JP2014014731A - 浮上油分離回収装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 循環加工液中に含有される浮上油分と正常油分との比重差と、該循環加工液の流力や落差力などの自然運動エネルギーを利用して浮上油分と正常油分とを分離・回収する浮上油分離回収装置の提供を図る。
【解決手段】 本発明における浮上油分離回収装置は、上流から下流にかけて流路を形成する縦長の貯流タンクと、流路の上層流域を堰き止めつつ、下層流域が連通する状態に取り付けられて正常油分を排出する排出槽と浮上油分を滞留させる滞留槽とに流路を分離する浮上油分離ホッパーと、で構成され、該浮上油分離ホッパーによって貯流タンクの上層流域を浮遊する浮上油分と下層流域を流動する正常油分とを分離して外部に排出する手段を採る。
【選択図】図1

Description

本発明は、循環加工液中に含有される浮上油分と正常油分との比重差と、該循環加工液の流力や落差力などの自然運動エネルギーを利用して浮上油分と正常油分とを分離・回収する浮上油分離回収装置に関する。
従来の工作機械加工で使用される循環加工液は、工作機械の内部または外部に設けられた貯留タンクに一旦回収され、その切削加工中に混入される潤滑油やスカムやスラッジなどを含む浮上油分は、フロート式、機械式、ジャバラサクション式、スクリュー式、ベルト式、オーバーフロー式、さらには微細気泡発生方式などの種々の回収手段によって回収されている。
上記フロート式ならびにジャバラサクション式の回収手段においては、水中ポンプと循環ポンプが同一の貯留タンクに設置されていることによって、液面の上下変動に対応する水中ポンプの吸い込み口を液面位置に確保するフロート装置を備えなければならず、その結果、循環ポンプによる波紋の発生によって不安定になる液面上に回収装置を設けなければならない構造を必要とするといった問題点があり、また、浮上油分が水中ポンプの吸い込み口の全方向より流れ込む構造であるため、該水中ポンプの吸い込み口に流れ込む流力の方向と循環ポンプによる液面の流力の方向が一部相殺し合うことになり、掻き寄せ装置などが設けられない限り浮上油分が効率よく回収されないという問題点も同時にあった。また機械式の回収手段においては、回収装置を設けることによって、構造が複雑になることから装置が高価となり、さらに保守管理も必要となると共に、貯留タンクの上面が回収装置によって塞がれてしまう、などの多くの問題点があるものであった。さらにスクリュー式、ベルト式の回収手段においては、浮上油分の回収領域が極めて狭いという問題があり、またオーバーフロー式、微細気泡発生方式の回収手段においては、貯留タンクの仕切り板を浮上油分が乗り越えて回収されるため、浮上油分を含む回収対象液を少量づつ、且つ定量送水する必要性があることから、大量処理能力が要求される分離回収装置には不向きなものであった。ついては、下記にその先行技術の実態について詳しく説明する。
上記フロート式の浮上油回収装置に関しては、例えば、メインフロートの浮力によって液体の中に浮き沈みしないように設けられた水中ポンプの吸い込み口に、サブフロートの浮力によって液体に浮かぶように設けられた開口部を有するゲートリングを上下動可能に取着すると共に、ゲートリングの開口部の上部には液体とともに浮上油、スカム、ゴミ等の浮遊物を掻き集めて開口部から水中ポンプの吸い込み口内に流入させる掻き寄せ手段が設けられ、この掻き寄せ手段はメインフロートに支持される一方、水中ポンプには吸い込み口から流入された液体とともに浮遊物を吐き出す吐き出し口が設けられた「浮上油分回収装置」(特許文献1)が提案されている。
しかしながら、係る浮上油回収装置の提案は、比重の軽い油はもとより、粘度が高くなった油、スカム等の回収に優れ、液体に浮かべた回収装置を自由に移動させて利用範囲の拡大を計ることができるとされているが、その設置に当たっては、不安定な液面にフロートを浮かばせてその液面と同位置に水中ポンプの吸い込み口を位置させて全方位方向から浮上油を回収する手段を採っているため、水中ポンプの吸い込み口に回収油分以外の正常油分が必要以上に吸い込まれてしまい、その結果、回収効率、回収確率ならびに回収精度が低下すると共に、装置内に水中ポンプや掻き寄せ手段等を配設することで、配管、配線、電気的制御システムならびに動力源を必要とするものであった。
また、上記機械式の浮上油回収装置に関しては、例えば、貯留槽内に配設されるものであって、少なくとも一部が水面に対し垂直状に形成された油分誘導板と、貯留槽内の排水の水面上に浮上した浮上油が回収される油回収容器と、取手部および板部を有する操作体とを備え、作業者が取手部を持って操作体を操作することにより、板部を油分誘導板に向けて移動させた後に、この油分誘導板と接触させた状態で上動させた場合に、浮上油が油分誘導板に沿って押し上げられて、油回収容器に回収される「油回収装置」(特許文献2)が提案されている。
しかしながら、係る油回収装置の提案は、構成が簡単で、製造コストが安価であるにも拘らず、浮上油を適切に回収でき、残査粒子を簡単に清掃できるとされているが、貯留槽の上方に油分誘導板などの操作体を設けることは、他の油回収装置と比較して構造的に複雑であると共に、液面管理、清掃作業、メンテナンス作業において多くの保守管理作業労力を必要とするものであった。
また、上記ジャバラサクション式の浮上油回収装置に関しては、例えば、下面を開口したネットカバ−を設け、その上面中央部に、下半部が下面開口部から下方に延出するサクション管を取付け、サクション管の下半部に管内に通じる吸込口を形成し、ベースと、ベース上に設置された伸縮自在なジャバラ胴と、ジャバラ胴内上部に固定された中央部に油流入孔を有するフロ−トとから成るジャバラタンクを設け、サクション管を油流入孔に遊挿し、その下端部をベ−スに固定することによってジャバラタンクをサクション管に取付けて成る「浮上油自動回収装置」(特許文献3)が提案されている。
しかしながら、係る浮上油自動回収装置の提案は、コンパクトな構成で異物吸引の虞がなく、長期使用が可能とされているが、ジャバラタンクが上下に伸縮作動することでジャバラタンクの吸入口に回収油以外の正常油分が吸い込まれると同時に、液面が波打つことによって浮上油の回収効率、回収確率ならびに回収精度が大幅に低下するもので、さらに装置内にサクション管ならびに吸引ポンプを配設することで、配管、配線、電気的制御システム、油水分離装置の設置ならびにそれらを稼動させる動力源が必要とされるものであった。
また、上記スクリュー式の浮上油回収装置に関しては、例えば、高粘度の油が混合した原液を比重差により油分と水分とに分離して回収する回収装置であって、この回収装置には原液の回収口が設けられている分離槽と、この分離槽に連続する排水槽と、この排水槽の上部から溢流する分離された水分を排出するポンプとが設けられるとともに、分離槽には高粘度の油分を回収する回収手段が設けられている「高粘度油の回収装置」(特許文献4)が提案されている。
しかしながら、係る高粘度油の回収装置の提案は、簡単な構造によって高粘度油の中に固形物が混入している浮上油を分離して油分だけを回収することを可能とするものであるが、その回収手段として回転モーターを駆動源とする一対のスクリューコンベアが使用されることによって、配管、配線、電気的制御システムならびに部品コストなど高額な製造コストを必要とする共に、高粘度油の回収装置に限定される上、吸引口が比較的小型であるため、工作機械などの大量の浮上油分を回収する手段としては不向きなものであった。
また、上記ベルト式の浮上油回収装置に関しては、例えば、工作機械のクーラントタンクに付設されて切削液中の浮上油を回収する装置であって、クーラントタンクの上部に装備される駆動ローラーと、駆動ローラーにかけわたされて下端部が切削液中に没入するエンドレス状のベルト部材と、駆動ローラーの直下に配設されて浮上油を回収する樋を備え、ベルト部材は、メッシュ材でつくられるベルトと、ベルトの外側に適宜間隙で取付けられる樋状のバケットを備える「浮上油回収装置」(特許文献5)が提案されている。
しかしながら、係る浮上油回収装置の提案は、ベルトに付着した油分のみを回収するものであるため、通常でも回収量は少ないが、クーラントの温度が上がると浮上油の粘度が下がりベルトに付着しないので、ほとんど回収できないという問題を解消すると共に、繊維、ゴムなどのベルトについてアルカリ液や高温クーラントで使用すると膨潤したり、接着面の剥がれが起こる等の不具合が生じるという問題を解消するものであるが、そのベルトによる回収領域が貯流タンクの液面面積に対して極めて小範囲に留まるといった回収効率に問題点が残るものであった。
また、上記オーバーフロー式の浮上油回収装置に関しては、例えば、油脂類を多量に含む厨房廃水から油脂を分離・回収する阻集器において、阻集器油水分離槽内に廃水含有油脂の比重差による分離浮上を促す流路を形成する該油水分離槽底部に流入口を有する隔壁と仕切板と、及び両端に開口部を持ち一方の開口部が油水分離槽の側壁を液密に貫通し該油水分離槽外に開口することにより貫通位置が該油水分離槽貯留廃水の水面上限を決定する処理された廃水の排水口を形成し、もう一方の開口部は油水分離槽内に水没し、浮上油脂層下端より下位に上層の浮上油脂層に向けて上向きに開口し、油脂が比重差により浮上する方向と反対の油水分離槽底部へ向い下向きに、処理廃水が流れ込む開口部である略J字形状のトラップにより構成される「阻集効率が高い阻集器」(特許文献6)が提案されている。
しかしながら、係る阻集効率が高い阻集器の提案は、油脂類を多量に含む厨房廃水から油脂と水を高効率で分離する比較的小型の油水分離装置の提案であって、該阻集器の油水分離槽に残された浮上油脂層の回収に関しては、別途にスキーマーや汲み上げポンプ等の回収手段を必要とするものであり、工作機械等に取り付けられて循環加工液の供給量が変化して液面が変化するような大量処理能力が要求される分離・回収装置には不向きなものであった。
また、上記微細気泡発生方式の浮上油回収装置に関しては、例えば、任意流量の油分混合廃液が順次定量送水される油水分離タンクにおいて、流れの方向に前段と後段に二分割し、前段の上澄み液が後段に溢れ入るようにした仕切板を備え、前段は、その底部に微細気泡を発生させる装置および噴出ノズルを備えて微細気泡による油吸着及び浮揚効果により油と廃液を上下に分離する油水分離室とし、後段は、さらに流れの方向に二分割して上流側を浮上油回収室とすると共に該浮上油回収室と底部で連通した下流側を廃液排水室して、浮上油回収室の油回収口よりも低い位置に廃液排水室の廃液排水口を設けた「油水分離装置」(特許文献7)が提案されている。
しかしながら、係る油水分離装置の提案は、微細気泡の油吸着及び浮揚効果により油を浮上分離する油水分離装置において、循環加工液中の微細気泡の浮力が小さく装置内に浮遊し、油と水をエマルション化する場合であっても、廃液排水の油濃度を低減することができ、浮上油分を残さず分離・回収することができる比較的小型の油水分離装置の提案であるが、構成的に定量送水手段を採用することで送り出しポンプを必要とし、さらに各処理層と、浮上油回収口ならびに廃液排水口の回収手段がオーバーフロー方式を採用しているため、仕切り板の上端部とフロートの吸入口と各処理室の微妙な液面レベルの位置関係ならびに安定が求められるため、比較的小型の油水分離装置の提案に留まるものであった。
以上のように従来の浮上油分離回収装置は、機械的手段または電気的手段を用いて浮上油を分離・回収すると共に、その浮上油分を吸引する吸入口を液面と同じにするか、液面よりやや下方に移動させて具現化しているが、それらの多くは、その手段を構成するにあたり複雑な電気的制御システムや油水分離装置、吸引装置、水中ポンプなどの動力源を必要とすると共に、複雑な機械的手段が備えられることによって、大量の浮上油分を短時間で処理することができないものであった。さらに浮上油分を吸引する際に正常油分までを吸引してしまうものであり、経済的、効率的、精度的に問題が残るものであった。それに対し、本発明のような循環加工液中に含有される浮上油分と正常油分との比重差と、該循環加工液の流力や落差力などの自然運動エネルギーを利用して浮上油分を液面の上方に積層化させ、該浮上油分を斜め上方に延設する堰止板によって一方向から落下阻集させて分離・回収し、さらに浮上油分の大きさ、形状、粘性度、種類、流量に係わらず、あらゆるタイプの油水、排水、洗浄液、浮上油、浮遊物に対応することができる浮上油分離回収装置は、本願発明者が知るところでは未だ見当たらない。
然るに、本発明の浮上油分離回収装置は、フロート式、機械式、ジャバラサクション式、スクリュー式、ベルト式、オーバーフロー式、さらには微細気泡発生方式などの従来の浮上油分回収装置が持つ多くの長所を備え、さらには課題となっている多くの問題点を解決するものであると共に、堰止め方式ならびに自然運動エネルギーを利用した分離・回収手段を採用していることから、「脂肪,油状物質または同様な浮遊物質の分離または除去装置」の分類における先行技術の中でも従来にない堰止め方式を採用した浮上油分離回収装置を提案するものである。
本願発明者は、以上のような従来の浮上油分離回収装置における吸引口と吸引される浮上油分ならびに液面の位置関係に着目し、まず浮上油分離回収装置と循環ポンプが設けられる貯留タンクを分離し、つぎに吸引される浮上油分を液面より上方に積層化させる構造を採ることによって、効率的且つ効果的に浮上油分を分離・回収することができるのではないかとの着想の下、上流から下流にかけて流路を形成する貯流タンクに該流路上流を堰き止めつつ、下方が連通する状態で浮上油分離ホッパーを取り付けることで、正常油分を外部に排出する排出槽と、浮上油分を滞留させる滞留槽とに分離し、該浮上油分離ホッパーにおける滞留槽側に一方向に流れる浮上油分を液面より斜め上方に積層化させて分離する堰止板を設けると共に、動力源として自然運動エネルギーを利用した浮上油分離回収装置を開発し、本出願における「浮上油分離回収装置」の提案に至るものである。
特開2000-24656号公報 特開2011-235217号公報 特開平8-117743号公報 特開2001-340849号公報 特開2003-39276号公報 特開2002-339449号公報 特開2011-20025号公報
本発明は上記問題点に鑑み、循環加工液中に含有される浮上油分と正常油分との比重差と、該循環加工液の流力や落差力などの自然運動エネルギーを利用して浮上油分と正常油分とを分離・回収する浮上油分離回収装置の提供を図ることを課題とする。
本発明は上記課題を解決するためになされるもので、循環加工液P中に含有される浮上油分Hと正常油分Lの比重差と、該循環加工液Pの流力や落差力などの自然運動エネルギーを利用して浮上油分Hと正常油分Lとを分離・回収する浮上油分離回収装置10であって、前記浮上油分離回収装置10は、貯流タンク20と、浮上油分離ホッパー30と、で構成され、前記浮上油分離ホッパー30が、前記貯流タンク20の所定中間箇所に流路21の上層流域を堰き止めつつ、下層流域が連通する状態に取り付けられることで、下流側に位置する正常油分Lを外部に排出する排出槽23と上流側に位置する浮上油分Hを滞留させる滞留槽22とに流路21を分離して、前記浮上油分離ホッパー30が前記滞留槽22に浮遊する浮上油分Hを分離・回収する手段を採用している。
また本発明は、前記貯流タンク20が、上流から下流にかけて流路21を形成する縦長に貯流されるタンク槽を形成し、上流側には工作機械等の排出ホース54に連結される供給ダクト53を備え、下流側には液面位置調節機能52を有する排出ダクト50を排出口25の外側に連結して成り、該貯流タンク20の上層流域を浮遊する浮上油分Hと、下層流域を流動する正常油分Lとを分離して外部に排出する手段を採用した。
また本発明は、前記浮上油分離ホッパー30が、排出槽23側に液面より上方に延設する隔壁分離板31を設けると共に、滞留槽22側に上下調整機能34を有して下流側上方に略への字状に屈曲する斜面33を形成して一方向に流れる浮上油分Hを液面より斜め上方に押し上げて分離する堰止板32を設け、該隔壁分離板31と堰止板32の間には液面より上方に積層化して押し上げられる浮上油分Hを落下阻集する阻集ホッパー部35を形成し、下方部には該阻集ホッパー部35に落下阻集された浮上油分Hを外部に排出する排出パイプ36を形成する手段を採用した。
また本発明は、前記貯流タンク20における滞留槽22側の底部に、下方に連通口43を備える複数の仕切り安定板42がトレー体41の上部に設けられて成る液面安定装置40を載置することで、前記貯流タンク20内の液面の安定化が図られる手段を採用した。
また本発明は、前記滞留槽22の下流方向に第二の浮上油分離ホッパー30を取り付けることで、流路21の上層流域を堰き止めつつ、下層流域が連通する状態で分離される第二の滞留槽24を設けた手段を採用した。
さらに本発明は、前記滞留槽22ならびに第二の滞留槽24の底部所定箇所に、微細気泡発生装置60を設けた手段を採用した。
また本発明は、前記供給ダクト53に連結される吸引ホース70の先端部に吸引ノズル71とフロート72を接続し、液面付近の浮上油分Hと正常油分Lを該吸引ノズル71から吸引装置Sを介して吸入して前記貯流タンク20に送り込むことで、浮上油分Hと正常油分Lとを分離して外部に排出する手段を採用した。
本発明における浮上油分離回収装置によれば、流路を形成する貯流タンクが浮上油分離ホッパーによって滞留槽と排出槽とに下層流域が連通する状態で分離され、且つ該滞留槽側に堰止板が設けられることによって、浮上油分が滞留槽に滞留されると共に阻集ホッパー部によって外部に排出される手段を採っていることから、浮上油分の大きさ、形状、粘性度、種類、流量に係わらず、あらゆるタイプの油水、排水、洗浄液、浮上油、浮遊物質に対応した浮上油分離回収装置が提供できるといった優れた効果を奏する。
また本発明における浮上油分離回収装置によれば、装置を稼動させる動力源が循環加工液の流力や落差力などの自然運動エネルギーを利用した手段を採ることから、装置自体が軽量且つ簡単構造で済むと共に、製造原価のコストダウン化が図られ、さらに電力料金や付帯装置等のランニングコストや機械的メンテナンス作業が不要であるという優れた効果を奏する。
また本発明における浮上油分離回収装置によれば、浮上油分離ホッパーの落とし込み口が横長で貯流タンク幅寸法一杯に拡がって流路を堰止める構造となっていることから、浮上油分の回収効率、回収確率ならびに回収精度が極めて高いという優れた効果を奏する。
また本発明における浮上油分離回収装置によれば、フロート式、機械式、ジャバラサクション式、スクリュー式、ベルト式、オーバーフロー式の従来の浮上油分回収手段の多くの長所を備え、さらには課題となっている多くの問題点を解決した浮上油分離回収装置を提供することができるという優れた効果を奏する。
また本発明における浮上油分離回収装置によれば、基本的に堰止め方式の構造を有していることから、工作機械の循環加工液の浮上油分の回収装置、厨房廃液の油水分離装置、湖水藻処理装置や洗浄液の分離装置として使用することができるもので、さらに電気的制御装置を使用していないため車両に積載して工事現場などの油水分離装置といった臨時の処理装置としても使用できるという優れた効果を奏する。
また本発明における浮上油分離回収装置によれば、浮上油分が分離される滞留槽を貯流タンクの下流方向に増設していくことによって、高精度の浮上油分離回収装置ならびに油水分離装置が提供できるという優れた効果を奏する。
また本発明における浮上油分離回収装置によれば、供給ダクトに連結される吸引ホースの先端部にテーパ状に拡がる吸引ノズルと三点支持のフロートを接続し、液面付近の浮上油分と正常油分を該吸引ノズルから吸引装置を介して吸入して分離する手段を採用することによって、大型貯留タンクの油水分離装置や浮遊物除去装置としても使用できるという優れた効果を奏する。
また本発明における浮上油分離回収装置によれば、構造が簡単で電気的稼動源を必要としないことから、大規模工場、小規模工場、燃料貯蔵施設、海洋事故回収船舶、研究所、公共施設、医療機関、料理店、給食施設、レジャー施設等の業務用の油水分離装置として、従来になく幅広く利用することができるという優れた効果を奏する。
本発明における請求項1乃至請求項4記載の浮上油分離回収装置を示す分解斜視図と全体配置図を用いた説明図である。(実施例1) 本発明における請求項1乃至請求項4記載の浮上油分離回収装置を示す平面図と断面図を用いた説明図である。 本発明における請求項1乃至請求項4記載の浮上油分離回収装置の分離・回収状態を示す説明図である。 本発明における請求項1乃至請求項4記載の浮上油分離回収装置の別の実施形態を示す説明図である。 本発明における請求項2記載の浮上油分離回収装置を示す断面図を用いた説明図である。(実施例2) 本発明における請求項3記載の浮上油分離回収装置を示す断面図を用いた説明図である。(実施例3) 本発明における請求項4記載の浮上油分離回収装置を示す断面図を用いた説明図である。(実施例4)
本発明の浮上油分離回収装置10は、循環加工液P中に含有される浮上油分Hと正常油分Lとの比重差と、該循環加工液Pの流力や落差力などの自然運動エネルギーを利用して浮上油分Hと正常油分Lとを分離・回収する浮上油分離回収装置10であって、上流から下流にかけて流路21を形成する貯流タンク20を形成し、浮上油分離ホッパー30によって浮上油分Hを滞留させる滞留槽22と正常油分Lを外部に排出する排出槽23とを下層流域が連通する状態で分離し、該滞留槽22側に一方向に流れる浮上油分Hを液面より斜め上方に押し上げて分離する堰止板32を設け、貯流タンク20の上層流域を浮遊する浮上油分Hと、貯流タンク20の下層流域を流動する正常油分Lとを分離して外部に排出する手段を採ったことを最大の特徴とするものである。以下、本発明における浮上油分離回収装置10の実施形態を、図面に基づいて説明する。
なお、本発明における浮上油分離回収装置10の材質ならび形状及び寸法等は、下記に述べる実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、すなわち同一の作用効果を発揮できる材質ならびに形状及び寸法の範囲内で、適宜変更することができる。
図1は、本発明における請求項1乃至請求項4記載の浮上油分離回収装置10を示す分解斜視図と全体配置図を用いた説明図であり、図1(a)は分解斜視図である。
本発明における浮上油分離回収装置10は、循環加工液P中に含有される浮上油分Hと正常油分Lの比重差と、該循環加工液Pの流力や落差力などの自然運動エネルギーを利用して分離・回収する浮上油分離回収装置10であって、該浮上油分離回収装置10は、貯流タンク20と、浮上油分離ホッパー30と、で構成され、循環加工液Pが循環モーター74によって循環される貯留タンク73の上部に載置されて使用されるものである。
貯流タンク20は、例えば耐油性合成樹脂素材または厚み2mm程度のステンレス製の板材を折り曲げ加工ならびに溶接加工を施すことで縦長に貯流されるタンク状に製作されるもので、上流から下流にかけての流路21には、排出槽23と滞留槽22とに遮断する浮上油分離ホッパー30が取り付けられ、さらに上流側には工作機械Mの排出ホース54に連結される供給ダクト53を備え、且つ下流側には液面位置調節機能52を有する排出ダクト50が排出口25の外側に連結されて成り、循環ポンプ74が設けられている貯留タンク73とは分離して設けられるものである。なお、供給ダクト53は下層流域を流動する正常油分Lの流力を確実に発生させるべく、上流側側壁に対してL字状に設けて工作機械Mの排出ホース51に連結している。
滞留槽22は、貯流タンク20の所定中間箇所に浮上油分離ホッパー30が取り付けられることで該貯流タンク20の上流側に位置するもので、該浮上油分離ホッパー30が流路21の上層流域を堰き止めた状態に取り付けられることで、貯流タンク20に流入した循環加工液P中に含有される浮上油分Hを流路21の上層流域で遮断し、且つ滞留させることを可能とする。
排出槽23は、前記滞留槽22同様、貯流タンク20の所定中間箇所に浮上油分離ホッパー30が取り付けられることで該貯流タンク20の下流側に位置するもので、該浮上油分離ホッパー30が下方において連通する状態に取り付けられることで、貯流タンク20に流入した循環加工液P中に含有される下層領域を流動する正常油分Lが浮上油分離ホッパー30の下方を通過して排出槽23内に流下し、さらに排出口25の外側に連結される排出ダクト50を通って貯留タンク73に排出することを可能とする。
浮上油分離ホッパー30は、貯流タンク20の所定中間箇所に流路21の上層流域を堰き止めつつ、下層流域が連通する状態に取り付けられ、下流側に位置する正常油分Lを外部に排出する排出槽23と、上流側に位置する浮上油分Hを滞留させる滞留槽22とに流路21を分離するもので、すなわち浮上油分離ホッパー30自体が、排出槽23と滞留槽22の仕切り板の役目を果たすこととなる。該浮上油分離ホッパー30の排出槽23側には、液面より上方に延設する隔壁分離板31が設けられ、もう一方の滞留槽22側には、上下調整機能34を有して下流側上方に略への字状に屈曲する斜面33が形成されると共に、一方向に流れる浮上油分Hを液面より斜め上方に押し上げて分離する堰止板32が設けられている。該堰止板32と隔壁分離板31の間には、液面より上方に積層化して押し上げられた浮上油分Hを落下阻集する阻集ホッパー部35が形成され、その下方部には、該阻集ホッパー部35に落下阻集された浮上油分Hを外部に設けられる廃棄収納缶55に排出する排出パイプ36が設けられた構成となっている。また、浮上油分離ホッパー30と貯流タンク20間の流路21に金属ネットまたはパンチングメタル板等を設けて、浮上油分Hの排出槽23側への流下を制限する態様も可能である。
隔壁分離板31は、排出槽23と滞留槽22とを下層流域が連通された状態で分離する浮上油分離ホッパー30を構成する後壁板の一部で形成されるもので、滞留槽22に浮上油分Hが大量に滞留した場合に、浮上油分Hが阻集ホッパー部35を乗り越えて排出槽23内に流入しないよう、防波堤の役割を果たすものである。
堰止板32は、滞留槽22に滞留する浮上油分Hの排出される分離量を調節する目的で設けられるもので、その調節手段は、浮上油分離ホッパー30の上流側の壁面に取り付けられる上下調整機能34によって堰止板32を上下に移動させることで、浮上油分Hの分離量を決定するものである。かかる堰止板32の具体的構造については、例えば、コンマミリ単位の薄膜状の浮上油分Hやゲル状に凝固したスカムを滞留槽22の液面上に滞留させ、さらに浮上油分Hの流入に伴って堰止板32の斜面33上に積層化させ、さらにまた上流側から連続的に発生する浮上油分Hの流力と下層流域から浮上してくる浮上油分Hの浮力によって液面に積層化された浮上油分Hを堰止板32の最先端部32aを乗り越えさせて回収する形状を有する。
上下調整機能34は、堰止板32の両側に設けられている調整長穴34aにおいて水平に螺着している取付けボルト34bを緩め、堰止板32本体を上下に移動させて位置決め調整するものである。さらに浮上油分Hの粘性や薄膜厚状態に対して精密に位置決め調整する必要性がある場合は、目盛付きの送り装置を設けて正確に微調整することも可能である。
阻集ホッパー部35は、浮上油分離ホッパー30の前壁に取り付けられる堰止板32によって分離された浮上油分Hを落下阻集すると共に、下方部に設けられる排出パイプ36から貯流タンク20の外部に備えられる廃棄収納缶55に排出ホース37によって排出するものである。
液面安定装置40は、貯流タンク20の滞留槽22側の底部に載置されるもので、トレー体41の上部に下方に連通口43を備える複数の仕切り安定板42を設けて形成されて成り、循環加工液Pの流力によって流されないように掛止フック26によって掛止される。かかる液面安定装置40は、工作機械Mの加工中に発生するスラッジなどの異物を清掃時に容易に取り除く手段として設けられるものである。
仕切り安定板42は、水平に設けられるパンチングメタル板と垂直に設けられるトラップ板で仕切られる仕切り板兼安定板であって、下方には循環加工液Pの正常油分Lが通過する連通口43が設けられている。かかる仕切り安定板42の主な目的は、供給ダクト53から流入する循環加工液Pによる液面の揺れを抑制して液面の安定を図ることであり、正常油分Lが下層流域をスムーズに流動するために連通口43が空けられている。なお、仕切り安定板42は、循環加工液Pの貯流タンク20への流入による液面の揺れを抑制して液面の安定を図ることを主な目的としているため、その形状や大きさならびに取り付け位置などの具体的構造については、特に限定するものではない。
排出ダクト50は、正常油分Lを吸入可能な吸入口50aを備え、貯流タンク20の下流側に設けられた排出口25の外側に取り付けられるもので、排出パイプ51に連結され、循環貯流タンク73に自然運動エネルギーの落差力を利用して正常油分Lを排出するものである。なお、かかる排出ダクト50における吸入口50aの両側には、液面位置調節機能52が設けられている。
液面位置調節機能52は、排出ダクト50の両側に設けられている調整長穴52aにおいて水平に螺着している取付けボルト52bを緩め、排出ダクト50本体を上下に移動させて位置決め調整するものである。
廃棄収納缶55は、浮上油分離ホッパー30によって分離された浮上油分Hが、阻集ホッパー部35の下方部に落下阻集したものを、さらに排出パイプ36ならびに排出ホース37から排出して貯留するためのペール缶を利用した廃棄用の収納缶である。上部に簡易的な手動式遠心分離機能を設けて、排出される浮上油分Hの油水分離を行うこともできる。なお、本発明は自然運動エネルギーの落差力を利用して廃棄収納缶55に浮上油分Hを分離・回収しているが、吸引装置Sを利用して強制的に分離・回収することも可能である。
図1(b)は、本発明における浮上油分離回収装置10の全体配置図である。
本発明における浮上油分離回収装置10は、循環加工液P中に含有される浮上油分Hと正常油分Lの比重差と、該循環加工液Pの流力や落差力などの自然運動エネルギーを利用して浮上油分Hと正常油分Lとを分離・回収する浮上油分離回収装置10であって、該浮上油分離回収装置10は、貯流タンク20と、分離回収ホッパー30とで構成され、工作機械Mの排出ホース54に連結されて循環ポンプ74が設けられる貯留タンク73の上部に載置された状態で使用されるもので小型、軽量、簡易構造であることから、製造原価のコストダウン化が図られ、さらにランニングコストや機械的メンテナンス作業が不要である浮上油分離回収装置10の提供が図られる。
図2は、本発明における請求項1乃至請求項4記載の浮上油分離回収装置10を示す平面図と断面図を用いた説明図であり、図2(a)は使用状態を示す平面説明図、図2(b)は使用状態を示す断面説明図である。
本発明における浮上油分離回収装置10の構成を簡単に説明すると、流路21を形成する貯流タンク20を浮上油分離ホッパー30によって排出槽23と滞留槽22とに下層流域が連通する状態で分離し、該滞留槽22側に堰止板32を設けることによって浮上油分Hが滞留槽22に滞留され、浮上油分離ホッパー30によって落下阻集されて外部に排出されることから、浮上油分Hの大きさ、形状、粘性度、種類、流量に係わらず効率よく分離・回収処理することができるものである。また装置全体を稼動させる動力源が循環加工液Pの流力や落差力などの自然運動エネルギーを利用していることから、装置自体が軽量且つ簡単構造であると共に、製造原価のコストダウン化が図られ、さらにランニングコストや機械的メンテナンス作業が不要であると共に、基本的な分離構造が堰止め方式を採用していることから、工作機械における循環工作油Pの浮上油分Hの回収装置や、厨房廃液の油水分離装置、洗浄液の分離排水装置として使用することができるもので、さらに電気的制御手段を採用していないため、車両に積載して工事現場などの臨時の油水分離処理装置としても使用することができる。
図3は、本発明における請求項1乃至請求項4記載の浮上油分離回収装置10の分離・回収状態を示す説明図である。
本発明における浮上油分離回収装置10の分離・回収手順を簡単に説明すると、
(1)工作機械Mから循環加工液Pが潤沢に排出されて稼動している状態で、貯流タンク20の排水口25の外側に連結されている排水ダクト50の液面位置調節機能52の取付けボルト52bを操作して、吸入口50aの下端を堰止板32に備えられている上下調整機能34の液面調整範囲内に収まるように上下に調節することで、工作機械Mから排出される循環加工液Pの排出容量と貯流タンク20から排出される循環加工液Pの排出容量が等しくなる(貯流タンク20内の液面が一定に保たれる)ように調節する。
(2)使用される循環加工液Pの性質に合わせて堰止板32の上下調整機能34により取付けボルト34bを操作して、堰止板32の最先端部32aの位置を決定する。その際に、工作機械Mから排出される循環加工液Pの排出容量と貯流タンク20から排出される循環加工液Pの排出容量が等しくなっている(貯流タンク20内の液面が一定に保たれる)ことを再確認する。
(3)稼動する工作機械Mから排出される循環加工液Pの浮上油分Hが、滞留槽22の液面に徐々に滞留されてくる。一方、循環加工液Pの正常油分Lは貯流タンク20の下層流域を流下して排出槽23に直接送られ、該排出槽23の下流に設けられている排出口25から排出ダクト50を通って貯留タンク73に排出される。
(4)さらに循環加工液Pが供給ダクト53から貯流タンク20に連続して流入してくると、循環加工液Pの浮上油分Hが滞留槽22の液面全体に滞留されてくる。
(5)さらに循環加工液Pの浮上油分Hが貯流タンク20に連続して流入してくると、該浮上油分Hが滞留槽22の液面全体に徐々に積層化する状態で滞留される。その状態は、循環加工液Pの浮上油分Hが滞留槽22に流入される度に繰り返され、該積層化された浮上油分Hはさらに積層化された状態になって液面の下方から上方に押し上げられる。(例えば、流氷が海岸に押し寄せて隆起する状態)
(6)その押し上げられた様々な形態(例えば比重、粘性、大きさ、種類、浮遊状態等)を有する浮上油分Hが、堰止板32の最先端部32aを自ら乗り越えることによって阻集ホッパー部35に落下阻集され、貯流タンク20の外部に設けられる廃棄収納缶55に排出パイプ36ならびに排出ホース37によって排出されて回収される。
以上のように、本発明の浮上油分離回収装置10における浮上油分Hの分離・回収手段は、滞留槽22の液面上に積層される様々な形態(例えば比重、粘性、大きさ、種類、浮遊状態等)を有する浮上油分Hが、循環加工液Pの流力と浮上油分Hの浮力という自然運動エネルギーによって堰止板32の最先端部32aを自ら乗り越えて阻集ホッパー部35に落下阻集するものであって、従来の吸引装置ならびに水中ポンプ等による強制的手段またはオーバーフローによる流動的手段によって阻集ホッパー部35に落とし込まれて分離・回収される手段とは、全く異なる手段で分離・回収されるものである。
図4は、本発明における請求項1乃至請求項4記載の浮上油分離回収装置10の別の実施形態を示す説明図であり、図4(a)は業務用に使用される実施例を示す全体斜視図である。
本発明における浮上油分離回収装置10は、形状を小型化させて料理店、給食施設等に使用される業務用油水分離装置として、キッチンシンクの配管の途中に接続して使用することができる。
図4(b)は家庭用に使用される実施例を示す全体斜視図である。
本発明における浮上油分離回収装置10は、形状をさらに小型化させて家庭用油水分離器として使用されるもので、分離された廃水はキッチンシンクに直接排出し、阻集ホッパー部35から排出された油脂液や洗浄液は、使用済みの空き瓶等に回収される。
以上のように、本発明における浮上油分離回収装置10は、全体形状を使用目的に合わせて変更することによって、業務用の油水分離装置としてや、家庭用の油回収具として、さらに自動食器洗い機に内蔵される油水分離機能としてや、図7に示すような大型コンビナートの油水分離装置や浮遊物除去装置としても使用することができるもので、その利用範囲は極めて大きい。
図5は、本発明における請求項5記載の浮上油分離回収装置10を示す断面図を用いた説明図である。
本発明における浮上油分離回収装置滞留槽10は、貯流タンク20の第一の滞留槽22の下流方向に第二の浮上油分離ホッパー30を取り付けることで、流路21の上層流域を堰き止めつつ、下層流域が連通する状態で分離される第二の滞留槽24が設けられるものである。
第二の滞留槽24は、上流側に位置する第一の滞留槽22で吸着処理し切れなかった浮上油分Hを、二段構えで処理することによって高精度に分離・回収するために設けられる。
以上のように、本発明における浮上油分離回収装置10は、貯流タンク20の下流方向に浮上油分離ホッパー30によって分離される滞留槽22を順次増設していくことで、高精度の浮上油分離回収装置10ならびに油水分離装置が提供できるものであり、さらに浮上油分Hの分離・回収する目的要素に応じて、その仕様を容易に具現化することができるものである。さらにまた、油水分離精度を向上させるために、第三、第四と下流に向かって複数の滞留槽22を増設してゆくことも可能である。
図6は、本発明における請求項6記載の浮上油分離回収装置10を示す断面図を用いた説明図である。図6(a)は請求項1乃至請求項4記載の使用状態を示す断面説明図、図6(b)は請求項5記載の使用状態を示す断面説明図である。
本発明における浮上油分離回収装置10は、浮上油分離回収装置10の滞留槽22と第二の滞留槽24の底部所定箇所に微細気泡発生装置60を設けたものである。現在の循環加工液Pの浮上油分Hの処理方法としては、浮上油分Hと正常油分Lの比重差を利用して浮上油分Hを分離させる油水分離装置が多数用いられており、この種の装置においては微細気泡61の油吸着及び浮揚効果を用いて浮上油分Hの浮上を促進する技術が従来より提案されている。例えば、マイクロレベルサイズまたはナノレベルサイズの微細気泡61には、高い表面吸着力により油分または粒子状のスカム、スラッジ等を微細気泡61の表面に吸着させる特性を有しており、その特性を利用して循環加工液P中に微細気泡61を発生させると、該微細気泡61の表面吸着作用により油分またはスラッジ等が微細気泡61の表面に吸着し、該微細気泡61の持つ浮力により貯流タンク20に貯留されている循環加工液P中で浮上分離する手段を採るものである。
本発明によれば、液面まで浮上せず滞留槽22ならびに第二の滞留槽24内を浮遊している微細な浮上油分Hが微細気泡61に吸着されることによって、下層流域を流動する循環加工液Pの流力で仕切安定板42の上部まで浮上させられ、既に液面に浮遊している浮上油分Hに接触することで接触吸収されることとなり、再び滞留槽22ならびに第二の滞留槽24内を沈降あるいは浮遊することがなくなって、浮上油分Hの効率的且つ高精度の分離・回収を行うことができる。
図7は、本発明における請求項7記載の浮上油分離回収装置10を示す断面図を用いた説明図である。
本発明における浮上油分離回収装置10は、供給ダクト53に連結される吸引ホース70の先端部にテーパ状に拡がる吸引ノズル71と三点支持のフロート72を接続し、液面付近の浮上油分Hと正常油分Lを該吸引ノズル71から吸引装置Sを介して吸入して貯流タンク20に送り込むことで、浮上油分Hと正常油分Lとを分離して外部に排出するものである。
本発明における浮上油分離回収装置10は、上記の分離する手段を採用することによって大型タンク内に回収装置を装着することなく、効率的ならびに安全且つ確実に油分回収ができるため、大型コンビナートの貯留タンクの油水分離装置や浮遊物除去装置としても使用することができる。
本発明は、工作機械加工における浮上油分離装置ならびに浮上油回収装置を実施例として説明しているが、構造が簡単で電気的稼動源を必要としないことから、大規模工場、小規模工場、燃料貯蔵施設、海洋事故回収船舶、研究所、公共施設、医療機関、料理店、給食施設、レジャー施設等における業務用の油水分離装置として従来になく幅広く利用することができるもので、本発明の浮上油分離回収装置の産業上の利用可能性は大であると解する。
10 浮上油分離回収装置
20 貯流タンク
21 流路
22 滞留槽
23 排出槽
24 第二の滞留槽
25 排出口
26 掛止フック
30 浮上油分離ホッパー
31 隔壁分離板
32 堰止板
32a 最先端部
33 斜面
34 上下調整機能
34a 調整長穴
34b 取付けボルト
35 阻集ホッパー部
36 排出パイプ
37 排出ホース
40 液面安定装置
41 トレー体
42 仕切り安定板
43 連通口
50 排出ダクト
50a 吸入口
51 排出パイプ
52 液面位置調節機能
52a 調整長穴
52b 取付けボルト
53 供給ダクト
54 排出ホース
55 廃棄収納缶
60 微細気泡発生装置
61 微細気泡
70 吸引ホース
71 吸引ノズル
72 フロート
73 貯留タンク
74 循環モーター
H 浮上油分
L 正常油分
S 吸引装置
P 循環加工液
M 工作機械
また本発明は、前記貯流タンク20が、上流から下流にかけて流路21を形成する縦長に貯流されるタンク槽を形成し、上流側には流入口が液面より下方に位置する状態で工作機械等の排出ホース54に連結される供給ダクト53を備え、下流側には液面位置調節機能52を有する排出ダクト50を排出口25の外側に連結して成り、該貯流タンク20の上層流域を浮遊する浮上油分Hと、下層流域を流動する正常油分Lとを分離して外部に排出する手段を採用した。
貯流タンク20は、例えば耐油性合成樹脂素材または厚み2mm程度のステンレス製の板材を折り曲げ加工ならびに溶接加工を施すことで縦長に貯流されるタンク状に製作されるもので、上流から下流にかけての流路21には、排出槽23と滞留槽22とに遮断する浮上油分離ホッパー30が取り付けられ、さらに上流側には流入口が液面より下方に位置する状態で工作機械Mの排出ホース54に連結される供給ダクト53を備え、且つ下流側には液面位置調節機能52を有する排出ダクト50が排出口25の外側に連結されて成り、循環ポンプ74が設けられている貯留タンク73とは分離して設けられるものである。なお、供給ダクト53は下層流域を流動する正常油分Lの流力を確実に発生させるべく、上流側側壁に対してL字状に設けて工作機械Mの排出ホース51に連結している。

また本発明は、前記貯流タンク20が、上流から下流にかけて流路21を形成する縦長に貯流されるタンク槽を形成し、上流側には前記タンク槽側壁下部に流入口が位置する状態で工作機械等の排出ホース54に連結される供給ダクト53を備え、下流側には上下に移動させて位置決め調整することで液面位置調節機能52を有する排出ダクト50を排出口25の外側に連結して成り、該貯流タンク20の上層流域を浮遊する浮上油分Hと、下層流域を流動する正常油分Lとを分離して外部に排出する手段を採用した。
貯流タンク20は、例えば耐油性合成樹脂素材または厚み2mm程度のステンレス製の板材を折り曲げ加工ならびに溶接加工を施すことで縦長に貯流されるタンク状に製作されるもので、上流から下流にかけての流路21には、排出槽23と滞留槽22とに遮断する浮上油分離ホッパー30が取り付けられ、さらに上流側には前記タンク槽側壁下部に流入口が位置する状態で工作機械Mの排出ホース54に連結される供給ダクト53を備え、且つ下流側には上下に移動させて位置決め調整することで液面位置調節機能52を有する排出ダクト50が排出口25の外側に連結されて成り、循環ポンプ74が設けられている貯留タンク73とは分離して設けられるものである。なお、供給ダクト53は下層流域を流動する正常油分Lの流力を確実に発生させるべく、上流側側壁に対してL字状に設けて工作機械Mの排出ホース51に連結している。

Claims (7)

  1. 循環加工液中に含有される浮上油分と正常油分の比重差と、該循環加工液の流力や落差力などの自然運動エネルギーを利用して浮上油分と正常油分とを分離・回収する浮上油分離回収装置であって、
    前記浮上油分離回収装置は、流路を形成する貯流タンクと、浮上油分を分離回収する浮上油分離ホッパーと、で構成され、
    前記浮上油分離ホッパーが、前記貯流タンクの所定中間箇所に流路の上層流域を堰き止めつつ下層流域が連通する状態に取り付けられることで、下流側に位置する正常油分を外部に排出する排出槽と上流側に位置する浮上油分を滞留させる滞留槽とに流路を分離して、該滞留槽に浮遊する浮上油分を分離・回収することを特徴とする浮上油分離回収装置。
  2. 前記貯流タンクが、上流から下流にかけて流路を形成する縦長に貯流されるタンク槽を形成し、上流側には工作機械等の排出ホースに連結される供給ダクトを備え、下流側には液面位置調節機能を有する排出ダクトを排出口の外側に連結して成り、
    該貯流タンクの上層流域を浮遊する浮上油分と、下層流域を流動する正常油分とを分離して外部に排出することを特徴とする請求項1記載の浮上油分離回収装置。
  3. 前記浮上油分離ホッパーが、排出槽側に液面より上方に延設する隔壁分離板を設けると共に、滞留槽側に上下調整機能を有して下流側上方に略への字状に屈曲する斜面を形成して一方向に流れる浮上油分を液面より斜め上方に押し上げて分離する堰止板を設け、該隔壁分離板と堰止板の間には液面より上方に積層化して押し上げられる浮上油分を落下阻集する阻集ホッパー部を形成し、下方部には該阻集ホッパー部に落下阻集された浮上油分を外部に排出する排出パイプを形成して成ることを特徴とする請求項1または請求項2記載の浮上油分離回収装置。
  4. 前記貯流タンクにおける滞留槽側の底部に、下方に連通口を備える複数の仕切り安定板がトレー体の上部に設けられて成る液面安定装置を載置することで、前記貯流タンク内の液面の安定化が図られることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか記載の浮上油分離回収装置。
  5. 前記滞留槽の下流方向に第二の浮上油分離ホッパーを取り付けることで、流路の上層流域を堰き止めつつ、下層流域が連通する状態で分離される第二の滞留槽を設けたことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか記載の浮上油分離回収装置。
  6. 前記滞留槽ならびに第二の滞留槽の底部所定箇所に、微細気泡発生装置を設けたことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか記載の浮上油分離回収装置。
  7. 前記供給ダクトに連結される吸引ホースの先端部に吸引ノズルとフロートを接続し、液面付近の浮上油分と正常油分を該吸引ノズルから吸引装置を介して吸入して前記貯流タンクに送り込むことで、浮上油分と正常油分とを分離して外部に排出することを特徴とする請求項1から請求項6の何れか記載の浮上油分離回収装置。
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