以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定しない。また、実施形態において説明される特徴の組み合わせの全てが課題の解決に必須であるとは限らない。
図1は、ステージ装置101の模式的断面図である。ステージ装置101は、基台110、付勢部120、移動ステージ130および振動アクチュエータユニット201を備える。
ステージ装置101において、付勢部120および振動アクチュエータユニット201は、平坦な基台110の上面に配される。振動アクチュエータユニット201は、固定部112により基台110の上面に固定される。移動ステージ130は、振動アクチュエータユニット201により下方から支持される。
付勢部120は、支柱122、弾性部材124、球面座126および転動ボール128を有する。支柱122は、基台110の上面から図中上方に伸び、更に、側方にも伸びて移動ステージ130の図中上方に差し出される。支柱122の先端と移動ステージ130上面との間には、弾性部材124、球面座126および転動ボール128が積層された状態で配される。
転動ボール128は、移動ステージ130の上面に当接する。球面座126は、転動ボール128の転動を許容しつつ、転動ボール128が移動ステージ130の表面で変位することを防止する。弾性部材124は、支柱122および球面座126の間に圧縮された状態で挟まれる。これにより、球面座126および転動ボール128は、支柱122の上端から下方に向かって押しつけられる。
上記のような付勢部120は、移動ステージ130の複数箇所に設けられ、協働して移動ステージ130を下方に向かって、換言すれば、基台110に近づく方向に付勢する。移動ステージ130は、振動アクチュエータユニット201により下方から支持されているので、振動アクチュエータユニット201の上端に配された当接部210は、移動ステージ130の下面に向かって押しつけられる。
なお、付勢部120の構造は、図示の例に限られない。付勢部120は、振動アクチュエータユニット201の当接部210と、駆動対象である移動ステージ130の被駆動面とが当接した状態を維持する目的で設けられているので、磁力、重力、作動流体の圧力等、他の方法を用いて付勢力を発生する付勢部120を設けてもよい。
図2は、振動アクチュエータユニット201の模式的な分解斜視図である。振動アクチュエータユニット201は、当接部210、圧電体220、共通電極235および複数の個別電極231、232、233、234を有する。
当接部210は、圧電体220の図中上面に固定され、圧電体220の表面から突出して、移動ステージ130の図中下面に当接する。圧電体220が機械的振動を生じた場合、当接部210は、圧電体220と共に振動する。
圧電体220は、PZT等の圧電材料により形成される。圧電材料は、電圧を印加されると、予め分極された方向に伸縮する。図示の例では、図中に矢印Zで示す方向が分極軸方向となるように分極される。よって、電圧値が周期的に変化する駆動電圧を印加されると、圧電体220は、図中に矢印Zで示す方向に伸縮する機械的振動を生じる。
個別電極231、232、233、234および共通電極は、金属等の導電性を有する材料により形成され、相互に絶縁される。共通電極235は、隣接する圧電体220と略同じ面積を有して、基準電位、例えば接地電位に結合される。換言すれば、圧電体220全体は、共通電極235により2つのブロックに分割された状態になる。
個別電極231、232、233、234は、それぞれ、圧電体220を挟んで、共通電極235に対向する位置に配される。これにより、圧電体220には、個別電極231、232、233、234のいずれかと共通電極235との間に挟まれた複数の圧電材料ブロック221、222、223、224が形成される。換言すれば、個別電極231、232、233、234は、圧電材料ブロック221、222、223、224の配列方向に沿って配される。
よって、例えば、ひとつの個別電極231に電圧を印加した場合、個別電極231に対応する圧電材料ブロック221に電界が強く作用し、その圧電材料ブロック221が伸張または収縮する。同様に、他の個別電極232、233、234のいずれかに電圧を印加した場合、対応する圧電材料ブロック222、223、224が伸張または収縮する。このように、圧電体220および個別電極231、232、233、234により、印加された駆動電圧の電気的振動を機械的振動に変換する電気機械変換素子が形成される。
なお、使用状態の振動アクチュエータユニット201では、図示の当接部210、圧電体220、個別電極231、232、233、234および共通電極235が相互に密着した状態にある。このような振動アクチュエータユニット201は、図示の形状の部品を組み合わせて製造されるとは限らない。例えば、それぞれが層状の圧電材料および導電性材料を順次積層することにより、図示の振動アクチュエータユニット201と同じ構造を形成できる。
また、図示の例では、個別電極231、232、233、234および共通電極235を、それぞれ図中の矢印Yと平行な面に配している。しかしながら、各電極は、他の面あるいは圧電体220の角部に配することもできる。また、圧電体220を筒状に形成して、その内面に電極を配することもできる。
図3は、振動アクチュエータユニット201の模式的側面図である。図3には、図1および図2において矢印Xで示した方向、即ち、一部の個別電極231、232と直交する方向から振動アクチュエータユニット201を見た様子を示す。図2と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
個別電極231、232は、圧電体220を、図中左右に分割して配置される。今仮に、図中左側に位置する個別電極232に印加するB相駆動信号と、圧電体220を挟んで個別電極232の裏側に位置する個別電極233に印加するC相駆動信号とが、同じ位相で電圧を周期的に変化するものとする。また、図中右側に位置する個別電極231に印加するA相駆動信号と、圧電体220を挟んで個別電極231の裏側に位置する個別電極234に印加するD相駆動信号とが、同じ位相で電圧を周期的に変化するものとする。
図4は、振動アクチュエータユニット201に供給する駆動信号波形の一例を示す図である。図示のように、A相駆動信号およびD相駆動信号は相互に同期する。B相駆動信号およびC相駆動信号も相互に同期する。また、A相駆動信号およびD相駆動信号は、B相駆動信号およびC相駆動信号に対して90°進んだ位相を有する。
図5は、上記のような組み合わせの駆動信号を振動アクチュエータユニット201に印加した場合の振動アクチュエータユニット201の動作を説明する模式図である。図3と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
図4おいて、A相駆動信号の位相が0から135°までの期間および315°以上の期間は、A相駆動信号およびD相駆動信号の電圧が、B相駆動信号およびC相駆動信号の電圧よりも高い。このような場合は、図5に示すように、圧電材料ブロック221、224が、圧電材料ブロック222、223よりも相対的に長くなり、圧電体220は、上端の当接部210を図中右方に変位させるように屈曲する。
また、A相駆動信号の位相が135°から315°までの期間は、B相駆動信号およびC相駆動信号の電圧が、A相駆動信号およびD相駆動信号の電圧よりも高い。このような場合は、圧電材料ブロック222、223が、圧電材料ブロック221、224よりも相対的に長くなり、圧電体220は、上端の当接部210が図中左方に変位するように屈曲する。
更に、図4において、A相駆動信号の位相が90°から180°までの期間は、すべての駆動信号の電圧値が正になる。また、A相駆動信号の位相が270°から360°までの期間は、すべての駆動信号の電圧値が負になる。よって、前者の期間は、後者の期間よりも、圧電体220全体の長さが相対的に大きくなる。
圧電体220のこれらの運動を総合すると、図4に示した駆動信号を振動アクチュエータユニット201に供給した場合、当接部210は、図中の矢印Yと平行な面内において楕円運動を生じる。よって、ステージ装置101において、楕円運動を生じる当接部210に当接する移動ステージ130は、図1における矢印Yの方向に移動する。なお、図4に示した2相の駆動信号の相互遅延関係を逆にした場合は、移動ステージ130の移動方向が反転する。
図6は、振動アクチュエータユニット201の模式的側面図である。図6には、図1および図2において矢印Yで示した方向、即ち、個別電極231、234および共通電極235の面方向から振動アクチュエータユニット201を見た様子を示す。図2と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
個別電極231、234は、それぞれ、共通電極235との間に圧電体220を挟む。今仮に、図中左側に位置する個別電極231に印加するA相駆動信号と、個別電極231に隣接する個別電極232に印加するB相駆動信号とが、同じ位相で電圧を周期的に変化するものとする。また、図中右側に位置する個別電極234に印加するD相駆動信号と、個別電極234に隣接する個別電極233に印加するC相駆動信号とが、同じ位相で電圧を周期的に変化するものとする。
図7は、振動アクチュエータユニット201に供給する駆動信号波形の一例を示す図である。図示のように、A相駆動信号およびB相駆動信号は相互に同期する。D相駆動信号およびC相駆動信号も相互に同期する。また、A相駆動信号およびB相駆動信号は、D相駆動信号およびC相駆動信号に対して90°進んだ位相を有する。
図8は、上記のような組み合わせの駆動信号を振動アクチュエータユニット201に印加した場合の振動アクチュエータユニット201の動作を説明する模式図である。図6と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
図8おいて、A相駆動信号の位相が0から135°までの期間および315°以上の期間は、A相駆動信号およびB相駆動信号の電圧が、D相駆動信号およびC相駆動信号の電圧よりも高い。このような場合は、図8に示すように、圧電材料ブロック221、222が、圧電材料ブロック224、223よりも相対的に長くなり、圧電体220は、上端の当接部210が図中左方に変位するように屈曲する。
また、A相駆動信号の位相が135°から315°までの期間は、D相駆動信号およびC相駆動信号の電圧が、A相駆動信号およびB相駆動信号の電圧よりも高い。このような場合は、圧電材料ブロック221、222が、圧電材料ブロック224、223よりも相対的に長くなり、圧電体220は、上端の当接部210を図中右方に変位させるように屈曲する。
更に、図7において、A相駆動信号の位相が90°から180°までの期間は、すべての駆動信号の電圧値が正になる。また、A相駆動信号の位相が270°から360°までの期間は、すべての駆動信号の電圧値が負になる。よって、前者の期間は、後者の期間よりも、圧電体220全体の長さが相対的に大きくなる。
圧電体220のこれらの運動を総合すると、図7に示した駆動信号を振動アクチュエータユニット201に供給した場合、当接部210は、図中の矢印Xと平行な面内において楕円運動を生じる。よって、ステージ装置101において、楕円運動を生じる当接部210に当接する移動ステージ130は、図1における矢印Xの方向に移動する。また、図7に示した2相の駆動信号の相互遅延関係を逆にした場合は、移動ステージ130の移動方向が反転する。
以上、図3から図8までを参照して説明したように、振動アクチュエータユニット201は、移動ステージ130を、矢印Xの方向にも、矢印Yの方向にも移動させることができる。更に、図4に示した駆動信号と、図7に示した駆動信号とを重畳させた駆動信号を振動アクチュエータユニット201に加えることにより、矢印Xの方向と矢印Yの方向とを合成した方向にも移動ステージ130を移動させることができる。
このように、振動アクチュエータユニット201は、単一のアクチュエータでありながら、駆動信号の組み合わせを変化させることにより移動ステージ130を2次元的に移動させることができる。なお、図1には単一の振動アクチュエータユニット201が描かれているが、複数の振動アクチュエータユニット201を設けても差し支えないことはいうまでもない。
図9は、ステージ装置102の模式的断面図である。ステージ装置102は、下記に説明する部分を除くと、図1に示したステージ装置101と同じ構造を有する。そこで、共通の要素にはステージ装置101と同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
ステージ装置102は、振動アクチュエータユニット202を備える点において、ステージ装置101と異なる。振動アクチュエータユニット202は、図中下面に、下方に向かって突出する単一の支持部114を有する。支持部114は、基台110の上面に当接して、振動アクチュエータユニット202を一点で支持、固定する。
また、振動アクチュエータユニット202は、図中上面に、一対の当接部210を有する。移動ステージ130が、付勢部120によって下方に向かって付勢されている点は、振動アクチュエータユニット201と同じである。これにより、一対の当接部210は、それぞれが移動ステージ130の下面に当接して、移動ステージ130を下方から支持する。
図10は、振動アクチュエータユニット202の模式的な分解斜視図である。振動アクチュエータユニット202は、一対の当接部210、複数の圧電材料ブロック221、222、223、224に分割された圧電体、共通電極235および複数の個別電極231、232、233、234をそれぞれ有する。振動アクチュエータユニット202において、圧電材料ブロック221、222、223、224は、いずれも長手方向、即ち、図9に示した状態では、図中の矢印Xで示す方向に分極している。
振動アクチュエータユニット202において、図中左側の半分に相当する左翼ブロック228は、図中水平に配された個別電極231、232および共通電極235により区切られて、図中上下に配列された一対の圧電材料ブロック221、222をなす。換言すれば、個別電極231、232は、圧電材料ブロック221、222の配列方向に配列される。
また、振動アクチュエータユニット202において、図中右側の半分に相当する右翼ブロック229は、図中垂直に配された個別電極233、234および共通電極235により区切られて、図中水平に配列された一対の圧電材料ブロック223、224をなす。換言すれば、個別電極233、234は、圧電材料ブロック223、224の配列方向に配列される。
よって、例えば、ひとつの個別電極231に電圧を印加した場合、その個別電極231に対応する圧電材料ブロック221に電界が強く作用して、圧電材料ブロック221が伸張または収縮する。同様に、他の個別電極232、233、234のいずれかに電圧を印加した場合、対応する圧電材料ブロック222、223、224が伸張または収縮する。
これにより、個別電極231、232に、互いに異なる駆動電圧が印加された場合、振動アクチュエータユニット202の左翼ブロック228は、ステージ装置102において、基台110の表面と直交する面内で屈曲する機械振動を生じる。また、個別電極233、234に、互いに異なる駆動電圧が印加された場合、振動アクチュエータユニット202の右翼ブロック229は、ステージ装置102において、基台110の表面と平行な面内で屈曲する機械振動を生じる。
一対の当接部210の一方は、左翼ブロック228の上面に位置する個別電極231において、面方向の略中央に配される。他方の当接部210は、右翼ブロック229の個別電極233、234、圧電材料ブロック223、224および共通電極235を互いに密着させた場合に形成される上面の略中央に配される。これら当接部210は、それぞれ、圧電材料ブロック221、222または圧電材料ブロック223、224のいずれかが振動した場合に、共に振動する。
なお、使用状態にある振動アクチュエータユニット202は、図示の当接部210、圧電材料ブロック221、222、223、224、個別電極231、232、233、234および共通電極235が相互に密着した状態にある。このような振動アクチュエータユニット202は、図示の形状の部品を組み合わせて製造されるとは限らない。例えば、それぞれが層状の圧電材料および導電性材料を順次積層することにより、図示の振動アクチュエータユニット201と同じ構造を形成できる。
また、上記のような振動アクチュエータユニット202を製造する場合、圧電材料ブロック221、222、223、224、個別電極231、232、233、234および共通電極235を組み立てた後に、支持部114および当接部210を接着して取り付けてもよい。支持部114および当接部210の材料としては、例えば、変形が少なく耐磨耗性を有するポチコン(商品名)を用いることができる。
図11は、振動アクチュエータユニット202の個別電極231、232、233、234に印加する駆動信号波形を示す図である。なお、図10に示したように、個別電極231にはA相駆動信号を、個別電極232にはB相駆動信号を、個別電極233にはC相駆動信号を、個別電極234にはD相駆動信号を、それぞれ個別に印加するものとする。
図示の例では、A相駆動信号およびB相駆動信号は位相が180°ずれて、互いに反転した信号波形を有する。このようなA相駆動信号およびB相駆動信号を印加された場合、振動アクチュエータユニット202における圧電材料ブロック221、222は、上記したように、ステージ装置102の基台110上面に直交する面内で屈曲する機械的振動を生じる。
一方、C相駆動信号およびD相駆動信号は同期して、互いに同じ信号波形を有する。このようなC相駆動信号およびD相駆動信号を印加された場合、振動アクチュエータユニット202における圧電材料ブロック223、224は、一体的に伸縮する。この場合、圧電材料ブロック223、224の伸縮方向は、図9および図10に矢印Xで示した方向になる。
更に、図11に示した駆動信号波形において、A相駆動信号およびB相駆動信号の位相は、C相駆動信号の波形およびD相駆動信号の位相に対して90°遅れている。よって、圧電材料ブロック221、222の垂直面内の屈曲振動と、圧電材料ブロック221、222の長手方向の伸縮とを組み合わせることにより、振動アクチュエータユニット202は、ステージ装置102において、移動ステージ130を、図中に矢印Xで示す方向に移動させる。なお、図11に示したA相駆動信号およびB相駆動信号と、C相駆動信号およびD相駆動信号との相互遅延関係を逆にした場合は、移動ステージ130の移動方向が反転する。
図12は、振動アクチュエータユニット202の個別電極231、232、233、234に印加する他の駆動信号波形を示す図である。図示の例では、A相駆動信号およびB相駆動信号は位相が180°ずれて、互いに反転した信号波形を有する。よって、圧電材料ブロック221、222は、上記したように、ステージ装置102の基台110上面に直交する面内で屈曲する機械的振動を生じる。
また、図12に示す駆動信号波形では、C相駆動信号およびD相駆動信号も位相が180°ずれて、互いに反転した信号波形を有する。よって、圧電材料ブロック223、224は、ステージ装置102の基台110の表面と平行な面内で屈曲する機械的振動を生じる。
更に、図12に示した駆動信号波形において、A相駆動信号およびB相駆動信号の位相は、C相駆動信号の波形およびD相駆動信号の位相に対して90°遅れている。よって、圧電材料ブロック221、222の垂直面内の屈曲振動と、圧電材料ブロック223、224の水平面内の屈曲運動とを組み合わせることにより、振動アクチュエータユニット202は、ステージ装置102において、移動ステージ130を、図中に矢印Yで示す方向と逆の方向に移動させる。なお、図11に示したA相駆動信号およびB相駆動信号と、C相駆動信号およびD相駆動信号との相互遅延関係を逆にした場合は、移動ステージ130の移動方向が反転する。
以上、図9から図12までを参照して説明したように、振動アクチュエータユニット202は、移動ステージ130を、矢印Xの方向にも、矢印Yの方向にも移動させることができる。更に、A相からD相までの駆動信号相互の遅延関係をさまざまに変化させることにより、移動ステージ130の移動方向を変化させることができる。
このように、振動アクチュエータユニット202は、単一のアクチュエータでありながら、駆動信号の組み合わせを変化させることにより移動ステージ130を2次元的に移動させることができる。図9のステージ装置102には単一の振動アクチュエータユニット201が設けられているが、想定される負荷に応じて複数の振動アクチュエータユニット202を設けても差し支えないことはいうまでもない。
図13は、ステージ装置103の模式的断面図である。ステージ装置103は、下記に説明する部分を除くと、図9に示したステージ装置102と同じ構造を有する。そこで、共通の要素にはステージ装置102と同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
ステージ装置102は、振動アクチュエータユニット203を備える点において、ステージ装置102と異なる。振動アクチュエータユニット203は、個別電極231、232、233、234および共通電極235により形成される圧電材料ブロック221、222、223、224の配置が、振動アクチュエータユニット202と異なる。
図14は、振動アクチュエータユニット203の模式的な分解斜視図である。振動アクチュエータユニット203は、一対の当接部210、複数の圧電材料ブロックに分割された圧電体220、共通電極235および複数の個別電極231、232、233、234をそれぞれ有する。振動アクチュエータユニット203において、圧電材料ブロック221、222、223、224は、いずれも長手方向、即ち、図13に示した状態では、図中の矢印Xで示す方向に分極している。
振動アクチュエータユニット203において、圧電体220は、その長手方向に配された共通電極235により、長手方向と直交する方向に並ぶ一対の圧電体220に区切られる。更に、一対の圧電体220の各々において共通電極235と対向する面には、当該面を縦横に四分割する4つの個別電極231、232、233、234が配される。
これにより、圧電体220全体では、8つの個別電極231、232、233、234に対応する8つの圧電材料ブロック221、222、223、224が形成される。8つの圧電材料ブロック221、222、223、224の各々は、全体として六面体をなす圧電体220の頂点をひとつずつ含む。
また、8つの個別電極231、232、233、234のうち、同じ参照番号を有する一対のものは、全体として六面体をなす圧電体220の、対角位置に配され、同じ相の駆動信号を共通に受ける。
上記のような振動アクチュエータユニット203において、図中左側半分に相当する左翼ブロック228と図中右側半分に相当する右翼ブロック229とはそれぞれ、図2に示した振動アクチュエータユニット201と類似した動作をする。ただし、これらのブロックは、圧電体220の長手方向の共通の回転軸の周りに回転した状態で結合されているので、圧電体220の図中左側半分と図中右側半分の振る舞いには相違が生じる。
これにより、振動アクチュエータユニット203においては、駆動信号を供給された場合に圧電体220に生じる振動の振幅が大きくなる。よって、ステージ装置103において、移動ステージ130は効率よく駆動される。
図15は、振動アクチュエータユニット203の個別電極231、232、233、234に印加する駆動信号の位相関係を示す図である。また、図15において、上段および左列に記載したXおよびYの符号は、図13に示した矢印X、矢印Yに対応して、振動アクチュエータユニット203により駆動される移動ステージ130の移動方向を示す。図示のように、A相からD相までの駆動信号相互の遅延関係をさまざまに変化させることにより、移動ステージ130の移動方向を変化させることができる。
図13から図15までを参照して説明したように、振動アクチュエータユニット203は、8つの圧電材料ブロック221、222、223、224を4相の駆動信号により駆動することにより、移動ステージ130を、矢印Xの方向にも、矢印Yの方向にも移動させることができる。また、駆動信号相互の位相遅延関係を変化させることにより、移動ステージ130の移動方向を変化させることができる。
このように、振動アクチュエータユニット203は、単一のアクチュエータでありながら、駆動信号の組み合わせを変化させることにより移動ステージ130を2次元的に移動させることができる。図9のステージ装置102には単一の振動アクチュエータユニット203が設けられているが、想定される負荷に応じて複数の振動アクチュエータユニット203を設けてもよい。
図16は、光学装置104の模式的断面図である。光学装置104は、振動アクチュエータユニット203を備える。また、図13に示したステージ装置103と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
光学装置104は、ステージ装置102における移動ステージ130に換えて、移動軸132を備える点に固有の構造を有する。移動軸132は、支柱122に設けられた軸受け部121に挿通され、図中に矢印Xで示す方向に摺動自在に基台110から支持される。また、移動軸132は、軸受け部121において、長手方向の中心軸の周りに回転自在に支持される。
移動軸132は、基台110の外側の一端に取り付けられた保持枠134において、光学系の一部をなすレンズ136を保持する。よって、レンズ136は、移動軸132が長手方向に摺動した場合に、移動軸132の中心軸と平行な光軸Lに沿って移動する。
図17は、光学装置104の模式的斜視図である。図16と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。また、図17は、基台110および支柱122を省いて描かれている。
図示のように、光学装置104において、振動アクチュエータユニット203の当接部210は、移動軸132の円筒状の周面に当接して駆動力を伝える。よって、振動アクチュエータユニット203が、図16に示す矢印Xの方向に駆動力を発生した場合、移動軸132は、それ自体の中心軸の方向に移動する。
また、光学装置104において、振動アクチュエータユニット203が、図16に示す矢印Yの方向に駆動力を発生した場合、移動軸132は、図17に矢印Qで示すように、それ自体の中心軸の周りに回転する。移動軸132が回転した場合、レンズ136は、光軸Lからはずれる。
このように、振動アクチュエータユニット203を用いることにより、光学部材であるレンズ136を、光軸L方向の他に、光軸Lからはずれる方向にも移動させることができる。よって、レンズ136を移動させて光学系の特性を変化させる他に、レンズ136を光学系からはずして、光学的な構成自体を変更することができる。
なお、上記の例では、振動アクチュエータユニット203を用いて光学装置104を形成した。しかしながら、既に説明した他の振動アクチュエータユニット201、202を用いて光学装置104を形成してもよい。
図18は、光学装置105の模式的断面図であり、レンズ136を含む光学系の光軸Lと直交する断面を示す。図17と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
光学装置105は、レンズ鏡胴116、板ばね125、127、保持枠134、レンズ136および振動アクチュエータユニット203を備える。レンズ136を保持する保持枠134は、一対の板ばね125、127に結合される。個々の振動アクチュエータユニット203は、既に説明した振動アクチュエータユニット203と同じ構造を有し、紙面に対して垂直な方向と、紙面と平行な方向とに、レンズ鏡胴116の内面に対して移動できる。
一対の板ばね125、127は伸張する方向に付勢されており、それぞれの端部は、振動アクチュエータユニット203を、レンズ鏡胴116の内面に向かって押しつける。これにより、保持枠134およびレンズ136は、レンズ鏡胴116の図中略中央に保持される。
上記のような光学装置105において、振動アクチュエータユニット203の一部を光軸Lの方向に動作させた場合、レンズ136の光軸Lに対する傾きが変化する。また、振動アクチュエータユニット203のすべてを光軸Lの方向同時に動作させた場合は、レンズ136は、光軸Lに対する角度を維持しつつ光軸L方向に並進する。更に、すべての振動アクチュエータユニット203を同時に、紙面と平行に同時に動作させた場合、レンズ136は、光軸Lに対する傾きを維持したまま、図中に矢印Xで示すように、紙面と平行に移動する。
図19は、図18に示した光学装置105の他の動作を説明する模式的断面図である。図18と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
図19に示した状態の光学装置105においては、図中で上側に配された一対の振動アクチュエータユニット203は、図中に矢印M1で示すように、互いに接近する方向に、紙面に平行に移動する。また、図中で下側に配された一対の振動アクチュエータユニット203は、図中に矢印M2で示すように、互いに離間する方向に紙面に平行に移動する。
上記のような振動アクチュエータユニット203の動作により、板ばね125、127の図中上側の部分は、レンズ鏡胴116の側面に対して平行に近づく。一方、板ばね125、127の図中下側の部分は、レンズ鏡胴116の側面に対する傾きが大きくなる。これにより、レンズ136は、図中に矢印M3で示すように、レンズ鏡胴116内で低い方の位置に向かって並進する。
このように、図中上側の振動アクチュエータユニット203と、図中下側の振動アクチュエータユニット203とが互いに異なる動作をすることにより、レンズ136を図中上下にも移動させることができる。更に、これらの振動アクチュエータユニット203の動作を組み合わせることにより、レンズ136の光学的な調整を、振動アクチュエータユニット203に対する電気的な制御で実行できる。
なお、上記の例では、振動アクチュエータユニット203を用いて光学装置105を形成した。しかしながら、既に説明した他の振動アクチュエータユニット201、202を用いて光学装置105を形成してもよい。
図20は、能動回転関節装置106の模式的斜視図である。能動回転関節装置106は、基台110、付勢部120、被駆動球体138および振動アクチュエータユニット203を備える。
振動アクチュエータユニット203は、基台110の上面に支持部114を当接させて、基台110に対して固定される。被駆動球体138は、振動アクチュエータユニット203の当接部210に当接して、図中下方から支持、固定される。
付勢部120は、基台110から図中上方に延在する支柱122と、支柱122から懸架された弾性部材124と、弾性部材124により下方に向かって付勢された球面座126とを有する。球面座126は、被駆動球体138を下方に向かって付勢する。よって、被駆動球体138は、振動アクチュエータユニット203の当接部210に押しつけられる。
上記のような能動回転関節装置106において振動アクチュエータユニット203が動作すると、被駆動球体138は、同じ位置を保ちつつ回転する。これにより、被駆動球体138に取り付けられた可動肢139が、基台110に対する傾きを変える。
既に説明した通り、振動アクチュエータユニット203は、基台110の面方向について任意の方向に駆動力を発生する。よって、能動回転関節装置106は、振動アクチュエータユニット203に供給する駆動電力の電気的な制御で、可動肢139の傾きを変化させることができる。
なお、上記の例では、振動アクチュエータユニット203を用いて能動回転関節装置106を形成した。しかしながら、既に説明した他の振動アクチュエータユニット201、202を用いて能動回転関節装置106を形成してもよい。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加え得ることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。