JP2014020770A - 冶金炉の鉄皮冷却方法及び冶金炉 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る冶金炉の冷却方法は、トラニオン軸3によって傾動可能に支持されたトラニオンリング5によって炉体7を保持してなる冶金炉1の炉体冷却方法であって、トラニオン軸3の軸端側からトラニオン軸3内の輸送管15を除いた空隙19を通過させてトラニオンリング5内に圧力0.3MPa以上0.7MPa以下の圧力の圧縮空気を供給し、その圧縮空気をトラニオンリング5から冶金炉1の表面に噴出させて炉体7を冷却することを特徴とするものである。
【選択図】 図1
Description
従来の鉄皮冷却方法として、トラニオン軸の外側にダクトを設けて、送風する方式がある。
しかし、この方法では排ガス処理設備のフードやスカートから落下する地金によりダクトが損傷し、長時間使用できないという問題が発生していた。
特許文献1の方法においては、送風機を保護カバーで覆うと共に、十分な冷却能力を得るために送風機をトラニオン軸内に配管した冷却エアー供給用配管からの送風で冷却するようにしている。また、送風機への電力を供給する送電線を、冷却エアー供給用配管に巻きつけることで長寿命化を図っている。
また、特許文献2では送風機により冷却空気をトラニオン軸内を経て、トラニオンリング下部に取付けられる送風用ヘッダー管に供給し、更に送風用ヘッダー管からトラニオンリングの炉体点検窓外周に設置される送風管を経て、トラニオンリング内面凹部全周に取付けられる複数分割した風箱及び風箱より分岐する枝管に供給し、風箱及び枝管に設けられる多数のノズルより冷却用空気を精錬用炉体鉄皮に噴射する方法で長寿命化を図っている。
しかしながら、特許文献1の方法では、保護カバーに地金が落下して保護カバーが損傷する可能性があり、信頼性のある構造とはいえない。
また、当然のことながら、炉体冷却設備は炉体鉄皮を十分(ΔT=50℃程度)冷却できるものであることが要求される。
また、特許文献2の方法では送風機による冷却空気の供給では圧力が0.005MPa程度しかなく炉体の冷却能力が不足する。仮に冷却能力を上昇させるために圧力を上げようとすると、既存配管により新たな配管を敷設するスペースがないか、または、あっても狭いスペースしかないため冷却能力が不足する。また、回転継手を用いての接続方法では、既存のロータリージョイントの改造が必要であり、コストがアップしてしまうという問題が発生する。
そこで、この狭隘なスペースを最大限利用するために、圧縮空気の供給路として新たに配管を敷設するのではなくトラニオン軸の軸穴の内壁と配管との空隙を供給路として利用することを提案する。また、前記空隙は狭隘であることから、冷却ファンによる送風には十分なスペースではないため、冷却空気は圧縮空気を使用することが望ましい。
本発明はかかる考えに基づくものであり、具体的には以下の構成からなるものである。
前記トラニオン軸の軸端側から該トラニオン軸内の輸送管を除いた空隙を通過させてトラニオンリング内に圧力0.3MPa以上0.7MPa以下の圧力の圧縮空気を供給し、その圧縮空気を前記トラニオンリングから前記冶金炉の表面に噴出させて炉体を冷却することを特徴とするものである。
前記トラニオン軸の軸端に設けられ、該トラニオン軸の輸送管を除いた空隙部と連通するように設けられて、前記空隙部を通過してトラニオンリング内に圧力0.3MPa以上0.7MPa以下の圧力の圧縮空気を供給する圧縮空気供給管と、前記トラニオン軸における前記トラニオンリング側に設けられて前記圧縮空気をトラニオンリング内に供給する穿孔と、前記トラニオンリングにおける炉体に隣接する面に設けられトラニオンリング内の圧縮空気を炉体側に噴出する圧縮空気噴出口とを備えてなることを特徴とするものである。
以下、各構成を詳細に説明する。
圧縮空気供給管9は、トラニオン軸3内に圧縮空気を供給するためのものであり、トラニオン軸3の軸端に軸受け17を介して枢支されている。これによって、圧縮空気供給管9とトラニオン軸3とは相対的に回転可能な状態になっており、トラニオン軸3が回転したときに圧縮空気供給管9が回転しないようになっている。トラニオン軸3は中空になっているので、圧縮空気供給管9とトラニオン軸3内とは連通状態になっている。
トラニオン軸3内には、図2および3に示すように、気体や電気の輸送管15が設置されているが、これらはロータリージョイント10を経由して軸の外部側と接続されている。
なお、上記の圧力及び風量の圧縮空気は、工場内で使用されるコンプレッサによって供給される工場エアーを使用することができる。
前述したようにトラニオン軸3は中空になっており、図3に示すように、気体や電気の輸送管15が配設されており、軸内壁とこれら輸送管15との間に空隙19が存在する。
本実施の形態では、この空隙19を圧縮空気の流路として利用している。こうすることで、別に配管を設けることなく、広い流路を確保することが出来る。仮に、圧縮空気用の配管を設けるとすれば、配管を設けるには空隙19が狭いために配管径を大きくできないことから、風量を少なくして高圧にしなければならないところを、空隙19そのものを流路として利用することで低圧で多量の圧縮空気の供給を可能にしている。
トラニオンリング5は、トラニオン軸3によって傾動可能に支持され、炉体7を保持するものである。トラニオンリング5は、図に示すように、内部が空洞になっており、このトラニオンリング5における炉体7に隣接する面には、トラニオンリング5内に供給された圧縮空気を炉体7の表面に噴出する圧縮空気噴出口13が数カ所に設けられている。この圧縮空気噴出口13の口径はφ40mmからφ60mm程度が好ましい。
圧縮空気供給管9に、例えばコンプレッサから供給される工場エアーの吐出口を接続し、トラニオン軸3内の空隙19及びトラニオンリング5内に圧力0.3MPa以上0.7MPa以下の圧力の圧縮空気を供給する。
供給された圧縮空気は、トラニオンン軸内の空隙19を通過して、トラニオン軸3に設けられた穿孔11からトラニオンリング5内に供給される。トラニオンリング5内に供給された圧縮空気は、トラニオンリング5の複数箇所に設けられた圧縮空気噴出口13から炉体7に向けて噴出して炉体7を冷却する。なお、図2において、圧縮空気の流れを矢印で示している。
また、圧縮空気は、トラニオン軸3内に別途供給配管を設置するのではなく、トラニオン軸3内の空隙19を供給路として利用することから、十分な量を供給することができる。
さらに、冷却装置を構成する部材であって外部に露出しているものは、トラニオン軸3の端部に設置した圧縮空気供給管9のみであり、出鋼や排滓時の炉体7の傾動時に、地金が落下して損傷する危険もなく、信頼性の高いものである。
本発明を採用した転炉には、トラニオンリング5内周側の下端から450mmの位置に540mmピッチの間隔で口径をφ52mmの圧縮空気噴出口13を設け、圧縮空気供給管9から圧力が0.5MPaの圧縮空気を供給した。
比較例としては上述の冷却を全く行っていない転炉を対象とした。
本発明を採用した転炉では鉄皮の年間変形量は20mmであったのに対して、非採用の転炉では鉄皮の年間変形量は40mmであった。これは冷却により延命した転炉の寿命が40年であることを意味している。
しかも、本発明によれば地金落下により破損することもないので、冷却設備としての信頼性が高いうえ、改造費用を抑えることができる。
3 トラニオン軸
5 トラニオンリング
7 炉体
9 圧縮空気供給管
11 穿孔
13 圧縮空気噴出口
10 ロータリージョイント
15 輸送管
17 軸受け
19 空隙
Claims (4)
- トラニオン軸によって傾動可能に支持されたトラニオンリングで炉体を保持してなる冶金炉の炉体冷却方法であって、
前記トラニオン軸の軸端側から該トラニオン軸内の輸送管を除いた空隙を通過させてトラニオンリング内に圧力0.3MPa以上0.7MPa以下の圧力の圧縮空気を供給し、その圧縮空気を前記トラニオンリングから前記冶金炉の表面に噴出させて炉体を冷却することを特徴とする冶金炉の冷却方法。 - 前記圧縮空気を供給する圧縮空気供給管とトラニオン軸端との間に軸受けを設置し、前記圧縮空気供給管が前記軸受けを介して前記トラニオン軸端に支持されていることを特徴とする請求項1記載の冶金炉の冷却方法。
- トラニオン軸によって傾動可能に支持されたトラニオンリングによって炉体を保持してなる冶金炉であって、
前記トラニオン軸の軸端に設けられ、該トラニオン軸の輸送管を除いた空隙部と連通するように設けられて、前記空隙部を通過してトラニオンリング内に圧力0.3MPa以上0.7MPa以下の圧力の圧縮空気を供給する圧縮空気供給管と、前記トラニオン軸における前記トラニオンリング側に設けられて前記圧縮空気をトラニオンリング内に供給する穿孔と、前記トラニオンリングにおける炉体に隣接する面に設けられトラニオンリング内の圧縮空気を炉体側に噴出する圧縮空気噴出口とを備えてなることを特徴とする冶金炉。 - 前記圧縮空気供給管とトラニオン軸端との間に軸受けを設置し、前記圧縮空気供給管が前記軸受けを介して前記トラニオン軸端に支持されていることを特徴とする請求項3記載の冶金炉。
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2012
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