JP2014012083A - 健康管理装置および健康管理プログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構成で個体に応じた健康指標を提供することができる健康管理装置および健康管理プログラムを提供する。
【解決手段】健康管理装置10は、所定の被測定体情報に関する被測定体に応じた基準点の値を取得する基準点情報取得部211と、被測定体情報に関する被測定体の現在の値を取得する被測定体情報取得部212と、被測定体情報に関する被測定体の現在の値から基準点の値を差し引いた値に基づいて健康指標を演算する演算部23と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は健康管理装置および健康管理プログラムに関し、特に被測定体の脂肪量を演算する健康管理装置および健康管理プログラムに関する。
近年、被測定体(被検者)の生体インピーダンスを計測することにより体脂肪率を測定する体脂肪計などの健康管理装置が一般的に知られている(例えば特許文献1参照)。このような体脂肪計においては、生体インピーダンスとそのときの体脂肪率との相関関係を統計的なデータに基づいて算出したものが予め記憶されており、インピーダンス計測により被測定体の現在の生体インピーダンスを計測することにより、当該統計的なデータに基づく相関関係から当該生体インピーダンスにおける統計的な体脂肪率を現在の体脂肪率として出力している。
特開2003−93363号公報
このように、従来の健康管理装置においては、現在の計測値と、統計的なデータに基づく相関関係とを用いて健康指標(体脂肪率など)を出力するため、現在の計測値に基づく指標しか得ることができず、経時的な変化を見ることはできなかった。健康指標において経時的な変化をみることができないため、被測定体自身によらない平均的な値からの健康の指針(太りすぎ、痩せすぎなど)は示すことができるものの、個体に応じた健康指標(体重変化、脂肪量変化、体脂肪率変化など)を提供することはできなかった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で個体に応じた健康指標を提供することができる健康管理装置および健康管理プログラムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のある形態に係る健康管理装置は、所定の被測定体情報に関する被測定体に応じた基準点の値を取得する基準点情報取得部と、前記被測定体情報に関する被測定体の現在の値を取得する被測定体情報取得部と、前記被測定体情報に関する被測定体の現在の値から前記基準点の値を差し引いた値に基づいて健康指標を演算する演算部と、を備えている。
上記構成によれば、被測定体に応じた基準点を設け、当該基準点の値からの偏差に基づいて健康指標が演算されるため、簡単な構成で個体に応じた健康指標を提供することができる。
前記基準点情報取得部は、基準となる体重(以下、基準体重)または当該基準体重からそのときの脂肪量を差し引いた除脂肪量(以下、基準除脂肪量)を基準点の値として取得し、前記被測定体情報取得部は、被測定体の現在の体重を取得し、前記演算部は、前記現在の体重から前記基準点の値を差し引いた値を、脂肪量の変化を示す健康指標(以下、脂肪量情報)として演算してもよい。体重の変化を脂肪量の変化とすることにより、簡単かつ高精度に脂肪量の変化を示す脂肪量情報を得ることができる。
前記基準点情報取得部は、被測定体の脂肪量を測定する基準装置で計測された実際の体脂肪量に関する実脂肪量情報と、前記実際の体脂肪量を計測したときの被測定体の体重とを用いて算出された除脂肪量を前記基準点の値として取得し、前記演算部は、前記現在の体重から前記除脂肪量を差し引いた値を、現在の脂肪量を示す脂肪量情報として演算してもよい。これにより、過去に実際に測定した脂肪量に関する情報(実脂肪量情報)を基準点として現在の体重において減らすべきまたは増やすべき脂肪量が演算されるため、簡単かつより個体に応じた経時的な変化に基づく脂肪量情報を得ることができる。
前記実脂肪量情報は、前記基準装置で計測された実際の体脂肪量、前記実際の体脂肪量を計測したときの被測定体の体重から前記実際の脂肪量を差し引いた除脂肪量、前記実際の体脂肪量を計測したときの被測定体の体重に占める実際の体脂肪量の割合を示す体脂肪率および前記実際の体脂肪量を計測したときの被測定体の体重に占める除脂肪量の割合を示す除脂肪率のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
前記健康管理装置は、前記被測定体の身長および体重の少なくとも1つを含む基準被測定体情報を取得する基準被測定体情報取得部と、前記基準被測定体情報に基づいて、医学的に予め定められる値を基準点の値として演算する基準点演算部と、を備えてもよい。これにより、被測定体の基準被測定体情報に基づいて医学的に予め定められる値が基準点の値として用いられるため、より個体に応じた経時的な変化に基づく脂肪量情報を得ることができる。
前記基準被測定体情報取得部は、被測定体の身長を取得し、前記基準点演算部は、前記被測定体の身長に基づいた標準体重を基準点の値として演算し、前記演算部は、前記標準体重に対する前記現在の体重の変化分を、前記脂肪量情報として演算してもよい。これにより、被測定体に応じた標準体重を基準点として現在の体重において減らすべきまたは増やすべき脂肪量が演算されるため、簡単かつ個体に応じた経時的な変化に基づく脂肪量情報を得ることができる。
前記基準被測定体情報取得部は、前記被測定体の身長および性別を取得し、前記基準点演算部は、前記被測定体の身長に基づいた標準体重と性別に基づく係数値とを用いて前記標準体重における標準的な除脂肪量(以下、標準除脂肪量)を基準点の値として演算し、前記演算部は、前記現在の体重から前記標準除脂肪量を差し引いた値を、現在の脂肪量を示す脂肪量情報として演算してもよい。これにより、被測定体に応じた標準除脂肪量を基準点として現在の体重において減らすべきまたは増やすべき脂肪量が演算されるため、簡単かつ個体に応じた経時的な変化に基づく脂肪量情報を得ることができる。
前記基準被測定体情報取得部は、被測定体の脂肪量を測定する基準装置で計測された実際の体脂肪量に関する実脂肪量情報および前記実際の体脂肪量を計測したときの被測定体の体重を取得可能に構成され、前記基準点演算部は、前記基準被測定体情報取得部に前記実脂肪量情報および前記実際の体脂肪量を測定したときの被測定体の体重が入力された場合、前記医学的に予め定められる値を基準点の値として演算する代わりに、前記実際の体脂肪量を計測したときの被測定体の体重から前記実脂肪量情報に基づく体脂肪量を差し引いた除脂肪量を前記基準点の値として演算し、前記演算部は、前記現在の体重から前記除脂肪量を差し引いた値を、現在の脂肪量を示す脂肪量情報として演算してもよい。これにより、過去に実際に測定した脂肪量に関する情報(実脂肪量情報)が分かる場合には当該実脂肪量情報を基準点として優先的に用いて現在の体重において減らすべきまたは増やすべき脂肪量が演算されるため、簡単かつより個体に応じた経時的な変化に基づく脂肪量情報を得ることができる。
前記基準装置は、水中体重測定装置、二重X線エネルギー吸収測定装置、X線CT装置およびMRI装置の何れかであってもよい。このように、実際の脂肪量に関する高精度な情報を基準装置とすることにより、以降の経時的な計測において高精度な脂肪量情報を得ることができる。
前記健康管理装置は、前記被測定体情報取得部で取得された被測定体の現在の体重を記憶する記憶部を備え、前記基準点情報取得部は、前記記憶部に記憶された体重を前記基準点の値として取得してもよい。これにより、被測定体の過去の体重からの変化を脂肪量の変化とすることができるため、簡単かつ個体に応じた経時的な変化に基づく脂肪量情報を得ることができる。
前記健康管理装置は、記憶部と、被測定体の所定の身体部位のインピーダンスを取得するインピーダンス取得部と、前記インピーダンスとその時の体重とに基づいて除脂肪量を演算する除脂肪量演算部とを備え、前記記憶部は、演算された前記除脂肪量を前記基準除脂肪量として記憶し、前記基準点情報取得部は、前記記憶部に記憶された前記基準除脂肪量を基準点の値として取得するとともに、前記被測定体情報取得部は、現在の体重を取得し、前記演算部は、前記現在の体重から前記基準除脂肪量を差し引いた値を、現在の脂肪量を示す脂肪量情報として演算してもよい。これにより、インピーダンスを計測することにより得られた除脂肪量を基準点として用いつつ、次回以降の計測は体重の変化を脂肪量の変化とみなして脂肪量情報が演算されるため、次回以降の計測において統計的要素が入り込むことが防止され、簡単かつ個体に応じた経時的な変化に基づく脂肪量情報を得ることができる。
前記健康管理装置は、被測定体の所定の部位のインピーダンスを取得するインピーダンス取得部を備え、前記演算部は、前記脂肪量情報を演算する際、前記現在の体重から前記基準点の値を差し引いた値に前記インピーダンスに基づく補正係数を掛けるように構成されてもよい。これにより、体重の変化による脂肪量の変化の割合をインピーダンスの値を用いて補正することができるため、より個体に応じた経時的な変化に基づく脂肪量情報を得ることができる。
前記健康管理装置は、被測定体の体格に応じて複数に区分された体格レベルを取得する体格レベル取得部を備え、前記演算部は、前記脂肪量情報を演算する際、前記現在の体重から前記基準点の値を差し引いた値に前記体格レベルに応じた係数を掛けるように構成されてもよい。これにより、体重の変化による脂肪量の変化の割合を体格レベルに応じて補正することができるため、より個体に応じた経時的な変化に基づく脂肪量情報を得ることができる。
前記健康管理装置は、前記基準点情報取得部および前記被測定体情報取得部で取得された情報を記憶する記憶部を備え、前記記憶部は、複数の被測定体ごとに記憶可能に構成されてもよい。これにより、1つの装置で複数の被測定体のそれぞれに応じた健康指標を得ることができる。
前記健康管理装置は、被測定体の前記現在の体重を計測する体重計測部を備え、前記被測定体情報取得部は、前記体重計測部で計測された体重を取得してもよい。これにより、1つの装置で、現在の体重から個体に応じた経時的な変化に基づく脂肪量情報を得ることができる。
前記健康管理装置は、前記脂肪量情報に基づいた所定期間あたりのカロリーの摂取または消費に関する情報(以下、減量情報)を取得する減量情報取得部と、前記減量情報と前記脂肪量情報とに基づいて所定期間経過後に予測される体重および脂肪量の少なくとも何れか一方を演算する予測値演算部と、を備えていてもよい。これにより、脂肪量情報および想定される減量情報に基づいて所定期間経過後の予測を行うことができるため、個体に応じて日々のカロリーの摂取または消費についての方針を容易に提供することができる。
また、本発明の他の形態に係る健康管理プログラムは、コンピュータを、所定の被測定体情報に関する被測定体に応じた基準点の値を取得する基準点情報取得部、前記被測定体情報に関する被測定体の現在の値を取得する被測定体情報取得部、および前記被測定体情報に関する被測定体の現在の値から前記基準点の値を差し引いた値に基づいて健康指標を演算する演算部として機能させるものである。上記構成によれば、被測定体に応じた基準点を設け、当該基準点の値からの偏差に基づいて健康指標が演算されるため、簡単な構成で個体に応じた健康指標を提供することができる。また、このようなプログラムをパーソナルコンピュータや携帯情報端末などに組み込むことにより、手軽に健康管理を行うことができる。
本発明は、上記のように構成され、簡単な構成で個体に応じた健康指標を提供することができる。
本発明の一実施形態における健康管理装置を示す外観図である。図1(a)は正面図であり、図1(b)は側面図である。 図2は、図1に示す健康管理装置の信号処理に関するハードウェア構成を示したブロック図である。 図3は、図1に示す健康管理装置の制御の流れの一例を示すフローチャートである。
<発明の概要>
まず、本発明の概要について説明する。
従来の体脂肪計においては、測定によって得られた被測定体(被検者)の生体インピーダンスデータを、体型から導かれた体脂肪率の統計値(平均値)のデータと組み合わせて体脂肪率を計算していたが、このような従来の体脂肪計は、以下のような3つの大きな問題点を有していた。
1つ目の問題点は、前述のように体脂肪率の計算に統計的要素が多く含まれていることである。このことは、一過性の測定においては問題にならない場合も多いが、ダイエットなど経時的な脂肪量の変化を知りたい場合には正しい情報を得ることができず、大きな問題となる。
ここで、体重70kgでCTなどのX線装置で計測した体脂肪率が28%(すなわち脂肪量19.6kg)の被測定体が10kgの減量を行った場合を例にとって説明する。減量後の被測定体の脂肪量をCTなどのX線装置で計測すると、体重の変化量に略等しい量だけ脂肪量が減少する場合が多い。すなわち、減量後の脂肪量は約9.6kgとなり、この時の体脂肪率は、16%となっている。ところが、従来の体脂肪計においては70kgから60kgに減量したという情報は何ら反映されないため、60kgの体重の統計値に基づいて体脂肪率が計算される。この結果、従来の体脂肪計においては、減量後の体脂肪率が26.6%(減量後の脂肪量は約16kg)であるかのような表示がなされる。ここで、X線CT装置などのX線装置による計測法(X線法)は被測定体の身体のX線吸収率から脂肪量を求める手法であり、年齢や身長といった統計的要素は含まれておらず、精度が高い計測法として確立されている。
これに対し、従来のインピーダンス法を用いた体脂肪計においては、統計的要素への依存が高く正確な脂肪量の測定に至っていないことが分かる。そもそも、インピーダンス法は電気の流れない(水分の少ない)脂肪を直接計測できるものではなく、水分量の多い筋肉などの除脂肪量に基づいて間接的に脂肪量を推定しているに過ぎないので、高精度な計測を行うには限界がある。また、運動の直後や風呂上がりなど水分量が一時的に変化している際には、計測されるインピーダンス値も大きく変化するため、インピーダンス計測時の状況に応じて結果が大きく異なることとなり、高精度な計測を行うには制約も多い。
2つ目の問題点は、従来の体脂肪計による計測においては、体重の変化によって除脂肪量が非常に大きく変動することである。人体の組成を大きく分けると、脂肪(量)と脂肪以外の除脂肪(量)との2つに分けられる。一般的な成人男女の場合、除脂肪組織の大半は臓器、血管、血液、骨といった不変性の強い組織で構成されており、体脂肪量が変化しても除脂肪量はほとんど変化しないことが多い。除脂肪組織の中には、筋肉(骨格筋)や体水分も含まれるが、一般的な生活においては(急激な生活の変化がない限り)筋肉組成が大きく変化することは少ない。また、体水分に関しても、病気などの異常時を除けば体重が変化しても循環血液がそれに追随して変化することはない。したがって、筋肉が変化しなければ水分も変化しないと考えられる。
このように、実際のところ、同じ被測定体において体重変化に対する除脂肪量の変動要素は圧倒的に少ない。にも拘らず、従来の体脂肪計においては、過去の体重は考慮されないため、過去のある時点での除脂肪量と現在の除脂肪量とが大きく異なった状態で脂肪量が演算される結果、脂肪量の誤差が大きくなっている。
3つ目の問題点は、従来のインピーダンス法を用いた体脂肪計においては、統計的要素を組み込む際のアルゴリズムが機種またはメーカによって異なるため、同じ被測定体が異なる体脂肪計で計測しても異なる結果が出力されてしまう(体脂肪計ごとの器差が生じてしまう)ことである。これは、統計的要素を組み込むためにはアルゴリズムが必要となり、そのアルゴリズムには様々な態様が存在すること、および、体重計測に関しては計量法に基づく規格が存在するのに対し、脂肪量の計測に関してはそのような規格が存在していないことが要因と考えられる。上述の通り、そもそも統計的要素を用いた体脂肪計測においては経時的な変化に追従できるほど精度が高くないため、規格として統一できるほどのアルゴリズムが確立できないことが考えられる。
また、このような体脂肪計においては、予め統計的要素を組み込むために統計をとる必要があることから、性別や人種によって統計的要素を組み込むアルゴリズム自体を変更する必要がある。特に、人種に応じてアルゴリズムを変更するのは容易ではなく、インピーダンス法を用いて全世界的な体脂肪計を作製することは容易ではない。また、成長期の子供などには身長の急激な変化が生じ易く、また個体差が大きいため、統計的要素が当てはまり難く、子供に対する体脂肪測定の精度を高めることができない。
本発明の発明者らは、以上の3つの問題点を踏まえ、鋭意研究した結果、「統計的要素の排除」および「除脂肪量の不変化」の双方を実現できる健康管理装置を発明するための知見を得た。すなわち、本発明の発明者らは、体重から固定の除脂肪量を引いた値が脂肪量であることから、「体重の変化=脂肪量の変化」と考えるのが、最も正しい脂肪量の計算式となるという知見を得た。このことは、医療の現場において、体脂肪率を低減させるために体重を減らす指導を行っていることとも合致する。
さらに、従来の体脂肪計では「体脂肪率」を表示することが一般的であるが、経時的な脂肪の変化を見るためには、脂肪量の変化を見ることが好都合であり、この方が、脂肪量を減らすために、一日に取り得るカロリーの摂取量などの経時的かつ具体的な目標を立て易いという知見を得た。
このような知見に基づいて、本発明の発明者らは、本発明を発明するに至った。すなわち、本発明のある態様に係る健康管理装置は、所定の被測定体情報に関する被測定体に応じた基準点の値を取得する基準点情報取得部と、前記被測定体情報に関する被測定体の現在の値を取得する被測定体情報取得部と、前記被測定体情報に関する被測定体の現在の値から前記基準点の値を差し引いた値に基づいて健康指標を演算する演算部と、を備えている。より具体的な構成として、基準点情報取得部は、基準となる体重(以下、基準体重)または当該基準体重からそのときの脂肪量を差し引いた除脂肪量(以下、基準除脂肪量)を基準点の値として取得し、被測定体情報取得部は、被測定体の現在の体重を取得し、演算部は、前記現在の体重から前記基準点の値を差し引いた値を、脂肪量の変化を示す健康指標(以下、脂肪量情報)として演算する。
上記構成によれば、被測定体自身についての計測値に応じた基準点を固定値として設け、当該基準点の値からの偏差に基づいて健康指標が演算されるため、簡単な構成で個体に応じた健康指標を提供することができる。さらに、体重の変化を脂肪量の変化とすることにより、簡単かつ高精度に脂肪量の変化を示す脂肪量情報を得ることができる。
このとき、演算される脂肪量情報は、インピーダンス計測を必要としないため、運動、飲食、入浴などによるインピーダンスの変動を起因とする脂肪量情報への変動がなくなる。また、インピーダンスは脂肪量と直接関係していないため、このような推定要素を排除することができる。さらに、上記構成によれば、脂肪量情報が統計的要素を用いることなく演算されるとともに、体重の変化分を脂肪量の変化分とすることにより被測定体の除脂肪量が都度変化することがなくなるため、被測定体の組成に応じた精度の高い健康指標を提供することができる。また、統計的要素を用いる必要がなくなるため、統計的要素を組み込むためのアルゴリズムを用意する必要がなくなり、体重の変化が脂肪量の変化であることを採用する限り異なる機種や異なるメーカ間での脂肪量情報の計測差(器差)が生じないようにすることができる。また、統計的要素を不要とすることにより、人種や年齢によらずどのような被測定体であっても精度の高い計測を行うことができる。特に、本構成によれば、成長期における脂肪量の把握が重要であるにも拘らず、従来は計測が困難であった成長期の子供に対しても高精度な脂肪量計測を行うことができる。
さらに、基準点として、身長、体重などの所定の被測定体情報に基づく医学的に予め定められた値(例えば、後述するような標準体重など)または被測定体本人の実測値(例えば、後述するようなX線CT装置などによる測定値)を用いて、脂肪量情報を演算している。このように従来の体脂肪計では用いられなかった基準点という概念を採用し、しかも、被測定体本人の医学的な被測定体情報のみに基づいて脂肪量情報が演算されるため、より個体に応じた演算を行うことができ、脂肪量情報を高精度に演算することができる。
また、基準点を一度設定しておけば、現在の体重などの被測定体情報を入力(または計測)するだけで健康指標が演算されるため、簡単な操作で計測を行うことができるとともに、計測時間の短縮を図ることができる。
<実施形態>
以下、本発明の実施形態における健康管理装置および健康管理プログラムの具体的な構成例について、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一または相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する場合がある。また、以下の具体的な説明は、本発明における健康管理装置および健康管理プログラムの特徴を例示しているに過ぎない。例えば、上記健康管理装置を特定した用語と同じ用語または相当する用語に適宜の参照符号を付して以下の具体例を説明する場合、当該具体的な構成要素は、これに対応する上記健康管理装置の構成要素の一例である。したがって、上記健康管理装置および健康管理プログラムの特徴は、以下の具体的な説明によって限定されない。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、被測定体には、人間だけでなく、人間以外の動物全般(例えば、犬、猫などの愛玩動物、豚、牛などの畜産動物、魚など)が含まれる。動物については生体に限らず、食肉などへの加工後のものも含まれる。以下では、一例として人間(以下、被検者という)の脂肪量情報を計測するための健康管理装置について説明する。
<全体構造>
図1および図2に示すように、健康管理装置10は、主として、本体部11と体重計測部12とを備えている。本体部11には、健康管理装置10の操作入力を行う操作部13と、各種設定を表示したり、各種測定・演算結果を表示したりする表示部14と、制御部20とが設けられる。本体部11と体重計測部12とは、柱状の支持部15により接続されている。支持部15は中空に形成されており、内部に本体部11内に設けられた制御部20と体重計測部12とを電気的に接続する信号ケーブル(図示せず)が通されている。
また、本体部11には、被検者のインピーダンスを計測するインピーダンス計測部16が信号ケーブルを介して接続されている。インピーダンス計測部16は、インピーダンスが計測可能な構成であれば特に限定されないが、例えばインピーダンス計測部16に設けられた電極を指で把持することによりインピーダンスを計測する指電極ユニットなどにより構成される。
信号ケーブルは多芯のケーブルである。本体部11に内蔵された制御部20と体重計測部12またはインピーダンス計測部16との間の電気信号の送受信は、信号ケーブルを介して行われる。各種信号やデ−タは、必要に応じてA/D変換器(図示せず)でディジタル化されて伝送される。
体重計測部12には、被検者の体重を計測するためのロードセル(図示せず)が内蔵されている。被検者が、自己の体重を計測するために体重計測部12の計測面17に載ると、被検者の体重がロードセルによって検出される。なお、ロードセルによって検出された被検者の体重のデ−タは、検出精度を保持するべく、アンプ(図示せず)によって増幅された後にA/D変換され、ディジタル信号として制御部20(後述する情報取得部21)に入力される。
以上のように、本実施形態の健康管理装置10には、体重計測部12およびインピーダンス計測部16が設けられている。これにより、体重やインピーダンスを別の装置で計測して入力する手間が省かれるため、使用者が本健康管理装置10を用いて容易に後述する脂肪量の演算を行うことができる。
操作部13には、電源スイッチ、被検者の情報を入力する入力用スイッチなど各種のスイッチが配設されている。操作部13は、被検者が後述する基準装置で得られた基準脂肪量を入力したり、被検者の身長、性別、年齢などの基準被測定体情報を入力したりすることができるように構成されている。さらに、入力操作部15に体重およびインピーダンスを入力可能としてもよい。これにより、体重計測部13やインピーダンス計測部14を用いて体重やインピーダンスを必ずしも毎回計測することなく脂肪量の演算を行うことができる。
制御部20は、各種の計測部および操作部13からの情報に基づいて演算を行うコンピュータであり、例えばマイクロプロセッサなどにより構成される。制御部20は、各種計測部および操作部13から入力される情報を取得する情報取得部21と、情報取得部21から入力された情報および演算結果を記憶するRAMやROM等を有する記憶部22と、各種の情報に基づいて所定の演算を行うCPU等を有する演算部23とを備えている。
情報取得部21、記憶部22および演算部23は、バス24により互いに通信可能に接続されている。また、情報取得部21には、体重計測部12、インピーダンス計測部16および操作部13が接続されている。また、表示部14は、バス24に接続され、情報取得部21において取得された情報や演算部23で演算された情報がバス24を介して表示部14に出力される。記憶部22には、各種演算を行うための健康管理プログラム100が記憶されており、制御部20は、健康管理プログラム100に基づいて各種情報を取得し、それに基づいて各種の演算を行う。
また、記憶部22は、情報取得部21で得られた各種の情報を記憶し、保存する。記憶部22は、当該各種の情報を複数の被検者ごとに記憶可能に構成される。これにより、1つの装置で複数の被検者のそれぞれに応じた健康指標を得ることができる。
健康管理プログラム100は、コンピュータである制御部20を、被検者の脂肪量を演算するよう機能させる。具体的には、制御部20の情報取得部21は、所定の被測定体情報に関する被検者に応じた基準点の値を取得する基準点情報取得部211および被測定体情報に関する被検者の現在の値を取得する被測定体情報取得部212として機能する。演算部23は、被測定体情報に関する被検者の現在の値から基準点の値を差し引いた値に基づいて健康指標を演算する。より具体的には、基準点情報取得部211は、基準となる体重(以下、基準体重)または当該基準体重からそのときの脂肪量を差し引いた除脂肪量(以下、基準除脂肪量)を基準点の値として取得し、被測定体情報取得部212は、被検者の現在の体重を取得する。また、演算部23は、現在の体重から基準点の値を差し引いた値を、脂肪量の変化を示す健康指標(以下、脂肪量情報)として演算する脂肪量情報演算部231として機能する。
被測定体情報取得部212により取得される基準体重は、体重計測部12により計測される体重値であってもよいし、別途操作部13から入力される体重値であってもよい。また、被測定体情報取得部212により基準除脂肪量が取得される場合には、体重計測部12または操作部13から体重値が入力されるとともに、操作部13またはインピーダンス計測部16から基準となる脂肪量が入力されることにより、基準除脂肪量が取得される。
また、情報取得部21は、基準被測定体情報取得部213、インピーダンス取得部214、体格レベル取得部215、および減量情報取得部216としても機能する。基準被測定体情報取得部213は、基準点となる値を演算するための被験者の基準被測定体情報を取得する。基準被測定体情報は、被検者の身長および体重の少なくとも1つを含むが、その他に、被験者の性別、年齢などを含んでもよい。さらに、基準被測定体情報取得部213は、基準被測定体情報として、被検者の脂肪量を測定する基準装置30で計測された実際の体脂肪量に関する実脂肪量情報および実際の体脂肪量を計測したときの被検者の体重を取得することも可能である。なお、基準装置30は、健康管理装置10と有線または無線により直接通信可能に接続されることとしてもよいし、基準装置30で得られた実脂肪量情報およびそのときの被験者の体重を操作部13に入力することにより、基準被測定体情報取得部213がこれらを取得することとしてもよい。
基準装置30は、病院等の施設に設置され、脂肪量を高精度に測定可能な公知の装置である。基準装置30は、例えば水中体重測定装置、二重X線エネルギー吸収測定装置(DXA装置)、X線CT装置およびMRI装置などを採用可能である。このような基準装置30は、高精度に測定可能ではあるものの、装置が大きい、高価、測定操作に専門性を必要とするなど頻繁に測定することは困難である。したがって、後述するように、本発明の一実施形態においては、基準装置30を用いて少なくとも1回(病院での定期健診などで)脂肪量情報(脂肪量、除脂肪量など)を計測しておき、それ以降においては、当該脂肪量情報を基準点の値として用いて脂肪量情報を演算している。これにより、簡単な方法で安価かつ頻繁に脂肪量の変化を把握することができる。
インピーダンス取得部214は、被験者の所定の身体部位におけるインピーダンスを操作部13またはインピーダンス計測部15から取得する。体格レベル取得部215は、被検者の体格に応じて複数に区分された体格レベルを取得する。体格レベルは、操作部13から選択入力される。減量情報取得部216は、脂肪量情報演算部231で演算された脂肪量情報に基づいた所定期間あたりのカロリーの摂取または消費に関する情報(以下、減量情報)を取得する。
演算部23は、基準点演算部232、除脂肪量演算部233および予測値演算部234としても機能する。基準点演算部232は、基準被測定体情報取得部213で取得された基準被測定体情報に基づいて被検者に応じた所定の基準点を演算する。除脂肪量演算部233は、インピーダンス取得部214で取得されたインピーダンスと、被測定体情報取得部212で取得された被検者のその時の体重とに基づいて除脂肪量を演算する。予測値演算手段234は、減量情報取得部216で取得された減量情報と脂肪量情報とに基づいて所定期間経過後に予測される体重および脂肪量の少なくとも何れか一方を演算する。
以下、基準点の値を用いた脂肪量情報の演算を行うための複数の態様について説明する。
<基準装置から得られた実脂肪量情報に基づく値を基準点として用いる態様>
基準被測定体情報取得部213が被検者の脂肪量を測定する基準装置30で計測された実際の体脂肪量に関する実脂肪量情報を取得した場合、基準点演算部232は、実脂肪量情報とそのときの体重に基づく除脂肪量を基準点の値として演算する。基準装置30で計測される実際の体脂肪量は、被検者自身の計測値であり、被検者の除脂肪量は、その時の体重から基準装置30で計測された脂肪量を差し引くことにより算出される。このような除脂肪量の演算は、基準点演算部232で行うこととしてもよいし、基準装置30側で行うこととしてもよい。基準装置30から除脂肪量が出力される場合には、直接基準点情報取得部211が当該除脂肪量を取得することとしてもよい。
また、基準被測定体情報取得部213が取得する実脂肪量情報は、上記のような基準装置30で計測された実際の体脂肪量および除脂肪量に限られず、実際の体脂肪量を計測したときの被検者の体重に占める体脂肪量の割合を示す体脂肪率または実際の体脂肪量を計測したときの被験者の体重に占める除脂肪量の割合を示す除脂肪率であってもよい。基準被測定体情報取得部213がこれらの値を取得する場合には、基準点演算部232は、これらの値から基準装置30による計測時の体重を用いて除脂肪量を基準点の値(固定値)として演算する。これにより、本態様においては、被検者の除脂肪量が被検者自身の計測値のみで演算される。
脂肪量演算部231は、現在の体重から除脂肪量を差し引いた値を、現在の脂肪量を示す脂肪量情報として演算する。すなわち、除脂肪量は体重変化による変化が少ないため、固定値(基準装置30で計測された除脂肪量=現在の除脂肪量)とし、現在の体重から除脂肪量を差し引くことにより、現在の脂肪量が演算される。これにより、過去に実際に測定した脂肪量に関する情報(実脂肪量情報)を基準点として現在の体重において減らすべきまたは増やすべき脂肪量が演算されるため、簡単かつより個人に応じた経時的な変化に基づく脂肪量情報を得ることができる。また、本態様によれば、被測定体の除脂肪量が被検者自身の計測値のみで演算されるため、統計的要素を用いた計測よりはるかに高精度な脂肪量情報を得ることができる。しかも、過去に一度、基準装置30を用いて実際の脂肪量に関する情報を取得しておけば、それ以降の体脂肪量の計測において、基準装置30を用いなくても、基準装置30を用いた場合と略同等の計測結果を得ることができる。
本実施形態における健康管理装置10は、後述する医学的に予め定められた値(例えば標準体重や標準除脂肪量)を基準点として用いる態様と基準装置30から得られた実脂肪量情報に基づく値を基準点として用いる態様とを併用することが可能である。ただし、いずれの態様においても脂肪量情報が演算可能な状態の場合には、基準点情報取得部211は、基準装置30から得られた実脂肪量情報に基づく値を基準点として優先的に用いるように構成される。これにより、過去に実際に測定した脂肪量に関する情報(実脂肪量情報)が分かる場合には当該実脂肪量情報を基準点として優先的に用いて(より本人による計測値の割合が高い要素を用いて)現在の体重において減らすべきまたは増やすべき脂肪量が演算されるため、簡単かつより個人に応じた経時的な変化に基づく脂肪量情報を得ることができる。
<基準被測定体情報に基づいて医学的に予め定められた値を基準点として用いる態様>
基準被測定体情報取得部213が身長や体重などの基準被測定体情報を取得した場合、基準点演算部232は、基準被測定体情報に基づいて、医学的に予め定められる値を基準点の値として演算する。例えば、基準被測定体情報取得部213は、被検者の身長を取得し、基準点演算部232は、当該被検者の身長から被検者の標準体重を演算する。標準体重Wi(kg)は、身長をL(m)として、Wi=L×22で与えられる。標準体重は、身長LにおいてBMIが22であるときの体重を示している。BMIが22であることは、人間にとって最も健康的であると医学的に提唱されている。このように、標準体重は、身長に基づいて医学的に予め一意に定められる値である。基準点演算部232は、得られた標準体重Wiの値を基準点の値として記憶部22に記憶する。
また、被測定体情報取得部212は、被検者の現在の体重を体重計測部12または操作部13からの入力に基づいて取得する。脂肪量情報を演算する際、基準点情報取得部211は、記憶部22に記憶された標準体重を取得し、被測定体情報取得部212で取得された現在の体重とともに脂肪量演算部231へ伝達する。脂肪量演算部231は、標準体重(固定値)に対する現在の体重の変化分を、脂肪量情報として演算する。具体的には、この時の脂肪量情報は、標準体重にするために増やすべきまたは減らすべき脂肪量を示す。
これにより、個人に応じて医学的に予め定められる標準体重を基準点として現在の体重において減らすべきまたは増やすべき脂肪量が演算されるため、簡単かつ個人に応じた経時的な変化に基づく脂肪量情報を得ることができる。特に、身長変化の大きい成長期の子供に対しても、身長が変化すればそれに伴って標準体重も変化するため、被検者に身長の急激な変化が生じても個人に応じて高精度な脂肪量情報を演算することができる。したがって、従来困難とされていた成長期の子供に対しても有効な脂肪量情報の提供を行うことができる。なお、このように身長変化の大きいことが予測される場合には、身長情報についても計測ごとに取得し、計測ごとに標準体重を演算して、当該標準体重により基準値を更新することが好ましい。
また、例えば、基準被測定体情報取得部213は、被検者の身長に加えて性別を取得し、基準点演算部232は、被検者の身長に基づいた標準体重と性別に基づく係数値とを用いて標準体重における標準的な除脂肪量(以下、標準除脂肪量)を基準点の値として演算する。標準除脂肪量Fi(kg)は、標準体重を用いて、男性の場合、Fi=Wi×(1−0.28)で表せ、女性の場合、Fi=Wi×(1−0.33)で表せる。このように、標準除脂肪量は、身長および性別に基づいて医学的に予め一意に定められる値である。基準点演算部232は、得られた標準除脂肪量Fiの値を基準点の値として記憶部22に記憶する。被測定体情報取得部212は、標準体重を用いる場合と同様に、被検者の現在の体重を取得する。
脂肪量演算部231は、取得された現在の体重から標準除脂肪量を差し引いた値を、現在の脂肪量を示す脂肪量情報として演算する。すなわち、標準除脂肪量は体重変化による変化が少ないため、固定値(標準除脂肪量=現在の除脂肪量)とし、現在の体重から当該標準除脂肪量を差し引くことにより、現在の脂肪量が演算される。これによっても、個人に応じた標準除脂肪量を基準点として現在の体重において減らすべきまたは増やすべき脂肪量が演算されるため、簡単かつ個人に応じた経時的な変化に基づく脂肪量情報を得ることができる。
<以前に取得された体重を基準点として用いる態様>
本実施形態の健康管理装置10においては、以前に取得した体重を基準点の値とすることも可能である。この場合、被測定体情報取得部212が体重を取得した場合、記憶部22には当該体重が記憶される。そして、それ以降の脂肪量情報の計測において、被測定体情報取得部212は、現在の体重を取得し、基準点情報取得部211は、記憶部22に記憶された体重を基準点の値(固定値)として取得する。脂肪量演算部231は、現在の体重から記憶部22に記憶された体重を差し引くことにより、記憶部22に記憶された体重の計測時からの体重の変化を脂肪量の変化を示す脂肪量情報として演算する。これにより、被検者の過去の体重からの変化を脂肪量の変化とすることができるため、簡単かつ個人に応じた経時的な変化に基づく脂肪量情報を得ることができる。
<インピーダンスから得られた脂肪量情報に基づく値を基準点として用いる態様>
本実施形態の健康管理装置10においては、被検者の所定の身体部位のインピーダンスに基づく除脂肪量を基準点の値とすることも可能である。この場合、インピーダンス取得部214は、インピーダンス計測部16または操作部13から被検者のインピーダンスを取得し、除脂肪量演算部233は、取得されたインピーダンスとその時の体重とに基づいてインピーダンス法により除脂肪量(基準除脂肪量)を演算する。なお、インピーダンス測定時の体重は、体重計測部12により計測されたものでもよいし、操作部13から入力されたものでもよい。
除脂肪量演算部233で演算された基準除脂肪量は、基準点の値として記憶部22に記憶される。そして、それ以降の脂肪量情報の計測において、被測定体情報取得部212は、現在の体重を取得し、基準点情報取得部211は、現在の体重から記憶部22に記憶された基準除脂肪量を差し引いた値を、現在の脂肪量を示す脂肪量情報として演算する。これにより、インピーダンスを計測することにより得られた除脂肪量を基準点として用いつつ、次回以降の計測は体重の変化を脂肪量の変化とみなして脂肪量情報が演算されるため、次回以降の計測において統計的要素が入り込むことが防止され、簡単かつ個体に応じた経時的な変化に基づく脂肪量情報を得ることができる。
<補正態様>
上記各態様においては、脂肪量演算部231が基準点と現在の体重などの被測定体情報との差分をそのまま脂肪量情報として出力する態様を主に説明したが、脂肪量演算部231は、当該差分に所定の補正係数を掛け合わせるなどして脂肪量情報を演算することとしてもよい。
特に、標準体重および標準除脂肪量を用いた場合において、被検者の体重が標準体重から離れるほど被検者の実際の除脂肪量は、標準除脂肪量からずれる可能性がある。これは、標準体重より体重が増加していると、当該体重を支えるために筋肉量の割合が増加することに起因するものと考えられる。そこで、以下の様にして脂肪量情報に補正を行うことにより、除脂肪量の個体差を補正することができる。
例えば、脂肪量情報演算部231は、脂肪量情報を演算する際、現在の体重から基準点の値を差し引いた値にインピーダンス取得部214で取得されたインピーダンスに基づく補正係数を掛けるように構成される。この場合、インピーダンスの値に応じて複数のグループ(例えば3〜5程度のグループ)にグループ分けし、グループごとに補正係数(例えば0.8/0.9/1.0/1.1/1.2など)を割り当てる。そして、脂肪量情報演算部231は、上記各態様を用いて基準点と被測定体情報との差分を演算した値に、インピーダンス取得部214で取得されたインピーダンスが属するグループに応じた補正係数を掛けた値を脂肪量情報として出力する。
これにより、体重の変化による脂肪量の変化の割合や標準除脂肪量に対する被検者の個人差をインピーダンスの値を用いて補正することができるため、より個人に応じた経時的な変化に基づく脂肪量情報を得ることができる。また、インピーダンスの値を脂肪量そのものではなく、本来的な筋肉の付き具合(すなわち除脂肪量の割合)についての被験者の大まかな傾向を知るために用いている。このため、インピーダンス計測自体の精度は高くなくてよく、統計的要素を用いることなく簡単に高精度な脂肪量情報を演算することができる。
また、例えば、脂肪量情報演算部231は、脂肪量情報を演算する際、現在の体重から基準点の値を差し引いた値に体格レベル取得部215で取得された体格レベルに応じた係数を掛けるように構成される。この場合、複数に区分された体格レベル(例えば3〜5程度のグループ)に応じて係数(例えば0.8/0.9/1.0/1.1/1.2)を割り当てる。体格レベルは、例えば運動を行う割合や筋肉トレーニングを行う割合などにより区分され、被験者の自己申告により操作部13から入力される。そして、脂肪量情報演算部231は、上記各態様を用いて基準点と被測定体情報との差分を演算した値に、体格レベル取得部215で取得された体格レベルに応じた係数を掛けた値を脂肪量情報として出力する。これによっても、体重の変化による脂肪量の変化の割合を体格レベルに応じて補正することができるため、より個人に応じた経時的な変化に基づく脂肪量情報を得ることができる。
なお、補正の態様は上記に限られず、例えば、被検者の所定の部位の周囲の長さ(例えばウエスト、太もも径などや所定の部位の皮脂厚(いわゆるキャリパー法による計測値)を用いて補正することとしてもよい。
<未来値予測態様>
本実施形態の健康管理装置10は、上記各態様により演算された脂肪量情報に基づいて、生活習慣の改善に繋がる具体的な目標値を演算することもできる。例えば、減量情報取得部216は、脂肪量情報に基づいた所定期間あたりのカロリーの摂取または消費に関する減量情報を取得する。減量情報は、操作部13から入力される。減量情報は、例えば、1日あたりのカロリー減少量の目標値である。
予測値演算部234は、減量情報と脂肪量情報とに基づいて所定期間経過後に予測される体重および脂肪量の少なくとも何れか一方を演算する。この際、予測値演算部234は、脂肪量演算部231で演算された脂肪量情報に基づいた減らすべき脂肪量(超過脂肪量)を表示部14に表示させるとともに、当該超過脂肪量を0にするために消費すべきカロリー量を表示させることができる。なお、脂肪量情報が基準点の値以下の場合(超過脂肪量がマイナスの場合)には、減らすべき脂肪量は0と表示してもよいし、マイナス表示(または増やすべき脂肪量として表示)してもよい。被検者またはオペレータは、表示部14に表示されたこれらの値を参考にして、1日あたりのカロリー減少量の目標値などの減量情報と、減量期間を操作部13から入力する。
減量情報取得部216が入力された減量情報を取得すると、予測値演算部234が減量期間経過後の予測体重および予測脂肪量を演算し、表示部14に表示させる。例えば、被検者の体重78.40kg、脂肪量22.26kg、超過脂肪量9.32kg、消費すべきカロリー量67122kcalの場合、1日あたりのカロリー減少量の目標値を300kcal、減量期間を6ヶ月と入力すると、6ヵ月後の体重が70.7kg、6ヵ月後の脂肪量14.56kg、予測される体重および脂肪量の減少量7.7kgと表示される。これにより、被検者は、超過脂肪量と予測される体重および脂肪量の減少量とを比較して1日あたりのカロリー減少量や減量期間を検討することができる。このように、脂肪量情報および想定される減量情報に基づいて所定期間経過後の予測を行うことができるため、個人に応じて日々のカロリーの摂取または消費についての方針を容易に提供することができる。
<制御の流れ>
以下に、上記各態様を備えた健康管理装置10の制御の流れを例示する。図3に示すフローチャートは、健康管理装置10の電源を入れてから電源を落とすまでの概要を示すものである。まず、電源投入後、表示部14に登録番号の選択画面が表示される(ステップS1)。被検者が過去に登録している場合には、当該登録番号を選択入力し、新規の場合には新たに登録したい登録番号を選択入力する。制御部20は、選択された登録番号が新規か否か(当該登録番号に過去データが存在するか否か)を判定する(ステップS2)。
選択された登録番号が新規である場合(ステップS2でYes)、制御部20は、表示部14に基準被測定体情報の入力画面を表示させ、身長、性別、年齢などの基準被測定体情報を入力させる(ステップS3)。このとき、必要であれば併せて体格レベルなどを入力することとしてもよい。制御部20は、入力された基準被測定体情報の各値を登録番号と関連付けて記憶部22に記憶させる。一方、選択された登録番号に既にデータが存在する場合(ステップS2でNo)、制御部20は、登録されたデータを更新(変更)するか否かの問い合わせ画面を表示部14に表示させる(ステップS4)。登録されたデータを更新する場合(ステップS4でYes)、制御部20は、前述の基準被測定体情報の入力画面を表示させる(ステップS3)。登録されたデータを更新しない場合(ステップS4でNo)、当該登録番号に登録された基準被測定体情報のデータを記憶部22から読み出す。
その後、制御部20は、基準点をどのように設定するかの問い合わせ画面を表示部14に表示させる(ステップS5)。具体的には、制御部20は、基準装置30で計測された実脂肪量情報を用いるのか、基準被測定体情報に基づいて医学的に予め定められる値を用いるのか、過去の体重を用いるのか、インピーダンス法によって計測された基準除脂肪量を用いるのかを問い合わせる画面を表示部14に表示させる。制御部20は、これらのうちの何れかを選択する入力および必要であればそれに対応する基準点に関する情報の入力があった場合、対応する基準を取得する処理を行う(ステップS6)。なお、記憶部22に記憶される登録情報に、基準装置30による実脂肪量情報がすでに存在する場合であって、他の態様が選択された場合には、実脂肪量情報を推奨する旨の表示を行ったり、強制的に実脂肪量情報を使用することとしてもよい。または、登録情報に、基準装置30による実脂肪量情報がすでに存在する場合には、問い合わせ画面より前に、実脂肪量情報が自動的に選択されることとしてもよい。
その後、制御部20は、被測定体情報取得部212として機能し、現在の体重などの被測定体情報を取得する(ステップS7)。そして、制御部20は、脂肪量情報演算部231として機能し、基準点の値および被測定体情報に基づいて脂肪量情報を演算する(ステップS8)。なお、インピーダンスや体格レベルによる補正を行う場合には、このステップで合わせて補正処理が行われる。制御部20は、演算された脂肪量情報を表示部14に表示させる(ステップS9)。
なお、表示部14に表示させる脂肪量情報は、脂肪量そのものだけでなく、除脂肪量、体脂肪率、超過脂肪量などの形態で表示されてもよいし、表示を切り替え可能としてもよい。さらに、脂肪量情報の表示画面には、現在の体重、基準点の値、基準被測定体情報、BMIなどの他の健康指標などを表示させることとしてもよい。
脂肪量情報の表示画面において、上述した未来値予測演算の開始のための操作部14からの所定の操作を受け付ける(ステップS10)。未来値予測演算を行う場合には(ステップS10でYes)、減量情報および減量期間の入力を待ち受け、制御部20は、減量情報取得部216として機能し、操作部14から入力された減量情報を取得する(ステップS11)。制御部20は、予測値演算部234として機能し、減量情報と脂肪量情報とに基づいて所定の減量期間経過後に予測される体重および脂肪量の少なくとも何れか一方を演算する(ステップS12)。制御部20は、演算された予測される体重および脂肪量の少なくとも何れか一方を表示部14に表示させる(ステップS14)。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。例えば、上記実施形態においては、上述した基準点の値を用いた脂肪量情報の演算についての各態様をすべて備えた健康管理装置10について説明したが、本発明は、被検者に応じた基準点の値を用いて健康指標を演算する態様を少なくとも1つ備える限り、その態様は限定されない。例えば、上述した態様のうちの何れか1つ(例えば標準体重)のみを基準点の値とする健康管理装置として構成してもよいし、上述した態様のうちのいくつかを基準点の値とし得る健康管理装置として構成してもよい。
また、上記実施形態においては健康指標として脂肪量情報(脂肪量、脂肪率、除脂肪量、除脂肪率に関する基準点からの変化量または現在の脂肪量、脂肪率、除脂肪量、除脂肪率)を演算する健康管理装置10について主に説明したが、例えばBMI、日比式による肥満度、ローレル指数など基準点からの変化が生じ得る健康指標であれば、これに限られない。
また、上記実施形態においては健康管理プログラム100が健康管理装置10の記憶部22に記憶された構成を例示したが、これに限られず、一般的なパソコンなどのコンピュータ機器に健康管理プログラム100が記憶された状態で、当該コンピュータ機器において健康管理プログラム100を実行することとしてもよい。
本発明の健康管理装置および健康管理プログラムは、簡単な構成で個体に応じた健康指標を提供するために有用である。
10 健康管理装置
12 体重計測部
16 インピーダンス計測部
22 記憶部
30 基準装置
100 健康管理プログラム
211 基準点情報取得部
212 被測定体情報取得部
213 基準被測定体情報取得部
214 インピーダンス取得部
215 体格レベル取得部
216 減量情報取得部
23 演算部
231 脂肪量演算部(演算部)
232 基準点演算部
233 除脂肪量演算部
234 予測値演算部

Claims (17)

  1. 所定の被測定体情報に関する被測定体に応じた基準点の値を取得する基準点情報取得部と、
    前記被測定体情報に関する被測定体の現在の値を取得する被測定体情報取得部と、
    前記被測定体情報に関する被測定体の現在の値から前記基準点の値を差し引いた値に基づいて健康指標を演算する演算部と、を備えた、健康管理装置。
  2. 前記基準点情報取得部は、基準となる体重(以下、基準体重)または当該基準体重からそのときの脂肪量を差し引いた除脂肪量(以下、基準除脂肪量)を基準点の値として取得し、
    前記被測定体情報取得部は、被測定体の現在の体重を取得し、
    前記演算部は、前記現在の体重から前記基準点の値を差し引いた値を、脂肪量の変化を示す健康指標(以下、脂肪量情報)として演算する、請求項1に記載の健康管理装置。
  3. 前記基準点情報取得部は、被測定体の脂肪量を測定する基準装置で計測された実際の体脂肪量に関する実脂肪量情報と、前記実際の体脂肪量を計測したときの被測定体の体重とを用いて算出された除脂肪量を前記基準点の値として取得し、
    前記演算部は、前記現在の体重から前記除脂肪量を差し引いた値を、現在の脂肪量を示す脂肪量情報として演算する、請求項2に記載の健康管理装置。
  4. 前記実脂肪量情報は、前記基準装置で計測された実際の体脂肪量、前記実際の体脂肪量を計測したときの被測定体の体重から前記実際の脂肪量を差し引いた除脂肪量、前記実際の体脂肪量を計測したときの被測定体の体重に占める実際の体脂肪量の割合を示す体脂肪率および前記実際の体脂肪量を計測したときの被測定体の体重に占める除脂肪量の割合を示す除脂肪率のうちの少なくとも1つを含む、請求項3に記載の健康管理装置。
  5. 前記被測定体の身長および体重の少なくとも1つを含む基準被測定体情報を取得する基準被測定体情報取得部と、
    前記基準被測定体情報に基づいて、医学的に予め定められる値を基準点の値として演算する基準点演算部と、を備える、請求項2に記載の健康管理装置。
  6. 前記基準被測定体情報取得部は、被測定体の身長を取得し、
    前記基準点演算部は、前記被測定体の身長に基づいた標準体重を基準点の値として演算し、
    前記演算部は、前記標準体重に対する前記現在の体重の変化分を、前記脂肪量情報として演算する、請求項5に記載の健康管理装置。
  7. 前記基準被測定体情報取得部は、前記被測定体の身長および性別を取得し、
    前記基準点演算部は、前記被測定体の身長に基づいた標準体重と性別に基づく係数値とを用いて前記標準体重における標準的な除脂肪量(以下、標準除脂肪量)を基準点の値として演算し、
    前記演算部は、前記現在の体重から前記標準除脂肪量を差し引いた値を、現在の脂肪量を示す脂肪量情報として演算する、請求項6に記載の健康管理装置。
  8. 前記基準被測定体情報取得部は、被測定体の脂肪量を測定する基準装置で計測された実際の体脂肪量に関する実脂肪量情報および前記実際の体脂肪量を計測したときの被測定体の体重を取得可能に構成され、
    前記基準点演算部は、前記基準被測定体情報取得部に前記実脂肪量情報および前記実際の体脂肪量を測定したときの被測定体の体重が入力された場合、前記医学的に予め定められる値を基準点の値として演算する代わりに、前記実際の体脂肪量を計測したときの被測定体の体重から前記実脂肪量情報に基づく体脂肪量を差し引いた除脂肪量を前記基準点の値として演算し、
    前記演算部は、前記現在の体重から前記除脂肪量を差し引いた値を、現在の脂肪量を示す脂肪量情報として演算する、請求項5〜7の何れかに記載の健康管理装置。
  9. 前記基準装置は、水中体重測定装置、二重X線エネルギー吸収測定装置、X線CT装置およびMRI装置の何れかである、請求項3,4または8に記載の健康管理装置。
  10. 前記被測定体情報取得部で取得された被測定体の現在の体重を記憶する記憶部を備え、
    前記基準点情報取得部は、前記記憶部に記憶された体重を前記基準点の値として取得する、請求項2〜9の何れかに記載の健康管理装置。
  11. 記憶部と、
    被測定体の所定の被測定体部位のインピーダンスを取得するインピーダンス取得部と、
    前記インピーダンスとその時の体重とに基づいて除脂肪量を演算する除脂肪量演算部とを備え、
    前記記憶部は、演算された前記除脂肪量を前記基準除脂肪量として記憶し、
    前記基準点情報取得部は、前記記憶部に記憶された前記基準除脂肪量を基準点の値として取得するとともに、前記被測定体情報取得部は、現在の体重を取得し、
    前記演算部は、前記現在の体重から前記基準除脂肪量を差し引いた値を、現在の脂肪量を示す脂肪量情報として演算する、請求項2〜9の何れかに記載の健康管理装置。
  12. 被測定体の所定の部位のインピーダンスを取得するインピーダンス取得部を備え、
    前記演算部は、前記脂肪量情報を演算する際、前記現在の体重から前記基準点の値を差し引いた値に前記インピーダンスに基づく補正係数を掛けるように構成される、請求項2〜11の何れかに記載の健康管理装置。
  13. 被測定体の体格に応じて複数に区分された体格レベルを取得する体格レベル取得部を備え、
    前記演算部は、前記脂肪量情報を演算する際、前記現在の体重から前記基準点の値を差し引いた値に前記体格レベルに応じた係数を掛けるように構成される、請求項2〜12の何れかに記載の健康管理装置。
  14. 前記基準点情報取得部および前記被測定体情報取得部で取得された情報を記憶する記憶部を備え、
    前記記憶部は、複数の被測定体ごとに記憶可能に構成される、請求項1〜13の何れかに記載の健康管理装置。
  15. 被測定体の前記現在の体重を計測する体重計測部を備え、
    前記被測定体情報取得部は、前記体重計測部で計測された体重を取得する、請求項2〜14に記載の健康管理装置。
  16. 前記脂肪量情報に基づいた所定期間あたりのカロリーの摂取または消費に関する情報(以下、減量情報)を取得する減量情報取得部と、
    前記減量情報と前記脂肪量情報とに基づいて所定期間経過後に予測される体重および脂肪量の少なくとも何れか一方を演算する予測値演算部と、を備えている、請求項2〜15の何れかに記載の健康管理装置。
  17. コンピュータを、
    所定の被測定体情報に関する被測定体に応じた基準点の値を取得する基準点情報取得部、
    前記被測定体情報に関する被測定体の現在の値を取得する被測定体情報取得部、および
    前記被測定体情報に関する被測定体の現在の値から前記基準点の値を差し引いた値に基づいて健康指標を演算する演算部として機能させる、健康管理プログラム。
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