、さらに1種以上の(メタ)アクリル酸エステル系単量体をグラフト重合して得られるグラフト共重合体(G)。
  2. 請求項1に記載のグラフト共重合体(G)とその他の樹脂(H)を含む樹脂組成物(I)。
  3. その他の樹脂(H)が芳香族ポリカーボネート系樹脂である請求項2に記載の樹脂組成物(I)。
  4. 請求項2又は3に記載の樹脂組成物(I)を成形して得られる成形体。
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