(第1実施形態) 図1乃至図12は本発明に係るミスト発生装置の第1実施形態を示す。図2に示すように、ミスト発生装置の筐体となる本体ケース1は、下方に設けられた上下方向に長い円筒状のグリップ部2と、該グリップ部2の上方に一体形成されたヘッド部3とで構成される樹脂成形品である。本発明における前後、左右、上下とは、図2乃至図6等に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。なお、図2における上下方向とは、グリップ部2の伸び方向を上下方向と規定しており、図3乃至図6においては、ヘッド部3の伸び方向を上下方向と規定しており、図2と、図3乃至図6とでは「上下方向」が異なることを補足する。
図2に示すように、ヘッド部3は、グリップ部2に連設されたヘッドホルダー3aを含んで構成されており、その内部には、回転体5と、回転体5を回転駆動する回転体駆動手段(モーター)4と、回転体駆動手段4の回転軸に取り付けられるミスト供給用のファン(ファンユニット)46などで構成されるミスト発生部6が配置されている。ヘッドホルダー3aには、その前方側に吐出口185が、後方側に吸気口186が開口している。グリップ部2の下端にはミスト生成用の水(液体)8が収容されるタンク7が着脱自在に装着されており、グリップ部2の内部には、タンク7に収容されている水8をミスト発生部6に送給するための送給ポンプ(液体送給手段)9を含む液体送給部10、回転体駆動用のモーター4等に電力を供給するための電池11、帯電装置117(図7参照)のほか、ミスト発生装置の全体を制御するための制御回路13(図7参照)などが配置されている。図2において、符号14は、制御回路13のほか、帯電装置12を構成する発振回路124等が実装される制御基板を、符号15は、モーター4やポンプ9駆動用のモーター17等をオンオフ操作するためのメインスイッチを、符号16は、洗浄動作時にモーター4をオン操作するための洗浄スイッチを示す。これらメインスイッチ15および洗浄スイッチ16は、グリップ2の筐体前面に設けられている。
タンク7は、円筒形状のグリップ部2の外径寸法と一致する外径寸法を有する円筒容器状に形成された樹脂成形品であり、その上壁面7aには、液体送給部10を構成する吸込パイプ25の下端に装着されたストレーナー24の挿入を許す液体供給口20が上向きに突設されている。グリップ部2の下壁面2aには、吸込パイプ25の突出を許すパイプ用開口21が下向きに突設されており、該パイプ用開口21と液体供給口20との間に、タンク脱着機構が設けられている。タンク脱着機構は、グリップ部2側のパイプ用開口21に設けられた雄ねじ部21aと、タンク7側の液体供給口20に設けられた雄ねじ部21aと螺合結合する雌ねじ部20aとからなり、ストレーナー24および吸込パイプ25を液体供給口20からタンク7内に挿入したうえで、雄ねじ部21aの外面に雌ねじ部20aを所定方向に捩じ込むことにより、グリップ部2の下端にタンク7を装着固定することができる。また、グリップ部2の下端にタンク7が装着された状態から、先とは逆方向にタンク7を回転させることにより、雄ねじ部20aに対する雌ねじ部21aの螺合状態を解除して、タンク7をグリップ部2から取り外すことができる。また、タンク7をグリップ部2から取り外したうえで、液体供給口20からタンク7内に水を供給することで、タンク内7に水を充填することができる。符号22は、パイプ用開口21と吸込パイプ25との間に配されたシールリングを示す。
液体送給部10は、グリップ部2の内部に配された送給ポンプ9と、送給ポンプ9を駆動するモーター17と、送給ポンプ9の吸込口からタンク7の内底に向かって伸びる吸込パイプ25と、送給ポンプ9の吐出口と回転体5との間に配置される吐出流路26とで構成される。吐出流路26は、送給ポンプ9の吐出口からヘッド部3の保護フード45にわたって配置される送給チューブ27と、保護フード45に形成される液体通路28と、液体通路28に連通されて回転体5に向かって伸びる送給管29とで構成される。送給ポンプ9は低圧仕様のギヤポンプからなり、毎秒0.01ml程度の水を吐出流路26へ送出する。送給ポンプ9は、少ない量の液体を送給するのに適するポンプであれば、ギヤポンプに限定されるのもではなく、チューブポンプなどを採用することができる。
図3および図4に示すように、ミスト発生部6が収容されるケース体180は、上下方向中央部に配されたベースケース30と、ベースケース30の下方に配された下ケース31と、ベースケース30の上方に配された上ケース32とで構成される。このミスト発生部6を収容したケース体180は、ヘッド部3内に装着されている。
ミスト発生部6を構成するモーター4を支持するモーターホルダー33は、ベースケース30および下ケース31に設けられた内筒壁35・38で構成される。より詳しくは、ベースケース30は、下方に開口を有する有底直円筒状の内筒壁35と、内筒壁35を囲むように配された外筒壁36と、これら内外筒壁35・36を橋絡する図外の連結腕とを備える二重筒状に構成されており、これら内外筒壁35・36の間に上下方向に連通する連通孔37が形成されている。下ケース31は、上方に開口を有する有底直円筒状の内筒壁38と、該内筒壁38を囲むように配された外筒壁39と、これら内外筒壁38・39を橋絡する図外の連結腕とを備える二重筒状に構成されており、これら内外筒壁38・39の間に上下方向に連通する連通孔40が形成されている。下ケース31の外筒壁39は、径寸法が均一なストレート部39aと、該ストレート部39aに連続して形成されて、下方に行くに従って漸次径寸法が大きくなるテーパー部39bとで構成されている。両ケース30・31の内筒壁35・38の径寸法、およびベースケース30の外筒壁36と下ケース31のストレート部39aの径寸法は、同寸法に設定されており、ベースケース30の下端に下ケース31を装着したとき、ケース体180の内部には、両ケース30・31の内筒壁35・38により内ケース182が形成される。この内ケース182がモーターホルダー33となる。外筒壁36・39の下方には開口41が形成されている。
上ケース32は、ベルマウス状の噴射口43を備える筒壁44からなり、その内部に、ファンユニット46、支持ベース47、回転体5、押さえ板48からなるミスト発生部6が配置されている。図4に示すように、筒壁44は、ベースケース30の外筒壁36に連続するストレート部44aと、ストレート部44aの上端に連続して形成された上拡がりテーパー状のテーパー部44bとで構成されている。保護フード45は、回転体を保護する目的で形成された円板状のフード本体50と、該フード本体50を保持するフードホルダー51とで構成される。フードホルダー51は、フード本体50を浮揚姿勢に支持する3本の支持脚52と、支持脚52の上端に形成されてフード本体50を受け止める支持片53とを備える。フードホルダー51の各支持脚52は、フード本体50から等間隔を置いて放射状に形成されており、その下端部が筒壁44に連結されている。なお、図3等においては、二本の支持脚52・52のみを図示している。
筒壁44と外筒壁36・39により外ケース181が形成される。つまり、内ケース(内方のケース)182と外ケース(外方のケース)181により二重筒状のケース体(ケース)180が構成されている。外ケース181の両端には、流体の出入りを許す噴射口43と開口41とを有しており、内ケース182には、モーター4が設けられており、内ケース182と外ケース181の間には流体の通過を許す連通孔37・40が形成されている。
図3および図4に示すように、保護フード45のフードホルダー51の内部には、液体通路28が形成されている。液体通路28は、一本の支持脚52の内部に形成されて、送給チューブ27(図2参照)が接続される第1流路28aと、支持片53の内部に形成されて、該第1流路28aの下流端に連設された第2流路28bとで構成される。第1流路28aを有する支持脚52の下端部は、筒壁44の外部に突出されており、その下端部に送給チューブ27が外嵌状に接続されている。支持片53の下面の中央部には、液体送給口54が下方に向けて突設されており、この液体送給口54内に、第2流路28bの下流端に接続された送給管29が配置されている。図3および図4において、符号53aは、支持片53の中央部に設けられて、液体送給口54に連通する中央開口を示している。送給管29の下端の給液口29aは、僅かな隙間を介して回転体駆動用のモーター4の出力軸56に近接対向されている(図6参照)。
図4に示すように、ベースケース30の上壁57には、モーター4の出力軸56の突出を許す開口58が形成されており、モーター4は、該開口58を介して上ケース32の噴射口43内に出力軸56が指向する姿勢状態でモーターホルダー33内に配置される。ベースケース30の上壁57から突出するモーター4の出力軸56には、ファンユニット46、支持ベース47、および回転体5が記載順に装着されている。ファンユニット46は、出力軸56に外嵌装着される円柱状のファンベース60と、ファンベース60の外周面に沿って渦巻状に突設した一群のファンブレード61と、ファンブレード61を囲むように形成された円環状の保護リング62とを一体に成形したプラスチック成形品であり、ベースケース30および下ケース31の連通孔37・40を介して、下ケース31の下方開口41から吸い込んだ空気を、上ケース32の噴射口43に向けて送出する。先に述べたように、このファンユニット46は、回転体駆動用のモーター4の出力軸56に装着されている。つまり、モーター4は、ファン駆動用のモーターを兼ねている。
支持ベース47は、下面の径寸法が小さく、上面の径寸法が大きな略逆円錐台形に形成されたプラスチック成形品であり、その上面の四箇所の周方向の等間隔位置には回転体5および押さえ板48を溶着固定するための連結ボス64が突設されている。ファンユニット46および支持ベース47の中央には、出力軸56の外周面に、これらファンユニット46および支持ベース47を外嵌装着するための装着孔65・66が開設されている。ファンユニット46の上面には、支持ベースの下面を受け止める受面67が段付き状に凹み形成されており、ファンユニット46、次いで支持ベース47を出力軸56に装着したとき、ファンユニット46の受面67に支持ベース47の下面が受け止められるようになっている。
図5および図6に示すように、回転体5は、同一の外径寸法を有する複数枚の金属製の回転基板70を積層してなるものであり、本実施例では、4枚の回転基板70a〜70dを積層して回転体5を構成している。各回転基板70a〜70dは、円板状、或いは円リング状の基板本体80と、該基板本体80の上面に立設された多数個の衝突壁81とで構成される。最下方に位置する回転基板70aを構成する基板本体80の盤面中央には、出力軸56の外周面に回転基板70aを外嵌装着するための装着孔71が開設されており、上方に位置する3枚の回転基板70b〜70dを構成する基板本体80の盤面中央には、液体送給口54の挿入を許す微細化前の液体の導入口72が開設されている。すなわち、最下方の回転基板70aの基板本体80は装着孔71を有する円プレート形に形成されており、その余の上方の回転基板70b〜70dの基板本体80は、装着孔71よりも大径の流路導入口72を有する円リング状に形成されている。以上より、これら回転基板70a〜70dを積層してなる回転体5は、液体の導入口72に連通する上方開口を有する円柱ブロック状に形成される。各回転基板70a〜70dの等間隔位置の四箇所には、連結ボス64の挿通を許す連結孔73が開設されている。
回転基板70a〜70dの支持ベース47からの浮き上がりを防ぐ目的で配置される押さえ板48は、最上方の回転基板70dと同等の内径寸法を備える円リング状のベース部75と、ベース部75の内周面から上方に突設して、液体送給口54に近接対向して、回転体5を含むミスト発生部6の揺動を規制する規制筒部76とで構成される。回転基板70a〜70dの連結孔73に対応して、ベース部75の盤面四箇所にも連結孔77が開設されている。
回転体5および押さえ板48は、連結孔73・77に挿通された連結ボス64により、上方に抜け止め状に固定される。より詳しくは、支持ベース47の連結ボス64に回転体5を構成する回転基板70a〜70dおよび押さえ板48の連結孔73・77を位置合わせして、これら回転基板70a〜70dおよび押さえ板48の連結孔73・77内に連結ボス64を挿通させたうえで、連結孔73・77を介して押さえ板48のベース部75から上方に突出する連結ボス64の上端部を熱かしめする。これにより、支持ベース47に対して回転基板70a〜70dおよび押さえ板48を抜け止め状に固定することができる。
また、以上のような構成からなるミスト発生部6は、予め支持ベース47に回転体5および押さえ板48を先の手順で固定して、三者(支持ベース47、回転体5、押さえ板48)をユニット部品化しておくことができる。また、ミスト発生部6は、モーター4の出力軸56に、ファンユニット46、および先のユニット部品を装着することで組付けることができる。先に述べたようにミスト発生部6を収容したケース体180は、ヘッド部3内に装着されている。このとき、ヘッドホルダー3aの吐出口185とケース体180の噴射口43とが連通し、ヘッドホルダー3aの吸気口186とケース体180の開口41とが連通している。つまり、ヘッド部3を前後方向に貫通状に形成して吐出口185、吸気口186および連通孔37・40を構成し、その連通孔37・40に回転体5を含むミスト発生部6を配置している。
上述のように送給管29の下端の給液口29aは、僅かな隙間を介してモーター4の出力軸56に近接対向されている(図6参照)。従って、両モーター4・17を駆動させると、吸込パイプ25を介してタンク7から吸い上げられて、吐出流路26を介して送給管29の給液口29aから吐出された水は、出力軸56の上端で跳ねて、液体の導入口72に係る空間に飛散されたのち、回転体5内に導入される。そして、回転体5内でミスト化された後、ファンユニット46からの送風に乗って噴射口43および吐出口185から放出される。ファンユニット46による送風の際、送風効率を向上させるために吸気口186および開口41から空気が吸い込まれている。より詳しくは、吐出流路26を介して送給管29の給液口29aから吐出されて回転基板70との接触部分まで移動した水は、遠心力によって液体の導入口72に向けて飛散していき、回転基板70a〜70d間に形成された隙間(通路入口)及び回転基板70dとベース部75間に形成される隙間(通路入口)に入り込む。そして衝突壁81に衝突しながら通路内を外方に向けて移動しミスト化される。このとき、出力軸56は、先端に向けて徐々に径が小さくなる構造であるので、給液口29aからの液体を吸い込む作用が働く。また、出力軸56は、液体送給手段9からの液体が断続的に回転基板70に送給されるのを抑制するために設けられる突起を兼ねている。したがって、別途突起を設ける形態に比べて、コスト低減に貢献できる。
図5に示すように、衝突壁81は、基板本体80の中央近傍を除く上面全体に設けられており、基板本体80の周方向に所定間隔で列設されて、環状の衝突壁列82を構成している。衝突壁列82において隣接する衝突壁81の間には、遠心力で跳ね飛ばされた液体が通過する液体通路83が形成されている。衝突壁列82は、回転基板70の径方向へ多重に設けられており、回転基板70の内外方向(径方向)において隣接する衝突壁列82の間には、周方向通路84が形成されている。このように衝突壁列82を多重(三重以上)に設けると、水の微細化をより促進することができる。すなわち、衝突壁列82が回転基板70の径方向へ多重に設けられていると、液体の進行方向を多様化させて、液体をよく分離させることができ、ミストの微細化を促進できる。また、液体通路83と対向する衝突壁81に液体を繰り返して衝突させて、ミストをさらに確実に微細化できる。
外側の衝突壁列82を構成する衝突壁81は、内側の衝突壁列82の液体通路83と対向している。つまり、外側の衝突壁82を構成する各衝突壁81が、内側の衝突壁列82の液体通路83の出口に臨むように配置してある。これにより、回転基板70の中央に送給されて遠心力で跳ね飛ばされた水は、内側の衝突壁列82を構成する液体通路83を通って、外側の衝突壁列82を構成する衝突壁81に必ず衝突させることができる。
外側の衝突壁列82は、内側の衝突壁列82よりも多くの衝突壁81および液体通路83を備えている。このように、外周側の衝突壁列82に多くの液体通路83を設けると、水の進行方向を多様化させて、回転基板70の面全体に広がるように水を分散させることができるので、水の微細化を促進することができる。なお、本実施例においては、外側の衝突壁列82を構成する衝突壁81が、内側の衝突壁列82の液体通路83と対向する状態で配置されているが、この「外側の衝突壁列82を構成する衝突壁81が、内側の衝突壁列82の液体通路83と対向する状態で配置されている」とは、一つの例外も無く、全ての外側の衝突壁列82を構成する衝突壁81が、内側の衝突壁列82の液体通路83と対向する状態で配置されていることを意味するものではなく、大多数の外側の衝突壁列82を構成する衝突壁81が、内側の衝突壁列82の液体通路83と対向する状態で配置されていることをも含む概念である。本実施形態のように、衝突壁82を多重(三重以上)に設けていると、例えば2列の衝突壁列の一部で液体通路が重なって内外方向に液体通路が連通している場合でも、3列目或いは4列目の衝突壁列の衝突壁でカバーして、液体が最外周の衝突壁列82の外方へ飛び出るまでの間に少なくとも一度は衝突壁81に衝突させることができる。
また、複数枚の回転基板70が積層されて回転体5が構成されていると、回転基板70の外径寸法を大きくすることなく、回転体5の表面積を大きくしてミスト発生量の増大化を図ることができる。従って、小型でありながら、ミスト生成能力に優れたミスト発生装置を得ることができる。
液体通路83の上方開口は、上方に配された回転基板70の下面で覆われており、換言すれば、上方側の回転基板70の基板本体80が、下方側の回転基板70の液体通路83の上方開口を覆う天板86(図6参照)とされている。このように、上方側の回転基板70の基板本体80が、下方側の回転基板70の液体通路83を覆う天板86を兼ねるものとしてあると、別途天板86を設ける形態に比べて、回転体5の厚み寸法を小さくして、ミスト発生装置の小型化に貢献できる。尤も、最上方に位置する回転基板70の液体通路83の上方開口は、押さえ板48の下面で覆われている。
図6に示すように、上方側の回転基板70は、下方側の回転基板70の衝突壁81の上面で支持されている。つまり、下方側の衝突壁81を含む衝突壁列82が、上方側の回転基板70の支持構造を兼ねている。これによれば、別途、上方側の回転基板70の支持構造を設ける形態に比べて、回転体5の製造コストの上昇を抑えることができる。
図1および図5に示すように、各衝突壁81は、回転基板70の中心に臨む内面90と、回転基板70の径方向外側に臨む外面91と、内面90と外面91とを繋ぐ一対の側面92・93とを備える矩形柱状に形成されており、内側の衝突壁列82を構成する液体通路83を通って、遠心力により外側に跳ね飛ばされた水は、内面90に衝突して粉砕される。この内面90を含む衝突壁81の壁面の全体には、水の粉砕効果を向上するために、凹凸部95を形成して、粗面化が図られている。凹凸部95は、基板本体80からの衝突壁81の突出方向(上下方向)に長い溝96と、隣り合う溝96の間に形成されたリブ97とで構成されている。このように、上下方向に長い溝96とリブ97とで構成される凹凸部95を衝突壁81の各壁面90〜93に形成して、各壁面90〜93を粗面化していると、壁面90〜93に衝突した液滴をより効率的に粉砕することができるので、水の微細化を図り、より細かなミストを得ることができる。また、壁面90〜93の表面で水が団粒化することを防ぐことができるので、この点でも水の微細化を図り、より細かなミストを得ることができる。また、衝突壁81を構成する全ての壁面90〜93に凹凸部95が形成され粗面化されていると、該衝突壁81の壁面90〜93で区画される通路(液体通路83・周方向通路84)の流路抵抗の増大化を図ることができるので、水の分離効果の向上が期待でき、より細かなミストを得ることができる。
なお、仮に左右方向に長い溝とリブとで凹凸部を形成した場合には、水の流れ方向に溝が形成されることとなるため、左右方向に長い溝に沿って水が流れて、水が団粒化する不都合が予測される。これに対して本実施形態のように、上下方向に長い溝96とリブ97とで凹凸部95を形成していると、液体の通路(液体通路83・周方向通路84)の流れ方向における流路抵抗を大きくすることができるため、水をより効率的に分離・分散して、ミスト径の微細化を図ることができる。
回転基板70の周方向に係る衝突壁81の幅寸法(W)は、回転基板70の径方向に係る衝突壁81の厚み寸法(T)よりも大きく設定されている。すなわち、W>Tの関係を満たすものとなっている。このように、衝突壁81の厚み寸法(T)を小さく設定すると、回転基板70の小径化を実現してミスト発生装置の全体を小型化できる。
回転基板70の周方向に係る衝突壁81の幅寸法(W)と、回転基板70の径方向に係る衝突壁81の厚み寸法(T)と、衝突壁の突出寸法(H)とは、W>H>Tの関係を満たすように設定されている。これによれば、衝突壁81の厚み寸法を小さくしたことにより、回転基板70の小径化を図ることができる。加えて、衝突壁81の壁面面積(W×H)を大きく取ることができるので、より確実に内側の衝突壁列82の液体通路83から送出された水を、外側の衝突壁列82の衝突壁81に衝突させて、効率的にミスト径の微細化を図ることができる。
基板本体80の厚み寸法(E)と、回転基板70の周方向に係る衝突壁81の幅寸法(W)と、回転基板70の径方向に係る衝突壁81の厚み寸法(T)と、衝突壁81の突出寸法(H)とが、E>W>H>Tの関係を満たすように設定されている。これによれば、先と同様に、回転基板70の小径化を図りながら、衝突壁81の衝突面積を大きくすることができる。また、基板本体80の厚み寸法(E)を大きく取ることができるので、該回転基板70を強度に優れたものとすることができる。加えて、回転基板70の重量を大きくして、その慣性重量を大きくすることができるので、回転基板70の回転姿勢を安定化することができる。
回転基板70の周方向に係る衝突壁81の幅寸法(W)と、回転基板70の径方向に係る衝突壁81の厚み寸法(T)と、衝突壁81の突出寸法(H)と、衝突壁列82の液体通路83の通路幅(A)とが、W>H>T>Aの関係を満たすように設定されている。これによれば、先と同様に、回転基板70の小径化を図りながら、衝突壁81の衝突面積を大きくすることができる。加えて、衝突壁81の突出寸法(H)を、液体通路83の通路幅(A)よりも大きくしたので、これら衝突壁81の突出寸法(H)と液体通路83の通路幅(A)とで規定される液体通路83の断面積(H×A)を大きく取ることができる。したがって、該液体通路83内の水の流れをスムーズなものとすることができる。
内外の衝突壁列82を構成する衝突壁81の間に形成される周方向の液体通路(周方向通路84)の通路幅(B)と、衝突壁列82の液体通路83の通路幅(A)とが、B>Aの関係を満たすように設定する。これによれば、衝突壁列82の液体通路83の通路幅(A)を小さくしたことに由来する、衝突壁81に対する水の衝突エネルギーの向上効果が期待できる。したがって、より効率的に水を衝突壁81に衝突させて、ミスト径を微細化できる。
図11および図12に示すように、回転基板70は、一次電鋳工程と二次電鋳工程とを経て作製される。図11(a)は、一次電鋳工程(図11(b))に先立って行われるパターンレジスト作成工程を示しており、そこでは、図11(a)に示すように、母型100の表面にフォトレジスト層101を形成したうえで、フォトレジスト層101上に基板本体80の通孔(装着孔71或いは導入口72)に対応する透孔102aを有するパターンフィルム102を形成し、パターンフィルム102の上方から紫外線照射ランプ103で紫外線光を照射して露光を行い、現像、乾燥の各処理を行って、未露光部分を溶解除去することにより、通孔に対応するレジスト体104を有する一次パターンレジスト105を形成する。次いで、一次パターンレジスト105ごと母型100を電鋳槽に入れて、一次パターンレジスト105で覆われていない母型100の表面に電着金属を電鋳して、基板本体80に対応する一次電鋳層106を形成する(図11(b))。次に、一次パターンレジスト105を除去したうえで、一次電鋳層106に対して研磨処理を行って、一次電鋳層106の上面を平滑面として、基板本体80を形成する(図11(c))。研磨処理において使用される研磨ベルト116としては、1000番ベルト、或いは700番ベルトを使用することができる。
次に、図12(a)に示すように、基板本体80上にフォトレジスト層109を形成したうえで、フォトレジスト層109上に液体の通路(液体通路83・周方向通路84)に対応する透孔110aを有するパターンフィルム110をフォトレジスト層109上に形成し、パターンフィルム110の上方から紫外線照射ランプ103で紫外線光を照射して露光を行い、現像、乾燥の各処理を行って、未露光部分を溶解除去することにより、液体通路に対応するレジスト体111を有する二次パターンレジスト112を形成する。次いで、二次パターンレジスト112ごと基板本体80を電鋳槽に入れて、二次パターンレジスト112で覆われていない基板本体80の表面に電着金属を電鋳して、衝突壁81に対応する二次電鋳層113を形成する(図12(b))。次に、二次電鋳層113の上面に対して研磨処理を行うことで、二次電鋳層113の上面を平滑面としたうえで(図11(c))、二次パターンレジスト112を除去することで、基板本体80上に衝突壁81が形成された回転基板70を得ることができる。研磨処理において使用される研磨ベルト116としては、1000番ベルト、或いは700番ベルトを使用することができる。図11(c)において、符号114は、研磨処理において衝突壁81の上端に形成される研磨バリを示しており、かかる研磨バリ114を電解研磨で除去することにより、図1および図5に示すような回転基板70を得ることができる。
以上のような本実施形態に係る回転基板70の製造方法においては、液体の通路(液体通路83・周方向通路84)に対応する透孔110aを有するパターンフィルム110にフィラー115を含ませてある点が着目される。このようにパターンフィルム110にフィラー115を含ませてあると、該フィラー115による紫外線光の屈折により二次パターンレジスト112の露光部分と未露光部分との境界部、すなわちレジスト体111の側面に溝ができるため、かかる溝を利用して二次電鋳層113を形成することで、衝突壁81の表面に縦溝を形成することができる。すなわち、衝突壁81の形成と同時に凹凸部95を形成することができる。したがって、サンドブラストや金属粒体を塗着するなどの別工程で凹凸部95を形成する形態に比べて、ミスト発生装置の製造コストの上昇を抑えることができる。
図7に、本実施形態に係るミスト発生装置の回路構成を示す。ミスト発生装置は、グリップの筐体前面に設けられたメインスイッチ15と洗浄スイッチ16と、これらスイッチ15・16のオンオフ操作に従って、回転体駆動用のモーター4および送給ポンプ9を構成するポンプ駆動用のモーター17を回転駆動させる制御回路13と、メインスイッチ15がオン操作されたときに、ミストを帯電させるための帯電装置117とで構成される。帯電装置117は、高電圧発生部118と、高電圧発生部118で生成された高圧パルスを、回転体駆動用のモーター4の出力軸56、および該出力軸56の外周面に接触する金属製の給電電極119とを介して回転基板70(回転体5)に付与する帯電リード120と、一方端が電池11のマイナス極に接続され、他方端がグリップ部2の後面に配置された接触電極121に接続されるグランドリード122とで構成される。グランドリード122により、接触電極121を回路のグランド電位と同じ電位にすることができる。本実施例では、接触電極121はチタンなどの金属製の部材で構成しているが、ベース材をプラスチックにしてその表面にチタンなどの金属メッキを施した接触電極121であってもよい。
高電圧発生部118は、電池11の電流を交流に変換する発振回路124と、発振回路124で生成されたパルス電流を昇圧する第1の昇圧回路125と、第1の昇圧回路125で昇圧されたパルス電流を整流する整流回路126と、整流回路126が出力する直流電流を再度パルス電流に変換するパルス発生回路127と、パルス電流をさらに昇圧させる第2の昇圧回路128と、ミストの帯電極性を設定するダイオードDとで構成される。発振回路124で生成されたパルス電流は、第1の昇圧回路125で100Vまで昇圧され、さらに第2の昇圧回路128で4kVまで昇圧されたのち、放電電極に送給される。第2の昇圧回路128で昇圧されたパルス電流は、放電電極である回転基板70(回転体5)と不図示の対向電極との間で放電されることにより、回転基板70で生成されるミストをプラス電位またはマイナス電位に帯電させることができる。これら制御回路13、発振回路124、第1の昇圧回路125、整流回路126、パルス発生回路127、第2の昇圧回路128、およびダイオードDなどは、制御基板14上に実装されている。ダイオードDが給電電極119に向かって順方向に接続されている場合には、ミストはプラスに帯電され、ダイオードDが給電電極119に向かって逆方向に接続されている場合には、ミストはマイナスに帯電される。なお、給電電極119は、回転体駆動用のモーター4の出力軸56に接触させずに、給電電極119を直接回転基板70(回転体5)の一部に接触させて回転基板70(回転体5)に高電圧を印加してもよい。本実施例においては、給電電極119を板状に形成して弾性変形可能に構成している。そのうえで、その弾性変形可能な給電電極119を出力軸56の周面に常に一方向のみから押圧接当(圧接)させている。これにより、ガタつきがあってもそのガタ(ブレ)に対して給電電極119が追従できるため安定的に出力軸56に給電電極119を接触できる。また、給電電極119をさらに強く圧接すればモーター4の出力軸56とその軸受け間のクリアランスで発生するガタつきを抑えることができる。また、なお、本実施例においては、給電電極119を板状に形成して弾性変形可能に構成しているが、給電電極119をコイル状に形成して弾性変形可能に構成し、出力軸56の周面に常に一方向のみから押圧接当させてもよい。また、グランドリード122の一方端は、電池11のマイナス極のラインに接続される回路構成に限らず、昇圧回路128の2次側の対向電極のライン(不図示)に接続されるものであってもよい。つまり、グランドリード122の一方端は、対向電極や電池11のマイナス極などの回路のグランドラインに接続すればよい。
図9に、以上のような構成からなるミスト発生装置の使用方法を示す。図9に示すように、本実施形態に係るミスト発生装置は、グリップ部2を手の平で握り締めて、ヘッド部3の噴射口43、吐出口185が、人体顔面に指向する状態として使用に供される。かかる使用姿勢から、メインスイッチ15がオン操作されると、ミスト発生モードとなり、回転体駆動用のモーター4およびポンプ駆動用のモーター17が駆動されるとともに、帯電装置117が駆動される。このとき、グリップ部2を握り締めることにより、接触電極121に使用者の手の平や指が接触するため、人体のグランド電位を回路のグランド電位と同じ電位にすることができる。また、帯電リード120、給電電極119、および回転体駆動用のモーター4の出力軸56を介して、回転基板70に高圧パルスを印加することができるので、ダイオードDの接続方向により、該回転基板70で生成されるミストをプラス電位またはマイナス電位に帯電させることができる。これにより、ミスト発生装置の回転基板70から人体に向かって電気力線が形成されるため、回転基板70で生成されたプラスまたはマイナスに帯電したミストを、電気力線に沿って移動させて、人体に誘引させることができる。これにより、より効率的にミストを人体に誘引させることができるので、より効率的にミストを人体に吸着させることができる。
このように、回転基板70(回転体5)に1kVを上回る高電圧を印加しながら回転させることにより、回転基板70でプラスまたはマイナスに帯電したミストを生成できる。例えば、人体は通常プラスに帯電しているので、回転基板70でマイナスに帯電したミストを生成することにより、ミストを人体に吸着させることができる。さらに上記構造では、対向電極や電池11のマイナス極などの回路のグランドラインに接続した接触電極121を有しているので、人体のグランド電位を積極的に回路のグランド電位と同じ電位にすることができるので、安定的にミストを人体に吸着させることができる。
図8(a)に、ミスト発生モードにおける両モーター4・17の制御タイミングを示すタイムチャートを示す。まず、メインスイッチ15が押し込まれてオン操作されると、制御回路13は、当該メインスイッチ15のオン動作と同時に回転体駆動用のモーター4を回転駆動させる。次に、モーター4の駆動から所定時間(t1)経過後にポンプ駆動用のモーター17を駆動させる。これにて、タンク7から吸い上げられた水がミスト発生部6によりミスト化され、ファンユニット46により生成される風力に乗って噴射口43から噴射される。使用状態におけるモーター4の回転速度は10000rpm程度である。
次に、メインスイッチ15が再度押し込まれてオフ操作されると、制御回路はポンプ駆動用のモーター17の駆動を直ちに停止するとともに、メインスイッチ15のオフ操作から所定時間(t2)だけ、回転速度を上げながら(15000rpm程度)、回転体駆動用のモーター4を回転駆動させる。メインスイッチ15のオフ操作から所定時間(t2)が経過すると、モーター4を停止させる。
図10に、本実施形態に係るミスト発生装置の洗浄方法を、図8(b)に、当該洗浄動作時におけるタイミングチャートを示す。図8(b)に示すように、洗浄スイッチ16が押し込まれオン操作されると、洗浄モードとなり、制御回路13は、回転体駆動用のモーター4を逆回転させる。このときのモーター4の逆回転速度は、使用状態におけるモーター4の回転速度よりも速く設定されている(15000rpm程度)。この状態から、ミスト発生装置のヘッド部2の一端にある吐出口185、噴射口43を水道の蛇口の下方に位置させて蛇口のコックをひねると、蛇口から吐出された水道水(洗浄水)が、吐出口185、噴射口43から回転基板70、ファンユニット46等を通り、連通孔37・40を介して、ヘッド部2の他端にある吸気口186、開口41から流出され、かかる水道水の流れにより、回転基板70等に付着の塵埃が洗い流される。さらには、保護フード45の中央部分に開口53aを形成し、開口53aと回転体5の中央部分に形成された微細化前の液体の導入口72とを連通している。これにより、保護フード45の開口53aから導入された洗浄水を、回転基板70a〜70d間に形成された通路(液体通路83・周方向通路84)及び回転基板70dとベース部75間に形成される通路(液体通路83・周方向通路84)に流れ込ませて、これら通路を洗浄することができる。したがって、水に替えて粘性の高い化粧水などをミスト化していた場合でも、該化粧水が流路内で硬化して詰まるのを防ぐことができる。もちろんこれと同時に噴射口43、連通孔37、40の洗浄も行うことができる。なお、洗浄水が水道水に限られないことは言うまでもない。再度に、洗浄スイッチ16が再度押し込まれオフ操作されると、モーター4の回転が停止される。
すなわち、本装置は、ポンプ装置9(送給ポンプ)により回転基板70に液体を供給して該回転基板70の回転によってその液体をミスト化するミスト発生装置であって、
スイッチ15のオンにより、回転基板70が回転されるとともにポンプ装置9が駆動され、
スイッチ15のオフにより、ポンプ装置9の駆動が停止され、その後所定期間(t2)後に回転基板70の回転が停止されるものとなっていることを特徴とする。
このように、ポンプ装置9の駆動が停止されたのち、所定期間(t2)後に回転基板70の回転が停止されるようにしていると、回転基板70に残留する残留液体をミスト化して確実に吐出することができるので、特に粘性のある液体が残留することによって、液体が固化することを確実に防ぐことができる。したがって、動作不良の発生を抑えて、信頼性に優れたミスト発生装置を得ることができる。
また、このミスト発生装置では、スイッチ15のオンにより、回転基板70が回転されるとともにポンプ装置9が駆動され、スイッチ15のオフにより、ポンプ装置9の駆動が停止され、その後所定期間(t2)後に回転基板70の回転が停止されるようになっており、
所定期間(t2)における回転基板70の回転速度が、ミスト発生時の回転速度よりも速く設定されている。
このように、ポンプ装置9の駆動停止後の所定期間(t2)における回転基板70の回転速度が、ミスト生成時の回転速度よりも速く設定されていると、より確実に残留液体を吐出することができるので、残留液体の固化問題を確実に解消できる。
また、このミスト発生装置では、スイッチ15のオンにより、回転基板70が回転され、その後所定期間t1後にポンプ装置9が駆動されるようにしている。
これによれば、回転基板70の回転速度が上がってから該回転基板70に液体が供給されるため、回転基板70の回転速度の低いときに液体が供給される場合に生じる大粒のミストが生成されるという不都合を解消できる。したがって、より確実により細かなミストを生成することが可能となる。
また、このミスト発生装置は、ミスト発生モードと洗浄モードとを備えており、
回転基板70には、ファン46(ファンユニット)が取り付けられており、
ファン46により生起された風は、ミスト発生モード時は、ミストを運ぶ作用に利用され、洗浄モード時は、洗浄水を排出する作用に利用されるようになっている。
これによれば、ミストを運ぶ作用に利用される風と、洗浄水を排出する作用に利用される風とを、一つのファン46により生起することができるので、両作用に利用される風を別々のファン46により生起する形態に比べて、部品点数を減らしてミスト生成装置の製造コストの削減に貢献できる。加えて、簡単な構成で両作用に利用される風を生起できるので、信頼性に優れたミスト生成装置を得ることができる。
洗浄モード時の回転基板70の回転速度を、ミスト発生モード時の回転基板70の回転速度よりも速くすることができる。これによれば、洗浄水の排出効果の向上が期待できる。
(第2実施形態) 図13に、本発明の係るミスト発生装置の第2実施形態を示す。そこでは、回転基板70の円中心から外周方向に向かって、衝突壁列82を螺旋状に配置した点が先の第1実施形態と相違する。それ以外の点は、先の第1実施形態と同様であるので、同様の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。なお、図13には、最下方に位置する回転基板70aのみを示したが、その余の回転基板70b〜70dにおいても、回転基板70aと同様の衝突壁列82の配列構成を採ることができることを補足する。
(第3実施形態) 図14に、本発明の第3実施形態を示す。そこでは、エッチング法により、衝突壁81を形成した点が、先の第1実施形態と相違する。すなわち、図14(a)に示すように、回転基板70を構成する基板本体80の上面に、衝突壁81の形成箇所に対応するレジスト体130を有するパターンレジスト131を形成したうえで、基板本体80の上面側からエッチング液を塗布することにより、レジスト体130の無い基板本体80の上面をエッチング液で食刻することにより、液体通路83および周方向通路84に対応する凹部を基板本体80に形成して、衝突壁81を形成している。以上のようなエッチング法による回転基板70の形成方法によっても、凹部の周縁、すなわち、衝突壁81の側面にエッチング液による食刻によって凹凸部95を形成することができる。それ以外の点は、先と第1実施形態と同様であるので同様の部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
(第4実施形態) 図15に本発明の第4実施形態を示す。そこでは、衝突壁81の上端に、衝突壁81の周壁面よりも大形のオーバーハング部135を形成している。また、この第4実施形態では、複数枚の回転基板70を積層して回転体5を構成するのでは無く、一枚の回転基板70のみで回転体5を構成している。すなわち、液体通路83や周方向通路84の上方を塞ぐ天板となる、上方側の回転基板70を廃している。それ以外の点は、先の第1実施形態と同様であるので、同様の部材には同一の符号を付してその説明を省略する。このように、衝突壁81の上端にオーバーハング部135を形成してあると、該オーバーハング部135で、液体通路83および周方向通路84を通る液体が、上方に向かうことを防ぐことができるので、衝突壁81に液体を繰り返して衝突させながら、回転基板70の中心から外周方向に向かって液体を移動させることができる。したがって、微細化されたミストを得ることができる。
(第5実施形態) 第5実施形態は、第1実施形態と同じ構成であり、違いは、衝突壁81の寸法設定のみである。以下に具体的に説明する。
回転基板70の周方向に係る衝突壁81の幅寸法Wは、回転基板70の径方向に係る衝突壁81の厚み寸法Tよりも大きく設定されている。すなわち、W>Tの関係を満たすものとなっている。このように、衝突壁81の厚み寸法Tを小さく設定すると、回転基板70の小径化を実現してミスト発生装置の全体を小型化できる。
次に、回転基板70の周方向に係る衝突壁81の幅寸法Wと、回転基板70の径方向に係る衝突壁81の厚み寸法Tと、衝突壁の突出寸法Hとは、W>T>Hの関係を満たすように設定されている。これにより、回転基板70の小径化を図ることができる。衝突壁81の突出寸法を抑制して衝突壁81の強度を増すことができるとともに、回転基板70全体の厚み寸法(上下寸法)の増加を抑制して、ミスト発生装置の小型化を実現することができる。回転基板70の厚み寸法が大きくなれば回転基板70を固定するモーター4の回転軸56に負荷がかかりモーター4の寿命に影響するが、これを可及的に抑制することができる。
基板本体80の厚み寸法Eと、回転基板70の周方向に係る衝突壁81の幅寸法Wと、回転基板70の径方向に係る衝突壁81の厚み寸法Tと、衝突壁81の突出寸法Hとが、E>W>T>Hの関係を満たすように設定されている。これによれば、先と同様に、衝突壁81の突出寸法を抑制して衝突壁81の強度を増すことができるとともに、回転基板70全体の厚み寸法(上下寸法)の増加を抑制して、ミスト発生装置の小型化を実現することができる。また、基板本体80の厚み寸法Eを大きく取って、回転基板70を強度に優れたものとすることができる。加えて、回転基板70の重量を大きくして、その慣性重量を大きくすることができるので、回転基板70の回転姿勢を安定化することができる。
回転基板70の周方向に係る衝突壁81の幅寸法Wと、回転基板70の径方向に係る衝突壁81の厚み寸法Tと、衝突壁81の突出寸法Hと、衝突壁列82の液体通路83の通路幅Aとが、W>T>H>Aの関係を満たすように設定されている。これによれば、先と同様に、衝突壁81の突出寸法を抑制して衝突壁81の強度を増すことができるとともに、回転基板70全体の厚み寸法(上下寸法)の増加を抑制して、ミスト発生装置の小型化を実現することができる。加えて、衝突壁81の突出寸法Hを、液体通路83の通路幅Aよりも大きくしていると、これら衝突壁81の突出寸法Hと液体通路83の通路幅Aとで規定される液体通路の断面積(H×A)を大きく取ることができるので、液体通路83内の液体の流れをスムーズなものとすることができる。
内外の衝突壁列82を構成する衝突壁81の間に形成される周方向の液体通路(周方向通路84)の通路幅Bと、衝突壁列82の液体通路83の通路幅Aとが、B>Aの関係を満たすように設定する。これによれば、衝突壁列82の液体通路83の通路幅Aを小さくしたことに由来する、衝突壁81に対する水の衝突エネルギーの向上効果が期待できる。したがって、より効率的に水を衝突壁81に衝突させて、ミスト径を微細化できる。
本ミスト発生装置は以下の態様で実施することができる。
回転駆動される回転基板70と、ミスト生成用の液体8を収容するタンク7と、タンク7に収容した液体8を回転基板70に送給する液体送給手段9とを備えるミスト発生装置を対象とする。そして、回転基板70が、複数の衝突壁81を有しており、衝突壁81の壁面90に凹凸部95を形成して、該壁面90が粗面化されていることを特徴とする。
これにより、壁面90に衝突した液滴をより効率的に分離・分散(粉砕)させることができるので、液体を確実に微細化して、細かなミストを得ることが可能となる。加えて、壁面90に凹凸部95を形成したので、該壁面90の表面で液滴が団粒化することを防ぐことができ、したがって、より細かなミストを得ることができるとともに、ミスト径の均一化を図ることができる。
回転駆動される回転基板70と、ミスト生成用の液体8を収容するタンク7と、タンク7に収容した液体8を回転基板70に送給する液体送給手段9とを備えているミスト発生装置を対象とする。衝突壁81と液体通路83とを交互に配置してなる環状の衝突壁列82が、回転基板70の回転中心を囲む状態で、径方向へ少なくとも二重に設けられており、各衝突壁列82は、外側の衝突壁列82を構成する衝突壁81が、内側の衝突壁列82の液体通路83と対向する状態で配置されている。そして、少なくとも内側の衝突壁列82の液体通路83の出口に臨む外側の衝突壁列82の衝突壁81の壁面90に凹凸部95を形成して、該壁面90が粗面化されていることを特徴とする。
これにより、液体が最外周の衝突壁列82の外方へ飛び出るまでの間に、該液体を衝突壁81に確実に衝突させることができる。したがって、液体を微細化して、細かなミストを得ることができる。
加えて本構成では、少なくとも内側の衝突壁列82の液体通路83の出口に臨む外側の衝突壁列82の衝突壁81の壁面90に凹凸部95を形成して、該壁面90を粗面化したので、壁面90に衝突した液滴をより効率的に分離・分散(粉砕)させることができる。加えて、壁面90に凹凸部95が形成されていると、該壁面90の表面で液滴が団粒化することを防ぐことができる。したがって、より細かなミストを得ることができるとともに、ミスト径の均一化を図ることができる。
本構成で言うところの「環状の衝突壁列」とは、図5に示すように、径寸法の異なる衝突壁列82が複数個形成されている形態のほか、図13に示すように、衝突壁列82が螺旋状に形成されている形態をも含む概念である。また、本構成において「外側の衝突壁列82を構成する衝突壁81が、内側の衝突壁列82の液体通路83と対向する状態で配置されている」とは、一つの例外も無く、全ての外側の衝突壁列82を構成する衝突壁81が、内側の衝突壁列82の液体通路83と対向する状態で配置されていることを意味するものではなく、大多数の外側の衝突壁列82を構成する衝突壁81が、内側の衝突壁列82の液体通路83と対向する状態で配置されていることをも含む概念である。
回転基板70の表面粗度は、凹凸部95が形成された衝突壁81の壁面の粗度よりも小さく設定する。
これにより、回転基板70の表面に沿って液体通路83を流れる液滴やミストの流速が損なわれることを効果的に防ぐことができる。換言すれば、液体通路83を流れる液滴やミストの衝突壁81への衝突エネルギーが、回転基板70の表面に接触することで奪われることを防ぐことができる。これにて、効率的に液滴やミストを衝突壁81に衝突させることができるので、より細かなミストを得ることができる。
衝突壁81を構成する全ての壁面90・91・92・93に凹凸部95を形成して、粗面化することができる。
これにより、該衝突壁81の壁面で区画される液体通路83の流路抵抗の増大化を図ることができる。したがって、液体の分離効果の向上が期待でき、より細かなミストを得ることができる。
衝突壁81が回転基板70の表面から突出状に形成されており、凹凸部95が、回転基板70からの突出方向に長い溝96とリブ97とで構成されている。
例えば、凹凸部95が、回転基板70からの突出方向と直交する方向、すなわち水平方向に長い溝とリブとで構成されている場合には、液体通路83における液体の流れ方向に溝が形成されることとなるため、該溝に沿って液体が流れることで、液体が団粒化し、却ってミスト径が大きくなるおそれがある。これに対して本構成のように、凹凸部95を回転基板70からの突出方向に長い溝96とリブ97とで構成して、液体流路における液体の流れ方向と直交する方向に溝96を形成していると、液体通路83の流れ方向における流路抵抗を大きくすることができるため、液体をより効率的に分離・分散して、ミスト径の微細化を図ることができる。
衝突壁81の上面94には天板86が固定されており、衝突壁81の上面94の粗度が、液体通路83に臨む衝突壁81の側面90の粗度よりも小さく設定する。
これにより、天板86と衝突壁81との密着性の向上を図ることができる。したがって、不用意に天板86と衝突壁81とが分離することを防ぐことができるので、天板86と回転基板70とが強固に一体化された状態を長期にわたって維持できる。
衝突壁列82が回転基板70の径方向へ多重に設けられており、衝突壁81を含む衝突壁列82が、天板86の支持構造を兼ねている。
衝突壁列82が回転基板70の径方向へ多重に設けられていると、液体の進行方向を多様化させて、液体をよく分離させることができ、ミストの微細化を促進できる。また、液体通路83と対向する衝突壁81に液体を繰り返して衝突させて、ミストをさらに確実に微細化できる。また、衝突壁81を含む衝突壁列82が天板の支持構造をかねていると、別途に天板の支持構造を設ける形態に比べて、ミスト発生装置の製造コストの上昇を抑えることができる。
衝突壁列82を備える回転基板70が複数枚積層されており、上方の回転基板70が、下方の回転基板70の天板86を兼ねている形態を採ることができる。
衝突壁列82を備える回転基板70が複数枚積層されていると、回転基板70の外径寸法を大きくすることなく、ミスト発生量の増大化を図ることができる。従って、小型でありながら、ミスト生成能力に優れたミスト発生装置を得ることができる。加えて、上方の回転基板70が、下方の回転基板70の天板を兼ねていると、複数個積層された回転基板70の全体寸法(上下方向の厚み寸法)の増大化を抑えることができるので、ミスト発生装置の小型化に貢献できる。
衝突壁81は電鋳法により形成する。
衝突壁81が電鋳法により形成されていると、多数個の衝突壁81を備える回転基板70を精度良く形成することができる。
加えて、電鋳法の電着工程に先立って形成されるレジスト体111のパターンフィルム110にフィラー115を含有させてあると、該フィラー115による光の屈折によりレジスト体111の側面に縦溝を形成することができるので、該縦溝を利用して衝突壁81の凹凸部95を形成することができる。より具体的には、電鋳法が、回転基板70上にフォトレジスト層109を形成する工程と、液体通路83に対応する透孔を有するパターンフィルムを該フォトレジスト層109上に形成する工程と、紫外線光照射手段103で紫外線光を照射して露光を行い、現像、乾燥の各処理を行って、未露光部分を溶解除去することにより、液体通路83に対応するレジスト体111を有するパターンレジスト112を回転基板70上に形成する工程と、該レジスト体111の無い回転基板70の部分に金属を電着させることにより、衝突壁81に対応する電鋳層113を形成する工程とを含むものとしたうえで、前記パターンフィルム110にフィラー115を含ませてあると、該フィラー115による紫外線光の屈折によりパターンレジスト112の露光部分と未露光部分との境界部、すなわちレジスト体111の側面に溝ができるため、かかる溝を利用して電鋳層113を形成することで、衝突壁81の表面に縦溝を形成することができる。以上より、パターンフィルム110にフィラー115を含ませてあると、衝突壁81の形成と同時に凹凸部95を形成することができるので、サンドブラストや金属粒体を塗着するなどの別工程で凹凸部95を形成する形態に比べて、ミスト発生装置の製造コストの上昇を抑えることができる。
衝突壁81の上端にオーバーハング部135が設けられている。
これにより、天板を廃することができるので、ミスト発生装置の製造コストの上昇を抑えることができる。
エッチング法により衝突壁81を形成する。
これにより、衝突壁81の形成と同時に凹凸部95を形成することができるので、サンドブラストや金属粒体を塗着するなどの別工程で凹凸部95を形成する形態に比べて、ミスト発生装置の製造コストの上昇を抑えることができる。
上記実施形態においては、4枚の回転基板70(70a〜70d)で回転体5を構成したが、本発明はこれに限られず、回転基板70の枚数は4枚を超えるものであっても、4枚未満であってもよい。また、上記実施形態においては、ミスト生成装置は、メインスイッチ15と洗浄用スイッチ16の二つのスイッチを備えるものとし、メインスイッチ15を押圧操作するとミスト生成モードとなり、洗浄用スイッチ16を押圧操作すると洗浄モードとなるようにしたが、スイッチは一つとし、当該スイッチを押圧操作するたびに、サイクルでモードが変更されるようにしてもよい。保護フード45等の本体ケース1の形状は、先の第1実施形態に示したものに限られない。先の第1実施形態においては、連結ボス64により複数枚の回転基板70を固定したが、本発明はこれに限られず、ビスにより複数枚の回転基板70を固定することができる。
上記実施形態においては、ミスト発生部6がファン(ファンユニット46)を備えるものであったが、本発明はこれに限られず、ファンは無くても良い。また、ファンを設ける場合において、回転体駆動用のモーター4とは別個に、ファン用のモーターを設けた形態であってもよい。
回転体5の駆動手段としては、モーター4に限られず、手動式の回転体駆動手段であってもよい。具体的には、押圧式レバーに設けられるラックギヤと、同ラックギヤと噛み合うピニオンギヤと、同ピニオンギヤと回転体との間に設けられるワンウェイクラッチを含んで構成される手動式の回転体駆動手段であってもよく、或いは、ゼンマイ方式の回転体駆動手段であってもよい。さらに、回転体の背面に複数のフィンを設けて別途設けられた送風手段による風力によって回転体5が回転されるものであってもよい。
また、上記実施形態においては、一つの本体ケース1の内部にミスト発生部6、液体供給手段9などが設けられている形態であったが、本発明はこれに限られず、ミスト発生部6は、液体供給手段9やタンク7とは別体に設けることができる。つまり、ミスト発生部6と液体供給手段9やタンク7とが別体に設けられ、両者間が電力供給用のリードや送給チューブ等を介して連結されている形態であってもよい。化粧水のボトルを直接接続して液体を供給する形態であってもよく、その場合には、化粧水のボトルそのものが、本発明のタンクとなる。また、回転体5にスポイトなどにより直接、液体を送給する形態であってもよく、その場合には、スポイト自身が、タンクおよび液体送給手段となる。なお、本発明のミスト発生装置は、液状の食品(栄養食品、調味料含む)をミスト化する機器、液状の消臭剤、除菌剤をミスト化する機器、液状の香水をミスト化する機器、或いは液状の殺虫剤をミスト化する機器などにも適用できる。