JP2014021208A - ミラーデバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】温度特性が良好なミラーデバイスを提供する。
【解決手段】ミラーデバイス103は、ミラー131と、片持ち状に延び、先端部がミラー131に連結されたアクチュエータ本体141と、アクチュエータ本体141に積層された圧電素子142とを有し、ミラー131を主軸X周りに回動させるアクチュエータ104と、片持ち状に延び、主軸Xを挟んでアクチュエータ104と反対側において先端部がミラー131に連結された梁部材105とを備えている。梁部材105は、温度変化によって反りが生じるように構成されており、温度変化に応じた反りの変化の方向がアクチュエータ104と同じである。
【選択図】図1
【解決手段】ミラーデバイス103は、ミラー131と、片持ち状に延び、先端部がミラー131に連結されたアクチュエータ本体141と、アクチュエータ本体141に積層された圧電素子142とを有し、ミラー131を主軸X周りに回動させるアクチュエータ104と、片持ち状に延び、主軸Xを挟んでアクチュエータ104と反対側において先端部がミラー131に連結された梁部材105とを備えている。梁部材105は、温度変化によって反りが生じるように構成されており、温度変化に応じた反りの変化の方向がアクチュエータ104と同じである。
【選択図】図1
Description
本発明は、ミラーデバイスに関するものである。
従来より、様々なミラーデバイスが知られている。特許文献1に開示されたミラーデバイスは、片持ち梁の表面に圧電素子を積層させると共に、片持ち梁の先端部の表面をミラーとして使用している。このミラーデバイスは、圧電素子に電圧を印加することによって片持ち梁を湾曲させ、ミラーを傾動させる。
しかしながら、上述のようなミラーデバイスは温度特性が悪いという問題がある。すなわち、圧電素子と片持ち梁とでは熱膨張係数が異なるため、ミラーデバイスの温度が変化すると、片持ち梁に反りが生じてしまう。その結果、ミラーが不必要に傾動してしまう。
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、温度特性が良好なミラーデバイスを提供することにある。
ここに開示されたミラーデバイスは、ミラーと、片持ち状に延び、先端部が前記ミラーに連結されたアクチュエータ本体、及び、該アクチュエータ本体に積層された圧電素子を有し、該ミラーを所定の回転軸周りに回動させるアクチュエータと、片持ち状に延び、前記回動軸を挟んで前記アクチュエータと反対側において先端部が前記ミラーに連結された梁部材とを備え、前記梁部材は、温度変化によって反りが生じるように構成されており、温度変化に応じた反りの変化の方向が前記アクチュエータと同じであるものとする。
前記の構成によれば、ミラーは、回動軸を挟んで一方側に片持ち状のアクチュエータが連結され、他方側に片持ち状の梁部材が連結されている。そして、この梁部材は、温度変化に応じた反りの変化の方向がアクチュエータと同じとなるように構成されているので、温度変化によりアクチュエータに反りが生じたり、元々生じていたアクチュエータの反りが変化したとしても、梁部材もアクチュエータと同じ方向に反ったり、反りの状態が同じ方向に変化する。アクチュエータの反り状態が変化すると、アクチュエータの先端部が移動し、それに連動してミラーも移動する。ところが、梁部材も反りの状態が変化し且つその変化の方向はアクチュエータと同じなので、梁部材の先端部はアクチュエータの先端部と略同じ方向に移動する。その結果、温度変化に応じたアクチュエータの反りの変化に起因するミラーの傾動を抑制することができる。
また、ここに開示された別のミラーデバイスは、ミラーと、片持ち状に延び、先端部が前記ミラーに連結された第1アクチュエータ本体、及び、該第1アクチュエータ本体に積層された第1圧電素子を有し、該ミラーを所定の回転軸周りに回動させる第1アクチュエータと、片持ち状に延び、前記回動軸を挟んで前記第1アクチュエータと反対側において先端部が前記ミラーに連結された第2アクチュエータ本体、及び、該第2アクチュエータ本体に積層された第2圧電素子を有し、該ミラーを所定の回転軸周りに回動させる第2アクチュエータとを備え、前記第1アクチュエータと前記第2アクチュエータとは、温度変化に応じた反りの変化の方向が同じであるものとする。
前記の構成によれば、ミラーは、回動軸を挟んで一方側に片持ち状の第1アクチュエータが連結され、他方側に片持ち状の第2アクチュエータが連結されている。そして、この第2アクチュエータは、温度変化に応じた反りの変化の方向が第1アクチュエータと同じとなるように構成されているので、温度変化により第1アクチュエータに反りが生じたり、元々生じていた第1アクチュエータの反りが変化したとしても、第2アクチュエータも第1アクチュエータと同じ方向に反ったり、反りの状態が同じ方向に変化する。第1アクチュエータの反り状態が変化すると、第1アクチュエータの先端部が移動し、それに連動してミラーも移動する。ところが、第2アクチュエータも反りの状態が変化し且つその変化の方向は第1アクチュエータと同じなので、第2アクチュエータの先端部は第1アクチュエータの先端部と略同じ方向に移動する。その結果、温度変化に応じた第1アクチュエータの反りの変化に起因するミラーの傾動を抑制することができる。
前記構成によれば、温度特性が良好なミラーデバイスを提供することができる。
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《実施形態1》
図1は、ミラーアレイ100の平面図を、図2は、ミラーアレイ100の、図1のII−II線における断面図を示す。
図1は、ミラーアレイ100の平面図を、図2は、ミラーアレイ100の、図1のII−II線における断面図を示す。
ミラーアレイ100は、複数のミラーデバイス103,103,…を備えている。複数のミラーデバイス103,103,…は、所定の方向に一列に配列されている。
ミラーアレイ100は、SOI(Silicon on Insulator)基板109を用いて製造されている。SOI基板109は、単結晶シリコンで形成された第1シリコン層191と、SiO2で形成された酸化膜層192と、単結晶シリコンで形成された第2シリコン層193とがこの順で積層されて構成されている。
ミラーデバイス103は、ベース部102と、ミラー131と、ミラー131を駆動する2つのアクチュエータ104,104と、ミラー131を支持する1つの梁部材105と、ミラー131をアクチュエータ104又は梁部材105と連結するヒンジ106,106,…とを有している。
ベース部102は、全体の図示は省略するが、概略長方形の枠状に形成されている。ベース部102は、第1シリコン層191、酸化膜層192及び第2シリコン層193で形成されている。
ミラー131は、平面視長方形の板状に形成されている。詳しくは、ミラー131は、第1〜第4辺131a〜131dを有している。第1辺131a及び第3辺131cは、長方形の短辺であり、第2辺131b及び第4辺131dは、長方形の長辺である。ミラー131は、ミラー本体132と、ミラー本体132の表面に積層された鏡面層133とを有している。ミラー本体132は、第1シリコン層191で形成され、鏡面層133は、Au/Ti膜で形成されている。
ここで、ミラー131の中心を通り、複数のミラーデバイス103,103,…の配列方向に延びる軸を主軸Xとする。ミラー131の中心を通り、主軸Xに直交し、ミラー131の表面と平行に延びる軸を副軸Yとする。主軸X及び副軸Yの両方に直交する軸をZ軸とする。尚、Z軸方向を上下方向ということがある。その場合、鏡面層133の側を上とし、ミラー本体132の側を下とする。
各アクチュエータ104は、ベース部102から片持ち状に延び、その先端がミラー131に連結されている。アクチュエータ104は、湾曲することによって、ミラー131を傾動させる。詳しくは、アクチュエータ104は、基端部がベース部102に連結され、ベース部102から片持ち状に張り出しているアクチュエータ本体141と、アクチュエータ本体141の表面に積層された圧電素子142とを有している。
アクチュエータ本体141は、平面視長方形の板状に形成されている。アクチュエータ本体141は、第1シリコン層191で形成されている。2つのアクチュエータ本体141,141は、互いに平行に副軸Y方向に延びている。アクチュエータ本体141の先端部は、ヒンジ106を介して、ミラー131の第3辺131cに連結されている。ヒンジ106は、全体としてつづら折り状に屈曲している。ヒンジ6は、第1シリコン層191で形成されている。
圧電素子142は、アクチュエータ本体141の表側(ミラー131の鏡面層133と同じ側)に設けられている。圧電素子142は、アクチュエータ本体141と同様に、平面視長方形の板状に形成されている。圧電素子142は、下部電極143と、上部電極145と、これらに挟持された圧電体層144とを有する。下部電極143、圧電体層144、上部電極145は、アクチュエータ本体141の表面にこの順で積層されている。圧電素子142は、SOI基板109とは別の部材で形成されている。詳しくは、下部電極143は、Pt/Ti膜で形成されている。圧電体層144は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)で形成されている。上部電極145は、Au/Ti膜で形成されている。
アクチュエータ104は、圧電素子142に電圧が印加されると、アクチュエータ本体141のうち圧電素子142が積層された表面が伸縮し、アクチュエータ本体141が上下方向に湾曲する。
梁部材105は、ベース部102から片持ち状に延び、その先端がミラー131に連結されている。梁部材105は、主軸Xを挟んでアクチュエータ104,104の反対側に設けられている。詳しくは、梁部材105は、基端部がベース部102に連結され、ベース部102から片持ち状に張り出している梁本体151と、梁本体151の表面に積層された圧電素子152とを有している。尚、梁部材105は、圧電素子152を有しているが、ミラー131の駆動を行わず、ミラー131を単に支持するだけである。
梁本体151は、平面視長方形の板状に形成されている。梁本体151は、第1シリコン層191で形成されている。梁本体151は、副軸Y方向に延びている。梁本体151の先端部は、ヒンジ106を介して、ミラー131のうち第1辺131aに連結されている。このヒンジ106は、アクチュエータ本体141とミラー131とを連結するヒンジ106と同様の構成をしている。ヒンジ106は、一端が梁本体151の先端部における主軸X方向中央に連結される一方、他端が第1辺131aの主軸X方向中央に連結されている。
圧電素子152は、梁本体151と同様に、平面視長方形の板状に形成されている。圧電素子152は、圧電素子142と同様の構成をしている。すなわち、圧電素子152は、下部電極153と、上部電極155と、これらに挟持された圧電体層154とを有する。下部電極153、圧電体層154、上部電極155は、梁本体151の表面にこの順で積層されている。圧電素子152は、SOI基板109とは別の部材で形成されている。詳しくは、下部電極153は、Pt/Ti膜で形成されている。圧電体層154は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)で形成されている。上部電極155は、Au/Ti膜で形成されている。
梁本体151の長さ及び厚さは、アクチュエータ本体141と略同じである。梁本体151の幅は、アクチュエータ本体141の幅の略2倍である。同様に、圧電素子152の長さ及び厚さは、圧電素子142と略同じである。圧電素子152の幅は、圧電素子142の幅の略2倍である。尚、図1においては、図示の簡略化のため、梁本体151の幅が、2本のアクチュエータ本体141,141にそれらの間の隙間を加えた全幅と同じに描かれているが、厳密には梁本体151の幅は、該隙間を除いた2本のアクチュエータ本体141,141の幅の合計と略等しい。同様に、図1においては、圧電素子152も図示の簡略化のために正確には図示されていないが、厳密には圧電素子152の幅は、2つの圧電素子142,142の幅の合計と略等しい。
次に、このように構成されたミラーアレイ100の動作について説明する。ミラーアレイ100の制御部(図示省略)は、上部電極145と下部電極143とに電圧を印加する。この電圧に応じて、圧電体層144が収縮又は伸張し、アクチュエータ本体141が上方又は下方に湾曲する。
さらに詳しくは、制御部は、各アクチュエータ104の下部電極143及び上部電極145にオフセット電圧を印加すると共に、梁部材105の下部電極153及び上部電極145にもオフセット電圧を印加する。これにより、アクチュエータ104は圧電素子142を内側にして湾曲し、梁部材105も圧電素子152を内側にして湾曲する。アクチュエータ104のオフセット電圧と梁部材105のオフセット電圧とは、アクチュエータ104の先端と梁部材105の先端との高さ(Z軸方向の位置)が同じになるように設定されている。つまり、アクチュエータ104及び梁部材105にオフセット電圧を印加した状態(以下、「基準状態」という)においては、ミラー131は、XY平面に平行な状態となっている。尚、梁部材105の圧電素子152は、梁部材105をオフセットさせて基準状態とするために電圧が印加されるが、ミラー131の駆動のためには用いられない。
この状態から、各アクチュエータ104の下部電極143及び上部電極145に印加している電圧を増減することによって、各アクチュエータ104を湾曲させてミラー131を回動させる。具体的には、2つのアクチュエータ104,104の印加電圧を両方とも増加させるか又は減少させることによって、2つのアクチュエータ104,104を両方とも同じ方向に湾曲させて、ミラー131を主軸X周りに回動させることができる。このとき、2つのアクチュエータ104,104の印加電圧を両方とも増加させるか、減少させるかによって、ミラー131の主軸X周りの回動方向を切り替えることができる。また、一方のアクチュエータ104の印加電圧を増加させ,他方のアクチュエータ104の印加電圧を減少させることによって、2つのアクチュエータ104,104を互いに逆向きに湾曲させて、ミラー131を副軸Y周りに回動させることができる。このとき、印加電圧を増加させるアクチュエータ104と印加電圧を減少させるアクチュエータ104とを入れ替えることによって、ミラー131の副軸Y周りの回動方向を切り替えることができる。
制御部は、CPUのような演算装置で構成され得る。制御部は、ミラー131を所望の回動角に回動させるための駆動電圧の電圧値を、演算装置からアクセス可能な記憶装置に記憶されているパラメータを参照して決定する。パラメータは、各駆動電圧ごとのミラー131の回動角を表しており、テーブル形式のデータであったり、近似曲線の係数の形式で記憶装置に記憶されている。
このミラーアレイ100は、例えば、波長選択スイッチ108に組み込まれて使用される。図3に、波長選択スイッチ108の概略図を示す。
波長選択スイッチ108は、1つの入力用光ファイバ181と、3つの出力用光ファイバ182〜184と、光ファイバ181〜184に設けられたコリメータ185と、回折格子で構成された分光器186と、レンズ187と、ミラーアレイ100とを備えている。尚、この例では、出力用ファイバは、3本だけであるが、これに限られるものではない。
この波長選択スイッチ108においては、入力用光ファイバ181を介して、複数の異なる波長の光信号が入力される。この光信号は、コリメータ185により平行光にされる。平行光となった光信号は、分光器186によって、所定の数の特定波長の光信号に分波される。分波された光信号は、レンズ187によって集光され、ミラーアレイ100に入射する。分波される特定波長の個数と、ミラーアレイ100のミラー131の個数は対応している。つまり、分波された特定波長の光信号は、それぞれ対応するミラー131に入射する。そして、該光信号は、各ミラー131により反射し、再びレンズ187を通って、分光器186へ入射する。分光器186は、複数の異なる波長の光信号を合波し、出力用光ファイバ182〜184へ出力する。ここで、ミラーアレイ100は、各ミラー131を主軸周りに回動させることによって光信号の反射角度を調整して、対応する光信号がどの出力用光ファイバ182〜184へ入力されるのかを切り替える。さらに詳しくは、光信号を入力する出力用光ファイバ182〜184を切り替えるために各ミラー131の主軸周りの回動角を変更するときには、ミラー131を一旦、副軸周りに回動させた状態で主軸周りの回動角を変更し、その後、副軸周りの回動を元に戻す。こうすることによって、主軸周りの回動角を変更する際に、ミラー131からの反射光が所望していない出力用光ファイバへ入力されてしまうことを防止している。
−製造方法−
このように構成されたミラーアレイ100は、SOI基板109をエッチングしたり、その表面に成膜することにより製造される。例えば、第1シリコン層191をICP−RIE等の異方性エッチングを行うことによりミラー本体132、アクチュエータ本体141及び梁本体151等を形成する。その後、ミラー本体132の表面にAu/Ti膜を成膜して、鏡面層133を形成する。また、アクチュエータ本体141の表面及び梁本体151の表面に、Pt/Ti膜(下部電極143,153)、チタン酸ジルコン酸鉛(圧電体層144,154)及びAu/Ti膜(上部電極145,155)を順に成膜して、圧電素子142,152を形成する。その後、圧電素子142,152に所定の電圧を印加して分極処理を施す。
このように構成されたミラーアレイ100は、SOI基板109をエッチングしたり、その表面に成膜することにより製造される。例えば、第1シリコン層191をICP−RIE等の異方性エッチングを行うことによりミラー本体132、アクチュエータ本体141及び梁本体151等を形成する。その後、ミラー本体132の表面にAu/Ti膜を成膜して、鏡面層133を形成する。また、アクチュエータ本体141の表面及び梁本体151の表面に、Pt/Ti膜(下部電極143,153)、チタン酸ジルコン酸鉛(圧電体層144,154)及びAu/Ti膜(上部電極145,155)を順に成膜して、圧電素子142,152を形成する。その後、圧電素子142,152に所定の電圧を印加して分極処理を施す。
−温度特性−
アクチュエータ104は、上述のように、アクチュエータ本体141とその表面に積層された圧電素子142とを有している。アクチュエータ本体141と圧電素子142との熱膨張係数は異なるので、アクチュエータ本体141と圧電素子142との熱変形量は異なる。その結果、アクチュエータ104の温度に応じて圧電素子142の方がアクチュエータ本体141よりも伸びたり、縮んだりすることによって、アクチュエータ104に反りが生じる。ここで、圧電素子142の熱膨張係数とは、下部電極143、圧電体層144及び上部電極145を含む全体的な熱膨張係数である。
アクチュエータ104は、上述のように、アクチュエータ本体141とその表面に積層された圧電素子142とを有している。アクチュエータ本体141と圧電素子142との熱膨張係数は異なるので、アクチュエータ本体141と圧電素子142との熱変形量は異なる。その結果、アクチュエータ104の温度に応じて圧電素子142の方がアクチュエータ本体141よりも伸びたり、縮んだりすることによって、アクチュエータ104に反りが生じる。ここで、圧電素子142の熱膨張係数とは、下部電極143、圧電体層144及び上部電極145を含む全体的な熱膨張係数である。
この反りには、例えば、製造時と使用時との温度差に起因するものや、使用時の温度変化に起因するもの等がある。
製造時と使用時との温度差に起因する反りとは、製造時は使用時に比べて高温なので、製造時にアクチュエータ本体141及び圧電素子142が平坦な形状であっても、製造後にアクチュエータ104が冷却されるに従って圧電素子142の方がアクチュエータ本体141よりも縮み、アクチュエータ104が圧電素子142を内側に、アクチュエータ本体141を外側にして湾曲するように反る(以下、「圧電素子142側に反る」ともいう)。
使用時の温度変化に起因する反りとは、アクチュエータ104の使用時における周囲温度の変化やアクチュエータ104の発熱等の理由によりアクチュエータ104の温度が変化することにより生じるアクチュエータ104の反りである。例えば、アクチュエータ104の温度が上昇すると、圧電素子142の方がアクチュエータ本体141よりも伸びる。温度上昇前のアクチュエータ104が圧電素子142側に反った状態であれば、その反り量が減少する。変形量が大きい場合には、アクチュエータ104は、アクチュエータ本体141を内側に、圧電素子142を外側にして湾曲するように反る(以下、「アクチュエータ本体141側に反る」ともいう)状態となる。温度上昇前のアクチュエータ104がアクチュエータ本体141側に反った状態であれば、その反り量が増加する。つまり、温度が上昇すると、アクチュエータ104の先端が下方(アクチュエータ本体141側)へ移動するように反りが変化する。
一方、アクチュエータ104の温度が低下すると、圧電素子142の方がアクチュエータ本体141よりも縮む。温度低下前のアクチュエータ104の状態が圧電素子142側に反った状態であれば、その反り量が増加する。温度低下前のアクチュエータ104の状態がアクチュエータ本体141側に反った状態であれば、その反り量が減少する。変形量が大きい場合には、アクチュエータ104は、圧電素子142側に反る状態となる。つまり、温度が低下すると、アクチュエータ104の先端が上方(圧電素子142側)へ移動するように反りが変化する。
このようにアクチュエータ104に反りが生じると、アクチュエータ104の先端に連結されているミラー131が意図しない角度に傾動してしまう。
それに対して、ベース部102から片持ち状に延びる梁部材105を設け、ミラー131のうち、主軸Xを挟んでアクチュエータ104と反対側に梁部材105の先端を連結している。そして、温度変化に対する反りの変化の方向がアクチュエータ104と同様になるように梁部材105を構成している。つまり、アクチュエータ104は、温度が上昇すると、圧電素子142側への反り量が小さくなるか又はアクチュエータ本体141側への反り量が大きくなる、即ち、アクチュエータ104の先端が下方へ移動する方向に反りが変化する。一方、アクチュエータ104は、温度が低下すると、アクチュエータ本体141側への反り量が小さくなるか又は圧電素子142側への反り量が大きくなる、即ち、アクチュエータ104の先端が上方へ移動する方向に反りが変化する。それと同様に、梁部材105は、温度が上昇すると、圧電素子152側への反り量が小さくなるか又は梁本体151側への反り量が大きくなる、即ち、梁部材105の先端が下方へ移動する方向に反り量が変化する。一方、梁部材105は、温度が低下すると、梁本体151側への反り量が小さくなるか又は圧電素子152側への反り量が大きくなる、即ち、梁部材105の先端が上方へ移動する方向に反りが変化する。
梁部材105をこのように構成することによって、図4に示すように、温度変化によりアクチュエータ104の反りが変化したとしても、梁部材105の先端がアクチュエータ104の先端と同じ方向に移動するように梁部材105を反らせることができる。例えば、ミラー131のうちアクチュエータ104が連結された部分と反対側の部分が固定的に支持され、該反対側の部分のZ方向位置が変わらない場合には、アクチュエータ104が温度変化により圧電素子142側に反ったとすると、ミラー131は、アクチュエータ104が連結された部分が上方へ移動し、反対側の部分は移動しないため、全体として傾動してしまう(図4の二点鎖線参照)。このミラー131の傾動は、アクチュエータ104を意図的に湾曲させたことによる傾動ではなく、意図しない傾動である。それに対し、ミラー131を前記梁部材105により支持する構成においては、アクチュエータ104が温度変化により圧電素子142側に反ったとすると、梁部材105も温度変化により圧電素子152側に反る。圧電素子142,152はそれぞれ、アクチュエータ本体141及び梁本体151の表側に設けられているので、アクチュエータ104の先端及び梁部材105の先端は両方とも上方へ移動する。その結果、ミラー131は、アクチュエータ104が連結された部分も梁部材105が連結された部分も上方へ移動するため、ミラー131の傾斜角度は維持される。すなわち、温度変化前のミラー131が水平な状態であれば、温度変化後のミラー131も水平な状態で維持される。尚、アクチュエータ104の先端の移動量と梁部材105の先端の移動量とが必ずしも一致しない場合もあり得るが、そのような場合であっても、ミラー131が固定的に支持されている構成と比較して、アクチュエータ104の温度変化の前後でのミラー131の傾動量を抑制することができる。
−まとめ−
したがって、本実施形態によれば、ミラーデバイス103は、ミラー131と、片持ち状に延び、先端部が前記ミラー131に連結されたアクチュエータ本体141と、該アクチュエータ本体141に積層された圧電素子142とを有し、該ミラー131を所定の主軸X周りに回動させるアクチュエータ104と、片持ち状に延び、前記主軸Xを挟んで前記アクチュエータ104と反対側において先端部が前記ミラー131に連結された梁部材105とを備え、前記梁部材105は、温度変化によって反りが生じるように構成されており、温度変化に応じた反りの変化の方向が前記アクチュエータ104と同じである。
したがって、本実施形態によれば、ミラーデバイス103は、ミラー131と、片持ち状に延び、先端部が前記ミラー131に連結されたアクチュエータ本体141と、該アクチュエータ本体141に積層された圧電素子142とを有し、該ミラー131を所定の主軸X周りに回動させるアクチュエータ104と、片持ち状に延び、前記主軸Xを挟んで前記アクチュエータ104と反対側において先端部が前記ミラー131に連結された梁部材105とを備え、前記梁部材105は、温度変化によって反りが生じるように構成されており、温度変化に応じた反りの変化の方向が前記アクチュエータ104と同じである。
この構成によれば、アクチュエータ104が温度変化によって反り状態が変化するときには、梁部材105も温度変化により反り状態が変化する。そして、このときの梁部材105の反りの変化の方向は、アクチュエータ104の反りの変化と同じである。その結果、ミラー131の主軸Xを挟んだ両側の端部を同じ方向に移動させることができるので、アクチュエータ104の温度変化に起因するミラー131の傾動を抑制することができる。
具体的には、前記梁部材105は、片持ち状に延び、先端部が前記ミラー131に連結された梁本体151と、該梁本体151に積層された圧電素子152とを有する。
つまり、梁部材105を、アクチュエータ104と同様に、梁本体151と圧電素子152との積層構造とすることによって、梁部材105を温度変化によって反りが生じる構成にすることができる。
また、アクチュエータ104は、主軸Xを挟んでミラー131の一方側に2つ設けられ、梁部材105は、主軸Xを挟んでミラー131の他方側に1つ設けられている。
つまり、ミラーデバイス103は、ミラー131を主軸X及び副軸Y周りに回動させるため、副軸Y方向に延びる2つのアクチュエータ104,104を主軸X方向に並べて配置している。一方、梁部材105は、ミラー131の駆動に寄与しないため、1つだけ設けている。これにより、ミラーデバイス103の構成を簡素化することができる。また、ミラー131を主軸X及び副軸Y周りに回動させる構成であっても、後述するミラーデバイス303と異なり、給電すべきアクチュエータが2つだけなので、給電端子の個数を削減することができる。
また、梁部材105の圧電素子152は、ミラー131を駆動するためのものではないが、アクチュエータ104の圧電素子142と同様に分極されている。
こうすることによって、分極による反りの影響をアクチュエータ104と梁部材105とで同じにすることができる。つまり、圧電素子に分極処理を施すと、圧電素子にひずみが生じる。そのため、アクチュエータ本体141に圧電素子142を積層させた後に圧電素子142を分極させると、分極に起因する反りがアクチュエータ104に生じる。そこで、梁部材105の圧電素子152も同様に分極させることによって、梁部材105にも分極に起因する反りを生じさせる。これにより、梁部材105の反りをアクチュエータ104の反りに近似させることができる。
さらに、熱膨張係数が梁本体151よりも大きい圧電素子152を梁本体151の表側に積層させることによって、梁部材105の温度変化に応じた反りの変化の方向を前記アクチュエータ104と同じにすることができる。つまり、アクチュエータ104においても、アクチュエータ本体141の表側に設けられた圧電素子142の方がアクチュエータ本体141よりも熱膨張係数が大きくなっている。このように、積層方向に対する熱膨張係数の大小関係をアクチュエータ104と梁部材105とで同じにすることによって、温度変化に応じた反りの変化の方向をアクチュエータ104と梁部材105とで同じにすることができる。ここで、「積層方向に対する熱膨張係数の大小関係」とは、例えば、積層方向の一方側から他方側に向かって見たときに、熱膨張係数が大きい順に並んでいる、熱膨張係数が小さい順に並んでいる、熱膨張係数が大、小、大の順で変化する等の各層の熱膨張係数の大小関係を意味する。
それに加えて、梁本体151をアクチュエータ本体141と同じ材料で構成し、圧電素子152を圧電素子142と同じ材料で構成することによって、温度変化に起因する梁部材105の反りを温度変化に起因するアクチュエータ104の反りに近似させることができる。
さらには、梁本体151及び圧電素子152の形状(長さ、幅、厚み)を2組のアクチュエータ本体141及び圧電素子142の形状と略同じにすることによって、温度変化に起因する梁部材105の反りを温度変化に起因するアクチュエータ104の反りにさらに近似させることができる。その結果、温度変化に起因する梁部材105の反り量とアクチュエータ104の反り量とを近似させ、ミラー131の傾動をより一層抑制することができる。
尚、温度変化に起因するアクチュエータ104の反り量と温度変化に起因する梁部材105の反り量との調整は、圧電素子142,152の形状を調整することによって行うことができる。アクチュエータ本体141及び梁本体151の形状を微調整するよりも、圧電素子142,152の形状を微調整する方が簡単なので、温度変化に起因するアクチュエータ104の反り量と温度変化に起因する梁部材105の反り量とを容易に調整することができる。
このように、本実施形態では、アクチュエータ本体141、圧電素子142、梁本体151及び圧電素子152の材料及び形状を調整することによって、温度変化に対するアクチュエータ104の反り量と梁部材105の反り量とが略同じになるようにしている。こうすることによって、温度変化の前後でミラー131の傾動角度を可及的に維持することができる。
《実施形態2》
次に、実施形態2に係るミラーアレイについて説明する。
次に、実施形態2に係るミラーアレイについて説明する。
実施形態2に係るミラーアレイ200は、各ミラーデバイス203の構成が実施形態1に係るミラーデバイス103の構成と異なる。図5に、ミラーアレイ200の平面図を示す。以下、図5を参照しながら、ミラーアレイ200の構成のうち、実施形態1と異なる部分を中心に説明する。実施形態2に特有の構成については、200番台の符号を付して説明する場合がある。その場合、十の位以下の数字及び記号については、実施形態1と同様の機能を有する構成には同じ数字及び記号を用いる。
ミラーアレイ200は、複数のミラーデバイス203,203,…を備えている。各ミラーデバイス203は、ベース部102と、ミラー131と、ミラー131を駆動する1つのアクチュエータ204と、ミラー131を支持する1つの梁部材105と、ミラー131をアクチュエータ204又は梁部材105と連結するヒンジ106,106,…とを有している。つまり、ミラーデバイス203は、1つのアクチュエータ204によりミラー131を駆動する。
アクチュエータ204の基本的な構成は、実施形態1のアクチュエータ104と同じである。ただし、アクチュエータ本体241及び圧電素子242の幅はそれぞれ、梁本体151及び圧電素子152の幅と略同じである。つまり、アクチュエータ204と梁部材105とは、構成及び材料が同じであり且つ、主軸Xを挟んで対称な形状をしている。
アクチュエータ本体241の先端部は、2つのヒンジ106,106を介して、ミラー131のうち第3辺131dに連結されている。ヒンジ106,106はそれぞれ、一端がアクチュエータ本体241の先端部における主軸X方向の各端部(即ち、角部)に連結される一方、他端が第3辺131dの各端部(即ち、角部)に連結されている。
また、梁本体151の先端部は、2つのヒンジ106,106を介して、ミラー131のうち第1辺131aに連結されている。ヒンジ106,106はそれぞれ、一端が梁本体151の先端部における主軸X方向の各端部(即ち、角部)に連結される一方、他端が第1辺131aの各端部(即ち、角部)に連結されている。
ミラーデバイス203は、実施形態1と同様に、アクチュエータ204の圧電素子242と梁部材105の圧電素子152にオフセット電圧を印加する。そして、この基準状態から、圧電素子242への印加電圧を増減することによって、アクチュエータ204を上方又は下方に湾曲させる。これにより、ミラー131を主軸X周りに回動させることができる。このとき、アクチュエータ204を上方に湾曲させるか、下方に湾曲させるかによって、ミラー131の主軸X周りの回動方向を切り替えることができる。ただし、ミラーデバイス203は、1つのアクチュエータ204だけでミラー131を駆動するため、ミラー131を傾動させることができるのは主軸X周りだけであり、副軸X周りにはミラー131を傾動させることができない。
したがって、ミラーデバイス203においては、アクチュエータ204は、主軸Xを挟んでミラー131の一方側に1つ設けられ、梁部材105は、主軸Xを挟んでミラー131の他方側に1つ設けられている。そして、ミラーデバイス203は、熱膨張係数が互いに異なるアクチュエータ本体241と圧電素子242とを積層させているので、アクチュエータ204の温度が変化すると、アクチュエータ204の反りが変化する。それに対して、主軸Xを挟んでアクチュエータ204とは反対側に、ベース部102から片持ち状に延びる梁部材105を設けることによって、実施形態1と同様に、アクチュエータ204の反りが温度により変化したときのミラー131の傾動量を抑制することができる。
《実施形態3》
次に、実施形態3に係るミラーアレイについて説明する。
次に、実施形態3に係るミラーアレイについて説明する。
実施形態3に係るミラーアレイ300は、各ミラーデバイス303の構成が実施形態1に係るミラーデバイス103の構成と異なる。図6に、ミラーアレイ300の平面図を示す。以下、図6を参照しながら、ミラーアレイ300の構成のうち、実施形態1と異なる部分を中心に説明する。実施形態3に特有の構成については、300番台の符号を付して説明する場合がある。その場合、十の位以下の数字及び記号については、実施形態1と同様の機能を有する構成には同じ数字及び記号を用いる。
ミラーアレイ300は、複数のミラーデバイス303,303,…を備えている。各ミラーデバイス303は、ベース部102と、ミラー131と、ミラー131を駆動する4つのアクチュエータ304,304,…と、ミラー131をアクチュエータ304と連結するヒンジ106,106,…とを有している。つまり、ミラーデバイス303は、4つのアクチュエータ304によりミラー131を駆動する。
4つのアクチュエータ304,304,…は、主軸Xを挟んで一方側に設けられた2つの第1アクチュエータ304A,304Aと、主軸Xを挟んで他方側に設けられた2つの第2アクチュエータ304B,304Bとで構成されている。第1アクチュエータ304A及び第2アクチュエータ304Bのそれぞれの基本的な構成は、実施形態1のアクチュエータ104と同じである。
つまり、第1アクチュエータ304Aは、基端部がベース部102に連結され、ベース部102から片持ち状に張り出しているアクチュエータ本体341aと、アクチュエータ本体341aの表面に設けられた圧電素子342aとを有している。2つのアクチュエータ本体341a,341aは、互いに平行に副軸Y方向に延びている。
第2アクチュエータ304Bも同様に、基端部がベース部102に連結され、ベース部102から片持ち状に張り出しているアクチュエータ本体341bと、アクチュエータ本体341bの表面に設けられた圧電素子342bとを有している。2つのアクチュエータ本体341b,341bは、互いに平行に副軸Y方向に延びている。アクチュエータ本体341bの長さ、幅及び厚さは、アクチュエータ本体341aの長さ、幅及び厚さと略同じである。また、圧電素子342bの長さ、幅及び厚さは、圧電素子342aの長さ、幅及び厚さと略同じである。
ただし、第1アクチュエータ304Aのアクチュエータ本体341aが、ヒンジ106を介してミラー131の第3辺131cに連結されているのに対し、第2アクチュエータ304Bのアクチュエータ本体341bは、ヒンジ106を介してミラー131の第1辺131aに連結されている。
このように、第1アクチュエータ304A,304Aと第2アクチュエータ304B,304Bとは、構成及び材料が同じであり且つ、主軸Xを挟んで対称な形状をしている。
ミラーデバイス303は、実施形態1と同様に、各第1アクチュエータ304Aの圧電素子342aと各第2アクチュエータ304Bの圧電素子342bにオフセット電圧を印加する。そして、この基準状態から、圧電素子342a,342bへの印加電圧を増減することによって、第1及び第2アクチュエータ304A,304Bを上方又は下方に湾曲させて、ミラー131を回動させる。これにより、ミラー131を主軸X周りに回動させることができる。例えば、2つの第1アクチュエータ304A,304Aを両方とも同じ方向に湾曲させると共に、2つの第2アクチュエータ304B,304Bを両方とも同じ方向であって第1アクチュエータ304A,304Aとは逆向きに湾曲させることによって、ミラー131を主軸X周りに回動させることができる。このとき、2つの第1アクチュエータ304A,304Aを湾曲させる向きと2つの第2アクチュエータ304B,304Bを湾曲させる向きを入れ替えることによって、ミラー131の主軸X周りの回動方向を切り替えることができる。また、2つの第1アクチュエータ304A,304Aを互いに逆向きに湾曲させると共に、2つの第2アクチュエータ304B,304Bを互いに逆向きであって、各第2アクチュエータ304Bが副軸Y方向に並ぶ第1アクチュエータ304Aと同じ向きとなるように湾曲させることによって、ミラー131を副軸Y周りに回動させることができる。このとき、2つの第1アクチュエータ304A,304Aの間で湾曲させる向きを入れ替えると共に、2つの第2アクチュエータ304B,304Bの間で湾曲させる向きを入れ替えることによって、ミラー131の副軸Y周りの回動方向を切り替えることができる。
したがって、ミラーデバイス303は、ミラー131と、片持ち状に延び、先端部が前記ミラー131に連結された第1アクチュエータ本体341a、及び、該第1アクチュエータ本体341aに積層された第1圧電素子342aを有し、該ミラー131を所定の主軸X周りに回動させる第1アクチュエータ304Aと、片持ち状に延び、主軸Xを挟んで前記第1アクチュエータ304Aと反対側において先端部が前記ミラー131に連結された第2アクチュエータ本体341b、及び、該第2アクチュエータ本体341bに積層された第2圧電素子342bを有し、該ミラー131を前記主軸X周りに回動させる第2アクチュエータ304Bとを備え、前記第1アクチュエータ304Aと前記第2アクチュエータ304Bとは、温度変化に応じた反りの変化の方向が同じである。
このように構成されたミラーデバイス303の第1アクチュエータ304Aは、熱膨張係数が互いに異なるアクチュエータ本体341aと圧電素子342aとを積層させているので、第1アクチュエータ304Aの温度が変化すると、第1アクチュエータ304Aの反りが変化する。それに対して、主軸Xを挟んで第1アクチュエータ304Aとは反対側の第2アクチュエータ304Bも、熱膨張係数が互いに異なるアクチュエータ本体341bと圧電素子342bとを積層させているので、第2アクチュエータ304Bの温度が変化すると、第2アクチュエータ304Bの反りが変化する。このとき、第2アクチュエータ304Bの反りの変化の方向は、第1アクチュエータ304Aの反りの変化の方向と同じなので、実施形態1と同様に、ミラー131の傾動量を抑制することができる。
つまり、第2アクチュエータ304Bは、ミラー131の駆動に寄与するだけでなく、温度変化による第1アクチュエータ304Aの反りに起因したミラー131の傾動を吸収する機能を有する。
また、ミラーデバイス303においては、前記第1アクチュエータ304Aは、主軸Xを挟んで前記ミラー131の一方側に2つ設けられ、前記第2アクチュエータ304Bは、主軸Xを挟んで前記ミラー131の他方側に2つ設けられている。
この構成により、ミラー131を主軸X及び副軸Y周りに回動させることができる。また、実施形態1に比べて、各アクチュエータの湾曲量の上限が同じであるとした場合に、ミラー131の傾斜角度を大きくすることができる。
《実施形態4》
次に、実施形態4に係るミラーアレイについて説明する。
次に、実施形態4に係るミラーアレイについて説明する。
実施形態4に係るミラーアレイ400は、各ミラーデバイス403の構成が実施形態1に係るミラーデバイス103の構成と異なる。図7に、ミラーアレイ400の平面図を示す。以下、図7を参照しながら、ミラーアレイ400の構成のうち、実施形態1と異なる部分を中心に説明する。実施形態4に特有の構成については、400番台の符号を付して説明する場合がある。その場合、十の位以下の数字及び記号については、実施形態1と同様の機能を有する構成には同じ数字及び記号を用いる。
ミラーアレイ400は、複数のミラーデバイス403,403,…を備えている。各ミラーデバイス403は、ベース部102と、ミラー131と、ミラー131を駆動する2つのアクチュエータ404,404と、ミラー131をアクチュエータ404と連結するヒンジ106,106,…とを有している。つまり、ミラーデバイス403は、2つのアクチュエータ404によりミラー131を駆動する。
2つのアクチュエータ404,404は、主軸Xを挟んで一方側に設けられた第1アクチュエータ404Aと、主軸Xを挟んで他方側に設けられた第2アクチュエータ404Bとで構成されている。第1アクチュエータ404A及び第2アクチュエータ404Bのそれぞれの基本的な構成は、実施形態2のアクチュエータ204と同じである。
つまり、第1アクチュエータ404Aは、基端部がベース部102に連結され、ベース部102から片持ち状に張り出しているアクチュエータ本体441aと、アクチュエータ本体441aの表面に設けられた圧電素子442aとを有している。
第2アクチュエータ404Bも同様に、基端部がベース部102に連結され、ベース部102から片持ち状に張り出しているアクチュエータ本体441bと、アクチュエータ本体441bの表面に設けられた圧電素子442bとを有している。アクチュエータ本体441bの長さ、幅及び厚さは、アクチュエータ本体441aの長さ、幅及び厚さと略同じである。また、圧電素子442bの長さ、幅及び厚さは、圧電素子442aの長さ、幅及び厚さと略同じである。
ただし、第1アクチュエータ404Aのアクチュエータ本体441aが、ヒンジ106,106を介してミラー131の第3辺131cに連結されているのに対し、第2アクチュエータ404Bのアクチュエータ本体441bは、ヒンジ106,106を介してミラー131の第1辺131aに連結されている。
このように、第1アクチュエータ404Aと第2アクチュエータ404Bとは、構成及び材料が同じであり且つ、主軸Xを挟んで対称な形状をしている。
ミラーデバイス403は、実施形態1と同様に、第1アクチュエータ404Aの圧電素子442aと第2アクチュエータ404Bの圧電素子442bにオフセット電圧を印加する。そして、この基準状態から、圧電素子442a,442bへの印加電圧を増減することによって、第1及び第2アクチュエータ404A,404Bを上方又は下方に湾曲させて、ミラー131を回動させる。これにより、ミラー131を主軸X周りに回動させることができる。例えば、第1アクチュエータ404Aと第2アクチュエータ404Bとを互いに逆向きに湾曲させることによって、ミラー131を主軸X周りに回動させることができる。このとき、第1アクチュエータ404Aを湾曲させる向きと第2アクチュエータ404Bを湾曲させる向きとを入れ替えることによって、ミラー131の主軸X周りの回動方向を切り替えることができる。ただし、ミラーデバイス403は、実施形態1,3のミラーデバイス103,303と異なり、主軸X方向に並ぶ複数のアクチュエータを備えていないので、ミラー131を傾動させることができるのは主軸X周りだけであり、副軸Y周りにはミラー131を傾動させることができない。
したがって、ミラーデバイス403においては、前記第1アクチュエータ404Aは、主軸Xを挟んで前記ミラー131の一方側に1つ設けられ、前記第2アクチュエータ404Bは、主軸Xを挟んで前記ミラー131の他方側に1つ設けられている。そして、第1アクチュエータ404Aは、熱膨張係数が互いに異なるアクチュエータ本体441aと圧電素子442aとを積層させているので、第1アクチュエータ404Aの温度が変化すると、第1アクチュエータ404Aの反りが変化する。それに対して、主軸Xを挟んで第1アクチュエータ404Aとは反対側の第2アクチュエータ404Bも、熱膨張係数が互いに異なるアクチュエータ本体441bと圧電素子442bとを積層させているので、第2アクチュエータ404Bの温度が変化すると、第2アクチュエータ404Bの反りが変化する。このとき、第2アクチュエータ404Bの反りの変化の方向は、第1アクチュエータ404Aの反りの変化の方向と同じなので、実施形態1と同様に、ミラー131の傾動量を抑制することができる。
《その他の実施形態》
前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
前記実施形態では、複数のミラーデバイスを備えたミラーアレイについて説明したが、これに限られるものではない。ガルバノミラーのように、1つのミラーデバイスであってもよい。また、ミラーアレイについても、波長選択スイッチ108に適用する場合に限られず、様々なアプリケーションに組み込むことができる。
また、前記実施形態における形状、寸法、材質は、例示に過ぎず、これらに限られるものではない。例えば、ミラー131は、平面視長方形状でなくてもよい。ミラー131は、円形や長円形であってもよい。ヒンジ106の構成は、前記の構成に限られるものではない。また、一又は複数のヒンジ106を省略してもよい。
また、前記実施形態では、ミラーデバイスを駆動する際にオフセット電圧を印加しているが、これに限られるものではない。つまり、圧電素子に正負両方の電圧を印加できる場合には、オフセット電圧を印加する必要はなく、圧電素子への印加電圧の正負を切り替えることによって、アクチュエータの湾曲方向を切り替えることができる。
また、前記実施形態1,2では、梁部材105の圧電素子152を、ミラーデバイスごとに別々に設けているが、これに限られるものではない。この圧電素子152は、梁部材105を温度変化に応じて反らせるための部材(場合によっては、オフセット電圧を印加して梁部材を予め反らせるための部材)なので、複数の圧電素子152,152,…は、電気的に接続されていてもよい。その結果、複数の圧電素子152,152,…の給電端子を共通化して、給電端子の個数を低減することができる。
また、実施形態1,2では、アクチュエータの圧電素子と梁部材の圧電素子とは、同じ構成であるが、これに限られるものではない。同様に、実施形態3,4では、第1アクチュエータの圧電素子と第2アクチュエータの圧電素子とは、同じ構成であるが、これに限られるものではない。例えば、一方の圧電素子は、圧電体層として、PZTの代わりに非鉛圧電材料であるKNN((K,Na)NbO3)等を用いてもよい。ただし、圧電体層が変わると、圧電素子の熱膨張係数が変わるので、温度変化に応じた反りの変化の方向がアクチュエータと梁部材とで同じになるように、又は、温度変化に応じた反りの変化の方向が第1アクチュエータと第2アクチュエータとで同じになるように、圧電素子をアクチュエータ本体又は梁本体の表裏の何れに設けるのかを決定する必要がある。詳しくは、積層方向に対する熱膨張係数の大小関係がアクチュエータと梁部材とで同じなるように、又は、積層方向に対する熱膨張係数の大小関係が第1アクチュエータと第2アクチュエータとで同じになるように圧電体層を積層させる。
また、実施形態1,2では、アクチュエータ本体及び梁本体の両方とも、圧電素子を表側に設けているが、これに限られるものではない。温度変化に応じた反りの変化の方向がアクチュエータと梁部材とで同じになる限りは、アクチュエータ本体及び梁本体の両方とも圧電素子を裏側に設けてもよいし、アクチュエータ本体及び梁本体の一方には圧電素子を表側に設け、他方には圧電素子を裏側に設けてもよい。例えば、実施形態1,2においては、圧電素子142,242,152の熱膨張係数の方がアクチュエータ本体141,241や梁本体151の熱膨張係数よりも大きいので、アクチュエータ104,204においても梁部材105においても、圧電素子142,152をアクチュエータ本体141,241及び梁本体151の表側に設けている。しかし、何れかの圧電素子の熱膨張係数がアクチュエータ本体141,241又は梁本体151の熱膨張係数よりも小さい場合には、アクチュエータ104,204においては圧電素子を表側に設け、梁本体151においては圧電素子を裏側に設けるようにしてもよい。つまり、積層方向に対する熱膨張係数の大小関係がアクチュエータと梁部材とで同じであればよい。
これは、実施形態3,4でも同様である。実施形態3,4では、第1アクチュエータ304A,404A及び第2アクチュエータ304B,404Bの両方とも、アクチュエータ本体の表側に圧電素子を設けている。しかし、第1アクチュエータ304A,404A及び第2アクチュエータ304B,404Bの何れかにおいて、圧電素子の熱膨張係数がアクチュエータ本体の熱膨張係数よりも小さい場合には、第1アクチュエータ304A,404A及び第2アクチュエータ304B,404Bの一方においては圧電素子をアクチュエータ本体の表側に設け、他方においては圧電素子をアクチュエータ本体の裏側に設けるようにしてもよい。
また、実施形態1,2では、アクチュエータと梁部材とで、アクチュエータ本体と梁本体との形状を略同じにし、互いの圧電体層の形状を略同じにしているが、これに限られるものではない。少なくとも、積層方向に対する熱膨張係数の大小関係がアクチュエータと梁部材とで同じになっていればよく、アクチュエータ本体と梁本体とで形状が異なっていても、互いの圧電体層の形状が異なっていてもよい。ただし、アクチュエータと梁部材とで構成、材料及び形状が互いに略同じであれば、温度変化に起因する反りをアクチュエータと梁部材とで略同じにすることができ、温度変化に起因するミラー131の傾動をより一層抑制することができる。
これは、実施形態3,4でも同様である。第1アクチュエータと第2アクチュエータとで、互いのアクチュエータ本体の形状を略同じにし、互いの圧電体層の形状を略同じにしているが、これに限られるものではない。少なくとも、積層方向に対する熱膨張係数の大小関係が第1アクチュエータと第2アクチュエータとで同じになっていればよく、互いのアクチュエータ本体で形状が異なっていても、互いの圧電体層の形状が異なっていてもよい。ただし、第1アクチュエータと第2アクチュエータとで構成、材料及び形状が互いに略同じであれば、温度変化に起因する反りを第1アクチュエータと第2アクチュエータとで略同じにすることができ、温度変化に起因するミラー131の傾動をより一層抑制することができる。
また、実施形態1,2では、梁部材105は圧電素子152を有しているが、これに限られるものではない。すなわち、梁部材105は、温度変化によって反りが生じるように構成されており、温度変化に応じた反りの変化の方向がアクチュエータと同じである限りは、任意の構成を採用することができる。例えば、梁部材105は、梁本体151と、梁本体151の表面に積層され且つ熱膨張係数が梁本体151と異なる積層体とを有する構成であってもよい。つまり、圧電素子152の代わりに、熱膨張係数が梁本体151と異なる積層体を梁本体151に積層させる構成であってもよい。この場合、温度変化に応じた反りの変化の方向が梁部材とアクチュエータとで同じになるように、積層体を配置する場所を調整すればよい。
また、ミラーの一方側に設けられるアクチュエータの個数及びミラーの他方側に設けられる梁部材又はアクチュエータの個数は、前記実施形態に限られるものではない。例えば、ミラーの一方側に2つのアクチュエータを設け、ミラーの他方側に1つのアクチュエータを設ける構成であってもよい。すなわち、実施形態1において梁部材105をアクチュエータとして使用する構成であってもよい。
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、ここに開示された技術は、ミラーデバイスについて有用である。
103,203,303,403 ミラーデバイス
131 ミラー
104,204 アクチュエータ
141,241 アクチュエータ本体
142,242 圧電素子
105 梁部材
151 梁本体
152 圧電素子
304A,404A 第1アクチュエータ
341a,441a 第1アクチュエータ本体
342a,442a 第1圧電素子
304B,404B 第2アクチュエータ
341b,441b 第2アクチュエータ本体
342b,442b 第2圧電素子
X 主軸
Y 副軸
131 ミラー
104,204 アクチュエータ
141,241 アクチュエータ本体
142,242 圧電素子
105 梁部材
151 梁本体
152 圧電素子
304A,404A 第1アクチュエータ
341a,441a 第1アクチュエータ本体
342a,442a 第1圧電素子
304B,404B 第2アクチュエータ
341b,441b 第2アクチュエータ本体
342b,442b 第2圧電素子
X 主軸
Y 副軸
Claims (8)
- ミラーと、
片持ち状に延び、先端部が前記ミラーに連結されたアクチュエータ本体、及び、該アクチュエータ本体に積層された圧電素子を有し、該ミラーを所定の回転軸周りに回動させるアクチュエータと、
片持ち状に延び、前記回動軸を挟んで前記アクチュエータと反対側において先端部が前記ミラーに連結された梁部材とを備え、
前記梁部材は、温度変化によって反りが生じるように構成されており、温度変化に応じた反りの変化の方向が前記アクチュエータと同じであるミラーデバイス。 - 請求項1に記載のミラーデバイスにおいて、
前記梁部材は、片持ち状に延び、先端部が前記ミラーに連結された梁本体と、該梁本体に積層された圧電素子とを有するミラーデバイス。 - 請求項1又は2に記載のミラーデバイスにおいて、
前記アクチュエータは、前記回転軸を挟んで前記ミラーの一方側に2つ設けられ、
前記梁部材は、前記回転軸を挟んで前記ミラーの他方側に1つ設けられているミラーデバイス。 - 請求項1又は2に記載のミラーデバイスにおいて、
前記アクチュエータは、前記回転軸を挟んで前記ミラーの一方側に1つ設けられ、
前記梁部材は、前記回転軸を挟んで前記ミラーの他方側に1つ設けられているミラーデバイス。 - ミラーと、
片持ち状に延び、先端部が前記ミラーに連結された第1アクチュエータ本体、及び、該第1アクチュエータ本体に積層された第1圧電素子を有し、該ミラーを所定の回転軸周りに回動させる第1アクチュエータと、
片持ち状に延び、前記回動軸を挟んで前記第1アクチュエータと反対側において先端部が前記ミラーに連結された第2アクチュエータ本体、及び、該第2アクチュエータ本体に積層された第2圧電素子を有し、該ミラーを前記回転軸周りに回動させる第2アクチュエータとを備え、
前記第1アクチュエータと前記第2アクチュエータとは、温度変化に応じた反りの変化の方向が同じであるミラーデバイス。 - 請求項5に記載のミラーデバイスにおいて、
前記第1アクチュエータは、前記回転軸を挟んで前記ミラーの一方側に1つ設けられ、
前記第2アクチュエータは、前記回転軸を挟んで前記ミラーの他方側に1つ設けられているミラーデバイス。 - 請求項5に記載のミラーデバイスにおいて、
前記第1アクチュエータは、前記回転軸を挟んで前記ミラーの一方側に2つ設けられ、
前記第2アクチュエータは、前記回転軸を挟んで前記ミラーの他方側に2つ設けられているミラーデバイス。 - 請求項5に記載のミラーデバイスにおいて、
前記第1アクチュエータは、前記回転軸を挟んで前記ミラーの一方側に2つ設けられ、
前記第2アクチュエータは、前記回転軸を挟んで前記ミラーの他方側に1つ設けられているミラーデバイス。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012157959A JP2014021208A (ja) | 2012-07-13 | 2012-07-13 | ミラーデバイス |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012157959A JP2014021208A (ja) | 2012-07-13 | 2012-07-13 | ミラーデバイス |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014021208A true JP2014021208A (ja) | 2014-02-03 |
Family
ID=50196159
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012157959A Pending JP2014021208A (ja) | 2012-07-13 | 2012-07-13 | ミラーデバイス |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2014021208A (ja) |
-
2012
- 2012-07-13 JP JP2012157959A patent/JP2014021208A/ja active Pending
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