JP2014014776A - 電気透析装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】液漏れ防止に加え、濃縮室での漏電防止、脱塩室の低電気抵抗化、さらには脱塩室での流路の目詰まり防止が効果的に実現されているフィルタープレス型の電気透析装置を提供する。
【解決手段】陰極板50aと陽極板50bとの間の空間に、陽イオン交換膜Cと陰イオン交換膜Aとが間にガスケットスペーサー10を挟んで交互に配置され、陽極板側の陰イオン交換膜と陰極板側の陽イオン交換膜との間に脱塩室25が形成され、陽極板側の陽イオン交換膜と陰極板側の陰イオン交換膜との間には濃縮室27が形成されている。脱塩室用のガスケットスペーサー10bは、ネット1の厚みDがガスケット枠3の厚みtよりも薄く、濃縮室用のガスケットスペーサーは、ネットの周囲がガスケット枠に埋め込まれ且つ扁平状に押し潰されての熱融着により固定された一体化構造を有しており、且つネットの厚みDがガスケット枠の厚みよりも厚く形成されている。
【選択図】図7

Description

本発明は、フィルタープレス型の電気透析装置に関するものであり、より詳細には、ネットとガスケット枠とが一体化されたガスケットスペーサーが使用されているフィルタースペース型の電気透析装置に関する。
電気透析による電解質溶液の脱塩技術は、かん水の脱塩を目的として1950年代に最初に開発された技術であり、その後、食塩の製造を目的とする海水濃縮、醤油やホエーの脱塩、各種化学製造プロセスの合理化、廃水処理、ワイン中の不純物の分離など、さまざまな電解質溶液からの脱塩に利用されている。
上記のような電気透析に用いる電気透析装置は、一対の電極の間に、多数のガスケットスペーサー(室枠とも呼ばれている)が重ねて配置されており、互いに隣り合う室枠の間には、アニオン交換膜或いはカチオン交換膜が挟持され、全体としてアニオン交換膜とカチオン交換膜とが交互に位置するように配置され、各ガスケットにアニオン交換膜とカチオン交換膜とによって区画されたイオン交換室(通電部)が形成されることとなる。このようなイオン交換室は、負極側にカチオン交換膜が位置し且つ正極側にアニオン交換膜が位置している室が脱塩室となり、負極側にアニオン交換膜が位置し且つ正極側にカチオン交換膜が位置している室が濃縮室となり、脱塩室と濃縮室とが交互に配置された構造となっている。即ち、脱塩室に処理液(電解質液)を循環供給しながら通電を行うと、脱塩室に供給された処理液中のカチオンはカチオン交換膜を通って隣の負極側の濃縮室に移行し、該処理液中のアニオンはアニオン交換膜を通って隣の正極側の濃縮室に移行することとなる。このようにして、脱塩室に処理液を循環供給すると同時に濃縮室に塩水溶液を循環すると、処理液の脱塩が行われると同時に、塩濃度が増大した濃縮液を得ることができるのである。
ところで、ガスケットスペーサーは、矩形状のガスケット枠とガスケット枠で囲まれた空間部に配置されるネット(即ち、線条体が網目状に交差したもの)とから構成されている。即ち、ガスケット枠で囲まれた空間が脱塩室や濃縮室などのイオン交換室となり、ガスケットスペーサーの両隣に位置するイオン交換膜同士の接触を防止するために、ネットが設けられるわけである。
従来、上記のようなガスケットスペーサーでは、樹脂かゴム製のガスケット枠と、ガスケットスペーサーを個々に配置して一体化されていないもの、又は、特許文献1に示されているようなガスケット枠とスペーサーを個々に配置した後、ガスケット枠の内周縁とスペーサーを部分的に接着させた構造のものが殆どであった。しかし、それらは、完全に一体化したものではなく、取り扱いに不便な上、部分的に接着させる作業は煩雑であった。
また、特許文献2には、繊維部材(ネット)をガスケット枠に熱溶接した一体化構造のものも提案されている。
特公平6−55261号公報 特開2009−536094号公報
ネットがガスケット枠に熱溶接されている一体化構造のガスケットスペーサーは、取り扱いが容易であり、イオン交換膜の間にガスケットスペーサーを挟んでの電気透析装置の組み立て作業を容易に行うことができるという利点がある。
しかしながら、上記のような一体化構造のガスケットスペーサーでは、ガスケット枠の表面平滑性が損なわれてしまっている。従って、これを用いて形成された電気透析装置では、イオン交換膜を挟んでいる隣り合うガスケットスペーサーのガスケット枠との間に隙間が生じ、この部分から液洩れを生じ易くなるなどの不都合を生じている。
また、電気透析装置の脱塩室には処理液が導入されるが、脱塩室中の処理液に含まれるイオンは、電気透析の進行に伴い、これに隣接している濃縮室に移行する。このため、脱塩室中の処理液のイオン濃度は低下していくため、その電気抵抗は高くなる。一方、濃縮室中の液のイオン濃度は増大していくため、その電気抵抗は低くなる。従って、効率のよい電気透析を行うためには、脱塩室では、その幅を小さくすると同時に、濃縮室では、その幅を大きくすることにより、全体の大きさを変更せずにセルの低電気抵抗化を図ることができる。従って、脱塩室に配置されるガスケットスペーサーでは、スペーサーとして機能するネットの厚み(脱塩室の幅に相当)を薄くすることが望ましく、一方、濃縮室に配置されるガスケットスペーサーでは、ネットの厚み(濃縮室の幅に相当)を厚くすることが求められる。
さらに、脱塩室には、処理液が循環して供給されるため、フィルターを通しているとしても、細かな微粒の異物を含んでいる。従って、このような微粒の異物による目詰まりなどを防止するために、脱塩室に配置されるガスケットスペーサーでは、ガスケット枠の厚みを厚くすることが求められる。このガスケット枠には、脱塩室に処理液を供給しさらには排出するための流路が形成されるため、ガスケット枠を厚くすることにより流路幅を大きくし、目詰まりを防止することができるからである。これに対して、濃縮室では、イオン濃度が高く、低電気抵抗であるため、ガスケット枠の厚みは薄いことが望まれる。ガスケット枠の厚みが厚くなると、濃縮室に液を循環させるための流路の幅が大きくなり、漏電を生じ易くなってしまうからである。
このように、脱塩室に用いられるガスケットスペーサーについては、ネットの厚みを薄く且つガスケット枠を厚くすることが好ましく、濃縮室に用いられるガスケットスペーサーについては、ネットの厚みを厚く且つガスケット枠を薄くすることが好ましいのであるが、従来公知の一体化構造のガスケットスペーサーでは、このような要求を十分に満足させることが困難であるというのが実情である。即ち、ネットをガスケット枠に熱接合したに過ぎない一体化構造のガスケットスペーサーでは、スペーサーとして機能するネットとイオン交換膜を挟持するガスケット枠の厚みとに大きな差が生じているため、電気透析装置を組み立てた時、イオン交換膜が大きく歪んでしまい、やはり液の漏洩を生じ易くなったり、また膜寿命も短くなってしまうからである。
また、脱塩室用ガスケットスペーサーのガスケット枠の厚みと濃縮室用ガスケットスペーサーのガスケット枠の厚みとに大きな差をつけることは望ましくない。これらガスケット枠の厚みは、それぞれ脱塩室に液を循環させるための流路幅に相当し、従って、ガスケット枠の厚みが大きく異なると、脱塩室に循環する液量と濃縮室に循環する液量とをバランスよく設定することが困難となってしまうためである。即ち、ガスケット枠の厚みについては、これを大きく変動させることはできないという制限があり、このような制限も、上述したガスケットスペーサーに対する要求を満足させることができないことの一因となっている。
従って、本発明の目的は、ネット(スペーサー)とガスケット枠とが一体化された構造のガスケットスペーサーを使用していながら、液漏れ防止に加え、濃縮室での漏電防止、脱塩室の低電気抵抗化、さらには脱塩室での流路の目詰まり防止が効果的に実現されているフィルタープレス型の電気透析装置を提供することにある。
本発明者等は、一体化ガスケットスペーサーについての検討を重ね、特願2011−255780により、高周波誘電加熱による内部加熱を利用してスペーサーとして機能するネットの周囲部分がガスケット枠に埋め込まれた形で熱融着されている構造の一体化ガスケット製造することを提案したが、本発明は、このようにして製造される一体化ガスケットが組み込まれた電気透析装置を提供するものである。
即ち、本発明によれば、陰極板と陽極板との間の空間に、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とが間にガスケットスペーサーを挟んで交互に配置され、陽極板側の陰イオン交換膜と陰極板側の陽イオン交換膜との間に脱塩室が形成され、陽極板側の陽イオン交換膜と陰極板側の陰イオン交換膜との間には濃縮室が形成されているフィルタープレス型の電気透析装置において、
前記ガスケットスペーサーは、熱可塑性プラスチックのネットと、該ネットの周囲に位置するガスケット枠とからなり、該ガスケット枠に、前記脱塩室または濃縮室に液を供給し或いは排出するための流路が形成されており、
前記ネットは、通電部に位置するネット本体と、前記ガスケット枠で保持されるネット本体周縁部とからなり、
前記脱塩室に配置されるガスケットスペーサーでは、前記ネット本体の厚みが、前記ガスケット枠の厚みよりも薄く形成されており、
前記濃縮室に配置されるガスケットスペーサーは、前記ネット本体周縁部がガスケット枠に埋め込まれ且つ扁平状に押し潰されての熱融着により固定された一体化構造を有しており、且つ前記ネット本体の厚みが前記ガスケット枠の厚みよりも厚く形成されていることを特徴とするフィルタープレス型の電気透析装置が提供される。
本発明においては、
(1)前記脱塩室に配置されるガスケットスペーサーでは、前記ガスケット枠の厚みが、前記濃縮室に配置されるガスケットスペーサーのガスケット枠の厚みよりも厚く形成されていること、
(2)前記脱塩室に配置されるガスケットスペーサーも、前記ネット本体周縁部がガスケット枠に埋め込まれ且つ扁平状に押し潰されての熱融着により固定された一体化構造を有していること、
が好ましい。
本発明の電気透析装置においては、濃縮室に配置されるガスケットスペーサーが一体化構造を有するものであるが、この一体化ガスケットスペーサーにおいては、ネット本体周縁部がガスケット枠に埋め込まれた状態にあり、しかもこのネット本体周縁部は扁平状に押し潰された形態を有している。このことから理解されるように、ネット本体の周縁部を熱融着させたことによるガスケット枠の表面平滑性の低下は有効に回避されており、従って、イオン交換膜をしっかりと挟持することができ、ガスケットスペーサー間からの液漏れは有効に防止されている。
さらに、濃縮室に配置される上記の一体化スペーサーでは、ネット本体の厚み(濃縮室の幅に相当)が前記ガスケット枠の厚み(濃縮室に出入りする液の流路幅に相当)よりも厚く形成されている。従って、濃縮室に液を循環させるための流路の幅(ガスケット枠の厚み)を大きくすることなく、濃縮室の幅(ネット本体の厚み)を厚くするという濃縮室に対する要求を満足させることができる。しかも、ネット本体周縁部はガスケット枠の内部に埋め込まれているため、ガスケット枠とネットとの間に厚みの差があるにもかかわらず、ガスケット枠の表面からネットの表面に沿って挟持されるイオン交換膜の歪は極めて小さく、イオン交換膜の歪による液漏れも防止でき、さらにはイオン交換膜の低寿命化も有効に回避できる。
本発明においては、脱塩室に用いるガスケットスペーサーは、ネット本体の厚みがガスケット枠の厚みよりも薄く形成されており、脱塩室の幅に相当するネット本体の厚みを薄くするという脱塩室用スペーサーについての要求を満足させることができ、これにより脱塩室幅を小さくし、脱塩室の高電気抵抗化を有効に緩和することができる。
また、本発明では、濃縮室用ガスケットスペーサーのガスケット枠の厚みを、濃縮室での漏電を効果的に抑制することができる程度に薄く設定しておくことが好ましく、これにより、塩室用ガスケットスペーサーのガスケット枠の厚みを大幅に変動させず、多少厚くする程度で脱塩室に連なる流路での目詰まりを効果的に防止することができ、しかも、ネット本体の厚みを、濃縮室用ガスケットスペーサーの方が脱塩室用ガスケットスペーサーよりも厚くすることができ、これにより透析装置全体の厚み(電極間距離)の大きな変動を回避し、透析時の電流(電極間抵抗)を大きく変動させることなく、濃縮室での漏電や脱塩室の高電気抵抗化を有効に抑制することができる。
さらに、本発明では、脱塩室に用いるガスケットスペーサーにおいてもネットとガスケット枠を一体化した構造のものを使用することが好ましく、液の目詰まりが生じない程度にガスケット枠の厚みを設定し、且つネット本体の厚み(脱塩室幅)を薄くするという脱塩室に対する要求を満足させることができ、しかも、挟持されるイオン交換膜の歪も小さく、イオン交換膜の歪による液漏れや低寿命化が有効に回避できる。
このように、本発明の電気透析装置では、スペーサーとして機能するネットがガスケット枠に一体化した構造のガスケットスペーサーが使用されているにもかかわらず、濃縮室、さらには脱塩室に対する要求を満足させることができ、液漏れ防止に加え、濃縮室での漏電防止、脱塩室の低電気抵抗化、さらには脱塩室での流路の目詰まり防止を実現でき、イオン交換膜の低寿命化も防止でき、取り扱いが容易な一体化ガスケットを使用して、電気透析装置への組み立て作業も容易に行うことができる。
本発明に用いる一体化ガスケットスペーサーの概略平面図である。 図1のガスケットスペーサーの熱融着部でのネットを形成する線条体の断面をガスケット枠と共に示す部分拡大断面図である。 本発明の電気透析装置で使用される濃縮室用一体化ガスケットスペーサーの平面図(A)及び側面図(B)である。 本発明の電気透析装置で使用される脱塩室用一体化ガスケットスペーサーの平面図(A)及び側面図(B)である。 電気透析装置の原理を説明するための説明図である。 本発明の電気透析装置の概略側断面構造を示す分解図である。 本発明の電気透析装置の概略側断面構造を示す組み立て図である。
<ガスケットスペーサーの構造>
本発明で用いる一体化ガスケットスペーサーの概略平面を示す図1を参照して、全体として10で示すガスケットスペーサーは、直径が0.4乃至1.4mm程度の多数の線条体Qを交差させ、交差部で互いに接合することにより形成されているネット1と、これを取り囲んでいるガスケット枠3とから形成されている。このようなネット1及びガスケット枠3は何れも熱可塑性プラスチック製であり、ネット1の周囲は、ガスケット枠3の内部で熱融着されて固定されている。
また、ネット1は、電気透析装置に組み込まれたときに通電部に位置するネット本体1aと、その周囲の周縁部1bとからなっており、この周縁部1bは、ガスケット枠3で保持される部分(即ち、熱融着される部分)である。
電気透析装置は、大まかに言って、上記のようなガスケットスペーサー10とイオン交換膜(アニオン交換膜及びカチオン交換膜)とを交互に配設し、ガスケットスペーサー10によって間のイオン交換膜を挟持することにより構成される。即ち、ガスケットスペーサー10のガスケット枠3で囲まれているネット本体1aで確保されている空間がイオン交換室となり、ネット1(ネット本体1a)により、隣り合うイオン交換膜の接触を確実に防止することができるわけである。
熱融着部での線条体Qの横断面を示す図2を併せて参照し、本発明で用いる一体化ガスケットスペーサー10は、それぞれ、厚みが0.1乃至1.0mm程度の2枚の枠シート3a,3bを貼り合せた状態での熱融着によりガスケット枠3を形成するに際し、その間にネット1の周囲を挟んだ状態で熱融着を行うことにより製造される。
本発明においては、このような熱融着により、ネット1を形成している線条体Qの横断面は偏平化して楕円形状となる。この熱融着部での偏平化した線条体Qの断面形状は、図2においてQ’で示されている。
即ち、このような偏平化が生じるような熱融着によって、線条体Qとガスケット枠3(枠シート3a,3b)とが、枠シート3a、3b同士の熱融着を妨げることなく、適度に融着して固定される。例えば、このような熱融着は、熱融着条件(熱融着手段、温度、圧力など)を調整して、偏平化している線条体Q’の厚みdが、熱融着されていない線条体Qの厚みD(ネット本体1aの厚みに相当)の10乃至60%、特に20乃至40%の範囲となる程度に行われることが好適である。尚、これらの厚みd及びDは、何れも線条体が交差していない部分での厚みである。
上記の融着部での線条体Q’の厚みdが小さすぎると、熱融着が過度に行われたこととなり、ガスケット枠3の寸法安定性が損なわれ、ガスケット枠3の形状が歪んだり、或いは表面にシワが発生するなどして表面平滑性が損なわれてしまう。このような変形や表面平滑性の低下は、ガスケットスペーサーに要求されるシール性の大きな低下を招いてしまう。また、融着部での線条体Q’での厚みdがさほど小さくなっていない場合には、偏平化が不十分であり、そのような融着では、ネット1(線条体Q)とガスケット枠3との接合強度が不十分となり、ネット1のガスケット枠3からの脱離等が生じ易くなってしまう。
上記のようなガスケットスペーサー10では、電気透析装置内に配置される位置に応じて、ネット1(ネット本体1a)の厚みD及びガスケット枠3の厚みtが設定される。
例えば、図3は、濃縮室用一体化ガスケットスペーサー10(10a)の平面図(図3(A))及び側面図(図3(B))であるが、この場合には、ネット1(ネット本体1a)の厚みDは、ガスケット枠3の厚みtよりも厚く設定される。即ち、厚みの厚いネット1を使用し、2枚のガスケット枠シート3a,3bの間にネット1を挟み、圧着しながらネット1の誘電加熱を行うことにより、ネット1(ネット本体1a)の厚みDをガスケット枠3の厚みtよりも厚くすることができる。即ち、このような形態の一体化ガスケットスペーサー10(10a)が、電気透析装置の濃縮室用に使用される。
また、図4は、脱塩室用一体化ガスケットスペーサー10(10b)の平面図(図4(A))及び側面図(図4(B))であるが、この場合には、ネット本体1aの厚みDは、ガスケット枠3の厚みtよりも薄く設定される。即ち、厚みが薄いネット1を使用し、2枚のガスケット枠シート3a,3bの間にネット1を挟み、圧着しながらネット1の誘電加熱を行うことにより、ネット本体1aの厚みDをガスケット枠3の厚みtよりも薄くすることができる。このような形態の一体化ガスケットスペーサーは、電気透析装置の脱塩室用として好適に使用される。
即ち、電気透析装置の脱塩室は、イオンが抜けていくため高電気抵抗であり、一方濃縮室にはイオンが導入されていくため、電気抵抗が低い。従って、図4のガスケットスペーサー10bを脱塩室に配置することにより、脱塩室の幅(厚み)を小さくして低抵抗化を図り、同時に、図3のガスケットスペーサー10aを濃縮室に配置することにより、濃縮室の幅(厚み)を大きくして、全体厚みを一定に維持しながら、低電気抵抗化を図り、効率の良い電気透析を行うことが可能となる。
本発明においては、上記のような程度でネット1の周縁部1bで熱融着を行うため、当然、ネット1及びガスケット枠3(枠シート3a,3b)としては何れも熱可塑性プラスチック製のものが使用される。
ネット1(線条体)の形成素材である熱可塑性プラスチックとしては、電気絶縁性であり、所定の強度が確保される限り、特に制限されず、種々の熱可塑性樹脂、例えば、以下のものを1種単独、或いは2種以上を混合したブレンド物の形で使用することができる。
オレフィン系樹脂;
低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、
ポリ4−メチル−1−ペンテンあるいはエチレン、プロピレン、1−ブテン、
4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダムあるいはブロック
共重合体や、環状オレフィン共重合体など。
エチレン・ビニル系共重合体樹脂;
エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、
エチレン・塩化ビニル共重合体等。
スチレン系樹脂;
ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、
α−メチルスチレン・スチレン共重合体等。
ビニル系樹脂;
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、
ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等。
本発明においては、これらの熱可塑性樹脂の中でもオレフィン系樹脂などが好適である。
上記のような熱可塑性樹脂の線条体によるネット1の形成は、種々の方法で行うことができ、例えば熱可塑性樹脂の糸(ヤーン)の織成方法(平織、綾織、朱子織など)を、特に限定されないが、生産性等の観点から、熱可塑性樹脂の一体押出成形により作製することが好ましい。このような一体押出成形は、例えば特公昭34−4185号公報や特開昭53−49170号公報などに記載された公知の方法で行うことができる。
また、ガスケット枠3用の熱可塑性プラスチックも電気絶縁性を有するものであるという点においてはネット1用の熱可塑性プラスチックと同様であるが、シール性の観点からゴム弾性を有するもの或いは比較的柔軟なもの、具体的には熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニルが好適である。このような熱可塑性エラストマーとしては、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体ゴム、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体ゴム等の各種のゴム成分を、スチレン系樹脂、塩化ビニル樹脂、オレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂に微分散させたものを例示することができ、前述したネット用の熱可塑性樹脂の種類に応じて、適宜のものが使用される。例えば、ネット用の熱可塑性樹脂と融点が近い熱可塑性エラストマーが好適に使用される。
本発明においては、硬度(JIS A)が60乃至90度程度のポリ塩化ビニルシートや熱可塑性エラストマーシートが好適である。
本発明において、前述した図3或いは図4に示されている形態の一体化ガスケットスペーサー10a,10bを形成するための熱融着は、高周波誘電加熱により実施される。即ち、加熱されたプレートを用いて熱圧着するホットプレスなどの方法では、熱融着を行ったとき、ガスケット枠シート3a,3bの外面が内面よりも高温に加熱されてしまい、この結果、ガスケット枠シート3a,3bの形状を維持しつつ、間に挟まれているネット1の線条体の偏平化を行うことができない。前述した偏平化が行われるようにすると、ガスケット枠シート3a,3bが溶融して変形してしまうからである。これに対して、高周波誘電加熱は、樹脂の内部摩擦により加熱が行われるため、ガスケット枠シート3a,3bの内面やネット1の線条体を選択的に加熱することができ、ガスケット枠シート3a,3bの変形などを有効に回避することができる。
高周波誘電加熱は、一対の電極(電極金型)の間に前述したネット1の周縁部1bを挟み込んでいるガスケット枠シート3a,3bを配置し、この電極でプレスしながら高周波電流を印加することにより行われる。加熱条件は、ガスケット枠シート3a,3bやネット1(線条体)の材質や厚み等によって異なり、一概に規定することはできないが、一般的には、周波数が1乃至300MHz、より好ましくは、5乃至50MHz、電流値が1乃至3A程度、より好ましくは、1.5乃至2.5A、プレス圧が0.1乃至20kg/cm程度、より好ましくは、2乃至10kg/cm、加熱時間は30乃至180秒程度、より好ましくは、30乃至100秒である。また、電極の間にPETシートやポリイミドシートなどの離型性シートを配置して高周波誘電加熱を行うこともできる。
上記のような高周波誘電加熱により熱融着処理を行った後、打ち抜き加工により、ガスケット枠3の所定位置に処理液を流す開口41,43やイオン交換室への配流部となる連通孔X,Yを穿孔することにより、前述した構造の濃縮室用或いは脱塩室用のガスケットスペーサーを得ることができる。
かかるガスケットスペーサーは、イオン交換膜と共に、以下の構造の電気透析装置の形成に使用される。
<電気透析装置>
上述したガスケットスペーサーを用いて形成される電気透析装置の原理を説明するための図5を参照して、電気透析装置では、負極(−)と正極(+)との間にカチオン交換膜Cとアニオン交換膜Aとが交互に配置されており、これらのイオン交換膜の間にイオン交換室が形成されている。即ち、このイオン交換室は、脱塩室25及び濃縮室27であり、図4から理解されるように、脱塩室25は、カチオン交換膜Cと、このカチオン交換膜Cに対して正極(+)側に位置しているアニオン交換膜Aとからなっており、濃縮室27は、アニオン交換膜Aと、このアニオン交換膜Aに対して正極(+)側に位置しているカチオン交換膜Cとからなっている。従って、多数の脱塩室25と濃縮室27とが交互に配列された構造となっている。
このような構造の電気透析装置において、例えば正極(+)と負極(−)との間に電圧を印加し、脱塩室25にNaCl等の塩を含む処理液を循環して供給し且つ濃縮室27には希薄な電解液を循環しながら通電せしめると、処理液中の陽イオン(Naイオン)は、カチオン交換膜Cを通って負極(−)側に隣接している濃縮室27に移行する。一方、処理液中の陰イオン(Cl)は、アニオン交換膜Aを通って正極(+)側に隣接している濃縮室27に移行する。この場合、アニオン交換膜の特性によっても異なるが、通常、巨大アニオンの透過は阻止されるようになっている。このようにして、脱塩室25に循環して供給されている処理液中からの脱塩が行われ、濃縮室27に循環して供給されている希薄な電解液中の塩濃度は次第に上昇していき、最終的には高濃度の塩水溶液として回収されることとなる。
尚、上記のカチオン交換膜Cとして、一価選択性の高い交換膜を使用すると、例えば処理液中に含まれるCa2+等の多価陽イオンの濃縮室27側への移行は阻止され、Naイオン等の一価陽イオンのみを選択的に濃縮室27側へ移行させることができ、これにより高純度の一価の塩を回収することができる。
このようにして行われる電気透析では、当然のことながら、脱塩室25に循環して供給される処理液或いは濃縮室27に循環して供給されている希薄な電解液がイオン交換膜を通らずに隣接するイオン交換室に漏洩することを防止することが必要である。
本発明のフィルタープレス型の電気透析装置の概略側断面構造の分解図を示す図6及び組み立て図を示す図7を参照して、この電気透析装置では、陰極板50aと陽極板50bとの間に、前述したガスケットスペーサー10が多数重ねて配置されており、これらのガスケットスペーサー10の間には、カチオン交換膜C及びアニオンイオン交換膜Aが、図6、7に示されている構造となるように交互に挟持される。このようなカチオン交換膜C及びアニオン交換膜Aとしては、それ自体公知のものが何ら制限なく使用される。
このような配置の電気透析装置において、各ガスケットスペーサー10内の空間(ガスケット枠3で囲まれた空間)が前述したイオン交換室(脱塩室25或いは濃縮室27)となっており、濃縮室27を形成するガスケットスペーサーは10aで示され、脱塩室25を形成するガスケットスペーサーは10bで示されている。
上記のようにしてイオン交換膜A,C及びガスケットスペーサー10が間に挟まれている陰極板50aと陽極板50bの対は、図6,7に示されているように、一対の締め付け板60,60によりがっちりと固定されている。
尚、図6及び7から明らかなように、一番端の濃縮室27(ガスケットスペーサー10a)と陰極板50aとの間にはアニオン交換膜Aが配置され、他方の端の脱塩室25(ガスケットスペーサー10b)と陽極板50bとの間にはカチオン交換膜Cが配置されている。
さらに、一番端の濃縮室27を形成するガスケットスペーサー10aのガスケット枠3に密着するアニオン交換膜Aと締め付け板60との間には、隙間の発生を防止するために厚み調整板65が挟持されている。
特に、図3、図4を参照して、各ガスケットスペーサー10(10a,10b)のそれぞれのガスケット枠3には、濃縮室27に循環する希薄な電解液(或いは濃縮されて塩濃度が高められている電解液)を流すための開口41と脱塩室25に循環する処理液を流すための開口43が形成されている。また、濃縮室用ガスケットスペーサー10aのガスケット枠3に形成されている開口41は、連通孔(配流部)Xにより、ネット本体1aにより形成される濃縮室27に連通しており、脱塩室用ガスケットスペーサー10bのガスケット枠3に形成されている開口43は、連通孔(配流部)Yにより、ネット本体1aにより形成される脱塩室25に連通している。
また、図6及び7では省略されているが、スペーサー10間のアニオン交換膜A或いはカチオン交換膜Cにも、開口41及び開口43により形成される流路を遮断しないように、開口41及び43に対応する開口が設けられている。
このように、上記のような構造から理解されるように、開口43に電気透析に供する処理液を流すことにより、脱塩室25に処理液が供給され、脱塩室25に供給された処理液は、やはり開口43に連なる流路に排出されるようになっており、排出された処理液は再び脱塩室25に供給されるようになっている。
一方、開口41に連なる流路には希薄な電解液が流され、この電解液は、開口41から濃縮室27に導入され、再び開口41に連なる流路に排出され、さらに次の濃縮室27に供給されるようになっている。従って、陰極板50aと陽極板50bの間に一定の電圧を印加しながら、脱塩室25及び濃縮室27に液を循環供給していくことにより、脱塩室25内の処理液中のイオンが次第に濃縮室27内に移行し、濃縮室27に循環される液のイオン濃度が増大し、この結果、目的とする高濃度の塩溶液を得ることができるわけである。
このような電気透析装置においては、ガスケットスペーサー10の間にイオン交換膜(カチオン交換膜C或いはアニオン交換膜A)が挟持されるため、このガスケットスペーサー10(ネット1のネット本体1a)によって、隣り合うイオン交換膜同士が接触しないように、イオン交換室(濃縮室27及び脱塩室25)となる通電部を確保することができるのである。
上述した基本構造を有する本発明の電気透析装置においては、濃縮室27には、図3に示されているようなネット1(ネット本体1a)の厚みDがガスケット枠3の厚みtよりも厚い一体化ガスケットスペーサー10aが配置され、脱塩室25には、図4に示されているようなネット1(ネット本体1a)の厚みDがガスケット枠3の厚みtよりも薄く且つ濃縮室用ガスケットスペーサー10aのネット1の厚みよりも薄い一体化ガスケットスペーサー10bが配置されている。
即ち、図4での説明からも理解されるように、脱塩室25からはイオンが抜けていくため、脱塩室25の電気抵抗は高くなるが、濃縮室27では、逆に、イオンが挿入されるため、その電気抵抗は低くなる。従って、ネット1の厚みが薄いガスケットスペーサー10bを用いて脱塩室25を形成することにより、脱塩室25の小容積化を図り、その電気抵抗を低く抑え、同時に、ネット1の厚みが厚いガスケットスペーサー10aを用いて濃縮室27を形成することにより、装置の全体厚みを維持することが可能となるわけである。
また、上述したガスケットスペーサー10a、10bのガスケット枠3は、表面の平滑性に優れているため、これらガスケット枠3,3の間からの液漏れも有効に防止されている。
このように、本発明の電気透析装置では、ネット1とガスケット枠3とが熱融着により一体化されている構造のガスケットスペーサー10a、10bが使用されるものの、脱塩室25に要求される特性と濃縮室27に要求される特性との両方を満足させることができる。
しかも、本発明で使用されるガスケットスペーサー10a、10bは、何れもネット1の周縁部がガスケット枠3の内部に埋め込まれて固定されているため、これらの間に挟持されるイオン交換膜C、Aに生じる段差も極めて小さい。即ち、この段差の大きさは、ネット1の厚みtとガスケット枠3の厚みDとの差の1/2となり、この結果、挟持されるイオン交換膜C,Aに生じる歪も有効に抑制され、従って、この電気透析装置に使用されるイオン交換膜C,Aの長寿命化も実現でき、これは本発明の大きな利点である。
また、本発明において、ガスケット枠3の厚みtに関しては、濃縮室用のガスケットスペーサー10aと脱塩室用ガスケットスペーサー10bとでは大きな差が生じるのは望ましくない。即ち、この厚みtは、濃縮室27や脱塩室25への配流部となる連通孔X,Yの液幅に対応するため、濃縮室用のガスケットスペーサー10aと脱塩室用ガスケットスペーサー10bとで、その厚みが大きく異なると、濃縮室27と脱塩室25とで液の導入及び排出の速度が大きく異なるようになってしまうため、流量調整等が必要となってしまう。また、電気透析装置全体の大きさ(電極間距離)に影響を及ぼす。従って、ガスケット枠3の厚みtはほぼ同等に設定されていることが望ましいのであるが、脱塩室用ガスケットスペーサー10bでは、ガスケット枠3の厚みtは厚いことが望まれ、濃縮室用ガスケットスペーサー10aでは、その厚みは薄いことが望まれる。即ち、脱塩室25においては、異物を含むことがある処理液が循環供給されるため、脱塩室25への処理液の流路が狭くなると目詰まりを生じるおそれがあり、この結果、この流路幅に相当する連通孔Yの幅を大きくするため、ガスケット枠3の厚みtを厚くすることが求められる。一方、濃縮室25においては、低電気抵抗の液が流れることとなるため、濃縮室27への液の流路が大きくなると漏電等を生じ易くなり、この結果、ガスケット枠3の厚みtを薄く厚くすることが求められるわけである。
従って、本発明では、ガスケット枠tの厚み差が必要以上に大きくならない範囲で、脱塩室用ガスケットスペーサー10bのガスケット枠3の厚みtが、濃縮室用ガスケットスペーサー10aのガスケット枠3の厚みtよりも厚く形成されていることが好ましい。電気透析装置の規模によっても異なるが、一般的には、厚み差が最大でも0.3mm程度となる範囲で、ガスケット枠3に厚み差を設けることが好ましい。このような厚み差により、例えば、濃縮室用ガスケットスペーサー10aのガスケット枠3の厚みを、濃縮室27での漏電を効果的に抑制することができる程度の薄い厚み(例えば0.4乃至0.8mm程度)に設定しておくことにより、脱塩室用ガスケットスペーサー10bでのガスケット枠3の厚みtを目詰まりが生じない程度の厚みに設定することができる。
本発明では、上記のようにガスケット枠3の厚みを設定することにより、透析装置全体の厚み(電極間距離)の大きな変動を回避し、透析時の電流(電極間抵抗)を大きく変動させることなく、濃縮室での漏電や脱塩室の高電気抵抗化を有効に抑制することができる。
本発明においては、上記のように設定されたガスケット枠3の厚みtを基準として、濃縮室用及び脱塩室用のガスケットスペーサー10a,10bについて、ネット1(ネット本体1a)の厚みDを前述したように設定することが好ましい。例えば、ネット1(ネット本体1a)の厚みDについて、脱塩室用のガスケットスペーサー10bの方が濃縮室用ガスケットスペーサー10bよりも薄くなることを条件として、脱塩室用のガスケットスペーサー10bでは、ネット本体1の厚みを薄く、例えばガスケット枠3の厚みtの60乃至80%程度の厚みとすることが好ましく、濃縮室用のガスケットスペーサー10aでは、ネット本体1の厚みを厚く、例えばガスケット枠3の厚みtの120乃至140%程度の厚みとすることが好ましい。
また、上述した電気透析装置においては、濃縮室27用のガスケットスペーサー10a及び脱塩室25用のガスケットスペーサー10bの何れもが、ネット1とガスケット枠3とが熱融着により一体化されている構造を有しているが、濃縮室27用のガスケットスペーサー10aが一体化構造を有しているのであれば、脱塩室25用のガスケットスペーサー10bとして、ネット1とガスケット枠3とが一体化されていない構造のものを使用することもできる。即ち、ネット1とガスケット枠3とが一体化されていない場合、このネット1は、濃縮室27用のガスケットスペーサー10aの厚く、強度の高いネットの間にがっちりと保持されるために、その位置ずれなどを有効に防止でき、ネット1とガスケット枠3とが一体化されていないことによる液の漏洩を有効に防止することができるからである。
本発明の電気透析装置の優れた効果を、次の実験例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例、比較例に示すガスケットの物性および電気透析槽の特性は以下の方法により測定した。
(ガスケット枠、ネット本体の厚み)
各ガスケット枠およびネット(スペーサー)の任意の点10ケ所についてマルチメーターで厚みを測定し、平均厚み(mm)として表した。
(ネット偏平率)
ガスケット枠とネットとが溶着されたガスケット枠の断面を切り出した後、光学顕微鏡を用いて図2に示されるネット断面形状を観察し、偏平化している線状体の厚みdを測定し、次式によりネット偏平率を算出した。
ネット偏平率(%)=(d/D)×100
d:偏平化によって形成される楕円の短軸の長さ(熱融着部1a’の横断面の高さ)
D:熱溶着されていない部分の横断面(1a)の高さ
(電気透析)
株式会社アストム製の電気透析装置(アシライザー50型)を用いて、用意した脱塩室用ガスケットスペーサー、濃縮室用ガスケットスペーサーおよび製塩用カチオン交換膜(株式会社アストム製)、製塩用アニオン交換膜(株式会社アストム製)100対を組込み、フィルタープレス型電気透析装置に装着し、油圧プレスで締結した。
(内部漏洩量)
水道水を電気透析槽の内部に供給し、脱塩室、濃縮室を水道水で満たした。次いで、脱塩室の入口バルブを閉じて、濃縮室側から脱塩室側へ3m水柱の差圧をかけ、脱塩室の出口から流出する液量を測定して、1対あたりの内部漏洩量(ml/hr・m2・cell)を算出した。
(セル電圧)
電気透析槽の脱塩室に海水を6cm/secの線速度で供給し、濃縮室に濃縮かん水を1cm/secの線速度で供給し、電流密度3A/dm2を通電した。予め電気透析槽に組み込むガスケットおよびイオン交換膜の100対分の両端に白金線を設置して電気透析槽を組み立て、その白金線を介して100対分のセル電圧を測定した。セル電圧は、1対分の平均セル電圧(V/セル)として示した。
(電流効率)
電気透析中に所定の時間に生成した濃縮室側の塩量を測定し、次式により算出した。
電流効率=〔A/{(通電量(クーロン)×時間(sec))/F}〕×100
式中、Aは、生成した塩量(mol)であり、
Fは、ファラデー定数(96500)である。
(電気透析槽解体後の状態観察)
上記の電気透析条件で1ケ月間連続運転した後に、電気透析槽を解体して内部の様子を観察した。
<一体化ガスケットの製造例>
表1に示すガスケット枠シート2枚とネットを用意し、ネットを2枚のガスケット枠シートで挟み込み積層した後、高周波溶着機を用いて、表1に示す高周波誘電加熱条件でガスケット枠部位を溶着し、一体化ガスケットスペーサーを作成した。
尚、表1中、PVCはポリ塩化ビニル、EVAはエチレン酢酸ビニル共重合体、PEはポリエチレンを示す。
Figure 2014014776
<実施例1>
製造例1の一体化ガスケットを濃縮室用ガスケットとして、製造例2の一体化ガスケットを脱塩室用ガスケットとして用いて、電気透析槽を組み、電気透析を行った。使用した一体化ガスケットの物性と電気透析の結果を表2に示す。内部漏洩量、セル電圧が低く、高い電流効率が得られた。1ケ月間の連続電気透析運転後に電気透析槽を解体してない部を観察した結果、特に異常は認められなかった。
<実施例2>
製造例3の一体化ガスケットを濃縮室用ガスケットとして、製造例4の一体化ガスケットを脱塩執拗がスケットとして用いて、電気透析槽を組み、電気透析を行った。使用した一体化ガスケットの物性と電気透析の結果を表2に示す。内部漏洩量、セル電圧が低く、高い電流効率が得られた。1ケ月間の連続電気透析運転後に電気透析槽を解体して内部を観察した結果、特に異常は認められなかった。
<比較例1>
濃縮室用ガスケットにガスケット枠として厚み0.55mmのスチレン−ブタジエンゴムシート、スペーサーネットとして厚み0.79mmのポリエチレン製ネットを一体化せずに独立して配置し、脱塩室用ガスケットにガスケット枠として厚み0.75mmのスチレンーブタジエンゴムシート、スペーサーネットとして厚み0.55mmのポリエチレン製ネットを一体化せずに独立して配置したものを電気透析槽に組込み、電気透析を行った。その結果を表2に示す。内部漏洩量が多く、電流効率は低かった。1ケ月間の連続電気透析運転後に電気透析槽を解体してない部を観察した結果、下記図に示すスペーサーネットのズレによりガスケット枠とスペーサーネット近傍に位置するイオン交換膜の変形が著しく内部漏洩や電流効率の低下の原因となったと考えられる微小な亀裂が観察された。
<比較例2>
製造例5の一体化ガスケットを濃縮室ガスケットおよび脱塩室ガスケットとして用いて、電気透析槽を組み、電気透析を行った。
尚、上記で使用した一体化ガスケットの物性と電気透析の結果を、前述した実施例及び比較例の結果と共に、表2に示す。
この例では、内部漏洩量は少なかったが、セル電圧が高かった。1ケ月間の連続電気透析運転後に電気透析槽を解体してない部を観察した結果、特に異常は認められなかった。
Figure 2014014776
1:ネット
1a:線条体
3:ガスケット枠
3a,3b:ガスケット枠シート
10:ガスケットスペーサー
C:イオン交換膜
A:アニオン交換膜
25:脱塩室
27:濃縮室
41,43:開口
X,Y:連通孔(配流部)

Claims (3)

  1. 陰極板と陽極板との間の空間に、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とが間にガスケットスペーサーを挟んで交互に配置され、陽極板側の陰イオン交換膜と陰極板側の陽イオン交換膜との間に脱塩室が形成され、陽極板側の陽イオン交換膜と陰極板側の陰イオン交換膜との間には濃縮室が形成されているフィルタープレス型の電気透析装置において、
    前記ガスケットスペーサーは、熱可塑性プラスチックのネットと、該ネットの周囲に位置するガスケット枠とからなり、該ガスケット枠に、前記脱塩室または濃縮室に液を供給し或いは排出するための流路が形成されており、
    前記ネットは、通電部に位置するネット本体と、前記ガスケット枠で保持されるネット本体周縁部とからなり、
    前記脱塩室に配置されるガスケットスペーサーでは、前記ネット本体の厚みが、前記ガスケット枠の厚みよりも薄く形成されており、
    前記濃縮室に配置されるガスケットスペーサーは、前記ネット本体周縁部がガスケット枠に埋め込まれ且つ扁平状に押し潰されての熱融着により固定された一体化構造を有しており、且つ前記ネット本体の厚みが前記ガスケット枠の厚みよりも厚く形成されていることを特徴とするフィルタープレス型の電気透析装置。
  2. 前記脱塩室に配置されるガスケットスペーサーでは、前記ガスケット枠の厚みが、前記濃縮室に配置されるガスケットスペーサーのガスケット枠の厚みよりも厚く形成されている請求項1に記載の電気透析装置。
  3. 前記脱塩室に配置されるガスケットスペーサーも、前記ネット本体周縁部がガスケット枠に埋め込まれ且つ扁平状に押し潰されての熱融着により固定された一体化構造を有している請求項1または2に記載の電気透析装置。
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