JP2014012864A - 焼結原料の事前処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】1.0mmアンダーが50質量%以上の粒度を有する生石灰と、鉄鉱石として500μmアンダーが50質量%以上かつ10μmアンダーが5質量%以下の粒度の粉鉱石である微粉原料を用いる焼結原料A群を、撹拌機に装入し、撹拌機の撹拌羽根の周速を2m/秒以上にして撹拌し、更に造粒して造粒物とする。
【選択図】図3
Description
例えば、特許文献1には、焼結鉱の製造において、二系列の造粒ラインを用い、この両ラインで使用する生石灰の合計量を変えることなく、各造粒ラインで使用する生石灰の配合比を変えることで、焼結原料の造粒性を改善する方法が開示されている。これにより、微粉で高結晶水である焼結性の悪い原料(マラマンバ鉱石)を、焼結原料として使用できるようにしている。
これは、粒度構成が、10μmオーバー500μmアンダー程度に揃った焼結原料A群のみを造粒した際には、造粒物内部に空間が形成されるため、撹拌機の撹拌羽根の周速を上記した周速にし、かつ上記した粒度を有する生石灰を用いることで、水と生石灰との消化反応が促進され、生石灰が消化する際に微粒化した消石灰が、造粒物内部の空間に充填されることによる。
なお、前記した特許文献1に記載のマラマンバ鉱石は、10μmアンダーの微粒子が多い焼結原料(後述する焼結原料B群に該当する焼結原料)であり、上記した焼結原料A群程度の難造粒性は呈さない。
これは、焼結原料B群が、上記した焼結原料A群と比較して、易造粒性となる粒度を有するため、撹拌機により消化反応を促進して微粒化した消石灰を焼結原料A群に使用すると共に、撹拌機なしで未消化状態の生石灰を含む消石灰を焼結原料B群に使用できることによる。
一般に凝結材は、焼結鉱の強度等を確保する目的で焼結原料に添加するが、凝結材の使用はコストの上昇を招くため、その添加量は必要最小限であることが求められている。一方、凝結材が微粉(粒度構成:10μmオーバー500μmアンダー程度)の付着により造粒物内部に埋没すると、酸化発熱現象に寄与し難くなるため、凝結材の添加量を抑制することが困難となる。
このため、凝結材を微粉の少ない焼結原料B群に添加することで、凝結材の埋没を抑制することができる。
まず、本発明に想到した経緯について説明する。
はじめに、粉鉱石(鉄鉱石)のうち、難造粒性を示す微粉原料の造粒性について説明する。
篩目10μmアンダーの粒子(微粒子)が5質量%以下と極めて少なく、500μmアンダーの粒子が50質量%以上と非常に多い微粉原料(鉄鉱石)が、通常の鉄鉱石と異なる点は、10μmアンダーの微粒子が極めて少ない点であり、例えば、鉄鉱石の粉砕処理と水による比重選鉱処理を繰り返すことで、この特徴が得られることがわかった。なお、500μmアンダーの粒子の質量%の測定に際しては、微粉原料(2kg)を、150℃で1時間乾燥した後、0.5mmの篩目(JIS Z8801−1「試験用ふるい−第1部:金属製網ふるい」に拠る)で分級し、篩下の質量%を求めた。また、10μmアンダーの微粒子の質量%の測定に際しては、上記乾燥後の微粉原料を対象に、レーザー回折散乱法の測定機器(日機装株式会社製 MICROTRAC(登録商標) MT3300型、測定範囲:0.02〜1400μm)を用いた。
しかし、上記したように、微粉原料中には、この空間を充填する10μmアンダーの微粒子が極めて少ないため、微粉原料は空間を内包したまま造粒され、造粒物の強度が極めて低くなる。このため、たとえセルロース等の粘着質のバインダーを用いて微粉原料を造粒し、隣接する微粉原料の粒子同士を粘着できたとしても、造粒物内部には空間が残留するため、造粒物の強度を向上しにくい。
更に一般に、粉鉱石は水を用いて造粒するが、結晶水を4質量%以上含む高結晶水鉱石を、微粉原料に30質量%以上60質量%以下含める場合、高結晶水鉱石の気孔に水が吸収され、造粒物強度が経時劣化(低下)する問題もある。
上記状況において、上記した微粉原料の造粒に用いるバインダーには、10μmアンダーの微粒子を供給でき、上記した空間を充填できるものが好ましいことに想到した。
これは、上記したように、微粉原料の粒径が10μmオーバーかつ500μmアンダー程度の大きさに概ね揃っており、一般には広範囲な粒度分布を持つことで撹拌による原料の混合が進むため、粒子が微粒化せず溶解もしないベントナイトや炭酸カルシウム等を添加しても分散が進まないものと考えられ、この観点からも、別の手段で10μmアンダーの微粒子を添加することが好ましいと考えられた。
以上のことから、本発明者らは、鉄鉱石として、500μmアンダーが50質量%以上かつ10μmアンダーが5質量%以下の粒度である微粉原料を用いた焼結原料A群を造粒するに際し、撹拌や造粒を容易化するバインダーとして、生石灰に想到した。なお、焼結パレットに入れる焼結原料は撹拌を行わない場合もある。
生石灰は、撹拌や造粒中に水と接触することで一部が吸湿し消化(消石灰化)して微粒化し、水と共に微粉原料に均一に混ざり易くなると考えられる。なお、生石灰としては、CaOが例えば84質量%以上のものが多用されている。
ここで、生成した消石灰の一部については、水に溶解することでも、微粉原料に均一に混ざり易くなる。
従って、極力多くの生石灰を消化させること、生成する消石灰の粒径を小さくすること、極力多くの消石灰を造粒水に溶解すること、等で、造粒に寄与する消石灰を多量に生成させて、生成する消石灰を微粉原料全体に分散させ(マクロに分散させ)、各微粉原料の粒子表面に極力付着させる(ミクロに分散させる)こと、が重要となる。
上記したことから、難造粒性の微粉原料と、その他の原料(例えば、造粒が容易な易造粒性原料)を混合する場合は、難造粒性の微粉原料に対して、粒径を小さくする処理を施した生石灰の添加や、その添加量を多くすること、また生石灰の消化反応による微粒化を促進させるための高速撹拌処理を施すこと、等も重要となる。
従って、上記した生石灰に、炭酸カルシウムは含まれない。
ここで、添加するバインダーの種類が造粒物の造粒性に及ぼす影響について、図1を参照しながら説明する。
詳細条件は、水分:9〜12質量%の範囲で一定、撹拌(混練):周速2.0m/秒、処理時間90秒、造粒:周速1.0m/秒、処理時間60秒、である。なお、周速は、万能ミキサー(撹拌機)とドラムミキサー(造粒機)において、回転するもの(羽根、ドラム等)で、一番速い部分の速度を意味する。
まず、上記した造粒処理した微粉原料(2kg)を、150℃で1時間乾燥した後、0.5mmの篩目(JIS Z8801−1「試験用ふるい−第1部:金属製網ふるい」に拠る)で分級し、0.5mmアンダーの割合を粉率と定義した。なお、粉率は、バインダーを添加していない微粉原料のみの粉率を「1.0」として、それぞれ算出した。
図1から、微粉原料に対して炭酸カルシウムを添加した場合、造粒性の改善が小さい(粉率:0.75)のに対し、微粉原料に対して生石灰を添加した場合は、造粒性が著しく改善(生石灰:0.45)することを、本発明者らは初めて発見した。
これは、生石灰が水と接触することにより微粒化し、更に生成した消石灰の一部が水に溶解することで、微粉原料に均一に混ざり易くなり、固体架橋によって微粉原料の造粒性向上や造粒物の強度向上に大きく寄与したためと考えられる。
一方、上記試験に用いた微粉原料として、結晶水を4質量%以上含む高結晶水鉱石を30〜60質量%配合したものを用いた場合、粉率が全体的に悪化(増加)し、特に、バインダーとして炭酸カルシウムを用いた場合は、概ね2〜3割程度のばらつきを示すのに対し、バインダーとして生石灰を用いた場合は、炭酸カルシウムの粉率値のばらつきよりも小さな1割程度であった。これは、造粒時や造粒後に気孔に水が吸収され得る高結晶水鉱石を用いたとしても、バインダーとして炭酸カルシウムを用いると上記した固体架橋が安定せず、一方、生石灰を用いると上記した固体架橋が安定するものと推定され、吸湿による消化や水への溶解が起きると、気孔への吸水が起こっても固体架橋が比較的安定しているものと推定された。
しかし、生石灰の粒度を小さくするに際しては、上記したように、細粒化処理を行う必要があり、製造コストの上昇を招くことから、粉率を抑制できる範囲内で、生石灰の粒度を比較的粗粒の状態、例えば、250μmアンダーを0質量%又は0質量%を超え50質量%未満(更には、40質量%以下)とするのがよい。これにより、生石灰の細粒化処理を省略できるため、製造コストの低減が図れて経済的である。
従って、撹拌機は、撹拌羽根の周速を2m/秒以上にできるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、前記した万能ミキサー等を使用できる。なお、撹拌羽根の周速の上限値は、上記した記載から特に限定していないが、世の中で一般的に使用されている撹拌機を考慮すれば、例えば、35m/秒程度である。また、撹拌羽根の直径は、実験室で使用するものも含めて、0.1〜1.5m程度である。なお、撹拌羽根の直径とは、回転時の撹拌羽根の外径を意味し、例えば、回転軸の周囲周方向に複数の羽根が設けられている場合は、回転軸を挟んでその両側に設けられた羽根の先端間の距離を意味する。
ここで、難造粒性微粉原料と易造粒性原料の粒度の関係を、表1に示す。
一方、粉鉱石(鉄鉱石)から、上記した難造粒性微粉原料を除いた焼結原料である易造粒性原料は、表1中の「B1」、「B2」、及び「B3」に該当する。即ち、500μmアンダーが50質量%未満かつ10μmアンダーが5質量%以下の粒度を有する原料は、表1中の「B1」に、500μmアンダーが50質量%以上かつ10μmアンダーが5質量%超の粒度を有する原料は、表1中の「B2」に、500μmアンダーが50質量%未満かつ10μmアンダーが5質量%超の粒度を有する原料は、表1中の「B3」に、それぞれ該当する。
以上のように、造粒処理する焼結原料は、表1のように分類できる。
試験は、結晶水を4質量%以上含む高結晶水鉱石を30〜60質量%配合した原料に生石灰(粒度:1.0mmアンダーが50質量%未満)を、外掛けで2質量%添加し、これを前記した万能ミキサーで撹拌した後、ドラムミキサーで造粒して行った。この原料には、図2(A)の場合、原料中の10μmアンダーの質量割合を5質量%に固定し、500μmアンダーの質量割合を、20質量%、50質量%、75質量%に変更した原料を、図2(B)の場合、原料中の500μmアンダーの質量割合を50質量%に固定し、10μmアンダーの質量割合を、2.5質量%、5質量%、8質量%に変更した原料を、それぞれ使用した。
なお、水分、撹拌、及び造粒の各条件は、前記した詳細条件と同一である。
図2(A)に示すように、原料中の10μmアンダーの質量割合を5質量%に固定した場合、500μmアンダーの質量割合が50質量%以上になることで、造粒物の粉率が急激に上昇する傾向が得られた。
また、図2(B)に示すように、原料中の500μmアンダーの質量割合を50質量%に固定した場合、10μmアンダーの質量割合が5質量%以下になることで、造粒物の粉率が急激に上昇する傾向が得られた。
以上から、500μmアンダーが50質量%以上かつ10μmアンダーが5質量%以下の粒度の微粉原料であれば、造粒物の粉率が極めて上昇(悪化)することがわかる。また、これに対し、500μmアンダーが50質量%未満又は10μmアンダーが5質量%超の粒度の粉鉱石であれば、粉率が一定レベル下がる(改善する)ことがわかる。
試験は、結晶水を4質量%以上含む高結晶水鉱石を30〜60質量%配合した500μmアンダーが50質量%以上かつ10μmアンダーが5質量%以下の粒度である難造粒性微粉原料と、結晶水を4質量%以上含む高結晶水鉱石を30〜60質量%配合した500μmアンダーが50質量%未満又は10μmアンダーが5質量%超の粒度である易造粒性原料に、それぞれ1.0mmアンダーの質量割合が異なる生石灰(250μmアンダーは0質量%で一定)を、外掛けで2質量%添加し、これを前記した万能ミキサーで撹拌した後(撹拌速度が1.0m/秒と2.0m/秒)、又は撹拌することなく(撹拌機無)、ドラムミキサーで造粒して行った。なお、水分と造粒の各条件は、前記した詳細条件と同一である。
また、評価についても、前記した0.5mmアンダーの質量割合を粉率と定義して行った。なお、粉率は、易造粒性原料の造粒に際し、粉率の低下が顕著でなくなる場合、即ち撹拌機無しで生石灰中の1.0mmアンダーの質量割合を10質量%にした場合を「1」として算出し、この粉率(図3中の点線)以下を合格とした。
また、易造粒性原料を造粒する場合、難造粒性微粉原料と比較して造粒性が良好であるため、生石灰中の1.0mmアンダーの質量割合を10質量%以上にすることで、造粒物の粉率が低下して、粉率が合格の基準を満たした(図3中の細線)。
また、易造粒性原料を造粒する場合は、撹拌機を使用せずに(撹拌機の不使用状態で)、1.0mmアンダーが10質量%(更には20質量%)以上の粒度を有する生石灰を用いる。ここで、1.0mmアンダーの上限値を規定していないのは、100質量%でもよいためであるが、難造粒性微粉原料の造粒物と比較して粉率を抑制できることや、また、難造粒性微粉原料の造粒に使用した残りの生石灰を易造粒性原料の造粒に使用すること(有効利用)を考慮すれば、50質量%未満にすることもできる。
なお、生石灰の粒度は、前記したように、製造コストの低減を図る観点から、粉率を抑制できる粒度、即ち250μmアンダーを50質量%未満(更には、40質量%以下)の範囲で調整できるが、上記した試験結果から、0質量%でもよい。
なお、転動型造粒機であるドラムミキサーは、造粒の途中段階から、凝結材や副原料を添加することが可能であり、凝結材の埋没抑制や副原料の局所濃化による焼結時の原料溶融をコントロールできるため好適である。
図4(A)に示すように、焼結原料A群と生石灰を、撹拌機(混練機)で撹拌処理(混練処理)し、更に(転動型)造粒機で造粒処理して、得られた造粒物を焼結機へ供給する。
これは、焼結原料B群のみでも造粒性が良好であるところに、焼結原料A群の造粒物を合流させると、焼結原料A群の造粒物が核となって焼結原料B群の造粒が進み、より好適な造粒効果が得られるためである。
上記したように、凝結材は、最終的に焼結機に装入されればよいため、焼結原料A群及び焼結原料B群のいずれか一方又は双方に添加できるが、焼結原料B群に添加する方が好ましい。これは、焼結原料B群に凝結材を添加する方が、凝結材の埋没を抑制でき、焼結現象に寄与できることによって、焼結原料B群に添加する凝結材の割合を増やすほど、埋没の抑制効果が得られるためである。
これにより、凝結材の使用量削減や焼結鉱品質の向上に寄与できる。
試験は、原料に生石灰を外掛けで2質量%添加し、これを前記した万能ミキサーで撹拌した後(撹拌速度が1.0m/秒と2.0m/秒)、又は撹拌することなく(撹拌機無)、ドラムミキサーで造粒して行った。なお、水分と造粒の各条件は、前記した詳細条件と同一である。
この原料には、表2に示す粒度を有する原料を使用した。なお、表2に記載の各鉱石種は、表1に記載の「A」、「B1」、「B2」、「B3」にそれぞれ該当し、焼結原料群の「A群」とは難造粒性微粉原料(結晶水を4質量%以上含む高結晶水鉱石を30〜60質量%配合した微粉原料)を、「B群」とは易造粒性原料を、それぞれ意味する。
また、原料に添加する生石灰には、表3に示す粒度を有する生石灰を使用した。
ここで、試験条件と試験結果を、表4、表5に示す。
また、表5において、ライン1とライン2は、原料を造粒する別ラインであり、並列に配置したものである。つまり、ライン1で難造粒性微粉原料を、ライン2で易造粒性原料を、それぞれ造粒処理する場合は、難造粒性微粉原料の造粒処理と、易造粒性原料の造粒処理が、並列して行われることを意味する(図4(B)参照)。
そして、表4中の従来例1は、「B3」を造粒するに際し、撹拌機を使用することなく造粒した場合の結果であり、表5中の従来例2は、ライン1で「B3」を、ライン2で「B2」を、それぞれ造粒するに際し、撹拌機で撹拌することなく造粒した場合の結果であり、従来例3は、ライン1、2で「B1」をそれぞれ造粒するに際し、撹拌機で撹拌することなく造粒した場合の結果である。
ここで、従来例1のライン1と従来例2、3のライン1、2でそれぞれ造粒した各原料の粉率は、ベース1、ベース3、ベース2の順に多くなっており、比較例1〜7と実施例1〜7の粉率の評価においては、粉率が、ベース1〜3のいずれよりも高い場合を「×」とし、いずれよりも低い場合を「○」とし、「○」や「×」に該当しない場合を粉率が同等として「△」とした。
表4に示すように、比較例1は、ライン1で難造粒性微粉原料「A」に生石灰を添加して、これを撹拌機で撹拌することなく造粒した場合の結果である。
比較例1は、難造粒性微粉原料を造粒するに際し、撹拌機で撹拌しなかったため、造粒性が悪くなり、粉率がベース1〜3よりも悪化した(×)。
従って、実機で採用できなかった(総合評価:×)。
一方、実施例1は、難造粒性微粉原料「A」に生石灰を添加して、これを撹拌機で撹拌速度(撹拌羽根の周速)を2.0m/秒にして撹拌した後、造粒した場合の結果である。
実施例1では、難造粒性微粉原料を撹拌するに際し、1.0mmアンダーが50質量%以上(60質量%)の粒度を有する生石灰を使用し、しかも撹拌速度2m/秒以上(2.0m/秒)で撹拌したため、造粒性が良好になり、粉率がベース1〜3よりも低下した(○)。
従って、実機で採用できた(総合評価:○)。
従って、実機で採用できなかった(総合評価:×)。
また、比較例3は、難造粒性微粉原料として、結晶水を4質量%以上含む高結晶水鉱石を0又は0を超え10質量%以下配合した微粉原料「A*」を用い、当該微粉原料「A*」に、生石灰を添加し、これを撹拌機で撹拌速度を1.0m/秒にして撹拌した後、造粒した場合の結果である。
上記したように、比較例3は、高結晶水鉱石の配合割合が低いため、比較例2よりも造粒性は向上するものと考えられるが、微粉原料「A*」の粒度分布の影響や、撹拌機の撹拌速度を2m/秒未満にした影響で、粉率はベース1〜3よりも悪化した(×)。
従って、実機で採用できなかった(総合評価:×)。
表5に示すように、比較例4は、ライン1で難造粒性微粉原料「A」に生石灰を添加し、ライン2で易造粒性原料「B1」に生石灰を添加して、それぞれ撹拌機で撹拌することなく造粒した場合の結果である。
ライン1では、難造粒性微粉原料を造粒するに際し、撹拌機で撹拌しなかったため、造粒性が悪くなり、粉率がベース1〜3よりも悪化した(×)。また、ライン2は、従来例3のライン1、2と同様の条件であるため、粉率はベース3と同程度であった(△)。
従って、実機で採用できなかった(総合評価:×)。
ライン1は、上記した比較例2のライン1と同様の条件であるため、造粒性が悪くなり、粉率がベース1〜3よりも悪化した(×)。また、ライン2は、従来例2のライン2と同様の条件であるため、粉率はベース2と同程度であった(△)。
従って、実機で採用できなかった(総合評価:×)。
ライン1は、高結晶水鉱石の配合割合が低いため、比較例4よりも造粒性は向上するものと考えられるが、微粉原料「A*」の粒度分布の影響や、撹拌機を使用しなかった影響で、粉率はベース1〜3よりも悪化した(×)。また、ライン2は、従来例3のライン1、2と同様の条件であるため、粉率はベース3と同程度であった(△)。
従って、実機で採用できなかった(総合評価:×)。
ライン1は、比較例3のライン1と同様の条件であるため、粉率はベース1〜3よりも悪化した(×)。また、ライン2は、従来例1、2のライン1と同様の条件であるため、粉率はベース1と同程度であった(△)。
従って、実機で採用できなかった(総合評価:×)。
実施例2〜7のライン1では、実施例1のライン1と同様の条件であるため、造粒性が良好になり、粉率がベース1〜3よりも低下した(○)。
なお、実施例5〜7のライン2は、実施例2〜4のライン2の条件において、撹拌機を用いたため、造粒性が更に良好になり、粉率がベース1〜3よりも低下した(○)。
従って、実施例2〜7のいずれについても、実機で採用できた(総合評価:○)。
以上に示したように、実施例1〜7では、破砕処理せずに、粗い状態の生石灰を難造粒性微粉原料の造粒に使用できるため、粉率全体の改善と、生石灰の安価化の両立が図れた。
試験は、難造粒性微粉原料「A」に生石灰を添加して撹拌した造粒物50質量%と、易造粒性原料「B3」に生石灰を添加した造粒物50質量%を、吸引圧1000mmAq(9.8kPa)のラボ焼結機(80kg焼成)に装入し焼結させることで行った。なお、凝結材は、難造粒性微粉原料「A」と易造粒性原料「B3」の合計量に、外掛けで4質量%添加することを前提条件にして、難造粒性微粉原料「A」と易造粒性原料「B3」への添加量を種々変更した。
なお、図5の横軸は、易造粒性原料「B3」への凝結材の添加量を示しており、横軸「0質量%」は全て(上記した外掛けの4質量%)の凝結材を難造粒性微粉原料「A」に添加して造粒した場合を、また横軸「100質量%」は全ての凝結材を易造粒性原料「B3」に添加して造粒した場合を、それぞれ示している。また、図5の縦軸は、焼結生産性を示しており、全ての凝結材を難造粒性微粉原料「A」に添加して造粒した場合の焼結生産性を「1.00」として、評価している。なお、焼結生産性は、焼成速度と歩留の積で表され、焼成速度の単位は(kg/分)、歩留の単位は(質量%)、で表される。
Claims (3)
- 1.0mmアンダーが50質量%以上の粒度を有する生石灰と、鉄鉱石として500μmアンダーが50質量%以上かつ10μmアンダーが5質量%以下の粒度の粉鉱石である微粉原料を用いる焼結原料A群を、撹拌機に装入し、該撹拌機の撹拌羽根の周速を2m/秒以上にして撹拌し、更に造粒して造粒物とすることを特徴とする焼結原料の事前処理方法。
- 請求項1記載の焼結原料の事前処理方法において、鉄鉱石として、500μmアンダーが50質量%未満又は10μmアンダーが5質量%超の粒度の粉鉱石を用いる焼結原料B群に、1.0mmアンダーが10質量%以上の粒度を有する生石灰を配合し、前記焼結原料A群の造粒物との合流前又は合流後に造粒して造粒物とすることを特徴とする焼結原料の事前処理方法。
- 請求項2記載の焼結原料の事前処理方法において、少なくとも前記焼結原料B群には凝結材が添加されていることを特徴とする焼結原料の事前処理方法。
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