図1は、本発明が好適に適用されるハイブリッド車両10に備えられた駆動装置の概略構成図である。この図1に示すように、本実施例のハイブリッド車両10は、エンジン12と、エンジン12のクランク軸14に連結された第1モータジェネレータMG1と、中間軸16を介して第1モータジェネレータMG1に連結されると共に入力軸18を介して自動変速機20に連結された前後進切換装置22と、自動変速機20の出力軸24と第1歯車25との間に設けられて動力伝達を接続乃至遮断する発進クラッチ26と、第1歯車25と噛み合う第2歯車28が設けられたカウンタシャフト30と、カウンタシャフト30に連結された第2モータジェネレータMG2と、カウンタシャフト30に設けられた第3歯車32と、その第3歯車32と噛み合う第4歯車34が設けられた差動歯車装置36と、差動歯車装置36に左右の車軸38L、38Rを介して連結された左右の前駆動輪40L、40Rとを備えている。エンジン12は、燃料の燃焼で動力を発生する内燃機関にて構成されており、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2はそれぞれ電動モータ及び発電機として用いることができる。本実施例において、第1モータジェネレータMG1は上記エンジン12のクランク軸14に対して動力伝達可能(作動的)に直接或いは間接に連結された第1電動機に相当し、第2モータジェネレータMG2は上記左右の前駆動輪40L、40Rに対して動力伝達可能(作動的)に直接或いは間接に連結された第2電動機に相当する。
上記前後進切換装置22は、例えば図2に示すように、ダブルピニオン型の遊星歯車装置42、前進クラッチC1、及び後進ブレーキB1を備えて構成される。具体的には、遊星歯車装置42のサンギヤは中間軸16に連結され、キャリアは入力軸18に連結されると共に前進クラッチC1を介して中間軸16に選択的に連結されるようになっており、リングギヤは後進ブレーキB1を介して選択的に回転不能に固定される。そして、前進クラッチC1及び後進ブレーキB1が共に解放されると、中間軸16と入力軸18との間の動力伝達が遮断され、前進クラッチC1が接続されると共に後進ブレーキB1が解放されると、中間軸16の回転をそのまま入力軸18に伝達する前進駆動状態となり、前進クラッチC1が解放されると共に後進ブレーキB1が固定されると、中間軸16の回転を逆転させて入力軸18に伝達する後進駆動状態となる。前進クラッチC1や後進ブレーキB1は、例えば油圧式の摩擦係合装置によって構成される。なお、シングルピニオン型の遊星歯車装置を用いて構成することもできる等、種々の態様が可能である。
前記自動変速機20は、本実施例ではベルト式無段変速機が用いられており、入力側プーリ及び出力側プーリを備えている。入力側プーリは、前記エンジン12、第1モータジェネレータMG1、及び前後進切換装置22と同心に配設されており、出力側プーリは、前記発進クラッチ26及び第1歯車25と同心に配設されている。前記発進クラッチ26は油圧式の摩擦係合装置で、出力軸24と第1歯車25との間の動力伝達を接続乃至遮断する断接装置に相当する。なお、動力伝達を遮断するニュートラルが可能な前後進切換装置22を断接装置として用いることもできる。
以上のように構成されたハイブリッド車両10は、駆動力源を切り換えて複数の駆動状態の何れかで走行するハイブリッド制御や前記自動変速機20の変速制御を行う電子制御装置50を備えている。図3は斯かる電子制御装置50を例示する図である。この電子制御装置50はマイクロコンピュータを備えて構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うもので、アクセル操作量センサ52、車速センサ54、モード選択スイッチ56、及びSOCセンサ58からそれぞれアクセルペダルの操作量であるアクセル操作量θacc、車速V、選択モード、及び第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2の電源である蓄電装置(バッテリ)60のSOC(蓄電残量)を表す信号が供給される。この他、図示は省略するが、エンジン12の回転速度や第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2の回転速度も回転速度センサによってそれぞれ検出されるなど、各種の制御に必要な種々の情報がセンサ等から供給されるようになっている。
図4はモード選択スイッチ56の一例を示す図である。この図4に示すように、モード選択スイッチ56は、ステアリングホイール44やインストルメントパネル等に設けられて例えば(a)燃費重視のエコモード、(b)通常走行に対応するノーマルモード、及び(c)走行性能重視のスポーツモードの何れかを運転者が選択するための選択操作部材であり、運転者によりそのモード選択スイッチ56が押されることによりエコモード、ノーマルモード、及びスポーツモードの何れかを選択できるようになっている。また、エコモード及びスポーツモードそれぞれに対応して個別にモード選択ボタンを設け、各ボタンが押された場合にエコモード及びスポーツモードの何れかを選択すると共に、何れも押されない場合はノーマルモードとするものであってもよい。前記自動変速機20は、エコモード、ノーマルモード、及びスポーツモードそれぞれに対応して予め定められた異なる変速条件、例えば車速Vに対する目標入力回転速度が比較的高回転(ローギヤ側)に維持されるようにするスポーツパターン、又は車速Vに対する目標入力回転速度が比較的低回転(ハイギヤ側)となるようにするエコパターンに従って変速制御が行われる。また、SOCは、例えば蓄電装置の充電量及び放電量を逐次計算することによって求められる。
前記電子制御装置50からは、前記ハイブリッド車両10の各部に作動指令が出力されるように構成されている。すなわち、前記ハイブリッド車両10には、燃料噴射装置による吸気配管等への燃料供給制御、点火装置によるエンジン12の点火制御、及び電子スロットル弁の開度制御等を行うことにより前記エンジン12の出力を制御するエンジン出力制御装置62が備えられており、前記電子制御装置50から、前記エンジン12の出力を制御するエンジン出力制御指令として、燃料供給量を制御する燃料噴射量信号、点火時期(点火タイミング)を指令する点火信号、及びスロットル弁開度θTHを操作するための電子スロットル弁駆動信号等が上記エンジン出力制御装置62へ出力されるようになっている。また、前記ハイブリッド車両10には、前記自動変速機20による変速制御等を行うための油圧を発生させる油圧制御装置64が備えられており、前記電子制御装置50から、その油圧制御装置64に備えられた各種電磁制御弁装置の出力油圧を制御するための制御信号等がその油圧制御装置64へ出力されるようになっている。また、前記第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2の作動を指令する指令信号をはじめとする各種信号が前記電子制御装置50から対応する装置へそれぞれ出力されるようになっている。
図5は、前記電子制御装置50に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。この図5に示すハイブリッド駆動制御手段70は、基本的には、図6に示す複数種類の駆動状態を切り換えて前記ハイブリッド車両10の走行を制御するものであり、具体的には、前記エンジン出力制御装置62により前記エンジン12の駆動を制御すると共に、前記第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2の駆動(力行)乃至発電(回生)を制御する。図6に示す「EV」は、前記発進クラッチ26を遮断状態として前記エンジン12を駆動力伝達経路から切り離し、前記第2モータジェネレータMG2を力行制御して前進又は後進走行する駆動状態である。この「EV」においては前記エンジン12は停止(非作動状態)させられる。「シリーズHEV」は、前記発進クラッチ26を遮断状態として前記エンジン12を駆動力伝達経路から切り離した状態で、そのエンジン12を作動させて第1モータジェネレータMG1を回転駆動すると共に、その第1モータジェネレータMG1を発電制御(回生制御ともいう)しながら、「EV」と同様に第2モータジェネレータMG2を力行制御して前進又は後進走行する駆動状態である。この「シリーズHEV」において前記第1モータジェネレータMG1によって発電された電力(電気エネルギ)は、前記第2モータジェネレータMG2に供給され、或いは前記蓄電装置60の充電に用いられる。なお、上記力行制御はモータジェネレータを電動モータとして用いることを意味し、発電制御はモータジェネレータを発電機として用いることを意味する。
図6に示す「パラレルHEV」は、前記発進クラッチ26を接続して前記エンジン12を駆動力伝達経路に接続することにより、そのエンジン12や第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2を駆動力源として用いて走行できる駆動状態であり、3種類の駆動状態を包含している。1番上の駆動状態a(狭義のパラレルHEV走行)では、前記エンジン12を作動させると共に前記第1モータジェネレータMG1を力行制御することにより、それらエンジン12及び第1モータジェネレータMG1を駆動力源として用いて走行し、前記第2モータジェネレータMG2のトルクは0でフリー回転させられる。ここで、前記第1モータジェネレータMG1の代わりに第2モータジェネレータMG2を力行制御しても良いし、第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2を両方共に力行制御して駆動力を発生させるようにしても良い。2番目の駆動状態b(シリーズパラレルHEV走行)では、前記エンジン12を作動させると共に前記第2モータジェネレータMG2を力行制御することにより、それらエンジン12及び第2モータジェネレータMG2を走行用の駆動力源として用いて走行する一方、前記第1モータジェネレータMG1を発電制御する。その第1モータジェネレータMG1により発電された電力は、前記第2モータジェネレータMG2に供給され、或いは蓄電装置60の充電に用いられる。3番目の駆動状態c(エンジン走行)では、前記エンジン12を作動させてそのエンジン12のみを走行用の駆動力源として用いて走行する。この駆動状態cにおいて、前記第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2は何れもトルクが0とされてフリー回転させられる。
上記駆動状態a(狭義のパラレルHEV走行)は、駆動状態c(エンジン走行)に比較して大きな駆動力を発生させることができ、例えばアクセル操作量θaccが急増した加速要求時や高速走行時等にアシスト的に前記第1モータジェネレータMG1が力行制御されることにより、駆動状態cから駆動状態aへ速やかに切り換えられる。また、駆動状態b(シリーズパラレルHEV走行)も駆動状態aと同様に実施されるが、前記蓄電装置60のSOCが比較的多い場合に駆動状態aが実行され、SOCが比較的少ない場合は駆動状態bが実行される。これ等のパラレルHEV走行では、前後進切換装置22により図示しないシフトレバーの操作位置に応じて前進駆動状態と後進駆動状態とが切り換えられる。
この他、図6に示すように、アクセル操作量θaccが略0のアクセルオフの減速走行時には「減速走行」を実施する。この「減速走行」は、前記発進クラッチ26を遮断状態として前記エンジン12を駆動力伝達経路から切り離し、前記第2モータジェネレータMG2を発電制御することにより、発電制御による回転抵抗で車両に制動力を作用させると共に発生した電気エネルギで前記蓄電装置60を充電する。また、例えばエンジン走行中(駆動状態c)に前記第1モータジェネレータMG1を発電制御して前記蓄電装置60を充電するなど、更に別の駆動状態が設けられても良い。
以上のように、本実施例においては、図6に示す「EV」が前記エンジン12が停止させられると共に、前記蓄電装置60から供給される電力を用いて専ら前記第2モータジェネレータMG2により走行用駆動力を発生させる第1の駆動状態に相当する。また、図6に示す「シリーズHEV」が前記エンジン12の動力により前記第1モータジェネレータMG1で発電すると共に、その第1モータジェネレータMG1により発電された電力及び前記蓄電装置60から供給される電力の少なくとも一方を用いて専ら前記第2モータジェネレータMG2により走行用駆動力を発生させる第2の駆動状態に相当する。また、図6に示す「パラレルHEV(a)」が前記エンジン12により走行用駆動力を発生させると共に、前記蓄電装置60から供給される電力を用いて前記第1モータジェネレータMG1により走行用駆動力を発生させる第3の駆動状態に対応する。ここで、上述のように、第2の駆動状態である「シリーズHEV」において、前記第1モータジェネレータMG1により発電された電力は直接インバータ等を介して前記第2モータジェネレータMG2へ供給されるものであっても良いし、一旦前記蓄電装置60に蓄電された後その蓄電装置60等を介して前記第2モータジェネレータMG2へ供給されるものであってもよい。
図5に戻って、走行モード判定手段72は、前記モード選択スイッチ56等に対する運転者の操作に応じて前記ハイブリッド車両10の走行モードすなわちエコモード、ノーマルモード、及びスポーツモードの何れが選択されたか判定する。例えば、前記モード選択スイッチ56が押されていない場合にはノーマルモード、そのモード選択スイッチ56が1回押された場合にはエコモード、もう1回押された場合にはスポーツモードというように、前記モード選択スイッチ56による操作に応じてエコモード、ノーマルモード、及びスポーツモードのうち何れの走行モードが成立させられるか判定する。
駆動状態判定手段74は、予め定められた関係から、車速V及びアクセル操作量θacc等に基づいて、前記複数種類の駆動状態の何れが成立させられる状態であるか判定する。すなわち、少なくとも前記第1の駆動状態である「EV」、第2の駆動状態である「シリーズHEV」、及び第3の駆動状態である「パラレルHEV(a)」の何れが成立させられる状態であるか判定する。図7は、この駆動状態判定手段74による判定に用いられる関係の一例を示す図である。この図7に示すように、図6を用いて前述した複数種類の駆動状態の切換条件は、アクセル操作量θaccやアクセル開度θTH等の要求駆動力関係値及び車速Vをパラメータとする2次元のモード切換マップとして予め設定されて記憶装置68等に記憶されたものであり、ES切換線よりも低要求駆動力且つ低車速側が「EV」が成立させられるEV領域で、SP切換線とES切換線との間が「シリーズHEV」が成立させられるシリーズHEV領域で、そのSP切換線よりも高要求駆動力且つ高車速側が「パラレルHEV」が成立させられるパラレルHEV領域とされている。これ等の切換線には、僅かな車速変化や要求駆動力変化で走行モードが頻繁に切り換わることを防止するためにヒステリシスが設けられる。なお、前記ハイブリッド車両10における駆動状態の制御は図7に示す関係以外の要素に基づいても行われ、例えば前記SOCセンサ58により検出されるSOCが所定値以下である場合には「EV」等は成立させられず、発電を行うために「シリーズHEV」が成立させられたり、専ら前記エンジン12により走行用の駆動力を発生させるエンジン走行状態とされる。また、図7においては、1種類の関係を例示しているが、前記エコモード、ノーマルモード、及びスポーツモードそれぞれに対応して個別にモード切換マップが予め設定されて記憶装置68等に記憶されたものであってもよい。
図5に戻って、前記ハイブリッド駆動制御手段70は、出力特性設定手段76を含んでいる。この出力特性設定手段76は、予め定められた関係から、上記駆動状態判定手段74により判定される駆動状態に基づいて、アクセル操作量θaccやアクセル開度θTH等の要求駆動力関係値(運転者による操作に応じた駆動力要求量を定める値)に対する走行用駆動力の目標値(目標駆動力)T*の出力特性を設定する。例えば、前記第1の駆動状態である「EV」、第2の駆動状態である「シリーズHEV」、及び第3の駆動状態である「パラレルHEV(a)」それぞれに対応して、アクセル操作量θaccに対する走行用駆動力を決定するための関係である出力特性マップを個別に設定する。
図8及び図9は、前記ハイブリッド駆動制御手段70によるハイブリッド駆動制御に用いられる、アクセル操作量θaccに対する走行用駆動力を決定するための出力特性マップを例示するものであり、図8は第1の駆動状態である「EV」に対応する出力特性マップ、図9は第2の駆動状態である「シリーズHEV」に対応する出力特性マップをそれぞれ例示している。これら図8及び図9に示すように、第2の駆動状態である「シリーズHEV」に対応する出力特性マップでは、第1の駆動状態である「EV」に対応する出力特性マップよりも、同じアクセル操作量θaccに対して大きな走行用駆動力を発生させるように定められている。例えば、図8に示す出力特性マップにおける所定のアクセル操作量θAに対する目標駆動力Taよりも、図9に示す出力特性マップにおけるそのアクセル操作量θAに対する目標駆動力Tbの方が大きくなるように(Tb>Taとなるように)各出力特性マップが定められている。すなわち、上記出力特性設定手段76は、第2の駆動状態である「シリーズHEV」においては、同じアクセル操作量θaccに対して第1の駆動状態である「EV」よりも大きな走行用駆動力を発生させるように出力特性を設定する。
また、図9に一点鎖線で示す関係は、第3の駆動状態である「パラレルHEV(a)」に対応する出力特性マップを例示するものである。この一点鎖線で示すように、第3の駆動状態である「パラレルHEV(a)」に対応する出力特性マップでは、好適には、第2の駆動状態である「シリーズHEV」に対応する出力特性マップよりも、同じアクセル操作量θaccに対して更に大きな走行用駆動力を発生させるように定められている。例えば、「シリーズHEV」に対応する出力特性マップにおける所定のアクセル操作量θAに対する目標駆動力Tbよりも、「パラレルHEV(a)」に対応する出力特性マップにおけるそのアクセル操作量θAに対する目標駆動力Tcの方が大きくなるように(Tc>Tbとなるように)各出力特性マップが定められている。また、好適には、第3の駆動状態である「パラレルHEV(a)」に対応する出力特性マップは、第2の駆動状態である「シリーズHEV」に対応する出力特性マップと等価な出力特性となるように定められたものであってもよい。すなわち、図9に示す目標駆動力TcがTbと等しくなるように(Tc=Tbとなるように)各出力特性マップが定められたものであってもよい。すなわち、前記出力特性設定手段76は、第3の駆動状態である「パラレルHEV(a)」においては、同じアクセル操作量θaccに対して第2の駆動状態である「シリーズHEV」よりも大きな走行用駆動力を発生させるように、或いは同じアクセル操作量θaccに対してその「シリーズHEV」と等しい走行用駆動力を発生させるように出力特性を設定する。
ここで、前記出力特性設定手段76は、好適には、前記出力特性の変更例えば図8に示す「EV」に対応する出力特性マップから図9に示す「シリーズHEV」或いは「パラレルHEV」に対応する出力特性マップへの切替、乃至図9に示す「シリーズHEV」或いは「パラレルHEV」に対応する出力特性マップから図8に示す「EV」に対応する出力特性マップへの切替に際して、急激な駆動力の変動(急加速乃至急減速)が発生しないように、滑らかに目標駆動力T*を移行させる制御を行う。例えば、アクセル操作量θAである時点において、駆動状態が「EV」から「シリーズHEV」へ切り替えられた場合には、出力特性マップの切り替えに応じて目標駆動力がTaからTbへ変更されるが、その場合、予め実験的に求められた関係に基づいて運転者に急加速を感じさせない範囲内において可及的速やかに駆動力Tbが実現されるように、目標駆動力がTaからTbへ滑らかに漸増させられる。同様に、アクセル操作量θAである時点において、駆動状態が「シリーズHEV」から「EV」へ切り替えられた場合には、出力特性マップの切り替えに応じて目標駆動力がTbからTaへ変更されるが、その場合、予め実験的に求められた関係に基づいて運転者に急減速を感じさせない範囲内において可及的速やかに駆動力Taが実現されるように、目標駆動力がTbからTaへ滑らかに漸減させられる。
また、前記出力特性設定手段76は、好適には、前記走行モード判定手段72により判定される各走行モードそれぞれに対応して、アクセル操作量θaccに対する走行用駆動力を決定するための関係である出力特性マップを個別に設定する。好適には、前記ノーマルモードにおいては、同じアクセル操作量θaccに対して前記エコモードよりも大きな走行用駆動力を発生させるように、且つ前記スポーツモードにおいては、同じアクセル操作量θaccに対して前記ノーマルモードよりも大きな走行用駆動力を発生させるように出力特性を設定する。更に、前述したように、それらエコモード、ノーマルモード、及びスポーツモードそれぞれにおいて、第2の駆動状態である「シリーズHEV」においては、同じアクセル操作量θaccに対して第1の駆動状態である「EV」よりも大きな走行用駆動力を発生させるように出力特性を設定する。同様に、それらエコモード、ノーマルモード、及びスポーツモードそれぞれにおいて、第3の駆動状態である「パラレルHEV(a)」においては、同じアクセル操作量θaccに対して第2の駆動状態である「シリーズHEV」よりも大きな走行用駆動力を発生させるように、或いは同じアクセル操作量θaccに対してその「シリーズHEV」と等しい走行用駆動力を発生させるように出力特性を設定する。
図10は、前記エコモード、ノーマルモード、及びスポーツモードそれぞれにおいて前記ハイブリッド駆動制御手段70によるハイブリッド駆動制御に用いられる、アクセル操作量θaccに対する走行用駆動力を決定するための出力特性マップを例示するものである。また、図11は、前記ハイブリッド車両10の駆動状態及び走行モードに対応して、図10に示す各出力特性マップの何れが用いられるのかを例示する表である。図10に示す出力特性マップは、例えば予め定められて前記記憶装置68等に記憶されたものであり、前記出力特性設定手段76は、この図10に示す出力特性マップA〜Dのうち、基本的には現時点における前記ハイブリッド車両10の駆動状態及び走行モードに対応して図11に示すように選択される何れかの出力特性マップを選択して設定する。
すなわち、前記エンジン12を作動させずに走行する駆動状態すなわち図6に示す「EV」或いは「減速走行」であり且つ走行モードがエコモードである場合には、図10に示す出力特性マップのうち同じアクセル操作量θaccに対する走行用駆動力が最も低い出力特性に相当する出力特性マップAを選択して設定する。また、前記エンジン12を作動させずに走行する駆動状態であり且つ走行モードがノーマルモードである場合には、図10に示す出力特性マップのうち同じアクセル操作量θaccに対する走行用駆動力が2番目に低い(出力特性マップAより高く出力特性マップCより低い)出力特性に相当する出力特性マップBを選択して設定する。また、前記エンジン12を作動させずに走行する駆動状態であり且つ走行モードがスポーツモードである場合には、図10に示す出力特性マップのうち同じアクセル操作量θaccに対する走行用駆動力が2番目に高い(出力特性マップBより高く出力特性マップDより低い)出力特性に相当する出力特性マップCを選択して設定する。
また、前記エンジン12を作動させて走行する駆動状態すなわち図6に示す「シリーズHEV」或いは「パラレルHEV」であり且つ走行モードがエコモードである場合には、図10に示す出力特性マップのうち同じアクセル操作量θaccに対する走行用駆動力が2番目に低い出力特性に相当する出力特性マップBを選択して設定する。また、前記エンジン12を作動させて走行する駆動状態であり且つ走行モードがノーマルモードである場合には、図10に示す出力特性マップのうち同じアクセル操作量θaccに対する走行用駆動力が2番目に高い出力特性に相当する出力特性マップCを選択して設定する。また、前記エンジン12を作動させて走行する駆動状態であり且つ走行モードがスポーツモードである場合には、図10に示す出力特性マップのうち同じアクセル操作量θaccに対する走行用駆動力が最も高い出力特性に相当する出力特性マップDを選択して設定する。
このように、図10及び図11に示すような関係に基づいて前記ハイブリッド車両10の各駆動状態及び走行モードに対応する出力特性を設定することで、前記ノーマルモードにおいては、同じアクセル操作量θaccに対して前記エコモードよりも大きな走行用駆動力を発生させるように、且つ前記スポーツモードにおいては、同じアクセル操作量θaccに対して前記ノーマルモードよりも大きな走行用駆動力を発生させるように出力特性が設定される。更に、それらエコモード、ノーマルモード、及びスポーツモードそれぞれにおいて、前記エンジン12を作動させて走行する駆動状態である「シリーズHEV」においては、同じアクセル操作量θaccに対して前記エンジン12を作動させずに走行する駆動状態である「EV」よりも大きな走行用駆動力を発生させるように出力特性が設定される。
ここで、前記出力特性設定手段76は、好適には、運転者による操作に応じて前記エコモード、ノーマルモード、及びスポーツモードの切り替えが行われた場合には、アクセル操作量θaccが既定値(好適には0)以下となることを条件に前記出力特性の設定を変更する。例えば、前記モード選択スイッチ56の操作が行われた時点で前記アクセル操作量センサ52により検出されるアクセル操作量θaccが規定値以下ではない場合、好適にはθacc=0すなわちアクセルオフでない場合には、アクセル操作量θaccが規定値以下(好適にはアクセルオフ)となるのを待って前記出力特性の設定を変更する。
図12は、前記電子制御装置50による出力特性設定制御の要部を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
先ず、ステップ(以下、ステップを省略する)S1において、前記モード選択スイッチ56が押される等して前記ハイブリッド車両10の走行モード切替操作が行われたか否かが判断される。このS1の判断が否定される場合には、S3以下の処理が実行されるが、S1の判断が肯定される場合には、S2において、アクセルオフであるか否か、すなわち前記アクセル操作量センサ52により検出されるアクセル操作量θaccが0であるか否かが判断される。このS2の判断が否定される場合には、S2の判断が繰り返されることにより待機させられるが、S2の判断が肯定される場合には、S3において、図7に示すような関係から車速V及びアクセル操作量θacc等に基づいて前記ハイブリッド車両10の駆動状態がEV走行すなわち専ら前記第2モータジェネレータMG2を走行用の駆動力源とする駆動状態であるか否かが判断される。
S3の判断が否定される場合、すなわち前記ハイブリッド車両10が専ら前記第2モータジェネレータMG2を走行用の駆動力源とする駆動状態ではないと判断される場合には、S7以下の処理が実行されるが、S3の判断が肯定される場合、すなわち前記ハイブリッド車両10が専ら前記第2モータジェネレータMG2を走行用の駆動力源とする駆動状態であると判断される場合には、S4において、発電のために前記エンジン12が作動させられているか否かが判断される。このS4の判断が否定される場合には、前記エンジン12が停止させられると共に、前記蓄電装置60から供給される電力を用いて専ら前記第2モータジェネレータMG2により走行用駆動力を発生させる第1の駆動状態であると判断され、S5において、その第1の駆動状態に対応する出力特性が設定された後、本ルーチンが終了させられる。この設定は、好適には、エコモード、ノーマルモード、及びスポーツモードそれぞれに対応して個別に行われる。また、S4の判断が肯定される場合には、前記エンジン12の動力により前記第1モータジェネレータMG1で発電すると共に、その発電された電力及び前記蓄電装置60から供給される電力の少なくとも一方を用いて専ら前記第2モータジェネレータMG2により走行用駆動力を発生させる第2の駆動状態であると判断され、S6において、その第2の駆動状態に対応する出力特性が設定された後、本ルーチンが終了させられる。この設定は、好適には、エコモード、ノーマルモード、及びスポーツモードそれぞれに対応して個別に行われる。
S7においては、前記ハイブリッド車両10の駆動状態がパラレルHV走行すなわち前記エンジン12により走行用駆動力を発生させると共に、前記蓄電装置60から供給される電力を用いて前記第1モータジェネレータMG1により走行用駆動力を発生させる第3の駆動状態であるか否かが判断される。このS7の判断が肯定される場合には、S8において、その第3の駆動状態に対応する出力特性が設定された後、本ルーチンが終了させられる。この設定は、好適には、エコモード、ノーマルモード、及びスポーツモードそれぞれに対応して個別に行われる。また、S7の判断が否定される場合には、S9において、他の駆動状態に対応する出力特性例えばエンジン走行に対応する図示しない出力特性が設定された後、本ルーチンが終了させられる。以上、図12に示す制御において、S1が前記走行モード判定手段72の動作に、S3、S4、及びS7が前記駆動状態判定手段74の動作に、S5、S6、S8、及びS9が前記ハイブリッド駆動制御手段70(出力特性設定手段76)の動作に、それぞれ対応する。
このように、本実施例によれば、前記エンジン12が停止させられると共に、前記蓄電装置60から供給される電力を用いて専ら前記第2モータジェネレータMG2により走行用駆動力を発生させる第1の駆動状態と、前記エンジン12の動力により前記第1モータジェネレータMG1で発電すると共に、その第1モータジェネレータMG1により発電された電力及び前記蓄電装置60から供給される電力の少なくとも一方を用いて専ら前記第2モータジェネレータMG2により走行用駆動力を発生させる第2の駆動状態とを、選択的に成立させると共に、前記第2の駆動状態においては、同じアクセル操作量θaccに対して前記第1の駆動状態よりも大きな走行用駆動力を発生させるように出力特性を設定するものであることから、専ら電動機により走行用駆動力を発生させる駆動状態であってもエンジン12が作動している場合には電動機のみで駆動力を発生する駆動状態よりも大きな駆動力を発生させる出力特性とすることで、エンジン12の作動音等から運転者が抱く印象通りの走行を実現することができる。すなわち、エンジン作動の有無に応じたドライバビリティを向上させるハイブリッド車両10の制御装置50を提供することができる。
また、前記第1の駆動状態及び第2の駆動状態に加えて、前記エンジン12により走行用駆動力を発生させると共に、前記蓄電装置60から供給される電力を用いて前記第1モータジェネレータMG1により走行用駆動力を発生させる第3の駆動状態を選択的に成立させると共に、その第3の駆動状態においては、同じアクセル操作量θaccに対して前記第2の駆動状態と等しい走行用駆動力を発生させるように出力特性を設定するものであるため、前記エンジン12及び第1モータジェネレータMG1により走行用駆動力を発生させる駆動状態においては、前記第2モータジェネレータMG2のみで駆動力を発生する駆動状態よりも大きな駆動力を発生させる出力特性とすることで、エンジン12の作動音等から運転者が抱く印象通りの走行を実現することができる。
また、前記第3の駆動状態においては、同じアクセル操作量θaccに対して前記第2の駆動状態よりも大きな走行用駆動力を発生させるように出力特性を設定するものであるため、前記エンジン12及び第1モータジェネレータMG1により走行用駆動力を発生させる駆動状態においては、前記第2モータジェネレータMG2のみで駆動力を発生する駆動状態よりも大きく、専ら発電用に前記エンジン12を作動させる駆動状態よりも更に大きな駆動力を発生させる出力特性とすることで、エンジン12の作動音等から運転者が抱く印象通りの走行を実現することができる。
また、運転者による操作に応じてエコモード、ノーマルモード、及びスポーツモードの何れかを選択的に成立させると共に、前記ノーマルモードにおいては、同じアクセル操作量θaccに対して前記エコモードよりも大きな走行用駆動力を発生させるように、且つ前記スポーツモードにおいては、同じアクセル操作量θaccに対して前記ノーマルモードよりも大きな走行用駆動力を発生させるように出力特性を設定するものであるため、運転者による操作に応じて設定される各走行モードにおいて個別に走行用駆動力の出力特性を設定でき、更には各走行モードそれぞれにおいて専ら電動機により走行用駆動力を発生させる駆動状態であってもエンジン12が作動している場合には電動機のみで駆動力を発生する駆動状態よりも大きな駆動力を発生させる出力特性とすることで、運転者が意図する走行を更にきめ細かに実現することができる。
また、運転者による操作に応じて前記エコモード、ノーマルモード、及びスポーツモードの切り替えが行われた場合には、アクセル操作量θaccが既定値以下となることを条件に前記出力特性の設定を変更するものであるため、運転者によりモードを切り替えるための操作が行われた直後に走行用駆動力の出力特性が変化することにより却ってドライバビリティが低下するのを好適に抑制することができる。
続いて、本発明の他の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明において、実施例相互に共通する部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
図13は、本発明が好適に適用される他のハイブリッド車両の駆動装置を例示する概略構成図である。この図13に示すハイブリッド駆動装置100は、前記エンジン12が、クランク軸14にベルト等を介して連結されたスタータモータ102によってクランキングされるようになっていると共に、複数のクラッチやブレーキの係合解放状態に応じて複数の変速段やニュートラルが成立させられる遊星歯車式等の有段の自動変速機104を備えており、その自動変速機104の入力軸106とクランク軸14との間に動力伝達を接続遮断する発進クラッチ108が設けられている。上記スタータモータ102は、発電機としての機能も有するモータジェネレータにて構成されている。そして、上記自動変速機104の出力軸110に前記第1歯車25が設けられ、前駆動輪40L、40Rに駆動力が伝達される。また、このハイブリッド駆動装置100は、後輪駆動装置120を備えており、リヤ用モータジェネレータRMGによって第5歯車122及び第6歯車124を介して差動歯車装置126を回転駆動することにより、左右の車軸128L、128Rを介して左右の後駆動輪130L、130Rが回転駆動される。このハイブリッド駆動装置100においては、上記スタータモータ102が第1電動機に、上記リヤ用モータジェネレータRMGが第2電動機にそれぞれ相当し、図示しない蓄電装置60から供給される電力により駆動させられると共に、発電した電力をその蓄電装置60に蓄積し得るように構成されている。
以上のように構成されたハイブリッド駆動装置100においても、前記エンジン12が停止させられると共に、前記蓄電装置60から供給される電力を用いて専ら上記リヤ用モータジェネレータRMGにより走行用駆動力を発生させる第1の駆動状態と、前記エンジン12の動力により上記スタータモータ102で発電すると共に、そのスタータモータ102により発電された電力及び前記蓄電装置60から供給される電力の少なくとも一方を用いて専ら上記リヤ用モータジェネレータRMGにより走行用駆動力を発生させる第2の駆動状態とを、選択的に成立させる等の制御が可能である。そして、上記ハイブリッド駆動装置100も、前記実施例において説明したハイブリッド車両10の駆動装置と同様に、前記電子制御装置50にハイブリッド駆動制御手段70、走行モード判定手段72、駆動状態判定手段74、及び出力特性設定手段76等を機能的に備えており、その出力特性設定手段76により前記第2の駆動状態においては、同じアクセル操作量θaccに対して前記第1の駆動状態よりも大きな走行用駆動力を発生させるように出力特性を設定する等の制御を行う。従って、図13に示すようなハイブリッド駆動装置100に本発明を適用することで、前記実施例と同様に、エンジン作動の有無に応じたドライバビリティを向上させるハイブリッド車両の制御装置を提供することができる。
図14は、本発明が好適に適用される更に別のハイブリッド車両の駆動装置を説明する図であり、(a)はその概略構成図、(b)はそのハイブリッド車両において選択的に成立させられる複数の駆動状態を説明する図である。この図14に示すハイブリッド駆動装置150は、前記エンジン12、第1クラッチ152、第1モータジェネレータMG1、第2クラッチ154、第2モータジェネレータMG2が共通の軸線上に直列に連結されており、第2クラッチ154と第2モータジェネレータMG2との間に設けられた出力歯車156が前記第4歯車34と噛み合わされている。そして、このハイブリッド駆動装置150においては、図14の(b)に示すように、前記実施例において説明したハイブリッド車両10の駆動装置と同様に「EV」、「シリーズHEV」、3つの駆動状態を有する「パラレルHEV」、及び「減速走行」等の駆動状態が選択的に成立させられるようになっている。このハイブリッド駆動装置150においては、前記第1モータジェネレータMG1が第1電動機に、前記第2モータジェネレータMG2が第2電動機にそれぞれ相当し、図示しない蓄電装置60から供給される電力により駆動させられると共に、発電した電力をその蓄電装置60に蓄積し得るように構成されている。
以上のように構成されたハイブリッド駆動装置150においても、前記エンジン12が停止させられると共に、前記蓄電装置60から供給される電力を用いて専ら前記第2モータジェネレータMG2により走行用駆動力を発生させる第1の駆動状態である「EV」と、前記エンジン12の動力により前記第1モータジェネレータMG1で発電すると共に、その第1モータジェネレータMG1により発電された電力及び前記蓄電装置60から供給される電力の少なくとも一方を用いて専ら前記第2モータジェネレータMG2により走行用駆動力を発生させる第2の駆動状態である「シリーズHEV」とを、選択的に成立させる等の制御が可能である。そして、上記ハイブリッド駆動装置150も、前記実施例において説明したハイブリッド車両10の駆動装置と同様に、前記電子制御装置50にハイブリッド駆動制御手段70、走行モード判定手段72、駆動状態判定手段74、及び出力特性設定手段76等を機能的に備えており、その出力特性設定手段76により前記第2の駆動状態においては、同じアクセル操作量θaccに対して前記第1の駆動状態よりも大きな走行用駆動力を発生させるように出力特性を設定する等の制御を行う。従って、図14に示すようなハイブリッド駆動装置150に本発明を適用することで、前記実施例と同様に、エンジン作動の有無に応じたドライバビリティを向上させるハイブリッド車両の制御装置を提供することができる。
図15は、本発明が好適に適用される更に別のハイブリッド車両の駆動装置を説明する図であり、(a)はその概略構成図、(b)はそのハイブリッド車両において選択的に成立させられる複数の駆動状態を説明する図である。この図15に示すハイブリッド駆動装置160は、遊星歯車装置162を介して前記エンジン12、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2、及び出力歯車164が接続されており、そのエンジン12と第1モータジェネレータMG1との間に第1クラッチ166が設けられていると共に、前記第1モータジェネレータMG1は第2クラッチ168を介して遊星歯車装置162のリングギヤに連結されるようになっている。また、この遊星歯車装置162におけるリングギヤはブレーキ170によって非回転部材に対して回転不能に固定されるようになっている。また、上記遊星歯車装置162のサンギヤに第2モータジェネレータMG2が連結され、キャリアに出力歯車164が連結され、その出力歯車164が前記第2歯車28と噛み合わされている。
上記ハイブリッド駆動装置160においては、図15の(b)に示すように、前記実施例において説明したハイブリッド車両10の駆動装置と同様に「EV」、「シリーズHEV」、2つの駆動状態を有する「パラレルHEV」、及び「減速走行」等の駆動状態が選択的に成立させられるようになっている。また、このハイブリッド駆動装置160においては、前記第1モータジェネレータMG1が第1電動機に、前記第2モータジェネレータMG2が第2電動機にそれぞれ相当し、図示しない蓄電装置60から供給される電力により駆動させられると共に、発電した電力をその蓄電装置60に蓄積し得るように構成されている。
以上のように構成されたハイブリッド駆動装置160においても、前記エンジン12が停止させられると共に、前記蓄電装置60から供給される電力を用いて専ら前記第2モータジェネレータMG2により走行用駆動力を発生させる第1の駆動状態である「EV」と、前記エンジン12の動力により前記第1モータジェネレータMG1で発電すると共に、その第1モータジェネレータMG1により発電された電力及び前記蓄電装置60から供給される電力の少なくとも一方を用いて専ら前記第2モータジェネレータMG2により走行用駆動力を発生させる第2の駆動状態である「シリーズHEV」とを、選択的に成立させる等の制御が可能である。そして、上記ハイブリッド駆動装置160も、前記実施例において説明したハイブリッド車両10の駆動装置と同様に、前記電子制御装置50にハイブリッド駆動制御手段70、走行モード判定手段72、駆動状態判定手段74、及び出力特性設定手段76等を機能的に備えており、その出力特性設定手段76により前記第2の駆動状態においては、同じアクセル操作量θaccに対して前記第1の駆動状態よりも大きな走行用駆動力を発生させるように出力特性を設定する等の制御を行う。従って、図15に示すようなハイブリッド駆動装置160に本発明を適用することで、前記実施例と同様に、エンジン作動の有無に応じたドライバビリティを向上させるハイブリッド車両の制御装置を提供することができる。
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
例えば、前述の実施例において、前記出力特性設定手段76は、アクセル操作量θaccに対する走行用駆動力T*を決定するための出力特性マップとして、図8〜図10に示すようにアクセル操作量θaccと走行用駆動力T*とが一次関数となる関係を各駆動状態における出力特性として設定する制御を行うものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばアクセル操作量θaccと走行用駆動力T*とが二次関数となる出力特性等、種々の関係がアクセル操作量θaccに対する走行用駆動力T*を決定するための出力特性マップとして適用され得る。
また、前述の実施例において、前記出力特性設定手段76は、前記ハイブリッド車両10の駆動状態の変化に伴う出力特性の切替に際して、急激な駆動力の変動(急加速乃至急減速)が発生しないように、滑らかに目標駆動力T*を移行させる制御を行うものであったが、斯かる制御のために過渡的な出力特性が予め定められたものであってもよい。また、この過渡的な出力特性は、好適には、(a)前記第1の駆動状態から第2の駆動状態への移行、(b)第2の駆動状態から第3の駆動状態への移行、(c)第3の駆動状態から第2の駆動状態への移行、(d)第2の駆動状態から第1の駆動状態への移行それぞれに対応して個別に定められる。更に好適には、前記ハイブリッド車両10における各種走行モードそれぞれに対応して、上記(a)〜(d)の各移行態様それぞれにおける過渡的な出力特性がそれぞれ個別に定められる。
また、前述の実施例では、前記ハイブリッド車両10において選択的に成立させられる走行モードとして、燃費重視のエコモード、通常走行に対応するノーマルモード、及び走行性能重視のスポーツモードの何れかが選択的に成立させられる態様について説明したが、これら走行モードに加えて或いはその代替として、登坂時等における駆動力重視のパワーモードや、積雪路乃至凍結路等の走行時における走行性重視のスノーモード等、各種走行モードが成立させられるものであってもよい。そして、前記出力特性設定手段76は、好適には、それら複数種類の走行モードそれぞれに対応してアクセル操作量θaccに対する走行用駆動力T*を決定するための出力特性を個別に設定する。
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。