JP2014023234A - 電動モータ - Google Patents

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康弘 鈴木
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Abstract

【課題】 従来の電動モータは、電機子のモータシャフトがメタルブッシュ内で暴れることがあり、これによってスティックスリップ現象が発生するという課題があった。
【解決手段】 メタルブッシュ16よりも電機子コア51側の、モータヨーク13の軸受保持部42に圧入固定される防振シール部材18を設置している。また、防振シール部材18は、モータシャフト11の第1突出部61の摺動面に摺接するシールリップ73を有し、モータシャフト11のラジアル方向およびスラスト方向に弾性変形が可能なフッ素ゴム製の防振シールゴム19を備えている。これによって、メタルブッシュ16内でモータシャフト11がラジアル方向やスラスト方向に暴れるのを吸収または減衰できる。これによって、モータシャフト11のスティックスリップ現象を抑制できるので、スティックスリップ現象を要因とする作動音(異音)の発生を確実に防止することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電動モータに関するもので、特に電動モータの動力を利用して移動体を駆動する電動アクチュエータ(駆動装置)に係わる。
[従来の技術]
従来より、スロットルバルブの回転軸であるシャフトをその回転方向に開閉駆動(回転駆動)させる電動アクチュエータが公知である(例えば、特許文献1参照)。
この電動アクチュエータは、動力源である電動モータと、この電動モータの回転を2段減速する減速機構と、スロットルバルブを所定の開弁位置(例えば全開位置等)から全閉位置(初期位置)へ戻す方向(閉弁方向)に付勢する弾性力を発生するリターンスプリングとを備えている。
電動モータは、アウタステータの内周側にインナロータが相対回転可能に配置されるブラシ付きのDC電動モータであり、電機子(アーマチャ)と、この電機子の周囲を円周方向(電動モータ周方向)に取り囲む筒状のステータと、整流子に押圧接触する一対のブラシとを備えている。
ステータは、有底円筒状のヨーク、およびこのヨークの内周面に固定された複数の永久磁石(界磁マグネット)を有している。ヨークのフロント側には、フロントブラケットが接続されている。
電機子は、ステータの径方向内側に所定のギャップを介して設置されている。この電機子は、回転軸方向に延びるモータシャフト、このモータシャフトに固定された電機子コア、この電機子コアに巻装される電機子コイル、およびこの電機子コイルに電気的に接続される整流子を備えている。
整流子は、モータシャフトの外周に固定されて、スリットによって複数の整流子片(セグメント)に分割されている。
電機子の回転軸であるモータシャフトは、ヨークの軸受保持部およびフロントブラケットの軸受保持部にメタルブッシュを介して、回転自在に支持されている。
メタルブッシュは、焼結金属で形成されて、内部に多数の気孔を有し、その内部気孔に潤滑油が含浸された含油ブッシュであって、モータシャフトが摺動する内周摺動面に多数の内部気孔の開口(表面気孔)が形成されている。
このメタルブッシュは、軸支するモータシャフトとの相対に伴って、内部気孔に含浸した潤滑油の滲み出しによりモータシャフトとの摺動部に油膜を形成し、この油膜によってモータシャフトを回転方向に摺動可能に軸支している。
[従来の技術の不具合]
ところが、従来の電動モータにおいては、モータシャフトの摺動(こすれ)、振動(たたき)によりメタルブッシュの内周面(摺動面)が摩耗し、メタルブッシュの表面気孔率が減少するという問題が生じている。
また、低温時も、メタルブッシュの内部気孔から潤滑油が出難くなり、モータシャフトとの摺動部への潤滑油が不足することになり、モータシャフトの外周面(摺動面)とメタルブッシュの内周面(摺動面)とが金属接触する。これにより、電機子のモータシャフトがメタルブッシュ内で暴れることがあり、これによって生じるスティックスリップ現象によって作動音(耳障りな異常音)が発生する可能性がある。
また、スティックスリップ現象の発生によって、メタルブッシュとモータシャフトとの摺動部から潤滑油が飛散し、モータシャフトに固定される整流子の外周表面に付着する可能性がある。そして、潤滑油が整流子の外周表面からスリット内に流れ込む。このとき、潤滑油に導電性の異物(例えばブラシと整流子との摺動により発生するブラシ摩耗粉)が混入している場合、スリット内に入り込んだ導電性の異物によって隣接するセグメント間がショートする可能性があり、また、セグメント間のショートにより電機子コイル等に過電流が流れる等の問題がある。
特開2005−146992号公報
本発明の目的は、電機子のシャフトのスティックスリップ現象を防止することで、スティックスリップ現象を要因とする作動音(スティックスリップ音)の発生を確実に防止することのできる駆動装置を提供することにある。また、軸受の内部に含浸された潤滑油の飛散を防止することで、電機子の整流子における整流子片間のショートを防止することのできる駆動装置を提供することにある。
請求項1に記載の発明(駆動装置)は、少なくとも一端が開口した筒状のモータケースと、このモータケースの開口部を閉塞するブラケットと、モータケースまたはブラケットに固定(支持)される軸受と、この軸受を介して、モータケースおよびブラケットに回転可能に支持されて、基端側から先端側へ向けて軸線方向に延びるシャフトを有する電機子と、軸受よりもモータケースの開口側においてシャフトの周囲を周方向に取り囲むように設置されて、シャフトの半径方向および軸線方向に弾性変形可能な弾性体製の防振部材とを備えている。
請求項1に記載の発明によれば、軸受よりもモータケースの開口側においてシャフトの周囲を周方向に取り囲むように、電機子のシャフトの半径方向および軸線方向に弾性変形可能な弾性体製の防振部材を設置したことにより、軸受内で電機子のシャフトが暴れるのを吸収または減衰することができる。これによって、電機子のシャフトのスティックスリップ現象を抑制できるので、スティックスリップ現象を要因とする作動音(スティックスリップ音)の発生を確実に防止することができる。
請求項2〜5に記載の発明によれば、防振部材のシャフトに対する緊迫力、特に防振部材のシールリップにおける、シャフトに対する緊迫力を、1N以上とすることで、電機子のシャフトのスティックスリップ現象を抑制し、シャフト摺動による音圧アップを軽減することができる。
請求項6及び7に記載の発明によれば、内部に潤滑油が含浸され、焼結金属で形成された焼結含油軸受よりもモータケースの開口側においてシャフトの周囲を周方向に取り囲むように、電機子のシャフトの半径方向および軸線方向に弾性変形可能な弾性体製の防振部材を設置したことにより、防振部材よりもモータケースの開口側への潤滑油の飛散を防止することができる。これによって、電動モータの故障の発生を防止することができる。例えば電機子の整流子における、隣接する整流子片(セグメント)間のショート故障を防止することができる。また、セグメント間のショートにより電機子のコイル等に過電流が流れる等の不具合の発生を防止することができる。
請求項8〜15に記載の発明によれば、防振部材により第1軸受内のシャフトの暴れを吸収または減衰することにより、電機子のシャフトのスティックスリップ現象を抑制することができる。
また、減速機構の中間ギヤの反力を第2軸受が受けるため、電機子のシャフトのスティックスリップ現象を抑制することができる。
また、電機子のシャフトのスティックスリップ現象によって、焼結含油軸受の摺動孔とシャフトの外周面との摺動部の潤滑油が飛散し、電機子の整流子へ付着し、電動モータの作動、つまり電機子の回転に伴って整流子との押圧接触によりブラシの摩耗粉が発生する。このブラシの摩耗粉は、導電性の異物(導電物質)のまま、潤滑油により隣接するセグメント間のスリット内に入り込んで堆積し、隣接する整流子片(セグメント)間がショートする可能性があり、また、セグメント間のショートにより電機子コイル等に過電流が流れる等の問題がある。しかし、請求項8〜15に記載の発明によれば、防振部材よりも整流子側への潤滑油の飛散を防止できるので、電機子の整流子における、隣接するセグメント間のショート故障を防止することができる。また、セグメント間のショートにより電機子のコイル等に過電流が流れる等の不具合の発生を防止することができる。
(a)は電動モータを示した断面図で、(b)はメタルブッシュ(焼結含油軸受)の電機子コア側に設置された防振シール部材を示した断面図である(実施例1)。 内燃機関の吸気絞り弁を示した断面図である(実施例1)。 電動アクチュエータを示した平面図である(実施例1)。 シャフトに作用する荷重に対する音圧レベルを示したグラフである(実施例1)。 (a)、(b)はメタルブッシュ(焼結含油軸受)の電機子コア側に設置された防振シール部材を示した断面図である(実施例2)。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
[実施例1の構成]
図1ないし図4は、本発明を適用した電動モータを備えた電動アクチュエータ(実施例1)を示したものである。
本実施例の電動アクチュエータは、複数の気筒を有する内燃機関(エンジン)に搭載される吸気絞り弁の弁体であるスロットルバルブ1を開閉駆動する回転動力を発生する電動モータMを備えたバルブ駆動装置として使用される。
吸気絞り弁は、エアクリーナを通過した空気が流れる吸気通路を開閉するスロットルバルブ(バタフライバルブ、回転移動体)1と、このスロットルバルブ1を回転可能に収容するバルブボディ(以下スロットルボディ)2と、このスロットルボディ2に回転可能に支持されたスロットルシャフト(バルブシャフト)3と、このスロットルシャフト3を回転駆動してスロットルバルブ1を開閉動作させる電動アクチュエータとを備えている。
吸気絞り弁は、スロットルシャフト3に形成されたスリット孔内にスロットルバルブ1を挿入した状態で、スロットルバルブ1をスロットルシャフト3にスクリューの締結による軸力で固定するバルブ支持構造を採用している。
スロットルボディ2には、エンジンの吸気管の途中に組み込まれる円筒状のインテークダクト(円筒部)4が一体的に形成されている。このインテークダクト4の内部には、エンジンの各気筒毎の燃焼室に連通すると共に、エアクリーナを通過した吸気が流れる断面円形状のスロットルボア(吸気通路)5が形成されている。
また、スロットルボディ2には、電動アクチュエータ(電動モータM、減速機構、リターンスプリング6等)を収容するハウジング7が一体的に形成されている。このハウジング7には、電動モータMを収容保持するモータハウジングJ1が一体的に形成されている。このモータハウジングJ1は、一端側が開口し、モータ組み付け時に電動モータMをモータ収納凹部J2内に挿入するための開口部(以下モータ挿入口)J3を有している。このモータ挿入口J3は、電動モータMのフロントブラケット(後述する)により塞がれている。なお、J4は、モータハウジングJ1内における電動モータMの振動を抑制する防振スプリング(ウェーブワッシャ等)である。この防振スプリングJ4は設けなくても構わない。
ハウジング7には、減速(ギヤ)機構およびリターンスプリング6を収容するギヤハウジング8が一体的に形成されている。
このギヤハウジング8には、アクチュエータ組み付け時に減速機構およびリターンスプリング6等をギヤ収納凹部9内に挿入するための開口部を有している。この開口部は、スロットル開度センサや外部接続用コネクタが設けられる合成樹脂製のセンサカバー(図示せず)により塞がれている。
ここで、電動アクチュエータは、電動モータM、減速機構、回転角度検出装置およびリターンスプリング6を備えている。
電動モータMは、その軸線方向(以下回転軸方向)に真っ直ぐに延びるモータ軸(電機子の回転軸:以下モータシャフト)11を有するインナロータ(電機子)と、この電機子の周囲を円周方向に取り囲むステータと、このステータに対して固定されたブラシホルダ12と、このブラシホルダ12に収容保持された一対の給電ブラシ(以下ブラシ)とを備えている。
ステータは、一端が開口し、他端が閉塞されたモータケースである有底円筒状のモータヨーク13、およびこのモータヨーク13の内周面に固定された複数の永久磁石(界磁部:以下界磁マグネット)14を有している。また、モータヨーク13の円筒開口部は、フロントブラケット15によって閉塞されている。
フロントブラケット15は、モータハウジングのモータ挿入口の開口周縁部にボルト等を用いて締結固定されている。
また、電動モータMは、モータヨーク13に固定される第1軸受(Rr側の焼結含油軸受:以下メタルブッシュ)16と、フロントブラケット15に固定される第2軸受(Fr側の焼結含油軸受:以下メタルブッシュ)17と、メタルブッシュ16よりもモータヨーク13の開口側においてモータシャフト11の周囲を円周方向に取り囲むように設置された防振シール部材18とを備えている。この防振シール部材18は、モータシャフト11の半径方向(ラジアル方向)および軸線方向(スラスト方向)に弾性変形が可能な環状ゴム系弾性体(以下防振シールゴム19)を有している。
なお、電動モータMの詳細は、後述する。
電動アクチュエータ、特に電動モータMは、エンジン制御ユニット(電子制御装置:以下ECU)によって電子制御される電動モータ駆動回路を介して、自動車等の車両に搭載されたバッテリに電気的に接続されている。
ECUには、制御処理や演算処理を行うCPU、制御プログラムまたは制御ロジックや各種データを保存する記憶装置(RAM、ROM等のメモリ)、入力回路(入力部)、出力回路(出力部)、電源回路、タイマー等の機能を含んで構成される周知の構造のマイクロコンピュータが設けられている。
ECUは、エアフローメータ、クランク角度センサ、アクセル開度センサ、スロットル開度センサ、冷却水温センサ、吸気温センサおよび吸気圧センサ等の各種センサからの出力信号が、A/D変換器によってA/D変換された後に、マイクロコンピュータに入力されるように構成されている。
ここで、ECUは、アクセル開度センサの出力信号であるアクセル開度信号に基づいて目標スロットル開度を算出し、スロットル開度センサの出力信号である実スロットル開度(信号)と目標スロットル開度との偏差がなくなるように電動モータMへの供給電力をフィードバック制御している。
減速機構は、電動モータMのモータシャフト11の回転を2段減速してスロットルシャフト3に伝達する歯車装置である。この減速機構は、電動モータMのモータシャフト11の回転動力(トルク)をスロットルシャフト3に伝えてスロットルバルブ1をその回転方向に開閉動作させる動力伝達機構である。
減速機構は、スロットルシャフト3とモータシャフト11と並列配置された中間ギヤ軸21、モータシャフト11の先端外周に固定されたピニオンギヤ22、このピニオンギヤ22と噛み合って回転する中間ギヤ23、およびこの中間ギヤ23と噛み合って回転する出力ギヤ24等によって構成されている。
また、3つのギヤ22〜24は、ハウジング7に一体的に形成されたギヤハウジング8とセンサカバーとの間に形成されるギヤ収納凹部9内に回転自在に収容されている。
ピニオンギヤ22は、モータシャフト11の先端外周に圧入嵌合等により固定されて、モータシャフト11と一体的に回転する円筒部(電動モータMのフロント先端部)を有している。そして、ピニオンギヤ22の円筒部の外周には、複数の凸状歯(ピニオンギヤ歯25)が円周方向全体に形成されている。
中間ギヤ23は、中間ギヤ軸21の外周に相対回転可能に嵌め合わされている。この中間ギヤ23は、中間ギヤ軸21の外周に回転自在に嵌め合わされて、中間ギヤ軸21の中心軸線周りに回転する円筒部を有している。
中間ギヤ23の円筒部の軸線方向の一端部には、円筒部の外径よりも大きく、ピニオンギヤ歯25と噛み合う大径ギヤが形成されている。この大径ギヤは、円筒部の軸線方向の一端部に設けられた円環板状の大径部、およびこの大径部の外周の周方向全体に形成された複数の凸状歯(第1中間ギヤ歯26)を有している。
また、中間ギヤ23の円筒部の軸線方向の他端部には、出力ギヤ24と噛み合う小径ギヤが形成されている。この小径ギヤは、中間ギヤ23の円筒部、およびこの円筒部の外周の周方向全体に形成された複数の凸状歯(第2中間ギヤ歯:図示せず)を有している。
出力ギヤ24は、合成樹脂によって一体的に形成されている。この出力ギヤ24の内周部には、円筒状のマグネットロータ27が一体的に形成されている。また、出力ギヤ24は、マグネットロータ27よりも半径方向の外側に部分円筒状の最大外径部を有している。この最大外径部には、中間ギヤ23の中間ギヤ歯と噛み合う複数の凸状歯(出力ギヤ歯28)が所定の角度分だけ扇状に形成されている。
マグネットロータ27の内周には、複数のセンサマグネット31および磁性体であるロータコア32が固定され、また、マグネットロータ27には、内部に2面幅(スロットルシャフト3の空回りを防ぐ構造、回り止め構造)を有する嵌合孔が形成された出力ギヤレバー(図示せず)がインサート成形されている。これにより、出力ギヤ24は、出力ギヤレバーを介して、スロットルシャフト3に回り止めされた状態で固定されている。
回転角度検出装置は、スロットルシャフト3と一体回転可能に連結された円筒状のマグネットロータ27、およびこのマグネットロータ27の回転角度を測定してスロットルバルブ1の回転角度に相当するスロットルバルブ開度(以下スロットル開度)を検出するスロットル開度センサ(図示せず)を備えている。
スロットル開度センサは、センサカバーのセンサ搭載部に設置された一対のステータコアの対向部間に挟み込まれて保持されている。このスロットル開度センサは、センサ搭載部からマグネットロータ27側へ突出するように設置されている。
また、スロットル開度センサは、半導体ホール素子の感磁面を鎖交する磁束密度に対応した電圧信号(アナログ信号)をECUへ向けて出力するホールICを主体として構成されている。なお、ホールICの代わりに、ホール素子単体、磁気抵抗素子等の非接触式の磁気検出素子を使用しても良い。
リターンスプリング6は、ハウジング7の円筒部の周囲、および出力ギヤ24の円筒部の周囲を渦巻き状(螺旋状)に取り囲むように設置されている。このリターンスプリング6は、ハウジング7のスプリング座部と出力ギヤ24のスプリング座部との間に渦巻き状に巻装されたコイル部を有している。
リターンスプリング6は、スロットルシャフト3と一体回転可能に連結された出力ギヤ24に対して、スロットルバルブ1を閉弁方向に付勢する弾性力(トルク、スプリング力)を発生するコイルスプリング(付勢手段)である。このリターンスプリング6は、スロットルバルブ1を、所定の開弁位置から全閉位置へ戻す方向(閉弁方向)に付勢する。
リターンスプリング6は、例えば全閉時に、減速機構をする各ギヤの歯面間の隙間(バックラッシ)を消す(無くす)ために、スロットルバルブ1を全閉側に付勢している。
次に、本実施例の電動モータMの詳細を図1ないし図4に基づいて説明する。
電動モータMは、ハウジング7に一体的に形成された有底筒状のモータハウジングJ1のモータ収納凹部J2内に収容保持されている。
電動モータMは、アウタステータの内周側にインナロータが相対回転可能に配置されるブラシ付きのDCモータであり、回転軸方向に真っ直ぐに延びるモータシャフト11を有する電機子と、この電機子の周囲を円周方向(電動モータ周方向)に取り囲む筒状のステータと、このステータに対して固定されたブラシホルダ12と、電機子の整流子に押圧接触して電機子コイル(後述する)に対する給電を行う一対の第1、第2ブラシとを備えている。
一対の第1、第2ブラシは、電機子の円周方向に180°間隔で、しかも互いに対向して配置されている。また、一方の第1ブラシは、第1ターミナル33を含む電力供給ラインを介して、外部電源(バッテリ)の正極側(Vcc側)に接続されている。また、第2ブラシは、第2ターミナル34を含む電力供給ラインを介して、バッテリの負極側(グランド側、GND側)に接続されている。
ブラシホルダ12は、絶縁性を有する合成樹脂によって形成されており、モータヨーク13の円筒開口部の内周に固定されている。このブラシホルダ12は、一対の第1、第2ブラシをそれぞれ収容するブラシ収容部を有している。このブラシ収容部内には、各第1、第2ブラシを整流子に押圧接触させるスプリングが設置されている。また、ブラシホルダ12の一端面には、フロントブラケット15の貫通孔35を貫通してモータシャフト11の先端側(モータヨーク13の外部側)へ突出した突出部36が一体的に形成されている。
2つの第1、第2ターミナル33、34は、ブラシホルダ12にインサート成形されている。
ステータは、電機子のモータシャフト11を回転可能に収容するモータヨーク13、およびこのモータヨーク13の円筒開口部の内周面において等間隔で接着剤等により固着された複数の界磁マグネット14を有している。
モータヨーク13は、磁性鋼板をプレス装置等により絞り加工することにより、円筒部の一端は開口し、円筒部の他端が円環状の底壁部41により閉塞された有底円筒形状に形成されている。このモータヨーク13の円筒部の一端側の円筒開口部は、プレート状のフロントブラケット15によって塞がれている。
モータヨーク13の底壁部41には、電動モータMの後方側に向かって突出した凸(凹)形状(または有底円筒状)の軸受保持部42が設けられている。
この軸受保持部42は、モータヨーク13の円筒部よりも外径が小さい。また、軸受保持部42の内部には、モータシャフト11の基端部が挿入される円形状の挿入孔43が形成されている。また、軸受保持部42には、電動モータMの後方側に向かって開放されている。なお、軸受保持部42の開口部44が閉塞されていても良い。
フロントブラケット15は、モータヨーク13の円筒開口部にかしめ等の手段を用いて組み付けられている。このフロントブラケット15には、電動モータMの前方側、つまりモータシャフト11の先端側に向かって突出した凸(凹)形状の軸受保持部45が設けられている。
この軸受保持部45は、モータヨーク13の円筒部よりも外径が小さい。また、軸受保持部45の内部には、モータシャフト11がその軸線方向に貫通する挿通孔46が形成されている。また、軸受保持部45の前面および外周面は、フロントブラケット15の前面に固定される有天円筒状のカバー47により覆われている。このカバー47の天壁部には、モータシャフト11がその軸線方向に貫通する貫通孔48が形成されている。
フロントブラケット15の外周部には、モータハウジングJ1のモータ挿入口J3の開口周縁部にボルト等を用いて締結固定されるフランジ49が形成されている。これにより、電動モータMがモータハウジングJ1内に収容保持される。
電機子は、ステータの半径方向内側に所定のギャップを介して設置されている。この電機子は、モータヨーク13の軸受支持部42およびフロントブラケット15の軸受支持部45に支持固定された2つのメタルブッシュ16、17を介して回転自在に支持されたモータシャフト11と、このモータシャフト11と一体回転可能に連結した電機子コア(電機子鉄心)51と、この電機子コア51に巻装される電機子巻線(電機子コイル)と、一対のブラシに押圧接触される整流子(コンミテータ)52とを有している。
電機子コア51は、モータシャフト11の軸線方向(回転軸方向)に磁性鋼板を複数積層して形成された積層型鉄心により設けられ、モータシャフト11の外周に圧入嵌合される円筒状(または角筒状)の嵌合部、およびこの嵌合部の外周面から突出する複数の突極(ティース)を有している。
嵌合部の中心部を回転軸方向に貫通する嵌合孔には、電機子の回転軸(電機子軸)であるモータシャフト11が圧入固定されている。
複数のティースは、嵌合部の外周面にその円周方向に等間隔で設置されている。また、電機子コア51の円周方向に隣合う各ティース間には、電機子コイルを収納する複数のスロットが形成されている。
電機子コイルは、複数のティースの周囲に集中巻で巻装されて、各スロットに収納される多相の各相コイルにより構成されている。各相コイルは、各ティースの外側にインシュレータを介して巻回されている。そして、多相の相コイルは、Δ結線(またはY結線)されている。
整流子52は、電機子コア51よりもモータヨーク13の開口側において、絶縁体である円筒状のホルダ(図示せず)を介してモータシャフト11の外周に固定されている。
この整流子52は、ホルダの外周に配置されて、回転軸方向に延びるスリットによって複数の整流子片(セグメント)に分割されている。
なお、図1では、各相コイルと整流子52の各セグメントとを接続する電気配線とコイル端末は省略されている。
複数のセグメントは、複数の整流子ライザを一体的に形成している。
そして、複数のセグメントのうちのいずれか2つのセグメントが、第1、第2ブラシにそれぞれ接触しており、電機子のモータシャフト11の回転による整流子52の回転に伴って、各第1、第2ブラシと接触する2つのセグメントが切り替わっていく。
以上により、整流子52の各セグメントに電気的に接続する各第1、第2ブラシに、正極側、負極側外部接続端子である一対の第1、第2ターミナル33、34を経由してバッテリから電流が供給されると、電機子コイルに電流が流れ、電機子が回転する。
ここで、本実施例の電動モータMは、電機子のモータシャフト11と、このモータヨーク13の軸受保持部42に圧入固定される第1軸受(Rr側の焼結含油軸受)16と、フロントブラケット15の軸受保持部45に圧入固定される第2軸受(Fr側の焼結含油軸受)17と、電機子コア51とメタルブッシュ16との間の、モータシャフト11の周囲を円周方向に取り囲むように設置された円環状の防振シール部材18とを備えている。
モータシャフト11は、図1において図示右側の基端側から図示左側の先端側まで真っ直ぐに延伸された電機子の回転軸である。このモータシャフト11は、電機子コア51の嵌合孔をその軸線方向に貫通して電機子コア51の回転軸方向の両側に突出して設けられる第1、第2突出部61、62をそれぞれ備えている。
第1突出部61は、メタルブッシュ16を介して、モータヨーク13の軸受保持部42の挿入孔壁面(内周面)に回転自在に支持されている。
第2突出部62は、メタルブッシュ17を介して、フロントブラケット15の軸受保持部45の貫通孔壁面(内周面)に回転自在に支持されている。
モータヨーク13の軸受保持部42の内周面(挿通孔46の孔壁面)には、メタルブッシュ16の円筒部および防振シール部材18の円筒部が圧入される圧入孔が形成されている。この軸受保持部42の外径は、メタルブッシュ16の円筒部および防振シール部材18の円筒部の外径よりも小さくなっている。
フロントブラケット15の軸受保持部45の内周面(貫通孔48の孔壁面)には、メタルブッシュ17の円筒部が圧入される圧入孔が形成されている。この軸受保持部45の外径は、メタルブッシュ17の円筒部の外径よりも小さくなっている。
メタルブッシュ16は、例えば銅や鉄等の金属を焼結した焼結金属により製作されて、内部気孔に潤滑油(潤滑グリース、潤滑オイル)が含浸された焼結含油軸受(メタルブッシュ、含油ブッシュ)である。
メタルブッシュ16は、焼結金属の多孔質体であって、モータシャフト11の第1突出部61の周囲を円周方向に取り囲むように円筒形状に形成されている。
メタルブッシュ16は、電機子コア51よりも基端側である軸受保持部42の内周(軸受孔である挿通孔46の孔壁面)に圧入固定される円筒部を有している。
また、メタルブッシュ16の円筒部の内部には、モータシャフト11の第1突出部61の摺動面(外周面)を回転方向に摺動自在に軸支する摺動孔66が形成されている。そして、第1突出部61の外周面(摺動面)とメタルブッシュ16の摺動孔壁面(内周面)との間には、モータシャフト11の第1突出部61をメタルブッシュ16の円筒部の内部で円滑に回転させるための摺動クリアランスが形成されている。
メタルブッシュ17は、例えば銅や鉄等の金属を焼結した焼結金属により製作されて、内部気孔に潤滑油(潤滑グリース、潤滑オイル)が含浸された焼結含油軸受(メタルブッシュ、含油ブッシュ)である。
メタルブッシュ17は、焼結金属の多孔質体であって、モータシャフト11の第2突出部62の周囲を円周方向に取り囲むように円筒形状に形成されている。
メタルブッシュ17は、電機子コア51よりも先端側である軸受保持部45の内周(軸受孔である貫通孔48の孔壁面)に圧入固定される円筒部を有している。
また、メタルブッシュ17の円筒部の内部には、モータシャフト11の第2突出部62の摺動面(外周面)を回転方向に摺動自在に軸支する摺動孔67が形成されている。そして、第2突出部62の外周面(摺動面)とメタルブッシュ17の摺動孔壁面(内周面)との間には、モータシャフト11の第2突出部62をメタルブッシュ17の円筒部の内部で円滑に回転させるための摺動クリアランスが形成されている。
防振シール部材18は、例えばL字状の金属補強環(金具)71、72によって補強された防振部材であって、モータシャフト11のラジアル方向およびスラスト方向に弾性変形が可能な防振シールゴム(ゴムパッキン)19を備えている。
金属補強環71は、電機子コア51よりも基端側であるモータヨーク13の軸受保持部42の内周面(挿通孔46の孔壁面)に圧入固定される円筒部を有している。この円筒部の外周部は、軸受保持部42の圧入孔に液密的に圧入固定される圧入固定部として使用される。
防振シールゴム19は、良好な摺動性を有するフッ素ゴム、ニトリルゴムまたはアクリルゴム等の合成ゴムによって構成されている。フッ素ゴムは、耐熱性、耐油性、耐薬品性に優れている。また、フッ素ゴムは、低温環境下でもシール性が損なわれない低温特性を有している。また、ニトリルゴムは、安価で、耐油性に優れている。また、アクリルゴムは、耐熱性に優れ、ニトリルゴムよりも高温環境下で優れた耐油性を備える。
防振シールゴム19は、例えばL字形状に形成されて、モータシャフト11の振動を減衰または吸収する防振機能と、モータヨーク13の軸受保持部42の内周とモータシャフト11の第1突出部61の外周との間に形成される環状隙間を液密的(および気密的)に密閉シールするオイルシール機能(ガスケット(ダストシール)機能)とを兼ね備えている。この防振シールゴム19は、モータシャフト11の周囲を円周方向に取り囲むように、モータヨーク13の軸受保持部42の内部に設置されている。
また、防振シールゴム19は、モータシャフト11の第1突出部61の周囲を円周方向に取り囲む円環部(外環部、内環部)と、およびこの円環部の内周(内環部)からモータシャフト11側に突出した円環状(または円筒状)のシールリップ73を備えている。このシールリップ73は、モータシャフト11の第1突出部61の外周面(摺動面)に液密的に密着する摺動孔74を有している。また、シールリップ73は、第1突出部61に対して1N以上の緊迫力を有している。
シールリップ73は、第1突出部61には接触するものの、シャフト摺動は可能となっている。
[実施例1の作用]
次に、本実施例の電子スロットルの作動を図1ないし図4に基づいて簡単に説明する。
先ず、電動モータMの電機子コイルへの電力供給が成されない場合、あるいはエンジンのアイドル運転時には、リターンスプリング6の弾性力(反力)によってスロットルバルブ1が全閉位置に設定される(図2に実線で示す)。
次に、ドライバーによってアクセルペダルが踏み込まれると、アクセル開度センサより出力されるアクセル開度信号に対応した所定の目標スロットル開度に開弁するようにスロットルバルブ1が開弁駆動される。
そして、第1、第2ブラシを介して、電機子コイルに電力を供給し、電機子のモータシャフト11を開弁方向に回転させる。これにより、電機子の回転動力(トルク)が、ピニオンギヤ22、中間ギヤ23および出力ギヤ24に伝達される。そして、出力ギヤ24からトルクが伝達されたスロットルシャフト3が、出力ギヤ24の回転に伴って所定の回転角度(スロットル開度)だけ開弁方向に回転する。
すなわち、電動アクチュエータの出力軸であるスロットルシャフト3が、リターンスプリング6の付勢力に抗してアクセルペダルの踏み込み量(アクセル操作量)に対応した回転角度分だけ回転する。
したがって、スロットルシャフト3が回転するので、このスロットルシャフト3に保持されたスロットルバルブ1が、全閉位置より全開位置側へ開く方向(開弁方向)に駆動される。
そして、エンジンの特定気筒が排気行程から、吸気バルブが開弁し、ピストンが下降する吸気行程に移行すると、ピストンの下降に従って当該気筒の燃焼室内の負圧(大気圧よりも低い圧力)が大きくなり、開弁している吸気ポートから混合気が吸い込まれる。このとき、吸気管の途中、つまりスロットルボディ2のスロットルボア5が所定のバルブ角度(電子スロットルのスロットル開度)だけ開かれるので、エンジン回転速度がアクセルペダルの踏み込み量(アクセル操作量)に対応した速度に変更される。
[実施例1の効果]
以上のように、本実施例の吸気絞り弁用の電動アクチュエータにおいては、2つのメタルブッシュ16、17および防振シール部材18のシールリップ73の内周に電機子のモータシャフト11が挿入されている。そして、電機子コア51に巻装される電機子コイルを通電制御することで、2つのメタルブッシュ16、17および防振シール部材18とモータシャフト11とが相対回転すると、2つのメタルブッシュ16、17の各内部気孔に含浸していた潤滑油が各摺動孔66、67の表面から滲み出し、モータシャフト11の第1、第2突出部61、62の各外周面と2つのメタルブッシュ16、17の各内周面との間の摺動クリアランスに円環状の油膜が形成される。この油膜によってモータシャフト11が、2つのメタルブッシュ16、17を介して、モータヨーク13の軸受保持部42およびフロントブラケット15の軸受保持部45に回転方向に摺動可能に支持される。
また、メタルブッシュ16よりも電機子コア51側の、モータヨーク13の軸受保持部42に圧入固定される防振シール部材18を設置している。また、防振シール部材18は、モータシャフト11の第1突出部61の摺動面に摺接するシールリップ73を有し、モータシャフト11の半径方向(ラジアル方向)および軸線方向(スラスト方向)に弾性変形が可能なフッ素ゴム製の防振シールゴム19を備えている。
これによって、メタルブッシュ16内でモータシャフト11がラジアル方向やスラスト方向に暴れるのを吸収または減衰することができる。これによって、モータシャフト11のスティックスリップ現象を抑制することができるので、スティックスリップ現象を要因とする作動音(スティックスリップ音、異音)の発生を確実に防止することができる。
また、減速機構の中間ギヤ23の反力をメタルブッシュ17が受けるため、モータシャフト11のスティックスリップ現象を抑制することができる。
また、防振シール部材18のモータシャフト11の第1突出部61に対する緊迫力、特に防振シールゴム19のシールリップ73における、モータシャフト11の第1突出部61に対する緊迫力を、1N以上とすることで、モータシャフト11のスティックスリップ現象を抑制し、シャフト摺動による音圧アップを軽減することができる。
また、電機子のモータシャフト11のスティックスリップ現象によって、メタルブッシュ16の摺動孔66と第1突出部61の外周面との摺動クリアランスに滲み出した潤滑油が飛散し、電機子の整流子52へ付着し、電動モータの作動、つまり電機子の回転に伴って整流子52との押圧接触により第1、第2ブラシの摩耗粉が発生する。この第1、第2ブラシの摩耗粉は、導電性の異物(導電物質)のまま、潤滑油により隣接するセグメント間のスリット内に入り込んで堆積し、隣接するセグメント間がショートする可能性があり、また、セグメント間のショートにより電機子コイル等に過電流が流れる等の問題がある。
そこで、本実施例の吸気絞り弁用の電動アクチュエータにおいては、上述したように、モータシャフト11のスティックスリップ現象の発生を抑制している。さらに、メタルブッシュ16よりも電機子コア51側の、モータヨーク13の軸受保持部42に圧入固定される防振シール部材18を設置している。これによって、モータヨーク13の軸受保持部42の内周とモータシャフト11の第1突出部61の外周との間に形成される環状隙間を液密的に密閉シールすることができる。これにより、防振シール部材18よりも整流子52側への潤滑油の飛散を防止できるので、整流子52における、隣接するセグメント間のショート故障を防止することができる。また、セグメント間のショートにより電機子コイル等に過電流が流れる等の不具合の発生を防止することができる。
ここで、両軸オイルなし(2つのメタルブッシュ16、17とモータシャフト11との間に油膜なし)、Frオイルあり、Rrオイルなし(メタルブッシュ16側にオイルなし、メタルブッシュ17側にオイルあり)、Frオイルなし、Rrオイルあり(メタルブッシュ16側にオイルあり、メタルブッシュ17側にオイルなし)に対して、モータシャフト11の先端側に対する反力、つまりモータシャフト11の先端側(ピニオンギヤ側)に作用する荷重(N)を種々変化させて、シャフト摺動による音圧レベルがどのように変化するかについて調査した実験について説明する。この実験は、荷重(N)を変化させ、音圧レベルについて調査したもので、その実験結果を図4のグラフに示した。
この図4のグラフからも確認できるように、Frオイルなし、Rrオイルありの場合、荷重が1Nよりも小さいと、急激に音圧レベルが悪化する傾向にあることが分かる。そして、荷重が1N以上になると、音圧レベルが良好となる傾向にあることが分かる。 したがって、モータシャフト11の先端側に対する反力、つまりモータシャフト11の先端側(ピニオンギヤ側)に作用する荷重(N)を、1N以上とすることで、モータシャフト11のスティックスリップ現象を抑制し、シャフト摺動による音圧アップを軽減することができる。
[実施例2の構成]
図5は、本発明を適用した電動モータを備えた電動アクチュエータ(実施例2)を示したものである。
ここで、実施例1と同じ符号は、同一の構成または機能を示すものであって、説明を省略する。
本実施例の防振シール部材18は、図5(a)に示したように、モータシャフト11のラジアル方向およびスラスト方向に弾性変形が可能な合成ゴム(フッ素系ゴム等)製の防振シールゴム19を備えている。この防振シールゴム19は、例えばL字状の金属補強環(金具)71によって補強されている。金属補強環71は、電機子コア51よりも基端側であるモータヨーク13の軸受保持部42の内周面(挿通孔46の孔壁面)に圧入固定される円筒部を有している。
また、防振シールゴム19は、モータシャフト11の第1突出部61の周囲を円周方向に取り囲む円環部、およびこの円環部の内周(内環部)からモータシャフト11側に突出したシールリップ73、75を備えている。これらシールリップ73、75は、モータシャフト11の第1突出部61の外周面(摺動面)に液密的に密着する摺動孔74、76を有している。
本実施例の防振シール部材18は、図5(b)に示したように、モータシャフト11のラジアル方向およびスラスト方向に弾性変形が可能な合成ゴム(フッ素系ゴム等)製の防振シールゴム19を備えている。この防振シールゴム19は、例えばL字状の金属補強環(金具)71によって補強されている。
防振シールゴム19は、電機子コア51よりも基端側であるモータヨーク13の軸受保持部42の内周面(挿通孔46の孔壁面)に圧入固定される円筒部(外環部)を有している。この円筒部の外周部は、軸受保持部42の圧入孔に液密的に圧入固定される圧入固定部として使用される。
また、防振シールゴム19は、モータシャフト11の第1突出部61の周囲を円周方向に取り囲む円環部、およびこの円環部の内周(内環部)からモータシャフト11側に突出したシールリップ73を備えている。このシールリップ73は、モータシャフト11の第1突出部61の外周面(摺動面)に液密的に密着する摺動孔74を有している。
以上のように、本実施例の電動アクチュエータ(バルブ駆動装置)に組み込まれる電動モータMにおいては、実施例1と同様な効果を奏する。
[変形例]
本実施例では、本発明の電動モータを備えた駆動装置を、流路を開閉するスロットルバルブ(バタフライバルブ)等の移動体(回転移動体)を駆動する動力を発生する電動モータを備えた電動アクチュエータに適用しているが、流路を開閉するポペットバルブ等の移動体(直線移動体)を駆動する動力を発生する電動モータを備えた電動アクチュエータに適用しても良い。
移動体としては、ロータリバルブ、バタフライバルブ、シャッター状バルブ、ボールバルブ等が考えられる。
また、移動体としては、圧縮機、送風機、ポンプ、カム、ロータ、車輪等の回転移動体(回転体)や、ピストン、ロッド、シャフト等の直線移動体が考えられる。
本実施例では、本発明の電動モータを備えた駆動装置を、吸気絞り弁の弁体であるスロットルバルブを駆動する動力を発生する電動モータを備えた電動アクチュエータに適用しているが、EGR制御弁の弁体であるバルブを駆動する動力を発生する電動モータを備えた電動アクチュエータに適用しても良い。
また、本発明の駆動装置を、EGRクーラの出口側に連通する低温排気ガス流路とEGRガスをEGRクーラより迂回させるバイパス流路(高温排気ガス流路)とを切り替える排気ガス流路切替弁の弁体であるバルブを駆動する動力を発生する電動モータを備えた電動アクチュエータに適用しても良い。
また、本発明の電動モータを備えた駆動装置を、エンジンの排気管(ターボチャージャのタービンハウジング)に設置される排気ガス流量(圧力)制御弁の弁体であるバルブを駆動する動力を発生する電動モータを備えた電動アクチュエータに適用しても良い。
また、吸気制御弁としては、タンブル制御弁、スワール制御弁、吸気流量制御弁、吸気圧力制御弁、流路切替弁、吸気絞り弁等が考えられる。
また、排気制御弁としては、ウェイストゲート弁、スクロール切替弁、排気流量制御弁、排気圧力制御弁、排気切替弁、排気絞り弁等が考えられる。
また、内燃機関(エンジン)として、多気筒ディーゼルエンジンの代わりに、多気筒ガソリンエンジンを用いても良い。また、単気筒エンジンに適用しても良い。
本実施例では、電機子のアーマチャ軸であるモータシャフト11の基端側と先端側とを軸支する2つの第1、第2軸受として、内部に潤滑油が含浸された筒状の焼結含油軸受であるメタルブッシュ16、17を使用しているが、2つの第1、第2軸受として、内部に潤滑油を有するボールベアリングを使用しても良い。
また、2つの第1、第2軸受のうち第1軸受または第2軸受のみ含油軸受を使用し、第2軸受または第1軸受として他の軸受を使用しても良い。
また、軸受の内部に潤滑油が含浸されていなくても、軸受とシャフトとの間の摺動部(摺動クリアランス)に潤滑油供給機構から潤滑油が供給されるタイプのベアリングを使用しても良い。
M 電動モータ(電動アクチュエータの動力源、駆動源)
1 スロットルバルブ(バタフライバルブ、回転移動体)
3 スロットルシャフト(バルブシャフト)
11 モータシャフト
13 モータヨーク(モータケース)
15 フロントブラケット
16 メタルブッシュ(第1軸受、焼結含油軸受)
17 メタルブッシュ(第2軸受、焼結含油軸受)
18 防振シール部材(防振部材)
19 防振シールゴム(環状ゴム系弾性体)

Claims (15)

  1. (a)少なくとも一端が開口した筒状のモータケース(13)と、
    (b)このモータケース(13)の開口部を閉塞するブラケット(15)と、
    (c)前記モータケース(13)または前記ブラケット(15)に固定される軸受(16、17)と、
    (d)この軸受(16、17)を介して、前記モータケース(13)および前記ブラケット(15)に回転可能に支持されて、基端側から先端側へ向けて軸線方向に延びるシャフト(11)を有する電機子(11、51、52)と、
    (e)前記軸受(16、17)よりも前記モータケース(13)の開口側において前記シャフト(11)の周囲を周方向に取り囲むように設置されて、前記シャフト(11)の半径方向および軸線方向に弾性変形可能な弾性体製の防振部材(18、19)と
    を備えた電動モータ。
  2. 請求項1に記載の電動モータにおいて、
    前記防振部材(18、19)は、前記モータケース(13)または前記ブラケット(15)に固定(支持)されていることを特徴とする電動モータ。
  3. 請求項1または請求項2に記載の電動モータにおいて、
    前記防振部材(18、19)は、前記シャフト(11)の振動を減衰または吸収する防振機能、および前記モータケース(13)または前記ブラケット(15)と前記シャフト(11)との間の隙間を密閉(封止)するシール機能を有していることを特徴とする電動モータ。
  4. 請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載の電動モータにおいて、
    前記防振部材(18、19)は、前記シャフト(11)の外周に摺接(密接)する環状のシールリップ(73、75)を有していることを特徴とする電動モータ。
  5. 請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載の電動モータにおいて、
    前記防振部材(18、19)は、前記シャフト(11)に対して1N以上の緊迫力を有していることを特徴とする電動モータ。
  6. 請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載の電動モータにおいて、
    前記軸受(16、17)は、焼結金属で形成されて、内部に潤滑油が含浸された筒状の焼結含油軸受のことであることを特徴とする電動モータ。
  7. 請求項1ないし請求項6のうちのいずれか1つに記載の電動モータにおいて、
    前記軸受(16、17)の内部には、前記シャフト(11)の外周を回転方向に摺動自在に軸支する摺動孔(66、67)が形成されていることを特徴とする電動モータ。
  8. 請求項1ないし請求項7のうちのいずれか1つに記載の電動モータにおいて、
    前記モータケース(13)とは、前記電機子(11、51、52)を回転可能に収容すると共に、一端が開口し、他端が閉塞された有底筒状のヨーク(13)のことであることを特徴とする電動モータ。
  9. 請求項1ないし請求項8のうちのいずれか1つに記載の電動モータにおいて、
    前記軸受(16、17)は、前記シャフト(11)の周囲を周方向に取り囲むように設置される2つの第1、第2軸受(16、17)を有し、
    前記第1軸受(16)は、前記モータケース(13)に固定されて支持されており、
    前記第2軸受(17)は、前記ブラケット(15)に固定されて支持されていることを特徴とする電動モータ。
  10. 請求項9に記載の電動モータにおいて、
    前記電機子(11、51、52)は、前記シャフト(11)と一体回転可能に連結されるコア(51)、このコア(51)に巻装されるコイル、および前記コア(51)よりも前記モータケース(13)の開口側において、前記シャフト(11)の外周に固定されて、前記コイルが接続される整流子(52)を有し、
    前記電動モータ(M)は、前記整流子(52)に押圧接触して前記コイルに対する給電を行う複数のブラシを備えたことを特徴とする電動モータ。
  11. 請求項10に記載の電動モータにおいて、
    前記シャフト(11)は、前記コア(51)を貫通して前記コア(51)の両側に突出して設けられていることを特徴とする電動モータ。
  12. 請求項10または請求項11に記載の電動モータにおいて、
    前記第1軸受(16)は、前記コア(51)および前記整流子(52)よりも前記モータケース(13)の開口側に対して反対側に設置されており、
    前記第2軸受(17)は、前記コア(51)および前記整流子(52)よりも前記モータケース(13)の開口側に設置されていることを特徴とする電動モータ。
  13. 請求項12に記載の電動モータにおいて、
    前記防振部材(18、19)は、前記第1軸受(16)と前記コア(51)との間に設置されていることを特徴とする電動モータ。
  14. 請求項12または請求項13に記載の電動モータにおいて、
    前記電動モータとは、前記シャフト(11)の回転を減速する減速機構(21〜24)を介して、移動体(1)を駆動する動力を発生する動力源のことであることを特徴とする電動モータ。
  15. 請求項14に記載の電動モータにおいて、
    前記減速機構(21〜24)は、前記シャフト(11)の先端外周に固定されたピニオンギヤ(22)、このピニオンギヤ(22)と噛み合って回転する中間ギヤ(23)、およびこの中間ギヤ(23)と噛み合って回転する出力ギヤ(24)を有していることを特徴とする電動モータ。
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