JP2014033516A - 非接触送電装置、非接触受電装置、車両および非接触送受電システム - Google Patents

非接触送電装置、非接触受電装置、車両および非接触送受電システム Download PDF

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Abstract

【課題】非接触送電装置による放送受信機の動作への影響を、できるだけ小さくするための技術を提供する。
【解決手段】送電装置200は、可変の伝送周波数で電力を送出する伝送ユニット(250,220)と、送電装置200の位置において受信可能な放送電波の周波数に関する周波数情報に基づいて、伝送周波数を設定する送電ECU240とを備える。送電ECU240は、伝送周波数の整数倍の周波数(すなわち高調波ノイズの周波数)が放送電波の周波数とは異なるように伝送周波数を設定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、非接触送電装置、非接触受電装置、車両および非接触送受電システムに関する。
たとえば特開2011−135754号公報は、電気自動車およびハイブリッド自動車等の電動車両に適用される非接触電力伝送技術を開示する。この技術によれば、送電装置および受電装置の一方または両方は、たとえば、コイルケースと、コイルケースを覆うシールド部材とを備える。コイルユニットとシールドとの間の距離に応じて、送電装置から受電装置へと電力を伝送する際の周波数が調整される。
特開2011−135754号公報
送電装置あるいは受電装置の周囲に無線機器が配置されている場合には、電力の伝送時における無線機器の動作への影響を防ぐための対策が必要になる可能性がある。たとえば送電装置が発生するノイズが放送電波を受信する受信機の動作に影響を及ぼす可能性がある。たとえば、その受信機における復調に影響が生じる可能性がある。
放送電波の使用周波数帯域(すなわちチャネル)は、地域ごとに異なり得る。送電装置が製造された段階では、送電装置の設置場所が確定していない可能性がある。したがって、送電装置の設置場所に関わらずノイズが放送電波と干渉しないように送電装置の伝送周波数を設定することは難しい。
本発明の目的は、非接触送電装置による放送受信機の動作への影響を、できるだけ小さくするための技術を提供することである。
ある局面において、本発明は、受電装置に電力を非接触で伝送する非接触送電装置であって、可変の伝送周波数で電力を送出する伝送ユニットと、非接触送電装置の位置において受信可能な放送電波の周波数に関する周波数情報に基づいて、伝送周波数を設定する送電制御部とを備える。送電制御部は、伝送周波数および放送電波の周波数のうちの一方が他方の整数倍とは異なるように伝送周波数を設定する。
好ましくは、非接触送電装置は、放送電波を受信するための受信機をさらに備える。送電制御部は、受信機を用いた周波数探索処理を実行して、受信機の受信強度に基づいて周波数情報を取得する。
好ましくは、非接触送電装置は、通信部をさらに備える。通信部は、受電装置から伝送された周波数情報を受信して、当該受信された周波数情報を送電制御部に送信する。
好ましくは、非接触送電装置は、非接触送電装置の位置に関する位置情報を取得する位置情報取得部をさらに備える。送電制御部は、放送電波の受信位置と放送電波の周波数とが関連付けられた情報および、位置情報に基づいて、周波数情報を取得する。
好ましくは、送電制御部は、伝送周波数の整数倍に対応するノイズ周波数が前記放送電波の周波数と異なるように前記伝送周波数を設定する。
好ましくは、送電制御部は、伝送周波数として設定可能な複数の周波数の候補が存在する場合には、非接触送電装置と受電装置との間での伝送効率に基づいて、複数の周波数の候補のうちの1つを伝送周波数に決定する。
別の局面において、本発明は、送電装置から送出される電力を非接触で受電する非接触受電装置であって、非接触受電装置の位置において受信可能な放送電波の周波数に関する周波数情報を取得する受電制御部と、受電制御部により取得された周波数情報を送電装置に伝送する通信部と、周波数情報に従って決定された伝送周波数で送電装置から送られた電力を非接触で受電するための受電ユニットとを備える。伝送周波数は、伝送周波数および放送電波の周波数のうちの一方が他方の整数倍とは異なるように定められる。
好ましくは、非接触受電装置は、放送電波を受信するための受信機をさらに備える。送電装置が電力を送る前に、受電制御部は、受信機を用いた周波数探索処理を実行して、受信機の受信強度に基づいて周波数情報を取得する。
好ましくは、非接触受電装置は、非接触受電装置の位置に関する位置情報を取得する位置情報取得部をさらに備える。送電装置が電力を送る前に、受電制御部は、放送電波の受信位置と放送電波の周波数とが関連付けられた情報および、位置情報に基づいて、周波数情報を取得する。
別の局面において、本発明は、上記の非接触受電装置を備える車両である。
別の局面において、本発明は、非接触送受電システムであって、可変の伝送周波数で電力を送出する送電装置と、送電装置から送出される電力を非接触で受電するための受電装置とを備える。送電装置は、送電装置の位置において受信可能な放送電波の周波数に関する周波数情報に基づいて、伝送周波数および放送電波の周波数のうちの一方が他方の整数倍とは異なるように伝送周波数を設定する。
好ましくは、送電装置は、伝送周波数で電力を送出する伝送ユニットと、周波数情報を取得して、周波数情報に基づいて伝送周波数を設定する送電制御部とを含む。
好ましくは、送電装置は、放送電波を受信するための受信機をさらに含む。送電制御部は、受信機を用いた周波数探索処理を実行して、受信機の受信強度に基づいて周波数情報を取得する。
好ましくは、受電装置は、周波数情報を取得する受電制御部と、受電制御部により取得された周波数情報を送電装置に伝送する第1の通信部とを含む。送電装置は、第1の通信部から伝送された周波数情報を受信して、当該受信された周波数情報を送電制御部に送信する第2の通信部をさらに含む。
好ましくは、受電装置は、放送電波を受信するための受信機をさらに含む。受電制御部は、受信機を用いた周波数探索処理を実行して、受信機の受信強度に基づいて周波数情報を取得する。
好ましくは、受電装置は、受電装置の位置に関する位置情報を取得する位置情報取得部をさらに含む。受電制御部は、放送電波の受信位置と放送電波の周波数とが関連付けられた情報および、位置情報に基づいて、周波数情報を取得する。
好ましくは、送電装置は、送電装置の位置に関する位置情報を取得する位置情報取得部をさらに含む。送電制御部は、放送電波の受信位置と放送電波の周波数とが関連付けられた情報および、位置情報に基づいて、周波数情報を取得する。
好ましくは、送電制御部は、伝送周波数の整数倍に対応するノイズ周波数が放送電波の周波数と異なるように伝送周波数を設定する。
好ましくは、送電制御部は、伝送周波数として設定可能な複数の周波数の候補が存在する場合には、送電装置と受電装置との間での伝送効率に基づいて、複数の周波数の候補のうちの1つを伝送周波数に決定する。
本発明によれば、非接触送電装置による放送受信機の動作への影響を小さくすることが可能となる。
本発明の第1の実施の形態に係る非接触送受電システムの一構成例を示す全体ブロック図である。 共鳴法による送電の原理を説明するための模式的な図である。 電力伝送システムのシミュレーションモデルを示す図である。 送電部93および受電部96の固有周波数のズレと、電力伝送効率との関係を示した図である。 固有周波数f0を固定した状態で、エアギャップAGを変化させたときの電力伝送効率と、図1の送電ユニット220中の共鳴コイルに供給される電流の周波数f3との関係を示すグラフである。 電流源または磁流源からの距離と電磁界の強度との関係を示した図である。 図1に示した非接触送受電システム10の詳細な構成を示す回路図である。 送電ユニットおよび受電ユニットの変形例を示した図である。 図7および図8に示した電源部250の構成の一例を示した図である。 高調波ノイズによる問題点を説明するための模式的な波形図である。 本発明の第1の実施の形態に係る、伝送周波数の設定処理を示したフローチャートである。 図11に示された処理を説明するための模式図である。 本発明の第2の実施の形態に係る非接触送受電システムの一構成例を示す全体ブロック図である。 図13に示した非接触送受電システム10Aの詳細な構成を示す回路図である。 本発明の第2の実施の形態に係る、車両100が周波数情報を取得する処理を説明するためのフローチャートである。 本発明の第2の実施の形態に係る、伝送周波数の設定処理を示したフローチャートである。 本発明の第3の実施の形態に係る非接触送受電システムの一構成例を示す全体ブロック図である。 図17に示した非接触送受電システム10Bの詳細な構成を示す回路図である。 本発明の第3の実施の形態において、周波数情報の取得に用いられるテーブルの一構成例を示した図である。 本発明の第3の実施の形態に係る、車両100Aが周波数情報を取得する処理を説明するためのフローチャートである。 本発明の第4の実施の形態に係る非接触送受電システムの一構成例を示す全体ブロック図である。 図21に示した非接触送受電システム10Cの詳細な構成を示す回路図である。 本発明の第4の実施の形態に係る、伝送周波数の設定処理を示したフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
[実施の形態1]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る非接触送受電システムの一構成例を示す全体ブロック図である。図1を参照して、非接触送受電システム10は、送電装置200と、車両100とを備える。車両100は、非接触送受電システム10における受電装置を含む。
この実施の形態では、車両100として電気自動車が例示される。電気自動車は、回転電機を駆動源として用いる。車両100は非接触で受電可能な車両であればよい。したがって車両100は電気自動車に限定されない。さらに本発明の実施の形態に係る非接触送受電システムにおいて、受電装置は車両に搭載されるものと限定されない。
送電装置200は、電源部250と、送電ユニット220と、通信部230と、アンテナ262と、受信機264とを含む。電源部250と、送電ユニット220とは、本発明に係る送電装置が備える「伝送ユニット」を実現する。「伝送ユニット」は、電源部250と送電ユニット220とに分離される必要はない。送電装置は、電源部250と送電ユニット220とが一体化された伝送ユニットを備えていてもよい。
電源部250は、電源12から電力を受けて高周波の交流電力を生成する。電源12は、商用電源であってもよく、独立の電源装置であってもよい。送電ユニット220は、電源部250から高周波の交流電力の供給を受けて、受電ユニット110へ非接触で電力を伝送する。一例として、送電ユニット220は、コイルおよびキャパシタを含む共振回路によって構成される。
車両100は、アンテナ102と、受信機104と、受電ユニット110と、車両ECU(Electronic Control Unit)300と、整流器180と、蓄電装置190と、動力生成装置118とを含む。受電ユニット110は、送電装置200の送電ユニット220から送出される電力を非接触で受電する。受電ユニット110は、その電力を整流器180へ出力する。一例として、受電ユニット110は、コイルおよびキャパシタを含む共振回路によって構成される。
整流器180は、受電ユニット110から受ける交流電力を直流電力に変換し、その変換された直流電力を蓄電装置190へ出力する。したがって蓄電装置190が充電される。蓄電装置190は、整流器180から出力される電力だけでなく、動力生成装置118によって発電される電力も蓄える。そして、蓄電装置190は、その蓄えられた電力を動力生成装置118へ供給する。なお、蓄電装置190として大容量のキャパシタも採用可能である。
動力生成装置118は、蓄電装置190に蓄えられる電力を用いて車両100の走行駆動力を発生する。図1には特に図示しないが、動力生成装置118は、たとえば、蓄電装置190から電力を受けるインバータ、インバータによって駆動されるモータ、モータによって駆動される駆動輪等を含む。なお、動力生成装置118は、蓄電装置190を充電するための発電機と、その発電機を駆動可能なエンジンを含んでもよい。
この非接触電力伝送システムにおいては、送電装置200の送電ユニット220の固有周波数は、車両100の受電ユニット110の固有周波数と同じである。ここで、送電ユニット220(受電ユニット110)の固有周波数とは、送電ユニット220(受電ユニット110)を構成する電気回路(共振回路)が自由振動する場合の振動周波数を意味する。なお、送電ユニット220(受電ユニット110)を構成する電気回路(共振回路)において、制動力または電気抵抗をゼロまたは実質的にゼロとしたときの固有周波数は、送電ユニット220(受電ユニット110)の共振周波数とも称される。
また、固有周波数が「同じ」とは、完全に同じ場合だけでなく、固有周波数が実質的に同じ場合も含む。固有周波数が「実質的に同じ」とは、たとえば、送電ユニット220の固有周波数と受電ユニット110の固有周波数との差が、送電ユニット220または受電ユニット110の固有周波数の10%以内の場合を意味する。
本実施の形態に係る電力伝送システムにおいては、送電ユニット220の固有周波数と、受電ユニット110の固有周波数との差は、受電ユニット110または送電ユニット220の固有周波数の10%以下である。このような範囲に各送電ユニット220および受電ユニット110の固有周波数を設定することで、電力伝送効率を高めることができる。その一方で、固有周波数の差が受電ユニット110または送電ユニット220の固有周波数の10%よりも大きくなると、電力伝送効率が10%より小さくなり、蓄電装置190の充電時間が長くなるなどの弊害が生じる。
そして、送電ユニット220は、送電ユニット220と受電ユニット110間に形成され、かつ、特定の周波数で振動する磁界と、送電ユニット220と受電ユニット110間に形成され、かつ、特定の周波数で振動する電界との少なくとも一方を通じて、車両100の受電ユニット110へ非接触で送電する。送電ユニット220と受電ユニット110との結合係数κは、たとえば、0.3以下程度であり、好ましくは、0.1以下である。当然のことながら、結合係数κを0.1〜0.3程度の範囲も採用することができる。結合係数κは、このような値に限定されるものでなく、電力伝送が良好となる種々の値をとり得る。また、結合係数κと共鳴強度を示すQ値との積が所定値(たとえば1.0)以上になるように送電ユニット220,受電ユニット110が設計される。
このように、送電ユニット220と受電ユニット110とを電磁界によって共振(共鳴)させることで、送電装置200の送電ユニット220から車両100の受電ユニット110へ非接触で電力が伝送される。
なお、上記のように、この非接触電力伝送システムにおいては、送電ユニット220と受電ユニット110とを電磁界によって共振(共鳴)させることで、送電ユニット220から受電ユニット110へ非接触で電力が伝送される。電力伝送における、このような送電ユニット220と受電ユニット110との結合を、たとえば、「磁気共鳴結合」、「磁界(磁場)共鳴結合」、「磁場共振(共鳴)結合」、「近接場共振(共鳴)結合」、「電磁界(電磁場)共振結合」、または「電界(電場)共振結合」等という。「電磁界(電磁場)共振結合」は、「磁気共鳴結合」、「磁界(磁場)共鳴結合」、「電界(電場)共振結合」のいずれも含む結合を意味する。
送電ユニット220と受電ユニット110とが上記のようにコイルによって形成される場合には、送電ユニット220と受電ユニット110とは、主に磁界(磁場)によって結合し、「磁気共鳴結合」または「磁界(磁場)共鳴結合」が形成される。なお、送電ユニット220と受電ユニット110とに、たとえばメアンダライン等のアンテナを各々採用することも可能である。この場合には、送電ユニット220と受電ユニット110とは、主に電界(電場)によって結合し、「電界(電場)共鳴結合」が形成される。
図2は、共鳴法による送電の原理を説明するための模式的な図である。
図2を参照して、この共鳴法では、2つの音叉が共鳴するのと同様に、同じ固有振動数を有する2つのLC共振コイルが電磁場(近接場)において共鳴することによって、一方のコイルから他方のコイルへ電磁場を介して電力が伝送される。
具体的には、高周波電源310に一次コイル320を接続し、電磁誘導により一次コイル320と磁気的に結合される一次自己共振コイル330へ高周波電力を給電する。一次自己共振コイル330は、コイル自身のインダクタンスと浮遊容量とによるLC共振器であり、一次自己共振コイル330と同じ共振周波数を有する二次自己共振コイル340と電磁場(近接場)を介して共鳴する。そうすると、一次自己共振コイル330から二次自己共振コイル340へ電磁場を介してエネルギー(電力)が移動する。二次自己共振コイル340へ移動したエネルギー(電力)は、電磁誘導により二次自己共振コイル340と磁気的に結合される二次コイル350によって取出され、負荷360へ供給される。なお、共鳴法による送電は、一次自己共振コイル330と二次自己共振コイル340との共鳴強度を示すQ値がたとえば100よりも大きいときに実現される。
また、本実施の形態に係る電力送受電システムにおいては、送電ユニットと受電ユニットとを電磁界によって共鳴(共振)させることで送電ユニットから受電ユニットに電力を送電しており、送電ユニットと受電ユニットとの間の結合係数(κ)は、たとえば、0.3以下程度であり、好ましくは、0.1以下である。当然のことながら、結合係数κを0.1〜0.3程度の範囲も採用することができる。結合係数κは、このような値に限定されるものでなく、電力伝送が良好となる種々の値をとり得る。一般的に、電磁誘導を利用した電力伝送では、送電部と受電部と間の結合係数(κ)は1.0に近いものとなっている。
なお、図1との対応関係については、二次自己共振コイル340および二次コイル350が図1の受電ユニット110に対応し、一次コイル320および一次自己共振コイル330が図1の送電ユニット220に対応する。
次に、図3および図4を用いて、固有周波数の差と電力伝送効率との関係とを解析したシミュレーション結果について説明する。図3は、電力伝送システムのシミュレーションモデルを示した図である。電力伝送システム89は、送電ユニット90と、受電ユニット91とを備え、送電ユニット90は、電磁誘導コイル92と、送電部93とを含む。送電部93は、共鳴コイル94と、共鳴コイル94に設けられたキャパシタ95とを含む。
受電ユニット91は、受電部96と、電磁誘導コイル97とを備える。受電部96は、共鳴コイル99とこの共鳴コイル99に接続されたキャパシタ98とを含む。
共鳴コイル94のインダクタンスをインダクタンスLtとし、キャパシタ95のキャパシタンスをキャパシタンスC1とする。共鳴コイル99のインダクタンスをインダクタンスLrとし、キャパシタ98のキャパシタンスをキャパシタンスC2とする。このように各パラメータを設定すると、送電部93の固有周波数f1は、下記の式(1)によって示され、受電部96の固有周波数f2は、下記の式(2)によって示される。
f1=1/{2π(Lt×C1)1/2}・・・(1)
f2=1/{2π(Lr×C2)1/2}・・・(2)
図4は、送電部93および受電部96の固有周波数のズレと、電力伝送効率との関係を示した図である。図4においては、インダクタンスLrおよびキャパシタンスC1,C2を固定して、インダクタンスLtのみを変化させた場合が示されている。
なお、このシミュレーションにおいては、共鳴コイル94および共鳴コイル99の相対的な位置関係は固定した状態であって、さらに、送電部93に供給される電流の周波数は一定である。
図4に示すグラフのうち、横軸は、固有周波数のズレ(%)を示し、縦軸は、一定周波数での伝送効率(%)を示す。固有周波数のズレ(%)は、下記式(3)によって示される。
(固有周波数のズレ)={(f1−f2)/f2}×100(%)・・・(3)
図4からも明らかなように、固有周波数のズレ(%)が±0%の場合には、電力伝送効率は、100%近くとなる。固有周波数のズレ(%)が±5%の場合には、電力伝送効率は、40%となる。固有周波数のズレ(%)が±10%の場合には、電力伝送効率は、10%となる。固有周波数のズレ(%)が±15%の場合には、電力伝送効率は、5%となる。すなわち、固有周波数のズレ(%)の絶対値(固有周波数の差)が、受電部96の固有周波数の10%以下の範囲となるように各送電部および受電部の固有周波数を設定することで電力伝送効率を高めることができることがわかる。さらに、固有周波数のズレ(%)の絶対値が受電部96の固有周波数の5%以下となるように、各送電部および受電部の固有周波数を設定することで電力伝送効率をより高めることができることがわかる。なお、シミュレーションソフトしては、電磁界解析ソフトウェア(JMAG(登録商標):株式会社JSOL製)を採用している。
ここで、図1の送電ユニット220中の共鳴コイルの周囲に形成される特定の周波数の磁界について説明する。「特定の周波数の磁界」は、典型的には、電力伝送効率と送電ユニット220中の共鳴コイルに供給される電流の周波数と関連性を有する。そこで、まず、電力伝送効率と、送電ユニット220中の共鳴コイルに供給される電流の周波数との関係について説明する。送電ユニット220中の共鳴コイルから受電ユニット110中の共鳴コイルに電力を伝送するときの電力伝送効率は、送電ユニット220中の共鳴コイルおよび受電ユニット110中の共鳴コイルの間の距離などの様々な要因よって変化する。たとえば、送電ユニット220および受電ユニット110の固有周波数(共振周波数)を固有周波数f0とし、送電ユニット220中の共鳴コイルに供給される電流の周波数を周波数f3とし、受電ユニット110中の共鳴コイルおよび送電ユニット220中の共鳴コイルの間のエアギャップをエアギャップAGとする。
図5は、固有周波数f0を固定した状態で、エアギャップAGを変化させたときの電力伝送効率と、図1の送電ユニット220中の共鳴コイルに供給される電流の周波数f3との関係を示すグラフである。
図5に示すグラフにおいて、横軸は、送電ユニット220中の共鳴コイルに供給する電流の周波数f3を示し、縦軸は、電力伝送効率(%)を示す。効率曲線L1は、エアギャップAGが小さいときの電力伝送効率と、送電ユニット220中の共鳴コイルに供給する電流の周波数f3との関係を模式的に示す。この効率曲線L1に示すように、エアギャップAGが小さい場合には、電力伝送効率のピークは周波数f4,f5(f4<f5)において生じる。エアギャップAGを大きくすると、電力伝送効率が高くなるときの2つのピークは、互いに近づくように変化する。そして、効率曲線L2に示すように、エアギャップAGを所定距離よりも大きくすると、電力伝送効率のピークは1つとなり、送電ユニット220中の共鳴コイルに供給する電流の周波数が周波数f6のときに電力伝送効率がピークとなる。エアギャップAGを効率曲線L2の状態よりもさらに大きくすると、効率曲線L3に示すように電力伝送効率のピークが小さくなる。
たとえば、電力伝送効率の向上を図るため手法として次のような第1の手法が考えられる。第1の手法としては、エアギャップAGにあわせて、図1に示す送電ユニット220中の共鳴コイルに供給する電流の周波数を一定として、キャパシタのキャパシタンスを変化させることで、送電ユニット220と受電ユニット110との間での電力伝送効率の特性を変化させる手法が考えられる。具体的には、送電ユニット220中の共鳴コイルに供給される電流の周波数を一定とした状態で、電力伝送効率がピークとなるように、キャパシタのキャパシタンスを調整する。この手法では、エアギャップAGの大きさに関係なく、送電ユニット220中の共鳴コイルおよび受電ユニット110中の共鳴コイルに流れる電流の周波数は一定である。なお、電力伝送効率の特性を変化させる手法としては、送電ユニット220と電源部250との間に設けられた整合器を利用する手法や、受電側のコンバータを利用する手法などを採用することもできる。
また、第2の手法としては、エアギャップAGの大きさに基づいて、送電ユニット220中の共鳴コイルに供給する電流の周波数を調整する手法である。たとえば、図5において、電力伝送特性が効率曲線L1となる場合には、送電ユニット220中の共鳴コイルには周波数が周波数f4または周波数f5の電流を送電ユニット220中の共鳴コイルに供給する。そして、周波数特性が効率曲線L2,L3となる場合には、周波数が周波数f6の電流を送電ユニット220中の共鳴コイルに供給する。この場合では、エアギャップAGの大きさに合わせて送電ユニット220中の共鳴コイルおよび受電ユニット110中の共鳴コイルに流れる電流の周波数を変化させることになる。
第1の手法では、送電ユニット220中の共鳴コイルを流れる電流の周波数は、固定された一定の周波数となり、第2の手法では、送電ユニット220中の共鳴コイルを流れる周波数は、エアギャップAGによって適宜変化する周波数となる。第1の手法や第2の手法などによって、電力伝送効率が高くなるように設定された特定の周波数の電流が送電ユニット220中の共鳴コイルに供給される。送電ユニット220中の共鳴コイルに特定の周波数の電流が流れることで、送電ユニット220中の共鳴コイルの周囲には、特定の周波数で振動する磁界(電磁界)が形成される。受電ユニット110は、受電ユニット110と送電ユニット220の間に形成され、かつ特定の周波数で振動する磁界を通じて送電ユニット220から電力を受電している。したがって、「特定の周波数で振動する磁界」とは、必ずしも固定された周波数の磁界とは限らない。なお、上記の例では、エアギャップAGに着目して、送電ユニット220中の共鳴コイルに供給する電流の周波数を設定するようにしているが、電力伝送効率は、送電ユニット220中の共鳴コイルおよび受電ユニット110中の共鳴コイルの水平方向のずれ等のように他の要因によっても変化するものであり、当該他の要因に基づいて、送電ユニット220中の共鳴コイルに供給する電流の周波数を調整する場合がある。
本実施の形態に係る電力伝送システムにおいては、電磁界の「静電磁界」が支配的な近接場(エバネッセント場)を利用することで、送電および受電効率の向上が図られている。図6は、電流源または磁流源からの距離と電磁界の強度との関係を示した図である。図6を参照して、電磁界は3つの成分から成る。曲線k1は、波源からの距離に反比例した成分であり、「輻射電磁界」と称される。曲線k2は、波源からの距離の2乗に反比例した成分であり、「誘導電磁界」と称される。また、曲線k3は、波源からの距離の3乗に反比例した成分であり、「静電磁界」と称される。なお、電磁界の波長を「λ」とすると、「輻射電磁界」と「誘導電磁界」と「静電磁界」との強さが略等しくなる距離は、λ/2πと表すことができる。
「静電磁界」は、波源からの距離とともに急激に電磁波の強度が減少する領域であり、本実施の形態に係る電力伝送システムでは、この「静電磁界」が支配的な近接場(エバネッセント場)を利用してエネルギー(電力)の伝送が行なわれる。すなわち、「静電磁界」が支配的な近接場において、近接する固有周波数を有する送電ユニット220および受電ユニット110(たとえば一対のLC共振コイル)を共鳴させることにより、送電ユニット220から他方の受電ユニット110へエネルギー(電力)を伝送する。この「静電磁界」は遠方にエネルギーを伝播しないので、遠方までエネルギーを伝播する「輻射電磁界」によってエネルギー(電力)を伝送する電磁波に比べて、共鳴法は、より少ないエネルギー損失で送電することができる。
このように、この電力伝送システムにおいては、送電部と受電部とを電磁界によって共振(共鳴)させることで送電部と受電部との間で非接触で電力が送電される。このような受電部と送電部との間に形成される電磁場は、たとえば、近接場共振(共鳴)結合場という場合がある。そして、送電部と受電部との間の結合係数κは、たとえば、0.3以下程度であり、好ましくは、0.1以下である。当然のことながら、結合係数κを0.1〜0.3程度の範囲も採用することができる。結合係数κは、このような値に限定されるものでなく、電力伝送が良好となる種々の値をとり得る。
図7は、図1に示した非接触送受電システム10の詳細な構成を示す回路図である。図7を参照して、車両100は、受電ユニット110および通信部160に加えて、整流器180と、充電リレー(CHR)170と、蓄電装置190と、システムメインリレー(SMR)115と、パワーコントロールユニットPCU(Power Control Unit)120と、モータジェネレータ130と、動力伝達ギヤ140と、駆動輪150と、制御装置である車両ECU(Electronic Control Unit)300と、電流センサ171と、電圧センサ172とを含む。受電ユニット110は、コイル111(以下二次自己共振コイル111といい、「共鳴コイル」などと適宜の呼び方をしてもよい)と、コンデンサ112と、二次コイル113とを含む。
なお、本実施の形態においては、車両100として電気自動車を例として説明する。蓄電装置に蓄えられた電力を用いて走行が可能な車両であれば車両100の構成はこれに限られない。車両100の他の例としては、エンジンを搭載したハイブリッド車両や、燃料電池を搭載した燃料電池車などが含まれる。
二次自己共振コイル111は、送電装置200に含まれる一次自己共振コイル221から、電磁場を用いて電磁共鳴により受電する。
この二次自己共振コイル111については、送電装置200の一次自己共振コイル221との距離や、一次自己共振コイル221および二次自己共振コイル111の共鳴周波数等に基づいて、一次自己共振コイル221と二次自己共振コイル111との共鳴強度を示すQ値が大きくなり(たとえば、Q>100)、その結合度を示す結合係数(κ)等が小さく(たとえば0.3以下、好ましくは0.1以下)となるようにその巻数やコイル間距離が適宜設定される。
コンデンサ112は、二次自己共振コイル111の両端に接続され、二次自己共振コイル111とともにLC共振回路を形成する。コンデンサ112の容量は、二次自己共振コイル111の有するインダクタンスに応じて、所定の共鳴周波数となるように適宜設定される。なお、二次自己共振コイル111自身の有する浮遊容量で所望の共振周波数が得られる場合には、コンデンサ112が省略される場合がある。
二次コイル113は、二次自己共振コイル111と同軸上に設けられ、電磁誘導により二次自己共振コイル111と磁気的に結合可能である。この二次コイル113は、二次自己共振コイル111により受電された電力を電磁誘導により取出して整流器180へ出力する。
整流器180は、二次コイル113から受ける交流電力を整流し、その整流された直流電力を、CHR170を介して蓄電装置190に出力する。整流器180としては、たとえば、ダイオードブリッジおよび平滑用のコンデンサ(いずれも図示せず)を含む構成とすることができる。整流器180として、スイッチング制御を用いて整流を行なう、いわゆるスイッチングレギュレータを用いることも可能である。整流器180が受電ユニット110に含まれる場合もある。発生する電磁場に伴うスイッチング素子の誤動作等を防止するために、整流器180を、ダイオードブリッジのような静止型の整流器とすることがより好ましい。
なお、本実施の形態においては、整流器180により整流された直流電力が蓄電装置190へ直接出力される構成としている。整流後の直流電圧が、蓄電装置190が許容できる充電電圧と異なる場合には、整流器180と蓄電装置190との間に、電圧変換するためのDC/DCコンバータ(図示せず)が設けられてもよい。
整流器180の出力部分には、直列に接続された位置検出用の負荷抵抗173とリレー174とが接続されている。本格的な充電が開始される前に、送電装置200から車両100へはテスト用信号として微弱な電力が送電される。このとき、リレー174は車両ECU300からの制御信号SE3によって制御され、導通状態とされる。
電圧センサ172は、整流器180と蓄電装置190とを結ぶ電力線対間に設けられる。電圧センサ172は、整流器180の二次側の直流電圧、すなわち送電装置200から受電した受電電圧を検出し、その検出値VCを車両ECU300に出力する。車両ECU300は、電圧VCによって受電効率を判断し、通信部160を経由して送電装置に受電効率に関する情報を送信する。
電流センサ171は、整流器180と蓄電装置190とを結ぶ電力線に設けられる。電流センサ171は、蓄電装置190への充電電流を検出し、その検出値ICを車両ECU300へ出力する。
CHR170は、整流器180と蓄電装置190とに電気的に接続される。CHR170は、車両ECU300からの制御信号SE2により制御され、整流器180から蓄電装置190への電力の供給と遮断とを切換える。
蓄電装置190は、充放電可能に構成された電力貯蔵要素である。蓄電装置190は、たとえば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池あるいは鉛蓄電池などの二次電池や、電気二重層キャパシタなどの蓄電素子を含んで構成される。
蓄電装置190は、CHR170を介して整流器180と接続される。蓄電装置190は、受電ユニット110で受電され整流器180で整流された電力を蓄電する。また、蓄電装置190は、SMR115を介してPCU120とも接続される。蓄電装置190は、車両駆動力を発生させるための電力をPCU120へ供給する。さらに、蓄電装置190は、モータジェネレータ130で発電された電力を蓄電する。蓄電装置190の出力はたとえば200V程度である。
蓄電装置190には、いずれも図示しないが、蓄電装置190の電圧VBおよび入出力される電流IBを検出するための電圧センサおよび電流センサが設けられる。これらの検出値は、車両ECU300へ出力される。車両ECU300は、この電圧VBおよび電流IBに基づいて、蓄電装置190の充電状態(「SOC(State Of Charge)」とも称される。)を演算する。
SMR115は、蓄電装置190とPCU120とを結ぶ電力線に介挿される。そして、SMR115は、車両ECU300からの制御信号SE1によって制御され、蓄電装置190とPCU120との間での電力の供給と遮断とを切換える。
PCU120は、いずれも図示しないが、コンバータやインバータを含む。コンバータは、車両ECU300からの制御信号PWCにより制御されて蓄電装置190からの電圧を変換する。インバータは、車両ECU300からの制御信号PWIにより制御されて、コンバータで変換された電力を用いてモータジェネレータ130を駆動する。
モータジェネレータ130は交流回転電機であり、たとえば、永久磁石が埋設されたロータを備える永久磁石型同期電動機である。
モータジェネレータ130の出力トルクは、動力伝達ギヤ140を介して駆動輪150に伝達されて、車両100を走行させる。モータジェネレータ130は、車両100の回生制動動作時には、駆動輪150の回転力によって発電することができる。そして、その発電電力は、PCU120によって蓄電装置190の充電電力に変換される。
また、モータジェネレータ130の他にエンジン(図示せず)が搭載されたハイブリッド自動車では、このエンジンおよびモータジェネレータ130を協調的に動作させることによって、必要な車両駆動力が発生される。この場合、エンジンの回転による発電電力を用いて、蓄電装置190を充電することも可能である。
通信部160は、上述のように、車両100と送電装置200との間で無線通信を行なうための通信インターフェースである。通信部160は、車両ECU300からの、蓄電装置190についてのSOCを含むバッテリ情報INFOを送電装置200へ出力する。また、通信部160は、送電装置200からの送電の開始および停止を指示する信号STRT,STPを送電装置200へ出力する。
車両ECU300は、いずれも図7には図示しないがCPU(Central Processing Unit)、記憶装置および入出力バッファを含み、各センサ等からの信号の入力や各機器への制御信号の出力を行なうとともに、車両100および各機器の制御を行なう。なお、これらの制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。
車両ECU300は、ユーザの操作などによる充電開始信号TRGを受けると、所定の条件が成立したことに基づいて、送電の開始を指示する信号STRTを、通信部160を介して送電装置200へ出力する。また、車両ECU300は、蓄電装置190が満充電になったこと、またはユーザによる操作などに基づいて、送電の停止を指示する信号STPを、通信部160を介して送電装置200へ出力する。
アンテナ102および受信機104は、放送電波を受信する。放送の種類は特に限定されず、ラジオ放送、テレビジョン放送を含み得る。受信機104は、無線信号を利用する無線機器の1つである。1つの実施形態において、受信機104は、アンテナ102を介してラジオ放送電波を受信する。ラジオ放送はAM(Amplification Modulation)放送、FM(Frequency Modulation)放送のいずれでもよい。受信機104は、ユーザによって操作される。
図示しないが、受信機104はチューナを含む。ユーザがチューナに対して放送局を指定すると、チューナは、その放送局に対応する周波数を有する信号を、アンテナ102からの信号から選択する。さらにチューナは、その選択された信号を復調する。チューナの受信周波数をユーザが直接的に設定することも可能である。
送電装置200は、充電スタンド210と、送電ユニット220とを含む。充電スタンド210は、通信部230に加えて、制御装置である送電ECU240と、電源部250と、表示部242と、料金受領部246と、アンテナ262と、受信機264とをさらに含む。また、送電ユニット220は、コイル221(以下一次自己共振コイル221といい、「共鳴コイル」などと適宜の呼び方をしてもよい)と、コンデンサ222と、一次コイル223とを含む。
電源部250は、送電ECU240からの制御信号MODによって制御され、商用電源などの交流電源から受ける電力を高周波の電力に変換する。そして、電源部250は、その変換した高周波電力を一次コイル223へ供給する。電源部250は、送電ECU240からの制御信号MODに応じて、動作周波数を変更する。これにより電源部250から出力される高周波電力の周波数が変更される。
なお、図7には、インピーダンス変換を行なう整合器が記載されていない。電源部250と送電ユニット220の間または受電ユニット110と整流器180の間に整合器を設ける構成としても良い。
一次自己共振コイル221は、車両100の受電ユニット110に含まれる二次自己共振コイル111へ、電磁共鳴により電力を転送する。
一次自己共振コイル221については、車両100の二次自己共振コイル111との距離や、一次自己共振コイル221および二次自己共振コイル111の共鳴周波数等に基づいて、一次自己共振コイル221と二次自己共振コイル111との共鳴強度を示すQ値が大きくなり(たとえば、Q>100)、その結合度を示す結合係数κ等が小さくなるようにその巻数やコイル間距離が適宜設定される。結合係数κは、たとえば、0.3以下程度であり、好ましくは、0.1以下である。当然のことながら、結合係数κを0.1〜0.3程度の範囲も採用することができる。結合係数κは、このような値に限定されるものでなく、電力伝送が良好となる種々の値をとり得る。
コンデンサ222は、一次自己共振コイル221の両端に接続され、一次自己共振コイル221とともにLC共振回路を形成する。コンデンサ222の容量は、一次自己共振コイル221の有するインダクタンスに応じて、所定の共鳴周波数となるように適宜設定される。なお、一次自己共振コイル221自身の有する浮遊容量で所望の共振周波数が得られる場合には、コンデンサ222が省略される場合がある。
一次コイル223は、一次自己共振コイル221と同軸上に設けられ、電磁誘導により一次自己共振コイル221と磁気的に結合可能である。一次コイル223は、整合器260を介して供給された高周波電力を、電磁誘導によって一次自己共振コイル221に伝達する。
通信部230は、上述のように、送電装置200と車両100との間で無線通信を行なうための通信インターフェースである。通信部230は、車両100側の通信部160から送信されるバッテリ情報INFO、および、送電の開始および停止を指示する信号STRT,STPを受信し、これらの情報を送電ECU240へ出力する。
料金受領部246には充電に先立って、現金、プリペイドカード、クレジットカードなどが挿入される。送電ECU240は電源部250に微弱電力によるテスト信号を送信させる。ここで、「微弱電力」とは、認証後にバッテリを充電する充電電力よりも小さい電力、あるいは、位置合わせの際に送電する電力であって、間欠的に送電する電力も含んでも良い。
アンテナ262および受信機264は、アンテナ102および受信機104のそれぞれと同様の機能を有する。受信機264は、ラジオ放送の周波数帯域として予め決められた周波数帯域内で受信周波数をスキャンする。すなわち受信機264は、周波数探索処理を実行する。受信機264は、受信周波数を連続的あるいは離散的に走査して、その受信周波数に対応する信号を出力する。送電ECU240は、受信機264からの信号の強度(受信強度)を検出する。これにより、送電ECU240は、送電装置200の設置場所において受信可能な放送電波の周波数に関する情報を取得する。本実施の形態では、送電装置200の設置場所において受信可能な放送電波の周波数に関する情報を「周波数情報」と呼ぶ。
車両ECU300はテスト信号を受信するために、リレー174をオン状態とし、CHR170をオフ状態とするように制御信号SE2,SE3を送信する。そして電圧VCに基づいて受電効率および充電効率を算出する。車両ECU300は、算出した充電効率または受電効率を通信部160によって送電装置200に送信する。
送電装置200の表示部242は、充電効率やそれに対応する充電電力単価をユーザに対して表示する。表示部242は、たとえばタッチパネルのように入力部としての機能も有しており、充電電力単価をユーザが承認するか否かの入力を受け付けることができる。
送電ECU240は、充電電力単価が承認された場合には電源部250に本格的な充電を開始させる。充電が完了すると料金受領部246において料金が精算される。
送電ECU240は、いずれも図7には図示しないがCPU、記憶装置および入出力バッファを含み、各センサ等からの信号の入力や各機器への制御信号の出力を行なうとともに、充電スタンド210における各機器の制御を行なう。なお、これらの制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。
なお、送電装置200から車両100への電力伝送については、図3、図4で説明した送電ユニット90および受電ユニット91についての関係が成立する。図7の電力伝送システムにおいては、送電ユニット220の固有周波数と、受電ユニット110の固有周波数との差は、送電ユニット220の固有周波数または受電ユニット110の固有周波数の±10%以下である。このような範囲に送電ユニット220および受電ユニット110の固有周波数を設定することで電力伝送効率を高めることができる。一方、上記の固有周波数の差が±10%よりも大きくなると、電力伝送効率が10%よりも小さくなり、電力伝送時間が長くなるなどの弊害が生じる。
車両100は、さらに、送電装置200と通信を行ない、送電ユニット220が車両100の受電ユニット110に適合するか否かの判断結果を表示する表示部142を含む。
送電ECU240は、周波数情報に基づいて、送電装置200の伝送周波数を設定する。具体的には、送電ECU240は、伝送周波数および放送周波数のうちの一方の周波数が他方の周波数の整数倍と異なるように伝送周波数を設定する。
「伝送周波数」とは、送電装置が電力を受電装置に伝送するときの送電装置の動作に関連付けられる周波数と定義される。この実施の形態では、「伝送周波数」は、電源部250の動作周波数に等しい。ただし、伝送周波数は、このように限定されるものではない。たとえば共鳴周波数を「伝送周波数」と定義できる場合もあり得る。
電源部250の動作により、電源部250がノイズを発生しうる。ノイズとして高調波が考えられる。高調波は、基本波の周波数の整数倍の周波数を有する。伝送周波数がある放送周波数以下である場合には、高調波ノイズの周波数がその放送電波の周波数と一致する可能性がある。また、伝送周波数そのものが放送電波の周波数と一致する可能性も考えられる。
送電ECU240は、伝送周波数の整数倍の周波数が、放送電波の周波数と異なるように、伝送周波数を設定する。上述のように、伝送周波数の整数倍の周波数とは、高調波ノイズの周波数を含む。高調波ノイズの周波数が放送電波の周波数と異なるように伝送周波数を設定することにより、車両100の受信機104における放送電波の受信への影響を小さくすることができる。
さらに他の実施の形態では、電源部250が低調波ノイズを発生する可能性を考慮して伝送周波数を設定することができる。低周波は、基本波の周波数の整数分の1(1/n)の周波数を有する。放送周波数が伝送周波数以下であり、かつ、電源部250が低調波ノイズを発生する場合には、低調波ノイズの周波数がある放送電波の周波数と一致する可能性がある。さらに伝送周波数そのものが放送電波の周波数と一致する可能性も考えられる。
この場合には、送電ECU240は、放送電波の整数倍の周波数が、伝送周波数と異なるように伝送周波数を設定する。たとえば伝送周波数の1/n(nは1以上の整数)倍の周波数が放送周波数と異なるように、伝送周波数を設定する。この場合にも車両100の受信機104における放送電波の受信への影響を小さくすることができる。
以下、伝送周波数が放送周波数以下であり、電源部250がノイズを発生しうる実施形態について説明する。
図8は、送電ユニットおよび受電ユニットの変形例を示した図である。
図8に示すように、図7の電磁誘導コイル113,223を介在させないようにしてもよい。図8の構成では、送電装置200には送電ユニット220Kが設けられ、車両100には受電ユニット110Kが設けられる。
送電ユニット220Kは、電源部250に接続された自己共振コイル221と、自己共振コイル221と直列に電源部250に接続されたコンデンサ222とを含む。
受電ユニット110Kは、整流器180に接続された自己共振コイル121と、自己共振コイル121と直列に整流器180に接続されたコンデンサ112とを含む。
他の部分の構成については、図8の構成は図7で説明した構成と同じであるので説明は繰返さない。
図9は、図7および図8に示した電源部250の構成の一例を示した図である。図9を参照して、電源部250は、発振回路251と、信号生成回路252と、スイッチング回路253とを含む。発振回路251の発振周波数は可変である。発振周波数は送電ECU240により制御される。
信号生成回路252は、発振回路251の発振周波数を基準として、スイッチング回路253の駆動のための信号を生成する。信号生成回路252により生成される信号の周波数は、発振回路251の発振周波数に依存する。
スイッチング回路253は、信号生成回路252からの信号に応じて、スイッチング動作を行なう。スイッチング回路253は、電源12からの交流電力を、より高い周波数を有する電力へと変換する。たとえばスイッチング回路253は、D級アンプを含む。
この実施の形態では、送電装置200の伝送周波数は電源部250のスイッチング周波数に等しい。そのスイッチング周波数は発振回路251の発振周波数によって決定される。発振周波数を変更することによって、送電装置200の伝送周波数が変更される。
発振回路251の発振周波数が固定されるとともに、電源部250の出力にインピーダンス整合回路が接続されてもよい。この構成によれば、送電ECU240がインピーダンス整合回路のインピーダンスを調整することによって、送電装置200の伝送周波数を変更することができる。
図9に示されるように、スイッチング回路253が動作することによって、高周波電力が生成される。一方で、電源部250からは高調波ノイズが発生する。
図10は、高調波ノイズによる問題点を説明するための模式的な波形図である。図10を参照して、周波数faは伝送周波数を示す。図10に示されるように、送電装置200からの電力の送出時には、スプリアスノイズが多く発生する可能性がある。この場合、スプリアスノイズは主として高調波ノイズである。
周波数fbは、ある次数の高調波ノイズの周波数を示す。周波数fbは、ある特定のラジオ放送の周波数と一致する。この場合、ユーザが、車両100の受信機104によってそのラジオ放送を受信するときに、高調波ノイズが受信機104の動作に影響を与える可能性が高い。たとえば再生された音声にノイズが含まれる。
第1の実施の形態によれば、送電ECU240は受信機264を制御して、送電装置200が設置された場所において受信可能なラジオ放送電波の周波数を探索する。これにより送電ECU240は周波数情報を取得する。そして送電ECU240は、高調波ノイズの周波数が、ラジオ放送電波の周波数と異なるように、伝送周波数を設定する。すなわち、送電ECU240は、伝送周波数の整数倍の周波数が放送電波の周波数と異なるように、伝送周波数を設定する。
高調波ノイズの周波数がラジオ放送電波の周波数と異なることで、送電装置200による送電が受信機104の動作に与える影響を小さくすることができる。なお、ある放送局のラジオ放送が、ある周波数帯域を使用する場合、高調波ノイズの周波数がその使用周波数帯域から外れるように伝送周波数を設定することが、より好ましい。
伝送周波数の整数倍の周波数は、制限なく算出可能である。伝送周波数の整数倍の周波数が放送電波の周波数と異なるかどうかの判断のため、この実施の形態では、たとえば、伝送周波数の倍数の上限値が予め定められる。この上限値は、たとえば実験において送電装置から発生する高調波ノイズのスペクトルを測定することで決定される。予め定められた基準レベルよりも大きな強度の高調波ノイズが、受信機の動作に影響しうるノイズとして特定される。その高調波ノイズの次数を特定することによって、伝送周波数の倍数の上限値を定めることができる。
送電装置の設置場所では複数の放送局の各々のラジオ放送が受信可能であり得る。したがって、別の方法では、伝送周波数の倍数の周波数と、最も高い周波数を有する放送電波の、その放送周波数とが比較されてもよい。放送電波の最も高い周波数に最も近いノイズ周波数に基づいて、伝送周波数の倍数の上限値を定めることができる。
図11は、本発明の第1の実施の形態に係る、伝送周波数の設定処理を示したフローチャートである。図11を参照して、送電装置200(電源部250)が起動されることにより、この処理が開始される。図11に示された処理は、主として送電ECU240により実行される。
ステップS1において、送電ECU240は、周波数探索処理を実行する。具体的には、送電ECU240は、受信機264を制御して、受信機264の受信周波数を変化させる。受信機264は、たとえばラジオ放送に割当てられた周波数帯域内で受信周波数を走査する。
ステップS2において、送電ECU240は、ラジオ放送周波数fdを取得する。送電ECU240は、受信機264からの信号を受けて、送電装置200の設置場所におけるラジオ放送周波数についての周波数情報を取得する。周波数情報は、具体的には、周波数fdを示す情報である。
なお、ステップS2において、中心周波数fdを含む周波数帯域を算出してもよい。その帯域幅は、たとえば予め定められる。
ステップS3において、送電ECU240は、変数iを1に設定する。変数iは、n(nは2以上の整数)の候補周波数ft1〜ftnの中から1つの周波数を選択するために用いられる。送電ECU240は、予め規定されたn個の候補周波数ft1〜ftnを準備する。周波数ft1〜ftnを準備するタイミングは特に限定されない。たとえばステップS3において、周波数ft1〜ftnが準備されてもよい。別の例では、送電ECU240は、図11に示された処理が開始されると同時に周波数ft1〜ftnを準備する。
ステップS4において、変数iがnより大きいかどうかが判定される。変数iがn以下の場合(ステップS4においてNO)、処理はステップS5に進む。
ステップS5において、送電ECU240は、変数iを用いて、予め規定された候補周波数ft1〜ftnの中から周波数ftiを選択する。ステップS6において、送電ECU240は、その周波数ftiの整数倍の周波数がラジオ放送周波数fdに一致するか否かを判定する。周波数ftiの整数倍の周波数とは、高調波ノイズ周波数に対応する。
周波数ftiの整数倍の周波数がラジオ放送周波数fdに一致する場合(ステップS6においてYES)、処理はステップS7に進む。ステップS7において、送電ECU240は、変数iに1を加える(i=i+1)。ステップS7の後、処理はステップS4に戻される。
周波数ftiの整数倍の周波数がラジオ放送周波数fdに一致しない場合(ステップS6においてNO)、処理はステップS8に進む。ステップS8において、送電ECU240は、ステップS5において選択された周波数ftiを伝送周波数ftとして設定する。ステップS8の処理の後、ステップS7の処理が実行される。ステップS7の後、処理はステップS4に戻される。
ステップS4において、変数iがnよりも大きい場合(ステップS4においてYES)、処理はステップS9に進む。ステップS9において、送電ECU240は、ステップS8で設定された周波数ftの個数が複数であるかどうかを判定する。ftの個数が1つである場合には、処理はステップS10に進む。ステップS10において、送電ECU240は、その周波数ftを伝送周波数ftに決定する。
ftの個数が複数である場合には、処理はステップS10Aに進む。ステップS10Aにおいて、送電ECU240は、各周波数ftに対応する伝送効率を比較する。送電ECU240は、複数の周波数ftの中から、伝送効率が最も高くなる周波数を選択する。ステップS10において、送電ECU240は、その選択された周波数を伝送周波数ftに決定する。ステップS10の処理が終了すると全体の処理が終了する。
図12は、図11に示された処理を説明するための模式図である。図11および図12を参照して、周波数探索処理により、周波数fA,fB,fC,fDの各々がラジオ放送周波数fdとして取得される(ステップS1,S2)。周波数ft1,ft2,ft3は、伝送周波数として利用可能な周波数帯の中から選択された周波数である。周波数ft1〜ft3は、予め規定された候補周波数である。なお、周波数ft1,ft2,ft3を選択するための条件は特に制限されるものではない。この場合、n=3である。
次に、変数iが1に設定される(ステップS3)。i<n(=3)である(ステップS4においてNO)。ステップS5において、周波数ft1が選択される。
ステップS6において、周波数ft1の整数倍の周波数が周波数fA,fB,fC,fDのいずれかに一致するかどうかが判定される。図12に示されるように、周波数ft1の整数倍の周波数(すなわち高調波ノイズ周波数)として周波数f1〜f7が算出される。まず、ノイズ周波数f1が周波数fA,fB,fC,fDのいずれかに一致するかどうかが判定される。ノイズ周波数f1は、周波数fA,fB,fC,fDのいずれにも一致しない。次にノイズ周波数f2が周波数fA,fB,fC,fDのいずれかに一致するかどうかが判定される。同じく、ノイズ周波数f2は、周波数fA,fB,fC,fDのいずれにも一致しない。
上記の処理が、周波数f3〜f7の各々に対しても実行される。すなわち、ノイズ周波数f1〜f7の中に、周波数fA,fB,fC,fDのうちの1つと一致する周波数は存在しない。したがって、ステップS8において、周波数ft1が伝送周波数ftとして設定される。
次に、変数iが2に設定される(ステップS7)。この場合、i<n(=3)である(ステップS4においてNO)。したがって、ステップS5において、周波数ft2が選択される。
ステップS6において、周波数ft2の整数倍の周波数が周波数fA,fB,fC,fDのいずれかに一致するかどうかが判定される。なお、図12では、周波数ftiの変化に伴う高調波ノイズ周波数の変化を分かりやすく示すために、高調波ノイズ周波数を、いずれの候補周波数ftiに対しても共通にf1〜f7と示す。
候補周波数がft2の場合、ノイズ周波数f5が周波数fBに一致する(ステップS5においてYES)。この場合、処理はステップS7に進み、変数iが3に設定される。すなわち、周波数ft2は、伝送周波数として設定されない。
周波数ft3についての処理は、周波数ft1についての処理と同様であるので以後の説明は繰り返さない。ノイズ周波数f1〜f7の中に、周波数fA,fB,fC,fDのうちの1つと一致する周波数は存在しない。これにより、周波数ft3が伝送周波数ftの候補に設定される(ステップS8)。
次に変数iが4に設定される(ステップS7)。i>n(=3)であると判定される(ステップS4においてYES)。伝送周波数として設定された候補周波数(ft1,ft3)の数は2である。すなわち周波数ftの数は複数である(ステップS9)。したがって、伝送周波数がft1の場合の伝送効率と、伝送周波数がft3の場合の伝送効率とが比較される。
たとえば、図5に示された電力伝送効率とエアギャップAGとの関係を利用して伝送周波数を設定することができる。たとえばエアギャップAGが測定される。送電ECU240は、図5に示された関係を利用して、測定されたエアギャップ、またはそれに近いエアギャップと関連付けられた、電力伝送効率と周波数との関係を導出する。その導出された関係を参照することにより、送電ECU240は、複数の候補の中から、伝送効率が最も高い周波数を伝送周波数として選択する。たとえば伝送周波数がft1の場合の伝送効率が、伝送周波数がft3の場合の伝送効率よりも高い。この場合には、周波数ft1が伝送周波数に決定される(ステップS10)。
第1の実施の形態によれば、送電装置は、送電装置の設置場所において受信可能なラジオ放送の周波数を探索する。そして送電装置は、伝送周波数の整数倍の周波数(ノイズ周波数)がラジオ放送の周波数と重ならないように伝送周波数を設定する。これにより、受電装置の近くにある受信機の影響を小さくすることができる。したがって、送電装置200からの電力の送出時に、周囲の放送受信機(受信機104)での放送の受信における影響を小さくすることができる。
受信可能なラジオ放送周波数は、送電装置が設置される場所に依存する。送電装置の設置場所に依存することなく、ノイズ周波数がラジオ放送周波数と異なるように伝送周波数を設定することは難しい。第1の実施の形態によれば、送電装置の設置後に伝送周波数を設定することができる。したがって、ノイズ周波数がラジオ放送周波数と異なるように伝送周波数を設定することができる。
[実施の形態2]
図13は、本発明の第2の実施の形態に係る非接触送受電システムの一構成例を示す全体ブロック図である。図14は、図13に示した非接触送受電システム10Aの詳細な構成を示す回路図である。図13および図14を参照して、非接触送受電システム10Aは、送電装置200Aと車両100とを備える。送電装置200Aは、アンテナ262と、受信機264とが省略されている点において、送電装置200(図1および図7参照)と異なる。非接触送受電システム10Aの他の部分の構成は非接触送受電システム10の対応する部分の構成と同様であるので以後の説明は繰り返さない。
第2の実施の形態では、車両ECU300が、ラジオ放送の周波数を探索する。具体的には、車両ECU300は、受信機104の受信周波数を走査しながら、受信機104からの信号を受ける。車両ECU300は、受信機104からの信号の強度に基づいて、受信されたラジオ放送に対応付けられる放送周波数の情報を取得する。
図15は、本発明の第2の実施の形態に係る、車両100による周波数情報を取得する処理を説明するためのフローチャートである。この処理は、送電装置200Aから車両100への電力の伝送が開始される前に実行される。たとえば、送電装置200Aから車両100への電力の伝送が開始される前に、送電装置200Aと車両100との間の通信が確立される。このときに図15に示される処理が実行される。図15に示される処理が実行されるときには、車両100は移動中でもよく(たとえば車両100が送電装置200Aに近づく)、車両100は停車していてもよい。上記のタイミングにおいて周波数探索処理が実行されることにより、車両100において受信可能なラジオ放送は、送電装置200Aの位置において受信可能なラジオ放送に対応する。
図14および図15を参照して、ステップS11において、車両ECU300は、周波数探索処理を実行する。具体的には、車両ECU300は、受信機104を制御して、受信機104の受信周波数を変化させる。受信機104は、たとえばラジオ放送に割当てられた周波数帯域内で受信周波数を走査する。
ステップS12において、車両ECU300は、ラジオ放送周波数fdを取得する。ステップS12の処理は、図11に示されたステップS2の処理と同様であるので以後の説明は繰り返さない。
ステップS13において、車両ECU300は、周波数fdの情報(周波数情報)を送電装置200Aに送信する。具体的には、車両ECU300は、周波数fdの情報を通信部160に出力する。通信部160は、その情報を、無線信号により送電装置200Aへ送信する。
ステップS11,12の処理は、受信機104のオートチューニング機能を利用して実行されてもよい。たとえば受信機104は予め記憶された受信周波数に同調する。その受信周波数を有する放送信号の強度が基準値を下回る場合に、図15の処理が実行される。この場合、送電装置200Aから車両100への電力の転送が開始されるときにステップS13の処理が実行される。
図16は、本発明の第2の実施の形態に係る、伝送周波数の設定処理を示したフローチャートである。図11および図16を参照して、第2の実施形態では、ステップS1,S2の処理に代えてステップS21の処理が実行される。この点で、第2の実施の形態は係る伝送周波数の設定処理は、第1の実施の形態に係る伝送周波数の設定処理と異なる。
ステップS21において、送電ECU240は、ラジオ放送周波数fdの情報を車両100から受信する。具体的には、通信部230は、車両100から無線信号を受信することにより、車両100からの周波数情報を受信する。通信部230は、その周波数情報を送電ECU240に送信する。送電ECU240は、通信部230から周波数fdに関する周波数情報を取得する。ステップS21よりも後のステップの処理は、図11に示された対応するステップの処理と同様であるので以後の説明は繰り返さない。なお、送電ECU240は、たとえば図16の処理の開始時に、周波数ft1〜ftnを、伝送周波数の候補として準備する。
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、送電装置200Aからの電力の送出時に、周囲の放送受信機(受信機104)での放送の受信における影響を小さくすることができる。さらに第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態に比べて送電装置の構成を簡素化することができる。
[実施の形態3]
図17は、本発明の第3の実施の形態に係る非接触送受電システムの一構成例を示す全体ブロック図である。図18は、図17に示した非接触送受電システム10Bの詳細な構成を示す回路図である。第2の実施の形態との比較により、第3の実施の形態に係る非接触送受電システムが以下に説明される。
図17および図18を参照して、非接触送受電システム10Bは、送電装置200Aと車両100Aとを備える。車両100Aは、GPS(Global Positioning System)受信部320と、記憶部330とをさらに備える点において車両100と異なる。非接触送受電システム10Bの他の部分の構成は非接触送受電システム10Aの対応する部分の構成と同様であるので以後の説明は繰り返さない。
GPS受信部320は、GPS衛星400からの電波を受ける。一般に、位置の情報を得るために、GPS受信部は複数のGPS衛星からの電波を受信する。ただし図17および図18では、理解を容易にするために1つの衛星のみが示されている(以後に説明する図も同様)。GPS受信部320は、受電装置を搭載した車両100Aの位置に関する位置情報を取得する位置情報取得部を実現する。
車両ECU300は、GPS受信部320からの信号を受けて、車両100Aの現在位置を把握する。記憶部330は、位置情報と周波数とが対応付けられたテーブルを予め記憶する。車両ECU300は、現在位置の情報と、テーブルとを用いて、ラジオ放送の周波数の情報を取得する。
なお、図18に示された構成によれば、テーブルは記憶部330に予め格納される。しかしながら、車両ECU300は、たとえば図示しない通信回線を通じてテーブルを取得してもよい。
図19は、本発明の第3の実施の形態において、周波数情報の取得に用いられるテーブルの一構成例を示した図である。図19を参照して、各地域とラジオ放送の放送局とが対応付けられてテーブルに登録される。さらに放送局と周波数とが対応付けられる。
図20は、本発明の第3の実施の形態に係る、車両100Aが周波数情報を取得する処理を説明するためのフローチャートである。この処理は、たとえば送電装置200から車両100Aへの電力の伝送が開始される前に実行される。「電力の伝送が開始される前」を示すタイミングは、実施の形態2の場合でのタイミングと同様である。
図18および図20を参照して、ステップS31において、車両ECU300は、GPS受信部320からの信号を受信することにより、車両100Aの現在位置に関する位置情報を取得する。この処理は、公知の手法を利用して実行可能であるので詳細な説明は繰り返さない。
ステップS32において、車両ECU300は、ラジオ放送周波数fdを取得する。具体的には、車両ECU300は、記憶部330からテーブル(図19を参照)を読出す。車両ECU300は、そのテーブルおよび、ステップS21において取得された位置情報から、現在位置に対応する地域を決定する。車両ECU300は、テーブルを参照して、その地域に対応する放送局を決定するとともに、その放送局の周波数(周波数fd)についての情報を取得する。
ステップS33において、車両ECU300は、周波数fdの情報(周波数情報)を送電装置200に送信する。この処理は、図15に示されたステップS13の処理と同様であるので以後の説明は繰り返さない。
送電装置200Aは、図16に示されるフローチャートに従って、電力伝送周波数を設定する。
第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、送電装置200Aからの電力の送出時に、周囲の放送受信機(受信機104)での放送の受信における影響を小さくすることができる。また、第2の実施の形態と同じく、第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態に比べて送電装置の構成を簡素化することができる。さらに、第3の実施の形態によれば、受信機によりラジオ放送の周波数を探索する処理が不要となる。したがって、送電装置から受電装置への送電の準備に要する時間を短くすることができる。
なお、車両100Aにおいて位置情報を取得するための方法は、上記の方法に限定されるものではない。たとえば車両ECU300に、車両300の現在位置を特定するための情報が入力されてもよい。このような情報は、たとえば郵便番号、ZIPコード、電話番号、住所などを含み得る。図19に示されたテーブルを、そのような情報に基づいてラジオ放送周波数を特定できるように構成することができる。
[実施の形態4]
図21は、本発明の第4の実施の形態に係る非接触送受電システムの一構成例を示す全体ブロック図である。図22は、図21に示した非接触送受電システム10Cの詳細な構成を示す回路図である。
図21および図22を参照して、非接触送受電システム10Cは、送電装置200Bと車両100とを備える。車両100の構成は、第1の実施の形態に係る車両の構成と同じである。送電装置200Bは、GPS受信部420と、記憶部248とをさらに備える点において送電装置200A(図18を参照)と異なる。
GPS受信部420と、記憶部248とは、図18に示したGPS受信部320および記憶部330とそれぞれ同じ機能を有する。GPS受信部420は、GPS衛星400からの電波を受ける。送電ECU240は、GPS受信部420からの信号を受けて、送電装置200Bの現在位置を把握する。この実施の形態では、GPS受信部420は、送電装置200Bの位置に関する位置情報を取得する位置情報取得部を実現する。
記憶部248は、位置情報と周波数とが対応付けられたテーブルを予め記憶する。一実施形態では、このテーブルの構成は、図19に示された構成と同じである。送電ECU240は、取得された位置情報と、テーブルとを用いて、ラジオ放送の周波数の情報を取得する。なお、第3の実施の形態と同様に、送電ECU240は、図示しない通信回線を通じてテーブルを取得してもよい。
図23は、本発明の第4の実施の形態に係る、伝送周波数の設定処理を示したフローチャートである。送電装置200(電源部250)が起動されることにより、この処理が開始される。図23に示された処理は、主として送電ECU240により実行される。
図11および図23を参照して、第4の実施の形態によれば、ステップS1,S2の処理に代えて、ステップS41,S42の処理が実行される。ステップS41において、送電ECU240は、GPS受信部420からの信号を受信して、送電装置200Bの現在位置を示す位置情報を取得する。この処理は、ステップS31(図20参照)における車両ECU300の処理と同様である。
ステップS42において、送電ECU240は、ラジオ放送周波数fdを取得する。具体的には、送電ECU240は、記憶部248からテーブル(図19を参照)を読出す。送電ECU240は、そのテーブルおよび、ステップS41において取得された位置情報から、現在位置に対応する地域を決定する。送電ECU240は、テーブルを参照して、その地域に対応する放送局を決定するとともに、その放送局の周波数(周波数fd)についての情報を取得する。なお、送電ECU240は、たとえば図23の処理の開始時に、周波数ft1〜ftnを、伝送周波数の候補として準備する。
次にステップS3の処理が実行される。ステップS3およびそれ以後のステップの処理は、図11に示された処理と同様であるので以後の説明を繰り返さない。
第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、送電装置200Bからの電力の送出時に、周囲の放送受信機(受信機104)での放送の受信における影響を小さくすることができる。
なお、送電装置は基本的には移動しない。したがって、第1および第4の実施の形態において、送電装置が最初に送電する際にのみ、ラジオ放送周波数とノイズ周波数とが重ならないように伝送周波数を設定することができる。この構成の場合、送電装置は、その伝送周波数を記憶する。2回目およびそれ以後の送電の際に、送電装置はその記憶された伝送周波数を用いて受電装置に電力を送ることができる。
また、第2、第3および第4の実施の形態において、図8に示された構成のように、電磁誘導コイル113,223を省略することが可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10,10A〜10C 非接触送受電システム、12 電源、89 電力伝送システム、90,220,220K 送電ユニット、91,110,110K 受電ユニット、92,97,113,223 電磁誘導コイル、93 送電部、94,99 共鳴コイル、95,98 キャパシタ、96 受電部、100,100A 車両、102,262 アンテナ、104,264 受信機、111 コイル、112,222 コンデンサ、113,350 二次コイル、118 動力生成装置、120 PCU、121,221 自己共振コイル、130 モータジェネレータ、140 動力伝達ギヤ、142,242 表示部、150 駆動輪、160,230 通信部、171 電流センサ、172 電圧センサ、173 負荷抵抗、174 リレー、180 整流器、190 蓄電装置、200,200A,200B 送電装置、210 充電スタンド、223,320 一次コイル、246 料金受領部、248,330 記憶部、250 電源部、251 発振回路、252 信号生成回路、253 スイッチング回路、260 整合器、300 車両ECU、310 高周波電源、320,420 GPS受信部、360 負荷、400 GPS衛星。

Claims (19)

  1. 受電装置に電力を非接触で伝送する非接触送電装置であって、
    可変の伝送周波数で電力を送出する伝送ユニットと、
    前記非接触送電装置の位置において受信可能な放送電波の周波数に関する周波数情報に基づいて、前記伝送周波数を設定する送電制御部とを備え、
    前記送電制御部は、前記伝送周波数および前記放送電波の周波数のうちの一方が他方の整数倍とは異なるように前記伝送周波数を設定する、非接触送電装置。
  2. 前記非接触送電装置は、
    前記放送電波を受信するための受信機をさらに備え、
    前記送電制御部は、前記受信機を用いた周波数探索処理を実行して、前記受信機の受信強度に基づいて前記周波数情報を取得する、請求項1に記載の非接触送電装置。
  3. 前記非接触送電装置は、
    前記受電装置から伝送された前記周波数情報を受信して、当該受信された周波数情報を前記送電制御部に送信する通信部をさらに備える、請求項1に記載の非接触送電装置。
  4. 前記非接触送電装置は、
    前記非接触送電装置の位置に関する位置情報を取得する位置情報取得部をさらに備え、
    前記送電制御部は、前記放送電波の受信位置と前記放送電波の周波数とが関連付けられた情報および、前記位置情報に基づいて、前記周波数情報を取得する、請求項1に記載の非接触送電装置。
  5. 前記送電制御部は、前記伝送周波数の整数倍に対応するノイズ周波数が前記放送電波の周波数と異なるように前記伝送周波数を設定する、請求項1から4のいずれか1項に記載の非接触送電装置。
  6. 前記送電制御部は、前記伝送周波数として設定可能な複数の周波数の候補が存在する場合には、前記非接触送電装置と前記受電装置との間での伝送効率に基づいて、前記複数の周波数の候補のうちの1つを前記伝送周波数に決定する、請求項1から5のいずれか1項に記載の非接触送電装置。
  7. 送電装置から送出される電力を非接触で受電する非接触受電装置であって、
    前記非接触受電装置の位置において受信可能な放送電波の周波数に関する周波数情報を取得する受電制御部と、
    前記受電制御部により取得された前記周波数情報を前記送電装置に伝送する通信部と、
    前記周波数情報に従って決定された伝送周波数で前記送電装置から送られた電力を非接触で受電するための受電ユニットとを備え、
    前記伝送周波数は、前記伝送周波数および前記放送電波の周波数のうちの一方が他方の整数倍とは異なるように定められる、非接触受電装置。
  8. 前記非接触受電装置は、
    前記放送電波を受信するための受信機をさらに備え、
    前記送電装置が電力を送る前に、前記受電制御部は、前記受信機を用いた周波数探索処理を実行して、前記受信機の受信強度に基づいて前記周波数情報を取得する、請求項7に記載の非接触受電装置。
  9. 前記非接触受電装置は、
    前記非接触受電装置の位置に関する位置情報を取得する位置情報取得部をさらに備え、
    前記送電装置が電力を送る前に、前記受電制御部は、前記放送電波の受信位置と前記放送電波の周波数とが関連付けられた情報および、前記位置情報に基づいて、前記周波数情報を取得する、請求項7または8に記載の非接触受電装置。
  10. 請求項7から9のいずれか1項に記載の非接触受電装置を備える、車両。
  11. 可変の伝送周波数で電力を送出する送電装置と、
    前記送電装置から送出される電力を非接触で受電するための受電装置とを備え、
    前記送電装置は、前記送電装置の位置において受信可能な放送電波の周波数に関する周波数情報に基づいて、前記伝送周波数および前記放送電波の周波数のうちの一方が他方の整数倍とは異なるように前記伝送周波数を設定する、非接触送受電システム。
  12. 前記送電装置は、
    前記伝送周波数で電力を送出する伝送ユニットと、
    前記周波数情報を取得して、前記周波数情報に基づいて前記伝送周波数を設定する送電制御部とを含む、請求項11に記載の非接触送受電システム。
  13. 前記送電装置は、
    前記放送電波を受信するための受信機をさらに含み、
    前記送電制御部は、前記受信機を用いた周波数探索処理を実行して、前記受信機の受信強度に基づいて前記周波数情報を取得する、請求項12に記載の非接触送受電システム。
  14. 前記受電装置は、
    前記周波数情報を取得する受電制御部と、
    前記受電制御部により取得された前記周波数情報を前記送電装置に伝送する第1の通信部とを含み、
    前記送電装置は、
    前記第1の通信部から伝送された前記周波数情報を受信して、当該受信された周波数情報を前記送電制御部に送信する第2の通信部をさらに含む、請求項12に記載の非接触送受電システム。
  15. 前記受電装置は、
    前記放送電波を受信するための受信機をさらに含み、
    前記受電制御部は、前記受信機を用いた周波数探索処理を実行して、前記受信機の受信強度に基づいて前記周波数情報を取得する、請求項14に記載の非接触送受電システム。
  16. 前記受電装置は、
    前記受電装置の位置に関する位置情報を取得する位置情報取得部をさらに含み、
    前記受電制御部は、前記放送電波の受信位置と前記放送電波の周波数とが関連付けられた情報および、前記位置情報に基づいて、前記周波数情報を取得する、請求項14に記載の非接触送受電システム。
  17. 前記送電装置は、
    前記送電装置の位置に関する位置情報を取得する位置情報取得部をさらに含み、
    前記送電制御部は、前記放送電波の受信位置と前記放送電波の周波数とが関連付けられた情報および、前記位置情報に基づいて、前記周波数情報を取得する、請求項12に記載の非接触送受電システム。
  18. 前記送電制御部は、前記伝送周波数の整数倍に対応するノイズ周波数が前記放送電波の周波数と異なるように前記伝送周波数を設定する、請求項12から17のいずれか1項に記載の非接触送受電システム。
  19. 前記送電制御部は、前記伝送周波数として設定可能な複数の周波数の候補が存在する場合には、前記送電装置と前記受電装置との間での伝送効率に基づいて、前記複数の周波数の候補のうちの1つを前記伝送周波数に決定する、請求項12から18のいずれか1項に記載の非接触送受電システム。
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