JP2012205536A - マイクロ流体デバイス、および脂質二重膜の形成方法 - Google Patents

マイクロ流体デバイス、および脂質二重膜の形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】安定したマイクロ流体デバイス10を提供する。
【解決手段】マイクロ流体デバイス10は、送液口12と、送液口12から延設された、耐有機溶剤性かつ疎水性の材料からなる壁面を有する主流路13と、主流路13の側面に設けられ、主流路13への開口部に平面脂質二重膜が形成される複数の微少憩室14と、主流路13から延設された貯液槽17と、を具備する。
【選択図】図1

Description

本発明は、バイオテクノロジー、バイオチップ、膜タンパク質分析、創薬スクリーニング、バイオセンサーなどの分野に用いられる脂質二重膜が形成されるマイクロ流体デバイス、および脂質二重膜の形成方法に関する。
生体膜の内外で物質輸送/情報伝達に関与する膜タンパク質の機能を、1分子計測によって理解し工学的に応用するためには、単離膜タンパク質が組み込まれた人工脂質二重膜モデル実験系を構築する必要がある。しかし、かかる実験系を構築するには熟練した技術を要する。このため、構築された実験系は、再現性が良くはなく、また、構築のスループットも高くはないことがあった。
発明者らは、特開2009−128206号公報において、PDMS(ポリメチルシロキサン)を用いてMEMS技術により作製した平面脂質二重膜を有するマイクロ流体デバイス(マイクロフルイディックデバイス)を開示している。このマイクロ流体デバイスは、構築のスループット向上、小型化、分析時間の短縮化、必要な試薬の少量化、および高い再現性等を提供した。
しかし、このマイクロ流体デバイスは、形成した平面脂質二重膜が短時間で破裂してしまうことがあり、安定した実験が容易ではないことがあった。
なお、マイクロ流体デバイスの作製に用いることのできるMEMS技術としては、光リソグラフィまたはエッチング等の微細加工技術だけでなく、押印転写法等も用いることができる。
特開2009−128206号公報
EE Text センサ・マイクロマシン工学、藤田博之編著、オーム社(2005) Onoe, H.ら、Journal of Micromechanics and Microengineering, 17: 1818-1827 (2007)
本発明の実施形態は、形成した平面脂質二重膜を長時間にわたり保持できるマイクロ流体デバイス、および形成した平面脂質二重膜を長時間にわたり保持できる脂質二重膜の形成方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様のマイクロ流体デバイスは、送液口と、前記送液口から延設された耐有機溶剤性かつ疎水性の材料からなる壁面を有する主流路と、前記主流路の壁面に設けられ前記主流路への開口部に平面脂質二重膜が形成される複数の微少憩室と、前記主流路から延設された貯液槽と、を具備する。
また、本発明の別の一態様の脂質二重膜の形成方法は、送液口と、前記送液口から延設された耐有機溶剤性かつ疎水性の主流路と、前記主流路の壁面に開口部を有する複数の微少憩室と、前記主流路から延設された貯液槽と、を具備するマイクロ流体デバイスの前記送液口から、第1の水溶液を注入し、前記主流路内および前記複数の微少憩室内を前記第1の水溶液で満たす第1液注入工程と、前記送液口から脂質を溶解した油性溶液を注入し前記主流路内を前記油性溶液で置換する第2液注入工程と、前記送液口から第2の水溶液を注入し前記主流路内を前記第2の水溶液で置換し前記微少憩室の前記開口部に平面脂質二重膜を形成する第3液注入工程と、を具備する。
本発明の実施形態によれば、形成した平面脂質二重膜を長時間にわたり保持できるマイクロ流体デバイス、および、形成した平面脂質二重膜を長時間にわたり保持できる脂質二重膜の形成方法を提供できる。
実施形態のマイクロ流体デバイスの構造を示す説明図である。 実施形態のマイクロ流体デバイスの構造を説明するための分解図である。 実施形態のマイクロ流体デバイスを有する分析システムを説明するための構成図である。 実施形態の平面脂質二重膜の形成方法を説明するための模式図である。図3(A)は第1液注入工程を、図3(B)は第2液注入工程を、図3(C)は第3液注入工程を示している。 実施形態のマイクロ流体デバイスの、膜タンパク質が組み込まれた脂質二重膜を説明するための説明図である。 ガラスの水に対する接触角を示す図であり、図6(A)は(疎水化処理なし)の場合を、図6(B)は、(疎水化処理あり)の場合を示している。 脂質二重膜形成のために第2液注入工程のアレイ部を上面から観察した明視野写真であり、図7(A)は(疎水化処理なし)の場合を、図7(B)は(疎水化処理あり)の場合を示している。
図1は実施形態のマイクロ流体デバイスの構造を示す説明図であり、図2は流体デバイスの構造を説明するための分解図である。なお、図示の都合上、図2は上下を逆に表示している。
図1および図2に示すように、流体デバイス(以下「流体デバイス」という)10は、送液口12と、2本の主流路(マイクロチャネル)13A、13Bと、複数の微少憩室(マイクロチャンバー)14と、貯液槽接続部16と、貯液槽17と、を具備する。送液口12から流体デバイス10の流路に注入された液体は、主流路13A、3B/微少憩室14、および貯液槽接続部16を介して貯液槽17に達する。
送液口12からの流路は、2分岐して並列に配置された2本の主流路13A、13Bに延設している。以下、主流路13A、13Bのそれぞれをいうときは主流路13という。主流路13の壁面(側面)には、主流路13への開口部を有する複数の微少憩室14が設けられている。言い換えれば、主流路13の側面に形成されている凹部を微少憩室14という。微少憩室14は主流路13の相対する側面に交互に設けられており、主流路13とともにアレイ部15を構成している。
主流路13の側面と微少憩室14の側面とが、主流路13および微少憩室14の、天面と底面との間を柱として支えている。このため、天面と底面との間隔、すなわち、流路の深さ(D)は一定に保たれている。
図2に示すように、流体デバイス10は2枚のパイレックス(登録商標)ガラスからなる平板を接合して作製されている。流路は、第1の平板21に形成された凹部21Vと第2の平板22と、により形成されている。すなわち、第1の平板21の凹部21Vが流路の天面および2つの側面を構成し、第2の平板22が流路の底面を構成している。
また、流体デバイス10の流路の壁面には、ジシラザン剤による疎水化処理が行われている。すなわち、流体デバイス10は、流路に、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)溶液が流し込まれ、70℃〜80℃でベーキング処理されている。
なお、流体デバイス10は、第1の平板21および第2の平板22がガラスからなるため、アレイ部15を外部から観察できる。
また、ガラスに替えてシリコンを用いて流路の凹部を形成してもよい。シリコンは光透過性を有しないが、MEMS技術による微細加工がガラスよりも容易である。そしてシリコン基板とガラス基板とを接合して流体デバイスを作製すると、ガラス基板側から主流路13および微少憩室14が、外部から観察可能である。
さらに、流路の形の貫通部を有するシリコンの両面に、それぞれガラス基板を接合して流体デバイスを作製してもよい。この場合には流体デバイスは3枚の平板により構成される。
2本の主流路13は、貯液槽接続部16を介して貯液槽17に接続されている。貯液槽接続部16は、幅が主流路13の幅(W)の6倍以上の流路と、幅が主流路13の幅(W)の30倍以上まで広がる流路と、により構成されている。第1の平板21の送液口12には貫通孔12Hがあり、貫通孔12Hに接続された送液チューブ3(図3参照)を介して、流体デバイス10の外部から流路に流体、例えば液体が供給される。一方、第1の平板21の貯液槽17にも貫通孔17Hがあり、流体デバイス10の流路に供給された流体は貫通孔17Hを介して、外部に排出される。
以上の説明のように、流体デバイス10は、送液口12を有する送液口構成部材12P1、12P2と、主流路13を有する主流路構成部材13P1、13P2と、微少憩室14を有する微少憩室構成部材14P1、14P2と、貯液槽接続部16および貯液槽17を有する貯液槽構成部材16P1、16P2と、からなる。流体デバイスの作製には、それぞれの前記構成部材を組み合わせてもよいが、図2に示すように、流体デバイス10では、第1の平板21と第2の平板22とが、複数の前記構成部材機能を有する。
図3に示すように、流体デバイス10は、アレイ部15を外部から観察するための顕微鏡2と、送液チューブ3を介して流路に液体を供給するシリンジポンプ等のポンプ4と、供給する液体を切り替えるためのバルブ5と、温度制御装置6と、これらの動作を制御する中央演算装置7等と、ともに分析システム1を構成している。
分析システム1では、中央演算装置7が、流路に流す液体の種類および流速を制御する。さらに、中央演算装置7は、均一流、脈流、または、不均一流のように流体の流し方を制御することができる。
なお、微少憩室14は主流路13の側面以外の壁面、すなわち天面および底面に交互に設けられていてもよい。この場合には、主流路13の天面または底面と、天面または底面に設けられた隣接する微少憩室14とで画定される部分が、梁として主流路13の両側面の間を支えるため、両側面の間隔(幅:W)を一定に保持する。
次に、流体デバイス10の平面脂質二重膜の形成方法について説明する。流体デバイス10の平面脂質二重膜形成には、第1液注入工程と、第2液注入工程と、第3液注入工程とが、途中で流路に空気が入ることなく、順に行われる。
図4(A)に示すように、第1液注入工程では、第1液である第1の水溶液W1が送液口12から、注入され、主流路内および複数の微少憩室内が第1の水溶液W1で満たされる。なお、以下の図において矢印は溶液の流れを示している。
pH緩衝生理食塩水等からなる第1の水溶液W1には、平面脂質二重膜の形成に影響がない各種成分を含む。例えば、後述するように、第1の水溶液W1には、平面脂質二重膜に組み込む膜タンパク質Pが含まれる。さらに、膜タンパク質Pがイオンチャンネルのように特定のイオンの輸送に関与する場合には、第1の水溶液W1は前記イオンの変動を検出するのに適した塩組成物、例えば蛍光物質Fを含むことが好ましい。
第2液注入工程では、第2液である脂質Lを溶解した油性溶液W2が送液口12から注入される。すると、主流路内の第1の水溶液W1は押し流され、主流路内は油性溶液W2で置換される。
油性溶液W2の脂質Lは、脂質二重膜形成成分であり、親水基(親水性原子団)と疎水基(疎水性原子団)とを有する。脂質Lとしては、例えば、リン脂質、糖脂質、コレステロール、または、その他の化合物から、形成する脂質二重膜に応じて適宜選択される。リン脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン等である。糖脂質は、セレブロシド、ガングリオシド等である。
一方、脂質Lを溶解する油性溶媒は、各種の有機溶媒、例えば、ヘキサデカン、スクアレン等から選択される。
図4(B)に示すように、第2液注入工程において、主流路内の第1の水溶液W1は、油性溶液W2で置換されるが、微少憩室内の第1の水溶液W1は残留する。このため、微少憩室14の開口部に第1の水溶液W1と油性溶液W2との界面が形成される。すると、油性溶液W2に溶解されている脂質Lの一部は、界面において、親水基を第1の水溶液側に向けて配列した単分子膜状態となる。
第3液注入工程では、第3液である第2の水溶液W3が送液口12から注入される。すると、主流路内の油性溶液W2は押し流され、主流路内は第2の水溶液W3で置換される。第2の水溶液W3は第1の水溶液W1と同じpH緩衝生理食塩水等である。
図4(C)に示すように、第3液注入工程において、主流路内の油性溶液W2が第2の水溶液W3で置換されるときに、微少憩室14の開口部に配列していた単分子脂質膜の疎水基に、油性溶液中の脂質Lの疎水基が配列し、微少憩室14の開口部を封止する脂質二重膜L2が形成される。すなわち、脂質二重膜L2は、脂質2分子がテール・ツー・テール式に疎水基どうしが向き合うように配向した構造である。
ここで、第1液(第1の水溶液W1)として、精製膜タンパク質であるα−ヘモリシン(P)と蛍光物質であるカルセイン(F)とを含む溶液を用いた場合には、第2液注入工程において、α−ヘモリシンPが第2液(油性溶液W2)に溶解される。そして、図5の断面模式図に示すように、第3液注入工程において、脂質Lが脂質二重膜L2になると、α−ヘモリシンPは自己集合してカルセインFが通過できる、脂質二重膜L2を貫通した微細貫通孔を有する7量体を形成する。すなわち、膜タンパク質Pが組み込まれた脂質二重膜L2が形成される。すると、カルセインFが微細貫通孔を介して微少憩室14から主流路13に流出する。このため、脂質二重膜L2を形成するときに微少憩室内の蛍光強度を測定していると、蛍光強度の低下により膜タンパク質が組み込まれた脂質二重膜の形成を検出できる。
次に、実施形態の流体デバイス10に脂質二重膜L2を形成し、その保持時間を測定した結果等について説明する。
流体デバイス10の脂質二重膜L2を形成には、第1液(第1の水溶液W1)として、Dulbeccoリン酸緩衝生理食塩水(以下、「DPBS」という。インビトロジェン株式会社)にカルセイン(C0875−5G、シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社)を50μM添加して用いた。第2液(油性溶液W2)として、ヘキサデカンにホスファチジルコリン(DPhPc、850356C、Avanti Polar Lipids INC、フナコシ株式会社)を5−20mg/mL添加して用いた。第3液(第2の水溶液W3)として、DPBSを用いた。第1液の流速は1μL/分、第2液の流速は0.3−0.6μL/分、第3液の流速は最大0.15μL/分とした。
なお、流体デバイス10の寸法は、例えば、主流路13が、幅(W)=60μm、深さ(D)=8μmであり、微少憩室14が、開口部幅(w)=9μm、奥行き(t)=19μm、深さ(d)=8μmである。
なお、流体デバイス10は、脂質二重膜L2によって封止される微少憩室内の第1液の体積は、主流路13の寸法と比べて小さい。そのため、送液によって主流路13を通過する液体の圧力が変動しても、微少憩室内の第1液の体積変動が小さく、脂質二重膜L2が破裂しにくい。
ここで、比較のため、特開2009−128206号公報に開示された流体デバイス10Aについても、流体デバイス10と同様の方法で脂質二重膜を形成した。流体デバイス10Aは、流体デバイス10と同様の構造であるが、流路の壁面はPDMSからなる。
さらに、比較のために、流体デバイス10と同じ前記ガラスを用いて作製したが、疎水化処理を行わなかった流体デバイス10Bについても、流体デバイス10と同様の方法で脂質二重膜の形成を試みた。
最初に、予備実験として接触角の測定を行った結果について説明する。図6(A)および図6(B)は、流体デバイスに用いた前記ガラスの水に対する接触角を示す図であり、図6(A)は、流体デバイス10B(疎水化処理なし)の場合を、図6(B)は、流体デバイス10(疎水化処理あり)の場合を示している。図6(A)および図6(B)に示すように、水に対する接触角は、ジシラザン剤による疎水化処理により、31.8度から96.1度に増大している。
次に、図7(A)および図7(B)は、脂質二重膜形成のために、第2液注入工程のアレイ部15を上面から観察した明視野写真を示す。図7(A)は流体デバイス10B(疎水化処理なし)の場合を、図7(B)は流体デバイス10(疎水化処理あり)の場合を示している。
図7(A)に示すように、流体デバイス10Bでは、第2液(油性溶液)W2を注入したとき、微少憩室内だけでなく、主流路13の側面にも第1液(第1の水溶液)W1が残留した。このため、続いて第3液(第2の水溶液)W3を注入しても、アレイ部15に脂質二重膜は形成されなかった。これは流路を構成している前記ガラスが親水性(接触角31.8度)のためである。
これに対して、図7(B)に示すように、流体デバイス10では、主流路13の壁面が疎水性(接触角96.1度)であるため、主流路13の壁面は、第1液W1が残留することなく、第2液W2と完全に接触し濡れた状態になっていた。そして、続いて第3液W3を注入することにより、アレイ部15に脂質二重膜L2が形成された。なお、流体デバイス10Aにおいても流路の壁面を構成するPDMSは疎水性(接触角108.1度)であるため、第3液W3を注入することにより、アレイ部15に脂質二重膜L2が形成された。
なお、別途行った実験結果等から、流路の壁面を構成する材料の、水に対する接触角は、40度以上、好ましくは60度以上、特に好ましくは90度以上であった。前記範囲以上であればアレイ部15に脂質二重膜L2が形成可能であり、接触角が大きいほど、アレイ部15の多くの微少憩室14の開口部に脂質二重膜が形成された。接触角の上限は特にないが、第1液注入工程において、効率良く、微少憩室内を第1の水溶液W1で満たすためには、例えば130度以下が好ましい。
なお、上記説明のように、アレイ部15の主流路13の壁面は疎水性であることが必要だが、微少憩室14の壁面は親水性の方が第1液注入工程において、効率良く、微少憩室内を第1の水溶液W1で満たすことができる。すなわち、主流路13の壁面は疎水性で微少憩室14の壁面は親水性であることが最も好ましい。
前記最も好ましい壁面を有する流体デバイスは、例えば、疎水化処理を行う前に、紫外線硬化型樹脂を流路に注入し、微少憩室内にのみ紫外線を照射し樹脂を硬化する。すなわち、微少憩室内に樹脂を充填してからジシラザン剤による疎水化処理を行い、その後、有機溶媒等を用いて微少憩室内の樹脂を溶解し除去すればよい。
なお、疎水化処理は、HMDS処理等のジシラザン剤による処理に限られるものではなく、シランカップリング剤による処理でもよい。また、主流路13の壁面に、疎水性の、無機材料膜または金属膜、を成膜して疎水性化してもよい。さらに、主流路13の壁面を、ハスの葉の表面に似た微細構造とし、いわゆるロータス効果により疎水性化してもよい。
そして、脂質二重膜保持時間は、流体デバイス10Aでは、12分であったのに対して、流体デバイス10では、1470分(24.5時間)であった。
これは、流体デバイス10Aでは、生成した脂質二重膜の溶媒成分(油性溶液)が、耐有機溶剤性のないPDMSからなる壁面から吸収されるため、脂質二重膜が破壊されてしまうためと考えられる。これに対して、流路の壁面が、耐有機溶剤性のある前記ガラスからなる流体デバイス10は脂質二重膜の溶媒成分が壁面に吸収されることがないため、長時間、保持できたものであると考えられる。
すなわち、主流路13の壁面が、耐有機溶剤性を有する材料からなる流体デバイス10は形成した平面脂質二重膜を長時間にわたり保持できる。耐有機溶剤性は、例えば、塗料一般試験方法(JIS K5600-6-1)に準じた試験法により判断できる。すなわち、所定の有機溶剤に所定時間浸積した後の重量変化/形状変化を判断材料とする。
より具体的には、試験材料を、第2液に用いる油性溶液(室温)に24時間浸積したときに、重量変化および形状変化が一般的な測定器を用いて測定限界以下の材料であれば、流体デバイス10に用いることができる。
なお、上記試験法によれば、PDMSは、膨潤し形状変化が顕著であったが、前記ガラス、シリコンおよびフッ素樹脂は全く変化がなかった。
さらに、PDMS等の有機材料を用いて流路の壁面を構成しても、壁面を耐有機溶剤性のある無機材料膜または金属膜によりコーティングすることにより流体デバイスに好ましく用いることが可能である。
以上の説明のように、耐有機溶剤性かつ疎水性の材料からなる壁面を有する主流路13からなる本実施形態の流体デバイス10は微少憩室14の開口部に平面脂質二重膜が形成可能であり、かつ形成された平面脂質二重膜を長時間にわたり保持できる。また本実施形態の平面脂質二重膜の形成方法は微少憩室14の開口部に平面脂質二重膜が形成可能であり、かつ形成された平面脂質二重膜を長時間にわたり保持できる流体デバイスが製造できる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等ができる。
1…分析システム
2…顕微鏡
3…送液チューブ
4…ポンプ
5…バルブ
6…温度制御装置
7…中央演算装置
10、10A、10B…マイクロ流体デバイス
12…送液口
13…主流路
14…微少憩室
15…アレイ部
16…貯液槽接続部
17…貯液槽
21…第1の平板
22…第2の平板

Claims (12)

  1. 送液口と、
    前記送液口から延設された、耐有機溶剤性かつ疎水性の材料からなる壁面を有する主流路と、
    前記主流路の壁面に設けられ、前記主流路への開口部に平面脂質二重膜が形成される複数の微少憩室と、
    前記主流路から延設された貯液槽と、を具備することを特徴とするマイクロ流体デバイス。
  2. 前記主流路の壁面が、耐有機溶剤性を有する親水性材料からなり、壁面が疎水化処理されていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
  3. 前記疎水化処理が、シランカップリング剤またはジシラザン剤によることを特徴とする請求項2に記載のマイクロ流体デバイス。
  4. 前記親水性材料が、ガラスまたはシリコンの少なくともいずれかであることを特徴とする請求項3に記載のマイクロ流体デバイス。
  5. 前記主流路の壁面が、無機材料膜または金属膜からなることことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
  6. 前記主流路および前記微少憩室が、外部から観察可能であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
  7. 送液口と、前記送液口から延設された耐有機溶剤性かつ疎水性の主流路と、前記主流路の壁面に開口部を有する複数の微少憩室と、前記主流路から延設された貯液槽と、を具備するマイクロ流体デバイスの前記送液口から、第1の水溶液を注入し、前記主流路内および前記複数の微少憩室内を前記第1の水溶液で満たす第1液注入工程と、
    前記送液口から、脂質を溶解した油性溶液を注入し、前記主流路内を前記油性溶液で置換する第2液注入工程と、
    前記送液口から、第2の水溶液を注入し、前記主流路内を前記第2の水溶液で置換し、前記微少憩室の前記開口部に平面脂質二重膜を形成する第3液注入工程と、を具備することを特徴とする脂質二重膜の形成方法。
  8. 前記主流路の壁面が、耐有機溶剤性を有する親水性材料からなり、壁面が疎水化処理されていることを特徴とする請求項7に記載の脂質二重膜の形成方法。
  9. 前記疎水化処理が、シランカップリング剤またはジシラザン剤によることを特徴とする請求項8に記載の脂質二重膜の形成方法。
  10. 前記親水性材料が、ガラスまたはシリコンであることを特徴とする請求項9に記載の脂質二重膜の形成方法。
  11. 前記主流路の壁面が、無機材料膜または金属膜からなることことを特徴とする請求項7に記載の脂質二重膜の形成方法。
  12. 前記主流路および前記微少憩室が、外部から観察可能であることを特徴とする請求項7から請求項11のいずれか1項に記載の脂質二重膜の形成方法。
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