JP7440915B2 - 分析デバイス - Google Patents

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Description

本発明は、分析デバイスに関し、特に、携帯性に優れ、電力を用いることなく、測定に供する液を交換することが可能な分析デバイスに関する。
生物を構成する細胞や、細胞内に存在するミトコンドリア、ゴルジ体、小胞体等の各種オルガネラ、細胞核等は、外側が生体膜で覆われており、この生体膜は、基本的に脂質二重膜から構成されている。生理活性を有する様々なタンパク質、すなわち、レセプターや酵素等がこの脂質二重膜を貫通する形で脂質二重膜上に保持されている。これらの膜貫通タンパク質は、生体内で重要な役割を果たしている。特に、細胞膜上に存在する各種レセプターは、生体内に存在するリガンドと結合することにより、様々な生理学的反応を引き起こす引き金になることがわかっている。このため、レセプターの機能を亢進する各種リガンドや、レセプターの機能を阻害する阻害剤等が医薬品として用いられており、また、新たな医薬品として利用可能な天然又は人工のリガンドや阻害剤が研究されている。
また、脂質二重膜にタンパク質を保持してセンサとして利用することも知られている。例えば、脂質二重膜にレセプタータンパク質を保持してセンサとしたり、液滴接触法で脂質二重膜を形成する際の液滴中に、被検物質と特異的に結合する特異結合性物質を含ませ、一方、脂質二重膜にイオンチャネルタンパクを保持して、被検物質が存在する場合には被検物質が特異結合性物質と結合してイオンチャネルを閉塞するようにしたセンサも知られている。
このような脂質二重膜センサにおいて、(1)計測後に自動的に分析物を洗い流し、溶液交換できる機構、かつ(2)小型で外部電力なく作動する溶液駆動システムが構築されると、センサに「オンサイトでのタイムラプス計測(経時計測)」の機能を付与できるようになると考えられる。
上記(1)に関しては、先行研究として、マイクロ流路中に脂質二重膜を形成し1台のシリンジポンプを用いて溶液交換した事例や、2台のポンプを用いて人工細胞膜のある検出部(液滴)への溶液の流入と流出の流速を一致させ、液滴量を一定に保ちながら溶液交換した事例がある(非特許文献1、非特許文献2)。また、上記(2)に関しては、脂質二重膜に関わる先行研究は報告がないが、吸水性ポリマーの吸引力を溶液駆動源として利用し、免疫チップや汗分析センサに応用した事例がある(特許文献1、特許文献2、非特許文献3、非特許文献4)。免疫チップに関しては吸水性ポリマーの吸引力により溶液が繊維シート上を動き、流れた抗原が検出部位の抗体と結合することにより検出を可能にしている。また、汗分析センサは分析物となる汗を吸水性ポリマーによりサンプリングし検出している。
特開2015-132473号公報 特開2017-026621号公報 特開2012-081405号公報
Tsuji, et al., Lab Chip, 2013, 13, 1476 Kawano et al., Small, 2010, 6, 2100. Oyama et al., Sens. Actuators B Chem, 2017, 240, 881. Curto et al., Sens. Actuators B Chem. 2012, 175, 263.
脂質二重膜を具備する分析デバイスをセンサとして用いる場合、実験室以外の場所で用いる場合がほとんどであるため、携帯性と、単純な構造が求められる。また、測定に供する液を交換可能にすることにより、上記のとおり、オンサイトでのタイムラプス計測が可能になるので有利である。さらに、外部電力を用いることなく動作可能なものが有利である。
本発明の目的は、構造が単純で携帯性に優れ、ポンプや外部電力を用いることなく、計測に供する液を交換することができる分析デバイスを提供することである。
本願発明者らは、鋭意研究の結果、吸液材による吸液現象によって、検出ウェル内の液交換を行うことが可能な量の液を移動させることが可能であり、かつ、検出ウェルに流入する液の流速と検出ウェルから流出する液の流速を等しくすることが可能であることを見出し、この現象を利用して検出ウェル内の液を交換可能であることに想到し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下のものを提供する。
(1) 基板と、該基板に設けられた検出ウェルと、該基板に設けられた貯液ウェルと、該基板内に配置された吸液材と、前記検出ウェルと前記貯液ウェルとを連通する1又は複数の第1の流路と、前記検出ウェルと前記吸液材を連通する1又は複数の第2の流路とを具備し、前記貯液ウェルに入れられた液は、前記第1の流路、前記検出ウェル、前記第2の流路をこの順序で流れて前記吸液材に到達し、この際の前記検出ウェルに流入する液の流速と、前記検出ウェルから流出する液の流速とが実質的に等しい、分析デバイス。
(2) 前記検出ウェルは、脂質二重膜により隔てられたダブルウェルチャンバーの形態にある、(1)記載の分析デバイス。
(3) 液交換を行う前記検出ウェルの容量が10μL~500μL、前記第1の流路の長さが4mm~200mm、前記第1の流路の幅が0.2mm~2mm、前記第1の流路の深さが0.1mm~1mm、前記第2の流路の長さが4mm~200mm、前記第2の流路の幅が0.2mm~2mm、前記第2の流路の深さが0.1mm~1mmである、(1)又は(2)記載の分析デバイス。
本発明の分析デバイスは、構造が単純で携帯性に優れ、ポンプや外部電力を用いることなく、測定に供する液の交換が可能である。さらに、下記実施例に具体的に示されるように、溶液交換の液量や流速を所望の値に設定することが可能であり、脂質二重膜を破壊しないように、比較的長時間かけてゆっくりと液交換を行うことも可能である。
本発明の一具体例の分解斜視図である。 本発明において検出ウェルとして採用可能なダブルウェルチャンバーを示す模式図である。 下記実施例において測定した、第1の流路の幅及び深さと、流速との関係を示す図である。 下記実施例において測定した、第1の流路の長さを変化させた場合の、検出ウェルの水位と流速との関係を示す図である。 下記実施例において測定した、第2の流路の幅、深さ、長さを変化させた場合の、給水量と流速との関係を示す図である。 下記実施例において測定した、液交換開始後の経過時間と検出ウェル内のインク濃度との関係を示す図である。 下記実施例において測定した、液交換開始後の経過時間と検出ウェル内の蛍光物質濃度との関係を示す図である。 下記実施例において作製した分析デバイスの、下部基板、中部基板及び上部基板を示す図である。 下記実施例において測定した、時間と電流値との関係を示す図である。 下記実施例において測定した、シクロデキストリン添加前及び添加後2時点における電流値のヒストグラムを示す図である。 下記実施例において作製した分析デバイスの、下部基板、中部基板及び上部基板を示す図である。 下記実施例において測定した、次亜塩素酸をしばしば添加した場合の、時間と電圧との関係を示す図である。 下記実施例において、3時間連続計測を行った場合の、時間と電流値との関係を示す図である。 下記実施例において、ブロック頻度(へモリシンが形成するナノポア1つに対して、単位時間あたりに発生する電流降下の回数)とシクロデキストリンの濃度の関係を示す図である。 下記実施例において測定された、3時間連続計測を行った場合の、時間とシクロデキストリンの濃度の関係を示す図である。 下記比較例において測定された、時間と電流値との関係を示す図である。
以下、本発明の好ましい一具体例を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の好ましい一具体例になる分析デバイスの分解斜視図である。図1に示す分析デバイスは、下部基板10と、中部基板12と、上部基板14を具備する。これら3つの基板は、積層されて一体化され、全体として分析デバイスの基板を形成する。上記3つの基板から基板を形成するのは、分析デバイスの作製を容易にするためであり、当初から1枚の基板に後述の各構成要素を形成してもよい。
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下部基板10には、測定のための回路に接続される電極16又は電極に接続される配線を通す貫通孔が2個設けられている。中部基板12には、検出ウェル18と、貯液ウェル20と、吸液材(図示せず)を収容する吸液ウェル22が形成されている。検出ウェル18には、通常、計測のための電極が配置される。検出ウェル18と貯液ウェル20とを連通する第1の流路24が設けられ、検出ウェル18と吸液ウェル22とを連通する第2の流路26が設けられている。第1の流路24と第2の流路26は、それぞれ1本でもよいし複数本でもよい。複数本の場合、多すぎても意味はなく、作製が煩雑になるので、3本以下が好ましい。下記実施例に具体的に記載されるように、第1の流路24と第2の流路26は、それぞれ1本ずつで問題なく本発明の分析デバイスを形成することができるので、各1本とするのが簡便で好ましい。図1に示す具体例では、第1の流路24が3本、第2の流路26が1本である。各流路は、単なる溝でよい。また、流路は必ずしも直線である必要はなく、流路長を適宜設定するために曲線部を形成したり、ヘアピン状とすることもできる(下記実施例参照)。検出ウェル18、貯液ウェル20、吸液ウェル22、第1の流路24及び第2の流路26は、それぞれ独立して、貫通していなくてもよいし貫通していてもよい。貫通している場合には、下部基板10の上面がウェル又は流路の底面を形成する。
上部基板14には、検出ウェル18、貯液ウェル20、吸液ウェル22にそれぞれ対応する位置にこれらと同じ形状、サイズの貫通孔が設けられており、中部基板12と積層された際に各ウェルの上部を形成する。上部基板14は、省略することもできるが、これが存在すると、上部基板14が各ウェルの側壁の上部を形成することとなり、各ウェルの深さが深くなり、その分、多量の液を収容することができ、また、所定の量の液を各ウェルに入れた際に液面の高さよりも上部基板14の上面を高くすることができ、各ウェルから液がこぼれにくくなるので有利である。本発明の分析デバイスは、携帯性に優れ、持ち運びにも適しているが、持ち運び時にも各ウェルから液をこぼれにくくすることが可能になる。なお、第1及び第2の流路の上部も開口部としてもよい(下記実施例参照)。この場合には、各流路に直接液を滴下することが可能になる。
下部基板10、中部基板12、上部基板14は、積層、一体化して1枚の基板とする。各基板は、アクリル板のようなプラスチック板から構成することが装置の作製に便利であるが、基板の材質は、反応に供する液と反応しないものであれば何ら限定されない。また、各基板の一体化は、圧着や接着剤を用いた接着等により容易に行うことができる。
なお、図1に示す具体例では、第1の流路24と第2の流路26を中部基板12内に形成したが、下記実施例に具体的に記載するように、これらの流路を下部基板10に形成することもできる。この場合、各流路の端部と、各ウェルは、立体的に接続され、すなわち、各ウェルの底面に各流路の端部が開口することになる。
吸液ウェル22に収容する吸液材(図示せず)は、吸液性のあるものであれば特に限定されず、例えば、ポリマーファイバーから形成される綿状の繊維や不織布、ポリマーから形成されるスポンジなどの多孔性物質等を用いることができる。ポリマーとしては、特に限定されず、例えば高吸水性樹脂(アクアリック(商品名)CA、株式会社日本触媒)といった超吸水性ポリマー等を用いることができる。
基板(本具体例では上記3枚の基板を一体化した基板)の厚さは、各ウェル及び各流路を形成することができる厚さであれば特に限定されないが、通常、0.5mm~50mm程度、好ましくは1mm~30mm程度である。検出ウェル18の容量は、特に限定されず、反応を行うのに適した容量であればよいが、通常、1μL~4000μL程度、好ましくは、3μL~1000μL程度、さらに好ましくは10μL~500μL程度である。貯液ウェル20の容量は、特に限定されず、液交換に必要な量の液を貯めることができる容量であればよいが、通常、0.1mL~36mL程度、好ましくは、1mL~5mL程度である。吸液ウェル22の容量は特に限定されず、必要量の吸液材を収容することができる容量であればよいが、通常、0.2mL~37mL程度、好ましくは、2mL~6mL程度である。収容される吸液材の量は、液交換に必要な量以上であればよく、液交換に供する所望の液の量や、吸液材の吸液性等に応じて適宜設定されるが、通常、1mg~1000mg程度、好ましくは10mg~500mg程度である。
各流路の断面形状は、特に限定されないが、作製上、矩形が便利で好ましい。各流路の長さ、幅及び深さは、流路を流れる液の流速に影響を与えるものである。第1の流路24の長さは、適宜設定されるが、通常、2mm~300mm程度、好ましくは4mm~200mm程度である。第1の流路24の幅は、適宜設定されるが、通常、0.05mm~10mm程度、好ましくは0.1 mm~5 mm程度、さらに好ましくは0.2mm~2mm程度である。第1の流路24の深さは、適宜設定されるが、通常、0.01mm~4mm程度、好ましくは0.05mm~2mm程度、さらに好ましくは0.1mm~1mm程度である。第2の流路26の長さは、適宜設定されるが、通常、2mm~300mm程度、好ましくは4mm~200mm程度である。第2の流路26の幅は、適宜設定されるが、通常、0.05mm~10mm程度、好ましくは0.1mm~5mm程度、さらに好ましくは0.2mm~2mm程度である。第2の流路26の深さは、適宜設定されるが、通常、0.01mm~4mm程度、好ましくは0.05mm~2mm程度、さらに好ましくは0.1mm~1mm程度である。
貯液ウェル20に入れられた液が、第1の流路24、検出ウェル18、第2の流路26をこの順序で流れて吸液材に到達し、この際の検出ウェル18に流入する液の流速と、検出ウェル18から流出する液の流速とが実質的に等しくなるように各流路の長さ、幅、深さや、吸液材の量を適宜設定する。ここで、「実質的に等しく」とは、検出ウェル18中の反応液の量が、反応に不都合な影響を与える程度に変化しないことを意味し、検出ウェル18に流入する液の流速(μL/分)を1とした場合、検出ウェル18から流出する液の流速(μL/分)が0.85.~1.15の範囲にあることが好ましい。この範囲は、さらに好ましくは、0.9~1.1、さらに好ましくは0.95~1.05、さらに好ましくは0.99~1.01であり、最も好ましくは1.00である。下記実施例に具体的に記載するように、これらの流速には、各流路の長さ、幅、深さが影響を与える。すなわち、長さが長いほど、流速が低下し、深さが大きいほど流速が増大し、幅はある程度で流速のピークを与えるので、各流路の長さ、幅、深さを調節することにより、検出ウェル18に流入する液の流速と、前記検出ウェル18から流出する液の流速とを実質的に等しくすることができる。流速の測定は、下記実施例に具体的に記載する方法により行うことができ、また、各流路の長さ、幅、深さの設定も、下記実施例に具体的に記載する設計方法により容易に行うことができる。また、吸液材の吸液性と使用量も流速に影響を与える。吸液材は、液を吸収すると、吸液性が減少するが、吸液量が少ない段階では、流速は変動しないことが見出された。すなわち、下記実施例に具体的に記載するように、100mgの吸水性ポリマーを用いた場合、吸水量が600μL以下の範囲では、流速がほとんど変化しなかった。各流速を所望の範囲に限定する場合には、流速がほとんど変化しない量の吸液材を用いることが、流速の制御が容易になるので好ましい。また、各流速(μL/秒)は、検出ウェル18の容量の好ましくは0.1%~20%程度、さらに好ましくは0.2%~10%程度、さらに好ましくは0.4%~8%程度とすることが、適切な時間内での液交換を可能とする上で好ましい。また、貯液ウェルに貯められる液と検出ウェルの水位によって静圧が異なるので、水位も流速に影響する。水位は、所望する液量と、貯液ウェルと検出ウェルのサイズに応じて適宜選択できるので、所望の水位において、各流速が実質的に等しくなるように、上記のとおり流路の長さ、幅、深さ等を設定することができる。
検出ウェル18は、反応の種類に応じ、単なるウェルでもよいが、検出ウェル18を、脂質二重膜により隔てられたダブルウェルチャンバーとすることもできる。脂質二重膜は、脆弱で破損しやすいため、液交換は容易ではないと考えられるが、本発明の分析デバイスでは、ポンプを用いず、外部ノイズを軽減し、吸液材の吸液を利用してゆるやかに液交換が行われるので、脂質二重膜を利用する分析デバイスに適用すると特に威力を発揮する。
脂質二重膜により隔てられたダブルウェルチャンバーや、それを用いた測定方法自体は周知であり、例えば、特許文献3に記載されている。ダブルウェルチャンバーの模式的な平面図及び断面図を図2に示す(特許文献3の図1と同様)。すなわち、ダブルウェルチャンバーは、円筒状のウェルを2個隣接して配置し、かつ、2個のウェルが互いに接する境界部分を空隙(例えば一辺数mm程度)としたものである。図2の(a)は平面図であり、(b)は(a)中のb-b'線切断部端面図である。なお、図2は、発明の理解のためにダブルウェルチャンバーを模式的に示すものであり、各構成要素の寸法比率は実物とは大きく異なる。
図2に模式的に示す具体例では、基板28中に、2つのウェル32及び34が形成され、それらの境界が隔壁30により隔てられている。隔壁30には、貫通孔36(図2の(b)参照)が設けられている。図2に示す例では、ウェルの平面形状が基本的に円形であり、2つの円が接する境界部分のみが直線状になっているが、ウェルの形状は限定されるものではなく、貫通孔を有する隔壁によって隔てられていれば、他の形状でも問題はない。ウェルのサイズは、特に限定されないが、後述のように水又は水溶液の液滴を脂質溶液中に形成した際に脂質溶液が液滴によって圧迫されやすくなるように孔径が2mm~8mm程度、さらに好ましくは3mm~5mm程度、深さは孔径の50%~200%、さらに好ましくは50%~100%程度が好ましいが、この範囲よりも大きくても小さくても本発明の分析デバイスに利用することが可能である。隔壁に設けられた貫通孔の数は1個でも複数個でもよく、通常、20個以下、好ましくは1個~15個程度である。貫通孔が複数存在する場合には、必ずしも全ての貫通孔において脂質二重膜が形成されるわけではなく、脂質溶液が液滴によって強く圧迫される貫通孔においてのみ脂質二重膜が形成される。また、貫通孔のサイズは、脂質二重膜が形成可能なサイズであればよく、通常、直径が500 nm~1000μm程度である。隔壁は、パリレン樹脂フィルムにより形成すると、小さな貫通孔を形成しやすいので好ましいが、必ずしもパリレン樹脂に限定されるものではない。また、各ウェルには、電流測定のための電極が配置される。
本発明の分析デバイスでは、検出ウェル18として、上記したダブルウェルチャンバーを用いる場合、液交換を行うウェルは、ダブルウェルチャンバーの2つのウェルのいずれか1つでよい。もっとも、両ウェルともに液交換を行うことが望まれる場合には、各ウェルを検出ウェルとし、各ウェルについて、貯液ウェル、吸液ウェル、第1及び第2の流路を設けることができる。従って、1枚の基板に各複数の貯液ウェル、吸液ウェル、第1及び第2の流路を設けることもできる。
本発明の分析デバイスを用いる場合、まず、通常どおり、検出ウェルに必要な反応液を入れて、反応と測定を行う。反応液の交換が望まれる時点で、貯液ウェルに交換液と吸液材を吸液ウェルに入れる。そうすると、貯液ウェルから第1の流路24を通って液が検出ウェル18に流入し、さらに、検出ウェル18から第2の流路26を通って液が吸液ウェル22内の吸液材により吸収される。所定時間経過後、検出ウェル18内の液は、ほぼ完全に交換される。また、予め反応と計測を行う前に貯液ウェルに交換液を入れ、反応が望まれる時点で吸液材を吸液ウェルに入れてもいい。また、反応と測定前に貯液ウェルに交換液と吸液材を吸液ウェルに入れ、溶液交換を連続的に行ってもいい。さらに、必要に応じて第1の流速と第2の流速をずらして使用してもよい。なお、液の流通を円滑にするために、吸液材の近傍に液を滴下したり、第1の流路及び/又は第2の流路に直接液を滴下してもよい(下記実施例参照)。この場合の液としては、反応に影響を与えない緩衝液等が好ましい。また、吸液材の近傍を親水化処理してもよい(下記実施例参照)。
上記のとおり、本発明の分析デバイスは、構造が単純で携帯性に優れ、ポンプや外部電力を用いることなく、測定に供する液の交換が可能である。さらに、下記実施例及び比較例に具体的に示されるように、液交換が可能な本発明の分析デバイスによれば、液交換機能がない従来の分析デバイスと比較して、脂質二重膜が長時間に亘って破壊されずに維持される。この理由は、貯液ウェルから検出ウェルに随時溶液が供給され常に、検出ウェルの液滴量が一定に保たれるためと考えられる。溶液供給を行わない場合には乾燥等による影響により液滴量を一定に保つことは難しく、脂質二重膜の不安定化を招く。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例1 分析デバイスの作製
1. 分析デバイスの設計
(1) 流入速度の制御に関する検討
アクリル板に、一辺20mmの正方形の貯液ウェルと、直径4mmの円筒状の検出ウェル(共に深さは4mm)を形成した。貯液ウェルと検出ウェルを連通する流路を設けた。流路の長さ、幅、深さを種々変更した種々の模擬デバイスを作製し、貯液ウェルに交換液を入れ検出ウェルの水位を測定する実験を行った。貯液ウェルに水を入れる前、水を入れた1秒後~2000秒後まで、0.1秒~20毎秒間隔ごとに検出ウェルの側面から検出ウェル内を写真に撮り、検出ウェル内の水位の変化を計測した。水位の変化と、検出ウェルの容量から、検出ウェル内に流入する流速を算出した。結果を図3及び図4に示す。
図3は、流路長が5mmの場合の流路幅、流路深さ及び流速の関係を示す図であり、図4は、流路長が5mm、20mm、40mm、60mm及び80mmの場合の、検出ウェルの水位と流速との関係を示す図である。なお、図4にそれぞれプロットされている測定結果は、上から順に流路長が短い順であり、流路長が60mmの場合と80mmの場合は、各プロットがほぼ重複している。
以上の結果から、流路の長さ、幅、深さ、検出ウェルの水位を調整することにより、検出ウェルへの流入速度を0.03~32μL/秒に制御できることが明らかになった。
(2) 流出速度の制御に関する検討
上記(1)と同様な模擬デバイスを種々作製し、(1)における貯液ウェルを、吸液ウェルとして利用した。吸液ウェルには、吸液材として吸水性ポリマー(具体的にはアクアリック(商品名)CA、株式会社日本触媒)100mgを流路の出口近辺に配置した。流路の出口近辺は、セルフェイスコートWG-R1(丸昌産業株式会社)により親水化処理を行った。検出ウェルに45μLの水を入れ、上記(1)と同様に、検出ウェルの側面から0.2秒から20毎秒ごとに経時的に写真撮影を行って水位の変化を測定し、水の吸水量と流出速度を算出した。結果を図5に示す。
図5の右上に記載されている、「wdl」の表示は、流路の幅(mm)、深さ(mm)及び長さ(mm)を示す。したがって、例えば、wdlが「0.2 0.1 5」との記述は、流路の幅が0.2mm、深さが0.1mm、長さが5mmであることを示す。「wdl」の表示は、以下の記述にも用いることがある。図5に示す結果から、流出速度は約0.04μL/秒~8.8μL/秒までの範囲に制御可能であり、また、吸水量が600μL以下においては、吸液量の大小により流速がほとんど変化しないことがわかる。第1の流速と第2の流速を統一する場合の例、および、溶液交換持続時間と交換時間予想値を表1に示す。
Figure 0007440915000001
表1に示されるように、wdlを選択することにより、第1の流速と第2の流速を等しくした上で、広範囲の持続可能時間(流れる総量が600μLまで達するまでの時間(分))及び検出ウェル溶液交換においてかかる時間(溶液量20μLを1/10濃度に交換する時間(分))を達成可能であると考えられる。
(3) 液交換に関する検討
上記(1)及び(2)の予備実験の結果を踏まえ、流入速度と流出速度を約0.24μL/秒に設定した分析デバイスを作製し、検出ウェルの液交換について検討した。検出ウェルの直径を4mm、深さを4 mmとした。第1の流路のwdlを0.2 0.2 15とし、第2の流路のwdlを0.2 0.1 20とした。第1の流路と第2の流路はそれぞれ1本ずつとした。
検出ウェルに青色のインク溶液2μLを入れた。貯液ウェルに水を3mL入れ、吸液ウェルに吸液材としての吸水性ポリマー(具体的にはアクアリック(商品名)CA、株式会社日本触媒)100mgを入れた。2秒毎に検出ウェル内のインク濃度変化を定性的に測定した。インク濃度の測定は顕微鏡で撮影することにより行った。結果を図6に示す。
図6はインク添加前とインク添加後の時系列写真を示す。図6に示されるように、インク滴下後にインクが流される様子が確認される。180秒後には検出ウェル内の液がほぼ完全に交換されたことがわかる。これにより、ポンプを用いずに吸液材を用いる本発明の分析デバイスにおいて、液交換が可能であることが確認された。
さらに、蛍光物質を用いた実験を行った。すなわち、検出ウェルに蛍光物質としてカルセイン溶液を入れた。貯液ウェルに水を3mL入れ、吸液ウェルに吸液材としての吸水性ポリマー(具体的にはアクアリック(商品名)CA、株式会社日本触媒)100mgを入れた。10秒から60毎秒ごとに検出ウェル内のカルセイン濃度を蛍光測定した。カルセイン濃度の測定は、蛍光輝度を計測することより行った。結果を図7に示す。
図7の横軸は時間(分)、縦軸は、カルセインの濃度である。図7に示されるように、約400秒後には、カルセイン濃度がほぼ0となり、検出ウェル内の液がほぼ完全に交換されたことがわかる。これにより、ポンプを用いずに吸液材を用いる本発明の分析デバイスにおいて、液交換が可能であることが確認された。
2. 分析デバイスの作製
上記1に記載した予備実験の結果を踏まえ、ダブルウェルチャンバーを具備する分析デバイスを作製した。すなわち、図8に示すように、厚さ1mmのアクリル板を下部基板、厚さ3mmのアクリル板を中部基板、厚さ4mmのアクリル板を上部基板とした。下部基板に第1の流路と第2の流路を1本ずつ形成した。第1の流路は、幅0.2 mm、深さ0.2 mm、長さ15 mmとした。第2の流路は、幅0.2 mm、深さ0.1 mm、長さ20mmとした。ダブルウェルチャンバーの各ウェルの直径は4mmとした。第1の流路及び第2の流路は、ダブルウェルチャンバーの一方のウェル(下記塩化銀電極を作用電極とする側のウェル)にのみ連通するものである。その他のサイズは図8に示した通りである(単位mm)。下部基板と中部基板を積層して圧着機で圧着し、次に、中部基板の上に上部基板を積層して圧着機で圧着して分析デバイスを作製した。この分析デバイスでは、各流路は下部基板に形成されているので、各流路は、各ウェルの底部で各ウェルと接続される。さらに、下部基板に設けた、各ウェルの下部に形成した透孔に塩化銀ペーストを埋込み、測定用の電極とした。電極の一方は、グランドし、他方は作用電極として電流測定回路(特許文献3)に接続した。さらに、直径100μmの透孔を複数有する厚さ5μmのパリレン樹脂フィルムを隔壁として各ウェル間に挿入し、接着した。
3. 測定
流路が配置されていないグランド側のウェルに20mg/mLの 1,2-ジフィタノイル-sn-グリセロ-3-ホスフォコリン(DphPC) n-デカン溶液を5 μl滴下した。このとき、隔壁部位付近に塗布するように滴下した。吸液材設置部位近傍の流路に電解質溶液 (1 M KCl, リン酸カリウム緩衝溶液 pH 7.4に調整)を10 μl滴下し第2の流路内に溶液を満たした。同様に貯液ウェル側の第1の流路に電解質を10 μl滴下し、第1の流路内に溶液を満たした。上記と同様に作用電極側のウェルに20 mg/mlの DphyPCを滴下した。電解質溶液にへモリシン(10 nM)を溶かした溶液をグラウンド側ウェルに21 μl滴下した。電解溶液を作用電極側のウェルに21 μl滴下した。3mLの電解質溶液を貯液ウェルに入れた (貯液ウェルの液高さ7.5mm)。吸液ウェルの、第2の流路端部近傍に吸液材としての吸水性ポリマー(具体的にはアクアリック(商品名)CA)を100 mg入れた。アンプを用いて電流計測を開始した。印加電圧は60 mVであった。へモリシンによるナノポア由来の電流が検出されるまで膜の形成を行った。ナノポア由来の電流が検出された後に、モデル分析物であるシクロデキストリン(メチルβ-シクロデキストリン 500μM)を5μl作用電極があるウェルに滴下した。データ解析には電流値のヒストグラムを作り、ピークに対してガウシアンフィッティングを行い、へモリシンによるナノポア由来の面積とシクロデキストリンの閉塞シグナル面積を定量した。
測定結果を図9、図10及び表2に示す。図9に示されるように、シクロデキストリン含有溶液を添加する前は、電流が階段状に増大しており、ヘモリシンが脂質二重膜に再構成されるごとにヘモリシンのイオンチャンネルを介して電流が流れていることが確認された。すなわち、透孔に脂質二重膜が形成され、この脂質二重膜にヘモリシンが再構成(ヘモリシンが脂質二重膜を貫通して保持されること)されたことが確認された。シクロデキストリン含有溶液を添加すると、電流がしばしば降下することが観察された。これは、シクロデキストリンによりヘモリシンのイオンチャンネルが時々閉塞されるために起きる現象である。さらに、検出ウェルには第1の流路と第2の流路から溶液の出入りが連続的に起こっているため、時間経過と共に電流降下の頻度が低下しており、液交換が行われたことがわかる。また、図10に示すように、シクロデキストリン添加後3分では、電流値が大幅に低下しているが、シクロデキストリン添加後18分には、電流が元通りに回復しており、液交換が行われたことが確認された。さらに、表2に示すように、シクロデキストリン添加前では面積比は0であるが、シクロデキストリン添加後3分では、シクロデキストリンの閉塞シグナル面積が大幅に増加し、一方でヘモリシンナノポア由来の面積が低下したため面積比は0.23になった。シクロデキストリン添加後18分には面積比は0.03に減少し、液交換が行われたことが確認された。
Figure 0007440915000002
実施例2
1. 分析デバイスの作製
図11に示すように、厚さ1mmのアクリル板を下部基板、厚さ4mmのアクリル板を中部基板、厚さ4mmのアクリル板を上部基板とした。下部基板には、電極挿入用の貫通孔のみを開けた。中部基板に、直径3mmの検出ウェル、縦横12mm x 10mmの貯液ウェル、11mm x 11mmの吸液ウェルを貫通孔として形成した。さらに、第1の流路と第2の流路を1本ずつ形成した。第1の流路は、幅0.2mm、深さ0.1mm、長さ4mmとした。第2の流路は、幅0.2mm、深さ0.1mm、長さ10.5mmとした。その他のサイズは図11に示した通りである(単位mm)。下部基板と中部基板を積層して圧着機で圧着した。この際、流路が下向きになるように中部基板を配置した。次に、中部基板の上に上部基板を積層して圧着機で圧着して分析デバイスを作製した。さらに、下部基板に設けた透孔に直径0.3mmの白金電極を配置した。白金電極は、貯液ウェル及び検出ウェルにそれぞれ露出するように配置した。白金電極を接着剤で固定した。
2. 測定
実施例1と同じ電解質溶液を800 μL貯液ウェルに入れた。実施例1と同じ吸水性ポリマー20 mgを吸液ウェル内の第2の流路末端近傍に配置した。検出ウェルに前記電解質溶液を5 μL入れた。閉回路状態にして電位差が0 Vになることを確認した。電圧計に切り替え、電圧計測をスタートさせた。濃度3.1 mMの次亜塩素酸ナトリウム水溶液を5 μL検出ウェルに滴下した。電圧が0 Vに戻ったときに、再び同様に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を滴下した。結果を図12に示す。
図12に示されるように、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の添加直後では濃度勾配による起電力が発生するが、洗い流し効果により発生した起電力が減少し初期値である0 Vに戻る。再度、次亜塩素酸ナトリウムを添加すると同様の挙動が見られる。次亜塩素酸ナトリウムの検出及びその洗い流しを連続的に行うことができることがわかる。
実施例3
実施例1で作製した分析デバイスを用いて以下のとおりに実験を行った。DPhPCをデカンに溶かした溶液(20 mg/ml)を3μLずつ両方のウェルに入れた。バッファー(1 M KCl, 10 mMリン酸バッファー pH, 7.6)を検出ウェルに20μLに添加した。へモリシン1 nMを上記バッファーに溶かし、20μLをグランド側のウェルに滴下した。次いで、電気計測を開始した。計測条件は、印加電圧:60 mV, サンプリング周波数: 5 KHzであり、計測結果は1 kHz Bessel low pass フィルターにより処理した。3 mLのバッファーを貯液ウェルに滴下し、100 mgの吸水性ポリマーを吸液ウェルに滴下した。へモリシンが膜に再構成されナノポアが形成された後に、1 mMのシクロデキストリン化合物(heptakis(6-O-sulfo)-β-cyclodextrin、以下、単に「シクロデキストリン」と記載)を、時間間隔をあけて複数回、溶液交換が行われる検出ウェルに滴下した(図13参照)。滴下量は、初回のみ4μL、それ以降は2μLであった。結果を図13に示す。
図13に示されるように、シクロデキストリンを滴下するごとに、ヘモリシンのチャネルが閉塞されて電流が降下しており、ヘモリシンが再構成された脂質二重膜が3時間に亘って維持されたことが確認された。
さらに、以下のとおり、上記実験における、計測時間と、検出ウェル中のシクロデキストリン濃度の関係を調べた。溶液交換を行わない条件でブロッキングシグナルを取得して、検量線を作成した。すなわち、吸水性ポリマーと貯液ウェルの溶液を入れずにシクロデキストリンのシグナルを取得した。検量線を作成するためブロック頻度(ナノポア1つに対して、単位時間あたりに起こる電流降下の回数)とシクロデキストリンの濃度をプロットした(図14参照)。グラフの傾きから、0.003μM-1s-1を算出した。得られた検量線から、図13に示されるグラフの縦軸を濃度に変換した。具体的には、ある時間で起こるブロック頻度を算出し、取得ブロッキング頻度を傾き(0.003μM-1s-1)で割ることで濃度を算出した。なお、上記実験において、滴下されたシクロデキストリンの終濃度は、初回(図15の最も左側の矢印)が200μM、それ以降が100μMである。結果を図15に示す。
図15に示されるように、シクロデキストリンを滴下するごとにシクロデキストリン濃度が上昇し、時間と共に減少することが示された。すなわち、溶液の交換が起きていることが確認された。
比較例1
溶液交換を行わない、すなわち、貯液ウェルにバッファーを入れず、吸水性ポリマーを吸液ウェルに入れないことを除き、実施例3と同様な実験を行った。なお、比較例1では、用いた分析デバイス自体は実施例1で作製したものであるが、貯液ウェルにバッファーを入れず、吸液ウェルに吸水性ポリマーを入れなかったので、貯液ウェル及び吸液ウェルが存在しない分析デバイスを用いた場合の実験と同様になる。実験は以下のとおり行った。DPhPCをデカンに溶かした溶液(20 mg/ml)を3μLずつ両方のウェルに入れた。その後、バッファー(1M KCl, 10mMリン酸バッファー pH7.6)を検出ウェルに20μLに入れた。へモリシン1-10nMをバッファーに溶かし、20μLをグランド側のウェルに滴下した。次いで、電気計測を開始した。計測条件は、印加電圧:60 mV, サンプリングレート: 5 KHzであり、計測結果は1 kHz Bessel low pass フィルターにより処理した。膜が破壊されるごとに、脂質二重膜を再形成し、耐久時間を求めた。結果を図16に示す。
図16に示されるように、溶液交換を行わなかった場合には、脂質二重膜は、早い場合に2分間、最長でも20分間で破壊された。
10 下部基板
12 中部基板
14 上部基板
16 電極
18 検出ウェル
20 貯液ウェル
22 吸液ウェル
24 第1の流路
26 第2の流路
28 基板
30 隔壁
32 ウェル
34 ウェル
36 貫通孔

Claims (4)

  1. 基板と、該基板に設けられた検出ウェルと、該基板に設けられた貯液ウェルと、該基板内に配置された吸液材と、前記検出ウェルと前記貯液ウェルとを連通する1又は複数の第1の流路と、前記検出ウェルと前記吸液材を連通する1又は複数の第2の流路とを具備し、前記貯液ウェルに入れられた液は、前記第1の流路、前記検出ウェル、前記第2の流路をこの順序で流れて前記吸液材に到達し、この際の前記検出ウェルに流入する液の流速と、前記検出ウェルから流出する液の流速とが実質的に等しく、前記検出ウェルは、脂質二重膜により隔てられたダブルウェルチャンバーの形態にある、分析デバイス。
  2. 液交換を行う前記検出ウェルの容量が10μL~500μL、前記第1の流路の長さが4mm~200mm、前記第1の流路の幅が0.2mm~2mm、前記第1の流路の深さが0.1mm~1mm、前記第2の流路の長さが4mm~200mm、前記第2の流路の幅が0.2mm~2mm、前記第2の流路の深さが0.1mm~1mmである、請求項1記載の分析デバイス。
  3. 請求項1又は2記載の分析デバイスを用いた計測方法であって、計測を行いながら前記検出ウェル内の液を交換する、計測方法。
  4. 一定の流速で、前記検出ウェル内の液を交換する、請求項3記載の計測方法。
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