JP2014024000A - 液体処理装置および液体処理方法 - Google Patents

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英理 小畠
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Osamu Hamamoto
修 濱本
Kimiaki Sugiura
公昭 杉浦
Yoichi Sugiyama
洋一 杉山
Hiroshi Seno
比呂司 瀬野
Yoshinori Hisayoshi
良則 久芳
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Abstract

【課題】排水等の液体中に含まれるアンモニア対窒素等の被処理物質に対する従属栄養細菌による分解処理を、高効率、且つ安価に行うことができる液体処理装置および液体処理方法を提供すること。
【解決手段】被処理液中に含まれる被処理物質を分解する微生物を担持した担体が充填された液体処理部を備え、該液体処理部に前記被処理液を流通させて、前記被処理物質を分解する液体処理装置であって、前記担体は、前記微生物の栄養源となる物質を含む材料であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、被処理液中に含まれる被処理物質を、当該被処理物質を分解する微生物を担体に担持した固定床に前記被処理液を流通させることにより処理する液体処理装置、および液体処理方法に関するものである。
一般的に、高いBOD成分を有する排水等の液体を微生物によって好気性に処理する場合、通気によって、充分な量の酸素を確保する必要がある。そのため、充填層(固定床)による処理は、その構造に特に工夫が必要とされている。しかし、前記充填層の内部に通気管を挿入する方法や、導電性担体を用いて酸化性雰囲気を維持する方法などによって対応することが可能である。
特開2009−220075号公報
特許文献1には、多孔体によって形成された担体に微生物を担持させた微生物固定化担体を用いた、排水の生物学的硝化脱窒装置が開示されている。一般に硝化・脱窒反応は、硝化は好気性、脱窒は嫌気性とするため、固定床も好気と嫌気の領域をそれぞれ設けている。
このような、微生物固定化担体を用いて硝化・脱窒を行う場合、従属栄養細菌を担持した脱窒部の微生物の活発な増殖を促すため、処理される排水に前記微生物の栄養源を添加することが行われている。
しかしながら、排水(被処理液)への前記栄養源の添加は、処理手順が煩雑になる上、排水処理にかかる費用の増加に繋がる。
更に、養魚施設等における水の処理としては、前記栄養源の添加はBOD源の添加となり、好ましくない。
本発明の目的は、排水等の液体中に含まれるアンモニア対窒素等の被処理物質に対する従属栄養細菌による分解処理を、高効率、且つ安価に行うことができる液体処理装置および液体処理方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の第1の態様に係る液体処理装置は、被処理液中に含まれる被処理物質を分解する微生物を担持した担体が充填された液体処理部を備え、該液体処理部に前記被処理液を流通させて、前記被処理物質を分解する液体処理装置であって、前記担体は、前記微生物の栄養源となる物質を含む材料であることを特徴とする。
ここで、前記被処理液としては、例えば、活性汚泥処理が適用できる有機性排水、生活排水、工場排水、下水、地下水、魚の養殖場等の淡水、海水等が挙げられる。前記被処理液の中に含まれる被処理物質は、BOD値の増加に繋がる有機物の他、分解してアンモニア、硝酸、亜硝酸を生成する含窒素化合物類、ハロカーボン類や、BOD値に反映しにくいCOD成分等が挙げられる。
前記液体処理部に充填する担体には、前記被処理液中に含まれる前記被処理物質を分解する微生物が担持されているとともに、前記担体を成す材料には、前記微生物が増殖するための栄養源となる物質が含まれている。
本態様によれば、前記液体処理部に前記被処理液を流通させるにあたり、従来のように別途栄養源の添加を行わなくても、前記微生物にはその増殖に必要な栄養源が担体から十分供給されることとなり、高効率に被処理液の液体処理を行うことが可能となる。尚、別途栄養源の添加を、当該被処理液を最終的には実質的に汚染しないと言える範囲で添加することは問題ない。
本発明の第2の態様に係る液体処理装置は、第1の態様において、前記微生物は、少なくとも好気性条件下で増殖する好気性微生物であり、前記担体が含む栄養源は、前記好気性微生物が増殖するための栄養源として前記被処理液中に含まれる被処理物質と当該担体が含む栄養源とを必要とする関係にある種類のものであることを特徴とする。
ここで、「少なくとも好気性条件下」とは、当該微生物は好気性条件で増殖する能力があればよく、好気性に加えて嫌気性条件下でも増殖できる微生物は本発明に含まれるという意味で使われている。
本態様によれば、当該好気性微生物が担体に担持された状態で、前記被処理物質を含有する被処理液に接すると、担体上で増殖のための栄養源が全て揃うことになり、増殖が開始する。即ち、当該好気性微生物は、担体が含む栄養源と前記被処理液中に含まれる被処理物質とを増殖のための栄養源としているので、前記被処理液と接することで増殖に必要な栄養源が全て揃い、増殖が可能な状態になる。
従って、従来のように被処理液に栄養源を添加する必要なく、被処理液中の被処理物質を、担体が有する栄養源を使って分解することができる。これにより、被処理液のBOD値やCOD値を増大することなく、前記被処理物質を分解することができる。
また、被処理物質が含まれていない被処理液と接した場合は、当該好気性微生物の増殖は開始しない。そのため担体が含む栄養源が無駄に消費されない。
また、被処理液中の被処理物質の濃度が高低変化しても、その変化する被処理物質の濃度に対応して担体が含む栄養源が消費されるので、被処理液中の被処理物質の濃度変化に自動的に対応することができる。
本発明の第3の態様に係る液体処理装置は、第1の態様において、前記微生物は、少なくとも嫌気性条件下で増殖する嫌気性微生物であり、前記担体が含む栄養源は、前記嫌気性微生物が増殖するための栄養源として前記被処理液中に含まれる被処理物質と当該担体が含む栄養源とを必要とする関係にある種類のものであることを特徴とする。
ここで、「少なくとも嫌気性条件下」とは、当該微生物は嫌気性条件で増殖する能力があればよく、嫌気性に加えて好気性条件下でも増殖できる微生物は本発明に含まれるという意味で使われている。
本態様によれば、当該嫌気性微生物が担体に担持された状態で、前記被処理物質を含有する被処理液に接すると、担体上で増殖のための栄養源が全て揃うことになり、増殖が開始する。即ち、当該嫌気性微生物は、担体が含む栄養源と前記被処理液中に含まれる被処理物質とを増殖のための栄養源としているので、前記被処理液と接することで増殖に必要な栄養源が全て揃い、増殖が可能な状態になる。
従って、従来のように被処理液に栄養源を添加する必要なく、被処理液中の被処理物質を、担体が有する栄養源を使って分解することができる。これにより、被処理液のBOD値やCOD値を増大することなく、前記被処理物質を分解することができる。
また、被処理物質が含まれていない被処理液と接した場合は、当該嫌気性微生物の増殖は開始しない。そのため担体が含む栄養源が無駄に消費されない。
また、被処理液中の被処理物質の濃度が高低変化しても、その変化する被処理物質の濃度に対応して担体が含む栄養源が消費されるので、被処理液中の被処理物質の濃度変化に自動的に対応することができる。
本発明の第4の態様に係る液体処理装置は、第2の態様において、前記被処理物質はアンモニア態窒素(NH−N)であり、前記好気性微生物は好気性脱窒菌であることを特徴とする。
ここで、前記好気性脱窒菌としては、例えば、アルカリゲネス属細菌であるアルカリゲネス フェカリス4株(Alcaligenes faecalis No.4.)、アルカリゲネス フェカリスOKK17(Alcaligenes faecalis OKK17)、バチルス属細菌等が挙げられる。
本態様によれば、被処理液中のアンモニア態窒素は、その大半が当該好気性脱窒菌による酸化・好気性脱窒作用によって窒素ガスなどの形で液中から除去される。残りは資化によって増殖した好気性脱窒菌自体の細胞組織の構成元素となって液中から除去される。これにより、被処理液中のアンモニア態窒素を大幅に低減することができる。
即ち、好気性脱窒菌によって前記窒素ガス(N等)等まで分解されることによって被処理液中のアンモニア態窒素の含有量は半減され、残りのほとんどは増殖した好気性脱窒菌の細胞組織に取り込まれる。この状態の被処理液を固液分離すれば、液中にはアンモニア態窒素はほとんど含まれていない状態になる。
尚、本願明細書において「資化」とは、好気性脱窒菌がアンモニア態窒素を増殖するための栄養源として利用し、窒素の一部又は全部を蛋白質等の形で自らの細胞組織の構成元素として利用することを意味する。
本発明の第5の態様に係る液体処理装置は、第3の態様において、前記被処理物質は亜硝酸態窒素又は硝酸態窒素であり、前記嫌気性微生物は嫌気性脱窒菌であることを特徴とする。
ここで、嫌気性脱窒菌としては、特定の種類のものに限定されず、公知の脱窒菌を利用することができる。
本態様によれば、当該嫌気性脱窒菌が、前記担体が含む栄養源と被処理液中の硝酸態窒素等とを増殖のための栄養源として使って増殖し、この増殖によって当該硝酸態窒素等を分解する。この脱窒反応によって硝酸態窒素等はNガスとなって被処理液の外に放出される。
本発明の第6の態様に係る液体処理装置は、第4の態様において、前記好気性脱窒菌は、アルカリゲネス属細菌であることを特徴とする。
好気性脱窒菌としてアルカリゲネス属細菌は、被処理液中に含まれるアンモニア態窒素に対する酸化・好気性脱窒及び資化の能力が高いので、単一工程で被処理液中のアンモニア態窒素を効果的に低減することができる。
本発明の第7の態様に係る液体処理装置は、第6の態様において、前記被処理液は、pH6.0〜9.0の範囲において、溶存酸素濃度を0.1mg/L〜2.0mg/Lの範囲に調整されて前記液体処理部に流通されることを特徴とする。
本態様によれば、前記アンモニア態窒素の低減処理を、pH6.5〜9.0の範囲において、酸化還元電位または溶存酸素濃度、またはその両方を、前記数値範囲に制御して行うことによって、本願好気性脱窒菌を効率よく増殖させて、被処理液中に含まれるアンモニア態窒素の含有量を効果的に低減することができる。
尚、前記アンモニア態窒素の低減処理は、pH7.0〜8.6の範囲において、溶存酸素濃度を0.1mg/L〜2.0mg/Lの範囲に制御して行うと、一層効果的である。
本発明の第8の態様に係る液体処理装置は、第4の態様から第7の態様のいずれか一つの態様において、前記担体は、木質タンニン、ピートモス成形材、木質材、草木質材、表面炭化木質材、褐炭、多糖類、表面炭化不織布、生分解樹脂成形材、腐植質物質、フルボ酸、及び油脂加水分解物の群から選ばれる少なくとも1つの材料を含んでいることを特徴とする。
本態様によれば、前記担体として上記の群から選ばれる少なくとも1つの材料を用いることによって、第3の態様と同様の作用効果を得ることができる。腐植質物質のペレット等を用いる場合は、腐植質物質をペレット状に成形するが、この腐植質物質は成形せずに単に充填した状態で用いてもよい。
本発明の第9の態様に係る液体処理装置は、第2の態様、第4の態様、第6の態様、又は第7の態様において、前記液体処理部は、当該液体処理部内に酸素を含む気体を供給する供給孔を有することを特徴とする。
本態様によれば、第2の態様、第4の態様、第6の態様、又は第7の態様のいずれか一つと同様の作用効果に加え、供給孔から液体処理部内に酸素を含む気体を供給し、液体処理部内の担体に担持された微生物が、被処理物質を分解処理するにあたって好適な好気的な処理条件(溶存酸素量、酸化還元電位、pH等)を維持することができる。
本発明の第10の態様に係る排水の液体処理方法は、被処理液中に含まれる被処理物質を分解する微生物を担持した担体が充填された液体処理部に前記被処理液を流通させる工程と、前記担体に含ませてある前記微生物の栄養源及び前記被処理液中に含まれる被処理物質とを栄養源として前記微生物を増殖させる工程と、を有することを特徴とする。
本態様によれば、担体に含ませてある前記微生物の栄養源及び前記被処理液中に含まれる被処理物質とを栄養源として前記微生物を増殖させるので、被処理液に栄養源を加える必要がなく、高効率且つ安価に液体を処理することができる。
本発明に係る液体処理装置の一実施例を説明する概略構成図である。 本発明に係る液体処理装置の液体処理部の一例を示す要部拡大図である。 本発明に係る液体処理装置の液体処理部の他の例を示す要部拡大図である。
以下において、本発明について実施例に基づき詳細に説明する。尚、本発明はこれらによって制約されるものではない。
まず、本発明に係る液体処理装置について説明する。図1は、本発明に係る液体処理装置の一実施例を説明する概略構成図である。図2は、本発明に係る液体処理装置の液体処理部の一例を示す要部拡大図であり、図3は、前記液体処理部の他の例を示す要部拡大図である。
本発明に係る液体処理装置1は、排水等の被処理液10中に含まれる被処理物質を分解する微生物を担持した担体3が充填された液体処理部2を備えている。液体処理部2に前記被処理液10を流通させて、前記被処理物質を前記微生物の栄養源の一成分として該微生物によって処理する構成である。そして、前記担体3は、前記微生物の栄養源の一成分となる物質を含む材料で構成されている。この材料は担持する微生物の種類に対応して決まる。
本実施例では、前記被処理物質はアンモニア態窒素(NH−N)である。そして、前記微生物は、少なくとも好気性条件下で前記アンモニア態窒素を栄養成分として増殖する好気性微生物である好気性脱窒菌であり、具体的にはアルカリゲネス属細菌であるアルカリゲネス フェカリス4株(Alcaligenes faecalis No.4.)が使われている。この菌種に限定されないことは勿論である。
当該好気性脱窒菌は、好気性環境の下で、被処理液10中のアンモニア態窒素を最終的にNにまで分解する処理と、アンモニア態窒素の資化による除去を行う。
前記担体が含む栄養源は、前記好気性脱窒菌が増殖するための栄養源として前記被処理液10中に含まれる被処理物質であるアンモニア態窒素と当該担体3が含む栄養源とを両方とも必要とする関係にある種類のものである。即ち、一方だけでは増殖のための栄養源としては足りず、両方揃って微生物が増殖できるという関係にある。従って、被処理物質が含まれていない被処理液と接した場合は、当該好気性微生物の増殖は開始せず、担体が含む栄養源が無駄に消費されない。
また、被処理液中の被処理物質の濃度が高低変化しても、その変化する被処理物質の濃度に対応して担体が含む栄養源が消費されるので、被処理液中の被処理物質の濃度変化に自動的に対応する。
前記該栄養源として、木質タンニン、ピートモス成形材、木質材、草木質材、表面炭化木質材、褐炭、多糖類、表面炭化不織布、生分解樹脂成形材、腐植質物質、フルボ酸、及び油脂加水分解物等が挙げられる。これらの一つ、又は複数の組み合わせで使用することができる。
充填される担体の形状は、ペレット状(例えば直径5mm、長さ10mm等)や粒状(直径5〜10mm等)等、生物膜リアクターにおいて液との充分な接触性、小さい液透過抵抗および大きな比表面積などを実現できるものが好ましい。具体的には、木質のものはペレットへの成形加工、褐炭などは粉砕状態のまま使用するか、或いは粒状などに成形して使用できる。ピートモスなどはそのまま充填材として使用することができる。
前記被処理液10は、pH6.0〜9.0の範囲において、酸化還元電位を例えば−0.2V〜+0.8V(対標準水素電極基準)または溶存酸素濃度を0.1mg/L〜2.0mg/Lの範囲、又はその両方を前記範囲に調整されて前記液体処理部2に流通される。
その調整を行うために、本実施例に係る液体処理装置1は、担体3が充填された液体処理部2の内部に、流通する被処理液10の酸化還元電位を制御する酸化還元電位制御部4を備えている。図1において符号16は導電体であり、符号5は作用極であり、符号6は対極である。
酸化還元電位制御部4を設けて被処理液10の酸化還元電位を制御する場合には、液体処理部2における液体処理後の被処理液10の酸化還元電位を測定する酸化還元電位測定部15が設けられる。酸化還元電位測定部15によって測定された酸化還元電位の値に応じて、前記導電体16の印加電圧が制御される。
好気性脱窒菌を用いて好気性処理を行う担体の充填層では、層内で溶存酸素が不足する場合があり、特に層内の液の流れが不均一な場合、この傾向が大きくなる。このとき、充填層の酸化還元電位が制御できれば、酸素の不足分を電位制御によって補うことができる。充填層に炭素等の導電性物質を混合することによって、電位制御は容易になる。
また前記調整を行うために、液体処理部2の出口9の後段には溶存酸素濃度測定部13が設けられており、前記出口9から排出される被処理液10の溶存酸素濃度を測定するように構成されている。また、同様に、液体処理部2における液体処理後の被処理液10のpHを測定するpH測定部14を設けられている。
前記被処理液10は、液体処理部2の入口8から導入され、液体処理部2の出口9から排出される。
液体処理部2は、図2および図3に示されるように、当該液体処理部内に酸素を含む気体を供給する供給孔7を有している。前記液体処理部2の出口9側から被処理液10を吸引して当該被処理液10の流通を制御する場合には、図2のように供給孔7は、外部の空気を吸引する吸引孔11として設けることができる。
また、液体ポンプ等により被処理液10を加圧して液体処理部2に送り込む場合には、図3のように、前記供給孔7として、空気等を加圧注入する注入口12を設けることができる。供給孔7から送り込む気体Aとしては、空気等の酸素を含む気体の他、より高濃度の酸素含有ガス(純酸素)を用いてもよい。
本発明に係る液体処理装置1を用いることによって、被処理物質を含む被処理液10を液体処理部2に流通させ、当該被処理液10が液体処理部2を流通する間に前記担体3に担持された好気性脱窒菌による好気的処理を行い、被処理液10に含まれるアンモニア態窒素の量を減少させることができる。
以上が本発明の液体処理装置、および排水の液体処理方法の説明であり、これらにより、被処理液である排水中に含まれる被処理物質の液体処理を高効率、且つ安価に行うことが可能となる。
[試験例1]
腐植土を担体として、被験液にアンモニア水(1g−N/lのアンモニア水)を用いた脱窒テスト(エアレーションテスト)を行った。粒状にした市販腐植土10gに約10個/mlのAlcaligenes faecalis No.4を含む培養液5mlを含浸させ、微生物担持担体とした。500mlメスシリンダーにこの微生物担体とアンモニア水200mlを入れ、エアレーションを行い、溶存酸素濃度を約1mg/lに調整して、流動床担体の状態でインキュベータ内30℃で脱窒試験を行った。アンモニア水は硫酸を添加して、pH7.5に調整してから使用した。Alcaligenes faecalis No.4を担持した場合と、空試験として担持していない場合(培養液を加えていない場合)の処理結果は表1の通りである。
Figure 2014024000
ここで、アンモニア性窒素からの好気性処理はAlcaligenes属細菌のほかにも一部のPseudomonas属細菌も持っている。
[試験例2]
本発明の一実施例に係る液体処理装置を用い、液体処理試験を行った。被処理液としては、活性汚泥処理水を用い、BOD値(試験例2-1)、全窒素濃度(試験例2-2、以下T−Nと記載する場合がある)、およびトリクロロエチレン(ハロカーボン)濃度(試験例2-3)の変化を測定した。試験条件は以下の条件で行った。試験結果を表2に示す。
<試験条件>
(1)液体処理部の担体:腐植質物質(フミン質物質)を含有し、多糖類等で構成される生物膜で被覆された炭化繊維不織布(セルロース系)
(2)担体に担持した微生物:活性汚泥より採取した菌叢(汚泥を含浸)
(3)担体充填層:直径65mm、長さ120mm
(4)試験温度:16℃
(5)被処理液流速:3〜5mL/分
(6)酸化還元電位:BOD値測定時(+0.3〜+0.5VvsAg/AgCl)
T−N測定時(+0.1〜+0.3VvsAg/AgCl)
ハロカーボン量測定時(−0.3〜+0.5VvsAg/AgCl)
(7)pH:微生物担体を充填するリアクター出口における被処理液のpHが7.5〜8.5の範囲になるように、リアクター前にて水酸化ナトリウム水溶液を添加し調整した。
(8)溶存酸素濃度:同リアクター出口における被処理液中のDO濃度が0.1mg/L以上維持していることを溶存酸素計(電極)によって確認した。
Figure 2014024000
ここで、本試験は好気状態にある活性汚泥処理水を用いた試験であり、T−N処理に対応する菌も、硝酸態窒素、亜硝酸態窒素に作用するいわゆる好気性脱窒菌であると考えられる。一部のアルカリゲネス属細菌などは、このような好気性脱窒機能がある。尚活性汚泥の菌叢はZoogoea属、Pseudomonas属等である。
[試験例3]
本発明の実施例に係る液体処理装置を用い、液体処理試験を行った。被処理液としては、アンモニアを含む海水を用い、アンモニア態窒素(以下、NH−Nと記載する場合がある)の変化を測定した。試験条件は以下の条件で行った。試験結果を表3に示す。
<試験条件>
(1)液体処理部の担体:腐植質物質(フミン質物質)を含有し、多糖類等で構成される生物膜で被覆された炭化繊維不織布(セルロース系)、試験例2のリアクターを用いて、試験例2と同様に充填した。
(2)担体に担持した微生物:アルカリゲネスフェカリス4株(Alcaligenes faecalis No.4)、菌体濃度約10個/ml培養液50mlを充填材に含浸させた
(3)担体充填層:直径65mm、長さ120mm
(4)試験温度:16℃
(5)被処理液流速:3〜5mL/分
(6)酸化還元電位:+0.1〜+0.3VvsAg/AgCl
(7)pH:微生物担体を充填するリアクター出口における被処理液のpHが7.5〜8.5の範囲になるように、リアクター前にて水酸化ナトリウム水溶液を添加し調整した。
(8)溶存酸素濃度:同リアクター出口における被処理液中のDO濃度が、0.1m/L以上維持していることを溶存酸素計(電極)によって確認した。
Figure 2014024000
上記試験例の説明は、いずれも好気性微生物を用いた場合であるが、本発明は嫌気性微生物を用いても実施することができる。装置構成も基本的に同じで、好気性構造の部分を嫌気性構造にかえることで実現することができる。従って、詳細な装置構造の説明は省略する。
[試験例4]
試験例2−2における脱窒試験を嫌気条件で実施した。
印加電圧−0.3VvsAg/AgCl、リアクター出口における被処理液のpH約7.5、溶存酸素濃度0.0mg/lに調整し、活性汚泥処理水を約18℃で3ml/分流通させて処理した。リアクター入口におけるT−N25mg−N/lは、リアクター出口において約0.5mg−N/lに減少した。この脱窒に用いた菌はPseudomonas属などであった。
1 液体処理装置、 2 液体処理部、 3 担体、
4 酸化還元電位制御部、 5 作用極、 6 対極、
7 供給孔、 8 液体処理部の入口、 9 液体処理部の出口、
10 被処理液、 11 吸引口、 12 注入口
13 溶存酸素濃度測定部、 14 pH測定部、
15 酸化還元電位測定部、 16 導電体、
A 酸素を含む気体

Claims (10)

  1. 被処理液中に含まれる被処理物質を分解する微生物を担持した担体が充填された液体処理部を備え、該液体処理部に前記被処理液を流通させて、前記被処理物質を分解する液体処理装置であって、
    前記担体は、前記微生物の栄養源となる物質を含む材料であることを特徴とする、液体処理装置。
  2. 請求項1に記載の液体処理装置において、
    前記微生物は、少なくとも好気性条件下で増殖する好気性微生物であり、
    前記担体が含む栄養源は、前記好気性微生物が増殖するための栄養源として前記被処理液中に含まれる被処理物質と当該担体が含む栄養源とを必要とする関係にある種類のものであることを特徴とする、液体処理装置。
  3. 請求項1に記載の液体処理装置において、
    前記微生物は、少なくとも嫌気性条件下で増殖する嫌気性微生物であり、
    前記担体が含む栄養源は、前記嫌気性微生物が増殖するための栄養源として前記被処理液中に含まれる被処理物質と当該担体が含む栄養源とを必要とする関係にある種類のものであることを特徴とする、液体処理装置。
  4. 請求項2に記載の液体処理装置において、
    前記被処理物質はアンモニア態窒素(NH−N)であり、
    前記好気性微生物は好気性脱窒菌であることを特徴とする、液体処理装置。
  5. 請求項3に記載の液体処理装置において、
    前記被処理物質は亜硝酸態窒素又は硝酸態窒素であり、
    前記嫌気性微生物は嫌気性脱窒菌であることを特徴とする、液体処理装置。
  6. 請求項4に記載の液体処理装置において、
    前記好気性脱窒菌は、アルカリゲネス属細菌であることを特徴とする、液体処理装置。
  7. 請求項6に記載の液体処理装置において、
    前記被処理液は、pH6.0〜9.0の範囲において、溶存酸素濃度を0.1mg/L〜2.0mg/Lの範囲に調整されて前記液体処理部に流通されることを特徴とする、液体処理装置。
  8. 請求項4から7のいずれか一項に記載の液体処理装置において、
    前記担体は、木質タンニン、ピートモス成形材、木質材、草木質材、表面炭化木質材、褐炭、多糖類、表面炭化不織布、生分解樹脂成形材、腐植質物質、フルボ酸、及び油脂加水分解物の群から選ばれる少なくとも1つの材料を含んでいることを特徴とする、液体処理装置。
  9. 請求項2、4、6又は7に記載の液体処理装置において、前記液体処理部は、当該液体処理部内に酸素を含む気体を供給する供給孔を有することを特徴とする、液体処理装置。
  10. 被処理液中に含まれる被処理物質を分解する微生物を担持した担体が充填された液体処理部に前記被処理液を流通させる工程と、
    前記担体に含ませてある前記微生物の栄養源及び前記被処理液中に含まれる被処理物質とを栄養源として前記微生物を増殖させる工程と、を有することを特徴とする液体処理方法。
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