JP2014016227A - 物理量検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】パワースイッチング素子Swの温度検出精度を高めることのできる物理量検出装置を提供する。
【解決手段】高電圧システムには、パワースイッチング素子Swの2つの温度検出範囲のそれぞれにおいてパワースイッチング素子Swの温度及びPWMコンパレータ18から出力されるパルス信号の時比率が連続的に関係付けられてかつ、2つの上記温度検出範囲のそれぞれに対応する上記時比率の範囲が重複するように感温ダイオードSDの出力信号Vfを補正する反転増幅回路16が備えられている。また、低電圧システムには、フォトカプラ38を介してPWMコンパレータ18から伝達されたパルス信号の時比率に基づき、パワースイッチング素子Swの温度を検出するマイコン40が備えられている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、所定の検出対象の物理量と相関を有する信号を出力する検出素子と、前記検出素子の出力信号と搬送波との大小比較に基づき該出力信号をパルス幅変調して出力する変調手段と、前記変調手段から出力されたパルス信号の時比率に基づき、前記検出対象の物理量を検出する検出手段と、を備える物理量検出装置に関する。
従来、下記特許文献1に見られるように、所定の検出対象(例えば、半導体スイッチング素子)の温度と負の相関を有する信号を出力する感温ダイオードと、感温ダイオードの出力信号をパルス幅変調する第1,第2の差動増幅器及び第1,第2の三角波生成回路と、上記差動増幅器から出力されたパルス信号の時比率に基づき検出対象の温度を検出するCPUとを備える温度検出装置が知られている。
この装置について詳しく説明すると、第1,第2の差動増幅器の非反転入力端子には、感温ダイオードの出力信号が入力される。また、第1の差動増幅器の反転入力端子には、第1の三角波生成回路から出力される第1の三角波信号が入力され、第2の差動増幅器の反転入力端子には、第2の三角波生成回路から出力される第2の三角波信号が入力される。ここで、第1の三角波信号の振幅は、所定の温度検出範囲と関係付けられて設定されており、第2の三角波信号の振幅は、上記所定の温度検出範囲のうち高温側の範囲と関係付けられて設定されている。このため、第2の差動増幅器から出力されるパルス信号の単位時比率あたりの温度検出幅は、第1の差動増幅器から出力されるパルス信号の単位時比率あたりの温度検出幅よりも小さい。すなわち、第2の差動増幅器から出力されるパルス信号の時比率に基づく温度検出精度は、第1の差動増幅器から出力されるパルス信号の時比率に基づく温度検出精度よりも高くなる。
こうした構成において、検出対象の温度が高くなる場合に、フォトカプラを介してCPUに伝達される信号の出力元を第1の差動増幅器から第2の差動増幅器に切り替える。これにより、検出対象の温度が高くなる場合における検出対象の温度検出精度の向上を図っている。
特開2011−27625号公報
ここで、上記特許文献1に記載された技術では、検出対象の温度検出精度の向上を図ることはできるものの、1つの検出対象に対して2つの三角波生成回路が備えられることとなる。これにより、温度検出装置の内部構成の複雑化を招く懸念がある。
なお、上記温度検出装置に限らず、上記検出対象の物理量と相関を有する信号を出力する検出素子を備え、検出素子の出力信号をパルス幅変調した信号の時比率に基づき物理量を検出する物理量検出装置であれば、上述した問題は同様に生じ得る。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、簡素な構成で物理量の検出精度を高めることのできる新たな物理量検出装置を提供することにある。
上記課題を解決すべく、請求項1記載の発明は、所定の検出対象(Sw,Swp,Swq)の物理量(Tf)と相関を有する信号(Vf)を出力する検出素子(SD,SDp,SDq)と、前記検出素子の出力信号と搬送波(tc)との大小比較に基づき該出力信号をパルス幅変調して出力する変調手段(18,30、18p,30p,18q,30q)と、前記変調手段から出力されたパルス信号の時比率(duty)に基づき、前記検出対象の物理量を検出する検出手段(40)と、複数に分割された前記検出対象の物理量検出範囲のそれぞれ(Td1,Td2)において該検出対象の物理量及び前記時比率が連続的に関係付けられてかつ、複数に分割された前記物理量検出範囲のそれぞれに対応する前記時比率の範囲(Dmin〜Dmax、Dmin〜Dmax1,Dmin〜Dmax2、Dmin1〜Dmax,Dmin2〜Dmax)の少なくとも一部同士が互いに重複するように前記変調手段に入力される前記検出素子の出力信号を補正する補正手段(16,42、16p,16q)と、を備えることを特徴とする。
上記発明では、複数に分割された物理量検出範囲のそれぞれに対応する時比率の範囲の少なくとも一部同士が互いに重複するように変調手段に入力される検出素子の出力信号を補正手段によって補正する。このため、複数に分割された物理量検出範囲のそれぞれにおいて、変調手段から出力されるパルス信号の単位時比率あたりの物理量検出幅を小さくすることができ、検出手段によって検出される物理量のダイナミックレンジを拡大することができる。すなわち、検出対象の物理量の検出精度を高めることができる。
さらに、上記発明では、補正手段によって検出素子の出力信号を補正する構成を採用している。このため、例えば、搬送波の振幅を変更することで変調手段から出力されるパルス信号の単位時比率あたりの物理量検出幅を小さくする構成と比較して、物理量の検出精度を高めることを簡素な構成で実現することもできる。
第1の実施形態にかかるシステム構成図。 同実施形態にかかるパルス幅変調の一例を示す図。 同実施形態にかかる感温ダイオードの出力信号の補正手法を示す図。 同実施形態にかかるフレームにおけるデータ配置を示す図。 同実施形態にかかる温度検出処理の手順を示す流れ図。 第2の実施形態にかかるシステム構成図。 同実施形態にかかる感温ダイオードの出力信号の補正手法を示す図。 第3の実施形態にかかる感温ダイオードの出力信号の補正手法を示す図。 第4の実施形態にかかる感温ダイオードの出力信号の補正手法を示す図。 第5の実施形態にかかるシステム構成図。 同実施形態にかかるフレームにおけるデータ配置を示す図。 その他の実施形態にかかる感温ダイオードの出力信号の補正手法を示す図。 その他の実施形態にかかる感温ダイオードの出力信号の補正手法を示す図。 その他の実施形態にかかる感温ダイオードの出力信号の補正手法を示す図。
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる物理量検出装置を車載主機として回転機を備える車両(例えばハイブリッド車両)に適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施形態にかかるシステム構成を示す。
図示されるシステムは、車体を基準電位とする車載低電圧システムと、車載低電圧システムから電気的に絶縁された車載高電圧システムとからなる。ここで、車載高電圧システムには、パワーカードPCが搭載されている。パワーカードPCは、パワースイッチング素子Sw、フリーホイールダイオードFWD、及び感温ダイオードSDを搭載してパッケージ化されたものである。ここで、パワースイッチング素子Swは、回転機に接続されるインバータを構成する。上記回転機は、車載主機等の役割を果たす。ちなみに、パワースイッチング素子Swとして、本実施形態では、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を用いている。また、上記感温ダイオードSDは、パワースイッチング素子Sw付近に配置されてかつ、その温度を検出するための検出素子である。
上記パワースイッチング素子Swの開閉制御端子(ゲート)は、集積回路10に接続されている。集積回路10は、パワースイッチング素子Swの駆動回路を構成する専用の半導体装置である。
集積回路10は、更に、感温ダイオードSDの出力信号Vf(電圧降下量)を2値の信号に変換する機能をも有する。詳しくは、集積回路10は、電源12、この電源12の電力供給源となる定電流電源14、反転増幅回路16及びPWMコンパレータ18等を備えている。
定電流電源14の出力側は、感温ダイオードSDのアノードに接続されており、感温ダイオードSDのカソードは、接地されている。
感温ダイオードSDのアノードは、オペアンプ16a、抵抗体16b,16c及び電源16dを備えて構成される反転増幅回路16の反転入力端子側に接続されている。なお、本実施形態では、以降、反転増幅回路16の出力信号を「Vα−a×Vf」で示すこととする。ここで、「−a」は、反転増幅回路16における増幅率を示し、「Vα」は、反転増幅回路16の出力信号の接地電位「0」に対するシフト量を示す。このシフト量「Vα」は、反転増幅回路16の非反転入力端子に接続された電源16dの端子電圧の調整によって調整することができる。
感温ダイオードSDのアノードは、さらに、コンパレータ22の非反転入力端子に接続されている。コンパレータ22の反転入力端子は、電源24の正極側に接続され、電源24の負極側は、接地されている。
反転増幅回路16の出力端子又は感温ダイオードSDのアノードは、スイッチ26を介してPWMコンパレータ18の非反転入力端子に接続可能とされている。スイッチ26は、反転増幅回路16の出力端子及び感温ダイオードSDのアノードのうちいずれかとPWMコンパレータ18の非反転入力端子とを選択的に接続するための部材である。
上記スイッチ26は、操作部28によって操作される。詳しくは、操作部28は、コンパレータ22の出力信号の論理が「H」であると判断した場合、感温ダイオードSDのアノード及びPWMコンパレータ18の非反転入力端子を接続するようにスイッチ26を操作し、コンパレータ22の出力信号の論理が「L」であると判断した場合、反転増幅回路16の出力端子及びPWMコンパレータ18の非反転入力端子を接続するようにスイッチ26を操作する。
PWMコンパレータ18の反転入力端子には、搬送波生成回路30の出力する搬送波(三角波信号)が印加されている。PWMコンパレータ18では、感温ダイオードSDの出力信号Vf又は反転増幅回路16の出力信号である入力信号Vinと、上記三角波信号tcとの大小比較により、上記入力信号Vinをパルス幅変調する。ここで、図2(a)に、入力信号Vin及び三角波信号tcの推移を示し、図2(b)に、PWMコンパレータ18の出力信号の推移を示した。これにより、PWMコンパレータ18の出力信号は、入力信号Vinに応じて、論理「H」及び論理「L」の1周期Tperiodに対する論理「H」の期間Tonの比率である時比率duty(デューティ比)が変化するパルス信号となる。
ちなみに、感温ダイオードSDの出力信号Vfとパワースイッチング素子Swの実際の温度とは負の相関を有する。また、PWMコンパレータ18及び搬送波生成回路30が変調手段を構成する。
図1の説明に戻り、PWMコンパレータ18から出力されたパルス信号は、フレーム生成部32に入力される。フレーム生成部32は、パワースイッチング素子Swの温度情報としての上記パルス信号が配置されたフレームを生成して出力する。なお、フレームにおける上記温度情報等の配置手法については、後に詳述する。
フレーム生成部32の出力側は、抵抗体34を介して電源35に接続されている。また、フレーム生成部32の出力側は、抵抗体36を介してフォトカプラ38の1次側(フォトダイオードのアノード)に接続されている。ここで、フォトカプラ38は、高電圧システムと低電圧システムとを絶縁しつつ、高電圧システムから低電圧システムに信号を伝達させる絶縁伝達手段である。
フォトカプラ38の2次側には、マイコン40が接続されている。マイコン40は、ソフトウェア処理によって種々の演算を行うソフトウェア処理手段である。詳しくは、マイコン40は、フレーム生成部32から出力された情報に含まれるパワースイッチング素子Swの温度情報をデジタルデータに変換する処理と、変換されたデジタルデータから算出される時比率dutyに基づきパワースイッチング素子Swの温度を検出する温度検出処理とを行う。
なお、マイコン40は、パワースイッチング素子Swの温度検出値が閾値温度を超えたと判断した場合、パワースイッチング素子Swの駆動を禁止するパワーセーブ処理を行う。これにより、コレクタ電流の流通が阻止され、パワースイッチング素子Swの過熱を回避することができる。
続いて、図3を用いて、本実施形態にかかる特徴的構成である感温ダイオードSDの出力信号Vfの補正手法について説明する。ここで、図3(a)は、パワースイッチング素子Swの実際の温度Tf及びPWMコンパレータ18の非反転入力端子の入力信号Vinの関係を示し、図3(b)は、パワースイッチング素子Swの実際の温度Tf及びPWMコンパレータ18から出力されるパルス信号の時比率dutyの関係を示している。
図示されるように、本実施形態では、下限温度Tmin(例えば15℃)及び上限温度Tmax(例えば175℃)にて規定されるパワースイッチング素子Swの温度検出範囲を、この温度検出範囲の中央値Tctr(例えば95℃)を境界として第1の検出範囲Td1と、第2の検出範囲Td2とに分割する。そして、電源24の端子電圧を、パワースイッチング素子Swの実際の温度Tfが上記中央値Tctrとなる場合における感温ダイオードSDの出力信号Vfに設定する。これにより、パワースイッチング素子Swの実際の温度Tfが第1の検出範囲Td1となる場合、感温ダイオードSDの出力信号VfがPWMコンパレータ18の非反転入力端子の入力信号Vinとなり、パワースイッチング素子Swの温度Tfが第2の検出範囲Td2となる場合、反転増幅回路16の出力信号「Vf−a×Vf」がPWMコンパレータ18の非反転入力端子の入力信号Vinとなる。
なお、本実施形態では、第1の検出範囲Td1において、パワースイッチング素子Swの実際の温度Tfが高くなるほど、PWMコンパレータ18から出力されるパルス信号の時比率dutyが上限値Dmaxから下限値Dminに向かって連続的に低くなるような三角波信号が搬送波生成回路30から出力される。詳しくは、三角波信号の周波数及び振幅は、固定値である。
こうした構成を前提として、以下の条件(A),(B)を満たすように感温ダイオードSDの出力信号Vfを補正する。
(A)第2の検出範囲において、パワースイッチング素子Swの実際の温度Tfが高くなるほど、PWMコンパレータ18から出力されるパルス信号の時比率dutyが下限値Dminから上限値Dmaxに向かって連続的に高くなるように、感温ダイオードSDの出力信号Vfを補正するとの条件。
上記条件(A)を満たすことにより、第1の検出範囲Td1及び第2の検出範囲Td2のそれぞれの時比率dutyの範囲を重複させることができる。これにより、これら検出範囲Td1,Td2のそれぞれにおいて、PWMコンパレータ18から出力されるパルス信号の単位時比率dutyあたりの温度検出幅を小さくすることができ、パワースイッチング素子Swの検出温度のダイナミックレンジを拡大させることができる。すなわち、パワースイッチング素子Swの温度検出精度を高めることができる。
特に、本実施形態では、上記下限値Dminを「0」(0%)に設定し、上記上限値Dmaxを「1」(100%)に設定している。こうした設定によれば、上記単位時比率dutyあたりの温度検出幅をより小さくすることができ、パワースイッチング素子Swの温度検出精度をより高めることができる。
ちなみに、本実施形態では、反転増幅回路16を構成する一対の抵抗体16b,16cの抵抗値を互いに同一に設定するとともに、電源16dの端子電圧を調整することで上記条件(A)を満たすこととする。なお、抵抗体16b,16cの抵抗値を互いに同一に設定することにより、第1の検出範囲Td1における上記入力信号Vinの傾きの絶対値と、第2の検出範囲Td2における上記入力信号Vinの傾きの絶対値とが等しくなる。
(B)第1の検出範囲Td1及び第2の検出範囲Td2の境界においてPWMコンパレータ18から出力されるパルス信号の時比率dutyが下限値Dminとなるように感温ダイオードSDの出力信号Vfを補正するとの条件。
この条件は、パワースイッチング素子Swの温度検出精度が大きく低下することを回避するための条件である。以下、本実施形態における具体的な温度検出処理について説明した後、上記条件(B)の技術的意義について説明する。
まず、図4を用いて、上記温度検出処理について説明する。ここで、図4は、フレーム生成部32におけるフレームのデータ配置を示す図である。
本実施形態では、パワースイッチング素子Swの温度情報等をフレーム単位でフレーム生成部32から出力する構成を採用している。そして、パワースイッチング素子Swの現在の温度が第1の検出範囲Td1及び第2の検出範囲Td2のうちいずれにあるかを識別する検出範囲情報をフレームヘッダに配置する。上記検出範囲情報は、コンパレータ22の出力信号に基づき生成される。そして、フレームのうち検出範囲情報の後に感温ダイオードSDの温度情報を配置する。
マイコン40は、フレーム生成部32から出力された情報に基づき、温度検出処理を行う。詳しくは、マイコン40は、まず、フレームヘッダに配置された検出範囲情報に基づき、パワースイッチング素子Swの実際の温度Tfが第1の検出範囲Td1及び第2の検出範囲Td2のうちいずれにあるかを判断する。マイコン40は、パワースイッチング素子Swの現在の温度が第1の検出範囲Td1にあると判断した場合、時比率dutyが高いほどパワースイッチング素子Swの温度検出値Tcalを低く算出する。なお、上記温度検出値Tcalは、具体的には例えば、時比率dutyを入力として、時比率duty及び第1の検出範囲Td1における温度検出値Tcalが関係付けられたマップを用いて算出すればよい。
一方、マイコン40は、パワースイッチング素子Swの現在の温度が第2の検出範囲Td2にあると判断した場合、時比率dutyが高いほどパワースイッチング素子Swの温度検出値Tcalを高く算出する。なお、上記温度検出値Tcalは、具体的には例えば、時比率dutyを入力として、時比率duty及び第2の検出範囲Td2における温度検出値Tcalが関係付けられたマップを用いて算出すればよい。
続いて、上記条件(B)の技術的意義について説明する。
パワースイッチング素子Swの温度検出精度を高める上では、先の図3に示した補正手法とは別に、例えば、第2の検出範囲Td2において、パワースイッチング素子Swの実際の温度Tfが高くなるほど、PWMコンパレータ18から出力されるパルス信号の時比率dutyが上限値Dmaxから下限値Dminに向かって連続的に低くなるように、感温ダイオードSDの出力信号Vfを補正する手法を採用することも考えられる。こうした手法を採用すると、第1の検出範囲Td1及び第2の検出範囲Td2の境界Tctrにおいて時比率dutyが不連続となるように感温ダイオードSDの出力信号Vfが補正されることとなる。このため、パワースイッチング素子Swの実際の温度Tfが第1の検出範囲Td1及び第2の検出範囲Td2のうち一方から他方に変化すると、PWMコンパレータ18から出力されるパルス信号の時比率dutyが大きく変化する現象(以下、duty飛び)が生じる。
ここで、パワースイッチング素子Swの実際の温度Tfが第1の検出範囲Td1及び第2の検出範囲Td2のうち一方から他方に変化する状況下、フレーム生成部32において感温ダイオードSDの温度情報と併せてフレームに配置される検出範囲情報が、パワースイッチング素子Swの実際の温度に対応した情報とは異なる事態が生じ得る。これは、例えば、感温ダイオードSDの出力信号Vfがコンパレータ22を介してフレーム生成部32に伝達されるまでの時間が、感温ダイオードSDの出力信号Vfが反転増幅回路16、スイッチ26及びPWMコンパレータ18を介してフレーム生成部32に伝達されるまでの時間よりも長いことに起因して生じ得る。
duty飛びが生じる状況下、検出範囲情報がパワースイッチング素子Swの実際の温度に対応した情報とは異なる事態が生じると、温度検出処理において参照すべきマップの選択を誤ることとなる。その結果、パワースイッチング素子Swの温度検出値Tcalが実際の温度Tfから大きくずれ、パワースイッチング素子Swの温度検出精度が大きく低下する懸念がある。
これに対し、上記条件(B)を満たすように感温ダイオードSDの出力信号Vfを補正すると、duty飛びが生じない。このため、検出範囲情報が感温ダイオードSDの実際の温度に対応した情報とは異なる事態が生じる場合であっても、duty飛びに起因した温度検出精度の大きな低下を回避することができる。すなわち、検出範囲情報が適切な情報でない場合のフェールセーフを実現することができる。
ちなみに、本実施形態では、電源16dの端子電圧を調整することで上記条件(B)を満たすこととする。
以上説明したように、本実施形態では、パワースイッチング素子Swの温度検出精度を高めるための補正対象を感温ダイオードSDの出力信号Vfとした。これは、温度検出精度を高めることと、温度検出精度を高めることを簡素な構成で実現することとの両立を図るためである。
つまり、PWMコンパレータ18から出力されるパルス信号の単位時比率dutyあたりの温度検出幅を小さくすべく、例えば、搬送波生成回路30から出力される三角波信号を反転増幅回路等によって補正することも考えられる。ここで、三角波信号の周波数が非常に高いことと、反転増幅回路を構成するオペアンプの応答特性とに起因して、三角波信号の補正精度が低下する懸念がある。これに対し、感温ダイオードSDの出力信号Vfの周波数は、三角波信号の周波数よりも十分に低いことから、反転増幅回路16における上記出力信号Vfの補正精度の低下を回避できる。また、感温ダイオードSDの出力信号Vfを補正する先の図1に示した構成は通常、三角波信号の振幅や波高値等を補正する構成と比較して簡素に実現できる。こうした理由から、上記補正対象を感温ダイオードSDの出力信号Vfとしている。
続いて、図5に、本実施形態にかかる上記温度検出処理の手順を示す。この処理は、マイコン40によって例えば所定周期で繰り返し実行される。
この一連の処理では、まずステップS10において、フレームヘッダに配置される検出範囲情報に基づき、パワースイッチング素子Swの現在の温度が第1の検出範囲Td1及び第2の検出範囲Td2のうちいずれにあるかを判断する。
ステップS10において肯定判断された場合には、パワースイッチング素子Swの現在の温度Tfが第1の検出範囲Td1であると判断し、ステップS12に進む。ステップS12では、上述したように、時比率dutyが高いほどパワースイッチング素子Swの温度検出値Tcalを低く算出する。
一方、上記ステップS10において否定判断された場合には、パワースイッチング素子Swの現在の温度Tfが第2の検出範囲Td2であると判断し、ステップS14に進む。ステップS14では、上述したように、時比率dutyが高いほどパワースイッチング素子Swの温度検出値Tcalを高く算出する。
なお、ステップS12、S14の処理が完了した場合には、この一連の処理を一旦終了する。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)上記条件(A),(B)を満たすように感温ダイオードSDの出力信号Vfを補正すべく、反転増幅回路16を備えた。このため、パワースイッチング素子Swの温度検出精度を高めることができる。これにより、パワースイッチング素子Swの温度の検出誤差が小さくなることから、例えば、パワーセーブ処理における閾値温度を高精度に設定することができる。
また、上記条件(B)により、duty飛びに起因してパワースイッチング素子Swの温度検出精度が大きく低下することを回避できる。さらに、本実施形態にかかる構成によれば、パワースイッチング素子Swの温度検出精度を高めることを簡素な構成で実現することができる。
(2)温度検出範囲を上記中央値Tctrを境界として第1の検出範囲Td1と第2の検出範囲Td2とに分割した。このため、第1の検出範囲Td1及び第2の検出範囲Td2のそれぞれにおける温度検出幅を等しくすることができる。これにより、これら検出範囲Td1,Td2のそれぞれにおける温度検出精度を等しくすることができる。
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、感温ダイオードの出力信号Vfの補正手法を変更する。
図6に、本実施形態にかかるシステム構成を示す。なお、図6において、先の図1に示した部材等と同一の部材等については、便宜上、同一の符号を付している。
図示されるように、感温ダイオードSDのアノードは、オペアンプ42a、抵抗体42b〜42e及び電源42fを備えて構成される非反転増幅回路42の非反転入力端子側に接続されており、反転入力端子側は、接地されている。なお、本実施形態において、以降、非反転増幅回路42の出力信号を「Vβ+b×Vf」で示すこととする。ここで、「b」は、非反転増幅回路42における増幅率を示し、「Vβ」は、非反転増幅回路42の出力信号の接地電位「0」に対するシフト量を示す。このシフト量「Vβ」は、非反転増幅回路42の非反転入力端子側に接続された電源42fの端子電圧の調整によって調整することができる。
反転増幅回路16の出力端子又は非反転増幅回路42の出力端子は、スイッチ26を介してPWMコンパレータ18の非反転入力端子に接続可能とされている。スイッチ26は、反転増幅回路16及び非反転増幅回路42のいずれかの出力端子とPWMコンパレータ18の非反転入力端子とを選択的に接続すべく、操作部28によって操作される。本実施形態において、操作部28は、コンパレータ22の出力信号の論理が「H」であると判断した場合、反転増幅回路16の出力端子及びPWMコンパレータ18の非反転入力端子を接続するようにスイッチ26を操作し、コンパレータ22の出力信号の論理が「L」であると判断した場合、非反転増幅回路42の出力端子及びPWMコンパレータ18の非反転入力端子を接続するようにスイッチ26を操作する。
続いて、図7を用いて、本実施形態にかかる感温ダイオードSDの出力信号Vfの補正手法について説明する。ここで、図7(a),図7(b)は、先の図3(a),図3(b)に対応している。
図示されるように、本実施形態では、以下の条件(C)〜(E)を満たすように感温ダイオードSDの出力信号Vfを補正する。
(C)第1の検出範囲Td1において、パワースイッチング素子Swの実際の温度Tfが高くなるほど時比率dutyが下限値Dminから上限値Dmaxに向かって連続的に高くなるように感温ダイオードSDの出力信号Vfを補正するとの条件。
(D)第2の検出範囲Td2において、パワースイッチング素子Swの実際の温度Tfが高くなるほど時比率dutyが上限値Dmaxから下限値Dminに向かって低くなるように感温ダイオードSDの出力信号Vfを補正するとの条件。
これら条件は、上記第1の実施形態の上記条件(A)と同じ趣旨で設定される条件である。
(E)第1の検出範囲Td1及び第2の検出範囲Td2の境界TctrにおいてPWMコンパレータ18から出力されるパルス信号の時比率dutyが上記上限値Dmax「1」となるように感温ダイオードSDの出力信号Vfを補正するとの条件。
この条件は、上記第1の実施形態の上記条件(B)と同じ趣旨で設定される条件である。
ちなみに、本実施形態では、反転増幅回路16を構成する一対の抵抗体16b,16cの抵抗値及び電源16dの端子電圧と、非反転増幅回路42を構成する抵抗体42b〜42eの抵抗値及び電源42fの端子電圧との調整によって上記条件(C)〜(E)を満たすこととする。ここでは、第1の検出範囲Td1における上記入力信号Vinの傾きの絶対値と、第2の検出範囲Td2における上記入力信号Vinの傾きの絶対値とが等しくなるように、反転増幅回路16を構成する一対の抵抗体16b,16cの抵抗値を互いに同一に設定するとともに、抵抗体42b〜42eの抵抗値を設定する。
以上説明した本実施形態によっても、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態について、先の第2の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、感温ダイオードの出力信号Vfの補正手法を変更する。なお、本実施形態において、電源24の端子電圧は、パワースイッチング素子Swの実際の温度Tfが後述する規定温度Tαとなる場合における感温ダイオードSDの出力信号Vfに設定されている。また、先の図6に示した操作部28は、コンパレータ22の出力信号の論理が「H」であると判断した場合、非反転増幅回路42の出力端子及びPWMコンパレータ18の非反転入力端子を接続するようにスイッチ26を操作し、コンパレータ22の出力信号の論理が「L」であると判断した場合、反転増幅回路16の出力端子及びPWMコンパレータ18の非反転入力端子を接続するようにスイッチ26を操作する。
図8を用いて、本実施形態にかかる感温ダイオードSDの出力信号Vfの補正手法について説明する。ここで、図8(a),図8(b)は、先の図7(a),図7(b)に対応している。
図示されるように、本実施形態では、下限温度Tmin及び上限温度Tmaxにて規定されるパワースイッチング素子Swの温度検出範囲を、この温度検出範囲の中央値Tctrよりも高温側にずれた規定温度Tαを境界として第1の検出範囲Td1と、第2の検出範囲Td2とに分割する。そして、上記条件(A),(B)に加えて、以下の条件(F)を満たすように感温ダイオードSDの出力信号Vfを補正する。
(F)第1の検出範囲Td1において、パワースイッチング素子Swの実際の温度Tfが高くなるほど、PWMコンパレータ18から出力されるパルス信号の時比率dutyが上限値Dmax「1」から下限値Dmin「0」に向かって連続的に低くなるように、感温ダイオードSDの出力信号Vfを補正するとの条件。
ちなみに、本実施形態では、反転増幅回路16を構成する一対の抵抗体16b,16cの抵抗値、電源16dの端子電圧、非反転増幅回路42を構成する抵抗体42b〜42eの抵抗値及び電源42fの端子電圧の調整によってこれら条件(A),(B),(F)を満たすこととする。これにより、第2の検出範囲Td2における上記入力信号Vinの傾きの絶対値は、第1の検出範囲Td1における上記入力信号Vinの傾きの絶対値よりも大きく設定されることとなる。
以上説明した本実施形態によれば、上記第1の実施形態の(2)の効果に代えて、パワースイッチング素子Swの高温側の温度検出精度をいっそう高めることができるといった効果を得ることができる。
(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態について、先の第2の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、感温ダイオードの出力信号Vfの補正手法を変更する。なお、本実施形態において、先の図6に示した操作部28は、コンパレータ22の出力信号の論理が「H」であると判断した場合、非反転増幅回路42の出力端子及びPWMコンパレータ18の非反転入力端子を接続するようにスイッチ26を操作し、コンパレータ22の出力信号の論理が「L」であると判断した場合、反転増幅回路16の出力端子及びPWMコンパレータ18の非反転入力端子を接続するようにスイッチ26を操作する。
図9を用いて、本実施形態にかかる感温ダイオードSDの出力信号Vfの補正手法について説明する。ここで、図9(a),図9(b)は、先の図7(a),図7(b)に対応している。
本実施形態では、第1の検出範囲Td1及び第2の検出範囲Td2のそれぞれに対応する時比率dutyの範囲を変更する。詳しくは、時比率dutyの下限値Dminを「0」よりも高い値(例えば7%)に変更し、上限値Dmaxを「1」よりも低い値(例えば93%)に変更しつつ、上記条件(C)〜(E)を満たすように感温ダイオードSDの出力信号Vfを補正する。これにより、第1の検出範囲Td1における上記入力信号Vinの傾きの絶対値と、第2の検出範囲Td2における上記入力信号Vinの傾きの絶対値とが等しくなる。ここで、下限値Dmin及び上限値Dmaxの変更は、パワースイッチング素子Swの温度検出精度の低下を抑制するためである。
つまり、搬送波生成回路30から出力される三角波信号の最大値及び最小値近傍において実際の波形が理想的な波形からずれることや、コンパレータ22の応答特性に起因して、「0」又は「1」近傍の時比率dutyを有するパルス信号をPWMコンパレータ18において生成できないことがある。この場合、パワースイッチング素子Swの実際の温度Tfに対応する時比率dutyが当初想定した時比率dutyからずれ、パワースイッチング素子Swの温度検出精度が低下する懸念がある。
こうした問題に対処すべく、本実施形態では、時比率dutyの下限値Dmin及び上限値Dmaxを上記態様にて変更した。このため、本実施形態によれば、三角波信号に起因するパワースイッチング素子Swの温度検出精度の低下を抑制することができる。
(第5の実施形態)
以下、第5の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、図10に示すように、一対のパワースイッチング素子(以下、第1のパワースイッチング素子Swp、第2のパワースイッチング素子Swq)の温度情報を単一の集積回路10からマイコン40に伝達する構成を採用する。なお、これらパワースイッチング素子Swp,Swqは、実際には、互いに並列接続されている。これは、第1,第2のパワースイッチング素子Swp,Swqを構成するインバータの出力電流の最大値を大きくするためである。
なお、図10において、高電圧システムから低電圧システムに信号を伝達するための構成と、低電圧システムの構成とは先の図1と同一であることから、これらの図示を省略している。また、図10に示す部材等は、基本的には先の図1に示した部材等と同一であるが、第1のパワースイッチング素子Swpに対応する構成には、添え字「p」を付しており、第2のパワースイッチング素子Swqに対応する構成には、添え字「q」を付している。
図示されるように、PWMコンパレータ18p,18qの出力信号と、コンパレータ22p,22qの出力信号とは、フレーム生成部32に入力される。フレーム生成部32は、図11に示すように、コンパレータ22pの出力信号に基づく第1のパワースイッチング素子Swpに対応する検出範囲情報、PWMコンパレータ18pから出力されたパルス信号である第1のパワースイッチング素子Swpの温度情報、コンパレータ22qの出力信号に基づく第2のパワースイッチング素子Swqに対応する検出範囲情報、PWMコンパレータ18qから出力されたパルス信号である第2のパワースイッチング素子Swqの温度情報の順にこれら情報を1つのフレームに配置する。ここで、第1のパワースイッチング素子Swpに対応する検出範囲情報は、第1のフレームヘッダに配置され、第2のパワースイッチング素子Swqに対応する検出範囲情報は、第2のフレームヘッダに配置される。なお、本実施形態では、これら検出範囲情報として、時比率が互いに相違するものを用いている。
マイコン40は、フレーム生成部32から出力された情報に基づき、第1のパワースイッチング素子Swpの温度と、第2のパワースイッチング素子Swqの温度とを検出する温度検出処理を行う。
以上説明した本実施形態によれば、一対のパワースイッチング素子Swp,Swqの温度を的確に検出することができる。
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・「補正手段」としては、上記各実施形態に例示したものに限らない。
例えば、図12に示すように、第1の検出範囲Td1(Tmin〜Tβ)及び第2の検出範囲Td2(Tβ〜Tmax)のそれぞれに対応する時比率の範囲(Dmin〜Dmax1、Dmin〜Dmax2)の一部同士(Dmin〜Dmax2)が互いに重複するように感温ダイオードSDの出力信号Vfを補正するものであってもよい。なお、図12(a),図12(b)は、先の図8(a),図8(b)に対応している。
また、例えば、図13に示すように、第1の検出範囲Td1及び第2の検出範囲Td2の境界Tctrにおいて、時比率dutyが不連続となるように感温ダイオードSDの出力信号Vfを補正するものであってもよい。ここでは、第1の検出範囲Td1の時比率dutyの範囲を第1の下限値Dmin1「0」及び上限値Dmax「1」にて規定される範囲とし、第2の検出範囲Td2の時比率dutyの範囲を第1の下限値Dmin1よりも高い第2の下限値Dmin2及び上限値Dmaxにて規定される範囲としている。この場合、上記境界における時比率dutyの差「Dmin1−Dmin2」の絶対値が小さいほど、duty飛びに起因する温度検出精度の低下度合いが小さくなる。なお、図13(a),図13(b)は、先の図3(a),図3(b)に対応している。
さらに、時比率dutyが不連続となるように感温ダイオードSDの出力信号Vfを補正する補正手段としては、他に、図14に示すものであってもよい。この場合、第1の検出範囲Td1及び第2の検出範囲Td2のそれぞれに対応する時比率の範囲同士が互いに重複するように感温ダイオードSDの出力信号Vfを補正することとなる。こうした構成であっても、検出温度のダイナミックレンジを拡大することはできる。
・温度検出範囲の分割数としては、2つに限らず、3つ以上であってもよい。この場合であっても、パワースイッチング素子Swの現在の温度が複数に分割された温度検出範囲のうちいずれにあるかに関する検出範囲情報と、時比率とに基づき、温度を検出することができる。
・上記第1の実施形態では、検出範囲情報をフレームヘッダに配置してマイコン40に伝達させる構成を採用したがこれに限らない。例えば、フォトカプラ38とは異なる別の絶縁伝達手段(第2のフォトカプラ)を備え、コンパレータ22の出力信号を第2のフォトカプラを介してマイコン40に伝達させる構成を採用してもよい。
なお、絶縁伝達手段としては、光絶縁素子を備えるものに限らず、例えば、磁気絶縁素子(パルストランス)を備えるものであってもよい。
・温度検出処理手法としては、上記第1の実施形態に例示したものに限らない。例えば、インバータが起動されてパワースイッチング素子Swの駆動が開始されてから、パワースイッチング素子Swの温度が第1の検出範囲Td1から第2の検出範囲Td2に移行すると想定される時間の経過後、温度検出処理で用いるマップを第1の検出範囲Td1に対応するものから第2の検出範囲Td2に対応するものに切り替える手法であってもよい。この場合、検出範囲情報は必須ではない。
・上記第3の実施形態の図8において、時比率の範囲を規定する上限値Dmaxを「1」よりも低い値に設定してかつ、上記範囲を規定する下限値Dminを「0」よりも高い値に設定してもよい。
・温度検出範囲の分割手法としては、上記第3の実施形態に例示したものに限らない。例えば、上記中央値Tctrから低温側にずれた値を境界として、温度検出範囲を第1の検出範囲Td1と第2の検出範囲Td2とに分割する手法を採用してもよい。この場合であっても、第1の検出範囲Td1及び第2の検出範囲Td2のうち検出範囲が狭い方である第1の検出範囲Td1の温度検出精度をいっそう高めることができる。
・「変調手段」において用いられる搬送波としては、三角波信号に限らず、例えばのこぎり波信号であってもよい。
・温度検出処理の実行主体としては、ソフトウェア処理手段(マイコン40)に限らず、ハードウェアにて構成されるハードウェア処理手段であってもよい。
・「検出素子」としては、感温ダイオードに限らず、例えば抵抗体(測温抵抗体)であってもよい。この場合、温度検出の具体的な構成として、例えば、上記第1の実施形態において、定電流電源14の出力側に、感温ダイオードに代えて抵抗体の一端を接続し、抵抗体の他端を接地する構成を採用すればよい。こうした構成において、抵抗体は、パワースイッチング素子Swの温度と相関を有する信号(抵抗体における電圧降下量)を出力する検出素子となる。なお、ここでは、パワースイッチング素子Swの温度が高くなるほど上記電圧降下量が大きくなる。
また、検出素子としては、例えば、MOS型電界効果トランジスタであってもよい。これは、MOS型電界効果トランジスタのソース及びドレイン間に同一の電流を流す場合におけるソース及びドレイン間の電圧が温度依存性を有することに鑑みたものである。
・「所定の検出対象」であるパワースイッチング素子Swとしては、IGBTに限らず、例えばパワーMOS型電界効果トランジスタであってもよい。また、上記検出対象としては、パワースイッチング素子Swに限らない。この場合、「検出素子」としては、上記検出対象の温度と相関を有する信号を出力するものに限らず、上記検出対象の物理量と相関を有する信号を出力するものであれば、他の検出素子であってもよい。
16…反転増幅回路、18…PWMコンパレータ、30…搬送波生成回路、40…マイコン、Sw…パワースイッチング素子、SD…感温ダイオード。

Claims (11)

  1. 所定の検出対象(Sw,Swp,Swq)の物理量(Tf)と相関を有する信号(Vf)を出力する検出素子(SD,SDp,SDq)と、
    前記検出素子の出力信号と搬送波(tc)との大小比較に基づき該出力信号をパルス幅変調して出力する変調手段(18,30、18p,30p,18q,30q)と、
    前記変調手段から出力されたパルス信号の時比率(duty)に基づき、前記検出対象の物理量を検出する検出手段(40)と、
    複数に分割された前記検出対象の物理量検出範囲のそれぞれ(Td1,Td2)において該検出対象の物理量及び前記時比率が連続的に関係付けられてかつ、複数に分割された前記物理量検出範囲のそれぞれに対応する前記時比率の範囲(Dmin〜Dmax、Dmin〜Dmax1,Dmin〜Dmax2、Dmin1〜Dmax,Dmin2〜Dmax)の少なくとも一部同士が互いに重複するように前記変調手段に入力される前記検出素子の出力信号を補正する補正手段(16,42、16p,16q)と、
    を備えることを特徴とする物理量検出装置。
  2. 前記変調手段は、前記検出対象の現在の物理量が複数に分割された前記物理量検出範囲のうちいずれにあるかを識別する検出範囲情報を前記検出手段に出力する出力手段(32)を更に備え、
    前記検出手段は、前記出力手段から出力された前記検出範囲情報と、前記時比率とに基づき、前記検出対象の物理量を検出することを特徴とする請求項1記載の物理量検出装置。
  3. 前記補正手段は、複数に分割された前記物理量検出範囲のうち互いに隣接する検出範囲の境界(Tctr、Tα、Tβ)において前記検出対象の物理量と関係付けられる前記時比率が連続するように前記検出素子の出力信号を補正することを特徴とする請求項2記載の物理量検出装置。
  4. 前記物理量検出範囲は、第1の検出範囲(Td1)と、該第1の検出範囲よりも物理量の大きい第2の検出範囲(Td2)との2つに分割され、
    前記補正手段は、前記第1の検出範囲において前記検出対象の物理量が大きくなるほど前記時比率が低くなってかつ、前記第2の検出範囲において前記物理量が大きくなるほど前記時比率が大きくなるように前記検出素子の出力信号を補正することを特徴とする請求項3記載の物理量検出装置。
  5. 前記物理量検出範囲は、第1の検出範囲(Td1)と、該第1の検出範囲よりも物理量の大きい第2の検出範囲(Td2)との2つに分割され、
    前記補正手段は、前記第1の検出範囲において前記検出対象の物理量が大きくなるほど前記時比率が高くなってかつ、前記第2の検出範囲において前記物理量が大きくなるほど前記時比率が低くなるように前記検出素子の出力信号を補正することを特徴とする請求項3記載の物理量検出装置。
  6. 前記物理量検出範囲は、該物理量検出範囲の中央値(Tctr)を境界として前記第1の検出範囲と前記第2の検出範囲とに分割され、
    前記補正手段は、前記第1の検出範囲及び前記第2の検出範囲のそれぞれにおいて、前記検出対象の物理量と関係付けられる前記時比率が第1の規定値(Dmin)及び該第1の規定値よりも高い第2の規定値(Dmax)にて規定される前記時比率の範囲となるように前記検出素子の出力信号を補正することを特徴とする請求項4又は5記載の物理量検出装置。
  7. 前記物理量検出範囲は、該物理量検出範囲の中央値(Tctr)からずれた値(Tα、Tβ)を境界として前記第1の検出範囲と前記第2の検出範囲とに分割され、
    前記補正手段は、前記第1の検出範囲及び前記第2の検出範囲のそれぞれにおいて、前記検出対象の物理量と関係付けられる前記時比率が第1の規定値(Dmin)及び該第1の規定値よりも高い第2の規定値(Dmax)にて規定される前記時比率の範囲となるように前記検出素子の出力信号を補正することを特徴とする請求項4又は5記載の物理量検出装置。
  8. 前記第1の規定値は、「0」よりも高い値に設定され、
    前記第2の規定値は、「1」よりも低い値に設定されていることを特徴とする請求項6又は7記載の物理量検出装置。
  9. 前記第1の規定値は、「0」に設定され、
    前記第2の規定値は、「1」に設定されていることを特徴とする請求項6又は7記載の物理量検出装置。
  10. 前記検出対象は、複数(Swp,Swq)であり、
    前記変調手段(18p,30p,18q,30q)は、複数の前記検出対象のそれぞれの出力信号と前記搬送波との大小比較に基づき該出力信号のそれぞれをパルス幅変調して出力し、
    前記変調手段から出力された複数の前記検出対象のそれぞれに対応するパルス信号を一群の情報として出力する第2の出力手段(32)を更に備え、
    前記第2の出力手段は、前記一群の情報に含まれる前記パルス信号のそれぞれが複数の前記検出対象のうちいずれに対応するものであるかを識別する情報を前記一群の情報に含ませ、
    前記検出手段は、前記第2の出力手段から出力された前記識別する情報と、前記時比率とに基づき、複数の前記検出対象のそれぞれの物理量を検出することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の物理量検出装置。
  11. 前記検出素子は、前記検出対象の温度と相関を有する信号を出力することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の物理量検出装置。
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