JP2014030382A - マイクロ流体デバイス及び脂質二重膜の形成方法 - Google Patents

マイクロ流体デバイス及び脂質二重膜の形成方法 Download PDF

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Shoji Takeuchi
昌治 竹内
Yoshihiko Watanabe
吉彦 渡辺
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Abstract

【課題】機能性の高いマイクロ流体デバイス10を提供する。
【解決手段】マイクロ流体デバイス10は、第1の送液部31Aと、第2の送液部31Bと、第1の送液部31Aから注入された第1の液体で満たされる第1の流路11と、第2の送液部31Bから注入された第2の液体で満たされる第2の流路12と、脂質二重膜1が形成される第1の流路11と第2の流路12とを挿通する挿通部13と、が内部に形成された主基板20と、を具備する。
【選択図】図3

Description

本発明は、バイオテクノロジー、バイオチップ、膜タンパク質分析、創薬スクリーニング、又はバイオセンサーなどの分野に用いられる脂質二重膜が形成されるマイクロ流体デバイス及び脂質二重膜の形成方法に関する。
生体膜の内外で物質輸送/情報伝達に関与する膜タンパク質の機能を、1分子計測によって理解し工学的に応用するためには、単離膜タンパク質が組み込まれた人工脂質二重膜モデル実験系を構築する必要がある。しかし、かかる実験系を構築するには熟練した技術を要する。このため、構築された実験系は、再現性が良くはなく、また、構築のスループットも高くはないことがあった。
発明者らは、特開2009−128206号公報において、図1に示すMEMS技術により作製した脂質二重膜(lipid bilayer membrane)を有するマイクロ流体デバイス(microfluidic device)110を開示している。マイクロ流体デバイス110は、構築のスループット向上、小型化、分析時間の短縮化、必要な試薬の少量化及び高い再現性等を提供した。マイクロ流体デバイス110は、主流路103と、主流路103の側壁に開口する微小憩室(マイクロチャンバー)104と、を有する。
主流路103に、水溶液からなる第1液と、脂質二重膜の成分である脂質Lを溶解した油性溶液からなる第2液と、水溶液からなる第3液とが、順に注入されると、開口部に脂質二重膜101が形成される。すなわち、第1液が注入されると、第1液が主流路103及び微小憩室104を満たす。第2液が注入されると、第2液は主流路中の第1液を押し流しながら、微小憩室104に取り残された第1液との間に界面を形成する。第3液が注入されると、第3液は主流路中の第2液を押し流すので、開口部を封止する脂質二重膜101が形成される。
ここで、第1液として、膜タンパク質として例えばα−ヘモリシンを含む水溶液を用いた場合には、第3液注入工程において、脂質Lが脂質二重膜101になると、図2に示すように、符号Lで示すα−ヘモリシンは自己集合して脂質二重膜101を貫通した微細貫通孔を有する7量体を形成する。すなわち、膜タンパク質であるα−ヘモリシンが脂質二重膜101に微小憩室104側から挿入される。
また、発明者らは、特開2011−2385号公報において、脂質二重膜に組み込まれた膜タンパク質の機能について時間分解能の高い測定を行うために、マイクロ流体デバイスに電極機能を付与し膜タンパク質の電流計測が可能な装置を開示している。
しかし、マイクロ流体デバイス110は、閉鎖空間である微小憩室104の開口部に脂質二重膜101が形成される。このため、開口部104に脂質二重膜101が形成された微小憩室104に新たな化合物等を含む溶液を注入することはできない。また脂質二重膜に対して膜タンパク質(α−ヘモリシン)の組み込み方向(挿入方向)は、例えば、微小憩室104側からに限定されていた。
このため、脂質二重膜に膜タンパク質を挿入できる方向が限定されず、さらに、新たな化合物を挿入したりできる、より機能性の高いマイクロ流体デバイス及び脂質二重膜の形成方法が求められていた。
特開2009−128206号公報 特開2011−2385号公報
本発明の実施形態によれば、脂質二重膜に膜タンパク質を挿入できる方向が限定されず、さらに、新たな化合物を挿入したりできる、より機能性の高いマイクロ流体デバイス及び脂質二重膜の形成方法を提供できる。
本発明の一態様のマイクロ流体デバイスは、第1の送液部と、第2の送液部と、前記第1の送液部から注入された第1の液体で満たされる第1の流路と、前記第2の送液部から注入された第2の液体で満たされる第2の流路と、脂質二重膜が形成される前記第1の流路と前記第2の流路とを挿通する挿通部と、が内部に形成された主基板と、を具備する。
また、本発明の一態様の脂質二重膜の形成方法は、脂質を溶解した油性溶液を、第1の送液部及び第2の送液部から注入し、第1の流路、第2の流路及び前記第1の流路と前記第2の流路とを挿通する挿通部を前記油性溶液で満たす第1液注入工程と、水溶液を、前記第1の送液口と前記第2の送液口とから順に注入し、前記挿通部に脂質二重膜を形成する第2液注入工程と、を具備する。
従来のマイクロ流体デバイスの主要部を上面から観察した写真である。 脂質二重膜にαヘモリシンを組み込んだ状態の模式図である。 第1実施形態のマイクロ流体デバイスの分解斜視図である。 第1実施形態のマイクロ流体デバイスの主要部の上面図である。 第1実施形態のマイクロ流体デバイスによる脂質二重膜形成方法を説明するための模式図であり、図5(A)は第1液注入工程、図5(B)は第2液注入工程の前半、図5(C)は第2液注入工程の後半を示している。 第1実施形態のマイクロ流体デバイスによる脂質二重膜形成方法を説明するための第2液注入工程の模式図である。 第1実施形態のマイクロ流体デバイスの脂質二重膜にαヘモリシンを組み込んだ状態の模式図である。図7(A)は第1の流路側から挿入した場合を、図7(B)は第2の流路側から挿入した場合を、示している。 第1実施形態のマイクロ流体デバイスによるαヘモリシンを組み込んでいるときの、電流変化を示すグラフである。 図8に示す電流変化をもとにしたヒストグラムである。 第1実施形態のマイクロ流体デバイスによるαヘモリシンを組み込んでいるときの蛍光強度変化を示すグラフである。 第2実施形態のマイクロ流体デバイスの主要部の上面図である。
<マイクロ流体デバイスの構造>
図3に、第1実施形態のマイクロ流体デバイス10の分解斜視図を示す。マイクロ流体デバイス10は、第1の基板21と第1の基板22と接合された第2の基板22とが、主基板20を構成している。
第1の基板21には、第1の溝部11Tと、壁面の開口部13Tを介して第1の溝部11Tと挿通している第2の溝部12Tと、が形成されている。第2の基板22には、送液口又は排液口となる4つの貫通孔が形成されている。
第1の基板21と第2の基板22とが接合された主基板20では、第1の溝部11Tが第1の流路11を構成し、第2の溝部12Tが第2の流路12を構成し、開口部13Tが挿通部13を構成している。すなわち、第1の基板21の第1の溝部11Tが流路11、12の底面及び2つの側面を構成し、第2の基板22が流路11、12の天面を構成している。
そして、主基板20は、第1の送液部31A及び第1の排液部32Aと接続された第1の流路11と、第2の送液部31B及び第2の排液部32Bと接続された第2の流路12と、挿通部13と、が内部に形成されている。
第1の流路11に注入する第1の液体と、第2の流路12に注入する第2の液体と、は同じ組成の液体であってもよいが、注入するタイミングが異なることがあるため、第1の送液部31Aと第2の送液部31Bはマイクロ流体デバイス10必須の構成要素である。これに対して、第1の流路11から排出される第1の液体と、第2の流路12から排出される第2の液体と、は混合状態で排出されてもよい。すなわち、第1の流路11と第2の流路12とは排出口側で一体化していてもよく、2つの排液部32A、32Bは共通の排液部であってもよい。
そして、第2の基板22の貫通孔すなわち主基板20の上面の開口には、配管が接続可能な、送液部31(31A、31B)、排液部32(32A、32B)が配設されている。電源40は、第1の流路11と第2の流路12との間に電圧を印加する場合に用いられる。
図4に示すように、流路11、12は、幅60μm、で、挿通部13は、開口幅20μm、である。また、溝部11T、12Tの深さ、すなわち、流路11、12の深さは10μmである。流路11、12は、挿通部13の近傍では平行に配置されている。
なお、マイクロ流体デバイス10では、第1の基板21及び第2の基板22は、透明材料であるパイレックス(登録商標)ガラスからなる。第1の基板21に溝部11T等を形成するには、例えば、NLD(magnetic neutral loop discharge)プラズマエッチング装置を用いる。溝部11T等の領域以外をマスクで覆った後に、異方性エッチングすることで、垂直な壁面のある溝部11T等を形成できる。
第1の基板21及び第2の基板22との接合には、溶融接合、フッ酸接合又は陽極接合等の直接接合技術を用いることが好ましい。
ガラスからなる流路11、12及び挿通部13は、外部から視認可能である。ガラスは親水性であるが、流路11、12の壁面には、ジシラザン剤による疎水化処理が行われている。すなわち、マイクロ流体デバイス10は、流路11、12に、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)溶液が流し込まれ、70℃〜80℃でベーキング処理されている。
第1の基板21又は第2の基板22のいずれかを、ガラスに替えてシリコンを用いてマイクロ流体デバイス10を構成してもよい。シリコンは光透過性を有しないが、MEMS技術による微細加工がガラスよりも容易である。そしてシリコン基板とガラス基板とを接合してマイクロ流体デバイスを作製すると、ガラス基板側から流路11、12等が、外部から視認可能である。すなわち、第1の基板21又は第2の基板22の少なくともいずれかが、透明材料から構成されていれば、流路11、12等が、外部から視認可能である。
さらに、流路11、12等の形の貫通部を有するシリコンの両面に、それぞれガラス基板を接合してマイクロ流体デバイスを作製してもよい。この場合にはマイクロ流体デバイスは3枚の平板により構成される。
なお、PDMS(ポリジメチルシロキサン)又はフッ素樹脂等の樹脂を用いてマイクロ流体デバイスを作製してもよい。また、流路11、12等を、外部から観察する必要がない場合、例えば、蛍光観察を行わない場合には、マイクロ流体デバイスをシリコン等の不透明材料で構成してもよい。
すなわち、マイクロ流体デバイス10では、第1の流路11を満たす水溶液と、第2の流路12を満たす水溶液との間が、挿通部13を除いて電気絶縁状態にあるため、後述するように電源40を用いて、電圧を印加することで、脂質二重膜1に組み込まれた膜タンパク質の電気的な解析が可能である。
<脂質二重膜の形成方法>
次に、図5(A)〜図5(C)を用いて、脂質二重膜の形成方法について説明する。
マイクロ流体デバイス10の送液部31A、31Bに、図示しないが、送液ポンプ及び流路切り替えスイッチが連結された送液チューブが接続される。排液部32A、32Bにも排液チューブが接続される。送液ポンプ及び流路切り替えスイッチにより、流路11、12に流す液体の種類と、流速と、均一流か、脈流その他の不均一流かのような流し方と、を設定できる。なお、送液ポンプにより流路11、12の内部の液体の圧力も精密に制御される。
図5(A)に示すように、最初に、脂質Lを溶解した油性溶液(第1液)を、第1の送液部31A及び第2の送液部31Bから注入し、第1の流路11、第2の流路12及び挿通部13を油性溶液で満たす第1液注入工程が行われる。
脂質Lは、脂質二重膜形成成分であり、親水基(親水性原子団)と疎水基(疎水性原子団)とを有する。脂質Lとしては、例えば、リン脂質、糖脂質、コレステロール、又は、その他の化合物から、形成する脂質二重膜に応じて適宜選択される。リン脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン等である。糖脂質は、セレブロシド、ガングリオシド等である。
一方、脂質Lを溶解する油性溶媒は、各種の有機溶媒、例えば、ヘキサデカン、スクアレン等から選択される。
例えば、第1液として、油性のヘキサデカンに脂質としてホスファスジルコリン(DPhPC、850356C、Avanti Polar Lipids INC、フナコシ株式会社)を5−20mg/mL添加して用いる。
なお、図5(A)では、第1の流路11を流れる第1液を符号W1で示し、第2の流路12を流れる第1液を符号W2で示しているが、両者は同じ溶液である。
次に、図5(B)に示すように、第1の送液部31Aから第1の流路11に水溶液(第2液)W3が注入される第2液注入工程の前半の処理が行われる。pH緩衝生理食塩水等からなる第1の水溶液W3には、脂質二重膜の形成に影響がない各種成分を含む。例えば、第1の水溶液W3として、500mM KCl(pH7)を用いる。
このとき、第1の流路11の水溶液W3の圧力と第2の流路12の油性溶液W2の圧力が同じになるように、送液ポンプが制御される。例えば、第1の流路11への水溶液の注入と同時に、第2の流路12への油性溶液W2の注入が行われる。
図5(B)に示すように、第1の流路11内の油性溶液W1は押し流され、第1の流路11は水溶液W3で置換される。すると、油性溶液W2に溶解されている脂質Lの一部は、界面(挿通部13)において、親水基を水溶液W3側に向けて配列した単分子膜状態となる。
次に、第2液注入工程の後半の処理として、水溶液(第2液)W4が第2の送液部31Bから第2の流路12に注入される。すると、第2の流路12内の油性溶液W2は押し流され、第2の流路12内は水溶液W4で置換される。水溶液W4は水溶液W3と同じ組成のpH緩衝生理食塩水等である。
図5(C)に示すように、第2液注入工程において、第2の流路12が水溶液W4で置換されるときに、挿通部13に配列していた単分子脂質膜の疎水基に、油性溶液中の脂質Lの疎水基が配列し、挿通部13を封止する脂質二重膜1が形成される。すなわち、脂質二重膜1は、脂質2分子がテール・ツー・テール式に疎水基どうしが向き合うように配向した構造である。
このときも、第1の流路11の水溶液W3の圧力と第2の流路12の水溶液W4の圧力が同じになるように、送液ポンプが制御される。
ここで、第1の流路11に注入する水溶液W3に膜タンパク質であるα−ヘモリシン(P)を含む溶液を用いた場合には、図7(A)に示すように、第1の流路11側からα−ヘモリシンが脂質二重膜1に挿入された7量体が形成される。一方、第2の流路12に注入する水溶液W4にα−ヘモリシン(P)を含む溶液を用いた場合には、図7(B)に示すように、第2の流路12側からα−ヘモリシンが脂質二重膜1に挿入された7量体が形成される。
なお、膜タンパク質を含まない水溶液W3を用いて、第2液注入工程で脂質二重膜1を形成しておいて、その後の工程で、膜タンパク質を含む水溶液を流路11、12に注入してもよい。
なお、第2液注入工程において、第1の流路11及び第2の流路12に同時に水溶液W3、W4を注入してもよい。この場合には、図6に示すように、挿通部13の上流側から脂質二重膜1が形成されていく。
同時に水溶液W3、W4を注入する上記方法は、第1の流路11の水溶液W3と第2の流路12との圧力制御が簡単であるため、順に注入する方法よりも好ましい。
なお、本実施形態のマイクロ流体デバイス10を用いれば、第1の流路11及び第2の流路12に水溶液を注入し水溶液で満たしておいてから、第1の流路11に脂質を溶解した油性溶液を注入し、引き続いて、第1の流路11に再び水溶液を注入方法でも、脂質二重膜1の形成は可能である。
しかし、第1の流路11において、水溶液が油性溶液に置換される工程と、油性溶液が水溶液で置換される工程と、置換工程が2回あるため、水溶液と油性溶液とが混合しやすいため、脂質二重膜の形成が容易ではないことがある。
図8及び図9は、上記方法により脂質二重膜1が形成されたマイクロ流体デバイス10における膜タンパク質(αヘモリシン)の組み込みを電流計測により実証したグラフを示している。電流変化は階段状であり、約30pAの急激な電流増加が2度観察された。これは、第2液から脂質二重膜1に取り込まれたαヘモリシンが7量体を形成して脂質二重膜1を貫通する微細孔が形成されたことを示している。すなわち、最初の電流増加は1個の微細孔が形成され、2回目の電流増加は、さらに1個の微細孔が形成されたことを示している。
次に、図10は脂質二重膜1が形成されたマイクロ流体デバイス10を用い、膜タンパク質(αヘモリシン)の組み込みを蛍光発光によるイメージングにて計測したグラフである。
本実施形態では、第1液として、ヘキサデカンにホスファスジルコリン(DPhPC、850356C、Avanti Polar Lipids INC、フナコシ株式会社)を5−20mg/mL添加して用いた。水溶液(第2液)として、Hanks緩衝塩類溶液(Ca-)14190(以下「HBSS14190」という。ライフテクノロジーズジャパン株式会社)を用いた。そして、脂質二重膜形成後に、2本の流路11、12のうち1本に、第3液として、Hanks緩衝塩類溶液(Ca+)14025(以下「HBSS14025」という。ライフテクノロジーズジャパン株式会社)にαヘモリシン(H9395−.5mg、シグマ アルドリッチジャパン株式会社)を1μg/mLと添加して挿入し、また、もう1本の流路に、第4液として、HBSS14190にカルシウムプローブ(以下「Fluo3」という。同仁化学研究所)を200μg/mLを添加して用いた。Fluo3はカルシウムプローブで、カルシウムイオンと結合すると蛍光発光する。
図10に示すように、1500秒の計測中に、約30%の蛍光強度増加が3度観察された。これは、第3液から脂質二重膜1に取り込まれたαヘモリシンが7量体を形成して膜を貫通する微細孔を形成し、そこから、第3液のHBSS14025に含まれるカルシウムイオンが第4液側に拡散し、Fluo3と結合し蛍光発光できたことを示す。
また、αヘモリシン7量体の挿入により形成される脂質二重膜1を貫通する微細孔は安定構造ではなく、数十秒で閉塞することが判明した。
以上の説明のように、実施形態のマイクロ流体デバイス10および脂質二重膜の形成方法では、形成した脂質二重膜に対して、膜タンパク質を組み込むときに、膜タンパク質の方向を予め制御する必要がなく、化合物に対して極性のある膜タンパク質の動作を蛍光を用いたイメージングなどが検証でき、機能性が高い。また、2本の流路に外部から電圧を加えることで電気的な解析ができたり、蛍光を用いたイメージング計測等において効率よく検証できたりする。
なお、マイクロ流体デバイス10では第1の流路11の溶液の圧力と第2の流路の溶液の圧力とを正確に制御することで、広い面積の脂質二重膜を長時間、保持可能である。マイクロ流体デバイス10の挿通部13に形成される脂質二重膜の面積は、200μm(20μm×10μm)であった。
脂質二重膜の面積は広いほど、多くのαヘモリシン7量体が挿入可能であり高感度となるため、150μm以上が好ましい。脂質二重膜の面積の上限は保持時間との関係で決定されるが、例えば、1000μm程度である。
また、図11に示す、第2実施形態のマイクロ流体デバイス10Aのように、第1の流路11Aと第2の流路12Aとが、複数の挿通部13A〜13Cで挿通されていてもよい。
複数の挿通部13A〜13Cに、それぞれ脂質二重膜が形成されるため、マイクロ流体デバイス10Aは高感度である。また1つの大面積の脂質二重膜に対して、合計すると同じ面積であっても複数の脂質二重膜は安定性に優れており、長時間の計測が可能である。
また、1つのマイクロ流体デバイスに、異なる面積の脂質二重膜が形成されてもよい。イメージング計測であれば、大面積の脂質二重膜が破壊されても、小面積の脂質二重膜により計測を継続することができる。
なお、以上の説明では、挿通部13は鋭角の壁面により形成されていた。すなわち、第1の流路11及び第2の流路12の壁面に形成されたテーパー形状の凹部の底面の開口が挿通部13を形成していた。テーパー形状の凹部は注入された液体の流れを妨げないため、特に安定して脂質二重膜が形成可能である。しかし流路の壁面に対して凹部の壁面が直角であっても、圧力制御(流速制御)を厳密に行えば、脂質二重膜の形成には支障がない。
なお、リガンドと結合する膜タンパク質の場合に、リガンド結合サイトは、膜タンパク質集合体の脂質二重膜1の挿入面に位置したり、挿入裏面側に位置したりする。本実施形態のマイクロ流体デバイス10では、リガンドを含む溶液および貫通孔を通過する反応物質を含む溶液等を、第1の流路11または第2の流路12のいずれからからも注入できる。このため、反応物質を、リガンドが結合した膜タンパク質集合体の貫通孔の所望の方向から通過させたりできる。
すなわち、本発明の脂質二重膜の形成方法およびマイクロ流体デバイスは、種々の生体反応のモデル化実験が可能であり、極めて機能性が高い。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等ができる。
1…脂質二重膜、10…マイクロ流体デバイス、11…第1の流路、11T…第1の溝部、12…第2の流路、12T…第2の溝部、13…挿通部、13T…開口部、20…主基板、21…第1の基板、22…第2の基板、31…送液部、32…排液部、40…電源、101…脂質二重膜、103…主流路、104…微小憩室、110…マイクロ流体デバイス、W1、W2…油性溶液、W3、W4…水溶液

Claims (11)

  1. 第1の送液部と、
    第2の送液部と、
    前記第1の送液部から注入された第1の液体で満たされる第1の流路と、前記第2の送液部から注入された第2の液体で満たされる第2の流路と、脂質二重膜が形成される前記第1の流路と前記第2の流路とを挿通する挿通部と、が内部に形成された主基板と、を具備することを特徴とするマイクロ流体デバイス。
  2. 第1の溝部と、壁面の開口部を介して前記第1の溝部と挿通している第2の溝部と、が形成された第1の基板と、前記第1の基板と接合された第2の基板と、を前記主基板が有し、
    前記第1の溝部が前記第1の流路を構成し、前記第2の溝部が前記第2の流路を構成し、前記開口部が前記挿通部を構成していることを特徴とする請求項2に記載のマイクロ流体デバイス。
  3. 前記第1の流体と、前記第2の流体との間が、前記挿通部を除いて電気絶縁状態にあることを特徴とする請求項2に記載のマイクロ流体デバイス。
  4. 前記第1の基板又は前記第2の基板の少なくともいずれかが、透明材料からなることを特徴とする請求項3に記載のマイクロ流体デバイス。
  5. 前記第1の基板及び前記第2の基板がガラスからなることを特徴とする請求項4に記載のマイクロ流体デバイス。
  6. 複数の挿通部に、それぞれ前記脂質二重膜が形成されることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
  7. 第1の送液部と、第2の送液部と、前記第1の送液部から注入された第1の液体で満たされる第1の流路と、前記第2の送液部から注入された第2の液体で満たされる第2の流路と、前記第1の流路と前記第2の流路とを挿通する挿通部と、が内部に形成された主基板と、を具備するマイクロ流体デバイスの、前記第1の送液部及び前記第2の送液部から脂質を溶解した油性溶液を注入し、前記第1の流路、前記第2の流路及び前記挿通部を前記油性溶液で満たす第1液注入工程と、
    水溶液を、前記第1の送液口と前記第2の送液口とから注入し、前記挿通部に脂質二重膜を形成する第2液注入工程と、を具備することを特徴とする脂質二重膜の形成方法。
  8. 前記第2液注入工程において、前記第1の送液口と前記第2の送液口とに同時に前記水溶液が注入されることを特徴とする請求項7に記載の脂質二重膜の形成方法。
  9. 前記第1の流路を満たす水溶液と、前記第2の流路を満たす水溶液との間が、前記挿通部を除いて電気絶縁状態にあることを特徴とする請求項8に記載の脂質二重膜の形成方法。
  10. 前記第1の流路及び前記第2の流路の内部が外部から視認可能であることを特徴とする請求項9に記載の脂質二重膜の形成方法。
  11. 複数の挿通部に、それぞれ前記脂質二重膜が形成されることを特徴とする請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の脂質二重膜の形成方法。
JP2012172995A 2012-08-03 2012-08-03 マイクロ流体デバイス及び脂質二重膜の形成方法 Pending JP2014030382A (ja)

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