JP2014015612A - 清浄剤の改良 - Google Patents

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Abstract

【課題】未反応アルキルフェノールのレベルを、清浄剤の性能を落とすことなく低減した過塩基性硫化カルシウムフェネート清浄剤の提供。
【解決手段】アルキルフェノールから製造される過塩基性硫化カルシウムフェネート清浄剤添加剤であって、未反応アルキルフェノール開始材料からのオキシアルキル化されたフェノール官能基を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は過塩基性硫化カルシウムフェネート清浄剤に関する。
硫化カルシウムアルキルフェネート清浄剤は、内燃エンジンのクランクケース潤滑油組成物のための周知の添加剤成分である。しかしながら、それらの製造に用いられるアルキルフェノールは、例えば腐食を生じさせるなどの、いくらかの望ましくない特性を有する。さらに、特定のアルキルフェノール(ノニルフェノール、テトラプロペニルフェノール)は生殖毒性物質に分類される。
そのようなフェネート清浄剤を製造するための様々な手段が当技術分野において知られており、それらは主にコロイド系(硫化フェネート界面活性剤により安定化された炭酸カルシウムのコア)と他の種を油媒体中に含む、多成分生成物をもたらす。しかしながら、アルキルフェノール開始原料は、最終清浄剤を生成する反応において完全には消費されない。
最終清浄剤中の未反応アルキルフェノールのレベルは、例えば2〜20%の範囲となることがあり、このレベルにおいて、上記の理由による課題の構成要素となりうる。したがって、これらのレベルを、性能を落とすことなく低減する必要がある。
先行技術には、この課題を解決する方法について記載されているが、それらは概して実施するのに高い費用がかかる。WO2011066115には、異性化直鎖オレフィンから誘導されたアルキル鎖を用いて合成されたアルキルフェノールを使用して、フェネートを製造する方法が記載されている。これらのアルキルフェノール生成物は、一般的な異性化工程により直鎖オレフィンから調製された部分分岐のオレフィンを用いたフェノールのアルキル化により製造され、実質的に内分泌撹乱化学物質を含まない清浄剤の製造の為のそれらの使用について記載されている。
また、多くの参考文献には、ノニルフェノール及びテトラプロペニルフェノールと組成上異なる構造を形成するアルキルフェノールの合成について記載されており、いくつかの参考文献には、さらに、これらの原料からのフェネートの合成について記載されている。US5318710、US5320762及びUS5320763には、実質的に直鎖のアルキル鎖を含むアルキルフェノールを多く含むアルキルフェノールから誘導された、第II族金属の過塩基性硫化アルキルフェノール組成物について記載されている。WO2010014829、WO2011096920、EP1108704、US20080269351及びUS20110118160は、全て、テトラプロペニルフェノール及びノニルフェノールと構造上異なるアルキルフェノールを生成することへの試みのさらなる例である。WO2011096920は、生成した組成物が、プロピレンテトラマーに基づく添加剤と比較して、添加剤の生殖毒性学的活性を減少させることについて述べている。
さらに、US20090143264は、低テトラプロペニルフェノールのフェネート生成物について記載する当技術分野の例であるが、依然としてそれをアルキルフェノール原料として用い、残存TPP含有量が2質量%未満であるHBNフェネートが調製されたことについて述べている。
本発明は、未反応アルキルフェノール中のフェノール性ヒドロキシル基と、及び場合により界面活性剤フェネート中のフェノール性ヒドロキシル基とも反応させるために、硫化カルシウムアルキルフェネート清浄剤とアルキレンカーボネートとの後処理によって上記課題に対応する。そのような反応によりフェノール基の「キャッピング」が達成でき、かつ広範囲に「調整」しうることが分かった。また、概して性能損失が生じず、清浄剤のいくつかの特性は強化されうることも分かった。
本発明は、第1の側面において、アルキルフェノールから製造される過塩基性硫化カルシウムフェネート清浄剤添加剤であって、炭酸カルシウムのコアが液体媒体中で硫化フェネート界面活性剤により安定化されたコロイド系を含み、ここで未反応アルキルフェノール開始材料中のフェノール官能基がオキシアルキル化されて下記式のオキシアルキル基:
- (R1O)n -
(式中R1はエチレン、プロピレン又はブチレンであり、nは独立して1〜10である)
を提供する、過塩基性硫化カルシウムフェネート清浄剤添加剤を提供する。
本発明は第2の側面において、本発明の第1の側面の清浄剤の製造方法であって、過塩基性硫化カルシウムフェネートをエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート又はブチレンカーボネートと反応させることを含む、製造方法を提供する。
本発明は第3の側面において、本発明の第2の側面の方法により得ることができる過塩基性カルシウムフェネート清浄剤を提供する。
本発明は、第4の側面において、
(A)多量の潤滑粘度の油;及び
(B)添加剤成分としての、少量の本発明の第1又は第3の側面の清浄剤
を含むか又は混合することにより製造される、潤滑油組成物を提供する。
本発明は、第5の側面において、内燃エンジンの表面を作動中に潤滑する方法であって、
(i)本発明の第4の側面の潤滑油組成物の、内燃エンジンのクランクケースへの提供;
(ii)エンジンの燃焼チャンバーにおける炭化水素燃料の提供;及び
(iii)燃焼チャンバーにおける燃料の燃焼
を含む方法を提供する。
本明細書において、以下の用語及び表現は、用いられる場合、以下に記載される意味を有する。
「有効成分」又は「(a.i.)」は、希釈剤又は溶媒ではない添加材料を示す。
「含む」又は任意の同種の用語は、述べられた特徴、ステップ又は整数若しくは成分の存在を特定するが、1以上の他の特徴、ステップ、整数、成分、又はそれらの群の存在又は添加を排除しない;表現「からなる」又は「から本質的になる」又は同種の表現は、「含む」又は同種の表現に包含されてもよく、ここで「から本質的になる」は、それが適用される組成物の特徴に実質的に影響を及ぼさない物質を含むことを許容する。
「多量」は、組成物の50質量%以上を意味する。
「少量」は、組成物の50質量%未満を意味する。
「TBN」は、ASTM D2896により測定される全塩基価を意味する。
さらに本明細書では、用いられる場合、
「カルシウム含有量」とは、ASTM D4951により測定される通りである。
「リン含有量」とは、ASTM D5185により測定される通りである。
「硫酸塩灰分含有量」とは、ASTM D874により測定される通りである。
「硫黄含有量」とは、ASTM D2622により測定される通りである。
「KV100」とは、ASTM D445により測定される100℃における動粘性率を意味する。
また、使用される様々な成分は、必須であり、ならびに最適及び慣習的なものであるが、配合、保存又は使用の条件下で反応することがあり、本発明はまた任意のそのような反応の結果として得ることができる又は得られた生成物を提供することも理解されよう。
さらに、本明細書で明記される量、範囲及び割合の任意の上限及び下限は、独立して組み合わせることができると理解される。
(発明の詳細な説明)
本発明の特徴は、適切である場合には、本発明の1以上の側面に関し、ここで以下により詳細に説明される。
(過塩基性硫化カルシウムフェネート清浄剤添加剤)
上記添加剤の例として、TBNが50〜400の範囲にあるものが挙げられる。
清浄剤添加剤は、フェネートが唯一の界面活性剤である添加剤でありうる。また、それは、2以上の金属界面活性剤の混合物から調製される複合/混合清浄剤であってもよく、それらの界面活性剤の少なくとも1つはフェネートであり、それらの界面活性剤の少なくとも1つはフェネートではない。そのような複合清浄剤は、界面活性剤基が過塩基化工程中に組み込まれる混合材料である。複合清浄剤の例は、当技術分野で記載されている(例えば、WO97/46643号、WO97/46644号、WO97/46645号、WO97/46646号及びWO97/46647号を参照されたい)。その他の界面活性剤又は複数の界面活性剤は、例えばスルホネート又はサリシレート又は両方でありうる。
アルキルフェノール開始材料の例として、以下が言及されうる。
(A)プロピレンベースのアルケンによるフェノールのアルキル化により調製されたフェノール。これらは、分岐鎖パラアルキル置換により特徴付けられ、ここでベンゼン環への鎖の付加はC-2又はC-3の炭素原子を介する。
(B)カシューナッツ殻液(CNSL)由来のフェノール。
アルキルフェノール材料(B)の特徴的な構造特性は、芳香環のメタ−ヒドロカルビル置換であり、置換基がその第1位(C1)の炭素原子において環に付加している。この構造特性は、化学的なアルキルフェノール合成、例えばフェノールとオレフィンとのフリーデル・クラフツ反応によっては得ることができない。後者は、典型的にはオルト及びパラアルキルフェノールの混合物をもたらし(しかし、ほんの1%ほどはメタアルキルフェノールである)、アルキル基は芳香環へ第2位(C2)以降の炭素原子において付加する。
工業用CNSLの蒸留により得られた生成物であるカルダノールは、典型的に、3-ペンタデシルフェノール(3%);3-(8-ペンタデセニル)フェノール(34-36%);3-(8,11-ペンタデカジエニル)フェノール(21-22%);及び3-(8,11,14-ペンタデカトリエニル)フェノール(40-41%)、及び少量の5-(ペンタデシル)レゾルシノール(約10%)(カルドールともいわれる)を含む。工業用CNSLは、主にカルダノールといくらかの重合材料を含む。従って、カルダノールは、かなりの量のメタ-直鎖ヒドロカルビル置換フェノールを含有するものとして表現され、ヒドロカルビル基は化学式C15H25-31を有し、芳香環へその第1位の炭素原子(C1)において付加する。
従って、カルダノール及び工業用CNSLは両方とも、長い直鎖の不飽和側鎖を有するかなりの量の材料、及び長い直鎖の飽和側鎖を有する少量の材料を含む。本発明では、フェノールの大部分、好ましくは全てが、長い直鎖の飽和側鎖を有する材料を含む材料を用いることができる。そのような後者の材料は、カルダノールの水素添加により得ることができ、好ましい例は、ペンタデシル基が直鎖であり、芳香環にその第1位の炭素原子において付加している、3-(ペンタデシル)フェノールである。それは本発明の添加剤の50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、又は90質量%以上を構成しうる。それは少量の3-(ペンタデシル)レゾルシノールを含みうる。本発明は工業用CNSLの使用を含まない。
概して、本発明は、開始材料として様々なタイプのアルキルフェノールが使用され、未反応材料(例えばそれらの構造及び製造方法の観点から)として清浄剤中に存在する、幅広い清浄剤に適用可能である。
好ましくは、フェノール官能基の25モル%より多く、例えば50モル%より多くが、モノオキシレート化される。オキシアルキル化された未反応フェノールは、例えば、下記式
Figure 2014015612
(式中、nは独立して1〜10であり、及び
R2は、9〜100、好ましくは9〜70、最も好ましくは9〜50の炭素原子を有するヒドロカルビル基である)
を有しうる。
また、硫化フェネート界面活性剤中のフェノール官能基は、オキシアルキル化されて下記式のオキシアルキル基
- (R1O)n
(式中R1はエチレン、プロピレン又はブチレンであり、nは独立して1〜10である)
を提供しうる。
フェネート界面活性剤がオキシアルキル化される場合、それは、例えば下記式
Figure 2014015612
(式中n及びR2は上記定義のとおりである)
の繰り返し単位を有しうる。
本発明の清浄剤添加剤において、未反応アルキルフェノール開始材料中のフェノール官能基の30モル%より多く、例えば40モル%より多く、例えば50モル%より多く、例えば60モル%より多く、例えば70モル%より多く、例えば80モル%より多く、例えば90モル%より多く、例えば95モル%より多くが、例えばオキシアルキル化されていてもよい。本発明の清浄剤添加剤は、未反応アルキルフェノール開始材料を5モル%未満、例えば1モル%未満、例えば0.5モル%未満、例えば0.1モル%未満含みうる。
(方法)
本発明の清浄剤添加剤は、上記の通り過塩基性硫化カルシウムフェネートをエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート又はブチレンカーボネートと反応させることにより製造される。この反応は、硫化カルシウムアルキルフェネート清浄剤を必要量の上記カーボネートの1つと、100℃を超える温度(一般的には約150〜170℃)にて、溶媒と一緒に又は溶媒なしで、カーボネートが完全に反応するまで加熱することにより行われる。
過塩基性硫化カルシウムフェネートは、過塩基化が完了した後にアルキレンカーボネートと反応させる。過塩基化は、好ましくは二酸化炭素を用いて行われる。過塩基化は、好ましくは110℃を超える温度で実施され、この温度は存在するいっさいの水の除去もする。代わりとして、存在する水及び他のどの溶媒も、真空蒸留を用いて除去することができる。過塩基性硫化カルシウムフェネートがアルキレンカーボネートと反応する前に、全ての水が除去されることが望ましく、好ましくは不可欠である。
過塩基性硫化カルシウムフェネートは、水酸化カルシウムよりも水の発生が少ない酸化カルシウムを用いて調製することが好ましい。
アルキレンカーボネートが水と反応しないことが本発明にとって不可欠である。これは、過塩基化工程(すなわち二酸化炭素の添加)が終了して過塩基性硫化カルシウムフェネート中に存在する全ての水が除去された後に、アルキレンカーボネートを添加することによって達成される。アルキレンカーボネートは、したがって、炭酸化工程が完了した後の処理後工程として添加される。
(潤滑油組成物)
これは、上記の通り、本発明の一側面である。
潤滑粘度の油は、組成物の大部分を提供し、内燃エンジンの潤滑化に適した任意の油でありうる。
それは蒸留軽油から潤滑重油の粘度範囲に及びうる。一般に、100℃で測定された際、油の粘度は2〜40mm2/秒の範囲である。
天然油としては、動物油及び植物油(例えばヒマシ油、ラード油);液体石油、及びパラフィン型、ナフテン型及び混合パラフィン-ナフテン型の水素化精製された、溶媒処理又は酸処理された鉱物油が挙げられる。石炭又は頁岩由来の潤滑粘度の油もまた、有用なベース油としての役割を果たす。
合成潤滑油としては、炭化水素油及びハロ置換炭化水素油、例えば重合した及び共重合したオレフィン(例えば、ポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレン-イソブチレンコポリマー、塩素化ポリブチレン、ポリ(1-ヘキセン)、ポリ(1-オクテン)、ポリ(1-デセン));アルキルベンゼン(例えば、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニルベンゼン、ジ(2-エチルヘキシル)ベンゼン);ポリフェニル(例えば、ビフェニル、テルフェニル、アルキル化ポリフェノール);及びアルキル化ジフェニルエーテル及びアルキル化ジフェニルスルフィド、ならびにその誘導体、類似体及び同族体が挙げられる。
アルキレンオキシドポリマー及び共重合体ならびにそれらの誘導体は、その末端ヒドロキシル基がエステル化、エーテル化などにより改質されており、既知の合成潤滑油の他のクラスを構成する。これらは、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドの重合により調製されるポリオキシアルキレンポリマー、ならびにポリオキシアルキレンポリマーのアルキル及びアリールエーテル(例えば、1000の分子量を有するメチル-ポリイソ-プロピレングリコールエーテル、又は1000〜1500の分子量を有するポリ-エチレングリコールのジフェニルエーテル);ならびにそれらのモノ及びポリカルボン酸エステル、例えばテトラエチレングリコールの酢酸エステル、混合C3-C8脂肪酸エステル及びC13オキソ酸ジエステルにより例示される。
合成潤滑油の他の適切なクラスは、ジカルボン酸(例えば、フタル酸、コハク酸、アルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸、マレイン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン酸、リノール酸ダイマー、マロン酸、アルキルマロン酸、アルケニルマロン酸)と種々のアルコール(例えば、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2-エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコール)とのエステルを含む。そのようなエステルの具体例としては、ジブチルアジペート、ジ(2-エチルヘキシル)セバケート、ジ-n-ヘキシルフマレート、ジオクチルセバケート、ジイソオクチルアゼレート、ジイソデシルアゼレート、ジオクチルフタレート、ジデシルフタレート、ジエイコシルセバケート、リノール酸ダイマーの2-エチルヘキシルジエステル、及び1モルのセバシン酸を2モルのテトラエチレングリコール及び2モルの2-エチルヘキサン酸と反応させることにより形成される複合エステルが挙げられる。
合成油として有用なエステルとしては、また、C5〜C12モノカルボン酸及びポリオール及びポリオールエステル、例えばネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタペンタエリトリトール及びトリペンタエリトリトールから製造されたものが挙げられる。
シリコンベース油、例えば、ポリアルキル-、ポリアリール-、ポリアルコキシ-又はポリアリールオキシシリコーン油及びシリケート油は、合成潤滑油の他の有用なクラスを構成し、そのような油としては、テトラエチルシリケート、テトライソプロピルシリケート、テトラ-(2-エチルヘキシル)シリケート、テトラ-(4-メチル-2-エチルヘキシル)シリケート、テトラ-(p-tert-ブチル-フェニル)シリケート、ヘキサ-(4-メチル-2-エチルヘキシル)ジシロキサン、ポリ(メチル)シロキサン及びポリ(メチルフェニル)シロキサンが挙げられる。他の合成潤滑油としては、リン含有酸の液体エステル(例えば、トリクレシルホスフェート、トリオクチルホスフェート、デシルホスホン酸のジエチルエステル)及び重合テトラヒドロフランが挙げられる。
未精製油、精製油及び再精製油を、本発明の潤滑油中で使用することができる。未精製油は、天然又は合成源から更なる精製処理なしに直接得られる油である。例えば、レトルト操作から直接得られるシェール油;蒸留により直接得られる石油;又はエステル化により直接得られ、更なる処理なしに使用されるエステル油は、未精製油である。精製油は、その油が更に1以上の精製工程において処理されて1以上の特性が改善されていることをのぞいては未精製油と同様である。多くのそのような精製技術、例えば蒸留、溶媒抽出、酸又は塩基抽出、ろ過及び浸出は、当業者に周知である。再精製油は、精製油を提供するために使用されるものと同様であるが、既に運転で使用された油を用いて開始される方法により得られる。そのような再精製油は、また、再生油又は再処理油として知られ、使用済み添加剤及び油分解生成物を除去するための技術を使用する更なる工程に付される場合が多い。
米国石油協会(API)の出版物「エンジンオイルのライセンス供与及び認可システム(Engine Oil Licensing and Certification System)」、Industry Services Department、第14版、1996年12月、補遺1、1998年12月は、ベースストックのグループを分類している。本発明の潤滑油組成物に使用しうる潤滑粘度の油の例として、90%以上の飽和物及び0.03%以下の硫黄又はこれらの混合物を含む、50質量%以上のベースストックを含む油が言及されうる。好ましくは、それは60質量%以上、例えば70、80又は90質量%以上の前記ベースストック又はそれらの混合物を含む。潤滑粘度の油は、前記ベースストック又はそれらの混合物から構成又は実質的に構成されうる。
潤滑粘度の油は、組成物の50質量%以上を提供する。好ましくは、それは組成物の60質量%以上、例えば70、80又は90質量%以上を提供する。
組成物は、本発明の清浄剤添加剤に加えて、1以上の無灰分散剤、清浄剤、腐食防止剤、酸化防止剤、流動点降下剤、磨耗防止剤、摩擦改良剤、解乳化剤、消泡剤及び粘度改良剤から選択される、本発明の添加剤とは異なる1以上の添加剤成分を含みうる。
潤滑油組成物は、例えば、船舶用ディーゼルシリンダー潤滑油(「MDCL」)又はトランクピストンエンジン油(「TPEO」)でありうる。
(エンジン)
本発明の清浄剤添加剤は、自動車用エンジン及び船舶用エンジンなどの内燃エンジン(火花点火又は圧縮点火)の範囲の潤滑油で使用されうる。後者では、2-ストローク船舶用ディーゼルクロスヘッドエンジン及び船舶用トランクピストンエンジンが言及されうる。
本発明を以下の実施例により説明するが、これに限定されるものではない。
(カルシウムフェネート清浄剤)
異なるアルキルフェノール源より製造された2つのクラスのカルシウムフェネート清浄剤を使用した。
フェネート1は、テトラプロペニルフェノールから製造され、C2又はC3の位置に付加した分岐アルキル鎖による大部分のパラアルキル置換により特徴付けられた。
フェネート2は、水素添加された蒸留カシューナッツ殻液(主に3-ペンタデシルフェノール)から製造され、C1の位置に付加した直鎖アルキル鎖による大部分のメタアルキル置換により特徴付けられた。
それぞれのクラスは2つの変種(variant)からなる:低TBN変種(例えばフェネート1 LBN)、及び高BN変種(例えばフェネート1 HBN)。それぞれの変種は、下記の結果の段落中の表にも示されるように、未キャップ形態(参照として)において、及び種々割合のエチレンカーボネートでキャップされた場合において試験した。
調製方法:硫化工程及び炭酸化工程は、別々の段階(「フェネート2」のため)、又は同時(「フェネート1」のため)のどちらでも実施した。硫化工程及び炭酸化工程の温度範囲は、115℃〜215℃であった。全ての場合において使用した反応装置は、水などの副生成物が、硫化段階及び炭酸化段階を通じて蒸留により反応から除去されるようにした。炭酸化工程が完了した時点での追加処理(真空蒸留)により、残存している水が反応溶媒と一緒に除去されることを確実にした。
テトラプロペニルフェノールを用いて合成されるフェネート1(LBN及びHBN)は、インフィニューム(Infineum)の製造工場(Bayway)から得られ、以下の手順により合成された。
・テトラプロペニルフェノール、イソデカノール(反応溶媒)、エチレングリコール及び消泡剤を反応装置に入れ、50℃まで加熱した。
・この混合物を90℃まで加熱し、その間に元素硫黄及び酸化カルシウムをこの混合物に加えた。
・90℃となった時点で、更なるエチレングリコール及びベース油を必要に応じて加え、温度を115℃まで上昇させた。
・CO2の添加を115℃で開始し、6〜8時間にわたって添加して、温度を190〜215℃まで上昇させた。
・炭酸化が完了した後、反応混合物を210〜215℃に加熱又は保持し、真空にして反応溶媒と水を除去した。
水素添加された蒸留カシューナッツ殻液を用いて合成されるフェネート2(LBN及びHBN)は、以下の方法を用いて実験室内で合成された。
・予備加熱した水素添加されたCNSL、イソデカノール(反応溶媒)、ベース油(反応溶媒及び希釈剤)、消泡剤、元素硫黄(50℃で添加)及びCaO(酸化カルシウム)を、反応装置に入れた。
・初めから終わりまでこれを撹拌しながら30分で140℃まで加熱した。
・EG(エチレングリコール−反応促進剤及び溶媒)を140℃で滴下して加えた。
・最高175℃まで加熱を継続し、2時間保持した。
・補助界面活性剤及び追加のCaO及びEGを加えた。
・水は25分後に除去された。
・CO2を175℃で2〜6時間にわたり添加した。
・反応混合物を最高210℃まで加熱し、真空にして反応溶媒と水を除去した。
過塩基性硫化カルシウムフェネート清浄剤の試料を秤量して1,3-ジオキソラン-2-オン(エチレンカーボネート)と共に反応装置内に入れ、およそ1時間にわたり165℃まで加熱した。反応は、エチレンカーボネートが十分に反応(赤外線により確認した)するまで165℃で維持した。反応完了後、反応生成物を冷却した。
いずれの場合でも、ろ過又は遠心分離、及び油中での希釈(必要に応じて)により生成物の合成を完了させ、これらは真空蒸留の完了後又はエチレンカーボネートとの反応が完了に至った後のどちらかに行った。
(結果)
(分析)
キャップ及び未キャップの変種をそれらのキャッピング%(HPLCによる)、TBN、KV100及び24時間ヘプタン安定性を測定することにより評価した。結果を以下の表1に示す。
EC=エチレンカーボネート
DDP=ドデシルフェノール
PDP=3-ペンタデシルフェノール
上記の比率は、硫化カルシウムフェネート清浄剤中に存在するアルキルフェノールの計算値を用いた当量比である(開始材料中の質量%が下記の表1に示される)。
Figure 2014015612

Figure 2014015612

Figure 2014015612

Figure 2014015612
ダッシュ記号は特性が測定されなかったことを表す。
上記データは、粘度及び安定性といった特性に悪影響を及ぼすことなく、有意なキャッピングを得ることができることを示す。いくつかの場合においては、それらの特性は改善される。データはまた、キャッピング反応がフェノール源に関して選択的であることを示す。したがって、フェネートがPDPベースの場合には、フェネートがDDPベースの場合よりも、より多くのECが前記(say)95%キャッピングを達成するのに必要とされる。しかしながら、要求特性を得るためには、異なるレベルにおいてキャップすることが可能なようである。
(ベンチ試験データ:パネルコーカー試験)
特定の試験用フェネートを9.125%の量で処方中に混合した。処方はフェネートの属性に関する以外は同一であった。以下に述べるように処方をパネルコーカー試験に供した。
潤滑油は熱いエンジン表面上で劣化し、エンジンの性能に影響を及ぼしうる沈着物を残しうる。パネルコーカー試験では、一般的な条件をシミュレートしてそのような沈着物を形成する油の性質について測定する。試験では、廃液含有油中の金属のくしのようなスプラッシャー装置を回転させることによって、加熱した金属板上に油をスプラッシュする。試験期間の最後に、形成した沈着物は板の外観の「評点」により評価しうる。
試験方法の概略は以下のとおりである。
・225mlの油を油浴中で100℃まで加熱する。
・加熱したアルミニウムパネルを油浴の上に斜めに配置し、320℃の温度に維持する。
・このパネルに対して油を15秒間スプラッシュし、次に45秒間スプラッシュを停止する。
・この断続的スプラッシュのサイクルを1時間継続する。
・その後パネルを変色について評点付けする。
評点付けは、コンピューター制御の写真装置(「Cotateur」)を含むシステムを用いて測定される。このプログラムは、0〜10の評点を与えるため、変色の度合及び被覆面積の両方を見る。
高い値ほどよりよい性能を示す。
結果を以下の表2にまとめる。
Figure 2014015612

Figure 2014015612
表2のデータは、パネルコーカーの結果においては、キャッピングにより生じる悪影響がないことを表し、いくつかの場合においては、改善が示されている。
(腐食試験:未キャップ及びキャップフェノール)
3-ペンタデシルフェノール及びテトラプロペニルフェノール(tetrepropenylphenol)、ならびにエチレンカーボネートでキャッピングされたそれらのそれぞれの誘導体を、約0.3質量%の処理割合にて同一潤滑油組成物中にそれぞれ混合した。組成物をASTM D6594による高温腐食ベンチ試験に供した。結果を以下の表に示す。
Figure 2014015612
結果は、キャッピングが鉛腐食特性を有意に改善することを表し、かつキャッピングが銅の腐食特性に悪影響を及ぼさないことを表している。

Claims (17)

  1. アルキルフェノールから製造される過塩基性硫化カルシウムフェネート清浄剤添加剤であって、炭酸カルシウムのコアが液体媒体中で硫化フェネート界面活性剤により安定化されたコロイド系を含み、ここで未反応アルキルフェノール開始材料中のフェノール官能基がオキシアルキル化されて下記式のオキシアルキル基
    - (R1O)n -
    (式中R1はエチレン、プロピレン又はブチレンであり、nは独立して1〜10である)
    を提供する、過塩基性硫化カルシウムフェネート清浄剤添加剤。
  2. 硫化フェネート界面活性剤中のフェノール官能基がオキシアルキル化されて下記式のオキシアルキル基
    - (R1O)n -
    (式中R1はエチレン、プロピレン又はブチレンであり、nは独立して1〜10である)
    を提供する、請求項1に記載の清浄剤添加剤。
  3. フェノール官能基の25モル%より多く、例えば50モル%より多くが、モノオキシアルキル化されている、請求項1又は2に記載の清浄剤添加剤。
  4. オキシアルキル化された未反応フェノールが下記式
    Figure 2014015612
    (式中R2が9〜100、好ましくは9〜70、最も好ましくは9〜50の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、nは独立して1〜10である)
    を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の清浄剤添加剤。
  5. オキシアルキル化された硫化フェネート界面活性剤が下記式
    Figure 2014015612
    (式中R2が9〜100、好ましくは9〜70、最も好ましくは9〜50の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、nは独立して1〜10である)
    の繰返し単位を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の清浄剤添加剤。
  6. R2が分岐鎖パラ置換基である、請求項4又は請求項5に記載の清浄剤。
  7. アルキルフェノールがテトラプロペニルフェノールである、請求項6に記載の清浄剤。
  8. R2が直鎖メタ置換基である、請求項4又は請求項5に記載の清浄剤。
  9. アルキルフェノールが、蒸留された、水素添加されたカシューナッツ殻液である、請求項8に記載の清浄剤。
  10. 未反応アルキルフェノール開始材料中のフェノール官能基の30モル%より多く、例えば40モル%より多く、例えば50モル%より多く、例えば60モル%より多く、例えば70モル%より多く、例えば80モル%より多く、例えば90モル%より多く、例えば95モル%より多くがオキシアルキル化されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の清浄剤。
  11. 未反応アルキルフェノール開始材料を5モル%未満、例えば1モル%未満、例えば0.5モル%未満、例えば0.1モル%未満含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の清浄剤。
  12. 2以上の金属界面活性剤の混合物から調製される複合/混合清浄剤の形態であり、界面活性剤の少なくとも1つがフェネートであり、かつ界面活性剤の少なくとも1つがフェネートではない、請求項1〜11のいずれか1項に記載の清浄剤。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の清浄剤の製造方法であって、過塩基性硫化カルシウムフェネートをエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート又はブチレンカーボネートと反応させることを含み、好ましくは、及び必要に応じて、反応は過塩基性硫化カルシウムフェネート中に存在する全ての水が除去された後に行われる、製造方法。
  14. 請求項13に記載の製造方法により得ることができる、過塩基性カルシウムフェネート清浄剤。
  15. (A)多量の潤滑粘度の油;及び
    (B)添加剤成分としての、少量の請求項1〜12及び14のいずれか1項に記載された清浄剤
    を含むか又は混合することにより製造される、潤滑油組成物。
  16. 1以上の無灰分散剤、清浄剤、腐食防止剤、酸化防止剤、流動点降下剤、磨耗防止剤、摩擦改良剤、解乳化剤、消泡剤及び粘度改良剤から選択される、(B)とは異なる1以上の添加剤成分をさらに含む、請求項15に記載の組成物。
  17. 内燃エンジンの表面を作動中に潤滑する方法であって、
    (i)請求項15又は請求項16に記載の潤滑油組成物の、内燃エンジンのクランクケースへの提供;
    (ii)エンジンの燃焼チャンバーにおける炭化水素燃料の提供;及び
    (iii)燃焼チャンバーにおける燃料の燃焼
    を含む、方法。
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