JP2014023817A - スクリーニング支援方法及びシステム,スクリーニング支援プログラム - Google Patents

スクリーニング支援方法及びシステム,スクリーニング支援プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】認知症などの認知機能評価を受ける前段階として被検者が楽しく作業できるスクリーニング支援用のシステムを提供する。
【解決手段】一つの楽曲を複数のフレーズに分割したときの各分割フレーズに相当する識別情報が付された作業用のブロックを、前記識別情報を読み取る読取手段が各セット部に設けられた作業用ボード上で並び替える。作業用ボードには、読取手段で読み取った識別情報に対応する楽曲のフレーズデータが記憶されたログ取得演算装置が接続されており、作業の過程で被検者がフレーズの再生指示をすると、該当するフレーズを読み出して再生する。再生されたフレーズを確認した被検者が、前記ブロックが分割前の楽曲と同じ順序になるように並び替える作業のログを前記ログ取得演算装置で取得し、該ログデータに基づいて、認知機能評価試験の結果を推定するための評価用データを算出する。
【選択図】図3

Description

本発明は、認知症や発達障害などのスクリーニングを支援するためのスクリーニング支援方法及びシステム,スクリーニング支援プログラムに関するものである。
認知症などの認知機能障害は、早期の発見や治療が重要なため、様々な早期発見用の検査方法が開発されている。そのうち、MMSE(ミニメンタルステート検査)は、主に、記憶力,計算力,言語力,見当識を測定するための包括的な認知機能テストであって、世界的によく利用されているものである。また、TMT(トレイルメイキングテスト)のうち、TMT-Aは、注意の持続と選択,視覚探索,視覚運動協調性などのチェックに利用され、TMT-Bは、注意や概念の変換能力,遂行能力などのチェックに利用される。また、仮名ひろいテストは、前頭機能や注意分配能力などのチェックに利用される。しかし、TMTや仮名ひろいテストは単純作業の繰り返しであり、また、MMSEの評価試験は、例えば「今日は何月何日ですか」といった質問を繰り返すために、被検者がテストを受けたがらない傾向がある。
このような問題に対し、下記特許文献1には、音楽を利用して、認知症・物忘れの検査とそのレベルを判断する検査装置が提案されている。当該特許文献1の装置は、音楽に関連する検査質問が保存された記憶部と、音楽を出力する音声出力手段と、検査質問を表示する表示手段と、検査質問に対して被検者が回答を入力する入力手段と、入力された回答から被検者の認知症又は物忘れの症状レベルを判定する検査処理手段とを備えている。
特開2010−178920号公報
しかしながら、前記特許文献1に記載の背景技術では、検査装置に表示される文字や絵などを被検者が見て確認し、更に、入力装置による回答入力などの操作を要する。従って、視力が弱くなってきている人や、入力手段を用いた操作を自分で行うことが不得手な人にとっては、気軽に行うことができない。また、前記特許文献1の装置による判定結果と、「長谷川式簡易知能評価スケール」及び「総合的診断」を行った結果とがほぼ一致するとの記載があるが(前記文献段落0054参照)、結果の一致・不一致を示す基準が開示されていないため、どの程度の相関があるのかが不明である。
本発明は、以上のような点に着目したもので、認知症や発達障害などの認知機能評価試験を受ける前段階のスクリーニングとしても利用可能であって、被検者が楽しみながら作業することができるスクリーニング支援システム及び方法,スクリーニング支援用プログラムを提供することを、その目的とするものである。
本発明は、一つの楽曲を複数のフレーズに分割したときの各々の分割フレーズに相当する識別情報が付された複数の作業用のブロックと、該ブロックの数に相当する数のセット部が一列に設けられており、各セット部に配置された前記ブロックの識別情報を読み取る読取手段,前記各セット部に配置されたブロックのうち、1つ以上のブロックに対応する分割フレーズの再生を選択する再生選択手段,該再生選択手段によって選択された1つ以上のブロックに対応する分割フレーズを、前記ブロックの配列順に連続再生するよう指示する再生指示手段,を備えた作業用ボードと、前記分割フレーズに相当するフレーズデータが集積されており、各分割フレーズと前記ブロックに付された識別情報との対応関係が記憶されたフレーズデータベースとを利用して、前記作業用ボード上に前記ブロックを配列させた後に、前記再生指示手段により再生が指示されたときに、再生対象のブロックに付された識別情報を前記読取手段により読み取り、前記フレーズデータベースを参照して、前記読み取った識別情報に対応する分割フレーズのフレーズデータを読み出し、該読み出されたフレーズデータを、指示された再生態様で再生して音声出力し、再生されたフレーズを確認した被検者が、前記作業用ボード上のブロックの配列が、分割前の楽曲と同じになるようにブロックを並び替える課題を達成あるいは断念するまで、上記ブロックの並び替え及び再生を繰り返し、前記課題の達成または断念までに行われた再生指示の間隔及び回数と、該再生指示があった時点での前記作業用ボード上でのブロックの位置をログデータとして取得し、該ログデータに基づいて、スクリーニング対象の認知機能評価の試験結果を推定するための評価用データを算出することを特徴とする。
主要な形態の一つは、前記複数のブロックが、もとの楽曲に変奏を加えないデフォルト曲を複数のフレーズに分割したときの各々の分割フレーズに相当する識別情報が付されたデフォルトのブロックと、もとの楽曲に変奏を加えた少なくとも一種類のバリエーション曲を、前記デフォルト曲と同じ区切りで複数のフレーズに分割したときの各々の分割フレーズに相当する識別情報が付されたバリエーションのブロックと、を含んでおり、前記デフォルト及びバリエーションのブロックを混ぜたブロック群から選択したブロックを、前記作業用ボード上でのブロックの配列が、分割前のデフォルト曲と同じになるように並び替える課題を達成あるいは断念するまでのログデータの取得と、該ログデータに基づく前記評価用データの算出を行うことを特徴とする。他の形態は、前記バリエーション曲は、前記デフォルト曲に対して各分割フレーズにつき一ヶ所以上、音高の変更,リズムの変更,音の追加又は削除の少なくともいずれかの変更を施したものであることを特徴とする。
更に他の形態は、前記作業用のブロック及び前記作業用ボードが、前記フレーズデータベースと、音声出力部と、前記ログデータの取得機能と、前記評価用データの算出機能を有する端末の表示部に表示される仮想ブロック及び仮想ボードであって、前記表示部に表示される作業画面内において、前記仮想ブロックの並び替えを行うことを特徴とする。更に他の形態は、前記認知機能評価に関する認知機能評価試験データと、少なくとも前記評価用データとの相関関係又は有意差を示す解析データベースを利用し、該解析データベースを参照して、前記評価用データから前記認知機能評価の試験結果を推定して、スクリーニング対象の認知機能の判定を行うことを特徴とする。更に他の形態は、前記評価用データとして、前記課題達成までに要した時間である完成時間,前記課題達成までに再生指示が行われた回数であるアクト数,前記完成時間を前記アクト数で除した時間である平均アクトタイム,前記作業用ボードのセット部の1ヶ所以上に、正しいブロックが配置され、その状態が被検者により意思的に確定された回数であるステップ数,を算出することを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
本発明によれば、一つの楽曲を複数のフレーズに分割したときの各分割フレーズに相当する識別情報が付された作業用のブロックを、前記識別情報を読み取る読取手段が各セット部に設けられた作業用ボード上で並び替える。作業用ボードには、読取手段で読み取った識別情報に対応する楽曲のフレーズデータが記録されたログ取得演算装置が接続されており、作業の過程で被検者がフレーズの再生指示をすると、該当するフレーズを読み出して再生する。再生されたフレーズを確認した被検者が、前記ブロックが分割前の楽曲に対応する順序に並ぶまでに行う作業のログを、前記ログ取得演算装置で取得し、該ログデータに基づいて認知機能評価の試験結果を推定するための評価用データを算出する。そして、少なくとも前記評価用データと認知機能評価試験データの相関関係又は有意差を示す解析データベースを用意しておき、本発明のシステムを利用した被検者のログデータから、認知機能検査の結果の大よその傾向を把握し、検査を受ける動機付けなどに役立てることができる。また、本発明によれば、被検者がよく知っている歌唱曲等を利用して音楽を組み立てる作業を通してログデータを取得するので、楽しく作業を行うことができる。このため、後日に再度の作業をしてもらえる可能性が高く、定期的に課題を行ってもらうことで、その結果の経時変化から、認知症などの進行の程度や改善具合を推測することができる。
図1(A)及び(B)は、本発明のスクリーニング方法で用いるフレーズの並び替えの様子を示す図、図1(C)は実施例1で用いるサウンドセルのポジションと名前の関係を示す図である。 本発明の実施例1のスクリーニング支援システムの全体構成を示す図である。 前記実施例1のスクリーニング支援システムのブロック図である。 本発明を利用したスクリーニング支援方法の概要を示すフローチャートである。 実施例1の課題に使用するブロックの組み合わせと、並び替え後の様子を示す模式図である。 図6(A)は実施例1で用いる楽曲の第1ポジションのフレーズのデフォルトとバリエーションの譜例であり、図6(B)は前記デフォルトとバリエーションのピアノロール譜、図6(C)は前記図6(B)のデフォルトの音程を全て1としたときのバリエーションの音高変化量を示すグラフ、図6(D)は前記図6(C)から横軸を抽出した音価変化量を示すグラフである。 実施例1のデフォルトとバリエーションについての、ポジション毎のフレーズ変化率(音価変化率,音程変化率)と平均値を示す表である。 被検者データの一例を示す図である。 本発明のマトリックス課題の達成群と未達成群の認知機能評価(MMSE,TMT-A,TMT-B,仮名ひろいテスト)についての有意差検定の結果を示す図である。 本発明のマトリックス課題を達成した被検者の認知機能評価と試験データの相関関係を示す図である。 本発明のマトリックス課題を達成した被検者の認知機能評価試験のうち、MMSEの下位項目である注意と計算(作動記憶力)、想起(近時記憶力)と評価用データの相関関係を示す図である。 本発明の実施例2のスクリーニング支援システムを示す図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
<スクリーニング支援の概要>・・・最初に、本発明を認知症の認知機能評価のスクリーニングに活用するときの概要を説明する。本発明は、一つの完成した楽曲を複数のフレーズに分割し(この分割フレーズに相当するものを「サウンドセル」と表現する場合がある)、これら分割フレーズを並び替えて元の楽曲を完成させるという課題を被検者に行ってもらう。そして、課題達成まで,あるいは、課題の断念までの作業の過程のログデータを取得することにより、公知の認知機能評価試験(例えば、MMSE,TMT-A,TMT-B,仮名ひろいテストなど)の結果を推定するための評価用データを算出する。そして、認知機能評価試験データと前記評価用データとの相関関係や有意差などを示す解析データベースを予め用意しておき、該解析データベースを参照して、前記算出された評価用データから、認知機能評価の試験結果を推定することで、機能評価試験等を受けるための動機付けとすることができる。課題を定期的に行ってもらうことにより、結果の経時的な変化から、認知症などの進行具合や改善の程度を推測することに利用してもよい。
図1(A)には、楽曲Mを複数のフレーズに分割した状態と、それをもとの状態に並び替えた状態が示されている。本発明で用いる楽曲Mは、曲として完成したものであれば、どのようなものであってもよいが、認知機能のスクリーニングに用いるという観点からすると、被検者が誰でも知っている曲が好ましい。また、歌詞が付いている歌唱曲のほうが、実際に課題を行うときに、歌詞を口ずさみながら行うなど、楽しんで行うことができる。そこで、本実施例では、課題用の曲として「ふるさと」を利用した。図1(A)の上側には、「ふるさと」を4つのフレーズF1〜F4に分割して混ぜた状態を示す。フレーズF1は、「うさぎおいしかのやま」、フレーズF2は、「こぶなつりしかのかわ」、フレーズF3は、「ゆめはいまもめぐりて」、フレーズF4は、「わすれがたきふるさと」に対応する。フレーズF1の正しいポジションは第1ポジションであり、フレーズF2の正しいポジションは第2ポジションであり、フレーズF3の正しいポジションは第3ポジションであり、フレーズF4の正しいポジションは第4ポジションである。これらフレーズF1〜F4の順序が混ざっている状態から、同図(A)に矢印で示すように、正しいポジションの順,すなわち、フレーズF1→F2→F3→F4の順に正しく並べることができるまでの被検者による作業のログデータを取得する。
本発明は、図1(A)に示したように、全く変奏していないデフォルトの曲の順序を入れ替えるだけの作業(以下、順序を入れ替えるだけの作業を行うことを「シリアル課題」という)を通じてログデータを取得するようにしてもよいが、曲に変奏を加えたフレーズを混ぜて課題を行うようにしてもよい。例えば、もとの楽曲に変奏を加えていないデフォルト曲を複数のフレーズに分割したときのフレーズを、図1(B)に示すようにフレーズF1def〜F4defとする。また、もとの楽曲に変奏を加えたバリエーション曲を、前記デフォルト曲と同じ位置で複数のフレーズに分割したときのフレーズを、図1(B)に示すように、フレーズF1v1〜F4v1とする。そして、これらフレーズF1def〜F4defとフレーズF1v1〜F4v1を混ぜた状態から、デフォルト曲のフレーズを、フレーズF1def→F2def→F3def〜F4defの順に並び替える作業(以下、変奏したフレーズを加えた場合に、デフォルトのフレーズの順序を正しい順序に並び替える作業を行うことを「マトリックス課題」という)を通じてログデータを取得するようにしてもよい。
前記バリエーション曲は、デフォルト曲(Def)に対して一種類以上用意すればよいが、本実施例では、図1(C)に示すように、3種類のバリエーション曲(Var1〜Var3)を用意することとした。デフォルト曲とバリエーション曲をそれぞれ4分割したときの各分割フレーズに対応するサウンドセルの番号が図1(C)に示されている。例えば、デフォルト曲の第1ポジションのサウンドセルは「10」,第2ポジションのサウンドセルは「20」、第3ポジションのサウンドセルは「30」、第4ポジションのサウンドセルは「40」という具合である。バリエーション曲Var1〜Var3についても同様である。なお、バリエーション曲の作成方法については、後に詳述する。
<システム構成>・・・次に、図2及び図3を参照しながら、本実施例のスクリーニング支援システムの全体構成を説明する。上述した通り、本発明は、完成した楽曲を複数のフレーズに分割した分割フレーズを利用して、その並び替えの作業過程のログデータを取得するものであるが、実際に作業を行うためには、前記分割フレーズに対応する作業用の道具が必要となる。図2には、本発明を実現するためのスクリーニング支援システムの全体構成が示されている。同図に示すように、本実施例のスクリーニング支援システム10は、複数のサウンドセルブロックSB10〜SB40と、作業用ボード20と、被検者の再生指示に基づいてフレーズの再生を行うとともに、作業過程のログデータを取得するログ取得演算装置60により構成されている。
前記サウンドセルブロックSB10〜SB40は、被検者が前記作業用ボード20上で並び替えを行うための作業用ブロックであって、一つの楽曲を複数のフレーズに分割したときの各々の分割フレーズに相当する識別情報が付されている。図2のサウンドセルブロックSB10〜SB40は、もとの楽曲に変奏を加えていない曲の分割フレーズに相当するブロックであって、図1(A)の分割フレーズF1〜F4又は図1(B)のフレーズF1def〜F4defに相当する。サウンドセルブロックSB10〜40には、各ブロックに割り当てられた分割フレーズに相当する識別情報が付されている。例えば、サウンドセルブロックSB10は、図1(C)のサウンドセル「10」に相当するので、当該セル番号に対応する二次元バーコードBA10が付される。他のサウンドセルブロックSB20〜SB40についても同様である。
なお、図1(C)に示すように、本実施例では、各ポジションのデフォルトの分割フレーズに対して、3種類のバリエーションのフレーズを用意しているので、サウンドセルブロックは、実際には、図3に示すように、サウンドセルブロックSB10〜13,サウンドセルブロックSB20〜23,サウンドセルブロックSB30〜33,サウンドセルブロックSB40〜43の16種類が用意されている。なお、単にサウンドセルブロックSBと記載したときは、特定のサウンドセルブロックに特定されないことを意味するものとする。これら16個のサウンドセルブロックのそれぞれに、該当するセル番号に対応する2次元バーコードBA10〜13,BA20〜23,BA30〜33,BA40〜43が付されている。単に2次元バーコードBAと表現したときは、特定の2次元バーコードに特定されないことを意味するものとする。
次に、前記作業用ボード20には、前記サウンドセルブロックSB10〜43を置くための複数のセット部22〜28が一列に形成されている。本実施例では、一曲を4つのフレーズに分割しているので、前記セット部22〜28の数は4つであるが、曲の分割数に対応して、セット部の数は適宜増減可能である。また、前記各セット部22〜28の底面には、前記サウンドセルブロックSB10〜43に付された二次元バーコードBA10〜43を読み取るためのバーコードリーダ32〜38が設けられている。また、前記作業用ボード20には、前記セット部22〜28に置かれたサウンドセルブロックSBに対応するフレーズの再生を選択するための再生選択ボタン42〜48が設けられている。更に、これら再生選択ボタン42〜48の下方には、該再生選択ボタン42〜48によって選択された1つ以上のサウンドセルブロックに対応するフレーズを、セット部22側からセット部28側まで、順に連続再生するための再生ボタン50が設けられている。前記再生ボタン50の横には再生の停止を指示する停止ボタン52が設けられている。前記セット部22〜28のいずれかのポジションにサウンドセルブロックSBが置かれていない場合や再生の選択がされていない場合には、そのポジションに合せたテンポのクリック音を再生したり、あるいは、そのポジションを飛ばしたりして再生する。また、前記作業用ボード20には、課題を初めからやり直す際に使用するリセットボタン54が設けられている。
このような作業用ボード20のシステム構成は、図3に示されている通りであり、読取部30に前記バーコードリーダ32〜38が設けられ、再生指示部40に再生選択ボタン42〜48,再生ボタン50,停止ボタン52が設けられている。なお、課題の被検者によって、前記再生選択ボタン42〜48及び再生ボタン50が押されると、再生指示された部分のセット部に置かれたサウンドセルブロックの二次元バーコードが前記バーコードリーダによって読み取られ、その読取情報と再生指示が後述するログ取得演算装置60に送られる。
次に、ログ取得演算装置60について説明する。ログ取得演算装置60は、前記作業用ボード20からの指示に応じてフレーズの再生(図2の音声出力部92からの音声出力)を行う。また、前記作業用ボード20上のサウンドセルブロックSB10〜43の配列が、分割前のデフォルト曲と一致するまでサウンドセルブロックSB10〜43を並び替える課題を達成あるいは断念するまでのログデータを、前記課題の被検者ごとに取得する。そして、前記ログデータから、スクリーニング対象の認知機能評価の試験結果を推定するための評価用データを算出するものである。ログデータや評価用データの具体例については後述する。
図3も参照して、ログ取得演算装置60の具体的なシステム構成を説明すると、ログ取得演算装置60は、CPU62を中心に構成されており、プログラムメモリ64,データメモリ80,音声出力部92,表示部94,入力部96などにより構成されている。前記プログラムメモリ64には、フレーズ再生プログラム66,ログ取得演算プログラム68,判定プログラム70,出力プログラム74が設けられている。また、データメモリ80には、フレーズデータベース82,被検者データ84,解析データベース90が記憶されている。前記被検者データ84には、課題ログデータ86及び評価用データ88が含まれる。前記解析データベース90には、相関・検定データなどが集積されている。
前記フレーズ再生プログラム66は、前記作業用ボード20からの再生指示があると、前記再生選択ボタン42〜48によって選択されたポジションのセット部のバーコードリーダによって取得した識別情報に基づき、前記データメモリ80のフレーズデータベース82を参照する。そして、対応する分割フレーズのフレーズデータを読み出し、指示された再生態様で音声出力部92により再生させるものである。例えば、再生選択ボタン42〜48によって全てのポジションが選択された場合には、対応する全てのフレーズを連続再生し、いずれか1つ以上のポジションが選択された場合には、選択されたポジションに相当するフレーズのみを順に再生する。なお、連続再生の際には、必要に応じて適宜合成処理等を行うようにしてもよい。前記フレーズデータベース82は、前記各分割フレーズ(図1(C)のサウンドセル「10」〜「43」)に対応するフレーズデータが集積されており、各分割フレーズと前記サウンドセルブロックSB10〜SB43に付された2次元バーコードBA10〜BA43の対応関係が記憶されたものである。
次に、プログラムメモリ64のログ取得演算プログラム68は、前記図1(A)で説明したシリアル課題又は図1(B)で説明したマトリックス課題を達成あるいは断念するまでの課題ログデータ86を取得するとともに、該課題ログデータ86に基づいて前記評価用データ88を算出するものである。図8には、被検者データ84の一例が示されている。図8のデータの詳細は後述するが、同図中、点線で囲った部分が課題ログデータ86であり、一点鎖線で囲った部分が評価用データ88である。これら課題ログデータ86及び評価用データ88は、前記データメモリ80に被検者データ84として記憶される。
次に、判定プログラム70は、データメモリ80の解析データベース90を参照し、前記ログ取得演算プログラム68によって得られた評価用データ88から、認知機能評価試験の結果を推定し、認知機能の判定を行うものである。なお、ここでいう認知機能評価試験とは、本実施例では、公知の認知機能評価試験(MMSE等)であり、認知機能の判定とは、認知症の可能性が高いかどうかのおおよその傾向を示すことであって、必ずしも認知症か否かを断定するものでなくてよい。前記解析データベース90は、本発明の課題と公知の認知機能評価試験の双方を行った多数の被検者のデータに基づいて、予め用意されたものである。
前記解析データベース90に含まれる相関・検定データなどの解析データの一例として、図10には、マトリックス課題を達成した被検者の認知機能評価と評価用データの相関関係を示す相関データ90Aが表の形式で示されている。また、図11にも、前記マトリックス課題を達成した被検者の認知機能評価のうち、MMSEの下位項目である注意と計算(作動記憶力),想起(近時記憶力)と評価用データの相関関係を示す相関データ90Bが表形式で示されている。前記出力プログラム74は、前記課題ログデータ86,評価用データ88,相関データ90A,90Bなどを、必要に応じて個別に,あるいは、同時に、表やグラフなどの任意の形式で表示部94に表示するものである。
<バリエーションのフレーズの作成>・・・次に、本実施例で用いるバリエーションのフレーズについて説明する。本実施例では、シリアル課題又はマトリックス課題用のサウンドセルの題材は、高齢者になじみ深い「ふるさと」とした。「ふるさと」は16小節からなり、これを4小節ごとのフレーズに分割し、作業用ボード20の4つのセット部22〜28に対応するデフォルトのフレーズとした。これらは、図1(C)に示すサウンドセル「10」,「20」,「30」,「40」に該当する。次に、前記デフォルトに対し3種類のバリエーションを作成し、音楽的変化の大きい順に、バリエーション1(Var1),バリエーション(Var2),バリエーション3(Var3)とした。前記Var1に対応するサウンドセルを、それぞれ「11」,「21」,「31」,「41」とし、Var2に対応するサウンドセルを、それぞれ「12」,「22」,「32」,「42」とし、Var3に対応するサウンドセルと、それぞれ「13」,「23」,「33」,「43」とした(図1(C)参照)。図6(A)には、第1ポジションにおけるサウンドセル「10」,「13」,「12」,「11」に対応する譜例が示されている。なお、第2ポジションから第4ポジションに対応する譜例は省略しているが、これらのポジションにおけるバリエーションフレーズも以下と同様の方法により作成される。
バリエーションの作成にあたり、Var3の変化はデフォルトに対してごく僅かとし、Var2はVa3よりは少し大きな変化,Var1はかなり大きな変化となるように、下記の通りのルールを定めた。
(1)Var1〜Var3共通・・・デフォルト(def)の調性を逸脱しないこととした。部分転調や1小節以上にわたるフレーズの平行移動は行わない。また、跳躍音程は最大1オクターブとする。最初の音の音高と後半2小節のフレーズは変更しない(図6(A)の譜例参照)。
(2)Var3・・・デフォルト(def)のリズムを変えず、一つのサウンドセル(本実施例では、一つのサウンドセルは4小節からなる)につき1ヶ所の音高を変更する。その際、和声音に対しては和声音、非和声音に対しては非和声音を対応させる。最初の音は、音価も変更しない(図6(A)の譜例のVar3参照)。
(3)Var2・・・前記Var3の変更に加え、一ヶ所のリズムを変更する。その際、変更する音価の単位は、原曲で使われている最小音価以上とする。最初の音は音価も変更しない(図6(A)の譜例のVar2参照)。
(4)Var1・・・デフォルトの和音は替えずに新たなフレーズを創作する。その際、使用する音価の最小単位は原曲で使われている最小音価以上とし、原曲の歌詞を無理なく付加して歌唱できるものとする(図6(A)の譜例のVar1参照)。
次に、上記(1)〜(4)のルールに従って作成したバリエーションについて、以下の方法でフレーズ変化率を算出した。
(a)縦軸の単位を音高(半音)、横軸の単位を楽曲最小音価に設定したピアノロール譜に、デフォルトとバリエーションVar1〜Var3のぞれぞれの第1ポジションのフレーズを示す(図6(B)参照)。
(b)次に、デフォルトのフレーズの音程を全て1とし、変奏に際して与えた音高変化量の絶対値を記してグラフにする。このグラフを図6(C)に示す。当該音が次に取り得る音程の最大値を1オクターブとし、その合計を当該フレーズの最大可変域とした。最大値を1オクターブとしたのは、歌唱曲のフレーズが1オクターブ以上跳躍することは極めて稀であり、また、作曲法ではそれを禁止する場合もあるためである。
(c)次に、図6(C)のグラフから横軸の音価変化を抽出してグラフにする。このグラフを図6(D)に示す。
(d)本実施例で利用する「ふるさと」は、最小音価が8分音符、4分の3拍子で構成されているので、この場合、1サウンドセル当たり総音価数24,最大可変域288となる。変化させた音価数を、総音価数で除した値を音価変化率とした。変化させた音とデフォルト音との音高差の計を、最大可変域で除した値を音程変化率とした。算出した変化率を図7に示した。図7には、デフォルトとバリエーションについての、ポジション毎のフレーズ変化率(音価変化率,音程変化率)(%)が示されている。図7に示す変化率から、デフォルトフレーズに対して、Var3,Var2は段階的に、Var1は大幅に、それぞれ変化を与えていることが示唆された。算出した変化率は、観察・聞き取りによる印象調査の結果と矛盾しなかった。このように、フレーズ変化率を数値化して表すことが可能であり、該数値化の結果は、実際の印象調査等の結果と一致していることが分かる。
<課題用サウンドセルブロックの組み合わせ>・・・次に、図5を参照して、本実施例のシステムを利用した課題の実行に利用するサウンドセルブロックの組み合わせについて説明する。図5は、本実施例の課題に使用するブロックの組み合わせと、並び替え後の様子を示す模式図である。図5(A)に示すブロック用トレイ98には、デフォルトのサウンドセルブロックSB10〜40が順不同にセットされている。このデフォルト用のサウンドセルブロックSB10,20,30,40のみを用いて、図5(F)に示すように、作業用ボード20上で正しい順序に並び替える場合をシリアル課題Ex0とする。このシリアル課題Ex0は、被検者に課題の説明を行うために利用される。
また、図5(B)に示すように、デフォルトのサウンドセルブロックSB10,20,30,40と、バリエーションVar1のサウンドセルブロックSB11,21,31,41をブロック用トレイ98に順不同にセットした状態から、図5(F)に示すように並び替える場合をマトリックス課題Ex1とする。課題Ex1で使用するバリエーションVar1は、曲の変奏度合いが、デフォルト曲に対して最も大きい(フレーズ変化率が高い)ため、デフォルトとの違いが分かりやすく、課題の達成も比較的容易である。従って、このマトリックス課題Ex1については、練習用に使用するとよい。
図5(C)に示すように、デフォルトのサウンドセルブロックSB10,20,30,40と、フレーズ変化率が中程度であるバリエーションVar2のサウンドセルブロックSB12,22,32,42をブロック用トレイ98に順不同にセットした状態から、図5(F)に示すように並び替える場合をマトリックス課題Ex2とする。同様に、図5(D)に示すように、デフォルトのサウンドセルブロックSB10,20,30,40と、フレーズ変化率が低いバリエーションVar3のサウンドセルブロックSB13,23,33,43をブロック用トレイ98に順不同にセットした状態から、図5(F)に示すように並び替える場合をマトリックス課題Ex3とする。前記マトリックス課題Ex2とEx3を、実際に被検者データ84を取得するための課題とする。なお、本実施例では、使用しないが、図5(E)に示すように、ブロック用トレイ100に用意されたデフォルトのサウンドセルブロックSB10〜40と、バリエーションVar1〜Var3の全てのサウンドセルブロックSB11〜41,12〜42,13〜43を全て使用して、順不同にセットされた状態から図5(F)に示すように並び替える場合を、マトリックス課題Ex4としてもよい。
<課題開始から認知機能の判定までの手順>・・・次に、図4も参照して、本発明のスクリーニング支援システム10を利用した課題の実行から、その結果を利用した認知機能の判定までの手順について説明する。なお、以降の手順で使用する解析データベース90は、本実施例の課題を行う被検者とは関わりなく、あらかじめ、多数の被検者について、本発明の課題と公知の認知機能評価試験を行ってもらい、その課題ログデータから算出された評価用データと、認知機能評価試験データとから演算された相関・検定データなどを集積したものである。
まず、デフォルトのサウンドセルブロックSB10〜40を、作業用ボード20上に正しい順序に並べた状態で、作業用ボード20の再生選択ボタン42〜48を全て押してから再生ボタン50を押し、完成曲を確認する(図3のステップS10)。サウンドセルブロックSB10〜40を使用した課題実行の見本は、例えば、検者(ないし被検者の補助者)が行うものとする。再生ボタン50が押されると、作業用ボード20に置かれたサウンドセルブロックSB10〜40に付された2次元バーコードBA10〜40がバーコードリーダ32〜38によって読み取られ、読取情報とともに、再生指示がログ取得演算装置60に送られる。ログ取得演算装置60では、前記再生指示及び読取情報を受信すると、フレーズ再生プログラム66が、フレーズデータベース82を参照し、読取情報に該当するフレーズデータを読み出し、作業用ボード20上の配列順序に応じて再生するよう、音声出力部92に再生指示を送る。
次に、デフォルトとバリエーションのサウンドセルブロックを混ぜたサウンドセルブロック群を用意する(ステップS12)。用意するのは、図5(B)〜(D)に示す課題Ex1〜Ex3用とする。そして、必要に応じて、前記シリアル課題Ex0又はマトリックス課題Ex1用のブロック群を用いて、被検者に実際にサウンドセルブロックSBを使用して作業用ボード20上でブロックの並び替えを行ってもらい、練習を行う(ステップS14)。課題の実行方法を被検者が確認したら、実際の課題を行う。ここでは、マトリックス課題Ex2を行うものとし、図5(C)に示すブロック用トレイ98から、任意のサウンドセルブロックSBを被検者が取り出し、作業用ボード20のセット部22〜28に任意の順序で配置する(ステップS16)。そして、再生選択ボタン42〜48を押して再生するフレーズを選択し、再生ボタン50を押してフレーズを連続再生して曲を確認する(ステップS18)。ログ取得演算装置60側における再生手順は、上述したステップS10と同様である。
フレーズを確認したら、再度、作業用ボード20上でサウンドセルブロックSBを並び替え、再生してフレーズを確認する(ステップS20)。この並び替えと再生を、デフォルトのサウンドセルブロックSB10〜40が正しい順序に並んで曲が完成(課題達成)するまで行う(ステップS22)。一方、ログ取得演算装置60では、前記作業用ボード20からの再生指示に応じてフレーズの音声出力をしながら、課題の開始から達成(ないし課題の断念)までの被検者による作業過程のログデータを、ログ取得演算プログラム68により取得し(ステップS24)、被検者データ84の課題ログデータ86として記憶する。なお、サウンドセルブロックSBが正しい順に配置された後の再生が終了した時点を課題達成とするが、この課題達成の判断は、ログ取得演算プログラム68により行う。また、課題の開始と終了については、作業用ボード20に設けたリセットボタン54によって行うか、ログ取得演算装置60の入力部96を使用して決めるようにしてもよい。なお、課題の断念については、被検者もしくは検者が判断するものとする。
課題ログデータ86として取得するのは、例えば、課題の達成または断念までに行われたフレーズ再生指示の間隔及び回数と、該再生指示があった時点での前記作業用ボード20上でのサウンドセルブロックSBの位置である。図8は、マトリックス課題Ex2を達成した被検者についての被検者データ84であり、同図中の課題ログデータ86には、「アクト」,「経過時間」,「アクト時間」,「第1〜第4ポジションにおけるサウンドセルの番号」が含まれている。ここで、「アクト」は、被検者が再生ボタン50を押してから、次に再生ボタン50を押すまでの一連の行為の順序(ないし回数)を示す。「経過時間」は、課題の開始からの経過時間を示す。「アクト時間」は、各アクトに要した時間であって、ここでは、再生ボタン50を押す間隔をアクト時間とみなしている。各ポジションにおけるサウンドセルブロックSBに対応するサウンドセルの番号は、バーコードリーダ32〜38によって読み取った識別情報に基づき、前記フレーズデータベース82を参照することにより決定される。
なお、同図のポジションの欄において、セル番号(例えば「32」)のみが記載されているときは、サウンドセルブロックSBを置き、そのブロックに対応するフレーズの音を聴いた場合を示す。また、同図のポジション欄において、セル番号の前に「/」が記載されている場合(例えば、「/20」)は、サウンドセルブロックSBをボード上に置いたが再生しなかった場合を示す。また、同ポジション欄において「↓」が記されている部分は、前回のアクトのままサウンドセルブロックSBの入れ替えを行わず、音の再生も行わなかった場合を示す。また、同ポジション欄中の縦列において、同じセル番号が連続している部分は、意思的かつ最終的に正解ポジションとして固定された状態を示している。更にポジション欄中、数字が白抜きで表されている部分は、一度サウンドセルブロックを正しいポジションに置いて聴いた後のアクトで、間違ったポジションに置き直したり、ポジションから外したりしたブロック操作を示す。課題遂行の操作手順のために仮にポジションを空けた場合は、正解として確定されていないことを意味する。
次に、前記ログ取得演算プログラム68は、前記取得した課題ログデータ86に基づいて、スクリーニング対象の認知機能評価の試験結果を推定するための評価用データ88を算出し(ステップS26)、被検者データ84として記憶する。例えば、図8において一点鎖線で囲んだ部分が、評価用データ88である。本実施例では、評価用データ88は、「総アクト時間」,「アクト数」,「平均アクトタイム」,「ステップ数」である。
「総アクト時間」は、ワークアップ(サウンドセルブロックSBが正しい順に配置され、それを確認するための演奏が終了したとログ取得演算装置60が判断した時点、または、被検者が課題の完成又は続行困難(断念)を表明するか解答を求めた時点、もしくは、検者が中止を宣言するか宣言したと確認できる時点)までのアクト時間の合計である。従って、課題達成者の場合は、「総アクト時間」は「完成時間」と同じ意味になる。「アクト数」は、ワークアップまでに再生指示が行われた回数である。課題を達成した人の場合は、曲の完成までに再生指示を行ったアクト数である。「平均アクト時間」は、前記「総アクト時間」を「アクト数」で除した時間であって、課題を達成した人の場合は、完成時間をアクト数で除した時間と同じ意味になる。
「ステップ数」は、作業用ボード20のセット部22〜28の一ヶ所以上に、正しいブロックが配置され、その状態が被検者により意思的に確定された回数(課題の進行段階)である。例えば、図8には、被検者が意思的に正解ブロックを最終的に固定した時点での正解ポジション数が記録されている。アクト1〜4までは、正解ポジション数は0であり、アクト5及び6では、第1ポジションのブロックが正解なので、正解ポジション数は1である。同様に、アクト7〜9までの正解ポジション数は2、アクト10〜12までの正解ポジション数は3、アクト13の正解ポジション数は4である。従って、正解ポジション数が0から4まで1段階ずつ増えているので「ステップ数」は「5」である。なお、4セルで完成するマトリックス課題の場合は、多くの場合、曲を完成させるまでの正解ポジション数は0〜4の5段階となり、複数のアクトがあった後に、正解ポジション数が1つ上がる。しかし、一度のアクトで複数のブロックが同時に正解位置になる場合もあるので、必ずしも5段階になるとは限らず、ステップ数が「4」になる場合もあり得る。
次に、ログ取得演算装置60では、判定プログラム70により、前記評価用データ88に基づき、前記解析データベース90を参照して、認知機能評価の試験結果を推定し(ステップS28)、認知機能の判定を行う(ステップS30)。なお、前記解析データベース90の作成に用いられる評価用データの取得手順については、上述したステップS10〜S26までと同様に行われる。前記解析データベース90を事前に用意しておくことで、本実施例の課題の被検者は、課題の結果から、ある程度、認知症の傾向がみられるか否かの判断をつけることができる。このため、必要がなければMMSE等の認知機能評価試験を受けずにすますことができ、認知症の傾向がみられるようであれば、MMSE等の認知機能評価試験を受けるための動機付けともすることができる。
<相関・検定データなどの具体例>・・・ここで、上述した手順によって認知機能を判定する際に利用される解析データベース90に含まれる相関・検定データなどの具体例について説明する。図9には、本実施例のマトリックス課題Ex2の達成群と未達成群の認知機能評価についての有意差検定の結果が示されている。なお、ここで課題の「未達成」とは、検者のフォローなしではマトリックス課題が達成できなったことをいい、課題の「達成」とは、検者のフォローなしでマトリックス課題が達成できた場合をいう。前記MMSEは、包括的な認知機能のチェックを行う試験であり、1)時間の見当識、2)場所の見当識、3)記銘、4)注意と計算、5)想起、6)呼称、7)復唱、8)三段階命令、9)読解、10)書字、11)構成の下位11項目で構成される。MMSEの検査結果は30点満点の得点で示され、23点以下で認知症が疑われる。TMT-Aは、主に「注意の持続と選択,視覚探索,視覚運動協調性など」のチェックを行う試験である。TMT-Bは、主に「注意や概念の変換能力,遂行能力など」のチェックを行う試験である。仮名ひろいテストは、主に「前頭機能や注意分配能力など」のチェックを行う試験であり、仮名ひろいテストの正答数が年代別境界値以下の場合、認知症が疑われる。前記図9から、例えば、マトリックス課題が未達成だった被検者のMMSEの得点は24.6±2.9点の範囲であると推測され、認知症が疑われる23点以下である可能性もあるが、マトリックス課題を達成した被検者のMMSEの得点は28.2±2.3点の範囲であると推測され、認知症の疑いが少ないことが分かる。また、マトリックス課題が未達成だった被検者の仮名ひろいテストの結果は−2.1±2.8個の範囲であると推測され、認知症が疑われる年代別境界値以下である可能性もあるが、マトリックス課題を達成した被検者の仮名ひろいテストの結果は12.0±5.0点の範囲であると推測され、認知症の疑いが少ないことが分かる。TMTの結果だけで認知症の判定が行なわれることは殆どないが、前記図9から達成群、未達成群の大よその値を推測し、他の認知機能評価試験と併用して総合的に認知症の判定を行う際の参考にすることが出来る。
図10には、本実施例のマトリックス課題Ex2を達成した被検者の認知機能評価と課題データの相関関係についての演算結果(相関データ90A)が示されている。認知機能評価試験は、前記MMSE,TMT-A,TMT-B,仮名ひろいテストであり、評価用データは、上述した「完成時間」,「ステップ数」,「平均アクトタイム」,「アクト数」とした。同図中の数値は、どのくらい相関が高いかを示す相関係数(γ)を示している。
前記図10で示す相関係数(γ)は、0〜±1の値で、絶対値が大きいほど相関が高いことを示す。例えば、相関を検討しているAとBの二つのパラメータについて、Aが増えれば、Bも増えるような関係は+(プラス)、Aが増えるとBが減るように逆の場合は−(マイナス)となる。相関係数の絶対値が0.4〜0.7の範囲にある場合はかなりな相関関係があり、0.7〜1の範囲にある場合は強い相関関係があると判定する。図10中、統計的に見て、明らかに相関が高いのは、TMT-Aと完成時間,全ての認知機能評価とステップ数,MMSEと平均アクトタイム,TMT-B以外の認知機能評価とアクト数である。
このうち、MMSEと評価用データとの相関について一つずつ検討する。MMSEは得点が高い人ほど認知症である確率が下がる。MMSEと完成時間の関係を見ると、γは-0.200であり、マイナスの相関(MMSEの得点が高い人ほど完成時間が短い)があるように考えられるが、統計的にはっきり関係があると言い切るには至らない。
次に、MMSEとステップ数の関係は、統計的にみてマイナスの相関(MMSEの得点が高い人ほどステップ数が少ない)がある。その理由は、認知機能が高い人ほど、一度に複数のブロックの内容を覚えていて、段取りよく課題を進めるためと考えられる。次に、MMSEと平均アクトタイムの関係は、統計的に見てプラスの相関(MMSEの得点が高い人ほど平均アクトタイムが長い)がある。これは、一見逆のように思えるが、次のアクト数との関係を併せて考えると判りやすい。すなわち、MMSEとアクト数の関係は、統計的に見てマイナスの相関(MMSEの得点が高い人ほどアクト数が少ない)がある。これは、認知機能の低い人は、一度に沢山のことを覚える記憶力や、全体を俯瞰して段取りを考える遂行力が衰えているため、一つのポジションの正誤について意識を集中させる傾向がある。その結果、1ブロックずつ聴き返すことになり、平均アクトタイムが短くなる代わりにアクト数が増える。逆に認知機能が高い人は、記憶力と遂行力が高いので一度に複数のブロックを聴き、一度に複数の並び替えを行う。その結果、上述した平均アクトタイムが長くなり、アクト数が減る。
TMT-A,TMT-B,仮名ひろいテストと、評価用データの個々の相関関係についての考察は省略するが、いずれにしろ、相関係数の絶対値が高いものについては、何らかの相関があるとみなして、その結果を利用することができる。すなわち、本実施例では、サウンドセルブロックSBを利用したマトリックス課題の課題ログデータ86から直接的に認知症の診断を行うわけではなく、評価用データ88と認知機能評価試験の結果の相関(例えば、平均アクトタイムが短い人はMMSEの得点が低い傾向)があるので、それを利用するのである。
図11には、MMSEを構成する下位11項目のうちの2項目(注意と計算、想起)と評価用データ(完成時間、ステップ数,平均アクトタイム,アクト数)との相関データ90Bが示されている。図中の数値は相関係数(γ)である。図11の相関データ90Bは、図5(C)に示すマトリックス課題Ex2を達成した多数の被検者について事前に行った認知機能評価試験に基づいて作成されたものである。「注意と計算」は作動記憶力を、「想起」は近時記憶力をチェックするための項目である。図11に示すように、「注意と計算」と「想起」について、ステップ数,平均アクトタイム,アクト数と高い相関がみられることが確認された。認知症の前段階である軽度認知障害では最初に近時記憶が障害されやすく、また、認知症の6割以上を示すアルツハイマー型認知症の早期では、MMSEの「想起」に続いて「注意と計算」が低下することから、これらの評価データを軽度認知障害や早期アルツハイマー型認知症などのスクリーニングに利用することができる。
認知症対策には、早期発見が最も大事であるが、誰しも自分を認知症だとは思いたくないし、認知症と診断されたくないので、認知機能検査を受けたがらない傾向にある。また、被検者によっては不安や緊張、防衛反応などを引き起こし、正しい結果が得られない場合もある。それに対し、本発明のシステムでは、サウンドセルブロックSBを使用して、被検者が知っている懐かしい曲を組み立てる作業を行うだけなので、大部分(85%以上)の被検者から「楽しかった」「またやってみたい」と回答が得られている。このように、サウンセルブロックを利用した課題のログデータに基づいて得た評価用データ88から、予め用意した解析データベース90を参照することにより、認知機能評価試験(MMSE等)のおおよその得点が推定できる。また、定期的に課題を行ってもらい、評価用データ88の経時観察を行っていけば、認知機能試験を受けた方が良いのかどうかの判断や、認知機能試験を受けるための動機付けともなる。
このように、実施例1によれば、一つの楽曲を4つのフレーズに分割したときの各分割フレーズに相当する2次元バーコードBAが付された作業用のサウンドセルブロックSBを、バーコードリーダ32〜38が第1〜第4ポジションのセット部22〜28に設けられた作業用ボード20上で並び替える。作業用ボード20には、バーコードリーダ32〜38で読み取った識別情報に対応する楽曲のフレーズデータが記憶されたログ取得演算装置60が接続されている。ログ取得演算装置60は、サウンドセルブロックSBを並び替える作業の過程で被検者がフレーズの再生指示をすると、該当するフレーズをフレーズデータベース82から読み出して音声出力部92により出力する。また、再生されたフレーズを確認した被検者が、サウンドセルブロックSBが分割前の楽曲と同じ順序になるまで行う作業のログを取得し、該ログデータに基づいて認知機能評価の試験結果を推定するための評価用データ88を算出することとした。このため、次のような効果が得られる。
(1)前記評価用データ88と認知機能評価の試験結果の相関関係や有意差などを示す解析データベース90を予め用意し、本実施例の課題の被検者の評価用データ88から、認知機能試験の結果を推定して、認知機能の判定を行うこととしたので、認知機能評価試験を受けるための動機付けとして利用することができる。また、解析データベース90を事前に用意しておくため、本実施例の課題を行うだけで、ある程度、認知機能の判定を行うことができる。
(2)サウンドブロックSBの並び替えによって、前記評価用データ88が得られるので、被検者が作業をしていて楽しめる。このため、定期的な課題を行うことに対しても抵抗感がなく、経時的な結果の推移を観察することができ、認知症の進行度合いや改善具合を把握することができる。
(3)もとの楽曲に変奏を加えないデフォルト曲の分割フレーズに対応するサウンドセルブロックと、もとの楽曲に変奏を加えたバリエーション曲の分割フレーズに対応するサウンドセルブロックを用いることにより、デフォルト曲の並び替えのみを行う場合(シリアル課題)よりも、課題の難易度が上がる。また、バリエーション曲として、フレーズ変化率が異なる複数のアレンジを用意することにより、マトリックス課題の難易度を調節することができる。
次に、図12を参照しながら本発明の実施例2を説明する。なお、上述した実施例1と同一ないし対応する構成要素には同一の符号を用いることとする。上述した実施例1では、被検者が実際に手で掴んで作業するためのサウンドセルブロックSBを用い、作業用ボード20上でのサウンドセルブロックSBの並び替えを行うこととした。これに対し、本実施例2は、タブレット型PCなどの端末の画面上に表示される仮想ブロックと仮想ボードを用いてサウンドセルブロックSBの並び替えの課題を行う例である。図12に示すように、本実施例のスクリーニング支援システム200は、例えば、タブレット型PC210のみにより構成されている。タブレット型PC210は、ディスプレイなどの表示部212,キーボード214やマウス216などの入力部,スピーカ218などの出力部を備えている。また、タブレット型PC210は、ログ取得演算部230を備えている。
前記ログ取得演算部230は、基本的には前記実施例1のログ取得演算装置60と同様のシステム構成となっており、CPU62,プログラムメモリ64,データメモリ80を備えている。しかし、本実施例では、前記プログラムメモリ64には、前記実施例1の各プログラムに加えて、作業画面表示プログラム76が設けられている。該作業画面表示プログラム76は、前記実施例1のサウンドセルブロックSB及びそのブロック用トレイ98と、作業用ボード20を、前記表示部212に表示される仮想ブロック及び仮想ボードとして表示するためのものである。図12の表示部212中のブロック用トレイ98の中のサウンドセルブロックSBは、マウス216等の操作により、画面上の矢印222によってドラック&ドロップを行うことにより、作業用ボード20上の任意のポジションに移動させることができる。むろん、表示部212がタッチパネル式になっている場合には、指でタッチしてサウンドセルブロックSBを移動させるようにしてもよい。
また、本実施例では、仮想ボードである作業用ボード20上の再生選択ボタン42〜48は、空白のボタン内にチェックを入れることで、再生するポジションの選択が可能である。再生ボタン50,停止ボタン52,リセットボタン54については、画面上に表示される矢印222で選択・決定することで動作させることができる。本実施例では、前記フレーズ再生プログラム66やログ取得演算プログラム68は、前記作業画面表示プログラム76と連携し、作業画面220に表示されたサウンドセルブロックSBの配列や、再生選択ボタン42〜48による選択状況に応じて、フレーズ再生や課題のログ取得を行う。具体的なフレーズ再生手順やログ取得手順、ログデータを用いた相関データの演算や、認知機能判定については、実施例1と同様である。
このように、本実施例によれば、タブレット型PC210に、実施例1のサウンドセルブロックSBと作業用ボード20を仮想ブロック及び仮想ボードとして表示させ、表示画面内でのサウンドセルブロックSBの並び替えを実行可能とし、その結果に基づいてログ取得や演算を行うログ取得演算部230を設けることとした。このため、上述した実施例1の効果に加え、タブレット型PC210のみで手軽に認知機能評価のスクリーニングを行うことができ、持ち運びにも便利である。また、スクリーニング目的でなく、単にブロックの並び替え遊びとして使用することも可能である。
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例1で説明した楽曲の分割数は一例であり、必要に応じて分割数は増減してよい。また、バリエーション曲の種類も一例であり、必要に応じて増減してよい。
(2)前記実施例1では、デフォルト曲と一種類のバリエーション曲の分割フレーズを混ぜて楽曲の組み立てを行うこととしたが、これも一例であり、デフォルト曲の並び替えのみのシリアル課題としてもよいし、2種類以上のバリエーション曲の分割フレーズを混ぜて楽曲の組み立てを行うようにしてもよい。
(3)前記実施例1で示したサウンドセルブロックSB及び作業用ボード20の構成は一例であり、分割フレーズ(サウンドセル)の並び方が分かるものであれば、適宜設計変更可能である。例えば、前記実施例1では、サウンドセルブロックSBに設けた2次元バーコードBAを、作業用ボード20の各セット部22〜28に設けたバーコードリーダ32〜38で読み取ることとした。しかし、これも一例であり、例えば、サウンドセルブロックSBの底面に抵抗を設け、作業用ボード20のセット部22〜28の底面に接点を設けて抵抗値を読み取ることで、サウンドセルブロックSBに対応する分割フレーズを特定するようにしてもよい。
(4)前記実施例では、被検者が用いる作業用ブロックとして、サウンドセルブロックSBを利用したが、サウンドセルブロックという呼び方は一例であって、単に、ブロック,セル,ペグ,ピースなどと称してもよい。
(5)コンピュータ読み取り可能なスクリーニング支援プログラムをコンピュータに読み込むことで、上述した実施例1のログ取得演算装置60と同様の装置を構成するようにしてもよい。同様に、コンピュータ読み取り可能なスクリーニング支援プログラムをタブレット型PCなどの端末に読み込むことで、実施例2のスクリーニング支援システムを構成するようにしてもよい。
(6)前記実施例では、課題ログデータ86から得た評価用データ88に基づいて、解析データベース90を参照して、認知機能評価試験の結果を推定し、認知機能等の判定を行うこととしたが、課題の難易度を上げたり、複数の課題の結果を組み合わせたりすることで、評価用データ88のみから、認知症等の判断をするようにしてもよい。
(7)前記実施例1では、課題曲として「ふるさと」を用いたが、これも一例であり、他の公知の各種の楽曲を用いてよい。また、歌唱曲に限定されるものではない。
(8)前記実施例1では、デフォルト曲に対するバリエーション曲のフレーズ変化率を数値化することとしたが、このフレーズ変化率を、即時記憶力や音楽フレーズの識別力などのスクリーニングに利用してもよい。また、発達支援のための音楽システムとして用いる場合には、フレーズ変化率を被検者の到達度の指標として用いることが可能である。
(9)前記実施例1では、本発明を認知症の認知機能のスクリーニングに利用することとしたが、これも一例であり、例えば、発達障害などの他の認知機能障害のスクリーニングに利用してもよい。また、必ずしも何らかのスクリーニングに用いることは必要ではなく、サウンドセルブロックSBの並び替えを、単に音楽ゲームとして行ってもよいし、リハビリや発達支援のために行うことを妨げるものではない。
(10)前記実施例2では、タブレット型PC210を例に挙げて説明したが、ノート型PCであってもよいし、デスクトップ型PCで同様の構成を実現するようにしてもよい。あるいは、スマートフォンのなどの携帯通信端末を用いてもよい。
本発明によれば、一つの楽曲を複数のフレーズに分割したときの各分割フレーズに相当する識別情報が付された作業用のブロックを、前記識別情報を読み取る読取手段が各セット部に設けられた作業用ボード上で並び替える。作業用ボードには、読取手段で読み取った識別情報に対応する楽曲のフレーズデータが記録されたログ取得演算装置が接続されており、作業の過程で被検者がフレーズの再生指示をすると、該当するフレーズを読み出して再生する。再生されたフレーズを確認した被検者が、前記ブロックが分割前の楽曲と同じ順序になるまで並び替える作業のログを、前記ログ取得演算装置で取得し、該ログデータに基づいて認知機能評価の試験結果を推定するための評価用データを算出する。そして、予め、前記評価用データと認知機能評価試験データの相関関係や有意差などを示す解析データベースを用意しておき、前記評価用データから認知機能評価の試験結果を推定することとしたので、認知機能検査の前段階のスクリーニング等の用途に適用できる。
10:スクリーニング支援システム
20:作業用ボード
22〜28:セット部
30:読取部
32〜38:バーコードリーダ
40:再生指示部
42〜48:再生選択ボタン
50:再生ボタン
52:停止ボタン
54:リセットボタン
60:ログ取得演算装置
62:CPU
64:プログラムメモリ
66:フレーズ再生プログラム
68:ログ取得演算プログラム
70:判定プログラム
74:出力プログラム
76:作業画面表示プログラム
80:データメモリ
82:フレーズデータベース
84:被検者データ
86:課題ログデータ
88:評価用データ
90:解析データベース
90A,90B:相関データ
92:音声出力部
94:表示部
96:入力部
98,100:ブロック用トレイ
200:スクリーニング支援システム
210:タブレット型PC
212:表示部
214:キーボード
216:マウス
218:スピーカ
220:作業画面
222:矢印
230:ログ取得演算部
BA,BA10〜BA43:2次元バーコード
Ex0:シリアル課題
Ex1〜Ex4:マトリックス課題
F1〜F4,F1def〜F4def,F1v1〜F4v1:分割フレーズ(ないしサウンドセル)
SB,SB10〜13,SB20〜23,SB30〜33,SB40〜43:サウンドセルブロック(作業用ブロック)

Claims (15)

  1. 一つの楽曲を複数のフレーズに分割したときの各々の分割フレーズに相当する識別情報が付された複数の作業用のブロックと、
    該ブロックの数に相当する数のセット部が一列に設けられており、各セット部に配置された前記ブロックの識別情報を読み取る読取手段,
    前記セット部に配置されたブロックのうち、1つ以上のブロックに対応する分割フレーズの再生を選択する再生選択手段,
    該再生選択手段によって選択された1つ以上のブロックに対応する分割フレーズを、前記ブロックの配列順に連続再生するよう指示する再生指示手段,
    を備えた作業用ボードと、
    前記作業用ボードからの指示に応じてフレーズの再生を行うとともに、前記作業用ボード上でブロックの配列が、分割前の楽曲と同じになるようにブロックを並び替える課題を達成あるいは断念するまでのログデータを取得し、前記ログデータからスクリーニング対象の認知機能評価の試験結果を推定するための評価用データを算出するログ取得演算装置と、
    を備えたことを特徴とするスクリーニング支援システム。
  2. 前記複数のブロックが、
    もとの楽曲に変奏を加えないデフォルト曲を複数のフレーズに分割したときの各々の分割フレーズに相当する識別情報が付されたデフォルトのブロックと、
    もとの楽曲に変奏を加えた少なくとも一種類のバリエーション曲を、前記デフォルト曲と同じ区切りで複数のフレーズに分割したときの各々の分割フレーズに相当する識別情報が付されたバリエーションのブロックと、
    を含んでおり、
    前記ログ取得演算装置は、
    前記デフォルト及びバリエーションのブロックを混ぜたブロック群から選択したブロックを、前記作業用ボード上でのブロックの配列が、分割前のデフォルト曲と同じになるように並び替える課題を達成あるいは断念するまでのログデータの取得と、該ログデータに基づく前記評価用データの算出を行うことを特徴とする請求項1記載のスクリーニング支援システム。
  3. 前記バリエーション曲は、前記デフォルト曲に対して各分割フレーズにつき一ヶ所以上、音高の変更,リズムの変更,音の追加又は削除の少なくともいずれかの変更を施したものであることを特徴とする請求項2記載のスクリーニング支援システム。
  4. 前記ログ取得演算装置は、
    音声出力部と、
    前記分割フレーズに相当するフレーズデータが集積されており、各分割フレーズと前記ブロックに付された識別情報との対応関係が記憶されたフレーズデータベースと、
    前記作業用ボードからの再生指示に応じて、各セット部の読取手段によって取得した識別符号に基づき、前記フレーズデータベースを参照して、対応する分割フレーズのフレーズデータを読み出し、前記音声出力部によって再生させる再生手段と、
    前記課題を達成あるいは断念するまでのログデータを取得するとともに、該ログデータに基づいて前記評価用データを算出するログ取得演算手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のスクリーニング支援システム。
  5. 前記作業用のブロックと、前記作業用ボードが、前記ログ取得演算装置の表示部に表示される仮想ブロック及び仮想ボードであるときに、
    前記ログ取得演算装置は、
    前記仮想ブロック及び仮想ボードを、前記表示部に表示するとともに、表示画面内での仮想ブロックの並び替えを表示する作業画面表示手段,
    前記表示画面内の仮想ブロックの並び替えを指示する配列指示手段,
    を備えたことを特徴とする請求項4記載のスクリーニング支援システム。
  6. 前記ログ取得演算装置は、
    前記認知機能評価に関する認知機能評価試験データと、少なくとも前記評価用データとの相関関係又は有意差を示す解析データベースを有しており、
    該解析データベースを参照して、前記ログ取得演算手段によって得た評価用データから、前記認知機能評価の試験結果を推定して、スクリーニング対象の認知機能の判定を行う判定手段,
    を備えたことを特徴とする請求項5記載のスクリーニング支援システム。
  7. 前記ログ取得演算手段は、前記評価用データとして、
    前記課題達成までに要した時間である完成時間,
    前記課題達成までに再生指示が行われた回数であるアクト数,
    前記完成時間を前記アクト数で除した時間である平均アクトタイム,
    前記作業用ボードのセット部の1ヶ所以上に、正しいブロックが配置され、その状態が被検者により意思的に確定された回数であるステップ数,
    を算出することを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載のスクリーニング支援システム。
  8. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のログ取得演算装置をコンピュータによって実行するためのプログラムであって、
    前記分割フレーズに相当するフレーズデータが集積されており、各分割フレーズと前記ブロックに付された識別情報との対応関係が記憶されたフレーズデータベースを利用し、
    前記作業用ボードからの再生指示に応じて、各セット部に対応する読取手段によって取得した識別情報に基づき、前記フレーズデータベースを参照して、対応する分割フレーズのフレーズデータを読み出し、音声出力部によって再生させる再生機能と、
    前記課題を達成あるいは断念するまでのログデータを取得するとともに、該ログデータに基づいて前記評価用データを算出するログ取得演算機能と、
    を含むことを特徴とするコンピュータ読み取り可能なスクリーニング支援プログラム。
  9. 請求項5に記載のスクリーニング支援システムをコンピュータによって実行するためのプログラムであって、
    前記分割フレーズに相当するフレーズデータが集積されており、各分割フレーズと前記ブロックに付された識別情報との対応関係が記憶されたフレーズデータベースを利用し、
    前記作業用ボードからの再生指示に応じて、各セット部に対応する読取手段によって取得した識別情報に基づき、前記フレーズデータベースを参照して、対応する分割フレーズのフレーズデータを読み出し、ログ取得演算装置の音声出力部によって再生させる再生機能と、
    前記課題を達成あるいは断念するまでのログデータを取得するとともに、該ログデータに基づいて前記評価用データを算出するログ取得演算機能と、
    前記作業用のブロックと前記作業用ボードを、前記ログ取得演算装置の表示部に、仮想ブロック及び仮想ボードとして表示するとともに、表示画面内での仮想ブロックの並び替えを表示する作業画面表示機能と、
    を含むことを特徴とするスクリーニング支援プログラム。
  10. 前記認知機能評価に関する認知機能評価試験データと、少なくとも前記評価用データとの相関関係又は有意差を示す解析データベースを利用し、
    該解析データベースを参照して、前記ログ取得演算機能によって得た評価用データから、前記認知機能評価の試験結果を推定して、スクリーニング対象の認知機能の判定を行う判定機能,
    を備えたことを特徴とする請求項8又は9記載のスクリーニング支援プログラム。
  11. 前記ログ取得演算機能は、前記評価用データとして、
    前記課題達成までに要した時間である完成時間,
    前記課題達成までに再生指示が行われた回数であるアクト数,
    前記完成時間を前記アクト数で除した時間である平均アクトタイム,
    前記作業用ボードのセット部の1ヶ所以上に、正しいブロックが配置され、その状態が被検者により意思的に確定された回数であるステップ数,
    を算出することを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載のスクリーニング支援プログラム。
  12. 一つの楽曲を複数のフレーズに分割したときの各々の分割フレーズに相当する識別情報が付された複数の作業用のブロックと、
    該ブロックの数に相当する数のセット部が一列に設けられており、各セット部に配置された前記ブロックの識別情報を読み取る読取手段,前記各セット部に配置されたブロックのうち、1つ以上のブロックに対応する分割フレーズの再生を選択する再生選択手段,該再生選択手段によって選択された1つ以上のブロックに対応する分割フレーズを、前記ブロックの配列順に連続再生するよう指示する再生指示手段,を備えた作業用ボードと、
    前記分割フレーズに相当するフレーズデータが集積されており、各分割フレーズと前記ブロックに付された識別情報との対応関係が記憶されたフレーズデータベースと、
    を利用したスクリーニング支援方法であって、
    前記作業用ボード上に前記ブロックを配列させた後に、前記再生指示手段により再生が指示されたときに、再生対象のブロックに付された識別情報を前記読取手段により読み取るステップ,
    前記フレーズデータベースを参照して、前記ステップで読み取った識別情報に対応する分割フレーズのフレーズデータを読み出すステップ,
    該ステップで読み出されたフレーズデータを、指示された再生態様で再生して音声出力するステップ,
    再生されたフレーズを確認した被検者が、前記作業用ボード上のブロックの配列が、分割前の楽曲と同じになるようにブロックを並び替える課題を達成あるいは断念するまで、上記ブロックの並び替え及び再生を繰り返すステップ,
    前記課題の達成または断念までに行われた再生指示の間隔及び回数と、該再生指示があった時点での前記ボード上でのブロックの位置を、ログデータとして取得するステップ,
    該ログデータに基づいて、スクリーニング対象の認知機能評価の試験結果を推定するための評価用データを算出するステップ,
    を含むことを特徴とするスクリーニング支援方法。
  13. 前記作業用のブロック及び前記作業用ボードが、
    前記フレーズデータベースと、音声出力部と、前記ログデータの取得機能と、前記評価用データの算出機能を有する端末の表示部に表示される仮想ブロック及び仮想ボードであって、
    前記表示部に表示される作業画面内において、前記仮想ブロックの並び替えを行うことを特徴とする請求項12記載のスクリーニング支援方法。
  14. 前記認知機能評価に関する認知機能評価試験データと、少なくとも前記評価用データとの相関関係又は有意差を示す解析データベースを利用して、
    該解析データベースを参照し、前記ステップによって得た評価用データから、前記認知機能評価の試験結果を推定して、スクリーニング対象の認知機能の判定を行うステップ,
    を含むことを特徴とする請求項12又は13記載のスクリーニング支援方法。
  15. 前記評価用データの算出ステップにおいて、
    前記課題達成までに要した時間である完成時間,
    前記課題達成までに再生指示が行われた回数であるアクト数,
    前記完成時間を前記アクト数で除した時間である平均アクトタイム,
    前記作業用ボードのセット部の1ヶ所以上に、正しいブロックが配置され、その状態が被検者により意思的に確定された回数であるステップ数,
    を算出することを特徴とする請求項12〜14のいずれか一項に記載のスクリーニング支援方法。
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